『ダークナイト』、『ダンケルク』のクリストファー・ノーラン監督が、映画業界への貢献が認められ、大英帝国勲章(CBE)を受章した。「映画とフィルム・カルチャーの重要性を熱心に主張してきたので、映画がこのような形で評価され、栄誉を受けるというのは私にとってとてもうれしいことです」と喜びを語った。木曜日(現地時間)、バッキンガム宮殿でのセレモニーに、家族と出席したノーラン監督。CBEを受章すると聞いた家族の反応は、「とんでもなく興奮していた」とのこと。「多分、それだけ喜んだのは、バッキンガム宮殿に入ることができて、いろいろ見られるからじゃないかな」と推測する。ウィリアム王子から勲章を授与されたノーラン監督は、セレモニーの前にウィリアム王子とちょっとした歓談の時間を持ったという。「ウィリアム王子は映画愛を語り、私に『なにか新しい作品を作っていますか』とお尋ねになったので、私は『ある作品を撮り終えて、いまは編集中なんです』とお答えしました」と語った。その作品とは、ロバート・パティンソンやケネス・ブラナーが出演する『Tenet』(原題)で、木曜日に予告編が公開されたばかり。本編の公開は2020年7月に予定している。(日本公開は2020年9月)(Hiromi Kaku)
2019年12月20日クリストファー ケイン(CHRISTOPHER KANE)がロンドンで2020年春夏コレクションを発表した。
2019年09月27日クリストファー・ノーランの次回作のタイトルが、『Tenet』だとわかった。ワーナー・ブラザースが、アメリカ時間水曜日に発表した。主演は『ブラック・クランズマン』で高い評価を得たジョン・デビッド・ワシントン。ほかに、ロバート・パティンソン、アーロン・テイラー=ジョンソン、マイケル・ケイン、ケネス・ブラナー、エリザベス・デベッキらが出演する。秘密主義のノーランにはいつものことだが、内容はいっさい明かされていない。撮影はすでに開始。ロケは世界7カ国で行われるという。北米公開は来年7月17日。文=猿渡由紀
2019年05月23日クリストファー・ノーラン監督による映画『TENET テネット』が、2020年9月18日(金)に公開。第93回アカデミー賞授賞式では、視覚効果賞を受賞する快挙を遂げた。クリストファー・ノーランとは?アメリカン・コミック「バットマン」の実写化『ダークナイト』3部作や、『インセプション』、『インターステラー』など、これまで数々の大作映画を世に送り出してきたクリストファー・ノーラン。斬新なアイデアと他の追随を許さないビジュアルセンス、そして徹底したリアリティへの拘りを持つ彼は、2017年公開『ダンケルク』で自身初となるアカデミー賞監督賞にもノミネートされている。3年ぶりの新作!オリジナル脚本のタイムサスペンス豪華キャストが勢ぞろい前作より3年ぶりとなる『TENET テネット』は、『インターステラー』(2014)以来、ノーランがオリジナル脚本で描くタイムサスペンス。主演に『ブラック・クランズマン』で映画単独初主演を果たしたジョン・デビィッド・ワシントンを迎えるほか、『ハリー・ポッター』シリーズの出演や、2021年公開予定の『The Batman(原題)』で新バットマンを務めるロバート・パティンソン、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』のエリザベス・デビッキらがキャストとして参加。さらに前作『ダンケルク』に続き、マイケル・ケイン、ケネス・ブラナーら実力派俳優が共演に名を連ねる。主人公は“名もなき男”気になるキャラクター情報名もなき男(ジョン・デイビット・ワシントン):あるテロ事件に特殊部隊として参加したことから、第三次世界大戦を防ぐための謎のキーワード「TENET」を巡るミッションに巻き込まれる。ニール(ロバート・パティンソン):名もなき男の相棒。世界各国で任務遂行を手助けする優秀なエージェント。キャット(エリザベス・デビッキ):セイターの妻で一児の母。セイターの秘密を握る。アンドレイ・セイター(ケネス・ブラナー):富を一代で築いたロシアの財閥。未来と現在を繋ぐ役割を持つ謎の悪人。マイケル・クロズビー卿(マイケル・ケイン):英国情報部の重要人物。名もなき男に、セイターの情報を教え援助をする。ストーリーミッション:〈時間〉から脱出して、世界を救え――。名もなき男は、突然あるミッションを命じられた。それは、時間のルールから脱出し、第三次世界大戦から人類を救えというもの。キーワードは〈TENET テネット〉。名もなき男は、相棒と共に任務を遂行し、大いなる謎を解き明かす事が出来るのか?!ヒミツの暗号“TENET テネット”予告動画には、秘密裏に活動するエージェントたちの存在が映し出されている。敵も味方も分からない状況の中で、生還する鍵となるのは、タイトルにも起用された“TENET テネット”と呼ばれる謎の暗号。そして最後「これから起きる」と言い放つ男の前に空間が反転し時間の逆回転が…!時間と空間を巧みに操るクリストファー・ノーランならではの、予測不能な世界が待ち構えているようだ。古代ラテン語の回文に着想?そもそも<TENET(テネット)>とは、信条、主義、原則を意味するワード。ネット上では、「SATOR式」と呼ばれる1世紀中頃に確認されているラテン語の回文“SATOR AREPO TENET OPERA ROTAS(農夫のアレポ氏は馬鋤きを曳いて仕事をする)”と関係があるのでは?と騒がれている。この回文は、正方形の方陣にセットすると四方から同様に読むことができ、中央の「TENET」だけは上下左右のどこからでも「TENET」の文字が現れる仕組み。果たして、未来を握るこの単語に託された謎とは一体…?“一番クレイジーな作品”なお出演者のロバート・パティンソンは、『TENET テネット』について「長年見てきた中で、一番クレイジーな作品。」とコメント。今後アップデート情報を随時追加していくので、ファンの人は是非こまめにチェックしてほしい。公式完全読本「メイキング・オブ・TENET テネット」同時発売!映画公開日には、制作の舞台裏を完全網羅した、公式完全読本「メイキング・オブ・TENET テネット クリストファー・ノーランの制作現場」も同時発売。常識を覆す、未知なる映像を完成させた制作秘話を、膨大なメイキング写真と共に、クリストファー・ノーラン監督、撮影監督のホイテ·ヴァン·ホイテマ、美術監督のネイサン·クローリーによる詳細な解説によって解き明かされる。さらに、本書には人物設定に基づいた緻密な衣裳デザインや世界中のロケ地についての解説、動きを図解した設計図も掲載。鬼才クリストファー・ノーランの頭の中をのぞき見できる、ボリュームたっぷりのフルカラー156ページとなっている。【詳細】『TENET テネット』公開日:2020年9月18日(金)監督:クリストファー・ノーラン脚本:クリストファー・ノーラン出演:ジョン・デイビッド・ワシントン、ロバート・パティンソン、エリザベス・デビッキ、ディンプル・カパディア、アーロン・テイラー=ジョンソン、クレマンス・ポエジー、マイケル・ケイン、ケネス・ブラナー製作総指揮:トーマス・ハイスリップ製作:エマ・トーマス配給:ワーナー・ブラザース映画■『メイキング・オブ・TENET テネット クリストファー・ノーランの制作現場』B4 横変型判/156 ページ(フルカラー) 6,000 円+税著者:ジェイムズ・モトラム翻訳:富原まさ江監修:神武団四郎
2019年01月31日普及の名作「クリスマス・キャロル」の誕生秘話を描いた感動ファンタジー『Merry Christmas!~ロンドンに奇跡を起こした男~』。この度、クリストファー・プラマーと幽霊とのコミカルなやりとりが収められた本編映像がシネマカフェに到着した。170年以上に渡って愛され続け、映画化もされた「クリスマス・キャロル」の物語がいかにして誕生したのか、その創作過程とチャールズ・ディケンズの心の旅を、お馴染みのキャラクター・スクルージとの出会いを交えながら、ユニークかつファンタジー感たっぷりに描いた本作。今回到着した映像では、「クリスマス・キャロル」の主人公・スクルージを導く物語の重要なカギとなる“3人の幽霊”が登場。「クリスマス・キャロル」ではそれぞれ、過去・現在・未来を司どり、ひねくれ者のスクルージを善良な人間へと導くべく、クリスマスの夜に現れる。過去の幽霊はスクルージに彼がまだ若く希望があったときの姿を、現在の幽霊はスクルージの元で働く従業員の貧しくも温かな家庭を、未来の幽霊はスクルージの人生の行く末を提示する…。本作にももちろん登場するこの3人。映像ではまず、過去の幽霊がディケンズ(ダン・スティーヴンス)とスクルージ(クリストファー・プラマー)の前に現れ、スクルージを過去へ誘おうとするも反抗。代わりにディケンズが過去へ送られることになるシーンが公開。続いて、ディケンズがメイドのタラと子どもたちに試作品を読み聞かせることで、スクルージの前に出現する現在の幽霊。“豊かさと優しさ”を象徴するこの幽霊は、スクルージの会社の従業員クラチット家の食卓を見せ、病気の子どもがいることを知らせるのだ。そして最後に、未来の幽霊が登場。過去・現在とは全く違った雰囲気の幽霊が見せるものとは…。幽霊たちに口ごたえしたり、絶妙なツッコミを入れたり、コミカルなやり取りに注目だ。『Merry Christmas!~ロンドンに奇跡を起こした男~』は11月30日(金)より新宿バルト9ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:Merry Christmas!~ロンドンに奇跡を起こした男~ 2018年11月30日より新宿バルト9ほか全国にて公開©BAH HUMBUG FILMS INC & PARRALLEL FILMS (TMWIC) LTD 2017
2018年11月28日映画『宵闇真珠』が、2018年12月15日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国の劇場にて順次公開される。クリストファー・ドイル監督作、奇病に侵された少女と異邦人の出会いの物語香港最後の漁村である珠明村を舞台にした本作は、奇病に侵された16歳の少女が、村を訪れたある異邦人との出会いをきっかけに、世界を知っていく物語。監督を務めたのは、映画史に燦然と輝く傑作を多数撮ってきた撮影監督のクリストファー・ドイルだ。その仕事で特に有名なのは、90年代に香港映画ブームの火付け役となった名匠ウォン・カーウァイとのタッグ。独特の色彩をはじめとする唯一無二の映像美にファンの多いウォン・カーウァイ作品の中で、『恋する惑星』『花様年華』といった名作の数々の撮影を手がけている。繊細なカメラワークと色彩美が誘う郷愁夕暮れの洞穴や廃墟で神々しい輝きを見せる少女の白い肌、言葉の通じない異邦人との出会いを通して目覚める少女の自我、時が止まったような村と巨大建造物が織りなすコントラスト。ガス・ヴァン・サント、ジム・ジャームッシュ、アレハンドロ・ホドロフスキーといった数々の名監督と仕事を共にしてきたドイルが、本作でも香港最後の漁村をフォトジェニックな風景として捉え、繊細なカメラワークと色彩美で観客の郷愁を誘う。主演オダギリジョー×アンジェラ・ユン日光を浴びるとやせ細ってしまうという奇病に侵されたヒロインを演じるのは、知性と美貌を併せ持つ次世代のアジアンビューティー、アンジェラ・ユン。そして、その少女と出会う異邦人役を、ワールドワイドに活躍する日本の実力派俳優、オダギリジョーが務める。あらすじ陽に当たることのできない少女、どこからともなくやってきた異邦の男。それは、本当の居場所、本当の自分に気づかせてくれた唯一無二の出会い。香港最後の漁村、珠明村。幼少時から日光にあたるとやせ細って死んでしまう病気だと言い聞かせられ、太陽から肌を隠して生活する16歳の少女は、透き通るような白い肌の持ち主。村人たちからは「幽霊」と呼ばれ、気味悪がられている。日没後、肌を露出し、お気に入りの音楽をお気に入りの場所で楽しむことが、少女にとって唯一孤独を癒やす手段だった。ある日、どこからともなくやってきた異邦の男と出会った少女は、今まで知ることのなかった自身のルーツに触れていくことになるのだが…。作品情報映画『宵闇真珠』公開日:2018年12月15日(土)出演:オダギリジョー、アンジェラ・ユン監督:ジェニー・シュン監督&撮影:クリストファー・ドイル(『エンドレス・ポエトリー』)原題:白色女孩英題:THE WHITE GIRL
2018年10月15日「ワン・ダイレクション」のメンバーから、ハリー・スタイルに続いてリアム・ペインが俳優デビューを果たすかもしれない。ハリーのデビュー作がクリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』だったのに対し、リアムの出演の可能性が高まっているのはスティーヴン・スピルバーグ監督がメガホンをとるリメイク版『ウエスト・サイド物語』。関係者が「The Sun」紙に、「リアムは製作陣からアプローチを受けました。自分が候補になっているという、思いがけないことに喜んでいます」と語っている。「スピルバーグ監督と仕事をするチャンスは、将来性を高めることであり、断る理由がない」と意欲を見せているようだ。キャスティングエージェントは、「15歳から25歳までの踊れる歌手で、セリフも読める人材」を求めていたという。リアムが候補に挙がっているキャラクターは、非行グループ「ジェット団」の一員だとのことで、リーダーのトニーまたはリフという主役級の可能性も。今年7月、3年交際していたシェリルとの破局が報じられたばかりのリアム。俳優業への挑戦は心機一転で取り組める一大プロジェクトになりそうだ。(Hiromi Kaku)
2018年09月26日俳優の堺雅人が、人気キャラクター「くまのプーさん」初の実写映画『プーと大人になった僕』(9月14日公開)で、ユアン・マクレガー演じる主人公クリストファー・ロビンの吹替声優を務めることが6日、明らかになった。同作は、プーと大親友の少年クリストファー・ロビンが「100歳になっても、きみのことは絶対に忘れない」と約束を交わした心に残る別れの後、大人になりロンドンで暮らすクリストファー・ロビンとプーの奇跡の再会からはじまる感動の物語。このたび、“プーさんの大親友”クリストファー・ロビンの吹替声優を堺雅人が務めることが決定。堺が実写映画の吹替を担当するのは今作が初めてとなる。オファーを受けたことについて、堺は「実写の吹替は今回がはじめてですが、いつか挑戦してみたいと思っていたので、オファーをいただき、とてもうれしかったです。ユアン・マクレガーさんという、素晴らしい俳優の声を担当できて光栄でした。撮影の日をドキドキしながら待っていました」とコメント。収録は「ユアンさんのお芝居に導かれるような感じで、とても楽しい作業でした。アニメーションの声優は何度か経験があるのですが、実写だと、英語のお芝居にあわせるので、思ったまま演じると平板になってしまうと(吹替版の演出家の)監督から指摘をうけました。そこがなかなか難しかったですね」と語る。そして、プーさんについて「いろんなことを考えさせられます。『今日が一番大事』とか『今日が一番好き』とか、お坊さんのありがたい話を聞いてるみたい。プーさんはあなどれません。演じていて、考えされられるセリフが、 いくつもありました」と話し、物語のきっかけとなる「再会」について聞かれると「子供の相手をしていると、自分が小さい頃何をして遊んでいたのか思い出すことが多くて、こういうおもちゃ好きだったなとか、 粘土遊び好きだったなとか。そのようなことを思い出すと、自分の小さい頃と再会しているような不思議な気持ちになります」と打ち明けた。さらに、家族をもってから仕事との向き合い方に変化はあったかという問いに、「自分が変わったと思うことはないんですが、今回、この作品の台本に子供がクレヨンでものすごい落書きをしてしまったんです。 いつもだと怒ってしまうと思うんですが、今回むしろうれしかった。ちょっと変わったのかもしれません」とコメントしている。また、日本語吹替版では、プーさん役をかぬか光明、ティガー役を玄田哲章、イーヨー役を石塚勇、ピグレット役を小形満が務める。(C)2018 Disney Enterprises, Inc.
2018年08月07日バーバリー(BURBERRY)が2月17日、2018 February コレクションをロンドン西部のディムコ・ビルディングで発表した。今シーズンが、17年間バーバリーを牽引してきたクリストファー・ベイリー(Christopher Bailey)による最後のファイナルショーである。ショーは、アジョワ・アボワー(Adwoa Aboah)のキャットウォークで幕を開け、カーラ・デルヴィーニュ(Cara Delevingne)によって締めくくらた。そのほかにも、今までバーバリーでキャンペーンモデルを務めてきた歴代モデルが多数登場。またゲストとしてもケイト・モス(Kate Moss)、ナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)、アイリス・ロウ(Iris Law)、ダンサーの菅原小春など1,300人以上の来場者が世界各国から駆けつけた。コレクションのテーマは、“過去を振り返り、現在に喜びを見出し、そして未来へ向かう”意味を込めた「Time」。バーバリーの様々な時代を象徴するロゴ、柄、素材やテクニックを再解釈し、80年代や90年代のアーカイブに記録されていたアイテムが刷新された。また、「LGBTQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、ジェンダークィア)+コミュニティー」へのサポートを表し、レインボーカラーもコレクションの様々なアイテムに落とし込まれている。バーバリーのアイコニックなチェック柄にレインボーを組み合わせた「ヴィンテージ レインボーチェック」も初登場。英国発のアーティスト集団ユナイテッド・ビジュアル・アーティスツ(United Visual Artists)の「Our Time」という時間の経過を表現した音と照明のショー演出で、フィナーレは全員がレーザーライトによるレインボーのスペクトラムの中を歩いた。2月21日から、伊勢丹新宿店本館1階=ザ・ステージでは初となるバーバリーのポップアップストア「BURBERRY SPRING 2018 COLLECTION POP-UP STORE」がオープンする。「ヴィンテージ レインボーチェック」を用いたアイテムなどランウェイにも登場した「February カプセルコレクション」が、伊勢丹新宿店先行発売アイテムなどを含め豊富なラインアップで登場。さらに、60年代から90年代を中心に製造されたバーバリーのヴィンテージコートをイングランドで修復した、一点ものの「リストア ヴィンテージ」限定65着も伊勢丹新宿店限定として発売される。会期は27日まで。
2018年02月20日『007』最新作で引き続きダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドを演じることに決定してから早半年。いまだに監督の名が発表されていない。前々作、前作と2作に渡って監督を務めたサム・メンデスの続投はないことが確実視されている中、メディアやファンが最有力候補と見ているのがクリストファー・ノーラン監督だ。先日、イギリスのBBC Radio 4の番組「Desert Island Discs」に出演したノーラン監督は、「(『Bond 25』を監督するのは)ぼくじゃない。きっぱりと言えるよ」と断言。「新しい監督を雇うってことになると、いつもぼくの名前がうわさされるんだ。いつかはボンドの映画を撮ってみたいと思っているけど。プロデューサーのバーバラとマイケル、それにサム・メンデスは素晴らしい作品を作ったよね。だから、彼らは特にぼくのことを必要とはしていないんじゃないかな」。完全否定しておきながらボンド役続投となったダニエルの例もあることから、ノーラン監督の発言の信憑性が気になるところだ。ノーラン監督は最後に、「ボンド映画にはずっと刺激を受けてきたし、本当にいつか監督してみたいよ」と製作陣にラブコールを送った。(Hiromi Kaku)
2018年02月19日今年、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」でヒロイン・有村架純の相手役ヒデを好演し、一躍人気者となった若手俳優・磯村勇斗が、クリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』ブルーレイ&DVDリリース/デジタル配信を記念したスぺシャルトーク付き試写会に登壇した。この日、東京・スペースFS汐留にて行われた試写会には、ノーラン監督の大ファンという磯村さんとMCの映画コメンテーター・有村昆が登壇。まず、有村さんは今年400本以上観た映画作品の中で、本作が文句なしの2017年ナンバーワンと大絶賛。また、新鋭の英国若手俳優がメインキャストに大抜擢され話題を呼んだ本作にちなみ、「ひよっこ」への出演などで今年ブレイクした磯村さんが登場すると、会場は一気に熱気に包まれ、黄色い声優が飛び交うなど、その人気ぶりをみせつけた。世界でもっとも次回作を期待される天才、クリストファー・ノーラン監督が初めて実話に挑んだ緊迫のサバイバル・アクションとなる本作。世界60か国以上で初登場第1位を獲得し、日本でも週末興行ランキングで初登場&2週連続第1位の大ヒットを記録。国内外の批評家・観客からの高い評価を集め、本年度アカデミー賞最有力と注目を集めている。そんなノーラン監督の大ファンという磯村さんは、本作を観た感想をきかれると「音からもスリルが伝わってきて、戦場に降り立ったような恐怖を不協和音でうまく表現していて、観るだけではなく、体験できる作品!あと実写をこだわり抜いているところや、時系列も上手く計算された撮影方法は、さすがノーラン!」と熱弁。さらに、「ノーランのように実写でしか映像に現れない演出や感動がある」と監督のこだわりを絶賛する有村さんから、「ノーランから声がかかったら、俳優としてはテンションあがる?全部実写でやらなきゃいけないけど(笑)」と問われた磯村さん。「絶対テンションあがります!」と興奮気味に話し、「ブルーバックで演技したこともあるけれど、自分自身で画をイメージしなければいけないのでかなり難しいんです。でも実際の環境で演じることでリアルな表情や演技につながるので、役者としてはノーランのような手法はやりやすいと思う」と俳優ならではの視点で語ってくれた。また本作では、フィン・ホワイドヘッド、ハリー・スタイルズなど演技経験の少ない若手俳優が抜擢されていることについて、磯村さんはまったく感じなかったといい、そんな彼らを「兵士にみえるように演出するノーラン監督は本当にすごいですね」とノーランの演出方法も絶賛した。そして、今年大活躍となった磯村さんは、2017年をふり返り「『ひよっこ』への出演で人生が大きく変わった。今年経験したことを2018年は活かして、より成長していきたい」と力強くコメント。「今年1年を漢字一文字で表すと?」と聞かれると「進化・進むの“進”!」と答え、「『ひよっこ』に出演したことでやっと、目次から1ページ進むことができた。『ひよっこ』にかけるとしたら羽が生えてやっと歩けるようになった感じですね」と嬉しそうに話した。最後に改めて「映画は観るスタンスだったけど、『ダンケルク』を通して、映画を体験することを知りました。ぜひ年末は『ダンケルク』という実話を知って、体験してもらい、そのスリルを味わってほしい」と、大ファンであるノーラン監督の渾身作をアピールしながらイベントを締めくくった。『ダンケルク』のブルーレイ&DVDはリリース中、デジタルレンタル配信中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ダンケルク 2017年9月9日より全国にて公開(C) 2017 Warner Bros. All Rights Reserved.
2017年12月22日クリストファー・ノーラン監督の映画『ダンケルク』が、20日から動画配信サービス・ビデオマーケットで配信を開始。同サービスでは特集ページを開設し、『インターステラー』『ダークナイト ライジング』『インセプション』『プレステージ』『バットマン ビギンズ』といった同監督作を揃えている。『ダンケルク』世界60カ国以上で初登場1位を獲得し、9月9日に公開された日本でも週末興行ランキングで初登場と2週目の連続で1位を記録。アカデミー賞の前哨戦ともいわれるゴールデングローブ賞で作品賞(ドラマ部門)、監督賞、作曲賞の3部門にノミネートされるなど、今年世間の注目を集めた。出演はフィオン・ホワイトヘッド、ハリー・スタイルズ、ケネス・ブラナー、キリアン・マーフィー、マーク・ライランス、トム・ハーディほか。ダンケルクの海岸に追い詰められた何十万人もの英仏連合軍に敵の軍勢が迫りつつある状況下で、陸海空を舞台に物語が展開する。各レビューサイトでは、Yahoo!映画が3.92点、映画.comが3.7点、フィルマークスが3.9点と高い平均値(12月20日時点/いずれも5点満点)。フィルマークスが9月11日に発表した「映画初日満足度ランキング(9月第2週)」でも4点を獲得し、『あしたは最高のはじまり』『散歩する侵略者』『三度目の殺人』を抑えて1位に。ビデオマーケットの特集ページでは、「戦争映画」コーナーも設けられ、『ハクソー・リッジ』『地上より永遠に』『ナバロンの要塞』『ジャーヘッド』『7月4日に生まれて』『フューリー』『フルメタル・ジャケット』『戦場にかける橋』『パール・ハーバー』『アメリカン・スナイパー』『スターリングラード』『史上最大の作戦』など配信中の作品がまとめられている。(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.
2017年12月20日『ダーク・ナイト』シリーズのクリストファー・ノーラン製作、『300[スリーハンドレッド]』のザック・スナイダー監督が描く新たな“スーパーマン”誕生の物語『マン・オブ・スティール』が、12月9日(土)今夜の「土曜プレミアム」でオンエアされる。1938年に誕生したアメコミヒーロー・スーパーマンは、その後アニメや実写化され、特にクリストファー・リーヴが演じたシリーズは78年~87年にかけ4作が公開され、いずれも世界的大ヒットとなった。そして2013年、これまでとイメージを一新した新たなスーパーマンがリブート。その始まりとなるのが本作となる。幼い頃から超人的な力を持つ少年、クラーク・ケントは、親との約束でその特別な力を封印し孤独な少年時代を過ごしたが、クラークを守ろうとして死んだ父の「使命を突き止めろ」という教えに導かれ放浪の旅に出て、遂に自分の真実を知る。爆発寸前の惑星クリプトンで、実の父親・ジョー=エルが生まれたばかりの彼を地球へ送り出したのだ。クラークは己の正体に葛藤する。一方、クリプトン星でクーデターを起こした罪に問われ、長年宇宙の牢獄に幽閉されていたゾッド将軍は、カル・エル=クラーク・ケントが地球に潜んでいることを知り地球に来襲。ここに人類の存亡を賭けた闘いが始まる――!新たなるクラーク・ケント役には『007』シリーズのジェームズ・ボンド役のオーディションで、ダニエル・クレイグやサム・ワーシントンと共に最終テストまで残ったというヘンリー・カビル。また地球でのケントの“父”には『ダンス・ウィズ・ウルブズ』『ボディガード』などのケヴィン・コスナー。ジョー=エルには『グラディエーター』や『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』のラッセル・クロウ。さらにエイミー・アダムス、ローレンス・フィッシュバーン、マイケル・シャノンと豪華キャスト陣が集結。本作の“続編”となる世界観を共有した作品『ジャスティス・リーグ』も現在大ヒット公開中。土曜プレミアム『マン・オブ・スティール』は12月9日(土) 21時30分~フジテレビ系でオンエア。※「東アジアE-1サッカー選手権 日本代表×北朝鮮」延長の際、放送時間繰り下げの場合あり。(笠緒)■関連作品:マン・オブ・スティール 2013年8月30日より新宿ピカデリーほか全国にて公開TM &(C) 2013 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED. TM &(C) DC COMICS
2017年12月09日クリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』でも描かれた史上最大の撤退作戦、そのさなかの秘話を1本の映画にするべく奮闘する者たちを描いた『人生はシネマティック!』。劇場公開を間近に控えた本作から、主演のジェマ・アータートン、サム・クラフリン、ビル・ナイという豪華キャストたちが、演じたキャラクターや撮影の裏話、見どころなどについてたっぷりと語るインタビュー映像がシネマカフェに到着した。執筆経験ゼロの新人女性脚本家をはじめ、映画製作に情熱を傾ける人々を、愛とユーモアあふれる視点で描き出した本作。舞台となるのは、ダンケルクの撤退の後、空爆が激しくなる第2次世界大戦下のロンドン。ヒロインのカトリンと魅力的な仲間たちは、数々のトラブルに見舞われながらも、ダンケルクを題材にした映画を完成させるため、ともに立ち向かっていく。この度到着したのは、主人公のカトリンを演じたジェマに加え、カトリンをスカウトした男性脚本家バックリー役のサムと、ベテラン俳優アンブローズ・ヒリアード役のビルのインタビュー映像。彼らはそれぞれ出演の経緯や、メガホンをとったロネ・シェルフィグ監督について、ストーリー、演じたキャラクターについて、さらにそれぞれの共演者についても余すところなく語っている。■ジェマ・アータートン「カトリンの人物像はかなり変わっているの」■サム・クラフリン「1940年代の映画制作の裏側も垣間見られるよ」■ビル・ナイ「2人の甘美なラブストーリーだよ。それ以上だ」『人生はシネマティック!』は11月11日(土)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年11月11日東野圭吾による原作を、演技のフィールドでも輝きを見せる「Hey! Say! JUMP」の山田涼介と日本映画界を代表する演技派・西田敏行で映画化する『ナミヤ雑貨店の奇蹟』。監督を務めたのは、若者を描くことに定評のある廣木隆一監督だ。これまで『余命1ヶ月の花嫁』などの大ヒット作や『PとJK』『娚の一生』などの人気コミックの映画化を手がけてきた廣木監督は、本作で初めて時空を超えたファンタジーに挑戦している。「“バットマンシリーズ”を撮ったクリストファー・ノーランの演出が好きなんです」と、廣木監督。「『ダークナイト』の有名な病院爆破のシーンがあると思うのですが、あのシーンは本当に病院を爆破してますよね。実際にビルを爆破しながら、それをファンタジーに落としてゆく。そういう演出が好きなんです。実際にリアルにとったものがファンタジーに演出できるということが、映画の持つ魅力だと思うんです。次はファンタジーのオファーがあったらそんな演出をしたいですね」と語り、アメコミ作品でありながら、リアルな撮影に徹底してこだわったノーラン監督が目標であることを明かした。その言葉を裏づけるように、本作では、監督はリアルな人間ドラマを大切にしたという。「実は、この作品が僕にとって初めてのファンタジーだったんですが、一番大事にしたことは、まずドラマありきということです。しっかりとした登場人物のドラマがあって、その上でファンタジーにしたいと思ったんです」。『余命1ヶ月の花嫁』や最新作『彼女の人生は間違いじゃない』など、恋、仕事、そして人生に悩む若者の心の機微を描くことを得意とする監督だが、初のファンタジーであっても、やはり人間ドラマを描くことが根幹にあったようだ。とはいえ、実際の撮影ではファンタジーとリアルの線引きに難しい部分があったようで、監督は「本当にファンタジックな雑貨店にするのか、それともリアルな雑貨店にするのかという選択が難しかった」と言う。「例えば、西田さんの衣装をみても、本当の雑貨屋さんはもう少し地味だと思うのですが、そこにある程度ファンタジー要素を加えることで、あのような少しだけファンシーな衣装になったんです。衣装1つをとっても、何度も話し合いをしました」と、今回のチャレンジへの苦労の一端を明かしている。廣木監督は、撮影現場で「俺のファンタジー分野が開けた!ディ○ニーからもオファーが来ちゃうかもな!」とおどけていたそうだが、今後ファンタジーのオファーが増えたら?と問われると「やる気満々ですね!」と笑顔で応じていたとか。そんな監督が描き出す、ナミヤ雑貨店から時空を超えて届く手紙の数々が、この秋、思いもよらない感動をもたらしてくれそうだ。『ナミヤ雑貨店の奇蹟』は9月23日(土・祝)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年09月22日クリストファー・ノーラン監督は、『ダンケルク』の撮影中に合成撮影をするためのグリーンバックを使用しなかったそうだ。第二次世界大戦を描いた同作だが、ノーランは同作を「リアル」に作りたかったためCGIは使わず、本物の船や爆発、飛行機などを使用したと、10日に開催されたトロント国際映画祭で話した。「あの兵士たちがまさにあの浜辺にいる時に爆発は起こるんだ。本物だよ」「グリーンバックなんかないんだ。実際にやっているんだよ」『インセプション』などCGIを駆使した作品で知られるノーランだが、「その時代の完璧な船をCGで再現することもできるけど、リアルには感じられないんだ。このような第二次世界大戦の画像には、合成やコンピューターグラフィックスの持つ緑っぽい色は合わないんだよ」と続けている。以前ノーランは、1940年にナチスの攻撃から33万人の同盟軍兵士を助け出したダンケルク大撤退を描くため、実写の映像を見たり、記録を読んだりしてリサーチを行ったと明かしていた。日本で今月9日に公開されたばかりの同作には、ケネス・ブラナーやマーク・ライランスなどのベテランに加えて、以前にもノーランの作品に出演しているキリアン・マーフィー、トム・ハーディ、さらに若手のフィオン・ホワイトヘッドやワン・ダイレクションのハリー・スタイルズなど豪華キャストがそろっている。(C)BANG Media International
2017年09月19日世界興行収入は5億ドルを突破、日本でも並みいる話題作を抑えて動員ランキング初登場首位に輝いた『ダンケルク』。才能あふれる監督クリストファー・ノーランのもとには、“ノーラン組”といえるトム・ハーディにキリアン・マーフィー、さらにベテランのケネス・ブラナー、オスカーに輝いたマーク・ライランスといった名優たちとともに、ほぼ無名の若手俳優たちが名を連ねている。ノーラン監督作品で主役級のキャストたちと肩を並べる彼らは、「ワン・ダイレクション」のハリー・スタイルズも含め、大々的なオーディションで選ばれたという。リアルを徹底的に追及するノーラン監督は「本物の“未熟さ”をもつ新人俳優を配役した」と語っており、当時、実際にあの浜辺にいた若い兵士たちと同世代のキャストを揃えた。そんな若手俳優たちが、陸・海・空で観客と同じ目線となり、生き抜くために走り、泳ぎ、耐え続ける姿は実に眩しい。これから、「ああ、あのノーランの、『ダンケルク』の」と形容されるであろう、ブレイク間違いなしの彼らに注目した。■フィオン・ホワイトヘッド【陸】トミー役ダンケルクへの案内人に大抜擢まず、主人公の陸軍兵士トミー役を演じたのが、本作が映画デビューとなる新星フィオン・ホワイトヘッド。まだ本作の情報が少ない中、ポスターに登場した際には「この子はいったい誰!?」と世界が騒然となった。ほんの1年半前まで、ロンドンのコーヒーショップで皿洗いのアルバイトをしていたという、正真正銘の新人俳優フィオン。1997年、ロンドン・リッチモンド生まれの現在20歳。芸術系の一家で、幼いころはブレイクダンスで“ブレイク”することを夢見ていたというが、13歳のとき演技に開眼。『ダンケルク』に抜擢されるまでは、アルバイトの傍らオーディションを受ける日々で、英国ITV放送のミニシリーズ「HIM」で超能力に目覚める青年役で主演を務めたのみ。だが、ノーラン監督は、『さざなみ』『ドクトル・ジバゴ』などで知られる名優トム・コートネイの“若き日”を彷彿とさせると、彼に魅了されたという。2017年は1本の舞台出演のほか、「シャーロック」のマーク・ゲイティスが監督を務めた、英国での同性愛“合法化”「Sexual Offences Act 1967」50周年を記念する短編ドラマシリーズ「Queers」に出演。ベン・ウィショー、アラン・カミングらとモノローグの1人芝居に挑み、同作は舞台上演もされた。待機作としては、「嘆きの王冠ホロウ・クラウン」『あるスキャンダルの覚え書き』のリチャード・エアー監督のもとエマ・トンプソン、スタンリー・トゥッチと共演した主演作『The Children Act』があり、現在は全編140分ワンカットの『ヴィクトリア』を撮ったドイツの鬼才ゼバスティアン・シッパー監督のもと『Caravan』(いずれも原題)を撮影中。ちょっぴりクセのある監督に好かれているようで、これからも引く手あまたとなるはず。『ダンケルク』ではココに注目!冒頭、銃撃をくぐり抜ける彼の必死の疾走から始まる本作。銃の使い方もままならない様子は、まさに年端のいかない新兵そのもの。ほとんどセリフはなくても、そんな彼の表情や佇まいが何より雄弁に壮絶さを物語る。特に注目してほしいのは、ラスト。本作が奇跡の大撤退を描いた単なる美談ではないことが、彼の一瞬の表情に凝縮されている。おそるべき新星の誕生を、私たちは目にしているのかもしれない!■ハリー・スタイルズ【陸】アレックス役世界で最も有名な新人俳優トミーと同様、ダンケルクから命からがらの脱出に挑む兵士アレックスを演じたのが、「ワン・ダイレクション(1D)」のハリー・スタイルズ。1994年、イングランド・ウスターシャー出身。「1D」はもはや説明不要だが、その解散後、5月に自身の名前を付けたソロ1stアルバムをリリースしたばかり。UK男性アーティストのデビューアルバムとしては過去最高の売り上げを記録、55か国でチャート1位に輝いている。その宣伝のために、人気番組「サタデー・ナイト・ライブ」や「レイト×2ショー with ジェームズ・コーデン」ではコントも披露していた。世界的スターではあるものの、俳優としては本作がデビュー。ノーラン監督は「彼がそれほど有名だとは知らなかった」と語っており、ハリーは実力でこの役を勝ち取った。「俳優としての仕事は『ダンケルク』が最初で最後かもしれない」なんて発言もしているが、なかなかどうして、スクリーン映えする彼の姿に「なかなかやるじゃない!」と思ったファンも多いのでは?この秋からはソロになって初めてのワールドツアーがスタート、12月と来年5月には来日もしてくれるが、しばらくは歌に専念したいよね。とはいえ、映画関係者が彼を放ってはおかないはず。『ダンケルク』ではココに注目!ハリーが演じたアレックスは、フィオン演じるトミーとは別の部隊・高地連隊(ハイランダー)に所属する。トミーと比べたら、より戦場の過酷さを知っている兵士だ。海に落ちたところをトミーに助けられ行動を共にするようになるが、廃船に彼らが身を潜めているとき、あることがきっかけでトミーと一触即発に。ハリーの熱演が光る、この船内の出来事は見逃せない。■アナイリン・バーナード 【陸】ギブソン役謎多き兵士を演じる麗しきイケメンフィオン演じるトミーがダンケルクの浜辺で出会う兵士ギブソンを演じているのは、1987年・ウェールズ生まれのアナイリン・バーナード(アノイリンとも)。12~13歳のころ『欲望という名の電車』を観て「超クール」と感激し、俳優を志すようになったとか。王立ウェールズ音楽演劇大学で学び、数々のTVシリーズや舞台、映画で活躍してきたが、『ダンケルク』は彼にとって初めてのメジャー映画となった。2010年にミュージカル「春のめざめ」で権威あるオリビエ賞を受賞。ミニー・ドライバー主演の映画『Hunky Dory』(’11/原題)でも美声を披露し、サイコスリラー『シタデル』(’12)は高い評価を得た。英国で「ハリポタ」並の人気を誇るファンタジー小説の映画化『マライアと失われた秘宝の謎』では主人公マライアを演じた。日本ではNHKで放送されたリリー・ジェームズ主演ドラマ「戦争と平和」のボリス役、Huluで配信中の「サーティン/13 誘拐事件ファイル」ティム役と、全くタイプの違うドラマで麗しいイケメンぶりを発揮しているので、ピンと来た方がいるかも。さらに『007』シリーズのスタッフが贈るサム・ライリー主演のスパイドラマ「SS-GB ナチスが戦争に勝利した世界」(AXNミステリー放送中)にも出演している。そして、『アマデウス』から20年ぶりという本格モーツァルト映画『プラハのモーツァルト誘惑のマスカレード』が12月2日(土)より日本公開に!音楽の才能も豊かな彼が演じたモーツァルトをぜひチェックしてみて。『ダンケルク』ではココに注目!トミーとアレックスと行動を共にし、何とか駆逐艦に乗ることができたギブソン。しかし、なぜか彼だけ1人、“ダンケルク飯”とSNSで話題の“ジャム塗り食パン”が待つ艦内には入らず、別行動をとる。機転が利くものの、秘密を抱えている様子の彼の動向には注目だ。■トム・グリン=カーニー【海】ピーターウエストエンドの舞台でも活躍中遊覧船ムーンストーン号で、兵士の救出のためダンケルクを目指す民間人ミスター・ドーソン(マーク・ライランス)の息子ピーターを演じている、トム・グリン=カーニー。1995年生まれの彼はロンドンのギルドホール音楽演劇学校で学び、「ピーターパン」「マクベス」などの舞台を経験、本作で映画デビューを飾った。1965年の中東を舞台にしたBBCドラマ「The Last Port」(原題)に出演するほか、現在、ウエストエンドで『007/スペクター』のサム・メンデス監督が演出する舞台「The Ferryman/フェリーマン」(ジェズ・バターワース原作)に出演中。パディ・コンシダイン主演の同作は高い評価を受けており、2018年1月までロングラン公演が決まっている。『ダンケルク』とは一転、野性的な北アイルランドの青年を演じるトムの演技にも絶賛の声が。メンデス監督はディズニー実写版『ピノキオ』を手がけるといわれており、もしかしたらトムの抜擢もあり得る!?と妄想が膨らむ。『ダンケルク』ではココに注目!小さな船の中、父を助けて懸命に働くピーターを演じるトム。ダンケルクに向かう途中で漂流していた謎の英国兵(キリアン・マーフィー)を助けるが、その兵士とのやりとり、そして終盤に彼がとった行動は涙を誘う。■バリー・コーガン【海】ジョージカンヌを沸かせた若き実力派少しでもドーソン親子の役に立ちたいと、ムーンストーン号に乗り込んだジョージを演じたのがバリー・コーガンだ。1992年、アイルランド・ダブリン生まれ。5歳のときにヘロインで母親を亡くしている。自国のTVドラマ「Love/Hate」で一躍脚光を浴び、レベッカ・デイリー監督の『Mammal』(原題)の演技で2016年アイルランド・アカデミー賞主演男優賞にノミネート。ジャック・オコンネル主演の『ベルファスト71』などに出演してきた。そして今年5月、ニコール・キッドマンやコリン・ファレルと共演した、『ロブスター』ヨルゴス・ランティモス監督の最新作『The Killing of a Sacred Deer』が第70回カンヌ国際映画祭でプレミア上映され、不気味な彼の演技も注目を集めた。カンヌではランティモス監督が脚本賞を獲得した同作は、トロント国際映画祭でも上映されており、10月からは北米、英国ほかヨーロッパ各国で公開予定。『ダンケルク』と2作品を引っさげたバリーが、賞レースに旋風を起こす可能性大!また、待機作にはエヴァン・ピータース、ブレイク・ジェンナーら共演の『American Animals』、ヒューゴ・ウィーヴィング主演『Black 47』(いずれも原題)が控えている。「ハリウッド・レポーター」誌は「カンヌで次に受賞するスター」の1人に彼を選出しており、実力派として期待される存在だ。『ダンケルク』ではココに注目!バリー自身、「僕のキャラクターはとても若くて、何が起こっているのかわかっていなかった」と語る通り、彼が演じたジョージは事情もよくわからないまま、ただならぬ雰囲気を感じて自分も何かを成したいと船に乗り込んだ。ダンケルクの大撤退の陰で起こっていた、彼をめぐる物語も必見。バリーの素朴な演技は強い印象を残している。■ジャック・ロウデン【空】コリンズ話題作が続々待機!ブレイク一番乗り!?小さな民間船ムーンストーン号に救出される英国空軍のパイロット、コリンズを演じているのが、舞台で頭角を現し、近年はドラマ・映画と幅広く活躍するジャック・ロウデン。1990年、イングランド・エセックス州で生まれ、スコットランドで育った。スコットランド王立音楽演劇アカデミーを卒業後、2010年の「ブラック・ウォッチ」リバイバル公演が話題を呼び、13年にはリチャード・エアー演出「幽霊」でオリビエ賞も受賞した。スクリーンデビューは、ブライアン・シンガー製作総指揮の『U Want Me 2 Kill Him/ユー・ウォント・ミー・トゥ・キル・ヒム』。以後、映画『ベルファスト71』ではバリーと共演、BBCドラマ「戦争と平和」ではニコライ・ロストフ役を演じてアナイリンと共演、ライランス主演の「ウルフ・ウォール」にも参加した。今後の待機作としては、レイチェル・ワイズとの共演作『否定と肯定』が12月8日(金)に日本公開!若き日の「ザ・スミス」のモリッシーを演じた主演作『England Is Mine』ではメガネ男子に(サイモン・ペッグに似てる!?)。シアーシャ・ローナンがメアリー女王、マーゴット・ロビーがエリザベス1世を演じる、撮影中の『Mary Queen of Scots』(いずれも原題)ではメアリー女王の2人目の夫ダーンリー卿を務めるなど、話題作が続々。ドウェイン・ジョンソンやニック・フロスト、レナ・へディら共演のレスリング・コメディ『Fighting with My Famiiy』も楽しみだ。『ダンケルク』ではココに注目!トム・ハーディ演じるファリアに絶大な信頼を寄せる、年下パイロット・コリンズを演じるジャック。彼の戦闘機は海に不時着してしまうが、ミスター・ドーソンたちに救出され、彼もまた救助活動を手助けする。陸軍兵士から「空軍は何をやってたんだ!?」と責められる場面があるが、それに対するドーソンとのやりとりは胸打つシーンの1つ。誰もが戦争など経験したくないと思う、大切なメッセージが込められている。ちなみに、彼らの隊長(声のみ)として名優マイケル・ケインがカメオ出演しているらしい。ネクストブレイク必至の若手たちの目線で描かれる『ダンケルク』。いまから、彼らの顔と名前を覚えておいて損はない。(text:Reiko Uehara)■関連作品:ダンケルク 2017年9月9日より全国にて公開(C) 2017 Warner Bros. 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2017年09月18日クロックス(crocs)が、クリストファー ケイン(Christopher Kane)とのコラボレーションモデル「タイガー クロッグ」を発売。2017年9月15日(金)より、一部のクロックス直営店、クロックス取扱店にて数量限定で販売される。天然石やファーのモードな装飾を施した前回のコラボレーションに続き、本アイテムでもクロックスを”ハイファッション”に昇華した。今回は、定番の「クラシック クロッグ」にタイガーも模様をプリント。前回よりもリーズナブルな価格帯で提供される。「タイガー クロッグ」オークル 7,000円+税カラーは「アボカド」「ハニー」「オークル」「ブラック/ホワイト」の4色で展開。クロックスの穴の部分には、オーストリッチのファーや、花をモチーフにしたアクセサリー、デザイナー・ケインのイニシャルを模った「K」の文字を配した。カラフルなタイガー柄やファーと、クロックス特有の丸み帯びたシルエットが呼応し、ユニークな世界観を生み出している。【詳細】クリストファー ケイン x クロックス「タイガー クロッグ」発売日:2017年9月15日(金)販売店舗:1部のクロックス直営店、クロックス取扱店、公式オンラインショップ価格:7,000円+税サイズ:メンズ M4 / ウィメンズ W6(22cm)〜M8/W10(26cm)【問い合わせ先】クロックス カスタマーサポートTEL:0120-55-9694(9:00-18:00 土日祝日を除く)
2017年09月16日戦争映画というシンプルなカテゴリーでは到底語り尽くせないクリストファー・ノーラン監督作『ダンケルク』(9月9日公開)。『インセプション』(10)や『インターステラー』(14)に続く革新的な映像体験はもとより、多層的に描かれた人間ドラマにもうならされる。来日したノーラン監督に単独インタビューし、その舞台裏に迫った。今回ノーラン監督は初めて実話の映画化に臨んだが、イギリス人である監督にとって「ダンケルク」という題材には、特別な思い入れがあった。本作で描かれるのは、第二次世界大戦中にフランスの港町ダンケルクで起きた史上最大の救出劇だ。ドイツ軍に追い詰められたイギリスとフランスの連合軍兵士40万人を救出しようと、イギリスから軍艦だけではなく約900隻の民間船が自らの意思でダンケルクに向かった。この不屈の精神と決意は、イギリス人の誇り“ダンケルク・スピリット”として、後世に語り継がれている。ノーラン監督に言わせると「体に染み込んでいる」そうだ。陸の防波堤での1週間、海峡を渡る船での1日、空中戦での1時間と、それぞれの異なる時間軸を編み込んだ緊迫感溢れる106分間。映像への没入感はハンパなく、怖くて思わず目を背け、弾を避けようとしてピクリと体が動く瞬間もあった。まさに「一切緩急をつけず、お客さんを休ませないという容赦ない映画にしたかった」と言うノーラン監督の狙い通りだ。戦場の対局を見せる上で監督がこだわったのは、ダンケルクから外へとカットバックしないことだった。「軍の上層部や政治家たちが何かをしゃべっているといったありがちなシーンに飛ばすことを一切禁じた。ひたすら戦場を映すことで、そこでのドラマが深くなり、サスペンスで引っ張っていくことができると考えたんだ」。空から援護射撃をするイギリス軍パイロット・ファリア役のトム・ハーディとは、『インセプション』、『ダークナイト ライジング』(12)に続いて3度目のタッグとなった。奇遇にもトムの祖父が当時ダンケルクの戦地にいて、彼が少年の頃、退役軍人の祖父からその話を聞いていたそうだ。「トムのおじいさんの件はオファーの際には全く知らなかった。まあ、第二次大戦で祖父母を亡くしたイギリス人は大勢いるからね。僕の祖父も第二次世界大戦に趣き、ダンケルクにはいなかったけど、空軍でパイロットをしていて亡くなっている」。トム・ハーディのキャスティングの決め手は前2作で認めた演技力にあった。「パイロットは操縦席に乗り込んだ後、マスクを付けっぱなしになるので、目で感情とストーリーを語れる俳優が欲しかった。彼は『ダークナイト ライジング』の時も、マスクをつけた役柄(ベイン)を演じていたが、目だけでも見事な演技を見せていたから」。ノーラン監督の名を日本で最初に知らしめたのは監督2作目の『メメント』(00)だろう。映画デビュー作『フォロウィング』(99)と同様に、時系列をシャッフルするという脚本の新たな方程式を見せ、映画ファンを驚嘆させた。脚本家としても超一流のノーラン監督だが、今回は史実をリスペクトし、一切キャラクターの背景を盛らず、敢えて台詞を極力抑えた。「兵士たちの口から、自分はどこから来たのか、どういう人なのか、といったことを説明させないようにした。あくまでもその兵士がその場で立たされた現状に、お客さんが引き込まれていく映画にしたかった。途中でテンションを緩ませたくなかったんだ」お手本にしたのは、アルフレッド・ヒッチコックやアンリ・ジョルジュ・クルーゾなどサスペンスの巨匠の作品だ。「彼らは台詞ではなくビジュアルでテンションを挙げ、ストーリーを語っている。そういったアプローチは脚本段階からこだわり、脚本自体も76ページという非常に簡潔なものとなった」。登場するのは架空の人物だが、彼らはノーラン監督がリサーチした当時の資料や、実際にダンケルクで生き延びた退役軍人たちから聞いた体験談を反映させたリアルなキャクラターたちだ。ダンケルクで多くの兵士たちが次から次へと命を落としていく中、ある民間人の少年の死も描かれていく。そこにはノーラン監督の戦争における死生観が投影されていた。「このエピソードも、戦時中のいろんな実体験をベースにしたものだが、実は彼のキャラクターには非常に重要な役割がある。僕があの少年の死を通して訴えたかったことは、戦場の死というのは非常にランダムなもので、生きるか死ぬかの境目が決まるのは“たまたま偶然”に過ぎないという点だ」。ノーラン監督は「戦地においての栄光の死というもの描きたくなかった」と語気を強める。確かに兵士ではない少年を死に至らしめたのは、不運な出来事だったというしかない。「死んだ兵士に対して生き残った者が、『君は英雄だ』とか『立派な自己犠牲を払った』とかいろんな後付けの解釈を加えることがよくある。でも、僕はそう思わない。実際、彼らが死んだのはたまたまだったんだ」。その少年は戦地の状況について何も理解していないまま救出作戦に参加し、悲劇に見舞われる。「彼は非常にナイーブで良い少年で、兵士たちを助けようとする。そんな彼が死んでしまうことはとても不条理なことだ。でも、実際に戦場の男たちの運命というのはそういうものなんだと僕は思う。つまり戦地では勧善懲悪の原理なんて一切働かない。モラルがある人だからといって、生きながらえるわけではないんだ」。身内を戦争で亡くしているノーラン監督の口から出た言葉だからこそ、より一層重みが感じられる。折しも不安定な世界情勢となり、日本もきな臭い状況にある今、『ダンケルク』が公開されることはとても意義深い。多くの戦争映画の場合、ベクトルは“死”へ向かうのだが、本作では救出劇という“生”に向けられている気がするからだ。まあ、いろんな講釈はさておき、一番声を大にして言いたいことは「この映画史上に残るエポックメイキングな映画は、絶対にでかいスクリーンで体感すべきだ!」ということ。これに尽きる!(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.
2017年09月09日仕事やプライベートなど、人生においてはさまざまな壁にぶち当たるものですが、そんなときこそ、過去の歴史から教訓を学ぶのも大切なこと。そんななか、今回ご紹介したいのは、絶体絶命の危機に立ち向かった男たちの姿を描いた映画『ダンケルク』です。そこで、本作に全身全霊を傾けたある方にお話を聞いてきました。それは……。いま映画界でもっとも注目されているクリストファー・ノーラン監督!【映画、ときどき私】 vol. 110『ダークナイト』や『インセプション』など、世界中の映画ファンを魅了し続けているノーラン監督ですが、最新作は早くも「来年のアカデミー賞の最有力!」といわれている話題作。そこで今回は、監督本人に直撃し、『ダンケルク』へかける思いや原動力を語ってもらいました。本作の題材となったのは、フランスの北端にあるダンケルクという地で実際に行われた史上最大の救出作戦。初めて実話に挑んだ作品となりましたが、描く際に意識したことは?監督史実に基づく映画を作るのは初めてだったので、まずは実際にダンケルクにいた方々の証言や実体験を入念に調べ、徹底的にリサーチを重ねていくことにしました。なぜなら、観客の方々にまるで当事者であったかのように感じてもらえるような緊迫感のある主観的な映画を作りたかったからなんです。この作品を撮るにあたっては歴史学者の方にアドバイザーとして協力していただき、そのおかげで存命中の帰還兵たちにもインタビューをすることができましたが、あの浜辺で何が起きたのかを直接聞くことができ、非常に心を揺さぶられました。いまのタイミングでなぜこのテーマを選んだのか教えてください。監督この時代だからということよりも、僕としてはイギリスだけではなく、世界中の観客に訴求できるような根源的な話だと思ったからなんです。八方から恐怖がやってくるなか、降伏するかあるいは死を選ぶかという究極の状況で、民間と軍が力を合わせて、窮地から兵士たちを救い出そうとするわけですが、この戦いは独特なストーリーであり、かつ普遍性があると思いました。これまで作られていてもよかったはずなのですが、たまたま僕にチャンスが舞い降りてきたこともあり、今回作ることにしたのです。本作もこれまでの作品同様に時間の使い方がおもしろいですが、時間にこだわる理由は?監督僕は脚本を書いたり、映画の構図を決めたりするうえで「主人公の主観を見せる」ということにこだわりがありますが、それが時間へのアプローチでもあります。なので、今回の『ダンケルク』でもそれぞれの立場による時間感覚を表現するために、時間を巧妙に操作することにしました。そういったことは、映画にしか成し遂げられない特有の力だと僕は思っていますが、それによって観客のみなさんにインパクトを与えることができるのです。戦争映画といわれると女子は敬遠しがちですが、その理由のひとつとしては、目を覆いたくなるような残虐なシーンが描かれていることが多いから。しかし、この作品にはそういったシーンがなく、これまでの戦争映画とは一線を画するような作品であることも大きな特徴。では、戦争映画にはつきものである残虐なシーンを描かなかった理由は?監督今回、血を見せたりしなかった理由は、このダンケルクの話がほかのいろんな戦争の話とはそもそも性質が違うからというのがあります。なぜなら、これは戦闘の話ではなくて、撤退作戦の話だということなのです。そこで、このストーリーを語る手法として、サスペンススリラーを描くアプローチを取ることにしました。従来の戦争映画であれば、戦争がいかに恐ろしいかということをホラーとして描いていたと思いますが、本作でサスペンスの手法にしたのは、ホラーのように目を背けたくなるどころか、目が釘付けになってしまうような作品にしたかったからなのです。血やグロテスクなものは見せず、敵の姿も見せていないので、劇中にある緊張感というのは、ほかの戦争映画とは少し違うものになりました。これはあくまでもサバイバルの話ですが、ジリジリと寄ってくる敵の存在感や時間との競争という部分もこの作品をサスペンスフルなものにしていると思います。ノーラン監督といえば、CGに頼らず実写での映像へ強いこだわりを持っている監督ですが、今回も想像を超えるような圧倒的な迫力を誇る映像は最大の見どころ。陸・海・空と撮影をするなかで、過酷だったことはありましたか?監督すべてをリアルに撮ろうとしていたので、海も船も飛行機も全部が本物でしたが、悪天候に見舞われたり、風が激しかったり、海で高い波が立ったりしたので、本当に大変でした。でも、これは史実をベースにしているので、当時の人たちが経験したことに比べたら、僕らは戦争ごっこをしているだけなので、彼らの現状と比較するのはとんでもないという謙遜する気持ちにはなりました。そこは今まで僕が撮った作品とは違う部分だったと思います。今後、映画化してみたい題材はありますか?監督ここで言ってしまうとほかの人がやってしまう可能性があるのでタイトルは言えないですが、多くのコミックや本など、いろんなものを僕は消化しています。作品選びをするときに一番の推進力になるのは、自分がそのストーリーに心から動かされ、どれだけ共感できるかということ。映画を作るのには、相当な時間を費やすので、そのぐらいの強い思いがないと作りたくないと思ってしまいますよね。そんなノーラン監督は、「スマホは思考の時間を奪われる」という考えから携帯もメアドも持たない主義。逆に監督の思考に刺激を与えたり、インスピレーションを掻き立てたりする原動力は何ですか?監督まずは音楽が好きでたくさん聴いているので、いつも音楽プレーヤーを携帯しています。それから、読書をしたり、テレビや映画を観たりするのも好きですけど、自分を一番インスパイアしてくれるのは、やっぱり映画と音楽かなと思います。もちろんそれだけではなくて、日々感じる文化の多様な側面やいろんなメディアからも刺激を受けています。僕がスマホを使わないのは、時間の管理をしたいからなんですよ。というのも、スマホで何かを調べているときというのは、役に立つこともあったり、楽しいこともあるかもしれませんが、その内容がゴシップだったりすることもあって、実際には相当な時間を費やしてしまいますよね。そんなふうにスマホを使っているとすぐに時間を奪われるので、そういうのはなるべく避けたいと思っているだけなんです。最後に、この作品を通して観客に届けたい思いがあれば教えてください。監督もし、あの出来事がいまの我々に語っていることがあるならば、「いまの世界は、個人として達成できることや個人の業績をもてはやす傾向にあるけれど、そうではなくて集団で協力し合ってできることの偉大さがあり、みんなで力を合わせれば個人では成し得ないような逆境でも乗り越えることができる」というメッセージです。それはイギリスだけではなく、どんな文化圏であっても、どんな地域でもみなさんに訴えかけ、共感できるものだと思っています。インタビューを終えてみて……。世界中の映画界がつねに注目している監督であり、天才ともいわれているだけに、その存在感やオーラには思わず圧倒され、短い時間ながらもたくさんの刺激を受けました。本作は “ノーラン監督史上最高傑作” との呼び声も高いですが、作品ごとに進化し続けているだけに、今後どこまで行ってしまうのだろうかという期待とともに、これからも追いかけ続けていきたいと思います。目の前に広がる驚異の映像にしびれる!どんな逆境に見舞われたとしても、勇気と忍耐と連帯感で乗り越えようとした彼らの不屈の精神は、誰の心も揺さぶるはず。そして、戦場へと一気に観客を引き込む臨場感溢れる映像と圧倒的な音楽、そのどれもがスクリーンで味わうべき衝撃の映画体験。1秒たりとも息の抜けない緊迫感とノーラン監督が本作に込めた情熱をぜひ全身で体感してください!ストーリー1940年、フランス北端に位置するダンケルクに追い詰められていたのは、英仏連合軍の兵士40万人。背後には海があり、陸と空から攻めてくる敵に囲まれ、もはや逃げ場のない絶体絶命の状況だったが、そんななかでも若き兵士たちは生きることを諦めずに戦い続けていた。いっぽう、母国のイギリスでは対岸にいる仲間を助けるため、民間船までも動員して救出作戦が動き始めることに。はたして、史上最大の救出作戦の行方とは……。迫力に鼓動が高まる予告編はこちら!作品情報『ダンケルク』9月9日(土)全国ロードショー配給:ワーナー・ブラザース映画© 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.
2017年09月05日世界63か国初登場No.1、全世界興収が4億ドルを突破し、早くもアカデミー賞も最有力といわれているクリストファー・ノーラン監督の最新作『ダンケルク』。本作で、民間船で兵士救出に向かう“一般市民”を演じたアカデミー賞俳優のマーク・ライランスに加え、同じく船に乗り込んだ青年役のバリー・コーガン、トム・ハーディとともに空からダンケルクの戦場へと向かったパイロット役のジャック・ロウデンのインタビュー動画が、シネマカフェに到着した。本作は、ノーラン監督が初めて挑んだ実話で、1940年のフランスの港町ダンケルクを舞台に行われた史上最大の救出作戦を描くタイムサスペンス。陸海空の視点が同時進行する本作で、“海”からダンケルクに救出に向かう民間船ムーンライト号の船長ミスター・ドーソンという重要なキャラクターを託されたのは、スピルバーグ監督作『ブリッジ・オブ・スパイ』でアカデミー賞助演男優賞に輝いた名優、マーク。そのムーンライト号に、ドーソンの息子ピーター(トム・グリン=カーニー)と共に乗り込んだジョージを演じるのが、今年『The Killing of a Scared Deer』(原題)でコリン・ファレル&ニコール・キッドマンと共演し、カンヌの地も踏んだ若き個性派バリー。そして、この小さな民間船に救出される戦闘機パイロット、コリンズを演じているのが、舞台で頭角を現し、今後はレイチェル・ワイズとの共演作『否定と肯定』、主演を務めた『England Is Mine』(原題)、シアーシャ・ローナン&マーゴット・ロビー共演『Mary Queen of Scots』(原題)など映画出演が続くジャックだ。インタビューでは、1940年から77年の時を経て、なぜ、いま『ダンケルク』なのかを問いかけられたマークが語り始める。「この数か月間を見ても、イギリスではいま異常なことが起きている。中東とかかわる暴力の数々だ。テロという脅威が再び戻ってきている。そしてイギリスのEU離脱やヨーロッパとの関係は映画になるのではと思っていた。しかし実際には、イギリス国民は、消防士、警察官、レスキュー隊たちの無私無欲の行動を痛感している。この映画は救出の物語だ。驚くほど勇敢な民間人たちがいた。テロが引き起こす暴力的ないまの状況と同じだ」と力強く語り、ロンドンを襲ったテロやビル火災に言及しながら、「いまのイギリス人にとって、とてもパワフルな映画になると思う。強烈な映画だ」と、人々を勇気づける本作のテーマに触れる。ジョージ役を務めたバリーは、「僕のキャラクターは 気づいていなかったと思う。ほかの多くの人々と同じように、ダンケルクに何人いるかさえ知らされていなかった。僕のキャラクターはとても若くて、世間知らずで、彼にとってそれは冒険と同じだった。本物の戦闘機を見るまで彼は楽しんでいた。現実を見ていなかったんだと思う」と素直に答える。実際に空から襲いかかる敵軍の戦闘機とそれを迎え撃つ英国軍の戦闘機スピットファイアを見たとき、ジョージにとって戦争が現実のものになった。その言葉を受けて、「若者には新鮮だったのだろう。しかし彼らは、人類史上初めての世界規模の戦争、第一次世界大戦を経験した。イギリスの多くの家族が父親や息子たちを失い、未亡人が増えた。結婚できる男性が足りなかった時代だ。だから、再び戦争が始まったとき、18歳のパイロットも、そして多くの者が『早く終わらせたい』と思ったはずだ」と、ジャックを見ながら語るマーク。そしてジャックも「皆がそう思ったはずだ。どの世代も戦争を経験している。幸運にも僕たちは、イギリスという国では18~20歳は経験していない。少なくとも選択肢がある」と続ける。また、ノーラン監督作品への出演は、3人にとってエキサイティングな体験となったという。バリーは、「最高の監督だよ。ものすごい世界観だよ。それに実話だ。すごいことだよ」と興奮を隠さない。ジャックもまた「スケールが半端ない」と絶賛を贈る一方、マークは「私にとっては、脚本だった。優れた監督であると同時に優れた脚本家でもある」と、ノーランの脚本の緻密さと完成度の高さに触れ、「監督をしなくても、脚本だけで有名になれる人物だよ」とストーリーテラーとしてのノーラン監督を評価。「彼が脚本をアンサンブルキャストが演じる。この映画の脚本のそれぞれが特徴を持って書き込まれているから、キャラクターを信じて演じられる。実に素晴らしい」と、極限下の戦場を生き抜こうとしたキャラクターたちを精緻に描いた脚本が、彼らの最高の演技を引き出したと指摘している。マークが演じたミスター・ドーソンは、第一次世界大戦を経験し、パイロットとして活躍した息子の1人を失っている。だからこそ、自分たちの世代は、若者たちのためにも戦いを終わらせなければならないと、毅然たる態度でダンケルクへと向かうのだ。その圧巻の演技は、いち早く本作を鑑賞した多くの人たちの感動を呼んでいる。『ダンケルク』は9月9日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ダンケルク 2017年9月9日より全国にて公開(C) 2017 Warner Bros. All Rights Reserved.
2017年09月01日『ダークナイト』(08)『インセプション』(10)のクリストファー・ノーラン監督が手がけた史実に基づく戦争映画『ダンケルク』(9月9日公開)の来日記者会見が24日、六本木アカデミーヒルズで開催。ノーラン監督の大ファンだという三代目J Soul BrothersでEXILEのメンバーでもある岩田剛典が、ファン代表として監督と対面した。『ダンケルク』では、第2次世界大戦におけるダンケルクでの大撃退と、民間の船舶も総動員した救出作戦が描かれる。360度全方位から迫る究極の映像体験ができると話題騒然で、すでに2018年のアカデミー賞最有力候補と呼声が高い。岩田はノーラン監督を前にして「僕は表現者である前に、ひとりのノーランファンでしかない」と大興奮。「作品が始まってすぐ5秒くらいで一気に戦場に連れていかれた。音がずっとチクタクなっているのが印象的。最後に…、あ、ネタバレになりそう」と慌てると、ノーラン監督から思わず笑みがもれた。岩田はノーラン監督の作品について「画が決まっている。結果がわかった上で逆算して作っていくようなイメージ」と表現。「それを形にするのは難しい中、ハリウッドで、商業映画で、毎回作っている監督はすごく稀有だなと。この人の頭の中はどうなっているんだろうかと。才能がうらやましいです」と語った。ノーラン監督は「ありがとう」と笑顔を見せる。「監督業の面白いところは1つのことに秀でていなくてもいいところです。監督は、自分が興味をもったことをやり遂げるために才能をもった人を集めればいい。彼らのいろんな意見を束ねるのが監督の仕事だ。他の仕事にたとえるなら、図面をスケッチする建築家や、楽団の指揮者にも似ていますね」ノーラン監督は、スティーブン・スピルバーグ監督やジョージ・ルーカス監督などから影響を受けていると言う。「『スター・ウォーズ』は7歳の時に観て非常に影響を受けました」また、今回スピルバーグ監督自身が持っていた『プライベート・ライアン』(98)の35mmのフィルムを貸してもらい、みんなで観たと言う。「非常に参考になりました。今観ても名作です。また、『プライベート・ライアン』で成し遂げた緊張感は、本作で求めていたものとは異質のものだということも認識しました。スピルバーグ監督からは、水上で撮影するときのアドバイスもいただきました。他にもヒッチコックやデヴィッド・リーン監督などの影響も受けています。彼らがどうやって撮ってきたのかを学びながら映画作りをしていくのが大切だと思っています」最後にノーラン監督は、自身がサインをした『ダンケルク』の脚本を岩田にプレゼント。岩田は「めちゃくちゃうれしいです。童心に返りました」と感激していた。
2017年08月24日7年ぶり4度目の来日を果たしたクリストファー・ノーラン監督が8月24日(木)、都内で最新作『ダンケルク』の記者会見を実施。ノーラン監督の大ファンだという「EXILE」/「三代目J Soul Brothers」の岩田剛典が駆けつけ、「すごく光栄です」と感激していた。『ダークナイト』『インセプション』『インターステラー』といった数々の傑作で映画の歴史を塗り替えているノーラン監督が、初めて実話の映画化に取り組んだ本作。1940年、フランスの港町ダンケルクで、英仏連合軍40万人が繰り広げた史上最大の救出劇を、圧倒的なスケール感とリアリティで描き出す。岩田さんは「これまでの作品とは、いい意味でテイストが違う」とファン目線で分析。「映画が始まって5秒で、戦場に連れていかれた感覚。あたかも戦場にいるような“VR体験”を味わった。細部へのこだわりはノーラン監督節ですし、音楽も印象的」とすっかり作品に惚れ込んでいた。サプライズでノーラン監督から、『ダンケルク』のサイン入りオリジナル台本をプレゼントされると「めちゃめちゃうれしい!」と少年のまなざし。喜びのあまり、ノーラン監督とハグし合う場面もあった。そんな岩田さんから「ぜひ、頭の中を見てみたい!撮影中はどんなことを考えているんですか?」と問われたノーラン監督は、「監督業とは、何か1つのことに秀でている必要はありません。自分の描きたいことがあれば、それを目指して、才能ある人を集めて、彼らの視点や才能を束ねればいいんです。カメラでいえば、レンズの役割。焦点を定めることが大切なんです」とその“極意”を語った。現在、アカデミー賞最有力の声もあがる本作については「描いているのは戦闘ではなく、タイムリミットが迫った撤退劇。戦争映画ではなく、サスペンススリラーを目指した」といい、「個人が尊重される時代ですが、この映画は名もなき人々が団結し、偉業を成し遂げる姿を描きたかった。きっと文化や世代を問わず、共感してもらえるはず」とアピールしていた。『ダンケルク』は9月9日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ダンケルク 2017年9月9日より全国にて公開(C) 2017 Warner Bros. All Rights Reserved.
2017年08月24日『ダークナイト』『インセプション』のクリストファー・ノーラン監督がオスカー最有力とも言われる最新作『ダンケルク』を携え来日。8月23日(水)にジャパンプレミアが開催され、ゲストとして『永遠の0』の山崎貴監督も来場し、ノーランを質問攻めにした。第2次世界大戦の史実をもとに英仏軍40万人の退却戦の模様を描いた本作。CGを使うことなく描いたリアルな戦場の描写が大きな話題を呼んでいる。既に世界各国で大ヒットを記録しているが、ノーラン監督は「ダンケルクの戦いは英国人にとって、子どもの頃からずっと聞かされてきた歴史であり、重要な文化的要素といえますが、この映画を作りにあたり、世界中の人たちに観てもらいたいという思いがありました。シンプルかつ根源的な物語であり、普遍性を持っていると思います。越えられない壁を乗り越える、窮地で勝利をつかむという、ヒューマンストーリーであり、世界中に訴えかけられる話だと思っています」と語る。山崎監督は、CGを使うことなく、その場にいるかのように感じさせる臨場感を味わえることがノーラン作品の魅力だと語り、前作の宇宙を舞台にした『インターステラー』について「宇宙に行って撮ってきたかのような感覚を受けました」と語る。戦場を舞台にした本作については「戦場に放り込まれ、緊張を強いられるような時間でした。“時間”もノーラン監督の作品の充当なテーマですが、『もうちょっとで間に合う…』『間に合わない…』とずっとドキドキしていました。映画というよりも“体験”だと思いました」と興奮気味に語った。ノーラン監督は、CGを使わずに描くという点に触れ「古い映画のテクニックを参考にしています。兵隊が並んでいるペイントを背景に置いて人数を多く見せたり、トラックが何台もあるかのように見せているんです」と意外にアナログな技法を使用していることを明かす。また、山崎監督が全編を貫く緊張感について尋ねると「緊張感をどうやって維持させるかということは脚本段階から考えていました。ヒッチコックらのサスペンススリラー技法を使用し、緊張感を保たせる骨組みを作ったんです。映画は陸海空の3つの物語が交錯しますが、それぞれのストーリーラインでテンションが上がっていくのをずらすことで、全体として盛り下がることなく、常にテンションが上がっていく構造にしています。私の映画にしては尺が短いのも、お客さんを休ませないからこそです」と古き良き映画を参考にした独特の技法について語る。これには山崎監督も興味津々。邦画の場合、海外の大作に比べて予算が潤沢といえず、そのためにCGを多用しなくてはいけない側面もあり、CGに頼らず“本物”を使って撮影ができるノーラン監督が「うらやましい(笑)」とも語っていたが、予算をかけない独自のアイディアを駆使していることを知り「勉強になります。勇気をいただきました!」と感激していた。『ダンケルク』は9月9日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ダンケルク 2017年9月9日より全国にて公開(C) 2017 Warner Bros. All Rights Reserved.
2017年08月23日『ダークナイト』(08)、『インセプション』(10)のクリストファー・ノーラン監督が手がけた史実に基づく戦争映画『ダンケルク』(9月9日公開)のジャパンプレミアが23日、東京・丸の内ピカデリーで開催。来日したノーラン監督と、興収87億円を超えた映画『永遠の0』(13)の山崎貴監督が登壇した。『ダンケルク』は、第2次世界大戦でのダンケルクでの大撃退と、民間の船舶も総動員した救出作戦が描かれる。360度全方位から迫る究極の映像体験ができると話題騒然で、すでに2018年のアカデミー賞最有力候補と呼び声が高い。本作の監督・脚本・製作を務めたクリストファー・ノーラン監督は、『インセプション』以来7年ぶり4度目の来日となった。「僕は英国人ですが、ダンケルクの物語は子供の頃から聞かされて来た話です。でも、この映画を撮るにあたっては、世界中の観客に見せたいという思いで作りました。非常に普遍性のあるストーリーで、超えられない壁を超える、窮地に追い込まれて、そこから勝利を勝ち取るというヒューマンストーリーだと思っています」山崎監督はノーラン監督作の魅力について「CGに頼らないという姿勢を貫いてらっしゃる。本当にその場所に連れていかれるような臨場感があります。戦場っていうのはこんなに怖いところかと。ずーっとドキドキしていました。戦場に行ってきた!と感じました。映画というよりは体験でしたね」と興奮気味に話す。山崎監督は映画を観た感想について「本物すげえ!ってことです。僕はCGに頼りがちなんですが、出て来るものがすべて本物で、本当に爆発してるし、本当に沈んでるし、そういうことが次々と起こる。本当にやっているからうらやましいなと」と感嘆した様子。ノーラン監督は山崎監督について「(予算など)いろんな限界がある中で、『永遠の0』を作られたのは素晴らしい」とねぎらった。また、ノーラン監督は、いろんな工夫をして『ダンケルク』を撮っていると、一部種明かしをした。「ハリウッド映画として予算がつくと選択肢が広がるけど、できるだけカメラで収めることが肝心。我々が常に意識するアプローチは、古い映画を参考にしつつ、経験豊かなスタッフに声をかけ、なるべくCGを使わずに古いテクニックを使うこと。たとえば、ペインティングを背景に使ったりもします。塗り込んで(人が)大勢いるように見せたりするんです」山崎監督は「そこまでやってるんですね! 勇気をもらったりします」と驚き、「僕もできるだけ実写で撮ろうと思っているんですが、あまりにもレベルが違いすぎて、すごいなと思いました」と感動しきりだった。
2017年08月23日クリストファー・ノーランが監督を務め、アカデミー賞大本命との呼び声も高い『ダンケルク』。イギリスでは誰もが知る第二次世界大戦時の救出作戦を、ノーラン監督が徹底したリアリティの追求とこだわりをもって描き上げたことで話題の本作は、“世界で最も有名な新人俳優”、ハリー・スタイルズの初出演映画としても話題に。しかも、劇中のハリーは、世界中の注目と期待に堂々と応える熱演を披露している。ハリーが演じるのは、高地連隊(ハイランダー)の若き兵士アレックス。ドイツ軍からの容赦ない攻撃を受けつつ、戦地である海の町ダンケルクからの脱出を目指すアレックスは、その過程で同じイギリス軍の兵士トミー(フィオン・ホワイトヘッド)と出会い、行動を共にするようになる。もちろん、ダンケルクの浜辺を離れ、祖国への帰還を望む兵士はアレックスとトミーだけでなく、撤退作戦の対象となるのは英仏軍40万人。たとえ救助船に乗り込めたとしても、海中にはUボート、空には爆撃機が。緊迫感溢れる状況の中、アレックスは、トミーは、祖国に帰ることができるのか…?本編が始まってしばらく経った頃、アレックスとトミーは救助船に乗り込む幸運にありつけるが、彼らの死闘はここからが始まりと言っても過言ではない。爆撃や銃撃に右往左往させられることもあれば、深く暗い海に飲み込まれそうになることも。そんな中、ハリーの熱演に目を奪われずにはいられない。起用理由を「映画俳優としての真実味があり、繊細で、何より圧倒的なカリスマ性があったから」と語るノーラン監督の言葉通り、ハリーは役柄を誠実に全うし、等身大のサバイバルを見せる。このサバイバルが綺麗事では済まされないのは必至で、生きるための力強さを発揮することもあれば、生き残るための選択に人間らしい残酷さをにじませることも。それでもアレックスを応援したくなるのは、ノーラン監督がハリーの中に見出した「カリスマ性」も手伝ってのことだろう。と言っても、その「カリスマ性」は彼が「ワン・ダイレクション」として、ソロ・アーティストとして見せてきた圧倒的スターのものではなく、あくまで一兵士のもの。例えるなら、まだプロのミュージシャンになる前、「ワン・ダイレクション」を輩出したオーディション番組「Xファクター」参加時に放っていた「カリスマ性」のレベルに近いかもしれないが、世界的スターとなったいま、物語の世界に役として溶け込み、役柄なりの存在感を放つのは演技力なくして成立しないこと。だからこそ、俳優ハリー・スタイルズの今後に期待したくなる。つい先日、「俳優としての仕事は『ダンケルク』が最初で最後かもしれない」と発言したというハリーだが、本編を観た誰もが「そんなこと言わずに!」と叫びたくなるはず。ぜひ、映画館で俳優ハリー・スタイルズの誕生をいち早く目撃してほしい。(text:Hikaru Watanabe)■関連作品:ダンケルク 2017年9月9日より全国にて公開(C) 2017 Warner Bros. All Rights Reserved.
2017年08月20日「EXILE」/「三代目J Soul Brothers」の岩田剛典が、実際に起きた史上最大の救出作戦を描く映画『ダンケルク』を引っさげ来日するクリストファー・ノーラン監督と対面を果たすことがこのほど決定。また、ノーラン監督の熱烈なファンの一人として、TVCMにも出演することが分かった。ノーラン監督が初めて挑んだ実話を描く『ダンケルク』は、相手を打ち負かす「戦い」ではなく、生き残りをかけた「撤退」の物語。舞台は1940年、フランスの海の町ダンケルク。陸海空から迫りくるドイツ敵軍80万人。その総攻撃はいつ始まるか分からない。絶体絶命の窮地に、英仏連合軍40万人に史上最大の救出作戦が決断される。命からがらダンケルクの浜辺に辿りついた若き兵士・トミー(フィオン・ホワイトヘッド)は、生き抜くことができるのか――?そして今回、2010年の『インセプション』以来7年ぶり4度目を果たすノーラン監督と岩田さんが初対面を果たすことが決定。日本でもヒットした『インセプション』『インターステラー』を観て、完全にノーラン監督作の虜になったと言う岩田さん。ファンになったポイントについては、「『どうやって撮ったんだろう』と思うところです。シナリオが緻密に組まれているので、『この人の頭の中を見てみたいな』って思うナンバーワンな人です(笑)。本当に才能が溢れているというか、人ができないことをやっている監督なんじゃないのかなと思います」とコメント。また本作については、「最初の10分から本当に圧巻でした。普通の映画だったらあれがクライマックスですよ、あれが2時間ずっと続く映画って無いです。ずっと緊迫した中でストーリーが進んでいく話なので、その掴みとして、冒頭の緊張感が…。特に、今回主演のフィオン・ホワイトヘッドは大抜擢じゃないですか。スクリーンに映ったときに、日本人はみんな顔が分からないわけですから、画力という意味でいうと、その人が来てワクワクするとかいうことは無いわけで。そんな中で、10分間で、一気にあの主人公の心情に引き込まれるというのは、映像手腕でしかなくてすごいなと思いました」と大興奮。また、岩田さんが本作の魅力を語るTVCMも公開。作品に対するその熱量を、ノーラン監督自らが認め制作された世界で唯一の日本オリジナルの映像ということで、岩田さんは「いやもう、嬉しいという感情しか無いです!僕は作品に出演しているわけでも何でも無いのですが、いちファンとして、つまり、映画ファンとしてクリストファー・ノーランファンとして、最新作の日本でのPRを担当させてもらえるというのは、シンプルに嬉しい」「余計な感情を一切抜きにして、僕は自分の言葉で感動を伝えられるという自信があるので、すごく光栄です」と喜びを露わにし、監督との対面については「楽しみ過ぎます。映画に出してくれなんて懇願しちゃおうかな、なんて思ってますけど(笑)」と言いつつも、まず最初に会ったら「次何撮りますか、とかですかね(笑)」と聞きたいことについてコメントした。ノーラン監督について、『ダンケルク』について熱く語った岩田さん。ノーラン監督との初対面では一体何が語られるのだろうか?『ダンケルク』は9月9日(土)より全国にて公開。(cinemacafe.net)
2017年08月15日9月9日(土)よりついに日本に上陸する『ダンケルク』。クリストファー・ノーラン監督は、「ほとんどのイギリス人同様、私もダンケルクの撤退という伝説的なストーリー、そして窮地からつかみとった勝利について聞いて育った。それは私たちの文化の大きな部分であり、体に染み込んでいる」と語り、初めての実話の映画化にイギリスから新人俳優と名優たちをキャスティングした。このほど、本作に参戦した英国映画界、演劇界を代表する名優にして名匠ケネス・ブラナーが、“天才監督”について語った特別インタビューがシネマカフェに到着した。舞台は1940年、フランスの海の町ダンケルク。陸海空から迫りくるドイツ敵軍80万人。その総攻撃はいつ始まるか分からない。絶体絶命の窮地に、英仏連合軍40万人に史上最大の救出作戦が決断される。命からがらダンケルクの浜辺に辿りついた若き兵士・トミー(フィオン・ホワイトヘッド)は、生き抜くことができるのか?7月21日(金)から全米3,720館で封切られ、オープニング興収5,050万ドルを記録した本作。興収ランキングは2週連続第1位を獲得し、スティーヴン・スピルバーグ監督『プライベート・ライアン』(’98)の数字を上回る推移となっている。また、ドイツ、ブラジル、メキシコなどでも初登場第1位を獲得し、世界63か国でオープニング興収No.1に。ノーランの母国・イギリス、映画の舞台となるフランスなどでも快進撃は続き、全米を含む世界興行収入は3億ドルを突破している(※Box Office Mojo調べ)。本作で、ダンケルクにおける救出作戦の管理責任者、ボルトン海軍中佐役を託されたケネス。シェイクスピア演劇でキャリアをスタートし、俳優、演出家としても活躍する彼は、ジョニー・デップら豪華キャスト競演『オリエント急行殺人事件』ではメガホンをとり、主人公の名探偵ポワロを演じている。また、2014年に公開された監督作の実写版『シンデレラ』は、全世界で5億4千万ドルを超える興収を記録しており、監督としての手腕も高く評価されている。ケネスは、「この映画は(ノーラン)監督にとってとてもパーソナルなもので、大きな題材であり、アクション満載の大作でありながら、とても実験的でユニークな作品。短いセリフがストーリーの輪郭を形成していく。キャラクターのバックストーリーはない。いま、ここで、目の前にあるものが常に追ってくる」と語り、圧倒的な緊迫感が続くタイムサスペンスであることを説明する。ノーラン自身による脚本は「驚くほどムダがなく、しかもとてつもなくパワフル。そこには“ノーラン映画ならこれ”と人々が関連づけるあらゆる要素が組み込まれていた」という。「数学的に正確な構造、ストーリー展開に込められた人間性と意味の奥深さ、扱う範囲の壮大さ、ストーリーを引っ張る理屈抜きの活力など、すべてが入っていた。そのストーリーに胸が躍るような体験であると同時に、戦争と歴史上のあの特別な瞬間に関する深い考察」になっていると語り、ノーランが描こうとする世界、その神髄に魅了されていた様子だ。アイルランド育ちのケネスは、「“ダンケルク・スピリット”という表現をよく耳にしたが、第二次世界大戦について学ぶようになって初めて、その意味をちゃんと理解するようになった」と明かす。「それは、どんな逆境でも決して諦めないということ。敵に占領された場所で身動きがとれなくなった40万人もの兵士たちを生還させるために、国全体が団結して、大掛かりな、不可能にも思える撤退作戦を勇敢に実行した。その精神は、致命的な敗退にもなりえた状況を、チャーチルが呼んだように“奇跡の救出”へと変えた」と、言葉に熱を込める。そして、その伝説的な実話に挑んだノーランには圧倒されたという。「作戦の純粋なスケール感にとにかく驚かされた。なんとか生き延びようと頑張っている人々の目を通して、あの戦いの途方もない大きさと危機感を、ノーラン監督がいかに巧妙に明らかにしていくかという点も凄かった」。「彼らは浜辺にいたり、空中にいたり、英仏海峡を渡る船の上にいたりする。それぞれが、この大規模で混乱を極める作戦のほんの小さな部分を体験していて、その作戦の成功の可能性はかなり低い。ノーランは脚本、そしてこの映画において、そういう人々の個人的な体験をすべてまとめ、観客に戦争というものを理屈抜きで体験させるとともに、その瞬間にどのキャラクターよりも大きな視点で、私たちにあの出来事を映像体験させてくれる」と断言。まさにノーランが挑んだのは、イギリス人なら誰もが知っている実話を、誰も体験したことの映画体験として観客に届けることだったのだ。徹底してリアルな撮影を追求した監督との現場は、「確かに大変だった」とケネス。「あれは現実にはどんな様子だったかを微かに示すものでしかない。あのとき、実際にあの防波堤に立っていた人々は、祖国が見える場所――わずか40キロぐらいの距離――にいながらも、地獄の中で動けずにいた。その体験をできるだけリアルに表現することは、監督にとっても、私たち全員にとっても非常に重要なことだった」と結んでいる。デジタルもCGも極力使わず、本物の戦闘機を飛ばし、実際に砂浜で爆破を起こすなど、徹底してリアルにこだわったノーラン監督。ケネスは劇中、兵士たちが無事、故郷に帰ることができるよう見守る指揮官として、ダンケルクの海を見つめている。『ダンケルク』は9月9日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ダンケルク 2017年9月9日より全国にて公開(C) 2017 Warner Bros. All Rights Reserved.
2017年08月14日フランス北部にある海辺の町、ダンケルク。『ダークナイト』シリーズ、『インセプション』『インターステラー』などで知られる唯一無二の映像作家クリストファー・ノーランが、新たに選んだテーマは、いまから77年前の第2次世界大戦のさなか、この町の海岸や上空で、民間人も巻き込みながら繰り広げられた史上最大の救出作戦、いわゆる“ダンケルクの戦い”だった。キャリア史上初めて史実に挑んだノーラン監督に、映画『ダンケルク』について話を聞いた。1940年5月、フランスに侵攻したドイツ軍の猛追に、40万人もの英仏連合軍の兵士たちはダンケルクに追い詰められていく。目の前のドーバー海峡の先には、故郷イギリスがあるにも関わらず、背後にはドイツ軍が迫り、地上では空爆によって火花が散り、砂塵が舞う砂浜は年端もいかない兵士たちが身動きもとれない状態、海上でも駆逐艦が次々に撃墜されていく。そのとき、ダンケルクはまさに絶体絶命の地だった。「イギリスでは、ダンケルクの戦いを知っている人は多く、“ダンケルク精神”という言葉も文化的に普及しています」と、ノーラン監督は言う。「“ダンケルク精神”とは、ダンケルクの戦いから由来し、“困難に直面した際に周りと力を合わせてやり抜く”という意味で、イギリス人にとっては親しみのある表現。そのため“ダンケルク”という土地の名前こそが、長年イギリス人の国民性と共鳴した大切な言葉なんです」と、このタイトルに込めた意義を語る。「私は常にダンケルクの物語に魅了されてきました」と話す監督は、「イギリス人はその話とともに成長し、骨まで染み込んでいる、神話のように文化の一部になっているんです。我々は逆境にあるグループや公共のヒロイズムや敵の優勢について語るとき、“ダンケルク・スピリット”のことを話します。それに、この物語は近代映画で語られたことがなく、そこがとても面白かったんです」と、制作のきっかけにも言及する。さらに監督は、「ダンケルクの物語は人類史上最高の物語の1つ」と言葉に力を込める。「海を背に身動きがとれない40万の兵士に敵が迫る。彼らの故郷は目で確認できるほど近いけれど、そこに行けない。そして彼らは降伏か、全滅かの選択を迫られる。この物語は、降伏でも、全滅でもない終わり方をしたことで、人類史上最高の物語の1つとなったんです」。ノーラン監督はこれまでも、ゴッサムシティや、何層にも重なる夢の中の世界、そして宇宙の果てなどに観る者を誘い、さまざまな物語をつくり上げてきた。本作でも、極力CGは使わない徹底した“本物”志向を貫き、切羽詰まったダンケルクの地へと観客を連れていく。実際に、この奇跡的な救出作戦が行われたのと同じ時期に、ダンケルクの砂浜に当時と同じように防波堤をつくり、爆破を起こし、5月下旬といっても冷たく荒れた海に船を用意し、戦闘機をその上空に飛ばした。そして、若き兵士たちをこの場所に集結させた。そのうちの1人、主人公のトミー役を演じたのが、本作が映画デビューとなる新星フィオン・ホワイトヘッドだ。ほんの1年半前まで皿洗いのバイトをしながらオーディションに通っていたというこの若者が、ダンケルクへの案内人に大抜擢された。そして、トミーと同様、ダンケルクから命からがらの脱出に挑む兵士アレックスを演じたのは、元「ワン・ダイレクション」のメンバー、ハリー・スタイルズ。監督も後からその人気ぶりに驚くほど“世界で最も有名な新人俳優”のハリーもまた、オーディションでこの役をゲットした。「この物語で心を打つのは、若い青年たちが当時、本当に、この壮絶な悲運と向き合ったという事実なんです」と監督は言う。「映画でも本物の18歳、19歳を出演させたかった。そのためオープン・キャスティングを開き、本物の“未熟さ”をもつ新しい俳優を配役することにしました。“ハリウッド流”のように、35歳の俳優を18歳の役に配役したくなかったんです」と話す監督は、オーディションで若き兵士たちを募集しながら、演劇学校にも赴き、そこで学ぶ新人俳優たちとも会ったという。「若い俳優たちの中には演技経験が少ない人もいましたが、身体的に厳しい環境に身を置くことで、演技という束縛から解放され、リアルに振る舞う様子が撮影できたと思います。(彼らの演技は)素晴らしいものでしたよ、撮影は身体的にも厳しいものでしたから」と、彼ら渾身の演技に称賛を贈った。「でも、本当に重要だったのは、新鮮な顔ぶれのアンサンブルキャストをまとめることでした」とノーラン監督。本作には、ノーラン作品常連組といえるトム・ハーディやキリアン・マーフィに加え、ケネス・ブラナー、マーク・ライランスといった初参戦のベテランキャストも顔を揃えている。陸上(砂浜)には、ホワイトヘッド演じる若き陸軍兵士トミーたち、海上には、ライランス演じる民間人のミスター・ドーソン、空には、ハーディ演じる戦闘機パイロットのファリアという陸海空、3者の視点で描かれることが本作の特徴だ。しかも3者の視点は、地上で待つ兵士たちにとっての1週間、ドーバー海峡を渡る民間船にとっての1日、空中戦を繰り広げるパイロットにとっての1時間という異なる時間軸でそれぞれが描かれ、巧みに交錯していく。監督にとって、“時間”という大きな概念は、以前から関心の対象だったそうで、タイムリミットとの戦いや異なる時系列のトリックは、『メメント』をはじめ『インセプション』『インターステラー』など過去作でも描かれてきた。本作の予告編でも、「カチカチ」と時計の針が時を刻む音が特に印象的だ。「同じ時間でも、とらえる意識によって体感できる長さ、短さがさまざまであるということは、本作でも描いています。人が感覚として認識する時間の柔軟性、多様性を説得するのに、実は映画はとても有効なんですよ」。例えば本作では、「海岸で待機する兵士たちは、この出来事を1週間という時間を通して経験します。一方で、船でやってくる人々にとっては1日、空中で戦闘するパイロットたちにとってはたったの1時間。時間は、激しく攻撃されているときはまるで一瞬のように感じられ、ひたすら助けを待つ兵士たちにとっては不動のように感じられる。本作では、複数のストーリーが1つの映画の中で、それぞれの時間軸上で進行するように描いているんです」。ノーラン監督はさらに続けて、「(陸海空)3つのタイムラインで、それぞれ異なる視点で対比させながら見せる、というこの映画の構成は、実際に起こった史実を私自身リサーチをして、インスピレーションを得たんです」と明かす。「当事者たちの個人的な記録を読んで、砂浜にいる者たちがそこから起きていることを見て感じたことと、一方、その上空を飛ぶ者たちが見て感じたこと、そして救助のためボートでやってくる者たちが見て感じたことが、それぞれ非常に違っていることに多大な衝撃を受けたんです」。「3人は皆、出来事の中の非常に限られた、不十分で不完全な光景しか見ていませんが、観客は、それぞれをすべて目にし、組み合わせて、結合させた光景をつくりあげます。それは、難しくも、やりがいのある挑戦だと思ったし、よくある戦争映画で使われるテクニックとは非常に異なったやり方だと気づいたんです。よく将官たちが室内で地図を囲んで何が起こっているか話し合いをするシーンがありますが、それでは、当事者たち(=兵士たち)が実体験していることは見えてこない。我々が興味を感じたのは、観客に当事者たちがその現場で感じているのと同じ主観的な経験をさせることでした」。「だから、戦闘機スピットファイアの中のパイロットたちのシーンでは、事実、観客はパイロットたちが見るもの以外、何も見ていないんです」と言う。「カメラは、大概の場合、コックピット内にボルトで固定されていて動かないようにしてありました。それで観客は、パイロットたちが見ている光景そのものを目にして、彼らが把握していることだけを、観客も同様に把握する。同じように、ボートの上でも、カメラとともに観客の視点もボートの上にあって、そこから出ることはない。まさしく兵士たちとともに船の上にいて、交戦地帯に近づいていく気分になるんですよ」。さらに、こうした大胆な手法の構成は、大部分がIMAXフィルムによって撮影されている。「特にこの映画では、言葉より映像から伝えるストーリーを重視したので、映画のほとんどのシーンをIMAXフィルムで撮影しました」とノーラン監督は言う。「IMAXフィルムを使った理由は、現代の映画鑑賞という体験の可能性を最大限に引き出したいという思いから。観客が行ったことのない場所へ連れて行き、劇場にいる人全員で体感できる映画鑑賞こそが、私の考える“シネマ・エクスペリエンス(映画体験)”なんです。特にフィルムを用いたIMAX形式は、最も高い解像度を映し出すことができるので、3Dメガネを使わなくとも観客に“没入体験”を提供できます。IMAXフィルムは、映画の題材そのものを全面に引き出すことができる一種の方法だと、私は考えています」。とはいえ、IMAX フィルム・カメラは撮影時に轟音がするため、IMAXフィルムで撮影できない部分は65mmフィルムで撮影した。「これは(クエンティン・)タランティーノ監督が『ヘイトフル・エイト』を、そしてデヴィッド・リーン監督が『アラビアのロレンス』を撮影した形式と同じ。つまり、この映画の全てのシーンが大型フォーマットで撮影されているといえますね」。なぜ、このデジタル全盛期にあって、それほどまでにフィルムにこだわるのか、その理由は「今日存在するものの中で、人間の目が見ているものに最も似ている」からだという。「リアルで主観的な体験を作りたいなら、フィルムで撮影することで目で見ている世界を最も正確に表せる。フィルムの映像によって、観客は家のTVでは経験できないものを体感することになるんです」。こうした、かつてない壮大なフォーマットで描かれる陸海空のダンケルク。その圧倒的臨場感、リアルな没入感は、まさにスクリーンでこそ体験すべき1本だ。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ダンケルク 2017年9月9日より全国にて公開(C) 2017 Warner Bros. All Rights Reserved.
2017年08月09日米BOX OFFICE MOJOは7月28日~7月30日の全米週末興業成績を発表した。前週に続いてクリストファー・ノーラン監督の最新作『ダンケルク』がトップ。累計興行収入は1億283万6,220ドルと公開から1週間で1億ドルに到達した。2位は初登場の『The Emoji Movie(原題)』。ソニー・ピクチャーズの新作CGアニメで、スマートフォンの世界を舞台にした"絵文字"が主人公の物語。ビデオ作品『リロ&スティッチ2』で監督を務めたトニー・レオンディスがメガホンを取り、『デッドプール』のT.J.ミラーが主役の声を演じる他、英国の人気番組『ザ・レイト・レイト・ショー』の司会者としても知られるコメディアン・俳優のジェームズ・コーデン、『ジュラシック・ワールド』のアンナ・ファリスらが声優陣として名を連ねている。本国では「この作品について面白いことを言えそうにない。なぜなら観て死にたくなったからだ」など評論家による酷評が相次いでいるが、日本での劇場公開は実現するのだろうか。3位の『Girls Trip(原題)』は前週2位からワンランクダウン。前週3位の『スパイダーマン:ホームカミング』も5位に後退した。代わって4位に初登場したのは、シャーリーズ・セロン主演のアクション作品『アトミック・ブロンド』。アントニー・ジョンソンのベストセラー・グラフィックノベルを映画化したスパイ映画で、『デッドプール』の続編で監督を務めるデビッド・リーチが指揮を取り、『X-MEN』のジェームズ・マカヴォイ、『キングコング髑髏島の巨神』のジョン・グッドマン、『キャプテン・アメリカ』シリーズのトビー・ジョーンズらが共演する。6位『猿の惑星: 聖戦記』、7位『怪盗グルーのミニオン大脱走』など以下は前週と変わらぬラインナップでそれぞれ1~3ランクずつ順位を下げている。
2017年07月31日