「山崎賢人の芝居は技巧じゃないから凄い」行定勲監督が語る新作映画『劇場』
それで自分から「やってみたい。なぜか分からないけれど、これは絶対にやりたい!」と思ったらしいけれど、そう言うだけあって、なかなか色気がある。
だから、僕たちは忙しい彼の身体が空くのを待って、そこにヒロインの沙希を演じた松岡のスケジュールも合わせてもらったんです。
彼(山崎)は目が澄んでるから、濁らせるところから始めた
――山崎さんにはどんな演出を?
僕はこれまでの山崎の作品をすべて観たわけではないけれど、『劇場』ではあまり見たことのない顔をすると思うし、いろいろなアプローチをしています。それこそ、彼は目が澄んでるから、濁らせるところから始めて、最初に「髭を生やせよ」って言いました。
そしたら、彼はそこでもやっぱり真面目でね。撮影に入る半年ぐらい前の10日間ぐらい身体が空いたときに、髭を生やして、俺に見せにきたんですよ。
それで「どうですかね~」「いや、まだポヤポヤだね」っていうやりとりがあって、「どうしたら濃くなりますかね」って聞くので「T字のカミソリで剃ると濃くなるもんだよ」って答えたら、それからずっとT字のカミソリで剃ったり、毛生え薬をつけていたみたいで。
そこからスタートして、もともと痩せているけれど、少しこけた頬にして、髪もクシャクシャにしてもらいました。