~アールデコの建築物を散策へ〜 私の美意識の根底に流れているアールデコ。置時計やコーヒーカップや小物ひとつ取ってもロマンティックかつセンチメンタルで情緒的です。素晴らしいものが数多あるアールデコの中で、本日は建物についてお話します。アールデコ建築は抽象的で幾何学的に円や直線を組み合わせた斬新で優美なデザインが特徴です。日本におけるアールデコ建築の代表は白金にある東京都庭園美術館にある旧朝香宮邸です。朝香宮夫妻がアールデコ最盛期にヨーロッパで長期滞在し、その魅力に心酔し、帰国後パリから建築家や職人をわざわざ招いて完成させた邸宅です。その他にも、身近なところで、銀座七丁目のライオンビヤホール、新宿伊勢丹本店や三越日本橋本店の外観、箱根富士屋ホテル、奈良ホテルも一見の価値があります。近くにお立ちよりの際は是非、ご堪能ください!
2016年09月29日建築コンシェルジュの坂山毅彦による“名もなき書店”「○○書店」が、9月11日まで東京・青山のプリズミックギャラリーにオープンしている。昼は後楽園で建築士として、夜は代官山で書店員として働き、職のスイッチングをする日々を過ごしていた坂山毅彦。今回オープンする“名もなき書店”「○○書店」は、坂山毅彦がこれまで別々の場所でやっていたそれぞれの仕事をもし同じ場所で行い、ひとつの場所でスイッチングを繰り返したならどのようなことが生まれるのかという発想から生まれた。ギャラリー内には、いくつかの箱が縦横に納められてできあがった“屋台”を設置。片側に書籍などの売り物を陳列し、もう一方の側に設計活動をするための道具・資料などを収納。“屋台”は配置次第で本屋を広くすることも、設計事務所を広くすることもできるようになっており、例えば箱を取り出して本を読むためのスツールにしたり、ふたつ積んで設計のための机の脚にしたり、様々なしつらえを空間に展開できるように工夫されている。会期中の8月11日から15日までは京都巡回展も開催。8月11日の18時から20時までは、学芸出版社にてオープニングトークも行われる。トークには坂山毅彦本人に加え、建築家でリサーチャーの榊原充大、京都工芸繊維大学KYOTO Design Labのエディトリアルアシスタントを務める和田隆介が参加する予定だ。定員は60名で参加費は1,000円、懇親会も1,000円となっている。【イベント情報】「○○書店」会場:プリズミックギャラリー住所:東京都港区南青山4-1-9 秋元南青山ビル会期:7月22日から9月11日時間:10:00~17:00定休日:月曜日入場無料
2016年08月09日建築家スミルハン・ラディックの個展「スミルハン・ラディック展 BESTIARY:寓話集」が、7月8日から9月10日まで、東京・乃木坂のTOTOギャラリー・間で開催される。チリの首都サンティアゴを拠点に独創的な活動を続けるラディックは、近年関心が高まっている南米の現代建築界にあって、独自の世界観で注目を集めている。主な作品に、イギリス・ロンドンの「サーぺンタイン・ギャラリー・パヴィリオン 2014」や、チリ・ビルチェスの「直角の詩に捧ぐ家」、サンティアゴの「NAVE-パフォーミング・アーツ・ホール」などがある。2010年には、ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展にインスタレーション作品「魚に隠れた少年」を出品したほか、TOTOギャラリー・間の25周年を記念して開催された展覧会「GLOBAL ENDS-towards the beginning」の7組の建築家のひとりとして、「隠れ家」と題した作品を1,800mm角の展示台の上に提示した。2013年には、銀座メゾンエルメスで、ラディックと同様にサンティアゴを拠点に活動する彫刻家マルセラ・コレアと共に「クローゼットとマットレス」展を開催している。ラディックは、自身の中にあるチリの原風景やアート作品、お気に入りの童話などにアイディアの源泉を求め、極めて詩的であると同時に、敷地形状や環境に応じ、巨石や樹脂膜など形状の定まらない素材を大胆かつ巧みに構成している。例えば、それは代表作のひとつである「サーペンタインギャラリー・パヴィリオン 2014」が、オスカー・ワイルドの短編『わがままな大男』に着想を得て2010年に試作した模型作品「わがままな大男の家」が発展、作品として結実したことにも見ることが出来る。「BESTIARY:寓話集」と名づけられた本展では、空想上の生き物に見立てた20余りの模型を中心に、ラディックが考える現代の寓話集を提示。さらに、プロジェクトごとにラディックが描き記した70冊にものぼるスケッチブックや、書籍『The Invention of Chile[チリの発明]』に着想を得たという架空の「チリ現代建築ガイド」などが展示される。【イベント情報】「スミルハン・ラディック展 BESTIARY:寓話集」会場:TOTOギャラリー・間住所:東京都港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F会期:7月8日~9月10日時間:11:00~18:00料金:無料休館日:月曜、祝日、夏期休暇8月6日~8月15日(c) Andres Batlle
2016年07月07日建築家の安藤忠雄による展覧会「TADAO ANDO Drawing, Photograph, Maquette」が、8月28日まで東京・銀座のAKIO NAGASAWA Galleryにて開催されている。同展では、「光の教会」「住吉の長屋」「直島プロジェクト」といった、安藤忠雄の手掛けた日本での建築の中でも代表的な7つのプロジェクトにフォーカス。会場では、これらの思考の痕跡を感じさせるドローイング作品や、自作を自身で撮影した写真作品などを展示する。また、1/20スケールの「光の教会」や1/10スケールの「住吉の長屋」など、鉄筋やコンクリートといった実際の建築物と同じ技法で制作された模型作品も展示されている。【イベント情報】「TADAO ANDO Drawing, Photograph, Maquette」会場:AKIO NAGASAWA Gallery住所:東京都中央区銀座4-9-5 銀昭ビル6階会期:6月24日~8月28日時間:11:00~19:00休廊日:月・火曜日、8月8日~16日入場無料
2016年06月26日寺田倉庫が東京・天王洲アイルに6月18日、建築模型に特化した国内唯一のミュージアム「建築倉庫ミュージアム」(東京都品川区東品川2-6-10 寺田倉庫本社ビル1階)をオープンする。同ミュージアムは、約450平方メートル、天井高5.2メートルの大空間に約100の棚が並ぶ、建築模型に特化した展示・保存施設。“収蔵庫そのものを展示する”というコンセプトのもと、棚の間を縫うように回遊しながら様々な模型を眺める、今までにない鑑賞体験を提供していく。棚には、国内外で活躍する日本人建築家や設計事務所による建築作品の模型をスタディから竣工模型まで一同に展開。各棚に出展者名とQRコードを記載したパネルを設置し、タブレットやスマートフォンなどでQRコードをスキャンすると、出展者の活動や模型作品の竣工写真、図面などの情報が見られるようになっている。また、同ミュージアムでは建築模型を広く一般に公開するだけでなく、模型専門の保存・保管・修復する機能ももたせている。その他、世界の建築に興味のある学生や専門家、観光客に向けての積極的な情報発信や、海外の文化機関と積極的に連携して建築文化を普及するための海外での展示企画など様々な事業を展開していく。なお、出展者のラインアップは、青木淳建築計画事務所、阿部仁史アトリエ、北川原温建築都市研究所、隈研吾建築都市設計事務所、クライン ダイサム アーキテクツ、香山壽夫建築研究所、SANDWICH、シーラカンス アンド アソシエイツ、千葉学建築計画事務所、トラフ建築設計事務所、株式会社日建設計、坂茂設計事務所、古市徹雄都市建築研究所、MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO + 芝浦工業大学建築学科原田真宏研究室、山本理顕設計工場、Wonderwall(R)など。
2016年06月08日建築模型に特化した展示・企画施設「建築倉庫ミュージアム」が、2016年6月18日(土)に天王洲にオープンする。「収蔵庫そのものを展示する、新たな鑑賞体験の提供」をコンセプトとした本施設。約450㎡、天井高5.2mの空間に約100の棚が並び、棚の間を縫うように回遊しながら様々な模型を眺めることができる。棚には、国内外で活躍する日本人建築家や設計事務所による建築作品の模型が、設計段階の簡易なものから完成模型まで一同に並ぶ。また、各棚には出展者名とQRコードを記載されたパネルが設置され、QRコードをスキャンすることで、出展者の活動、模型作品の竣工写真や図面等の情報にアクセスが可能だ。【施設概要】建築倉庫ミュージアムオープン:2016年6月18日(土)住所:東京都品川区東品川2-6-10 寺田倉庫本社ビル1FTEL::03-5769-2133開館日:火曜日~日曜日定休日:月曜日(ただし月曜日が祝日の場合は翌火曜日休)開館時間:11:00-21:00(入館は20時まで)入館料:大人1,000円(税込)、学生500円(税込)【収蔵模型】青木淳建築計画事務所阿部仁史アトリエ北川原温建築都市研究所隈研吾建築都市設計事務所クライン ダイサム アーキテクツ香山壽夫建築研究所SANDWICHシーラカンス アンド アソシエイツ千葉学建築計画事務所トラフ建築設計事務所株式会社日建設計坂茂設計事務所古市徹雄都市建築研究所MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO + 芝浦工業大学建築学科原田真宏研究室山本理顕設計工場Wonderwall、他※2016年6月3日時点、50音順
2016年06月07日西武鉄道は、2018年度に“これまでにない新しい発想”の新型特急車両を導入する。車両デザインは、建築家の妹島和世(せじま かずよ)が担当する。8両×7編成の56両の導入となる同車両は、現在運行している10000系車両「ニューレッドアロー」以来、同社が25年ぶりに新造する新型特急車両。今後の西武鉄道のフラッグシップトレインとなる。デザインコンセプトの策定、外観・内観のデザインを担当するのは妹島和世。建築ユニット・SANAAとして建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞を受賞し、世界的に活躍する妹島は、10年に第12回ベネチアビエンナーレ国際建築展の総合ディレクターを務めたほか、これまでに金沢21世紀美術館やフランス・ルーブル美術館のランス分館などの建築にも携わってきた。新型車両のデザインでは、シャープさや格好良さを求めていたこれまでとは異なり、自然の中で風景に溶け込むような優しさややわらかさを表現する。今回デザインを担当することについて、妹島は「“いままでに見たことのない新しい特急車両を”ということでお話をいただきました。特急のデザインはもちろん初めてですが、建築と一番違うのはいろいろな場所を走ることができることだと思います。秩父の山の中や都心の街の中と、いろいろな風景の中を走る特急が、やわらかくその風景と共にあるようになれたら良いと思いました。また、たくさんの方々がみんな思い思いにくつろげるリビングルームのような、今日もまた乗りたいと思うような特急になればと思っています」とコメントしている。
2016年04月20日寺田倉庫と日本建築文化保存協会は、 建築模型を中心とする建築文化の継承と普及を目的とした「建築倉庫ミュージアム」をオープンすることを発表した。場所は東京都・天王洲(寺田倉庫本社ビル1F)。オープンは2016年春を予定。開館日は火曜~日曜(月曜休館、ただし月曜が祝日の場合は翌火曜休)。入館料は大人1,000円/ 学生500円。同館は、「収蔵庫そのものを展示する」をコンセプトに作られた、新しいかたちのミュージアム。建築模型を一般に公開するだけでなく、模型専門の保存・保管機能を併せ持ち、建築文化の貴重な資料である模型にとっての最適な環境を整えている。約450平方メートル、天井高5.2メートルの大空間に並ぶ合計116の棚には、国内外で活躍する日本人建築家や設計事務所による建築作品の模型がスタディから竣工模型まで一同陳列され、来館者は棚の間を縫うように回遊しながらさまざまな模型を鑑賞することができる。また、各棚には出展者名とQRコードを記載したパネルが設置され、タブレット端末やスマートフォン等でQRコードをスキャンすると、出展者の活動や模型作品の竣工写真や図面等の情報にアクセスできる仕組みも用意されるということだ。
2016年03月07日瞑想状態に近づくと窓が閉じ、意識が散漫になると窓が開き、眼前に東京タワーの景色が広がる。ライゾマティクスの建築部隊(Rhizomatiks Architecture)が、今回「メディア アンビション トーキョー2016(MEDIA AMBITION TOKYO 2016)」(以下MAT)に出展した作品に、初日の2月26日から多くの体験希望者が列を作った。六本木ヒルズ・森タワー52階東京シティビューで展示されている「MAT LAB」はアーティストと企業による新しい実験の場として、様々な実験的な作品が並ぶ。日本を代表するデジタルクリエイター集団のライゾマティクスは今回MATに、空間とテクノロジーの可能性を探るインスタレーションの3作品を『SPACE EXPERIMENT』として出展している。すべてこれまで彼らが提唱してきた身体と空間の関係性を、今のテクノロジーを使って実験しているもので、再度実現性をスタディしたもの。今回は脳波を解析してモーターに連動し、インタラクションを起こす冒頭の「マインデッドミラー」、intel computer stickを内蔵した眼鏡を装着することで耳殻の傾きに呼応して映像が変化する「センスドビジュアル」、喉の空間構造と唇の形で音を再現させる「スロート」の3つのインスタレーションで構成されている。ライゾマティクスはこれ以外にも2001年に発表され話題を集めた映像音響型コンピュータゲームRezの作者、水口哲也氏と慶応技術大学大学院メディアデザイン研究科との3者コラボによる音楽を触覚、視覚、聴覚で体感する共感覚スーツ『Rez InfiniteーSynesthesia Suit(シナスタジアスーツ)』の開発へも参画している。体験型作品は、これ以外にもヘッドマウントディスプレイを装着し、自己の身体と向かい合ったモニターに映る自己の鏡像とインタラクションすることで、自己認識と時間と空間の概念をモジュレーションさせる『The Mirror/藤井直敬+GRINDER-MAN+EVALA』も体験できる(要整理券)。また、3Dプリンターとスマートフォンを活用することによって低コストで実用的な電動義手の開発を行う『Handiii/Hackberry』といった身体性とテクノロジーの考察は、イベント全体の大きなテーマとなっている。それ以外にも、ビジュアルデザインスタジオのWOWによるレーザーと霧を使ったホログラムアートの『Light of birth』、パリを拠点に活躍する音響映像アーティストのアレックス・オジェ(Alex Augier)のキューブ状のビデオアート『ヴォクセル(vVvoxel)』、パリの1024アーキテクチャーによる姿を変える立方体『WALKING cube』、自分の立つ地球の裏側の空をモニターに映し出す寒川裕人(EUGENE KANGAWA)のインスタレーション『Syndrome/Earth Hole』など、展示環境とメンテナンスの問題からなかなか多くの作品を1ヶ所に集めるのが難しいメディアアートが一堂に会した貴重な機会となっている。また寒川氏の新たなプロジェクトとして、ゴールドウィンとSpiberの共同開発による人工合成クモ糸で作られた革新的なタンパク質素材で作られたノースフェイスのムーンパーカーと映像作品も展示されている。ファッション関連ではそれ以外に、東京コレクションにも参加し、3月パルコに直営店がオープンするエトヴァス・ボネゲ(Etw.Vonneguet)の作品『FABOLOGY』が展示されている。セメダイン社が開発した導電性接着剤を使用。2400個のLEDを搭載し、デザイナーOlgaからファッション視点でのウェアラブルが提案されている。【イベント情報】MEDIA AMBITION TOKYO 2016■六本木会場六本木ヒルズ52階東京シティビュー住所:東京都港区六本木6-10-1会期:2月7日から3月21日時間:月から木曜日・日曜日、祝日10:00から22:00入場料:当日1,800円前売り1,500円(東京シティビュー入場料)Text: 野田達哉
2016年02月29日アップリンクは、選りすぐりの建築映画5本を順次上映する「知らなかった!もっと知りたい建築の世界『建築映画特集』」を開催する。日程は2月27日~3月中旬まで。会場は東京都・渋谷の渋谷アップリンク。鑑賞料金は一般:1,300円/学生・シニア:1,100円 / UPLINK会員:1,000円。今回の「建築映画特集」は、2月20より全国順次公開の映画「もしも建物が話せたら」と、2月13日から上映が始まる「創造と神秘のサグラダ・ファミリア」の2作品が渋谷アップリンクで公開されることを記念して実施されるもの。上映作品は、磯崎新、安藤忠雄、伊東豊雄など1970年代から現代に至までの日本の建築史を振り返るドキュメンタリー映画「だれも知らない建築のはなし」、謎の死を遂げた孤高の天才建築家ルイス・カーンの生涯を、実子であるナサニエル・カーンが世界中を巡り追い求めるドキュメンタリー「マイ・アーキテクトルイス・カーンを探して」、建築家ノーマン・フォスターの創造的建築人生に迫るドキュメンタリー「フォスター卿の建築術」、世界中に親しまれているイームズ・チェアの誕生秘話と夫婦の愛の物語「ふたりのイームズ:建築家チャールズと画家レイ」、安藤忠雄氏や隈研吾氏など世界で活躍する14人の日本人建築家らが、自ら設計した建築物と美意識を語る「sur/FACE 14人の現代建築家たち」の5作品。また、上映スケジュールは、「だれも知らない建築のはなし」が2月27日~3月4日、「マイ・アーキテクトルイス・カーンを探して」が3月5日~11日。残りの3作品は日程調整中とのことだ。なお、映画の詳しい内容やスケジュールに関しては、「建築映画特集」のWebサイトのスケジュール詳細ページを参照してほしい。なお、チケット料金は一般が1,300円 / 学生・シニアが1,100円だが、新作の「もしも建物が話せたら」と「創造と神秘のサグラダ・ファミリア」のいずれかの半券またはレシートを提示すると、一律1,000円で鑑賞できるとのことだ。
2016年02月09日ところどころ大きくヘコんで見えるような建物や、宇宙船風のフシギな形をした美術館など、今まで見たことがないユニークな建造物をつくり続けてきた建築家、フランク・ゲーリー(1929~)。その独創的なアイデアの秘密に迫る展覧会『建築家 フランク・ゲーリー展 “I Have an Idea”』が東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTで開かれています。カナダ出身のゲーリーは、アメリカの大学で建築と都市計画を学んだあと、建築家としてのキャリアをスタート。プリツカー賞をはじめ建築界の代表的な賞を数多く獲得し、アメリカ、ヨーロッパやアジアなど世界中で活躍しています。本展では、ゲーリーの建築物を模型や映像、資料などで紹介。ビルバオ・グッゲンハイム美術館やウォルト・ディズニー・コンサートホールなど、代表作の空間を映像で体感できる展示室や、安価な素材で工夫してつくられたゲーリーの自邸紹介など、見どころがたっぷりあります。なかでも注目したいのは、「アイデアの進展」と題するセクション。アイデアを実現するために試行錯誤を重ね、形にしていく過程をスケッチや模型で紹介しています。浮かんだアイデアを疑い、壊し、考えてから、またつくり直す……展示されているたくさんの模型は、建築家の強い信念を物語っています。建築、デザインに興味がある人はもちろん、新しいアイデアや発想を求めている人も楽しめる展覧会です。会期は2016年2月7日まで。どうぞお見逃しなく。イベントデータ:21_21 DESIGN SIGHT企画展『建築家 フランク・ゲーリー展 “I Have an Idea”』会期:2015年10月16日(金)~2016年2月7日(日)※休館日は火曜日(11月3日は開館)、年末年始(12月27日~1月3日)時間:10:00 ~ 19:00※入館は閉館の30分前まで会場:21_21 DESIGN SIGHT(東京ミッドタウン・ガーデン内)料金:一般 1,100円/大学生 800円/高校生 500円/中学生以下無料画像クレジット:ビルバオ・グッゲンハイム美術館(スペイン・ビルバオ1997年)FMGB Guggenheim Bilbao Museoa, 2015 (Photo:Erika Barahona Ede)※画像無断転載禁止
2015年11月12日建築家として海外で活躍していた女性が、新たなステップを踏み出そうと故郷のローマに帰り、自分らしく生きていく姿をユーモラスに描いて、2015年イタリア映画祭でも高評価を受けた『これが私の人生設計』(映画祭ので上映タイトルは『生きていてすみません!』)が、2016年3月より新宿ピカデリーほかにて待望の日本公開となることが決まった。建築家として世界各国で活躍しキャリアを積んでいたセレーナは、ふと自分を見つめ直し「新たなステップ」を踏み出そうと故郷のローマに帰ってきた。しかし、イタリアの建築業界は男性社会で、ろくな仕事にも就けないまま貯金も底をついてしまう。そんなとき、公営住宅のリフォーム案が公募されていることを知ったセレーナは、男性のフリをして応募、自分はアシスタントだと偽ってコンペに臨むことに――。故郷に戻って来たものの、望みどおりの職業につけず、これまで築いてきた手腕を発揮する機会もない女性セレーナが、社会の壁や予想外の出来事に翻弄されながらも、自分らしくいられる場所を見つけていく本作。恋愛は思い通りにいかず、果ては親友のカミングアウト騒動。誰もが思いあたる悩みを抱えながら、次々に起こる出来事に振り回される彼女が、ふと仕事のチャンスをつかんだときにとった行動とは…!?どんなときでも肩肘を張らず、いい具合に力の抜けた主人公セレーナを演じるのは、本作の演技で数々の映画賞にノミネートされ、イタリアの由緒ある2015年ナストロ・ダルジェント(シルバーリボン)賞でニーノ・マンフレディ賞を受賞した、パオラ・コルテレージ。いまイタリアで最も注目される女優の一人で、圧倒的な歌唱力を持つ歌手としても人気を得ている。また、女性にモテモテのイケメンで、セレーナのために身代わりで建築家に扮する“ゲイ友”フランチェスコ役には、『トスカーナの休日』で一躍人気を博し、ハリウッドにも進出した“イタリアで最もセクシーな男”ラウル・ボヴァ。そのほか、『K2~初登頂の真実~』の主演も記憶に新しいイタリアきっての若手人気俳優マルコ・ボッチが、フランチェスコの恋人役で弾けた演技を見せるなど、まさにイタリアを代表する豪華キャストが鮮やかなハーモニーを紡ぎ出している。なお、本作は10月からスタートした新宿ピカデリーが展開する、女性に向けた良質でバラエティに富んだラインナップ「Piccadilly Prime Label(ピカデリープライムレーベル)」の第3弾に選出。今後の展開も見逃せない。『これが私の人生設計』は2016年3月5日(土)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年11月06日21_21 DESIGN SIGHTで「建築家 フランク・ゲーリー展 "I Have an Idea"」の開催がスタートした。世界的建築家フランク・ゲーリーの「アイデア」に焦点をあて、5つのセクションでその仕事、そしてひとりの人間としてのゲーリーに迫る本展覧会は、新国立競技場のファイナリストとして話題を呼んだ建築家 田根 剛が展覧会ディレクターをつとめている。見る者を圧倒し人々の印象に深く残り続ける唯一無二の建築を生み出すフランク・ゲーリーという人物、そしてその「アイデア」を、実際に作成・利用された模型や素材ブロック、そして彼の言葉を紹介しながら、建築家・田根剛がひも解き、紹介するという試みが面白い。ひとつめのセクション「ゲーリーのマスターピース」では、代表的なゲーリー建築であるビルバオ・グッゲンハイム美術館、ウォルト・ディズニー・コンサートホール、ルイ・ヴィトン財団の様子がプロジェクション・マッピングで映し出される。安藤忠雄が設計した会場の壁にゲーリーの建築物が現れるというコラボレーション空間に包まれる高揚感はユニークな体験だ。そして、展示はゲーリー自邸の模型やアイデアの原石となるオブジェやゲーリーのマニフェストを掲示した「ゲーリー・ルーム」、本展覧会の真髄「アイデアの進展」「アイデアの実現」に続き、最後にあまり公開されることのないゲーリーが描いた魚のスケッチや撮影した工場の写真などを展示した「ゲーリーのシークレット」に到達する。「やりたいのは、新しいアイデアをうむことだけ」(フランク・ゲーリー)の言葉に、アイデアを生み続けるモチベーションがどこから来るのかを問うと、ゲーリーは、友人である三宅一生がクリエーションに取り組む姿勢を例にしながら「直観を信じるんだ。一貫性を伴い進化し続けることはHumanityと繋がっていて、誰にも真似できない、非常にパーソナルなことだよ」と答えてくれた。フランクが使う「Humanity」を田根は日本語で “人間の尊厳”と表現した。人間の尊厳、生きていることの価値につながるアイデアは、物質的な重さをもち、人を巻き込み、社会を動かしていく。フランク・ゲーリーのアイデア、そしてそれが実現するプロセスを紹介する本展覧会は、未来を作る切望と信念がもたらす『アイデアの時代』に勇気を与えてくれる。【イベント情報】建築家 フランク・ゲーリー展 "I Have an Idea"会期:10月16日~2016年2月7日時間:10:00~19:00(入場18:00まで)休館日:火曜日(11月3日は会館)、年末年始(12月27日~1月3日)会場:21_21 DESIGN SIGHT東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン・ガーデン内料金:一般1,100円大学生800円高校生500円中学生以下無料
2015年10月21日東京都・赤坂の21_21 DESIGN SIGHTは、建築の慣習を覆し、世間の常識に挑戦する作品をつくり続けてきたフランク・ゲーリーの展覧会「建築家 フランク・ゲーリー展 "I Have an Idea"」を開催している。会期は2016年2月7日(12月27日~1月3日・火曜休館、ただし11月3日は開館)。開館時間は10:00~19:00。入場料は一般1,100円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料。同展は、ビルバオ・グッゲンハイム美術館をはじめ、昨年開館したルイ・ヴィトン財団など、半世紀以上にわたり建築の慣習を覆し、世間の常識に挑戦する作品をつくり続けてきた建築家フランク・ゲーリーの「アイデア」を紹介するもの。展覧会ディレクターには、エストニア国立博物館の設計や東京の新国立競技場基本構想国際デザイン競技のファイナリストとして国内外から評価の高い建築家田根剛を迎え、同氏の仕事に大きな影響を与えたゲーリーの「アイデアの力」に注目する。ゲーリー建築の生命力に満ちた外観と居心地の良い内部空間を映像で体感できるプロジェクションをはじめ、ひとりの人間としてのゲーリーの姿に触れられる「ゲーリー・ルーム」が登場する。そして、つくっては壊し、またつくり、疑い、時に否定しながら生み出されるゲーリーのアイデアと、その実現に不可欠なテクノロジーや素材、建築プロセスを紹介するということだ。同展の開催に際し、田根氏は次のように語っている。「本展は建物の紹介を中心とした建築展ではなく、建築家の展覧会です。フランク・ゲーリーがどのような人物で、何に興味を持ち、どこで着想を得て、何に執着を示すのか……つくっては壊し、壊してはつくり上げる大量の模型、シンプルな組み合わせで生み出される見たことのない複雑な形態、建築業を熟知して考案されたゲーリー・テクノロジーによる最新の設計手法、そして世界各国で同時に進行し続けるプロジェクトの数々……これら膨大な創造力と作業量はどのようにして可能だったのか。ゲーリーは誰もみたことのないアイデアを生み出すために、どんなに困難な状況でも、努力と信念、葛藤と重責のなかで、「アイデア」を実現するために勇気もって闘い続けてきた建築家なのです。アイデアはポジティブな力がなくては生み出せません。本展を見ることでゲーリーの成し遂げた「アイデアは世界を変える」と信じてもらえれば最高です。」
2015年10月19日写真提供:ダラデヴィ・チェンマイ敷地内から一歩も出なくても、滞在しているだけで、地元のカルチャーや建築のエッセンスを感じることができるホテル。それが、チェンマイ東部の広大な敷地に広がる「ダラデヴィ・チェンマイ」。エキゾチックでスゴイ!となんとなく感じるだけではなく、少し意識して建物を見ると、チェンマイの歴史が見えて来ます。美しい壁画に見る、隣国ラオスとの歴史著者撮影ホテルのエントランスから入ると、ゲストがまずカメラを向けるのが、右手にある大きなファンクションルーム。赤く塗られた壁一面に、きらめくガラス素材で、背丈の倍ほどある植物が描かれています。これは、ラオスの古都ルアンパバーンにある寺、ワットシェントーンの本堂の裏側にあるモザイク画「生命の樹」から着想を得たもの。他の国のまねをしていると思うことなかれ。14世紀にラオスを統一したランサーン王国は、15世紀には北タイのランナー王朝と友好関係を発展させました。16世紀には、ランサーン王国の王子がランナー王朝の王ともなり、文化や建築、言葉も似ているそう。ちなみに、ランサーンとは千の象という意味、ランナーとは千の田という意味。馬車で巡る敷地内著者撮影60エーカー(約24万2千㎡)という広大な敷地に立つ『ダラデヴィ・チェンマイ』では、敷地内をゆっくり馬車で巡るのも、人気のアクティビティ。この馬車は、チェンマイから南へ車で1時半ほどのランパーン名物“花馬車”を思わせます。ランパーンは、かつて、チェンマイ付近から産出する木材を、バンコク方面へと川を使って運ぶために栄えた町。様々な文化に彩られた宿泊棟著者撮影宿泊棟は、大きくコロニアルスイートのコンパウンドと、ヴィラのコンパウンドに分かれていて、まるで、敷地内にいくつかの町や村があるような気分。コロニアル建築は、19世紀、英国人が材木輸出のためにチェンマイに滞在し、欧風の建物を建てたことに由来しているそう。中国のショップハウスの影響も見られます。ヴィラは、昔の民家をモデルにしたチーク作りのランナー様式。著者撮影ちなみに、ホテルの入口に川と橋があり、わざとデコボコの石畳が敷き詰められているのも、かつてのチェンマイの旧市街をイメージしているのだとか。まさに『ダラデヴィ・チェンマイ』は、ここだけで小さな王国のよう!ランナー建築の美しいギャラリー著者撮影セレクトされたお土産や雑貨を扱うギャラリーも、緑の中に佇むランナー建築。ゆるやかに曲線を描く屋根が、地面近くまで降りて来ている美しい建築デザインです。ランナー様式のお寺などにも、こうした建築がよく見受けられます。自転車や徒歩で、敷地内を散歩するゲストたちが、ついカメラを向けていた場所のひとつ。ダラデヴィ・チェンマイで必ず体験したいのが、スパ著者撮影極めつけは、スパ!「ザ・デヴァ・スパ&ホリスティックセンター」のメイン棟は、ミャンマーのマンダレー王宮がモデル。精緻な装飾的彫刻が施された建物は、なんとも見事で、つい見とれてしまいます。スパロビーは、天に向かって徐々に小さくなる7段の屋根を備えた華やかなミャンマー様式。ミャンマーの寺院でにらみを効かせているチンテ(獅子)も左右におわします。チェンマイは、16世紀ミャンマーの支配下にありました。25室ものトリートメントルームがあるスパでは、本格的なカウンセリングからのアーユルヴェーダトリートメントが超オススメ!ランナーの象徴「緑の田んぼ」千の田の王国、ランナーを象徴するように、敷地内のあちらこちらには、緑の田んぼが広がります。農家と契約して、実際に、米を採っているとか。田に建つ建物は、もちろん、田舎の農家スタイル。ローカルの建築をテーマにしているホテルは数多くあるけれど、ここ『ダラデヴィ・チェンマイ』では、北タイのさまざまな様式の建築が、エリアごとに展開されているのが興味深し。泊まって、敷地内をぐるりと巡って、建築散歩を楽しんでみませんか?(text : 坪田 三千代)大人の東南アジアご褒美旅~テーマとスタイルのある旅~その他の記事を読む>
2015年09月29日竹尾は、3人の建築家が紙の可能性を探る「紙のかたち展 まるめる、かさねる、ひっぱる」を開催する。会期は10月2日~11月20日(土日祝も開催)、開場時間は10:00~19:00(10月2日は17:00まで、10月15日は13:00まで)。会場は東京都・神保町の竹尾 見本帖本店 2階。入場無料。同展は、2013年に開催された「ハンドメイド・ストラクチュア」展に続く、建築家による紙の展示会の第2弾。川添善行、原田真宏、吉村靖孝といった3人の建築家が紙の新しい可能性を探り、建築やプロダクトへの活用を提案する。四角いシート状の紙を「まるめる」「かさねる」「ひっぱる」ことによってつくりだされた新たな「紙のかたち」を見ることができるという。また、同展に際して、スペシャルトーク「紙のかたち」が開催される。開催日時は10月15日 18:30~20:00、会場は見本帖本店2F。展示を手がけた川添善行氏、原田真宏氏、吉村靖孝氏が出演し、中崎隆司氏が司会を務める。参加は事前申込制のため、希望者は9月30日までに展示会Webページより手続きを行う必要がある。なお、定員を超えた場合は抽選となり、結果は10月7日までに返送されるとのことだ。
2015年09月10日ブラジルのモダニズム建築の父、建築家のオスカー・ニーマイヤー(Oscar Niemeyer)の日本初の大回顧展「オスカー・ニーマイヤー展 ブラジルの世界遺産をつくった男」が、10月12日まで東京都現代美術館で開催されている。同展では、オスカー・ニーマイヤーのほぼ1世紀に渡る建築デザインの活動を、図面、模型、写真、映像などによって紹介。代表作のひとつであるブラジル・イビラプエラ公園の30分の1の模型も、約500平方メートルのアトリウムの大型空間で展開している。オスカー・ニーマイヤーの日常や創造の秘密が見れる映像資料や、首都・ブラジリア建設の詳細なドキュメントも展示される。なお、会場は「SANAA」によって、ダイナミックでモダンかつ有機的な曲線でデザインされた。ブラジル国内の主要な建築の設計を手掛け、そのユニークな創造性で高い評価を受けたオスカー・ニーマイヤーは、過去にアメリカ建築家協会ゴールドメダル、プリツカー賞、高松宮殿下記念世界文化賞など数多くの賞を受賞。国民会議議事堂や大聖堂などの首都・ブラジリアの主要な建物設計を行った1950年代の国家の大プロジェクトにも参加している。【イベント情報】「オスカー・ニーマイヤー展 ブラジルの世界遺産をつくった男」会場:東京都現代美術館 企画展示室地下2階住所:東京都江東区三好4-1-1会期:7月18日~10月12日時間:10:00~18:00(7月~9月の金曜は21:00まで、入場は閉館の30分前まで)料金:一般 1,100円、:大学生・専門学生・65歳以上800円:中高生 600円:小学生以下 無料休館日:月曜日(9月21日、10月12日は開館)、9月24日
2015年08月07日日本に留学経験があり、日本語や日本事情に精通したユンさん。36歳の若さで、韓国の国立大学建築学部の教授に就任したエリートで、現在は、韓国の建築学会のために日々奮闘しています。ユーモアたっぷりに、ご自身のキャリアについて語っていただきました。■これまでのキャリアの経緯を教えてください建築分野に進んだ理由は、私が学生だった当時、韓国では国家プロジェクトとして建築学が重要視されていたことがあります。また、幼いころから美術を習っていて、漠然と建築物に興味を持つようになりました。大学卒業後、ソウルの漢陽大学建築学部にて修士課程修了後、1995年より日本の国立T工業大学に留学し、工学博士号を取得しました。当時の研究テーマは、環境共生型の都市を実現するため、「息をする壁体」という建築素材の研究と開発に取り組んでいました。博士号取得後、そのまま同大学の研究室にてリサーチアソシエーターとして勤務。勤務中に、図らずも研究室の日本人の後輩に一目ぼれをし、縁あって国際結婚をしました。結婚後、日本建築研究所で研究員として3年間勤務の後、2005年に韓国の国立大学の建築学部の助教授に就任することになり、10年ぶりに韓国に帰国しました。以来、韓国の建築学会のために日々全力を尽くしています。■現在のお給料について教えてください国家機密…というのは冗談ですが、満足しています(笑)。韓国に来る前も日本でそれなりに貰っていたのですが、当時は円安だったので、退職して韓国に帰国する際には相当損をしてしまいました。■今の仕事で気に入っているところ、満足を感じる瞬間は?やはり、自分の研究が必要とされ、その成果が認められた時が一番うれしいですね。また、自分の教え子達が卒業後に活躍している姿を目にしたり、たまに研究室に訪ねてきてくれるのも楽しみです。■逆に今の仕事で大変なこと、嫌な点は?仕事自体に不満はありませんが、韓国では仕事絡みで飲み会をすることが多く、お酒があまり飲めない私は、飲み会はいつも大変です。■日本人のイメージは? あるいは理解しがたいところなどありますか?私が日本に留学する直前の1995年3月、オウム真理教による地下鉄サリン事件が起きました。当時の私は「日本とは一体どういう国なんだろう?」と衝撃と不安を抱えたまま日本に渡りました。しかし、いざ大学の研究室に入ってみたら、今まで出会ったこともないような実に個性豊かな面白い仲間たちに出会え、すぐに打ち解けることが出来ました。例えば、私が暮らししていたアパートは1階の部屋だったのですが、夏に窓を開け放して寝ていたら、夜中に仲間たちがこっそりやってきて、部屋にロケット花火を打ち込まれたり(良い子の皆さんは危ないので、絶対に真似しないでくださいね・笑)、今は立場上、公言出来ない事も多いですが、とにかく楽しい思い出がたくさんあります。また、日本はオタクの地位が高いのも自由で良いな、という印象です。オタクっぽい趣味や行動も評価され、一定の地位を得ている。研究室には個性の強い人も多数いましたが、皆それぞれが自分の研究分野に精を出し、認められていたと思います。■最近TVやラジオ、新聞などで見た・聞いた日本のニュースは何ですか?日韓関係のニュースは、あまり見ないようにしています。日本のスポーツ中継や報道番組、お笑い番組は面白いので、今でもYouTubeなどでチェックして楽しんで見ています。すこし古いですが、私が日本に留学していた頃は、久米宏さんのニュースステーションに衝撃を受けました。韓国にはあのような報道番組はありませんでしたから、「ニュースって、こんなに面白く放送できるものなんだ!」と非常に斬新でした。また、今は日本で活躍している韓国の野球選手の試合はいつも必ずチェックしていますね。特にソフトバンクの李大浩の活躍が気になりますね…って、すみません、全然最近のニュースではないですね。■ちなみに、今日のお昼ごはんは?今日は、出張先の大学でハンバーグ定食を食べました。普段は自分の大学の近くで同僚ととることが多いです。学生街ということもあって、食べるところには困りません。ランチの後は、必ずカフェでカプチーノを一杯飲むのが私の楽しみです。■休日の過ごし方を教えてください比較的、時間の自由の効く職業ではありますが、忙しい時は、土日や時間帯関係なく、韓国各地で会議などの重要な仕事が入ります。しかし、どんなに忙しくても1カ月に一回は、週末に時間をとって家族と過ごすようにしています。どうしても時間が取れない時は、出張先に家族を連れていくこともあります。体を動かすのが好きなので、ジムに通ったり、自然の中でキャンプをして過ごしたり、映画を見に行ったりもしますね。アウトドアは学生時代から好きで、日本でもテント一式を買ってキャンプに行っていました。日本には施設の整った良いキャンプ場がいっぱいあっていいですね。最近では韓国もアトドアブームで、いろんなキャンプ場が整備されてきたので、楽しみです。■将来の仕事や生活の展望は?日本の大学との共同研究を増やして、妻のためにも韓国と日本を行き来できる生活をしたいです。
2015年08月05日5人の建築家で結成されたグループ「家をつくろう会議」は、現代の建築家が共同設計した「サザエさんの家」の模型や、建築家との家づくりの実際を一般の人向けにわかりやすく展示した「家をつくろう展4」を開催する。会期は7月3日~5日 10:00~18:00(初日のみ13:00~)。会場は東京都・文京区の文京シビックセンター内、ギャラリーシビック展示室1B。入場無料。同展の目玉となるのは、「もしもサザエさん一家から家の建て替えを依頼されたら、現代の建築家はどんな家を建てるのか?」をテーマに、5人の建築家が共同設計した「サザエさんの家」の1/20の模型。設計にあたっては、"サザエさんの町"として知られる東京都世田谷区桜新町の街並みを5人のメンバーが視察し、議論を重ねながらひとつの家のプランをつくっていったという。サザエさんの家の象徴である「縁側とちゃぶ台」を現代建築に蘇らせ、ユニークで夢のある家に仕上がっているという。また、会場には土地探しから完成までの家づくりの流れとともに、実際に使われる模型や図面が展示され、建築家と家を作るプロセスが疑似体験できる構成となっている。なお、当日はアンケートに答えると、家をつくろう会議の本「新しい住宅デザイン図鑑」が抽選で30人に進呈されるということだ。なお、「家をつくろう会議」は、石井秀樹、杉浦充、都留理子、長谷部勉、村田淳の5人の建築家が集まって結成されたグループ。イベントなどを通じて、建築家との家づくりの実際とその魅力を伝える広報活動を行っている。
2015年06月30日モダニズムの巨匠として知られる建築家ル・コルビュジエの『没後50年「写真家としてのル・コルビュジエ」展』が、7月6日から8月2日まで早稲田大学會津八一記念博物館で開催される。パリを拠点に画家として活動した後、35歳で建築事務所を設立したル・コルビュジエ。建築の知識はほとんど独学で、1927年にジュネーヴの国際連盟本部の設計コンペティションに当選したことをきっかけに名前が知られるようになる。「現代建築国際会議(CIAM)」の中心メンバーとして、いくつもの都市計画案を提示。独自の尺度「モデュロール」を用いて、集合住宅「ユニテ・ダビタシオン」や「ロンシャンの礼拝堂」などを手掛けた。13年には自身が設計を手掛けた東京・国立西洋美術館で「ル・コルビュジエと20世紀美術」展が開催されている。『没後50年「写真家としてのル・コルビュジエ」展』では、ル・コルビュジエが生前に空間的思考の道具として撮影していた写真を展示。パリのル・コルビュジエ財団の協力を得て、数ある写真の中から約350枚を一挙に公開する。写真作品の他、16mmで撮影された動画の上映も行われる。また、同展に合わせて2つのシンポジウムを開催。7月11日に行われる「ル・コルビュジエの眼差し」には、多摩美術大学学長の建畠晢や、早稲田大学會津八一記念博物館館長で法学学術院教授の塚原史、早稲田大学理工学術院教授で建築家の古谷誠章が登壇。インタビュー映像には建築家の鈴木恂も登場する。7月16日に行われる「ル・コルビュジエとフォトグラム」では、ル・コルビュジエ財団、研究資料室室長のアルノー・デルセルを始め、白石哲雄、塚原史、古谷誠章などが登壇する。【イベント情報】没後50年「写真家としてのル・コルビュジエ」展会場:早稲田大学會津八一記念博物館住所:東京都新宿区 西早稲田1-6-1会期:7月6日~8月2日時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)休館日:日曜、祝日(7月20日、8月2日は開館)入場無料
2015年06月23日ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)が、日本モダニズム建築の継承と関心を高めるプロジェクトの第2弾を開始する。同プロジェクトは、ホテルオークラ東京の本館建て替えが発表され、ブランドのクリエイティブ・ディレクターを務めるトーマス・マイヤーがモダニズム建築を象徴する建造物の存続の危機を知ったことをきっかけに、昨年11月に始動したもの。第1弾では、ライフスタイルマガジン『カーサ ブルータス(CASA BRUTUS)』の日本のモダニズム建築特集号でコラボレーションを行った他、金沢21世紀美術館で解体の危機にさらされている様々な建物について語り合うシンポジウムを開催した。第2弾となる今回は、公式サイトにてモダニズム建築の流れを汲む現存する建造物の中で最高傑作のひとつとされているホテルオークラ東京の特設ページを開設。建築や美術、デザイン業界を始めとする様々な分野から集まった同ホテルのファンからのビデオメッセージを公開しており、建築家の森俊子やデザイナーのマーク・ニューソン、現代美術家の杉本博司などが、ホテルオークラ東京というモダニズム建築の至宝を賞賛している。また、第1弾から続くソーシャルメディア活動「#MyMomentAtOkura」プロジェクトを拡大。同プロジェクトは、ホテルオークラ東京の本館を思い思いに撮影し、写真にハッシュタグ「#MyMomentAtOkura」を付けて自身のインスタグラムのアカウントでシェアするというもの。今後は、投稿写真の中から選ばれた作品をユニークなイラストに描きかえるという新たな試みも実施される予定だ。
2015年06月22日東京都・清澄白河の東京都現代美術館は、ブラジルのモダニズム建築の父、オスカー・ニーマイヤーの回顧展「オスカー・ニーマイヤー展 ブラジルの世界遺産をつくった男」を開催する。会期は7月18日~10月12日(7月21日・9月24日・月曜休館、7月20日・9月21日・10月12日は開館)。観覧料は一般1,100円、大学生・専門学校生・65歳以上800円、中高生600円、小学生以下無料。同展は、2012年に104歳で亡くなる直前まで精力的に設計を続けていた伝説的なカリスマ、ニーマイヤーのほぼ1世紀にわたる建築デザイン活動の全貌を、図面、模型、写真、映像などによって紹介するもの。会場では代表的な建築物を様々なサイズの模型で展示し、代表作のひとつであるイビラプエラ公園の30分の1の模型は、約500平方メートルのアトリウムの大型空間でダイナミックに展開される。また、会場デザインはニーマイヤーに大きく影響され、彼を敬愛してきたSANAAによるもので、ブラジルの光をおもわせる白を基調として、ダイナミックでモダンな有機的曲線で会場を構成しているという。そのほか、ニーマイヤーの日常や創造の秘密をみせる映像資料、壮絶ともいえる首都ブラジリア建設の詳細なドキュメントも展示されるということだ。オスカー・ニーマイヤーは、ブラジル国内の主要な建築の設計を手がけ、そのユニークな創造性によって、内外で高い評価をうけ、アメリカ建築家協会ゴールドメダル、プリツカー賞、高松宮殿下記念世界文化賞など数々の建築賞やレーニン国際平和賞を受賞。代表的な仕事としては、首都ブラジリアの設計が挙げられる。1950年代国家の大プロジェクトである、首都ブラジリアの主要な建物設計(国民会議議事堂、大聖堂など)にたずさわり、ニーマイヤーは創造性豊かな都市をつくりあげた。この成功は建築という概念を超えた歴史的イベントとして、ブラジルの名を世界に知らしめ、ブラジリアは1987年世界遺産に登録された。「建築にとってアートはとても大切です」と語っていたニーマイヤーは、幼いころからドローイングを得意とし、描いた絵をじっとながめてそれが存在するようにたちあらわれると感じていたという。ニーマイヤーのデザインは、フリーハンドの大胆さと自由さ、女性の身体に例えられるように有機的でダイナミックな曲線、生命感とモダニズムの幾何学の調和を特徴としており、その未来的な形は日本の建築家にも多くの影響を与えてきたということだ。
2015年06月15日オートデスクは5月25日、建築業界向けパッケージ「Autodesk Revit Collaboration Suite 2016」を6月1日に発売すると発表した。「Autodesk Revit Collaboration Suite 2016」は建設業界におけるBIMワークフローに対応した設計業務をプロジェクトチームで効率的に運用するためのパッケージとなっており、BIMアプリケーション「Autodesk Revit 2016」、汎用2D/3Dアプリケーション「Autodesk AutoCAD 2016」、クラウドベースのコラボレーションサービス「Autodesk A360 Team」が同梱されている。また、ライセンス体系は使用期間を選択できる「Desktop Subscriptin」で提供される。価格(税別)は1カ月で4万8000円(同社オンラインストアのみの販売)、3カ月で14万3000円、1年で38万2000円、2年で76万4000円、3年で114万6000円となっている。
2015年05月25日斬新すぎる建築の数々を設計してきた建築家・藤本壮介さんの展示「未来の未来」がTOTOギャラリー・間で開催されている。 *** 藤本さんは、393もの応募案が出た青森県立美術館の設計コンペに無名の個人ながら応募。2位を獲得し異例のデビューを飾った。以後、住宅からタワーまでジャンルを問わず制作。今や日本を代表する建築家の一人に。 本展では、数々のプロジェクトから100以上の模型を展示。パッと見て面白いのはもちろん、藤本さんが「未来の種」と呼ぶ、革新的な建築の姿が見えてくるはず。 ◇information TOTOギャラリー・間東京都港区南青山1-24-3TOTO乃木坂ビル3F公開中~6月13日(土)11:00~18:00月曜休TEL:03・3402・1010入場無料 (C)SFA+NLA+OXO+RSI (C)Iwan Baan ※『anan』2015年5月20日号より
2015年05月19日オートデスクは5月7日、建築・土木インフラ業界向けBIM/CIMアプリケーションパッケージの新バージョン「Autodesk Building Design Suite 2016」と「Autodesk Infrastructure Design Suite 2016」を5月15日より発売すると発表した。これら2種類のパッケージは、建築・土木業界の幅広い業務ワークフローにBIM/CIMを適用しながら、企画、設計、施工、維持管理を効率的に行えるよう支援するパッケージとなっているという。また、同社のクラウドサービス「Autodesk A360」を必要に応じて組み合わることで、チームコラボレーションやシミュレーションなどの機能を利用でき、時間や場所、端末の種類を気にせずにプロジェクトに参加することができるようになる。
2015年05月08日SuMiKaはこのほど、家づくりをしたい生活者と専門家を結ぶウェブサービス「SuMiKa」内にて、「暮らしのカスタマイズマーケット」をオープンした。○小規模リノベーションのプランや造作家具、こだわりのパーツなどを自由に販売できる同社は昨年6月より、「既成品で選ぶ『家づくり』から、長く専門家と付き合って築きあげる『暮らしづくり』へ。」をコンセプトに、小規模リノベーションの注文をWEB上で行えるサービス「暮らしのカスタマイズ」をスタート。ユーザーが欲しいと思った暮らしのアイデアや予算を投稿することで、実際に設計・施工をしてくれる専門家と出会うことができ、現在までに特注ロフトベッドやジャストサイズの壁面収納、ポータブルなDJブースなど、多様なプランを実現してきたという。今回オープンした「暮らしのカスタマイズマーケット」は、工務店や建築家が企画・施工した小規模リノベーションのプランや造作家具、こだわりのパーツなどを自由に販売できるオンラインマーケットプレイスとなる。「暮らしのカスタマイズ」で実現したプランをはじめ、工務店や建築家のこだわりのプランやアイデアを商品化することにより、ユーザーはより気軽に欲しい暮らしを見つけ出し、手頃な価格で手に入れることができる。工務店や建築家にとっても、小規模ならではのおもしろいアイデアや施工を流通させることができ、新たな顧客獲得にもつながる仕組みとなる。オープン日には、「壁一面本棚」や「子供の成長で変化するリビング」といったテーマで各工務店や建築家から集まってきたアイデアを公開。今後も、様々なテーマでマーケットを盛り上げて行く予定となる。
2015年03月20日ファッションウィーク東京2015の一環として、3月19日から22日まで「アドレッシング(AD- DRESSING):ファッションと建築における対話」が開催される。会場はライト ボックス スタジオ青山。同イベントはオーストリアの新鋭ファッションブランドを広くアピールすることを目的としたもの。会場では彼らの15SSコレクションや、15-16AWコレクションが展示される。更に、“形と機能とのアンビバレントな関係は、形そのものが機能となる方向へと変化したのか?”“現在のデザインでは、機能に添った形を創りだすのではなく、形そのものが機能によって決定されると言えるか?”などをテーマでディスカッションを行い、応用美術領域でのファッションと建築について言及していく。イベントに参加するのは全部で10ブランド。ウィメンズからは女性ファッションとアクセサリーを中心に、文化的多様性やステレオタイプを含んだハイブリッドな作品を展開する「ブラダリッチ・オーマエ(BRADARIC OHMAE)」や、“ガールス”と“レディース”の融合を打ち出す「メシット(MESHIT)」などが登場。「ディーエムエムジェイケイ(DMMJK)」は、繊細な材質とサブカルチャー、カモフラージュを融合させたカッティングが特徴のアイテムを展開。「ネイチャース オブ コンフリクト(NATURES OF CONFLICT)」は、デザインの全体と部分の構成を新たに定義することで、変則的なデザインを生み出している。その他、アクセサリーやバッグのブランドからは、「エヴァ ブルート(EVA BLUT)」や、デザイナー自らがハンドメイドしたアクセサリーをメインに扱う「ウェルクプルンク(WERKPRUNK)」、「モト・ジャリー(MOTO DJALI)」、「ゴン(GON)」、「ハウス オブ ザ ヴェリー アイランズ…(HOUSE OF THE VERY ISLAND‘S...)」、「サイト・ライン(SIGHT LINE)」などのブランドからも、最新のアイテムが展開される。20日には特別ゲストとしてファッションデザイナーのエドヴィナ・ヘアル(EDWINA HORL)とまとふ(matohu)のデザイナー等を招き、トークイベント「ファッションにおける対談」を開催。一方、21日には個人家屋をはじめ、コミュニティープロジェクトやディスプレイ、家具デザインも手掛ける安部良などによる「建築における対談」が行われる。【イベント情報】アドレッシング:ファッションと建築における対話会場:ライト ボックス スタジオ青山住所:東京都港区南青山5-16-7会期:3月19日から22日まで時間:12:00から19:00(19日は16:00から)
2015年03月18日東京都・京橋のLIXILギャラリーにて建築家の隈研吾監修のもと、映画作家・岡博大による「岡博大展 -ぎんざ遊映坐 映智をよびつぐ-」が開催される。会期は3月12日~5月23日(水曜、4月29日、5月6日休廊)。開館時間は10:00~18:00。入場無料。同展は、岡博大が4年半以上密着して撮影した隈研吾のドキュメンタリー映画を、隈研吾設計のモバイルシアターにて上映するもの。2014年9月より、同ギャラリーで開催されている企画「クリエイションの未来展」の展示のひとつで、日本の建築・美術界を牽引する4人のクリエイター、清水敏男(アートディレクター)、宮田亮平(金工作家)、隈研吾(建築家)、伊東豊雄(建築家)を監修者に迎え、それぞれ3カ月ごとの会期で、独自のテーマで現在進行形の考えを具現化しており、今回はその第3回目となる。竹素材で制作されたモバイルシアターでは、隈研吾の建築三昧の日常を記録したロードムービーや、東北被災地で取り組む南三陸町の復興プロジェクトに始まり、気仙大工棟梁の藤原出穂氏やアーティストたちの様子も上映される。各作品は約15分の短篇のループ上映となり、会期中順次、続編を公開していくということだ。そのほか、関連企画として、隈研吾と岡博大によるトーク「建築と映画」が開催される。開催日時は3月23日18:00~20:00。入場料は無料。参加に際しては予約が必要となる。他にもイベントが予定されており、順次Webページで告知されるということだ。
2015年02月18日●建築家としての板坂氏が考える「残るデザイン」とは?UX(ユーザーエクスペリエンス)やUI(ユーザーインタフェース)のデザインやソフトウェアの企画・開発などを事業とするZEPPELIN(ツェッペリン)は、毎回迎えるゲストの専門分野やデザイン/UXとの関わりなどを、同社代表の鳥越康平氏と語るトークセッション「ZEP NIGHT」を不定期で開催している。ここでは、去る1月30日に開催された、建築家・プロダクトデザイナー板坂諭氏(the design labo代表取締役)をゲストに迎え、「残るデザイン」をテーマに語った「ZEP NIGHT vol.4」の模様をレポートする。○「魂に響く体験」をデザインする「ZEP NIGHT vol.4」は、ZEPPELIN代表取締役社長・鳥越康平氏の挨拶で幕を開けた。同社は、NTTドコモの「しゃべってコンシェル」をはじめとする、数々の美しいUIやUXのデザインを世に送り出してきた企業だ。冒頭に鳥越氏は「便利さや豊かさは確かに重要」だとしながらも、「われわれZEPPELINのテーマは、"美しさ"を追い求めること」と説明。高速道路を例に「日本中を張り巡らせている高速道路は確かに早くて便利だが、今後もわれわれはそんな豊かさや便利さを追い求めていくのか。それでわれわれの今後の幸せは来るのか」といった疑問を投げかけた上で、「"美しさ"を追求することで世界を変えたい」と強調した。同社が考える"美しさ"とは、見た目がキレイというものではなく、「魂に響く体験をデザインする」ことだという。一般道を走っているときに鳥越氏が出くわした、見渡す限りに広がる美しい小麦畑の写真をスクリーンに映し出し、小麦が風に揺れるシーンに感動した様子を伝え、「まさに魂に響く体験だった」と振り返りながら、「こんな体験をデザインしていきたい」と同社の方向性を伝えた。○「建築」も「UX/UI」もデザインの考え方は共通続いて、今回のゲストである板坂諭氏と鳥越氏との対話形式によるトークセッションへと移行した。板坂氏は、サンフランシスコ近代美術館(SFMOMA)のパーマネントコレクションとして収蔵されている、核兵器撤廃を願うメッセージの込められたランプ「Mushroom Lamp(マッシュルームランプ)」を手がけるなど、建築や家具などを題材としてそのものに込めたメッセージをもとに生まれる二次的なコミュニケーションをデザインすることを得意とする建築家であり、プロダクトデザイナーだ。最初に鳥越氏は、今回の「ZEP NIGHT」に板坂氏をゲストとして招いた理由として「"建築"と"UX/UI"は全く異なるものであると思われがちだが、"デザイン"という軸で考えれば、手法や技術の違いはあれどデザインの考え方においては共通項が多い」と説明し、「建築家の方と話をするとデザインの勉強になるし、とても参考になる」と語った。●"千年残る建築"とは?○建築家として板坂氏が考える「残るデザイン」続いて、板坂氏がこれまでに手がけてきた仕事などを簡単に紹介したのち、今回のトークセッションのテーマである「残るデザイン」についての話となった。同氏は「聖路加には古くて良い住宅が残っているが、先日お気に入りの古民家が解体されてしまった。材料もぜいたくだが、銀座から徒歩圏内にそんな住宅が残っていることがとてもぜいたくだ」としながらも、建築知識が浸透していない人たちによってそれが壊されてしまうことに衝撃を受け、「できればリノベーションして、海外のゲストを迎えたりしたかった」と惜しんだ。小学生の頃から建築に興味を抱いていたという板坂氏が「残るデザイン」に興味を抱いたのは、スペインの"サグラダファミリア教会"が、専任建築家であるアントニ・ガウディが死去して100年経つにも関わらず、なお建築が続いていることをテレビ番組で観たことがきっかけだという。その時に「残ること」の大切さを感じるとともに「建築ならそれを実現できる」と感じたという。続いて、「進化」と「残る」とではどちらが大切かというテーマでは、「コレクションは残るものとして好きだが、進化して残る方が好き」だとし、「建築は進化するもので、完成したら終わりというものではなく、夏は鉄が延びるし冬はガラスが割れたりするように、建築も"新陳代謝"させていくことが必要だ」と述べた。また、これまで手がけてきたプロダクトに関しては、「使ってくれる人とコミュニケーションをするために作っている」とし、それぞれの作品にメッセージが込められていることを明かした。鳥越氏は板坂氏が手がけた「マッシュルームランプ」について、「この作品が作られたのは震災前であり、民衆の意識の中に原発というものが今ほどなかった時期でありながらも、板坂さんはそこに意識を向けた」と説明。さらに、「ブランドは、精神が込められているとその価値があがる」と述べ、「デザインには精神を注入するのが重要で、形状や生産性ばかりを主目的にすると間違った方向に進んでしまう。建築であろうと机であろうと椅子であろうと"精神を注入する"ことが必要だ」と強調した。ここで言う「精神」とは、具体的には「おもてなし」を指しているとし、「使う人の気持ちになって考えることであり、UI/UXはまさにそれかもしれません」と語った。○百年残る建築は「ザハ」、千年残るのは「伊勢神宮」続いて、一般参加者からの質問コーナーにシフトした。「"千年残る建築"と"百年残る建築"の違いは何か?」という質問に対し板坂氏は「私が思う美しいデザインとは"自然"と"思いやり"のふたつ」だと前置きした上で、"百年残る建築"は「人間が頑張ってまねた自然のデザインで建築で言えば"ザハ・ハディド"」と回答した。一方の"千年残る建築"については「神様に対する思いが形となった"伊勢神宮"」とし、「ザハの建築は千年は残らないと思う」と述べた。ふたつ目の質問として「"進化"と"残る"はどちらが幸せか?」を取り上げ、「"進化"に興味がある」と即答。「"進化"も残っているから進化するのであって"残る"に含まれるが、どちらかを選ぶのなら"進化"です。人の体も変わっているのは進化が影響しているし、進化しつつ残るほうに興味があります」と答えた。ただし、これは建築における考えで、プロダクトに関しては「残る」ほうに重きを置いているという。また、「気になっている建築スポット」についての質問には、「建築家のフランク・ゲーリーが作ったフランスの新しい美術館」だという。ここはルイ・ヴィトンファウンデーションがコレクションしているアイテムが展示される美術館とのことだが、板坂氏が惹かれた理由として挙げたのが、「パッと見て理解できない」、「図面化できない」、「見る角度で全然違う」、「色んな線が重なって絵にできない」ことだという。航空機の設計技術やCADが建築にも取り入れられたことで線が自由になったとし、これを活用してるのがフランク・ゲーリーだという。さらに、「自分から手をあげても作ってみたいもの」については「多くの建築家が終着点と目指している"美術館"」と回答するなど、いくつかの質問に対し建築家ならではの視点で答え、トークセッションの幕を閉じた。なお、板坂氏は1978年生まれ。大学卒業後、設計事務所にて建築の作り方を徹底的に学ぶ。2010年にデザインユニット「h220430」を立ち上げ、社会へのメッセージを込めたデザイン活動を開始し、2012年に「the design labo(ザ デザインラボ)」を設立。2011年に中国メディア主催のMedia Awardで「Annual Original Products Design Award」、2012年に「Mushroom Lamp」が米国サンフランシスコMOMAのパーマネントコレクションとして収蔵。2013年にはイタリアの「A’Design Award」において「Baby,Kids and Children’s Products Design Category銀賞」を受賞するなど、日本のみならず海外でも高い評価を獲得。2014年には、4月に開催されたミラノサローネでは新作プロダクト「Balloon Chair」を出展したほか、同年8月にはこれまで手掛けてきたプロダクトデザインの作品集「New Made In Japan The works of h220430」を出版するなど、海外を中心に幅広く活動している。
2015年02月02日トッズ(TOD’S)が15SSメンズコレクションの広告キャンペーンを公開した。ロケ場所は建築家であるフィリップ・ジョンソン(Philip C. Johnson)の代表作「ガラスの家」。「ガラスの家」は49年にフィリップ・ジョンソンにより建てられた、世界的にも有名な建築物。そのコンセプトは建築における実体験を概念化することで、“見られている”“見えている”という事象を、“見られていない”“見えない”という関係へと転換。ガラスと鉄を用いた建築物は、建築における可能性という概念そのものを問う作品となっている。トッズは今回の広告撮影を記念して、ミラノのヴィラ・ネッキの庭園に「ガラスの家」を再現。その際にフィーチャーしたのが、トッズのアイコンシューズ「ゴンミーニ」の進化型である「シティスパイダー」だ。象徴的なペブルのパターンに幾何学的要素が盛り込まれたソリッドなソールには、職人のクラフツマンシップとイタリアブランドの伝統が凝縮されている。1月18日にはこの場所で15-16AWコレクションの発表も行われた。なお、今回の広告撮影を第1章として、“イタリアンスタイルが世界を旅する”というコンセプトの新プロジェクト「イタリアントラベルダイアリー」がローンチされる。キャンペーンに先駆けて、フィリップ・ジョンソンが出演するティーザー動画も公開されている。
2015年01月22日