「山崎賢人の芝居は技巧じゃないから凄い」行定勲監督が語る新作映画『劇場』
そんなふたりの7年の恋の軌跡を、原作そのままに“演劇の街”として知られる東京の下北沢を舞台に映画化した『劇場』。
行定勲監督のインタビューは、作品を観たスタッフや自分自身の思いがけない衝動の話から始まった。
又吉直樹の原作『劇場』を手にしたとき、思ったこと
――『劇場』を拝見して、自分も身に覚えのあることがいっぱい描かれていると思いました。
そう言う人は多いですね。スタッフの中にも初号試写の前のラッシュを観終わったときに、号泣しながら「今晩、うちのかみさんを抱いてやろうと思いました」って言った人がいましたからね(笑)。
でも、僕自身はあまりそういう映画だとは思っていなかったんです。
――でも、行定さん自身も身に覚えのあることが描かれているんじゃないですか?
僕はこれまで『GO』(01)や『世界の中心で、愛をさけぶ』(04)など周りから「泣ける」と言われる映画を作ってきたけれど、初号試写のときにあんなにスタッフの嗚咽やしゃくり上げるような音に取り囲まれる経験はしたことがなくて。自分自身もダビング作業の最後に通しで観たときに嗚咽に近い状態になったから、どうしてだろう?って思ったんです。