「山崎賢人の芝居は技巧じゃないから凄い」行定勲監督が語る新作映画『劇場』
僕にしたって、先ほど話した某映画監督にしたって、又吉さんや蓬莱もそうだと思うけれど、毎回不安ですよ。
作品を発表したときに、どんな評価が下るのか? それによっては人気が急に下がるかもしれないし、誰も観てくれなくなるかもしれない。
そんな不安の中で、僕は未だに嫉妬もするし、人を傷つけています。
「なぜ、分かってくれないだ」って言いながら。それこそ、ネットの書き込みを気にして、けなされただけで落ち込むような我々なので(笑)、あとは僕ら作り手の覚悟でしかないですよね。
エンタテインメントや芸術と向き合って生きている人間は相当な覚悟をしなきゃいけない
――永田にはそんな行定さんの想いも投影されているわけですね。
今回のコロナで、エンタテインメントがいちばん最初に切り捨てられることが分かりましたよね。
「好きなことをやっているんだから、こんなときぐらい大人しくしてないさいよ」と言っているようにも聞こえるけれど、それに文句を言ったところで仕方がない。
ただ、エンタテインメントで救われている人もいるということを忘れてはいけないし、僕はその力をこれからも信じていきたい。だって、実際に救われた人間がここにいるんだから!
少なくとも僕は救われた。