くらし情報『「上田紬」女性伝統工芸士、家業でなく“女優”選んだ過去』

2017年8月4日 11:00

「上田紬」女性伝統工芸士、家業でなく“女優”選んだ過去

テレビの前で家族みんな大騒ぎしていたのをよく覚えています」

子ども心に、さぞや自慢だったのではないだろうか。しかしカリナさんの答えは違った。

「当時の私には、着物はただただ疎ましい存在でしたね」

中学に上がるころ、女優になることを夢見ていたカリナさん。つねに人の目のある紬工房のお嬢さんという狭い現実から、もっと広い世界に飛び出したかったのである。

「家族や工房の皆さんに大切に育ててもらったと感謝しているんです。でも、どんどん窮屈に感じられて、それこそ繭玉に包まれている感覚でした。それも、自分で吐いた糸でできた繭じゃない。とにかく、ここじゃないどこかに、私の本当に生きる場所があるはずだと思っていた。
繭を破って出て行きたかった」

大学進学を機に、カリナさんは上京。進学先に大東文化大学の中国語学科を選んだ理由は、広大な中国を舞台にした映画『ラストエンペラー』に感動したからだという。在学中に1年間の北京留学も敢行。大学卒業後、舞台女優を目指した。アルバイト生活のかたわら、24歳の春、前進座の養成所に入所。昭和6年創立の、由緒ある劇団である。

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