「山崎賢人の芝居は技巧じゃないから凄い」行定勲監督が語る新作映画『劇場』
夢を諦めて、普通に働けば沙希も普通に子供を産んだかもしれないし、ふたりで昔のことを懐かしく思い出す幸せな生活を手に入れることができていたかもしれない。
なのに、永田はその道を選ばない。永田のそんな愚かさが、人間らしいと思いました。僕はそこがやっぱり面白かったし、それは自分も含めて、作り手の全員が身に覚えのある感覚です。
それを実感している人たちが、この映画を作るんだから、それはかなり生々しく真実に近いものだと僕は思っています。
――又吉さんも喜ばれていたそうですね。
自分のことだったりするから、客観的には観られなかったみたいだけど、「よかった~!」とは言っていた。「山崎くんが演じてくれたよかった」とも言っていましたね。
「俺が永田をやったら相当最低な人間になっていたと思うけれど、山崎くんの永田は思っていたより品がよかったし、原作と描き方が違うラストシーンも好きですよ。
最初はこんな最低な人間が主人公で大丈夫かな~? と思っていたけれど、素敵な映画になっていましたね」って。その又吉さんの感想は、とても嬉しかったです。
映画『劇場』は周知の通り、新型コロナウイルス感染症の影響で当初予定していた4月17日の公開が延期に。