絵の具やパステルを駆使したペインティング作品で注目の佐野凜由輔さん。幾重にも重なる色彩と型にとらわれない構図から放たれる得体の知れないパワーは、観る者のイマジネーションをぐっと広げてくれる。本格的に絵を志して6年ほどながらロックバンド〈King Gnu〉のアートワークや開催中の「ガウディとサグラダ・ファミリア展」のグッズデザインを手がけるなど、知名度も確実に上昇中。アート界のホープに迫る。独学で世界を目指す!気鋭の現代アーティスト。6月末、訪ねたのは長野県のアトリエ。広い倉庫に描きかけの作品や画材が並び、業務用の大型扇風機がフル稼働している。「ここは、夏は超暑くて冬は超寒い。修行ですよ」。佐野さんはそう言ってお茶と袋菓子を差し出した。「何でも聞いてください。アートのことは詳しくないですが(笑)」そう、佐野さんは専門的な美術教育は受けていない。地元・北海道の高校から、洋服が好きで文化服装学院へ進学したが、ファッションの勉強がしっくりこなかった。アートに興味を持ったのはそんな頃だという。「学校の図書館でバスキアの絵を観て、『なんだこれ、めちゃくちゃカッコいい!』とびっくりして。僕も子どもの時から絵を描くのはずっと好きだったし、いつかこんな作品が描けたらいいなと思うようになりました」それから少しして出合った、現代美術家の村上隆さんの大作「五百羅漢図」にも圧倒された。「文化の同級生は優秀な人が多かったので、何もない自分に引け目を感じていたところがあって。でも村上さんの五百羅漢図を観た時、息をのむほどの衝撃を受けたと同時に、自分にもできると思った。へたくそでしたけど、人と違う絵を描いてきた自覚はあったから」文化服装学院を卒業後、バイトをしながら自己流で制作を続けた。「今思えば、技術はもちろん、気持ちも中途半端だった」と佐野さん。「ニューヨークに行けば、どうにかなるかも」。そんな期待を込めて渡米し、つてを頼ってとある日本人画家の助手をしながら、アートの本場で3か月間過ごした。「その時の僕はキャンバスも知らないド素人。いろいろお世話して教えていただいて、しかもその方の作品が高額でバンバン売れていくのを間近で体験できたのは大きな財産です。僕の作品も見てくれて、はっきり『ダサいね』と(笑)。なんでそう感じたかも細かく言ってくれて、『ちゃんとキャンバスで作品を作ったら?』と」手ほどきと刺激を受けて帰国した佐野さんは、覚悟を決めて「えぐいほど描きまくった」。制作に打ち込む怒涛の日々のなかでKing Gnuのクリエイティブチームと出会い、ファッションブランドなどとコラボの機会を得て、活躍の場が広がった。描き方や技法は基本、独学。モチーフは初期から描き続ける「顔」のほか、身の回りで目についたあれこれ。SNSやユーチューブからもビジュアルや技法を取り入れ、さまざまなアーティストの影響を進んで受けながら、自分だけの表現を模索してきたという。「洋服のリメイクとかヒップホップのサンプリングとか、自分がやってきたことに近いのかもしれません。子どもの頃好きだったカートゥーンなんかも含めて、経験したものがミックスされて絵に反映されている気はしますね。まだ全然掴みきれてはいないですけど」佐野さんのすべての作品には、「ZOOM」と題するテーマがある。柔軟に制作に向かうために設定したというこの言葉は、展覧会のタイトルにも使われ、開催の度に「O」の数が増えていく。そして、ひとつの絵に抽象と具象が共存し、ペインティングやドローイングが混在する佐野さんの作品を鑑賞する際のキーワードにも。「近くで観るとよくわからない抽象画でも、離れると顔やモチーフが浮かび上がって、その逆もあるみたいな感じです。視点を変えるだけで物事の見え方や考え方は変わりますよね。それって人生そのものだし、絵と生活がリンクしている僕自身のことでもある。あとは情報過多な現代で自分の視点を大切にしたいという意味合いとか、いろいろ詰め込んでいます」本格的に絵を描き始めて6年余り。一見、順風満帆だが、壁にぶち当たることはしょっちゅうだそう。2年前、妻と共に長野へ拠点を移したことがひとつの転機に。「僕は人ごみが苦手だし、情報が多すぎると無駄なことを考えてしまう。今は自然に囲まれて、ノイズが少なくなりました。原点回帰というか、少しずつ色彩がダイナミックになっていい感じの余白も生まれて。表現の幅も広がって、いい流れになってきたなと」長野に来たのは大正解。でも、制作の悩みは尽きないとも。「ある作品がここ数週間うまくいかなくて闇落ちしていました。でも描き上げた目玉にパッと線を入れたら、ようやく見られるように。僕は一度構築したものを壊した時に良くなることが多いけど、そこに辿り着くまでが容易じゃない。ただ、時間をかけて筆を動かせばカッコいいものができるのもわかっている。そういう意味でも、制作に没頭できるこの環境が自分を鍛えてくれると思っています」作品が売れた時は死ぬほど嬉しいし、絵で家族を養えていることが本当に幸せと、佐野さんは衒いなく言う。最終目標は世界で認められること。そのためには、「なぜ描くのか」という根源的な問いや西洋美術の文脈と向き合うことも必要になると感じている。「正直、僕には作品を通して表現したいことや思いがないんです。自分が究極と思える作品を生み出したい一心なので。でも海外では、なぜこれを描いたか、社会的に何を発信したいかがとても重要と聞いて。僕の場合、いろいろ考えることがノイズになってしまうから、少しずつやっていくつもりです。とにかく今は作品を作りまくってテクニックとオリジナリティを磨き上げることを優先したい」今秋、故郷・札幌のモエレ沼公園で展覧会を開く。初めて自らプロデュースも手がけ、5m超の特大作品も展示予定という。「イサム・ノグチがデザインした公園だから海外の人にも興味を持ってもらえそうですよね。誰かひとりにでも響いたら、分岐点になるかもしれない。楽しみですね」アートのスタンダードの外で、もがきながら力のある作品をひとつひとつ生み出している佐野さん。覚醒したらもっとすごいことになるのではと期待せずにいられない。「僕も同じ気持ちです(笑)。でも時間はかかるだろうなあ。自分を信じて地道に描き続けます」抽象画やコラージュを同時進行で制作中。これが数週間の葛藤の末、満足の仕上がりになった作品。目玉やチェッカー柄はカートゥーンを彷彿させる。代表作のひとつ「フェイス」シリーズ。学生時代から好きだったコラージュは大竹伸朗展に触発されて再開。さの・りゅうすけ1994年、北海道生まれ。日常で目に留まったものや記憶をアイデアソースに「ZOOM」と題した作品を発表。9/26~10/6、札幌のモエレ沼公園で「ZOOOOOOOOOOM展」を、10/14~28、東京のMU GALLERYで巡回展を開催予定。※『anan』2023年8月9日号より。写真・高橋マナミ取材、文・熊坂麻美(by anan編集部)
2023年08月03日作り込まれた世界観とパフォーマンスで多くの人を魅了する櫻坂46。そんな櫻坂46の衣装や映像、ダンス、CDジャケット、美術セットなどのクリエイティブや制作過程を見て取れる、総括的な展覧会、櫻坂46展『新せ界』が始まる。本展のタイトルは「新せ界」。「世」という漢字が形を変え、生まれた「せ」と、時代とともに変化する彼女たちを重ね合わせ、漢字でなく平仮名の「せ」が用いられた。空間演出は、櫻坂46のCDジャケットを手がけてきたアートディレクター、映像ディレクターのOSRINさん。「アイドルを含むポップカルチャーの展覧会は、新しい見せ方の可能性を探っている段階です。そしてその実現に必要なのは、従来とは違うスタッフィング。OSRINさんは美術や空間のイメージが非常に鮮烈な方なので、本展を手がけてもらうことで、驚くような化学反応が起こるのではないかと考えました」と、話すのは本展のディレクションを担当するクリエイティブディレクターの本信光理さん。空間作りの過程も少し独特なものに。「チャレンジングだったのは、OSRINさんの空間プランに合わせて展示物と並べ方のストーリーを構築していった点。普通は“意味”があって“形”がありますが、今回は先に“形”を作り、そこに“意味”を見いだしていったんです。しかし、そのままだとメンバーが介在しない展示になってしまう。そこで、最後にメンバー全員に未来のビジョンを語ってもらうインタビューを入れました。各々のグループへの想いを理解でき、それがまた展覧会の構成にフィードバックされていきました」そうして過去から現在、未来までを辿る展示が作り上げられた。注目は、MVやライブ衣装が並ぶ1章「衣装―存在を支えるもの」と、セット美術が展示される4章「彼女らの痕跡―存在と不在の狭間」。いずれも物語性のある空間デザイン、演出が施されている。「櫻坂46のファンのみならず、ものづくりやクリエイティブに興味を持っている人にも来てほしい」と本信さん。櫻坂46の世界に没入できる本展を、ぜひ五感で楽しんでみて。櫻坂46展『新せ界』六本木ミュージアム東京都港区六本木5‐6‐207月28日(金)~10月29日(日)10時~20時(入場は19時半まで)会期中無休一般(前売り)2200円ほか※入館は事前予約制。※『anan』2023年8月2日号より。(by anan編集部)
2023年07月31日国立西洋美術館の常設展示室で、小企画展「美術館の悪(わる)ものたち」が開かれています。本展では、国立西洋美術館が所蔵する膨大なコレクションのなかから、「悪ものたち」が登場する作品を展示。まがまがしい悪魔から、心惹かれる魅力的なキャラクターまで、さまざまな悪党が登場します。このユニークな展覧会を担当された研究員さんに、展示の見どころなどお聞きしてきました!西洋の「悪ものたち」が勢ぞろい!「美術館の悪ものたち」展示風景【女子的アートナビ】vol. 306「美術館の悪(わる)ものたち」では、国立西洋美術館が所蔵するコレクションからセレクトされた作品を49件展示。デューラーやルーベンス、クラーナハ、ドーミエ、ゴヤなど、ルネサンス期から20世紀までの名作版画のほか、油彩画も紹介されています。描かれている「悪もの」は、悪魔や怪物だけではありません。怠惰や大食い、嫉妬、貪欲、淫欲などもキリスト教会では「大罪(悪徳)」とされ、それらを描いた作品も展示。また、「死」をイメージ化した不気味な版画や、悪徳政治家を揶揄した風刺画もあり、多彩な西洋の悪ものたちが勢ぞろいしています。この楽しい展覧会を企画された国立西洋美術館 学芸課長の渡辺晋輔さんに、見どころや版画の楽しみ方をお聞きしてきました。悩みに悩んで「悪ものたち」に…――まず、本展開催の経緯について教えてください。渡辺さん国立西洋美術館の版画素描展示室では、大きい展覧会を開催するたびに、当館の所蔵作品を使った小さい展覧会をしています。今回、企画展示室では学術的なスペイン版画の展覧会をしているので、その裏番組として、この小企画展ではやわらかめのテーマで版画などを出すことにしました。――「美術館の悪ものたち」というタイトルにとても惹かれます。なぜ、「悪もの」をテーマにされたのですか?渡辺さん夏休みの期間とも重なるので、子どもが楽しめるものにしようと思いました。テーマは悩みに悩み、「悪魔と魔女」も考えましたが、それだけで作品を集めるのは難しく、もう少し広めのテーマとして出てきたのが「悪ものたち」でした。「悪い奴ら」にしようかとも思いましたが、最終的には「悪ものたち」となりました。「悪もの」は自由に描ける!――作品には、悪魔や怪物などキャラクターたちがたくさん登場しています。今のように簡単に情報が得られない当時の芸術家たちは、どんな風に個性的なキャラクターを生み出したのでしょうか?渡辺さん当時も、少ないながらも情報は得られました。その役割を果たしたのが版画です。ルネサンス期は、版画により情報の伝達が進み、各地で描かれている変わった怪物などを知ることができました。例えば、ユニークな怪物を描いたヒエロニムス・ボスの版画を見た画家が、それをもとに工夫を重ねて発展させて描いたりしています。また、16世紀はローマ時代の壁画などが発掘され、古代の変わった装飾模様が見つかった時期でもあるので、そのデザインを発達させたという可能性もあります。――西洋文化のなかで「悪ものたち」のイメージが受け継がれ、発展していったのですね。渡辺さん悪いものや醜いものは、「こう描かなければならない」という制約がありません。例えばキリストや聖人は、描き方が厳密に決まっています。また、美しい人の描き方もある程度決まっています。「悪ものたち」はそれらと正反対にあり自由なので、画家たちは創意工夫を発揮しやすく、自分の能力を示すきっかけにもしていました。不倫の濡れ衣を着せられた人妻の絵…スケッジャ(本名ジョヴァンニ・ディ・セル・ジョヴァンニ・グイーディ)《スザンナ伝》15世紀――本展の構成を教えていただけますか?渡辺さん会場では、セクションにわけながら、ルネサンス期から20世紀へと時代が下がるように展示していますが、時代の流れは厳密ではありません。また、本展では、当館コレクションのなかでもかなり良い版画を選んであります。テーマを設けていますが、名品展にもなっていて、基本的にどれを見ても良い作品です。――どれも名品とのことで、そこからセレクトするのは難しいと思いますが、各セクションのおすすめ作品を教えていただけますか?渡辺さん最初のセクション「罪深い人々」では、一番目に展示してあるテンペラ画が見どころです。描かれている「スザンナ伝」は、当時とてもメジャーな話です。旧約聖書に題材をとったもので、長老たちに言い寄られ、不倫の濡れ衣を着せられた人妻スザンナの様子などが描かれています。その長老たちが、典型的な悪人とわかるようになっているので、おもしろい作品です。――この絵は、部屋に飾って楽しむためにつくられたのですか?渡辺さん本作品は、もとは「カッソーネ」と呼ばれる、衣服などを入れる長持ちの前面を飾る装飾パネルでした。これは嫁入り道具です。スザンナは貞節を守った女性なので、花嫁のお手本のようなイメージとして、当時の花嫁道具に好んで描かれました。版画史に残る名品!アルブレヒト・デューラー《騎士と死と悪魔》1513年エングレーヴィング――次のセクション「悪魔と魔女」のおすすめ作品を教えていただけますか?渡辺さんデューラーの《騎士と死と悪魔》は、版画のなかで最高峰作品という位置づけで、版画史に残る重要な作品です。技法も優れていますし、「死」をデューラーが工夫して発展させ、あのような版画に仕上げた点もすばらしいです。右側に、ブタの鼻をもつ悪魔も描かれています。「美術館の悪ものたち」展示風景渡辺さんまた、このセクションでは、版画によってイメージがイタリアからドイツへ、そしてドイツからイタリアに伝わったことがわかる作品も3点展示しています。イタリアのマントヴァで制作されたマンテーニャの版画がドイツに運ばれ、それをデューラーが入手し、あるイメージを引用して「魔女」を描きます。その版画が、今度はローマに流通し、ヴェネツィアーノという画家が魔女の作品を描きました。会場では、パネルで詳しく解説してありますので、そちらもご覧ください。ずっと見ていて飽きないイチオシ版画ジョルジョ・ギージ《人生の寓意》1561年 エングレーヴィング――続いて、「魔物」のセクションについて、見どころを教えてください。渡辺さんギージの作品は、16世紀の版画のなかでは非常に有名で、とても魅力的だと思います。作者の空想がすごく発揮され、画面が謎めいていて、今でも何が描かれているのかよくわからない部分もあります。技術力も高く、細かなところまで描き込まれていて、見ていて飽きませんし、純粋に楽しいです。また、本作品は自分が購入を担当したものでもあり、ぜひ見ていただきたかったという思い入れもあります。――この作品は、大きなパネルにもされて、描かれている「生き物」を探すというクイズも出されていますね。渡辺さん動物や怪物だけでなく、よく見ると、「ラファエロ作」という文字も書いてあります。モチーフをラファエロから引用しているところもあり、いろいろな解釈が盛り込まれています。当館ホームページの作品検索ページでも本作品を拡大して見ることができますので、ゆっくり動物など探してみてください。男の醜さを際立たせた作品ウィレム・ファン・スワーネンブルフ、マールテン・ファン・ヘームスケルク の原画に基づく《『世俗財産の悪用についての寓意』より、男に矢を放とうとする死》1609年エングレーヴィング――「死」のセクションのおすすめ作品も教えてください。渡辺さんスワーネンブルフの作品は、世俗財産の悪用を寓意として表しているところがおもしろい作品です。「死」の訪れで財産が崩れ去り、結局死んでしまえば何も残らないという教訓がこめられています。――このような版画は、当時の人たちは飾って楽しんでいたのですか?渡辺さん版画は、本来は手元に置いて、見て楽しむものです。例えば、16世紀に入ると素描のコレクションをする人たちが出てきますが、これは一点ものでなかなか手に入らないので、その代わりに版画をコレクションしていました。今の切手帳みたいに帳面に版画を貼って、鑑賞するというやり方です。裕福な人の趣味ですが、安い物もありました。フェリシアン・ロップス《ポルノクラテスあるいは豚を連れた女》1881年エッチング、アクアティント――最後のセクション「近代都市の悪ものたち」の見どころを教えてください。渡辺さんロップスの作品はインパクトがあります。裸の女性が目隠しをしてブタを連れて歩いている版画です。「ポルノクラテス」とは「娼婦政治家」のことで、自分の利益しか見ていない政治家を風刺している作品です。近代都市の堕落したところを見せつけているように思います。左:フランシスコ・ホセ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス《『ロス・カプリーチョス』より、何たる犠牲か》1799年エッチング、アクアティント(一部掻き落とし)、ドライポイント右:オノレ・ドーミエ《『表情のクロッキー』より、(39)なあ、いいだろう…ご主人様に接吻しておくれ…今すぐに…》1838年リトグラフ渡辺さんゴヤやドーミエが描いた、中年男性が若い女性を口説く作品もおもしろいです。「不釣り合いなカップル」という主題は歴史が長く、ルネサンスのころからあります。年寄りの男性と若い女性、醜い男性と美しい女性など、いろいろなところが対比となっています。醜い男性を描くとき、いかにして醜さを際立たせるかが画家に求められていました。ゴヤもドーミエも、その部分をうまく表現していると思います。深く考えずに楽しんで!――最後に、版画の鑑賞法について教えてください。版画は、木版やエングレーヴィング、エッチングなどさまざまな技法があり、少し難しいイメージがあります。初心者は、どんなふうに見ればよいのでしょうか?渡辺さんあまり深く考えずに見ていいと思います。技法がわからないと作品がわからない、ということではないと思います。見ていると、素描とは違うというのはわかると思いますので、何か違うなという感じを楽しんでいただければ、それで十分だと思います。例えばデューラーの版画は、純粋に画像が醸し出す雰囲気がすごいと思います。風格があり、見ていると圧倒されます。その魅力を、会場で見て感じていただけたらうれしいです。――詳しく解説していただき、ありがとうございました。クビーンのポスターも見てください!渡辺さんのお話、いかがでしたか。モノトーンの版画は、一見すると地味ですが、描かれているテーマやストーリーを知ると、大変おもしろいアートだと思いました。本展は、タイトルもユニークですが、ポスターも非常にインパクトがあります。アルフレート・クビーンという画家が制作した、不敵な笑みを浮かべた骸骨の版画がデザインされているのですが、残念ながら本作品は著作権の関係で、ポスターも含めて写真を掲載できません。クビーンの作品はネットでも話題になっていて、「あの版画のグッズが欲しい」というコメントもちらほら。間違いなく、本展で一番キャラ立ちのスゴい「悪もの」です。会場で、クビーンの版画は最後に登場するので、ぜひ直接美術館でご覧になってみてください。「美術館の悪ものたち」は9月3日まで開催。Information会期:~9月3日(日)休館日:月曜日※8月14日(月)は開館会場:国立西洋美術館新館2階版画素描展示室時間:9:30~17:30※毎週金・土曜日:9:30~20:00※入館は閉館の30分前まで観覧料:一般¥500大学生¥250※本展は常設展の観覧券または企画展「スペインのイメージ:版画を通じて写し伝わるすがた」(7月4日(火)~9月3日(日))観覧当日に限り、同展観覧券でご覧いただけます。
2023年07月30日国立新美術館で、「テート美術館展光— ターナー、印象派から現代へ」が開かれています。本展のアンバサダーは、俳優の板垣李光人(いたがきりひと)さん。ご自身でもデジタルアートを手がけるなど、アートが大好きな板垣さんに、展覧会の感想や楽しみ方について、語っていただきました!板垣李光人さんがアンバサダー!板垣李光人さん【女子的アートナビ】vol. 305「テート美術館展光— ターナー、印象派から現代へ」では、英国・テート美術館から「光」をテーマにセレクトされた作品が来日。イギリスが誇る風景画家のターナーやコンスタブル、印象派のモネ、室内の淡い光を描いたハマスホイなどの油彩画や、近代の写真作品、現代アートのインスタレーションなど多彩な作品をとおして、光とアートをめぐる200年の流れを体感することができます。今回、テート美術館から来日する約120点の作品のうち、およそ100点が日本初出品です。本展は、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドをめぐってきた世界巡回展。最終会場の日本では、大人気のロスコやリヒターの作品も特別に出品されます。そんな注目の展覧会でアンバサダーと音声ガイドを務めるのが、NHK大河ドラマ『どうする家康』でモテモテの井伊直政役を演じている俳優の板垣李光人さん。ドイツ語で「光」を意味する「Licht(リヒト)」という名をもつご縁でアンバサダーに選ばれた板垣さんが、プレス内覧会に登場。その後、インタビューも実施しましたので、まとめてご紹介します。すごく不思議な感じ――展覧会のアンバサダーになられて、いかがでしたか?板垣さんすごく不思議な感じです。アートが好きなので、美術館はプライベートでもよく来ている場所です。そこでこうしてお仕事をさせてもらってるというのが不思議な感じですし、本当に光栄で嬉しいです。国立新美術館もよく来ていて、展示室で作品を見たあとは、余韻に浸りながら館内のカフェでお茶しています。そこでケーキを食べたりもしています(笑)。――音声ガイドも担当されています。特に、収録で心がけたことなどありましたか?板垣さん音声ガイドは、作品を鑑賞するための手助けで、作品が主役という意識はありました。また、自分で美術館に来たときにもいつも聴いていたので、どういうテンポがいいのか、どんな感じがいいのか、ある程度はわかっているつもりでいましたので、割とスムーズにできました。完成したものはまだ聴いていないので、また来て聴いてみたいです。――音声ガイドの収録で、特に印象に残った作品解説はありましたか?板垣さん原稿を読んでいて興味深かったのは、草間彌生さんの鏡の作品《去ってゆく冬》です。草間さんの作品は、有名な水玉の絵や立体かぼちゃのイメージでしたが、今回の作品ははじめて知りました。無限を表している作品で、彼女が水玉を描く理由も原稿で触れられいて、興味深かったです。――その作品を実際にご覧になってみて、いかがでしたか?板垣さん会場で作品を見てみると、鏡の奥に続く水玉が、直線で続くのではなく曲線を描くことで、その先が円になるように想像できました。それにより、輪廻というか循環を連想できて、おもしろかったです。あの作品は、写真で見るよりも、やはり実際に本物を見ないとわからないと思いました。解脱したような感じ…――展覧会の全体をご覧になって、いかがでしたか?板垣さんとにかく幅が広いな、と思いました。時代の幅もそうですけど、油絵から現代アートまであり、いろいろな世代の方に楽しんでいただけるのではないかと思います。――お気に入りの作品を教えていただけますか?板垣さんいろいろあるのですが、まずジェームズ・タレルの《レイマー、ブルー》という作品はよかったです。見る人によって解釈や感じ方が全然違うと思うのですけど、ぼくはすごく高尚なもののように感じました。白い無垢な空間に青い光が映し出されるのですが、それがあの世への入り口のような感じで……。安らかで清らかで、煩悩がなくなり、解脱したというか、解脱の入り口にいるような感じがしました。――解脱できるような作品というのはすごいですね。ほかには、どんな作品がよかったですか。板垣さんジョン・ブレットの《ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡》も好きでした。海に光が降り注ぐ絵で、画家自身が航海に出て見た海の風景を描いたそうで、陸や港から見る海の景色とはまた違う力強さがありました。海の美しさだけでなく、航海に出ているからこそ海の恐ろしさ、厳しさ、力強さみたいなものがわかり、そのうえで描いている絵なので印象的です。波の質感や、光が降り注いで光が波に反射している様子など、ディテールを近くで見るのもいいし、少し離れて全体の力強さを楽しむのもいいです。――鑑賞方法が本格的ですね!板垣さん自分も絵を描いたりするので、ディテールとか見てしまいます。――絵を描かれる立場からご覧になって、すごいと思った作品はありましたか?板垣さんゲルハルト・リヒターの《アブストラクト・ペインティング(726)》はおもしろいと思いました。キャンバスを2個つなげている作品で、アナログで描いているので筆の跡もあるのですが、その筆の動きがデジタルな電子的なものにも思えました。解説を聴いたら、専用のスキージーで描いているそうで、機械的な動きによりその質感が出ているとのこと。油彩的なアプローチによるインクの飛び方とか筆の運び方とかのバランスがおもしろいと感じました。画家自身で自分の色も確立されていますよね。――本展をご覧になり、ご自身のアート制作などでトライしてみたいことなど出てきましたか?板垣さんぼくはデジタルアートを描いているのですが、キャンバスに描きたいなと思いました。リヒターを見たらいいな、と(笑)。専用の部屋を借りてアトリエみたいにして、壁をブルーシートで覆って汚れてもいいようにして、そんな環境が欲しいな、と思いました。衝撃を受けたアートは…――板垣さんは、デジタルアートで現代仏画をお描きになってNFTでリリースされていました。なぜ仏画というジャンルにされたのですか?板垣さんもともと仏教だけでなく宗教画が好きなんです。キリスト教絵画は、印象派などと違う質感があり、おもしろいと感じます。例えば、人物のバランスが、概念的な偉大さや存在の大きさにより描かれるサイズが決まったりして、そのめちゃくちゃ大胆な感じがおもしろいです。色の使い方も、絵の具の発達により変わってきますが、古いものは、その描かれた当時の独特の色の出し方があり、そんな色使いも好きです。ヨーロッパだけでなく、アジアの曼荼羅などもおもしろいですね。だから、もともと宗教画に興味があり、デジタルでイラストを描いていて、さらにファッションも好きなので、その自分の好きなものを組み合わせて紹介したいと思い、たどりついたのが現代仏画でした。――では、お寺などにも行かれたりするのですか?板垣さんお寺も仏像も好きです。お寺や神社にもいろいろ様式があり、例えば仏像でも攻めている感じのものもあったりして、見ていておもしろいです。――アートは、描くのも見るのも好きとのことですが、いつからアートに興味があったのですか?板垣さん絵は、覚えていないくらいのころから描いていました。アーティスティックなものが好きだと自覚したのは、ティム・バートンの『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』を見てから。この映画がとても好きでした。小さいころからティム・バートンの作品が好きで、それが今にも通じてくるのかなと思いました。――これまでに見た展覧会で、印象に残っているものはありますか?板垣さん以前、森美術館で開催されていた「塩田千春展:魂がふるえる」。あれは衝撃的でした。今回のテート美術館展でも、大きな卵のような作品《イシーの光》(アニッシュ・カプーア作)がありましたが、あのような生命とかエロティシズムを感じるような作品もすごく好きで、塩田さんの作品も血のような肉体的なものを感じ、そんな作品が好きで強烈だったので覚えています。――たくさん美術展に行かれていますが、アートの楽しみ方を教えていただけますか?板垣さん例えば今回のターナーの作品など、百数十年以上も前に描かれたものです。その時代に生きていた人たちが感じていたもの、考えていたこと、におい、五感などすべて表現されているのが絵なので、その時代にタイムスリップできる感覚を味わえるのが美術だと思います。来たことがない方は、とにかく一回来てみると、自分なりの楽しみ方が絶対に見つかると思います。――では、最後に読者のみなさんにメッセージをお願いします。板垣さんこの展覧会には、はじめて日本にくる作品もたくさんあり、絵だけでなく立体作品もあります。ふだん絵や美術に興味がない方や、美術館に来る機会がない方でも、すごく楽しみやすいと思います。いろいろな時代のものがあり、何か自分のなかにビビッとくる、心惹かれる作品が絶対にあると思うので、いろいろなテートの光を感じに来ていただけたらと思います。――ありがとうございました!取材を終えて…アートについて、非常に造詣の深い板垣さん。作品についての感想も、ひとつひとつがとても深く、でもわかりやすい言葉で話してくださり、聴き惚れてしまいました。容姿だけでなくお声も優しく美しいので、音声ガイドも心地よく聴くことができます。ぜひ、板垣さんのガイドを聴きながら、作品をご覧になってみてください。Information会期:〜10月2日(月)休館日:毎週火曜日会場:国立新美術館企画展示室2E時間:10:00〜18:00※毎週金・土曜日は20:00まで※入場は閉館の30分前まで観覧料:一般¥2,200大学生¥1,400高校生¥1,000
2023年07月30日東京駅周辺の便利なエリアには、ステキな美術館がいくつか集まっています。今回は、そのなかから夏のおでかけにおすすめしたい「ゾクゾクする」アートが見られる展覧会を2つご紹介!あやしい絵にゾクゾク!「甲斐荘楠音の全貌」東京ステーションギャラリー【女子的アートナビ】vol. 303まずは、東京駅直結の美術館、東京ステーションギャラリーで開催中の「甲斐荘楠音の全貌」。大正から昭和にかけて活躍した日本画家、甲斐荘楠音(かいのしょうただおと/1894-1978)の代表作が集まる過去最大規模の展覧会です。甲斐荘は、京都生まれ。御所近くの裕福な家庭で育ち、幼少のころから歌舞伎好きで劇場に通うような子どもでした。その後、京都市立絵画専門学校(現:京都市立芸術大学)に進学。ルネサンス美術にも関心をもち、《モナリザ》の模写などもしていました。卒業後は、革新的な日本画を次々と発表し、注目を集めます。《幻覚(踊る女)》1920年頃、京都国立近代美術館彼が描く「あやしい」雰囲気の作品は、おもに大正時代に制作されました。女性の姿が独特な色彩やタッチで表現され、かなりのインパクト。ちょっと官能的でもあり、ゾクゾク鳥肌が立ちます。《春宵(花びら)》1921年頃、京都国立近代美術館ゾクゾクを通り越して、ギョッとする作品もあります。白粉をたっぷり塗った顔がやや不気味にも思える《春宵(花びら)》は、花魁を描いた作品。描きかけの部分もあるので、未完作といわれています。この花魁と似たような姿をした画家自身の写真も、参考資料として展示されています。太夫に扮する楠音、京都国立近代美術館芝居好きの甲斐荘は、ときどき女形として素人歌舞伎の舞台に出ることもありました。さらに、異性装で「女性」として振る舞うこともあり、彼が遊女や女形に扮した写真も多く残っています。《春》1929年、メトロポリタン美術館、ニューヨークPurchase, Brooke Russell Astor Bequest and Mary Livingston Griggs and Mary Griggs Burke Foundation Fund, 2019 / 2019.366また、本展には海外からの出品作もあります。展覧会のメインヴィジュアルにも使われている《春》は、アメリカのメトロポリタン美術館から来日。本作品は、甲斐荘が所属した絵画団体「新樹社」の第1回に出品された作品です。描かれている女性の顔は、以前の画風にあったあやしい雰囲気が薄まり、優しく微笑んでいます。本作は、新しい画風を切り拓いたといわれる作品で、2019年にメトロポリタン美術館所蔵となりました。映画衣裳の世界でも活躍!『旗本退屈男 謎の南蛮太鼓』衣裳、東映京都撮影所 ©東映(映画公開:1959年、監督:佐々木康、製作・配給元:東映株式会社、衣裳着用者:市川右太衛門)あやしい絵のイメージが強い画家ですが、本展では知られざる後半生についても紹介しています。甲斐荘は、風俗の考証家として、時代劇映画の衣裳制作にも携わっていました。会場では、「旗本退屈男」シリーズの豪華衣裳を多数展示。甲斐荘が映画『雨月物語』(溝口健二監督)のために考案した衣裳は、アカデミー賞衣裳デザイン賞にもノミネートされました。世界も認めたデザインセンスをもつ甲斐荘の着物は必見です。《虹のかけ橋(七妍)》1915-76年、京都国立近代美術館最終章では、画家が60年もかけて描き続けた大作《虹のかけ橋》を展示。21歳のときに構想した作品で、少しずつ手を入れたり、顔を描き直したりしながら、最後まで女性の美を追求していたようです。まさに、甲斐荘の「全貌」を見ることができる展覧会は、8月27日まで開催。クールな絵にゾクゾク!「ABSTRACTION抽象絵画の覚醒と展開」アーティゾン美術館外観続いてご紹介するのは、東京駅から徒歩圏内にあるアーティゾン美術館で開催中の「ABSTRACTION抽象絵画の覚醒と展開」。本展では、印象派から1960年代ごろまでのアート作品をとおして抽象絵画の歴史を紹介しています。展示されている作品は、ヨーロッパやアメリカ、アジアの作家など多岐にわたります。各作品は、ポンピドゥー・センターやフィリップス・コレクションなど、海外の美術館や個人コレクションから30点も来日。国内からも、国公立、私立美術館、個人コレクションもあわせて約70点が出品されています。さらに、アーティゾン美術館が新収蔵した作品95点を一挙に公開。あわせて約250点ものクールな抽象絵画を楽しめる大規模展覧会です。ポール・セザンヌ《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》1904-06年頃石橋財団アーティゾン美術館展示構成は、12のセクションに分かれています。最初のセクション「抽象芸術の源泉」では、マネ、ゴッホ、モネなどの印象派作品を展示。まず1作品目は、セザンヌの作品が紹介されています。セザンヌは印象派を代表する画家のひとりですが、やがて印象派の仲間から離れて独自の革新的な絵画を制作します。彼の作品は、その後キュビスムやフォービスム、抽象絵画へと影響を与えることになりました。抽象絵画の創始者は…フランティセック・クプカ《赤い背景のエチュード》1919年頃石橋財団アーティゾン美術館【新収蔵作品】セクション3「抽象絵画の覚醒」では、抽象絵画の世界を切り拓いた代表的な画家カンディンスキーやモンドリアン、ドローネーなど、巨匠たちの作品が多数登場。なかでも必見作は、展覧会のメインビジュアルにも使われているクプカの作品です。抽象絵画の創始者のひとりといわれるクプカは、当初、挿絵画家として生計を立てながら絵画のスタイルを模索。構図を単純化してしき、やがて作品は抽象絵画へと変化していきました。ほかにも、古賀春江や岡本太郎、ミロ、デュシャン、草間彌生、白髪一雄、瀧口修造など、巨匠たちの作品や、現在活躍している作家の絵画も展示されています。なお、各フロアへの入り口にもぜひ注目してみてください。ポロックやアルトゥングの作品が大きくデザインされ、展示への期待感がグッと高まります。抽象絵画を心ゆくまで楽しめる展覧会は、8月20日まで開催。Information展覧会名:甲斐荘楠音の全貌絵画、演劇、映画を越境する個性会期:~8月27日(日) ※会期中、展示替え有[前期7/1~7/30、後期8/1~8/27]休館日:月曜日[7/17,8/14,8/21は開館]、7/18(火)会場:東京ステーションギャラリー時間:10:00~18:00(金曜日~20:00) *入館は閉館30分前まで観覧料:一般¥1,400高校・大学生¥1,200中学生以下無料展覧会名:「ABSTRACTION抽象絵画の覚醒と展開」会期:~ 8月20日(日)休館日:月曜日、7月18日(火)※ただし、7月17日(月・祝)は開館会場:アーティゾン美術館時間:10:00~18:00(8月11日を除く金曜日は20:00まで)*入館は閉館の30分前まで観覧料:日時指定予約制ウェブ予約チケット ¥1,800 、窓口販売チケット¥ 2,000 、学生無料(要ウェブ予約)*予約枠に空きがあれば、美術館窓口でもチケットを購入可能*中学生以下の方はウェブ予約不要
2023年07月30日イラストレーターのAPO+が代表を務めるTHE PIXEL STREET実行委員会は、2023年10月21日(土)に浅草橋ヒューリックホールにて、ドット絵のみの展示及びグッズ販売イベント「THE PIXEL STREET」を開催します。ドット絵文化の発展と認知を目的に「THE PIXEL STREET」は、日本のドット絵文化の発展と認知を目的とした、作家招待型の作品展示及びグッズ販売イベントです。子供から大人まで楽しめるようなイベントを開催することで、ドット絵を広く認知し、日本のドット絵文化の発展を目指します。本イベントは、浅草橋ヒューリックホールのホワイエやイベントホールに総勢約80組の個性豊かなドット絵クリエイターがブースを並べ、様々なグッズや音楽、ゲームなどを展示・販売するイベントです。※出展クリエイター等イベント詳細は下記のWebサイトや公式Twitterにて後日発表予定東京の街のどこかに現れる、一日かぎりの秘密の路地。『THE PIXEL STREET』。当日は、商店街のように立ち並ぶ沢山の作家ブースや、音楽のライブイベントの開催、街中を再現した装飾や演出などを予定しています。見渡す限りがドット絵の、一日だけの賑やかな秘密の路地の雰囲気をご期待ください。■開催概要開催日:2023年10月21日(土)開催時間:10:00~18:00(予定)会場:浅草橋ヒューリックホール住所:〒111-0053東京都台東区浅草橋1-22-16 ヒューリック浅草橋ビル 2階アクセス:〇JR総武線「浅草橋駅(西口)」より徒歩1分〇都営浅草線「浅草橋駅(A3出口)」より徒歩2分※詳しくは をご参照ください。公式Twitter: 【お問い合わせ先】THE PIXEL STREET実行委員会Mail: thepixelstreet.contact@gmail.com(画像はプレスリリースより)【参考】※公式サイト
2023年07月28日デイヴィッド・ホックニーは現代で最も魅力ある画家の一人。2018年のオークションで存命の画家としては史上最高額(現在は2位)で作品が落札された一方、86歳を迎えた今も精力的に作品を発表している。描く喜びと観る喜びが出合う、巨匠の挑戦を見届けて。「デイヴィッド・ホックニー展」は日本で開催される27年ぶりの大規模個展。“ホックニー・ブルー”と称されるプールやスプリンクラーをテーマにした作品や、友人たちを描いたポートレートなどの初期作から日本初公開の大型風景画までを網羅的に展示する。そしてホックニーの現在を知るなら2004年に故郷の英国・ヨークシャーに拠点を移して以来、描き続けている風景画に注目したい。今、なぜ風景画を?「ホックニーは自分の目で見たものを描く画家。目の前の世界をありのまま、どう絵画に置き換えられるかを考え続けてきたのです」と、本展を企画した東京都現代美術館・学芸員の楠本愛さん。ホックニーは従来の一点透視図法に限界を感じ、ピカソの自由な絵画、特にキュビスムにヒントを得て一枚の絵に複数の視点を持ち込む独自の遠近法を編み出している。こうした手法で世界の広がりを描き留めることに熱中しているようだ。例えば、〈春の到来 イースト・ヨークシャー、ウォルドゲート 2011年〉は幅10mの油彩とiPadで描いた51点の絵を組み合わせたシリーズの作品。「春の風景に包み込まれる感じを体感できます。油彩画には風が吹き、若葉が舞っている様子が、とても美しく表現されています」ロックダウン中に現在住むフランス・ノルマンディーで描いた《ノルマンディーの12か月 2020‐2021年》は、春夏秋冬をテーマにした長さ90mに及ぶ絵だ。これを途切らせず一挙に展示することは一つの挑戦でもあったと楠本さん。「この作品を歩きながらじっと眺めていると、まるで絵巻物の中に入り込んで、ノルマンディーの庭を歩いているような感覚になります」ここにも長年絵巻物を研究したホックニーならではの描き方が。現代美術には多様な役割があるなか、ホックニーの絵は純粋に楽しむことができると楠本さん。絵を観る純粋な喜びを、ぜひ会場で味わって。《スプリンクラー》 1967年 東京都現代美術館©David Hockney《春の到来 イースト・ヨークシャー、ウォルドゲート 2011年(5月31日 No.1)》 2011年 デイヴィッド・ホックニー財団©David Hockney《ノルマンディーの12か月 2020‐2021年》(部分) 2020‐21年 作家蔵©David Hockney《クラーク夫妻とパーシー》1970‐71年 テート©David Hockneyデイヴィッド・ホックニー1937年、英国生まれ。王立美術学校を卒業後、ロサンゼルスに移住。現在はノルマンディーを拠点に活動。2017年にはロンドン、パリ、NYで回顧展を開催。テート・ブリテンでは入場者数の記録を更新し、約50万人が来場。ノルマンディーにて2021年4月1日©David HockneyPhoto:Jean-Pierre Goncalves de Limaデイヴィッド・ホックニー展東京都現代美術館 企画展示室1F/3F東京都江東区三好4‐1‐1開催中~11月5日(日)10時~18時(7/21・28、8/4・11・18・25は~21時。入場は閉館の30分前まで)月曜(9/18、10/9は開館)、9/19、10/10休一般2300円ほかTEL:050・5541・8600(ハローダイヤル)※『anan』2023年7月26日号より。取材、文・松本あかね(by anan編集部)
2023年07月23日渋谷区立松濤美術館で、「私たちは何者?ボーダレス・ドールズ」が開かれています。本展では、平安時代から現代までの日本のさまざまな人形を紹介。なじみのあるお雛さまやマネキン、リアルな生人形、さらに性を扱う人形など多彩な造形物が展示されています。会場の様子や学芸員さんのお話など、詳しくレポートします!ボーダーラインを飛び越えた人形が集結!「私たちは何者?ボーダレス・ドールズ」会場入り口【女子的アートナビ】vol. 304「私たちは何者?ボーダレス・ドールズ」では、民俗や考古、玩具、芸術など各ジャンルのボーダーラインを飛び越えた日本のさまざまな人形を展示。多様性をもつ人形をとおして、日本の立体造形表現の変遷を知ることができる展覧会です。本展を担当された松濤美術館学芸員の野城今日子さんは、本展の趣旨について次のように解説。野城さん人形にはさまざまな分野があり、表現方法も役割もすべて違います。ふだん、美術や芸術という枠組みで私たちは考えていますが、美術館に人形を並べてみると、「何が芸術なのか」と概念が揺さぶられるのではないでしょうか。人形の造形表現をとおして、カテゴライズできないところにも日本のモノづくり精神が宿るということをお伝えできればと思います。衝撃的な呪詛人形からスタート!《人形代[男・女]》平安京跡出土平安時代前期京都市指定文化財京都市蔵本展は10章構成。いくつか見どころをピックアップして、ご紹介していきます。第1会場(2階展示室)にある第1章では、考古や民俗資料としての人形を中心に展示。平安時代につくられた《人形代(ひとかたしろ)[男・女]》は、京都で出土したもので、人を呪い殺すためにつくられた人形です。本展のポスターにも使われています。野城さん人形代は、薄い木に顔を描いたシンプルなものが京都などでたくさんつくられ、儀式などで使われていました。約10年前に平安京跡の井戸から出土した人形代は、立体的で肉感もあり、精巧につくられ体に名前も書かれています。リアルにつくることにより、より強く呪いをかけられると当時の人は思っていたようです。大きなお雛さま!末吉石舟《古今雛》文政10(1827)年東京国立博物館蔵続く第2章では、おなじみの雛人形や五月人形を展示。雛人形は、貴族や公家社会の行事で、子どもの健康を願うため、また社会の規範を子どもに教えるためにも使われました。野城さんお雛さまは、小さなものや、子どもの健康を願うものなど、いろいろな種類があります。例えば、「古式立雛」は、今のドールハウスのように、子どもたちがお雛さまで遊んでいたルーツもあるようです。「古今雛」のような大きなお雛さまなどのバリエーションもあり、サイズや表現を変化させながら人々の生活に根づいていきました。彫刻と人形の違いは…小島与一 《三人舞妓》 1924年アトリエ一隻眼蔵前章は江戸時代までの人形でしたが、第3章からは明治に入り、西洋化を推し進める日本でつくられた人形が展示されています。野城さん江戸時代まで、彫刻的なものであった人形は、近代に西洋から彫刻の概念が入ると変化が生じていきます。例えば、展示されている博多人形はどこから見ても破綻のない形で、彩色も美しく、彫刻といっても人形といってもいい存在です。彫刻と人形の差はどう区別するのか、と感じていただきたいです。ギョッとする生人形「私たちは何者?ボーダレス・ドールズ」展示風景第2会場(地下1階展示室)に入ると、生人形(いきにんぎょう)が登場。生人形とは、幕末から明治にかけて流行したリアルな人形で、ギョッとするほど精巧につくられています。野城さん生人形は、見世物として架空の物語や歴史の物語のひとつの場面を表したりしているエンタメのひとつでした。お祭りなどのためにつくられた生人形もあれば、地域伝承に使われるものもあります。例えば、《生人形松江の処刑》は、松山市三津浜地区に伝わるものです。松江さんという女性が地域の乱暴な男に襲われそうになり、男性を殺めてしまいます。それで自分も処刑してほしいと父親に頼み、首を切られる場面を生人形で表しています。松江さんのお墓の横にこの人形を置き、供養のためにみなで踊ったりしていました。マネキンや現代アートも!「私たちは何者?ボーダレス・ドールズ」展示風景第8章では、商業で活躍した「人形」としてマネキンを紹介。さらに、最後の10章では、現代美術家、村上隆さんのアート作品とフィギュアが展示されています。野城さん初期の洋装マネキンは、実は彫刻家がつくっていました。向井良吉は彫刻家で、七彩というマネキンをつくる会社の創業者でもあります。会場では、彼のつくったマネキンと彫刻を並べて展示しています。また、最後の章では、村上隆さんのアート作品とフィギュアを展示。人形に対する思いは、いろいろな分野に分散しながら日本の根底に流れていき、今は現代アートとして世界に発信されています。大人の展示コーナー「私たちは何者?ボーダレス・ドールズ」展示風景第9章は、1階の特別エリアに作品が展示され、大人だけが入場できます。この展示室では、多くの人の心身に寄り添ってきたラブドールなど、性愛を対象にした人形が紹介されています。(18歳未満の方は、ご覧になれません)野城さんラブドールは、性行為をする相手としてつくられた人形で、生きているような血色、肉感がわかり、どこかリアルな感じがあります。生人形から流れている「人をつくりたい」という気持ちが現代にも受け継がれています。役割も表現の仕方も分野もすべて違いますが、人形は私たちと近い距離にあります。美術や芸術という枠組みでカテゴライズできないところにも造形精神が宿る、というのをこの展覧会で感じていただければうれしいです。展覧会は8月27日まで!本展は、前期と後期にわかれ、一部展示替えがあります。また、担当学芸員さんによるトークイベントなども予定されています。ぜひ、多様な人形の世界を楽しんでみてください。Information会期:~8月27日(日) ※前期:7月1日(土)~7月30日(日)後期:8月1日(火)~8月27日(日)※会期中、一部展示替えがあります休館日:月曜日[7/17は開館]、7/18(火)会場:渋谷区立松濤美術館時間:10:00~18:00(金曜日~20:00) *入館は閉館30分前まで観覧料:一般¥1,000大学生¥800高校生・60歳以上¥500※土・日曜日、祝休日及び夏休み期間は小中学生無料※毎週金曜日は渋谷区民無料
2023年07月23日いよいよ夏休み本番! みんなはどうやって過ごす予定? せっかくだから子どもに楽しい体験をさせてあげたいママへ、HugMugブロガーおすすめの体験ができるお出かけスポットを5つご紹介。お家では体験することのできないアートや職業体験、フルーツ狩りなど、子どもたちが思いっきり楽しめるところにお出かけしよう♡体験スポット 01 @東京都 明治神宮前駅思いのままにアートを楽しめる!キッズアートワークショップ by w.a.y.s教師が持つ知識を子どもに教えるという従来の教育ではなく、体験を通じて子どもたちが自ら学ぶことを重視する、幼児教育システム『レッジョ・エミリアアプローチ』。『w.a.y.s』は 、このレッジョ・エミリア・アプローチに基づく保育を経験してきた先生が立ち上げたワークショップで子どもたちの自由な発想を育む。木の葉や枝、土や生花、砂や貝殻などの自然素材、金属や電気製品の部品といった廃物再利用の人工物、画材などが用意されていて、汚れることを気にせず好きなようにアートを楽しめる。推薦者:上條裕美子さん(4歳男の子のママ)みんな全身絵の具まみれ、泡まみれになって、全力でアートを楽しんでいました! 家ではなかなかやらせてあげられないので、何にも気にせず思い切り遊ばせてあげられるのは、母ちゃんとしてもとっても嬉しい♪体験の様子をブログでチェック!CHECKKIDS ART WORKSHOP by w.a.y.s住所:東京都渋谷区神宮前3-20-3 石井ビル1F Space Banksia電話番号:080-7940-4740営業時間:午前の部 10:00~12:00/午後の部 13:00~15:00定休日:不定期開催体験スポット 02 @全国親子で『ドミノ・ピザ』がつくれる!ピザアカデミー「ピザアカデミー」は、『ドミノ・ピザ』の店舗で実際にピザづくりが体験できるワークショップ。 子どもも大人も参加可能。生地を伸ばし、ソースを塗り、チーズを乗せたら好きな具材を選んでトッピング、オーブンで焼いたらオリジナルピザの出来上がり♪ 最後にもらえる認定証を持っていれば何度でもピザ注文時にポテトが無料になる特典付き!推薦者:ありささん(5歳女の子のママ)褒め上手なお兄さんたちがやさしく教えてくれたので、子どもたちも上機嫌でつくっていました。友達親子と行ったのですが、簡単な作業でもそれぞれの性格が出ていておもしろかったです!体験の様子をブログでチェック!CHECKピザアカデミー住所:全国のドミノ・ピザ ※一部店舗を除く電話番号:0120-838-204(問い合わせ先)営業時間:対象店舗に要確認定休日:対象店舗に要確認 ※店舗は年中無休体験スポット 03 @千葉県 幕張豊砂駅人気の職業を体験しようKandu(カンドゥー)『カンドゥー』は、親子で楽しめる仕事体験テーマパーク。3歳~中学生以下の子どもたちが対象で、約30種類以上の仕事体験をすることができる。なかでも子どもたちに大人気なのがポケモンセンタースタッフ。保護者はお客さま役などで参加できて、子どもたちが一生懸命働く姿を近くで見ることができる。予約必須スポットなのでまずは公式サイトをチェックしてみて!推薦者:akaneさん(8歳男の子と4歳女の子のママ)きょうだい揃ってとっても楽しみにしていたポケモンセンターの販売員に挑戦しました。キッザニアにはない特殊なお仕事で、子どもたちの可愛い姿が見ることができました♡体験の様子をブログでチェック!CHECKKandu(カンドゥー)住所:千葉県千葉市美浜区豊砂1-5 イオンモール幕張新都心 ファミリーモール3F電話番号:0570-085-117(カンドゥーコールセンター 9:00~18:00)営業時間:第1部10:00~14:30 第2部15:30~20:00定休日:不定休体験スポット 04 @神奈川県 京王よみうりランド駅オリジナルのU.F.O.焼そばづくりに挑戦!よみうりランド マイU.F.O.ファクトリーよみうりランドのグッジョバ!!エリア内にある「マイU.F.O.ファクトリー」では、自分だけのオリジナルのU.F.O.焼そばがつくれちゃう! デザインシートにマジックで絵を描き、好きな具材とソースをチョイス。味の組み合わせはなんと5,460通り。完成後はエアパッケージに入れてバッグのように持ち歩ける。帰ってからも食べる楽しみがあるのは嬉しいポイント♡推薦者:azusaさん(4歳女の子と0歳男の子のママ)自分たち好みの味の焼そばがつくれるだけでなく、帰ってからも楽しみがあるのってすごく嬉しい! とっても楽しい体験でした♡体験の様子をブログでチェック!CHECKよみうりランド グッジョバ!!エリア内 マイU.F.O.ファクトリー住所:東京都稲城市矢野口4015-1電話番号:044-966-1111営業時間:10:00~17:00(変動あり)定休日:不定休体験スポット 05 @東京都 築地駅全身でアートを体験!crep(クリップ)『クリップ』は、子どもたちが全力でアート体験ができる施設。アート遊びを通して創造力や思考力を育むことができる。カラースプレーでペイントしたり、粘土を足で踏んだり、家ではさせてあげられないような大胆なアートを思いっきり楽しめちゃう♡推薦者:rikoさん(4歳女の子のママ)ずっと集中していたからか最後は疲れ果ててましたが、それくらいすごく楽しんでいました! お家ではできないアート体験を、思う存分に子どもも大人も一緒に楽しめるのでまた行きたいです♡体験の様子をブログでチェック!CHECKcrep(クリップ)住所:東京都中央区築地3-12-5 築地小山ビル B1F電話番号: 070-3277-0191営業時間:10:00~18:00定休日:不定休
2023年07月21日1996年から続くタワーレコードのキャンペーン〈NO MUSIC, NO LIFE.〉のビジュアルをはじめ、’90年代には写真集『MOTOR DRIVE』でセンセーションを巻き起こした写真家・平間至。躍動感溢れる彼の写真は、まるで音楽が聞こえてくるようだと評され、それまでにない独自の表現で一躍写真界の寵児となった。ミュージシャンを撮るんじゃない。写真そのもので音楽を鳴らしたい。『平間至展写真のうた ‐PHOTO SONGS』は“写真と音楽”をテーマに、彼の初期作品から、膨大なアーティストのポートレート群まで200点を超える作品を一堂に展示。本邦初公開のアザーカットやバックステージでのオフショット、ライフワークとして撮り続けているダンサー・田中泯の〈場踊り〉シリーズや、平間写真館TOKYOで撮影された家族の写真、大学時代に作成した制作課題など、彼の原点から現在までを5つのテーマで紹介しつつ、平間至の半生を大解剖したものだ。「今回の展覧会の会場となる渋谷は昔、水が流れて沼ができた地。今は人の欲望や文化的なものが流れ込んでできている街じゃないかな。タワーレコードがあったり、’90年代に渋谷系といわれた音楽の潮流が起こったり。僕も音楽と深く関わりながら’90年代から新しい活動をこの地で行ってきた。だから今回、僕が回顧展をする場所にぴったりだと思いました」と平間さん。彼は宮城県塩竈市にある、祖父の代から続く写真館の3代目として生まれた。クラシック音楽が流れる写真館は、地元では社交場といった風情で、そこで育った平間さんにとって、写真と音楽は常にセットで身近な存在だった。「祖父は呉服屋の息子で、明治時代に英語を習うような先進的な家で育ったようです。伯祖父(おおおじ)は眼科医で、ドイツ留学の際に現地でカメラを買ってきたことが、祖父が写真館を始めるきっかけに。父は大学時代にオーケストラでチェロを弾いていましたが、写真館を継ぎ、僕もその後継者となるはずだったんです。でも当時の僕はこんな古い写真はイヤだと家を出て上京しました。もともとは実家の写真館のためにメディアの写真を学んでいたはずだったんですが、あれ、うっかり帰り忘れているなと、つい最近気がつきました(笑)」上京後、彼がミュージシャンと縁深い仕事をするようになったのは音楽雑誌がきっかけだった。「僕の師匠・伊島薫が音楽雑誌の撮影をしていた当時から、あそこには音楽好きなアシスタントがいると思われていたみたい。1990年に独立したタイミングで音楽雑誌の仕事が始まり、4~5年続けた雑誌の仕事をまとめたのが写真集『MOTOR DRIVE』だったんです」一世を風靡したこの写真集で表現された躍動感溢れる作品は、28年経った今見ても、斬新かつ驚くほどエネルギッシュだ。この作風を彼はどうやって編み出したのだろう。「僕の師匠はネガフィルムを使って革新的なファッション写真を表現した人でした。だから僕もネガとかポジを使って新しい手法を試行錯誤したのですが、やればやるほど師匠の二番煎じっぽくなっていくことに気がついて。何度も実験を繰り返す中で、僕はフィルムの現像過程で手を加えるのではなく、現場で何かを起こす方が、自分らしい表現ができると気づいたんです」以来、彼は写真館への反抗と称して、被写体も自身もパワフルに動き回りながら魂を解放する、まるでバンドのセッションのような撮影手法をとるようになった。「そもそも僕はミュージシャンを撮るんじゃなくて、写真そのもので音楽を鳴らしたい、という想いが根底にあるんです。言い換えると、単にアーティストの姿を撮るのではなく、被写体と写真家のお互いが、セッションという名のエネルギー交換をした時に起こる化学反応を写真で表現したいということ。僕は脳内で考えた絵を写真で再現しても全然ワクワクしない。まず大事なのはお互いのエネルギーがぶつかり合うようなコミュニケーション。その結果が写真に表れると、予想を超える作品が生まれる。この化学反応がないと、写真で誰かを感動させることはできないと思うんです」そんな平間さんの写真家人生に大きな衝撃を与えたのが東日本大震災。故郷の被災地で目の当たりにした瓦礫の中から平間写真館で撮影された記念写真の数々を発見し、「改めて家族の記憶を紡ぐ場として写真は大きな役割を果たすものだ」と実感。それが2015年に東京・三宿で平間写真館TOKYOをオープンするきっかけとなった。ここではアーティストはもちろん、一般のファミリーも大音量のセッションで撮影。平間さん曰く「〈MOTOR DRIVE〉を家族写真でやっている感じ」と嬉しそう。さらに最近ではフットワークも軽く、地方に出張写真館として赴くことも。そこには彼が“エネルギーの交換”と呼ぶ、温かいコミュニケーションが待っているから。「いつも断崖絶壁で、気力が萎えている余裕すらなかった」と語る写真家の33年を、かつてない規模で振り返る本展。音楽と写真が好き、そこに写る人間はもっと好き。その感情を新しいクリエイションで表現したい。そんな声が聞こえてきそうな作品群を見れば、なぜ彼が長年にわたって、これほど多くのミュージシャンに愛されてきたのかがよくわかる。平間至《Yellow Magic Orchestra》「NO MUSIC, NO LIFE.」 2012年7月‐9月 ©Itaru Hirama平間至《あいみょん》「NO MUSIC, NO LIFE.」 2020年8月‐10月 ©Itaru Hirama平間至《CHAI》「NO MUSIC, NO LIFE.」2021年 5月‐6月 ©Itaru Hirama平間至《MOTOR DRIVE》 1992年 ©Itaru Hirama平間至《忌野清志郎》『月刊 風とロック』 2005年8月号 ©Itaru Hirama『平間至展写真のうた ‐PHOTO SONGS』ヒカリエホール ホールB東京都渋谷区渋谷2‐21‐1渋谷ヒカリエ9F開催中~8月23日(水)11時~20時(入場は19時30分まで)無休一般1300円ほか※オンラインによる事前予約が可能TEL:050・5541・8600(ハローダイヤル)ひらま・いたる1963年生まれ、宮城県出身。タワーレコード「NO MUSIC, NO LIFE.」のキャンペーンポスターをはじめ、多くのミュージシャンの撮影を手がける。2015年に平間写真館TOKYOをオープン。©Itaru Hirama※『anan』2023年7月19日号より。取材、文・山田貴美子(by anan編集部)
2023年07月18日これまで100冊以上の絵本を出版し、児童文学界のノーベル賞といわれるアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞した絵本作家、荒井良二さん。現在では活躍の場を広げ、絵本にとどまらない表現の世界を自由に旅している。そんなアーティストとしての荒井さんが出力全開で臨む展覧会「new born荒井良二いつも しらないところへ たびするきぶんだった」が開幕する。「手のひらで読む絵本世界とはまた異なる世界へ誘ってくれるのではないでしょうか」と学芸員の中村貴絵さん。荒井さんはここ10年ほどの間に新しい活動期に入った。東日本大震災後は被災地をめぐるワークショップツアーを実施、2014~’18年には「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ」の芸術監督を務めている。「それまでの表現媒体が絵本だったというだけで、もともと社会の観察者としての一面があったのだと思います。それがこうした活動をきっかけに開花し、アートを媒介に社会や地域、人、歴史とつながっていったのではないでしょうか」本展では代表作の絵本『あさになったのでまどをあけますよ』などの原画の展示に加え、新作絵画や立体作品など約300点を展示。山形ビエンナーレで発表された物語「山のヨーナ」のインスタレーションを再構成した作品や、大分県の公園に設置されたオブジェ《たいようをすいこむモン》のマケット(試作の模型)も登場。開幕前にワークショップの参加者と共に制作した作品も展示予定だ。面白いのはどんなに道具や場所が変わっても、荒井さんの飄々とした物腰はそのままに見えること。「新しいジャンルに飛び込み、表現の枠を広げていくことに躊躇がない現在進行形のアーティストだと思います。ただそこに大きな覚悟はなく、展覧会のタイトルのように、あくまで知らない場所を旅する『気分』であるところが、実に荒井さんらしい」私たちもそんな気分に身を委ねて、荒井良二さんの新しい世界を旅してみたい。『あさになったのでまどをあけますよ』原画 2011年 偕成社、個人蔵 ©Arai Ryoji《new born 旅する名前のない家たちを ぼくたちは古いバケツを持って追いかけ 湧く水を汲み出す》制作風景《絵の中のぼくとぼくの中の絵》2023、個人蔵 ©Arai Ryoji《流れ星スパーク奏でよギター》2022年、個人蔵 ©Arai Ryojiあらい・りょうじ1956年、山形県生まれ。2005年、アジアで初めてアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞。『たいようオルガン』でJBBY賞など国内でも受賞多数。ライブペインティング、ワークショップのほか、作詞・作曲など音楽活動も行う。最新刊は絵本『ねこのゆめ』(NHK出版)。写真:志鎌康平「new born荒井良二いつも しらないところへ たびするきぶんだった」横須賀美術館神奈川県横須賀市鴨居4‐1開催中~9月3日(日)10時~18時8/7休一般1300円ほかTEL:046・845・1211※『anan』2023年7月12日号より。取材、文・松本あかね(by anan編集部)
2023年07月11日静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)で、「サムライのおしゃれ―印籠・刀装具・風俗画―」が開かれています。昔のサムライたちが身につけていた装身具は、実は日本を代表する美術品のひとつ。世界の愛好家たちも憧れた、クールなサムライアイテムをご紹介します!世界でも高評価!サムライアイテムが勢ぞろい「サムライのおしゃれ―印籠・刀装具・風俗画―」会場入り口【女子的アートナビ】vol. 302「サムライのおしゃれ―印籠・刀装具・風俗画―」では、静嘉堂文庫美術館が所蔵するコレクションのなかから、サムライたちの装身具である印籠や刀装具などのアイテムを展示。江戸時代の美術工芸品は、浮世絵と同じように海外でも高く評価され、世界の愛好家たちに蒐集されてきました。印籠などは小さな作品ですが、そのなかに花鳥風月や故事などが金銀漆で美しく表現され、世界のコレクターからも愛されています。本展では、そんなサムライアイテムのほか、おしゃれな江戸の人々を描いた風俗画も紹介。武士や遊女たちが華やかに着飾るようすも楽しむことができます。※本記事の写真はプレス内覧会で許可を得て撮影しています。サムライのおしゃれとは?《黒蝋色塗鞘桐紋金具打刀拵》江戸時代(17世紀)では、会場の展示作品とともに見どころをご紹介。まず1章は「サムライのおしゃれ」として鎌倉武士たちの華やかな鎧兜姿を描いた絵巻や、江戸の武士が登城するときに身につけた礼装の拵(こしらえ)などが展示されています。サムライや展示作品について、展覧会を担当した静嘉堂文庫美術館学芸員の山田正樹さんは、次のように解説してくれました。山田さんサムライの誕生については諸説ありますが、一説には京都の平安貴族に上級貴族と下級貴族がいて、下級貴族が軍事専門化した家系がのちの平氏や源氏のサムライといわれています。その平安鎌倉の武士たちが身につけていた戦の装束から「サムライのおしゃれ」を解いていくのが第1章です。江戸時代の武士は、腰に大小の刀を二本差していますが、長い刀を収めた打刀拵(うちがたなごしらえ)と、短い刀を入れた脇差拵の二点セットになっています。江戸時代初期、徳川幕府が制定した武士の礼装は裃、袴をつけて二本差しにして、殿中では脇差のみで、右側が空くので印籠を提げる。この三点セットが武士の礼装の基本でした。《蒙古襲来絵巻摸本巻二》明治2年(1869)山田さん《蒙古襲来絵巻》のオリジナルは鎌倉時代・13世紀に描かれたもの。静嘉堂の展示品はその摸本で、明治2年に描かれたものです。鎌倉時代の元寇がテーマの作品で、13世紀後半の武士たちの装束を知ることができます。この絵巻は、元寇の戦に参加して戦功をあげた竹崎季長自身が絵師に依頼したもので、細かく注文をつけて描かせたので武家風俗の考証が的確といわれています。人気のコレクターズアイテムが勢ぞろい!「サムライのおしゃれ―印籠・刀装具・風俗画―」会場風景続く2章「将軍・大名が好んだ印籠」では、静嘉堂が所蔵する276点の印籠コレクションから、40点を精選して紹介。将軍家や大名家につかえた蒔絵師ごとに、作品が展示されています。将軍や大名たちは、印籠を注文製作し、季節ごとに取りかえておしゃれを楽しんだり、贈答に使ったりしていたそうです。趣味で印籠を集めるお殿様もいて、コレクターズアイテムとなっていました。職人たちも技術やデザインを磨き、全国のサムライが集まる大都市・江戸には、腕の良い印籠蒔絵師たちが集まりました。数ある印籠のなかでも山田さんが注目する逸品は、尾張徳川家の御用蒔絵師、吉村寸斎の作品。山田さん作例が少なく、幻の蒔絵師と呼ばれています。木目のように見える背景は、実は黒漆地に金の研ぎ出し蒔絵で木目を繊細に表しています。そこに墨絵で描いた馬の図をそのままに螺鈿の輝く貝に置き換えて表しています。明治になると超絶技巧がはやりますが、寸斎の印籠はその走りとなるような作品です。海外が憧れた黒いモノとは?「サムライのおしゃれ―印籠・刀装具・風俗画―」会場風景3章「江戸の風俗画にみる武士のよそおい」では、江戸時代の江戸や京都の街のにぎわいなどを描いた屏風や、サムライのおしゃれアイテムである刀剣の拵(外装)や装飾金具などを展示。重要文化財の《四条河原遊楽図屏風》では、当時のファッションリーダーだった「かぶき者」や遊女、若衆たちが生き生きと描かれています。川之辺一朝ほか《藤丸写合口拵(長船兼光脇指付属)》明治時代(19世紀)また、江戸から明治にかけてつくられた刀剣の拵は、黒漆塗が大変美しく、海外の人たちも憧れました。ピアノの黒塗は、日本刀の鞘塗りに触発されたといわれているそうです。最後の4章「貴人のおしゃれ」では、重要文化財で世界的にも貴重な「密陀絵」の屏風と国宝の曜変天目(「稲葉天目」)を楽しめます。新発見のサーベルも必見!C.SMITH&SON《サーベル形儀仗刀 後藤象二郎拝領》(1868)本展では、NHKテレビでも報道された新発見のサーベルも展示されています。このサーベルは、後藤象二郎が英国ヴィクトリア女王から拝領したもので、長い間行方不明とされていましたが、世田谷の静嘉堂で発見されました。なぜ後藤にサーベルが贈られたのかというと、幕末に英国公使パークスを襲撃した刺客を、後藤象二郎と中井弘が撃退。その感謝の印として、サーベルが英国から下賜されました。その後、静嘉堂文庫創設者の岩﨑彌之助と、後藤の長女が結婚したことで、サーベルが岩﨑家に継承されたそうです。このサーベルは最初の展示室に展示されています。大変貴重な歴史的資料なので、ぜひこちらもお見逃しなく!Information会期:~7月30日(日)休館日:月曜日、7月18日(火)※ただし、7月17日(月・祝)は開館会場:静嘉堂@丸の内 (明治生命館1階)開館時間:10:00 – 17:00 (入館は16:30まで)※金曜日は18:00 (入館は17:30)まで。観覧料:一般¥1,500、大高生¥1,000、中学生以下無料
2023年07月11日ささやかで豊穣な、植物たちのパラレルワールドを旅する。「練馬区立美術館コレクション+ 植物と歩く展」をご紹介します。植物を定点カメラで撮影すると一粒の種子が芽を出し、根を張り、花を咲かせるさまは実にダイナミック。「植物と歩く」というタイトルには、こうした植物の営みのそばで共に過ごすという意味が込められているとか。“花”“草”“木”をテーマにした作品が並ぶ中、見どころの一つが放映中のNHK連続テレビ小説『らんまん』の主人公のモデル、牧野富太郎博士の植物図。学芸員の木下紗耶子さんはその特徴をこう話す。「牧野は植物の特定の個体を写実的に描くというより、その種の典型・標準型を描くことを追求していました。全形図だけではなく解剖図も描き込むなど、植物を分類する上で必要な情報を余さず伝える工夫が随所に凝らされています。植物学の知識を持たない人にとっても目を見張るものがあり、植物を深く探究する執念が伝わってきます」展示作品の制作期間が1910年代から2020年代にわたる中でも、新しいアプローチを採用しているのが倉科光子の「ツナミプランツ」シリーズ。東日本大震災の津波の浸水域をフィールドワークし、土壌の流動によって以前はその地で見られなかった植物を描く。発見場所の緯度経度だけを記したタイトルが、小さな雑草と現実世界をつないでいるようだ。このように植物を描くという行為は同じでも、描き手によって異なる顔を見せる植物の世界。一つ一つ、その扉を開けてみませんか?牧野富太郎「ホテイラン」(東京帝国大学理科大学植物学教室編纂『大日本植物志』、第一巻第四集、第一六図版)1911年紙に多色石版印刷個人蔵倉科光子《37°33’22″N 141°01’31″E》2015‐2020年水彩紙に透明水彩作家蔵須田悦弘《チューリップ》1996年岩絵具・木練馬区立美術館蔵©Yoshihiro Suda / Courtesy of Gallery Koyanagi「練馬区立美術館コレクション+ 植物と歩く展」練馬区立美術館東京都練馬区貫井1‐36‐16開催中~8月25日(金)10時~18時(入館は17時半まで)月曜(7/17は開館)、7/18休一般500円ほかTEL:03・3577・1821※『anan』2023年7月12日号より。取材、文・松本あかね(by anan編集部)
2023年07月10日東京国立博物館で、特別展「古代メキシコ -マヤ、アステカ、テオティワカン」が開かれています。本展のナビゲーターは、俳優の上白石萌音さん。メキシコで暮らしたことのある上白石さんが、展覧会の感想やメキシコの思い出などを語ってくれました!上白石萌音さんがナビゲーター!上白石萌音さん【女子的アートナビ】vol. 301特別展「古代メキシコ -マヤ、アステカ、テオティワカン」では、メキシコにある古代都市の遺跡群から、代表的な3つの文明「マヤ」「アステカ」「テオティワカン」に関する至宝を展示。土偶や土器、石彫、首飾りや壁画など、さまざまな出土品約140件が紹介されています。メキシコは、16世紀初頭にスペインが侵略するまで、3千年以上も高度な文明が栄えていました。前1500年頃にオルメカ文明が興り、野生の動植物で暮らしを支え、暦を生み出し、さらに神への祈りなど捧げる儀礼の場やピラミッド、居住地などもつくられるようになりました。現在、メキシコの古代遺跡や歴史地区の多くは、世界遺産にも登録されています。そんなメキシコに3年間暮らしたことのある俳優の上白石萌音さんが、本展のプレス内覧会に登壇。展覧会の感想やメキシコの魅力を語ってくれました。ふわっと頬がゆるみました特別展「古代メキシコ -マヤ、アステカ、テオティワカン」会場風景――展示全体をご覧になって、いかがでしたか?上白石さん本当にいろいろな気持ちになりました。ワクワクしたり、おそれの気持ちを抱いたり、ふわっと頬がゆるむ瞬間があったり、精密な技術に驚いたり。すごく充実した楽しい時間でした。大昔の文明の品々なのに、その向こうに暮らしや作った人の存在、現代とのつながりを感じる瞬間もあり、フシギな気持ちになりました。また、私はメキシコで暮らしたこともあるので、すごく懐かしさも感じながら堪能させていただきました。――頬がゆるんだ作品とは、どのようなものですか?上白石さんふわっとした気持ちになる作品は、たくさんありました。出土品に描かれている生き物や人などの表情が、とても愛らしいのです。また、造形が絶妙でシュールなものもあり、そんなところにもメキシコの愛嬌を感じる瞬間がありました。小さい装飾品から大きい像まで、とても丁寧に装飾が施されていて、神や自然へのおそれ、祈りの切実さがにじみ出ているような気がしました。一番圧倒されたのは、「赤の女王」のマスクです。その展示室に差し掛かったときは、なんともいえない気持ちになりました。学芸員さんのお話によると、これを逃したら今後見ることができないかもしれないくらい貴重なモノということでしたので、ぜひこの機会を逃さずに見て、感じていただきたいと思います。ある者を憑依させて…《赤の女王のマスク・冠・首飾り》展示風景――音声ガイドの収録は、いかがでしたか?難しいところなどありましたか?上白石さん私は、音声ガイドを録るのが大好きなので、とても楽しみながらやらせていただきました。メキシコは住んでいましたが知らないことがたくさんあって、本当に勉強になることばかりでした。いろいろ学んだので、友だちに知識をひけらかしているところです(笑)。収録では、ある者を憑依させて読むところが台本にあり、そこが難しく感じました。ある者、というのは、展示されている「赤の女王」で、その女王を憑依させて読む場面があり、難しかったのですが、がんばりました。この部分は、ぜひ聴いてほしいです。――今回のお話がきたときは、いかがでしたか?上白石さん本当にうれしかったです。絶対にやりたいと思いました。メキシコへの恩返しになればいいな、と思い、日本とメキシコをちょっとでもつなぐことができたらと思いました。心をいっぱい動かした――メキシコでは、どんな思い出がありますか?上白石さん最初に思い出すのは、テオティワカンというメキシコシティにあるピラミッドです。住んでいたところからも車で少し行けば着くような場所にある大きな遺跡で、この展覧会でもフォーカスされています。そこに何度も父に連れられて行きました。当時は、まだピラミッドに登ることもできたので、汗をかきながら頂上まで登ったり、その大きさに驚いたり、幼いながらも心をいっぱい動かしながら歴史に触れたことを思い出します。父は社会科の教師なので、歴史のこともいろいろ教えてもらったりしました。――古代メキシコでは、豊穣を願って、生贄や食べ物をお供えしていました。今、上白石さんが祈りをささげて叶えてほしい願い事はありますか?上白石さん長年の念願は、両親と妹と四人でメキシコに里帰りすることです。なので、長期の休みがほしいです(笑)。まだ、一度も里帰りができていないのです。せっかく行くなら家族みんなで行って、長めに滞在したいので、いろいろなところにお願いをして、お祈りをしようかと思います。この展覧会を見て、さらにメキシコ里帰りのモチベーションが上がりました。――最後に、メッセージをお願いします。上白石さん本当に貴重な品がたくさんあるので、お子さんから大人まで、みなさん楽しんでいただけると思います。夏休みもきますし、ぜひ壮大な歴史に触れて、ワクワクしていただきたいです。そして興味が出たら、ぜひメキシコも訪れていただきたいです。もしよければ、音声ガイドもレンタルしてほしいです。よろしくお願いいたします。9月3日まで開催!音声ガイドは、上白石さんのほか、声優・杉田智和さんも担当されています。「赤の女王」や「雨の神」も出てきたり、クイズもあったりして、楽しみながら作品解説を聴くことができます。会場レンタルは¥650。アプリ配信版は¥700でダウンロード可能です。展覧会は9月3日まで開催。その後、福岡と大阪に巡回予定です。Information会期:~9月3日(日)※休館日は月曜日、7月18日(火)※ただし、7月17日(月・祝)、8月14日(月)は開館会場:東京国立博物館平成館開場時間:9時30分~17時00分※入館は各閉館時間の30分前まで※土曜日は19時00分まで開館※6月30日(金)~7月2日(日)、7月7日(金)~9日(日)は20時00分まで開館※いずれも総合文化展は17時00分閉館観覧料:一般¥2,200、大学生¥1,400、高校生 ¥1,000
2023年07月09日新版画とは、江戸時代から続く伝統的な浮世絵木版画の技術を使って、同時代の画家の作品を表現したニューウェーブのこと。明治以降、写真や印刷技術の普及で衰退の一途をたどっていた木版画技術に注目し、温故知新ともいえる新しい作品を考案し広めた人物が、渡邊版画店(現・銀座8丁目にある渡邊木版美術画舗)の初代店主・渡邊庄三郎だ。色鮮やかな新版画から渡邊庄三郎の軌跡を辿る『THE 新版画版元・渡邊庄三郎の挑戦』。庄三郎は17歳で浮世絵商・小林文七の輸出の出店に勤め、そこで出合った浮世絵木版画特有の美しさに魅了される。その後独立し、明治42年に東京・京橋に渡邊版画店を構え、浮世絵を販売。大正4年から版元として、来日した外国人画家の作品の版画化に始まり、鏑木清方門下生だった伊東深水を中心とした新進気鋭の画家たちを絵師に起用して、新たな木版画を作り始めた。版画は絵師、彫師、摺師(すりし)の分業で制作される。それを統括する庄三郎は版元として類いまれな才能を発揮した。例えば摺師には、わざと凹凸のあるバレンを使って版画を摺らせて、従来にはなかった味わいのある「ざら摺り」の手法を開発。また1枚の版画に30~40回もの多重摺りを行い、古典にはなかった精緻で鮮やかな色彩を実現。その創意工夫に溢れた美しい新版画はたちまち話題となり、それらの作品をきっかけに次々と新版画の版元も登場。庄三郎はまさに新版画ブームの火付け役だ。本展はそんな新版画の数々から庄三郎の仕事ぶりが窺える、いわばプロデューサーの回顧展。美人画、風景画、役者絵、花鳥画など、江戸時代から続く浮世絵版画の定番モチーフごとに、その魅力と進化ぶりをたっぷりと紹介している。2000年代にリバイバルブームが巻き起こった新版画だが、昨今は日本ならではのアートとして、特に外国人ファンが急増しているというニュースもあるほど。本展は海外でも話題になっている新版画について学べる絶好の機会となるだろう。チャールズ・W・バートレット《ホノルル浪乗り》大正8年(1919)渡邊木版美術画舗蔵新版画誕生のきっかけとなった外国人作家フリッツ・カペラリやチャールズ・W・バートレット、橋口五葉など草創期の作品から展覧会は始まる。川瀬巴水《清洲橋》昭和6年(1931)渡邊木版美術画舗蔵川瀬巴水《日本風景集II関西篇京都清水寺》昭和8年(1933)渡邊木版美術画舗蔵風景画では場所や構図、摺りの技術などが詳しく紹介される。「巴水ブルー」と呼ばれるきっかけにもなった川瀬巴水の作品をはじめ、笠松紫浪など渡邊版画店を代表する風景画の名手を中心に展示。小早川清《舞踏》昭和9年(1934)渡邊木版美術画舗蔵当時のモダンな雰囲気の女性たちをカラフルに描き出した小早川清の作品をはじめ、女性の日常的なシーンを描いた多彩な美人画も登場。山村豊成(耕花)《梨園の華十三代目守田勘彌のジャン・バルジャン》大正10年(1921)渡邊木版美術画舗蔵渡邊版画店で人気の高かった役者絵。山村豊成、名取春仙の歌舞伎役者の似顔絵作品を見た庄三郎は彼らをスカウトし、江戸の浮世絵とは異なる新時代の役者絵を誕生させた。小原祥邨《柘榴に鸚鵡》昭和初期渡邊木版美術画舗蔵花鳥新版画の中でもモダンさと日本情緒の絶妙なバランスを持つ、小原祥邨の作品。『THE 新版画版元・渡邊庄三郎の挑戦』美術館「えき」KYOTO京都市下京区烏丸通塩小路下ル東塩小路町ジェイアール京都伊勢丹7階隣接6月24日(土)~7月30日(日)10時~19時30分(入館は閉館の30分前まで)会期中無休一般1000円ほかTEL:075・352・1111※『anan』2023年6月28日号より。文・山田貴美子(by anan編集部)
2023年06月26日すみだ北斎美術館は2023年6月20日(火)から8月27日(日)まで企画展「北斎大いなる山岳」を開催しています。浮世絵師・葛飾北斎(1760-1849)や門人が描いた山の作品を前期・後期あわせて約100点を展示し、北斎による多彩な山の表現とその魅力に迫る展覧会です。本展会期中、「北斎の富士に登ろう!ARで飛び出すフォトスポット」が登場します。お手持ちのスマートフォンで会場に設置されたQRコード※1 を読み取り、「冨嶽三十六景諸人登山」のフォトスポットにかざすと、富士山下山道の砂走り(すなばしり)を滑り降りる人物が現れます。展覧会鑑賞とあわせ、北斎が描いた富士山登頂記念に撮影をお楽しみください。※1:「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。北斎が描いた富士山の“登頂記念撮影”が楽しめる・期間2023年6月20日(火)~8月27日(日)※休館日を除く・会場すみだ北斎美術館3階ホワイエ・料金無料(ただし、企画展観覧券か前売券、または年間パスポートが必要です)*AR体験のインターネット通信料はお客さまのご負担となります。・フォトスポットにデザインされた作品について、担当学芸員によるヒトコト解説が流れるARもあります。■企画展「北斎大いなる山岳」概要期間: 2023年6月20日(火)~8月27日(日)休館日: 毎週月曜日※7月17日(月・祝)は開館、7月18日(火)は休館会場: すみだ北斎美術館3階企画展示室アクセス: ・都営地下鉄大江戸線「両国駅」A3出口より徒歩5分・JR総武線「両国駅」東口より徒歩9分・JR総武線「錦糸町駅」北口より墨田区内循環バスで5分料金: <前売券>一般800円、高校生・大学生・65歳以上560円、中学生・障がい者240円、小学生以下無料<企画展観覧券>一般1,000円、高校生・大学生・65歳以上700円、: 中学生・障がい者300円、小学生以下無料(画像はプレスリリースより)【参考】※公式サイト
2023年06月22日東京・南青山のアートギャラリー「白白庵(ぱくぱくあん)」(運営:有限会社ニュートロン)は、~あなたに寄り添う アートスピーカー~ をテーマに、陶芸家・山田 浩之展『Cave 340』を2023年6月24日(土)から開催いたします。あなたに寄り添う アートスピーカーPAKUPAKUAN presents:Ceramic artist YAMADA Hiroyuki’s solo exhibition“Cave340” - The new series of art-object audio speaker -【ギャラリー開催】全作品展示販売/入場無料/予約不要日程: 6月24日(土)・25日(日)・26日(月)・30日(金)・7月1日(土)・2日(日)時間: 午前11時~午後7時会場: 白白庵(〒106-0072東京都港区南青山二丁目17-14)TEL&FAX: 03-3402-3021MAIL: info@pakupakuan.jpURL : 【オンライン開催】限定数公開・販売/閲覧無料日時:6月24日(土)午後5時~7月2日(日)午後7時会場: 白白庵オンラインショップ《PAKUPAKUAN.SHOP》内特設ページ時には客人のようにSometimes like a guest,時には家族のようにSometimes like a family,愛するペットのように。Sometimes like a pet.信楽の陶芸家・山田 浩之がコロナ禍の中で人知れず没頭したのが、スピーカー作品制作でした。かつては人型大根を陶芸作品「土大根」として多数展開。無人販売機を設置したり、ある時は徳川の菩提寺に巨大な錦鯉を奉ったり。常に人を楽しませ、驚かせることを無上の喜びとするトリックスターが、持てる技術とアイデアをふんだんに取り入れて、世に問いかけるのが唯一無二のアートスピーカー!作品名「Cave 340」は山田の採用したバックロードホーン方式の形状を「洞窟」に見立て、音速(*一般的に常温15℃で秒速340mとされる)を表す「340」という数字を組み合わせた造語。愛くるしい、どこか憎めないキャラクターのような造形の数々に対し、愛称としてのコードネームを設定。スマートフォンからBluetooth(R)の操作で簡単に楽しめる一方、ユニークな形状だからこそ生まれる音の温かみや響きは、どれ一つとっても同じではない個性となります。従来のオーディオは「マニア向け」という印象が強かったものですが、Cave 340は老若男女どなたでも楽しめるパーソナル・オーディオであり、ユーモラスなオブジェでもあるのです。あらゆるシーンで魅力を発揮し、皆を楽しませる彼らはまさに「一家に一台」(あるいは二台でも三台でも)、これからの生活に欠かせない存在となるかもしれません。音を鳴らせばWhether it makes a sound,音を消してもor silences it,愛すべき存在It’s lovable.「僕たちの音を聴きに来てね」“Come listen to our sounds.”(画像はプレスリリースより)【参考】※公式サイト
2023年06月22日モデルの矢野未希子さんが写真家の東京祐(あずま・きょうすけ)さんと自費出版にて制作した写真集『as is』が6月20日に発売。矢野さんは被写体としてだけでなく、撮影のテーマやディレクション、スタッフの人選、ロケーション選び、進行や写真のセレクトまですべての制作過程に関わり、こだわり抜いてこの1冊を仕上げたそう。そこで矢野さんを直撃し、今回の写真集に込めた思いを聞いた。「ゼロから自分で物作りをしたいと思った」写真展のタイトルの由来は“ありのままの自分”。©︎東京祐16歳でモデルデビューし、36歳になった今もなお第一線で活躍している矢野未希子さん。この度発売された『as is』は、初の試みとなる自費出版写真集。このプロジェクトを始めようと思ったのは、約3年間専属モデルを務めた『Oggi』を卒業した4年前だそう。「10代でモデルの仕事を始めて、雑誌を中心にさまざまな媒体で被写体をやらせていただきました。モデルの仕事は大好きで、毎回すごく楽しいんですけど、裏方の仕事にもずっと興味があったんです。これまでは撮影現場に行ったら、今日はこういう企画で、こういう女性像で、こういうファッションを着て…と、全てが決まっていることが当たり前で。もちろんそれがモデルの仕事ですが、ゼロから自分で物作りをしたらどんなものができるんだろう?と純粋に思ったんです。ちょうど『Oggi』卒業のタイミングで、今までより自由な時間ができたので、『今、ずっとやりたかった作品撮りを始めよう』って決めました。それで最初にお声がけしたのが、写真家の東京祐さん。東さんとは撮影で1、2度ご一緒させていただき、どんなシチュエーションでも素敵に撮っていただけそうだなぁと感じたのでお声がけしたら、『ぜひ!』とご快諾いただいて、このプロジェクトがスタートしました。『as is』のタイトルの由来は“ありのままの自分”。「自然との調和によってありのままの姿に戻っていく。ありのままの姿が美しい。そんな瞬間を表現したかった」と矢野さんは話す。©︎東京祐「日々忙しく過ごしていると、仕事でもプライベートでも踏ん張ったりする瞬間って結構多いじゃないですか。なんかそういうのを積み重ねていくと、どうしたって疲れてしまう。そんな時、自然と触れあうのが私のいちばんのリリース法なんです。自分が心地いいと思える場所に行って自分を解放させてあげることってすごく大切。素晴らしい景色に『うわぁ~』と感動して、『はぁ~』とリラックスした瞬間が、人って一番いい表情をするんですよ。もちろん毎日頑張っている姿も素敵だけど、私は心からリラックスしてる姿が好き。そういう思いをずっと持っていたから、今回の写真集は、自然と人肌が調和する瞬間というのをテーマに撮影していくことを決めました」まだ見たことのない自分に出会うために毎回異なるスタッフとともに撮影に挑んだ。©︎東京祐全7回、1年間にわたって行われた撮影は、北海道や高知など、日本全国各地の大自然の中で敢行。水中での撮影、極寒の雪国での撮影、真夏の砂漠での撮影など、過酷なシチュエーションの中で自然と向き合いながら、矢野さんは“ありのままの姿”を体現。「今回、スタイリストさんやヘアメイクさんなど、東さん以外のスタッフさんは、ロケーションごとに異なる方にお願いしました。それは、まだ見たことのない自分に出会いたいという気持ちから。毎回“ありのままの姿”を表現するために、東さんと一緒にどなたにお願いするか、どんなロケーションがいいか、話し合いながら決めていきました。半分くらいのスタッフさんは、今回はじめましての方々でした。みなさん、私の可能性を広げてくれる方ばかりで、毎回の撮影がすごく新鮮でした。でもどれも大自然の中での撮影なので、驚くほど過酷ではありましたが(笑)。たとえば水中での撮影は、水深5mの水中で、約5mの毛糸を頭に編み込んだ状態で行ったんですが、本当に苦しかった!潜った後も毛糸のポジションを整えている間ずっと息を止めてないといけないし、いざ撮影となったら目を開けてポーズをとる。撮影が終わって水面に泳いで戻るんですけど。毛糸が水を含んでしまい重くてなかなか戻れない(笑)。本当に大変でした。でもそのおかげで、想像以上に素晴らしい写真が撮れました。深海のような、お母さんのお腹の中のような…見てくださる方の想像を掻き立てるような神秘的な1枚になったのではないかと思います。どの写真もいろんな見方ができると思うので、1枚1枚じっくり見ていただきながら、何かを感じてもらえたらうれしいです」©︎東京祐撮影以外にも、セレクト、構成、表紙の生地選び、色味、デザイン、タイトル、印刷所に足を運ぶなど、初めての体験だらけだったが、満足できる1冊が完成した。「1冊の本が完成するまでにこんなにもたくさんの工程があることを知り、本当に驚きました。ゼロから物を作るって初めてだし、すごく大変だし、時間も費用も想像以上にかかったけど、でもそれ以上の価値がありました。今まで関われなかった人たちとの出会いもあり、自分自身も成長できたので、いくつになっても新しいことにチャレンジしていくことって大切だと改めて実感しましたね」写真集発売を記念して、6月20日~25日写真展を開催。写真集発売を記念して、6日間限定で実施される写真展は、ハイブリッドなスペースとして展開されている「Karimoku Commons Tokyo」にて開催される。「わざわざ足を運んでくださるみなさんに楽しんでもらいたいなと思い、建築家・芦沢啓治さんと共に、全体のディレクションや内装など細部にもこだわりを持って会場を作り上げました。また会場は、香りデザイナーの@aromaさんと作ったオリジナルの香りに包まれています。写真集の撮影で訪れた北海道や高知県と香りでつながれたらと思い、高知産の柚子、北海道産のハッカなどをセレクトし、梅雨時期のジメジメとした気持ちが一瞬で晴れるような自然溢れる爽やかな香りにしました。写真展初日だけのおもてなしにはなるのですが、『菓子屋ここのつ』の溝口実穂さんに、このギャラリーをイメージして作っていただいたお茶も当日会場で振る舞う予定です。楽しんでもらえる工夫が随所にちりばめられているので、みなさんに会えるのを心待ちにしています。そしてぜひこだわりが詰まった写真集も手に取っていただけるとうれしいです」矢野未希子やの・みきこ1986年12月4日生まれ、大阪府出身。デビュー以来、さまざまなファッション雑誌に専属モデルとして起用され、多数の表紙や広告に出演するなど活躍。インスタグラムやYouTubeで発信する自身のライフスタイルや世界観は、同世代の女性から厚い支持を集めている(総フォロワー数:約56万人)。【写真集概要】サイズ:300 240(B4変形)※ポスター付きページ数:136ページ販売価格:1冊¥11,000(税込)販売方法:写真展会場にて数量限定で先行販売予定(お一人様2冊まで)。写真展終了後、数量限定でオンライン販売予定。【写真展概要】開催日程:6月20日(火)12:00~15:00、6月21日(水)~25日(日)12:00~18:00開催場所:Karimoku Commons Tokyo(東京都港区西麻布2-22-5)入場料:無料写真・東京祐 インタビュー、文・鈴木恵美
2023年06月20日上野の森美術館で、特別展『恐竜図鑑―失われた世界の想像/創造』が開かれています。本展のナビゲーターは、俳優の南沙良さん。恐竜が大好きという南さんに、展覧会の見どころや恐竜の推しポイントについて、お聞きしてきました!南沙良さんがナビゲート南沙良さん【女子的アートナビ】vol. 300特別展『恐竜図鑑―失われた世界の想像/創造』では、恐竜や古代生物を描いた「パレオアート(古生物美術)」にフォーカスし、19世紀から現代までに制作された復元図や漫画、フィギュア、ファインアートなど、世界各国から集められた約150点の作品を展示。失われた古代世界を、アートで巡ることができる展覧会です。本展を企画された神戸芸術工科大学の岡本弘毅教授によると、恐竜が知られるようになったのは、19世紀前半。イギリスで巨大な爬虫類の化石が見つかり、未知の生物と判明したそうです。恐竜の「発見」から200年たち、その姿や形がどんなふうに変化していったのか、作家と研究者のイマジネーションによってつくられた古生物の姿を楽しめる展示になっています。プレス内覧会では、展覧会ナビゲーターで無料音声ガイドのナレーションも務めた俳優の南沙良さんが登壇。その後、インタビューも実施しましたので、まとめてご紹介します。巨大な生物が好き――まず、なぜ恐竜がお好きなのですか?南さん昔から、巨大生物が大好きなんです。恐竜やゴジラなど、大きいものに憧れていました。映画『ジュラシック・パーク』は全作品見ていますし、図鑑も昔からすごく好きで、飛び出す図鑑などもよく見ていました。恐竜のなかでは、肉食恐竜が好きです。強くて大きくて、自分がいかに小さいか、想像できるのがいいですね。――巨大生物ですと、例えばキングコングのようなものもお好きなのですか?南さん好きですね(笑)。大きくて凶暴なものが好きです。だから、恐竜も肉食がよくて。音声ガイドに「よし来た!」――音声ガイドのナレーションも初挑戦されています。恐竜好きなので、このお仕事は「よし来た!」という感じでしたか?南さんはい(笑)。恐竜に関わる仕事ははじめてなので、「よし来た!」と思いました。私は博物館や美術館も好きなので、うれしい気持ちになりましたね。――音声ガイドのナレーションはいかがでしたか。南さんふだん使わない難しい言葉やカタカナが多く、特に恐竜の名前が難しかったです。事前にいただいた資料を読み込んでから行き、私なりに一生懸命がんばったので、心地よく聴いていただけたらうれしいです。――音声ガイドには、恐竜の解説だけが吹き込まれているのですか?おもしろい聴きどころはありますか?南さん恐竜の解説だけでなく、画家や作品の解説もあります。解説があると、より深く楽しく見られるのではないかなと思います。私が印象に残ったのは、ウォーターハウス・ホーキンズの《イグアノドン晩餐会へのオリジナル招待状、1853年12月31日》についての解説。ホーキンズがロンドンの公園に製作した実物大のイグアノドンの模型の中で晩餐会が開かれたそうなのですが、私も、この晩餐会に参加したいと思いながら読みました。夢があっていいですよね。恐竜同士の戦いに惹かれる…――恐竜の博物館に行くのがお好きとのことですが、本展は美術館で開かれていて、恐竜や古生物を描いた絵画、パレオアートが見どころになっています。この点はいかがですか?南さん確かに、博物館の恐竜展は化石展示が多いですが、本展はパレオアートなので、珍しいと思いました。恐竜の絵には200年の歴史があり、昔はこんなふうに描かれていたとか、進化の過程を見られるのは楽しいです。また、画家によって作風に違いがあり、ポップなものがあったり、精緻なものであったり、いろいろありましたね。個人的には、恐竜の皮膚などが細やかに描写されている部分が好きです。――お気に入りの作品は?南さんチャールズ・R・ナイトの《白亜紀―モンタナ》です。ティラノサウルスとトリケラトプスの対決シーンを淡い色彩で描いた作品で、夢の中に出てきそうな幻想的なところがお気に入りです。私がイメージする通りの太古の恐竜です。恐竜同士の戦いにも惹かれますね。実際に見てみたいですし、想像するとすごく楽しいです。――恐竜にお詳しい南さんが、この展覧会で新たに知ったことはありましたか?南さん200年前にはイグアノドンの角だと考えられていたものが、実は鋭くとがった前足の親指だったというのはすごく驚きましたね。おもしろいなと思いました。フィギュアは何十体も!――コレクター気質があるそうで、恐竜グッズも集めているそうですね。南さんはい、たくさんもっています。パジャマやスリッパ、洋服などいろいろあり、家の中は恐竜グッズであふれかえっています。今日の私服も、ティラノサウルスのニットでした。――リアルにつくられた恐竜のフィギュアも集められているそうですが、どんなふうに楽しむのですか?南さん棚に飾って、眺めて楽しんでいます。恐竜を見て、ロマンを感じながらお酒を飲んだり(笑)。フィギュアは、家のインテリアにはあまり合わず浮いていますが、すごくお気に入りです。――フィギュアはどのくらいお持ちですか?南さん何十体かはありますね。高校生ぐらいから、ちょこちょこ集めて、だんだん増えていきました。――本展でも、コレクターの方が集めたリアルなフィギュアが展示されていましたね。南さんあれは、すごくよかったですね。欲しいです(笑)――最後に、あまり恐竜のことを知らないお友だちをこの展覧会に誘う場合、どんなふうに声をかけますか?南さん150作品もあるから、お互いの好きなものを探しに行こうという感じで誘いたいです。――お話を聞かせていただき、ありがとうございました。取材を終えて…恐竜の話を楽しそうに語ってくれた南さん。小さいころから、アート好きのご両親に連れられ、原美術館などの美術館や上野の博物館にも通っていたそうで、想像力や感受性が豊かな方でした。恐竜愛にあふれる南さんが語る音声ガイドは、ご自身のスマートフォンがあれば無料で利用できます。ぜひ、ガイドを聴きながら恐竜アートの世界を楽しんでみてください。Information会期:~7月22日(土)会期中無休会場:上野の森美術館開場時間:10:00 ~ 17:00(土日祝は 9:30 ~ 17:00)※入場は閉館の 30 分前まで観覧料:一般¥2,300、大学・専門学校生¥1,600、高校生・中学生・小学生 ¥1,000
2023年06月14日芸術として成立するためには要件が必要かを問うたイシュー「従来のアート作品とは別枠として、AIアートという分野で区別するべきである」という回答が37.1%で最多。SNSとテクノロジーで社会課題の発見・解決をサポートするICTスタートアップのPolimill株式会社(ポリミル、本社:東京都港区、代表取締役:横田えり、以下Polimill社)は、女優・アートナビゲーターの西条美咲氏が提起したイシュー(課題)「AIアートは芸術と認められるか?」の結果を公表しました。このイシューは2023年3月26日から5月31日までSurfvoteで意見投票を行った結果です。Surfvoteは社会にある様々な課題について、ユーザーとの議論で理解を深めながら最終的な自分の意見を投票できるSNSです。 ■投票詳細イシュー:「AIアートは芸術と認められるか?」調査主体:Surfvote 調査方法:Surfvote上で投票投票期間:2023年3月26日〜2023年5月31日有効票数:70票選択肢:AIアートは芸術として認められるAIアートは芸術として認められないAIアートに作者の手が加えられたものであれば芸術として認められる作品のコンセプトにより芸術か芸術でないか分かれる従来のアート作品とは別枠として、AIアートという分野で区別するべきであるその他わからない■投票結果・コメントの紹介(一部抜粋)AIアートは芸術として認められる 27.1%概念も定義も、その時代…その時代…で変化してゆきます。 AIアートを既存芸術と同類に認める事で新しいものが生まれるかもしれませんね… AI、コンピュータも筆や絵具と同じ道具って考えてみるのもアリかな?と思います。AIのアルゴリズムによって描かれる画像(結果)も変わってくる、これは絵具の種類やメーカーの色の出し方と同等。 それを如何に操るか?思い描く色を出すか?(37いいね)AIアートは芸術として認められない11.4%作品としては価値ある作品ができるということは否定しません。美しかったり心を揺さぶる作品ができていますよね。でも芸術って定義でもあるように、人間の創造性のトータルですよね?別に結果の作品だけが芸術ではなく作者の思想や技能、その時々の作品に対する想いとかも含めて芸術だと思うのでAIでなにか綺麗な作品を作ったとしてもそれは工業品で芸術作品ではないと思います。(43いいね)AIアートに作者の手が加えられたものであれば芸術として認められる8.6%アートの概念は人権と同じものだと思う。 人の手の加えられないものがアートであると認められれば、マクロを組んで自動で量産することだってできてしまう。そんなものをアートと認めることは脳死するのと同じ事。無限にアートを生成するaiという仕組み自体はアートになるかもしれないが。(42いいね)作品のコンセプトにより芸術か芸術でないか分かれる12.9%コメントはありませんでした。従来のアート作品とは別枠として、AIアートという分野で区別するべきである37.1%デシャン以来作品自体がアートかどうかは既に意味を失っていると思うので、単体で販売などはAIと明記すれば良いと思うが、セレクトして掲示するコンセプトアートという新しい立ち位置、そして著作周辺権のあり方に検討が必要。(57いいね)その他 1.4%世にあるあらゆるものが芸術と捉えられるので そういう意味では芸術であると思います AIアートに描かせたその人の感性も含まれてるが故に しかし芸術と「認める」かと言われると どうもその言葉がしっくり来ない 十人十色、その人の感じ方だと私は思います(52いいね)わからない 1.4%コメントはありませんでした。■問題提起いただいたオーサー 西条美咲氏京都府出身同志社女子大学卒業。 美術検定1級。アートナビゲーター。 年間100以上の展示会に足を運ぶ美術好き。趣味で油絵を描き、世界絵画大賞に入選。 女優としては、谷崎潤一郎原作「白日夢」で映画デビュー。上海万博日本館オープニングで手妻とコラボで日本人形役を演じる。自身がプロデュースして人形になった写真集「人形鏡」「DOLL BRIDE」がある。 他、多数の舞台で主演を務める。■このテーマについてのTwitterスペース : ■Surfvoteとは?当社が提供するSNS「Surfvote」は社会にあるさまざまな課題を問題提起し、それについて誰もが簡単に意見を投票できるサービスです。Surfvoteでは「イシュー」と呼ばれる各テーマ(課題)に対して複数の選択肢から自分の意見を投票できます。また他のユーザーのコメントを見たり、評価(いいね)したりすることもできます。イシューは当社編集部だけでなく大学の先生やさまざまな分野の専門家にも執筆のご協力をいただき発行しています。投票結果はイシューの内容に応じて、適宜関係省庁や政治家へ提出し報告を行なっています。各イシューで投票・コメントしていただいた1人1人の意見を大切に扱い、社会を前進させるために寄与したいと考えています。 ■Polimill 株式会社Polimill株式会社は目的特化型SNS【Surfvote】を運営・提供するICTスタートアップ企業です。Surfvoteは社会課題に特化し、ユーザーがあらゆるテーマについて自分の意見を投票できるだけでなく、他のユーザーの意見を傾聴できるサービスです。地方公共団体版のSurfvoteも拡充中で自治体と連携し住民による住みやすい街づくりを促進します。あらゆる人がルール作りに参加し、価値観の変化やテクノロジーの進化に合わせた柔軟でスピーディーな制度改革ができるような社会を、SNSとテクノロジーで実現させます。 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年06月13日東京都美術館で、『マティス展』が開かれています。本展では、20世紀を代表するフランスの巨匠、アンリ・マティス(1869-1954年)の代表的な作品が集結。日本で約20年ぶりとなる大規模回顧展の会場風景や、音声ガイドナビゲーターを務める上白石萌歌さんのコメント、キュレーターの方のお話などをご紹介します。上白石萌歌さんが音声ガイドナビゲーター!『マティス展』音声ガイドナビゲーターの上白石萌歌さん【女子的アートナビ】vol. 299『マティス展』では、世界最大規模のマティスコレクションを所蔵するパリのポンピドゥー・センターから、名品が約150点も来日。絵画を中心に、彫刻や素描、版画、切り紙絵、さらには晩年の傑作であるロザリオ礼拝堂に関する資料や映像など、代表的な作品が紹介されています。パリのポンピドゥー・センターに行っても、常にマティスの作品がたくさん展示されているわけではないので、これほど多くの作品を見られる機会はかなり貴重。しかも、本展は世界各都市でも巡回されています。そんな注目の展覧会で音声ガイドナビゲーターを担当されるのは、俳優の上白石萌歌さん。本展に寄せた上白石さんのコメントをご紹介します。この度、マティス展の音声ガイドナビゲーターを務めさせていただくことになりました、上白石萌歌です。これまで、好きな画家をたずねられた時、マティスです!と即答していた私。お話をいただいた時、こんな夢のようなことがあっていいのだろうかと震えました。マティスだけに描ける、艶やかで大胆な曲線、そして鮮烈な色彩。強くも柔らかい彼の絵は、いつもわたしを朗らかな気持ちにさせてくれます。今から展示が心から楽しみです!いちファンとして嬉しさを噛み締めながら、足を運ぶみなさまの気持ちに寄り添えるよう、精一杯努めます。なお、アプリ版の音声ガイドを購入すると、アプリ限定の話を聴くことができます。大学で芸術論なども学んでいた上白石さんが語る「わたしとマティス」や、東京都美術館学芸員の藪前知子さんとの対談など、アプリでしか聴けない話が収録されています。キュレーターも絶賛!『マティス展』会場風景開幕前日に行われたプレス内覧会では、ポンピドゥー・センターのチーフキュレーターであるオレリー・ヴェルディエさんが登壇。今回の展覧会について、次のように語りました。ヴェルディエさんこの展覧会は、本当に例外的です。まず、画家マティスのキャリア全体、人生全体を見ることができます。マティスは、ギュスターヴ・モローのアトリエで学んでいましたが、その学生時代の作品もあれば、死の直前に手がけていたロザリオ礼拝堂の資料もあります。また、絵画や彫刻、デッサン、彼がデザインした書籍、切り紙絵まで、彼の持つすべての技術も見られます。さらに、もうひとつの例外は、マティスの傑作が含まれている点です。彼の転機となった初期のすばらしい傑作《豪奢、静寂、逸楽》が公開されていますし、晩年の大作《赤の大きな室内》もご覧いただけます。マティスは鑑賞者に、心を動かす色彩の持つエネルギーを感じてほしいと願っていました。日本初公開の貴重な傑作!アンリ・マティス《豪奢、静寂、逸楽》1904年秋~冬オルセー美術館寄託では、いくつか作品をピックアップしてご紹介します。まずは、ヴェルディエさんが、「マティス初期の傑作」と絶賛されていた《豪奢、静寂、逸楽》。日本初公開の作品です。1904年、マティスは点描画で知られる新印象派の画家、ポール・シニャックに招かれて南仏を訪れ、その後、本作品を仕上げました。この絵を仕上げたすぐ後に、彼はフォービズム(野獣派)と後に呼ばれる斬新な様式で描いた作品を発表し、アート界にスキャンダルを巻き起こしました。『マティス展』会場風景《豪奢、静寂、逸楽》の3年後に描かれたのが《豪奢Ⅰ》。この作品も、発表されたあとに、抽象や未完成とみなされ、批評家たちを混乱させたそうです。マティスの生み出したフォービズムは、絵画の革新を進め、やがてモダン・アートの誕生に大きな役割を果たします。『マティス展』会場風景彫刻も見どころのひとつ。色彩の画家、というイメージのあるマティスですが、彫刻作品も多く残しています。本展の図録解説によると、マティスは「感覚を整理し、自身の絵画に役立つ方法を発見するために彫刻を用いた」とのこと。会場では、小さなものから大きなサイズまで、多彩な彫刻を楽しめます。マティスは世界をひっくり返した左:藪前知子さん、右:オレリー・ヴェルディエさん 『マティス展』《赤の大きな室内》の前にて撮影もうひとつの傑作は、展覧会のキーヴィジュアルにも使われている《赤の大きな室内》。この作品について、東京都美術館学芸員の藪前知子さんが解説してくれました。藪前さん本作品はマティスが79歳のときに描いたものです。彼の人生は、ことさら大きな事件があったわけではなく、彼の実験はすべてアトリエで作品を制作するなかで、「世界をひっくり返す大きな冒険」が行われました。マティスにとって、初期から晩年まで、アトリエは重要なモチーフです。アンリ・マティス《黄色と青の室内》1946年藪前さんマティスは、晩年に過ごしたランスで最後の連作を描きました。そのうち、最初の作品は、黄色と青が基調の作品《黄色と青の室内》。最後は、《赤の大きな室内》です。同時並行で、切り紙絵も制作していました。マティスにとって、世界は調和に満ちていて、その世界で彼が受けた感覚を絵画のなかで表現しています。《赤の大きな室内》にはいろいろな世界、要素が調和を持って存在しています。マティスは初期から晩年まで、一貫した営みのなかにいて、最後まで画家としての歩みを止めませんでした。《赤の大きな室内》は、マティスを象徴する作品ともいえます。ここでしか買えないグッズも!また、ミュージアムショップでは、マティスの切り紙絵などをモチーフにしたオリジナルグッズが勢ぞろい。おしゃれなデザインのトートバッグやアクセサリー、スカーフなど、ここでしか手に入らないものも多く集められています。本展は8月20日まで開催。日時指定予約制です。Information会期:~8月20日(日)日時指定予約制休館日:月曜日、7月18日(火)※ただし、7月17日(月・祝)、8月14日(月)は開室会場:東京都美術館開室時間:9:30~17:30※金曜日は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)観覧料:一般¥2,200、大学・専門学校生¥1,300、65歳以上 ¥1,500、高校生以下無料
2023年06月11日東京建物株式会社は、2023年6月10日(土)より、東京建物京橋ビル1階のBAG-Brillia Art Gallery-(バッグ ブリリア アート ギャラリー)にて、展覧会『白の中のカラフル 黒田泰蔵の暮らし』を開催いたします。時代を超えても色あせない人間としての魅力を、白磁作品と合わせて紹介静謐な白磁の作品で知られる黒田 泰蔵(1946年 - 2021年)は、著名人のファンも多く、作品のみならず、チャーミングな人柄で、暮らしについてもこだわりや美意識を持ち合わせた世界的アーティストです。黒田 泰蔵の暮らしの中には「禅を感じる」と評された精緻な作品とともに、たくさんの「かわいい」や「色彩」があります。それらを、黒田自らの言葉によって人生の折々の出来事や思索に重ねて紹介した『Colorful』という書籍が出版されています。本展は、この書籍を基軸として、「好きなものと暮らさずにいられない」という黒田 泰蔵の美意識のルーツを探りつつ、時代を超えても色あせない人間としての魅力を、白磁作品と合わせて紹介します。東京建物が2021年10月にオープンしたBAG-Brillia Art Gallery-は、「暮らしとアート」をテーマにした展覧会を企画・開催しています。今回、本展を通じ、作品主体の展覧会の枠を超え、作品の背後にある人物像、暮らし、人々との交流、思想などを披瀝することで、アーティスト黒田 泰蔵独自の白磁の作品に迫りたいと考えています。本展では、『Colorful』の出版元の皆さまを初め、ご親族や黒田 泰蔵をよく知る各方面の専門家の方々にご協力いただき、黒田 泰蔵の魅力を多角的に紹介いたします。黒田の愛用の品や蒐集品など未公開の品々の展示、インタビュー動画のほか、『Colorful』の写真家田川 友彦氏の写真作品の展示販売や黒田作品に関連した書籍の販売も行います。■展覧会について【展示内容】●展示スペース「+1」:黒田の生活を約1年半にわたって撮影した書籍『Colorful』。+1ギャラリーでは、100時間を超える取材から見えた黒田の暮らしへの思いや愛用品の数々を展示。「円筒」「梅瓶」といった名作とともに、白磁にたどり着くまでを紹介します。●展示スペース&ギャラリーショップ「+2」:写真家 田川 友彦氏が書籍『Colorful』のために撮り下ろした写真を展示・販売。黒田 泰蔵作品集なども取り揃えます。【イベント】会期中には、関連イベントも予定しています。・6月23日(金)~25日(日)富山の「ギャラリーNOW」による黒田 泰蔵作品販売イベントを開催予定・黒田 泰蔵ゆかりの方々によるトークショーなども予定(詳細はホームページにて随時お知らせいたします。)【開催概要】展覧会名: 白の中のカラフル 黒田泰蔵の暮らし会期: 2023年6月10日(土)~7月30日(日)※51日間開催会場: BAG-Brillia Art Gallery-〒104-0031東京都中央区京橋3丁目6-18 東京建物京橋ビル1階開館時間: 11:00~19:00(休館日:月曜日)7月17日(月・祝)は開館。翌18日(火)休館料金: 無料主催: 東京建物株式会社企画監修: 公益財団法人 彫刻の森芸術文化財団展示構成: 齋藤 由里子(公益財団法人 彫刻の森芸術文化財団)安藤 夏樹(プレコグ・スタヂオ)特別協力: 株式会社タイゾウ/プレコグ・スタヂオ協力: 東京リスマチック株式会社/ギャラリーNOWデザイン: NICE & SLOW会場構成: アリワークス運営: 株式会社クオラス(画像はプレスリリースより)【参考】※公式サイト
2023年05月31日千葉県出身の絵本作家・イラストレーターのさかざきちはるさん。JR東日本の「Suicaのペンギン」や、千葉県のマスコットキャラクター「チーバくん」など、日本中から愛されるキャラクターを生み出してきた。そんなさかざきさんのライフワークともいえる、ペンギンをテーマにした展覧会『さかざきちはる ペンギンアパートメント』が好評開催中だ。展示されるイラスト原画は、なんと1000点。前・後期で500点ずつ展示し、作品は全て入れ替わる。「2015年から計5回、百貨店で“ペンギン百態”という展示を開いていました。それを経て、これらを一堂に集めたものを見てみたいという気持ちが強くなって。“千”という漢字が入る千葉県で1000のペンギンを集めたら、楽しいに違いないと思い、ギャラリーに提案させていただきました」と、さかざきさん。そもそもさかざきさんとペンギンとの出合いは?「子どもの頃にペンギンが出てくる童話を読んだのがきっかけで、ペンギンが好きになりました。大学ではカレンダーに登場させたり、卒業制作で絵本を作ったりも。もう35年くらい描き続けていますね」今回、作品は一つ一つ木製の額縁に収められ、窓からペンギンをのぞき見しているかのような趣向に。また作品は、銀・森・虹・空・画家のアパートメントに分けられ、流氷やアーケードなどを想起させる会場構成ともリンク。作品を観るだけでなく会場の雰囲気も楽しめるよう、細部まで工夫が凝らされている。本展ならではの、さかざきさんがオススメする鑑賞方法も。「展覧会の“アパートメント”という名前の通り、後期の作品は会期終了後にオンラインで分譲する予定です。来場してくださった方には、おうちに連れて帰るならどの絵がいいだろう、そんな見方をして楽しんでいただけたらと思います」さかざきさんの描くペンギンたちは、愛らしさ満点。ぜひじっくりとお気に入りの一枚を見つけてみて。【銀のアパートメント】ペンギンのペンギンらしい動きをイラストに。歩いたり滑ったりしている姿が愛らしい。【森のアパートメント】羊やハリネズミなど、生きものと共にペンギンが描かれる。表情やサイズ感の違いが見どころ。【虹のアパートメント】ペンギンがカラフルな色合いのものと共に描かれる。擬人化されたペンギンの表情に注目して。【空のアパートメント】同じ鳥類の仲間と並ぶペンギン。埼玉県川口市の町工場と共作したモビールもお見逃しなく。【画家のアパートメント】猫とペンギンの関係性が微笑ましい。さかざきさんはペンギンに自身を投影しているそう。『さかざきちはる ペンギンアパートメント』市川市芳澤ガーデンギャラリー千葉県市川市真間5‐1‐18前期:開催中~5月28日(日)、後期:5月30日(火)~7月9日(日)9時30分~16時30分(入館は16時まで)月曜休一般700円ほか※前期と後期で作品は全て入れ替わります。TEL:047・374・7687※『anan』2023年5月31日号より。(by anan編集部)
2023年05月29日渋谷区立松濤美術館で、『エドワード・ゴーリーを巡る旅』が開かれています。『うろんな客』や『不幸な子供』などの絵本で大人気の作家、エドワード・ゴーリー(1925‒2000)。クールでミステリアス、そして残酷な彼の作品をご紹介します!ゴーリーって?『エドワード・ゴーリーを巡る旅』会場風景【女子的アートナビ】vol. 298本展では、アメリカのボストン近郊にあるゴーリーの終の棲家につくられた記念館、ゴーリーハウスで開催された企画展から、「子ども」や「不思議な生き物」などをテーマに約250点の作品が展示されています。エドワード・ゴーリーは、アメリカ・シカゴ生まれの絵本作家です。1歳半から絵を描きはじめ、早熟な少年時代を過ごしたあと、ハーバード大学でフランス文学を専攻。その後、出版社に就職してブックデザインを担当しながら、自作の絵本を刊行します。1962年に自分で出版社を立ち上げたあと専業作家となり、独特の世界観をもつ絵本を次々と出版していきます。絵本のほか、本の挿絵や演劇のポスター、舞台美術も手がけ、トニー賞などを受賞。個展も年に何度も開かれていました。日本では、ゴーリーが亡くなった2000年から絵本が刊行され、今でも若い世代を中心に人気を集めています。子ども時代の絵がうますぎ!『エドワード・ゴーリーを巡る旅』会場風景では、会場写真とともに、いくつか見どころをピックアップしてご紹介します。最初の展示室、第Ⅰ章「ゴーリーと子ども」では、まだ日本で翻訳書が出ていない初期作品や、作家が幼少期に描いた貴重な作品などを見ることができます。ゴーリーは、幼いころから知能が高く、飛び級も2回しているような子どもでした。緻密な絵を描き、すでに10代で絵にテキストを添えた「本」のような形の作品も生み出しています。展示されている絵は、子どもが描いたものとは思えない、完成度が高い作品です。ゴーリーの神童ぶりが伝わります。ブレイクした残酷絵本の原画『エドワード・ゴーリーを巡る旅』会場風景より、『不幸な子供』の原画同じ展示室で、大人気絵本『不幸な子供』の原画も見ることができます。救いようのない結末が待っている残酷なストーリーが展開する絵本ですが、日本をはじめ多くの人々の心をとらえています。本展を担当した渋谷区立松濤美術館学芸員の平泉千枝さんは、ゴーリー作品について次のように教えてくれました。平泉さんゴーリーにとって、子どもは大切なテーマです。作品では、子どもたちがさまざまな不条理に出会う様子が、非常に優雅に洒脱に描かれています。『不幸な子供』では、何不自由なく暮らしていたかわいらしい女の子が、孤児になり、どんどん悲惨な目に遭っていきます。昔の児童書『小公女』であればハッピーエンドになりますが、ゴーリーはそんな期待を裏切り、悲惨なまま終わります。でも、多くの人の心をとらえているのです。また、『不幸な子供』は、背景がかなり緻密に描かれています。あまりに細かく描きすぎて疲れたため、彼は数年間制作を中断していました。ゴーリーの絵本は、文字も彼が自分で書いています。うろん君が登場!『エドワード・ゴーリーを巡る旅』会場風景続く第Ⅱ章「ゴーリーが描く不思議な生き物」では、『うろんな客』の原画をはじめ、不思議でユーモラスな生き物が登場する作品原画が展示されています。ゴーリー作品でも人気の高い『うろんな客』は、長い鼻をもつ黒い生き物が、ある日突然家の中に入り込み、困ったことをしながら居座り続けるストーリーです。この生き物は、日本でも「うろん君」などと呼ばれ、キャラクターとしても大人気。公式図録によると、アメリカでは『うろんな客』をテーマにしたアニメーション製作も企画されているそうです。ユーモラスな生き物は、『音叉』にも出てきます。少女が海の底で出会った怪物は、彼女を守ってくれるような存在ですが、そのために彼女の家族を不可思議な手段で消してしまうという恐ろしいこともします。『ドラキュラ』でトニー賞!『エドワード・ゴーリーを巡る旅』会場風景2階の展示室では、ゴーリーが手がけた舞台美術や書籍、また晩年に住んだゴーリーハウスでの暮らしなどが紹介されています。ゴーリーは、バレエや映画の大ファンで、特にニューヨーク・シティバレエの公演に通いつめ、ほぼすべての公演を観たといわれています。バレエの絵本や舞台美術も手がけ、ミュージカル劇『ドラキュラ』では総合的デザインを担当。そこでトニー賞の衣装デザイン賞を受賞します。また、ゴーリーの作品は多くの人にインスピレーションを与え、日本のファッションブランドやアーティストにも影響を与えています。会場では、アパレルブランドUNDERCOVERによるドラキュラ・モチーフのセットアップも展示されています。本展は、4月8日からスタートしていますが、会場では連日若い人たちがつめかけ、熱心に展示を見ています。ゴーリーの人気について、平泉さんは次のように語っています。平泉さんゴーリーは、さまざまな古典文学を吸収して作品に反映させていますが、日本の『源氏物語』も大好きで、暗記できるほど読み込んでいます。そもそも、グリム童話などのおとぎ話は、人間の歴史や不条理を描き、残酷な部分もあります。それを盛り込んでいるゴーリーの作品は、今若い人の心をとらえています。なぜ惹かれるのか、ぜひ本展でご覧になって、考える機会していただけたらうれしいです。グッズも大人気!1階のミュージアムショップでは、ゴーリーのキャラクターがデザインされたグッズがたくさん並んでいます。こちらも、土日に行くと混雑しているので、できれば平日に行くのがおすすめです。本展は6月11日まで。Information会期:~6月11日(日)休館日:月曜日会場: 渋谷区立松濤美術館開場時間:10:00〜18:00※金曜日は~20:00(最終入館は閉館30分前まで)観覧料:一般¥1,000、大学生¥800、高校生・65歳以上¥500、小中学生¥100、※土・日曜日、祝休日は小中学生無料※毎週金曜日は渋谷区民無料
2023年05月28日ディズニー初の完全没入型イベント、「ディズニー・アニメーション・イマーシブ・エクスペリエンス」のプレス内覧会に、俳優の風間俊介さんが登場。見どころや楽しみ方など、風間さんにたっぷりお聞きしてきました!風間俊介さんがオフィシャルサポーター!風間俊介さん© 2023 Disney【女子的アートナビ】vol. 297「ディズニー・アニメーション・イマーシブ・エクスペリエンス」は、まるでディズニー映画の中に入ったかのような体験ができる、ディズニー初の完全没入型イベントです。2022年12月に北米でスタートし、日本は海外巡回1か国目となっています。本イベントでオフィシャルサポーターを務めるのは、ディズニーを深く愛する俳優の風間俊介さん。一般公開より一足早くイベントを体験した風間さんを囲んで取材会が行われ、その後にインタビューも実施。ディズニー愛あふれる風間さんのお話を、まとめてご紹介します。心がほわほわ…「ディズニー・アニメーション・イマーシブ・エクスペリエンス」会場風景 © 2023 Disney――まず、全体の感想を教えていただけますか?風間さんまったく新しい体験でした。スクリーンでアニメーションを見るときとも違いますし、ディズニーパークで体験するものともまったく違い、視界いっぱいにアニメーションがあるのです。アニメーションの中に入って、包まれて、キャラクターたちが見ているその世界と同じ世界に立たせていただけるのです。新しい体験ができて、心がほわほわしています。――いろいろな映画が組み合わさっているのが特殊ですよね。風間さん今年はウォルト・ディズニー・カンパニー100周年ですが、この100年でいろいろな作品が生まれていて、それが積み重ねられています。例えば、空というキーワードでは、ダンボやピーター・パン、アラジンとジャスミンが空を飛び、海ではアリエルが泳ぎ、モアナもいます。僕たちの世界にある空、海、風がキーワードになって、作品世界と僕らの世界が結ばれていて、おもしろくワクワクしました。――音楽はいかがでしたか?風間さんクオリティがすごいです。クリアサウンドで、曲も歌声もしっかり聞こえました。ディズニーの作品は、ディズニー・ミュージカル・アニメーションもあり、音楽は作品世界に没入できるキーになっていると思いますが、今回の音響設備はすばらしいものでした。グッときたシーンは…© 2023 Disney――本イベントは、2つのギャラリーで映像を見られますが、まずはギャラリーAで印象に残ったシーンを教えていただけますか?風間さんオープニングの『ライオン・キング』もよかったですし、“アラジンの空”から“ピーター・パンの空”へのつなぎは壮大で、たまらないなと思いました。ディズニー作品は、すべてにおいて、魅力的な壮大さがあります。視界の端までアニメーションがあるので、スクリーンで見たときよりもさらに壮大に感じられ、こんなに違う体験ができるのかと思いました。後半では、ラプンツェルのランタンが上がり「I See The Light(輝く未来)」という曲が流れるシーンがあります。目の前にラプンツェルとユージーンがいて、まずひとつランタンが上がり、空いっぱいにランタンが上がるまで、ゆっくりその光景を眺められるのです。実際にあの瞬間に立ち会ったら、こんな風に見えるのだろうな、というリアルな体験ができました。――今まであまり扱われなかったキャラクターが一瞬出てくるシーンもあるようですが、ファンとしていかがでしたか?風間さんディズニーを深く愛している人たちを喜ばせてくれるような、「ここでこれが出た!」と思わせてくれたシーンがありましたよ。アラジンとピーター・パン、ベイマックスが空を飛んだあと、そこに『ビアンカの大冒険~ゴールデン・イーグルを救え!』が入ってきたのです。あそこはグッときましたし、ワクワクしましたね。お腹いっぱい以上に見たい「ディズニー・アニメーション・イマーシブ・エクスペリエンス」会場風景 © 2023 Disney――ギャラリーBは、いかがでしたか?風間さんモアナやエルサもいいですが、ポカホンタスもよかったです。「カラー・オブ・ザ・ウィンド」では、曲がはじまる前に静寂があり、オールを水に入れるときのチャポンという音や、木々の揺らめきの音から曲に入っていくのです。今回のイベントは、テクノロジーの進化によって可能になった展示だと思うのですが、そのテクノロジーが歓迎されないであろう森や自然を、現代技術を使った映像で体感できるのは、おもしろい経験でした。――リピートして楽しみたいと思いましたか?風間さん二回、三回と見ていきたいですね。視界よりさらに広いところに映像で包み込んでくれるので、すべてを見切れていないです。また、この体験は、いつもできるわけではありません。今後、もしかしたら、また新たなプログラムであるかもしれませんが、単純に今の期間を逃したら、もう今の作品は見られませんよね。そう思うと、お腹いっぱい以上に見ておきたいです(笑)。「ディズニー・アニメーション・イマーシブ・エクスペリエンス」会場風景 © 2023 Disney――アニメーターズ デスクの展示などもありましたね。風間さん「ディズニー・アニメーション・イマーシブ・エクスペリエンス」を体験したうえで、最後にアニメーターズデスクが置いてあるんですよね。技術が進歩しても新しいことに挑戦しても、それは机から生まれるものだと思うし、アニメーターたちの線一本からスタートするのだと思う。すごいものを見せてもらったあと、あの机が置いてあることの意味に、胸が熱くなりました。きっといろいろなものが進歩したとしても、いつもスタートは人間のイマジネーションから、アニメーターの描く線一本からスタートするのだろうと思います。その届け方や過程は変わっても、原点は変わらないのだと思います。「ディズニー・アニメーション・イマーシブ・エクスペリエンス」特設ショップ © 2023 Disney――本イベントでは、グッズも盛りだくさんです。缶バッジから純金カードまでありますが、どんなグッズが気になりましたか?風間さんひとつ、見せてもらったなかで、アニメーションの背景だけ載っているグッズがあったのです。例えば、パークで購入するグッズはすごくかわいらしくて、パークを楽しむのに特化しています。また、ディズニーストアで売っているものは、ディズニーの世界観を存分に楽しめるものです。でも、展覧会などのグッズは、年齢を重ねた者たちにも日常使いできる、落ち着いたグッズが多々出てきます。ちょっと一歩引いたようなグッズが、最高に魅力的ですね。よく見ないとディズニーとわからない、そんなグッズにときめきを覚えます。今回、グッズのレシートは長めになるかと思います(笑)。自分ががんばる理由になっている© 2023 Disney――ディズニーは新しいものに挑戦し、多様性のある作品もあります。改めて、ディズニーの変わっていく勇気、変わらない核について、語っていただけますか。風間さん文化面では、むしろ一貫していて変わっていないと思います。昔からディズニーは、常にマイノリティのことを描いていると僕は思います。例えば、ダンボははるかに耳が大きくて、ほかの仲間とは違う身体的特徴があるがゆえに、はじかれていく。そんなダンボだからこその輝き方をしています。多様性やマイノリティに対する思いは、信念でやり続けてきたのだと思います。時代により見せ方は変わり、技術的な進化は取り入れて、時代の先頭に立ち、でも信念はぶれずに変わらない。その変わるものと変わらないもののバランスがすごいと思いますし、見習いたい。柔軟でありたいと思います。――風間さんにとって、ディズニー・アニメーションはどんな存在ですか?風間さん僕も、エンターテインメントの仕事をさせてもらっていますが、プロがやる仕事は、細部までこだわって届けるのだということを、いつも見せてもらい、感動しています。自分もこれくらいの熱量で届けないときっと届かないのだろうな、と思わせてくれる。自分ががんばる理由になっている、そんな存在です。――次、ディズニーに何をしてほしいと思いますか?風間さんディズニーは、よく王道といわれますが、いつも挑戦しつづけて、それが後に王道になったと思います。なので、この100年も挑戦しつづけ、たぶん100年の先も考えていると思う。ディズニーが150周年を迎えたとき、僕はたぶん90歳なのですけど、150周年一緒に祝わせてくださいって思っています(笑)。元気に過ごして、90歳のとき、世界中のディズニーパークを闊歩していたいですね(笑)。――最後に、このイベントをどんな風に楽しんでほしいと思いますか?風間さん見にくる、聞きにくる、のではなく体感するのが正解なのかなと思う。ウォルト・ディズニー・カンパニーのイマジネーションの根源は、アニメーションにあり、アニメーションからはじまり、ここまでの名作が生まれたという歴史を感じることができるイベントだと思います。ここにきて、終わった後、いろいろな作品をもう一度見たくなると思います。取材を終えて…芸能界きってのディズニーファンとして知られる風間さん。イベントを体験されたばかりの風間さんは、感動が全身からあふれ出ていて、本当に楽しそうに見どころやディズニーの魅力を語ってくれました。そんな風間さんが激推しする楽しいイベント「ディズニー・アニメーション・イマーシブ・エクスペリエンス」、ぜひ訪れてみてくださいね!©2023 DisneyInformation会期:~8月31日(木)※会期中、展示エリア拡大につき前期・後期に分かれています。前期:4⽉29日(土・祝)~6⽉27日(火)後期:6⽉28日(水)~8⽉31日(⽊)会場:前期:森アーツセンターギャラリー/後期:森アーツセンターギャラリー&スカイギャラリー開館時間:10:00~22:00(ただし、7/4、7/11 の火曜は17:00 まで)*入場は閉館の1時間30分前まで観覧料:【前期平日】一般/大学生・専門学校生¥3,000、高校生・中学生¥2,000、小学生¥1,000【前期土日祝】一般/大学生・専門学校生¥3,200、高校生・中学生¥2,200、小学生¥1,200【後期平日】一般/大学生・専門学校生¥3,600、高校生・中学生¥2,200、小学生¥1,200【後期土日祝】一般/大学生・専門学校生¥3,900、高校生・中学生¥2,500、小学生¥1,500※本イベントは入場開始時間に合わせた完全入れ替え制。(本イベント後期のスカイギャラリーを除く)※チケットは事前予約(日時指定)制。ご予約された入場開始時間までにご来館ください。
2023年05月27日いま小さな子どもから大人にまで大人気の絵本作家、石黒亜矢子さん。これまで手掛けた絵本を中心とした展覧会「石黒亜矢子展 ばけものぞろぞろ ばけねこぞろぞろ」が、満を持して開催される。大人も夢中!異世界の住人たちの自由奔放な絵物語。石黒さんといえば、独自のキャラクターを描き込む熱量が圧倒的。それゆえ引き込まれる人も多いだろう。「石黒さんの作品には妖怪、化け猫、不思議な生き物たちなど、私たちのDNAに刻み込まれているモチーフが現代的なセンスでダイナミックに描かれています。パッと目を引くフォルム、異世界の恐ろしさや不気味さをちょっぴり感じさせるキャラクターたちが面白く、かわいらしい。巧まざるユーモアも魅力です」と世田谷文学館学芸員の瀬川ゆきさん。また一枚の絵として眺めたときの楽しさについてこう語る。「脇役やモブ(その他大勢)も含めて、絵の隅々まで細かい設定のもと描き込まれているので、つい背景にある物語を読み解きたくなってしまうのです」和紙に筆で描くのが石黒さん流だが、印刷では伝わりにくい「毛筆の線のふくよかさやキレ」はぜひ会場で自分の目で確かめてほしいと瀬川さん。そのほか本番の別バージョンというべき迫力を持つ下絵の展示や、ぬいぐるみ作家・今井昌代さんとのちょっと変わった仕掛けのコラボレーションコーナーもお楽しみだ。絵本のストーリーテリングでは自由奔放、下ネタまでOKなおおらかさを見せると同時に「絵師」として異彩を放つ石黒さん。この存在感、現在の日本でどう位置付けられる?「日本美術には曾我蕭白(しょうはく)や歌川国芳、河鍋暁斎(かわなべきょうさい)といった奇想天外な発想で作品を生み出した鬼才がいますが、石黒さんはその流れを継承する作家ではないかと思います。対象へのゆるぎない愛情とこだわりが作品から立ち上り、清々しいまでに自由。オタク文化や推し活が人びとの心の支えにすらなっている現代日本で、石黒さんの作品に人気が集まるのは、当然すぎるくらい当然のことなのかもしれません」《どっせい!ねこまたずもう》2018年新作《化け猫天邪鬼成敗絵図》とんいち2023年新作《地獄十王図》2022年(部分)絵本の中の石黒ワールド。『いもうとかいぎ』では姉の横暴に耐えかねた不思議生物の妹たちが奮起。『えとえとがっせん』は絵本が突然縦開きになり、クライマックスがバーンと出現する楽しさも。『いもうとかいぎ』(ビリケン出版 2016年)『えとえとがっせん』(WAVE出版 2016年)石黒亜矢子展 ばけものぞろぞろ ばけねこぞろぞろ世田谷文学館 2階展示室東京都世田谷区南烏山1‐10‐10開催中~9月3日(日)10時~18時(入場は17時30分まで)月曜(7/17は開館)、7/18休一般1000円ほかTEL:03・5374・9111※『anan』2023年5月24日号より。取材、文・松本あかね(by anan編集部)
2023年05月22日東京・天王洲にあるWHAT MUSEUMで、高橋龍太郎コレクション『ART de チャチャチャ ―日本現代アートのDNAを探る―』展が開かれています。本展では、日本屈指のアートコレクター、高橋龍太郎さんが集めたコレクションのなかからセレクトされたアート作品を展示。音声ガイドを担当された柴咲コウさんのコメントや、コレクターである高橋さんのお話、会場風景やカフェなどもご紹介します!柴咲コウさんが音声ガイド!柴咲コウさん【女子的アートナビ】vol. 296高橋龍太郎コレクション『ART de チャチャチャ ―日本現代アートのDNAを探る―」展では、アートコレクターで精神科医の高橋龍太郎さんが集めた約3,000点を超える作品から、33作家の作品約40点を展示。横尾忠則や杉本博司、鴻池朋子、山口晃など、国内外のアートシーンで活躍する作家たちが手がけた見ごたえある多彩な作品が紹介されています。本展の音声ガイドを務めたのは、俳優・歌手・企業家など多方面で活躍されている柴咲コウさん。柴咲さんが展覧会に寄せたコメントもご紹介します。現代アートの振興、普及へ多大な貢献をされている精神科医・高橋龍太郎さんのコレクションから選ばれた作品が並ぶこの作品展はアートに触れるだけではないトキメキを感じます。来場された方の特別なひとときに、自身のナレーションが音声ガイドとしてお役にたてることをとても嬉しく思います。各作家さんが日本の伝統文化などを再解釈し新たに表現した作品から浮き出てくる情景やストーリー。文章を語りながら私自身も現代アートのDNAを探っていきたいと思います。なお、WHAT MUSEUMでは、公式アプリをダウンロードすれば、無料でガイドを聴くことができます。日本の現代アートはおしゃれ!高橋龍太郎さんプレス内覧会では、コレクターの高橋龍太郎さんが登壇。本展への思いを語ってくれました。高橋さん今回の展覧会では、日本に関係する和テイストの作品を集めています。日本の現代アートの作家たちは、本当にさまざまな意味でおしゃれです。「いき」という言葉につながります。哲学者の九鬼周造は、主著「いきの構造」で、日本の「いき」は媚態と意気地、諦めの3つの要素から成り立つとしました。その「いきの構造」があってこその現代アートだと私は思っています。日本の現代アートは、国際的にはガラパゴス文化扱いになっている部分もありますが、私は世界中の人たちに、日本の作家たちが生み出す多様性ある作品を理解してほしいと思っています。作家たちは、力量がありながら世界につながりにくい状況を、そのおもしろがりかたで生き抜いています。その「いきさ加減」を本展で発見していただきたいです。レントゲンを見ながら描いたドクロも登場!高橋龍太郎コレクション『ART de チャチャチャ ―日本現代アートのDNAを探る―』展 会場風景では、いくつか展示作品をピックアップしてご紹介します。1階の展示室は、本展のために壁が黒く塗られ、作品が浮かび上がるような形で展示されています。さまざまな作品がありますが、共通のテーマは生命と自然。例えば、杉本博司さんの作品《陰翳礼讃》は、谷崎潤一郎の小説と同じタイトル。この作品では、ろうそくの一生が表現されていて、その生命を感じることができます。鴻池朋子《無題》2010 ©Tomoko Konoikeまた、2階の展示室、SPACE3に入って目に飛び込んでくるのは、頭蓋骨が描かれた鴻池朋子さんの作品。かなり大きなドクロで、ドキッとします。この展示室のテーマは、日本の文化と風俗。鴻池さんの襖は、ご自身のレントゲンの頭蓋骨を見ながら描いたそうです。日本の伝統的な襖に大きなご自身の頭蓋骨、その周りに鹿がいて、後ろには山が描かれています。奇妙な組み合わせですが、黒いドクロがおしゃれな雰囲気にも見えます。山口晃《何かを造ル園》2001 ©YAMAGUCHI Akira, Courtesy of Mizuma Art GallerySPACE4では、山口晃さんの作品が3点登場。油彩画の《何かを造ル園》では、現代の日本人や昔の人が何かをつくっている様子が描かれています。その隣では、人が悩んでいる顔も描かれ、何かをつくるのに思い通りにいかないというシニカルな様子も伝わる作品です。ライブで作品制作を見られる!作品制作中の能條雅由さんまた、WHAT MUSEUMの1階SPACE2では、公開制作:能條雅由『うつろいに身をゆだねて』が同時開催されています。作家の能條さんによる新作が展示されているほか、この場に能條さんが滞在し、新たな作品を公開制作していきます。こちらで新しく生み出された作品は、空いている壁に次々と展示されていく予定。作品の生まれる瞬間を見たり、また作家とコミュニケーションをとったりすることもでき、さらに完成した作品のなかから気に入ったものを購入することも可能です。※新作の販売はwebにて行われます。※能條さんの滞在日程については、公式SNSでご確認ください。⾼橋龍太郎コレクション『ART de チャチャチャ ー⽇本現代アートのDNAを探るー』展と公開制作:能條雅由『うつろいに身をゆだねて』は、8月27日まで開催。見終わったあとは、おしゃれなカフェへ!WHAT CAFEの店内アート鑑賞を楽しんだら、ぜひWHAT CAFE(ワットカフェ)も訪れてみてください。運河に面した開放的でおしゃれな空間で食事やドリンクを楽しみながら、若手アーティストたちの作品を見ることができます。WHAT CAFEで展示されている日比谷泰一郎さんの作品例えば、こちらは日比谷泰一郎さん(1987年生まれ)の作品。日比谷さんは、天王洲のパブリックアートも手がけている方で、街中で彼の作品を楽しむこともできます。なお、ここに展示されている作品は無料で鑑賞でき、好きなアートがあれば買うこともできます。数万円台で買える作品もあるので、はじめてアートを買う方にもおすすめ。WHAT CAFEでは1か月ほどで展示の入れ替えがあります。現在の展示は5月21日まで。作家が参加するワークショップなどのイベントも開催されているので、最新情報は公式サイトでご確認ください。Information会期:~8月27日(日)会場:WHAT MUSEUM 1階SPACE1および2階開場時間:火~日 11時~18時(最終入場17時)月曜休館(祝日の場合、翌火曜休館)観覧料:一般¥1,500、大学生・専門学生¥800、高校生以下無料※オンラインチケット制※同時開催の展覧会観覧料を含む
2023年05月19日天王洲の寺田倉庫G1ビルで、『ウェス・アンダーソンすぎる風景展あなたのまわりは旅のヒントにあふれている』が開かれています。本展は、昨年韓国で開催され大ヒットを記録。話題の展覧会の見どころや会場の様子をご紹介します!ソウルで大ヒットした展覧会『ウェス・アンダーソンすぎる風景展』会場風景【女子的アートナビ】vol. 295『ウェス・アンダーソンすぎる風景展』は、2022年に韓国のソウルで開催され、25万人を動員した展覧会《Accidentally Wes Anderson(AWA)》の巡回展です。Accidentally Wes Andersonとは、アメリカで2017年に立ち上げられたInstagramのアカウント。ニューヨーク在住のコーヴァル夫妻が、自分たちで行ってみたい旅行先をネットで検索して、その場所の画像を投稿しはじめました。その後、夫妻が自分たちで撮った写真も投稿するようになり、その画像がいかにもウェス・アンダーソン監督風ということで人気を集め、書籍化もされてアメリカで大ヒット。さらに、展覧会も開催されることになりました。本展では、ウェス・アンダーソン監督自身も「僕が撮りそうな写真だ」とコメントしている美しい写真の数々を、カラフルに色分けされた展示室で楽しむことができます。ウェス・アンダーソン風とは?『ウェス・アンダーソンすぎる風景展』会場風景そもそも、ウェス・アンダーソン風とはどんな写真なのでしょうか。展覧会を担当したBunkamuraザ・ミュージアム学芸員の岡田由里さんは、次のように解説してくれました。岡田さんウェス・アンダーソン監督の作品は、独創的なストーリー展開に加えてビジュアル的にも細かいところまで徹底的にこだわり、つくられていることで知られています。代表作は、『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』や『グランド・ブダペスト・ホテル』。本展では、そんな監督作品の特徴から、特に、シンメトリー性、ピンクやターコイズなどパステルカラーを多用する点、デコラティブ性の3点に注目して写真作品を展示しています。監督の映画をご覧になったことがない方でも、この3点をおさえて見ていただければ、ウェス・アンダーソンすぎるというのはどういうことか、おわかりいただけると思います。旅に出たくなる写真がいっぱい!『ウェス・アンダーソンすぎる風景展』会場風景本展の副題は、「あなたのまわりは旅のヒントにあふれている」。会場では、北米やヨーロッパ、アジアなど世界の魅力的な場所をめぐる写真約300点を10のゾーンにわけて紹介され、旅に出たくなる雰囲気にあふれています。乗り物がテーマとなっている部屋では、トラムやケーブルカー、ミニバス、飛行機、気球など、さまざまな種類の写真があり、また乗り物の窓から見える景色の写真も多くあります。『ウェス・アンダーソンすぎる風景展』より《ヴィッカース・ヴァイカウント》例えば、《ヴィッカース・ヴァイカウント》は、ロンドンのガトウィック空港で撮影された飛行機とタラップの写真。ペパーミントグリーンの色彩がポップで、とてもかわいいです。作品についての解説は、隣のキャプションに記載されているものもあれば、各展示室の入り口にQRコードがあり、それで読み取って解説を見られる作品もあります。歴史的、文化的背景についての解説もあるので、写真を見ながら知的好奇心も刺激されます。実際に行ってみたくなる写真も多く、旅心をくすぐられる展覧会です。かわいいグッズもいっぱい!『ウェス・アンダーソンすぎる風景展』会場風景最後のミュージアムショップでは、カラフルでかわいいグッズがいっぱい揃っています。韓国で人気のあったグッズを直輸入したものや、東京展オリジナルのグッズもあり、目移りしそう。また、公式ブック『ウェス・アンダーソンの風景』もショップで購入可能です。本展は5月26日まで開催。Information会期:~5/26(金) ※休館日なし会場:寺田倉庫G1ビル(天王洲)開場時間:11:00~19:00(最終入館18:30)金・土は20:00まで(最終入館19:30) 5/22~25は 20:00 まで※状況により会期・開館時間等が変更となる場合がございます。観覧料:一般¥2,000、大学生¥1,500、高校・中学・小学生¥1,000※本展は予約不要。状況により【 オンラインによる事前予約 】が必要となる場合がございます。詳細は展覧会公式ホームページをご確認ください。
2023年05月14日東京・日本橋の三井記念美術館で、NHK大河ドラマ特別展『どうする家康』が開かれています。本展では、家康の生まれたときから亡くなるまでの人生を、美術品などで紹介。国宝や重要文化財も多数展示されています!120点の作品で『どうする家康』を体感!『どうする家康』ブース展示コーナー【女子的アートナビ】vol. 294この展覧会では、NHK大河ドラマ『どうする家康』と連動し、家康だけでなく織田信長や豊臣秀吉などに関連する美術品や歴史資料など、約120点の作品を展示。三井記念美術館からはじまり、岡崎市美術博物館と静岡市美術館に巡回する展覧会です。美術館のあるフロアには、大河ドラマのパネルや映像が楽しめる展示コーナーも設置され、撮影も可能。ドラマファンの気分を盛り上げてくれる、楽しいつくりになっています。意外に質素…家康の遺愛品重要文化財《青磁鉢附乳棒》明時代(15-16世紀)静岡・久能山東照宮博物館蔵最初の展示室1では、大御所時代の家康が、駿府城内で使っていた遺愛品が紹介されています。これらの遺愛品について、本展を担当された三井記念美術館学芸部長の清水実さんは次のように解説してくれました。清水さん家康の遺愛品は、割と質素な感じがします。もともと家康は、名品をたくさん所持していましたが、それらは「駿府御分物(すんぷおわけもの)」として、亡くなったあと、尾張と水戸、紀州の御三家に譲られ、今は徳川美術館などが所蔵しています。それらの名品に比べると、最後まで家康の手元にあったものは質素です。そのような質素なものを家康は好んで使っていたようです。また、家康は理系人間だったようで、漢方を調合する本や、マニアックな香木、薬剤や香木をすりつぶす乳棒や鉢なども最後まで手元に残していました。刀剣乱舞ONLINEのパネル展示も国宝《短刀無銘正宗》(名物 日向正宗) 鎌倉時代(14世紀)三井記念美術館蔵前期展示4/15-5/14続いての展示室2では、国宝の名刀が前期と後期にわけて紹介されています。前期は、国宝《短刀無銘正宗》が登場。鎌倉時代の刀工、正宗がつくった名刀です。あの石田三成が所持していたもので、その後、関ケ原の合戦で水野日向守勝成が手に入れ、「日向正宗」と呼ばれるようになりました。三井記念美術館では、昨年の改修工事で展示ケースの照明がLEDに変わったため、刀剣類の刃文(はもん:刀の焼き入れのときにできる模様)がとても鮮明に見えます。ちなみに、本展の1階入り口では、刀剣乱舞ONLINEのパネル展示コラボも見られます。こちらは、写真撮影可能。パネルとリアルな国宝の刀を一緒に楽しめる絶好のチャンスです。(パネルは7階に移動する可能性もあります)迫力の図屛風!『どうする家康』会場風景展示室4では、江戸から京都までの東海道・甲州街道・中山道を描いた迫力の図屛風《大日本五道中図屛風》が紹介されています。この屏風には、家康の没後30年頃の景色が描かれ、岡崎や浜松、駿府の城や関ケ原の布陣、甲斐や信濃などもあり、家康の足跡をたどることができます。同じ展示室では、家康の9男で、尾張藩初代藩主の徳川義直が描いた《徳川家康画像》も展示。教科書で見るような狸親父の顔ではなく、温和な表情でした。息子が描いた本作品の顔が、リアルな家康に近いといわれているそうです。本当に金ぴか!殿の甲冑『どうする家康』会場風景最後の展示室では、ドラマでも出てくる金ぴかの甲冑が登場!実際に、若き家康が着ていたもので、徳川家ではこの甲冑を江戸城内で代々大切に扱い、明治維新後は静岡に移し、最終的に久能山東照宮に奉納されたそうです。本展の愛用品や肖像画などを通して、リアルな家康の素顔を知ることができました。大河ドラマの世界を体感できる展覧会は6月11日まで開催。Information会期:~6月11日(日)※会期中、展示替えを行います。休館日:月曜日会場:三井記念美術館開場時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)観覧料:一般¥1,500、大学・高校生¥1,000、中学生以下無料
2023年05月10日東京・代官山のALギャラリーにて、「Distance」がテーマの合同写真展が開催される。活躍中の15名のフォトグラファー作品!ファッション、広告、ポートレイトの分野で活躍する15名のフォトグラファーが合同写真展を開催。テーマは「Distance」。約3年間のコロナ禍でソーシャルディスタンスを強いられ、改めて認識した「距離」を15名がそれぞれの作品に落とし込む。また、その作品カットをフォトグラファーが自らプリントしたTシャツを販売。いまの時代、いまのリアルな気分が共有できそうだ。【参加フォトグラファー】アミタマリ岩澤高雄北井博也北島明久富裕史須藤秀之玉川竜CHITO鶴田直樹NAKA中野敬久藤森星児藤原江理奈皆川聡YAMA(五十音順)会期:2023年5月19日(金)~5月28日(日)12:00~19:00(5月19日はオープニングレセプション18:00-21:00、最終日は17:00まで)会期中無休、入場料無料場所:ALギャラリー東京都渋谷区恵比寿南3-7-17KIKI Bldg.1F
2023年05月10日