「山崎賢人の芝居は技巧じゃないから凄い」行定勲監督が語る新作映画『劇場』
この機会を逃したら、また数年、こういう映画を作れない、世の中に生まれないとだろうなと思ったので、「これを僕にやらせて欲しい」って立候補したんです。
原作とは違う、映画のラストシーン
――行定さんは、原作とはどんな風に出会ったんですか?
2017年の雑誌「新潮」に最初に掲載されたときに気になって、普通に買って読みました。
それで2日ぐらいで読了し、いまでも覚えていますけど、読み終わった翌々日の夕方にチーフプロデューサーの古賀俊輔さんに「俺、これ、やりたいんだけど」って電話したんです。
同じ又吉さんの小説が原作のドラマと映画の『火花』(16・17)もプロデュースした古賀さんが、『劇場』の映画化も任されていたのは知っていましたからね。
ただ、闇雲に手を挙げたわけではなく、ラストシーンが浮かんだのが大きかったです。――原作とは視点や見え方が違う、映画のあのラストシーンですか?
そう。あれで、明確に演劇と映画が繋がる。それはどこかで必要だと思っていたんです。
『劇場』は演劇の話ですけど、『趣味の部屋』(13)や『タンゴ・冬の終わりに』(15)などの舞台演出もしている僕は演劇の世界を垣間見る機会もあって、昔から演劇人とも仲がいい。