親ならば、「子どもには頭が良くなってほしい」と願うことはあっても、「頭が悪くなってほしい」と願うことはありません。では、そもそも学力を高めるためにはどんな力が必要なのでしょうか。素人だと教科によってちがうと思ってしまいがちですが、V-net教育相談所を主宰し、さまざまな独自教育メソッドを開発している松永暢史さんは、「学力を高める力とは言語能力」だと断言します。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)勉強ができるということは言語能力が高いこと親御さんが子どもに「勉強ができるようになってほしい」と願うのなら、「言語能力」を伸ばしてあげることを心がけてください。「勉強ができるということは言語能力が高いことに他ならない」というのが、教育に長く携わってきたわたしの結論です。言語能力というと国語というひとつの教科に限られた力だと思われるかもしれませんが、あらゆる勉強は言葉を使ってするものです。数学だって言語で説明されて理解できればいいのですからね。言語能力は、大きくふたつにわけられます。耳にした、目にした言語を正しく受け取る「了解能力」と、自分の意志を正しく相手に伝える「運用能力」です。これらを伸ばすには、実践するしかありません。つまり、「本を読み、文章を書く」ということ。ただ、どちらもまだ難しいような幼い子どもの場合、まずは「聞かせる」ことからはじめます。子どもにきちんと言語を理解させるには、「読み聞かせ」が重要です。人間というのは知能がすごく発達した動物です。それこそ、親が話していることを聞いているだけでしゃべれるようになるのですから、本当にすごいことですよね。赤ちゃんは、言葉を覚えようと大人以上に注意深く親の言葉などの周囲の音を聞いている。その前提を思えば、幼少の時期に正しいリズムの日本語を聞かせてあげる必要があります。言語能力を高めるには過去の名作を音読する正しいリズムとは、例を挙げると石焼きいもの移動販売車から聞こえてくる「いしや~きいも~」の呼び声。「たけや~、さおだけ~」もいいですね。これらに共通する特徴とは「一音一音切っている」ということ。これが日本語の音読のベースなのです。「ショッピング」という言葉も、英語の正しい発音だと日本人には「ショピン」に聞こえますよね。英語は子音で終わることが多い言語であることに対して、日本語は一音一音に母音がつく言語なのです。幼い子どもには、きちんと一音一音切って遠くに話しかけるような日本語に触れさせることが大切です。では、具体的になにを読み聞かせればいいのでしょうか。わたしは、「古典」を聞かせることを提唱しています。もちろん、子どもが言葉を理解しはじめれば、本人に音読をさせます。古典を読み聞かせること、音読させることに驚いた親御さんもいるでしょう。ただ、これには明白な理由があります。『徒然草』をきちんと一音一音で切って音読すると、子どもの国語の力はぐっと伸びます。どういうことか説明しましょう。言葉は時代につれ徐々に変化していますが、当然、その変化は前の時代の言葉を受けたものです。『徒然草』は、江戸時代に寺子屋と藩校でもっとも音読された随筆で、当時の役人や作家など文章を書く人間に『徒然草』を知らない人はいません。つまり、前の時代にテキストとしてよく読まれたものを音読すればするほど、その後ろの時代――この場合であれば、現代の言葉の力が高まるというわけです。では、『源氏物語』や『枕草子』を楽に読めるようになるにはどうすればいいのか。その答えは、その前の時代の『古今集』を音読することです。そしてさらに、『古今集』を楽に読めるようになるには、その前の時代の『万葉集』を音読するのです。読み方の手本は「宮中歌会始」です。新春恒例の行事ですから、ニュース等で目にしたことがある人も多いでしょう。そのイメージで、『徒然草』なら「つ、れ、づ、れ、な、る、ま、ま、に」と一音一音切って読んでみてください。読むだけで子どもの頭が良くなる本があるわたしは、実験として幼い子どもがいるお母さんばかりを集めて古典の音読会を2年間ほど続けたことがあります。その結果、子どもたちの国語力は爆発的に伸びました。まだ小さいのに、みんなが長いセンテンスでしゃべることができるようになったのです。とはいえ、古典にとっつきにくさを感じる親御さんもいるかもしれません。でも安心してください。戦後に生まれた文学作品や絵本のなかにも、正しい日本語の系譜を受け継いでいる作品はたくさんあります。それらは、わたしの著書『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』(すばる舎)で「読むだけで頭が良くなる厳選本145冊」として紹介しています。これは、400冊を超える作品のなかからわたしが実際に音読して選びました。選んだ本は、一音一音切って読んで、意味が綺麗に伝わってくる作品ばかりです。作家、絵本作家のなかにも日本語本来のリズムがきちんとわかっている人がいるのです。ただ、「何歳のお子さんにはこの作品」と、年齢別におすすめ作品を紹介することはできません。子どもはそれぞれ成長に差があるので、一概にどの本がいいと決められないからです。とはいえ、著書で紹介した145冊はいずれもわたしが自信を持っておすすめできるいい作品ばかり。そのなかから気になる作品を選んで子どもに読み聞かせをしてあげたり、子どもに音読させたりしてみてください。間違いなく、子どもの国語の力は大きく伸びていくはずです。『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』松永暢史 著/すばる舎(2015)■ 教育環境設定コンサルタント・松永暢史さん インタビュー一覧第1回:“AIに勝つ力”は学校教育では育たない。親にしか伸ばせない子どもの「7つの力」第2回:国語力は“〇〇の音読”で爆発的に伸びる。読むだけで子どもの頭がよくなる名作本の選び方第3回:思考と行動、男女の違いを徹底解説。“男の子らしさ”“女の子らしさ”が伸びる教育方針(※近日公開)第4回:学力を伸ばすコツは男女で違う!子どもの性別で見る学習傾向と、勉強法のひと工夫(※近日公開)【プロフィール】松永暢史(まつなが・のぶふみ)1957年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学文学部哲学科卒業。V-net教育相談事務所主宰。教育環境設定コンサルタント、学習アドバイザー、能力開発椅子トラクター。「サイコロ学習法」「ダイアローグ法」「抽象構成作文法」など多数の教育メソッドを開発。子どもの個性に合わせてどのような教育をすることが正しいかを導き出し、学習計画、教育機関利用法、進学計画等を提案する。個人授業では国語を担当。『頭のいい小学生が解いている 算数脳がグンと伸びるパズル』(中経出版)、『落ち着かない 話を聞けない マイペースな 小学生男子の育て方』(すばる舎)、『「ズバ抜けた問題児」の伸ばし方』(主婦の友社)、『新 男の子を伸ばす母親は、ここが違う!』(扶桑社)など、教育関連の著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月01日「先行きが見えない」と異口同音に語られる時代。これから長い人生を歩まなければならない子どもたちは、どんな力を身につけておくべきなのでしょうか。V-net教育相談所を主宰し、さまざまな独自教育メソッドを開発している松永暢史さんは、子どもたちに必要なものとして、7つの力を掲げています。そして、そのなかでも根幹となり得るのが「感受性」だといいます。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「判断力」と「創造力」の礎となる「感受性」子どもに必要な力として、わたしはまず「判断力」と「創造力」を挙げます。判断力がなければ、知識を持っていたとしてもそれを正しく使うことができません。それから、「他の誰もやっていないことをやりたい」「つくりたい」「描きたい」といった願望はいつもわたしたちのなかにある。いわば、創造力は、人間らしくあるための力といえるでしょう。ただ、それらふたつの力に先行して必要なものが「感受性」です。ものを感じ取る力がなければ、正しい判断もできないし、新しいものを生み出すこともできません。判断力、創造力、それに先立つ感受性――この3つが、子どもにとってもっとも大切な力です。それらに加えるなら、「観察力」「探究心」「着想力」「思考力」も大切な力になります。観察は目だけでなく頭でもおこなうもの。言葉がなければ、鋭く深い観察はできません。動物は、人間が仕掛けた罠を観察して見破るということはそうできませんよね?でも、人間なら「あれは罠じゃないか?」と言葉で考えて罠の存在を見破ることができる。動物よりはるかに優れた観察力を持つのが、人間という生き物なのです。そして探究心。ものごととは、目に見えている部分ではなくその下に重要なものが埋まっているものです。だとすれば、なにかに興味を持ったら立ち止まってとどまりそれを突き詰める必要があります。着想力は創造力のベースになる力です。なにかをつくりあげる力があったとしても、そもそもその「なにか」を思いつく力がなければつくる課程に進めません。そして、いうまでもなく、考える動物である人間には思考力が求められます。「7つの力」を伸ばすには家庭環境が重要でも、残念ながら、いまの学校教育はこれらの力を伸ばそうとしているようには思えません。何十人かでまとめてクラス分けされ、先生の話をちゃんと聞くことが求められ、たくさんの宿題を課される。わたしには、近い将来AIに取って代わられる仕事の訓練をされているように見えるのです。では、先に述べた「判断力」「創造力」「感受性」「観察力」「探究心」「着想力」「思考力」はどんなものかというと、これらは「AIが持てない力」です。「AIにできないことはなにか」と考えたわけではありません。「これからの人間にとって大切なものはなにか」と考えると、結果的にAIにできないことに行き着くのです。そして、これらの力を学校教育で伸ばしてくれないのであれば、家庭環境の在り方こそが重要になります。たとえば、感受性というものは、誰かに壊されることなくゆっくり育まれて徐々に良くなるものであって、ある教育によって突然良くなるものではない。「これから感受性を伸ばす教育をします」といった具合に伸ばすことはできません。ということは、子どもの感受性を向上させることは親にしかできないことなのです。感受性を伸ばすには「甘いお菓子」はNG!?子どもの感受性を伸ばしてあげたいのなら、まず「甘いだけのお菓子」をあげることをやめましょう。甘みというものは強烈な味覚ですから、甘いものを口にし続けると他の味を感じる力が鈍くなってしまいます。同じ甘みを持つものでも、果物だったらどうでしょうか?甘いけど酸っぱさも含むなど、味わいが多重です。そういった複雑さを感じ取れる力こそ感受性でしょう。子どもの感受性を伸ばすには、甘いお菓子ではなくて果物を与えるべきです。もちろん、これは一例です。他のさまざまなことについても、刺激が強いものを受け取って反応するのではなく、できるだけ余計な刺激物がない、いい自然環境に触れることが大切です。たとえば、同じことが聴覚についてもいえます。人間の耳は20キロヘルツまでの音しか聞き取ることができません。でも、自然界には20キロヘルツ以上の高周波の音がたくさん存在します。じつは、人間というものはこれらの高周波音を肌で感じ取っているのです。そして、その経験が豊かであるほど感受性も豊かになります。そう考えると、土があって草が生えていて海や川から心地いい風が吹くような環境に子どもを置いてあげる必要がある。ただ、特に都会の子どもだとそういう場所にひとりで行くことはできるものではありません。つまり、自然に囲まれた場所に子どもを連れて行ってあげるのが親の重要な役割なのです。『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』松永暢史 著/すばる舎(2015)■ 教育環境設定コンサルタント・松永暢史さん インタビュー一覧第1回:“AIに勝つ力”は学校教育では育たない。親にしか伸ばせない子どもの「7つの力」第2回:国語力は“〇〇の音読”で爆発的に伸びる。読むだけで子どもの頭がよくなる名作本の選び方(※近日公開)第3回:思考と行動、男女の違いを徹底解説。“男の子らしさ”“女の子らしさ”が伸びる教育方針(※近日公開)第4回:学力を伸ばすコツは男女で違う!子どもの性別で見る学習傾向と、勉強法のひと工夫(※近日公開)【プロフィール】松永暢史(まつなが・のぶふみ)1957年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学文学部哲学科卒業。V-net教育相談事務所主宰。教育環境設定コンサルタント、学習アドバイザー、能力開発椅子トラクター。「サイコロ学習法」「ダイアローグ法」「抽象構成作文法」など多数の教育メソッドを開発。子どもの個性に合わせてどのような教育をすることが正しいかを導き出し、学習計画、教育機関利用法、進学計画等を提案する。個人授業では国語を担当。『頭のいい小学生が解いている 算数脳がグンと伸びるパズル』(中経出版)、『落ち着かない 話を聞けない マイペースな 小学生男子の育て方』(すばる舎)、『「ズバ抜けた問題児」の伸ばし方』(主婦の友社)、『新 男の子を伸ばす母親は、ここが違う!』(扶桑社)など、教育関連の著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年02月28日子どもの中には、「自ら考えて行動する挑戦力のあるタイプ」と、「何でも親に頼ってしまう依存心の強いタイプ」がいるようです。幼少期の子どもが親に頼りがちになってしまうのは当然ですが、そのまま成長して大人になると、自分の意志のない人間になってしまう可能性があります。今回は、依存心の強い子どもが自ら行動できるようになるために親はどうすればいいのかについて、解説していきましょう。挑戦が苦手で依存心の強い子どもとは?依存心の強い子どもには、以下のような特徴がみられます。・自分の意見を言えない・親の言うことを聞くのが当然だと思っている・親の顔色をうかがう・何事もすぐにあきらめる・自己中心的で相手の立場になって考えることができない子どもの依存心の背景には、親に十分に甘えられていないことや、親からの過干渉があると考えられています。子どもは、親に甘えたいときに甘えられないと、不安を感じて自立を恐れるようになるのです。この “甘え” というのは「欲しいものを買ってほしい」などの物理的な要求ではなく、「抱きしめてほしい」「かまってほしい」という精神的な欲求のこと。子どもが自立し、新しいことに挑戦していくためには、この精神的な欲求が十分に満たされていることが重要なのです。また、親からの過干渉とは、親が子どもに対して「あなたは私がいないと何もできないんだから」と決めつけ、あらゆる行動をすべて先回りしてしまうことを指します。例えば、子どもが何かを食べようとした際に「すぐこぼすから」と親がすべて食べさせてあげたり、ジャングルジムなどで遊ぶ際に「落ちたらケガをするから」と始めから終わりまで手伝ったりすることです。過干渉された子どもは「親がやってくれて当たり前」という意識を持つようになるだけでなく、物事に対する成功体験を持たないために挑戦することを避けて、ひとりでは何もできなくなってしまいます。さらに、過干渉している親も、子どもに対して世話をすることに喜びや生きがいを感じていることも多く、この場合は親子で共依存している状態といえるでしょう。依存心をなくすためには「成功体験」がポイント子どもの依存心をなくし、自立を促すためには、成功体験を積み重ねることが大切です。そのためには、以下のポイントを押さて、子どもが成功体験をできるように導いてあげましょう。【ポイント1:子どもの行動を先回りしない】前述したように、子どもの行動を先回りする過干渉は依存心が強くなる原因のひとつです。ケガや事故の危険がない範囲で、できる限り子どもを見守るようにしましょう。例えば「時間がないから」という理由で、子どもが着替えようとしているのに親がすべてやってしまうのを繰り返していると、当然ながら子どもはいつまで経ってもひとりで着替えることができません。時間に余裕があるときは、子どものペースに合わせて「ひとりでできた!」という成功体験をさせてあげるようにしましょう。【ポイント2:失敗から学んだことを一緒に考える】依存心の強い子どもは、失敗することを極度に恐れる傾向があります。その背景には、「失敗したら怒られる」「失敗するのは悪いこと」という考えがあることも多いので、そうではなく「失敗してもいいから挑戦する」「失敗から学べることもある」ことを積極的に伝えるようにしましょう。そうすることで、失敗を恐れず成功に向かう子どもになっていきます。「お母さん(お父さん)もこんな失敗をしたけど、そこからこんなことができるようになったんだよ」と、親自身の失敗談を話してあげるのも有効です。【ポイント3:「スモールステップ」を取り入れる】スモールステップとは、応用行動分析(ABA)の考え方のひとつ。目標達成までの道のりを細かいステップに分けて、ひとつひとつステップをクリアしていき、最終的な目標達成を目指すことです。例えば、「手を洗う」という習慣をつけたいときには、まず「洗面台に向かう」「蛇口をひねって水を出す」「手を濡らす」「ハンドソープをワンプッシュする」「手をこすり合わせて洗う」「蛇口をひねって水を止める」「タオルで手を拭く」と、手を洗う行動を細かく分けます。そして、ひとつのステップができるようになったら「よくできたね!」と褒めて、次のステップに挑戦させることを繰り返します。すると、子どもはステップごとに成功体験を得られるため、徐々に自立心が育っていきます。***子どもが心配でついつい手助けしてしまうのも親心ではありますが、そこをぐっと堪えて見守ることは、子どもが成長していくうえで必要不可欠です。子どもとの距離感や接し方を見直して、挑戦力や自立心をはぐくんでいきましょう。文/田口るい(参考)All About|子供を自立させる甘えと、ダメにする甘やかしプレジデントオンライン|「勉強しない子」「やる気のない子」は変われますか?ベネッセ教育情報サイト|子どもの自立心を育みたい!保護者ができることって?PHPファミリー|子どもを成功に導く!「スモールステップ」の言葉がけ
2019年02月25日子どもの勉強については、さまざまな家庭の方針がありますよね。子どもの成長や習得、意欲の度合いに合わせて、その都度親が対応していかなければならないこともあるでしょう。自宅での学習においては、「親が子どもに勉強を教える」か、「教えないほうがいいのか」、または「教えるならどの程度なのか」悩むパパママは多いのではないでしょうか。今回は、親が子どもに勉強を教えるべきか、考えてみたいと思います。■子どもに勉強を教えているパパママは8割以上子どもに勉強を教えているかたずねたアンケートでは、「質問されたら教えている」という回答が60.8%でもっとも多い結果になりました。「教えている」と答えた23.7%を加えると84.5%となり、8割以上の親は子どもに勉強を教えているようです。 Q. 子どもに勉強、教えてる?質問されたら教えている 60.8%教えている 23.7%教えることができない 9.9%親は教えないようにしている 2.9%その他 2.8%一方で、「教えることができない」、「親は教えないようにしている」という正反対の回答も1割以上寄せられていました。■「自分で考える力」を身につけてほしい親たちの内情もっとも多い6割以上が「質問されたら教えている」と回答したのは、なぜなのでしょうか。「基本的にリビングで勉強しているので、聞かれたときだけ教えたり、いっしょに調べたりしています」(滋賀県 30代女性)「わからないときだけ教えています。まずは自分で十分に考えることが必要だと思うので」(三重県 40代男性)「勉強の中身を教えるというより、勉強の仕方を教えるようにしています。やり方や考え方が身に付けば、後々役立つと思います」(徳島県 40代男性)寄せられたコメントでは、「聞くまでは自分で考えてもらいたい」という意見が多く寄せられました。また、なかには「教科書を読んだりインターネットで調べたりして、聞かれたときに困らないように予習しておく」という熱心なパパママからの声もありました。筆者の長男もまもなく小学生。たまに自宅で勉強をしているのですが、すきあらば「わからない、答え教えて」と言ってくるので、その都度「もうちょっと考えなさい」と諭しているのが現状です。もしかしたら、「質問されたら教えている」と答えた多くのパパママが、同じような経験をしているのかも。そのうえで、子どもたちの考える力を伸ばしたいと思い、行動しているのかもしれませんね。■勉強を教えることは「親子のコミュニケーション」?勉強を「教えている」と答えたパパやママは23.7%という結果に。具体的にはどのように子どもたちの学習に関わっているのでしょうか。「塾に入れる余裕なんてありませんから、教科書を先読みして学習してから積極的に教えています」(東京都 40代男性)「日々の学校の教科書とノートを私がチェックしています。書き間違いや、きれいに書けているところに絵やコメントなどを入れてあげると子どもが喜んで“もっと書いて!”と励みになるようです」(東京都 40代女性)「小学生の頃は手取り足取り教えていたが、中学生になったらかえって私の方がことわざや計算問題を教えてもらっていました。わからないことをいっしょに考えるのはとても楽しいですし、高校生の今も時事問題を出し合ったりしています」(神奈川県 40代女性)読解問題や算数など、子どもが苦手な教科を中心に毎日教えているという声には、「すごすぎる!」と脱帽しかありません。教える親側にとっても、学習内容を理解し、子どもたちに教える時間を捻出するのには、大変な苦労もあるだろうなと思わずにはいられません。ただ、「一方的に教える」というよりは、勉強の時間を親子のコミュニケーションとして捉えている側面もあるようです。親が勉強している姿を見せるということも、もしかしたら大切な要素の一つなのかもしれません。■勉強を教えないパパママたちの思いとは一方で、「勉強を教えない」理由に関するコメントも集まりました。まずは、「教えられない」という回答に隠された思いをのぞいてみましょう。▼親の状況で教えたくても教えられない「教えることができない」と答えた9.9%の親たちのコメントからは、そのつらい現状が垣間見えてきます。「母子家庭でフルに働き、帰るのが19時を過ぎます。夕飯とお風呂に入れるので手一杯ですが、週に1度はいっしょに勉強するようにしています。ただ、その間も下の子が騒いだりちょっかいを出してきたりで、なかなか進みません」(千葉県 40代女性)「共働きで忙しく、帰ってから家事に追われて宿題を見てあげる時間がありません」(神奈川県 40代女性)「子どもが反抗期で教えられない」という声もあり、仕事や子どもとの関係から、教えたくても教えられないというつらい思いを抱えた親もいるようです。教えたくても、自分が教えられないという場合には、家族で対策を話し合ってみるのもひとつのてかもしれません。学校や塾での宿題でわからないことがある場合には、子どもから先生に質問するという方法もあります。子どもは、「宿題でわからないことを聞くのは恥ずかしい」と思っていることも多いので、子どもに声掛けしてもいいかもしれませんね。▼「あえて教えない」とする真意は?また、2.9%のパパやママは「親は教えないようにしている」と回答しました。「簡単には教えません。まずは自分で調べさせます。教科書や辞書、ノートは、そのためにあるんだということもわかってほしいですし、自分で調べて、答えを得たときの達成感や喜びなどをもとに、その情報をしっかり自分の物にしてほしい」(愛知県 40代女性)「基本的に勉強は教えておらず、まずは先生や友人に聞くように話しています。おかげで長女は先生に躊躇(ちゅうちょ)せず聞けるようになり、先輩や友人と勉強会をしているようです」(佐賀県 40代女性)「内容が難しいし、教え方が学校と違っては困ること。そして一番は親だからどうしても感情が入り、熱くなって説教となってしまうので教えない!」(神奈川県 40代女性)「勉強を教えることで、子どもとけんかになる」という声が多く寄せられ、親子での勉強には“距離が近すぎる”という難しさがあることが見えてきます。さらに、自分が教わったときと学習内容や考え方が変わっているため、子どもを混乱させないようにあえて教えないというパパママも多いようです。たしかに、数十年前に習った方法が現代でも通用するのかはわからないところ。今の時代に即した教え方や考え方があることから、親が教えることで、子どもが恥ずかしい思いをしてしまっては、心苦しいですよね。■子どもの勉強に親はどうやって関わるのか最後に、高校生の子どもを持つパパとママから寄せられた意見を紹介したいと思います。「高校生なので具体的な勉強は教えていませんが、勉強するときには集中するよう、たびたび言っています。また、勉強と遊びにはメリハリをつけること、そしてテスト前にはテスト勉強のスケジュールを必ず立てて、進捗(しんちょく)状況を確認しながら調整することの重要さを教えています」(千葉県50代男性)「教える、教えないに関わらず、子どもを持つ以上は彼らが習う教育の内容はフォローして、自分でも情報更新していきたいと思っています。日本の教育内容やシステムに関心を持ち改良していくのは大人の責任ですから」(東京都 40代女性)これまでの子育てをとおして、それぞれの家庭でどのように勉強と向き合ってきたかが見えてくるような気がします。わが家も、4月から小学生になる長男と年少になる次男とともに、長い長い学習の道がまもなく始まろうとしていますが、どのような勉強方法が子どもにとって一番いいのか、これから探していきたいと思います。家庭での勉強スタイルについては、子どもの個性、親の事情などが複雑に絡み合ってきます。ときには大きく衝突することもあるでしょうし、成長、進学に伴って、どんどんその関わり方は変化していくことだと思います。その都度、その答えをそれぞれの家庭で話し合い、見つけていくことが、子どもの勉強とうまく付き合っていく鍵なのかもしれませんね。Q.子どもに勉強、教えてる?アンケート回答数:4638件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2019年01月29日2020年度に大きく変わる「大学入試共通テスト」では、知識の詰め込みだけではなく、思考力や判断力が問われるようになります。このような力を養うためには、机の前での「The 勉強」では身につきません。実は、日常生活の中の新しい経験や楽しい体験こそ、思考力や判断力が自然と身につけられるチャンスなのです。そこで今回は、その具体的な方法をご紹介します。日常や非日常の体験の中でこそ記憶に残る!子どもの考える力は、無限の可能性を秘めていると言われています。しかし、小さな子どもの思考力を引き出すには、親の手助けが必要です。なかでも日常生活と勉強をリンクさせる方法が、もっとも有効なようです。意識的に、日常生活に学校で学んだことを応用させることで、学習内容をより定着させることもでき、さらに思考力や判断力、さらには応用力も養うことができるのです。そこで実践したいのが、買い物やスケジュール管理、お出かけの計画などの経験や体験。大人にとっては当たり前のことでも、子どもにとっては初体験のことばかり。初体験というのは、子どもにとってすべてが学びであり、その経験から大切なことをどんどん吸収していきます。子どもは自分の体験で得た知識はそう簡単には忘れません。理科・社会は私たちの生活と関わる教科なので、日常生活の中でも様々な体験ができますが、いつもと違う場所でいつもと違う体験をするほうがより記憶に残ります(引用元:日経DUAL|中学受験にも生きる!冬のおでかけ学習【社会編】)子ども主体で考え、判断させる実例集それでは、実際にどんな方法があるのか実例をご紹介します。子どもの年齢や、学校で習っている学習内容に合わせて、どんなことに挑戦できるかをご両親が判断してみてください。■決まった金額内で買い物をする足し算や引き算、掛け算などを学校で勉強し始めたら、子どもに買い物を頼んでみましょう。慣れるまでは一緒に買い物に出かけて、後ろから見守ってあげるのでもいいですね。500円や1000円など、あらかじめ予算を決めておいて、その予算を越えないように買い物をするよう伝えます。余ったお金でお菓子を買っていいよとご褒美をあげれば、足し算と引き算を使って、いくらのお菓子が買えるのかを一生懸命計算するでしょう。ほかにも、一緒に買い物へ行って会計をする時に、お釣りの小銭が少なくなるように考えさせると、思考力が身につきます。小さなお子さんであれば、100円を渡して駄菓子を自分で計算させながら買うのもいいですね。<この体験で身につく力>思考力判断力計算力■お出かけの目的地や交通手段を考える親子でのお出かけは、子どもにとって新しい経験がいっぱい。いつもは親が決めてしまう休日のお出かけ先を、たまには子どもに決めさせてみましょう。子ども主導で計画を立て、家族で出かけてみることもよい経験です。ガイドブックやインターネットを見ながら、目的地を決めましょう。そのときに、日帰りでも行ける場所なのかを地図で確認しながら決めるといいですね。地図を学習している時期であれば、学習内で勉強した地名などを絡ませて、行き先を決めるのもおすすめです。行き先を決めたら、そこまでの交通機関を一緒に考えてみましょう。地図上で目的地を見ながら、電車で行きやすい場所なのか、駅からは徒歩なのかバスなのか、車で行く方が便利なのか、ご両親がアドバイスしながら経路を考えてみます。このような経験を通じて、子どもは自ら考える力や、交通手段などを比較して決定する判断力を養うことができます。また、実際にその場所に行ってみると、計画通りにいかないことも出てくるでしょう。その時に、どうして上手くいかなかったのか、どうすれば上手くできるのかをもう一度考えてみると、そこで応用力も育まれます。そして、地図を見ながら目的地までも、ぜひ子ども主体で動いてみましょう。親にとっても新しい発見があり、親子で新鮮な体験になるはずです。<この体験で身につく力>思考力判断力応用力地図を読む力■お出かけ先でのスケジュール管理時計が読めるようになったら、日常的な声掛けで、「○時に家を出るけど、あと何分ぐらいある?」などと、クイズ感覚で問いかけてみることで日常生活と勉強を“リンク”!子どもの「判断力」「応用力」「計算力」を鍛えるよい方法ですね。そして、日常生活の中で時間の管理がある程度できるようになったら、お出かけ先でのスケジュールを子どもに組み立てさせてみてはいかがでしょうか。一日のスケジュール表を紙に書いて、「○時にここに着くには、何時に出ればいいかな?」「お昼には何分ぐらい時間を取ろうか?」など、最初はご両親と一緒にスケジュールを組み立ててみましょう。慣れてきたら、自分で考えさせてみて、ご両親が無理のないスケジュールになっているかを確認してみるのもいいかもしれません。そして実際に現地へ行ってみて、スケジュール通りに回れたのか、回れなければどこで時間がかかったか、時間が足りなかったのかなどを、一緒に話し合ってみるのもおすすめです。子どもはその体験をもとに、次回は時間の管理を工夫することができるでしょう。時間の配分を予測したり、改善したりすることができるようになると、日常生活や学校生活の時間の使い方も上手にできるようになるでしょう。<この体験で身につく力>思考力判断力時計を読む力時間の使い方臨機応変に動く力3つのアプローチを親が意識しておく!買い物やお出かけの計画などを、ただ経験させるのではなく、以下のようなことを親御さんが意識しておくのがより効果的なようです。【「考える」とは】「自分の言葉で語れること(What)」「疑問に思うこと(Why)」「手段や方法を思いつくこと(How)」のいずれかのことをしているときに、「考えている」という状態になると考えます。通常の教育では、「これは何?」「どこ?」「いつ?」「どっち?」が多く、このようなインプットばかりのアプローチでは、考えるという行為は起こりにくいのです。(引用元:東洋経済ONLINE|「考える力がない子」を変える3つの問いかけ)意識しておきたいのが、この3つのアプローチです。集団で行う学校での学習では、自分の言葉で伝えたり、じっくり時間をかけて手段や方法を考える機会が少ないのが現状。しかし日常での経験の中であれば、その機会は親御さん次第でたくさん与えることができるのです。〇自分の言葉で語れること(What)〇疑問に思うこと(Why)〇手段や方法を思いつくこと(How)買い物やお出かけなどをきっかけに、自分の言葉でどうしたいかを人に伝えられたり、そこで疑問に思うことを言葉にしたり、手段や方法を考えたりという経験をたくさんさせて、自然と考える力を身につけさせましょう。***知識をインプットするような机の上の勉強だけではなく、日常の中の経験と学習内容をリンクさせることで、自らの力で考え、判断する力が自然と身につきます。これが親子での楽しい体験であれば、子どもは「またやってみたい!」「もっと何かしてみたい!」という意欲にもつながります。たっぷり時間が取れる長期休みなどに、ぜひ親子で実践してみてくださいね。文/内田あり(参考)ベネッセ教育情報サイト|親子で過ごす時間が子供の学習能力を底上げする!日経DUAL|中学受験にも生きる!冬のおでかけ学習【社会編】東洋経済ONLINE|「考える力がない子」を変える3つの問いかけ
2019年01月15日これからの時代には「考える力」が必要とされ、学校の教育内容も以前の詰め込み型から変化していきます。ただ、学習していくためには「記憶力」は欠かせないもの。子どもの記憶力を伸ばしてあげたいと思う親御さんが多いなかで、そのためにはどんな教育が必要なのでしょうか。脳科学を専門とする篠原菊紀先生は、「まず記憶の仕組みを知らないことにははじまらない」と語ります。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「記憶力がある」ということは「記憶の仕方を知っている」ということ当然ながら、子どもの能力には遺伝が大きく関係しています。IQでいえば、じつは7〜8割くらいは遺伝で説明できてしまうほどです。残念ながら、努力でIQを上げるということはなかなかできるものではありません。ところが、学力となると話は別。遺伝で説明できるのは5割程度に落ちてくるのです。記憶力も同様。記憶力こそ遺伝が大きく影響しそうなものじゃないですか?でも、じつはそうではない。記憶力は、環境、教育による影響を大きく受けるものなのです。つまり、「記憶力がある」ということは、「記憶の仕方を知っている」ということが大きい。なにかを覚えようとするとき、覚えるべきものをただ眺めているのか、そうではなくて記憶するためのスキルを使うのか。復習のタイミングは適切か。これこそ記憶力の本体と考えてもいい。となると、親御さんが気になるのは「記憶の仕方」でしょう。まず、それ以前のスタート地点として、「見れば覚えると思っている」という誤解を排除してあげることからはじめてほしい。人間は、ただ見ただけでものごとを覚えられるようにはできていません。記憶の仕組みをごく簡単に説明しましょう。記憶には大きくわけて2種類の記憶があります。一時的に必要な情報が保持される「短期記憶」。そして、この短期記憶のうち、強い刺激を伴ったり、重要だとされたりした情報が長時間にわたって保持される「長期記憶」となる。勉強における記憶とは、長期記憶でなければ意味がありません。では、そうするためにはどうすればいいか。記憶は繰り返して情報を使わないと脳に定着しません。繰り返しチェックテスト、つまり、復習をする必要があるということです。ただ年がら年中するわけにはいきませんから、どういうタイミングでチェックテストをするのがいいのかということを知る必要もあります。ひとつは記憶の作業をおこなった直後、そして12時間後、1日後、1週間後、1カ月後というふうにチェックテストをする。そうするなかで、どのくらい記憶の作業をしてどういうタイミングで復習すれば覚えることができるのかを知る。これは、親御さんというより子ども自身が知っていくべきことです。「記憶の仕方を身につける」とは、「自己モニターができるようになる」ということでもあります。「僕はこれくらい勉強しないと覚えられない」「こういうタイミングで復習をしないと覚えられないんだ」と子ども自身が知ること。それが、「記憶の仕方を身につける」ための大きなステップとなります。また、チェックテストには大きな意味がもうひとつあります。それは「アウトプットする」ということ。脳には出力依存性というものがあるので、「インプットしよう、記憶しよう」とするだけでは情報はなかなか入っていきません。逆に、「情報を使おう」「表現しよう」とすれば入っていきやすくなる。記憶するために「情報を使う」ことは、「アウトプットする」ことですよね。これが重要になるのです。もちろん、アウトプットの方法はチェックテストだけに限りませんよ。たとえば、覚えたことを友だちに説明する。これもまた、立派なアウトプットです。そもそもの話をすれば、インプットとアウトプットを独立させて考えないほうがいいでしょうね。それらは記憶のネットワークにおいてはセットのものだからです。インプットだけなんて現象は起きませんし、情報をアウトプットしてみないと記憶のネットワーク化はできません。アウトプットできないものは、極論すれば、記憶のネットワークとしては「ない」に等しいのです。記憶すべきことではなく、記憶の「手順」を教える「子どもの記憶力を伸ばしたい」と考えている親御さんに、もう少しアドバイスをしておきましょう。どういうときに記憶の定着が起きやすいかということについて、いくつか研究によってわかっていることがあります。ひとつは「強い刺激」を伴うとき。「感情を絡める」と言い換えてもいいかもしれません。みなさんも、強く感動したことや怒りを感じた出来事ははっきりと覚えているはずです。脳は、強い感情と結びついて記憶されたことは記憶し続けるようにできているのです。つまり、勉強のための暗記という単純な作業にもどこかで感情を絡めてあげると、記憶に定着しやすくなるということ。たとえば、暗記作業中に感じたことをノートに記すということでもいいかもしれません。「感情」に着目して、いろいろと工夫してみてください。それから、「複合する」ということも記憶の定着を促すために重要なキーワード。ある事柄を単体で覚えようとするのは、じつは脳にとってはすごく記憶しづらいものなのです。そうではなくて、覚えようとする事柄にいくつもの別の事柄を絡めてあげると覚えやすくなる。たとえば、鎌倉幕府ができた1185年という年を覚えるにも、それ単体で覚えようするのではなく、同時期にどこでどんなことが起きていたというようなことを絡めて覚える。そうすれば、記憶効率が格段に上がります。これは、単体での記憶が稠密(ちゅうみつ)化してつながりを持ちはじめると、新しく加わったことも覚えやすくなるという脳の仕組みによるものです。そういう意味では、子どもがなかなか暗記できないからといって、親御さんも子ども自身もがっかりする必要はありません。なぜなら、子どもが暗記作業をはじめたばかりのときは、脳のなかにはまだ記憶がまばらにあるだけなのです。それが徐々に増えてつながりを持ちはじめると、量質転化的とでもいいますか、暗記の質が一気に上がる。粘り強く頑張れば、いずれ結果が出ることを知っておくべきだと思います。最後に「寝る前の復習」についてもお話しておきましょう。睡眠の直前に復習すると記憶に定着しやすいということを耳にしたことがある人も多いはずです。ただ、幼い子どもの場合、明るい光の下で机に向かって復習するような必要はありません。というのも、寝る直前に興奮して睡眠の質が下がると記憶の定着が阻害されるからです。子どもなら、布団に入って、その日に勉強した内容を少しだけ思い出しながらそのまま寝る習慣をつけてみる。その程度でいいと思います。『男の子がさいごまでできる めいろ』『女の子がさいごまでできる めいろ』篠原菊紀 監修/KADOKAWA(2018)■ 脳科学者・篠原菊紀先生 インタビュー一覧第1回:記憶力の要は「記憶の仕方」にあり。親が知っておくべき「記憶の脳科学」第2回:子どもの「やる気」と「集中力」を引き出す脳科学的テクニック(※近日公開)第3回:子どもの気質をテストで診断。脳のタイプ別「“勉強好き”に育てる方法」(※近日公開)第4回:「間違った褒め方」していませんか?子どものやる気を維持させる「褒め方」メソッド(※近日公開)【プロフィール】篠原菊紀(しのはら・きくのり)1960年生まれ、長野県出身。東京大学教育学部卒業、同大学院教育学研究科修了。東京理科大学諏訪短期大学講師、助教授を経て、現在は諏訪東京理科大学工学部情報応用工学科教授、地域連携研究開発機構・医療介護・健康工学部門長、学生相談室長。「茅野市縄文ふるさと大使」という肩書も持つ。応用健康科学、脳科学を専門とし、「遊んでいるとき」「運動しているとき」「学習しているとき」など日常的な場面での脳活動の研究をしている。教育関連の他、アミューズメント、自動車産業などとの共同研究も多数。子どものための「脳トレ」に関する著書も数多い。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2018年12月16日数年前から「毒親」という言葉を目にする機会が多くなりましたよね。「毒親」とは文字通り、子どもにとって毒になる親のこと。いわゆる、虐待する親などを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、子ども対して精神的にプレッシャーをかけたり、暴言を吐いたり、気分で振り回したりするのも「毒親」のようです。■あなたの家は大丈夫?家族の問題は、他の家と比べるのが難しいので、傍から見れば「毒親」でも、当の子どもは「これが普通」と思い、気づかないまま大人になるケースも多いもの。また、大人になってからも「毒親」に支配され続けるパターンもあり、そういう女性は恋愛や結婚をするうえで支障が出るという話も……。そんな「毒親」にまつわる本をご紹介しますね。あなたの両親は、毒親ではないでしょうか?■毒親の娘は自己肯定感が低くなる?『母がしんどい』(KADOKAWA)まず「毒親」の本と言えば、漫画家の田房永子さん。「毒親」関連の著書が多く、自身が親になってからも、子どもに対する自分の行動に苦しみます。そんな田房さんの代表作は『母がしんどい』(KADOKAWA)です。かわいい絵柄のコミックエッセイで読みやすいのですが、内容は壮絶。幼少期から社会になるまでの、母親の数々のエピソードが書かれています。個人的に強烈だったのは「ブラジャーを買ってくれない」(要は娘が年頃になることを認めない)というお話。「アルバイトや学校行事を邪魔され、参加できない」「娘の友達と仲良くなろうとする」などもびっくり。でも田房さんは、母親を嫌うなんて自分がいけないんだ、と罪悪感を持ってしまい親から離れられないのです。「バカ」「ブタ」といった暴言を吐かれても自分を責め、自己肯定感が低くなった彼女……。自己肯定感が低い人は「自分には人から愛される価値などない」と思い込む傾向があって、相手の好意を信じられなかったり、素直に愛情表現できなかったりしがち。だから恋愛下手な人が多いと言われています。また、親から認められる異性と結婚しなければ、という強烈なプレッシャーにさらされるようです。自分の親ももしかして?と思っている人にとってこの本は、何らかの気づきを与えてくれるかもしれません。■母娘は女同士だからこそ難しい『「毒親」の正体精神科医の診察室から』(新潮新書)2冊目は、精神科医・水島広子さんの著書『「毒親」の正体精神科医の診察室から』(新潮新書)。全8章で構成され、毒親の実態を論理的に説いている本です。症例も豊富で、「毒親」の被害にあっている当事者のケアだけでなく、親サイドの原因も分析。そして「毒親」に育てられた子どもの心のケア方法、問題の手放し方などにも言及しています。第6章の「こじれる母娘問題の『女』について」では、母と娘がまさに「女VS.女」の構図になっていることを解説。ここを読んで、娘の結婚には、少なからず母親が影響を与えていることがわかりました。「毒親」の存在に心を痛めている人は必読。「毒親」とは何かを学ぶのにもおすすめです。■恋愛下手な理由がわかるかも両親が「毒親」とまではいかないまでも、自分の恋愛観や結婚観に親が影響を及ぼしている、と感じる人はぜひ一読を!あなたの恋愛や婚活がスムーズに進まない理由が見つかるかもしれません。
2018年12月11日こんにちは。ライターの和です。何年も前から話題になっている「女子力」というワード。筆者も「女子力」という言葉をテレビや会話で聞くたびに、「本当の女子力とは・・・?」と疑問に思っていました。今回はそんな誰しも一度は聞いたことがある、「女子力」について考えたいと思います。女子力を上げる方法が知りたい人も、そもそも「女子力」の実態が分からないと行動できませんから、じっくり読んでみてくださいね。■「女子力」は「見た目を磨くこと」だけじゃない「女子力」というと最初に思いつくのが、メイクやファッション、ダイエットなどの外見に力を注いで「かわいくなること」だと思います。もちろんこれも確かに女子力のひとつです。かわいくなると外に出たくなるし、実際に「モテる」というイメージはあります。でも見た目だけ努力することを「女子力」と呼ぶのかというと、それはちょっと違いますよね。■小手先の「女子力アピール」は、割とすぐバレる見た目がかわいくて良い香りがしたら、男性も「この子イイじゃん!」と飛びつきます。食事の席でおしぼりやお皿を配るのも、同じように「優しい!」と良い印象を与えますよね。でもそれも最初のうちだけなんです。話しているうちに「あれ?この子、性格悪いな」「自分じゃ何もできないじゃん」なんて思われてしまうと、彼らもすぐに離れて行ってしまう。しかもみんなが付き合いたいと思うような男性ほど「この子はハリボテだな」とすぐに察知するのです。なぜならモテる男性ほど、たくさんの女性を見てきているから。素敵な男性ほど、中身がしっかりしている。彼らは男女問わず、上辺だけの人には騙されないんですよね。つまりいくら外見を磨いたり、行動を見せつけたりしても、それは一時的なモテにしかなりません。でも私たちが望んでいるのって、一瞬だけ誰かにチヤホヤされることじゃないですよね?ひとりの男性に、長い間愛されたいと願っているんですよね?■女子力って結局のところ「人間力」なんです女子力の根本について考えてみると、結局のところ「人間力」にたどり着くのではないかと思います。つまり普通のことを普通にする。朝起きてご飯を食べて仕事へ行って、色んなことで悩んで、たまに楽しいことがあって。そういうごくごく日常的なことをすることに意味があると思います。逆にどんなにかわいくても、親のスネをかじって遊びまくっている人は、女子力が高いとは言わないと思うんです。話は戻りますがこういう普通のことをしていると、時には辛いことにも出くわします。そういう問題をひとつひとつ乗り越えたり、逆に「自分にできない」と判断する力を身に着けたりしていく。このように経験値が上がっていくと「これは違う」と思ったときに引き返せるようになるのです。そうすればダメ男と出会ったときも、たとえ好きでも「付き合わない」という判断ができますよね。わざわざ棘の道を進まなくて良いので、自分の心も穏やかになっていきます。そして「男子力」って言葉は聞かないけれど、いま書いたような「日常生活を送りながら学び、自分を成長させること」ができる男性って、やっぱりモテるんですよね。私たちがよく言う「誰か良い人いないかな~」「普通の人で良いんだけど!」に当てはまっている。だからやっぱり女子力だろうが男子力だろうが、結局のところ「人間力」につながっているんだと思うんです。■おわりにあくまで「かわいくなる女子力」がダメなわけではありません。でもたったひとりの人に長く愛される女子になりたいのであれば、こういった内面的な部分の「女子力」も並行して意識すると良いのではないでしょうか。(和/ライター)(ハウコレ編集部)
2018年12月01日トップライター:竹内 ナナ長期休暇明けの初登校の日、事件は起きました。ひさびさの学校なのに、午前中は通常授業、体育はプール、午後はマラソン大会の予選、部活もあるという、盛りだくさんの時間割です。教科書にプールバッグ、体操着、テニスラケット、さらにロッカーに入れる大きな箱まで持っていかなかくてはいけないので、「わたしが学校まで運ぼうか?」という話を前の晩からしていたのですが……。ハルキの言動にイライラが爆発!当日朝になっても、「持っていけるかな、どうしようかな」と決められずにいるようです。わたしも仕事で8時30分には家を出るので、学校に行くなら猛スピードで準備しないといけないのに……。(早く決めてよ!)と心のなかで思っていたところに、今度は学校のマラソン大会のへ不安をつぶやき始めたハルキ。「最近走ってないから無理かな」「手抜きでいいか」ときどき父親とランニングをしているのですが、部活が始まってからは時間がとれず、ほとんどできずにいました。ハルキは自分が不利になると、ネガティブなことを口にする傾向があり、わたしは以前からそれが気になっていました。「なんでも、うまくいくことばかりじゃないの」「いい結果が出せそうになくても、そのときの出せる力でやってみるとか、ときにはやり過ごすことだって必要なんだよ」「自分が不利になると言い訳するのはカッコ悪い」「そういう考え方が大嫌いだ~~~~~」(×2回リピート)わたしが荷物を運んだほうがいいかの返事を聞きたかったところに、そんな言い訳がましい話をされたので、イライラが爆発してしまったのです。その直後は「ひどい……」とだけ言って身支度を続けたハルキ。数分後、わたしのところに歩み寄ってきて「こんなに心臓がドキドキするのはどうしてだろう」と力なくつぶやきます。ハルキの胸に手を当ててみると、ドクンドクンと大きな鼓動を感じます。「ほんとだ……」とわたし。そして、大きな荷物を前とうしろに抱え、ふて腐れた顔で登校してしていきました。先生が大きな声で叱らない理由動悸がしたまま、泳いで、マラソンをして、部活をやったらどうなってしまうんだろう。急に不安になり、学校へ電話。担任の先生が不在だったので、同じ学年の先生に朝のできごとを正直に話し「具合が悪そうだったら、運動はさせないでほしい」と伝えました。仕事に向かう途中、担任の先生が携帯に電話をくれ、「電話をもらう前に、ちょうどハルキ君と話していたのですが、いつも通り元気でしたよ。自律神経のバランスがちょっと崩れたんでしょうね。お母さんから電話があったことを伝えて、『具合が悪かったら先生に言うんだよ』と伝えましたから」と言ってくれました。先生のこの言葉にどれだけほっとしたことか。わたしの言葉は、ハルキが動悸を起こしてしまうくらいひどいものだったのか。「大嫌いだ~~~~~」がハルキの中でリフレインしたんだろうな……。ハルキがじゃなくて、考え方がだよ、と心のなかでつぶやいてみる。いつも注意をするときは、叱るというより、感情的になってしまうわたし。これから思春期に入り、親の言うことも聞き入れにくくなるだろうし、わたしがこんなことではいけないと、さすがに反省しました。口ではうまく伝えられない気がして、ハルキに手紙を書きました。感情的に叱ってしまうことを謝り、これからはもっと言葉を選ぶことを約束しました。部活を終え、帰宅したハルキ。心配をよそに、いつも通り元気なようすでした。わたしの手紙を読み終えると、「うん」と一言。「先生、なんて言ってた?」「ん?『ケンカしたの?』って」ハルキは、担任の先生をとても信頼しています。先生のクラスになり、はじめて叱られたとき、先生は叱るときに大きな声は出さない長い時間は叱らない人と比べないと言っていたそうです。大きな声で叱ると、子どもは、怒鳴られるからやってはいけないと思ってしまうからだそうです。その通りです。育児書にもそう書いてあります。でも、いざとなると感情的になってしまうんです、母は……。担任の先生は、わたしと同世代だと思います。先生にとって、たとえそれが仕事だとしても、実践できているということはやっぱり立派です。「先生を見習おう。次に大きな声で叱りそうになったら、とりあえずトイレにかけこんで、深呼吸してみよう!」と、心に誓ったのでした。ナナ竹内(たけうちなな)夫と息子との3人暮らし。神奈川県在住。出版社勤務を経て、フリーランスのライターに。息子がテニスを始めたのを機に、自分もスクールに通って、基礎をきちんと学びたいと思う今日このごろ。青空の下、家族でテニスを楽しみたい。
2018年11月14日ウーマンエキサイトで連載中のちゅいママさんの記事 「小4長男が考えた、悪口を言われても傷つかない方法」 で、“スルースキル”に関するアンケートを実施しました。ちゅいママさんによれば、“スルースキル”とは、人間関係のトラブルが起きた際、「相手は変えられないものだ」と受け流して、自分の心を乱さないようにする力のこと。ちゅいママさんの長男くんは、友だちから心ない言葉を言われ嫌な思いをした経験から、こうして受け流すスキルを身に着けていったそうです。そんな息子を母親は「たくましくなった」と思う一方で、父親であるご主人は「なんでもスルーすればいいってもんじゃない。反骨精神も必要なのでは?」と疑問を投げ掛けます。子どもにとって“スルースキル”は必要なのでしょうか? “スルースキル”について、ママ、パパの考えを探ります。■98%がスルースキルを“必要”と回答アンケートで「子どもにスルースキルは必要だと思いますか?」という質問を投げかけたところ、圧倒的に「必要」との声が集まりました。Q.子どもにスルースキルは必要だと思いますか?ある程度必要だと思う 71%とても必要だと思う 27%あまり必要ではないと思う 1%全く必要ではないと思う 0.5%その他 0.5%「ある程度必要だと思う」71%、「とても必要だと思う」27%を合わせると、「必要」と思う人が98%にもののぼりました。仕事の人間関係など、大人が使うイメージのスルースキル。なぜいま、子どもにも必要と思われているのでしょうか。■スルーする“強さ”があれば、いじめは減る?今回のアンケート結果を最初に見たとき、じつは筆者は少し違和感を覚えました。というのも、「スルースキルは必要」と答えた人が圧倒的に多いにも関わらず、コメントでは「●●の場合はアリ」などのように、“条件付き”の支持コメントが多く、手放しで「スルースキルに賛成」という人が極端に少なかったからです。この結果が示しているものは何なのでしょうか。まずは、ママたちがスルースキルにどんなプラス面があると考えているのか、見ていきましょう。スルー力、とてもいいと思います! 身につけておくといじめの数も減りそうな気がします。嫌なこと言う人と無理に仲良くなる必要もないし、ケンカする必要もないと思います!反骨精神なんて、誰もが持てるわけではない。持ちたくても持てない人もたくさんいる。クヨクヨするくらいなら、スルーできる方が良い。スルーできるのも強さの一つだと思う。ネット社会があたり前のいまを生きていく子どもたちには、必要な力だと思います。目に見えない相手に対してすべて真っ向から立ち向かうなんて無理だし、大人になればなるほどスルースキルって必要に感じます…。でないと身が持たない。笑相手に嫌なことを言われて反発できる子もいれば、できない子もいる。そんな子が、自己防衛のひとつとして“スルースキル”を持っていれば、最悪の事態を防ぐことができると考える人が多いようです。現に、かつての自分を思い出し、「子どもの頃、このスルースキルがあれば傷つかずに済んだかも…」というママの切ないコメントも。私自身はスルーできず、気にしすぎて落ち込む方です。でも、気にせず堂々としていれば、いじめにも合わずにすんだ気がします。傷ついて泣いたりすると、またからかわれ、もっとひどくなります。息子には、自分と同じようにならないで欲しい。そうならないためにも、しっかり心の居場所になってあげたいと思います。■スルースキルで起こる弊害もある一方で、子どもがスルースキルを使うことに対して、難色を示す意見がありました。そのなかには、「スルースキルは必要」と答えた方もいます。現代の社会において、「スルーすること」はたしかに大切だと思います。さまざまな価値観、考え方があるなか、相手のことを尊重できない人たちからの攻撃は、スルーが一番のような気がします。しかし、こちらが嫌な思いをしていることが相手には一向にわかってもらえないといった、「スルーすることでつきまとう弊害」があることも事実だと思います。しつこく絡んでくる人(子どもも)が、いますから。子どものうちは、「嫌なことは嫌!」と言える術を身につけるべきではないかと思います。相手もまだ子ども。悪気がなく友だちを傷つけます。スルーしてしまうと、「自分の言動が他者を傷つけた」ということを気がつかないままとなるのでは。そしてスルーし続けた子どもは、我慢ばかりの人生になりそうです。ときには自己主張を!スルーばかりしていると人の意見を取り入れない人間になってしまうのではないか、「悔しい!」と思う気持ちがなくなってしまうのではないか、そんな懸念も寄せられました。またスルーされた人は、自分の行動を見直すチャンスがなくなってしまうことも。こういった心配ごとが、スルースキルを“完全に支持”できない理由になっているようです。■「スルーする、しない」を判断する力も必要では、スルースキルはどんなときに使い、どんなときに使わないほうがいいのか。そんな“条件付き”でスルースキルを必要と答えたコメントをご紹介します。●相手によって決める自分に関係のないその他大勢の意見はスルーしてもいいと思うけど、身近で大切な人の意見はちゃんと向き合っていかないといけないと思う。そこをはき違えている人も多い気がする。大切な人とはぶつかり合ってもスルーしてはいけないと思う。●自分で変えられること、変えられないことで判断する「自分では変えようとしても変えられないこと(生まれた環境とか肉体的なこととか)」はスルーできる力がある方がいいと思います。「努力して変えられること」はスルーでなく、自分の力に変えられるといいな。それを決めるのも本人がきちんと考えられるといいな、と思います。●指摘された内容、事柄で判断する何でもスルーすればいいとは思いません。自分のなかで「スルーすべきか、聞き入れるべきかを判断する力」をつける必要があると思います。実際、一緒に働いていた方ですべてスルーする癖がついていて、仕事場でも人の意見が聞けないという人がいました。ある程度スルーするスキルは必要ですが、そこをうまく選別できる能力が必要だと思います。■「心が折れない子」を育てるためにスルースキルも必要?深い心のダメージを受けるくらいならスルースキルで回避してほしい。でも、なんでもスルーしたら子どもの成長にならない。そんな相反する複雑な思いを抱く人が多かったからこそ、冒頭の「子どもにスルースキルは必要だと思いますか?」で、71%もの人が「ある程度必要だと思う」と答えたのではないでしょうか。しかし、コメントのなかにはこんな体験談もありました。私は、子どもの頃はいろいろ思っても、我慢したり気にしたりしないようにする力を覚えました。しかし、家族ができて子どもが生まれて、変わりました。自分のことはスルーできても、大事な家族を泣かせる人が現れたとき、スルーできませんでした。「守ろうとする力」が生まれました。きっと、私のベースには愛情を受けて育ってきたというものがあったからだと思います。だからいまは、家族の愛情をたくさん知ることの方が大事だと思います。困難にぶつかること、失敗することは、これから生きていくうえで避けて通ることはできません。そんなとき前に進めなくならないように、「心が折れない子」を育てていきたいと親は望むでしょう。「スルースキル」は、生き抜くためのひとつの力となるかもしれません。でもそのスルースキルを使うべきか、立ち向かうべきかは、子どもが日々の生活のなかで学び、培っていくのではないかと思います。その過程では、つらい思いをしたり、失敗することもあるでしょう。そんなとき、ちゅいママさんが言う「自分の居場所」や「自分を絶対的に愛してくれる人がいる」という安心感が子どもにあれば、悪い方向にはいかないと信じたいです。Q.子どもにスルースキルは必要だと思いますか?回答数:1,273Q.スルースキルについて、エピソードやご意見があれば教えてください。回答数:164アンケート集計期間:2018/10/11~10/22
2018年10月26日専門家・プロ:親野智可等比較によって不幸になった子ども5年生の花江さんは日曜日に新しい洋服を買ってもらいました。それは、両肩にフリルの付いたかわいいTシャツです。とっても気に入ったのでさっそく月曜日にそれを着て学校に行きました。お気に入りのTシャツを着て過ごす一日はとても楽しい一日でした。次の日は別の服を着ていきましたが、また水曜日にそのTシャツを着て行きました。そして、また一日おいて金曜日にも着て行きました。土曜日と日曜日には別の服を着て過ごしましたが、また月曜日にそのTシャツを着て行きました。ところが、ここでちょっとした事件が起こりました。なんと、クラスメートの亜紀さんがフリルの付いたTシャツを着てきたのです。しかも、花江さんのフリルよりも大きくてカラフルで、より一層かわいらしいものです。それを見た花江さんは、急に気持ちが沈んでしまいました。なんだか、自分のTシャツがみすぼらしいものに見えてきたのです。比較によって生じた嫉妬心が、花江さんを不幸にしてしまったのです。比較によって不幸になった大人四十才になったばかりの能美健一さんは、とうとう念願叶ってマイホームを手に入れました。住宅会社と何度も打ち合わせをして、妻や子どもとも相談をしながら、十分満足のいく一戸建てを建てることができたのです。妻や子どもも喜んでくれましたし、何よりも自分がうれしくてたまりませんでした。会社の仕事が終わると、どこにも寄り道しないでわが家に帰ってくるようになりました。いまや、わが家のリビングやベランダで大好きなコーヒーを飲むのが、至福の時間になったのです。ところが、3ヶ月後にちょっとした事件が起こりました。なんと隣の敷地に新しい家が建ったのです。しかも、能美さんの家より一回り大きくて、デザインもおしゃれです。能美さんは一気に気持ちが沈んでしまいました。なんだか、自分の家がみすぼらしいものに見えてきたのです。比較によって生じた嫉妬心が、能美さんを不幸にしてしまったのです。比較によって生じた嫉妬心が人を不幸にするこの2人に起きたようなことは、誰の人生においても起こります。しかも、頻繁に。というのも、人間はみんな比べる病という宿痾(しゅくあ)にかかっているからです。そして、これは親という立場の人もよくかかる病気です。親はよくわが子を他の子と比べます。兄弟で比べることもありますし、自分が子どものころと比べることもあります。比べると常に隣の芝生は青く見えます。つまり、わが子がみすぼらしく見えてしまうのです。そのストレスに耐えられなくなって、親は子どもを叱ってしまいます。比較によって生じた嫉妬心が、親も子も不幸にしてしまうのです。成長したと思っていたのに…松本さんは、小学6年生の長女・花音さんがこの頃手伝いをよくするようになったので喜んでいました。以前は親に言われて渋々だったのですが、この頃は自分で洗濯物を取り込んでくれます。また、食後の食器洗いもよくやってくれるようになりました。こういったことで喜んでいたのですが、ある日ママ友との会話で、その家の小学5年生の美春さんがもっと多くのお手伝いをしていることを知りました。洗濯物もただ取り込むだけでなく、ちゃんとたたんでくれるそうです。それで、松本さんは、急に花音さんの働きぶりが物足りなく感じられるようになってしまいました。そして、次の日、花音さんに「洗濯物を取り込むだけでなく、たたんでくれてもいいのに」と嫌みを言ってしまいました。比較によって生じた嫉妬心が、親も子も不幸にしてしまったのです。比べ始めるとわが子の短所や不十分なところばかりが気になる近所にも親戚にもいろいろな子どもたちがいます。クラスにも塾にも習い事教室にも、実にいろいろな子どもたちがいます。ある子はわが子より勉強ができます。また別の子はわが子より運動ができます。また別の子はわが子よりよくお手伝いをします。さらに、また別の子はわが子より身体が大きい…。本当に、子どもを比べ始めるとろくなことはありません。わが子の短所や不十分なところばかりが気になるようになってしまいます。わが子は○○君より勉強ができない。○○さんより走るのが遅い。○○君よりお手伝いが少ない。○○さんより身体が小さい。その結果、比較によって生じた嫉妬心が、親も子も不幸にしてしまうのです。子どものよい部分に目を向けようこんなことを続けていては、決して幸せになることはできません。もう比べる病から抜け出して、比較によって生じた嫉妬心に飲み込まれないにしましょう。比較こそが不幸の源なのです。そのための方法を2つ紹介します。1つめとして、これからは、比べ始めたらすぐそれに気づくようにしましょう。そして、「あ、自分は今比べてる。やめよう。子どものよい部分に目を向けよう」と言い聞かせましょう。そうです、比べる病から抜け出すには、その子のよい部分に目を向けることが大切なのです。例えば、わが子は隣の子のようにテキパキ行動できないけど、ママの重い荷物を持ってくれる優しさがあるかもしれません。また、わが子は消極的で挨拶もできないけど、絵を描くことが好きで得意かもしれません。長男は妹よりマイペースでだらしがないけど、ユニークな創造力があるかもしれません。比べるなら、以前のその子自身と比べるもう一つの方法です。他の子と比べていることに気づいたら、すぐそれをやめて、以前のその子自身と比べるといいでしょう。先ほどの、松本さんの長女・花音さんにしても、美春さんよりはお手伝いが少ないかもしれませんが、以前の花音さんに比べたら成長しているわけです。それは当たり前のことではなく、実はとてもありがたいことなのです。そのありがたみをかみしめるようにしましょう。この2つの方法で、比較によって生じる嫉妬心に飲み込まれないようにしましょう。親野智可等(おやのちから)教育評論家。1958年生まれ。本名杉山 桂一。公立小学校で23年間教師を務めた。教師としての経験と知識を少しでも子育てに役立ててもらいたいと、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。具体的ですぐできるアイデアが多いとたちまち評判を呼び、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛される。また、子育て中の親たちの圧倒的な支持を得てメルマガ大賞の教育・研究部門で5年連続第1位に輝いた。読者数も4万5千人を越え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。『「親力」で決まる!』(宝島社)、『「叱らない」しつけ』(PHP研究所)などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。長年の教師経験に基づく話が、全国の小学校や幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会で大人気となっている。著書多数。Webサイト
2018年10月22日専門家・プロ:中曽根陽子4つの子育てスタイルと子どもの傾向たとえば、子どもが駄々をこねて言うことを聞かなかったとき、みなさんはどうしますか?子どものしたいようにさせる。怒りを爆発させて、どなる?子どもが自分の気持ちを表現できるように励ます?ほうっておく?世界中で長年行なわれてきた数々の研究の結果、親の子育てスタイルと子どもの社会行動には相関関係があることがわかっています。そして、アメリカの発達心理学者ダイアナ・バウムリンドが中心となって、親の子育てスタイルを4つに分類し、それぞれの特徴と子どもの傾向を分析しました。1 消極・受け身型 温かいが厳しくない。子ぼんのうで親子の会話が多いが、制限を与えず甘やかす。子どもは、自己評価は高いが衝動的。学校でトラブルに巻き込まれやすい。 2 独裁・支配型 厳しくて、温かみがない。厳格なルールを持ち、説明なしに命令に従わせようとする。子どもは、行儀はよいが、自制心が育ちにくい。 3 民主型 厳しくて温かい。ルールを作るときは子どもと話し合い、罰するのではなく教えることでしつけをする。子どもは、自立心が強く、不安が少なく、落ち込みにくい。 4 無関心型 厳しくも温かくもない。子どもに最低限の物を与えるが、それ以外は無関心。子どもは非行に走りやすい。4つの子育てスタイルのなかで、「民主型」が、最も子どもが健やかに育つ子育てスタイルとされています。あくまでも研究者の分類ですから、実際の子育てにそのままぴったりと当てはまらないと思いますが、自分はどんな子育てをするかを考えるうえで参考になると思います。民主型子育てスタイルは、自己コントロール力を育てるでは、民主型の子育てをするには、具体的にどんな対応をすればいいのでしょうか。たとえば公園で遊んでいて、そろそろ帰らないといけない時間なのに、子どもは「まだ遊びたい!」と言うことを聞かない。そんな状況のとき、あなたならどうしますか?子どもの遊びたい気持ちを尊重して、帰宅時間が遅くなっても付き合いますか?それとも、ここは生活のルールを優先して遊びを打ち切って、無理やりにでも家に帰りますか?あるいは、子どもに状況を説明して妥協点を探る?子どもの気質や年齢、状況によっても対応は変わるでしょうが、民主型子育てスタイルなら、「まだ遊んでいたいのね。でも明日は学校だからそろそろ帰らないといけない」と子どもの気持ちに共感してから説明をする。もし子どもが納得しなかったら、「あと5分で帰るよ」とか、「あと1回すべり台をすべったら、帰ろう」とルールを決める。こんな対応になるでしょうか。それでも言うことを聞かずに遊んでいたら、子どもの年齢にもよりますが、抱っこしてその場を離れるかもしれません。「子どもの気持ちに共感したうえで、子どもにルールを提案する。ルールを守れないときには、きぜんとした態度で接する」といった対応です。罰を与えるのではなく、教えることでしつけをするのです。こういう働きかけをくり返されることで、子どもは安心し、自分をコントロールする力が育ちます。子育てスタイルの目標にしようもちろん、子どもの気質と親の気質、そして相性によっても子育てスタイルは変わります。また、そのときの親自身の心理状態や環境の影響なども受けます。だれだって、忙しくて余裕がないとか、疲れて体調が悪いときに、イライラして子どもにきつくあたってしまった……なんてことはありますよね。ですから、常に民主型の対応をするというのは難しいかもしれません。それでも、長年の研究で「民主的な親に育てられた子どもは、ストレスに強く、社会にも適応して、健全に育つ傾向が強い」ということがわかっているのですから、一つの目標として、民主型子育てスタイルをめざしてみてはどうでしょうか?参考:ダイアナ・リムバウンドの研究論文(英文)『最高の子育てベスト55』トレーシー・カチロー著(ダイヤモンド社)民主型子育てスタイルで健全な子どもが育つ中曽根陽子教育ジャーナリスト教育雑誌から経済誌、紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。子育て中のママたちの絶大な人気を誇るロングセラー『あそび場シリーズ』の仕掛人でもある。 “お母さんと子ども達の笑顔のために”をコンセプトに数多くの本をプロデュース。近著に『1歩先行く中学受験成功したいなら「失敗力」を育てなさい』『後悔しない中学受験』(共に晶文社)『子どもがバケる学校を探せ』(ダイヤモンド社)などがある。教育現場への豊富な取材や海外の教育視察を元に、講演活動やワークショップもおこなっており、母親自身が新しい時代をデザ インする力を育てる学びの場「Mother Quest 」も主宰している。公式サイト
2018年10月01日専門家・プロ:親野智可等人間の寿命が伸びるこれから世の中が大きく変化すると言われています。よく挙げられるのは次のようなことです。人工知能(AI)の実用化によって、生活も仕事も変わる。さらなるグローバル化が進む。日本は少子化による人口減少に直面する。もちろん、これらのことは大きな変化です。でも、もう1つ大事なことがあるのですが、あまり注目されていません。それは、人間の寿命が伸びるということです。働く期間も長くなる2015年1月4日放送のNHKスペシャル「ネクストワールド私たちの未来 第2回寿命はどこまで延びるのか」によると、30年後には平均寿命が100歳になるそうです。再生医療、ナノマシン、手術ロボット、薬の発達など、いろいろな理由によってそうなるとのことです。平均寿命が100歳ということは、長生きする人は120歳くらいまで生きられるということになるのかと思います。ということは、人間が働く期間も長くなる可能性があります。もしかしたら、80歳くらいまでは、普通に働くようになるのかもしれません。大学までいくとしたら22歳くらいで就職ですが、その後80歳まで働くわけです。約60年間という長さです。若いころ身につけた知識で完走できる?この間ずっと同じ仕事をするのでしょうか?私は、そういうケースは少なくなると思います。今までは、特に日本では、会社に就職して60歳の定年までほぼ同じ仕事というケースが多かったと思います。若いころ身につけた知識や、その後積み重ねた経験によって、定年まで完走することができたのです。でも、これからは違ってくると思います。理由の第一は、60年間同じ仕事というのでは飽きてしまう可能性があるからです。よほど好きな仕事で自分にも向いているものなら続けられるでしょうが、そうでない場合は難しいのではないでしょうか?常に新しいことを学び続ける力が必要になる次に、人工知能の能力もどんどん性能アップしていくはずですから、それに置き換えられる仕事はどんどんなくなります。逆に、新たに必要になる仕事もあることでしょう。会社にしても、変化についていけない会社はどんどん潰れるでしょうし、逆に新しい会社もどんどんできるでしょう。つまり、会社も仕事内容も変わり続け、必要なスキルも変わり続けるのです。変化することが常態になるのです。そういう時代においては、若いころ身につけた知識を後生大事に守り続け、その後積み重ねた経験を上乗せすることで定年まで完走するということは不可能になります。常に新しいことを学び続ける力が必要になります。子どもがやりたがることを応援して、たっぷりやらせてあげようそれは、プライベートにおいても同じでしょう。社会の常識や価値観も変わり続けますし、年金や保険や金融の仕組みも変わり続けます。住宅の設備も家電の使い方も変わり続けますし、健康や医療の情報も更新され続けます。買い物の仕方も音楽や映画の配信方法も変わり続けます。ですから、仕事だけでなくプライベートにおいても、学び続ける力が重要になるのです。つまり、主体的な学びができるということであり、言い換えるとアクティブラーニングです。このような時代に備えるために、新しい学習指導要領でも「主体的な学び」の大切さを強調しているのです。では、主体的に学び続ける力はどのようにすれば身につくのでしょうか?これは大人になって急に身につくものではありません。大事なのは、子どものときから主体的な学びを経験させることです。そして、それは子ども本人がやりたがることを応援して、たっぷりやらせてあげることによってのみ身につきます。親が「そんなことはやめて、これをやりなさい」と押しつけていては身につきません。自分がやりたいことを自分で見つけて自分でどんどんやっていく力、つまり自己実現力を伸ばしてあげれば、当然のことながら主体的に学ぶ力もつくのです。本連載の下記の記事も参考にしてくださいあなたは、子どもたちにどんな人生を生きて欲しいですか?わが子の将来は、言われたことだけやる人になる?主体的に動ける人になる?仕事でもプライベートでも、主体的に生きられる人にするには?親野智可等(おやのちから)教育評論家。1958年生まれ。本名杉山 桂一。公立小学校で23年間教師を務めた。教師としての経験と知識を少しでも子育てに役立ててもらいたいと、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。具体的ですぐできるアイデアが多いとたちまち評判を呼び、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛される。また、子育て中の親たちの圧倒的な支持を得てメルマガ大賞の教育・研究部門で5年連続第1位に輝いた。読者数も4万5千人を越え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。『「親力」で決まる!』(宝島社)、『「叱らない」しつけ』(PHP研究所)などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。長年の教師経験に基づく話が、全国の小学校や幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会で大人気となっている。著書多数。Webサイト
2018年09月26日専門家・プロ:渡邉純子(コドモット)悪影響を感じる保護者、東京都で5割超前回に引き続き、東京都の「家庭等における青少年の携帯電話・スマートフォン等の利用等に関する調査」(平成29年度)※1から、気になるデータを読み解いていきます。この調査では、子どもが携帯・スマホを持ったことによる悪影響やトラブルについて、保護者に聞いています。「お子さんに携帯電話・スマートフォンを持たせたことにより、どのような悪影響がありましたか。(いくつでも)」という設問に対して、「悪影響は特にない」という回答は48.8%にとどまり、2人に1人以上の保護者が携帯・スマホの悪影響を感じていることがわかりました。お子さんに携帯電話・スマートフォンを持たせたことにより、どのような悪影響がありましたか。(いくつでも)東京都「家庭等における青少年の携帯電話・スマートフォン等の利用等に関する調査」 (平成29年度)」より何らかの悪影響があったとした回答の合計は51.2%です。悪影響のうち、上位3つは次の回答項目です。睡眠不足になった19.9%視力が落ちた18.7%勉強に集中できなくなったり、記憶力が下がったりした15.3%以下、次の回答が続きます。家族や友達と過ごす時間が減った(手伝いをしない、外で遊ばない等)12.7%猫背になったり、巻き肩になるなど、姿勢が悪くなった12.3%成績が下がった10.7%肩こりや頭痛、めまい等の不調を訴えるようになった4.1%健康に関する悪影響を感じている保護者が多いことがわかります。睡眠不足でイライラ睡眠不足、視力低下、悪い姿勢、体の不調……どの項目をとりあげても、心身の成長期にある子どもたちにとっては大問題です。とくに睡眠不足は心身の成長の大敵。携帯・スマホの時間が生活時間を侵食し、睡眠時間を削って帳尻を合わせるような生活は、子どもの心身の成長に取り返しのつかない影を落としかねません。小学生と中学生では、就寝時刻が遅いほど、イライラすることが「よくある」 「ときどきある」の割合が高いという調査結果もあります。※2子どもが携帯・スマホに夢中で、睡眠時間を削ってまでいじり、イライラしてキレてしまう……「しかたなく」(前回記事参照)持たせたスマホでそんなことになってしまったら大変です。削るべきは睡眠ではなく、携帯・スマホの時間だということを、きちんと子どもに伝えていかなくてはなりませんね。視力と姿勢にも要注意視力低下も、学齢期の子どもをもつ保護者にはおおいに気になるところです。最近では、目から近い距離でスマホを見続けることで目の機能が低下する「スマホ老眼」などという言葉もあるくらいです。近視の度合いによっては、つけない職業も存在します(パイロットや警察官など)。いまのスマホの使いすぎが、将来子どもの可能性をせばめてしまっては悔いが残ります。姿勢についても、携帯・スマホの使いすぎによる姿勢の悪化で、「背筋をのばしてね」という小さいころからの家庭での習慣づけが、だいなしになりかねません。回答に出てきた巻き肩とは、肩が前方に出て内側に丸まった姿勢のこと。スマホを見るとき、前かがみの姿勢でうつむいているとなりやすいとされています。猫背や巻き肩は、肩こりや頭痛、肺活量の減少の原因になるとの指摘もあります。家庭全体で適正な使い方をもちろん、目をリラックスさせるストレッチ、猫背や巻き肩のコリをほぐす体操などもありますが、成長期の子どもには、寝不足解消のためにも、使う時間をコントロールしていくほうが先決でしょう。また、携帯・スマホありきではなく、機器の選択も考えてみてください。画面が狭く手元で見るしかないスマホではなく、画面が大きく距離をとってみる必要があるパソコンモニタのほうが、視力やいい姿勢の維持に良いとされています。また、保護者のみなさんも、一度自分が携帯・スマホを使っている姿勢を確認してみてください。家族のだれかに写真やムービーをとってもらえば一目瞭然です。自分の姿勢の意外な悪さにびっくりするかもしれません。携帯・スマホを適正に使う方法について、家庭で習慣づけていけるようにしたいものです。※1 東京都「家庭等における青少年の携帯電話・スマートフォン等の利用等に関する調査」 (平成29年度)※2 睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査の結果(概要)平成26年文部科学省渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)株式会社コドモット代表取締役社長。NTT在籍時代の2001年、子ども向けポータルサイト「キッズgoo」を立ち上げ、同サイトでデジタルコンテンツグランプリ・エデュテイメント賞受賞。独立後は小学生向けのコンテンツを中心に、企業の子ども向けWebサイトや公共団体の子ども向けツールなどの企画制作を数多く手がける。一男一女の母。
2018年09月25日編集部:学研キッズネット編集部本サイトの連載「子どもが伸びる親力」で、いつも的確な子育てアドバイスをしてくれている親野智可等先生が中心メンバーとなり、子どもの自己肯定感を高める新しい子育て習慣を発信する、「ほめ写プロジェクト」をスタートしました。「ほめ写」とは、いったいどんな子育て習慣なのでしょうか?発表会に参加してわかったその内容をリポートします。子どもの成長を左右する「自己肯定感」親野先生は、長年にわたって小学校の教師を務めた経験から、自己肯定感の有無が子どもの成長を決定づけるということに気づきました。自己肯定感とは、自分の可能性を信じて肯定的に自己を認識すること。自己肯定感のある子は、何事にも積極的にチャレンジし、壁に当たったとしても「自分にはできるはずだ」と思えるので努力が続けられ、その壁を乗り越えられます。「親や学校の先生が優先すべきは、子どもが自己肯定感を持てるようにしてあげること」と親野先生は言います。自己肯定感を高めるには、ほめることが大きく影響します。子どもが努力していたり、何かを達成したりした瞬間に、すかさずほめるようにするのです。しかし、これだけでは条件的なほめかたになってしまい、何か達成しないとほめられないと思ってしまいます。そのため、同時に「いっしょにいるだけで幸せ」とか「生まれてきてくれてありがとう」というように無条件にほめることも大事になってきます。親にこう言われることで子どもは安心し、自己肯定感を高めることにつながります。写真を使ってほめる子どもをほめる方法は、いろいろです。このたび親野先生たちが提案するのが、家の中に写真を飾ってほめる、「ほめ写」です。これは、親野先生がこれまでに多くの子どもたちと接してきたなかで、自己肯定感の高い子どもの家庭には写真プリントが貼られていることが多いという体験に基づいています。写真の内容は、習い事や勉強、お手伝いに取り組むようすや目的を成し遂げた姿です。写真を飾ることで、子どもは親が自分のことを気に留めていることに気づくでしょう。また、写真は親子の対話のきっかけになり、対話する中で愛情を伝えることもできます。そして、子どもは写真で自分が頑張る姿を客観的に見て、「自分はできる。頑張れる」という思いを強くしていきます。家族みんなで仲よくいっしょに写っている写真も効果的です。そうした写真を見ているうちに「わたしは家族に愛されている。わたしも家族が大好きだ」と、親や家族の愛情を実感できるようになります。「ほめ写」は、自分自身への満足感に効果あり「ほめ写」が子どもの自己肯定感を高めることに有効かどうかを実証するため、普段写真を飾っていない32組の親子に、「ほめ写」ワークを約3週間にわたり実施してもらいました。その結果、子どもの自己肯定感に関する意識が全般的に向上したという結果が出ています。特に「自分自身への満足」に大きな変化が見られました。さらに、「ほめ写」を3週間体験した子どもと、「ほめ写」を体験していない子どもに、自分の写真、家族との写真、関連性のない写真を見せたとき、脳活動にどのような違いが見られるか測定を行ないました。こちらも「ほめ写」を体験し自己肯定感が高まったと答えた子どもは、写真を見たときに「心地良い」と感じる脳の部位である腹内側前頭前野に活性化がされていることが確認できました。さっそく、「ほめ写」を実践してみましょう自己肯定感を高める「ほめ写」の方法はとても簡単で、たった3つのステップで実践できます。①撮る子どもが何かに頑張っている姿や何かを達成したなどの特別なシーンを写真に撮る。何気ない日常の一コマや家族といっしょに写っている姿も写真に収めます。②飾る写真は子どもの目線の高さで、生活の導線上に飾ります。特に重要と思う写真は、A4程度に大きくプリントするのが効果的。③ほめる飾った写真を見ながら、「このときは頑張ったね」「よくできたね」と努力や成果をほめるだけでなく、「生まれてきてくれてありがとう」「見ているだけで幸せな気持ちだよ」と子どもの存在そのものを肯定します。自己肯定感を高めるにはほめるのがいい。わかってはいても、忙しい毎日でつい忘れがちですよね。子どもの写真を撮るのは親にとっても楽しいことだし、その写真を家の中に貼っておくだけで子どもの自己肯定感につながるのなら、こんなにいいことはない。ぜひみなさんも試してみてください!学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。すくすく伸びる子どもたちのために
2018年08月30日普段からリアクションが薄めの奥手女子。そのため誰に対しても塩対応なので恋愛面でもデメリットな部分かもしれません。あっさりとした対応は「クールで知的」なイメージもありますが、一方で「消極的」と感じる男性は多いです。そこで奥手女子が恋愛力を上げるために必要な会話について説明していきますので参考にしてみて下さい。1. 奥手女子が恋愛に必要な会話力とは?そもそも奥手の人は、男性に対して警戒心が強いので、恋愛に対しても消極的、慎重すぎることが多いです。 女子校出身だった人や姉妹で育った人、人見知りが多いですが、決して男性が嫌いという意味ではありません。奥手女子の場合、男性に慣れていないのため臨機応変に会話をすることは難しく感じます。できれば相手と冗談を言ったり「この人は楽しいな」と感じたりしてほしいのです。怖がらなくても大丈夫です。会話に慣れていない人でもよい印象を与えることは可能ですのでトライしてみましょう。 (1) うなずくだけでも相手に伝わる会話をしている時に、相手に望むことってなんだと思いますか?「聞いてるかな?」と相手の「リアクション」を待っているんです。奥手女子の場合は、何を会話して良いかわからない場合が多いので長い沈黙が続いたり、一方的に相手だけが会話をして終わったりしてしまうことが多いです。たとえば「ふーん…そうなんだ」と声にだして聞いている人より「うん、うん」とうなずく人のほうが好印象を相手にあたえます。会話中に身体や声で「リアクション」をすれば簡単に相手に伝わります。オーバーにしなくても、頭を縦に振ってうなずく動きをするだけでOK。相手の会話に「うなづく」だけでも立派な会話が成立するので試してみて下さいね。 (2) 会話の中で相手の名前を呼ぶ男性から「この人は大切な人だ」と思ってもらうためには、相手の気分をどんどん良くすることからスタートしましょう。奥手女子の場合は、すすんで相手の名前を呼ぶようにすると効果的です。「○○さん、今日はいいお天気ですね」「○○さん、最近どうですか?」会話の中で何度も相手の名前を呼ぶと「私は苦手でありませんよ」という気持ちを伝えることができます。名前を呼ぶと相手の警戒心もなくなります。「会話のセンスがない」「口下手」と思う人は「名前」を呼ぶようにしましょう。 (3) 失礼な言葉はつかわない相手にとって失礼な言葉とはどのようなものがあると思いますか?若い人が良く使うフレーズや、良く考えると相手にとって失礼な言葉遣いって実は沢山あるんです。×「ってゆうか」→ ○「なるほど…なんですね!」相手の意見に納得できなかったとしても、使わないようにしましょう。言葉を知らない幼稚なイメージを与えます。この場合は、否定的な言葉をつかうよりも肯定的な言葉に置き換えるのが無難です。×「暇なときに連絡しますね」→ ○「時間があるときに連絡しますね」×「わざわざ」→ 言い方によっては嫌味に聞こえる場合があります。使う時は注意が必要です。2. 欠けているものを身につけるためには奥手女子は自分から連絡をとらないわりに、LINEなどを好む傾向があります。シャイな部分はありますが、家族・友人・同僚など親しい人には、とってもマメ。人に甘えたり、頼るのも苦手だったりするので、重い物を持ってほしいときなども素直に男性に頼むことができないのです。気になる人と会話をするのは誰でも緊張するものです。奥手女子だけではありません。でも、ずっと受け身でいては始まるものも始らないですよね。恋愛にルールはないので、自分から話しかけた後に、受け身になってもいいんです。自分に欠けているものを強みにしつつ、コミュニケーションをとってみてはいかがでしょうか? (1) 相手の情報をキャッチする会話は相手の情報をいちはやくキャッチしないと始まりませんよね。奥手の人は、他人に対する関心が薄いので、会話から相手の情報収集からトライしてみましょう。たとえば、具合が悪そうな時に「あ、あの…今度…飲み会にいきませんか?」と言えば「空気が読めない人」と思われます。挨拶した時に声のトーンが低ければ、会話の中に「今日は調子が悪いんですか?いつもと違いますよ?」と差し障りの無い程度に聞いてみましょう。奥手女子の場合は、素直に「心配しています」の意味と心をこめて温かみのある言葉を選ぶようにしましょう。 (2) 相手の変化に気づいて言葉にだすこと「今日もセンスのよい服を着ていますよね!」と褒められたら「自分に興味を身ってくれている!」と嬉しくなりますよね?相手の変化に気が付くことは、距離を縮めるために必要なことです。ヘアスタイル・ファッションがかわった時や「具合が悪そう」なときに、すぐ気付いて声をかけられることが基本となります。相手を良く見て、気がついた点をすぐに言葉に伝えることも大切です。「私は青が好きだから青いネクタイの方が好き」と間違っても自己主張をしてはいけません。「青いネクタイも新鮮でよいですね」にとどめましょう。自分ばかり主張している人は、見直してみてはいかがでしょうか?異性関係になるとシャイでモジモジしてしまう自分。実は奥手な女性が「タイプ」と言う男性もたくさんいます。自分の恋愛観を強みに変えて、会話力を高めて恋愛のチャンスを増やしていきましょう!written by キララ
2018年08月29日専門家・プロ:親野智可等親子関係がよければうまくいく親子関係をよくすることは、しつけや勉強よりもはるかに大事です。これは、子どもが幼児であろうが小中学生であろうがそれ以上であろうが、まったくかわりません。そして、親子関係をよくするために絶対必要なのが、子どもが「自分は親に受け入れてもらえている」「わかってもらえている」「大切にされている」「愛されている」と実感できるようにしてあげることです。これが、すべての土台であり始まりです。子どもがそういう実感を持てていれば、生きる力がわいてきます。いろいろなことでがんばるエネルギーがわいてくるのです。そして、親の言うことも素直に聞くようになります。親が「ゲームのやり過ぎに気をつけよう」とか「友達の家に行ったらあいさつを忘れないでね」などと言えば、それを素直に受け入れます。すぐにはできないことでも、やってみようという気持ちにはなります。親が「いけないことや危ないことに誘われたり巻き込まれたりしたら、心配だよ」とか「危ないことしないでね」などと言えば、「大好きな親を心配させちゃいけない」ということで心のブレーキになります。叱りすぎると子どもは親の愛情を疑うようになるこの反対に、「自分はいつも叱られている」「自分は親に受け入れてもらえていない」「自分の気持ちを分かってもらえていない」「あまり大切にされていない」「あまり愛されていない」などと感じている子もいます。もちろん、親は愛しているつもりです。でも、子どもの方はそれが実感できていないというのです。こういうケースはけっこうたくさんあり、多くの場合その原因は親の叱りすぎです。このような場合、親がいくら口でいいことを教えても、いくら正しいことを教えても、子どもはそれを素直に聞くことができません。親の心配が心のブレーキになるどころかかえって反発材料になり、よけい危ないことをしてしまうことすらあるのです。こういうわけで、いい親子関係をつくることこそが最優先なのです。それのないところで、「しつけをしなければ」とか「勉強をさせなければ」などと思っても絶対にうまくいきません。ある親の実例これらのことは、私が教師時代にいろいろな親子を見てきてわかったことです。ある親が次のように言ったことがありました。「懇談会で先生が教えてくれたように、2学期のはじめに節目の高揚感を活かして「○○するために□□する」という目標の書き方をしてやり始めたんですけど、子どものやる気はあまり続きませんでした」親はそう言いましたが、私にはうまくいかない原因ははっきりわかっていました。うまくいかないのは、その親が感情の起伏が激しくて、自分の気分が優れないときは感情的に叱りつける人だったからです。子どもはそういう親にかなり反発心を持っていました。ですから、形だけ「○○するために□□する」などという目標の書き方をさせられても、素直にがんばろうという気持ちになれないのです。肝心なところができていないとノウハウコレクターになるだけまず、土台になるいい親子関係がなければ、どんな方法を試したところで、うまくいきません。それでは、いわゆるノウハウコレクターになるだけです。みなさんの職場やビジネスの世界にもそういう人がいるはずです。いろいろなノウハウに飛びついてやり始めるけど、結局うまくいかないという人です。そういう人は、一番肝心なところができていないのです。ノウハウコレクターは職場やビジネスの世界だけでなく、親の中にもいるのです。親野智可等(おやのちから)教育評論家。1958年生まれ。本名杉山 桂一。公立小学校で23年間教師を務めた。教師としての経験と知識を少しでも子育てに役立ててもらいたいと、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。具体的ですぐできるアイデアが多いとたちまち評判を呼び、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛される。また、子育て中の親たちの圧倒的な支持を得てメルマガ大賞の教育・研究部門で5年連続第1位に輝いた。読者数も4万5千人を越え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。『「親力」で決まる!』(宝島社)、『「叱らない」しつけ』(PHP研究所)などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。長年の教師経験に基づく話が、全国の小学校や幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会で大人気となっている。著書多数。Webサイト
2018年08月27日専門家・プロ:遠藤美季ネットが利用できる端末ごとに特徴を考えてみようデジタル機器が日常生活にあふれた環境で育つ子どもたちについて考える第2回は、利用する端末についてです。いまの子どもたちは小さいときからさまざまな端末に親しみながらネットを利用しています。パソコン、スマホ、ガラケー、タブレット、TV、ゲーム機などに加え、今年はAIスピーカー※が家庭にあるという子にも数人出会いました。スマホだけでなく、家庭内にちりばめられた複数の端末を使いこなしているようすがうかがえます。※音声操作に対応したAIアシスタントが利用可能なスピーカー。スマートスピーカーともいうそれぞれの端末には特徴があります。スマホを例にして考えてみましょう。スマホはパソコンに比べるとはるかに小さく、子どもの手でも無理なく使うことができますが、使うときの姿勢を考えると心配です。まず、スマホに顔を近づけて利用しなくてはならないため、目への負担は大きくなります。スマホやパソコンから出ている“ブルーライト”は近くで浴びるほどリスクが高くなり目への悪影響が指摘されているからです。また顔から15cm~20cmの位置で見るため、より目や片眼視のくせがつくおそれもあります。ストレートネックのリスクも心配ですね。ストレートネックとは、本来重たい頭を支えるため柔軟に少しカーブしている首の骨が、うつむき加減の同じ姿勢が長時間続くことで、文字どおりまっすぐになってしまうこと。スマホなどを悪い姿勢のまま長時間同じ姿勢で使っていると、ストレートネックになりやすいのです。ストレートネックは肩こり、頭痛の原因になるだけでなく、気持ちの落ち込みや疲れもひきおこします。これらの点を考えただけでも、利用する子どもの年齢や体の大きさ、健康を考えた端末選びが必要になることがわかりますね。ブルーライトに関してはブルーライト軽減のメガネもありますが、まずは間近で浴びることを避けるようにしたいところです。そのためにはなるべくスマホよりパソコンを利用することがおすすめです。またパソコンを使うならば、大きなモニターで目からの距離をあけたり、目の高さに合わせて利用すると心身への負担はかなり軽減されます。ストレーネックにならないようにするためには、まずスマホやタブレットを使用するときの姿勢に注意しましょう。うつむき加減や、寝そべった姿勢で長時間利用するのはNGです。ときに首のストレッチも取り入れましょう。そして自分の頭を支える首の骨をイメージしながら「いま首はこんな状態」など意識して首に負担がかからないように姿勢を正しましょう。こんなふうに、家庭にある端末ごとに、特徴やメリット・デメリット、どう付き合うかを考えることは、とても重要です。とくにスマホは、他の端末に比べて依存性が高いと指摘されていること※1も考慮に入れておきましょう。端末は成長に合わせてバージョンアップここで、わが家のことをふり返ってみます。わが子の子ども時代でも、ゲーム機やガラケーなど新しいデジタル端末が出るたびに、小中学生は「みんな持ってるから自分も欲しい」と親に訴える傾向はありました。いつの時代も変わらない光景ですね。でもわたしは、端末の特徴を親子で理解したうえで、わが子の心身の成長に合わせた端末選びを心がけていました。経験を積みながら、安全性を自分で理解して操作できるよう、自分で判断できる力をつけさせることが大事と考えていたからです。ネットを利用する端末も、パソコンからタブレット、ガラケーもしくはスマホというように、年齢と必要性に応じて端末選びをするのも大事な選択肢と考えてほしいと思います。より簡単、便利で新しい端末がどんどん出てくるけれど……ネットにつながる端末の開発は息をつく間もありません。メガネや時計のようなウェアラブル端末、AIスピーカーのようにユーザーの意図を反映する端末など、大人のわたしでもすぐ飛びつきたくなるのですから、子どもはなおのことでしょう。ですが飛びつくまえに「これは依存性が高いのかな?だったらどう使おう」「メリット・デメリットは?」「自分の性格でこれを使って大丈夫かな?」と考えることを習慣にする子になって欲しいと思います。なんでもスマホで代替できる世の中ですが、文房具屋さんや日用生活品のお店などに足を運んで、日記をつけるならスマホではなく紙の日記帳、目覚ましに使うならスマホではなく時計など、いろいろな選択肢を広げておくと、のちにスマホに依存せず、自分でなにを利用するか選択することもできます。またデジタルネイティブの子どもたちにとっては、スマホなどの端末で利用しているものに、元となったアナログの時代があったことが新鮮な気づきになるかもしれません。親子で楽しくアナログとデジタルの関係を探してみると、子どもは新鮮に、親は忘れていた生活スタイルに気づくなどいろいろな発見があるかもしれませんね。※1スマートフォン利用と依存傾向について(2013年総務省、東京大学橋元研究室)デジタルネイティブを育てるpart1遠藤美季(えんどうみき)任意団体エンジェルズアイズ主宰、情報教育アドバイザー・ネット依存アドバイザー。保護者・学校関係者に対し子どものネット依存の問題の啓発活動を展開するため、2002年にエンジェルズアイズを設立。学校講演、Web上での普及啓発活動、メールによる相談活動などをおこなっている。著書に『子どものネット依存小学生からの予防と対策』(かもがわ出版)、『ネット依存から子どもを救え』(墨岡孝氏との共著、光文社)など。
2018年08月27日トップライター:坂上さえ12歳と15歳、使えるネットサービスはこんなにちがうスマホ・ルールの見直しプロジェクトは、娘へのヒアリングと、わたし自身の使い方の振り返りを終えました。ここでもうひとつ、知っておきたいことがあります。それはネットの世界について。ネット、とくにSNSの子ども向け対応について調べてみました。中学入学と同時に自分のスマホを手にしたとき、娘は12歳。それから2年と4カ月が過ぎ、誕生日を迎え、娘は15歳になりました。12歳と15歳では利用できるネットサービスに大きな違いがありました。たとえば、Twitterの利用は13歳以上からです。2018年5月に規約が改訂され、Twitterを利用するためには「少なくとも13歳以上でなければならない」と明示されました。アプリのサービス開始をシャレで誕生日登録していたら、規約の年齢に満たないと判断され、そのアプリのTwitterアカウントが一時凍結される騒ぎもおこりましたので、これまでの有名無実状態とは異なるようです。また、娘に限らず、若い世代に人気のYouTubeは13歳から自分のアカウントが作れます。Facebook、Instagramなど、おもなSNSも利用は13歳からです。なお、LINEには利用にあたっての年齢制限はありませんが、ID検索(LINEアプリからIDでユーザーを検索するサービス)が利用できるのは18歳以上。18歳未満はID検索ができないだけでなく、ほかのユーザーがID検索をしても検索結果に出てきません。自分の意志でアカウントを作れるという事実このようにSNSには13歳の壁があったのですが、中学1年生としてあわただしくすごしていたころに、この壁をこえてしまっていました。意識するまえにネットサービスの間口が広くなっていたのですね。うかつでした。(この記事を読んだみなさんは、どうぞわが家のようなことのありませんように……)さて現在、娘がアカウントを登録しているSNSは、YouTubeとLINE、そして読書感想文サイトの3つ。あとはスマホのブラウザ経由のチラ見で済ませていますが、自分の意志でアカウントを作ることができるという事実は忘れてはいけませんね。SNSに限らず、ネットの世界には今後も魅力的なサービスやアプリが続々と出てくるでしょう。それらのすべてを親が調べあげて、これはアカウント登録OK、これはNGと分別していくのは事実上不可能です。自分の意志でアカウントが作れるということは、そのサービスが自分に合っているかどうかを自分で判断し、合わなかったときにはすっぱり退会する、そんな行動も求められます。どんどん広がっていくSNSの世界に対して、参加するかしないかも含め、自分を守る一番のフィルターとなるのは、自分の考える力というわけです。15歳になったばかりの娘にそんなことができるのでしょうか?じつはわたしは、ある程度のところまではできるんじゃないかと考えているのです。自分で考えるクセをつけるこれまでわたしは、娘に対して「スマホの使い過ぎはだめよ」とか「勉強するときにはスマホを開いてはだめ」といった、禁止に類する注意をしてきませんでした。フィルタリングや事前のルールづくりでNGな行動はすでに決めてありましたし、親のわたしがスマホを多用している状況で一方的にダメと言われても反発することが予想できたからです。そのかわり、日々の運用のなかで、あれっ?と感じることがあったら、「どうしたらいいんだろうね」というような投げかけをしてきたように思います。勉強のときにスマホの通知がうるさかったら、どうしたらいいんだろうね。最近スマホを長い時間使ってるみたいだけど、テスト前にはどうしたらいいんだろうね……というような会話を通じて、娘には自分で考えてスマホを使うクセがついてきたように思います。「どうしたらいいんだろう」と自分で考えることができて、かつそれをスマホでの行動に結びつけられるかどうかが、どうやらスマホ中級者になれるかどうかのカギのようです。坂上さえ(さかがみさえ)大学卒業直後からIT関係の仕事に従事する。子どもの小学校入学を機に退職し、現在はフリーのプランナーとして、子ども向けのWebゲームや学習コンテンツの企画にいそしんでいる。趣味はスキューバダイビングと滝をみること。紅海でダイビングし、ヴィクトリアの滝をおがむのが夢。東京在住のB型、大1男子・中3女子の母。
2018年08月23日書く力を育てるために大切なのは、子ども自身に「自分が肯定されている」という感覚を味あわせてあげること。そう教えてくれたのは、花まる学習会の竹谷和(たけたにかず)さん。子どもの心に寄り添いながら「書く力」を育ててきました。今回は、ついつい親がやってしまう「書く力」を育てるために「やってはいけないこと」、反対に、親が「書く力」を育てるために「やってあげたいこと」についてお話しを伺います。【花まる式:子どもの“書く力”の育て方】 Vol.1 読書感想文、親はどう関わればいい? 「言葉の力」を「生きる力」にする Vol.2 「書くこと」が苦手な子をサポートするには、親の意識改革が必要 ■やってはいけないこと その1.言葉を先に引き取る「これは、いわば、『わが子が言葉を発するのを待ってあげられない』ということです」(竹谷さん)。「はい。それは私です!」と、思わず取材中に挙手してしまいました(笑) たとえば、こんな日常会話をしていませんか?子:「えっと、もってくの忘れちゃった」母:「カバンにすぐにしまわないからから連絡帳を忘れちゃったんでしょう?」子どもの言葉には、「何を」「どうして」が抜けているのに、それを指摘せず、補足しきった質問で「確認」だけをしてしまっている…。「こういう会話が日常的になると、子どもから『自分で最後まで意思を伝えきる』という機会を奪うことになってしまいます」(竹谷さん) 普段の会話を、親が「引き取り(補足)」続けている子にとって、「作文を、『自分で終わらせる』こと」は、とても難しい事柄に感じるそう。そういう子は、ダラダラ何十行も一文を書いてしまったり、普段の会話を完結させられないこともあるそうです。「作文を終わらせるためには、言葉を探さなければなりません。子どもが区切りのつけ方を経験できるようにしてあげてください。『いつも必ず』は難しいかもしれませんが、できるだけ最後まで子どもに会話を締めくくらせましょう」(竹谷さん)■やってはいけないこと その2.ほめ「過ぎる」「作文で危ないのは、『評価』です。これが、じつは一番の落とし穴だとすら思います。評価されすぎると、『人のために書く』作文になってしまいがちなのです」(竹谷さん)書きたいことを、手を抜かずに、書く。これが大事で、同時に難しいところでもあります。本当は、ただ楽しくてクレヨンを動かして描いた絵と同じように、自分が書きたくて書くこと。書く動機は「外の誰か」ではなく「内なる自分」にある、という感覚。「褒められること=成功体験」が本当に大事であるということには、疑う余地がありません。けれども、過剰にほめすぎて、評価という軸がないと書けないというような、見返りをもとめて書くような子にはしたくないですね。そのために親ができることは、何なのでしょうか? 「お子さんが書いたものについて、『すごいね』『上手だね』だけでなく、『この言葉選びがいいね』「ここからここまでが読んでいて、一番ひきこまれたよ」など、具体的に、ご自身がいいと感じたことを言葉にして伝えてあげてください」(竹谷さん)日常生活の中で、何気なくやっていることが、じつは「やってはいけないこと」だった…。指摘を受けて、「ハッ!」としましたが、「そこを、気をつけよう!」と思うキッカケになりました。今度は、「やってあげたいこと」を教えていただきます。 ■やってあげたいこと その1.「親子インタビュー」の時間を作る「子どもに『書く力』をつけてあげたいなと思ったら、インタビューをしてあげるのが、おすすめです」(竹谷さん)自分から何でも話す子はそのままでいいのですが、学校や外でのことをあまり話さない子も多いと思います。聞いても「忘れた!」とすぐに言うタイプです。いろいろなことを経験して感じているはずなのですが、それをわざわざ思い出して伝えることには価値を感じていません。そういう子には、1分でもいいので、できるだけその日にあったこと=子どもが思い出しやすいことをテーマに聞いてみてください。本人が話したくなるような好きなことを切り口にしてみましょう。また、「お母さんとお子さん。一緒に日記を書いても良いですね」(竹谷さん)。低学年の子どもたちは、ママと過ごす時間が多いはずなのに、親子で日記の内容は面白いほど違うそうです。「お母さんが、『子どもと私、これだけ違うものを、見ているんだ!』ということを感じるだけでも、とても意味があります。一日1行でもいいですよ」(竹谷さん)。■やってあげたいこと その2.「思わず観察してしまう時間」を確保する「作文(文章)を書くときには、まずは丁寧に観察できているかどうかが、すごく大事です」(竹谷さん)。この「ものを見る目」というのは、感性とも言い換えられそうです。同じ場所から同じものを見ても、感じること、思うこと、気づくことというのは、人によって千差万別です。では、観察が上手になるには、どうすればいいのでしょうか? 「もっとも必要なのは、『思わず、観察してしまう』というような時間や環境を、確保してあげることです」(竹谷さん)。これは言い換えると、子どもが、ぼーっとしたり道草をしたりといった、ルールのない時間です。それは大人からすれば一見意味のない時間のように思えるかもしれません。けれども、今、大人が意識して作ってあげないと、「予定のない時間」を持つことができない子も多いのです。「書くことを支えているのは、じつは五感を伴う体験と、それに付随する知的な思索です。大きくなったときに、『あの時の、あれって、めちゃくちゃ楽しかったよね』といった心動く経験があるかどうかが大切です。長いお休みのときは、意識して子どもたちにそういう時間をぜひとも作ってあげて欲しいと思います」(竹谷さん)いかがでしたか? 「子どもの『書く力』を伸ばさなきゃ!」と思うと、ついつい肩に力が入ってしまいます。けれども、竹谷さんのお話しを伺っているうちに、「ゆったりした気分で、子どもの言葉を大切にしていけばいいのかも」という気持ちになりました。そんな解脱の境地(!?)、ママと子どもたちが過ごせることを願っています!■今回のお話を伺った竹谷和さんのご著書『子どもの「書く力」は家庭で伸ばせる』花まる学習会 高濱正伸 竹谷和著/実務教育出版 ¥1,400円(税別)●高濱 正伸さん花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1959年熊本県生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺー』など、著書多数。花まる学習会公式サイト: ●竹谷 和さん千葉県生まれ。一橋大学卒業。花まる学習会教材開発部。現場を持ちつつ、年中から中学3年までの幅広い学年に対しての教材開発・各種出版に携わる。社会に出て生きていくために、読み書きをベースとした言葉の力が欠かせないという問題意識のもと、講演会、出版、読書感想文講座等を通じて、言語表現に関する親と子の橋渡しをしている。
2018年08月09日最近「毒親」本は相次いでベストセラーになり注目を集める「毒親」ですが、毒親はアダルトチルドレンの原因になったり、毒親の子が毒親になったりと長期に渡って影響を与える深刻なものです。毒親になっていないかのチェック方法から、毒親の与える深刻な影響、毒親の子が毒親にならないための方法専門家の意見を伺ったママテナの記事からまとめました。●「毒親」とは?「毒親」という言葉を知ってますか?毒親とは、子どもを自分の思い通りにしようとし、暴力や虐待、過度の干渉などによって支配下に置こうとする親のことです。子どもにとって「毒」になる親ををこう呼ぶそうです。どんなママが毒親になってしまうのか?子供が成長してアダルトチルドレンになってしまう原因も毒親にあるといいます。しかし、毒親は実は子供の時の親の影響を受けた場合が多く、被害者が加害者になるという状況もあります…。▼続きはこちら▼●あなたは毒親になってませんか?良かれと思ってしている子どもへの激励や応援は実は自分自身の思いを押し付け、子どもを追い詰めて負担になっています。あなたの毒親度チェック、6つの質問に答える事で簡単に確認できます。▼続きはこちら▼●毒親が与える深刻な影響とは?毒親に育てられた子供が親になると、自分自身が否定されて育ったため、しあわせでないと感じ同じことをしてしまう、と専門家は指摘します。毒親チェックであてはまる項目が多かった場合、自分の子供を毒親にしないためにも、この毒親連鎖を断ち切る必要があります。その方法とは?▼続きはこちら▼●しつけのポイントは?毒親にならないようにしながらも、子供のしつけはしなくてはいけないママ。具体的なしつけの方法や、両親を見て学んだことなど、しつけにかんする記事です。▼続きはこちら▼
2018年05月27日こんなに「子どもが、子どもとして存在する」映画はこれまであっただろうか? ひと言でいえば、映画『泳ぎすぎた夜』は、そんなことを思わせる作品です。描かれるのは、少年の過ごすたった1日のこと。その日になにか特別なことが起きるわけではありません。ごくごくありふれた日常でしかない。でも、主人公の少年の一挙手一投足から目が離せなくなる。この映画を観ると、「親は子どもの持つ力をもっと信用しないといけないのでは?」と、問いかけられている気がします。世界の映画祭でも“いままでにない、子ども映画”と高い評価を受けた本作の五十嵐耕平監督とダミアン・マニヴェル監督に話をお聞きしました。■大人にコントロールされない本当の子どもの姿とは『泳ぎすぎた夜』で驚かされるのは、少年のほんの些細で日常的な行動になぜか目を奪われてしまうところ。子どもの世界や子どもの時間そのものが作品に刻まれています。どうやったらこんな子どもの自然な姿をとらえられるのだろうか。――どうして子どもを主人公にした作品を撮ろうと、思ったのでしょうか?五十嵐耕平監督(以下、五十嵐):二人の意見で、「雪国での少年の物語」ということになったんですが、僕が「子ども」という題材に取り組みたかった理由は、その存在の曖昧さというか。ひと言でいうと、子どもって次にどんなことをするのかリアクションが読めないから。たとえば大人だったら取っ手のある荷物を持つとなったら、迷わずその取っ手をつかんで持ち上げる。その行動はこちらの想像の範囲内で収まります。でも、子どもの場合は、想像に収まらない。取っ手があってもそれをつかまないで、もちあげようとするかもしれない。そんな子どもの意外性のある感性が引き出すことができたら、おもしろい作品ができるんじゃないかなという漠然とした考えがありました。ダミアン・マニヴェル監督(以下、ダミアン):ただ、子どもを主人公にした映画ではあるんだけれど、通常のアプローチとは違うものにはしたかった。五十嵐:通常の映画に出てくる子どもは、ほとんど子役です。映画の撮影というのは、基本的にすべてにおいて大人の都合で進んでいく。何時から何時までというスケジュールから、セリフを言うタイミングまで大人の指示。子どもの役を任された子役はその指示どおりに動くわけです。ふと、「そこにほんとうの子どもの姿が存在しているの?」と疑問に思ったんです。僕たちが撮るのであれば、子どもの本質をとらえたい。大人にコントロールされていない子どもの本来の姿を映画の中に落とし込めないものかと。ダミアン:コントロールできないということはリスクがあるということ。撮影が滞りなく進むとは限らないし、最悪、映画が完成しない可能性も否定できない。でも、子どもはすごくクリエイティブ。被写体としては最高で、そこに賭けてみようと思ったんだよね。■「子どものルール」は大人とはまったく異なる?監督たちは、「いまどきの子どもはシャイでおとなしい」といったイメージを持っていたそうだが、主人公を演じる古川鳳羅(こがわ・たから)くんはそのイメージとまったく違ったと話します。鳳羅くんは、自分の想いを体ごとぶつけてくるエネルギーを持ち、次の瞬間、何を考えてどう動くのかまったく予想できなかったとか。――演技経験のない彼を起用して映画作りに取り組まれたわけですが、子ども本来の姿をひきだすため、どんな創作がなされたのでしょうか?五十嵐:鳳羅くんに出会ったことで、はじめて形になっていたことが多いですね。子どもの純粋な姿を撮りたいと思っていたわけですけど、鳳羅くんに接するようになって、子どもには「子どものルール」があるということがわかってきました。ただし、大人が考えたルールからは完全にはみだしているんですけど(苦笑)。時間の使い方、何に目的意識を持つのか、何に興味を持つのか。これらが大人とはまったく違う。同じ風景をみても、大人が考える範囲以外のところを見ていて、まったくの別世界を感じていたりする。それを映し撮りさえすれば、自然と目指すものになるのではないかと思いました。ダミアン:僕は鳳羅くんの中に、喜劇王のチャップリンを見いだしていました。彼ならきっと人とは違う世界を見せてくれる。たぶん彼が次にどんなリアクションをするのか楽しみで目が離せなくなると。五十嵐:僕ら大人はもう子どものころの感覚って、忘れてしまっている。考えたところで浅はかなアイデアでしかない。だから、そこに頼るよりも、鳳羅くんを信じる。こちらの枠にあてはめないで、彼に自由にやってもらう。そうすれば、なにか彼から子どもならではのことが出てくるだろうと。たとえば犬を相手にほえ合うシーンがあるのですが、犬にほえられたら、本能的な反射で彼はほえ返す。それだけなんだけど、もう目がくぎ付けになる。最終的には、僕たちが、鳳羅くんの世界に入っていって、そこで映画を撮る感覚でした。■「子どもの正しい判断力」を親は奪っていないか少年は父の仕事場を探して、寒さ厳しい雪の中、道をトコトコ歩いて、電車にのって記憶をたよりに目的地を目指します。しかし子を持つ身としては、ついつい“危ない”とか“気をつけろ”とか思ってしまう。しかし一方で、もっと子どもの本能を信用しなければいけないという気にもさせられます。筆者自身、「寒いから手袋して」、「マフラーまいて」とか、本人任せにしてもいいことまでついつい口を出してしまっている気がします。でもそんなこと言わるまでもなく、「子どもには子どもの正しい判断力」があって、過度な干渉は必要ないのではないか? といったメッセージが作品から伝わってきます。五十嵐:雪が降っている中で、子どもがひとりで出かけるというのは相当危険な行為だと思います。道をわたるのも危なっかしいし、電車に乗るのも大丈夫かなと思いますよね。子どもにとっては大冒険。ただ、こうした経験を多かれ少なかれ僕らも子ども時代に体験しているんじゃないですかね。海で泳いでいたら、想像以上に沖に出てしまったとか(笑)。それで初めて身をもって危険を感じる。そういったことはいまでもふと頭をよぎる瞬間があって、忘れてはいない。こういう判断力って自分で実際に経験して初めて実感として体得していくような気がするんです。それが自分の生きていく上での力にもなる。危ないことは知識として知っているけど、「どう危ないのかわからない」ことが本当は危ない気がする。もちろん経験することの限度はあると思うけれど、危険なことをすべてシャットアウトしてしまうのはどうなんだろうと個人的には思います。僕自身も今回、鳳羅くんをとおして、子どもの判断力や自立心をもっと信じてあげてもいいんじゃないかなと思いました。ダミアン:そして子どものときの自由な時間、ひまな時間ってすごく長い。大人になると、「子どものとき、あんなに時間があったのに、なんでなにもしなかったんだろう」って思ったりするぐらい(苦笑)。この「自由に想像をめぐらす時間」も子どもには必要なんじゃないかなって思いました。こういう自由な時間が持てるのも、じつは子どものときだけなんじゃないかな。だからこそ大切にしてあげたい。実際の日本についてはよく知っているわけではないけれど、なんとなく日本の子どもにはあまり自由がない印象がある。フランスはもうちょっと自由がある。ただ、怒るときは世界共通で、親はものすごく怖いけどね(笑)■「子連れのお母さんを見守りたい」と思える作品本作を撮るときに、監督たちは鳳羅くんと男同士の約束を交わしたと言います。たとえば「今日は終わったら一緒に遊ぶから、あとワンシーンは撮ろうね」と。それを鳳羅くんが守れないときは、きちんと叱ったそう。「映画とか僕の都合ではなくて、人と人が約束したこと。僕と鳳羅くんの問題だから。」と五十嵐監督は話します。――今回の作品をとおして、自身の少年時代といまの子どもたちと比べて、感じた違いはありましたか?五十嵐:たとえばスマホといった社会や時代で表面的なことは変わっている。でも、本質的なところでは、あまり変わってないんじゃないか。子どもは子どもでしかなくて、じつは僕たちが子どものときとなにも変わらないのではないかと思いました。ダミアン:僕も同じ意見。たとえばパリの子は大人っぽいし、田舎はもっと子どもっぽい。でも、子どもの持っている本質みたいのはまったく変わらないんじゃないかな。五十嵐:たとえば鳳羅くんはゲームが大好きです。でも、あんな雪国に住んでいるのに、雪でも楽しんで遊ぶんですよね。「雪=ちょっとウキウキ」みたいな感覚は、子どもから失われていない。――お二人ともまだお子さんはいらっしゃらないということですが、ご自身も将来、子どもを持ちたいと思いましたか?五十嵐:想像できないというのが正直なところ。でも、毎日のこと考えると、大変ですよね。とくに悪ガキの男の子をもったら(笑)。今回、鳳羅くんと接するなかで、僕は自分の母に感謝しました。そして東京などで電車に乗っていると、子連れのお母さんをよく見かけます。いつも大変そうだなと思ってましたが、その苦労は想像以上だと思う。もっと社会として優しい目でみていいんじゃないかなと思いました。ダミアン:想像はしましたね。自分も「子どもをもったらどうなるのか?」と。たぶん大変。でも、そうなったらがんばるしかないかな(笑)『泳ぎすぎた夜』4月14日(土)よりシアターイメージフォーラムほか全国順次公開日本の五十嵐耕平監督とフランスのダミアン・マニヴェル監督が、青森県平川市に住む小学二年生の男の子、古川鳳羅くんとともに作り上げた、これまでにない子ども映画。ある朝、すでに仕事に向かっていない父親にふと自分の書いた絵をみてほしいとおもった6歳の少年。思い立ったが吉日と彼は父親の働く魚市場へ! ここから少年のとても小さいけど、本人にとっては大きな冒険がスタートする。子どもだけに流れる豊潤で自由な時間を映像に映しこむことに成功したそのシーンの数々に驚かされる1本。大人が見過ごしがちな、子どもの可能性と豊かな感性を体感できることでしょう。
2018年04月13日こんにちは。沙木貴咲です。キャリア志向の女性は、どちらかというと恋が苦手かもしれません。バリバリ仕事をする人ほど、忙しいことを理由にフリーでいることが多かったり、男性に対して素直になれなかったりするのでは?でも、「仕事ができるから恋が苦手」というのは、誤った思い込みなんです。スキルだけで言うと、仕事ができる人は恋愛も上手にできるはず。もしうまくできないなら、自分で自分にリミッターをかけている可能性があるんです。■■仕事力が高いとは、つまり恋愛力も高いということ仕事ができる人は、まず勇気があります。そして、判断力や行動力、交渉力、スケジュール管理能力、情報収集力なども優れています。さまざまな能力を駆使して業務をこなし、高い成果を上げるのですから、基本的にとてもバランスの取れた魅力的なタイプだといえるでしょう。「仕事ばっかりしてるから恋愛は苦手・・・・・・」というのは完全な思い込みにすぎません。本来は、恋も上手にできるはずなんです。判断力や行動力が優れていて勇気があるということは、自分にふさわしい男性を正しく選び、アプローチもできるということ。また、情報収集力とスケジュール管理能力があるなら、モテを意識したファッションに身を包んで、仕事が忙しくてもデートはできるに違いありません。しかもデキる人は、社交性やコミュニケーション能力も高いことがほとんど。デートで男性と楽しくおしゃべりして気に入ってもらうことが、難しいわけがないんです。つまり、キャリア志向の女性や仕事がよくできる女性こそ、恋愛上手になれるんですね。■■「恋は苦手」という思い込みを作る原因じゃあ、何が「恋は苦手」と思わせているのかというと・・・・・・原因は大きく分けて2つあります。1.自分自身への期待を高くしてしまうこと2.自分の女性性を否定して、“恋する私”を恥ずかしく思うこと1については、仕事ができると職位やお給料がアップして、周囲からも一目を置かれるようになり、自然と自意識が高まることが原因です。「私にふさわしい男性は年収1000万円以上」「今の私には、それなりのスペックの男性じゃなきゃつり合わない」という思い込みを無意識のうちに持って、恋がしづらくなるでしょう。2は、仕事で男性と肩を並べて働く女性にありがちな、「女性らしさを見失うこと」が原因。甘えることができなかったり、女の子っぽいカワイイ態度を取る自分に違和感を覚えたりすると、好きな男性の前で素直になれなくなります。仕事に一生懸命になることが、皮肉にも恋愛へのハードルを高くする原因になってしまうんです。■■あなたの中に『恋の成功法則』はすでにある!生活が仕事中心になっていて彼氏いない歴が1年以上・・・・・・という人は、「彼氏を作ること」に一生懸命になる前に、「仕事が成功する鉄板法則」をちょっと考えてみてください。チートともいえる小手先のワザだけでは、本当の成功はあり得ないですよね。案件が大きくなるほど、高い利益を長く上げ続けようとする時ほど、「人との信頼」が大事になるのではありませんか?部署や店舗スタッフとのチームワークがしっかりしていること。取引先から「イエス」を引き出すには誠意が必須だということ。お客様に心を尽くし、絶対に嘘はつかないこと。仕事ができる女性なら理解できているはずです。そしてこれは、恋愛も同じ。彼氏はつまり、自分が心から信頼できる人なんですね。どんなに高収入で有名企業に勤める男性であっても、気を遣わなきゃ付き合えない人は彼氏にならないし、意地を張って本音を明かせないならば、やっぱり恋愛はできないでしょう。仕事も恋愛もやり方は同じ。あなたの中に『恋の成功法則』はすでにあるんですよ。■■彼氏を作る=信頼できるパートナー自分が心底信用できると感じて、思わず素の姿を見せてしまう男性こそ、あなたの彼氏となる人です。気負わず肩の力を抜いて、自分に嘘をつかなくてもいい“パートナー”を探してみてください。そう、頑張り屋なあなたが、つい女の子でいることを忘れてしまうところも、「しょうがないな」と思ってくれる人。彼氏って、意外と身近なところにいるかもしれませんよ!(沙木貴咲/ライター)(ハウコレ編集部)
2018年02月26日先日最終回を迎えた2017年10月期のドラマ『明日の約束』(関西テレビ)では、過干渉などにより子どもを支配する「毒親」が登場して話題になりました。「毒親」に悩む人は実の母からの卒業が難しく、離れがたいという現実があるように思います。今回は、「毒親」ついて考えてみたいと思います。「毒親」ドラマが続々と登場した2017年「毒親」という言葉は、医療機関のコンサルタントのスーザン・フォワードが書いた『毒になる親 一生苦しむ子供』からついたもので、子どもを支配する、子どもに罰を与えるなどして、悪影響を与える親を意味しています。2012年に親との確執を記録したコミックエッセイ『母がしんどい』が多くの共感を集め、「毒親」の問題が多くの人に知られることとなりました。最近では書籍だけでなく、映画や漫画、そしてドラマにも多く登場しています。今年のドラマでは、『お母さん、娘をやめていいですか?』(NHK総合)や『過保護のカホコ』(日本テレビ)に登場する母親が「毒親」として話題になりました。どちらの母親も、娘が可愛いがゆえに自分と同じ苦労をさせたくないというような思いから過干渉になり、「毒親」になってしまっているというものでした。どちらのドラマでも母と子の折り合いがつかない現実が描かれ、母からの卒業を遂げるという結末になっています。子どもにとっては重すぎる毒親、その内容とはドラマ『明日の約束』は、井上真央さん演じるスクールカウンセラーの藍沢日向が、教え子の不可解な死を紐解いていくというストーリー。メインストーリーとして、教え子の男子生徒がなぜ死んでしまったのか、学校や部活でのイジメの疑惑や、不穏な交友関係、そして仲間由紀恵さん演じる母親の過保護すぎる行き過ぎた愛情などが描かれました。注目を集めたのは、物語の中に登場する手塚理美さん演じる主人公・日向の母親の毒親っぷり。その一部をご紹介します。母親が日向の小さい頃に強制していた交換日記のタイトルが「明日の約束」。これが子どもにとってはかなり重い内容です。今日も日向はママの言うことを聞けない悪い子でしたね。明日はちゃんといい子になりましょう。明日の約束。その1、ママがいいと言ったお友達以外とは遊ばない。その2、ママに口ごたえしない。その3、ママをイライラさせない。必ず守るように。ママは日向が大好きです。「日向はこれから、ママの言う通りに生きなさい。日向の読む本も、遊ぶ玩具も、お友達も、全部ママが選んであげる。日向にとって、それが一番正しいんだから。明日の約束。ママの言うことを疑わない。必ず守るように。ママは日向が大好きです」。「日向も今日から12歳。小学校も今年で最後ですね。でも、大きくなってもあなたはママの娘です。これからもずっとママの日向でいてね。明日の約束。日向はママを一生、愛し続ける。必ず守るように。ママは日向が大好きです」。出典: ドラマ『明日の約束』 ドラマでは、漫画やおもちゃを捨てさせたり、自分の気に入らない友達が来たら帰ってもらったりする母親の様子が描かれ、その様子には胸が痛くなるほどでした。日向は母親からの重圧に耐えきれず、12歳になった日を最後に、母親への返事を書くことをやめてしまいます。その後、自分を守るために腕を負傷し障がいが残ってしまった母親への罪悪感から、一緒に暮らすことをやめられなかった日向。社会人になっても毒親からの支配は続きます。「あ~いやらしい。ママに隠れてこそこそ恋人作って」。日向に恋人がいることを知らされていなかったと気づいたとき、大きな声で言い捨てた言葉です。母親は娘とは良好な親子関係を築けていると信じており、日向の心の傷については理解がありません。感情の起伏が激しく、気に入らないことがあると、とげのある口調で日向を攻め立てるのです。やっとできた毒親からの卒業は29歳エンディングで日向は、母親の呪縛から卒業を遂げます。12歳でやめた交換日記の返事を29歳になった主人公がようやくできるのですが、その言葉が印象的です。「私は大きくなってもお母さんの娘です。でも、ずっとお母さんのためだけに生きることはできません。……明日の約束 私は、私のために生きていきます」。出典: ドラマ『明日の約束』 ずっと「ママの日向」でいることはできないと、母親に「NO」をつきつけた形になります。このメッセージを告げて、日向は家を出て一人暮らしを始めることになり、物語は終わります。ありあまる愛情が引き金に…。毒親ドラマはまさに反面教師ドラマの主人公・日向は29歳でようやく母親と決別することができますが、おそらく何歳になっても母親との問題に悩む人はいるのではないかと思います。ありあまる愛情ゆえに、子どもたちの人生を知らない間に支配してしまう母親たち。このドラマはそんな母親に悩む人たちに勇気を与えてくれます。母親に支配されて生きるというのは、別の言い方をすると母親に守られて生きるということ。それはとても苦しい反面、安定もしているため、逃げ出しにくいといえるでしょう。卒業するタイミングがなかなか見いだせず、何歳になっても母親に依存してしまう人は少なくありません。母親との関係性は非常に複雑なものです。日向の母親は、自らが子どもにとって「毒親」にならないための反面教師でもあるように思います。筆者も2児の母ですが、愛情を掛けることは、子どもを支配して全部道を作って決めてあげることではないのだなと改めて気づかされました。「私のために生きる」と宣言した主人公のように、子どもが子ども自身のために進んでいける道を応援する母親でありたいものです。【参考リンク】・『明日の約束』公式サイト ※FOD、カンテレドーガで有料配信中
2017年12月28日「女子力が高いね」そう言われると無条件で嬉しいのが女心です。その評価を受けたいがために自分磨きに余念のない女子も多いのではないでしょうか。しかし、女子力って実際のところなんでしょう。外見のかわいらしさ=女子力が高い?それはあくまで女性が女性に感じる女子力です。この絵に描いたような女子力は、男性心理に訴えかけることはできるのでしょうか。価値観が全く違う女性心理と男性心理。そこを考慮して女子力について考察してみましょう。隙のない完ぺきなおしゃれ時間とお金と努力でつくる女子力は、同性の友人からの女子力高いの評価が簡単にもらえそうです。しかし、これは男性心理的な目線からみると意外に引かれてしまうことが多いです。気合の入ったおしゃれは一歩間違うと派手に見られたり、金銭感覚がだらしない印象に見えたりして逆効果になることも。ネイルでキラキラに装飾された爪より、短く整えられた清潔感あふれる爪の方に男性は女子力の高さを感じたりします。甘え上手のさじ加減ちょっぴりドジでほっとけない、そんな甘え上手な女の子はちやほやされることも多く、女子力が高そうに見えます。でもこれ、やりすぎてはいけません。彼女でもない女性に甘えられても、その行為はとても幼稚に見えてしまい、最悪その男性をイラッとさせてしまうことも。逆かなと思われますが、強さやしっかりした一面のさりげないアピールしてみましょう。強い・しっかりなどのイメージは女子力からかけ離れた印象ですが、これが意外に「けなげな女性」という印象を与え、女子力の高さを感じさせるはずです。これはほんの一部の例ですが「女子力」という点、ひとつとっても男性心理と女性心理では全く違うものです。外見のかわいらしさや動作のかわいらしさが直接すべて女子力の高さにつながるわけではないということを、頭のどこかに置いておいた方が良いでしょう。たまにはうまく計算し、女子力高いなと思わせようとしてみましょう。そんな努力や一生懸命さもきっとあなたのステキな女子力の一部になるはずですよ。
2017年12月13日自分の子供の行動や思考など、すべてを支配・コントロールしたがり、子供に依存してしまう親のことを毒親(毒になる親)と呼ぶのをご存知ですか?毒親に育てられた子供は、精神的にも悪い影響を受けてしまい、将来的に幸せな恋愛ができなくなる傾向があるようです。「私はただ一生懸命なだけなのに、なぜか幸せで安定した恋愛ができない」と悩んでいるあなた。もしかするとそれは「毒親」のせいかもしれませんよ。今回は、毒親育ちの恋愛事情についてご紹介しましょう。子供の自己肯定感を奪い、人生を支配する毒親とは、肉体的な暴力やひどい暴言や否定の言葉をくり返すことで、子供の心を傷つけながら、子供の心も人生も支配しようとする親だそうです。しかし、トラウマになるような大きな虐待などがなかったとしても、親が子供を否定し続けたり、子供の意見を認めてあげなかったりすると、その心の傷が子供の将来に深く大きな影響を与えてしまうことがあります。例えば「あなたはブスね」「あなたって友達に嫌われるタイプね」「あなたはどんくさいから、周りの人に迷惑がられるでしょうね」などと親からネガティブなことばかり言われると、子供は「私はブスで嫌われもので迷惑な存在なのだ」と無意識のうちに思い込むようになり、自分のことを肯定できない大人に成長してしまいます。つまり親の心無い言動によって、子供の自己肯定感は大きく壊れてしまうのです。また毒親は子供を支配したがるため、友達付き合いや趣味、着る服や就職先にまで口を出し、自分の思い通りにしたがるようです。もちろん、娘の恋愛にも口を出します。「医者でないと認めない」「○○大学以下は認めない」「同居してくれる次男でないと許さない」などと条件をつけることもあり「子供の自主性に任せて、見守る」ということはできないのが毒親です。なぜ毒親育ちの女性の恋愛は上手くいかないのか恋愛においても、幼い頃に毒親によって「自己肯定感」をめちゃくちゃに破壊されてしまった女性は、男性に対しても「自分は愛される価値がない」と思い込んでしまいます。ですから常に相手の気持ちが信頼できず、今相手が何をしているのか、本当に自分のことが好きなのかを常に確かめたがるなどの束縛をしてしまい、男性から重たがられて捨てられたりします。また、彼が本当に自分をどこまで愛してくれているのかを確かめるために、彼にモラハラ発言や暴力をして振り回してしまう女性もいるようです。親から無償の愛を貰えずに育った毒親育ちの女性たちは、男性からの「無償の愛」も信じることができず、いつも裏を探ってしまう傾向にもあります。そのままの自分に自信が持てないので、相手に少しでも好かれるよう、見捨てられないようにと、過剰に尽くしてしまったり、相手好みの顔に整形したりするなど、極端な行動に走ってしまうこともあるようです。このように、毒親育ちで、無償の愛や親に認められ、尊重されるという経験がない女性たちは、穏やかで安定した恋愛がしにくくなってしまうというわけです。娘を束縛して、幸せを邪魔することも!毒親は、子供を束縛し、支配していると同時に、子供に依存しています。つまり子離れできていないのです。娘が交際相手と順調に行っていると「私の面倒は見てくれるの」「あなたが出ていったら、誰が家事を手伝うの」「ここまで育ててやった親を置いて、遠くに嫁ぐことはないでしょうね」などと精神的なプレッシャーをかけ、娘に「幸せになることへの罪悪感」を持たせることもあります。毒親は口では「子供の幸せのため」と言っていても、結局は自分の思い通りにしたい、自分を尊重してほしいというエゴのかたまりなのです。自分を大切にすることが幸せな恋愛への第一歩幼い頃から1番身近にいた親が毒親だった場合、子供の未来にどれだけ多くの悪い影響を及ぼすかお分かりいただけましたでしょうか。しかし、いまさら親に「あなたのせいで私はこうなったのよ!」「もっと私を認めてほしかった!」などとクレームを入れても仕方がないかもしれません。そんなあなたの気持ちすら、毒親は否定するかもしれませんから。あなたの過去のトラウマを癒すのは、あなた自身です。親から言われたことは「親が思っていたこと」であって、真実ではありません。あなた自身には、かけがえのない価値があります。自分をもっと大切にしましょう。「こうしたら他人(親)はどう思うだろうか」と考えるのではなく、あなた自身がどうしたいのか、自分の心に聞いて、従ってあげましょう。これをくり返すことで、少しずつ、あなたは自己肯定感を取り戻すことができるのではないでしょうか。自分を大切にできるようになって初めて、他人を大切にでき、幸せな恋愛を出来るようになることを忘れないでくださいね。
2017年05月17日大人の男性との年の差恋愛というと、優しくて包容力があり、女性の扱いが上手なおじさまに身も心も包まれて…とか、何となく良さそうなイメージ。ですが、自分の親よりも年上となると、ちょっとしたファンタジーのように思えますよね。もちろん世の中には「おじさま大好き!」と公言する女性も数多いるのですが。今回は、ごく普通の若い女性がちょっと特殊なおじさまに恋をする、変わった設定の漫画をご紹介します。◆17歳女子×アラフィフバツイチ『恋は雨上がりのように』眉月じゅん・著青春の挫折を味わった17歳の高校生・あきらを励ましたのは、偶然そこに居合わせたファミレスの店長・近藤。その後アルバイトとして入店したあきらは、冴えないアラフィフバツイチ男の近藤にどんどん惹かれていき…。自分に自信を持てなくて、あきらの想いを受け止めきれずにいる近藤の葛藤や、二人の周りの繊細な人間関係、ジェネレーションギャップなどが細やかに描かれています。かつて女の子だった自分をあきらに投影しつつも、冴えない昭和生まれの近藤にもどこか共感…。どちらの気持ちもわかるだけに、切なさも二倍!あきらとその友達のやり取りには青春の爽やかさ、近藤を取り巻く人々からは哀愁と複雑な大人の感情の味わい深さを感じたりと、アラサー、アラフォーにとって読み応え十分な恋愛マンガです。◆女子大生×親より年上のヤクザ『潜熱』野田彩子・著コンビニでアルバイトしている大学生の瑠璃は、毎日同じ煙草を買いに来る怪しげで近寄りがたい雰囲気の男・逆瀬川(のせがわ)に、理由もわからないまま急速に惹かれていきます。しかし、自分の父親よりも年上、さらに彼はヤクザ!もうね、設定からして「ダメだよ!近づいちゃダメ、絶対!」と大声で叫びたくなります。しかしわからなくもないのです。理性など吹っ飛ばすような、本能とか子宮で恋をするような感覚は。そんな瑠璃の気持ちに気づきながらも、自分のペースを一切崩さず、なおかつ瑠璃の心を引っかき回す逆瀬川に「やめんかい!」と怒声を浴びせたくもなりますが、それがただの遊びではないこともなんとなくわかる…。とにかくハラハラさせられっぱなしのストーリーは、妙なリアリティがあり一気に引き込まれてしまうこと請け合いです。◆大学院生×64歳の大学教授『長閑の庭』アキヤマ香・著ドイツ語専攻の院生であり、地味で人付き合いの苦手な元子は、教授の榊・64歳に密かに想いを寄せています。しかし、おじいちゃんと孫でもおかしくないくらいの年齢差、そして師弟関係。それは本当に恋なのか、憧れの延長ではないのか。大学院というアカデミックな舞台で、元子の心模様は複雑な光と影を織りなしていきます。本能ではなく感性で恋をする元子の恋が、葛藤が、嫉妬さえもが哲学的に描かれて、ラブストーリーとしてはなんだか崇高で新しい感覚。美しい絵柄と繊細な台詞回しもまた、大人の女性向けコミックとして秀逸です!◆ちょっぴり特殊な恋の物語はいかが?どの作品も、相手の男性との年齢差だけでなく、一癖も二癖もあるキャラクターに、不器用に惹かれていく女の子の姿は、見ているだけでハラハラしてしまいます。でも、年齢がどうあれ恋する切なさは理解も共感もできますし、年齢が違いすぎるというどうにもならない障害というか、後ろめたさにも似たものを思うと胸がえぐられるような気持ちになります。ごく普通のラブストーリーも楽しいしキュンとするけれど、たまにはちょっぴり特殊な恋の物語にのめりこんでみてはいかがでしょうか。上司や取引先のおじさまに恋をしちゃったときの参考にもなるかもしれません。ライタープロフィール石村佐和子エディター・Webディレクターを経て、結婚、出産後、フリーライターに。微妙に偏った恋愛経験を持つ、アラフォー二児の母。好きなことはモノ作り、工場見学、カフェ巡り。将来は陶芸などしながら優雅に暮らしたいと目論んでいます。
2017年05月15日新生活が始まり1ヶ月が過ぎましたが、慣れてきたころに連休に入り、日常生活に戻った時に集中力を欠くことも多くなるかもしれません。この時期に関わらず集中して物事に取り組むことは大事なこと。日常生活に取り入れられる集中力アップ法を家庭で取り組んでみましょう!子どもの集中力は思う以上に短い子どもは飽きっぽいと感じる親御さんは多いと思いますが、実際にはどのくらい集中力が続くものでしょうか?幼児期の集中力は年齢プラス1分と言われています。4歳であれば5分ということです。こんなに短いとは驚きですね。これを知らずに「うちの子は集中力がない」と決めつけて、周りの子と比較してはいけません。個人差もありますし、取り組んでいることでも変わってきます。積み木で遊んだり絵本を読んだりするなど、子どもが好きなことをしている時に時間を計って、集中力がどのくらい続くのか確認してみましょう。集中力が長続きする時、なくなる時子どもの集中力はどんな時に長続きし、どんな時になくなるのでしょうか。長続きするのは楽しい時です。さらに同じ遊びをしていても、親と一緒に過ごすことで長い時間続けることができるはずです。親との時間は子どもが「楽しい」と感じ、集中力が続くきっかけとなります。一人で遊んでいても、途中で一緒に本を読むなど、一緒に過ごす時間を増やしてみましょう。逆に集中力がなくなるのは次の3つです。・他のものに興味が移った・外からの刺激で集中力がきれる・心の中で別のものが気になっている急に集中力がなくなったと思ったら、子どもの様子を観察してみましょう。子どもの集中力を高める5つの場面日常のさまざまな場面で子どもの集中力を高めるきっかけはあります。どんな時にどうすればよいのでしょうか。1.身支度をする時子どもの身支度は時間がかかるので、つい親が手を出してしまいがちですが、実は集中して取り組んでいる時間です。常に時間に余裕を持ち、じっと待つようにしましょう。「やって」と言われたら手を貸してもいいですが、全てを手伝うのではなくできるところとできないところを見極めて最低限の手助けに留めましょう。2.「何で?」と聞いた時幼児期には「何で?」「どうして?」という質問攻めに合うことが多いと思います。すぐに答えるのではなく、子どもが内に持っているかもしれない答えをまずは聞いてみましょう。集中してものを考えるという意欲につながります。「どうしてだろうね」と一緒に考えてみる時間も、子どもにとって楽しい時間になります。3.指先を使う時指先を使うことは、器用になるだけではなく集中力も鍛えられます。ビーズ遊びや折り紙など、指先を使う時は親が見本を見せて一緒に取り組みましょう。4.遊ぶ時特に体幹を鍛える遊びをする時は、集中している時です。一本橋や平均台を渡ったりする遊びは、バランスを崩すと失敗してしまうので集中力アップに効果があります。家の中でも布団などで不安定な場所を作り、はいはいで渡らせるなど、工夫してバランスを取る状況を作ることができます。5.遊びを切り上げる時遊びに夢中になっている時に声をかけてしまうと、せっかく続いていた集中力が途切れてしまいます。声をかける際は、集中が途切れた頃を見計らいましょう。一つの目安は、子どもが「ふうっ」と息を吐いた時です。日々のトレーニングで集中力は少しずつアップできます。読み書きや勉強なども子どもが楽しいと思える工夫をしながら、少しづつ取り組ませるようにすると段々集中できるようになります。子どもの集中力の土台を作るのは7歳までと言われています。楽しいことを増やしながら、集中力アップを図りましょう!
2017年05月11日ここ数年、巷でよく聞く“女子力”という言葉。皆さんも何気なく使っていますよね? では、女子力とはいったいどんなものなのでしょうか? 女子っぽい力……??女子らしさをアピールする力??? 今回はそんな女子力について、アラサー女子である筆者が考察してみます。“女子力”高い! といわれる行動例えば、普段の会話でよく聞く女子力には、どんなものがあるのでしょうか?カフェでパンケーキを食べた画像をSNSにアップしている子“女子力たか~い!”。手作りのお弁当が彩りカンペキの子“女子力たか~い!”。はたまた、宴会の席でサラダを率先して取り分ける子も“女子力たか~い!”。ではこれ、本当に女子力が高いのかというと……、この視点って、同性である他の女子からの“かわいいけど、なんだかよくやるねぇ……”という半分褒めつつ、半分ヒンヤリした目線のような気がします。女子力という言葉は、女性がとる行動の中でも、ちょっぴりキュートで、ちょっぴり男性受けする行動を堂々とする子に対して使われているのです。男性から見た“女子力”一方、男性陣から見た“女子力”は、明らかに女性同士で使う女子力という言葉とは異なるものです。ガサツな行動をしない、丁寧な言葉を使う、立ち居振る舞いが美しいなど、男性にとっての女子力は、女性らしいたおやかな動作を指し示しています。また、“女子力がたか~い!”といわれている女子に対して、男性は意外にシニカル。その女子力が、男性の前でのお芝居であることは容易に見抜かれているのです。アラサー筆者が見つけた本当の“女子力”筆者の周りにも女子力が高い子、女子力を演出するのがうまい子はたくさんいます。でも、女子として生まれ、女子に囲まれて育ったアラサー筆者が思う本当に女子力が高い子は、“女子力”なんて言葉に左右されない、自然な振る舞いで、自分をさりげなく華やかに見せられる女の子です。そこには、人によって態度を変えない、人の前での自分を過剰に演出しないという心の強さやまっすぐさも感じられます。媚びる女の子や女の子らしさにこだわる子ではなく、自分らしく、毎日を楽しんでいる女性こそ、“女子力”が高い。これが、アラサー筆者が見つけた本当の女子力です。毎日数回は目にし、耳にする女子力という言葉。そこには、女性目線と男性目線で違いがあることが分かりました。特に女性目線の女子力は良い意味と良くない意味が表裏一体!? 女子力を磨きたい方々は、まずは“女子力”とはなんなのか、自分はどんな“女子力”がほしいのかを、じっくりと考えてみてくださいね。
2016年11月04日あなたは“家事”が得意ですか?家事と言っても掃除、洗濯、料理や裁縫など、ありとあらゆるものがありますよね。家事が出来るだけで、『女子力が高い!』と評価され、より女性らしい印象を与えられます。家事がデキる女子には、共通している特徴が3つあるのをご存じですか?あなたにも家事力があるのかどうか、ぜひチェックしてみてくださいね。1:バッグの中身が整理整頓されているバッグの中身が整理整頓されていて、どこに何が入っているのか一目でわかるような女子は、家の中も整理整頓されているという印象に。逆にバッグの中身がごちゃごちゃしていると、もしかして家の中も…というような目で見られてしまいます。忙しいからと、バッグの中身を確認せず、いざというときに「〇〇がない!」、「△△を忘れた!」など慌てることのないよう、何が入っているか、忘れ物がないかなど、常に確認しておいた方が良いですね。また、柔らかい素材のバッグは、キレイに入れたとしても持って歩いているうちにどうしても中身が動いてしまいます。形が決まっているカバンを使うことで、物が動くことが少なくなるので、中身がぐちゃぐちゃになることも減りますよ。2:裁縫セットを持ち歩く出先で裾がほつれかかっているのを見つけ、バッグから裁縫セットを取り出してサッと縫い付けるということが出来ると、女子力がかなり高いと見てもらえますよね。裁縫のように、細かい作業が苦手という男性はとても多いので、スーツのボタンが取れそうだなと思ったら、「ボタン取れそうだよ、つけてあげる」と、さらりと声をかけてあげると好感度もアップ!日常的に裁縫をしていると思わせることができ、気になる相手に声をかけるきっかけにもなりますよね。「わたし、裁縫が苦手で…」という人も、ボタンぐらいは縫い付けられるように練習しておくと良いでしょう。出来ないことを、見栄を張って「何でも作れるよ!」と公言する必要はありません。「難しいことは出来ないけど、ボタンくらいなら付けられるんだ」と謙虚な姿勢を見せることで、好感度をさらに上げることが出来ますよ。3:手作り弁当を持参する会社のお昼に手作り弁当を持参しているのを見ると、毎日の食事をキチンと作り、健康管理もしっかり出来る女子なのだと感じます。また、1人でいたとしても、食べるときに「いただきます」と言えると、教養があり、食べ物に対する感謝の気持ちも伝わって好印象。たとえ、おにぎりと少量のおかずだけというお弁当でも、毎日持って行き続けることで、「家庭的で節約上手な子」だと思ってもらえますよ。かわいいピックやバランなどを使い、女の子らしい盛り付けをしておくと、食べている時に中身を見られても恥ずかしくないですよね。毎日、朝にお弁当を作るのは大変かもしれませんが、意外と慣れると、毎日の日課になっていきますよ。いかがでしたか?最近、家事が苦手だという女子が急増しているようですが、家事が出来るということは、今後生きていく上で得なことしかありません。なんでも完璧にこなす必要はありませんが、必要最低限の家事はこなせるようになっておきましょうね。
2016年09月23日