「山崎賢人の芝居は技巧じゃないから凄い」行定勲監督が語る新作映画『劇場』
ただ、「まだ死んでないよ」の舞台を観た永田が打ちのめされるシーンは最も重要だと思っていたけれど、表現するのがいちばん難しくて。
「やっぱ、俺たちとは次元が違うわ」っていうナレーションを僕は絶対に外したくないと思っていたけれど、それをどう見せたらいいのか!? 最初は実際にあるインパクトのある劇団の演劇を持ってこようかなと考えたぐらいです。
――下北沢の小劇場で活躍している人気劇団の舞台をそのまま持ってこようと思ったんですね。
散々観ましたね。でも、どの舞台もこの作品に当てはまらない。
圧倒的なスゴさをワンシーンで見せなきゃいけないんだけど、既存の舞台ではどうにもならないから、蓬莱に「ワンシーン、書いて」って頼んで。
あの最後のシーンでは蓬莱がやっている劇団モダンスイマーズの役者にも出てもらったし、浅香航大(行定監督のリモート映画『きょうのできごと a day in the home』(20)などに出演)も熱演していますけど、最悪、舞台の声をOFFにして客席の人たちのリアクションだけで見せる方法も考えていました。
――あらゆるケースを想定されていたわけですね。
だから、あの客席にはケラ(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)