2022年の話題作の1つ『THE BATMANーザ・バットマンー』は、クリストファー・ノーラン監督による『ダークナイト』トリロジー以来、世界中の映画ファンが待ちわびたバットマンの単独映画。ノーラン監督の『TENET テネット』に続き、新たなブルース・ウェインとして大作に抜擢されたのはロバート・パティンソン。このキャスティングが決定したのは奇しくも『TENET テネット』撮影初日であったことが判明、ノーラン監督と撮影を進めながら、バットマン役の準備をするという奇妙な経験をしたことを明かした。ロバートは「『ザ・バットマン』のスクリーンテストのために、『TENET テネット』の撮影を1日休まねばなりませんでした。それはすごく極秘のことだったのに、翌日に撮影に戻ったら、クリス(ノーラン監督)が『スクリーンテストはどうだった?』と聞いてきたんです。僕は『なぜ知っているの?これは最高にトップ・シークレットなはずなのに!』と思いましたよ(笑)」と語る。「その後、クリスとは『ザ・バットマン』について一切話さなかったけど、撮影の最終日になってまた、『新作では、マントをどんな素材で作っているのか?』と聞いてきました。彼はマントを軽くするために以前どんな素材で作ったのかを教えてくれたんです」とノーランとのやりとりをふり返っている。バットマンのスタイルを形作る重要な“バットスーツ”への並々ならぬこだわりは、ノーランも気になったのだろう。今回、ロバート自身もスーツについては、アクションシーンを作り上げるための動きやすさや、自身が何者であるかを表現するためのアイディアを提案しながらデザイナーと一緒に作りあげたという。ロバートは、ノーラン監督と本作のマット・リーヴス監督との仕事をへて2人の異なるアプローチの仕方をふり返る。ノーラン監督の場合は、「クリスには、500もの稼働パートのある巨大なアクションシーンを、世界中で最も簡単なことのようにこなしてしまうクレイジーな能力があります。それを2テイクくらいやって、『いいぞ。素晴らしい!』とオーケーを出してしまうんです。それがたとえ10機のヘリコプターが飛んでいて、爆弾が爆発したり、いろんなことが起きて、みんなが逆向きに走ったり、ものすごい数のエキストラたちが逆に走っても、そのテイクの終わりには、『いいね。ナイスだ。次に行こう』と言って、それで終わり。クリスは、前段階の準備にすべてのエネルギーを注ぐ感じ」だという。一方、「マットはというと、かなり独特です。シーン内のディテールを見て、多くのテイクをやります。とても執念深いんです(笑)。小さいシーンでも多くのテイクを繰り返すから、『きっと自分はうまくやれていない』と最初は考えてしまいました。でもそれからひと月くらいして、彼といくつものテイクを見直して、『マットが求めているものは何なのか、各テイクの間のちょっとした違いから探してみよう』と考えるようになり、彼の方向性をやっと理解し始めました。そして、奇妙に満足するんですよ」と言う。「マットとクリスは完全に正反対の監督だけど、2人とも最高に楽しい撮影でした」とロバートは続ける。さらに、「最初のショットから、これはとんでもなくいままでと違うぞと感じた。マットがなにかとても新しくて、かつて観たことのないものを見つけたことは、ちょっとクレイジーですよね。これが過去にも『バットマン』の映画が作られてきたけど11本目の映画であることを考えると、とても驚くべきことだと思います」と、過去のシリーズのどれとも異なり、新鮮な驚きが詰まっていることを示唆している。世界中の名匠たちからの信頼が厚く、話題に事欠かない俳優となったロバートが、本作ではマット監督とどのような化学変化を生んだのか、期待せずにはいられない。『THE BATMANーザ・バットマンー』は3月11日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:TENET テネット 2020年9月18日より全国にて公開© 2020 W arner Bros Entertainment Inc. All Rights ReservedTHE BATMAN -ザ・バットマン- 2022年3月11日より全国にて公開© 2020 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
2022年01月31日都市が水没した近未来で“記憶潜入(レミニセンス)”エージェントとして暗躍する男の戦いを描いた『レミニセンス』。クリストファー・ノーラン監督の実弟にして最強ブレインであり、『ダークナイト』『インターステラー』の脚本も手がけるもうひとりの天才、ジョナサン・ノーランが製作した本作は、他人の記憶を360度の空間映像に再現し、事件を捜査するという時間×映像トリックが、観る者を新感覚の没入体験に誘うSFサスペンス超大作だ。劇場公開時には字幕版しか観ることができなかった本作だが、デジタル配信、ブルーレイ、DVDには日本語吹替版が収録される。『ONE PIECE FILM GOLD』ギルド・テゾーロや『進撃の巨人』ケニー・アッカーマン、そして、本作の主演でもあるヒュー・ジャックマンをはじめ、名だたるハリウッド俳優の吹替を務めている山路和弘が、主人公ニックの日本語版吹替を担当している。あくまで“記憶”であって、“記録”じゃない──『レミニセンス』の魅力はSFサスペンスに留まらないヒューマンドラマの側面だと感じました。山路そうですよね。ビジュアル面では、水に支配された世界が何とも言えないジリジリとして感覚で。個人的には『ウォーターワールド』を思い出しましたけど。そういった近未来の空気が満載な上に、とてもピュアな人間のドラマが描かれている。ここでは言えませんけど、結末もね、とても純粋じゃないですか。観ている途中で、こういう展開になるんだとは予想もできなかった。そういう面白さがあったと思います。映画だからこそ、こういう結末もアリなんだという“映画の良さ”を感じますね。──“記憶”が題材になっているのも、ユニークな点ですよね。山路あくまで“記憶”であって、“記録”じゃない。だから、主人公のニックが目にする記憶が、本当にそのものどおりの現実なのか、実は相当美化されているものなのか……。そこがすごく引き込まれる点であり、演じるこちらとしては難しさもありました。「これは現実なのか?それともイメージなのか?」というバランスのさじ加減がね。──それは演じ方が変わるということですか?山路うーん、言葉では説明が難しいですけど、現実の世界であれば、声質も少し硬いものになりますし、美化された記憶やイメージの世界であれば、柔らかくなる。そのあたりは自分の判断ですけど、人それぞれ世界の見え方や感性も違うから、(アフレコの)現場では行き違いもありました。ディレクターさんに「ここはもう少し……」って言われても、「そう?なんで?」ってこともあって(笑)、時間がかかりましたね。記憶を扱った作品ならではの苦労ではあったと思いますけど。いつもとはひと味違うヒュー・ジャックマン──今回のヒュー・ジャックマンは、これまた普段とは違う役どころで。なんと言うか……。山路おっさん感が強いですよね!まあ、おっさんは失礼かもしれないけど、本当に普段のヒュー・ジャックマンとはひと味違って、どこにでもいる普通の男という印象ですね。彼自身も世間が抱くイメージから離れたいという思いがあったのかもしれないですけど。こういう普通の男をサラッと演じられるのは、さすがだなと思います。ヒュー・ジャックマンの吹替は20年以上やっていますが、役者としてどんどん深みを増していますよね。──20年以上!確かにヒュー・ジャックマンの日本語版吹替と言えば、山路さんですが、演じる際に意識することはありますか?役柄によって異なるとは思いますが。山路うーん、これは誰を演じるときでもそうですが、「ヒュー・ジャックマンだからこうしよう」って意識はないですね。常に相手(演じる俳優)と顔を突き合わせ、同じ表情をしながら、会話をする感覚とでも言うんですかね。家でリハーサルはしますし、自然と心構えはできてくるものなんですよ。──ヒュー・ジャックマンが、そして山路さんご自身が演じた主人公のニックとはどんな人物だと思いますか?山路本質的にすごく素朴でピュアな人間だなって。先ほども言いましたが、結末もすごくピュアでしょ?それはニックの内面がすごく反映されているんじゃないかなと。余計なことはしないし、そこが役柄や物語にも活きていると思うんですよね。ですから、演じる上で何か意識したかと聞かれれば、そういうところかな。ニックというキャラクターの素朴でピュアな人間性ですね。俳優も声優も“永遠の欲求不満”──主人公のニックが行う“記憶潜入”には、「同じ記憶に何度も入ると、対象者は記憶に飲み込まれ、現実に戻れなくなる」など、いくつかのルールがありました。山路さんご自身は、俳優・声優としてお仕事を続ける上で、心がけているルールというものはありますか?山路イメージに囚われないってことじゃないですかね。どんな仕事であっても、先入観を持たずに、その場その場で無防備でいることこそが、我々の仕事の神髄だと思うんです。もちろん、武装しないと生き残れない世界ではあるんですけど、役をいただき、台詞をいただき、初めて形作られる商売なのでね。それがなければ、僕自身は何でもない、ふにゃふにゃな人間ですし(笑)、強い信念があるタイプでもないですから。──30代を迎えてから俳優業と同時に、声優の道も歩み始めた山路さんですが、声優を始めた当初はどんな未来を想像していましたか?山路声優を始めた頃は、こんなに長くやらせてもらえるとは全然想像していなかったですよ。ときには台本をいただき、(主演として)最初に自分の名前があるなんてことも。「本当にいいの?」って、いまだに思いますよ。今では若い声優さんと一緒になると「勉強させていただきます!」なんて言ってもらうこともあるけど、「やめてくれ」って(笑)。勉強するのは、こっちだよって。まあ、俳優も声優も満足することってないですから。永遠の欲求不満ですよ。人生で数回しかない“しっくり来る”瞬間──そんな山路さんが、お仕事を続ける中で喜びを感じるのはどんな瞬間ですか?山路それは難しい質問だな~(笑)。声優の仕事で言うなら、本当にごくまれに、自分の芝居がピタッと重なる瞬間があるんですよ。──「ピタッと重なる」というのは、キャラクターへの理解や共感とは違う何か、ということですか?山路うーん、それもあるんですけど、もっと感覚的に“しっくり来る”瞬間があるんですよ。キャラクターの感情や行動に自分も思わず納得しちゃうとか。それに加えて声優の“技”について言えば、例えばおじいちゃん、おばあちゃんが「この(海外の)俳優さん、日本語うまいね」って思ってくれたら、それはうれしいですよ。そんな満足感を得られるのは、本当にちょっとした瞬間ですけどね。──それはご本人にしか分からない?山路そうですね。他人から見れば「何うれしそうにしてるの?」って感じでしょうけど、ごくまれにニコニコしながら家路につけることもあるんです。振り返ってみると、人生で数回しかないんじゃないですかね。──ありがとうございます。最後に「もしも誰かの記憶に潜入できるなら、誰の記憶を選びますか?」という質問をさせてください。山路マーロン・ブランドかな。すばらしい役者さんだし、大好きで尊敬しているんですけど、どうしたら、あんな風に傲慢な顔していられるんだろうとも思うんですよ(笑)。自信なのか、ある種の覚悟なのか。さっきも言いましたけど、自分はふにゃふにゃな人間なんでね(笑)。彼みたいな人間の記憶は体験してみたいですね。取材・文:内田涼『レミニセンス』ダウンロード販売中 / デジタルレンタル配信中2022年1月7日(金)ブルーレイ&DVD発売・レンタル開始<4K ULTRA HD&ブルーレイセット>(2枚組)6,980円ブルーレイ&DVDセット(2枚組)4,980円発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント(c)2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
2022年01月07日クリストファー・ノーラン監督×ユニバーサル・ピクチャーズの『Oppenheimer』(原題)に、フローレンス・ピュー(『ミッドサマー』)、ラミ・マレック(「MR.ROBOT/ミスター・ロボット」)、『グッド・タイム』で兄と監督を務め、俳優としても活躍するベニー・サフディの出演が決まったという。「The Hollywood Reporter」が報じた。同作にはすでにキリアン・マーフィー、エミリー・ブラント、マット・デイモン、ロバート・ダウニー・Jr.の出演が報じられており、フローレンスら3人が加わったことで、さらに豪華な顔ぶれに。『Oppenheimer』はカイ・バード&マーティン・シャーウィン著「オッペンハイマー 『原爆の父』と呼ばれた男の栄光と悲劇」を基とした映画。キリアンは第二次世界大戦中に原爆開発のための「マンハッタン計画」科学部門を率いたロバート・オッペンハイマー、エミリーはその妻、フローレンスはオッペンハイマーの愛人で共産党員のジーン・タトロック、ラミは科学者、ベニーは「マンハッタン計画」に携わる物理学者のエドワード・テラーを演じるという。マットは「マンハッタン計画」を指揮したレズリー・グローヴス、ロバートはアメリカ原子力委員会の委員長ルイス・ストロースを演じる。(Hiromi Kaku)
2021年12月10日マット・デイモンとロバート・ダウニー・Jr.が、クリストファー・ノーラン監督の『Oppenheimer』(原題)に出演することが明らかになった。「Variety」などが報じた。『Oppenheimer』は物理学者で「原爆の父」と呼ばれるロバート・オッペンハイマーと、彼が第二次世界大戦中に携わった原子爆弾の開発を取り上げた作品で、主人公のオッペンハイマーはノーラン作品の常連のキリアン・マーフィーが演じる。また、オッペンハイマーの妻でキティ(キャサリン)をエミリー・ブラントが演じる。マットとロバートの役柄については明らかになっていない。配給はユニバーサル・ピクチャーズ。これまでの約20年間、ノーラン監督のほぼすべての作品の配給をワーナー・ブラザースが担当していたが、昨年12月にワーナーが2021年の公開作品を劇場公開と同時にHBO Maxで配信すると発表した際にノーラン監督は同社に対して不快感・不信感をあらわにし、決別していた。『Oppenheimer』の製作は2022年初めに開始となり、2023年7月21日に全米公開を予定しているとのこと。(Hiromi Kaku)
2021年11月04日クリストファー・ノーラン監督の次回作『Oppenheimer』に、エミリー・ブラントが出演することになりそうだ。現在、契約に向けて交渉中だという。原爆開発プロジェクトの指導者的役割を務めたJ・ロバート・オッペンハイマーの伝記映画で、ブラントはオッペンハイマーの妻を演じるらしい。オッペンハイマー役にはキリアン・マーフィが決まっている。ブラントとマーフィは、今年『クワイエット・プレイス破られた沈黙』で共演したばかりだ。映画はユニバーサルが世界配給をする。北米公開は2023年7月21日。文=猿渡由紀
2021年10月21日時間を可視化し、社会現象を巻き起こした『TENET テネット』のクリストファー・ノーランの弟ジョナサン・ノーランが製作、海外ドラマ「ウエストワールド」のリサ・ジョイ監督によるSFサスペンス超大作『レミニセンス』から、壮大なスケールで描かれた世界の舞台裏を収めたメイキング映像が解禁された。先に作品を鑑賞した映画監督、映画評論家など多くの有識者たちから、「劇中世界に誘われる圧巻のファーストカット」「水没都市に『入って』いく鳥肌もののOPで、完全に世界に『入った』」と、本作の“水没した近未来の都市”というSF的な世界観に絶賛の声が集まっている本作。今回解禁となったメイキング映像には、ニューオリンズの廃業した遊園地“ジャズランド”跡にマイアミを模したセットを建設、実際に水没させた上で撮影に臨んでいるキャスト、スタッフ陣が映し出されている。リサ監督は作品の世界を映像と音楽で伝えるために、信頼のおける「ウエストワールド」のスタッフに声をかけ、撮影のポール・キャメロン、美術のハワード・カミングス、編集のマーク・ヨシカワ、音楽のラミン・ジャヴァディを本作でも招集したという。「美術のハワードは無理な注文に慣れていますし、いつも不可能を可能にしてくれる。まさに超人力の持ち主なんです。今回は『マイアミ一帯を冠水させてほしい。それもニューオリンズで』とお願いしたんですが、ハワードは笑いながら『了解。マイアミを水浸しにしてみせましょう』と約束してくれました」と旧知の仲であるからこそのやり取りを明かした。映像では、ボートを漕いでいるヒューを水に浸かりながら撮影するカメラマンや、笑顔でセット内を歩くリサ監督の姿が印象的。水没したマイアミを作りあげることが叶ったリサ監督は「全員が長靴と防水ズボン姿でボートを追いかけるはめになりました。でも、楽しい現場になったし、イメージ通りの画を撮ることができたんです。キャストをはじめ、セットを用意してくれ、水中撮影を敢行したスタッフに心から感謝しています。実写にはCGでは出せない良さがあります。実物のセットの中で撮影した映像は迫力が違います」とこだわり抜いた撮影現場に自信を覗かせた。また、別のシーンの撮影時には、ヒュー演じる主人公のニックが働く“バニスター&アソシエイツ”の事務所をつくるために、製作チームはニューオリンズのフレンチクオーターの1区画を、撮影のために1フィート(約30センチ)の高さまで実際に浸水させて撮影に臨んでいたものの、市の条例に従い、撮影期間中ずっと2時間おきに排水しなくてはならなかったというエピソードも。製作チームが、“実際に水の中で撮影する”、ということに徹底的にこだわっていたことが伺える。主演ヒュー・ジャックマンもリサ・ジョイ監督の熱意と作品の完成度を絶賛リサ監督の熱意には主演を務めたヒューも「リサは監督として伝えたいことが山ほどあると思います。私が芝居を学んでいた時は『映画には何か伝えたいことがなければいけない』と教えられたが、リサは間違いなくそれをやっています。この映画は意図的にそう遠くはない未来を想定している。マイアミに影響を与えている気候変動に、所得格差を取り巻くあらゆる問題等、起きている多くのことは今まさに表面化してきていること。私はそんな映画が好きです。一方ではエンターテイメント性と素晴らしいストーリーで魅了します」と称賛。「もう一方で、観る者の記憶に残り、映画館を出たときに外の世界を違った視点で見るようにさせてくれる。そんな映画です。そしてリサはその能力をしっかり持っています」とリサ監督を中心に作り上げた、圧倒的なSFの世界のスケール感とその世界を舞台に描かれるストーリーによる本作の完成度に太鼓判を押している。『レミニセンス』は9月17日(金)より全国にて公開、IMAX(R)同時公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:レミニセンス© 2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved
2021年09月15日クリストファー・ノーラン監督の次作のテーマが、物理学者のロバート・オッペンハイマーと彼が第二次世界大戦中に携わった原子爆弾の開発についてであること、この作品についてすでに複数のメジャースタジオと議論を交わしたことが明らかになった。ノーラン監督といえばワーナー・ブラザースと長年にわたってパートナー関係にあり、同社は『インソムニア』から『TENET テネット』まで全ての作品に関わってきた。しかし、ワーナーが2021年の公開作品を劇場公開と同時にHBO Maxで配信すると発表した際、ノーラン監督は同社に対して不快感・不信感をあらわに。「ワーナーと組むことはもうない」とささやかれている。ノーラン監督は、「劇場での映像体験」に重きを置くフィルムメーカー(映画製作者)だからだ。ノーラン監督の作品なら、ワーナー以外のスタジオからも引く手あまた。たとえばNetflixのグローバル映画部門責任者スコット・ステューバーは、「彼が新しい作品を作るときは、ぜひNetflixをホーム(拠点)にしてほしいですし、その実現には私たちがなにをする必要があるかということだと思います。彼は素晴らしいフィルムメーカーです。私はできる限りのことをするつもりです」と7月にノーラン監督にラブコールを送っている。配信嫌いのノーラン監督は、2017年にNetflixを批判したこともあったが、Netflixではレオナルド・ディカプリオ主演作『ドント・ルック・アップ』のように劇場での独占的な公開期間を設けたあとに配信を開始するという作品もあり、これならノーラン監督を説得できる可能性もありそうだ。(Hiromi Kaku)
2021年09月10日DCの新たな注目作『THE BATMAN-ザ・バットマンー』の日本公開が2022年春に決定。クリストファー・ノーラン監督による『ダークナイト』トリロジー以来となる、バットマン単独映画が幕を開ける。新バットマン/ブルース・ウェイン役には、『ハリー・ポッター』シリーズ、『トワイライト』シリーズで世界中を虜にした後、着実にキャリアを積み、『TENET テネット』で、主人公のバディ“ニール”を好演したロバート・パティンソンが大抜擢。マイケル・キートン、ジョージ・クルーニー、クリスチャン・ベール等、数々の名優たちが作り上げたヒーローをどのように演じるか注目が集まる。監督・脚本を務めるのは、『クローバーフィールド/HAKAISHA』や『猿の惑星:新世紀』『猿の惑星:聖戦記』でエモーショナルなドラマを描きSF映画の金字塔に新たな伝説を打ち立てたマット・リーブス。そのほか多くのキャラクターの解釈を一新。ペンギン役に『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』、『ダンボ』のコリン・ファレル、リドラー役に『それでも夜は明ける』、『スイス・アーミー・マン』のポール・ダノ、キャットウーマン役に『ファンタスティック・ビースト』シリーズのゾーイ・クラヴィッツ、カーマイン・ファルコン役に『トランスフォーマー』シリーズのジョン・タトゥーロ、そしてお馴染みのアルフレッド役とジェームズ・ゴードン役には、『猿の惑星』シリーズのアンディ・サーキス、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のジェフリー・ライトがそれぞれ演じる。公開された特報では、クリストファー・ノーラン監督作『ダークナイト』シリーズや、『ジョーカー』を彷彿とさせる不穏で不気味な雰囲気の中、カート・コバーンが率いた伝説のバンドNirvanaの「Something In The Way」が流れ、ただならぬ気配を増長させている。セリフも謎めいたものばかりだが、バットスーツや様々な機能が搭載されたバットマンが愛用する特殊車両・バットモービルなど、ファンの心を熱くするガジェットは健在。キャスト同様、一新されたデザインが、どのようなものになるかも注目を集めている。未知なるヴィランがどのように関わってくるのか…?ジョーカーのように、DCがこれまで描いてきた“悪”のカリスマ性を持った、悪役でありながら、人々の心を離さない魅力的なヴィランの登場を予感させる内容となっている。3点の場面写真からも、マスクを脱いだバットマン(ロバート・パティンソン)のただならぬ表情、バットマンの秘密基地「バットケイブ」と思われる場所で、モニターを見つめ佇むバットマンの奥に控えるバットモービル、ブルース・ウェインが見つめる視線の先には一体…というような、謎が謎を呼びながらその一挙手一投足から目が離せないものとなっている。マット・リーブス監督によると、本作はバットマン誕生の物語ではなく、若き日のバットマンを描いた作品。ヴィランたちもまた、ヴィランとして完全になる前の姿で、ミステリーの要素が色濃く、本作に影響を与えた作品としては、『チャイナタウン』(74)、『フレンチ・コネクション』(71)、『タクシードライバー』(76)に代表される、1970 年代の“リアルなストリート”を題材にした作品を挙げており、『ジョーカー』が持つ、何とも形容しがたいが、人々の心情に訴える雰囲気の作品になることを彷彿とさせている。(C)2020 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
2021年08月13日『TENET テネット』クリストファー・ノーランの実弟で、『メメント』の原案にてアカデミー賞脚本賞にノミネートされ、『ダークナイト』『インターステラー』の脚本も手掛けたジョナサン・ノーランとヒュー・ジャックマンがタッグを組んだ『レミニセンス』。この度、ノーラン兄弟の大ファンである声優・津田健次郎がナレーションを担当する、日本版特報映像が初解禁された。解禁された特報では、壮大なスケールで描かれた、都市が海に沈み世界が水に支配された近未来が映し出される。“凶悪事件の鍵を握る女性・メイを探す“というミッションを引き受けた記憶潜入エージェント、主人公・ニック(ヒュー・ジャックマン)が、「記憶の中で失踪の謎を追う」と人の記憶に“レミニセンス(記憶潜入)”するところから始まり…。さらに、この特報のナレーションは映画『スター・ウォーズ』シリーズではカイロ・レンの吹き替え、「呪術廻戦」七海建人役をはじめ、声優やナレーターとしても活躍する一方、近年では映画監督としても活躍の場を広げる人気声優の津田健次郎が担当。かねてよりノーラン兄弟の大ファンだったという津田さんは「大好きな『インターステラー』を筆頭に数々の巨匠クリストファー・ノーラン監督作品の脚本を作り上げて来た弟ジョナサン・ノーラン製作の映画『レミニセンス』。オリジナリティ溢れる脚本を丁寧に力強く紡ぎ上げて来たジョナサン・ノーラン製作なのだから凄い映画に違いない」とコメント。「あぁ、観たい。これは絶対に劇場の大スクリーンで観るべき映画だ。そんな期待度満点の映画の特報にナレーション参加させて頂く。なんと豊かな時間…最高だ。劇場公開が待ち遠しい」と熱量たっぷりに語っている。また、日本版特報映像と同時に完成した本ポスターでは、特報の中でも印象的な、世界が水に支配された近未来と思われる海に沈みかけた都市を背景に、ヒュー演じる記憶潜入エージェント・ニックが鋭く前を見据える姿をとらえたものとなっている。『レミニセンス』は9月17日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:レミニセンス
2021年07月09日映画『TENET テネット』が6月19日(土)13時より、WOWOWで放送となる。それに伴い「WOWOW同時鑑賞会」の開催が決定した。『ダークナイト』『インターステラー』などのヒットメーカーでありつつ、『メメント』『ダンケルク』で“時間”をテーマとし『インセプション』でも独自の世界観に迫った鬼才クリストファー・ノーラン監督。『TENET テネット』は彼が2020年のコロナウイルス禍の中で発表し、大きく注目を集めた話題の大作。物語の主人公はCIA工作員の“名もなき男”。彼はある研究室で、弾痕から拳銃の中へ逆行する弾丸を見せられ、“時間を逆行させる”未来の装置が現在にあること、その装置を使って第3次世界大戦を起こそうとしているテロ集団がいることを知る。彼は協力者のニールと組み、この弾丸を売った人物を追ってインドのムンバイへ。これらの陰謀の陰では、未来人と共謀する武器商人セイターがいた。“名もなき男”とニールは力を合わせて陰謀を防ごうとする。“時間を逆行させる”というアイデアが難解なため、恐らくは一度見ただけで理解できない異色作ながら、イマジネーションにあふれた迫力たっぷりの場面が満載。ぜひ繰り返し見て、その神髄を味わいたい。また豪華なキャストも見どころだ。発表となった「WOWOW同時鑑賞会」はWOWOWの加入者は放送やWOWOWオンデマンドで参加可能。また未加入者もDVDやBlu-rayなどを同時に再生して同時鑑賞会に参加できる。ハッシュタグ「#WOWOW同時鑑賞会」を付けてツイートすることで作品を盛り上げ、楽しい時間を過ごしてほしい。■番組情報『TENET テネット』(吹替版)6月19日(土)13時~WOWOWで放送「WOWOW同時鑑賞会」詳細: 映画公式アカウント( @wowow_movie)
2021年06月10日映画『レミニセンス』が、2021年9月17日(金)に公開。主演はヒュー・ジャックマン、制作はジョナサン・ノーランが務める。クリストファー・ノーランの弟“もうひとりの天才”が紡ぐ新感覚サスペンス映画『レミニセンス』は、人の記憶に潜入(レミニセンス)するエージェントを主役に、<膨大な記憶×再現される空間>のトリックが張り巡らされた新感覚のサスペンス作品。地球温暖化で海面が上昇したことにより都市が海に沈み、水に支配された世界を舞台に壮大なスケールで描かれる“記憶トリック”に注目だ。制作を手掛けたジョナサン・ノーランは、世界的ヒットメーカー クリストファー・ノーランの弟にあたる人物。これまでも大作『ダークナイト』や『インターステラー』の脚本も兄と共同制作した“もうひとりの天才”でもある。主演にヒュー・ジャックマンそんな彼の下に集まったのは、ハリウッドを代表する豪華キャストたち。物語の主人公であり、記憶を360度再現し、事件を解決する「記憶潜入(レミニセンス)エージェント」のニックを演じるのは、『グレイテスト・ショーマン』で主演を務めたヒュー・ジャックマン。ある日、警察から “失踪した女性・メイを探す“というミッションを引き受けたことで、巨大な陰謀に巻き込まれていく男を熱演する。その他の登場人物(キャスト)メイ(レベッカ・ファーガソン)事件の鍵を握る失踪したひとりの女性。演じるのは、『グレイテスト・ショーマン』でヒューと共演したレベッカ・ファーガソン。エミリー(タンディ・ニュートン)ニックの相棒。HBOドラマ「ウエストワールド」のタンディ・ニュートンが担当する。リサ・ジョイが監督デビューなお監督は、リサ・ジョイが担当。「ウエストワールド」の脚本・製作総指揮を務めた彼女は、本作で監督デビューを飾る。【詳細】映画『レミニセンス』公開日:2021年9月17日(金)出演:ヒュー・ジャックマン、レベッカ・ファーガソン、タンディ・ニュートン、ダニエル・ウー製作:ジョナサン・ノーラン 、リサ・ジョイ監督:リサ・ジョイ原題:REMINISCENCE
2021年06月07日中島健人(Sexy Zone)がMCを務めるWOWOWの映画情報番組『中島健人の今、映画について知りたいコト。』の第3回が3月5日(金)に放送される。その放送に先駆けて、WOWOW番組オフィシャルサイトにて、第2回放送の中島によるクリストファー・ノーラン監督インタビューを振り返る特別プロモーション映像が公開された。本番組は、ハリウッドをけん引する映画監督やクリエーター、さらに世界へ羽ばたく日本の映画監督へのインタビューや、映画制作現場の取材等を通じて、中島が知りたい“映画の今”について学ぶ月1のレギュラー情報番組。前回放送では、中島がハリウッドを代表する映画監督クリストファー・ノーランに独占インタビューを行い、最新作『TENET テネット』から過去作品の裏側に迫り好評を得た。第3回は、映画には欠かせない「音響効果」について深く知るため、日本を代表する音響効果技師・柴崎憲治の作業現場を訪ねる。こちらもでぜひチェックしてほしい。番組オフィシャルサイト:『中島健人の今、映画について知りたいコト。』第3回3月5日(金)放送
2021年02月20日先週金曜日、『サウンド・オブ・ミュージック』のトラップ大佐役などで知られるクリストファー・プラマーが、自宅にて亡くなった。91歳だった。アカデミー助演男優賞を受賞した『人生はビギナーズ』や『ドラゴン・タトゥーの女』など、60年以上の俳優人生で200作品以上に出演。グラミー賞以外のエミー賞、アカデミー賞、トニー賞を受賞し、EGOTに王手をかけた数少ないアーティストの1人だった。レジェンド級の名優の訃報に、多くの俳優仲間が嘆いている。『サウンド・オブ・ミュージック』で共演したジュリー・アンドリュースは、「今日、世界は完ぺきな俳優を亡くしました。私は大事な友人を失いました。一緒に作り上げた作品、長年の間に共有したユーモアや楽しかった思い出を大切にしたいと思います」と「Yahoo! Entertainment」にコメント。遺族にお悔やみを伝えた。わずか2年前に『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』でクリストファーと共演したクリス・エヴァンスは、ツイッターに「本当に胸が張り裂けそうです」「信じられない死」と悲しみをつづった。同作での共演中に、「一緒にピアノを弾いたことがお気に入りの思い出の一つ」だったと明かした。同じく、『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』に出演したアナ・デ・アルマスも「すごく悲しい。大好きなクリス」とインスタグラムにつづり、「あなたの隣で学べたのは、私のキャリアで最高の経験の1つとなりました」とクリストファーに感謝の意を表した。アナが体調を崩したときは、ビタミン剤をくれるなど、本当に親切に接してくれたという。(Hiromi Kaku)■関連作品:サウンド・オブ・ミュージック 1965年6月26日公開
2021年02月08日ハリウッドのレギオン・ドライブインシアターで、17日から「クリストファー・ノーラン祭り」が開催される。同シアターはロサンゼルスに住む観客にとって、昨年12月にノーラン監督の『TENET テネット』を初めて鑑賞する機会を得た劇場でもある。ドライブインシアターは、コロナ禍でも“安全に”大きなスクリーンで映画を鑑賞できるため、昨年から大人気。同シアターで『TENET テネット』のチケットは完売し、現在上映中の『ワンダーウーマン 1984』のチケットも完売が続いているという。「ノーラン祭り」では、17日に『インセプション』から始まり、25日から上映開始の『TENET テネット』で終わる。開催期間に『バットマン』3部作、『インターステラー』、『ダンケルク』も上映される。同シアターのクリエイティブ・ディレクターは、「ロサンゼルスエリアの観客に、ノーラン監督の没入感のある映画に心酔する機会をオファーできることをとてもうれしく思います。くつろげて、技術的にも優れているドライブインシアターに、ノーラン監督の作品は非常によく合うと思うのです」とコメントしている。気になる鑑賞料金は、車1台につき65ドル(約6700円)から。ひとりひとりにお菓子、ソーダ、食べ放題のポップコーンがつく。(Hiromi Kaku)■関連作品:ダークナイト 2008年8月2日、3日先行公開、8月9日より丸の内プラゼールほか全国にて公開TM & © DC Comics© 2008 Warner Bros. Ent. All Rights Reservedインセプション 2010年7月23日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2010 Warner Bros. Ent. All Rights ReservedTENET テネット 2020年9月18日より全国にて公開© 2020 W arner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved
2021年01月13日12月16日(水)よりダウンロード先行販売となるクリストファー・ノーラン監督の最新作『TENET テネット』。この度、デジタル配信とブルーレイ&DVDに初収録された日本語吹替版で、ジョン・デイビッド・ワシントン演じる主人公・名もなき男の声を務めた田村真、ロバート・パティンソン演じるニールの声を務めた櫻井孝宏のインタビューが到着、日本語吹替版トレーラーも初解禁となった。ついに日本語吹替版が公開されることに田村さんは「単純にうれしいですね。公開前には収録を終えていたので。ようやく世に出るかという喜びがあります。とにかく早く皆さまに聞いてほしかったです」と喜びのコメント。櫻井さんも「僕もドキドキしています。やはり字幕と吹替では印象が違うので、ぜひとも見比べていただきたいですね」と明かす。「ただ、クリストファー・ノーラン監督の作品には熱狂的なファンが多いので、プレッシャーもありました」と櫻井さん。徹底的な秘密主義を貫くノーラン監督だけに、吹き替え収録も厳戒態勢の下で行われたという。「収録時はまだ公開前だったので、セキュリティが厳しく、限られた映像で、人物しかわからない状態でした。だから画面を観ても何が起こっているのか分からなかった。極端に言えば、視線の先に誰がいて、誰と話しているのかも分からない。それが今回、苦労したところですね」とふり返る田村さんに対して、櫻井さんも「めちゃくちゃやりづらかったです(笑)。守秘義務があるので仕方ないですが、それでも分かりづらかった。ただ収録の前に試写を見せてもらうことができたので、辛うじて理解はできました」と吹き替え時の苦労を明かす。今回の吹き替えに関しては、英語のセリフのニュアンスをそのまま日本語に置き換えるという形で行われたという。田村さんはその収録を「試写と台本を見た限りは、もう少しハードボイルドなヒーロー像なのかなと思って収録に挑んだんですが、ことごとく『違います、いらないです』と。かなりの訓練を積んだ特殊工作員なんで、淡々と任務をこなす」と言われたそう。「実際のジョン・デイビッド・ワシントンの声も、肩肘が張っていなくて、本当に穏やかなんです。彼は元アメフトの選手で、割とがたいが良く、武骨な感じがあるので、声が低いイメージもありますけど、実は柔らかい声をしている。収録では毎回彼のセリフを聞き直して、そこに合わせるようにやっていました」と明かす。一方の櫻井さんも「ロバート・パティンソンって背が大きいし、あごのラインもしっかりしている。声のトーンも、高いような低いような、ちょっと不思議な音色の声をしているんです。それでいて、ちょっと影があって色っぽい。ただ彼の声は何度かやらせていただいているというアドバンテージがあったので、今回は作品の難しさの方に集中して収録をすることができました」という。そして『トワイライト』シリーズや『キング』『悪魔はいつもそこに』などパティンソンの出演作を数多く吹き替えてきたからこそ、「彼の変化というか、俳優としての道のりをたどっていく楽しみはありますね。彼も年を経て、深みのある役や、ちょっぴりクセの強い、アクの強い役をやったりしていますが、でも今回のニールはひとつの転機になるんじゃないかなと思いました」と付け加えた。最後に、デジタル配信とブルーレイ&DVDリリースを楽しみにしているファンに向けて、田村さんが「劇場では残念ながら、日本語吹替版が上映されなかったので、ようやく世に出るかという喜びでいっぱいです。吹替版は原音を忠実に再現することを目指しました。声優たちの技術を集めて作りあげたものなので、ぜひそこに注目して、吹替版も字幕版も交互に観ていただきたいですね」と語れば、櫻井さんも「字幕版をご覧になられた方もぜひ、吹替版の方も見ていただきたいなと思います」とコメント。続けて「この作品は2回目の鑑賞が1回目となる作品です。1回観ただけでは分からない部分もありますし、エンディングを見てスタートラインに立てるようなところがあって、繰り返し楽しめる作品だと思います。まるで本を読むように、映画を観るというか、映画を読むというか、繰り返し観ることでパッとひらめいたり、急に理解ができたり、そういう体験もできるので、ぜひ皆さんのライブラリーに加えていただきたいですね」とメッセージを寄せた。『TENET テネット』は12月16日(水)よりダウンロード先行販売開始、2021年1月8日(金)よりブルーレイ&DVD発売・レンタル開始/デジタルレンタル配信開始。(text:cinemacafe.net)■関連作品:TENET テネット 2020年9月18日より全国にて公開© 2020 W arner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved
2020年12月15日コロナ禍以降、初の洋画超大作として封切られ大ヒットとなったクリストファー・ノーラン監督最新作『TENET テネット』。この度、田村真、櫻井孝宏を起用した日本語吹替版を初収録したブルーレイ&DVDが1月にリリースされることになった。観客動員数100万人突破、4週連続週末興行収入ランキングNo.1の大ヒット、全世界興行収入も300億円を突破し、全米でも5週連続No.1を記録した本作(※全て BOX OFFICE MOJO 調べ)。ノーラン監督が、7か国を舞台にIMAX(R)カメラを使い、時間が逆行する世界をリアルに描き出し、驚異のスケールで放つ極限のタイムサスペンス超大作として話題に。主人公”名もなき男”のミッションは、人類が信じ続けてきた“時間のルール”から脱出すること。時間に隠された衝撃の秘密を解き明かし、第3次世界大戦を防ごうとする。ノーラン監督作品では史上最高額となる約2億ドル以上の制作費をかけられ、逆再生を駆使しシームレスで繰り広げられる映像は、新感覚のエンターテイメント。数々の謎が随所に散りばめられ、何度も観ることでより深い理解を得らえる中毒性もありリピーターが続出。今回のブルーレイ&DVD、デジタル配信では日本語吹替版を初収録。ジョン・デイビッド・ワシントン演じる名もなき男の声を田村真、ロバート・パティンソン演じるニールの声を櫻井孝宏、ケネス・ブラナー演じるセイターの声を内田直哉が務める。名もなき男役/田村真劇場では残念ながら、日本語吹替版が上映されなかったので、ようやく世に出るかという喜びでいっぱいです。吹替版は原音を忠実に再現することを目指しました。声優たちの技術を集めて作りあげたものなので、ぜひそこに注目して、吹替版も字幕版も交互に観ていただきたいですね。ニール役/櫻井孝宏字幕版をご覧になられた方も、ぜひ吹替版を観ていただきたいなと思います。この作品は2回目の鑑賞が1回目となるような作品です。1回観ただけでは分からない部分もありますし、エンディングを見てスタートラインに立てるようなところがあるので、ぜひ皆さんのライブラリーにも加えていただき、繰り返し映画を楽しんでほしいです。さらにブルーレイ&DVDには、約84分にも及ぶ映像特典が収録されたボーナス・ディスクが付属。ノーラン監督やキャスト、スタッフが様々な角度から舞台裏を語る貴重な映像は必見となっている。『TENET テネット』は12月16日(水)よりダウンロード先行販売開始、2021年1月8日(金)ブルーレイ&DVD 発売・レンタル開始/デジタルレンタル配信開始。(text:cinemacafe.net)■関連作品:TENET テネット 2020年9月18日より全国にて公開© 2020 W arner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved
2020年11月27日現在公開中の『TENET テネット』を手掛けたクリストファー・ノーラン監督から、日本での本作の大ヒットを受けて直筆メッセージが到着したことが明らかになった。週末興行収入4週連続No.1、『ダークナイト ライジング』を超え累計興行収入20億円突破、先週末の動員ランキング(10/10-11)では新作を抑えて再びNo.1に返り咲いた本作。今回明らかになったノーラン監督からの直筆メッセージが届いたのは、池袋のグランドシネマサンシャイン。同館にあるIMAX(R)レーザー/GTテクノロジーシアターは、IMAX(R)フィルムカメラで撮影した映像をトリミングされることなく、1:1.43のフルサイズで鑑賞できる数少ない劇場であるため、多くのファンが連日詰めかけた。公開初日午前0時と午前3時から最速上映を行い、午前0時の回は約10分で完売、18日分のIMAXレーザー/GTテクノロジー回も全て完売。ほかにも満席の回が続出し、グランドシネマサンシャインの『TENET テネット』IMAX(R)のオープニング興行収入(18日~21日の公開後4日間の興行収入)は、全世界のIMAX(R)シアターにおいて第1位の成績を収めた。ノーラン監督は「皆さんの持つ素晴らしいIMAX(R)劇場での大成功、おめでとうございます。そして『TENET テネット』を、本来あるべき最高の状態で上映頂いたこと、心から感謝いたします。いつの日か東京で、皆さんの持つ巨大スクリーンで映画を観ることを楽しみにしています」と感謝のコメントを寄せた。また本作は、続編への熱い声も集まっている。名もなき男を演じたジョン・デヴィッド・ワシントンは、米Esquireのインタビューで続編企画の有無について問われると「僕の中での答えは、イエスです!」「クリス(・ノーラン監督)は自身がやりたい事に取り組む方。もしかすると、彼には何年にも渡り準備してきた作品があるかもしれませんし、他に刺激を受けて取り組みたいと思っている作品があるかもしれません。僕としてはもう一度、出来たら嬉しいですけどね」と語ったが、「実際のところ、どうなるのかは分かりません」と回答している。『TENET テネット』は全国にて公開中(IMAX(R)/Dolby CinemaTM/4D同時公開)。(cinemacafe.net)■関連作品:TENET テネット 2020年9月18日より全国にて公開© 2020 W arner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved
2020年10月16日『007 ゴールドフィンガー』のボンドガールの1人、ディンクを演じたマーガレット・ノーラン(76)が5日(現地時間)に亡くなった。息子のオスカー・ディークスが明かした。監督のエドガー・ライトもツイッターでマーガレットの訃報を伝え、嘆いた。昨年、マーガレットはエドガー監督作、アニャ・テイラー=ジョイ主演のホラー映画『Last Night in Soho』(原題)に小さな役で出演したという。「彼女は60年代のクールな人たちの中心にいた。ザ・ビートルズと共演したり、ボンド映画のアイコン以上の存在だったり、『Carry On』シリーズの映画にも出演した」と4投稿(のちに1投稿追加)にわたってマーガレットの出演した映画や、撮影で一緒に過ごした時間についてツイートした。人柄については「とてもおもしろく、頭の切れる人。素晴らしい思い出でいっぱい」と語っている。マーガレットは『007 ゴールドフィンガー』のポスターやオープニングタイトルで、全身を金粉でペイントしたモデルを務めたことで有名。劇中ではショーン・コネリー演じるジェームズ・ボンドを相手に、マッサージ師ディンクを演じた。女優業は80年代半ばで休業したが、2011年にイギリス映画『The Power of Three』(原題)で復帰。遺作は2021年に公開される『Last Night in Soho』(原題)となる模様。(Hiromi Kaku)
2020年10月12日現在、クリストファー・ノーラン監督最新作『TENET テネット』が公開されている109シネマズ二子玉川(東京都世田谷区)に、最新鋭の上映システム「IMAXレーザー」が導入された。さらに、よりIMAXレーザーにおける『TENET テネット』の魅力を伝えるべく、IMAX社のアジア太平洋フィルムディストリビューターディレクターのウォルト・チョウが、映画ファンへメッセージとコメントを送る動画が公開された。ウォルト・チョウ氏は、今回『TENET テネット』をIMAXで公開するにあたり、映画ファンに事前に知ってもらいたいポイントをあげた。「4Kレーザープロジェクターは、白と黒のコントラストにおいては、これまで最高の品質とされていた70ミリフィルムの映写機をも上回る性能を持っています。IMAXレーザーは音響面でも、IMAX(R)デジタルの5chを上回る12chサウンドシステムとなる。前後左右、そして天井にもスピーカーが付き、針が落ちる小さな音からジェット機の轟音まで幅広い音域を正確に再現できる」そして、「『TENET テネット』を、ノーラン監督が意図した映像で完全にスクリーンに映し出し、この世界に没入する体験を提供できる世界最高峰のシアターはIMAXシアターだけです。通常スクリーンでは映しきれない映像まで、見える範囲がぐっと広がるのはIMAXシアターだけです。IMAXシアターで上映される作品は、音響、彩度、コントラスト、明るさなど、細部にいたるまで高い精度で調整し、IMAX仕様にリマスタリングされており、IMAXシアターは他の劇場では決して味わえない画期的な映画体験を可能にしています。IMAXが目指すのは、現実と映画の境目を超える映像体験をお客様にお届けすること」と、チョウ氏は締めくくった。さらに、109シネマズ二子玉川の泉支配人からもメッセージ動画が到着。「109シネマズ二子玉川では『TENET テネット』のポテンシャルを引き出すべくIMAXレーザーでの上映です。『ダークナイト』『インセプション』『インターステラー』を観た時の興奮を思い出してください」『TENET テネット』公開中
2020年10月02日9月18日より公開中のクリストファー・ノーラン監督作『TENET テネット』が、昨日27日までの累計で興行収入12億382万2590円、観客動員数は742,190人を記録したことが分かった。突然、人類滅亡を救う唯一のキーワード“TENET”の謎を紐解く任務を与えられた名もなき男(ジョン・デヴィッド・ワシントン)。全人類を救うため、時間のルールから脱出し、第三次世界大戦を越える危機に立ち向かっていく様を描く本作。コロナ禍以降、初の洋画超大作として全国488スクリーンの劇場で封切られた本作は、2週目の週末興行ランキング(9/26-9/27)でも、興行収入2億4630万2200円(観客動員数144,707人)で2週連続週末興行ランキング1位に輝いた。洋画作品が2週連続1位を記録するのは、マーゴット・ロビー主演の『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』以来、新型コロナウィルスでの劇場封鎖前まで遡ることになる。また、全世界興行収入は290億円を突破し、全米でも4週連続No.1を記録(※9/27時点全てBOX OFFICE MOJO調べ)。ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコの主要地域ではオープンしておらず、今後、劇場再開と共に更なる動員アップが見込まれている。SNS上では「2テネット目で友情に泣けた」とハマる人が多くみられ、あらゆる所に秘密が隠されていることから、様々な考察も上がり、ゲーム感覚で鑑賞する若年層が増加しているという。『TENET テネット』は全国にて公開中(IMAX(R)/Dolby CinemaTM/4D同時公開)。(cinemacafe.net)■関連作品:TENET テネット 2020年9月18日より全国にて公開© 2020 W arner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved
2020年09月28日「映画と最新テクノロジー」と聞くと、スティーヴン・スピルバーグやクリストファー・ノーランといったトップクリエイターたちの手による、巨額の制作費が投じられた大作の驚くべき映像世界をイメージしてしまうかもしれませんが、それだけではありません。ソニー株式会社(以下ソニー)は、米国アカデミー賞公認のアジア最大級の短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア」(SSFF & ASIA)とのコラボレーションで、「オフィシャルコンペティション supported by Sony」と来年度から新設される「スマートフォン映画作品部門 supported by Sony」を支援。才能あるクリエイターがスマートフォンひとつで世界を切り取り、アカデミー賞までたどり着くための道筋をサポートしています。今回、連載に登場いただいたのはソニーでこれらの活動を担当している中臺孝樹さん(ブランドコミュニケーション部門ブランド戦略部)。実は中臺さんは、自身もカメラマンとして活動し、さらにショートショート作家の田丸雅智さんの原作を基に又吉直樹主演の映画『海酒』をプロデュースし、SSFF & ASIAに出品したこともあるなど、映画作りにおいて、制作、撮影からプロモーションに至るまでに深く関わってきた経歴の持ち主。そんな中臺さんのこれまでの歩み、そして現在のお仕事についてお話を伺いました。「人の思いを伝えるというストーリーに興味がある」――高校卒業後、アメリカの大学に進学されて、現地で就職されたそうですね?そうです。もともと、ジャーナリズムをやりたくてアメリカの大学に行ったのですが、「読み書き」という点でネイティブレベルにまで達するというのは難しかったんですね。ただ「撮影する」ということに関しては小学生の頃から一眼レフで撮影をしていて、得意だったんです。それもあって、大学内の新聞や番組の撮影をし、卒業後は主にスポーツ中継を行う放送局で撮影班の一員として働いていました。――スポーツの試合の中継などに関わっていたのですか?厳密にいうとPRを担当する部門で、どのようなストーリーを作るか?という仕事をしていて、その撮影班だったんですね。対メディア、一般の視聴者に向けた映像をどのように出すか? そこに向けたストーリーを作り、撮影を行うという仕事をやっていました。そのために必要となる写真や映像を自分で撮影し、記事や映像を作っていました。――ストーリーを考え、撮影し…という映像制作を行っていたわけですね。そうですね。コミュニケーションありきで映像を作るということをやらせていただいておりましたので、シネマとはまた違いますが、カメラマンという立場で、背景にあるものを理解してストーリーを作るということをやっていました。――その後、日本に帰国されて…。帰国して通常の企業で営業マンのような仕事をしていたのですが、東日本大震災が起こったことで、何か日本を盛り上げることはできないか?ということを同世代の人たちと話す機会がありまして。自分はカメラを扱うことができるので、何かストーリーを作ったらどうか? ということで、ちょうど2011年の3月いっぱいで当時の会社を退職することも決まっていたので、それを機に映画制作を始めました。――自分が作りたい映画作品を作るというだけでなく、映像の制作を“仕事”として請け負うことも?そうです。当初はフリーランスで写真撮影や映像制作を手掛けることもあり、その後は映像制作会社という形で、制作の仕事を請け負っていました。国際交流基金さんの映像を制作したり、ミュージックビデオを制作したり、車のメーカーさんのPRのためのCG映像などを手掛けたりしていまして、主に企業の映像を作る機会がありました。映画制作では、ひとつ、中野裕太さん主演の長編映画『もうしません!』をプロデュースし、ゆうばりファンタスティック国際映画祭に出品させていただき、さらに又吉直樹さん主演の短編映画『海酒』はSSFF & ASIA 2016で上映させていただきました。――アメリカではスポーツというノンフィクションのものに携わっていらして、映画というフィクションの“物語”を制作するという点で、違いもあったかと思います。根本にあるのは「人」だと思っていまして、人の思いを伝えるというストーリーに興味があるんですね。僕自身、過去に見たいくつもの映画が「あの映画のあのシーン…」という感じでずっと心に残っていて、元気もらったり、人生に影響を受けたりしてきました。そういうひとつひとつのストーリーに目を向けて、自分もそれを作りたいと思ったんですね。「映画はテクノロジーや新たな手法を用いて進化」――プロデューサーという仕事の面白さや大変さについて教えてください。これはあくまでもソニーに入社する前の個人の活動の話ですが、プロデューサーとしてまず予算をどう集めるか?プロジェクトをどう管理するか?という部分とクリエイティブの対立があると思っていまして、監督がクリエイティブに責任を負うとすると、プロジェクトそのものに責任を持っているのがプロデューサーなんですね。予算とスケジュールとクリエイティブのバランスを学ばせてもらい、面白くもあり難しい仕事でした。「本当はこうしたいけど、予算が…」ということもあるし、そこで「この予算でもこうしたらうまくいくんじゃないか」と考えるのは面白かったですね。――ソニーに入社される前には、人気漫画を原作とした全国劇場公開映画のPRキャンペーンディレクターを務められたそうですね?日本全国の劇場を回ってPRを行うという業務でした。映画を作っても、なかなか見る人たちに触れ合う機会ってないんですけど、この時は地に足の着いた活動といいますか、まさにお客様に直に触れ合いながら全国の約100劇場を回らせていただきました。多くの劇場で配信してもらうことの大切さを学びました。――その後、ソニーグループに入社されて、映画『バイオハザード:ザ・ファイナル』などのプロモーションに関わることになったと伺いました。ソニーの最新技術を用いつつ、それと『バイオハザード』というIP(知的財産)を掛け合わせるような企画ができないかということで関わらせてもらいました。ハプティクスベストという身体に振動を与える技術を用いて、映画の体験をよりよくしようというプロモーションで日本だけでなくアメリカ、インド、スペイン、香港などを回らせてもらいました。――映画『スパイダーマン:ホームカミング』ではムービングプロジェクター、高速ビジョンセンサーを用いて、スパイダーマンとボルダリングを体験できるというプロモーションをハリウッドのレッドカーペットで行ったそうですね?テクノロジーを映画のプロモーションに活用するという活動ですね。そうですね。映画で、テクノロジーをどう用いるか? というのは非常に重要だと思っています。例えば多視点でアングルを変えることができるバレットタイム、ドリーとズームを合わせたバーティゴエフェクト、ドローンやCGはもちろん、レイトレーシングなど、映画はテクノロジーや新たな手法を用いて進化を遂げてきたとも言えます。そういう意味で、ソニーは撮影するカメラや録音のマイク、映像を見せるテレビやヘッドフォンまで、まさに入口からエンドまでの技術を持っていますので、ありとあらゆる技術を用いてプロモーションも行うというのは、非常に面白かったですね。スマートフォンで撮影した作品がアカデミー賞へ?――映画だけでなく、SEKAI NO OWARI×リアル脱出ゲーム「INSOMNIA TRAINからの脱出」にソニーの触覚提示技術を導入するという仕事もされたそうですが、主に最新技術を活かしてプロモーションを行うという仕事を?この脱出ゲームの中で、参加者に対してゲームのストーリーを動画にて紹介する演出がありました。ここにソニーの触覚提示技術を導入し、動画の映像と音声に合わせて床が振動するなど、触覚に訴える演出を行うことによって、全身で楽しめる臨場感と没入感のある体験を実現しました。ここはプロモーションというよりも、ソニーの技術やIPをどのように活用できるか? というのを模索する部署に2年ほど前までおりまして、その活動の一部でした。現在は、ブランド戦略部という部署で、ソニーの魅力を広く伝える活動を行わせていただいています。――そうした活動の一環として今回、SSFF&ASIAとのコラボレーションを?ソニーは存在意義として「クリエイティビティとテクノロジーで世界を感動に満たす」ということを掲げています。その感動を作るためにはクリエイターの存在は欠かせません。SSFF & ASIAで「オフィシャルコンペティションsupported by Sony」という形で支援させていただいていますが、米国のアカデミー賞公認の映画祭であるということも含め、ハリウッドを本気で目指す人たちを支援したいという思いがあります。また来年度より新設される「スマートフォン映画作品部門supported by Sony」を支援することで入口を広くしたいなと思っています。多くの人たちが気軽に作品を作ることができて、またその作品がアカデミー賞までたどり着くことができるようになったらうれしいですね。スマートフォンで撮影した作品がアカデミー賞に届くかもしれないということで、SSFF & ASIAさんと一緒にやっていけたらと考えています。――実際にこれまでご自身で映画を作ってきた中臺さんから見て、Xperia™の機能性はいかがでしょうか?例えば、私の過去作品『海酒』で主演の又吉直樹さんが走り、それをカメラマンがカメラを担いで追いかけながら撮影するシーンがあったんですけど、ちょうど芥川賞受賞が発表された直後で季節は夏で、暑い日だったので、又吉さんの後をカメラマン、監督、フォーカスマン、音声が追いかけていくというかなり大変なシーンになりました(苦笑)。あの時に大きなシネマカメラで撮影したレベルの映像とそん色のない映像を、いまはスマートフォンひとつで撮影することができるんですね。それは非常に魅力的なことだと思います。――重いカメラを担いでカメラマン、フォーカスマンらスタッフが役者を追いかけていくというのは、映画の撮影では日常的ともいえる光景ですが、それが1台のスマートフォンでできてしまうというのは、ものすごいイノベーションですね。単に軽いというだけでなく、Xperiaを使えば狭い場所――たとえばカメラを担いで入っていくのが難しかった細い路地で撮影するなどといったこともできるんですね。しかもそれがシネマクオリティ。僕自身、カメラマンとして時には地面に這いつくばって撮影することもあったのですが、Xperiaを使うことで大きなカメラでは難しかった撮影もできるようになると思います。――ただ軽い、コストが安いというだけでなく、シネマカメラ以上の臨場感のある映像を撮ることもできるかもしれないということですね。そう思います。より人に近く、より人の感情を表現できるデバイスになりえると思いますし、よりダイナミックな映像という点も、スマートフォンだからこそできることがあるんじゃないかと思っています。――ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社の取り組みとして、これから映画を作りたいという学生を支援する「Xperia Cinema Pro Students Challenge」も行っていますが、ご自身もプロデューサー、クリエイターとして映画作りをして、その苦労も知っているからこそ、こうした活動に強い思いをお持ちなのでは?そうですね。私自身、プロデューサーとして予算集めに苦労したこともありますし、天候不良で撮影日が1日増えただけで、クルーを集め、ロケバスを手配し…と予算が一気に増えるんですね。それこそシネマカメラも1日借りるだけで10万円以上かかりますし、当然ですがカメラだけを借りても仕方ないわけで、カメラマン、フォーカスマンが必要で、モニタも用意して…と非常に大きな金額が必要となってしまうわけです。そこをスマートフォンで補うことができるというのは非常に魅力的なことだと思っています。そういう部分を含めて、最新のテクノロジーによってクリエイターの“今後”を支援していくのは非常に楽しく、素晴らしいことだなと思っています。一方で、それだけでなくクリエイターが活躍できる“機会”を作ることにも大きな意味があると思っていまして、Xperia Cinema Pro Students Challengeの活動やSSFF & ASIAとのコラボレーションにより、チャンスを支援していくことができればと考えております。誰もが持っているストーリー「形にするということを恐れずに」――これまでの経験や現在のお仕事を通じて、これからの日本の映画界にいま、何が必要だと感じてらっしゃいますか?やはり日本ではクリエイターが限られているという現状があると思います。国が映画制作を助成するという仕組みはありますが、いつお金が支払われるのか? というタイミングやシステムとして、現状ではすでに実績のあるクリエイターの方々が映画を作って、それに対してその後、助成金が支払われるという運用の仕方になっていることが多いんですね。僕自身の経験を踏まえて、映画制作のつらい部分は2つあると思っていて、それは「作る」過程と「見せる」過程だと思っています。たとえ映画を苦労して作ったとしても、どのようにしてお客さんに届けるか? という部分が非常に難しくて、単館系の小劇場と交渉して何とかそこで上映して…ということが多いと思いますが、一方でインターネットの技術などを介することで、多くの人に見せられるチャンスは増えてきたのかなと思います。それによって、短編映画が長編映画の登竜門、いわゆるデモテープのような存在としてではなく、短編映画そのものがコンテンツになりうる時代になってきたのかなと個人的に思っています。どんな機材、レベルであれ、作ったものを世に出して評価を受け、時には批判もされながら、より良いものを作っていく――そうした流れが日本中で広まればいいなと思っています。――今後、中臺さん自身は映画業界でどのようなことを実現したいと考えていらっしゃいますか?いま、映画は2つの方向に進んでいると個人的に感じています。ひとつは、より深い体験ができるということ――画質や音響がよりよくなっていき、よりイマーシブ(没入体験的)になっていくと思います。一方で、映画自体がコンテンツの一部になっている動きがあると感じていて、ヒーロー映画をコスプレをして観に行ったり、映画そのものの前後にあるいろんなものを含めて、体験として楽しめるようになっているなと思います。そのどちらの方向性も素晴らしいものだと思っているので、もし個人で作品を作れる機会があれば、イマーシブな映像を作ってみたいという思いもありますし、一方で映画を含めた様々な体験を含めて「映画を楽しむ」ということを提供できるものを作れたらと思っています。――最後に映画業界を志す人たちにメッセージをお願いします。映画って切り口はいろいろあると思いますが、でも根本にあるのはストーリーテリングにあると思っています。そして、そのストーリーテリングを支えるのが技術やテクノロジーなのではないかと。社会問題にせよ、自分が伝えたいことにせよ、もしかしたら日常の些細な幸せにせよ、その人しか持っていないストーリーを必ず誰もが持っていると思うので、それを形にするということを恐れずに続けてほしいと思います。その人しか持っていないストーリーは、その人が自信を持って発信しない限り、一生外に出てこないので、そういうものを表現するということを続けてほしいと思います。また、SSFF & ASIAとソニーモバイルが企画したCreators’ Junction partnered with Xperia™でも冒頭少しお話させて頂きました。河瀬直美監督と常田大希さんのトップクリエイターのトークセッションをお楽しみいただければと思います。「Creators’ Junction partnered with XperiaTM」は9月28日(月)20時スタート予定。(photo / text:Naoki Kurozu)
2020年09月27日現在、日本でも大ヒット中のクリストファー・ノーラン監督の最新作『TENET テネット』から、監督やキャスト陣のインタビュー映像を交えた、本作の舞台裏が明らかとなる約10分間のメイキング映像が解禁された。今回の映像では、主人公の“名もなき男”を演じたジョン・デイビッド・ワシントンをはじめ、ロバート・パティンソン、エリザベス・デビッキ、そしてケネス・ブラナーといったキャスト、製作のエマ・トーマス、撮影監督のホイテ・ヴァン・ホイテマといったスタッフたちが撮影現場をメイキング映像と共にふり返っている。本作では時間が“逆行”する誰も観たことのない世界を描き出したノーラン監督だが、「まるでドキュメンタリーの撮影のようだった」とジョン・デイビッドが語るように、ノーラン監督らしく、どこまでも“本物(リアル)”での撮影にこだわったことが紹介されていく。世界全体の危機を描くために必要だった7か国にもわたる壮大なロケ、飛行機を実際に建物に激突させる前代未聞のシーンだけにとどまらず、時間逆行のアクションシーンもジョン・デイビッドが自ら“逆行”の動きを習得し、演じている。「今までに見たことのない動きだ。僕らは何度もリハを繰り返した」とジョン・デイビッドは語っており、元アメリカン・フットボールのプロ選手だった彼の身体能力でも苦戦したことを明かしている。しかし、どんな難題でも常にキャストやスタッフが応えるのは、「どの作品でも自分に挑戦したい。新しいものを観客に提供したいんだ」と語るノーラン監督の情熱を目の当たりにしているから。常に最高のエンターテインメントを観客に提供するために、自らの限界を越え続けるフィルムメーカー、クリストファー・ノーランの真髄を感じられる映像となっている。海外メディアの報道によると、本作のVFXショット数は300未満で、ノーラン監督自身も「だいたいのラブコメ映画よりも少ない」とコメントするほど。過去のノーラン作品と比較すると『ダンケルク』(2017)が約430、『ダークナイト ライジング』(2012)が約450、『インセプション』(2010)が約500、『バットマン ビギンズ』(2005)が約620とされており、エンドロールの短さにも驚く。ちなみに『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)は2,000ショット以上とされている。『TENET テネット』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:TENET テネット 2020年9月18日より全国にて公開© 2020 W arner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved
2020年09月25日クリストファー・ノーラン監督作品『TENET テネット』が公開中だ。この度、本作の舞台裏が明らかとなる約10分間のメイキング映像が公開された。映像では、主人公の名もなき男を演じたジョン・デイビッド・ワシントンをはじめ、ロバート・パティンソン、エリザベス・デビッキやケネス・ブラナーといったキャスト、製作のエマ・トーマス、撮影監督のホイテ・ヴァン・ホイテマといったスタッフたちが撮影現場をメイキング映像とともに振り返る。本作では時間が“逆行”する、誰も観たことのない世界を描き出したノーラン監督だが、「まるでドキュメンタリーの撮影のようだった」とワシントンが語るように、どこまでも“本物(リアル)”での撮影にこだわったことが明かされる。世界全体の危機を描くために必要だった7か国にもわたる壮大なロケ、飛行機を実際に建物に激突させるシーンだけにとどまらず、時間逆行のアクションシーンもワシントンが自ら“逆行”の動きを習得し、演じている。「今までに見たことのない動きだ。僕らは何度もリハを繰り返した」とワシントンは語っており、元アメリカン・フットボールのプロ選手だった彼の身体能力でも苦戦したことを明かしている。しかし、どんな難題でも常にキャストやスタッフが応えるのは、「どの作品でも自分に挑戦したい。新しいものを観客に提供したいんだ」と語るノーラン監督の情熱を目の当たりにしているからだという。海外メディアの報道によると、本作のVFXショット数は300未満で、ノーラン監督自身も「だいたいのラブコメ映画よりも少ない」とコメントするほど。過去のノーラン作品と比較しては、『ダンケルク』が約430、『ダークナイト ライジング』が約450、『インセプション』が約500、『バットマン ビギンズ』が約620とされており、エンドロールの短さは驚きだ。なお、『アベンジャーズ/エンドゲーム』は2000ショット以上とされている。『TENET テネット』公開中
2020年09月25日本年度最大の問題作『TENET テネット』がついに日本で公開、クリストファー・ノーラン監督の過去作『ダンケルク』や『インターステラー』のオープニング成績を上回り、週末興行ランキング1位を獲得。公開5日間の累計興行収入は7億5299万6550円を記録する、大ヒットスタートを切った。コロナ禍以降、初の洋画超大作として9月18日(金)から全国488スクリーンの劇場で封切られた本作は、公開2日間(9月18日~19日)で『ダンケルク』(最終興収16億4000万円)、『インターステラー』(最終興収12億8000万円)のオープニング成績を凌ぐ、興行収入3億2678万5290円(観客動員数19万9,559名)を記録し、週末興行ランキング1位に。洋画作品が週末興行ランキング1位を記録するのは、6月19日公開『ドクター・ドリトル』以来、3か月ぶりとなった。そして9月18日~22日の5日間の累計興行収入は7億5299万6550円を記録する、大ヒットスタート。すでに全世界興行収入は260億円を突破し、全米でも3週連続No.1を達成している(※9月20日時点。全てBOX OFFICE MOJO調べ)。公開初日には「TENET」がTwitterでもトレンド入り。SNS上では「1ミリも理解できないけど、切なすぎて号泣」「今すぐ、誰か話そうよ!」「後、10回はテネってくる」「普通の映画には戻れない」といった、内容に関わるコメント以上に、困惑しながらも、興奮するコメントが続々。上映後には、立ち話で答え合わせをしている人たちが数多く目撃されている。そしてこの度、IMAX(R)特別映像が解禁。常に最高の映画体験を提供することを目指すノーラン監督は、本作で世界7か国を舞台に70ミリフィルムのIMAX(R)カメラで、ありとあらゆる“本物”を撮影し、最高レベルの映像を作り上げている。IMAX(R)の臨場感、没入感を最大限に発揮するために、本作では本物のジェット飛行機を建物に激突させ、8キロに及ぶ高速道路を3週間封鎖してカーアクションを繰り広げるなど、想像を上回る大規模な撮影を敢行している。解禁された特別映像でノーラン監督は、「IMAX(R)はとてつもない力で、観客をストーリーに引き込みます。ストーリーを追体験し、『TENET テネット』の世界に極限まで没入できます」と自信を見せる。本作で使用されたIMAX(R)カメラの数も、撮影時間も過去最多。現在、38スクリーンのIMAX(R)上映は興行全体の24%を占め、チケットも入手困難な状況が続いている。さらに、本作には『シン・ゴジラ』の樋口真嗣監督のほか、ノーラン監督の大ファンである俳優の岩田剛典、ミュージシャンのGACKT、お笑い芸人のカズレーザー(メイプル超合金)、大友啓史監督、伊藤智彦監督、漫画家・三部けい、ゲームディレクターのヨコオタロウ、さらに俳優・錦戸亮や賀来賢人、ミュージシャン・川上洋平(Alexandros)も劇場で鑑賞、あらゆる方面の著名人たちからも絶賛の声があがっている。『TENET テネット』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:TENET テネット 2020年9月18日より全国にて公開© 2020 W arner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved
2020年09月23日9月19日、20日の全国映画動員ランキングは、クリストファー・ノーラン監督によるサスペンスアクション『TENET テネット』(全国362館)が初登場で首位を飾った。2018年にTVシリーズが放送され、情感溢れる世界観と美しい物語で大きな話題となった作品の劇場版『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(全国153館)は初登場2位に。公開2週目の『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』(全国364館)は先週1位から3位に。公開4週目の『事故物件 恐い間取り』(全国336館)は先週2位から4位に。公開5週目の『糸』(全国354館)は先週4位から5位になった。公開7週目の『映画ドラえもん のび太の新恐竜』(全国379館)は先週3位から6位に。公開6週目の『劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel]III.spring song』(全国193館)は先週9位から順位をあげて8位に。また公開10週目の『今日から俺は!!劇場版』(全国364館)は先週8位から10位につけている。次週は『映像研には手を出すな!』『鵞鳥湖の夜』『ヒットマンエージェント:ジュン』『マティアス&マキシム』『ミッドナイトスワン』『リアム・ギャラガー:アズ・イット・ワズ』などが封切られる。全国映画動員ランキングトップ10(興行通信社調べ)1位『TENET テネット』2位『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』3位『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』4位『事故物件 恐い間取り』5位『糸』6位『映画ドラえもん のび太の新恐竜』7位『窮鼠はチーズの夢を見る』8位『劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel]III.spring song』9位『BREAK THE SILENCE: THE MOVIE』10位『今日から俺は!!劇場版』
2020年09月23日「映画とは映画館で見るもののこと」を主義とするクリストファー・ノーランが、言葉だけでなく行動でその精神を示した。L.A.ではまだ映画館の再オープンが許されていないが、2週間前にお隣のオレンジ郡ではゴーサインが出たことを受け、彼と妻のエマ・トーマスは、観客として、もう2回も足を運んだようなのだ。彼らが訪れたのはアーヴァインのリーガルシネマ。観賞したのは自分の映画『TENET テネット』ではなく、ほかに公開された数少ない映画である『Broken Hearts Gallery』と『The Personal History of David Copperfield』だったらしい。リーガルシネマはその写真を誇らしげにツイートしている。カリフォルニアでは、コロナの感染拡大状況の基準が4段階に分かれており、L.A.は未だ一番酷い段階にある。ひとつ上の段階に上がれば、映画館は定員の25パーセントを上限に経営を再開していいが、その段階の基準を3週間連続で満たし続けるまで、ステップアップはできない。つまり、今すぐに基準を満たしたとしても、L.A.では10月半ばまで映画館はクローズしていることになる。文=猿渡由紀
2020年09月17日「全世界待望」という言葉がこれほど似合う映画は、ほかにないだろう。世界的ヒットメイカーであり、観る者を熱狂させる作家性を有した超一流クリエイターでもある、クリストファー・ノーラン監督の新作『TENET テネット』(9月18日公開)。8月26日から41の国と地域で公開された本作は、世界興行収入5,300万ドルのオープニングを記録。コロナ禍にあっても、他の追随を許さない圧倒的な強さを見せつけ、各国で初登場No.1を獲得した。本作の大枠は「世界の破滅を回避すべく、スパイが奔走する」物語なのだが、そこに「時間の魔術師」なノーラン監督らしい「時間の逆行」という要素を入れ込み、映像的にも物語としても、これまで観たことがない内容に。歴史的な傑作と呼ぶにふさわしい、驚異的な作品に仕上がっている。今回は、ノーラン監督と主演を務めたジョン・デイビット・ワシントンの2人にインタビュー。予定時間を超過しても、作品の魅力や舞台裏を饒舌に語りつくしてくれたノーラン監督とワシントンの言葉を、余すことなくお届けする。“時間”は「世界の見方を変える」――『TENET テネット』、読解力を総動員しなければ太刀打ちできない傑作かと思います。同時に、監督の「観客の理解力を信じる」姿勢を強く感じました。ノーラン:常々、映画は誠実に作っていきたいと思っています。ではその誠実さとは何なのか?それは「自分が観たいものじゃないと作りたくない」なんです(笑)。そして、「きっと、私が観たいと思う映画を楽しんでくれる人がいるに違いない」という信念はありますね。自分だったら何を期待するのか?ワクワクしたいし、現実逃避がしたい。今までに見たことのない世界を見たいし、やっぱりエンターテイメントがいい。プラス、世界に対する見方がちょっと変わるかもしれないもの、あれこれ考えたくなるものが観たいんです。――今回は、ノーラン監督がこれまで描いてきた「時間」というテーマがより複雑化していますが、『TENET テネット』における時間の意味合いとは?ノーラン:「時間」はこれまではメタファーであったり、話を円滑に進めるデバイス的な役割を果たすものとして、使ってきました。『TENET テネット』では、「世界の見方を変える」意味合いとして用いています。――「逆行」は、まさに観たことがないものでした。ノーラン:映画の中ではいろんな物理学の法則が出てきて、「すべてはシンメトリーだけれど、エントロピー(熱力学における、複雑さを表す概念の1つ)だけは例外である」と描いていますが、「逆行」の部分に代表されるように、「時間」というものを物理的な次元に落とし込んで、リアルに画面の中で見せていかなければいけませんでした。逆行をどうCGを使わずに表現するか……役者にも不自然な動きをしてもらわなければならないわけですし、演出的にも技術的にも工夫を凝らしましたね。例えばカーチェイスのシーンなどは、1つのショットを作り上げるのに6通りの撮り方を試しました。その6パターンの映像を編集でつなぎ合わせて、作り上げているんです。毎シーン毎シーン、計算して組み立てて、試行錯誤の連続でしたね。役者とのやり取りや演出「監督はすごく楽しそう」――ジョン・デイビット・ワシントンさんは、こういった非常に難易度の高い作品に出演するにあたり、どんな準備をされたのでしょう?劇中では、ほとんど主人公の過去が明かされませんが…。デイビット・ワシントン:おっしゃる通り、色々と解釈の余地のあるキャラクターなので「この人はどういう歴史を背負っているのか?」は、あれこれ考えましたね。役作りにおいては、海軍やネイビーシールズ(アメリカ海軍の特殊部隊)、武器の使い方などについてリサーチを行いました。もう1つ考えたのは、あのクリストファー・ノーランの作品だから、ものすごいスケール感があって、ジャンルもストーリーも、撮影技術的にも、ひとひねり加えた素晴らしいものになるだろう…という前提。ただ僕としては、そういう超大作の中に、ある1人の“人間”をしっかりと据えるんだ、という意識がありました。脚本を読んで、下調べをしていく中で、この主人公は実に人間らしい人物だと感じられたんです。人によっては、彼の行動を“落ち度”と見るかもしれないけれど、その脆弱性こそが彼の力だと解釈しました。――なるほど、人間らしさがキーワードだったんですね。デイビット・ワシントン:他には…トレーニングが大変でした(笑)。2か月半ほど体作りに費やしましたね。ただ、形から入ったことで、「この人はこういう男で、こういうことができる」というのが体で分かってくるようになったんです。トレーニングの中で「なぜこの人は戦うのか?」という部分の理解が深まり、役作りに追加していきました。あと、もう1つ。ノーラン監督は、僕をパートナーとして見てくれて、一緒にものづくりをしよう、と接してくれるんです。監督がいつも「直感を信じて、やりたいようにやったらいいから」と言ってくれたおかげで、安心して感じるままに演じられました。――「逆行」するアクションも、すさまじかったです。デイビット・ワシントン:今回は、体に染みついた動きを“脱・学習”して、今までに体験したことがない身のこなしを新たに習得する必要がありました。まばたきや呼吸、喋り方ひとつにしても、全部学び直さないといけない難しさがありましたね。リハーサルも相当数を重ねました。まるでダンスの振り付けを覚えるような感覚でした。今まで映画ではなされなかったことが初めて行われた現場でしたし、スタントコーディネーターのジョージ・コトルの力なしにはできなかったと思います。――そのほか、ノーラン組に参加して印象的だった思い出はありますか?デイビット・ワシントン:びっくりしたのは、監督は悪天候だとテンションが上がるんですよ。雨がザーザー降っていてもやる気満々だし、逆にデンマークの風力発電所での撮影で快晴だった時には全然喜んでいなくて…。次の日大荒れになったら、「やったぞ」という感じでした(笑)。ノーラン:(笑)。デイビット・ワシントン:あとやっぱり、役者とのやり取りや演出をつけるとき、すごく楽しそうですね。例えば会話の中で、「ブルース・ウェイン風にやってみよう」とか、色々遊んでくれるんです。共演者のお話をすると、ケネス・ブラナーの姿を見て、自分は俳優としてはまだまだだな…と思いました。彼は本作でロシアなまりの英語を話しているんですが、それに加えてこの映画特有の話し方もこなしていて、しかもシェイクスピア劇みたいに朗々と語っている。僕はなまりなしのアメリカ英語で精一杯だったので、さすが名優中の名優だ!と感嘆させられました。斬新なアイデアは「あれこれ考えてきたことが収れんした形」――ジョン・デイビット・ワシントンさんの役作りについて伺ってきましたが、ノーラン監督はどういったものから、『TENET テネット』のアイデアを思いつかれたのですか?ノーラン:これは『インセプション』もそうなんですが、あれこれ考えてきたことが収れんして形になっていった感じですね。自分が送っている日々の生活や、その中で見聞きしていること、私自身がどんどん年を取ってきているという事実などが積み重なって、「そろそろこのコンセプトを映像に落とし込んでもいいかな」という時期がやってくるんです。そういう意味では、何か一つがヒントになるというよりも、長年抱えている思いだったり、温めて続けてきたコンセプトなんですよね。――ありがとうございます。『インターステラー』に続く、物理学者キップ・ソーンさんとのコラボレーションはいかがでしたか?ノーラン:彼の話を聞いていていると、「世の中は、いま目に見えている可能性よりもさらに“何か”を提供してくれるものなんだ、もっともっと様々なことがありうるんだ」ということに気づくんです。フィクションよりも気になる真実を、教えてくれる。『TENET テネット』に関して言うと、先ほど申しあげた物理の法則について相談に乗ってもらいました。「世の中のあまねく物理の法則はシンメトリーだけど、唯一の例外がエントロピーの法則だ」という部分です。キップ・ソーンは、「時間が逆行するとなると、人は普通に呼吸できない」とか、事細かに説明してくれました。彼にもらったアイデアは、実際の脚本にも盛り込んであります。もう1つキップ・ソーンの素晴らしい点を挙げると、私たちよりも遥かに頭脳明晰なのにも関わらず、我々の「どういうことを映画でやりたいのか」をちゃんと聞いてくれて、落とし込んでくれるところ。だからこそ彼は、偉大な学者なんだと思います。(SYO)■関連作品:TENET テネット 2020年9月18日より全国にて公開© 2020 W arner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved
2020年09月15日2017年にクリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』で俳優デビューを飾ったハリー・スタイルズが、再び俳優業に挑戦する。オリヴィア・ワイルドが監督&製作する『Don’t Worry Darling』(原題)への出演が決定。ハリーが演じる役は、当初はシャイア・ラブーフに決まっていたが、シャイアがスケジュールの都合で降板したのだという。同作の関係者が「The Wrap」に語った。共演はクリス・パイン、オリヴィア、フローレンス・ピューに加え、ダコタ・ジョンソンも出演交渉中であることが5月に伝えられている。『Don’t Worry Darling』は、1950年代のカリフォルニアの砂漠地帯にある孤立した理想郷を舞台としたサイコスリラー。オリヴィアにとって大好評だった長編監督デビュー作『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』の次に監督する作品とあって、注目を集めている。脚本は『ブックスマート』でオリヴィアとタッグを組んだケイティ・シルバーマン。ハリーは3年ぶりの映画出演となるが、昨年はディズニー実写版『人魚姫』のエリック王子役を辞退したことや、エルヴィス・プレスリーの伝記映画のオーディションに参加した(エルヴィス役はオースティン・バトラーに決定)などの情報が報じられていた。(Hiromi Kaku)
2020年09月14日クリストファー・ノーラン監督がその唯一無二の映像表現をさらに進化させたタイムサスペンス超大作『TENET テネット』。この度、貴重なメイキング映像とともに、主人公を演じたジョン・デイビッド・ワシントンら4人のキャストが自身の役について語るキャラクター映像が解禁された。8月26日(金)には41の国と地域で公開され、各国で初登場No.1スタート。さらに9月3日(木)から全米公開を迎えると、劇場のオープンが通常の65~70%でありながら、9月4日(金)~9月6日(日)3日間の週末興行収入は2,020万ドルのオープニング記録を達成。全世界の累計では興行収入は1億5200万ドルを超え、「観客を映画館に連れ戻した」と海外メディアが伝えている。そんな中、今回解禁されたのは、主人公・名もなき男(ジョン・デイビッド・ワシントン)と、彼の相棒であるニール(ロバート・パティンソン)、過去と未来を繋ぐブローカーである武器商人のセイター(ケネス・ブラナー)、そしてセイターの妻であり、彼の秘密を知るキャット(エリザベス・デビッキ)、4人の特別映像。「TENET(テネット)」という謎のキーワードをはじめ、様々な秘密のベールに包まれた物語と観客を繋ぐ重要な役割を担う“名もなき男”は、米海軍特殊部隊出身で武器に関して熟達しており、至近距離での戦いが得意な人物。強靭な肉体を持ち、驚異の身体能力を持つ名もなき男だが、激しいアクションはジョン・デイビッド自ら演じ、その過酷な練習風景が切り取られている。突如として国家を揺るがす任務に巻き込まれた彼に待ち受ける運命とは…?そして、名もなき男の相棒として世界各国を旅する優秀なエージェント、ニールの映像では飛行機を爆発させる大胆なプランを話すシーンが登場。時間が逆行する異様な世界でも、冷静な彼のキャラクターが垣間見える。ニールが発案した驚くべき作戦とは!?ロシアの富豪であり、裏の顔は武器商人のセイターは、彼を演じたケネス・ブラナーが「人々をダークサイドに追いやるような強烈な人物」と語るキャラクター。過去と未来を繋ぐブローカーである彼を発端に人類滅亡が企てられるが、彼の本当の目的とその動機は一体何なのか!?そして、セイターの妻であり、一児の母であるキャットはエリザベス・デビッキ曰く「とても知的な人物」だという。セイターの秘密を知っており、彼から離れたいと願いつつも離れられないその理由とは…?「TENET(テネット)」の謎をめぐり翻弄される人物たちにも注目。『TENET テネット』は9月18日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:TENET テネット 2020年9月18日より全国にて公開© 2020 W arner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved
2020年09月11日『TENET テネット』が、アメリカで初週末2,000万ドルを売り上げた。クリストファー・ノーランのキャリアにおいては低い数字だが、現在、アメリカでは、6割ほどしか映画館が再オープンしていない。L.A.、ニューヨークなどの主要都市でも再開が許されておらず、普段と比べることは不可能だ。さらに、開いている映画館も、感染予防対策のため、定員を大きく絞っているという事実もある。この後に予定されていた多くの作品が公開を延期していることもあり、通常よりも長い間、劇場でかけられることになりそうである。シネマスコア社による観客の評価は、B。9月4日に公開された中国でも好調で、ノーランの作品としては過去最大の売り上げを達成した。日本公開は9月18日(金)。文=猿渡由紀『TENET テネット』9月18日(金)公開
2020年09月07日