くらし情報『B型肝炎、未発症者(キャリアー)の被害も深刻と--毎日新聞アンケートで』

B型肝炎、未発症者(キャリアー)の被害も深刻と--毎日新聞アンケートで

目次

・原告の多くが定期的な血液検査や差別・偏見で悩む
・保険加入困難、恋愛・結婚を断念…
・専門家の意見は?
B型肝炎、未発症者(キャリアー)の被害も深刻と--毎日新聞アンケートで
幼い頃に受けた集団予防接種で注射器を使い回しされたのが原因として、全国10地裁で国に損害賠償を求めて争われているB型肝炎訴訟。このほどの原告側との和解協議では、発症した場合に一時金を支給するにとどめられ、和解金を支払わない方針が国から示された。

しかし、医療機関にかかることが少ないため実態が見えにくかった未発症者(キャリアー)の6割以上が、医療費の経済的負担を感じ、差別や偏見を経験するなどの被害を受けている人も多いようだ。これは、毎日新聞が実施したアンケート調査の結果として報じている。

原告側は、薬害C型肝炎でのキャリアと同水準の1人1,200万円の和解金を求めているが、国側は接種から20年以上経過したキャリアーには損害賠償請求権がないと主張、「将来、肝炎などを発症する割合は相当程度低い」とも指摘している。

原告の多くが定期的な血液検査や差別・偏見で悩む

しかし、アンケートでは約9割が定期的な血液検査に通い、医療費の負担は「家計を圧迫して苦しい」といい、「家族に迷惑を掛けていると感じる」を合わせると64%に上るという。健康状態でも73%は「体調管理に気を使っている」と答え、常に不安を抱えた状態のようだ。

さらに生活面の影響は深刻だ。
差別・偏見を受けることが多く、差別が怖く家族以外には感染を知らせていないとか、家族にも言えないケースもあるという。「家族らに負い目を感じる」とした人は73%に達していて、発症者より割合が高く、また「夢を断念した」「性格が内向的になった」も20%以上いたとのことだ。

保険加入困難、恋愛・結婚を断念…

原告からのアンケートの自由記述欄に多かったのは、
「生命保険の加入が難しい」
「加入できても保険料の割り増しや条件付きの契約になってしまう」
「保険に入れないので自分が死んだ時は家族の生活費を補償してほしい」
など、保険での制約と要望だったという。

また、つらいと感じるのは自身の健康問題に限らないようで、
「親族が緊急に輸血を必要としても手助けできない。臓器提供の意思があってもできない」
「48歳の若さで夫を亡くした母がショックでうつ病になり、家族がバラバラになってしまった」
「友人の反応に過敏になり、パニック障害を発症した」

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