女優の大竹しのぶが26日、東京・東京會舘で行われた第四十四回菊田一夫演劇賞授賞式に登壇した。授賞式には他、橋爪功、若村麻由美、古川雄大、生田絵梨花、高田次郎が出席した。同賞では、演劇界の巨星・菊田一夫氏の名を冠し、大衆演劇の舞台ですぐれた業績を示した芸術家(作家、演出家、俳優、舞台美術家、照明、効果、音楽、振付、その他のスタッフ)を表彰する。演劇大賞に大竹、演劇賞に橋爪・若村・古川・生田、特別賞に高田が選ばれた。演劇大賞を受賞した大竹は、20歳のときの初舞台を振り返り「お稽古が本当に楽しくて楽しくて、いよいよ初日の幕が開くときにはわくわくして、『舞台に立つって、こんなに楽しいものなのか』と思った気持ちが今そのまま40年……本当は41年、続いています」と演劇への愛を見せる。さらに、演劇大賞を受賞する理由となった『ピアフ』の思い出として「ある日のカーテンコールで一番後ろから、中年の女性の方がばーっと走り寄ってきて、『もう一度愛の讃歌を歌ってほしい』と泣きながら言ってくださって、普通にカーテンコールだったんですけど、もう一度『愛の讃歌』を歌い、客席みんなと一緒に『水に流して』を歌ったカーテンコールは忘れられません」とエピソードを披露。「一瞬かもしれないけど、演劇というのはこんなに、1人の人の心に光を当てることができるんだと思いまして、私は演劇をやってきてよかったなと思いました」と語る。大竹は「ピアフの言葉で『歌うことは私の肉体であり精神であり魂である』という風に言っていたんですけど、私はそこまではまだ言えませんが、魂をこめて演劇をやっていきますので、演劇がこれからも活気付くように、どうぞよろしくお願いいたします」と頭を下げた。一方、橋爪は「天才・大竹しのぶと違って、私は舞台に出ることが楽しくもなんともない」と会場を笑わせる。「辞めようと思ったことはないんですが、毎回なんでこんな商売を選んだって。でもこういう賞をいただくと、なんとなくもうちょっとやれって言われているような、いや〜な気がして、しょうがねえからもうちょっとやるかなって思ってます」と今後への気持ちを新たにした。若村は「最近ずっと、お芝居ってどういうのかわからないと思っていて、あまり自信のない数年を過ごしていた」と告白。「このようにすごい賞をいただいたら、いろいろ迷ったままなんですけど、もっと精進したい」と感謝する。特別賞の高田は「なんぼの間違いやないかいなと思ったんですけど、間違いであってもいただけるものはいただこうと決心してまいりました」と笑いを誘い、「これからも一生懸命涙と笑いの人情喜劇に邁進してまいります」と、87歳ながらに意気込んだ。受賞後の取材では、恋愛についても質問された大竹。宮原浩暢とのデート報道があったが、「あれは本当に、あんな風に書かれてすごいなと思いました。まったく関係ないです」と苦笑。「お芝居の帰りにご飯を食べてそのまま帰っただけで、それだけでこういう風に(ニュースに)なるというのは、まだまだ頑張れます」と大人な対応で、宮原に「大切な人がいると言うことも聞いています」と明かす。また、今後の恋については「したいですけど、頑張ります。『自分からやってかないとだめよ、この年になったら、待ってちゃダメなのよ』って先輩の女優さんから言われました」と意欲を見せる。報道について、娘のIMALUの反応を聞かれると「笑ってます」とさらに苦笑していた。
2019年04月26日アイドルグループ・乃木坂46の生田絵梨花が26日、東京・東京會舘で行われた第四十四回菊田一夫演劇賞授賞式に登壇した。授賞式には他、大竹しのぶ、橋爪功、若村麻由美、古川雄大、高田次郎が出席した。同賞は、演劇界の巨星・菊田一夫氏の名を冠し、大衆演劇の舞台ですぐれた業績を示した芸術家(作家、演出家、俳優、舞台美術家、照明、効果、音楽、振付、その他のスタッフ)を表彰する賞。生田は『モーツァルト!』『ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』での演技が評価され、演劇賞を受賞した。「ここに立っているようで立っていないような、でも立ってるみたいな、夢の中にいるような気持ちでいます」と心境を表した生田。「まだまだ自信がないとか、至らないところとか山積みなんですけど、でもきっとこのタイミングで偉大な先人からの贈り物をいただいたことには、大きな意味があるんじゃないかなと思います。今の功績とか実力というよりも、『新しい時代に向けて、頑張っていっておくれよ』というエールなんじゃないかなと思います」と賞への思いを語る。さらに生田は、「菊田一夫さんをはじめ、本当にたくさんの方々の力でミュージカルや演劇が立ち上がって、平成でもたくさんの先輩方の情熱をもってこの道をいろんな方向に大きく広げてくださって、そのおかげで私が今、舞台に立てているんだなということを、改めて実感します」と思いを馳せる。「令和の時代は私たちの世代がそのバトンをしっかりと引き継いで、少しでも、貢献して活性化できるように頑張れたらと思っております」と意気込んだ。授賞式後の取材では、メンバーの反応について「おめでとうと言ってくれて。マネージャーさんも『遠くに行っちゃうみたいだから、また罰ゲームで辛いものでリアクションしたりしなきゃね』と言ってくれたり」と明かす。「いつまでも身近な存在でいれたらと思うし、自分をたいした人間だとは思ってないので、ちゃんと地に足つけて進んでいきたい」と謙虚な様子を見せ、「末長くステージに立っていたい」と今後の女優人生への希望を語った。
2019年04月26日俳優の古川雄大が26日、東京・東京會舘で行われた第四十四回菊田一夫演劇賞授賞式に登壇した。授賞式には他、大竹しのぶ、橋爪功、若村麻由美、生田絵梨花、高田次郎が出席した。同賞は、演劇界の巨星・菊田一夫氏の名を冠し、大衆演劇の舞台ですぐれた業績を示した芸術家(作家、演出家、俳優、舞台美術家、照明、効果、音楽、振付、その他のスタッフ)を表彰する賞。古川は『モーツァルト!』『マリー・アントワネット』『ロミオ&ジュリエット』での演技が評価され、演劇賞を受賞した。古川は「2012年に初めて『エリザベート』という作品でルドルフ役をやらせていただきまして、同じ作品のトートという役に憧れて、いつかこういう役ができるようにやりたい、ミュージカルを頑張っていこうと決めました」と自身のこれまでを振り返る。「音楽を一切学んでこなかったのでまったく基礎がない状態で、今までの6年間というのはかなり大変な道のりだったんですけど、ゆっくりでいいから前に進もうという気持ちを忘れずに頑張ってきました。ついに念願のトートをいただけて、さらにこのような素晴らしい賞までいただけて、幸せな気持ちです」と心境を吐露した。さらに、「僕は昭和62年生まれで、僕が生まれてすぐに平成になったんですけど、平成にミュージカルに出会い、平成最後のタイミングで自分の夢が叶い、すばらしい賞をいただけけて、このように終われるとは思っていませんでした」としみじみ。「令和に向けていいスタートが切れるように、いま稽古中のトートに挑んでいきたいと思っています」と意気込んだ。授賞式後の取材では、生田とともに登場。これまでに3回共演しており「"いくちゃん"と呼ばせていただいております」と呼び方を明かす。生田からは「古川さん」と呼ばれているが、「"なんとかちゃん"と呼んだ方がいいですか?」と聞かれ、苦笑していた。相手役が多いために、互いにキュンとするところを聞かれると生田は「役でパートナーなので、普段からも気遣ってくださる。キュンとすると言うか、安心します」と回答する。古川は「恋に落ちる役が多いので、その瞬間はすごいキュンとしてます」と明かしつつ、「実際に落ちたりはしない」とバッサリ。「舞台上では恋に落ちても、終わったら『じゃあね、おつかれ』みたいなパターンが多い。本当に恋に落ちちゃうと、日常と演技の差がつかなくなってしまうんじゃないでしょうか」と見解を述べ、生田も「兄弟とか家族とか、そういうものに近い信頼関係が生まれるんじゃないかな」と語った。
2019年04月26日4月からのフジテレビ木曜劇場にて、二階堂ふみと亀梨和也がW主演を務める「ストロベリーナイト・サーガ」を放送することが決定。2人が新たな“姫川・菊田”コンビとなるほか、姫川の天敵となる刑事“ガンテツ”を江口洋介が演じることになった。原作は累計400万部を突破し、現在も増刷を重ねる誉田哲也のベストセラー警察小説「姫川玲子シリーズ」。リアリティあふれる警察描写で、重厚かつスピード感に満ちた事件捜査と魅力的なキャラクターによる群像劇を描き、いまなおファンを増やし続ける傑作シリーズとして知られる。竹内結子主演で2010年にはスペシャルドラマ「ストロベリーナイト」が映像化され、2012年1月期の連続ドラマ版では全話平均視聴率15.4%、最高視聴率16.9%を獲得(ビデオリサーチ調べ関東地区)、まさに息をもつかせぬ斬新な展開とキャラクターたちが躍動する本格刑事ドラマとして話題に。2013年には劇場版も公開され、興行収入21.5億円を記録した。そんな前シリーズから6年。新たに生まれ変わる本作「ストロベリーナイト・サーガ」では、キャスト、スタッフを一新し、まだ映像化されていない最新エピソードを加えて再構成。壮大かつ斬新な本格刑事ドラマが、装いも新たに動き出す。■二階堂ふみ、連ドラ初主演で初の刑事役!本作を象徴する主人公で、ノンキャリアでありながら27歳という若さで警部補に昇任した女性刑事、警視庁捜査一課殺人犯捜査第十係主任・姫川玲子を演じるのは、『ヒミズ』『私の男』『リバーズ・エッジ』などの作品に出演、今年も映画『翔んで埼玉』(2月22日公開)で主演を務めるなど躍進を続けている二階堂ふみ。捜査一課で唯一の女性班長・姫川として、直感と飛躍した思考、行動力を武器に“姫川班”を率いて、数々の難事件の真相に迫る。二階堂さんは満を持しての連続テレビドラマ初主演となる本作で初の刑事役に挑み、木曜劇場にはゲスト出演した「刑事ゆがみ」以来2年ぶりの出演となる。「初めての刑事役でドキドキしております。原作ファンの方々にも楽しんでいただけるような作品にできたらと思います!」と、意気込む二階堂さん。亀梨さんとの共演を「シャープで知的な亀梨さんから沢山学ばせていただきたい」と語る。また、江口さんとは「実は12歳の時にCMのお仕事でご一緒させていただいていました」と告白、久々の共演に期待を寄せている。■亀梨和也、二階堂ふみと初共演で姫の“ナイト”・菊田に姫川の年上の部下となる巡査部長・菊田和男を演じるのは、映画『ジョーカー・ゲーム』やドラマ「FINAL CUT」などで主演を務めてきた亀梨和也。フジテレビ木曜劇場は初出演で、二階堂さんとW主演、共演も初めてとなる。菊田といえば、生真面目な性格で寡黙な一方、その内面では曲がったことが嫌いな正義感を持ち、熱い男気を秘めた体育会系刑事。姫川班に異動してきた当初こそ、直感を武器に危険な捜査を繰り返す姫川を懐疑的に捉えていたものの、共に事件を追うにつれ、姫川の刑事としての優秀さと人間的魅力に気づき、自分の中に特別な感情が芽生え始め…。想いを内に秘めながらも献身的に姫川を支える、亀梨さんの新たな騎士・菊田の勇姿にも注目だ。亀梨さんは「原作の世界観をしっかりと読み込んで、自分の中でイメージを膨らませ、ふとした表情であり、ちょっとした言葉の端々で感じてもらえるよう、今回の『ストロベリーナイト・サーガ』に沿った菊田和男を作っていきたい」と語っている。■前シリーズで武田鉄矢が演じた“ガンテツ”は江口洋介!そして、姫川の天敵、警視庁捜査一課殺人犯捜査第五係主任の警部補・勝俣健作を演じるのは江口洋介。“ガンテツ”という通り名を持つクセ者刑事で、摘発率は圧倒的トップを誇り、刑事としての腕前は誰もが認めるベテラン。公安に8年いた経歴を持ち、警察内外の情報収集にたけているが、おきて破りの捜査方法が様々な疑惑を招くことも…。1987年のデビュー以来、「ひとつ屋根の下」シリーズや「救命病棟24時」シリーズ、「白い巨塔」など、唯一無二の存在感でドラマ界・映画界をけん引してきた江口さんは二階堂さんとは映画『脳男』以来の共演、亀梨さんとは今作が初共演。清濁併せ持つ孤高の破天荒刑事をどのように演じるかも見逃せない。「新しい二階堂さんの姫川玲子とガンテツとのバトルがいまから楽しみ」と語る江口さんは、「ストロベリーナイトの世界観にどっぷり浸かるだけ浸かってみようと思っています」とキャラクターへの思いを明かした。なお、本作では、姫川玲子シリーズ第1作でもある表題作「ストロベリーナイト」ほか、死体なき殺人事件の真相を暴く「ソウルケイジ」、暴力団抗争が絡んだ惨殺事件に迫る「インビジブルレイン」、さらには初の映像化となる、青い仮面の猟奇的殺人鬼を追う「ブルーマーダー」といったラインナップを放送していくという。原作者の誉田氏は「同じ作品の再映像化というのは私も初めての経験なので、どんなことになるのか、今から楽しみです。特に江口洋介さんがどんな“ガンテツ”を生み出してくれるのか、ワクワクが止まりません。期待しています」とコメントを寄せている。木曜劇場「ストロベリーナイト・サーガ」は4月、毎週木曜22時~フジテレビ系にて放送スタート。(text:cinemacafe.net)
2019年02月10日今年、創立105周年を迎える宝塚歌劇団。その幕開けを飾る星組公演『霧深きエルベのほとり』『ESTRELLAS(エストレージャス)~星たち~』が、1月1日、兵庫・宝塚大劇場にて開幕した。『霧深きエルベのほとり』/『ESTRELLAS(エストレージャス) ~星たち~』チケット情報第一幕の『霧深きエルベのほとり』は、劇作家・菊田一夫が宝塚歌劇団に書き下ろし、1963年に初演された名作で、今回36年ぶり、5度目の再演となる。舞台はエルベ河に隣接するドイツの港町、ハンブルグ。年に一度のビア祭で浮き立つ街で出会った船乗りのカールと、家出をしてきた名家の令嬢マルギットとの身分違いの切ない恋が描かれる。華やかなショーで魅せるプロローグから一転、そこからは星組生が熱演で観客の心を揺さぶる。トップスター・紅ゆずるが演じるカールは、言動は粗野でありながら、にじみ出る空気は温かい。マルギットとは互いに見た目ではない“心”に触れたことで恋に落ち、愛を育もうとするが、そんなふたりに身分の違いは高い壁を生む…。マルギットと一緒になるためにその壁に体当たりする様、マルギットの幸せを思う姿、そんなカールの心情を紅が情感豊かに体現。荒々しさの裏にある優しさや寂しさも繊細に表現しながら、哀愁を漂わせる。トップ娘役・綺咲愛里(きさき・あいり)が演じるマルギットは、世間知らずであるがゆえに真っ直ぐで、粗野なカールにも怖じけることなく向き合える。綺咲の愛らしさも生かされ、純情で可憐なお嬢様のマルギットにぴったりとハマっている。礼真琴(れい・まこと)が演じるフロリアンは、常に冷静で紳士的、自分の思いが叶わずとも、愛する人が幸せになるなら身を引くという大人の男だ。マルギットに深い愛情を持ちながらも、マルギットの心がカールにあると分かれば、ふたりを祝福し、周囲にも理解を求めようとする。愛とは何か、幸せとは何か…、マルギットを愛するカールとフロリアンの姿を見てそんなことを考えさせられ、グッと胸が締め付けられる。後半の展開には、鼻をすする音が客席のあちこちから聞こえてきていた。第二幕の『ESTRELLAS(エストレージャス)~星たち~』は、満天の星々を星組生にたとえたショー。躍動感のあるプロローグで始まり、J-POPを使ったメドレー、耳なじみのある洋楽のヒット曲をアレンジしたメドレー、星空を背景に一夜の夢を歌い踊る「星夢(スタム)」など、色とりどりのシーンが繰り広げられていく。それぞれの個性が活かされた“星組力”を感じさせるステージだ。公演は2月4日(月)まで、兵庫・宝塚大劇場にて。東京公演は2月15日(金)から3月24日(日)まで東京宝塚劇場にて開催。東京公演のチケットは1月20日(日)発売。取材・文:黒石悦子
2019年01月08日来年105周年の節目を迎える宝塚歌劇団。その幕開きの大劇場公演に主演するのが、先ごろ第3回台湾公演を成功させた星組トップスター・紅ゆずる。「責任を感じますが、自分の人生において財産になれば」と、キリッとした表情で話す。【チケット情報はこちら】『霧深きエルベのほとり』は劇作家・菊田一夫氏が1963年に宝塚歌劇に書き下ろした名作で、今回36年ぶり5度目の上演。物語の舞台はドイツの港町、船乗りのカール(紅)と、家出をしてきた名家の令嬢マルギット(綺咲愛里)がビア祭りで出会い、恋に落ちるものの身分の違いなどからすれ違ってゆく。「ふたりだけのときは“お互いがいればそれでいい”と夢見心地だったのが、彼女の家に行って突然現実を突きつけられる。カールは我慢し、人のために自分を犠牲にするという、今の時代とは違った意味の男らしさがあり、難しいです。不器用で、投げつけたような言葉の中に温かさがある人です」。その人情深い部分を見つめ、「現代に忘れ去られつつあるものを甦らせたい」と意気込む。潤色・演出は、ときに繊細にときに大胆に作品世界へと引き込む気鋭の上田久美子。「明るく振る舞うところなど、カールは私と似ているとおっしゃるのですが、そうなのかな…」と笑う紅。「上田先生の要求されるものがとてもハイレベルなので、私としても組としても勉強になります。この公演を経て、星組全体の芝居力を上げることができれば」。再演では衣装のテイストや歌など変更点も。「衣装は、現代に近いイメージ。大階段を使ってのショーアップされたプロローグから違います。私自身古き良き宝塚を知り、現代にリメイクするなかで何かプラスアルファできたらと思います」。今作で退団する男役スター・七海(ななみ)ひろきは船乗り仲間を演じる。「彼女は普段から気配りができて、すごく心のあるお芝居をする人なので、惜しい存在です」と語った。同時上演の『ESTRELLAS(エストレージャス) ~星たち~』は、満天の星々を星組生にたとえたスーパー・レビュー。「宇宙的に始まるプロローグから突然スパニッシュになるなど、場面ごとに全くテイストが異なります。トップとして大階段での黒燕尾群舞は今回が初めてなので、それも楽しみです」と、男役の真髄を新たに見せる。台湾公演を経て、「“楽しんでほしい”という気持ちが1番大切」と実感した。「今は覚えること、考えることが100もある状態ですが、そういうなかで底力を出せたら。来年は挑戦することを恐れない1年にしたいです」。やはりどんなときも、明るく笑って突き進む。公演は1月1日(火・祝)から2月4日(月)まで、兵庫・宝塚大劇場、2月15日(金)から3月24日(日)まで、東京・東京宝塚劇場にて。取材・文:小野寺亜紀
2018年12月25日劇作家・演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下、KERA)が平成30年秋の叙勲にて紫綬褒章を受章することが発表された。【チケット情報はこちら】KERAは、ミュージシャン出身の劇作家、演出家、映画監督、音楽家。自身がリーダー・ボーカルを務めるニューウェイヴバンド「有頂天」を1982年に結成。自主レーベル「ナゴムレコード」も立ち上げ「筋肉少女帯」「たま」「電気グルーヴ」など人気アーティストを多数輩出。並行して1985年には「劇団健康」を旗揚げし演劇活動を開始。同劇団の解散後の1993年に劇団「ナイロン100℃」を始動させ、多種多様な作風で、精力的に作・演出作品を発表し、今年劇団結成25周年を迎えた。演劇、音楽活動のほかにも、映像監督として4本の映画とドラマの監督と脚本を手掛けるなど多方面に才能を発揮してきた。近年の受賞暦は、2015年第40回菊田一夫演劇賞受賞。2016年第23回読売演劇大賞 最優秀作品賞/優秀演出家賞受賞、芸術選奨文部科学大臣賞受賞。2017年第51回紀伊國屋演劇賞個人賞受賞、読売演劇大賞 最優秀演出家賞受賞、読売文学賞戯曲・シナリオ部門受賞など多数。今回の受章に際してKERAから以下のコメントが届いた。<ケラリーノ・サンドロヴィッチコメント>頂戴出来る物は拒まない主義の私とは言え、この度賜った章はひときわ大きな喜びです。「もっと好き勝手やれ」と背中を押された気分。これまで創作に関わってくれた全ての人と分かち合いたい。お客様も含めて。とりわけ、ずっと一緒にやってきた劇団員たち、昔自分の身勝手で迷惑かけまくったバンドメンバー、そして、舞台では女優、家では私設秘書にしてこの上なく信頼できるアドバイザーとして支えてきてくれた奥さんと。僕は舞台の脚本を、日々の稽古を見ながら書く方法を取っているので、俳優さんが実際に動いてくれない事には、作品一本書き上げることもままならない。スタッフさんとも「この芝居、この制約の中で、何が出来るのか」という事を話しながら創っています。そういう意味で私の脚本はどの作品も、皆との共同執筆だと思っています。もし、他の劇作家や演出家、音楽家と何か違う事があるとすれば、やりたいことしかやってこなかったこと。それから、これまで創ってきた作品の、“量×質”の総量。この点は自己評価としては大抵の同業者の3人分くらいはいくんじゃないかと。(笑)集中力も体力も落ち、なにかと挫けそうになる昨今の私ですが、まだまだやらねばと背筋が伸びました。やりたくないことはやりませんが。談ケラリーノ・サンドロヴィッチKERAが作・演出を手がけるKERA・MAP #008『修道女たち』は現在、東京・下北沢本多劇場にて上演中。公演は11月15日(木)まで。チケットぴあにて指定席券および当日引換券を発売中。東京公演の後は、兵庫と北九州をめぐる。
2018年11月02日サスペンス映画の巨匠ヒッチコックが映画化した、ダフネ・デュ・モーリアの長編小説「レベッカ」。2006年にミヒャエル・クンツェ(脚本・歌詞)とシルヴェスター・リーヴァイ(音楽・編曲)のヒットメーカー・コンビがミュージカル化し、2008年に日本初演。2010年の再演を経て、3度目の日本版公演が決まった。主人公は“わたし”。南フランスで出会った上流紳士マキシムと結婚し、広大なマンダレイの屋敷で暮らし始めるが、そこはマキシムの亡くなった先妻レベッカの影に支配されていて…。初演から“わたし”を演じてきた大塚千弘が来阪、作品への想いと初演から10年目で挑む今回の“わたし”を語った。ミュージカル「レベッカ」チケット情報「今でも人生で一番大事な作品と言ってもいいくらい、思い入れのある作品です。とても好きで、大切な作品です」と話す大塚。初演と再演で200回以上演じ、10年の再演では第36回菊田一夫演劇賞を受賞している。「絶対にやり抜きたいという一心で、とにかく必死でした。21歳の“わたし”は年相応で、自分に自信がなくて。でも、私は“わたし”から自信をもらいました」。演じる上で大切にしたのは「身寄りもなく孤独で愛を知らない女の子だけれど、愛によって自信を得る。そこを強く描きたいと」。そして初演から10年を経た今回、“わたし”は平野綾、桜井玲香と初めてのトリプルキャストだ。「この10年間に私生活や仕事面でいろいろな経験をしてきたので、それをたくさん取り入れて、もっと繊細に表現して深みのある“わたし”ができたらと思います。今回は、おふたりの“わたし”に対する解釈が楽しみです。新鮮さや、私が考えていないことをきっと感じることもあると思うので」。秘密を抱え苦しむマキシム。彼を支える“わたし”。レベッカ亡き後も彼女を崇拝する家政婦頭ダンヴァース。レベッカの死に隠された謎の真相とは?3人の関係を軸に衝撃の結末へ向かう。濃密な台本、登場人物の心理をダイナミックで幻想的な旋律で綴る名曲の数々。「メロディが素晴らしく、歌える方がそろっている。そしてストーリーがものすごくしっかりしたサスペンス。ほんとに豪華な作品です。名前のない“わたし”に、お客様が感情移入して物語が進んでいくという構成を楽しんでいただけると思います。女性が強くなるというお話なので、女性の方は是非!」。今回の公演では、クリスマスとイブにも登板する。「ロマンチックですよね、クリスマスにラブストーリーを演じることができるなんて。平成最後の年末に『レベッカ』に出演ができるのも、特別なのでうれしいです」。公演は、東京・THEATRE1010でのプレビュー公演、愛知、福岡公演を経て、12月20日(木)から28日(金)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、2019年1月5日(土)から2月5日(火)まで東京・シアタークリエにて上演。取材・文:高橋晴代
2018年10月29日1960年代に『君の瞳に恋してる』や『シェリー』などの名曲を次々に生み出した伝説のヴォーカルグループ、フランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズ。その栄光と挫折を描いたミュージカル『ジャージー・ボーイズ』が、10月24日(水)より新歌舞伎座にて上演される。フランキー・ヴァリ役を務める中川晃教が、作品の魅力や意気込みを語った。ミュージカル「ジャージーボーイズ」チケット情報2005年にブロードウェイで上演され、2014年にはクリント・イーストウッド監督により映画化されて話題となった『ジャージー・ボーイズ』。2016年に東京初演を果たした日本人キャスト版では、第42回菊田一夫演劇賞や第24回読売演劇大賞など、数々の演劇賞を受賞。中川自身も“天使の歌声”を持つフランキー・ヴァリ役で読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞した。「フランキー・ヴァリを演じるには、本国のプロデューサーで、ザ・フォー・シーズンズのメンバーでもあるボブ・ゴーディオさんのOKをいただかないといけないんです。演じるのに必要な声であること、歌唱する姿、そして初期、中期、後期と音楽性が進化する中で、それに伴って声の出し方が大分変わるので、発声のコントロールがちゃんとできるかどうか。そういうオーディションを受けたのは初めてでしたね」。そこから“トワング”という独特の発声を約1年かけて習得。「この役に出会えなければ、自分で見つけられなかった声」と語る。「フランキー・ヴァリの声を追求したことで、普段の自分の声にも深みが出たというか、表現を磨くひとつのきっかけにもなったと思います。常に完璧を求めるけれど、ひとつ課題をクリアするとその先に次の課題が見えてくる。終わりはないんですよね。フランキー・ヴァリという役に出会ったことで、まだまだ知らない声がこんなにあったんだと気付かせてもらいました。大阪公演に向けてもっと声を追求していきたいと思っています」。物語は、春、夏、秋、冬と、季節ごとにメンバーがストーリーテラーとなり、物語が展開していく。中川以外の3人はWキャストで、初演から続投のチームWHITEと、新たなキャストを迎えるチームBLUEで上演する。「春は中河内(雅貴)、伊礼(彼方)君が演じるトミー・デヴィートがストーリーテラー。トミーはフランキー・ヴァリにとって、音楽シーンに自分を導いてくれた兄弟的な存在。彼がいなかったら自分はこの世界に出発できなかった、という意味での春です。そして、ボブ・ゴーディオが加わって大きな転機を迎える夏、グループの要でもあったニック・マッシの脱退を描く秋、冬はフランキー・ヴァリがさまざまな困難を乗り越えながらステージに立ち続ける姿が描かれます。演者が変わると、僕のフランキー・ヴァリも自然と変わるんです。同じことをしているのになぜこんなに変わるのだろうと、自分でも不思議。ぜひ両方楽しんでいただきたいですね」。公演は10月24日(水)から28日(日)まで、大阪・新歌舞伎座にて。チケット発売中。取材・文:黒石悦子
2018年08月07日2019年の再演も発表された主演ミュージカル『キューティ・ブロンド』で第43回菊田一夫演劇賞を受賞するなど、年々ミュージカル女優としての存在感が増す神田沙也加。最新出演作は、日本初演から55周年を迎えたミュージカルの金字塔『マイ・フェア・レディ』。昨年宝塚歌劇団を退団した元宙組トップスターで、本作が女優デビュー作となる朝夏まなととのW主演により、今秋全国6都市で上演される。神田は「ターニングポイントと呼べる役にしたい」と意気込んでいる。ミュージカル「マイ・フェア・レディ」チケット情報ロンドンの下町に暮らす花売り娘イライザ(朝夏まなと/神田沙也加)は言語学者のヒギンズ教授(寺脇康文/別所哲也)と出会い、訛りを矯正して淑女になるためのレッスンを始めるが……。オードリー・ヘップバーン主演の映画版でも知られる、胸弾むシンデレラストーリー。イライザ役といえば、神田が敬愛する大地真央の当たり役のひとつでもある。出演が決まり一番に報告すると、大地は泣いて喜んだという。「困った時は何でも相談に乗るけど、『まずは沙也加が思うイライザを』と、背中を押されました」男勝りな性格で毎日を楽しく暮らしながらも、ウィークポイントを突かれた瞬間、内に秘めた上昇志向がマグマのように吹き出す。イライザは「思いが何層にもなっている女性」と見る。「今までの役作りでは、お客様が思い描くイメージに近い優等生的な正解を出そうとしてきましたが、今回は『私はこう思う』とプレゼンテーションする形でもいいのかな。Wキャストの朝夏まなとさんと違って私はどこかの劇団出身だったり、アカデミックに演技を学んだ経験もないので、逆に思い付いたことは何でも試せるフリーダムの強味を活かしたい。朝夏さんとは宝塚の男役と娘役ほどの身長差がありますし、見た目も含めて全然違うイライザになると思います」先日、ひと足先に製作発表で楽曲を披露した。歌稽古では喜びのあまり「鳥肌が止まらなかった」と声を弾ませる。「ひとつひとつのことがすごく嬉しいんですね。ヒギンズ教授から教わって初めて正しく発音出来たときの、雷に打たれる感覚を私も早く経験してみたいですし、お客様が何を望んでいるのか、演劇ファンとしての目線も忘れたくない」。その上で、自信を持って役に挑みたいと力を込める。「10年前の私がそうだったように、2018年版の舞台を観てイライザを演じたいと思う方がいるかもしれない。その責任は絶対に負わないといけないですし、何度も自分を奮い立たせながら、毎回誇りを持って日本の『マイ・フェア・レディ』を提示していきたいと思います」公演は、9月16日(日)から30日(日)まで東京・東急シアターオーブ、10月19日(金)から21日(日)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。その他、地方公演あり。大阪公演は7月14日(土)10:00より発売。取材・文:石橋法子
2018年07月12日綾瀬はるかや石原さとみらが所属する芸能事務所・ホリプロの創業者で最高顧問・堀威夫氏が26日、都内で行われた「第四十三回 菊田一夫演劇賞」の授賞式に出席し、『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』が大賞に表彰された喜びを語った。同賞は、劇作家・菊田一夫氏の功績を記念して1975年に創設。同氏の念願だった演劇界発展の一助として、大衆演劇の舞台ですぐれた業績を示した芸術家を毎年表彰している。同作は舞台効果の高さが表彰され、大賞に輝いた。日本では『リトル・ダンサー』として知られる映画『BILLY ELLIOT』が、2006年にイギリスでミュージカル化。昨年にホリプロが手掛けた同作では、1,346人から抜てきされた5人の少年たちが主演を務めた。堀義貴社長は、昨年のインタビューで「素晴らしすぎて腹が立った」「ここまでのめりこむことはない」と同作への情熱を語っていたが、共に出席した堀威夫氏にとっても思い入れの強い作品だったようだ。受賞のスピーチでは、「最初に演劇と関わり合うようになったのは『ピーターパン』です。当時の榊原郁恵をアイドルから次のステップへどう展開するかを悩んでいた時に『ピーターパン』と出会いました」と振り返り、「ほとんど、マネージメントの1つのツールとして考えておりましたから、演劇の世界の皆さんからすると、甚だ不純な動機という感じがします」と胸の内を明かした。「『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』に関しては、私の立ち位置はどちらかというとスタッフというよりは、観客の一人という感じです」と作品との関係性を表現する堀威夫氏。「同じ演目を7回見たのは後にも先にも初めての経験でしたが、どの回を見てもリハーサルの情が移ったせいかもしれませんが、毎回感動致しました」と感慨深げに語る。そして、「私は芝居の世界とはやや距離を置いた形で芸能界に入りましたが」「甚だ恐縮に存じております」と受賞の心境を表し、「遅きに失したかもしれませんが、できるだけ数多くの演劇を拝見して『門前の小僧習わぬ経を読む』ということもありますので、遅ればせながら業界の一員としていくらかでもお役に立てればと念願しております」と締めくくった。
2018年04月30日女優の神田沙也加(31)が26日、都内で行われた「第四十三回 菊田一夫演劇賞」の授賞式に出席し、涙を浮かべながら受賞の喜びを語った。同賞は、劇作家・菊田一夫氏の功績を記念して1975年に創設。同氏の念願だった演劇界発展の一助として、大衆演劇の舞台ですぐれた業績を示した芸術家を毎年表彰している。神田は昨年3月から4月にかけて上演されたミュージカル『キューティ・ブロンド』のエル・ウッズ役が評価されての受賞。同作は、ブロードウェイでトニー賞7部門ノミネート、ウエストエンドではオリヴィエ賞3部門を受賞した人気作で、神田は日本初演で主演という大役を担った。神田が演じたエルは、何事にも全力で挑み、持ち前のポジティブさで周囲の偏見や困難を吹き飛ばしていくキャラクター。来年2月には、再演されることが決定している。マイクの前に立った神田は、「こういう場で自分の言いたいことを簡潔にまとめるのが本当に得意ではないので、この場でお話させていただけるのは今日しかないと思いましたので」と前置きした上で事前に用意したメモを開き、2004年の初舞台『INTO THE WOODS』からの思いを語った。この日は、「菊田一夫演劇大賞」を受賞した『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』の上演関係者を代表してホリプロの最高顧問・堀威夫氏、同社の代表取締役社長・堀義貴氏、演劇賞を受賞した城田優、戸田恵子らが出席した。■授賞式のスピーチこの度はこのようなすばらしい賞をいただきまして、本当に本当にありがとうございます。初舞台から作品ごとに演出や指導してくださる先生方のおっしゃることに必死で食らいつき続けていたら、いつの間にか14年が経っていました。たった14年。尊敬する先輩方から見ると本当にひよっこですが、藁をもつかむ思いで先生方のご意見を一生懸命食らいついてきました。その間、この「菊田一夫演劇賞」を受賞する同年代を見ては本当にうらやましく思ってきました。この賞は私にとって本当に大きな1つの目標でした。やっと、誰かから決められたわけでもない「自分で選んだ大好きな道」を少しだけ誇ることができるような気がしています。それは私には自力で絶対にできないことだったので、あらためて観に来てくださったお客様、そして審査員の皆様に感謝申し上げたいと思っております。そして、日本で初演だった『キューティ・ブロンド』に惜しみない愛情と情熱と才能を注いでくださった、貸してくださったキャスト、スタッフの皆様方、そして日本で最初のエル・ウッズを任せてくださるのはたくさんの勇気をもって決断していただいたのではないかと思っております、東宝様、プロデューサー様。「神田沙也加の代表作にしましょう」と言ってくださった演出家の上田一豪様。ほかにもこの14年間導いてくださった皆様のお陰で今があり、この感謝は言葉では本当に言い表せません。これから携わる作品により誠心誠意向き合い、がんばってやっていきたいと思っております。そしてまた、14年が経ってもお話しできるように、長く役者をやっていられたらと、願わずにはいられません。お時間をいただき、すみません。今日は本当にありがとうございました。
2018年04月26日ミュージカル『1789-バスティーユの恋人たち-』の初日前会見が8日、東京・帝国劇場で行われ、小池徹平、加藤和樹、神田沙也加、夢咲ねね、龍真咲、凰稀かなめが登場した。同作は2012年にフランスで製作され、2016年に東宝版初演が行われヒットしたフレンチ・ロック・ミュージカル。18世紀末のフランスを舞台に、革命に身を投じる農夫・ロナンと宮廷に仕える侍女・オランプの恋愛や宮廷劇が描かれる。2年ぶりの再演に、「各々2年前にやったものよりもブラッシュアップしている」(小池)、「熱をすごく感じています」(加藤)と、期待をあおる2人。一方で小池は「2年前よりは、体の節々はちょっと痛いかな」と苦笑する。「本当にあるんです。より体のケアを意識して、終わったら冷やしたり、いろいろしないとダメ」と明かし、「肺がね、重いです」と語った。加藤も「初めてダンスナンバーを稽古であたった時に、以外と体が覚えてると思ったけど、結構翌日に来まして……」と稽古を振り返る。「2年という時間を自分の中でしっかり感じながら、徹平ちゃんも言いましたけど、体のケアを気をつけないといけないなと思います」と意気込んだ。女性陣の豪華な衣装も魅力で、夢咲は「こんなに豪華な衣装たちが並んでいるものを見るだけでもテンションが上がります」と喜ぶ。凰稀が「一番豪華なのがマリー・アントワネット。最初にゴンドラで登場する時の衣装が一番重くて、2年ぶりに来ても腰にくる」という一方で、初出演となる龍は「いつも着ておりますので、苦労点などはございません」と澄まして答え、周囲を笑わせていた。帝国劇場と同じく日比谷エリアにある日生劇場では、ウエンツ瑛士が出演するミュージカル『リトル・ナイト・ミュージック』が初日を迎えるが、小池は「僕らも明日初日なんで、構ってられる余裕があまりないんですけど……」と笑顔を見せる。「近いですし、(Wキャストの)和樹が頑張ってる間に観に行こうかと思っています。頑張ってほしいな」とエールを送った。また、4日に第43回菊田一夫演劇賞の受賞が発表された神田は、「本当に恐縮です。個人的に長年一つの目標としていた賞だったので、知らせを聞いた時は泣きましたし嬉しかったです」と心境を吐露。しかし「舞い上がらずに地に足をつけて、自信や誇り、みんなと調和していくパワーに変えて、『1789』に貢献していけたらと思います」と真摯に語った。公演は東京・帝国劇場にて4月9日〜5月12日。
2018年04月08日4月4日、俳優の城田優(32)がミュージカル『ブロードウェイと銃弾』のチーチ役で第「43回菊田一夫演劇賞」演劇賞に輝き、自身のTwitterで喜びを伝えた。 城田はTwitterで「この度、この度、第43回菊田一夫演劇賞をいただきました」と報告。「チーチは、紛れもなく、スタッフ、キャスト、そして劇場に足を運んで下さったお客様と、一緒に造った役です」とコメント。改めて「『ブロードウェイと銃弾』に関わった全ての皆様に感謝です。 心から、ありがとうございます。」と感謝した。 これに対しファンは、「おめでとうございます!めちゃめちゃ嬉しいです〜優君のチーチ、本当に最高でした!」「とっても良かったから受賞できて私達ファンも嬉しい」「優くんの努力が最高の形で実を結んだね。本当にさすがとしか言いようがないです」と受賞を祝福する声が相次いでいる。 菊田一夫演劇賞は劇作家菊地一夫の功績を記念し、大衆演劇の舞台ですぐれた業績を示した芸術家(作家、演出家、俳優、舞台美術家、照明、効果、音楽、振付、その他のスタッフ)を表彰する賞。 「第43回菊田一夫演劇賞」は演劇大賞にミュージカル『ビリーエリオット〜リトル・ダンサー』上演関係者一同が輝いた。 また菊田一夫演劇賞には『ブロードウェイと銃弾』のチーチ役で受賞した城田のほかに『Sing a Song』三上あい子役で戸田恵子(60)が。さらに『キューティ・ブロンド』エル・ウッズ役の神田沙也加(31)、『ベルリン、わが愛』『ドクトル・ジバゴ』の脚本・演出を務めた原田諒が受賞した。
2018年04月04日第43回菊田一夫演劇賞が4日発表となり、ミュージカル『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』上演関係者一同が菊田一夫演劇大賞に輝いた。同賞は、演劇界の巨星・菊田一夫氏の名を冠し、大衆演劇の舞台ですぐれた業績を示した芸術家(作家、演出家、俳優、舞台美術家、照明、効果、音楽、振付、その他のスタッフ)を表彰する賞。ミュージカル『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』が、舞台効果の高さを評価され大賞に選ばれた。日本では『リトル・ダンサー』として知られる映画『BILLY ELLIOT』を2006年にイギリスでミュージカル化した同作。世界でも数々の賞を受賞している。映画で同作の監督を務めたスティーヴン・ダルドリーが演出を務め、エルトン・ジョンが音楽を担当した。イギリス北部の町の少年・ビリーが、炭鉱労働者の父に反対されながらも、バレエダンサーとしての才能を開花させていく。1,346人から抜擢された5人の少年たちが主演を務めた。菊田一夫演劇賞には、『ブロードウェイと銃弾』でチーチ役を演じた城田優、『Sing a Song』三上あい子役の演技が評価された戸田恵子、『キューティ・ブロンド』エル・ウッズ役の神田沙也加、『ベルリン、わが愛』『ドクトル・ジバゴ』の脚本・演出を務めた原田諒が選出された。また、菊田一夫演劇賞特別賞は永年の作曲及び音楽活動の功績がたたえられ、甲斐正人が受賞した。
2018年04月04日俳優の小池徹平と三浦春馬が主演を務める舞台『キンキーブーツ』が2019年に再演されることが、3日、明らかになった。同作は、2005年公開のイギリス映画を2013年にミュージカル化した作品。トニー賞最多となる13部門にノミネートされ、作品賞、オリジナル楽曲賞など6部門を受賞した。経営不振の靴工場の息子・チャーリー(小池)が、ドラァグクイーン・ローラ(三浦)のアドバイスを受け、工場を立て直していく。日本では、2016年に小池・三浦による初演を迎えたが、全日即日完売の上、小池はチャーリー・プライス役で第42回菊田一夫演劇賞の演劇賞を受賞。また、三浦はドラァグクイーンのローラ役で第24回読売演劇大賞の杉村春子賞を受賞するなど、高い評価を得た。2019年の再演では、小池・三浦タッグもそのままに、靴工場で働く従業員のローレン役のソニン、 チャーリーのフィアンセのニコラ役の玉置成実、靴工場の現場主任ドン役の勝矢、工場長ジョージ役のひのあらたも続投。また今回公開となったヴィジュアルでは、実際に舞台のクライマックスでの衣裳を着用し、小池&三浦がピンヒールのブーツで決めた姿を、写真家の下村一喜&クリエイティブ・コンサルタントのカワダイソンのタッグで届けた。東京公演は東急シアターオーブにて2019年4〜5月、大阪公演はオリックス劇場にて2019年5月。○小池徹平コメント・初演時の感想は?初演時はとにかく必死でした。チャーリーもローラも別のパワーではありますが、とてもエネルギッシュな役なので。大変な役でしたが、楽しく、そしてやりがいもありました。初演時は、お客様の盛り上がりが素晴らしくて、ラストでは一緒に立って踊ったりしてくださって、今回の再演も同じ景色が見えるのかなと楽しみです。初演が終わってしまう頃から、もし再演があるなら絶対やりたいと思っていましたので、再演をやると聞いたときは嬉しかったです。ヴィジュアル撮影で、久しぶりに春馬くんのローラに会って、ついに帰ってきたなと。 今でも、『キンキーブーツ』のナンバーを聞くと、ひとりでに歌ってしまうし、勝手に体が動いてしまいます(笑)・『キンキーブーツ』の作品としての魅力は?まずは見た目。『キンキーブーツ』は映像で見るのと生で観るのでは、全然違うと思います。 実際にローラがブーツを履いた時のインパクトは、会場でしか味わえないこと。そんなローラの姿は皆、目に焼き付けてほしいので、ぜひ劇場まで観に来てください!○三浦春馬コメント・ヴィジュアル撮影でローラに再び扮した感想は?一言につきます。めちゃくちゃ嬉しい!!・初演時の感想は?ローラは、台風の目にならなきゃいけないと稽古中教えていただき、チャーリーは、この作品の完全なる屋台骨だから、いつでもみんなの中心になり、皆を支え続けなければならない。そういうキャラクターなので、ストーリー上だけでなく、楽屋裏でもそういう関係性は、お互い自然とやろうやろうとしていました。当時、 (小池さんに)たくさん助けられました。・『キンキーブーツ』の作品としての魅力は?『キンキーブーツ』の音楽は、まだ観たことがない方も聞いたことがない方も、絶対刺さるナンバーだし、ストーリーも老若男女絶対に好きになってくれると思います。作品のテーマは、皆、馴染みのあることで、「受け入れることの大切さ」。その奥深さを、すごくストレートに教えてくれる作品です。劇場に来て、観て頂くのが一番伝わると思いますので、ぜひ観て頂きたいですね。
2018年04月03日今年は読売演劇大賞最優秀男優賞と菊田一夫演劇賞という、ふたつの権威ある演劇のタイトルを受賞した中川晃教。いまや日本ミュージカル界に欠かせない存在になっている彼だが、元はといえばシンガー・ソングライターとしてデビューし、今も自身の音楽を届けるコンサートは精力的に行っている。その切り口も、バンドスタイルやオーケストラとのコラボなど多様だが、この秋に行うのは『中川晃教コンサート2017 ~Seasons of love~』とタイトルを冠したLIVE ACT。新たな試みに挑む中川に、話を訊いた。チケットはこちら名古屋は中日劇場、大阪は新歌舞伎座、そして東京は明治座。いわゆる演劇の劇場を会場にするところが興味深い。「明治座でコンサートをやりませんか、というお話を頂いたことが始まりです。明治座さんといえば、日本の芸能・芸事を作ってきた場所。そこでコンサートをやるということが新鮮ですよね」と中川。明治座という場所については「まず、厳かで緊張感のあるイメージ。歴史も由緒もあるところで、そこに立つのはひとつのステータスです。でも古臭さは感じないんです。伝統芸能から幅広いエンタテインメントまで、その時代ごとのニーズに応えている。今回、僕に声をかけていただいたというのも、新しい何かに可能性を感じ、それを届けたいと考えているんだと感じます」と語り、「あの空間でどんなことが出来るだろうとワクワクしました!」と楽しそうに話す。その内容は、やはり“この会場ならではのもの”を考えているようで「通常の、立って盛り上がるライブとは違う、シアトリカルなものを考えています」。和風な要素も取り入れるそうで「オープニングはダンスと篠笛、そこにシンセサイザーが絡んで“和”の世界を表現し、さらに朗読と僕の音楽がコラボするシークエンスもちょっとお見せしようかと」。今までの中川のコンサートとも違う新たな世界が広がりそうだが、「もちろんミュージカルの楽曲もやります! 実在のボーカルグループ「ザ・フォー・シーズンズ」を描いた『ジャージー・ボーイズ』という作品で、今回ふたつの賞を頂きましたが、音楽でデビューした僕がミュージシャンの役で演劇の賞を頂いたことに不思議な縁を感じています。ですのでその『ジャージー・ボーイズ』から2曲、そして今出演している舞台『ビューティフル』からも2曲歌いたいなと思っています」。ちなみにタイトルの『Seasons of love』の意味は……? 「先ほどの“和の要素”とも絡みますが、日本人だからこそ感じる四季の楽しみ方が、芸事の世界には息づいていると思うんです。なので、全部観終わったあとにきっと、このタイトルを感じて頂けるものになるんじゃないかな。あとは今しか出来ないものを見せたいという気持ちを込めて「旬・今・時期」という意味のSeason。それからもちろん、ザ・フォー・シーズンズにもかかってます! あれ、そこ、気付きませんでした(笑)?」。東京公演は10月1日(日)に明治座にて開催。チケットは8月27日(日)に一般発売開始する。
2017年08月21日グレゴリー・ペックが新聞記者のジョーを、そしてオードリー・ヘプバーンがアン王女を演じた名作『ローマの休日』(1953年)。近年では、当時のアメリカで吹き荒れた“赤狩り”でハリウッドを追われた脚本家ダルトン・トランボが、名前を隠して原作を書いたことでも知られている。この舞台版では、脚本・演出担当のマキノノゾミが、ダルトンが抱えていた背景をジョーに投影。映画版の叙情性にひとさじの社会性を加え、2010年の初演時には見事、菊田一夫演劇賞を受賞した。今回は再々演にして、初演でアン王女を演じた朝海ひかるが復活。7月30日、東京・世田谷パブリックシアターで初日の幕が開いた。【チケット情報はこちら】1950年代のイタリア。新聞のローマ支局に勤めるアメリカ人記者ジョー(吉田栄作)は、ある晩、泥酔した様子の若い娘を部屋に泊めることになる。翌朝彼は、その娘が表敬訪問中の某国のアン王女(朝海)であること、さらに今朝の会見が中止になっていることを知る。早速スクープのネタにしようと、カメラマンのアーヴィング(小倉久寛)を呼び出し、アンを“ローマの休日”に連れ出すジョー。そんな中、アンは、ハリウッドのシナリオライターだったジョーが新聞記者をしている理由を聞かされる。一方のジョーも、次第に無邪気でまっすぐなアンに惹かれてゆき……。吉田は安月給の記者に身をやつしながらも、アンとのやりとりの中に本来の誠実さをのぞかせるジョーを好演。しなやかな立ち姿がオードリーのアン王女そっくりの朝海は、コミカルな序盤から終盤の毅然とした振る舞いまで、生き生きと演じて魅力的だ。生硬さが持ち味のふたりに対し、小太りながら伊達男を気取るアーヴィング役、小倉の軽妙さが効いている。ジョーと自分が巻き込まれた“赤狩り”をアンに語る場面では、小倉の静かな語り口に味わいがある。ヘプバーンやイタリア名所を味わう映画版が水彩画とすれば、本作は、ジョーの物語を鉛筆で丁寧に描いたスケッチのおもむきだ。シンプルだが温かみにあふれた舞台は、物語に潜む普遍性をハッキリと浮き彫りにする。ジョーがふと漏らす“人生は、ままならない”という言葉に、アン王女が“私もそうよ”と返すシーンが、新たな感慨をもって胸に迫る。初日の特別カーテンコールでは、吉田が「ひとつの作品に7年ごしに携われる幸せを感じています。こうして今日、舞台で生きていられることに感謝したい」と想いを込めて挨拶。朝海も「この作品に再び戻れることが出来て、本当に幸せです」と感動しきり。小倉が「今回は3回め(の上演)なので、ひと回りもふた回りも(演技を)大きくして……」と言いながら腹を揺らすと、客席からは大きな笑いが。舞台版ならではの温かさを存分に感じた初日となった。公演は8月6日(日)まで。チケット発売中。取材・文佐藤さくら
2017年08月01日オードリー・ヘップバーン主演で知られる同名映画を原作にした舞台『ローマの休日』が、7月26日、大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて開幕した。「ローマの休日」チケット情報マキノノゾミが作・演出を手掛ける本作は、2010年に吉田栄作、朝海ひかる、小倉久寛を迎えて初演され、マキノが第36回菊田一夫演劇賞を受賞。今回が5年ぶり3度目の上演となり、初演キャストが再集結。衣裳もセットもモノトーンで作られた舞台の中、時代を思わせる心地よい音楽が流れ、3人が円熟味を増した演技でそれぞれの人物を色濃く演じている。1950年代のローマを舞台に、新聞記者のジョー・ブラッドレー(吉田)とヨーロッパ各国を表敬訪問中のアン王女(朝海)との出会いと別れを描いた物語。ジョーと親友・アーヴィング(小倉)との友情も絡めながら、3人だけで展開していく。街中のベンチで眠る見知らぬ娘を仕方なく家に連れて帰ったジョーは、翌朝、彼女がアン王女と気付き、カメラマンのアーヴィングと共にスクープを狙おうと企む。しかし一緒の時間を過ごすうち、ふたりの間には予想外の感情が生まれ始めて…。シンプルな空間だからこそ、観客の想像力をかき立て、それぞれの演技も際立つ。ジョーの背景には赤狩りでハリウッドを追われた原作者ダルトン・トランボを重ねて描き、物語に深みを与えている。ジョーを演じる吉田は男らしさを感じさせる包容力と渋さ、そして優しさで魅せ、朝海が演じるアン王女は、気品がありながらも無垢で可愛らしい。ビジュアルからオードリーのイメージそのままで、普段は着ることのないパジャマを着て寝ることに興奮する姿、バッサリと切った髪をジョーに褒められて照れる姿、街中でベスパを乗り回したり、真実の口に恐るおそる手を入れたりと、初めて見るもの、触れるもの、自由を手にした彼女の素直な反応すべてが微笑ましい。それだけに、楽しいひとときの終わりを感じさせる演出には切なさが増し、胸がグッとなる。アーヴィングを演じる小倉も、ジョーの同士として、ふたりを見守る存在として、安心感と温かみのある演技で楽しませてくれる。映画をリスペクトしながら数々の名シーンを再現しつつ、物語としても見せ方としても、舞台ならではの見どころが満載。観劇後にはじんわりと切ない余韻を残すこの舞台版『ローマの休日』。盤石のキャストが織りなす上質な舞台に浸ってほしい。公演は、7月30日(日)から8月6日(日)まで東京・世田谷パブリックシアターにて上演。チケットは発売中。取材・文:黒石悦子
2017年07月27日「初演時、東京公演の千秋楽でのこと。小倉さんが役の上で煙草を吸ったんです。その火だねが小倉さんのズボンの裾の折り返しに落ちてしまって、あわやボヤ騒ぎに。前列のお客様に教えていただいて、助かったんですよ」 そう語るのは、女優の朝海ひかる。無垢で愛くるしいヨーロッパ某国のアン王女と特ダネを狙うアメリカ人新聞記者ジョー・ブラッドリーの、身分違いの淡い恋がせつない名作映画『ローマの休日』。その舞台版が7年ぶりに朝海、吉田栄作、小倉久寛のオリジナルキャストで開幕。舞台では、映画ではあまり描かれなかった彼らの人物像を掘り下げる。 「王女様が育った環境やふだんの生活を思い浮かべてみると、私自身は王女よりもいろんな雑学や雑念を持ってると思うんです。ですから、まず王女っぽさを出すためにそういうものを排除して、シンプルに王女をイメージします」(朝海・以下同) ジョーとアーヴィングを「赤狩り」で追放されたジャーナリストに設定し、原作にはないテーマ「籠の鳥と自由」を強調。単なるラブロマンスではなく、ハリウッドの暗黒時代の空気も。また、ローマ市内の観光名所の映像を背景に、ステージ上でスクーターを乗り回したり、人形とダンスをして群衆を表現したり、工夫が楽しい。半面、映画よりも深く各役柄の人生を描き込み、人生の岐路で将来を自分の意志で決める姿に、観客は自分を投影できるだろう。では、朝海自身の転機や決断は? 「宝塚音楽学校に受かったこと、そして入学を決めたのは人生の大きな転機でした。なにしろ宝塚の舞台を一度も観ずに入ってしまったので(笑)」 本作は’10年度に演出・脚本で菊田一夫演劇賞を受賞。年齢を問わず誰からも愛され再演を繰り返すのも頷ける。
2017年06月10日アイドルグループ・TOKIOの松岡昌宏が12日、主演舞台『ダニーと紺碧の海』のゲネプロ及び囲み取材に、共演の土井ケイト、演出の藤田俊太郎とともに登場した。同作は数々の賞を受賞してきたジョン・パトリック・シャンリィによって1983年に書かれた。ニューヨーク・ブロンクスのバーで出会った繊細で孤独な男・ダニーと、過去に犯した罪を悔やむ女・ロバータが惹かれ合い、互いに心を開放していく2人芝居。2人は1時間40分の間出ずっぱりで、激しく感情をぶつけあった。演出の藤田は故・蜷川幸雄さんの演出助手として活躍し、先日、第四十二回菊田一夫演劇賞を受賞したばかり。ちょうど蜷川さんの命日から1年となったが、松岡は「幼き時代は蜷川先生に、僕らジャニーズ事務所は演出をつけていただいたこともありました」と振り返り、藤田について「蜷川イズムを受けながらも、また一つ自分のレールをお作りになっている」と称賛した。松岡の言葉に、藤田も「灰皿や怒号は飛ばない、愛情だけ飛ばしました」と笑顔を見せる。蜷川さんの一周忌となるが「毎日(蜷川さんのことを)思っているし、蜷川さんに見て欲しいという気持ちで作っているし、もう見てくれてるんだと思います」と師への思いを熱弁。蜷川さんからの信頼も厚かった土井も「蜷川さんがいなかったら今の私は存在し得ないので、とにかく毎日の舞台を全身全力で生きていきたいと思っています」と意気込んだ。松岡は改めて「40歳になりまして、1発目の板に立っての芝居」と同作を表し、「自分が経験したことのない扉を開けたいなと思って参加させていただいた」と心境を吐露。「もしよかったらみなさん劇場に足を運んでいただければ」とアピールした。
2017年05月12日20世紀の文学界における最高傑作のひとつとされる『グレート・ギャツビー』。『華麗なるギャツビー』という邦題でも知られ、映画・舞台など様々な形で実写化されてきた。5月から日生劇場で公演が行われる新たな『グレート・ギャツビー』は、主演:井上芳雄、脚本・演出:小池修一郎という、日本のミュージカル界を代表する2人ががっつりとタッグを組んだ新作となり、熱い注目を集めている。今回は小池が同作にかける心境、主演・井上芳雄の印象、そして日本のミュージカルへの思いについて、3回にわたりお届けする。○念願叶った舞台を、もう一度新たに行う――今回、井上芳雄さん主演で新たに『グレート・ギャツビー』を舞台化ということですが、どのような思いで臨まれているのでしょうか。1991年の、宝塚歌劇団雪組公演(『華麗なるギャツビー』)がおかげさまで大変好評で、菊田一夫演劇賞をいただいて、世に認知されたという経緯があります。さらに2008年には日生劇場で、月組の選抜メンバーによって再演されました。今回は"一般版"を井上芳雄くん主演で作らないかというお話をいただいて、ちょっと「うわっ」と思って(笑)。すごく名誉に思うと同時に、原作をすごく好きになった10代のころから、舞台でやりたい、宝塚でやりたいと考えて、一度念願が叶ったわけですね。それをもう一度やるというのはかなりエネルギーがいることだなと、月組版の時にすごく感じました。そこからまた新たなバージョンを作るということを考えると、この作品への憧れや思い入れを100%再現できるのか? という不安もあったんです。当たり前ですけど、最初にこの作品を「いい」と思った時から45年くらい経っちゃいましたからね。また、井上くんと十数年ぶりに新作ができるのは嬉しいのですが、井上くんはもう現代演劇界でもみんなが認める俳優さんですから、そちらの戸惑いもありました。私が出会ったときは19歳の若者で、「ヨシオ、ヨシオ」と呼び捨てにしていたのに、今は37歳の偉い俳優になっているんですよ。東宝ミュージカルを屋台骨として支えてきているし、責任のある立場を全うしてきていて、ある種出会った頃とは別人なので、「どう接するべきか?」みたいな気持ちになる(笑)。よく、新人の子達には「僕は君たちの小学校の最初の担任みたいなものです」と言っているんです。ミュージカルに初めて接するような子を、前向きに仕事に向かわせることが、大きな役割だったりもするんですよね。井上くんはもう大学院も卒業したくらいになっているので、小学校教師としては何を教えよう、という戸惑いも覚えるんですよ。つい、昔のようなつもりで話しても、「今更そんなこと言わないで」となるかもしれないと、非常に悩みます(笑)。未知であり、楽しみでもありますね。――小池先生の手がけられる作品には、若い方もたくさん出られていますよね。『1789 -バスティーユの恋人たち-』や『ロミオ&ジュリエット』でも、翻訳物ミュージカルにあまり出たことがない、といった人がけっこういました。日本でのミュージカルというのはもう一声、もうちょっとだけ人材が豊富になってくれたら、もっとお客様が盛り上がれると思うんです。ともかく次々に人材を補給、かつ競争してくれないと伸びないと思うんですよね。――そういった「ミュージカルへの入り口」という意味での小学校教師役なんですか?そうです。新人の方や、ミュージカルは初めてという方に、つまらないと思うのではなく、「なんとか、ここでもう一踏ん張りしよう」と思うようになって欲しいんですね。元々ミュージカルをやりたくて来ている人はいいんですが、少し戸惑いを持って演じている人も多いように感じるので。※次回は主演・井上芳雄さんについてたっぷり語っていただきます(5月4日掲載)。
2017年05月02日俳優の小池徹平が28日、東京・如水会館で行われた第四十二回菊田一夫演劇賞授賞式に登壇した。授賞式には他、麻実れい、中川晃教、新橋耐子、藤田俊太郎、勝柴次朗が出席した。同賞は、演劇界の巨星・菊田一夫氏の名を冠し、大衆演劇の舞台ですぐれた業績を示した芸術家(作家、演出家、俳優、舞台美術家、照明、効果、音楽、振付、その他のスタッフ)を表彰する賞。小池は、ミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』『キンキーブーツ』2作での演技が評価され、菊田一夫演劇賞を受賞した。「演劇の賞に無縁な役者だった」と自らを振り返った小池。役者業と歌手業を行っていく中で「難しいなと思うこともたくさんあって、けっこう遠回りしたり、どこに進めばいいのか悩むこともたくさんあった」というが、「自分が歩んでた道が間違ってたわけじゃなかった」と、賞に背中を押された気持ちを語った。2016年に解散した音楽ユニット・WaTの元相棒・ウエンツ瑛士には「何も言ってないんだよなあ。知ってるんですかね?」と笑顔に。ウエンツが出演中のミュージカル『紳士のための愛と殺人の手引き』を観に行ったというが、「その時は一言も言ってなかったので、多分知らなかったんじゃないかな」と予想した。小池は、ウエンツとは「けっこう連絡もとってますし、『火サプ』(火曜サプライズ)すっげー見てます」と明かし、これまでの「一番身近で、家族のような関係」から変わったことで、客観的に「どれだけ頑張ってるか見えてくる」という「すごくいい関係性」だと語った。『1789』ではヒーローという立場、『キンキーブーツ』では支える立場の役柄だったが「両方を見ていただいてたんだなというのがとにかく嬉しいです」と喜んだ。また、今後については「活動し続けることでしか恩返しできないと僕は思ってます」ときっぱり。「ミュージカルというジャンルに対してまだまだ貪欲にいきたいなという思い」「映像も大好きなジャンル」と表し、「両立って難しいと思うんですけど、それでもできるんじゃないかなというのはあるので、両方続けていきたい」と決意を見せた。
2017年04月28日第四十二回菊田一夫演劇賞授賞式が28日に東京・如水会館で行われ、菊田一夫演劇大賞を受賞した麻実れい、菊田一夫演劇賞の中川晃教・小池徹平・新橋耐子・藤田俊太郎、菊田一夫演劇賞特別賞の勝柴次朗が登壇した。大賞となった麻実は『8月の家族たちAugust:Osage County』『炎アンサンディ』の2作品で評価を受けた。「桜の咲く季節に宝塚で初舞台を踏み、47年目の春を迎えています」と気品を漂わせながら自身を振り返り、「この先どうなるかはわかりませんけども、いただいた勇気をもって、改めて歩き出したいと思います」と深く頭を下げた。『ジャージー・ボーイズ』フランキー・ヴァリ役が評価された中川は「最近、嬉しいことに、ミュージカルが本当に沢山の方々に求めていただく時代に入ってきたと感じている」と印象を語る。その実感ができているのは「僕達を牽引してきてくれた先輩たちがいたから」と感謝。「手取り足取り、時には姿勢で示してくださった一つ一つの瞬間が僕の中で学びになっている」と振り返った。さらに中川は、賞金の50万円を「語学学習に使いたい」と明かした。ブロードウェイへの意欲も見せ「ミュージカルシーンが日本の中でひとつもふたつも華やかになって世界に行けるように、今は頑張る時期だと思って、改めてやらねばという思いになりました」と新たな決意を示した。『1789-バスティーユの恋人たち-』『キンキーブーツ』で賞を受けた小池は、歌手、タレントと様々に活躍するが「自分が歩んでいた道が間違ってたわけじゃなかった」としみじみ。「今後のミュージカルの役者としても励みになる、力になる賞だと思って感謝しています」と喜びを表した。また、『ジャージー・ボーイズ』『手紙2017』の演出を評価された藤田は、師匠である故・蜷川幸雄さんに感謝。「『藤田、くれぐれも調子にのるなよ』と言われると思います」と笑いつつ、「蜷川さんの精神をきちんと引き継いでいこうと思います」と決意を改めた。
2017年04月28日俳優の小池徹平が28日、東京・如水会館で行われた第四十二回菊田一夫演劇賞授賞式に出席し、神田沙也加の結婚を祝福した。授賞式には他、麻実れい、中川晃教、新橋耐子、藤田俊太郎、勝柴次朗が出席した。同賞は、演劇界の巨星・菊田一夫氏の名を冠し、大衆演劇の舞台ですぐれた業績を示した芸術家(作家、演出家、俳優、舞台美術家、照明、効果、音楽、振付、その他のスタッフ)を表彰する賞。小池は、ミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』『キンキーブーツ』2作での演技が評価され、菊田一夫演劇賞を受賞した。受賞作となった『1789』で恋人役を演じた神田沙也加が26日、俳優・村田充との結婚を発表したが、小池はテレビで知ったという。「びっくりしました。僕、何も知らなかったので。聞いてもなかったので」と驚いた様子を見せた。公私共に交流がある神田に「連絡はさせてもらいました、『おめでとう』と。返事はシンプルに『ありがとう』だけ」と明かし、「『それどころじゃねーんだな』という感じ」と笑顔を見せた。同作は2018年春に再演を控えているが、小池は「恋愛での絡みもあるので、ちょっとやりづらいかな」と苦笑しながら、「そういうのも含めて楽しみにしてますので、本当にお幸せに」と改めて神田に祝福のメッセージを贈った。
2017年04月28日東京・シアタークリエにて8日に行われた舞台『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』ゲネプロ及び囲み取材に、村井良大、高垣彩陽、田野優花(AKB48)、古田一紀、東山光明、中川晃教が登場した。同作は世界で3億5,500万人以上の読者を持ち、日本でも人気の高いチャールズ・M・シュルツによるコミック『ピーナッツ』を1967年にミュージカル化。1999年にリバイバル公演でトニー賞4部門にノミネートされ、日本でも1977年、2000年に上演された。何の取り柄もない少年チャーリー・ブラウンと、飼い犬スヌーピーを始めとする仲間たちの日常を描く。2016年に上演された『ジャージー・ボーイズ』にて読売演劇大賞 最優秀男優賞、第42回菊田一夫演劇賞を立て続けに受賞した中川だが、受賞後初の舞台では、犬のスヌーピー役に。はつらつと動き回りながら、かわいらしい着ぐるみの外見からは想像もつかないような豊かな美声を響かせた。中川は、「受賞後初、犬っていうのが、本当にこういうことがタイミングとしてくるんだなって」と驚きながらも「嬉しく思っています」と笑顔に。役の話を聞いた時は「うわあ、あのスヌーピーをやるの!?」とイメージが湧かなかったというが、「中川晃教だったら、どうこのクリエの舞台でいきいきと表現するか」と想像を膨らませ、挑戦を決めたという。『ピーナッツ』の世界の奥深さにも触れ、「運命を感じているキャラクター。出会うべくして、出会っているなと思います。ワン!」と語った。主役となるチャーリー・ブラウン役の村井は「正直すごく若返るなと思います。久しぶりにこんな短パンをはいて舞台やるなって」と苦笑。中川も犬の格好に「いろんなところが軽量化されている」と、腕の裏側がシースルーになっていることを明かし、四足歩行のために強化した膝のニーパッドも見せる。中川は改めて、チャーリー・ブラウンについて「何をやってもうまくいかない人だけど、彼なりのビジョンを持って生きている」と説明し、『RENT』『きみはいい人』と立て続けに主演を張る村井の「いろんな意味でアップアップする瞬間にすごくリンクする」という。中川はスヌーピーが「チャーリーを愛している犬」であり、「全面的に愛しているからこそ、とにかく彼の全ての瞬間を大好きです」と村井への愛を語った。東京公演はシアタークリエで4月9日~25日、福岡公演はキャナルシティ劇場で29日、大阪公演はサンケイホールブリーゼで5月6日~7日、愛知公演は日本特殊陶業市民会館ビレッジホールで5月9~10日。
2017年04月09日第42回菊田一夫演劇賞が4日発表となり、女優の麻実れいが菊田一夫演劇大賞に輝いた。同賞は、演劇界の巨星・菊田一夫氏の名を冠し、大衆演劇の舞台ですぐれた業績を示した芸術家(作家、演出家、俳優、舞台美術家、照明、効果、音楽、振付、その他のスタッフ)を表彰する賞。大賞に選ばれた麻実は、『8月の家族たちAugust:Osage County』バイオレット役、『炎 アンサンディ』ナワル役の演技が高く評価された。菊田一夫演劇賞には、読売演劇大賞の最優秀作品賞も受賞した『ジャージー・ボーイズ』でフランキー・ヴァリ役を演じた中川晃教、『1789~バスティーユの恋人たち~』ロナン役&『キンキーブーツ』チャーリー・ブライス役の演技が評価された小池徹平、『食いしん坊万歳! ~正岡子規青春狂詩曲~』八重役の新橋耐子、『ジャージー・ボーイズ』『手紙2017』の演出を務めた藤田俊太郎が選出された。また、菊田一夫演劇賞特別賞は永年の舞台照明デザインにおける功績がたたえられ、勝柴次朗が受賞した。
2017年04月04日ミュージカル『グレート・ギャツビー』の製作発表会見が1月30日に都内で行われ、井上芳雄、夢咲ねね、広瀬友祐、畠中洋、蒼乃夕妃、AKANE LIV、田代万里生、脚本・演出の小池修一郎が登壇した。原作は、スコット・フィッツジェラルドにより1925年に出版された小説で、20世紀の文学史における最高傑作の一つと言われている。宝塚歌劇団によって1991年に上演され、脚本・演出を務めた小池は第17回菊田一夫演劇賞の演劇賞を受賞した。1920年代のアメリカを舞台に、謎の富豪・ギャツビーと彼を取り巻く人間関係を描く。小池版『ギャツビー』はすでに存在していたものの、今回は楽曲も全て書き下ろしとなり、ほとんど新作といえる作品になることが会見で明かされた。主演の井上は「ギャツビーという役は誰もがやりたいというような素晴らしい役だと思うんですけど、全部受け止めながらこのメンバーで新しい作品を作れればいいと思います」と意気込みを語る。小池の代表作であるミュージカル『エリザベート』の皇太子ルドルフ役でデビューした井上。小池との付き合いも長いが、「新作をご一緒するのは初めて」だという。「噂は聞くんです。全然稽古が終わらないとか」と笑いながら「まだ誰も見たことのないグレートギャツビーをみなさんにお見せすることができれば」と展望を示した。同作を最初に見た時の印象については、井上は「(ギャツビー役の)杜けあきさんの背中がでけーなという」と語り、客席を笑わせた。「多分パットを入れていると思うんですけど、パットも関係ないくらいににじみ出る、背中で語るみたいな印象がすごく強くて」と振り返った。同作も男性のロマンチックな部分が詰まっているというが、「男の人自体がロマンチックだと思うんですよ。あとバカ」とバッサリ。自身が演じるギャツビーについては「バカだけど、一個嘘をつくと決めた時のエネルギーがすごい」「男性のある種の理想、すごくロマンチックな人だなと思う」と、印象を表した。デイジー・ブキャナン役の夢咲は、ずっと同作に出てみたかったという。自身が演じるデイジーを「最近では芯の強いヒロインが多いなか、すごく弱い、誰かがそばにいて助けてくれないとダメな精神的にちょっと弱い女性」とキャラクターを捉えた。一方、デイジーの夫であるトム・ブキャナン役の広瀬は「本当に傲慢でふてぶてしい、好色でやなやつ」と捉えながらも、「僕自身がすごく真面目ですごくいい人なので、共通点は見つからない」と、語っている間に笑いがこらえられなくなった様子。すかさず井上が「ごめん、つっこんだ方がよかったね! そういうムードかわかんなかったから!」とフォローする一幕もあった。また、物語の語り手とも言える位置にいるニック・キャラウェイを演じる田代は、自己紹介時から「にっきゅ……」と名前を噛んでしまい会見を和ませた。作品の印象を語る時も一人立ち上がり、情熱的な姿勢を垣間見せた田代は、改めて「制約から開放されたいという思いが強い印象を受けました」と作品について表現する。「勢いのあるアメリカと衰退していくアメリカの両方が混ざったような年代」であり、「ジャズの音楽もいろんな変化をしていた」と背景を説明し、「ミュージカルにうってつけじゃないかなという気持ちです」と自信を見せた。音楽を担当したブロードウェイの新鋭・リチャード・オベラッカーも、同作のミュージカル化を熱望していたという。関係者の思いが強く詰まったミュージカル『グレート・ギャツビー』、東京公演は日生劇場で5月8日~29日、大阪公演は梅田芸術劇場メインホールで7月4日~16日、愛知公演は中日劇場で6月3日~15日、福岡公演は博多座で7月20日~25日を予定している。
2017年02月04日ベトナム戦争末期に、ベトナムの少女キムと米兵クリスの引き裂かれた愛を美しい楽曲で描くミュージカル『ミス・サイゴン』。1989年にロンドンで初演を迎え、1992年に日本で上演されて以来、再演を重ねてきた人気作品だ。その中で、どん底から這い上がってきた男エンジニアは、物語の狂言回しで、欲しいものを手に入れようとあがく、貪欲なキャラクターだ。そんなエンジニアに惚れ込み、3回目のオーディションで、2014年にこの役を勝ち取ったのは駒田一。今年、市村正親、ダイアモンド☆ユカイと交互にエンジニアを務める駒田に話を聞いた。ミュージカル「ミス・サイゴン」チケット情報サイゴンでキムが働くキャバレーを経営するエンジニアは、アメリカに行きたいと熱望し、キムを利用しようとする。「ギラギラ、ドロドロしているたくましいドブネズミのようなエンジニアは、人間が誰しも持っている部分で、とくに共感できたんです」。40代で受けた1回目、2回目のオーディションは共に不合格。ラストチャンスだと決意した3回目は、汚い格好で臨んだ。「オーディション会場に入る前に、霧吹きで水を吹きかけて、あついイメージを出しました(笑)。今思えば、1回目と2回目はエンジニアと同じ赤いジャケットを着て格好をつけすぎていたんじゃないかと。3回目は、何回も楽曲を歌い本当に汗べちょべちょになりました(笑)」。晴れて合格し、その後、初めてベトナムを訪れた。「歩いているだけで汗がドバーッと噴き出す暑さ。土地の匂い、空気感、そこに生きている男を演じなければ。いかに自分は浅はかだったかと気付かされました」しかし、2014年は初演から一貫してエンジニアを演じてきた市村が闘病のため降板。駒田やほかのキャストが市村の分まで役を担った。「市村さんから『頼むな』と言われて。無我夢中で、そのころの記憶がないんです。どうやって俳優・駒田一が生き延びるかということしか考えていなかった(笑)」というが、見事にワイルドで泥臭いエンジニアを演じきった。「今年はもっと地に足をつけて、彼が何を考え言葉を発しているのか深く掘り下げたい」エンジニアがアメリカへの憧れを歌う「アメリカン・ドリーム」は名曲だ。「切なさを含め彼自身が表れている。夢は持つべきだと思うし、持った以上は闘わないと。僕の夢?そりゃ一生、いい芝居して、舞台に立ち続けることですよ」。今年は、2015年度 第41回菊田一夫演劇賞を受賞した。「自分で自分を誉めてあげたい(笑)。16歳の時から舞台に立って36年。ほかに何もできないしね。飲み屋のマスターになることも考えたけど、『駒ちゃん、知り合いが来たら全部おごるから無理だよ』と言われて」と豪快に笑う姿は、この道一筋で生きてきた格好良さとパワーにあふれている。公演は帝国劇場にて、10月19日(水)から11月23日(水・祝)まで(10月15日(土)からプレビュー公演あり)。その後岩手、鹿児島、福岡、大阪、愛知でも上演される。チケットぴあでは大阪公演のプリセール(WEB先行先着)を8月28日(日)23:59まで受付中。取材・文:米満ゆうこ
2016年08月19日●『1789』は新しい流れをもたらす作品『レ・ミゼラブル』『エリザベート』など多くの人気の作品を上演している帝国劇場。銀座にも近く、多くの買い物客や観光客でにぎわう有楽町・日比谷エリアに位置し、105年の歴史を持つ日本初の洋式劇場としても知られている。様々な俳優が「いつか帝劇に立ちたい!」と思い、「日本ミュージカルの聖地」と呼ばれることもあるこの劇場は、一体どのような空間なのだろうか? 副支配人・竹本一輔氏、東宝演劇部宣伝室長・洗秀樹氏に取材を行った。今回は主に「帝国劇場」の基礎知識について紹介していく。○劇場を持つ幸せ――100年以上もの歴史がありますが、どういった理由で建てられたのでしょうか。竹本開場が1911年、明治44年ですね。当時は欧米に追いつけ追い越せで、大きな洋式の劇場を建てようとなったようで、国を牽引していた実業家たちによって、民間で作られた劇場です。「帝国」と冠しているのですが、一度も国の資本が入ったことはないんですよ。現在の阪急阪神東宝グループや宝塚歌劇団を設立した小林一三によって、1937年に東宝が吸収合併して直営の劇場となりました。――都内の劇場が複数建て替えに入ってしまう、いわゆる「2016年問題」など話題になっていますが、ずっと存在してくれるのは頼もしいですね。竹本ライブエンタテインメントを発信する方にとって、ステージ=劇場はなくてはならない存在ですが、自分たちで創った演劇を、自分たちの劇場で観ていただけるなんて、これほど幸せことはないと思います。私自身は劇場運営というセクションで、特にビジネス面を厳しく見なければいけない立場でありますが、作り手の一端を担うものとして「劇場を持つ幸せ」を強く感じます。――帝国劇場で観ることのできる作品で、おすすめなどはありますか?洗今はやはり、最新作『1789 -バスティーユの恋人たち-』ですね!(笑) 帝劇は100年の歴史のなかで、常にチャレンジをしています。バレエ、歌舞伎などからはじまり、『放浪記』『細雪』のような座長公演を行うようになり、『レ・ミゼラブル』という大型ミュージカルがやってきて、さらに2000年代になると『SHOCK』(現『Endless SHOCK』)というとてつもない作品がやってきます。今回の『1789 -バスティーユの恋人たち-』では、また新しい流れが加わったのではないかと思っています。『1789 -バスティーユの恋人たち-』には、ミュージカル『テニスの王子様』に出ていた若々しいキャストも、宝塚歌劇出身の方も、帝劇にずっと立ってきたミュージカルキャストもいる。更に、生オケではなくデジタル音源を使っているところも特徴です。「ミュージカルは生オケ」という固定観念もあったのですが、実際に聴くと、ものすごいんですよ! ズンズンと重低音のリズム感があり、ダンスもすごくて、斬新ですね。おかげさまで評判も上々です。――2016年のラインナップでいえば、『王家の紋章』も驚きました。洗『王家の紋章』もサプライズ演目だと思うのですが、帝劇ならではの大作感や格式を出していきたいと思っています。こちらのキャストも、山口祐一郎さん、濱田めぐみさんといったベテランから、若手ミュージカルスターの浦井健治さん、帝劇初出演の宮野真守さんなど、さらに音楽は『エリザベート』のシルヴェスター・リーヴァイさんという最強のキャスト・スタッフでつくる古代ロマンです。●心血を注いで作られた劇場○既に3~4年先まで考えられている――『1789 -バスティーユの恋人たち-』『王家の紋章』が新作で出てくるとは、すごい年ですね。洗お客様も宣伝手法をご存知ですし、他社も知恵をしぼっていますから、「こう来たか!」というものがないと。期待を抱いていただきながら、その期待を断然上回りたい、そのために何をしたらいいのかを、宣伝担当は常に考えています。『SHOCK』も16年続いていますが、毎回新しいことにチャレンジしているから、何回観ても新しい発見がある。堂本光一さんご自身も、生で新しいものを観てもらうことを大事にされていますし、それこそがライブエンタテインメントを作り続ける醍醐味だと思います。――人気作を上演し続けるだけでなく、チャレンジを盛り込んでいくと。洗その上で、新しいものを作るのは一朝一夕でできることではなく、企画してから上演に至るまで、やはり3~4年はかかります。逆に言えば、今すでに3~4年先の話を進めているので、また「えー!?」というサプライズをお届けできると思います。過去のヒット作を毎年上演すれば良いと考えてはだめで、新しい作品にチャレンジしてラインナップに厚みを出していかないと、お客様の興味も尻すぼみになってしまいます。○稽古場も併設された劇場――帝国劇場の特徴は、どのような点にあるのでしょうか。竹本1,800席を少し上回る客席数で、演劇を見せる劇場としてはかなり大きなサイズだと思います。音響などは、コンサートホールの方が優れているかもしれないですが、私たちは劇空間ですので、365日12カ月、満足いただけるようなスケールの大きな演劇を見せていくべきだと思っています。――稽古場も劇場内にあるんですよね。竹本9階に帝劇の舞台面と同じ寸法の稽古場があって、地下にさらに小さな稽古場があります。次の公演の稽古はほぼ9階でやっていますね。役者さんもすれ違っているのではないでしょうか(笑)。――この一等地に稽古場があるというのもまた贅沢な気がします。竹本当時の担当役員だった菊田一夫が心血を注いで作った劇場で、稽古場を入れたのも「これが必要だ」と考えたのでしょう。できてから50年たっても、われわれにとってはかけがえのない財産です。もう、こういった劇場を一から作るのは厳しいと思いますよ。○椅子の裏までメンテナンス――劇場運営で、ふだんから大切にしていることはありますか?竹本細かいところですが、見えないところも含めて、清潔でなければいけないと思っています。例えば手すりや椅子の裏など、目には届かないところこそきれいにしていく。舞台裏もそうですが、常にメンテナンスをしていかないとだめになってしまいます。――椅子の裏まで!竹本暗くて見えないところでも、意外とほこりがたまったりするんですよね。椅子も、バネがあれば壊れることもあるので、毎日毎日チェックをしています。まずは掃除からですね。洗手を抜いたらわかりますよね。「トイレが汚いな」「列が長すぎる」とか(笑)。列を短くするのは難しいですが……。――誘導してくれるとうれしいですよね。洗ホスピタリティでカバーしていこうと。ハード的にもソフト的にも手が届いている、満足度高く帰っていただけるように、全社一丸となって取り組んでいます。――作品によって内装が変わったり、劇場内が商店街のようになっているのもずっと変わらないのでしょうか。竹本私が演劇の仕事を始めて約20年経ちますが、にぎわいをつくるというコンセプト自体は変わっていません。非日常な異空間をお届けしたいと思っています。
2016年04月30日