【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第54回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】自身のがんと発達障害の長男に関する悩みで心がぐちゃぐちゃです。私は6年前に乳がんを患って、胸の全摘手術や抗がん剤治療をした後も、ホルモン治療を続けてきました。ですが最近、それが骨と肝臓に転移していることがわかりました。主治医からはステージ4だと言われています。そこで、一番心配になったのがこれからの長男の生活です。息子は今、発達障害(自閉症スペクトラムと多動性障害)を抱えており、就労ができずに人生の迷路をさまよっています。どうも本人に就労意欲がない(ように見える)ようで、何度話し合ってもラチがあかなくて。「私が死んだら、この子はどうやって生きていくんだろう?」と心配でなりません。ただ、自分自身の病気のこともまだ折り合いがついていなくて。病気になったことや残された時間の過ごし方、今後の長男の生活など、悩みの種が同時に襲ってきて気持ちがぐちゃぐちゃになってしまいました。この気持ちを整理するにはどうすればいいでしょうか。(女性・54歳・経営者)【回答】ご自分のご病気、ご長男のこと、どんなにぐちゃぐちゃなお気持ちでいらっしゃることでしょう。少しでもわかりたいと思うのですが、わたくしごときには想像もつきません。その“ぐちゃぐちゃ”をどう整理したらよいだろうか、ということですね。う〜ん……一発解決の大正解は……う〜ん……見つかりそうにありません。この世の中には、どうにもならないことが歴然と存在しています。自然災害もそう、病気もそう。私たち人間ごときにはどうこうできないものがたくさんあります。でも、こうして世の中は続いている。これまでにだって何度も全生命絶滅の危機はあったはずですが、こうして続いている。つまり、成るようになる。思い悩んだところで、成るようにしかならない、ということなのではないかと思うのです。私たちは、どうなるかわからないものをわからないままにしておくことがとても苦手です。いつだって、わかりたい、なんとかしたいと四苦八苦しています。でもね、この先どうなるかはやっぱりわからないのです。わからないことを思い悩んで多大なエネルギーを無駄遣いするより、同じように使うならもっと実のある使い方をした方がいい気がしませんか。この先残された時間がどれくらいあるのかはわからない。息子さんがどうやって生きていくのかもわからない。それは、どうしたってわからないので、わからないままそっと置いておく。そのかわり、一緒にいられる“今”の時間をどう過ごすか。散歩に誘ってみようか、ランチをしようか。それなら私たちの範疇です。勝手なことを言って申し訳ない。でも心から、あなたの“今”が万事うまくいくことを願っています。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年12月11日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(73)が、読者からの相談に答える!【Q】「家族から『気持ち悪い、生きているうちに処分して』と言われ、大切にしていた人形を『ブックオフ』で10円で売ってしまいました。後悔しています。どうしたらいいですか?」(スズちゃん・69・主婦・埼玉県)【A】「『わずか10円』ではなく『10円ももらえた』と思えばいい」(蛭子能収)残念ですね、エヘヘ。売られた人形にはかわいそうですが、それも運命というんですか、そういう流れだったと考えたほうがいいですよ。「わずか10円」じゃなくて「10円ももらえた!」と思うようにしたほうがいいですよ。オレも、自分が描いた漫画の原画を、自分の分身のように大事にとっています。どんどんたまっていってそろそろ整理しようと、自分で面白いと思ったり、苦労したりした作品だけを残そうとしたんです。でも、オレがときめくような漫画はありませんでした、テヘッ!過去の作品を見ていたら、とくに都会を舞台にしたものがないんですよね。本当はビルや家など街中の場面を描きたいんですが、定規を使うのが面倒で、つい山の背景ばかりになってしまったんですよね。後悔しています。そういえば、今度、競艇に行くのに軍資金がないんです。原画を『ブックオフ』に持っていけばいくらか金になりますかね……(マネージャー「奥さんにすごく怒られますよ」)、どうしたらいいですか?「女性自身」2020年12月15日号 掲載
2020年12月07日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第53回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】在宅勤務で同僚とのコミュニケーションの取り方に悩んでいます。私の会社はコロナ禍でテレワークが本格化し、今ではほとんどの社員が自宅で働くようになりました。それ自体は、往復1時間の通勤がなくなるなど嬉しいこともあるのですが、一方で同僚とのコミュニケーションが取りづらくもなって……。今までは相手に余裕がありそうな時を狙って雑談をしていたのですが、テレワークになってからは仕事に関係のある話しかしなくなりました。一応、パソコン上には顔を見ながら話せるオンライン休憩室もありますが、わざわざ休憩時間を合わせてまで話すことでもないので、いまいち活用はできていません。雑談が仕事に直結するというわけではないのですが、そうした他愛のない話を通して相手との信頼関係を維持していたところもあったので少し困っています。玉置先生ならこういうとき、どうやって相手とコミュニケーションを取りますか。(48歳・男性・会社員)【回答】あの〜……。雑談って仕事に必要なコミュニケーションなのでしょうか。もし私だったら、余裕がありそうなそぶりを見せるとすかさず狙って雑談をふっかけてくる同僚や上司がいたら、間違いなく逃げ出しますけれどね。「他愛のない話を通して相手との信頼関係を維持していた」と思っているのは、あなたです。雑談で気分が落ち着いて、相手との信頼関係が維持できているといい気分になって、仕事が円滑に回っていると満足する。それぜんぶあなたのフレーム(価値判断基準)を通してみた世界のありようなのですが、果たして、お相手の方々はいかがでしょうか。みなさんあなたと同じフレームをもって世の中をご覧になっているのかしら。オンライン休憩室にどなたもいらっしゃらないのが、その答えのような気もします。人と人との信頼関係というのは、雑談ごときの長短に左右されるものではないと思います。どんなに距離が離れていようとも、どんなに長く声を聞かずにいようとも、そのことでどうにかなる間柄なら、そこには信頼関係など最初からなかったのでしょう。2020年を呑み込んだコロナ禍。私たちはたしかに大きな打撃を受けました。しかし、「禍」ばかりではないとお思いになりませんか。さまざまなことを変えざるを得ない状況の中で、私たちはより「本質」を見る力をつけさせてもらっていると感じています。働き方、学び方、人間関係、家族の在り方、そして生き方、死に方。これまであたりまえのようによく考えもせずやってきたことを、ひとつひとつ見直す絶好の機会になっていると感じるのです。あなたのお困り事もその一つ。これを機に信頼関係とはいったいなんなのか、秋の夜長にじっくりと考え直してごらんになってはいかがでしょうか。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年12月04日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(73)が、読者からの相談に答える!【Q】「夫がすぐにキレて困っています。電車で女子高生に『うるさい!』と怒鳴ったり、スーパーで子どもに『遊ぶな!』と叱ったり。一緒に出かけるのも嫌になってしまい悲しいです」(笹モッチーさん・64・パート・千葉県)【A】「怒りっぽい人は、自分だけが正しいと思っている自意識過剰な人」(蛭子能収)この夫は昔から怒りやすい人ですかね。(マネージャー「コロナの影響で社会全体がイライラして、怒りっぽい人が増えているようです」)えっ、そうなんですか。コロナは、イライラも感染するんですか。(マネージャー「蛭子さん、マスクがずれています!」)あっ、ハイ。でも、この夫は、いつか、なにかしらのトラブルの加害者になるか被害者になると思います。巻きこまれたら大変だから一緒に出かけないほうがいいと思いますよ。オレはあまり怒りませんね。漫画家の根岸さん(マネージャー「根本敬さん!蛭子さんのことを気にかけてくれていますよ!」)あっすみません。根本さんが「蛭子さんは無意識過剰だ」と言うんです。怒る人って自意識過剰で自分だけが正しいと思っているんですよ。テレビ局には、そういう横柄な人がいっぱいです。(マネージャー「お世話になっています。そんなこと言わないでください!」)そんなにイライラしなくても。もしかしてコロナに感染したんじゃないですか?テヘッ!「女性自身」2020年12月1日・8日合併号 掲載
2020年11月30日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第52回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】定年を迎えて子どもも巣立った今、これからの生活が不安でなりません。私は15年前に離婚してから女手一つで2人の子どもを育ててきました。今ではその子どもたちも成人に。自分の元から巣立っていきました。私は若い頃から子どもだけが生きがいで、これといった趣味もなく、親しい友人もいません。今では定年を迎えて仕事もなくなり、一言も言葉を発せずに終わってしまう日もあります。以前の職場で受けた退職後の生活に関する研修では、趣味やボランティア、地域活動、人との会話が重要であることを教えられましたが、その重要性はわかっても、人付き合いが苦手な私には、いまひとつ前に踏み出せません。ですが、それを理由に子どもを私の話し相手にするのも迷惑がかかるのであまり頼りたくなくて……。元気な老後を過ごしたいと思うのに、この先の老いていく私に希望が持てません。(女性・61歳・無職)【回答】子どもは間違いなく生きがいですよね。女手一つでお二人のお子さんを立派に育てあげられたのなら、趣味なんて持つ余裕もかったことでしょう。ご立派でした。おかあさん、頑張りましたね。心から尊敬します。その子どもたちも無事巣立って、仕事も定年。一言も話をしないで終わる日もある。そうですか。こころもからだも、今、完全休業でいらっしゃるのですね。ところで、戦闘ゲームはなさいますか?携帯やパソコンを使ってポチポチとやる、あれです。私は最近、ヒーローと怪物が闘うゲームを熱心にやっているのですが、有能なヒーローにも休業時間があります。エネルギーを使い果たしてしまうと、次に攻撃するエネルギーがたまるまで怪物からの攻撃を避けながらただひたすらじっとしてなければなりません。そうしますとね、いずれエネルギーがたまりましてね、またどど〜んと打って出ることができるのです。同じじゃないですかね。あなたとヒーロー。これまで子育てに仕事に、わき目もふらずエネルギーを注いできたターンが終了して、今はじっとエネルギーをチャージするターンになった。でも、いずれエネルギーがたまれば、また動き出すターンになります。それまで、気楽にぼーっとしていましょうよ。「誰とも話していないから駄目だ」「子どもに迷惑がかかるから頼りたくない」などとネガティブに考えていると、せっかくたまりはじめているエネルギーが端から駄々洩れです。あ、それから。研修でお聞きになった趣味やボランティアや地域活動。ちっとも重要じゃないです。一歩踏み出す必要なんて、さらさらありません。ひとの退職後の生活にまで口を出すなって、言ってやりましょう。あなたの「これから」ですから。エネルギーがたまれば、あなたの中のなにかがきっと動きはじめます。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年11月27日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(73)が、読者からの相談に答える!【Q】「リモートワークが増えた夫は、毎日のように台所に立って角煮やビーフシチューなどの肉料理を作ります。先日はパンチェッタを手作りに!食費が大変だからなんとかやめさせたい」(シャイン桃さん・36・派遣社員・東京都)【A】「東野幸治さんは関西人っぽくない、とても愛のある優しい人」(蛭子能収)オレは肉好きだから、このメニューが毎日続いてもまったく問題ありませんね。ところでパンチェッタってなんですか?(マネージャー「豚肉の塩漬けです」)たしかに、お金がかかるものばっかり作っていたら家計が大変ですね、ウフフ。この夫は、あなたのためと思って台所に立っているかもしれないから、トラブルにならないように「おいしいけど、毎回、お金をかけていたら破産しちゃうよ」と優しく言ってみたらどうですか?優しいといえば、この前、テレビ番組(『主治医が見つかる診療所』テレビ東京系)のロケで、“東尾”さん(マネージャー「MCのひとりの東野(幸治)さんです!」)には、すごく気にかけてもらいました。東野さんは、いい意味で関西人っぽくなくて、とても愛がある人です。今回、オレの認知症改善プロジェクトを立ち上げてくれたんですが、“東尾”さんのためにも頑張ります。(マネージャー「東野さんです!」)ところでパンチェッタってなんですか?(マネージャー「……」)「女性自身」2020年11月24日号 掲載
2020年11月16日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談< 特別編(1)>「看取り」について発信し続け、悩み相談の名手としても知られる看護師・僧侶の玉置妙憂さんが、新刊『心のザワザワがなくなる比べない習慣』の発売を記念して、コラムニストの辛酸なめ子さんとトークイベントを開催!そこで、今週から2週にわたっては連載特別編として、その対談の内容を紹介していきます!今週は「つい比べてしまう人」へ向けて、お二人が“処方箋”を送りました。■臨終の現場にも現れる「比べて妬む」人たち辛酸なめ子(以下、辛酸)「いま、コロナで仕事の仕方や日常生活が大きく変わってしまいつらい、という方も多いようなんですけども、妙憂さんのお仕事はどうですか?」玉置妙憂(以下、玉置)「私は普段は看取りの現場にいるんですけど、やっぱり影響を受けました。緩和ケア病棟は、毎日家族がお見舞いに来て、できるだけ長い時間一緒にいるもの。そうするのが看取り。というイメージが皆さんにあったと思うんですけど、それが無理やりな力でできなくなりました」辛酸「『看取りに立ち会えない』問題があると聞き及んでおります」玉置「病室には入れないので、画面越しに看取るということはありますね。病院によっては、最期は入っていただいたりするところもあるようですが」辛酸「病院によっても対応は異なるということですね」玉置「そうですね。そうすると、ここでも比べるという気持ちが入ってきてしまうんですよね。『あの病院は看取れるのに』というクレームが入るケースもあるようです。私がいる病院では、緩和ケア病棟は面会の時間を30分取り、一般病棟は全くゼロという時期もあったんです。そうすると、『あの方は3日前にも来て、30分超えても滞在してましたよね?だったらうちもいいですか?』とか、『緩和病棟の患者さんばっかりずるい』とか、そういうふうに比べる方もいらっしゃったりするんです。大切なご家族のそばに一秒でも長くいたい気持ちはすごく分かるんですけど、ご状況が少し違うわけじゃないですか。生死の境にいらっしゃる方と、回復の見込みが高い治療中の方だと違いが出るんですけど、「平等にしてほしい」となるわけです。でも、そうなるとすごく苦しいですよね。本当は。比べて同じようにしてくださいって言ってしまうと、今度、ご自分のところが切迫した状態になったときにも、その例外を認められないこともあり得るわけではないですか?」辛酸「条件が厳しいほうに合わせると、そうなりますね」玉置「ですから、看取りの現場と日常生活を全部同じには言えないですけど、『人に厳しくする』『比べて厳しくしちゃう』ということは、それが自分にも返ってくると私は思うんです」辛酸「自粛警察も、そうですね。人を厳しく戒めると、結果的に自分の自由も制限されるという」■コロナ疲れ撃退には「新しい流れ」に乗ることも大事辛酸「私たちはいままで、自分たちが思う以上に『普通』や『常識』に囚われてきたのでしょうか。でも、コロナによって囚われから解放されると」玉置「そうなんです。そしてコロナ禍のポイントは、そういう状況に強制的になったということですよね。出社なんて最たるもので、いままではこれに沿っていれば間違いはないと思ってた価値観からぽんと放り出されたということですよね。そうするとやっぱり迷い始めますよね?」辛酸「そうですね。突然なくなる戸惑いはあるでしょうね。私は出社はしませんけども、海外取材やパーティが突然なくなって、戸惑いはありましたね」玉置「いままでと違うので、最初はどうしていいかわからなくなったり、恐れを感じたり、やる気が無くなったり。ひどいと体調も悪くなったりとか。そういうような出方をしてモヤモヤなさっているのが、いまの皆さん、「コロナ疲れ」の状態だと思うんですね」辛酸「そうですね。ですから「早く元に戻らないかな」と思う方も多いと思うのですが、元に戻るでしょうか?」玉置「多分元には戻れないですよね?どう思います?」辛酸「そう思いますね。もう全部が元には戻らないような気が……」玉置「たとえばリモートワークだって、コロナ収束の見通しが立っても、『じゃあリモートやめて、全員出社』というふうにはならないと思います。万物は、絶対的に流れている時間の中でどんどんどんどん変わっていくわけじゃないですか。だからまた過去に戻らないで、違う形になっていくと思うんです」辛酸「また印鑑に戻そうとか、ならないですよね?多分」玉置「そうですね。だからこそいまは変化の時期だと思うしかないですよね。コロナの状況をつらいな、嫌だなと思っていらっしゃる方もいると思うんですけど、逆に新しく生まれるタイミングだと、思うこともできるんじゃないでしょうか」辛酸「では、早く元に戻ってほしい、疲れる……と思うのだったら、新しい流れに乗ってみるのもありだと」玉置「そうですね。それができれば、多様なあり方を認めることができるので、いろいろなことを人と比べなくなると思いますよね」辛酸「コロナによって生まれた多様性ですね」玉置「やっぱり、自分のこともOKだったら人のこともOKだし、あの人がOKなことが私にとってOKじゃないっていうのもありだな、ということが分かってくると、いまよりもっとずっと精神的に穏やかな、そして豊かな世界になる可能性があるんじゃないでしょうか」【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。辛酸なめ子(しんさんなめこ)漫画家、コラムニスト。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。恋愛からアイドル・スピリチュアルまで幅広く執筆。著書に『大人のコミュニケーション術』(光文社新書)、『女子校育ち』(ちくまプリマー新書)、『辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎文庫)、『霊道紀行』(角川文庫)、『辛酸なめ子と寺井広樹の「あの世の歩き方」』(マキノ出版)などがある。
2020年11月13日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(73)が、読者からの相談に答える!【Q】「先輩のウェブデザイナーは、ギャラが安い仕事は手抜きをして、ギャラが高ければ必死に仕事をするサイテーな人。一緒に働く気になれません。ハッキリいって軽蔑しています」(トモウェーさん・25・会社員・愛知県)【A】「仕事における理想は『楽して稼げる』こと」(蛭子能収)軽蔑するって言われても……。(マネージャー「えっ!?ライオンはウサギをとるときも全力を尽くすというように手抜きとかしないのがプロですよ」)オレは、ギャラが高かろうが安かろうが、いつも手抜きしたほうがいいと思っています。オレは原稿料がいくら高くても漫画の背景は雑に描いています。それで稼げればいいんですよ。近ごろはとにかく漫画を描くことが面倒で、最近はもっと楽に稼げる仕事はないかなと思っています。とくに藤井なんとかという将棋をする若い人がいますよね。(マネージャー「藤井聡太さんです!」)あ、そうそう。ずっと好きなことだけやって、すごくお金をもらえるのがねたましいですよ。だからプロの将棋指しになるのが夢です。(マネージャー「藤井さんは超天才です。棋士は何百手も先を読むし、楽な仕事ではありません」)あ、そうなの?あんまり辛そうに見えませんね。できれば、オレも、ちょこっと座ってコマを適当に動かしながら稼いでいたいですね。(マネージャー「軽蔑します!」)「女性自身」2020年11月17日号 掲載
2020年11月09日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第51回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】実の娘のことで相談です。いま高校1年なのですが、言うことを聞きません。自分のバイトや趣味のことはフレンドリーに話しかけてくれるので、関係が悪いわけではないのですが、こちらがやってほしいことはほぼやりません。片付け、整理整頓、最低限の勉強、最低限の気遣い……。ちゃんと教えてきたつもりですが、何度言っても生返事で、厳しく注意すれば(主人に対しても)毒も吐いてくるので、嫌になります。特に勉強については私たちも困り果てていて。中学受験もして、勉強ができないわけではないのですが、やりません。成績も酷く、宿題もやらず、学校も行ったり行かなかったり。当然、先生からはしょっちゅう電話がかかってきます。本人は「嫌いな勉強をするより、今を楽しみたい」などといっちょまえのことを言っていますが、このままではとても大学への進学は無理です(そもそも高校卒業も)。思春期でもあり、多少は大目に見ているのですが、常軌を逸しているように思います。夫婦ともども途方に暮れているので、よい対処法を教えていただけないでしょうか。(48歳・女性・主婦)【回答】極めて正常な高校1年生ですね。「こちらがやってほしいことはほぼやりません」って、お母さん、あたりまえでしょう。しかも「最低限の勉強」「最低限の気遣い」って、どこからが最低限ですか?あなたが考える「最低限」は、全国共通の定義かなにかになっていますか?相手はもう自分というものを持っている年齢ですよ。こちらの価値観を押し付けて、「はい、そうですか」と言うわけがありません。むしろ、そう言わないことを「おお、まともに育っている」と喜ばなくちゃ。厳しく注意すると、いやな言葉を吐いてくるのもあたりまえです。どんなにかわいい子犬だって、しつこくこねくりまわされれば噛みついてくるんです。こねくりまわす方が悪い。これが世の常、あたりまえのことです。なのに、バイトや趣味のことはフレンドリーに話してくれるんでしょう?いい子じゃないですか。もうこれ以上変な風にかまって、いじけさせないでくださいね。今の世の中、大学に行ったからって安泰じゃありません。働き方だって、私たちには想像もつかなかった形態に変わっています。いろんなものの価値が変換して、世の中そのものが大きなパラダイムシフトに呑み込まれているのです。その波に果敢に立ち向かい、自力で泳いでいこうとしているのが彼女ですよ。私たちが持っている経験値なんて、彼女にはなんの役にも立たない。私たちにできるのは、彼女が泳ぎ疲れたときに休める安全地帯でありつづけること。あったかくて、やわらかくて、心も体も休まる場所でありつづけることだけなのではないでしょうか。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年11月06日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(73)が、読者からの相談に答える!【Q】「親からの虐待によって、自分に自信が持てず、引きこもってしまいました。もう少し楽天的になって明るく考えていこうと思っていますが、蛭子さん、どうしたらいいでしょうか?」(ネネです、さん・50・無職・茨城県)【A】「自信がなくても別にいい。笑っていればなんとかなる!」(蛭子能収)深刻ですね、ウヒヒ……。(マネージャー「すみません!蛭子さんは切実な話になると、本心とは別に笑ってしまうんです」)深刻といえば、小さいときオレは長崎の長屋の2階に住んでいましたが、1階にアイスクリーム屋さんがあったんです。その店でよくアンモニアが漏れて「ガス爆発するぞ!」とたたき起こされて夜中に避難したことが何度もありました。翌日、お詫びとして、アイスキャンディがもらえるんですが、大人は深刻そうに逃げていましたが、俺は喜んで逃げていました。(マネージャー「大変だと嘆くより、小さな幸せを積み重ねたほうがいいということですか?」)いや、そんな難しいことはわかりません。そもそも引きこもりが悪いことだとは思いませんけど、外に出ている人は自信を持っているわけではないと思います。オレも漫画家なのに絵が下手クソで、犬を描いてもだいたい猫だと思われます。でも、笑いながら「これは犬です」と言い切れば大丈夫でした。とにかく笑っていれば、なんとかなりますよ!「女性自身」2020年11月10日号 掲載
2020年11月01日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第50回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】引っ越してきてから近所の人にずっと怯えて暮らしています。20年前です。引っ越しの挨拶回りをしていたとき、私は向かいの人から初対面にも関わらず、車のドアを閉める音がうるさい、玄関の開閉音がうるさい、子ども外で遊ばせるな、などの文句を言われました。私はそれだけでも怖かったのですが、向かいの家の中からは、よくその人の怒声も聞こえてきて。その矛先が私たちに向かうと思うと怖くて仕方がなかったので、子どもが小さいころは、窓を閉め切って、大きな物音を立てないように気を張って生活していました。今では子どもも成人して家を離れ、以前のように文句を言われることは少なくなりました。けれども、得体のしれない怖さは自分自身の中に残っていて、未だに何か言われるのではないかと不安を抱えて生活しています。この不安な気持ちをどうにか軽くすることはできないでしょうか。(53歳・女性・会社員)【回答】20年!?20年ですか……。あまりの時の長さに、走馬灯のようにいろんなことが頭に浮かんでしまいました。あなた、20年って、本当に大変なことですよ。これまでの人生の3分の1を不安な気持ちで過ごしてきたということではないですか。それはもう……お気の毒としか言いようがない。この不安な気持ちを軽くすることはできないか、ということですね。私だったら、私だったらですよ。持ち家だろうが家のローンが残っていようが、全力で引っ越す方向で動きます。だってね、困り事の元凶からは距離を置くに限るんです。でも、最近は以前のように文句を言われることは少なくなったんですね。でも、得体のしれない怖さが残っていると。となると、これは、あなたの心の「クセ」の問題ですね。長きにおよんで「文句を言われる」ことを警戒して生活してきた心には、文句を言われるんじゃないかと警戒するクセがついてしまったのでしょう。これはクセですから、事実とは関係なく回路が回ってしまいます。だから漠然とした不安がいつも生成されているのです。どうにかしたいクセを消すためには、あたらしいクセで上書きする方法があります。「不安にならなくても大丈夫」と考えるクセをつけるのです。クセをつけるためには繰り返しが大切です。毎朝10回「私は安全なところにいる」と唱えるとか。「文句を言われたとしても平気」と書いた紙を貼って、目に入るたびに「そうだそうだ」と思うようにするとか。見て、聞いて、声に出して、五感をフル活用しながら新しいクセをつけていきましょう。まだお若いんだもの。人生あと半分以上ありますからね。いい「クセ」つけて、らく〜に生きていっていただきたいと思います。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年10月30日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(73)が、読者からの相談に答える!【Q】「14歳の中学生の娘がまったく本を読みません。小さいときから読書が趣味だった私としては、本は心を豊かにするものだと。どうしたら娘が本を読むようになるのでしょうか?」(ポムさん・63・パート・埼玉県)【A】「オレは生涯で1.5冊しか本を読んでない」(蛭子能収)オレと一緒ですね。(マネージャー「蛭子さんは70年以上生きていて、1冊しか本を読んだことがないんですよね」)あ、そうですよ、安部……なんとかの、なんとかの女。(マネージャー「安部公房の『砂の女』です」)映画を見て衝撃を受けて原作を読んだんです。あと美輪明宏さんの本も、半年かけて半分読んだことがありますから生まれてから読んだ冊数は1.5冊ですね、うへへ。それにしても、最近はもの忘れがあって、頭がボーっとしている、しかも本を読んだことがないオレに相談しますかね。この人は心が広いかもしれませんが、視野はすごく狭そうですね。本を読むかどうかは娘の自由だと思いますけどね。強制的に読ませる必要はありませんよ。オレは読書しないことで、苦労したことはありません。少し恥ずかしいことぐらい。そんなのどうでもいいことですね。でも、50年以上、スポーツ新聞の競艇のコーナーは読み込んでいます。選手の戦績や天候などを考えながらレースを予想する。きっと視野が広くなりますよ。「女性自身」2020年11月3日号 掲載
2020年10月26日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第49回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】実の兄から絶縁を迫られています。最近、母が亡くなりました。母は父が他界してからずっと兄との二人暮らしで、長いあいだ介護が必要でした。そこで、もっぱら母の世話を焼いていたのが兄。自分自身が持病を持ちながらも、優しい性格の持ち主であった兄は、とても献身的に母の世話をしていました。しかし、母の死後、そんな兄から私は絶縁を言い渡されました。理由は私が介護の手助けをしなかったことだと言います。ただ、私たち家族もやれる範囲で精一杯やってきましたし、なによりこれから独りになる兄が心配でなりません。門前払い覚悟で話し合いに行くべきか、今は時をおくべきか。関係を修復するためにはどうしたらよいでしょうか。(64歳・女性・無職)【回答】人生いろいろありますね。さぞかしお気持ちの晴れない日々を送っていらっしゃることでしょう。胸がふさがる思いで読ませていただきました。お兄さまからの絶縁宣言。門前払い覚悟で話し合いに行くべきか、今は時をおくべきか……。私は、時をおくべきと思います。二人暮らしで献身的にお世話されてきたお母さまを亡くされて、お兄さまは今、その事実を消化することに精いっぱいでいらっしゃるのでしょう。大切な人を失ったあとの虚無感というのは、一緒にいた時間の物理的な長短に比例すると思っています。24時間一緒に暮らしていた方ならば、そのぽっかり空いてしまった穴は、ちょっとやそっとじゃ埋めきれない大きさでしょう。それを埋めるために、人は泣いたり、怒ったり、ときには当たり散らしたりして、四苦八苦します。時間をかけて、“時間薬”の力を借りて、もがきながらすこしずつ穴を埋めていくのです。お兄さまは、今まさにその作業の真っただ中。押しかけていって、さらなる負荷をかけるのはお気の毒ですよ。話し合いといっても、つまるところは「私たち家族もやれる範囲で精一杯やってきた」ということをお兄さまに認めさせたいだけでしょう?今は時をおきましょう。お兄さまの作業を見守りましょう。思いつめすぎてお体を壊すことはないか。病的にお気持ちが沈んでいる様子はないか。注意しながら静かに見ていましょう。大切なのは、かたくなに背を向けているお兄さまがふと振り返られたときに、そこにあなたさまが変わらずにいることだと思います。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年10月23日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(72)が、読者からの相談に答える!【Q】「介護施設に勤めていますが、管理者から『できない人のレベルに合わせてほしい』と。経験がまったくない人に合わせるの?このままこの施設にいるか転職するか迷っています」(Keiさん・63・非常勤職員・京都府)【A】「仕事において大事なのはプライドよりもお金」(蛭子能収)面倒くさいですね。(マネージャー「しっかりお仕事しましょう!」)仕事のできない人のペースに合わせるのは、この人のプライドを傷つけるんですかね、ウフフ。給料が安くなったら大問題ですが、そうでなかったら上司の言うことを黙って聞いていればいいんですよ。(マネージャー「蛭子さんも高校の美術部では先生の顔色だけ見ていましたよね」)あっ、そうそう、たいがいは手の込んだ絵を描いておけば、先生に褒められて長崎市の展覧会に出してもらっていました。なかには抽象画が好きな先生もいて、わざと太陽を2つ描いたらすごく喜んでくれました。(マネージャー「昔から意外とずる賢いんですね」)いや〜、だって、賞をもらうことが目的であって、好きで絵を描いていたわけではありませんからね。仕事だって、金を稼ぐために仕方なくすること。本心では誰も好きで働いている人なんていませんよね。金を出してくれる人の言うとおりにしておけばいいんですよ。プライドなんて面倒くさいだけですよ。「女性自身」2020年10月27日号 掲載
2020年10月19日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第48回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】母の延命治療をやめられなくて困っています。昨年6月、母は脳梗塞で倒れ、後遺症で食事をすることができなくなりました。そのとき、病院からは胃ろうにするか、経鼻経管栄養にするか、そのままにするかの3つの選択肢が。私たち家族は突然のことでうろたえてしまい、看護師の「経鼻経管栄養にすると元気になる」という言葉にすがって経鼻経管栄養を選択しました。けれど、それから1年が経ったいまも、母は食事どころか一滴の水を飲むこともなく、病院のベッドで横になって苦しい日々を過ごしています。私としては、母の人生の最期がこんなにも苦しいもので終わってほしくないので、延命治療は中止したいと思っています。ただ、看護師からは中止できないと言われています。私たちが延命治療を選択したのだから自分たちの責任であることは重々承知ですが、治る見込みのない延命治療に意味はあるのでしょうか。玉置先生ならこんなときどうしますか。(59歳・女性・主婦)【回答】大変なご状況ですね。ご心労いかばかりかと、胸が痛みます。気になりましたのは、「看護師の経鼻経管栄養にすると元気になるという言葉にすがって」「看護師からは中止できないと言われて」ということですが、お話しされているのは医師ではなく看護師ですか?お話の内容は治療方針に関わる重要な部分です。治療の専門家は医師ですから、このようなご相談は最終的には主治医となさった方がいいですね。看護師はあくまでもケアの専門家ですから。それから、延命治療は中止できない、経鼻経管栄養を延命治療と解釈できるのはおっしゃる通りですが、現場では経鼻経管栄養を中断することはいくらでもありますよ。なぜなら、経鼻経管栄養=延命治療ではないからです。私ならどうするか。まず、主治医と話をします。そして、今がどういう状況なのか理解する努力をします。少し厳しい言い方ですが、患者側も賢くならなければいけません。「看護師の言葉にすがって」とか、「看護師からは中止できないと言われて」とか、看護師から得た情報だけに縛られて右往左往するのはいかがなものでしょう。世の中は便利になっているのですから、本でもネットでも、もっと多角的に情報を集められるようおすすめします。ところで、お母さまには意識がおありなのでしょうか。コミュニケーションはおとりになれますか。「病院のベットで横になって苦しい日々」「人生の最期がこんな苦しいもので終わってほしくない」と、お母さまがおっしゃっておいででしょうか。そうであれば、お母さまの心のケアが必須です。もし、そうでなく、あなたがそう考えてしまっていらっしゃるなら、お伝えしたいことはふたつです。ひとつは、お母さまはそうは思っていない可能性があるということ。もうひとつは、あなたの心も手厚くケアされなければいけないということです。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年10月16日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(72)が、読者からの相談に答える!【Q】「近所に太鼓をたたく人が引っ越してきて、朝からずっと太鼓をたたいています。頭が痛くなり110番を何回かしましたが効き目がありません。あきらめて引っ越ししようかと……」(だいふくさん・67・主婦・岡山県)【A】「他人に迷惑をかける人からは殺される前にとっとと逃げるべし」(蛭子能収)今は騒音を注意しにいったら、逆ギレされて殺されてしまうこともありますからね。オレがこの人と同じ立場で、仮に引っ越すことが可能なら、とっとと逃げてしまうかもしれません。とくに警察が来てもやめないのだったら危険な人だと思いますし、太鼓をたたく人とはけんかはしないほうがいいですよ。オレは、太鼓をたたく人のように、他人に迷惑をかける人がすごく嫌いです。でも、じつは今、オレが認知症……になっているかどうかわかりませんが、女房がオレの病院に付き添ってくれたり、いろいろと面倒をみてくれているんです。それは健康な女房の自由な時間をしばっているから、すごく申し訳ないと思っています。(マネージャー「蛭子さんは変なところで九州男児だから感謝していても口にしないのがよくないですよ」)え、そうかな。オレは佐良直美の『私の好きなもの』という曲が好きで、よく歌っているんですが、それでいちばん好きだと伝えているつもりなんですけど……だめですか、やっぱり!「女性自身」2020年10月20日号 掲載
2020年10月12日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第47回>TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】保育園に通うひとり娘がなかなかうまく言葉を喋れなくて悩んでいます。私の娘は今年で2歳になりますが、周りの同じ年ごろの子たちと比べて喋り方がかなり拙く、私も気にはかけていました。でも先日、自治体の健康相談室の人から「普通と比べてかなり話し方の成長が遅いですね。たくさん話かけてあげてください」と、はっきり言われてしまって……。両親からも病院に連れていったほうがよいのではと、しょっちゅう言われるようになりました。私としては、自分なりに仕事以外の時間は娘と接して、いろいろ手を尽くしているつもりだったので、育児の至らなさを責められているようでなりません。こんな気持ちをどう整理すればよいでしょうか。また娘を病院に連れて行ったほうがよいのでしょうか(36歳・女性・会社員)。【回答】ご相談くださって、ありがとうございます。ご心配のあまりこんがらがってしまっているところもあると思うので、整理していきましょう。まずは、「普通と比べて」ということですが、もともと子供の成長には個人差がありますからね。なにをもってして「普通」とするかは難しいところがあります。まずは、そこをふまえておきましょう。次に、とはいえなにかあるのかもしれませんから、医者に相談してみるのはよいことだと思います。万が一なにかあったような場合には、対処が早ければ早い方が良いということもありますから、気軽に相談してみてください。私は看護師で病院にいましたけれど、こういったご心配で受診なさる親子さんはたくさんいらっしゃいましたよ。そして、「子どもがなかなかうまく喋れない=母親の育児に問題がある」ではないことをしっかりわかってください。あなたの耳が、そうねじ曲げて聞いてしまっているだけです。ご両親様だって、かわいいお孫ちゃんのことを思って受診を勧めてくださっているだけですよ。それなのに、「至らなさを責められている」と思って聞いてしまうと、それを認めることになりそうで、なかなか病院にも行きづらいでしょう?子育て中のお母さんは子どもを守りたいばっかりに、時に視野が狭くなって自分で自分を追い詰めてしまうことがあるようです。孤軍奮闘。全責任を自分がとらなきゃならない、すべては自分のせい、みたいなね。でも、丸投げできることはしちゃいましょう。医者に頼れることなら医者に。そのほかのことだって、どんどん身近にいる人の手を借りちゃいましょうよ。だって、育児なんてね、我が子を「かわいい!」と思ったらそれだけでパーフェクトですから。まずは、肩の力を抜きましょう。深呼吸して。大丈夫。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年10月09日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(72)が、読者からの相談に答える!【Q】「夫は81歳になります。近ごろ、エロいことばかり言うのです。エロボケとまた違うみたいです。朝、起きると『やりたい』とか『裸になれ』とか……。どう対処すればいいのか?」(でガラしさん・76・パート・東京都)【A】「笑って旦那さんの手を握ってあげてみては?」(蛭子能収)70歳を過ぎても色っぽい人は多いですよね。吉永小百合さんなんて、すごくキレイです。相談してくれた人も、「誘われてどうしましょう」と少し自慢なのかもしれませんよ。(マネージャー「いや、たぶん困っているから相談していると思いますよ」)あっ、そっか!それにしても81歳ですごいですね、うへへへ!オレは、「裸になれ」なんて女房には絶対に言えません。「何言ってるの?」と蹴られてしまいますよ。(マネージャー「この旦那さんの言動は、認知症の可能性もあるかもしれませんよ。本で読んだんですが、記憶が若いころに戻っているかも」)あっそうなんですね、認知症になってしまうなんて大変ですね。(マネージャー「……」)いっそのこと「あなたとエッチしたら私、病気になっちゃうけどどうする?」と明るく聞いてみたらどうですかね。あとは……、オレは、寂しくなったり不安になったりしたときに女房の手を握れば少し落ち着きます。笑って旦那さんの手を握ってあげたらどうですかね。「女性自身」2020年10月13日号 掲載
2020年10月05日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第46回>TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】学生のころにいじめをしてしまった記憶に苛まれています。私は中学生時代にいじめグループに所属していたことがあります。当時の私は、自分が無視されてしまうことがほんとうに怖くて、自分が標的にならないようにと、同じクラスの子を集団で無視したり、筆箱や上履きを隠したり、影で悪口を言ったりと、いじめに加担していました。その結果、標的となった彼女は不登校になったのち、別の学校へ転校。その後どうしているのかは全くわかりません。それから20年ーー。私は結婚して子どもができたのですが、子どもを見ていると、何であんなことをしてしまったのかと、後悔がどっと押し寄せてきています。こんな私にいまできることは何かありますでしょうか。(34歳・女性・主婦)【回答】そうですか。いじめる側でしたか。愛おしい子を待つ身となって、その時のことを後悔されていらっしゃるのですね。私は、いじめる側といじめられる側は対極にあるように見えて実は同じだと思っています。どちらも道の端っこから転がり落ちてしまっているという点では、ですけれども。でも、若く経験の足りない頃は自分の歩いている位置がわからないので、どこが端っこか見当がつかず、うっかり落ちてしまうことがしばしばあります。何度も何度も落ちているうちに、「あぁ、ここが端っこだ」とわかるようになり、落ちないように真ん中を歩くことができるようになるのです。いじめに加担しなければ自分がいじめられる側になってしまうと思って、いじめる側だったあなたには、両者が同じということがよくおわかりいただけるのではないでしょうか。20年たって、そのからくりがようやく腹に落ちたのですね。さて、こんな私に今できることはあるか。いろいろあると思います。こうやって質問してきてくださるほど深く考えることも「できること」でしょう。我が子を見守り、必要であれば経験から得た助言をすることも「できること」でしょう。経験したからこそわかる当事者の気持ちを活かして、いじめ問題に取り組むことだってできると思います。ただ、なかったことにすることはできません。誰かに許しを請うのも、違うような気がします。やってしまったことはやってしまったこととして、後悔の念に七転八倒しながら、一歩でもまっとうな人間に近づけるように日々精進していく。もう二度と道を踏み外さないようにしっかり真ん中を歩いていく。それが、一番重要な「できること」のような気がします。彼女、幸せになってくれているといいですね。彼女の人生が、豊かで、穏やかで、順調でありますように。私も祈ります。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年10月02日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(72)が、読者からの相談に答える!【Q】「5歳の孫が心配です。嫁は教育熱心で『私立小学校にいれる』と塾に通わせています。オモチャを買ってあげても『勉強のジャマ』と取り上げられたよう。孫がかわいそうです」(スベランカさん・61・主婦・愛知県)【A】「子どもや孫は過保護にせずに遠くから見守っていればいい」(蛭子能収)オレにも孫が6人いますが、(マネージャー「8人です!」)あ、そっか!でも孫にあまり興味がありません……というか、もう何年も会っていませんよ。(マネージャー「奥さんがお年玉を渡すなどしているし、連絡をとっていますよ」)あ、そっか!オレが、散歩に行く公園には喫茶店があって、コーヒーを飲みながら、子ども連れのお母さんたちをよく見ています。若いお母さんたちは、自分たちのおしゃべりに夢中で、小さい子どもたちがトコトコと歩き回っても気がつかないんですよね。ほほ笑ましいけどつい「あ〜、迷子にならないかな」と思ってしまうんですよね。(マネージャー「それはダメです、その発言は絶対にダメです!」)あ、そっか……。そのときはオレがすかさず出ていって「こっちに行きましたよ」と教えてあげようと思っただけですけどね……。おばあちゃんもそんなふうに遠くから見守るようなスタンスで孫と接すればいいと思いますよ。(マネージャー「あ、そっか!」)「女性自身」2020年9月29日・10月6日合併号 掲載
2020年09月28日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第45回>TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】最近、弟夫婦の暮らしが心配でなりません。義妹の母は以前の病気の後遺症で、1人で自由に出歩くことができません。父も認知症を患っているようで、生活のサポートが必要です。そのため義妹は仕事と家事の傍ら、休みのほとんどを2人の通院や日々の買い物のサポートに当てています。一方で、私の弟とはというと、仕事以外なにもしません。家事を手伝うことはなく、休みの日も趣味に明け暮れてばかり。また、弟夫婦は90歳近い私たちの母とも暮らしているのですが、弟は母の世話はもちろん、話し相手になることもありません。それでも義妹はとても前向きな性格で周りに不満を漏らすことはなく、母も身の回りのことは自分でできているので、いまは何とかなっています。ただ、義妹の負担や母の寂しそうな様子を見ると、この先がとても心配で……。弟夫婦の問題なので、気安く口出しするのもあれなんですが、もう少し弟に積極的に向き合ってほしいと思っています。自分はどういう風に関わっていけばよいでしょうか。(61歳・女性・会社員)【回答】義妹さんの負担がご心配で、なんとか弟さんに変わって欲しいと思っていらっしゃるのですね。そのお気持ちは伝わってきました。でも、残念ながら人を変えるということは、私たちには120%できません。人は変わるけれど、変えられないのです。こちらがいくらあれこれ気を揉んだところで、弟さんご自身がそう思わなければ変わりません。だから、弟さんを変えようという方法は、早々にあきらめましょうね。今のところ、義妹さんからのSOSも出ていないようですね。ご両親に加えて義母さまの面倒まで見ていらっしゃるのですから、本当に大変なことと思いますが、持ち前の前向きな性格でこなしていらっしゃる。たいしたものです。救援信号が出ていないとなると、あなたのご心配は杞憂である可能性もあります。さて、これからどういう風に関わっていけばよいのか、とのことですね。ものすごく短絡的で恐縮なのですが、義理の妹さんを手伝いに行ってさしあげればよいのでは?「弟夫婦の問題なので気安く口出しするのもあれ」とのことですが、こうやってもうすでに首を突っ込んでいらっしゃるわけですから、ね。お母さまが寂しそうだと感じていらっしゃるなら、お話しをしに訪ねてみるのもよいでしょう。なんとなく、それが憚られるご状況がおありなのでしょうか。もしそうだとすると、問題は弟さんではなく、義妹さんとあなたとのご関係ということになるかもしれませんね。きっといろいろな背景がおありでご苦労の多いことと思いますが、最後に、ひとつの言葉をご紹介させてください。「菩提心を因となし、大悲を根本とし、方便を究竟となす」これは弘法大師空海の教えで、意訳すると“人のためという気持ちで愛に基づき行動することこそが一番大事”という意味になります。この言葉の中にこれからの関わり方のヒントがあれば幸いです。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年09月25日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第44回>TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】このコロナ禍で、東京にある大学に戻ろうかどうか悩んでいます。私は今年の4月に東京の大学院に進学しました。でも、入学早々にコロナの影響で大学からは極力来ないでほしいとの連絡が……。私も感染するのが怖かったので、一週間も経たずに地元の浜松に戻ってきました。それから5カ月、私は今も浜松の実家にいます。修士1年である私は2年間の研究テーマを決めなければいけません。けれど、指導教員とはオンラインで一度しか話ができておらず、いまだに方向性を定められていません。また、専門書などがない実家ではできることも少なくなってきました。でも、東京に戻ることを考えると、どうしても感染することが頭にチラついて、なかなか一歩踏み出すことができません。玉置先生ならこんなとき、実家に残りますか。それとも研究を進めるためにリスクを取って東京に戻りますか。(23歳・女性・学生)【回答】2020年。今年がこんな年になるとは本当に思ってもいませんでしたよね。晴れて大学院に進学され、修士1年目の華々しいスタートだったはずなのに、出端をくじかれたお気持ちはいかばかりかとお察しいたします。さて、感染することが頭にチラついてなかなか一歩を踏み出すことができない、とのことですが、その根拠についてはもう調査済みでしょうか。あなたもこれから大学院で研究論文をまとめようという方ですから、立派な科学者の一員です。感染を怖れるにはその根拠がなくてはいけません。どうでしょう。新型コロナウイルスの感染者数は毎年流行しているほかの感染症と比べてどうですか。重症化率は?致死率は?後遺症の報告数は?もうすでに分析済みとは思いますけれど、結果はいかがでしたでしょうか。まさかとは思いますが、危険を煽るワイドショーの報道だけを根拠にしてはいませんよね?それとも、踏み出せない理由には回りの方の強い反対もあるのかしら。私たちはひとりで生きているわけではありませんから、周りの方の心情も慮らねばなりません。お父さまやお母さまのご心配もおありでしょうし、地域の人の目もあります。好き勝手にはできない、しちゃいけないってこともありますよね。でも、だからこそ、しっかりした根拠でもって安心させてあげるのがあなたの役割なんじゃないかなあ、とも思います。たったの2年しか時間がないのに、指導教員とも話せず、テーマも決まらないとあっては焦るでしょう。でも、その停滞をコロナのせいにばかりにしていては逃げになってしまうのではないかしら。大学院にいってまで研究したいことがあったから、進学したのでしょう?方向性を決めるのに重要なのは、専門書でも指導教員の助言でもなく、あなたのパッションですよ。それがあれば、今の時代、どこにいるかは何の障害にもならないはずです。「実家に残るかリスクをしょって東京に戻るか」なんて二者択一に自分を追い込まないで、もっと視野を広く持っていきましょうよ。ね。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年09月18日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(72)が、読者からの相談に答える!【Q】「女性の部下に無視されたり、言うことを聞いてくれなかったりといじめられています。彼女たちのリーダーのおつぼねさんに嫌われたのが原因のようです。どうしたらいい?」(カツラ四枝さん・35・会社員・愛知県)【A】「女性の言うことをすべて聞いていれば、波風立てることなく生きていける」(蛭子能収)これはキツいですね。いっそのこと、このリーダーに謝っちゃえばいいと思いますよ。「なにをしたかわかりませんが、ごめんなさい」と。女の人の言うことはすべて聞いていれば、波風立てずに生きていけると思いますよ。この前、大きな台風がやって来たときに、オレもなにか対策しようとしましたがオロオロするばかり。結局、女房が避難先を調べたり、防災グッズを買ったりして対応してくれました。女の人に従えば問題ありませんよ。そういえば、以前、長崎に台風が来て、町が洪水になったときのニュースで、オレが通っていたパチンコ屋が映ったことがあります。店まで雨が入ってきて、客の足は完全に水のなかにつかっていましたが、それでも「できなくなるまでやる」と話していました。困った店員に何言われても、勝つまでやめない信念はすごいですよね。(マネージャー「相談に回答してください!」)、あそっか!女性の言うことを聞くか、嫌われてもいいから貫き通すか、どっちかテキトーにすればいいですよ!「女性自身」2020年9月22日 掲載
2020年09月14日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】上の階からの騒音に困っています。郊外のマンションに暮らし始めて20年目。今年の3月に、6歳と2歳の男の子を持つご夫婦がマンションの上階に引っ越してきました。子どもたちはとにかく元気なようで、朝から晩まで、家の中を走り回る音やボールを床について遊ぶ音が響いてきます。一方こちらは夫婦ふたりの静かな生活。最初は緊急事態宣言もあって仕方ないと思っていたのですが、さすがに耐えかねて奥さんに今の状況をお伝えしました。しかし、宣言が解除されても相変わらず走り回る音は響きわたってきて……。どうにか穏便に解決できないでしょうか。(53歳・女性・主婦)【回答】朝から晩まで、家の中を走り回る音やボールを床について遊ぶ音。いやあ、これは気になりますね。大変でしょう。人間の耳は選択透過性です。すべての音を聞いているのではなく、自分に必要な音だけを聞いています。でもこの選択は好ましい音だけを選ぶわけではなく、自分にとって嫌な音を積極的にピックアップしてしまうこともあります。例えば、耳鳴りの原因のひとつに“自分の血流の音”というのがあります。誰にもその音は発生しているのですが、ほとんどの人がその音をシャットアウトして生活することができています。でも、ひょんなことから気になりはじめてしまうと、今度は進んでピックアップしてしまい、つらい耳鳴りになってしまうのです。このように、一度気になりはじめてしまった音を私たちは積極的に聞いてしまうようにできているのです。厄介ですね。さて、本来、子どもというのは元気なものです。そして、そんな子ども、とくに我が子が走り回る様子などは見ていて幸せを感じませんか。ほかにも、ペットちゃんだって好きならその鳴き声も足音も気になりませんでしょう。ところが「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」で、負の回路が回りだすと笑い声も鳴き声も不快な雑音になってしまうのです。また、あなたの旦那さまはこのことについてどんな反応をしていらっしゃいますか?まったく気にならない様子? それともやはり気にしているご様子でしょうか。というのも、もし旦那さまが上階の物音で不機嫌になられるとしたら、あなたはその旦那さまの不機嫌が嫌で上階の物音に困っていらっしゃるのかもしれません。あれこれと言いましたが、ここでお伝えしたかったのは、困りごとの根本の原因は「上階の物音」ではないかもしれないということです。ご自分のもののとらえ方だったり、旦那さまの態度に対するご自分の気持ちだったり。つまりは「自分」なのです。私たちは他人を変えることは一切できません。上階の奥さまにいくら苦情を訴えても、あなたの思うようには改善しないでしょう。でも、自分の在りようならば、変えることができるのです。決して我慢をしろと言っているのではありません。自分をリセットする方が楽で、得で、確実だからご紹介いたしました。上階のドタバタもあと2〜3年でしょう。でも、大変ですよね。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年09月11日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(72)が、読者からの相談に答える!【Q】「単身赴任先で出会った料理屋の女性と付き合っています。おとなしく従順な妻にはない、男勝りで積極的な彼女と不倫を続けたいけど、妻と別れる気持ちはありません。どうすればいい?」(二股三郎さん・41・会社員・宮城県)【A】「不倫の先には恐ろしい地獄が待っている」(蛭子能収)これは絶対に恐ろしい地獄が待っていますよ、ウヘヘ。たしか日本では一夫多妻ではないですよね。結婚のルールがあるんだったら、それに従えばいいだけじゃないですか。後ろめたく生きなくてもいいように、オレはルールを守ることを大事にしています。(マネージャー「賭博マージャンで逮捕されていますが」)あれ、そうやったっけ?不倫がバレたら、すべて失うみたいに言われていても、欲張ってその関係を続けようとするなら、簡単に幸せになることを考えちゃダメだと思いますけどね。(マネージャー談「アンジャッシュの渡部(建)さんも不倫で仕事がなくなり、年収1億円がパーになりました」)たとえ1億円あっても、ゼロになる可能性がある不倫はよくないと思います。ギャンブラーはつねに持っている金を少しでも増やそうと考えるもの。オレが競艇に行くことを変な目で見る人がいますが、休日に競艇場まで出かけて、金を増やそうとしている。たしかに持ち金が減ることばかりですが、尊い気持ちがあるんです。「女性自身」2020年9月15日 掲載
2020年09月07日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】次女のスマホの使い過ぎをやめさせることができません。高校生の娘は本当に四六時中、スマホを片手に持っていて、トイレに行くときもお風呂に入るときも、スマホを手放すことができません。みかねて「我が家のスマホルール」を作ったのですが、守ってくれることはほとんどなく、友人家族のやり方を参考にしたり、インターネットで調べた方法を試したりもしましたが、まったく効果はありませんでした。この状況に妻はかなりイライラしているようで、私たちの目を盗んで娘がスマホを使っていることに気づくと、露骨に口数が減り、家の中がギクシャクします。ただ、娘にとってスマホが大事なコミュニケーションツールということもわかっているので、思春期の娘の気持ちもないがしろにしたくないと思っています。みんなが幸せになれる効果的な方法はないのでしょうか。(49歳・男性・会社員)【回答】うーん……四六時中スマホ。母としてご心配のあまり奥さまがイライラするお気持ち、察するに余りあります。そして、間に立ってなんとかみんなが幸せになれる効果的な方法はないかとお考えになっているあなたさまのご心労、いかばかりか。我が家にも娘さんと同じ年ごろの愚息がおりますが、やっぱり息をするように一日中スマホをいじっています。ただ、それは、時代が完全に変わったからだと私は思うのです。あなたさまも電車に乗ったときご覧になったことがあるでしょう。箱の中の9割の人間がスマホを見ています。良い悪いではなく、そういう時代になったのです。ひと世代前の私たちとしては、なかなかその変化に対応できない。朝から晩までスマホをいじっていることを真っ向から否定したくなります。なぜなら、自分の中にその文化が無いから。そこには、事の良し悪しの公平な判断ではなく、やみくもに自分の持っている文化を相手に押し付けようとしているところがないでしょうか。当然のことながら、共通の基盤を持たない者がつくった「ルール」というのは、得てして守られないものです。まずは、お嬢さんが身を置いている時代の波に私たちも乗ってみませんか。「すごいね。面白そうだね。何をやっているのか教えてよ」と。そうして、あなたの文化を認めているよ、共有したいと思っているんだということを伝えます。次に、「あなたはスマホばっかりいじって!」という言葉を「私は一日中スマホをいじっているあなたが心配なの」と言い換えて、お話をしてみてください。ポイントは「あなたは」を「私は」にすることです。「あなたは!」は相手に防御態勢をとらせてしまいます。まずは「私は」で壁を壊してこちらの思いが相手に届くようにしましょう。そして、ぜひ娘さんに、電源さえ落とせばあなたが見ている世界からいつでも離れることができると、脱出ルートを教えてあげておいてください。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年09月04日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(72)が、読者からの相談に答える!【Q】「築100年の古家に85歳の姉と住んでいます。主人も子どももない不運な2人。貯金もなく、葬式代も永代供養代もありません。老い先短いこれからを生き抜く知恵を教えてください」(無い無いずくしさん・81・無職・兵庫県)【A】「生きているだけですごいこと。それで十分だと思う」(蛭子能収)オレは今、73か74歳ですけど(マネージャー「72歳です!」)、あれ、そうだっけ?忘れてしまいました。でも80歳を過ぎるまで生きられるなんて、それだけですごいと思いますよ。生きていると、病気をしたり、疲れたり、こうやって年齢を間違えて変な目で見られたりと大変ですが、やっぱり生きていることが大事だと思いますよ。葬式も永代供養なども必要ありませんよ。そもそも死んだあとのことは考えなくてもいいですよ。とにかく生きていることがすごいですよ。それだけで十分だと思っていればいいと思いますけどね。オレは兄貴も80歳くらいですが、ちょっと前まで数百円を持った兄貴と大村競艇場でよく会っていました。オレが高校生のとき、兄貴が競輪で勝った100万円を「これで家ば建て替えろ」と母親にたたきつけたことがあります。100万円で建てられた家っていうのが笑っちゃうけど、その家は、橋ができるということで、立ち退き料が出て800万円に!ギャンブラーとして尊敬しています。「女性自身」2020年9月8日 掲載
2020年08月31日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】結婚して23年。会社員で3歳年上の夫と会話が成立しません。交際していたときは普通に話ができていたのですが、結婚してからというもの夫の口数はどんどん減るばかり……。子どもを挟まないとコミュニケーションが成り立たず、夫婦2人きりなったリビングは真空のように無音の状態で、地獄の時間が続きます。子どもが独立したあとの生活を考えると、今では熟年離婚も選択肢の一つとして真剣に考えるようになりました。これからの暮らしをより良くするために、私はどうすればいいのでしょうか。(52歳・女性・パート)【回答】真空状態とは一大事ですね。命に係わります。さて、「これからの暮らしをより良くするためにどうすればいいか」とのことですが、まずは、あなたさまにとって「より良い暮らし」とはどういった暮らしなのか、具体的に考えてみようではありませんか。会話が成立しない無音の状態を地獄と感じていらっしゃるのですから、少なくとも今より良くなるためには会話が必要そうですね。して、その会話の内容は何でもOKですか?たとえば、旦那さまが職場のことを一方的に話してくれるとか、旦那さまのご両親やご兄弟についてあれこれ話してくれるとか、旦那さまの趣味や得意分野のこととか。とにかく話をしてくれればいい?あなたさまがそれを興味深く熱心に微笑みながら聞いて相づちを打ってくだされば、きっと会話の絶えない幸せなリビングになりますよ。さあ、他にはどんなビジョンがあるでしょうか。どんどん具体的に「より良い暮らし」のイメージをふくらませてみてください。ところで、あなたさまが思い描く「より良い暮らし」があるように、旦那さまにも旦那さまの思い描く「より良い暮らし」が必ずあります。双方のすり合わせは、済んでいらっしゃいますか。他人は自分の鏡と申します。ご夫婦ならましてやのこと。つまり、相手の態度は自分の態度の“映し”なのです。旦那さまの口数は勝手にどんどん減っていったのではなく、あなたさまが減らさせたという捉え方もできるということです。若いころの情熱は沈静し、子育ても終わってしまって、なんの役割も期待もなくなってしまってからが「その人と一緒にいるかどうか」の正念場のような気がします。相手がひとりの人間として存在していることだけにOKが出せるかどうか。一緒にいたのではお互いにそれぞれの「より良い暮らし」を実現できないことが確定なら、離婚もいいでしょう。反りが合わなくなってしまった人と一緒にいるより、ひとりのほうがずっと「より良い暮らし」を実現しやすいと思いますから。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年08月28日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(72)が、読者からの相談に答える!【Q】「実母と夫と3人で暮らしていますが、母が夫につらく当たります。私にとっては優しい夫ですが、母は『仕事ができない』と罵ります。母と夫が仲よくなる方法を教えてほしい」(茶々丸さん・41・自営業・宮城県)【A】「争いがある場所からは、すぐに抜け出したほうがいい」(蛭子能収)久しぶりに競艇をしました。今は窓口で舟券が買えないから、ネットで購入する方法を教えてもらいました。その日の多摩川競艇場は有利なインコースがダメだったので5、6号艇に予想をしぼりました。いい読みだったんですが、最後に4号艇が伸びてきて、結局大負け。4号艇さえこなければ20万円は取っていました。認知症になった(※編集部注:7月9日に放送された『主治医が見つかる診療所』〈テレビ東京系〉で、記憶力が著しく衰えたことから専門医を受診した蛭子さんは、アルツハイマー病とレビー小体病を併発している軽度の認知症であることを告げられた)あと、マネージャーに「競艇にはもう行きたくない」と言ったようですが、オレはまったく覚えていません。必死に予想して、レース展開に手に汗握ったからか血の巡りがよくなりました。これまでいろんなギャンブルをしてきましたが、やっぱり競艇ですね。(マネージャーに「回答してください」と促され)あっ、そっか!この人は、旦那だけを見ていればいいんですよ。争いがある場所は誰だって嫌、すぐに抜け出したほうがいいですよ。母親には「別居しますよ」と言ってみたらどうですか。4号艇がこなければ、もっといい回答ができたと思いますが、これで勘弁してください。「女性自身」2020年9月1日 掲載
2020年08月24日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】遠く離れてひとりで暮らす母に介護が必要になりました。これからも母の要介護度が高くなることを考えると、いつかは帰郷して母の面倒を見たいと思っています。そんな折、私の勤務先の会社が早期希望退職の募集を開始。退職金も上乗せになるとのことで、いっそ会社を辞めて故郷に帰ろうかという気持ちが日増しに強くなっています。一方で上洛してから25年。子どもたちを育てた家は京都にあり、都会に深い愛着があるのも事実。ふん切りがつかない状態でいます。このような判断を迫られたとき、どのような基準で決断するのがよいのでしょうか。(58歳・男性・会社員)【回答】親の介護。頭の痛い問題ですね。あれこれ悩まれ、ふん切りがおつきにならないのも無理ありません。心中、お察し申し上げます。さて、そのようなとき、どのような基準で決断すればいいのかということですね。あくまでも私の感覚で申しますが、判断基準は「ケツを持てるか」です。人間は5秒で損得を考えだすそうです。行動を起こそうとしたとき、ほんの5秒間躊躇するだけでもう「どっちが有利だろう」「こうしたほうが得なんじゃないか」「世間体というのもある」「長男の立場としてはどうするべきか」と、まあ数えきれないくらいの損得を考えはじめてしまうそうです。それが「人間というものだ」とのことですから損得を考えるのはよいのですが、問題なのは損得に振り回されて本当のところ「自分はどうしたいのか」が抜けてしまうことだと思うのです。決断するということは、ひとつを選んで、そのほかを捨てるということです。そして、そのひとつを選んだことによって生じるすべての結果に対してケツを持つ覚悟をするということです。「自分はどうしたいのか」に忠実に従って選んだ末の結果でなければ、覚悟を持ち切らんでしょう。そして、そのケツを持つ覚悟があれば、自らが下した決断はすべて「最良の決断」になります。たとえすべてを失い、世間様には大失敗だとせせら笑われようともです。ここで今一度、ご自分が大切にしているもの、守りたいもの、失いたくないもの、貫きたいもの、譲れないもの、愛しているもの、それがなんなのかをすべての外界をシャットアウトして考えてみてください。あなたさまが「ケツを持つ」と覚悟できる方へ進めば、あなたさまの周りの方々もみな安定します。場が安定すれば、未来は開けます。私はそう思っています。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年08月21日