福岡の明太子メーカーが利益の20%を寄付してもNo.1な理由
ところが「ふくや」の現社長である川原正孝氏は、社員の雇用を守るというしっかりとしたビジョンと見識を持って再建を引き受け、それを成功させてみせたわけです。
その根底にあるのは、「少しでも世の中の役に立ちたいという思いで『ふくや』をつくった」という創業者の口癖。いわば創業者の思いが、十分すぎるほどに生かされているということなのです。
■愚直にひたすらおいしさを追求している!
明太子を製造販売している会社なら、全国にいくらでもあるでしょう。しかし「ふくや」はひたすら世の中のため、お客さまのため、原点をブレさせることなく、愚直においしさを追求しているということ。
いわば心がこもっているわけで、「元祖」「本家」とことさら強調しなくても長く愛され続ける理由も、そのあたりにありそうです。*
他にも「ふくや」同様、さまざまな思いを軸に会社を経営している人たちの姿が、本書には映し出されています。
忘れかけていた原点を再確認するという意味で、働くすべての人が共感できそうな内容です。
(文/作家、書評家・印南敦史)
【参考】
※坂本光司(2016)『日本でいちばん大切にしたい会社5』あさ出版