カナダ大使館内にある高円宮記念ギャラリーにて開催中のユニス・ルック展、その名も〈 完璧な卵などない(英題:No egg is perfect) 〉。その様子をご紹介します。ユニス・ルックについてユニス・ルック(Eunice Luk)は、1988年生まれのトロント出身のアーティスト。2012年にオンタリオ美術デザイン大学卒業以降、ワールドワイドに展示を成功させています。作品は、様々なメディアや技法を使って実物を自身の言葉に転換し、作品の中心(ポジティブスペース)とその背景(ネガティブスペース)をシンプルかつ主観的に記録することが持ち味。最近では、VACANT(東京) / スイス・インスティテュート(ニューヨーク) / プリンテッド・マター(ニューヨーク) / ウォルター・フィリップス・ギャラリー(バンフ) / アート・メトロポール(トロント) / エックスペース(トロント) / ノーファル・プロジェクト(トロント)ほかワールドワイドに作品展示を成功させています。また〈 スロー・エディションズ (Slow Editions) 〉から作品集や書籍を刊行。ニューヨーク、ロサンゼルス、東京のアートブック・フェアで定期的に展示を行っています。ユニス・ルック公式サイト / Instagram(@sloweditions)その彼女は、現在横浜で行われている「黄金町アーティスト・イン・レジデンスプログラム」に参加中。絵画 / 陶芸 / インスタレーションなどを制作し、2016年7月にはオンタリオ・アーツカウンシルおよびトロント・アーツカウンシルから助成を得て、信楽(滋賀県)での「陶芸の森アーティスト・イン・レジデンス」に参加したそう! 本展〈 完璧な卵などない 〉は、「陶芸の森」滞在中に制作されたものを含む、彼女の最新作を観ることができます。同レジデンスに滞在中、田園地域である信楽が紡いできた陶芸の "歴史" や "伝統" に深い感銘を受け、手びねりの陶芸作品と陶板画を制作。作品は、物事が衰退するサイクルや、自然を通じて暮らしの中で見出したささやかな喜びや安らぎから発想を得たものです。これらの作品の多くは、瞑想的な静寂、楽観、内省といった感覚を表現しています。広々とした空間にゆったりと展示された作品たちは、セラミックでできたペールトーンの卵を中心に、どれも緩やかで自然美を備え、まるで元からそこに存在していたかのような感覚を与えてくれます。不完全さが逆に手作りの温かみと親しみやすさを醸し出しているかのよう!最後に、気さくでチャーミングさが魅力のユニス・ルック本人から特別に、 "ROBE読者へ向けたメッセージ" もゲット♡ 写真撮影の際向けられたスマホを見て "Technologyいっぱいネ〜" と言いながらニコニコ応対してくれた姿に、一同キュン!" My message for visitors to the ’No egg is perfect’ is that I hope they are able to find small pleasures and comfort in every daily life. I was relieved to find beauty in life through nature in the countryside of Japan. I noticed the beautiful flora, colorful insects, soft, foggy sunrises while living in the slow countryside life in Shigaraki. It reminded me to cherish the small details around me even through difficult times. Nothing is perfect, yet we can always find beauty through the imperfection."(直訳:本展で伝えたいことは、ふだんの生活の中にある些細な幸せを見つけられるようになってほしいということです。わたしは、日本の郊外の自然を通じて、命の中の美しさを見つけることに心安らぎました。植物群や、多彩な昆虫、柔らかくてぼやけた日の出など、信楽でのスローライフを通じてわたしはその美しさに気づくことができました。完璧なものが無くても、わたしたちは、不完全の中から美しさを見いだすことができるのです。) カナダ大使館高円宮記念ギャラリーは入館自由滅多なことがないと入館できないというイメージが持たれがちな〈 大使館 〉。しかしカナダ大使館は身分証明書の提示のみで入場可能、館内のライブラリーやギャラリーを気軽に鑑賞することができます。平日のみの開館ですが、都民でも意外と知らない(?)穴場スポットなので東京を知っている方にこそ推したいスポットです。〈 完璧な卵などない:ユニス・ルック 〉展期間: 2016年11月29日(火)~ 2017年1月20日(金)会館時間: 平日(午前10時から午後5時半まで)休館日: 土・日、12月26日(月)~ 1月3日(火)は休館入場:無料場所:カナダ大使館高円宮記念ギャラリー(Google Mapsへ飛ぶ)※身分証明書の提示で誰でも入館可能お問い合わせ先:カナダ大使館広報部Tel:03-5412-6391 E-mail:TOKYO.CC@international.gc.caText. Midori Tokioka (@mdrtkk)
2017年01月04日和菓子の老舗とコラボ! 個包装だからお土産にもぴったり◎江戸時代から続く老舗の和菓子店「榮太樓總本鋪」とのコラボ商品「ひとくち羊羹」(800円)。北海道産小豆の風味を活かした食べ切りサイズの羊羹は1つずつ小分けにされているから配りやすく、お土産におすすめ。パッケージはモネの「グラジオラス」とゴッホの「オワーズ川の岸辺、オーヴェールにて」の2種類です。ヨーロッパ絵画×えびせん!?ヨーロッパ絵画×海老せんべいという意外なマッチングが目を引く「海老せんべい」(800円)は、もちろん日本での展覧会ならでは。マヨネーズ風味の海老せんべいは老若男女問わず人気の一品です。こちらも個包装されていて日持ちがするので、ちょっとしたお土産にも◎。集めて飾りたい 名作モチーフのマグカップルノワールとモネの作品をそれぞれあしらった「マグカップ」(各1890円)は内側が鮮やかなピンクやブルーになっていて、両方揃えたくなる可愛さです。マグを使うたびに憧れの名画を鑑賞したら、センスアップも期待できるかも?! 他にも、ゴッホのマグカップもあるのでじっくり選んでみて。取材・文/藤井ちひろ店舗情報店名:デトロイト美術館展~大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち~TEL・予約:03-5777-8600(ハローダイヤル)住所:東京都台東区上野公園1-2上野の森美術館アクセス:JR上野駅公園口より徒歩3分営業時間:9:30~16:30(但し、毎週金曜日9:30-20:00)※入館は閉館の30分前まで)2016年10月7日(金)~1月21日(土)
2016年12月30日日本初上陸の作品15点を含んだ選りすぐりの作品たち1885年に創立されたデトロイト美術館はアメリカの公共美術館として初めてゴッホ、マティスの作品を取り入れた美術館で、コレクションは約6万5千点、年間の70万人以上の来訪客を誇る、アメリカを代表する美術館の1つです。今回はその中から選び抜かれた52点が展示されています。また、今回の展覧会の大きな特徴がカメラ撮影OKということ(月曜火曜のみ。フラッシュは禁止、一部SNS投稿禁止作品もあります)。美術展は撮影禁止のことが多いので、この機会に巨匠の名作をカメラに収めちゃいましょう!目玉作品のゴッホの「自画像」は一生に一度は見ておきたい!麦わら帽子をかぶり明るい色彩で描かれたゴッホの自画像は一番人気の作品だけあって撮影可能日と週末は特に混雑するそう。それもそのはず、この「自画像」はなんと100億円の価値があると言われている作品! 並んででも間近で写真をおきたくなります。他にも息子をモデルにしたルノワールの「白い服の道化師」やモネが妻カミーユを描いた「グラジオラス」など、有名作品が目白押しです。ヨーロッパ近代絵画の顔とも言える珠玉の作品を間近で見られて、カメラ撮影までできちゃう今回の展覧会。年末年始も開館しているのでお休み中にぜひ立ち寄って「奇跡のコレクション」に触れてみては?取材・文/藤井ちひろ店舗情報店名:デトロイト美術館展~大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち~TEL・予約:03-5777-8600(ハローダイヤル)住所:東京都台東区上野公園1-2上野の森美術館アクセス:JR上野駅公園口より徒歩3分営業時間:9:30~16:30(但し、毎週金曜日9:30-20:00)※入館は閉館の30分前まで)2016年10月7日(金)~1月21日(土)
2016年12月29日東京都港区、パナソニック東京汐留ビルの4階にあるパナソニック 汐留ミュージアムで、2017年1月14日(土)~3月26日(日)まで「マティスとルオー展 ― 手紙が明かす二人の秘密 ―」が開催されます。20世紀前半のフランスを代表する画家、アンリ・マティスとジョルジュ・ルオーの半世紀にわたるふたりの厚き友情と芸術の軌跡を、近年発見された往復書簡や作品を通して紹介します。アートファンの方は必見ですよ。芸術家2人の友情を解き明かす!「マティスとルオー展 」が開催フランス近代絵画の巨匠として輝かしい足跡を残したアンリ・マティスとジョルジュ・ルオー。2人の厚い友情に焦点を当てた特別展「マティスとルオー展 ― 手紙が明かす二人の秘密 ―」が、2017年1月14日(土)からスタートします。全く異なる画風を確立したマティスとルオーでしたが、パリの美術学校で共に学び、生涯にわたって家族ぐるみの交流を続け、互いの創造活動を尊重し、支援し合いました。2人の友情は、マティスが亡くなる前年の1953年まで、断続的ながら実に約半世紀に渡って続いていたことが、近年発見された書簡より明らかになりました。本展では、2人や家族の手紙を紹介しながら、その時期の絵画作品を併せて展示。マティスの静物画《スヒーダムの瓶のある静物》をはじめとする貴重な初期の作品や、ルオーの重要な版画集『気晴らし』の油彩原画シリーズなど、油彩画、手紙、デッサン、版画、彫刻、絵付け陶磁器、タピスリーや、当時最高の技術と気概を持つ出版人との協働で生み出された美麗な挿絵本と、初来日作品を含む合計約140点を通して、偉大な2人の巨匠の友情の秘密に迫ります。展覧会の見どころをご紹介!豊かな美しさに満ちた堂々たる女性の姿を描いた、アンリ・マティス(1869-1954)の1939年の名作《ラ・フランス》と、印象的な赤い衣装をまとう、ジョルジュ・ルオー(1871-1958)の1943年の連作からの《赤と金の小姓》。フランスを代表する偉大な画家となった2人の輝かしい代表作は、第二次世界大戦中、しかもフランスの首都パリが陥落した危機の時代に描かれました。なぜ2人はこれらの絵を描かなければならなかったのか、また、これらの絵にいたるまでと、その後の更なる高みへの軌跡を、2人の間に交わされた手紙のやりとりを手がかりに、テーマによる章構成で展開します。●1.貴重な油彩画や直筆の手紙が初来日!パリのジョルジュ・ルオー財団から出品される、モロー教室時代のデッサン《〈学者たちの間の幼児イエス〉のための習作》(1894)や、救国の少女の姿でフランスを描いた油彩画《聖ジャンヌ・ダルク》「古い町外れ」(1951)をはじめとする、4点の絵画や3点のタピスリーなどのルオー作品のほか、マティスからルオーに宛てた直筆の手紙2点が初公開されます。 ●2.世界初の一挙公開が実現ルオーの『気晴らし』シリーズの油彩画全15点が、世界で初めて一挙に展示。このような全点展示はフランスでも未だ実現に至っていません。また、この作品を原画に制作された美麗な版画集も合わせて鑑賞できる貴重な機会となっています。●3.二人の知られざる友情と、絵に秘めた思いが明らかに約50年に及ぶ手紙のやり取りを手がかりに、2人の巨匠の家族ぐるみの友情の軌跡を辿っていきます。さらに、ナチスの侵攻を機に描かれた美しい絵画、マティスの《ラ・フランス》やルオーの『気晴らし』シリーズなどに、彼らが共に大切にしていた祖国への愛にも光を当てます。関連イベントも充実!会期中は「マティスとルオー展 」をより深く知り、楽しめる、様々なイベントが実施されます。●マティスとルオー展 記念講演会「マティスとルオーの手紙の発見」この手紙の発見者であり、「往復書簡集」の編者であるマンク氏が彼らの50年を語ります。2人の手紙のやり取りから、近年明らかになった意外な素顔も知ることができますよ。記念講演会「マティスとルオーの手紙の発見」詳細日時: 2017年1月14日(土)14:00~15:30(開場は13:30)会場:パナソニック東京汐留ビル5階ホール講師:ジャクリーヌ・マンク氏(パリ市立近代美術館学芸部長)※フランス語による講演、日本語同時通訳付き定員: 150名(要予約) 聴講費:無料(ただし本展の鑑覧券が必要)※未就学児は参加できません。受付開始日:11月1日(火)より(受付時間:8:00~22:00)申し込み方法 : 講演会はハローダイヤル03-5777-8600へ。電話で申し込んでください。●山田五郎アートトーク「マティスとルオー展を語る!」BS日テレの「ぶらぶら美術・博物館」などでもお馴染みの山田五郎氏が登場。本展を楽しく見るヒントが散りばめられた楽しいトークイベントです。山田五郎アートトーク「マティスとルオー展を語る!」詳細日時:2017年2月10日(金)14:00~15:00(開場は13:00)会場:パナソニック東京汐留ビル5階ホール講師:山田五郎氏(評論家)定員: 250名(要予約) 聴講費:無料(ただし本展の鑑覧券が必要)※未就学児は参加できません。受付開始日:12月5日(月)より(受付時間:8:00~22:00)申し込み方法 : 講演会はハローダイヤル03-5777-8600へ。電話で申し込んでください。●「ふみの日」プレゼント (各日先着50名)会期中の「ふみの日」にあたる、1月23(ふみ)日(月)、2月23 (ふみ)日(木)、3月23 (ふみ)日(木)に来館した方は、オリジナル絵はがきが貰えます。●ギャラリートーク担当学芸員によるギャラリートークも毎週開催されます。ギャラリートーク詳細開催日:2017年1月22日(日)、28日(土)/2月3日(金)、11日(土・祝)、17日(金)、26日(日)/3月3日(金)、10日(金)、16日(木)、21日(火)開催時間:いずれも14:00~(予約・参加費は不要ですが、本展の観覧券が必要です)※会場の混雑状況によってはスライドトークに変更になります。イベント詳細名称:マティスとルオー展― 手紙が明かす二人の秘密 ―会場:パナソニック 汐留ミュージアム住所:東京都港区東新橋1-5-1パナソニック東京汐留ビル4F会期:2017年1月14日(土)~3月26日(日)開館時間:10:00~18:00休館日:2017年1月18日(水)、25日(水)、2月1日(水)、8日(水)、15日(水)入館料:一般:1,000円、65歳以上:900円、大学生:700円、中・高校生:500円、小学生以下:無料公式サイト:
2016年11月14日前回の企画展「Modern Beauty展」も大盛況のうちに終了した箱根ポーラ美術館。2016年度後半の企画展は、19世紀後半〜20世紀のパリが舞台。「ルソー、フジタ、写真家アジェのパリ − 境界線への視線」と題した本展覧会では、ルソー、フジタ、アジェの3人の芸術家を中心に取り上げています。彼らを「パリ」と「境界線」という共通点を紐解いてみましょう。「時代の大きな変化」に芸術家として生きていた彼らの作品は、現代を生き抜くヒントになるかもしれません。◆見どころ1芸術家が捉えつづけたパリ市周辺部の「境界線」19世紀中期から20世紀初頭にかけ、パリ市は周囲を壁に取り囲まれていたそう。その間、パリ市の人口増加に伴い貧富の差も拡大。煌びやかな中心部とは異なり貧困層が住むパリ市周辺部で作品を作り続けた人物が、今回の3人です。日曜画家として活動していたアンリ・ルソー、渡仏し戦前すっかり画会を代表する日本人と名声を手に入れたレオナール・フジタこと藤田嗣治、そして写真家として大器晩成となったウジェーヌ・アジェ。同じパリ市周辺部の「境界線」を題材にしていたにも関わらず、彼らの作品は三者三様でした。殊に、日本から渡仏したフジタにとっては日本人であるという来訪者としての自意識と、貧困者という街にとっての異物とを、重ね合わせていたと言われています。 ◆見どころ2紆余曲折の末にたどり着いた「写真」が絵画に与えた多大な影響3人の中で、学芸員の方も「有名でなかったからどう取り上げればいいか戸惑った」と苦笑いするほど知名度の低い写真家アジェ。演劇人を目指すものの一向に目が出ず写真に手を出したのが30代半ば、という苦労人でした。1898年(このときすでに41歳!)以降、19世紀のパリの姿を撮影することを使命として写真に打ち込み地位を確立していったそう。20kgするカメラを抱え、パリ郊外の建造物、公園、道路、店先、看板、室内、路上で働く人々を撮影していきました。そのうち彼の作品は美術館や公的機関、画家や室内装飾家、建築家などに買われていったのだとか。いつでもどこでも気軽にスマホで撮れるわけではなかった時代、仕事資料として重宝される商売も需要があったというわけです。晩年は、マン・レイに見い出されたことを機に、ジョルジョ・デ・キリコらのシュルリアリストたちに影響を与えていたというから驚きです。また、アジェの残している顧客リストには名を連ねていないものの、フジタの手記にはアジェが記録写真販売の訪問営業に来たという記録が残っているんだとか。こういった系譜を知っていくのも体系的に作品を見ることのできる企画展ならではですね。 また、レオナール・フジタは、昨年の東京国際映画祭 (TIFF) でオダギリジョー主演映画「FOUJITA」が放送されたことも記憶に新しい方もいらっしゃるのではないでしょうか。「アッツ島玉砕」に代表される通り、2度の世界大戦に人生を翻弄された挙句、フランスへ帰化した1人です(日本を去る時の名言と、土門拳が撮影した空港写真が最高にかっこいいのでぜひ見ていただきたい)。そういった経緯を鑑みると、半世紀以上が経過した今こうして邦美術館で彼を目にする機会が増えたことは、喜ぶべきことかもしれません。ちなみに、著作権が厳しいフジタの作品は今も数多くの作品が未だ「著作権有効」であるため。なのでこの記事に1枚もフジタの作品画像は掲載されていません。「小さな職人たち」シリーズをはじめ作品を見るためには現場で確かめるのみ!乳白色だけでないフジタの作品を、貴重な絵画・写真の数々をぜひご自身の目で確かめてみてはいかがでしょう?そのほかにも、企画展をモチーフに考案された限定のコース料理や19世紀末に使われていたピンホールカメラを作るワークショップなど、多角的に展示会を楽しめる催しが用意されているので要チェック。すぐには行けない!という方は、ポーラ美術館のInstagram(@polamuseumofart) のフォローもおすすめ。貴重な貯蔵品や企画展示の様子はもちろん、建造物としても有名な美術館の写真や「森の遊歩道」の季節の移り変わりもチェックすることができます。 「ルソー、フジタ、写真家アジェのパリ ー 境界線への視線」会 期 : 2016年9月10日(土)~ 2017年3月3日(金)※会期中無休主 催 : 公益財団法人ポーラ美術振興財団 ポーラ美術館 特別協力 : 川崎市市民ミュージアム、東京国立近代美術館、横浜美術館 後 援 : フランス大使館、アンスティチュ・フランセ企画展HPポーラ美術館Address神奈川県 足柄下郡 箱根町 仙石原小塚山1285Tel0460-84-2111Open9:00-17:00(入館は16:30まで)無休(展示替えのための臨時休館あり)美術館HP Text. Midori Tokioka
2016年11月13日9月17日(土)より汐留のパナソニック汐留ミュージアムで開催中の「モードとインテリアの20世紀展」。パナソニック社の社業に親和性のあるとされる「建築・住まい」「工芸・デザイン」の切り口でこれまで企画展をしてきたこの美術館にとって「ファッション」を取り扱うことは初めてのことだそう。ファッションデザイナー、森英恵の故郷・島根県立石見美術館所蔵の貴重なファッションを多数取り揃えた展覧会は小規模ながら非常に見応え十分です。特に今回は2つの点に注目して展覧会を見ていきましょう!時代毎に特徴のあるインテリアとファッションの変遷19世紀の「ベルエポック」の名残から戦後の「ミッドセンチュリー」と言われる1900年代〜1960年代のハイファッションとインテリアがまとめられている本展。章立ては年代毎に分かれており、それぞれの象徴的なインテリアとともに当時を彩った実物のハイファッションを鑑賞することができます。ポイントは写真を見てお分かりの通り、各年代のドレスたちの後ろの巨大パネル。激動の時代とされる20世紀において、ファッションの大きなキーワードとされているのが「簡素化」という言葉です。19世紀までコルセットできつく締め上げていた身体を解放し、華美な装飾が洗練されていったという傾向が今日に至ります。映画『タイタニック』のヒロイン、ローズを想像してもらうとイメージしやすいでしょうか。なかでも、1960年代の章で飾られていた下の写真は、かつて日比谷にあったエール・フランス航空の東京営業所のイラスト画。シャルロット・ペリアンというフランス人建築家による内装デザインです。この絵で描かれているイームズチェアは美術館内にもあるので、鑑賞中の一休みに座っていただけます。ぜひ探してみてくださいね。島根県立石見美術館所蔵の100点を超える貴重なファッションコレクションの数々森鴎外ゆかりの作品を重点的に所蔵している島根県立石見美術館ですが、森英恵氏の故郷ということもあり、ドレスなどの服飾資料をはじめファッション雑誌やファッション写真など所蔵品のバラエティは多岐に渡ります。それらが東京に来ているのは非常に貴重な機会!年代物のドレスの裾や襟ぐりなどのディテール、360度見れるからこそ実際にその細やかさを間近で見ることができます。百聞は一見に如かずと書くことが執筆者にとって怠慢だとしても、これらファッションの数々は実際に目にしていただくことには始まりません。せめてお写真だけでもお伝えせんとこちらに掲載していきたいと思います。下の写真は、戦後の1940年代後半〜1950年代に発表されたクリスチャン・ディオールやバレンシアガのオートクチュール。裾や襟ぐりの繊細さはもちろん、布を贅沢に使ったデザインはまるで戦後の開放感を表現しているようにも感じられ、ため息ものです。創刊まもない雑誌『ヴォーグ』も、クリスチャン・ディオールが1947年春夏コレクションにて発表した「ニュー・ルック」の特徴を色濃く反映しています。もちろん本展覧会のラストの部屋には森英恵氏の名を世界に轟かせた有名なドレスも展示されています。戦後、敗戦国であるが故に日本商品が米国デパートなどで蔑まれているという惨状を知った彼女らしい、ジャポニズム溢れる鮮やかな色彩には目を奪われてしまいます。今回、第2章の20-30年代の部屋のみ、特別に撮影可能となっています。1920年代といえば『華麗なるギャッツビー』の時代。アールデコに代表されるように豪華絢爛な時代、女性の内面美を表現したシャネルや、老舗メゾンのランバンなど、当時の衣装が贅沢に展示されている部屋となっていますので、ぜひ写真に収めてみてはいかがでしょう。今やすっかり「ライフスタイル」の言葉が浸透し、”着ること” を生活とリンクさせることが当たり前になりましたが、こうして100年に渡る変遷を辿るといつの時代も社会情勢にトレンドは大きく影響を受けてきたという一貫性が見えてくるかもしれません。だからこそ、ファッションの変遷を見つめること、そして現代における「何」がトレンドに影響しているのか?とアンテナを張り続けることが、今後のファッションの在り方を見据える手がかりになるかもしれません。「モードとインテリアの20世紀 ―ポワレからシャネル、サンローランまで―」会 期 : 2016年9月17日(土)~11月23日(水・祝)休館日 : 毎週水曜日 ※ただし11月23日は開館主 催 : パナソニック 汐留ミュージアム、毎日新聞社特別協力 : 島根県立石見美術館後 援 : フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本、港区教育委員会協力 : TOKYO MXHP Text. Midori Tokioka
2016年11月13日ポーラ美術館所蔵の『レースの帽子の少女』が撮影可能になったニュースも新しいルノワール。ルノワールと40歳の年齢差をもちながら師弟関係を築いた梅原龍三郎とのふたりの関係を描いた展示会『拝啓 ルノワール先生 ―梅原龍三郎に息づく師の教え』が現在、東京・三菱一号館美術館にて開催中です。みどころ1パリで才能開花した「画壇のライオン」梅原龍三郎梅原龍三郎は、1888年に染物問屋の次男として京都に誕生。浅井忠に師事したのち渡仏。パリのアカデミージュリアンに入学しますが、ほどなくしてルノワールと師弟関係を築くことに。現地で学んだ油画に日本のテイストを取り入れることで、大胆なタッチに色鮮やかな世界観をもつ特有の作品を数多く世に発表しました。本展では彼とルノワールとの師弟関係を特集しています。みどころ2ルノワールとの”奇妙な”師弟関係20世紀初頭、パリのルノワールの自宅がふたりの出会いの場になりました。出会った当時ルノワールはすでに還暦を過ぎ(上写真参照)。痩せ型でヒゲが生えてて、晩年は車椅子で生活していたルノアールは、年齢よりも老いてみられることが多かったそう。梅原はルノワールから技術的なことを1から教わらず、それでも彼の趣味(テイスト)についてはしっかり理解していた模様。ルノワールの《バラ》を彼の好きな18世紀のアンティークの額に額装していたというストーリーも、奇妙ながら微笑ましい逸話です。みどころ3ピカソやジョルジュ・ルオー、同時代の貴重な絵画も生存中も作品が売れていた梅原は、画家にありがちな "貧乏な一生" を送ったアーティストではありませんでした。稼いだ資金を元手に、数多くの絵画を蒐集したコレクターとしても知られています。浅井忠に師事したことで影響を受けた大津絵や、交友のあったピカソやジョルジュ・ルオーら20世紀を代表する貴重な作品も数多く展示されています。(※両者ともに著作権有効のため媒体掲載不可です。ぜひ直接美術館でご覧ください。)おまけ10月30日まで無料バスが走行中、ヴァーチャルツアーも現在開催中(10月22日〜10月30日)の EDO TOKYO NIPPON アートフェス2016開催に伴い、無料バスが走行中。出光美術館、三井記念美術館、三菱一号館美術館、東京ステーションギャラリーを無料バスで巡回することができます。(1周30分)バス運行期間:10/22~10/30 11:00-18:00(木・金は19時まで)※10月24日(月)は全館休館。バスも運休。秋風に吹かれてアートをめぐるデートができるのもいまの季節ならではの楽しみ方。行ったことないからデート場所には選べない!という方は、事前にヴァーチャルツアー(動画は「三菱一号館美術館名品選2013」展の風景になります)で下見で抜かりなく。「拝啓 ルノワール先生 ―梅原龍三郎に息づく師の教え」会 期 :2016年10月19日(水)〜 2017年1月9日(祝・月)主 催 : 三菱一号館美術館、朝日新聞社協賛 : 大日本印刷企画協力: キュレイターズ『拝啓 ルノワール先生 ―梅原龍三郎に息づく師の教え』公式HPへ 三菱一号館美術館Address〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-6-2Open10:00〜18:00(※入館は閉館の30分前まで)休館日毎週月曜(祝日・振替休日・展覧会会期中最終週の場合は開館) 三菱一号館美術館 公式HPへ Text. Midori Tokioka
2016年11月13日神奈川県・箱根にある岡田美術館にて、2016年12月23日(金・祝)から2017年4月2日(日)まで、特別展「美術館で巡る 東海道五十三次の旅 ―広重の版画を中心に―」が開催されます。収蔵する「東海道五十三次」の全55図が初公開されるとあって、アートファン、浮世絵ファンは必見の展覧会です。東海道最大の難所として知られた箱根に位置する岡田美術館で、「東海道五十三次」と名所の旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。収蔵全55図を初展示!「美術館で巡る 東海道五十三次の旅」特別展「美術館で巡る 東海道五十三次の旅 ―広重の版画を中心に―」では、風景版画の傑作として名高い歌川広重の「東海道五十三次」(保永堂版)全55図を一挙展示。さらに、各宿場に関連する絵画や工芸作品が併せて展示されます。館内を巡りながら、かつての東海道五十三次の旅を満喫できる内容となっています。特別展の見どころをご紹介!●歌川広重「東海道五十三次」(保永堂版)を一挙公開今回の展示の目玉は、初公開となる「東海道五十三次」(保永堂版)です。歌川広重(1797~1858)によって手掛けられた浮世絵版画で、53の宿場に日本橋(江戸)と三条大橋(京都)を加えた 55図から構成されています。天保4年から 5 年(1833~34)にかけて出版されたと考えられており、東海道を旅する人々や、その美しい風景を生き生きと表した傑作です。日本橋から三条大橋までの全てが揃って展示される貴重な機会なので、見逃せません。●保永堂版「東海道五十三次」とは?江戸時代、浮世絵は「版元(はんもと)」が企画立てをし、出版することが主流でした。版元とは絵師、摺師、彫師へ仕事を依頼し、全体を統括する、いわゆる、プロデューサーのような役割です。広重は生涯に20種を超える東海道シリーズを制作しました。中でも、この保永堂(竹内孫八)が中心となって出版した「東海道五十三次」は、情趣に富んだ風景描写や、親しみあふれる人物表現などに優れ、高い評価を得ています。この爆発的な成功がきっかけで、広重は人気浮世絵師の仲間入りを果たしたことから、保永堂版は風景画家・広重の出世作として重要な位置を占めています。●箱根の岡田美術館で、地域の歴史に思いを馳せよう今回の展示では、箱根および近隣の小田原にゆかりのある作品も集合。この地域が歴史的にどのように評価され、表現されてきたかを辿ります。箱根に位置する岡田美術館ならではの企画となっています。●東海道に関連する作品を同時展示!美術館で旅気分を楽しめるまた、東海道の各宿場にちなんだ作品も併せて展示します。出版された当時から旅のガイドブックであったと同時に、手軽に旅気分を味わえる道具でもあった「東海道五十三次」。会場を巡り、作品を眺め、時空を超えた旅に出発しましょう。常設展示や新春特別展示にも注目!岡田美術館では、特別展示のほかに、常設展示も併せて鑑賞できるのが魅力です。中国・韓国の陶磁器や青銅器、日本の土偶や埴輪などの考古遺品、日本の陶磁器、絵画や漆芸、仏教美術など、常時約450点の美術品が並び、古代から現代までの日本・東洋の多彩な美の世界を堪能できます。また、新春特別展示として、横山大観「霊峰一文字」の 1年半ぶりの特別公開が決定。長さ約 9m にも及ぶ横山大観の富士の名画で、新年のおめでたい気分が盛り上がること間違いありません。併設の足湯カフェでほっこり岡田美術館併設の足湯カフェに、2016年12月23日(金・祝)~2017年4月2日(日)の間、手ぶらで気軽に足湯を楽しめる朝だけのお得なセットが登場します。このセットは、「美術館見学をする時間はないけれど、足湯だけでも浸かってみたい」というニーズに応えたもの。料金は、足湯入湯料(500 円税込)にタオルとコーヒーがついて、1,000円(税込)です。風神・雷神の大壁画「風・刻(とき)」を鑑賞しながら、足湯で癒されてみてはいかが。なお、美術館に入館した方は、入湯料無料で足湯を利用できます。東海道五十三次の旅を楽しんだ後には、ぜひ立ち寄ってみてください。イベント詳細名称:美術館で巡る 東海道五十三次の旅 ― 広重の版画を中心に ―会場:岡田美術館住所:神奈川県足柄下郡箱根町小涌谷 493-1会期:2016年12月23日(金・祝)~2017年4月2日(日)開館時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)休館日:2016年12月31日(土)、2017年1月1日(日)入館料:一般・大学生 2,800円、小中高生 1,800円公式サイト:足湯カフェ詳細開催期間:2016年12月23日(金・祝)~2017年4月2日(日)対象時間:9:00~11:00※上記以外の時間であれば、同セットは通常価格(1,200 円税込)にて利用できます。内容:足湯入湯料、タオル、コーヒー※ご希望の方にはブランケット無料貸し出し価格 1,000 円税込(通常 1,200 円税込)※美術館に入館した方は入湯料無料で足湯を利用できます。画像提供:岡田美術館※画像・写真の無断転載を禁じます。
2016年11月09日東京都千代田区丸の内にある三菱一号館美術館にて、「オルセーのナビ派展:美の預言者たち ―ささやきとざわめき」が、2017年2月4日(土)から5月21日(日)まで開催されます。19世紀末、パリで結成された若手芸術家のグループ・ナビ派の作品約70点が一堂に会します。日本では初めての試みとなるナビ派芸術をじっくりと見られる絶好のチャンスです。アートファンはぜひチェックしてくださいね。ピエール・ボナール《格子柄のブラウス》1892年油彩/カンヴァス© RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF日本初の試み!「ナビ派」の芸術が集結2017年2月4日(土)から三菱一号館美術館でスタートする特別展「オルセーのナビ派展」。近年国際的に評価が高まるナビ派の芸術を、日本で初めて本格的に紹介する展覧会で、フランス・オルセー美術館が誇る膨大なナビ派のコレクションから、油彩約60点、素描約10点など合わせて約70点が来日します。●前衛若手芸術家集団・ナビ派とは?モーリス・ドニ《ミューズたち》1893年油彩/カンヴァス© Musée d'Orsay, Dist. RMN-Grand Palais / Patrice Schmidt / distributed by AMFナビ派は19世紀末のパリで、前衛的な活動を行った若き芸術家たちのグループです。ゴーガンから影響を受けた、ボナール、ヴュイヤール、ドニ、セリュジエ、ヴァロットンらによって結成され、自らを「ナビ(預言者)」と称して新たな芸術表現を模索しました。近代都市を平坦な色の面で表す表飾性と、目に見えないものを描き出そうとする内面性、さらに日常と神秘をテーマに持つナビ派の絵画作品は、20世紀美術の静かな革新性が秘められています。展覧会の3つの見どころをご紹介!展示は、「ゴーガンの革命」、「庭の女性たち」、「親密さの詩情」、「心のうちの言葉」、「子ども時代」、「裏側の世界」と全6章で構成されており、文化の壁を越え、世界中の美術愛好家たちに愛されているナビ派の活動全体や美学を新たな視点から紹介。19世紀の一大芸術運動であるナビ派の作品をじっくりと鑑賞できる貴重な機会となっています。●オルセー美術館の誇るナビ派コレクションが大集合!ポール・ゴーガン《「黄色いキリスト」のある自画像》1890-1891年油彩/カンヴァス© RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / René-Gabriel Ojéda / distributed by AMFナビ派コレクションは、印象派やポスト印象派と並び、オルセー美術館を代表するもの。今回は世界的にも一級なこれらのコレクションの中から、厳選された油彩約60点、素描約10点など合わせて約70点が一堂に会します。本展では、ゴーガンの『「黄色いキリスト」のある自画像』や、ナビ派結成の契機になったセリュジエの『タリスマン(護符)』、ヴュイヤールの装飾画連作『公園』など珠玉の作品が来日。そのほかにも、本来屏風風として作られたボナールの『庭の女性たち』、2016年に新規収蔵したヴュイヤールの『八角形の自画像』なども展示。理想的なナビ派展にふさわしいラインナップとなっています。●国際的に評価が高まるナビ派を日本で初めて本格的に紹介!ポール・セリュジエ《タリスマン(護符)、愛の森を流れるアヴェン川》1888年油彩/板© RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMFナビ派の芸術は、西洋近代美術史の中で欠くことのできない重要な「ミッシングリング」の1つとして、近年国際的に注目を集めています。今回の「ナビ派展」では、その芸術活動の全貌を日本で初めて本格的に紹介します。●20世紀美術を予兆する静かな革新性に注目!ポール・ランソン《水浴》1906年頃油彩/カンヴァス© RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF自らを「ナビ(預言者)」と称して新たな芸術表現を模索したナビ派の画家たちは、ゴーガンの影響のもと、印象主義を超越。20世紀のフォーヴや抽象美術を予兆するかのような新たな表現を追求しました。洗練された表飾性と、目に見えないものを描き出そうとする深い内面性、優しく感覚的でありながら思想性にも満たされ、具象性と抽象性を併せ持つ、奥深いナビ派芸術の特徴、魅力を余すところなく紹介します。イベント詳細名称:オルセーのナビ派展:美の預言者たち ―ささやきとざわめき会場:三菱一号館美術館住所:東京都千代田区丸の内2−6−1 丸の内ブリックスクエア会期:2017年2月4日(土)~5月21日(日)開館時間 :10:00~18:00(入館は閉館の30分前まで)※祝日を除く金曜、第2水曜、会期最終週平日は20:00まで休館日:月曜休館※但し、2016年3月20日、5月1日、15日は開館公式サイト:
2016年11月08日ロシアのエルミタージュ美術館が所蔵する絵画85点を展示する美術館展「大エルミタージュ美術館展オールドマスター西洋絵画の巨匠たち」が2017年3月18日(土)より開幕。同展のテーマソングに宇多田ヒカルの『人魚』が決定した。【チケット情報はこちら】フランスのルーヴル美術館、アメリカのメトロポリタン美術館とともに、世界三大美術館のひとつと言われているエルミタージュ美術館。同展では、美術館の絵画コレクションの中でも、質・量ともに群を抜く、16世紀ルネサンスから17世紀、18世紀のバロック、ロココの “オールドマスター”に焦点を当てて展示。ティツィアーノ、クラーナハ、レンブラント、スルバラン、ブーシェ、フラゴナールなどの作品から、油彩画のみ85点を国・地域別に紹介する。今回、テーマソングに決定した宇多田ヒカルの『人魚』は、9月にリリースした8年半ぶりとなるニューアルバム『Fantome』に収録。同作はオリコン週間CDランキング4週連続1位を獲得し、話題を呼んでいる。「大エルミタージュ美術館展オールドマスター西洋絵画の巨匠たち」は6月18日(日)まで、東京・森アーツセンターギャラリーで開催。その後、愛知、兵庫へ巡回する。現在、チケットぴあでは、東京展の早割チケットを販売中。■『大エルミタージュ美術館展オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち』【東京展】森アーツセンターギャラリー(東京都)2017年3月18日(土)~6月18日(日)【名古屋展】愛知県美術館(愛知県)2017年7月1日(土)~9月18日(月・祝)【神戸展】兵庫県立美術館(兵庫県)2017年10月3日(火)~2018年1月14日(日)※『Fantome』の「o」はサーカムフレックス付きが正式表記。
2016年11月04日アメリカを代表する美術館のひとつ、デトロイト美術館の名作を集めた「デトロイト美術館展~大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち~」の東京展が、10月7日より上野の森美術館にて開催中。【チケット情報はこちら】1885年の創立以来、デトロイト市の財政破綻などの危機にも見舞われながら、自動車業界の資金援助もあり、世界屈指のコレクション数を誇る美術館として知られているデトロイト美術館。今回の巡回展では同美術館から、ゴッホの『自画像』やマティスの『窓』など、近代絵画における巨匠の作品52点を展示、うち15点が日本初公開作品となる。モネ、ドガ、ルノワール、ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌ、マティス、モディリアーニ、ピカソなどが描いた名画を存分に堪能することができる。開幕前日の10月6日に行われたプレス向け内覧会には、本展の音声ガイドナビゲーターを務めた女優の鈴木京香が出席。「何度観ても面白い展覧会です。私も何回も来たいと思いますので、ぜひ皆さんも足を運んで、名画との対話を楽しんで」とコメント。また、月・火曜日に限り、来場者が自由に絵画を撮影することができるという同展の特徴に触れ、「通常の展覧会ではあまり撮影ができない展示会が多いですが、デトロイト美術館展は自分のカメラで撮影できる点がとてもいいです。私もカメラが好きですので、来場した時にはぜひ撮影したいです」とアピールした。「デトロイト美術館展~大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち~」は、2017年1月21日(土)まで東京・上野の森美術館で開催。チケットは発売中。
2016年10月27日10月1日(土)~12月14日(水)の期間中、横浜美術館で企画展『BODY/PLAY/POLITICS』が開催されます。国内外の現代美術作家6名によるグループ展示で、「身体が生み出すさまざまなイメージ」をモチーフにした作品が登場予定です。出展するアーティストと作品概要参加アーティストは6名。「人間の身体、集団としての行動、歴史の中でつくりあげられた身体のイメージ」をモチーフにした作品は、詩的であったり、ユーモラスであったり。6名それぞれの視点で「身体」について考えられる展示です。アーティストと作品概要をまとめました。インカ・ショニバレMBE1962年イギリス生まれ。ナイジェリアで育ち、現在はロンドン在住。アフリカ現代美術を代表する作家として知られています。作品は大航海時代から現代にいたる、アフリカとヨーロッパの関係を表現。アフリカ風のろうけつ染めによる生地を素材に用います。イー・イラン1971年マレーシア生まれ。写真による作品が多く、綿密な歴史的・社会的検証に定評あり。今回の企画展には、映像インスタレーションを出品。「ポンティアナック」と呼ばれる、東南アジアの民間伝承に出てくる女性の幽霊がモチーフです。アピチャッポン・ウィーラセタクン1970年タイ生まれ。映画監督、脚本家として日本でも注目を集めています。日本初公開のビデオ・インスタレーションを披露する予定です。ウダム・チャン・グエン1971年ベトナム生まれ。彫刻、映像、ダンスパフォーマンスなど表現方法は多岐にわたります。今回出品するのは映像インスタレーション。オートバイを使い、身体をイメージした映像を作り上げています。石川竜一1984年沖縄生まれ。第40回木村伊兵衛写真賞を受賞した、いま注目の写真家。沖縄や県外各地で撮影されたポートレートや風景の新シリーズを発表します。田村友一郎1977年富山生まれ。写真、映画、インスタレーション、パフォーマンスと縦横無尽に活躍する現代美術家。近代ボディビルディングの歴史を下敷きに、新作の映像インスタレーションを制作、発表します。●パートナープロジェクト「横浜ダンスコレクション2017」にも注目同じく『BODY/PLAY/POLITICS』をテーマに開催されるパートナープロジェクト、「横浜ダンスコレクション2017」も要チェックです。日本初演、アイサ・ホクソンの「HOST-fantasy and reality」は社会の主流とは違う環境にある身体がテーマ。演出家の多田淳之介は『BODY/PLAY/POLITICS』のテーマに沿った、新作ダンスを世界初披露します。ダンサーが肉体で表現する『BODY/PLAY/POLITICS』を鑑賞しましょう。企画展とあわせて鑑賞すれば、より深く味わえますよ。会期中はライブ・パフォーマンスや、ダンスのワークショップも開催予定。『BODY/PLAY/POLITICS』で芸術の秋を満喫しませんか?■イベント概要名称:『BODY/PLAY/POLITICS』会期:2016年10月1日(土)~12月14日(水)時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)※10月28日(金)は20:30分まで(入館は20:00まで)会場:横浜美術館所在地:神奈川県横浜市西区みなとみらい3丁目4番1号休館日:毎週木曜日、11月4日(金)※11月3日(木)は無料開館公式サイト:<横浜ダンスコレクション2017 『BODY/PLAY/POLITICS』>会期:2017年1月26日(木)~2月19日(日)会場:横浜赤レンガ倉庫1号館および屋外広場、横浜にぎわい座のげシャーレ、急な坂スタジオなど問合せ:横浜赤レンガ倉庫1号館電話番号:045-211-1515公式サイト:
2016年09月05日「トーマス・ルフ展」が東京国立近代美術館 1階の企画展ギャラリーで開催されています。期間は2016年8月30日から11月13日までです。待望されていた日本国内初の個展を、asoview!編集部員が取材してきました。トーマス・ルフって?トーマス・ルフは、1958年ドイツ生まれの写真家です。アンドレアス・グルスキーやトーマス・シュトゥルートらとともに、デュッセルドルフ芸術アカデミーでベルント&ヒラ・ベッヒャー夫妻に学んだ「ベッヒャー派」として、現代の写真表現をリードしてきた存在です。さあ、世界が注目する写真家の世界観を堪能しましょうルフ作品は1990年代から日本の美術館やギャラリーで紹介されてきましたが、美術館で開催される本格的な回顧展は今回が初となります。東京会場では約125点、12月から開催される金沢会場では約160点の作品が展示されます。初期作品から最新作まで、トーマス・ルフの世界を存分に堪能できる大注目の展覧会です。会場は東京国立近代美術館の1F企画展ギャラリーです。では、早速行ってみましょう。美術館の入り口を入ると、すぐ右が企画展ギャラリーです。音声ガイドの貸し出しは、このカウンターでできます。●評価を高めた「Porträts(ポートレート)」ギャラリーに入ると、まず目にとまるのは大きな人物の写真です。自分の身長よりも大きい写真…インパクトに驚きます。縦は210cmで横は165cmもあるそう。これは、トーマス・ルフの評価を高めたきっかけである「ポートレート」という作品です。一見ありふれた証明写真のようにも見えるポートレートですが、巨大なサイズに引伸ばされた作品の前に立つと、そうした印象は一変します。まじめな表情で写真におさまっている様子は、カメラの背後にある権力の存在を感じさせます。写真と現実、被写体と写真家、写真とそれを観る人。写真をめぐるさまざまな関係性に問いを投げかける作品です。●初期作品「Interieurs」トーマス・ルフがデュッセルドルフ芸術アカデミにー在学していたときの作品です。4x5インチ判の大型カメラを手に入れたルフは、ベルント・ベッヒャー教授に椅子を撮影する課題を与えられたことをきっかけに、生活空間としての室内というテーマに関心を持ちます。対象となったのは、友人たちや故郷の家族、親戚などの暮らす、身近な環境としての室内。家具の配置などには一切手を加えず、その場の光源だけで、ありのままに、客観的に撮影することで、部屋とそこに暮らす人々をめぐる何かを浮かび上がらせようとしました。フラシュなども一切使わず、自然のまま撮影された風景。近くでじっくり観察してみると、なんだか不思議な感じがします。●少年時代からの宇宙への関心を背景とする「Cassini」と「ma.r.s.」●「Cassini」NASA(アメリカ航空宇宙局)などが1997年に打ち上げた宇宙探査船cassiniが撮影した土星と、その衛星の画像を素材にした作品です。ときに抽象的、幾何学的なデザインのようにも見える天体のイメージは、インターネット上で公開されている画像の色彩やトーンを操作することで生み出されたものです。●「ma.r.s.」「ma.r.s.」もまたNASAの探査船が撮影した画像を素材とする作品です。2006年以来火星を周回する探査船のカメラは、火星の表面のさまざまな情報を地球に送り続けています。ルフはその画像情報の角度や色彩をデジタル処理で加工することで、このはるか彼方で火星を見つづけるレンズを通じた「風景写真」の可能性を探りました。●インターネット時代の視覚・情報空間を問う「nudes」「jpeg」●「nudes」1990年代半ば、インターネットの急速な普及はヌード写真の流通にも大きな変化をもたらします。当時、デジタル画像の探求に取り組み始めていたルフは、ネット上に氾濫するポルノサイトから画像を入手し、作品を制作しました。色調を変えたり、極端にぼかしたりと、コンピュータによるマニピュレーションを徹底的に行うことで、そのヌードの構図がわずかに認識できる程度まで加工していきました。確かに。よく見るとヌード写真の輪郭が見えてきます。一見なんてことのないぼやけた写真が、さまざまな表情を見せます。●「jpeg」シリーズ名のjpegとはデジタル画像の圧縮方式のひとつで、現在、全世界で使用されもっとも標準的なフォーマットの名称です。圧縮率を高めすぎるとブロックノイズが発生し、画面がモザイク状になってしまうというこの画像フォーマットの特性を用いて、画像の構造そのものを視覚化しています。離れて見ると滑らかな写真のように見え、近づいて見ると、画像の構成要素が明らかになります。本展が世界初公開となる作品も!ある新聞社のプレス写真アーカイヴを入手したことから着想された「press++」シリーズ。かつてのメディア空間で使用されていた紙焼写真と、それにともなう文字情報を素材に生まれた最新作です。今回は、読売新聞社から提供されたプレス写真を素材とした世界初公開となる作品も展示されています。世界初公開なんて、すごい。ワクワクしながら、いよいよ対面です。画像と文字・記号がデジタル化されて同一平面上に置かれ、さらに巨大なサイズに引き伸ばされることで、イメージが情報化していくプロセスそのものが露わになります。展覧会には、他にもまだまだ見逃せない作品がたくさん。全18シリーズ、東京会場では約125点が展示されています。展覧会の限定グッズも見逃せない展覧会を堪能したあとは、限定グッズもチェックしてみましょう。インパクト抜群のTシャツに…エコバッグもありますよ。センス抜群の絵葉書もたくさん!写真と解説を網羅した、図録も気になります。どれにしようか迷ってしまいますね。東京国立近代美術館のアクセスはこちら「東京国立近代美術館」は、東京メトロ東西線竹橋駅 1b出口より徒歩3分ほどの場所にあります。地上へ出たらすぐ右に曲がり、内堀通りを横断しましょう。そのまま真っすぐ進むと、右手に「東京国立近代美術館」があります。到着です。私たちの身近にあり、何気なく見ている「写真」を新たな視点で再構築した「トーマス・ルフ展」は、ファンならずとも見応えたっぷりです。日本初の回顧展が開催されるこの機会に、お出かけしてみてはいかがでしょう。新たな写真の魅力を発見できるかもしれません。イベント詳細イベント名:トーマス・ルフ展会場: 東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー所在地:東京都千代田区北の丸公園3-1会期: 2016年8月30日(火)〜11月13日(日)開館時間:10:00〜17:00 毎週金曜日は午後8時まで※入館は閉館の30分前まで休館日:月曜日※ただし9月19日、10月10日は開館し、9月20日(火)、10月11日(火)は休館。観覧料:一般1,600円(前売1,400円)、大学生1,200円(前売1,000円)、高校生800円(前売600円)※中学生以下無料展覧会公式サイト:東京国立近代美術館公式サイト:
2016年09月01日展覧会「トーマス・ルフ展」が東京国立近代美術館で2016年8月30日(火)から11月13日(日)まで、石川・金沢21世紀美術館で2016年12月10日(土)から2017年3月12日(日)までの期間、開催される。トーマス・ルフは、アンドレアス・グルスキーやトーマス・シュトゥルートらとともにデュッセルドルフ芸術アカデミーでベルント&ヒラ・ベッヒャー夫妻に学んだ「ベッヒャー派」として、1990年代以降、現代の写真表現をリードしてきた存在だ。彼は自ら撮影したイメージだけでなくインターネット上のデジタル画像から古写真コレクションまで、あらゆる写真を素材に用いて新しい表現の可能性を探究している。美術館で開催される本格的な日本国内の回顧展は今回が初。待望されていた本展では世界が注目する彼の初期から、初公開の最新作までを紹介する。初期に発表し注目されるきっかけとなった高さ約2メートルにもなる巨大なポートレート作品や、それ以降の建築、都市風景、ヌード、天体などさまざまなテーマの作品全18シリーズ、東京会場約125点、金沢会場約160点の作品で構成。最新作「press++」シリーズでは本展が世界初公開となるものも。彼は、作品を通して現代人をとりまく世界のあり方についてのユニークな見方を提示する。【開催概要】トーマス・ルフ展■東京会場会期:2016年8月30日(火)〜11月13日(日)※月曜休館。ただし9月19日、10月10日は開館。9月20日(火)、10月11日(火)は休館。開館時間:10:00〜17:00 毎週金曜日は20:00まで。※入館は閉館の30分前まで会場:東京国立近代美術館住所:千代田区北の丸公園3-1TEL:ハローダイヤル 03-5777-8600料金:一般 1,600(1,400)円、大学生 1,200(1,000)円、高校生 800(600)円※()内は前売の料金。20名以上の団体は一般 1,300円、大学生 900円、高校生 500円となる。■金沢会場会期:2016年12月10日(土)〜2017年3月12日(日)※月曜休館。ただし1月2日、9日は開館。12月29日(木)〜1月1日(日)、1月10日(火)は休館。開館時間:10:00〜18:00 毎週金・土曜日は20:00まで。※入館は閉館の30分前まで。会場:金沢21世紀美術館住所:石川県金沢市広坂1-2-1料金:一般 1,000(800)円、大学生 800(600)円、小中高生 400(300)円※()内は前売、20名以上の団体の料金。
2016年08月25日アメリカを代表する美術館のひとつ、デトロイト美術館の名作を集めた「デトロイト美術館展~大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち~」の大阪展が、明日7月9日(土)より開幕する。1885年の創立以来、自動車業界の資金援助もあり、世界屈指のコレクション数を誇る同美術館は、ゴッホやマティスの作品をアメリカの公共美術館として初めて購入するなど、芸術の街デトロイトの象徴となってきた。今回の巡回展では、そのゴッホの「自画像」やマティスの「窓」など、巨匠たちの作品52点を展示し、うち15点が日本初公開となる。モネ、ドガ、ルノワール、ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌ、マティス、モディリアーニ、ピカソほか、近代ヨーロッパ絵画の「顔」ともいうべき名画を堪能することができる。東京展は10月7日(金)より東京・上野の森美術館にて開幕。数量限定のお得な特典付き前売チケットは7月9日(土)午前10時より、チケットぴあにて発売開始。「特製クリアファイル付前売券」と「2017年特製カレンダー付前売券」の2種となる。また、9月5日(月)より通常の前売券とともに「オリジナル図録付前売券」も発売予定。■「デトロイト美術館展~大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち~」【大阪展】会期:7月9日(土)~9月25日(日)会場:大阪市立美術館(大阪府)チケット:一般1,500円【1,300円】、高校・大学生1,000円【800円】※【】内は当日券【東京展】会期:10月7日(金)~2017年1月21日(土)会場:上野の森美術館(東京都)チケット:2017年特製カレンダー付前売券2,400円(サークルK・サンクス限定)特製クリアファイル付前売券1,400円(セブン-イレブン限定)一般1,400円、高・大学生1,000円、小中学生500円※全て前売券の価格※数量限定、予定枚数に達し次第販売を終了いたします
2016年07月08日「デトロイト美術館展 〜大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち〜」が東京・上野にある上野の森美術館で、2016年10月7日(金)から2017年1月21日(土)まで開催。モネ、ドガ、ルノワール、ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌ、マティス、モディリアーニ、ピカソほか、まさに近代ヨーロッパ絵画の「顔」ともいうべき巨匠たち。1885年に創立したデトロイト美術館には、自動車業界の有力者らの資金援助を通じ、世界屈指のコレクションが集結。ゴッホやマティスの作品をアメリカの公共美術館として初めて購入したのもデトロイト美術館だという。100を超えるギャラリーには、古代エジプトから現代美術まで65,000点を超える作品を所蔵。それらの多様性も同館の特徴で、アフリカ、アジア、オセアニア、イスラム、古代美術などどの分野でも重要な品々を誇る。本展では、その中からコレクションの中核を成している印象派、ポスト印象派、20世紀フランス・ドイツの数々の傑作の中から選りすぐりの全52点を紹介。日本初公開の15点を含む作品を、4章に分けて解説する。展覧会の入り口である第1章では、印象派を代表するモネ、ドガ、ルノワールらの絵画などを中心に展示。戸外での作品を重視し、黒色や褐色を避けた鮮やかな配色を用いることで映し出される、その時代のパリの街並みや市民の日常生活が魅力的だ。第2章のポスト印象派では、日本初上陸となるゴッホ晩年の作品《オワーズ川の岸辺、オーヴェールにて》やゴーギャンの《自画像》など、この時代を代表する画家たちの傑作を中心に展開。この章では、アール・ヌーヴォーと連動し、挿絵や版画、ポスター、家具などジャンルの垣根を越え創作活動をした「ナビ派」モールス・ドニやピエール・ボナールの作品も楽しむことができる。20世紀のフランス・ドイツ絵画は、第3・4章に分けて紹介。ドイツ人館長ヴィルヘルム・R・ヴァレンティナーの時代に収集されたものや、ピカソがキュビズム時代に描いた作品など、多様性とダイナミズムが息衝く時代を体感できる。また、2016年12月17日(土)、24日(土)、25日(日)の3日間は、夜間特別開館「クリスマス・ナイトミュージアム」を実施。夜間開館中は、展示室内に特設クリスマスツリーを設置し、通路に色鮮やかな電飾を飾り音楽を展示室内に流すなど、クリスマス仕様にイメージチェンジしている。【概要】デトロイト美術館展 〜大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち〜会期:2016年10月7日(金)~2017年1月21日(土)※休館日は10月21日(金)会場:上野の森美術館住所:東京都台東区上野公園1-2開館時間:9:30~16:30(毎週金曜日、10月22日(土) 9:30〜20:00)※入館は閉館の30分前まで。観覧料:一般 1,600円、高校・大学生 1,200円、小・中学生 600円、小学生未満 無料※前売・団体は各200円引き(団体は20名以上、小・中学生は100円引き)<br />※障がい者手帳をお持ちの方とその介護者1名様は無料。(要証明)【クリスマス・ナイトミュージアム概要】日程:2016年12月17日(土)、12月24日(土)、12月25日(日)時間:17:30〜19:00(入館は18:30まで)会場:上野の森美術館住所:東京都台東区上野公園1-2料金:ペアチケット3,000円(税込)【問い合わせ先】ハローダイヤルTEL:03-5777-8600(全日/8:00~22:00)■巡回予定・大阪市立美術館 会期:2016年7月9日(土)〜9月25日(日)住所:大阪府大阪市天王寺区茶臼山町1‐82※休館日:月曜日 (但し、7月18日、8月15日、9月19日は開館、7月19日は休館)開館時間:9:30~17:00 (入場は16:30まで)観覧料:一般 1,500円(1,300円)、高校・大学生 1,000円(800円)※()内は前売りおよび20名以上の団体割引料金※ペア券(一般のみ)プレイガイドのみで販売。販売期間は4月27日から7月8日まで※中学生以下、障がい手帳をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料。(要証明)。※本展は大阪市内在住の65歳以上も一般料金。・豊田市美術館会期:2016年4月27日(水)〜6月26日(日)※休館日:月曜日(但し、5/2は開館)住所:愛知県豊田市小坂本町8-5-1観覧料:一般 1,400円、高校・大学生 1,000円、中学生以下 無料※前売・団体は各200円引き(団体は20名以上)※豊田市内在住、在学の高校生、障がい者手帳の所持者、市内75歳以上は無料(要証明)
2016年07月01日ブリヂストン美術館が「アーティゾン美術館(ARTIZON MUSEUM)」としてリニューアルし、2020年1月18日(土)に再び開館する。「新TODAビル 文化貢献施設」や「アートスクエア」とともに、京橋1丁目東エリアに新しい芸術・文化拠点を形成する「京橋彩区(きょうばしさいく)」に立地する。ブリヂストン美術館がリニューアルブリヂストン美術館は、1952年1月に東京で初めて西洋絵画を展示する美術館として開館した。以来、60年以上にわたり東京・京橋において東西の名画にふれあう機会を提供してきた美術館だ。これまで、クロード・モネやピエール=オーギュスト・ルノワールの作品を集めた「ベスト・オブ・ザ・ベスト」や、オランダ出身のウィレム・デ・クーニングにフォーカスした展覧会など、独自の美術展を開催してきた。アーティゾン美術館に名称変更へブリヂストン美術館の歴史を継ぐ美術館として、新たに誕生する「アーティゾン美術館」。展示面積は、旧美術館の約2倍となり、展示室は4階から6階の3フロアで構成される。ガラスに囲まれたモダンな建築で、館内には明るく開放的な空気が漂う中、作品世界に没入できる。展示面積の拡大に伴い、展示もパワーアップ。「創造の体感」をコンセプトに、印象派を中心とする従来のコレクションから、古美術、日本近代洋画、20世紀美術、現代美術まで2,500点以上にのぼる多彩な作品を、独自性豊かな企画とともに公開。旧美術館では実現できなかった大規模な企画展(特別展)とコレクション展の同時開催が可能となる。また、入口は従来の八重洲通り沿いから、銀座と日本橋をつなぐ中央通り沿いへと移動。京橋一丁目の再開発における芸術と文化の拠点として、地域の発展と貢献を目指す。「京橋彩区」でオープンする施設東京駅八重洲口から歩いて5分、美術館、ギャラリー、古美術商などが集積する東京駅周辺エリアに“開かれた芸術・文化拠点”として形成される「京橋彩区」。ここでは、芸術・文化イベントの開催や、若手クリエーターなども含めた芸術・文化活動をサポートしていく。新TODAビル 文化貢献施設(仮称)「新TODAビル 文化貢献施設」は、人々が気軽にアートやクリエイションに触れられるギャラリーの他、アーティストやクリエイターを支援するコワーキングスペース、イベントホールなどが整備される。また、アート作品やデザインプロダクトを販売するショップも併設され、ショッピングも楽しめる。アートスクエア(仮称)中央通り沿いに2019年7月一部オープンする広場「アートスクエア」では、多様な芸術・文化イベント開催される予定だ。また、新TODAビル 文化貢献施設が竣工後は、広場の間口が120mになり、さらに芸術・文化イベントが盛んになるだろう。詳細アーティゾン美術館オープン日:2020年1月18日(土)場所:ミュージアムタワー京橋住所:東京都中央区京橋1-7-2延床面積:約 6,650m²施設構成:1F エントランスロビー、ミュージアムカフェ / 2F ミュージアムショップ / 3F 受付、多目的ホール / 4F〜6F 展示室(面積約 2,100m²)※ 掲載パースはすべて計画段階のものであり、今後変更の可能性あり。【主な収蔵画家・彫刻家】クロード・モネ、ポール・セザンヌ、フィンセント・ファン・ゴッホ、ポール・ゴーガン、パブロ・ピカソ、藤田嗣治、藤島武二、ジャクソン・ポロック、堂本尚郎、オーギュスト・ロダンなど※そのほか古代美術品も収蔵■「京橋彩区」詳細・ミュージアムタワー京橋(2019年7月竣工) ※タワー内にアーティゾン美術館がオープン。・(仮称)新TODAビル 文化貢献施設(2024年竣工予定)・(仮称)アートスクエア( 2019年7月一部オープン、2024年全面オープン)
2016年06月20日横浜みなとみらいにある「横浜美術館」では、横浜の地元企業である富士ゼロックスと横浜美術館のコラボによる企画展「複製技術と美術家たち-ピカソからウォーホルまで」が6月5日(日)まで開催中だ。本展では、1988年以来「版画もしくはそれに類する手段で複数制作されたもので、その時代の精神や文化を表徴する作品」を指針として、欧米と日本の重要な作家による版画、写真、コピー・アート(ゼログラフィーによる作品)、アーティストブックなどを収集した富士ゼロックス版画コレクションが展示される。その数は現在約950点を擁し、その中の約350点がまとまって展示されるのは本展が初めて。さらに、版画コレクションに加えて、横浜美術館が擁する150点が合わせて展示され、約500点の作品展示を通して、写真印刷や映像などの「複製技術」が発達・普及し、誰もが複製を通して美術を楽しむことができる時代に、ピカソをはじめ20世紀の欧米を中心とする美術家たちが、どのような芸術のビジョンをもって作品をつくっていったのかを検証する。中でも、ドイツの文芸批評家ヴァルター・ベンヤミン(1892年ー1940年)の写真や美術に関する考察や発言に注目し、彼が著作中で言及した写真や美術の作品を展示している。ベンヤミンの論文「複製技術時代の芸術作品」は、その後の美術、写真、映画の評論だけでなく、メディア論や社会学、思想研究に大きなインパクトを与えたが、ベンヤミンの著述に登場する代表的な写真家や美術家たちの実作品を、美術史の流れの中で鑑賞することができる貴重な機会となる。さらに、この企画展では、富士ゼロックスのクラウド発信型音声ガイドサービス「SkyDesk Media Trek(スカイデスク・メディアトレック)」を提供しており、自分のスマートフォンやタブレットに、専用アプリをダウンロードして、無料で音声による展示作品の解説を楽しむことができる。解説は担当学芸員が書き下ろし、作品を目の前にしながら、制作の背景や他の作品とのつながりを知ることができるので、美術史に疎くても安心して作品を鑑賞することができる。気持ちの良い初夏の週末、横浜みなとみらいにお出かけのついでに、ぜひ立ち寄ってみてはいかがだろう。(text:cinemacafe.net)
2016年05月28日「オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展」が東京・国立美術館にて開催される。会期は、2016年4月27日(水)から8月22日(月)まで。世界でも有数のルノワール・コレクションを誇る、オルセー美術館とオランジュリー美術館。本展は、両美術館が所蔵する、100点を超える絵画や彫刻、デッサン、パステルなど貴重な資料の数々によって画家ピエール・ オーギュスト・ ルノワールの全貌に迫るものだ。展覧会内では、作品を10章に分けて構成。写実的な初期作品を始め、肖像や風景、風俗、花、子ども、裸婦といった、ルノワールの愛した主題を紹介する。例えば、第4章では「“現代生活”を描く」と題し、ダンスホールや酒場、カフェ、郊外の舟遊びといった、 19世紀のパリ生活に特徴的なシーンを切り取った作品を展示。この章の主役、ルノワールの最高傑作《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》は、日本で初めて展示される。他にも、第1章「印象派へ向かって」や第5章「子どもたち」、第8章「《ピアノを弾く少女たち》の周辺」など、あらゆる視点からルノワールの作品に触れることができる。最晩年の名作《浴女たち》も、初めての来日となるので、ぜひ注目してみて。【展覧会概要】オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展会期:2016年4月27日(水)〜8月22日(月)会場:国立新美術館 企画展示室1E住所:東京都港区六本木7-22-2休館日:毎週火曜日 ※5月3日(火・祝)、8月16日(火)は開館開館時間:10:00〜18:00金曜日、8月6日(土)、13日(土)、20日(土)は20:00まで※入場は閉館の30分前まで観覧料:当日 一般1,600円、大学生1,200円、高校生800円※価格は全て税込み。※団体は20名以上。※団体料金は200円引き。※障害者手帳持参者とその付添者1名無料。※中学生以下無料。※4月30日(土)〜6月26日(日)までの土曜、日曜は高校生無料観覧日(学生証の提示必要)【問い合わせ先】国立新美術館TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
2016年05月01日大原美術館のコレクションが集う「はじまり、美の饗宴展 すばらしき大原美術館コレクション」が16年1月20日から4月4日まで、国立新美術館で開催される。大原美術館は、岡山県倉敷市の大実業家であり、社会貢献や福祉の分野でも活躍した大原孫三郎が、1930年に創設した西洋美術を紹介する日本初の本格的な美術館。同展では、大原美術館が収集した美術品の数々のなかから、代表作を展示しつつ、1世紀近くにわたる活動を紹介する。展示されるのは、エル・グレコの《受胎告知》をはじめ、西洋の近代美術からはクロード・モネの《睡蓮》、パブロ・ピカソの《頭蓋骨のある静物》、アメデオ・モディリアーニ の《ジャンヌ・エビュテルヌの肖像》、ジョルジョ・デ・キリコの《ヘクトールとアンドロマケーの別れ》、ポール・ゴーギャンの《かぐわしき大地》など。このほか、《白玉弥勒仏倚座像》、《女神イシスまたはネフティス像》、38歳で夭折した岸田劉生の《童女舞姿》、大原美術館の礎を築いた児島虎次郎の《和服を着たベルギーの少女》など日本の近代洋画や民芸運動に関わった作家の作品、戦後の美術たちが展示される。また、芥川賞を受賞したピースの又吉直樹が同展のサポーターに就任。見どころや楽しみ方を又吉ならではの表現方法で展覧会ムービーなど様々な機会で紹介していく。又吉が出演する全10話のオリジナルムービーは、謎解きのストーリー仕立てになっており、現在展覧会サイトおよびYoutubeにて公開中だ。動画引用元: (はじまり展オフィシャルYouTube: 【イベント情報】「はじまり、美の饗宴展 すばらしき大原美術館コレクション」会場:国立新美術館住所:東京都港区六本木7-22-2会期:16年1月20日~16年4月4日休館日:火曜日時間:10:00~18:00(入場は閉館の30分前まで)料金:一般1,600円、大学生1,200円、高校生800円
2016年01月16日横浜・みなとみらいにある横浜美術館をご存じでしょうか。その中には「子どものアトリエ」という、子どもたちが体験的に美術とふれあうことのできる施設が存在します。意外と知られておらず「一体、どんなところ?」「どんなことをするの?」という人も多いので、その全貌についてご紹介しましょう!「みて、ふれて、やってみる」それが「子どものアトリエ」「子どものアトリエ」は「小学校6年生(12歳)までの子どもたちを対象とした創造の場」。と言っても、「早くから美術や芸術にふれて、将来は子どもを美術家にしよう!」というわけではありません。子どもが自分で見て、触れて、やってみるという造形体験を通じて、自立心を養うことをおもな目的としています。大人だけのものと思われがちな美術館ですが、こうして子どもの頃から楽しめる取り組みを率先してやってもらえることは、親としてもありがたいですね。そんな「子どものアトリエ」にはいくつものプログラムが用意されていますが、今回は・ 親子のフリーゾーン ・ ワークショップ(個人向け) ・ 子どものアトリエ展示(ミニ展覧会) の3つについて、詳しくご紹介します。「できた!」の声で満たされる、親子のフリーゾーン12歳までの子どもと保護者を対象とした「親子のフリーゾーン」は、「ねんど」「えのぐ」「かみ」など基本的な素材を使って親子で造形を楽しめる人気のプログラムです。ここでは「汚さないで!」「はみだしちゃダメ」「もう時間だよ」などネガティブな言葉がけは必要ありません。やわらかい土ねんどを使って頭の中に思い描いたものをかたちにしてみたり、床や壁など好きな場所に絵の具で色づけしたり、はさみやテープを駆使して紙やダンボールを材料に自分だけの「何か」をつくったり…。体と頭をめいいっぱい働かせながら、「思いきり自由な造形体験」を叶えることができます。子どもたちの「自分でする」「自分がする」という意欲を育てることを目的としている親子のフリーゾーンは月に3回程度、日曜日に開催されています。遊びを通して子どもたちの自立心を育む場ともなっているようです。費用は、小学生以下は無料ですが、保護者を含む中学生以上は100円/人の参加費がかかります。また、予約のいらない自由参加ですが、定員があり、それを超える場合は参加できないこともありますのでご注意を。・ 親子のフリーゾーン | 子どものアトリエ | 教育・創作体験 | 横浜美術館 もっと濃密な造形体験がしたいなら「対象年齢別のワークショップ」も幼稚園・保育園の年長児、小学校1・2・3年生、小学校4・5・6年生向けにワークショップも開催されています。年齢ごとに違った素材や方法で、子どもたちが楽しみながら造形や鑑賞に取り組める指導がなされています。野菜やくだもの、魚など、おもしろい形をしているものをモデルに紙ねんどで再現してみたり、発砲スチロールを熱線カッターで好きな形に切り貼りして色づけしたり、竹ひごをたて糸にして毛糸をおりこんでいく織りものアートなどバラエティ豊かな内容で、子どもの可能性を新たに発見する場となっています。申込みは往復はがきで、抽選結果は締め切り後、返信はがきで応募者全員に(当落に関わらず)連絡があります。講座に参加する場合は全日程の参加が条件となりますので、気になる方はホームページをチェックしてみましょう。・ ピコラガイド(講座一覧)| 横浜美術館(PDF) ミニ展覧会で育む「やってみたくなる気持ち」「親子のフリーゾーン」や「ワークショップ」に参加した人だけが見られる「子どものアトリエ展示」では、子どもたちの造形に対する興味や「やってみたくなる気持ち」 を育むため、年間を通じてさまざまな素材や表現を紹介しています。たとえば、2015年前期には、ページを開くと動物や家が立ち上がったり音を鳴らしたりと、いくつもの仕掛けで驚きをあたえてくれる仕掛け絵本の紹介展示を行いました。そのほか、「手で見るギャラリー」として、さわってもよい彫刻6体が常設展示されています。普段は「さわっちゃだめ!」と言われる美術作品にベタベタさわっても怒られないなんて、素敵ですね。みたくなる、知りたくなるコンデションづくりを目指している子どものアトリエは「興味の入り口」に立つ子どもたちの良き案内役になるはずです。この機会に、子どものアトリエで美術にふれあってみてはいかがでしょうか?【取材協力】横浜美術館(すだあゆみ)
2015年12月22日「美術館に行ってみたいけど、美術の知識がないから行きづらい」「美術館の雰囲気が嫌いじゃないけど、楽しめているかどうかは疑問」そんな方も、決して少なくないはずです。そこでぜひともおすすめしたいのが、『芸術がわからなくても美術館がすごく楽しくなる本』(藤田令伊著、秀和システム)。タイトルからも推測できるとおり、「見る力」の養い方や、美術館の楽しみ方を紹介した書籍。つまり、“興味はあっても知識を持たない”美術鑑賞ビギナーにとって心強い一冊なのです。著者は、「鑑賞者の立ち位置を大事にしながらアートの愉しみを広げる活動に尽力している」というアートライター。そして本書の目的は、「美術館という素敵な箱を通して、自分の感性やセンス、ものの見方を磨く方法を探っていく」ことなのだそうです。つまり「知識があるかないか」「作品を理解しているか否か」ではなく、「美術館のカフェで過ごすだけでも大きな価値がある」というような考え方。■美術館の中では早足で歩こうところで美術館には、「順路」が示されています。そのため、多くの人はその指示に従い、最初から最後まで順番に作品を見ていくのではないでしょうか。しかし著者は、そういう見方をおすすめしていないといいます。なぜなら厳密に「順路」に従って見ていくと、次第に疲れてきて、最後の方は「もういいや」ということになりがちだから。そこでおすすめしているのが、最初に展覧会全体をさっと早歩きで見る方法。はじめから終わりまでを、先にひととおり大まかに見て回るわけです。すると、「引っかかり」をおぼえる作品がいくつか出てくるもの。「いいな」と思ったり、なぜかわからないけどきになったり、素通りできないなにかを感じる作品が必ずあるということです。そして、そのような「引っかかり」をおぼえた作品を中心に、あとでゆっくり見ればいいということ。なお、もしも会場が複数の場所に分かれていたり、展覧会に規模が大きかったりした場合でもご心配なく。ブロックごとに、同じ方法を繰り返していけばいいだけだそうです。あるいは、展示室の真ん中に立ち、周囲の壁に掛けられている作品をざっと見渡すのもいい方法。いいかげんなことのように思えるかもしれませんが、この「引っかかり」が意外とたしかな道しるべになるのだそうです。なぜなら「無自覚的知覚」は、その人の主観にのっとったうえで、見るべき要素を直感的に汲み取っているものだから。だから決していいかげんではないということ。安心して、「引っかかり」を根拠に作品をピックアップしていけばいいということです。■美術作品は3分間かけて見る著者は、「小難しいことは抜きにして、美術作品を見るスキルを向上させる手っ取り早い方法はないのか?」と質問されたら、「3分間かけて見る」ことですと答えるといいます。たとえばインスタントラーメンをつくる時間であり、通勤電車の次の駅までの時間であり、ウルトラマンが怪獣をやっつける時間であり……。そう考えてみると、「3分間」は私たちにとってなにかと身近な時間であるということがわかります。決して長大ではないけれど、それなりの長さがある時間だということ。そして、そんな3分間を美術鑑賞にあてはめると、それだけで見えてくる世界が確実に違ってくるというのです。3分間かけてひとつの作品と向かい合っていると、パッと見ただけでは感じなかったものを感じることができたり、気づかなかったことに気づいたりするのだと著者はいいます。あるいは、作品が伝えようとしているメッセージが、だんだんわかってきたりもする。また、作品の細かい部分にも目が行き届くようになるというわけで、3分間という時間は自動的に鑑賞を深めてくれるというのです。とはいえ、すべての作品に3分かけることは現実的に不可能。だからこそ、上記の「引っかかり鑑賞法」を応用すればいいということ。まずざっくりと見て、引っかかりをおぼえた作品に3分間かけるという見方で十分だというわけです。*本書を読むと、美術は決して難解なものではなく、アプローチの仕方次第榮倉でも身近になるということを実感できるはず。美術や美術館に少しでも興味があるなら、ぜひ手にとってみていただきたい一冊です。(文/書評家・印南敦史)【参考】※藤田令伊(2015)『芸術がわからなくても美術館がすごく楽しくなる本』秀和システム
2015年12月16日©Aura2015年11月末オープン予定のシンガポール最大規模の美術館「ナショナル・ギャラリー・シンガポール」。美術館オープンに先駆けて営業が始まったのは、5、6階に入るイタリアンレストラン&ラウンジ「Aura(アウラ)」だ。フォーマルなディナーから、絶景を楽しむラウンジまで、あらゆるニーズに応えてくれる全390席。マリーナ地区を一望できるスカイラウンジからの眺めは、新たな絶景スポットになること間違いなし!最大級の美術館の上にオープン東南アジアのアートシーンを牽引するシンガポール。2015年5月に開業したフランス発の美術館「シンガポール ピナコテーク・ド・パリ」に続き、11月24日にオープン予定の「National Gallery Singapore(ナショナル・ギャラリー・シンガポール)」は、旧市庁舎と最高裁判所であった建物を改装した、シンガポール最大規模の美術館だ。©Aura美術館の開業に先駆けて2015年10月にオープンしたのは、イタリアンレストラン&ラウンジ「Aura(アウラ)」。ラグジュアリーなイタリアンレストランに加え、お酒と夜景を愉しめるスカイラウンジもお目見え。ゲストはあらゆるシチュエーションに合わせて食事の場所を選ぶことができるのが嬉しい。シーンに合わせたバラエティ豊かなメニュー©Auraレストランフロアでは、3コースから成るランチと、4コースのディナーを用意。週末はプロセッコとベリーニの飲み放題も含まれるお得なブランチセットも。全90席のラグジュアリーな空間には、おめかしして出かけたい。©Auraスカイラウンジでは、平日のランチタイムにサラダバーと自家製パンのセットや、ハイティーメニューも提供。夜はマリーナベイの絶景を存分に堪能しながらお酒と食事を楽しめる。特にテラスラウンジから望むマリーナベイエリアの夜景は特別。目の前がPadang広場のため、その絶景を邪魔するものがなく、高層ビル群のライトアップの向こうにはマリーナ・ベイ・サンズまで見渡せる。フォーマルなイタリア料理と、絶景に酔いしれる夜を過ごしてみてはいかがだろうか。Restaurantメニュー・Weekday Lunch日替わりの3コース。S$32(税抜き)・Weekend Brunch前菜盛り合わせ、メイン、デザートの3コースにプロセッコとベリーニの飲み放題付き。S$98(税抜き)※食事のみはS$48(税抜き)・Set Dinner Menuおススメ4コース。S$80Sky Loungeメニュー・Salad Bar平日11:30-14:30。フレッシュサラダや焼き野菜の豪華なビュッフェと、地中海風自家製パンのセット。S$18。・High Tea平日15:00-17:00。クラシックなヨーロッパ式ハイティーのセット。(サンドイッチとペストリー、イタリア紅茶とコーヒー)S$18。・Bar Menuシャンパンやカクテル、ワインなど。※景色は、6階のスカイラウンジからのみ見ることができます。
2015年11月04日リフレッシュしたいけど、遠くに行く時間がない。友人と会いたいけれど、予定と合わせようとすると1ヶ月先になってしまう。忙しい私たちの世代がどうやって身体の疲れを取り、精神をリセットするか? これは1つの大きなテーマです。ただ家で眠るだけ、夜に美味しいワインを飲むだけ、またはショッピングしたとしても、気分が良くなるのはその時だけということも。次のステップへのチャージ、明日からやるぞ! というエネルギーを得るために、秋のプチトリップに出かけることをおすすめします。運動もしたいけれど、文化にも触れたい、自然にも触れたい、美味しいものを食べたい、そしてちょっとショッピングもしたいという欲張りな人! 葉山を1日旅してみてはいかがでしょう。おすすめの過ごし方をご紹介しましょう。さあ、早起きしてスニーカーを履き、タオルを持って出発!葉山は東京都心から約1時間電車に乗り、逗子駅からバスで20分くらいの所に位置する海に面した旧別荘地です。そうです、天皇皇后両陛下がご静養にこられる御用邸を囲むエリアです。逗子駅から12番のバスに乗り、終点で下車。まずは海まで降りて小さな半島の先端まで行き、芝生の上で大きく伸びをしてストレッチをしましょう。天気が良ければ富士山も見えます。少し座ってしばし波の音と風に集中すると、もう疲れは50%取れます。そこから裸足で、潮の香りと水と砂地の感触をたっぷりと感じながら、海岸をゆっくりと散歩。まずはこれまでの疲れ、マイナス部分を0に戻します。疲れている脳にいろいろな情報を入れても、見た、聞いただけで終わってしまいます。何かを感じる(FEEL)ことが、精神的な疲れを取る秘訣のようです。美術館やパワ―スポットで、パワーをチャージ脳の中にスペースができたところで山口蓬春美術館へ。古い日本家屋をアトリエにしていた庭園が素晴らしい美術館です。心静かに鳥の声、虫の音、木々の揺れる音を感いていると、内なるエネルギーが湧いてきます。次に神奈川県立近代美術館<葉山館>へ。海を一望できるカフェでコーヒーも飲めますし、近場には古民家のカフェもあるので、ここでひと息つきましょう。その後は葉山の小道を探索。葉山には車が入ることができない素敵な小道がたくさんあります。歩いているとなぜか懐かしい気持ちになるのが不思議です。小道を歩いていくと、たどり着くのはパワースポットと呼ばれる森山神社。参拝してエネルギーをチャージです。海の色、音、絵画の静寂さ、木々の中にひっそり佇む神社からエネルギーをもらった後は、今度は能動的に外へ内面を向けてみるのがよいです。「SUNSHINE + CLOUD」でイメージを膨らませる自分のいる環境を美しくしたい、と感じたら「SUNSHINE+CLOUD」でインスピレーションを取り入れてみては。色の美しい服を合わせてみたり、お花のディスプレーを参考にしたり、置いてある本を手に取ったり。自分の家のテーブルに花を飾ろう、このエプロンでキッシュを焼いてみよう、この籠を持ってマーケットに行こうか、とイメージが膨らみます。今日一日感じたことを、どうやって生活の中に取り入れていくか、カフェであれこれ考えながら少し休憩しましょう。そして、もしもまだ元気があったら、山道を探索してみましょう。「はやま三ヶ岡山緑地」つつじコース入り口から大峰山の尾根を歩き、真名瀬へ向かうコースです。山頂からは美しい富士山を見ることができ、そして葉山の海を一望しながらひと息。ほんのり汗もかき、心地よい疲れを感じながら山を下り、真名瀬からの夕暮れの富士にまた感動。そしてバスで逗子駅へ向かいます。これでチャージ、満タン! 明日からまた頑張りましょう。▼山口蓬春美術館 ▼神奈川県立近代美術館(葉山館) ▼森山神社 ▼SUNSHINE + CLOUD ▼はやま三ヶ岡山緑地
2015年10月30日国立新美術館、大原美術館、NHKプロモーションは10月31日、国立新美術館(東京都港区)にて仮装イベント「美の饗宴 アートになりきり ハロウィン 仮装コンテスト」を開催する。同イベントは、国立新美術館にて2016年1月20日~4月4日に開催される企画展示「はじまり、美の饗宴展 すばらしき大原美術館コレクション」の開催に先駆けて行われる仮装コンテストとなる。参加条件は20歳以上の男女で、指定の絵画作品の画像から1点をモチーフにした仮装が必須。指定作品は、大原美術館が所蔵するエル・グレコの『受胎告知』や、アメディオ・モディリアーニの『ジャンヌ・エビュテルヌの肖像』など10点。クロード・モネの『睡蓮』やジャクソン・ポロックの『カット・アウト』など、風景絵画や人物の像がはっきりと描かれていない作品も含まれる。仮装に関するアイディアやコスチュームは自由となっており、イベント担当者は「それぞれのアイディアと工夫を凝らした仮装・アートになりきって、コンテスト参加者をアッと言わせてください」と参加者に呼びかけている。また、審査基準については「特に決まっていない」としながらも、「自分が『これだ』と思うモチーフの仮装を自分なりの解釈でしてほしい。参加者自身が楽しめる仮装が一番」とコメント。『睡蓮』など特定の人物像が描かれていない作品については、「どのような仮装になるのか運営側も予想がつかない」とした。同コンテストの審査員は、世界大会などでも活躍するエア・ギターパフォーマーの金剛地武志氏や、コスプレ(cosplay)という言葉の生みの親でもある高橋信之氏らが務める。当日はコンテストの他にも金剛地氏によるエア・ギターのパフォーマンスや、「その名はスペィド」(THE LADY SPADE)によるDJイベントなども行われるとのこと。なお、参加者の応募は同展の公式サイトにて受け付けている。イベントの開催時間は18:30~20:00、開催場所は同館3階「ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ」を予定。募集期間は10月1日~21日で、募集人員は40人。応募者多数の場合、抽選の上参加者を決定する。また、同コンテストで最優秀賞を受賞した参加者には、賞品として岡山県倉敷・大原美術館旅行(ペア1組)をプレゼントする。また、優秀賞(2名)、審査員賞(3名)、参加賞など多数の賞品を用意するとのこと。
2015年10月13日トリップアドバイザーはこのほど、世界の博物館・美術館をランキング化した「トラベラーズチョイス 世界の人気観光スポット 2015 ~博物館・美術館編~」を発表した。同社の「トラベラーズチョイス」では、旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」に投稿された世界中の旅行者の口コミをもとに、優れた施設を表彰している。今回のランキングは、2014年1月~12月に同サイト上に投稿された旅行者のクチコミ評価の平均値や投稿数などを独自のアルゴリズムにて集計し、算出された。日本国内のランキングでは、「広島平和記念資料館」(広島県広島市)が2年連続でトップとなった。「Totally heartbreaking.(胸が張り裂けるような思いになった)」など、当時の資料を目の当たりにした時の衝撃を伝える口コミが数多く寄せられたという。また、2位には「箱根彫刻の森美術館」(神奈川県箱根町)、3位には「MIHO MUSEUM」(滋賀県甲賀市)がランクインした。アジアのランキングでは、「秦始皇兵馬俑博物館」(中国)が2年連続で1位に。3位に「広島平和記念資料館」がランクインしたほか、12位に「箱根彫刻の森美術館」、15位に「MIHO MUSEUM」、24位に「鉄道博物館」が入った。世界ランキングの1位には昨年の7位から大きく順位を上げて「メトロポリタン美術館」(アメリカ)がランクイン。世界各国の芸術・文明を先史時代から現代までカバーした300万点の展示物は、「1日では回りきれないほどのボリューム」と評判とのこと。アジア1位の「秦始皇兵馬俑博物館」は、世界ランキングでは23位となった。なお、ランキングの詳細は公式サイトにて公開されている。
2015年09月26日国内有数の東洋・日本美術コレクションを所蔵する大阪の藤田美術館。そのなかからセレクトされた美術館の名品が、はじめて東京に集結。8月5日から、サントリー美術館で『藤田美術館の至宝国宝 曜変天目茶碗と日本の美』展が開催中です。本展で見られるのは、仏教美術や書、絵巻、水墨画、茶道具など、幅広いジャンルの美術品です。なかでも見逃せないのは、展覧会のチラシにも大きく掲載されている国宝《曜変天目茶碗》。中国の福建省で作られたもので、現存する同種の碗は世界に3つしかないという大変貴重な作品です。この作品の特徴は、茶碗の内側に広がる瑠璃色の斑文です。まるで漆黒の宇宙にきらめく銀河のようで、神秘的な美しさに心奪われること間違いなし。藤田美術館でも数年に一度しか公開されないという至宝で、今回は東京で見られるまたとないチャンスです。質・量とも充実した美術品を所蔵する藤田美術館は、明治時代に活躍した実業家の藤田傳三郎とその子息たちが集めた作品をもとに、1954年、大阪で開館しました。藤田美術館の至宝が東京で一堂に公開されるこの機会に、ぜひ足を運んでみてはいかが?イベントデータ:『藤田美術館の至宝国宝 曜変天目茶碗と日本の美』展会期:2015年8月5日(水)~9月27日(日)(会期中、展示替えを行います)※休館日は火曜日。9月22日(火)は開館時間:10:00 ~ 18:00(金・土および9月20日(日)~22日(火・休)は20時まで開館)※入館は閉館の30分前まで会場:サントリー美術館料金:一般 1,300円/大学・高校生 1,000円/中学生以下無料作品クレジット:国宝《曜変天目茶碗》一口中国・南宋時代12~13世紀藤田美術館蔵撮影:三好和義※画像無断転載禁止
2015年08月12日6月29日まで東京・六本木の国立新美術館で開催され、実に34万人を動員した「マグリット展」が、7月11日、京都市美術館(左京区)で開幕した。本展は、ベルギー出身の20世紀を代表する芸術家ルネ・マグリット(1898~1967年)を紹介する大回顧展で、日本では13年ぶりの開催となる。世界10ヵ国以上の美術館や個人が所蔵する初期から晩年の約130点の作品が集められ、頂上に城のある巨岩が宙に浮く「ピレネーの城」は京都展のみ。他には馬に乗って林の中を進む女性が奇妙に見え隠れする「白紙委任状」などが展示される。開館前から並んだファンもおり、今も世界中から高い人気を誇るマグリット独特の世界観を楽しんでいた。また、4月にBS-TBSで放送された「20世紀美術の巨匠 ルネ・マグリットの摩訶不思議な世界」がMBSテレビ(※関西ローカル)で7月19日(日)深夜2:55~3:55に放送される。音声ガイドナビゲーターの石丸幹二さんが謎の山高帽の男に扮して、皆さんを不思議なマグリット空間へいざなう。本展は10月12日(月・祝)まで開催。当日券は一般 1,600円、高大生 1,100円、小中生 600円で販売中。
2015年07月17日今、美術館が丸裸になっています。’10年「陰影礼讃」展に続く第2回となる、国立美術館5館による合同展「No Museum,No Life?-これからの美術館事典国立美術館コレクションによる展覧会」。約170点の名作が集結していますが、ラインナップはもちろん、その展示方法も要注目なのです!今回のテーマは“美術館事典”。百科事典のようなアルファベットごとのテーマ分けで、それに沿って作品を展示します。面白いのが、普段表舞台に出ない、美術館の裏側もテーマになっているところ。例えば「Wrap(梱包)」では布で包まれて中身の見えないクリスト作のオブジェなど“梱包”にまつわる作品とともに、運搬に用いる梱包材も並び、「Money(お金)」では美術館の収益データまで公開!貴重なアートと、それを支える道具などが一緒に並ぶのは、見たことない光景です。遊園地の裏側を見ちゃうようにがっかりするんじゃ…と思う方、心配ご無用。アートをアートたらしめる美術館という空間そのものについて深く知ることで、作品への見方も変わり、新たな鑑賞体験を得られるはず。36項目の中から、注目テーマをピックアップしてご紹介します!■Artist【アーティスト】権威的な美術界を嫌い、自由な芸術活動を行 おうと画家らに呼び掛けたルソーの絵画。これが今、美術館に展示されるのも皮肉的?アンリ・ルソー ≪第22回アンデパンダン展に参加するよう芸術家達を導く自由の女神≫ 1905-06年、東京国立近代美術館■Beholder【観者】美術館そのものがテーマとなる本展を象徴する“ルーヴル美術館でアートを観る人々”を写した写真作品。他にもミレーの『落ち穂拾い』を鑑賞するタイの農民たちを映した映像作品など。トーマス・シュトゥルート≪ルーヴル美術館4、パリ 1989≫1989年、京都国立近代美術館(C)Thomas Struth■Light【光、照明】上の現代アートをはじめ、“光”にフォーカスするこの項目。美術館で用いられる照明の紹介もあり、絵画の見え方への理解が深まる。ダン・フレイヴィン≪無題(親愛なるマーゴ)≫1986年、国立国際美術館(C)Stephen Flavin/ARS, New York/JASPAR, Tokyo E1582■Earthquake【地震】地震を表現した絵画や写真と並んで、なんと建物の土台に用いられる免震台が。貴重な作品を展示する美術館においても、地震は脅威的な存在。その対策とともに紹介します。■Guard【保護、警備】自身の絵画を展示する際に、柵を設けるなどして作品と鑑賞者の間に距離を設けるよう求めたフランシス・ベーコンの作品を展示。意図して(?)この項目のそばにも監視員さんが。■Storage【収蔵庫】展示されていない作品を保管する“収蔵庫”。この項目では、画家・藤田嗣治の作品を所蔵している4館の収蔵庫内の写真を背景に、本物の4作品を展示します。◇information 東京国立近代美術館東京都千代田区北の丸公園3-1開催中~9月13日(日)10:00~17:00(金曜は~20:00、入館は閉館の30分前まで)月曜休(7月20日は開館、7月21日休)TEL:03・5777・8600一般1000円◇権威的な美術界を嫌い、自由な芸術活動を行 おうと画家らに呼び掛けたルソーの絵画。これが今、美術館に展示されるのも皮肉的?アンリ・ルソー ≪第22回アンデパンダン展に参加するよう芸術家達を導く自由の女神≫ 1905‐06年、東京国立近代美術館◇美術館そのものがテーマとなる本展を象徴する“ルーヴル美術館でアートを観る人々”を写した写真作品。他にもミレーの『落ち穂拾い』を鑑賞するタイの農民たちを映した映像作品など。トーマス・シュトゥルート≪ルーヴル美術館4、パリ 1989≫1989年、京都国立近代美術館(C)Thomas Struth◇上の現代アートをはじめ、“光”にフォーカスするこの項目。美術館で用いられる照明の紹介もあり、絵画の見え方への理解が深まる。ダン・フレイヴィン≪無題(親愛なるマーゴ)≫1986年、国立国際美術館(C)Stephen Flavin/ARS, New York/JASPAR, Tokyo E1582※『anan』2015年7月15日号より
2015年07月14日近年、東南アジアのアートシーンの拠点となりつつあるシンガポールでは、2015年に2つの美術館が誕生する。パリを代表する美術館の初の分館として、2015年5月に開館した「シンガポール ピナコテーク・ド・パリ」と、10月にオープン予定の「ナショナルギャラリー シンガポール」だ。©Darren Soh and National Gallery Singapore「シンガポール ピナコテーク・ド・パリ」の見どころは「ピナコテーク・ド・パリ」は、2007年にパリのマドレーヌ広場に開館した私立美術館。美術館としての歴史はまだ浅いものの、立地と敷地面積の広さ、展示作品のバラエティと質の高さに定評がある、フランスを代表する美術館の一つである。ギリシア語に由来する「絵の収蔵庫」という意味を持つ「ピナコテーク」。その言葉通り、美術収集家のコレクションルームを思わせるような、年代や作風にとらわれない多様なコレクションを特徴とする。この「ピナコテーク・ド・パリ」の初めての分館に、シンガポールの「フォートカンニングパーク」が選ばれた。実はこの美術館、かつてイギリス軍施設であった「フォートカンニングセンター」を改装して造られている。その重厚な歴史的建造物も見どころの一つ。©Singapore Tourism Board館内は3つのギャラリー(The Collections Gallery、The Features Gallery、Heritage Gallery)から成り、The Collections Galleryではピカソやモネなどの有名画家たちの作品を、The Features Galleryでは期間限定のコレクションを、Heritage Galleryでは、東南アジアの歴史や宗教をテーマに展示がされる。ミュージアムショップ(La Boutique Pinacothèque)では、カタログ、絵葉書、マグネット等、定番のお土産の他に、ローカルアーティストによるユニークなアクセサリー等も販売されている。2015年10月オープン予定の「ナショナルギャラリー シンガポール」©National Gallery Singapore64,000平方メートルのシンガポール最大面積を誇る「ナショナルギャラリー シンガポール」は、シティーホール駅付近に2015年10月オープン予定。8,000点を超える東南アジアのアーティストによる作品を保有する。2015年に開館するこれら2つの美術館周辺には、「シンガポールアートミュージアム」や「ナショナルミュージアム」、美術学校「SOTA(School of the Arts)」などの美術関連施設が集まり、アジア、シンガポールアートを感じるのにもってこいの地区となっている。独立50周年の歓喜に沸くシンガポールでは、アート界からもますます目が離せなくなりそうだ。
2015年06月10日