西日本豪雨や大阪地震で批判を浴びた被災者の実名報道 違法ではないのか弁護士が解説
によって、「権利あるいは法律上保護される利益」(民法709条)が侵害された、といえなければなりません。
そこで、「自分の家族が死者・行方不明者として報道されたこと」についてどのような権利あるいは利益が侵害されたかについて考えてみると、「プライバシー」や「静穏に故人を悼む利益」、「敬愛追慕の情」などがあげられるでしょう。
しかし、「プライバシー」として保護されるためには、一般に、公表される事柄が
ア私生活上の事実または私生活上の事実らしく受け取られるおそれのあることがらであること
イ一般人の感受性を基準にして当該私人の立場に立つた場合公開を欲しないであろうと認められることがらであること、換言すれば一般人の感覚を基準として公開されることによつて心理的な負担、不安を覚えるであろうと認められることがらであること
ウ一般の人々に未だ知られていないことがらであること
という要件を満たす必要があるとされています(東京地方裁判所昭和39年9月28日判決・判タ 165号184頁)。「自分の家族が災害で亡くなった、行方不明になったこと」が報道された場合、上記のうちアとウについては満たすといえると思いますが、イについては、(当該家族がどう思ったか、感じたかではなく)