「山崎賢人の芝居は技巧じゃないから凄い」行定勲監督が語る新作映画『劇場』
助監督時代も演劇の俳優たちを監督に推薦していたけれど、もう消えてしまった俳優もたくさんいて。
下北沢にはそんな演劇や音楽の世界で生きた彼らの青春の残照が感じられるし、その残照が『劇場』の永田と沙希に重なっていくんです。
そういう意味で、俺には分からないことがひとつもなかった。
逆に、その青春の残照をビジュアルとして『劇場』という映画の中にちゃんと残していくのはすごく重要なことだと思ったので、「これを俺にやらせてくれ」って言ったんです。
でも、決まるまではずっと不安でした。古賀さんは「ちょっと考えてみる」とは言ってくれたけど、ただ受け流しただけで、別の監督にやらせるんじゃないかなって思ったりもしましたから。
蓬莱竜太(劇団モダンスイマーズ)に絶対やってもらいたかった
――沙希を演じられた松岡茉優さんも「劇中の舞台シーンの撮影になると、行定監督が演出家のモードになるのが面白かった」って言われていましたが、そういった意味でも、『劇場』の監督は行定さんが適任だったと思います。
でも、現場が楽しかったわけではなくて、かなり細心の注意を払いました。
脚本家は絶対に(『ピンクとグレー』(16)