長年連れ添い、紆余曲折を経ながら、最後は「夫を介護する」という試練と向き合うことになった妻たち。そのとき、夫に何を思うのか。きれいごとだけでは片づけられない複雑な思いを超え、見えてきた「夫婦って何?」の答えに、耳を傾けましたーー。■加藤綾菜さん(32・タレント)/夫は加藤茶(77)「これから先、彼に何があっても動じることなく、私がサポートしたいと思いました」そう語るのは、加藤茶夫人として自然体で夫に尽くす姿が共感を呼ぶ加藤綾菜さん。綾菜さんは短期大学進学時に広島から上京。’09年、六本木の割烹料理店でアルバイトをしていた19歳のとき、来店した茶さんに気に入られ、交際を経て’11年6月に入籍。「世間の反応を覚悟のうえで、責任を感じて入籍してくれた彼には感謝しています」というが、結婚当初は45歳年下というだけで綾菜さんへの風当たりは相当なものだった。そんなさなかの’15年、茶さんは『鶴瓶の家族に乾杯』(NHK総合)のロケの夜に倒れ、そのまま入院、闘病生活を余儀なくされる。診断結果はパーキンソン症候群という大病。しかし、手が震え、スプーンもまともに持てなかったという茶さんに、献身的に寄り添い、看病する綾菜さんの姿が報じられると、世間の目は次第に変化していった。「あのころは絶対に彼を死なせたくないという使命感に燃えていました。主治医の先生からは『回復は難しいでしょう』といわれましたが、結婚して数年しかたっていないのに、という思いがありましたし、生命の力を信じる心が強かったんです。『彼の大好きな仕事に復帰して舞台に立ってほしい』と、そればかり願っていました」この後、茶さんは奇跡的に回復、舞台にも復帰を果たした。「退院時に『1年後、舞台に立とうね』という目標を立て、『今日は5分歩けたから、明日は6分を目指そう』とか、地道なリハビリに励みました」復帰を果たしたものの、茶さんの年齢を考えると、いつ何があるかわからない。そう考えた綾菜さんは、ついに昨年から実践的な介護の知識を得ようと専門学校へ入学。130時間の研修を受け、この5月には幅広い分野でヘルパーができる介護職員初任者研修の筆記試験に合格した。合格を報告すると、茶さんも「とても安心だよ。ありがとう」と喜んでくれた。現在、介護福祉士を目指してさらに研鑽を積む日々を送っている綾菜さん。学ぶほどに介護の奥深さを痛感するという。「生半可な世界ではありません。学ぶことと、現場で実践するのでは大違いでした。重度の認知症の方は歯磨きの介助で口を開けていただくことも容易ではない。介護の本当の大変さをまだ私は理解していない。そう感じてどこかの施設で職員として働きたいと願っていたら、受け入れていただける先があったんですよ」そう目を輝かせる綾菜さんだが、7月に入職できるはずが、コロナ禍で延期に。それまでの間に大学の通信教育も開始したが、茶さんの食事作りを怠らない綾菜さんの一日は、それだけで十分忙しい。「出かけるときに彼の食事を冷蔵庫に入れるのはダメなんです。彼は『お皿がいっぱいあって、どれを食べたらいいかわからなかった』と食べずに過ごしてしまう。だから作ったらキッチンに置いて、保冷剤をたくさん載せて。お皿はそのまま置いておいてもらえばどれだけ減ったかわかります」綾菜さんにとって介護の修業も大事だが、あくまで“加トちゃんファースト”がモットー。この気持ちが強くなった要因には、志村けんさんの急逝もあった。「命には限りがある。一緒に過ごせる時間の大切さ」を痛感したという。「彼は当初、とても落ち込んでご飯も食べられない状態でした。最近は少し元気を取り戻して、ご飯も1膳ぐらいなら食べられるようになったので、彼が生きていられるだけでありがたいと思うようになりました。結婚当初は彼が女の人とラインをしていることにヤキモチやいたり喧嘩したりしたけど、いまは朝、笑顔で『おはよう』っていえることがうれしい。彼が一日でも長く芸人として舞台に立てるように生活すべてを支えるのが私の役割と思っています」綾菜さんは「ザ・ドリフターズで育った世代」とはいえないが、いまも昼夜ネタ作りに余念のない茶さんを見ているだけでも、そのすごさは伝わってくるそう。「支えがいがあるし、彼を支えられることに感謝ですね」9年間のなかで「子どもがいなくてかわいそう」「悩んでいるんだろうね」などといわれたこともあったが、綾菜さんは夫婦2人きりの幸せを満喫しようと思っている。「どんな夫婦にも悩みごとはあるはずだし、どうしようもないことはあまり悩まないことにしているんです。いまは2人の時間があることに感謝。お互いを思いやって残りの人生を一緒に過ごすことが、ただひとつの願いですね」「女性自身」2020年9月15日 掲載
2020年09月09日「静岡市内で父と暮らす80歳の母の様子が、突然おかしくなったのは、3月下旬ごろでした。小学校教師だった母は、自宅に近所の子どもたちを集めて、40年以上も個人塾を経営するなど、頭はしっかりしていたんですが……」新型コロナウイルスが感染拡大するなか、元気だった母親が突然認知症になってしまったと語る50歳の女性。元気な母親に一体何が起きたのか。「もともと母はリウマチの持病があり、コロナに感染すると重症化する恐れがあったため、3月中旬に個人塾を閉じました。私や姉の家族も実家を訪れることを控えるようになり、このころから人と会う機会が激減。電話で連絡を取ると、何度も同じ話を繰り返すことが増えました」女性の父親によると、母親は日に日に物忘れがひどくなり、“昨日、Aさんが来たときに……”と、実際には訪れていない近所の友人の話をすることもあったという。「6月中旬、母は散歩中に転倒し、救急車で病院に運ばれ入院しました。転倒は、高熱によってふらついたことが原因でした。ただ本人は自分に熱があることすら気づいていなかったようです。1週間入院し、退院後は自分で布団から起き上がることができず、自力でトイレにも行けないほど、急激に体力が衰えてしまい……。後日、病院でMRI検査をしたら脳の萎縮が認められ、母は認知症であると診断されました」コロナ禍で認知症を発症する人もいれば、長期化する自粛生活で、認知症を悪化させるケースもある。東京の介護事務所で働くベテランのケアマネジャーはこう話す。「週2回デイサービスに通っていた要介護1の83歳の男性が、新型コロナの感染拡大で、デイサービスの利用を中断しました。2カ月後にお会いしたら、驚くほど様子が変わっていて……」ケアマネによると、その男性はもともと肺に疾患があったため、本人から“感染すると怖いので当分休む”と連絡があったそうだ。「緊急事態宣言が解除された後、6月上旬に久しぶりにデイに来られたのですが、背中が前のめりに曲がった状態でよたよたと歩く姿を見てがくぜんとしました。2カ月前までは、背筋も伸びて、しっかりと自立歩行をしていたのに……。お声がけしても言葉にも覇気がなく、受け答えもはっきりしないようになってしまったんです」コロナ禍での生活の変化で、認知症の人の約4割が何らかの悪影響を受けていることが、8月に発表された広島大学と日本老年医学会の調査で明らかになった。調査は6〜7月にかけて、全国の介護施設や医療施設など945施設と、介護支援専門員(ケアマネジャー)751人を対象に、オンラインで実施された。その結果、医療・介護施設の38.5%、在宅で介護支援にあたるケアマネの38.1%が、新型コロナの感染拡大によって「認知症の状態に影響が生じた」と回答。在宅の軽度・中等度認知症者の2人に1人が「認知機能の低下」があったと答えている。調査を行った老年医学・認知症の専門医である、広島大学大学院の石井伸弥特任教授(44)が語る。「認知症の症状の悪化を防ぐために必要なことは、社会的な役割やつながりを持つこと。今回の新型コロナによって、感染予防のための外出自粛や、家族との面会制限などが行われ、認知症者たちの気持ちはどんどん弱り、不安が強くなって、症状が悪化してしまう大きな要因になっています」「女性自身」2020年9月15日 掲載
2020年09月03日コロナ禍での生活の変化で、認知症の人の約4割が何らかの悪影響を受けていることが、8月に発表された広島大学と日本老年医学会の調査で明らかになった。調査は6〜7月にかけて、全国の介護施設や医療施設など945施設と、介護支援専門員(ケアマネジャー)751人を対象に、オンラインで実施された。その結果、医療・介護施設の38.5%、在宅で介護支援にあたるケアマネの38.1%が、新型コロナの感染拡大によって「認知症の状態に影響が生じた」と回答した。調査を行った老年医学・認知症の専門医である、広島大学大学院の石井伸弥特任教授(44)が語る。「認知症の症状の悪化を防ぐために必要なことは、社会的な役割やつながりを持つこと。今回の新型コロナによって、感染予防のための外出自粛や、家族との面会制限などが行われ、認知症者たちの気持ちはどんどん弱り、不安が強くなって、症状が悪化してしまう大きな要因になっています」今回調査に協力した施設の回答でも、家族、友人との面会制限を実施した(98.5%)、外出制限(89.7%)、施設へのボランティア訪問を中止した(87.1%)など、入所者の日常的な活動がかなり制限されたことがわかる。在宅の認知症者に関しては、他人と触れ合う時間が減った(81.6%)、体を動かす時間が減った(77.5%)など、介護支援にあたるケアマネの多くが回答している。「今回の調査で、施設入所者よりも在宅の認知症者のほうが、身体活動量の低下、転倒といった運動機能への影響は大きいようです。施設内の方以上に、運動をしたり、人と触れ合う機会が減ってしまったからでしょう」石井教授は、コロナ禍の長期化によって認知機能や身体機能が低下する認知症者が、さらに増えることを懸念している。では、どのような対策を早急にすべきか。石井教授にアドバイスしてもらった。まず、在宅の場合ーー。「感染予防のために外出自粛はある程度仕方がありません。自治体などで、高齢者が自宅でできる、運動の手引きのようなものを作っていますので、そういうものを活用しながら、家族が一緒になって体を動かしてあげましょう」次に施設入居者の場合ーー。「家族との面会が制限されているところが多いので、別の手段でコミュニケーションを図る。今はオンライン面会をやるところが増えましたが、重度の認知症の方には、意思疎通がうまくいかないことも多々あります。たとえば、家族の近況を伝えるために家族の写真を何枚も撮って、それをアルバムにして定期的に本人に渡したり、ボイスレコーダーに家族の近況を伝えるメッセージを録音して聞いてもらうのもいいでしょう。これは施設入所者だけでなく、離れて暮らす在宅の親にも効果的です」気がついたら親が“ボケていた”なんてことがないように、対策を心がけよう。「女性自身」2020年9月15日 掲載
2020年09月03日娘だから、妻だから当たり前……。そんな言葉とともに、疲弊するに任せ、顧みられることが少なかったケアラーたち。だが、そんなケアラーに光をあてる条例が誕生したーー。「介護をしている家族は心身の健康を損なったり、仕事を犠牲にしていたりするなど多くの問題を抱えています。ところが、そんな家族に支援の手が及ぶことはありませんでした。この条例が要介護者の影での存在であるケアラー(=家族などの無償の介護者)に光をあてるのです」3月27日、埼玉県議会で成立した「埼玉県ケアラー支援条例」について、こう語るのは日本女子大学名誉教授で日本ケアラー連盟代表理事の堀越栄子さん。全国初となる「埼玉県ケアラー支援条例」は、介護をしている人が個人として尊重され、健康で文化的な生活を営めるように、ケアラーが孤立しないように社会全体で支えることを目標としている。現在、ケアラーについての実態調査が行われており、その後、介護者のための相談窓口の設置や休息施設の整備、経済的支援、就業機会の提供などの支援策が検討されていくという。条例に関する有識者会議のメンバーでもある堀越さんが解説する。「実態調査の結果を受け、計画を練り上げ、来年3月には基本方針と具体的支援策を定めるスケジュールで動いています。介護というと、中高年の女性が行う高齢者介護のイメージがありますが、ケアラーには男性もいるし、18歳未満の“ヤングケアラー”から100歳のケアラーまでいます。また2〜3人と複数の人を介護している人、子育てと親の介護を同時にしている人など多種多様。当初、ケアラーの定義には、介護期間や継続してやっていることなどの要件がありましたが、間口を広げて、誰もが相談できるような体制にしたほうがいいという認識で、その要件は外されました」埼玉県条例が定義するケアラーは、次のとおり。《高齢、身体上又は精神上の障害又は疾病等により援助を必要とする親族、友人その他の身近な人に対して、無償で介護、看護、日常生活上の世話その他の援助を提供する者をいう。》(「埼玉県ケアラー支援条例」第二条一より)厚生労働省の調査によると、介護者の約6割が同居家族だ。日本労働組合総連合会が’14年に行った要介護者を抱える家族に対しての実態調査によると、介護者の35.5%が要介護者に対して憎しみを感じたことがあると回答。認知症の人を介護している人にいたっては7割にのぼった。家族介護に依存しない“介護の社会化”を掲げた介護保険制度がスタートして20年たつが、日本では、家族による介護殺人や心中事件は2週に1件の頻度で起きている。また介護離職者は年間約10万人いるが、その8割弱が女性だ。堀越さん自身、同居する実母の食事介助やオムツ交換などの介護をしてきた経験があり、ケアラーを支える大切さをこう語る。「介護がいつ終わるかは見通しが立ちにくく、ケアラーはそれを考えること自体に罪悪感を持ってしまうことも。また『家族だから介護するのが当たり前』という無言のプレッシャーから、自分のことは後回しになり、体調を崩したり、仕事を辞めてしまうケースも後を絶ちません。悪循環を断ち切ることが重要です」現在、議論が進んでいる「ケアラー支援条例」では、どのようなサポートが行われるのだろうか。今回の条例の有識者会議のメンバーでもある「認知症の人と家族の会」副代表理事の花俣ふみ代さんが語る。彼女自身も、姑の在宅介護を7年間したあと、実母の遠距離介護を5年間した経験がある。「支援策として、1人で抱え込んでいる介護者にとって駆け込み寺のようなところを設置して、介護者が『がんばらなくてもいい』と言ってもらえる空間をつくることが需要だと考えています」堀越さんもこう話す。「介護だけでなく、心身の健康や貧困など多重困難にも対応できるような総合的な窓口が必要。また、ケアラーは、自分が病気になるなどの緊急事態が起こった時の要介護者へのサービスを求めています。経済的な理由から、介護保険サービスの利用を控えなくてもすむような仕組みも必要です。無理なく介護を続けるためには、必要に応じて施設介護を利用できるとよいと思います」国に先駆けた“無償の介護者”への支援条例ーー今後の動きを注視していこう。「女性自身」2020年9月8日 掲載
2020年08月27日「介護をしている家族は心身の健康を損なったり、仕事を犠牲にしていたりするなど多くの問題を抱えています。ところが、そんな家族に支援の手が及ぶことはありませんでした。この条例が要介護者の影での存在であるケアラー(=家族などの無償の介護者)に光をあてるのです」3月27日、埼玉県議会で成立した「埼玉県ケアラー支援条例」について、こう語るのは日本女子大学名誉教授で日本ケアラー連盟代表理事の堀越栄子さん。全国初となる「埼玉県ケアラー支援条例」は、介護をしている人が個人として尊重され、健康で文化的な生活を営めるように、ケアラーが孤立しないように社会全体で支えることを目標としている。現在、ケアラーについての実態調査が行われており、その後、介護者のための相談窓口の設置や休息施設の整備、経済的支援、就業機会の提供などの支援策が検討されていくという。条例に関する有識者会議のメンバーでもある堀越さんが解説する。「実態調査の結果を受け、計画を練り上げ、来年3月には基本方針と具体的支援策を定めるスケジュールで動いています。介護というと、中高年の女性が行う高齢者介護のイメージがありますが、ケアラーには男性もいるし、18歳未満の“ヤングケアラー”から100歳のケアラーまでいます。また2〜3人と複数の人を介護している人、子育てと親の介護を同時にしている人など多種多様。当初、ケアラーの定義には、介護期間や継続してやっていることなどの要件がありましたが、間口を広げて、誰もが相談できるような体制にしたほうがいいという認識で、その要件は外されました」埼玉県条例が定義するケアラーは、次のとおり。《高齢、身体上又は精神上の障害又は疾病等により援助を必要とする親族、友人その他の身近な人に対して、無償で介護、看護、日常生活上の世話その他の援助を提供する者をいう。》(「埼玉県ケアラー支援条例」第二条一より)厚生労働省の調査によると、介護者の約6割が同居家族だ。日本労働組合総連合会が’14年に行った要介護者を抱える家族に対しての実態調査によると、介護者の35.5%が要介護者に対して憎しみを感じたことがあると回答。認知症の人を介護している人にいたっては7割にのぼった。家族介護に依存しない“介護の社会化”を掲げた介護保険制度がスタートして20年たつが、日本では、家族による介護殺人や心中事件は2週に1件の頻度で起きている。また介護離職者は年間約10万人いるが、その8割弱が女性だ。現在、議論が進んでいる「ケアラー支援条例」では、どのようなサポートが行われるのだろうか。今回の条例の有識者会議のメンバーでもある「認知症の人と家族の会」副代表理事の花俣ふみ代さんが語る。彼女自身も、姑の在宅介護を7年間したあと、実母の遠距離介護を5年間した経験がある。「支援策として、1人で抱え込んでいる介護者にとって駆け込み寺のようなところを設置して、介護者が『がんばらなくてもいい』と言ってもらえる空間をつくることが重要だと考えています」海外では介護者に対する支援を法律で明記している国が少なくない。次にあげた3カ国は、とくにケアラー支援の先進国だ。■日本が見習いたいケアラー先進国の取り組み(※IACO supported by Enbracing Carers TM、「家族介護者支援に関する諸外国の施策と社会全体で要介護者とその家族を支える方策に関する研究事業」より本誌作成)【全人口】イギリス:6,643万5,550人ドイツ:8,291万4,191人オーストラリア:2,499万2,860人【65歳以上人口】イギリス:1,216万5,557人ドイツ:1,779万8,089人オーストラリア:391万4,673人【65歳以上の割合】イギリス:18.3%ドイツ:21.5%オーストラリア:15.7%【ケアラーの数】イギリス:650万人ドイツ:320万人オーストラリア:265万人【ケアラーの定義】イギリス:無償で長期にわたって、身体・精神的な疾病・障害、また高齢にともなうケアの必要によって、家族や友人、その他の人を世話している人ドイツ:介護保険で要介護者と認められた近親者を、通常は週に2日以上、かつ合計10時間以上介護しているオーストラリア:障害のある人、医学的状態、精神疾患、または加齢による身体の衰えのある人々に対し、身の回りのケア、手助けもしくは援助を提供する人々【現金給付】イギリス:日本円で週約9,000円(介護者1人当たり。収入要件あり)ドイツ:在宅ケアの場合、月約4万〜11万円を要介護度に応じて介護を受けている人に支給オーストラリア:介護のため就労できない単身者の場合、約10万円を支給【介護休暇】イギリス:介護のためにフレックスタイム、休暇および休職を要求できるドイツ:最長2年の介護休暇の権利。緊急に介護が必要な場合は最長10日、終末期ケアとして最長3カ月の休暇オーストラリア:年間10日間の有給の介護休暇に加え、無給の「2日間休暇」やケガや病気を負った場合「2日間特別休暇」など【保険・税制】イギリス:現役世代のケアラーでも、基準を満たせば、公的年金を受給できるドイツ:収入減には無利息での貸付け制度。ケアラーには労災、年金、失業、疾病、介護保険が適用オーストラリア:介護者給付、介護者手当は非課税【その他の支援】イギリス:夜間の見守りサービス、教会、病院、美容院、映画などへ行く時間などの休養プログラムドイツ:介護技術を学べる無料講習や介護者同士の交流の機会の提供オーストラリア:カウンセリング、デイサービスや宿泊付きの施設利用などケアラーの負担軽減サービスこれら“先進国”から学ぶことは多いと、花俣さんが語る。「ケアラーが孤立しないように、また苦しくなったり疲労困憊したりしたときに、いつでも休息が取れるなど、さまざまな支援で支えているのが特徴です。各国のような現金支給の導入も議論されていいでしょう。ただ、それだけでは家族介護の固定化につながるので注意が必要です」最後に堀越さんが語る。「ケアラー支援は、よい介護をするための支援ではなく、介護者自身の人生の支援。この埼玉県の動きが国全体にも波及してほしい」「女性自身」2020年9月8日 掲載
2020年08月27日不要不急の外出を自粛し、人との接触を極力減らす……。新型コロナウイルスの感染拡大を予防するための「新しい生活習慣」が知らず知らずのうちにむしばみつつある、私たちの「心・脳・体」の健康を取り戻そう!7月に入って以降、ふたたび猛威を振るい始めた新型コロナウイルスだが、ここにきて、その感染拡大が“想定外の影響”を及ぼしてきているーー。そう警鐘を鳴らすのは、諏訪中央病院名誉院長の鎌田實先生だ。「コロナの感染拡大が本格化した3月ごろから外出自粛の要請が出された、いわゆる“巣ごもり生活”の時間が増えてきました。それにより、たしかに新型コロナウイルスの感染拡大は抑えられましたが、今度はその巣ごもり生活そのものが、中高年の健康をじわじわとむしばみつつあるのです」(鎌田先生・以下同)鎌田先生によれば、外出自粛前にはコントロールできていた血圧や血糖値が、巣ごもり生活を経て上昇してしまった、という人が増えているというのだ。ほかにも、足腰の筋力や認知機能の著しい低下など、長引く巣ごもり生活の影響は多岐にわたっているという。「医療の現場で目の当たりにするこうした患者さんたちは、まさに外出自粛による“巣ごもり老化”の状態だといえるでしょう」もちろん“巣ごもり老化”という正式な病名があるわけではないが、鎌田先生は次のような兆候を指摘する。「巣ごもり老化の兆候は、大きく3つに分けられます。1つ目の兆候は、気分がふさぎ込みがちになったり、よく眠れなくなったりという『心』の不調。次に、スマホの操作や簡単な計算などがうまくできなくなるといった『脳』の鈍化。そして、最後は血圧や血糖値の数値がコントロールできなくなってしまうような『体』の機能低下です。この3つが複合的に起こるのが巣ごもり老化の怖いところだといえるでしょう」コロナ対策のための外出自粛が生みだした「負の副産物」ともいえる巣ごもり老化だが、その影響は、“想定外の結果”をもたらすと鎌田先生はいう。「巣ごもり老化は、心・脳・体のそれぞれに影響をもたらしますが、それらのどれか1つでも衰えてしまえば、健康に過ごすことはできなくなってしまいます。つまり、巣ごもり老化の進行は、“要介護状態”に直結してしまう可能性が高いともいえるでしょう」そんな状況を回避するには、日々の小さな積み重ねが大切だと鎌田先生はいう。「コロナとの闘いは長期戦になります。だからこそ、ちょっとした心構えや、無理のない生活習慣の改善が、結果的に大きな差を生みます。心と脳、そして体というのは、おのおのが独立して存在しているわけではなく、互いに密接に関係しています。ですから、この3つそれぞれの老化を防ぎ、さらに少しずつでも鍛えていくことが、巣ごもり老化の効果的な予防につながっていくのです」読者世代にはとりわけ気になるのが“脳”。一般に、認知症の予備群である軽度認知障害(MCI)の人の多くは、適度な運動や栄養バランスの取れた食生活により生活習慣を安定させることで、進行を食い止めることができるとされているが、そこにも巣ごもりの影響は表れている。「巣ごもり中は、運動不足はもちろん、食事では糖質が多くなりがちです。外出自粛前は一人暮らしができていたMCIの人が、いまでは人の助けを借りなければならなくなっていたり、軽度だった認知症が進行してしまったりと、私の患者さんにも、全体的に認知機能の低下が見られます」また、家でぼーっとテレビを見ている時間が増えると、認知症の前段階であるアパシー(意欲低下)にも陥りがちだという。「番組にもよりますが、テレビを見るという行為は、どうしても受け身になりがちですから。やっぱり大切なのは、脳に刺激を与えること。脳トレも悪くないとは思いますが、じつはあれは学会でも見解が分かれていまして、私としては、あまりエビデンス(科学的根拠)がないんじゃないかと考えています。それよりも、私がいま推奨しているのは『コグニサイズ』。コグニッション(認知)とエクササイズ(運動)を合わせたものです。心と脳と体はつながっている、という視点からしてもこれはおススメ。ぜひ挑戦してみてください」「コグニサイズ」は、体を動かしながら、脳のエクササイズも同時に行うもので、国立長寿医療センターのデータによれば、軽度認知障害(MCI)の人の約40%が、症状の悪化を予防できたという。■コグニサイズ足踏み(1)もも上げをしながら、「1、2、3……」と数をかぞえる。(2)5の倍数のときに手をたたく。※慣れてきたら、常に右手が勝つように、左右の手でじゃんけんをしましょう。左手を一瞬早く出すことがうまくやるコツ。■コグニサイズウオーキング少し速めのウオーキングをしながら「しりとり」や「計算」をする。※ポイントは、息が軽くはずむ程度の運動を。そしてたまに間違えるくらいの難易度を。「足踏みをしながら数をかぞえ、5の倍数のときだけ声を出さずに手をたたく“コグニサイズ足踏み”に、ウオーキングをしながら、一人でしりとりや計算をする“コグニサイズウオーキング”。どちらも実際にやってみると、これが結構難しいんです(笑)。でも、難しいからといってテンポを緩めてはいけません。コグニサイズは『正しくやる』ことよりも、『正しくやろうと考える』過程が大切なのです。むしろ、なかなか上手にできないくらい難しいものをやるほうが、脳にはよい刺激になるのです」(鎌田先生・以下同)このコグニサイズ、じつは主婦にとって大切な「家事力」の向上にも役立つという。「家事というのは、一度に複数の作業を並行して進めなくてはなりませんが、コグニサイズはそのためのトレーニングにもなります」次に弱った筋肉を再起動!「鎌田式エクササイズ」BEST3を紹介。■鎌田式「速遅歩き」速歩き3分+遅歩き3分のセットを2回、最後に速歩き3分=計15分。■鎌田式「ワイドスクワット」(1)足を肩幅より大きくハの字に開いて立ち、胸の前で手を組む。(2)体重を下半身にのせるイメージで、お尻をゆっくりと下ろす。(3)太ももが床と平行になったら、元の姿勢にゆっくり戻す。10回1セットで1日に3セット。■鎌田式「かかと落とし」(1)イスなどにつかまり、背筋を伸ばして立つ。(2)かかとをつけたまま、つま先を上げて3秒キープ。(3)つま先を下ろすと同時に、かかとを少し上げて3秒キープ。(4)かかとをストン、と床に落とす。10回1セットで1日に3セット。「鎌田式エクササイズ」で最も手軽な「速遅歩き」。「3分間歩幅を広げて速歩きした後、3分普通の速度で歩く、これを繰り返すだけで脚力の向上が期待できます。外出先でも簡単にできるので、これを機にぜひやってみてください」つづいては、うれしい副次効果が期待できる「ワイドスクワット」と「かかと落とし」。「ワイドスクワットは、皮下脂肪を筋肉にかえて、美尻、美脚効果が期待できます。さらに腰が引き締まり、太ももの内側に筋肉がつくので、内股もスッキリします」じっくりやると結構きついエクササイズだが、トライしてみる価値あり!鎌田先生の代名詞ともいえる「かかと落とし」は、骨密度のアップや、毛細血管の働きが活性化するという効果も。「女性の骨密度は閉経前後から低下していきますので、骨粗しょう症の予防にもおススメです。さらに『幸せホルモン』とも呼ばれるセロトニンの分泌も促されますので、体だけでなく、心まで元気になりますよ」「女性自身」2020年9月1日 掲載
2020年08月26日不要不急の外出を自粛し、人との接触を極力減らす……。新型コロナウイルスの感染拡大を予防するための「新しい生活習慣」が知らず知らずのうちにむしばみつつある、私たちの「心・脳・体」の健康を取り戻そう!7月に入って以降、ふたたび猛威を振るい始めた新型コロナウイルスだが、ここにきて、その感染拡大が“想定外の影響”を及ぼしてきているーー。そう警鐘を鳴らすのは、諏訪中央病院名誉院長の鎌田實先生だ。「コロナの感染拡大が本格化した3月ごろから外出自粛の要請が出された、いわゆる“巣ごもり生活”の時間が増えてきました。それにより、たしかに新型コロナウイルスの感染拡大は抑えられましたが、今度はその巣ごもり生活そのものが、中高年の健康をじわじわとむしばみつつあるのです」(鎌田先生・以下同)鎌田先生によれば、外出自粛前にはコントロールできていた血圧や血糖値が、巣ごもり生活を経て上昇してしまった、という人が増えているというのだ。ほかにも、足腰の筋力や認知機能の著しい低下など、長引く巣ごもり生活の影響は多岐にわたっているという。「医療の現場で目の当たりにするこうした患者さんたちは、まさに外出自粛による“巣ごもり老化”の状態だといえるでしょう」もちろん“巣ごもり老化”という正式な病名があるわけではないが、鎌田先生は次のような兆候を指摘する。「巣ごもり老化の兆候は、大きく3つに分けられます。1つ目の兆候は、気分がふさぎ込みがちになったり、よく眠れなくなったりという『心』の不調。次に、スマホの操作や簡単な計算などがうまくできなくなるといった『脳』の鈍化。そして、最後は血圧や血糖値の数値がコントロールできなくなってしまうような『体』の機能低下です。この3つが複合的に起こるのが巣ごもり老化の怖いところだといえるでしょう」コロナ対策のための外出自粛が生みだした「負の副産物」ともいえる巣ごもり老化だが、その影響は、“想定外の結果”をもたらすと鎌田先生はいう。「巣ごもり老化は、心・脳・体のそれぞれに影響をもたらしますが、それらのどれか1つでも衰えてしまえば、健康に過ごすことはできなくなってしまいます。つまり、巣ごもり老化の進行は、“要介護状態”に直結してしまう可能性が高いともいえるでしょう」そんな状況を回避するには、日々の小さな積み重ねが大切だと鎌田先生はいう。「コロナとの闘いは長期戦になります。だからこそ、ちょっとした心構えや、無理のない生活習慣の改善が、結果的に大きな差を生みます。心と脳、そして体というのは、おのおのが独立して存在しているわけではなく、互いに密接に関係しています。ですから、この3つそれぞれの老化を防ぎ、さらに少しずつでも鍛えていくことが、巣ごもり老化の効果的な予防につながっていくのです」そこで、鎌田先生に監修してもらった“心を解きほぐすための5カ条”を紹介。【1】感情を抑えず、よく笑い、よく泣く【2】臆せず新しいことを始めてみる【3】面倒でもとりあえず体を動かす【4】1日1度は外で太陽の光を浴びる【5】テレビに洗脳されないいずれも「心・脳・体」の連動を踏まえたものだが、詳しく解説してもらおう。「心を健康にするには、じつは外出して体を動かすのが手っ取り早いんです。というのも、『幸せホルモン』と呼ばれるセロトニンの分泌は、適度な運動と、太陽の光を浴びることの両方で促進されるからです」(鎌田先生・以下同)太陽の光を浴びて体を動かすことは、良質な睡眠にもつながる。分泌されたセロトニンが10時間ほど後にメラトニンという睡眠誘導物質に変わるからだ。そして、巣ごもり生活では「テレビ漬け」になっていた人も多いと想像されるが、鎌田先生によれば、テレビは“心の老化”にとってもろ刃の剣だという。「1日中座りっぱなしでニュースやワイドショーを見ていると、完全に『受け身の状態』になってしまいます。すると、知らず知らずのうちに、テレビから流れてくる情報に洗脳され、正しい判断力が奪われるようになるからです」さらにこの状態が進行すると、無気力、無感動、無関心といった“アパシー(意欲低下)”が見られるように。「認知症の前段階であるアパシーが現れると、心だけでなく身体機能や認知機能も衰えていく可能性がありますので非常に危険だといえます。そんなときは、口角を指で押し上げてもいいので、笑顔を作りましょう。表情筋を動かすだけでもセロトニンが分泌されてきます」暗い話題ばかりのニュース番組は1日30分〜1時間程度にしておきたい。ただし同じテレビでも、お笑い番組やドラマ、クイズなど、脳に刺激のある番組を見るのはおススメだという。「映画やドラマを見て泣いたり笑ったりすると、感情が解き放たれるので、心の老化防止には有効です。涙にはストレスの原因になる物質を排出する効果がありますし、笑うことで、ウイルスを除去してくれるNK細胞が活性化されるという研究結果もあります」また、巣ごもりによって内向的になってしまった心を活性化させるには、何か新しいことを始めるとよいとも。「特におススメなのは、ピアノやギターといった楽器に、絵手紙やぬり絵、編み物などの手を動かす趣味。どれも巣ごもりしながら楽しめるので、日々の気持ちの落ち込みを防いでくれます。さらに、指先を使うことで脳にも刺激を与えられますし、徐々に上手になっていけば、強い達成感も得られます」ちなみに、色や音などで五感を刺激するのも、心の老化防止には効果がある。「巣ごもりは、長期戦になればなるほど、心に負担がかかってきます。ややもすると暗く沈み込みがちになってしまいますが、何事も面倒くさがらず、とりあえず“最初の一歩”を踏み出すことから始めてみてください」「女性自身」2020年9月1日 掲載
2020年08月26日7月に入って以降、ふたたび猛威を振るい始めた新型コロナウイルスだが、ここにきて、その感染拡大が“想定外の影響”を及ぼしてきているーー。そう警鐘を鳴らすのは、諏訪中央病院名誉院長の鎌田實先生だ。「コロナの感染拡大が本格化した3月ごろから外出自粛の要請が出された、いわゆる“巣ごもり生活”の時間が増えてきました。それにより、たしかに新型コロナウイルスの感染拡大は抑えられましたが、今度はその巣ごもり生活そのものが、中高年の健康をじわじわとむしばみつつあるのです」(鎌田先生・以下同)鎌田先生によれば、外出自粛前にはコントロールできていた血圧や血糖値が、巣ごもり生活を経て上昇してしまった、という人が増えているというのだ。ほかにも、足腰の筋力や認知機能の著しい低下など、長引く巣ごもり生活の影響は多岐にわたっているという。「医療の現場で目の当たりにするこうした患者さんたちは、まさに外出自粛による“巣ごもり老化”の状態だといえるでしょう」もちろん“巣ごもり老化”という正式な病名があるわけではないが、鎌田先生は次のような兆候を指摘する。「巣ごもり老化の兆候は、大きく3つに分けられます。1つ目の兆候は、気分がふさぎ込みがちになったり、よく眠れなくなったりという『心』の不調。次に、スマホの操作や簡単な計算などがうまくできなくなるといった『脳』の鈍化。そして、最後は血圧や血糖値の数値がコントロールできなくなってしまうような『体』の機能低下です。この3つが複合的に起こるのが巣ごもり老化の怖いところだといえるでしょう」コロナ対策のための外出自粛が生みだした「負の副産物」ともいえる巣ごもり老化だが、その影響は、“想定外の結果”をもたらすと鎌田先生はいう。「巣ごもり老化は、心・脳・体のそれぞれに影響をもたらしますが、それらのどれか1つでも衰えてしまえば、健康に過ごすことはできなくなってしまいます。つまり、巣ごもり老化の進行は、“要介護状態”に直結してしまう可能性が高いともいえるでしょう」そんな状況を回避するには、日々の小さな積み重ねが大切だと鎌田先生はいう。「コロナとの闘いは長期戦になります。だからこそ、ちょっとした心構えや、無理のない生活習慣の改善が、結果的に大きな差を生みます。心と脳、そして体というのは、おのおのが独立して存在しているわけではなく、互いに密接に関係しています。ですから、この3つそれぞれの老化を防ぎ、さらに少しずつでも鍛えていくことが、巣ごもり老化の効果的な予防につながっていくのです」「心・脳・体」それぞれの大まかな注意点を見ていこう。「病は気から」という言葉もあるが、まずは“心”の注意点から。「緊急事態宣言が出されていた間、テレビではさまざまな人が『外出を8割控えて』と呼びかけていましたが、これが“心の老化”につながったことは否めません。8割控えるということは、逆に言えば、残りの2割は外出してもいいわけですよね。それなのに、みんなが萎縮しすぎて、2割の外出が0割になってしまいました。私に言わせれば、テレビの情報を真に受けすぎなんです。必要な外出まで控えてしまった結果、うつや気持ちの落ち込みといった“心の老化”に拍車がかかるのです」もちろん、不要不急の外出はしないに越したことはないが、テレビに洗脳され、おびえて生きるようになっては本末転倒だ。「ワイドショーなどに出演しているのは感染症の専門家や政治の専門家であって、生き方の専門家ではありません。彼らの言うことをうのみにして家にこもりきりになってしまってはダメ。自分にとって本当に必要な2割の外出を見極めていくことが必要だと思います」つづいては読者世代にはとりわけ気になる“脳”について。一般に、認知症の予備群である軽度認知障害(MCI)の人の多くは、適度な運動や栄養バランスの取れた食生活により生活習慣を安定させることで、進行を食い止めることができるとされているが、そこにも巣ごもりの影響は表れている。「巣ごもり中は、運動不足はもちろん、食事では糖質が多くなりがちです。外出自粛前は一人暮らしができていたMCIの人が、いまでは人の助けを借りなければならなくなっていたり、軽度だった認知症が進行してしまったりと、私の患者さんにも、全体的に認知機能の低下が見られます」また、家でぼーっとテレビを見ている時間が増えると、認知症の前段階であるアパシー(意欲低下)にも陥りがちだという。「番組にもよりますが、テレビを見るという行為は、どうしても受け身になりがちですから。やっぱり大切なのは、脳に刺激を与えること。脳トレも悪くないとは思いますが、じつはあれは学会でも見解が分かれていまして、私としては、あまりエビデンス(科学的根拠)がないんじゃないかと考えています。それよりも、私がいま推奨しているのは『コグニサイズ』。コグニッション(認知)とエクササイズ(運動)を合わせたものです。心と脳と体はつながっている、という視点からしてもこれはおススメ。ぜひ挑戦してみてください」鎌田先生によれば、40〜50代から脳の認知機能はすでに低下傾向にあるそう。顔は浮かぶのに名前が出てこない、スマホで何を検索していたのか忘れてしまった……。そんな兆候がある人は“脳の老化”を疑ってみて。最後は、「要介護」に最も直結する“体”の老化について。「筋肉や丈夫な血管を作る大切な栄養素がタンパク質。日本人の食生活はもともとタンパク質が不足しがちなのですが、そこに巣ごもりによる運動不足が加わり、筋肉が落ちる一方となっています。巣ごもり生活に入って、焼きそばやチャーハン、お好み焼きといった炭水化物中心のメニューが増えた、というデータがあるのですが、これではタンパク質の摂取量は減るばかり。毎日の食事の中で、白身肉や魚など、良質なタンパク質をしっかり取るように心がけてください」ちなみに炭水化物の取りすぎは肥満の原因となり、その先に糖尿病や動脈硬化といった疾患のリスクがあるので要注意だ。さらに「食生活」と並んで気をつけたいのが「運動」。「特に更年期以降は筋肉の衰えが加速していきますから、巣ごもり老化の対策としては、運動こそいちばんおススメしたいですね」「心・脳・体」というのは、互いに密接に関連し合っているが、とりわけ“体”はすべての基礎になるもので、体を動かすことは、心と脳の刺激にもなる。裏を返せば、体を動かさないことは、体だけでなく、心と脳の老化も進行させてしまうことになるのだ。「要介護状態」につながりかねない“巣ごもり老化”だが、その対策は、じつは新型コロナ感染予防にも有効だそう。「適度な運動やバランスのよい食事をはじめとした、老化予防の生活習慣は、じつは免疫力の向上にも効果的なものばかり。私たちの体は、ウイルスが侵入しても、その数が100万個以下であれば、自然免疫力で撃退できるといわれていますから、巣ごもり老化の予防は、そっくりそのまま新型コロナの感染予防対策にもなるといえます」いつまでつづくのかわからないコロナとの闘い。心と脳、そして体の生活習慣をきちんと見直すことこそが、備えにつながるのだ。「女性自身」2020年9月1日 掲載
2020年08月26日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(72)が、読者からの相談に答える!【Q】「実母と夫と3人で暮らしていますが、母が夫につらく当たります。私にとっては優しい夫ですが、母は『仕事ができない』と罵ります。母と夫が仲よくなる方法を教えてほしい」(茶々丸さん・41・自営業・宮城県)【A】「争いがある場所からは、すぐに抜け出したほうがいい」(蛭子能収)久しぶりに競艇をしました。今は窓口で舟券が買えないから、ネットで購入する方法を教えてもらいました。その日の多摩川競艇場は有利なインコースがダメだったので5、6号艇に予想をしぼりました。いい読みだったんですが、最後に4号艇が伸びてきて、結局大負け。4号艇さえこなければ20万円は取っていました。認知症になった(※編集部注:7月9日に放送された『主治医が見つかる診療所』〈テレビ東京系〉で、記憶力が著しく衰えたことから専門医を受診した蛭子さんは、アルツハイマー病とレビー小体病を併発している軽度の認知症であることを告げられた)あと、マネージャーに「競艇にはもう行きたくない」と言ったようですが、オレはまったく覚えていません。必死に予想して、レース展開に手に汗握ったからか血の巡りがよくなりました。これまでいろんなギャンブルをしてきましたが、やっぱり競艇ですね。(マネージャーに「回答してください」と促され)あっ、そっか!この人は、旦那だけを見ていればいいんですよ。争いがある場所は誰だって嫌、すぐに抜け出したほうがいいですよ。母親には「別居しますよ」と言ってみたらどうですか。4号艇がこなければ、もっといい回答ができたと思いますが、これで勘弁してください。「女性自身」2020年9月1日 掲載
2020年08月24日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(72)が、読者からの相談に答える!【Q】「彼氏をとられました!彼氏と一緒に行くはずだったライブに私が行けなくなり、チケットを友達にゆずったのがきっかけでした。何か効果的な復讐方法を教えてください!」(ピンサッシーさん・28・OL・静岡県)【A】「紙に『復讐』と書いて部屋に貼っておけばいい」(蛭子能収)なんかわからないけど(※編集部注:7月9日に放送された『主治医が見つかる診療所』(テレビ東京系)で、記憶力が著しく衰えたことから専門医を受診した蛭子さんは、アルツハイマー病とレビー小体病を併発している軽度の認知症であることを告げられた)、というわけで、人生相談は、今までどおり続けますね。何か役割を持ったほうが認知症にはいいみたいですよ。オレのテキトーな回答が役に立つとはまったく思いませんけどね……。この女の人は、かわいそうですが、男の人は、この彼氏だけではありませんからね。復讐なんて考えないほうがいいですよ。みっともない結果になったら恥ずかしいし、「私は負けた」と引き下がったほうがいいですよ。そしたら、次にいい男の人が見つかるかもしれませんよ。(マネージャー「20年ぐらい前、蛭子さんは、楽しみにしていた『プッチンプリン』を小学生の息子さんの友達が勝手に食べたことに怒って、漫画でその友達が火ダルマになる絵を描いて復讐していましたよ!」)あれ、そうだっけ。今それを言われると恥ずかしいですね。でも漫画で復讐するのはありだと思いますよ。それが面倒だったら、紙に「復讐」と書いて部屋の壁に貼っておけばいいですよ。すごく怖い部屋になりますけどね。「女性自身」2020年8月18日・25日合併号 掲載
2020年08月17日50歳を超えた私ですが、現在まだ子育ての終盤にいます。結婚と出産が遅かったこともあり、義母の認知症が始まったときには、2人目の子どもがまだ2歳になったばかりでした。子育てに介護に仕事にと慌ただしくしているうちに、15年近くが過ぎ去りました。そして半年ほど前、義母を見送り、そろそろ身の回りの整理をしていこうと思い始めたときのエピソードです。物に埋もれて生き埋めになりそう!!わが家は築40年以上と古く、昔からの物もたくさんあります。私が嫁に来たときには、私の嫁入り道具を入れるために、夫が頑張って曽祖父母の遺品を整理してスペースを作ってくれたようでした。それから約20年が経過。その間に家族が増えたり介護用品が増えたり……。当然のように現在はさらに物があふれている状態です。片付けが苦手な家族は、その一方で物を集める・ためることは得意。しまう場所もないのに次々と物を買ってしまうので、物が床に山積みとなり、結果として自分たちの居住スペースが段々と物に追いやられて狭くなっています。足の踏み場もないほどの物で埋め尽くされてしまっている部屋が、納戸のほかになんと3部屋もあります。すっきりした環境でストレスフリーになりたい更年期となった私は、そんな状態が我慢できなくなりました。ただでさえイライラすることが増え、ささいなことにも一喜一憂する毎日です。家の中でくらいゆっくりと気持ち良く過ごしたいのです。義母が生きている間は、どうしても義母の物を整理することができませんでした。「まだ生きているのにお義母さんの物を処分することなんて嫁の私にはできない」。そう思うと、さすがに気が引けてしまっていたのです。でも、義母の死をきっかけに、生きている家族が気持ち良く生活していくため思い切って断捨離をすることにしました。休みの日のたびに、朝から少しずつごみの分別をして、片付け始めました。物を捨てたら、思い出がよみがえった手始めに、おしゃれが好きだった義母の洋服をごみ袋に入れたところ、10袋を超えることになりました。捨てるのもひと苦労です。それから、部屋の中に積み上げられたいろいろな物を家族で協力して分別しながらごみ袋に入れていきました。「ずいぶん畳が見えてきたね」「こんな写真もあったんだ」と思い出話も交えながら、片付けを進めていきました。たくさんの物が山積みになった環境で育ったせいで、すっかり片付けが苦手になってしまった子どもたちも片付けに参加してくれました。すると、埋もれていた物から発掘した思い出をもとに、日々の夕食時にいろいろな話が出てくるようになったのです。家族の会話が増えたことで、家の中の見た目だけでなく心の中も明るくなっていきました。まとめ思ったことを心の中にため込んでしまうとイライラするように、家の中に物をためてしまうとイライラの原因になるのだと今回の断捨離で気付きました。また、断捨離をしたことで埋もれていた思い出を取り戻し、家族の会話に花を咲かせることもできました。これからは物をため込むことのないように心がけていきたいと思います。すっきりすることで、更年期のイライラもラクになると思いました。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
2020年08月16日自分は忘れっぽいほうではないと思っていましたが、加齢とともに物忘れがひどくなり、「もしかして若年性認知症になったのでは?」と心配になりました。ネット上にある認知症チェックをおこない、どうやら若年性認知症ではないと結論付けましたが、物忘れが改善されたわけではありません。今回は私がおこなっている物忘れの対処法を紹介します。加齢による物忘れと若年性認知症は別物私は物忘れに悩んでいます。電気の消し忘れ、買い物に行ったのに買い忘れ、郵便物の出し忘れ、伝言の伝え忘れなどは日常茶飯事。そんななかで「致命的な物忘れ」とも言える「ガスコンロの火を消し忘れたまま外出した」「旅先のホテルに携帯電話を置き忘れてきた」というようなレベルのものはまだ経験がありませんが、このままではいつかやってしまうのではないかと自分で自分が信用できません。学生のころは忘れ物が多いタイプではなかったですし、提出物も期限までに忘れず提出できていたので、「認知症になるにはまだ早い。53歳でこの忘れっぽさということは、もしかして若年性認知症になったのでは?」と心配になりネット上にある認知症チェックで確認してみたところ、認知症ではないとの結果にはなりました。ひとまず安心はしたものの、物忘れの問題が解決したわけではありません。この結果だったからこそ、自分で物忘れに対処していかなくてはならないと覚悟を決めました。物忘れで他人に迷惑をかけないために自分の物忘れのせいで自分が困るだけならまだ良いのですが、周囲に迷惑をかける結果になることだけは絶対に避けなければと思っています。私はフルタイムの正社員として仕事をしているので、特に物忘れによる仕事への影響が心配です。一緒に働いている同僚はもちろん、一番大切なのはお客様に迷惑をかけないようにすること。アポを忘れる、期限を忘れる、連絡を忘れる、確認を忘れるなどにより、契約トラブルなどが発生してしまったらと思うと毎日緊張の連続です。とりあえず、やるべきこと、覚えておくべきことはすべて手書きでメモするようにしています。手で書きながら改めて自分で内容をチェックし、そのミッションが完了したら二重線で消して確認。ある作業中に別の作業の依頼があったら、必ず作業の手を止めてやることリストに追加します。「あとで追加しよう」では、忘れるリスクが高まるのですぐ追加です。アポイントはパソコンのカレンダーに入力、そして個人携帯のカレンダーにも入力、さらに会社携帯のカレンダーにも入力して、卓上カレンダーにも手で書き込む……と4つのカレンダーに記載しています。会社での毎日は手書きメモ作戦と4つのカレンダー機能により、なんとか致命的な失敗をせずに乗り切っています。会社で頑張る分、家では少し緩めに私は毎朝シャワーを浴びてから仕事に行くようにしているのですが、シャワーを浴びながら頭をスッキリさせて1日の予定を確認しています。シャワー中なら余計な邪魔が入らずに自分が今日やるべきことを頭の中で整理することに集中できるので、物忘れ防止の効果を感じています。今日は会議が2つあって、時間は〇〇時と△△時、今日中に絶対に終わらせなければならない作業は◇◇、✕✕会社に電話して〇〇の件を確認……というように頭の中でスケジュールを整理すると、漏れなく1日のミッションを完了させることができます。仕事に全エネルギーを使って、帰宅するのは毎晩23時を過ぎるころなので、どうしても家でのプライベートな生活は二の次になってしまっています。しかし私のなかでは、家での時間は職場のような緊張感を持たなくても良い、リラックスしたものにしたいと考えているので、家では物忘れについても少し緩めに設定しているのです。とりあえず、火の元と戸締りだけは絶対に忘れないように気を付け、それ以外の、例えば「マヨネーズの買い忘れ」や「録画のし忘れ」などは、「まあ、いいか」とスルーするようにしています。まとめ私が調べたところによると、物忘れを自覚している場合は認知症ではなく加齢による症状であるとのこと。加齢は誰にでも平等に訪れるので、あとは自分で加齢に負けないように努力したり工夫したりするしかないと思いました。私の場合はメモを取る、別のカレンダーに予定を記載する、1日のスケジュールを頭の中で確認するという行動をクセにすることで、物忘れによる大きな失敗は避けられているように思います。周囲の人に迷惑をかけないように、これからも地道に続けていこうと考えています。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
2020年08月16日「『笑点』もリモートになっちゃいましてね。でもYou Tube始めたり、コロナ時間でもあんまり暇ではないんですよ。82歳にして元気だって?笑ってくれたらいいんですよ。いろいろやって、ときにはバカやって、自分も一緒になって笑うんです。それでひと様の命、助けたこともあるんだから。認知症とか、終活とか、そんなことが話題だけど、笑いとばせばいいんですよ。そうすればニッポンは明るくなりますよ――」世界一の長寿演芸番組『笑点』の人気者「木久ちゃん」こと、林家木久扇さん(82)は今年、落語家人生60年の節目を迎えた。長い落語人生、印象的だったことはたくさんある。そんななかでも、“人の命を助けた”エピソードを話してくれた。「そうそう、大袈裟ですけど、落語で人助けができたこともあるんですよ」それは01年10月、急逝した三代目古今亭志ん朝の告別式のあとのことだった。「葬儀のあと、用事があって地下鉄に乗って。すいた地下鉄の車内で僕、落ち込んでたんですよ。志ん朝さんと僕は1歳違いですから。『兄さん、無理して落語勉強しすぎちゃって、疲労がたたったのかな』なんて思いながらね。すると、向かいに座ってた初老の人が近づいてきたんです。ああ、いやだな、こんなときにサインかな、なんて思ってたら……」その初老の男性は「木久蔵さん、私、あなたにお話があるんです」と声をかけてきた。「聞けば奥さまに先立たれ、経営しているギャラリーもバブルが弾け絵がさっぱり売れないとかで。『もう、生きてるのが面倒くさくなって、死んじゃおうと思ってた。そしたらラジオからあなたの声が聞こえてきて』って。演芸番組で僕の落語を聴いたんだそうです」男性はさらに真剣な眼差しで、言葉を続けた。「それ聴いたらね、あまりにくだらなくて……、私は死のうとしてるのに、同世代の人がこんなくだらないこと喋ってる……、あ、これでいいんだな、そう思ってね。死ぬのを思いとどまったんです」そして「ありがとうございました」と、男性は頭を下げたという。「落語ってね、バカバカしくてもいいんです、くだらなくてもいい。う?んと笑っていただくことで、人助けにもなるんだなって。それはね、志ん朝さんの告別式のこととつながってるから、よく覚えてるんです」気づけば『笑点』では最古参となった木久扇さん。レギュラー出演を続けて、はや半世紀が過ぎた。「僕ね、司会者をこれまで5人、送ってるんです。だから(春風亭)昇太さんにシャレで言うんです、『座布団くれないと送っちゃうから』って(笑)。高座でウケるのは『私、5人の司会者を送っております、いつも香典は3万円ずつ、『笑点』は金がかかる』って話ね」木久扇さん自身、00年には胃がん、14年には喉頭がんを患った。「でもね、一晩で10万人以上が亡くなった大空襲を経験してますから。がんなんて自分1人の事件、たいしたことありません。それに僕のなかではあの空襲で一度、自分は死んだという思いがあって。あそこまでが第一幕と。だから、そこから先の人生は、『生きてて得した』と、ただただそういう気持ちなんです」昨今、流行りの終活については「あんなバカげたことはない」と一蹴してみせる。「終活してるその時間ってのは、死ぬことを考えてるんですよね。それはね、生きてるってことに対して、とっても失礼ですよ。そんな時間があるなら、おいしいものでも食べて笑ってたほうがいい。認知症が何かと話題ですよね、『自分がなったらどうしよう』と怯えてる人も多いようですけど。そんなもの、笑いとばせばいいんです。僕の理想の死に方はね、『お父さん、このごろ起きるの遅いの。ちょっと見てらっしゃいよ』『なんだかね、お父さん死んじゃってるみたいよ』『あ、そう……』って(笑)。こういうのが面白いっていうか、さっぱりしてていいんじゃないかな、と思うんです。人生を自分で見限って、早々に店じまいなどすることありませんよ。だから僕は終活なんてしない。広げたまんま、散らかしたまんま、いなくなっちゃうことにしています」「女性自身」2020年8月18・25日合併号 掲載
2020年08月14日“脳トレドリル”はたくさんあるけど、解いているだけで疲れちゃう……。でも、「瞬読」は見るだけで「右脳」がフル回転、簡単に認知機能を上げられる方法なんですーー。「体は意識して鍛えることができますが、頭の中はなかなか難しい。脳を鍛えるためには、多くの情報を『インプット』し、その情報を自分自身の知識として『アウトプット』することが重要になります。『瞬読』は、その最善のトレーニング方法。しかも、1日2〜3分、バラバラに並べられた文字を見るだけです!」そう語るのは、一般社団法人「瞬読協会」代表理事の山中恵美子さん(48)。「SSゼミナール」「APマスターズ」など全国で30校以上の学習塾を経営する株式会社ワイイーエスの社長も務めている。山中さんが出版した『1冊3分で読めて、99%忘れない読書術瞬読』(SBクリエイティブ)は、10万部の大ヒットを記録している。では、この「瞬読」とは、いったいなんなのだろうか。「高い理解度を保ったまま、短時間で本を読めるようになるためのメソッドを瞬読と呼んでいます。マスターすれば、ほんとうに1冊を3分で読むことができるようになります。しかし、これは“速読”とは違うのです。瞬読をするメリットは、“右脳の潜在能力”を引き出すことができる点にあります。これによって『記憶力』や『問題処理能力』の向上をはじめ、『創造力』なども高められるのです」空間把握や、芸術性、ひらめきをつかさどる右脳。アーティストなどは右脳を使うことに秀でているとされるが、ふつうの主婦にとっても右脳を鍛えることには大きな意味があるという。「右脳を鍛えることで、暗記力や集中力が高まる。すると、“直感”が冴えてくるんです。私たち人間は一日中、判断や決断をして生きています。あれかこれどちらを食べるか、あの人とこの人どちらに話しかけようか……というふうに。そしてその判断の基準は、直感にもとづいていることがほとんどです。右脳がしっかり鍛えられていて直感が冴えている人は、決断を迫られたときに、正しい選択ができるようになる。つまり瞬読のトレーニングは、即時的な判断が求められる場面で大きな力を発揮するのです」瞬読のメリットは、それだけではない。「瞬読のミソは、『インプット』と『アウトプット』。人間の頭は、アウトプットしたことはなかなか忘れないようになっています。テレビをただ見る(インプット)より、その番組についての話を友達とする(アウトプット)ほうが、番組の内容もはっきりと覚えられますよね。これを繰り返すことで、認知機能の向上にも一役買うのです。人の名前が覚えづらくなったという人もいると思いますが、このトレーニングを積めばもの忘れなども改善するはずです」では、具体的な瞬読のトレーニング法とは。『1冊3分で読めて、99%忘れない読書術瞬読』にはバラバラに並べられた文字の問題が掲載されている。そのバラバラに並べられた文字から元の言葉を類推し、頭にイメージを思い浮かべたあと、口に出してみる。「一見バラバラに並べられた文字ですが、並べ替えるとひとつの単語や文になっています。元の単語を類推して、そのイメージを思い浮かべてください。そして口に出して『アウトプット』しましょう」3秒ほど見ても答えが出なかったら、次の問題に移ってしまおう。答えは出せなくても、ちゃんとトレーニングになっていると山中さんは語る。「実は、この問題を解いている間、ふだん使っていない右脳がものすごく動いているんです。毎日これを見ていたら、柔軟運動を続ければ体が柔らかくなるように、パッと見ただけで答えが何なのかわかるようになります。まずは1日2〜3分、この問題を見るクセをつけましょう」「女性自身」2020年8月11日 掲載
2020年08月07日「体は意識して鍛えることができますが、頭の中はなかなか難しい。脳を鍛えるためには、多くの情報を『インプット』し、その情報を自分自身の知識として『アウトプット』することが重要になります。『瞬読』は、その最善のトレーニング方法。しかも、1日2〜3分、バラバラに並べられた文字を見るだけです!」そう語るのは、一般社団法人「瞬読協会」代表理事の山中恵美子さん(48)。「SSゼミナール」「APマスターズ」など全国で30校以上の学習塾を経営する株式会社ワイイーエスの社長も務めている。山中さんが出版した『1冊3分で読めて、99%忘れない読書術瞬読』(SBクリエイティブ)は、10万部の大ヒットを記録している。では、この「瞬読」とは、いったいなんなのだろうか。「高い理解度を保ったまま、短時間で本を読めるようになるためのメソッドを瞬読と呼んでいます。マスターすれば、ほんとうに1冊を3分で読むことができるようになります。しかし、これは“速読”とは違うのです。瞬読をするメリットは、“右脳の潜在能力”を引き出すことができる点にあります。これによって『記憶力』や『問題処理能力』の向上をはじめ、『創造力』なども高められるのです」空間把握や、芸術性、ひらめきをつかさどる右脳。アーティストなどは右脳を使うことに秀でているとされるが、ふつうの主婦にとっても右脳を鍛えることには大きな意味があるという。「右脳を鍛えることで、暗記力や集中力が高まる。すると、“直感”が冴えてくるんです。私たち人間は一日中、判断や決断をして生きています。あれかこれどちらを食べるか、あの人とこの人どちらに話しかけようか……というふうに。そしてその判断の基準は、直感にもとづいていることがほとんどです。右脳がしっかり鍛えられていて直感が冴えている人は、決断を迫られたときに、正しい選択ができるようになる。つまり瞬読のトレーニングは、即時的な判断が求められる場面で大きな力を発揮するのです」瞬読のメリットは、それだけではない。「瞬読のミソは、『インプット』と『アウトプット』。人間の頭は、アウトプットしたことはなかなか忘れないようになっています。テレビをただ見る(インプット)より、その番組についての話を友達とする(アウトプット)ほうが、番組の内容もはっきりと覚えられますよね。これを繰り返すことで、認知機能の向上にも一役買うのです。人の名前が覚えづらくなったという人もいると思いますが、このトレーニングを積めばもの忘れなども改善するはずです」この「瞬読」の原点は、山中さんがわが子のために考え出したものだという。「リーマンショックがあったとき、私は専業主婦だったんですね。主人の仕事がダメになって、文字どおりの一文なしになりました。子どもがそのとき小3と幼稚園で下の子の幼稚園の月謝2万5,000円もついに払えなくなった。どうやって生きていこうと……しかもそんなとき、長男が『塾に行きたい』って言いだしたんです」’08年、山中さんは一念発起し、小さな部屋を借りて自ら学習塾を経営することを決意した。「自分の子どものための塾なので、よそのような合格率を重視するのではなく、“自分の考えや意見を伝えられる子”を育てられるような塾を作ろうと思いました」受け身でテレビやネットから流れてくるニュースを見ているだけでは、自分の言葉で何も語ることはできない。「そんな子を育てるために、どんなことをしてあげたらいいか。それにはまず、本をたくさん読ませることによって、基礎学力や語彙力、知識を増やさないといけない。そして時間を無駄にしないためには、量だけでなく速く読ませることも重要だと思いました。そして編み出したのが瞬読でした」瞬読によって、子どもたちの判断力や思考力が磨かれていくことを山中さんは発見。「そして4年前、その力を磨くことに特化した教室を始めました。はじめ集まったのは興味を持った8人。その子たちに瞬読のトレーニングを1カ月間やってもらったところ、全員が8倍から10倍の量を読めるようになったんです」瞬発的な空間把握能力や判断力を磨きたいスポーツ選手、長ゼリフや小噺を覚える能力をつけたい俳優や落語家からも、瞬読は注目を集め始めているという。「瞬読の根幹にある『インプットしたらアウトプットする』ことは、小学生から高齢者まで、すべての人に効果があります。病院の待合室で雑誌を手に取ったら、何でもいいから記事をひとつ覚えて帰ってみてください。芸能記事を覚えたならそれを友人や家族に話してみる。レシピを覚えたなら、家で料理してみる。それがアウトプットになり、認知機能を向上させるのです」日常生活を送るなかで、インプットとアウトプットを実践する場はそこかしこにある。“瞬読トレ”で、認知症とはオサラバ!「女性自身」2020年8月11日 掲載
2020年08月07日「認知症と診断されたからといって、オレの中で何かが変わったということはありません。いきなりすべてわからなくなったわけでもないし、オレはオレのまま。いつもどおりの毎日が続いているような感じなんですけどね」そう語るのは、本誌連載「ゆるゆる人生相談」でおなじみの漫画家でタレントの蛭子能収さん(72)。あの蛭子さんが認知症にーー。7月9日に放送された『主治医が見つかる診療所』(テレビ東京系)で、記憶力が著しく衰えたことから専門医を受診した蛭子さんは、アルツハイマー病とレビー小体病を併発している軽度の認知症であることを告げられた。「物忘れがひどかったけど、年のせいかなと思っていたら、認知症と言われたことは、ショックと言えばショックかもしれません。ボケたらおしまいというイメージがあったし、何もできなくなると思っていたけど、オレ自身は普通に暮らしているし、認知症はそんなに怖いものじゃないと思いました。だから街を歩いていても『おう蛭子さん、認知症になったんだったね』とか明るく声をかけてもらっても、オレは全然、構わないんですけど……」と蛭子さんは語るが、認知症の公表には、家族に迷惑をかけたくないという思いもあった。とくにレビー小体病は、アルツハイマー病に次いで、認知症の主な原因になる病気で「レビー小体」という特殊なタンパク質が大脳に蓄積して、神経細胞を破壊。認知症の症状が進む。その特色は初期の段階で「幻視」があることだ。蛭子さんのマネージャーがこう証言する。「洗濯カゴの衣類を見て、奥さんが倒れていると思って叫んだり、デパートの売場の中を電車が走っていると言いだしたりと、少し前から幻視があったようです。また、日常生活でも、とくに朝や、夕方から晩にかけては混乱がはげしくなり、1人で入浴すると、髪を3回も4回も洗ってしまうことがあるようで、奥さんの介護が不可欠なときもあります。認知症の進行を遅らせるためにも、今後もできる範囲で仕事をしていきたいと蛭子本人も語っています。また周囲に認知症であることを理解してもらうことで、家族の負担が少しでも軽減できると思い、認知症であることをあえて公表しました」献身的に支える奥さんに対する感謝の言葉も蛭子流だ。「いろいろやってくれるんですよ、すごくありがたいと思っています。料理も手早くササッとやるし、うまい料理は……食パンですね!」すかさず隣にいたマネージャーが「それはダメです!せめてフレンチトーストにしてください!!」とダメ出しする。ボケているのか、狙っているのか、わからない切り返しは以前と変わらない。認知症であろうがなかろうが、蛭子さんは、蛭子さんだった!「女性自身」2020年8月18日・ 8月25日合併号 掲載
2020年08月04日「物忘れがひどかったけど、年のせいかなと思っていたら、認知症と言われたことは、ショックと言えばショックかもしれません。ボケたらおしまいというイメージがあったし、何もできなくなると思っていたけど、オレ自身は普通に暮らしているし、認知症はそんなに怖いものじゃないと思いました。だから街を歩いていても『おう蛭子さん、認知症になったんだったね』とか明るく声をかけてもらっても、オレは全然、構わないんですけど……」そう語るのは、本誌連載「ゆるゆる人生相談」でおなじみの漫画家でタレントの蛭子能収さん(72)。あの蛭子さんが認知症にーー。7月9日に放送された『主治医が見つかる診療所』(テレビ東京系)で、記憶力が著しく衰えたことから専門医を受診した蛭子さんは、アルツハイマー病とレビー小体病を併発している軽度の認知症であることを告げられた。レビー小体病は、アルツハイマー病に次いで、認知症の主な原因になる病気で「レビー小体」という特殊なタンパク質が大脳に蓄積して、神経細胞を破壊。認知症の症状が進む。「いつか本当に何もわからなくなってしまうかもしれないと考えると、すごく怖くなってしまいます。でも、認知症になっても、仕事はできると思いますよ。今までも総理大臣の名前は覚えていないけど、競艇選手の名前は今でもしっかり頭に入っているように、好きなことは覚えているけど、興味がないことは流してきました。だから、正直、認知症になった実感はありません。オレにしてみれば、みんなが面白がってくれたら楽しいし、体が元気だから、働けるうちは、働きたいですね。仕事でもあまり気を使わないで、これまでどおり付き合ってくれたらうれしいですね」漫画家、タレントと同じように、肩書として「認知症」がついたようなものだと語る蛭子さんに多くのエールが寄せられた。とくにタレントの有吉弘行(46)は、7月12日のラジオ番組『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』(JFN系)でも「本人がよければ復帰して元気にやってほしい」と語り、また、マツコ・デラックスとの番組『マツコ&有吉かりそめ天国』(テレビ朝日系)でも、「アルツハイマーになったらテレビ出ちゃいけないのか、仕事しちゃいけないのか、何にもできないのかということになるもんね。一生懸命やってほしい」とコメント。「有吉さんは、テレビの世界での昔からの仲間。オレを気にかけてくれていることは、マネージャーから聞いて知っています。芸能界は、注目されないとどんどんヘコんで(落ち目になって)いきますが、有吉さんは毒舌だけど、オレが認知症になる前からオレを取り上げて、無料で宣伝してくれます。きっとオレのことが好きなんでしょうね。本当は会ってお礼をしたほうがいいでしょうけど、オレは話すのが苦手だから。有吉さんが勝手に話してくれて、オレは黙ってるだけでいいんなら別に会ってもいいですけど……、(マネージャーを見て)やっぱり『また会いたいな』ということにしてください」頭をポリポリしながら笑顔を見せる蛭子さん。’25年には65歳以上の5人に1人が認知症になるといわれ、認知症の人が当たり前にいる社会が目の前にある昨今。蛭子さんが働き続ける姿は、認知症の人やその家族に勇気を与えるかもしれない。「漫画家仲間の根本敬さんは『これからは100号とか大きな絵を描いてみたら』とアドバイスをしてくれました。面倒くさいということはないけど、絵を描くよりも、ギャラがよくて、楽に稼げるテレビの仕事がしたいです」認知症であろうがなかろうが、蛭子さんは、蛭子さんだった!「女性自身」2020年8月18日・ 8月25日合併号 掲載
2020年08月04日「新型コロナウイルスによる健康問題はいろいろ指摘されていますが、中高年以上の層で全体的に共通しているのは、ストレスによる血糖値の上昇傾向です」こう話すのは工藤内科の副院長で、糖尿病内科医の工藤孝文先生。「実際、私の患者さんで、コロナ禍でも運動量にも食事にも変化はなかったのに、血糖値が上がったという人が少なくありません。その原因は、連日のコロナウイルスについてのニュースなどによるストレスではないかと考えられます」(工藤先生・以下同)通常、血糖値が上がる理由は、食事が関係している。血中のブドウ糖の量が多くなってくると、すい臓から分泌されるインスリンが糖を脂肪に変え、体は脂肪細胞をため込むようになる。ところが、血中の糖が増えすぎると、インスリンの糖分解が追いつかなくなって糖尿病になる。さらに体脂肪が増え続けると、血糖が血管を傷つけて炎症を発生させたり、血管を詰まらせるようになるのだが、多くの場合はその前に、食事や運動、あるいは服薬で血糖をコントロールする。しかし、ストレスはアドレナリンなど血糖値を上げる作用のあるホルモンを分泌させるため、余計に注意が必要となるのだ。しかも、高血糖は糖尿病だけでなく、新型コロナウイルス感染症の重症化のリスクを高めることもわかっている。「ですが早めに対策をとれば、改善が可能です。いまの生活習慣に少し足すだけでできることがあります」それが次の「3分間早歩き」だ。基本の「3分間早歩き」で「メリハリ歩き」を行う。■基本の3分間早歩き【1】一歩踏み出すやや大股で足を踏み出し、かかとから着地する。かかとに少し衝撃が加わる程度に。ひじは90度くらいに曲げ、手は軽く握る。【2】後ろ足で蹴り出す前足の足裏を全部地面につけ、体重を移動させながら後ろ足のつま先で蹴り出して前進する。※正しい姿勢で体重移動を意識して、前を向いて歩こう。【3】逆の足を踏み出す2で前足に完全に体重移動したら、逆の足を同様に踏み出して、かかとから着地する。【4】リズミカルに繰り出す同様に後ろの足で蹴り出す。体重を後ろから前に移動し、左右に揺れないようにすること。■効果を上げるメリハリ歩き【基本姿勢】まっすぐに立つ頭のてっぺんから糸でつるされているように背筋を伸ばして立つのが基本。耳、肩、足の付け根、くるぶしが一直線になるように。【普通歩き】軽いウオーキング(3分)自然な歩幅で、自然な呼吸を保って歩く。姿勢、視線などはきちんと意識して。最初は普通に歩いてウオーミングアップ!3分ごとにスピードコントロール。【早歩き】息が上がる早歩きを(3分)歩幅を広げ、ひじを90度に構え、腕を大きく振って速度を上げて早歩きをする。すこし息が上がる程度に。※歩幅は身長×0.45〜0.5(160センチの人なら72〜80センチ)「やや大股」で、「少しきつい」と感じる速さで3分間歩き、その後普通の速度に戻す。また3分したら早歩きし、3分後に普通の速度に戻す……。これを繰り返すだけだ。もし、3分がきつければ、1〜2分でもかまわない。「『3分間早歩き』で、血糖値をコントロールできると、インスリンによるアミロイドβの分解が促進され、アルツハイマー型認知症の予防も期待できる。さらに、代謝バランスを整えてくれる幸せホルモン(セロトニン)はうつの予防、睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌は睡眠促進など、健康面だけでなく美容面でも嬉しい効果が期待できます」「女性自身」2020年8月11日 掲載
2020年08月03日’00年に介護保険制度がスタートし、認知症などの高齢者の介護は家庭だけでなく、社会全体で取り組むことになった。ところが介護を理由とした家族間での殺人の件数は減らず、厚生労働省の統計によると年間20〜30件起きている。2週間に1件程度の頻度で、介護殺人が起きている計算だ。同調査によると、加害者の3割から4割が女性で、女性が男性を上回ることは一度もなかった。しかし、「異変が起きている」と語るのは、日本福祉大学社会福祉学部教授で『介護殺人の予防』(クレス出版)の著書がある湯原悦子先生だ。「介護殺人の加害者の男女比率は長年この割合で推移してきましたが、今年1月から7月までを調べてみると、女性が加害者である割合が増加しているんです」次の「2020年に起きた介護が理由とみられる死亡事件」を見てほしい。湯原先生が独自に調べた、今年に入ってから7月21日現在までに起きた15件の介護殺人の内容だ。加害者が女性のケースは9件と、男性を上回っている。■2020年に起きた介護が理由とみられる死亡事件(※年齢は逮捕当時。湯原先生の調査を基に本誌が作成。高齢者に対する介護を原因とした死亡事件に限った)【1月2日・神奈川県相模原市】容疑者/加害者:娘(53)1月6日、85歳の母親の遺体を自宅に放置したとして、死体遺棄の疑いで娘を逮捕した。5日に自ら通報して発覚。娘によると母は2日に亡くなったという。遺体の顔面や上半身に内出血があり、「たたいたことはある」と供述している。【1月7日・静岡県伊豆の国市】容疑者/加害者:息子(54)1月7日、警察が衰弱した母親を自宅で見つけ、病院に搬送されたが、死亡した。81歳の母親は歩行困難だったが、介護をしていた息子は1月5日朝に家出。3月12日に発見され、保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕された。【1月28日・愛知県東海市】容疑者/加害者:夫(79)夫は「妻を刺した」と長男に電話し、長男が通報。駆け付けた警察官が72歳の妻の遺体と意識不明の重体の夫を発見した。夫妻は2人暮らし。夫は周囲に妻の介護に悩んでいると漏らしていたといい、心中を図ったとみられる。【2月3日・宮城県気仙沼市】容疑者/加害者:妻(69)妻が親戚に「夫を殺してしまった」と連絡し、事件が発覚。目が不自由な74歳の夫は日常的に介護が必要だった。妻は「介護に疲れた」と供述し、警察は殺人の容疑で妻を逮捕。近所の人たちの証言によると、2人は仲むつまじい夫婦だったという。【2月4日・宮城県仙台市】容疑者/加害者:妻(69)、息子(43)2月2日、末期がんで体が不自由な78歳の夫を放置して、妻と長男が外出。3月未明に、妻の通報で救急搬送されたが、4日午前に死亡。妻と長男は保護責任者遺棄容疑で逮捕、送検されたが、3月6日に仙台地検は妻と長男を不起訴とした。【3月2日・兵庫県明石市】容疑者/加害者:息子(41)マンションの一室で72歳の母と息子が倒れていると、親族が通報。母はすでに死亡しており、意識不明だった息子も病院搬送後に死亡が確認された。母は認知症を患い息子が介護していた。無理心中だとみられている。【3月7日・埼玉県羽生市】容疑者/加害者:妻(71)「夫を殺した」と妻が自ら通報。「介護に疲れていた」と供述し、72歳の夫を、首を絞めて殺害した容疑で逮捕された。妻の首や手首には切り傷があり、無理心中を図ったとみられている。【4月7日・東京都杉並区】容疑者/加害者:夫(82)夫は「母さんが死んだ。俺も後を追う」と長女に電話。長女が通報して、事件が発覚した。81歳の妻は要介護3だった。夫は「将来を悲観して一緒に死のうと思ったが、死ねなかった」と供述、殺人容疑で逮捕された。【4月18日・大阪府大阪市】容疑者/加害者:息子(57)特別養護老人ホームに入所した91歳の母を毎日のように見舞っていたが、新型コロナの流行で面会が禁じられ、4月17日に自宅に引き取った。翌日の夜、母を殺害し、自身も自殺。「母に『死にたい』と言われ、糸が切れた」という遺書が残されていた。【4月28日・宮城県仙台市】容疑者/加害者:娘(68)強い足の痛みを抱える94歳の母が「早く逝きたい」と言うように。娘は多量の睡眠薬を混ぜたジュースを飲ませ、座布団で顔を押さえつけて母を窒息死させた。嘱託殺人の罪に問われ、7月15日に検察は懲役3年を求刑。判決は8月19日予定。【5月5日・埼玉県さいたま市】容疑者/加害者:娘(26)60歳の母を殺害し、娘が自ら110番通報した。母と娘の2人暮らしで、「3年ほど前に脳の病気で体が不自由になった母を、自分が介護をしていた」と供述し、「介護に疲れた」と容疑を認めているという。【5月14日・茨城県利根町】容疑者/加害者:妻(73)5月14日、呼び鈴を押しても応答しないことを不審に思ったデイサービス施設の職員が長男を呼び出して確認したところ、死後数日が経過した夫婦の遺体が見つかった。介護が必要だった77歳の夫は首を絞められた痕があり、妻は首をつっていた。【6月5日・神奈川県小田原市】容疑者/加害者:妻(73)83歳の夫と妻、長男次男と4人暮らしだった。5日午前0時ごろ、妻は夫の首を絞めて殺害。妻に起こされて、事情を明かされた長男が通報し、事件が発覚。妻は「夫の介護に疲れた」と供述し、殺人容疑で逮捕された。【6月18日・沖縄県南風原町】容疑者/加害者:妻(72)6月18日夕、同居している家族が帰宅すると、意識不明の76歳の夫と妻を発見。介護が必要な状態だったという夫は搬送先の病院で死亡した。自殺を図ったとみられる妻は、意識が回復後に「介護に疲れた」と供述し、殺人容疑で逮捕された。【7月11日・鹿児島県知名町】容疑者/加害者:息子(70)90歳の母親を複数回殴打した翌日、ぐったりとしているのに気づき、息子自らが通報。息子は寝たきりの母を介護しながら2人暮らしだったが、介護を巡って親子で対立があったと伝えられている。「妻が夫を殺害し、その後、自らも命を絶とうと無理心中を図っても死にきれなかったという事例が増えています。気がかりなのが、加害者となった女性が、一様に『介護に疲れて』と動機を語っていること。これまで『介護に疲れた』という理由で肉親を殺害するケースは比較的男性に多かったのです」(湯原先生)いったいどうすれば、最悪の事態を防ぐことができるのだろうか。「まずは介護する人は、自分も支援される立場だということを認識することが大事です。介護者(ケアラー)支援の先進国であるイギリスやオーストラリアではすでに法整備されていて、介護者に対して休暇取得や現金支給、カウンセリングなどのサービスが提供されています。今年3月には埼玉県で、全国初となる『ケアラー支援条例』が施行。介護事業者や医療機関を通じて介護者が抱える課題を聞き取り、具体的な支援につなげることを法制度化しました。この動きが全国に広がっていくことが求められています」(湯原先生)湯原先生は、こんなアドバイスをしてくれた。「たとえば、要介護者の4分の1を占める認知症の場合、家族である介護者は『戸惑い・否定』『混乱・怒り・拒絶』『割り切り・あきらめ』『人間的・人格的理解』という4段階の心理的ステップを必ずたどります。介護殺人は第2段階にとどまっている人が、1人で苦しんだ末に事件を起こしているケースが少なくありません。とくに親など自分が大切な人が、訳のわからない言動をすることで戸惑い、そして混乱や怒りの感情を抱いて『今が最悪』な状況と思ってしまうのです」早く次の「割り切り・あきらめ」の段階に進むことが重要だという。「この段階になれば、さまざまなサポートを受け入れられるようになり、介護者がイライラせずに、肩の力を抜いて穏やかに暮らすことが可能になります。第2段階から第3段階に進むためには、他人の介護の体験談から学ぶことです。多くの体験を聞くことで、自分の状況を相対的に見ることができたり、心構えができたりするのです」(湯原先生)認知症患者とその家族の交流の場「認知症カフェ」を開催している目白MMクリニックの内田暁彦院長が語る。「認知症の症状を止めるのは困難です。私ができるのは、患者と家族が自分らしい生活を続けられるよう寄り添い続けることです。心身の負担が大きい介護者が語り合い、情報交換をする場は、問題を共有することで介護者の気持ちが少し楽になるという効果も。またデイサービスも、患者さんのためだけではなく、介護者にとって自分の時間を作るためにも活用するようにしてください。介護の苦しみは永遠に続くわけではありません。1人で抱え込まずに、仲間を作ることも大切。公的な介護サービスを利用したりして負担を分散することが重要です」もし、自分や周囲の人が介護によって追い詰められる事態になれば、どうすればいいのか?「病院や医師だけでなく、住んでいるところの地域包括支援センターや役所、地域の家族会など、介護の不満やSOSが言える場所をいくつか確保しておくほうがいい。また、社会としても、困難に陥っている介護者を早く見つけ出して、いかに手を差しのべるかが課題なのです」(内田院長)介護殺人を回避するためには、介護者の心の余裕と社会のサポートが欠かせないようだ。「女性自身」2020年8月11日 掲載
2020年07月30日介護の疲れから、身内の苦痛を見るのがつらくて……親族に手をかけてしまう“介護殺人”は長年の社会問題だ。だが、コロナ禍で起こり方に変化の兆しがあるというーー。’00年に介護保険制度がスタートし、認知症などの高齢者の介護は家庭だけでなく、社会全体で取り組むことになった。ところが介護を理由とした家族間での殺人の件数は減らず、厚生労働省の統計によると年間20〜30件起きている。2週間に1件程度の頻度で、介護殺人が起きている計算だ。同調査によると、加害者の3割から4割が女性で、女性が男性を上回ることは一度もなかった。しかし、「異変が起きている」と語るのは、日本福祉大学社会福祉学部教授で『介護殺人の予防』(クレス出版)の著書がある湯原悦子先生だ。「介護殺人の加害者の男女比率は長年この割合で推移してきましたが、今年1月から7月までを調べてみると、女性が加害者である割合が増加しているんです」次の「2020年に起きた介護が理由とみられる死亡事件」を見てほしい。湯原先生が独自に調べた、今年に入ってから7月21日現在までに起きた15件の介護殺人の内容だ。加害者が女性のケースは9件と、男性を上回っている。■2020年に起きた介護が理由とみられる死亡事件(※年齢は逮捕当時。湯原先生の調査を基に本誌が作成。高齢者に対する介護を原因とした死亡事件に限った)【1月2日・神奈川県相模原市】容疑者/加害者:娘(53)1月6日、85歳の母親の遺体を自宅に放置したとして、死体遺棄の疑いで娘を逮捕した。5日に自ら通報して発覚。娘によると母は2日に亡くなったという。遺体の顔面や上半身に内出血があり、「たたいたことはある」と供述している。【1月7日・静岡県伊豆の国市】容疑者/加害者:息子(54)1月7日、警察が衰弱した母親を自宅で見つけ、病院に搬送されたが、死亡した。81歳の母親は歩行困難だったが、介護をしていた息子は1月5日朝に家出。3月12日に発見され、保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕された。【1月28日・愛知県東海市】容疑者/加害者:夫(79)夫は「妻を刺した」と長男に電話し、長男が通報。駆け付けた警察官が72歳の妻の遺体と意識不明の重体の夫を発見した。夫妻は2人暮らし。夫は周囲に妻の介護に悩んでいると漏らしていたといい、心中を図ったとみられる。【2月3日・宮城県気仙沼市】容疑者/加害者:妻(69)妻が親戚に「夫を殺してしまった」と連絡し、事件が発覚。目が不自由な74歳の夫は日常的に介護が必要だった。妻は「介護に疲れた」と供述し、警察は殺人の容疑で妻を逮捕。近所の人たちの証言によると、2人は仲むつまじい夫婦だったという。【2月4日・宮城県仙台市】容疑者/加害者:妻(69)、息子(43)2月2日、末期がんで体が不自由な78歳の夫を放置して、妻と長男が外出。3月未明に、妻の通報で救急搬送されたが、4日午前に死亡。妻と長男は保護責任者遺棄容疑で逮捕、送検されたが、3月6日に仙台地検は妻と長男を不起訴とした。【3月2日・兵庫県明石市】容疑者/加害者:息子(41)マンションの一室で72歳の母と息子が倒れていると、親族が通報。母はすでに死亡しており、意識不明だった息子も病院搬送後に死亡が確認された。母は認知症を患い息子が介護していた。無理心中だとみられている。【3月7日・埼玉県羽生市】容疑者/加害者:妻(71)「夫を殺した」と妻が自ら通報。「介護に疲れていた」と供述し、72歳の夫を、首を絞めて殺害した容疑で逮捕された。妻の首や手首には切り傷があり、無理心中を図ったとみられている。【4月7日・東京都杉並区】容疑者/加害者:夫(82)夫は「母さんが死んだ。俺も後を追う」と長女に電話。長女が通報して、事件が発覚した。81歳の妻は要介護3だった。夫は「将来を悲観して一緒に死のうと思ったが、死ねなかった」と供述、殺人容疑で逮捕された。【4月18日・大阪府大阪市】容疑者/加害者:息子(57)特別養護老人ホームに入所した91歳の母を毎日のように見舞っていたが、新型コロナの流行で面会が禁じられ、4月17日に自宅に引き取った。翌日の夜、母を殺害し、自身も自殺。「母に『死にたい』と言われ、糸が切れた」という遺書が残されていた。【4月28日・宮城県仙台市】容疑者/加害者:娘(68)強い足の痛みを抱える94歳の母が「早く逝きたい」と言うように。娘は多量の睡眠薬を混ぜたジュースを飲ませ、座布団で顔を押さえつけて母を窒息死させた。嘱託殺人の罪に問われ、7月15日に検察は懲役3年を求刑。判決は8月19日予定。【5月5日・埼玉県さいたま市】容疑者/加害者:娘(26)60歳の母を殺害し、娘が自ら110番通報した。母と娘の2人暮らしで、「3年ほど前に脳の病気で体が不自由になった母を、自分が介護をしていた」と供述し、「介護に疲れた」と容疑を認めているという。【5月14日・茨城県利根町】容疑者/加害者:妻(73)5月14日、呼び鈴を押しても応答しないことを不審に思ったデイサービス施設の職員が長男を呼び出して確認したところ、死後数日が経過した夫婦の遺体が見つかった。介護が必要だった77歳の夫は首を絞められた痕があり、妻は首をつっていた。【6月5日・神奈川県小田原市】容疑者/加害者:妻(73)83歳の夫と妻、長男次男と4人暮らしだった。5日午前0時ごろ、妻は夫の首を絞めて殺害。妻に起こされて、事情を明かされた長男が通報し、事件が発覚。妻は「夫の介護に疲れた」と供述し、殺人容疑で逮捕された。【6月18日・沖縄県南風原町】容疑者/加害者:妻(72)6月18日夕、同居している家族が帰宅すると、意識不明の76歳の夫と妻を発見。介護が必要な状態だったという夫は搬送先の病院で死亡した。自殺を図ったとみられる妻は、意識が回復後に「介護に疲れた」と供述し、殺人容疑で逮捕された。【7月11日・鹿児島県知名町】容疑者/加害者:息子(70)90歳の母親を複数回殴打した翌日、ぐったりとしているのに気づき、息子自らが通報。息子は寝たきりの母を介護しながら2人暮らしだったが、介護を巡って親子で対立があったと伝えられている。「妻が夫を殺害し、その後、自らも命を絶とうと無理心中を図っても死にきれなかったという事例が増えています。気がかりなのが、加害者となった女性が、一様に『介護に疲れて』と動機を語っていること。これまで『介護に疲れた』という理由で肉親を殺害するケースは比較的男性に多かったのです。男性は認知症になった妻や親の介護を抱えても、周囲に悩みを打ち明けたり、何かに頼ったりしない傾向があります。思いどおりにいかない介護を1人で背負い、あるとき何かがポキンと折れるように事件を起こしてしまうケースが多いのです」(湯原先生・以下同)一方、女性の場合、介護のことを育児と同じように身近な話題として、友人や知人、職場などで愚痴や悩みを共有しやすいという。「女性に多い動機は、夫や親など、介護している対象の『苦しみを終わらせてあげたい』というものが多かった。しかし、ここにきて、介護疲れを理由とした女性の事件が増えているのです」いったい、何が起こっているのだろうか?「『介護に疲れて』という動機は『将来を悲観して』という動機と表裏一体。この先、よくなるとは思えない暗い将来を憂い、介護を続ける気力を失い、“ならば一緒に死んでしまおう”、という発想になってしまう女性が増えているのかもしれません」昨年は「老後資金2,000万円不足問題」など、老後の不安が拡大する話題が多かった。そして、今年は新型コロナウイルスの感染が拡大。他者との交流がしづらく、悩みを共有する機会を失ったり、将来への不安を深めたりしている人は多い。そんな時代背景が介護している女性を追い込んでいるのかもしれない。「女性自身」2020年8月11日 掲載
2020年07月30日大反響の「ゆるゆる人生相談」を一挙108本収録した、世界一ゆるい自己啓発本『笑われる勇気』(光文社・900円+税)も発売中の“世界一ゆるい70代”となった蛭子能収(72)が、読者からの相談に答える!【Q】「コロナ禍で旅行ができずに悶々と。夏には夫婦で南米マチュピチュに行く予定でしたがキャンセルに。旅がなければ楽しみもない!面白いことがない!旅行好きにはツラいですよ」(オットー太郎さん・65・無職・東京都)【A】「旅に行かなくても、身近に面白いことはたくさんある」(蛭子能収)オレも旅行が好きですが、行けなくても苦痛ではありません。旅番組がコロナの影響で撮影ができないのは困りますけどね。最近はよく散歩しています。近くにすごくいい公園があるんですが、そこの芝生に座って、おしゃべりに夢中になっているお母さんたちの子どもがトコトコ歩いている姿を見ながら「迷子にならんかな、そうなったらオレが助けるのに」とワクワクしながら見ています。わざわざ旅に行かなくても、身近にも面白いことが多いんじゃないかと思いますよ。オレがよく散歩に行くのは、テレビ東京の『主治医が見つかる診療所2時間スペシャル』で認知症と診断され、少しでも進行を遅らせるため。ただ認知症と言われたからといって、オレが突然、変わったわけではありません。女房には迷惑をかけているみたいで、それには感謝していますが、これまでと同じように過ごしています。認知症がどんなもんか、いろんな人に知ってもらうためにも、この人生相談は続けてみようかと思っています。「女性自身」2020年7月28日・8月4日合併号 掲載
2020年07月27日老後2,000万円が不足するとの報道が出て以降、老後資金について心配する人が増えているようです。実際のところ、老後にはどのくらいの金額が必要になるのでしょうか。本記事では、老後のために備えておくべき金額の目安や考え方、具体的な貯蓄方法について、実際の事例を紹介しながら詳しく解説します。老後資金の蓄えはなぜ必要か老後の生活資金というと、真っ先に年金を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。「老後は年金をもらうから、老後資金の準備なんて必要ない」、なんて思っている人は少なからずいるのではないかと思います。そんな風に思っている人に質問です。みなさんは老後にいくら年金をもらえるかご存知でしょうか。年金事務所などから定期便で支払い状況が送られてきますが、見てもイマイチいくらもらえるのかわからない、と思っている人は多いのではないかと思います。ここからは平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況をもとに解説します。共働き世帯の夫婦が定年退職後もらえるお金夫婦が共働きの会社員だった場合、もらうことができる年金は次のようになります。ちなみに、20歳から60歳までもれなく保険料を納めた場合の金額です。男性:平均受給月額165,000円女性:平均受給月額103,000円会社員の場合は、国民年金のほかに厚生年金がもらえるので、自営業者に比べるともらえる年金額が多くなります。内訳としては、国民年金で約56,000円が支給され、残りの部分が厚生年金部分です。厚生年金部分は収入に応じて金額が変化するため、女性よりも男性の年収のほうが高い傾向になるので上記のように差が出ます。夫婦合わせればある程度の生活は可能かもしれませんが、仮に独身者だったとすると新卒の初任給にも満たないような金額ですから、現役時代を比べてかなり生活レベルは落ちてしまうことが予想されます。自営業者1人世帯の年金額とは年金額で注意が必要なのが自営業者の方です。自営業者は厚生年金に加入していないので、月額の受取額は約56,000円しかありません。正直なところ金額的にはバイト代のような水準なので、とても生活費が足りるとは思えませんよね。貯蓄などの蓄えが一切ない状態で老後を迎えてしまうと、事実上生活していくことができないと思う必要があります。資産形成か生涯現役かかつての老後生活というと、定年退職して悠々自適の生活を送るイメージがあったかもしれませんが、現在では退職金制度がない企業も増えてきたこともあり、定年退職せずに生涯現役で働くことが想定されてきています。そのため、定年退職後に楽しく気ままに余生を送りたいと考えているのであれば、若いうちからしっかりと資産形成しておくことが必須なのです。このように国民年金の水準が非常に低いのは、事前の資産形成か生涯現役のどちらかを国民に迫っているからといえるでしょう。定年後までに準備すべき金額の目安事前の準備なくして悠々自適な老後はないことがお分かりいただけたところで、次に具体的な金額について考えてみましょう。一体老後はいくらの収入があれば、問題なく暮らしていけるのでしょうか。老後必要になる金額についてはさまざまな推計がされていますが、大前提として考えなければならないのが今現在の消費支出額です。よく年収別に必要となる消費支出の目安について論じられることがありますが、実際のところ消費支出額を考える上で大切なことは、自分自身の生活水準を把握することにあります。夫婦共働きしていた世帯なのか、自営業者の1人世帯なのかによって受け取れる年金額に大きな差が生じることから、準備すべき目安となる金額は世帯によって変わってきます。夫婦2人暮らし世帯の必要額平成29年の総務省「家計調査報告(家計収支編)」によると、高齢者夫婦世帯が1ヶ月に消費する金額の平均は合計で263,717円だそうです。夫婦が現役時代に共働きだったとすると、年金月額は268,000円なのでギリギリ足りる可能性がありますが、医療費が変動する可能性も踏まえて考えると、予備費として毎月3万円程度は確保しておきたいところです。そうすると年間で36万円、老後生活20年と仮定して720万円程度が事前に準備すべき必要額といえます。自営業の単身世帯の必要額自営業で単身者となると、年金額は国民年金の約56,000円なので生活費としては全く足りなくなります。仮に年間200万円で生活すると仮定したとしても、年金で賄えるのは672,000円だけで、残りの1,328,000円は別で準備しなければならないのです。ここまでの金額になると、貯蓄を切り崩すだけでは非常に厳しいので、老後もある程度の収入が得られるような対策が必要になってきます。そうはいっても、現役世代の方からすると、老後資金の不足と聞いてもなかなか実感が湧かないのではないでしょうか。そこで次項では、老後生活を甘く見ていたせいで生活が破綻しかけてしまった事例についてご紹介したいと思います。下流老人が増えるわけ最近下流老人が増えているという報道を時々耳にします。下流老人とは生活水準が低い老人のことで、悠々自適とはほど遠い老後を送っている人たちのことをいいます。下流老人と聞くと、現役時代もあまり高給取りではなかったのではないか、と思うかもしれませんが、実は下流老人の多くは年収800万円以上稼いでいた一流サラリーマンだったケースも多いのです。では、なぜそんな人まで下流老人になってしまうのでしょうか。[adsense_middle]下流老人の実例私が実際に聞いた実例についてお話ししたいと思います。現役時代は年収1,000万円という高給取りだったXさんが定年退職された後の話です。結論からいうと、この方は最終的に自己破産のスレスレまで行ったのですが、その原因がなんだったのかについて探ってみましょう。高額の退職金が出たのに一流企業に勤務していたXさんは、定年退職する際に2,000万円ほどの退職金が支給されました。これだけでもかなり高額ですが、そのほかにも現役時代の預金として500万円を蓄えていたそうです。一見すると老後の好スタートを切っているように見えるかもしれませんが、Xさんは退職金と預金の一部を使い、老後の住まいとして都心部のタワーマンションを購入したのです。そして、これがのちに大きな痛手となります。引越した当初は、年金と貯蓄で十分生活ができていて何不自由ない生活を送っていたのですが、あることをきっかけに少しずつ歯車が狂い始めます。妻の認知症が発覚老後生活を始めた間もなく、奥さんが認知症になってしまい、自宅での介護が難しいと考えたXさんは奥さんを介護施設へ入所させることを選択したのです。介護施設は費用が安いところはなかなか入所ができない状況で、契約したところは月額10万円以上するような施設しか見つかりませんでした。それでもXさんは年金でまかなえるだろうと見込んで、奥さんの介護施設への入所を決断したのです。増える医療費で生活が維持できない奥さんの介護施設への費用を支払うと、生活に当てられる金額はわずか数万円だったそうです。それでもなんとか人並みの生活はできていたそうですが、Xさんを次なる不幸が襲います。持病の腰痛が悪化し、病院への定期的な通院が必要になり、月額の医療費がかさみ始めたのです。若いうちは医療費といっても、大きな手術をしなければそこまで多くの金額がかかることがないため、真剣に向き合う機会が少ないかもしれません。老後の医療費というのは若いころとは違い、治療して終わりというものではなく、数年や一生涯治療を継続していかなければならない持病にかかってしまうことがよくあるのです。今は医療が進歩しているので、かなり多くの病気は治療によって助かるようになりましたが、その一方で助かるが故の継続的な医療費負担という問題が出てきています。例えば、がんでも手術で除去して終わればよいのですが、継続的に薬などで治療が必要になるケースでは、医療費がランニングコストとして重くのしかかるのです。医療費は健康や命に関わる部分なので、支出の中でもどうしても削ることができません。Xさんの事例のように、自身や家族が病気になったことで生活が維持できなくなったという人は少なくないのではないでしょうか。消費者金融からの借り入れは危険結局Xさんは年金だけでは生活が維持できなくなったせいで、ついに消費者金融から借金をすることになってしまいました。最初は数万円程度で軽い気持ちだったようですが、毎月のキャッシュフローが赤字だと、借金も毎月積み重ねていくことになってしまうので、気がついたときには数百万円の借金ができてしまったのです。子供に相談すればよかったのではと思う人もいるかもしれませんが、現役時代にそれなりの収入があった人ほど子供に頼りたくないと強く思う傾向があります。この方も子供に迷惑をかけたくないという理由から、相談はしなかったそうです。自宅を売却して賃貸にXさんは最終的には老後の住まいとして購入したタワーマンションを売却し、それで得たお金を使って借金を完済し、自身は家賃6万円程度のアパートに引越したそうです。しかも、売却価格は購入時の7割くらいにまで落ちてしまったため、実質的には退職金をほぼ失ったような形になってしまいました。幸い自己破産を免れたそうですが、人によってはこのような状況で自己破産に追い込まれてしまう人は少なくないのではないでしょうか。老後生活の困窮を回避する3つのポイントXさんの実例をもとに、老後安定した生活を送るためのポイントについて考えてみたいと思います。ポイント1:退職金を一気に使い切らない退職金が出る人は非常にラッキーですが、今回の事例のように一括でマンションを買うなど一気に消費してしてしまうと、その時はよくてもXさんのように奥さんの認知症など後発的な状況に対応できなくなる可能性があります。そのため、退職金はできるだけ全額を使うことはせず、ある程度の金額を手元に残しておくことをおすすめします。また、どうしても新居の購入やリフォームなどでまとまったお金を支出する際には、事前に人間ドックを受けるなどして自分や家族の健康状態を把握してから判断するほうがよいでしょう。ポイント2:医療費を甘く見ない老後生活を脅かす1つの原因が医療費負担です。若いころはそこまでかからなくても、定年後の医療費は非常に大きな負担となります。特に注意が必要なのが薬です。がん治療などで使用する薬は高額なものも多く、1粒数万円というものもよくあるので、たとえ命が助かったとしても生活が助からないということも十分ありえます。ポイント3:家族に相談するさまざまな対策をとったとしても、何らかの事情で生活が回らなくなることも十分考えられます。このような場合、Xさんのように1人で抱え込んでしまうとさらに傷口が広がってしまうので、できるだけ家族に早い段階で相談して解決させることが大切です。老後生活資金を準備する方法老後生活を豊かに安定的に過ごすためには、やはり準備が必要なことは間違いないでしょう。ただ、準備といってもただ貯蓄しておけばいいという単純な問題でもありません。老後のためにできることには、大きく分けて次の3つがあります。[adsense_middle]年収の3倍程度の貯蓄人によって個人差はありますが、できれば最低でも年収の3年分程度の貯金があると非常に安心です。実際はもっと必要になることのほうが多いですが、あまり多くの金額を貯蓄に回そうとすると、現役世代のときの生活レベルが落ちてしまうので、無理をしすぎない範囲で3年分を目安にしましょう。なお、退職金制度がある会社であれば、その分貯蓄に回さなければならない金額は減ります。ただ、途中で転職する可能性も含めて考えると、あまり退職金ありきの資産形成はお勧めではありません。医療保険に加入する30代後半くらいからは、高額な医療費リスクをヘッジするために医療保険への加入も検討しましょう。若くして手術をしたり入院したりすると、医療費はもちろんですが収入が途絶えることになるので老後どころではありません。特に40歳を過ぎると持病なども発覚し始めるころなので、できれば保険料が安くて加入できるうちに加入しておくと、将来の医療費に対してリスクヘッジできるでしょう。収入源を作る今の日本で老後を迎える場合、最も重要といえるのがこれです。老後の収入源が年金しかないと、生活レベルはどうしても落ち込みますし、医療費が賄えなくなる危険性もあります。人生100年時代をいわれる昨今、65歳の定年退職後も何らかの収入源を確保しておくことが、老後資金対策としてとても大切です。例えば、現役時代の収入があるときに賃貸物件を購入しておき、老後はその家賃収入を生活費にあてるやり方がよく用いられます。そのほかにも株式投資による配当金や個人年金など、老後も定収入を生み出す方法がいくつかありますので、ぜひ早めから実践してみるとよいでしょう。専門家に相談することが大切これらの対策を講じる際には、必ずファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談してから始めることが大切です。ベストな対策はご家庭によって変わってきますので、より効果的に老後資金対策をするには、まず専門家に自分自身の家計をベースに診断してもらうことから始めるとよいでしょう。対策のベースとなる情報が違っていたら的外れな対策になってしまうので、必ず何かを始める前に現状把握から始めることが大切です。老後資金にいくら必要かに関するまとめ今回は老後資金対策について解説してきました。年金だけで老後がやりくりできると考えていると、気がついたときには下流老人になっている可能性があります。早いうちから対策をとることで、老後も現役時代と同じくらいの水準で余生を送れる可能性がありますので、まずは早めに専門家に相談してみましょう。
2020年07月25日漫画家やタレントとして活躍する蛭子能収(えびす・よしかず)さんが、医療番組『主治医が見つかる診療所』(テレビ東京系)で軽度の『認知症』と診断されました。蛭子さんは、2020年7月10日にTwitterを更新し、「認知症以外は健康体そのもので、毎日元気に過ごしています」というコメントとともに、笑顔の動画を投稿。昨晩、テレ東さんの番組『主治医が見つかる診療所』で放送されましたように、認知症になりました。でも毎日元気に過ごしています。認知症以外は、人間ドックでも健康体です。フォロワーさん、応援してくださるみなさん、これからもよろしくお願い致します。 pic.twitter.com/fhvBlj5kVi — 蛭子能収(YoshikazuEbisu) (@ebisu_jp) July 10, 2020 ネット上では「身体を大切になさってください」「何があってもずっと応援しています」といったコメントが寄せられています。蛭子能収の『認知症』診断に、マツコ・デラックスが言及同月17日に放送されたトーク番組『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日系)では、収録日の前日に蛭子さんの報道があったことを受け、出演者である有吉弘行さんとマツコ・デラックスさんの間で話題に。2人は、同番組にもたびたび出演していた蛭子さんの認知症診断に、驚きを隠せない様子を見せます。有吉さんが「ご本人とご家族がいいのであれば、番組に出てもらうのは難しいのかな?笑えないのかな」というと、マツコさんは…。じゃあ例えばだよ。そういう風に、認知症になっちゃった人は、今までみたいなことができないのかっていうのも変じゃない。マツコ&有吉 かりそめ天国ーより引用マツコさんは「急に態度を変えるのも変。今まで通りできないの?」と続けます。すると、有吉さんは「蛭子さんは茶目っ気のある人だから、わざとツッコませる形に動きそうじゃん」と、自身の考えを明かします。それに対しマツコさんは、蛭子さんの印象を交えながら、こう語りました。あと、ちゃんとそれをやっても悲壮感が出ない稀有な人だと思うんだよね、蛭子さんって。マツコ&有吉 かりそめ天国ーより引用マツコさんは蛭子さんの持つやわらかな、ゆとりのある雰囲気について指摘しました。さらに「またご一緒したいな」という有吉さんに、マツコさんも「私たちには今までの感謝もある」とうなずきます。2人のトークに対し、視聴者からはさまざまな反響が上がりました。・「急に態度を変えるのは変」という視点はすごく大事だと思う。・難しい問題だと思う。でも、共演者やスタッフ側が避けるのではなく受け止める姿勢を持っているのは、だいぶ大きいんじゃないかな。・マツコさんや有吉さんが、こういったセンシティブな話題を扱う時に人を傷付けないような言葉選びをできるのは、さすがだと思う。品のよさを感じた。症状や進行の速度は人によって異なるため、仕事が可能な状況かどうか一概にはいえませんが、仕事仲間である共演者からの「また一緒にできれば嬉しい」というエールは、励みになるでしょう。マツコさんや有吉さんの想いが、蛭子さん本人にも届いているといいですね。[文・構成/grape編集部]
2020年07月18日お笑い芸人の東野幸治が12日、自身の公式YouTubeチャンネル「東野幸治の幻ラジオ」に公開した動画で、軽度の認知症と診断された漫画家でタレントの蛭子能収について言及した。9日に放送された、東野がレギュラー出演する医療バラエティ番組『主治医が見つかる診療所』(テレビ東京)で病状が明らかになった蛭子。「【第49回】蛭子さんの診断にショックを受けてます」と題して公開された動画にて、東野は収録の段階では、蛭子が診断を受けるロケが行われていなかったとしたうえで、「気になって、オンエアを観たんですけども、なかなかのショックでしたよ」と感想を述べた。さらに東野は、「(蛭子は)72歳でしょ。だから、僕の20年後ですよ。ちょっと怖くなりましたよね。今は津軽三味線して指を動かしたり、最近だったらプレステ4を買ってゲームして指先を動かしたり、あとは登山したり、ウォーキングしたりしていますけど、他人事じゃないなと思いました」と語った。そして東野は、蛭子が「都内で拘束時間が短いのであれば、まだテレビに出演したい」と意欲を見せていることに触れ、「なんとなく認知症になる前はすごく良い人で、認知症になったら狂暴になるとか、悪いことをするっていう話を聞いたりしますけど。もともと蛭子さんは元気な時から性格もあまり良くなかったから、そんなに変わらないと思うので(笑)。ぜひぜひちょっと一緒に仕事をしたいなと思いました」と共演を願った。
2020年07月14日高齢者の5人に1人が認知症患者になると言われている’25年――暗い未来を照らすような薬が完成した。「米国の製薬大手・バイオジェン社が、7月8日、早期のアルツハイマー病治療薬『アデュカヌマブ』のFDA(米食品医療品局)への承認申請を完了した、と発表しました。もし承認となれば、認知症薬としては約10年ぶりの新薬。日本でも治療薬として承認されるのでは、という見方が強まっています」こう語るのは、老化や疫学研究に従事したハーバード大学元研究員で、ボストン在住の内科医・大西睦子さん。現在、認知症はがんと並ぶほどの“国民病”だ。あと5年もすれば、高齢者の5人に1人にあたる700万人が認知症患者になると言われている。「がんの場合、新たな検査法や抗がん剤がどんどん開発されています。しかし、認知症薬の研究は困難を極めており、米国の名だたる製薬メーカーが撤退していったという歴史があるのです。今回『アデュカヌマブ』を開発したバイオジェン社は、ノーベル賞受賞者2人を含めた著名な生物学者らによって設立された、神経疾患治療に特化した企業。同薬は認知症の7割を占めるとされる『アルツハイマー型認知症』に効果があると言われています」「アデュカヌマブ」は、“これまでの認知症薬とは全く違う”画期的な薬品であるという。認知症患者や予備群の治療にあたっているアルツクリニック東京院長・新井平伊さんに解説してもらった。「まずアルツハイマー型は、遺伝的要素、ストレスや睡眠不足、そして生活習慣病などの要因が重なって、脳の神経細胞内外に『アミロイドβ』というタンパク質が沈着することから始まります。アミロイドβがたまると神経細胞の働きが阻害され、細胞自体が減少していく。これが20年近く進行し、やがて脳が萎縮して認知症の症状が出てくるのです」つまり、症状が現れる20年も前から脳には変化が起きており、加齢によって進行していく。既存の認知症薬では、この進行を止めることはできないと新井さん。「現在のところ、認知症薬は4種類あります。そのうち『ドネペジル(商品名アリセプト)』など3種類は、『アセチルコリン』という記憶をつかさどる脳内ホルモンを補充するもの。残る1つは、神経細胞へのダメージを防ぐものです。いずれも神経細胞がダメージを受けて生じた変化に対する治療薬なので、あくまで進行を“遅らせる”対症療法的なもの。効果は1年ほどで、これらの薬でその後の進行を“止める”のは困難です」だが、新薬『アデュカヌマブ』のメカニズムは全く異なる。「脳内のアミロイドβを増やさない、そして脳内にたまったアミロイドβの量を減少させるという働きが報告されています。アルツハイマー型の進行に関わる物質を減らす効果が見込めるため、“初の根治薬”といえるでしょう」(新井さん・以下同)バイオジェン社の臨床開発責任者の発表によると、“アデュカヌマブを78週間投与された認知症患者は、未投与の患者よりも症状の進行が23%抑えられた”とのこと。「『軽度認知障害』の段階で同薬を使用すれば、理論上は、認知症の進行を阻止できるのです」これまで開発不可能とされてきた認知症の進行を止める薬--。気になるのはいつ日本で承認されるかということ。「承認を急ぐファーストドラッグとして審査されれば、通常2~3カ月で承認されます。そうなれば、日本でも承認に向けて申請をすることとなるでしょう。スムーズに事が進めば、’21年中にも承認されると思います」米国で年内に承認を受けることができれば、約1年以内に日本でも「アデュカヌマブ」が承認される可能性があるのだ。“夢の新薬”は、認知症患者へ福音をもたらすのか。FDAの判断を注視したい。「女性自身」2020年7月28日・8月4日合併号 掲載
2020年07月14日「米国の製薬大手・バイオジェン社が、7月8日、早期のアルツハイマー病治療薬『アデュカヌマブ』のFDA(米食品医薬品局)への承認申請を完了した、と発表しました。もし承認となれば、認知症薬としては約10年ぶりの新薬。日本でも治療薬として承認されるのでは、という見方が強まっています」こう語るのは、老化や疫学研究に従事したハーバード大学元研究員で、ボストン在住の内科医・大西睦子さん。現在、認知症はがんと並ぶほどの“国民病”だ。あと5年もすれば、高齢者の5人に1人にあたる700万人が認知症患者になると言われている。「がんの場合、新たな検査法や抗がん剤がどんどん開発されています。しかし、認知症薬の研究は困難を極めており、米国の名だたる製薬メーカーが撤退していったという歴史があるのです。今回『アデュカヌマブ』を開発したバイオジェン社は、ノーベル賞受賞者2人を含めた著名な生物学者らによって設立された、神経疾患治療に特化した企業。同薬は認知症の7割を占めるとされる『アルツハイマー型認知症』に効果があると言われています」認知症患者や予備群の治療にあたっているアルツクリニック東京院長・新井平伊さんに、アルツハイマー型認知症について解説してもらった。「アルツハイマー型は、遺伝的要素、ストレスや睡眠不足、そして生活習慣病などの要因が重なって、脳の神経細胞内外に『アミロイドβ』というタンパク質が沈着することから始まります。アミロイドβがたまると神経細胞の働きが阻害され、細胞自体が減少していく。これが20年近く進行し、やがて脳が萎縮して認知症の症状が出てくるのです」つまり、症状が現れる20年も前から脳には変化が起きており、加齢によって進行していく。既存の認知症薬では、この進行を止めることはできないと新井さん。だが、新薬「アデュカヌマブ」は、“これまでの認知症薬とは全く違う”画期的な薬品であるという。「脳内のアミロイドβを増やさない、そして脳内にたまったアミロイドβの量を減少させるという働きが報告されています。アルツハイマー型の進行に関わる物質を減らす効果が見込めるため、“初の根治薬”といえるでしょう」(新井さん)バイオジェン社の臨床開発責任者の発表によると、“アデュカヌマブを78週間投与された認知症患者は、未投与の患者よりも症状の進行が23%抑えられた”とのこと。「『軽度認知障害』の段階で同薬を使用すれば、理論上は、認知症の進行を阻止できるのです」これまで開発不可能とされてきた認知症の進行を止める薬――。気になるのはいつ日本で承認されるかということ。「承認を急ぐファーストドラッグとして審査されれば、通常2~3カ月で承認されます。そうなれば、日本でも承認に向けて申請をすることとなるでしょう。スムーズに事が進めば、’21年中にも承認されると思います」(新井さん)ただ、この薬にも“課題点”はある。ひとつは薬価。保険診療となれば、高額療養費制度を利用すれば患者の負担は最大でも月8万~9万円程度。だが、1回100万円、トータル1800万円とも報じられている薬剤費の残りは国が負担することになるため、医療財政はさらに圧迫されることになりかねない。もうひとつは、同薬による治療開始のタイミングの見極め。「『軽度認知障害』以前での治療が最適ですが、通常のMRIではアミロイドβがどれだけ脳内に沈着しているのか判断できません。専用の薬剤を投与して調べるPET検査はありますが、自由診療のため当院でも55万円と高額です。安価にアミロイドβの沈着を確実に判定できる方法の開発も進める必要があるのです」(新井さん)また、アデュカヌマブは一度開発が中止となった経緯があるとも前出の大西さんは話す。「薬の承認には第1相試験から第3相試験までクリアしなければなりません。ところがアデュカヌマブは’19年3月、第3相試験で効果の見込みがなく、一度中止を発表しています。しかし7カ月後に“高容量投与群を増やすことで、効果が見られた”と発表しました」「アデュカヌマブ」による治療は月1度の点滴のため、“誰でも予防のために簡単に行える”ものではなさそうだ。しかし、患者への大きな負担はないだろうと、新井さんは期待を込める。「治療期間は78週間ですので、だいたい18~20回ほどの治療回数となるでしょう。副作用として脳内血管周囲の浮腫などが挙げられていますが、命の危険があるようなケースはなく、仮に浮腫が確認されても、服用を中止することで改善すると報告されています。一度研究が中止されたという“異例の経緯”を持つ同薬ですが、アミロイドβを減少させるというエビデンスは確認されています。同薬をファーストランナーとして改良を重ねれば、認知症治療の可能性はさらに広がるでしょう」「女性自身」2020年7月28日・8月4日合併号 掲載
2020年07月14日病は人から大切なものを奪っていきます。心身の健康だけでなく、時には記憶まで消してしまうことも。しかし、家族への愛が病を超えて、奇跡を起こすこともあるとか。フォロワーから募集した話を漫画化しているババレオ(babareo2)さんは、ある女性の祖母のエピソードを漫画に描きました。『じぃじとばぁば』認知症の祖母は家族の顔も分からなくなっていたはず。ですが、末期病棟に入院した祖父の顔を見ると、記憶を取り戻しました。そして葬儀の時も、記憶のある状態で見送ることができたのです。愛ゆえの奇跡に多くの人が感動し、「おじいちゃんにさびしさや悲しみを感じさせずに送ったんだね」「夫婦の絆に泣いた」などのコメントを寄せました。心揺さぶられるエピソードですね。ババレオさんは、ブログも更新中。Instagramより早く漫画が投稿されるので、気になる人はこちらもあわせてご覧ください。ブログ:世にも奇妙ななんかの話[文・構成/grape編集部]
2020年07月09日時間がたつほど死亡率が高くなる、認知症による“徘徊”。そんな緊急事態に出動し、これまでに高齢行方不明者を3度も早期発見した警察犬がいると聞き、現地に向かったーー。「県内で1日に平均4〜5件、多いときには10件ほど、警察犬の出動要請があります。昨年、実際に出動した回数は721回で、年々増えている状況となっており、その大半は高齢行方不明者の捜索です」こう語るのは、’19年、認知症による行方不明者が全国で3番目に多かった兵庫県の警察本部刑事部鑑識課・川崎廣貴警部(46)だ。7月2日、警察庁は’19年における認知症の行方不明者が全国で1万7,479人(前年比552人増)だったことを発表。統計を取り始めた’12年以降、7年連続で最多を更新し、その数は約2倍に膨れ上がっている。“徘徊”で行方不明となる高齢者は日に日に増加し続けているのだ。そんな行方不明者の捜索活動で、今や警察官とともに欠かすことのできない存在が警察犬である。“鼻の捜査官”とも呼ばれる警察犬。今年の上半期だけでも、全国各地で警察犬が高齢行方不明者を発見したという報道が相次いでいる。■全国各地で!高齢行方不明者を見つける警察犬【1月15日・岡山県】名前:オリンピックエリナ号(ゴールデン・リトリーバー)詳細:出勤要請から1時間以内に、行方不明となっていた70代女性を見つけた(山陽新聞社)【1月22日・秋田県】名前:フレア号(シェパード)詳細:雪の上に残った足跡から行方不明の80代男性がいる方向を特定。発見の大きな手がかりに(秋田魁新報社)【2月7日・長崎県】名前:ローズ(シェパード)詳細:においを頼りに山中を捜索。翌日、ローズがたどりついた場所の近くで警察官が80代女性を発見した(朝日新聞社)【3月26日・岩手県】名前:コンラート・フォム・ハウス・モモイシ号(シェパード)詳細:捜索開始から5分、河川敷近くのやぶのなかで70代女性を見つけた。発見が遅ければ命の危険があったという(岩手日日新聞社)【4月14日・和歌山県】名前:ヨハン・フォン・マインリーベ号(シェパード)詳細:スリッパのにおいをもとに捜査を開始した直後、前日から行方がわからなかった60代男性を見つけた(朝日新聞社)【4月22日・滋賀県】名前:レイダンス JP クームス(ゴールデン・リトリーバー)詳細:80代男性が行方不明になったとの届け出があり出動、2時間後に住宅街で男性を発見した(毎日新聞社)【5月4日・長崎県】名前:ボル オブ キューホク号(シェパード)詳細:高齢男性が行方不明となってから2日後、捜索に参加。男性のバイクを見つけ、近くで男性本人も見つけた(長崎新聞社)【5月18日・兵庫県】名前:ムック・オブ・ハウス・サン・ボア号(シェパード)詳細:捜索から1時間後、80代男性を発見。ムック号は過去に2回、行方不明となった高齢者を発見している(神戸新聞社)【5月22日・愛知県】名前:ヴィロー号(シェパード)詳細:靴のにおいをもとに捜索開始。20分で、行方がわからなかった80代男性を見つけた(中日新聞社)警察犬とは、一般に犯罪捜査等の警察活動を行えるように飼育・訓練された犬のことで、日本警察犬協会が公認しているのは、シェパード、ドーベルマン、コリー、エアデール、テリア、ボクサー、ラブラドール・リトリーバー、ゴールデン・リトリーバーの7犬種。警察が直接飼育・訓練する「直轄警察犬」と、一般の人が飼育し、訓練する「嘱託警察犬」の2種類があり、行方不明者捜索の現場ではどちらも活躍しているという。なかでも、この1年間で高齢行方不明者を3回も発見して、表彰された優秀な犬が兵庫県警察直轄警察犬の「ムック・オブ・ハウス・サン・ボア号」(以下、ムック号)だ。ムック号は、’19年6月、明石署管内で高齢女性を捜索開始から10分で発見。同年11月にも東灘署管内で、高齢男性を捜索開始から30分で発見し、’20年5月には神戸西署管内で、高齢男性を捜索開始から約1時間で発見した。「ほかの警察犬も優秀ですが、ムック号がとくに秀でているのは“においを捉えろ”と言った瞬間に、力を入れて元気よく捜索に向かう姿勢です。その勢いはアグレッシブで、私がリードを持っていかれるぐらい引っ張ります。そしてどんな現場、どんな捜索でも、とにかく一生懸命なところ。そこがすごいところだと思います」こう話すのは、ムック号とコンビを組む、刑事部鑑識課の門脇正真警部補(38)だ。現在、兵庫県警には直轄警察犬11頭、嘱託警察犬31頭が在籍する。県内の警察署から出動要請を受けると、まずは直轄警察犬が出動。要請件数が多く、どうしても重複してしまう場合には、嘱託警察犬に出動を依頼するという形をとっている。勤務は24時間体制。通常2人2頭のグループ3組が交代で回し、そこに日勤のもう1グループを加えて、計8人8頭態勢で、県内全域をカバーする。「出動していないときは基本的に訓練を行っています。われわれはよく“人犬一体”と言っていますが、人間と犬が一体となることで、初めて犬は存分に力を発揮できるようになる。『座れ』『立て』『伏せ』などの号令をかける基本的な服従訓練から、遺留品などのにおいをもとに人物を特定する臭気選別訓練、足跡のにおいからその人物や証拠品等を発見する足跡追及訓練などをつねに行い、お互いの信頼関係を作り上げています」(前出の川崎警部)では実際、高齢行方不明者の捜索はどのように行われているのか。ムック号とコンビを組む門脇警部補が解説する。「まず、行方不明者のご家族から行動の癖などをしっかり聞きます。たとえば、どういうところに行きそうな人か?足腰が丈夫で長時間歩くことができる高齢者なのか?など。警察犬の訓練では、しゃがみ込んだ人を見つけ出す訓練もしており、行方不明者の行動の癖は捜索の手がかりになります。その特徴を知ったうえで、つえをついているのであれば、どれくらいのスピードで歩いているかを推測。いなくなってからの時間を逆算して捜索エリアを絞り込み、その周辺を素早く捜します」現場へは、行方不明者の衣類や身につけていたもの、枕カバー、スリッパなど、においの残っているものを1つだけ家族から預かり、ほかのにおいと混ざらないようにビニール袋に入れて向かう。「捜索中、犬も集中力が切れるので、20分に1回、休憩をはさんで水を飲ませます。そのあとビニール袋に入れたもののにおいをもう一度嗅がせて、捜索を再開します」警察犬の捜索は、すべてにおいだけを追求しているわけではない。犬は聴覚も優れており、音にも敏感に反応する。ただ、犬がどんなに反応してもパートナーである人間が、それに気づけなければ捜索はうまくいかない。まさに人犬一体のコンビネーションが行方不明者の捜索には必要なのだ。「出勤すれば“必ず見つける”という気持ちはつねにあります。行方不明者を生きている状態で発見するということをいちばん大事にして、これからもすべての現場に向かっていきます」(門脇警部補)「女性自身」2020年7月21日号 掲載
2020年07月09日「県内で1日に平均4〜5件、多いときには10件ほど、警察犬の出動要請があります。昨年、実際に出動した回数は721回で、年々増えている状況となっており、その大半は高齢行方不明者の捜索です」こう語るのは、’19年、認知症による行方不明者が全国で3番目に多かった兵庫県の警察本部刑事部鑑識課・川崎廣貴警部(46)だ。7月2日、警察庁は’19年における認知症の行方不明者が全国で1万7,479人(前年比552人増)だったことを発表。統計を取り始めた’12年以降、7年連続で最多を更新し、その数は約2倍に膨れ上がっている。“徘徊”で行方不明となる高齢者は日に日に増加し続けているのだ。そんな行方不明者の捜索活動で、今や警察官とともに欠かすことのできない存在が警察犬である。“鼻の捜査官”とも呼ばれる警察犬。今年の上半期だけでも、全国各地で警察犬が高齢行方不明者を発見したという報道が相次いでいる。警察犬とは、一般に犯罪捜査等の警察活動を行えるように飼育・訓練された犬のことで、日本警察犬協会が公認しているのは、シェパード、ドーベルマン、コリー、エアデール、テリア、ボクサー、ラブラドール・リトリーバー、ゴールデン・リトリーバーの7犬種。警察が直接飼育・訓練する「直轄警察犬」と、一般の人が飼育し、訓練する「嘱託警察犬」の2種類があり、行方不明者捜索の現場ではどちらも活躍しているという。今後も増えるであろう認知症の行方不明者の捜索。警察犬の活躍が一層期待される。認知症の行方不明者を助ける取り組みは、各市区町村でも積極的に行われている。なかでも成果を上げているのが、群馬県の「沼田市認知症にやさしい地域づくりネットワーク」だ。’05年からスタートしたこの取り組みは、発足からこれまでにあった240件の捜索依頼の発見率が、何と100%(遺体で発見されたケースも含む)。福岡県福津市など県外から視察が来るなど、モデルケースとして注目を集めている。いったいどのような流れで、高齢行方不明者を捜し出しているのだろうか。同ネットワークを運営する、沼田市社会福祉協議会の立木裕也さん(27)が説明する。「まず、行方不明者のご家族が沼田署に捜索願を出します。その際、ネットワークを使うことを家族が承諾すると、沼田署からみなかみ町や片品村、川場村、昭和村を含む利根沼田地域にある117件の協力団体(JR沼田駅、郵便局、農協など)に、行方不明になった時点の情報が記載された捜索依頼ファクスが一斉送信されます」(立木さん・以下同)協力団体のなかには認知症ケアに力を入れる医療機関、内田病院もあり、ここからは506人の協力者に捜索依頼メールが配信される。「利根沼田地域に広く点在する消防や郵便局などの団体については、1カ所にファクスを送ることで、そこから下部組織に情報を流してもらい、捜索の網をより広げるようにしています」連絡網はこれだけではない。捜索依頼が入れば、地元ラジオ局のFM OZEが緊急放送で住民に情報提供を呼びかけ、沼田市が無償で住民に貸し出す3,160台の緊急告知FMラジオの電源も自動的に入って捜索依頼が流れるように。合計で3,700人以上に行方不明者の情報が送られるという。実際に立木さんは、届いたファクスをもとに勤務先の近くで行方不明となっていた高齢者を発見・保護した経験を持つ。「捜索依頼のファクスを受けて、そこに書かれていたその人の特徴を頼りに車で捜索しました。お年寄りがよく集まる公園にいるかもしれないと思い、行ってみたらそこにはいなかった。しかしその公園近くの通りで、書かれてあった特徴と一致する女性を見つけて。声をかけたら、やはり行方不明となっていた人だった。警察を呼んで保護してもらい、女性は無事、家族のもとに帰りました」同ネットワークでは毎年1回、小学校に協力してもらって、全校生徒を対象に下校時に模擬徘徊捜索訓練も行っている。「子どもでもわかるように徘徊者役を設置し、その人を見つけたら近くの大人に知らせるという訓練です。子どもたちに、認知症という病気そのものを知ってもらうことも目的の1つ。下校ルート沿いにある公共機関、会社、商店などにも事前に訓練を行うと周知することで、大人にもこういう取り組みをやっていることを知ってもらう、そういう意味合いも兼ねています。最近では取り組みを多くの人に知ってもらえたことで、捜索に協力してくれる人が増えており、さらに地域で高齢者を見守る体制が整ってきています」認知症患者が増える見通しの今後は、こうした活動がもっと広がっていかなければならない。「女性自身」2020年7月21日号 掲載
2020年07月09日新卒でカフェの『雇われ店長』として働いていた、10年ほど前の出来事をInsatgramに投稿している、ぶちねこなみ(buchinekonami)さん。店長として大変だった話や、印象的なエピソードなどを公開しています。過労で寝不足の店長深夜、『怪しい車』の男性から声をかけられ?毎日カフェに来る『認知症のおばあさん』切なくも温かなエピソードが胸を打つ店で『窃盗』が発生証拠を固めて店員を問い詰めると…まさかの結末に呆然今回は、仕事を辞めた経緯の話です。ぶちねこなみさんによると、「店長でつらかったことの第1位は、ぶっちぎりで『上司との関係』だった」とのこと。複数の店舗をまとめるSV(スーパーバイザー)である三浦さんは優しい上司だったのですが、異動でやってきた新しい上司はまったくタイプが違って…。上司との会話が苦痛になっていく新しい上司から、ぶちねこなみさんは否定の言葉を浴びせられ続けました。ほかの方面でもつらさを感じることがあり、心身の負担が積み重なっていきます。心身と睡眠時間がどんどんけずれていく慢性的な寝不足で、薬を飲みながら働いていたぶちねこなみさん。ストレスは日に日に溜まっていきました。1年半も耐えてしまった結婚を機に、ぶちねこなみさんは退職。職場から離れることができましたが、労働者の権利であった有給休暇を一度も消化することなく退職となったことに後から気付きます。それでも、職場から解放された時に感じた風はさわやかだったことでしょう。カフェ店長をして得た『学び』仕事中に「なんでだろう」と思うことがあっても、基本的には悪意があるととらえないことが大切だと、ぶちねこなみさんは学びました。また、新しい上司との関係で負のスパイラルに陥った原因からも学びがあったようです。新しい上司はしっかりとした願望がある人。対して、ぶちねこなみさんにはそれがありませんでした。退職後は気付きを活かし、「どうしたいのか」を明確にするようしているそうです。【ネットの声】・今まさに雇われカフェ店長をしていますが、共感することばかり…。・いろいろと、すごく勉強になりました!・とても心に刺さりました。仕事の参考にしたいです。職業訓練を経てウェブデザイナーとしてIT企業に転職した後、現在は主婦として2児の母親となっている、ぶちねこなみさん。さまざまな人生経験を経てちょっとだけ強くなり、世の中の働く人たちに、以前より敬意を払えるようになったそうです。気付きを得て視野が広がると、人生もまた変わっていきますね。[文・構成/grape編集部]
2020年06月23日