世界屈指の日本美術コレクションを誇るボストン美術館の所蔵品から、ヒーローを描いた「武者絵」、その武者絵と共通のイメージを持つ刀剣の「鐔(つば)」、さらに刀剣などが里帰りする展覧会『ボストン美術館所蔵「THE HEROES 刀剣×浮世絵-武者たちの物語」』が、森アーツセンターギャラリーで、2022年1月21日(金)より開催される。「武者絵」とは、北斎の「風景画」、歌麿の「美人画」、写楽の「役者絵」などと並ぶ、浮世絵のジャンルのひとつ。日本神話や源平合戦などの軍記物語、英雄伝説に登場する英雄が描かれたもので、江戸時代の庶民に人気があった。同展では、菱川師宣、勝川派、歌川国貞、歌川国芳、月岡芳年ら有名絵師による日本初公開となる武者絵118点、江戸時代の人たちが見れば何の物語か分かったという、武者絵の物語のイメージがデザインされた刀剣の「鐔(つば)」が27点展示される。さらに、近年ボストン美術館に寄贈された、世界有数のコレクターであるウォルター・エイムズ・コンプトン氏のコレクションを含む刀剣20口を紹介。源氏の重宝や上杉謙信の愛刀といった、日本国内のコレクションも出品される。平安時代の安綱から江戸時代末期のものまで、日本刀の歴史を分かるように展示されるため、刀剣の形、成り立ちといった魅力をより深く味わえるだろう。また、会場には絵本作家・漫画家の関口シュンによる武者絵の4コマイラストを掲示。現代の私たちが、目にすることの少ない武者絵や鐔、刀剣をより分かりやすく鑑賞できるようフォロー役をしてくれる。これを機会に、古くから愛されるヒーローに目を向けてみてはいかがだろう。歌川国芳≪源頼光の四天王土蜘退治之図≫天保10-11年(1839-40)頃William Sturgis Bigelow Collection≪橋弁慶図鐔≫江戸時代(19世紀)William Sturgis Bigelow Collection≪太刀 銘 備州長船住兼光≫ 鎌倉時代(14世紀)Charles Goddard Weld CollectionALL PhotographsⒸMuseum of Fine Arts, Boston【開催概要】『ボストン美術館所蔵「THE HEROES 刀剣×浮世絵-武者たちの物語」』会場:森アーツセンターギャラリー会期:2022年1月21日(金)~ 3月25日(金)※会期中無休時間:10:00〜20:00、火曜は17:00まで(最終入館は閉館30分前まで)料金:一般2,100円、大学・専門学生1,500円、高中小1,000円展覧会公式サイト: ※事前予約制(日時指定券)※4月23日(土)~ 6月19日(日)新潟県立万代島美術館、7月2日(土)〜8月28日(日)静岡市美術館、9月10日(土)〜11月20日(日)兵庫県⽴美術館へ巡回予定
2022年01月03日リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)、リトゥン バイ(written by)は、最新コレクション「writtenafterwards 12th 合掌 -Hidden Archives-」の一部を長崎県美術館にて先行発表。2021年12月23日(木)から12月26日(日)まで、展示される。3月発表の「合掌」に続く最新コレクション先行発表される「writtenafterwards 12th 合掌 -Hidden Archives-」は、2021年3月に東京の国立新美術館にて披露したインスタレーション「合掌」の続きとなるコレクション。インスタレーション「合掌」とは3月に発表された「合掌」は、デザイナーの山縣良和が、衣服の素材の成り立ち、とりわけ養蚕の歴史を紐解いていく中で関心を持った「合掌造り」の家屋における“生産と分解の循環”の仕組みから着想を得たインスタレーションだ。「合掌造り」の家屋ではかつて、養蚕などを営む傍らで菌による“発酵”や“分解”をうまく生かし、火薬兵器の原料生産も行っていた。「合掌造り」からインスパイアされて山縣良和が目指したのは「土へと還るあたたかな衣服」。インスタレーション「合掌」では、「合掌造り」の屋根のように配置された大型パネルとともに、土に埋めた衣服の展示が行われた。衣服&アートピースを長崎で先行展示今回行われる長崎県美術館での「writtenafterwards 12th 合掌 -Hidden Archives-」先行発表では、最新コレクションの服や、長崎県五島列島とタッグを組んだアートピースを展示。「合掌」から継続して“社会と衣服における生成と分解”を表現に取り入れるとともに、山縣のルーツでもあり、様々な外来文化を迎え入れてきた長崎という土地の歴史に向き合い、新たな物語と人間像を浮き彫りにしていく試みとなっている。なお、「writtenafterwards 12th 合掌 -Hidden Archives-」は長崎県美術館での先行展示を終えた後、2022年1月中旬より東京にて全貌が発表される。【詳細】writtenafterwards 12th collection 合掌 -Hidden Archives-会期:2021年12月23日(木)~12月26日(日)会場:長崎県美術館 運河ギャラリー住所:長崎県長崎市出島町2-1開館時間:10:00~20:00 ※最終入場は閉館30分前まで観覧料:無料■山縣良和 講演「長崎から考える、平和と装いについて」開催日時:2021年12月24日(金) 開場18:30 開始19:00開催場所:長崎県美術館 ホール定員:40名料金:無料※長崎県公式ホームページより申し込み。
2021年12月17日日本初のタロットカード美術館「東京タロット美術館」が、東京・浅草橋に誕生。2021年11月16日(火)よりオープンする。日本初!タロットカード専門の美術館「東京タロット美術館」は、日本で最初にタロットカードの輸入販売をはじめたニチユーが手掛ける、日本初のタロットカード専門美術館だ。ニチユーの直営施設としてオープンする美術館は、同社が保有する約3,000種類のタロットカードのコレクションをもとに、企画展示を実施。普段はなかなか出会えない希少なタロットカードの公開をはじめ、絶版品を含む約500種類のタロットカードの展示販売も常時実施する。ライブラリースペースを併設また併設のライブラリースぺースでは、約1,000種類のカードの絵柄をオリジナルのカタログで閲覧できるほか、カードサンプルや関連書籍も自由に読むことが可能。そのほか手土産にもぴったりなオリジナルグッズや、セレクト商品の販売も行われる。原画展示や占星術のセッションなどなお「東京タロット美術館」では、今後タロットカードの原画展をはじめ、タロットや占星術を用いた対面セッションなど、タロットにまつわる様々な企画を計画中。来館の際は日時指定の予約制となっているため、気になる人は是非チェックしてみてほしい。【詳細】「東京タロット美術館」オープン日:2021年11月16日(火)住所:東京都台東区柳橋2-4-2 Ubase浅草橋6階営業時間:平日 10:00~20:00、土曜日 9:00~18:00 ※公式ウェブサイトから予約制。入館料:500円定休日:日曜日(イベント開催日は除く)、祝日、年末年始、他季節休業有
2021年11月18日2017年に約30年間活動した旧八戸市美術館が閉館し、生まれ変わった八戸市美術館が11月3日(水・祝)にオープンした。新しい美術館は、建築家の佐藤慎也館長のもとに「種を蒔き、人を育み、100年後の八戸を創造する美術館〜出会いと学びのアートファーム〜」をコンセプトとしている。「もの」としての美術品展示を中心とした従来の美術館とは異なり、アートを介した人の活動に焦点を当て、「もの」や「こと」を生み出す新しい形の美術館となる。同館では、美術館活動に主体的に関わる人を「アートファーマー」、美術館活動を一緒に行う市民や団体、教育機関、企業などを「共創パートナー」と呼ぶ。アーティストや美術館スタッフ、市内外から訪れる多様な人々がともに活動し、新たな文化が創造され、八戸市全体の活性化にもつながることを目指している。テープカット。手前が佐藤慎也館長、隣が開館記念「ギフト、ギフト」のディレクター、吉川由美。老朽化していた建物は、西澤徹夫建築事務所・タカバンスタジオ設計共同体によって全面的に建て替えられた。美術館を象徴する面積約834㎡、天井高約17mの巨大空間「ジャイアントルーム」では、プロジェクトで話し合ったり、つくったり、ライブイベントが行われたりと、多様な動きが同時多発的に起こる。9mのカーテンや家具で自在に空間を仕切ることができるジャイアントルーム。また、展覧会を行う「ホワイトキューブ」やコレクションを展示する「コレクションラボ」、映像展示に適した「ブラックキューブ」、パフォーミングアーツや展示、講演を行う「スタジオ」など、それぞれの機能に特化した「個室群」が並ぶ。その時々でこれらの部屋を自由に組み合わせることも可能だ。開館記念「ギフト、ギフト、」は、アートプロデューサーの吉川由美をディレクターに迎え、八戸のシンボル「八戸三社大祭」を出発点として企画された。9組のアーティストと、共創パートナー「八戸クリニック街かどミュージアム」の浮世絵コレクションからなる展覧会、向井山朋子によるパフォーマンスプロジェクトで構成されている。八戸では、お年寄りから子どもまでが山車造りに参加するなど、世代を超えて祭りが受け継がれている。そうした創造活動を、過去から未来へ、人から人へと循環する「贈与」=ギフトとして展覧会が構想された。大西幹夫「八戸三社大祭絵巻」展示風景切り絵作家、大西幹夫が八戸三社大祭300年の歴史を描いた「八戸三社大祭絵巻」の切り絵とアニメーション映像から始まり、写真家の浅田政志が祭りを支えるコミュニティを撮影した写真群へと続く。山車からイメージを膨らませた桝本佳子の陶器や半磁器。田附勝が八戸発祥といわれるデコトラ(電飾で飾ったトラック)を撮影した写真。いずれも八戸を賑わす音や声が聴こえてくるようだ。浅田政志の新作写真14点と膨大なスナップ写真(市民より提供)を展示桝本佳子《波濤/皿》2021年田附勝が撮影したデコトラ写真の展示風景三社大祭に使われた山車彫刻を、市民から集めた柄毛布で包み、彩った江頭誠のインスタレーションは圧倒的だ。また、美術館を建築した西澤徹夫、浅子佳英、森純平がアーティストとしても参加。八戸の文化をリサーチして制作した「八戸文化資源相関図」では、漁業や遊郭、消防屯所などの解説の合間に、八戸市美術館の所蔵作品が組み込まれている。また、田村友一郎、KOSUGE1-16が現代社会の中のギフトのありように問いを投げかけてもいた。江頭誠《おやすみのあと》2021年西澤徹夫、浅子佳英、森純平《八戸文化資源相関図》展示風景KOSUGE 1-16《インバウンドおじさん》2021年八戸を知ることから、日本及び世界にも通じる問題や提案が、明るさやユーモアを交えて表現された展覧会だった。今後、美術館にどのような景色が繰り広げられていくのか楽しみだ。取材・文・撮影(外観以外):白坂由里【開催情報】『八戸市美術館開館記念「ギフト、ギフト、」』11月3日(水・祝)~2022年2月20日、八戸市美術館にて開催
2021年11月15日Bunkamura ザ・ミュージアムにて、11月23日(火・祝)まで開催されている『ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス』。印象派のモネやルノワール、フォーヴィスムのマティスやヴラマンク、エコール・ド・パリのシャガールやモディリアーニなど、19世紀後半から20世紀にかけてパリで活躍した28名の画家の作品が紹介される。ポーラ美術館は箱根・仙石原に、2002年に開館した美術館。約1万点に及ぶコレクションのなかでも、特に西洋絵画は印象派からポスト印象派を経て20世紀絵画にいたるまで体系的に収集されており、国内でも屈指の内容と評価も高い。本展はこのポーラ美術館の西洋絵画コレクションから特に人気の高いフランスで活躍した画家28名を選出。「時代を映す、輝く女性像」、「画家たちが愛したパリ」、「フランス各地への旅」という3つのテーマに基づいた74点の作品を、時系列に沿って4章仕立てで紹介するものだ。展示風景より第1章は「都市と自然」。急速に近代化が進み、人々の価値観が大きく変化していた19世紀後半のフランス。パリを中心に鉄道が敷設されると、人々の活動範囲が大きく広がり、画家たちの風景画にも変化が現れていった。モネやルノワール、ピサロら印象派の画家たちは、当時の最先端のファッションに身を包む女性や、煙がたなびく工場を描きこんだ風景画など、19世紀後半の「いま」をつぶさに描き出している。(左):クロード・モネ《グランド・ジャット島》1878年(右):クロード・モネ《セーヌ河の支流からみたアルジャントゥイユ》1872年(左):ピエール・オーギュスト・ルノワール《髪かざり》1888年(右):ウェブスター社 銀製化粧セット1900〜1905年続く第2章は「日常の輝き」と題し、印象派の表現手法を研究しさらに発展させていった、19世紀末の「ポスト印象派」の画家たち、セザンヌやゴッホ、ボナール、シニャックらを紹介する。彼らは、それぞれに理想の美を追求し、独自の表現を獲得していった。(左):ピエール・ボナール《ミモザのある階段》1946年頃(中央):ピエール・ボナール《地中海の庭》1917-18年(右):ポール・セザンヌ《プロヴァンスの風景》1879-82年この当時、点描技法でその名を知られたスーラの画風に強く影響を受け、シニャックやクロス、プティジャンなど多くの画家たちが点描技法に取り組んでいた。本展で展示される点描作品を通してみると、画家により点描の大きさや描き方に個性が出てくることなどにも気づくことができる。第2章展示風景よりそして展示は20世紀へと進む。第3章「新しさを求めて」は、20世紀になって勃興した強烈な色彩のフォーヴィスム、ブラックやピカソによって確立されたキュビスムを、第4章「芸術の都」は、モディリアーニやヴラマンク、パスキンなど第一次世界大戦後に世界各地からパリにやってきた画家たち、いわゆるエコール・ド・パリの画家に焦点を当てる。アンリ・マティス 《襟巻の女》1936年本展の見どころは、絵画作品に加えてもう一つ。ポーラ美術館が収蔵するアール・ヌーヴォー、アール・デコの化粧道具12件だ。当時の化粧道具を絵画作品とともに鑑賞することで、当時の女性たちの装いの意識や、画家たちの社会風俗をどのように見ていたのかも推察することができるのが楽しい。(左):アルフレッド・シスレー《ロワン河畔、朝》1891年(右):エミール・ガレ《女神文香水瓶》1884年(左):エナメル金彩バラ文香水瓶 19世紀後半(右):ピエール・オーギュスト・ルノワール《レースの帽子の少女》1891年展覧会タイトル「甘美なるフランス(La douce France)」とは、豊かなフランスとその文化の賛美するために古くから使われてきた表現だ。ぜひ、展覧会でこの「甘美なるフランス」をたっぷりと堪能してほしい。構成・文:浦島茂世【開催情報】『ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス』2021年9月18日(土)~ 11月23日(火・祝)、Bunkamuraザ・ミュージアムにて開催※会期中の土日祝日および11月15日(月)~11月23日(火・祝)はオンラインによる入場日時予約が必要。
2021年09月28日展覧会「学者の愛したコレクション ―ピーター・モースと楢﨑宗重―」が、すみだ北斎美術館にて2021年10月12日(火)から12月5日(日)まで開催される。北斎の研究者ピーター・モースと浮世絵研究者の楢﨑宗重「学者の愛したコレクション ―ピーター・モースと楢﨑宗重―」では、北斎の研究者であり、世界有数の北斎作品コレクターでもあったピーター・モースと、葛飾派作品をはじめ貴重で多種多様な資料を収集した浮世絵研究の第一人者・楢﨑宗重、それぞれのコレクションから、珠玉の名品約140点を紹介。希少な北斎作品や、高名な絵師・画家たちの作品を通して、ピーター・モースと楢﨑宗重、各々の作品に対するこだわりや、研究業績を辿っていく。北斎の技巧が感じられる浮絵や空摺の作品ピーター・モースは、北斎の「諸国瀧廻り」シリーズに関する論文の執筆や、単著『Hokusai: One Hundred Poets』の刊行、また、北斎の全作品目録を試みるなど、北斎の研究者・そして収集家として総数約600点にも及ぶコレクションを収集。希少価値の高い作品も多く、欧米における個人収集としては最高・最大の内容といわれているピーター・モースコレクションから、95点が会場に展示される。保存状態が極めて良いことからピーター・モースが最も大切にしたとみられる北斎の「新板浮絵」シリーズより、参詣に向かう人々の賑わいを細かな風俗描写とともに描いた「新板浮絵三囲牛御前両社之図」を展示。遠近法によって奥行きを強調した、浮絵ならではの立体感のある描写が特徴だ。加えて、空摺(からずり)による凹凸をつけることで表現された川面の波紋がくっきりと確認できる「冨嶽三十六景 武州玉川」など、北斎や摺り師の技巧までも感じられる作品の数々を目にすることができる。北斎の画法を継承した“葛飾派”作品や新版画も昭和から平成にかけて活動した美術史家・楢﨑宗重のコレクションからは、北斎の画法を継承しつつ独自の画風を確立した葛飾派の絵師、蹄斎北馬(ていさいほくば)の「夕立図」が登場。大きな画面に、夕立に見舞われる峠の茶屋の様子を細かく描き込んだ肉筆画で、風俗描写に秀でた北馬の画風を象徴する作品の1つだ。また、顔料を厚く塗るなど、西洋の油彩画を強く意識して描かれた長沢蘆雪の作品「洋風母子犬図」や、版画家・川瀬巴水が叙情的に風景を表現した新版画「雪の寺」なども展示。一部展示作品は、楢﨑宗重の著した作品解説とともに紹介する。【詳細】学者の愛したコレクション ―ピーター・モースと楢﨑宗重―会期:2021年10月12日(火)~12月5日(日) ※前後期で一部展示替えあり前期 10月12日(火)~11月7日(日)/後期 11月9日(火)~12月5日(日)会場:すみだ北斎美術館住所:東京都墨田区亀沢2-7-2休館日:毎週月曜日開館時間:9:30~17:30(入館は17:00まで)料金:一般 1,000円、高校生・大学生 700円、65歳以上 700円、中学生 300円、障がい者 300円、小学生以下無料※本展のチケットは、会期中観覧日当日に限り、AURORA(常設展示室)も観覧可能。※団体での来館は、当面の間、受付不可。【問い合わせ先】TEL:03-6658-8936(9:30~17:30 ※休館日を除く)
2021年09月19日すみだ北斎美術館では2021年10月12日(火)から12月5日(日)まで「学者の愛したコレクション ―ピーター・モースと楢崎宗重―」展を開催いたします。※「楢崎宗重」の名前について、機種依存文字に該当するため通常の「崎」で代用しておりますが、「立崎」が正式です。「学者の愛したコレクション ―ピーター・モースと楢崎宗重―」当館では、北斎の研究者であり、世界有数の北斎作品コレクターであったピーター・モース氏と、葛飾派作品以外にも貴重で多種多様な資料を収集した浮世絵研究の第一人者・楢崎宗重氏の二大コレクションを有しています。本展ではピーター・モースコレクションより江戸時代の風俗・流行が窺える作品、楢崎宗重コレクションより江戸から昭和期にかけて特に人気や評価が高かったとされる絵師・画家の作品を厳選し、約140点を展観します。希少な北斎作品や、高名な絵師・画家たちによる貴重な作品の数々を展示し、両氏が生涯をかけて収集、研究した珠玉の名品に対するこだわりと研究業績を紹介します。第1章 ピーター・モースコレクションピーター・モース(1935-93)氏は、北斎の「諸国瀧廻り」シリーズに関する論文を執筆、「百人一首乳母かゑとき」(ひゃくにんいっしゅうばがえとき)シリーズに関する単著『Hokusai:One Hundred Poets』を刊行し、また、北斎のカタログレゾネ(全作品目録)の作成を試みるなど、北斎の研究者であり、北斎作品の収集家でした。北斎作品や研究資料など総数約600点に及ぶピーター・モースコレクションは、欧米における北斎の個人収集としては最高・最大の内容といわれており、研究者の眼で収集された希少価値の高い作品が多く含まれていることが特徴です。本章ではピーター・モースコレクションから95点の作品を展示します。◆ピーター・モース氏が最も愛したシリーズ作品から「新板浮絵三囲牛御前両社之図(しんぱんうきえみめぐりうしごぜりょうしゃのず)」葛飾北斎「新板浮絵三囲牛御前両社之図」すみだ北斎美術館蔵(後期)江戸の名所が描かれた本浮世絵版画シリーズは、赤いすやり霞が印象的な作品で、現在13図が確認されています。ピーター・モースコレクションでは12図が収集され、保存状態が極めて良く、ピーター・モース氏が最も大切にした作品群と伝わります。「新板浮絵三囲牛御前両社之図」は、画面の左側に牛御前(現:牛嶋神社・墨田区向島)、右側に三囲稲荷(現:三囲神社・同)が配され、それぞれ参詣に向かう人々の賑わいが細かな風俗描写とともに表されています。◆鮮明な空摺(からずり)が白眉 ピーター・モースコレクションの「冨嶽三十六景 武州玉川」葛飾北斎「冨嶽三十六景 武州玉川」すみだ北斎美術館蔵(前期)「冨嶽三十六景 武州玉川」は、川面の波に凹凸だけで表す空摺(からずり)が使われた作品です。空摺は後摺(あとずり)では省略されることの多い手の混んだ技法です。現存する同じ構図の作品は、版木の摩耗により空摺がはっきりとしないものや、波形を藍色の線で摺った後摺が多いことから、空摺が鮮明に見える本図は、初摺か初摺に極めて近い稀少性の高い逸品といえます。◆ピーター・モース氏が単著にまとめたシリーズ作品「百人一首乳母かゑとき」より「猿丸太夫」葛飾北斎「百人一首乳母かゑとき 猿丸太夫」すみだ北斎美術館蔵(前期)「百人一首乳母かゑとき」は、北斎の大判錦絵(*1)のシリーズの中で最後に制作されたものにあたり、現在27図が確認されています。それまでの北斎の大判錦絵シリーズと比較すると、色数が多いことや細部にわたって凝らされた表現が特徴です。本図は百人一首のうち猿丸太夫(さるまるだゆう)の「奥山に紅葉ふみわけ啼(な)く鹿の 声きく時ぞ秋はかなしき」の絵解きとして描かれています。画面全体では秋の夕暮れの風景が描かれ、手前を横切る女性が指さす先(左上の丘の上)に、鹿がシルエットで表現されています。ピーター・モース氏はこうした構図の工夫などから、著書『Hokusai:One Hundred Poets』で「この作品は多くの点から見てまったく完璧な絵である。」と評しています。(*1) 大判錦絵約39cm×26~27cmの錦絵(浮世絵の多色刷り木版画)のこと。大判は天明年間(1781-89)以降に標準サイズになった判型で、北斎の錦絵では「冨嶽三十六景」、「諸国瀧廻り」、「諸国名橋奇覧」や「百人一首乳母かゑとき」が大判錦絵で制作されました。第2章 楢崎宗重コレクション楢崎宗重(1904-2001)氏は、昭和から平成にかけて活動した美術史家です。戦前より浮世絵雑誌の発行に携わり、国際浮世絵学会の前身である日本浮世絵協会(第二次・第三次)を設立し、会長などをつとめました。また、戦後間もない時期に『北斎論』を刊行し北斎研究の分野でも活躍し続け、浮世絵を美術史の中で学問的に位置づけることに尽力しました。これらの研究活動の中で収集された楢崎コレクションは、美術史研究上、貴重な美術資料・歴史資料を含んでおり、すみだ北斎美術館では約480点を所蔵しています。本章では、楢崎コレクション作品の中から北斎をはじめ様々な絵師、時代、形態のものを、一部楢崎氏が著した作品解説とともに紹介します。◆北斎の画法を受け継いだ葛飾派の絵師の作品 蹄斎北馬「夕立図」蹄斎北馬「夕立図」すみだ北斎美術館蔵(前期)蹄斎北馬(ていさいほくば)は、北斎の門人の中でも優れた浮世絵師として知られ、北斎の画法を継承しながら独自の画風を確立、文政年間(1818-30)からは肉筆画に注力し、美人画を多くのこした浮世絵師です。楢崎宗重コレクションの本作は、縦54.3cm、横86.0cmの大きな画面に、夕立に見舞われる峠の茶屋の様子が描かれた肉筆画です。茶屋でくつろぐ人や、商いをする人々、雨宿りする人など様々な人物の様子が詳細に描き込まれており、風俗描写に秀でた北馬の特徴をよく表す作品です。◆蘆雪がこだわった犬の毛の質感 長沢蘆雪「洋風母子犬図」長沢蘆雪「洋風母子犬図」すみだ北斎美術館蔵(後期)長沢蘆雪(ながさわろせつ)は、円山応挙に学んだ江戸時代中期の画家です。母犬と乳を飲む子犬が描かれた本作は、毛並みの1本1本がわかるほど描きこまれていることから、熱心な写生や質感の追及がうかがえます。胡粉をはじめ日本の伝統的な画材が使われていますが、顔料を厚く塗るなど西洋の油彩画を強く意識して描かれた作品です。◆楢崎氏と直接交流があった版画家・川瀬巴水の作品川瀬巴水「雪の寺」すみだ北斎美術館蔵(前期)川瀬巴水(かわせはすい)は、大正から昭和時代に活動した版画家です。巴水の生前から交流があった楢崎氏は、巴水に取材を重ねて論考を発表するなど、早くから巴水の版画芸術の評価を試みました。楢崎コレクションの「雪の寺」は、小品(17.8cm×12.9cm)ながらも、「旅情詩人」とも称される巴水の作風をよく表しています。◆開催概要展覧会名 : 学者の愛したコレクション ―ピーター・モースと楢崎宗重―会期 : 2021年10月12日(火)~12月5日(日)※前後期で一部展示替えあり前期|2021年10月12日(火)~11月7日(日)後期|2021年11月9日(火)~12月5日(日)休館日 : 毎週月曜日開館時間 : 9:30~17:30(入館は17:00まで)主催 : 墨田区・すみだ北斎美術館お問い合わせ: 03-6658-8936(9:30~17:30 ※休館日を除く)公式サイト : ●新型コロナウイルス感染予防・拡大防止のため、会期・開館時間・観覧料・イベント・講演会の開催など変更、中止の可能性がございます。●最新の状況は、すみだ北斎美術館公式ホームページにて最新情報をご確認ください。◆企画展観覧料 ※AURORA(常設展示室)観覧料含む<個人>一般 :1,000円高校生、大学生:700円65歳以上 :700円中学生 :300円障がい者 :300円小学生以下 :無料●本展のチケットは、会期中観覧日当日に限り、AURORA(常設展示室)をはじめ全ての展示をご覧になれます。●団体でのご来館は、当面の間、受付を行いません。◆すみだ北斎美術館 美術館概要美術館名 : すみだ北斎美術館(英|The Sumida Hokusai Museum)開館時間 : 9:30~17:30(入館は17:00まで)休館日 : 毎週月曜日(月曜が祝日または振替休日の場合はその翌平日)、年末年始(12月29日~1月1日)所在地 : 〒130-0014 東京都墨田区亀沢2-7-2お問い合わせ: 03-6658-8936(9:30~17:30 ※休館日を除く)公式サイト : Twitter : Facebook : YouTube : アクセス : 都営地下鉄大江戸線「両国駅」A3出口より徒歩5分JR総武線「両国駅」東口より徒歩9分JR総武線「錦糸町駅」北口より墨田区内循環バスで5分 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年09月16日ユニクロ(UNIQLO)のグラフィックTシャツブランド「UT」は、ルーヴル美術館とコラボレーションした2021年秋冬コレクションを、2021年9月下旬より発売。UT×ルーヴル美術館「モナ・リザ」や「サモトラケのニケ」など2021年2月に発売された第1弾のコンセプトを引き継ぐ形で、ルーヴル美術館「UT」の新作が登場。歴史的名作であるレオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」や、「サモトラケのニケ」といった名作アートをグラフィカルに表現したプリントTシャツやスウェット、エコバッグを展開する。〈ウィメンズ〉名作アートに花モチーフをプラスしたTシャツやスウェットウィメンズでは、名作アートの持つ繊細さと華やかさを強調したグラフィックのTシャツやスウェットを用意。ドミニク・アングルによる油彩画「グランド・オダリスク」や、前回はメンズで採用した彫刻作品「アモルの接吻で蘇るプシュケ」、「ミロのヴィーナス」といった作品にエレガントな花の絵画モチーフをコラージュし、ロマンティックなエッセンスを効かせた。淡いピンクのTシャツやベージュ、パープルのスウェットなど、柔らかな色使いにも注目だ。〈メンズ〉所蔵品の目録番号や“黄金比”をデザインにまた、メンズは、第1弾から引き続きイギリスを代表するグラフィック・アーティストのピーター・サヴィルがデザインを手がけた。「モナ・リザ」「サモトラケのニケ」「ミロのヴィーナス」といった3つの作品をフィーチャーし、ウィットに富んだスタイリッシュなグラフィックに。所蔵品につけられた「目録番号」や芸術作品の構図に用いられる「黄金比」に着目し、カラーリングやレイアウトによってアイキャッチなデザインに仕上げた。エコバッグは全4柄ラインナップエコフレンドリープリントバッグは、「モナ・リザ」「サモトラケのニケ」「ミロのヴィーナス」「グランド・オダリスク」の全4柄にて展開する。【詳細】ユニクロ「ルーヴル美術館」UTコレクション発売日:2021年9月下旬販売店舗:ユニクロ一部店舗およびオンラインストア・MEN Tシャツ 4柄 1,500円・WOMEN Tシャツ 4柄 1,500円・スウェット MEN 4柄・WOMEN 4柄 1,990円・エコフレンドリープリントバッグ 4柄 590円
2021年09月10日アーティゾン美術館が年1回、「創造の体感」を体現する展覧会として企画している、石橋財団コレクションと現代美術家の共演「ジャム・セッション」。その第2弾となる展覧会『石橋財団コレクション×森村泰昌 M 式「海の幸」-森村泰昌 ワタシガタリの神話』が10月2日(土)より開催される。今回は、古今東西の絵画や写真に表された人物に変装し、独自の解釈を加えて再現する森村泰昌が登場。以前から青木繁の《自画像》(1903年)、《海の幸》(1904年)にインスピレーションを得た作品を制作するなど、石橋財団が所有する青木作品に密かな想いを寄せていたという森村は、改めて《海の幸》と本格的に向き合い、同作品が制作された明治期以降の日本の文化、政治、思想などの変遷史を“森村式”、略して“M式”「海の幸」として形象化。85人の人物が登場する10点のバリエーションで展開し、その10点を円環状に構成。大規模なインスタレーションとして公開する。そのほか、同館が所蔵する青木繁の《海の幸》や《わだつみのいろこの宮》(1907年)などの代表作を、森村独自の作品解釈やコメントとともに紹介する。展示は青木作品約10点と、森村作品約60点で構成。そのうち50点以上は、同展のために制作された森村による新作だという。森村と青木のかつてないセッションを楽しみたい。森村泰昌《自画像/青春(Aoki)》2016/2021 年 作家蔵青木繁《自画像》1903 年石橋財団アーティゾン美術館蔵青木繁《海の幸》1904 年(重要文化財)石橋財団アーティゾン美術館蔵森村泰昌《M 式「海の幸」習作(色合わせ 01:假象の創造)》2020 年作家蔵展覧会名: ジャム・セッション 石橋財団コレクション×森村泰昌 M 式「海の幸」-森村泰昌 ワタシガタリの神話会場: アーティゾン美術館6階展示室会期: 2021年10月2日(土)ー 2022年1月10日(月・祝)開館時間:10:00~18:00、金曜日は20:00(入館は閉館の30分前まで)休館日:月曜日(1月10日は開館)、12月28日-1月3日料金:日時指定予約制ウェブ予約チケット1,200円お問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)*ウェブ予約チケットが完売していない場合のみ、美術館窓口でも当日チケットを販売*開催情報は予告なく変更となることがあります。アーティゾン美術館公式サイト: 同時開催:石橋財団コレクション選 印象派ー画家たちの友情物語(5階 展示室)特集コーナー展示 挿絵本にみる20世紀フランスとワイン(4階 展示室)
2021年08月31日日本でも屈指の西洋絵画コレクションを誇るポーラ美術館から、特に人気の高いモネ、ルノワール、シャガールといったフランスで活躍した画家たちを紹介する展覧会『ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス』が、9月18日(土)よりBunkamura ザ・ミュージアムにて開催される。同展は、時代を映すファッショナブルな「女性像」、近代化によって大きく変貌する「パリ」、画家たちが旅先で出会った風景や、南仏など重要な制作地をめぐる「旅」の3つをテーマに構成。フランスが芸術的に輝いていた19世紀後半から20世紀前半にかけて、甘美なるフランス(La Douce France)は、絵画のなかでどのように表現されたのか?印象派からエコール・ド・パリの時代にフランスで活躍した画家28名による絵画74点が紹介されるほか、アール・ヌーヴォーとアール・ デコの化粧道具12件を展示。都会的洗練による上質な生活や豊かな日常、そして風光明媚な土地が描かれ作品群で、画家たちに時代や様式を超えて受け継がれる美意識を浮き彫りにしていく。クロード・モネ≪睡蓮≫1907年アンリ・マティス≪襟巻の女≫1936年エミール・ガレ≪女神文香水瓶≫1884年【開催概要】会期:2021年9月18日(土)~11月23日(火・祝)会場:Bunkamura ザ・ミュージアム時間:10:00~18:00、金土は21:00(入館は閉館30分前まで)※金・土の夜間開館につきましては、状況により変更になる可能性あり。休館日:9月28日(火)、10月26日(火)料金:当日一般1,700円、大高1,000円、中小700円/前売一般1,500円、 大高800円/ 中小500円公式サイト: ※会期中のすべての土日祝および11月15日(月)~11月23日(火・祝)は【オンラインによる入場日時予約】が必要
2021年08月25日長崎県美術館は、コレクション展「清水久和のデザイン」を2021年9月15日(水)から11月21日(日)まで、常設展示室にて開催する。日常を彩る量産品から一点物プロダクトまで「清水久和のデザイン」は、長崎県出身のプロダクトデザイナー・清水久和が手掛けた家具や家電、日用品といった代表作を長崎県美術館所蔵コレクションなどから紹介する展覧会。量産品から一点物まで、清水久和の30年余りにわたるキャリアの中から幅広く展示する。メーカー・キャノン(CANON)に長年所属していた清水久和は、デジタルカメラ「IXY」のチーフデザイナーとして、同シリーズを世界シェアNo.1に導いた立役者。その後も、デザインディレクターの岡田栄造とともに、様々な企業と連携し、生活を彩るプロダクトを世に送り出している。初期の代表作「チューチューシャンデリア」注目作品は、棒状のアイス「チューチュー」を333本も吊るしたシャンデリア「チューチューシャンデリア」。電球の光が「チューチュー」を透過して温かく光り、甘い匂いの広がるシャンデリアだ。ありふれたものであるはずの「チューチュー」の持つ形や色の美しさを生かして際立たせた、清水久和の初期の代表作となっている。尚、長崎県美術館の展示室に登場するのは、14年ぶりとなる。ユニークなフォルムのハサミや華やかなティーカップなどこの他にも、カラフルな佇まいの「フルーツ・テーブル・ランプ」や、ユニークなフォルムが目を引くコクヨのハサミ、ノリタケ カンパニーリミテドの華やかなティーカップ&ソーサーなど、目を引くユニークなプロダクトの数々が登場する。独自のデザイン思考や手法も紹介また、作品に加え、日常の“取るに足りない物”の魅力に着目するデザインリサーチ活動「愛のバッドデザイン」や新しい3Dデザイン手法「コンティニュアスデザイン」といった、デザインの根底にある独自の思考や手法も紹介。人々の共通認識や記憶をゆさぶり、日々の生活の中にも発見や喜びをもたらすような清水久和のデザインを紐解いていく。【詳細】コレクション展「清水久和のデザイン」開催期間:2021年9月15日(水)~11月21日(日)場所:長崎県美術館 常設展示室住所:長崎県長崎市出島町2-1開館時間:10:00~20:00(最終入場 19:30)休館日:9月27日(月)、10月11日(月)・25日(月)、11月8日(月)入場料:一般 420(340)円、大学生・70歳以上 310(250)円、小中高生 210(170)円※( )内は15名以上の団体料金※県内在住の小・中学生は無料※学校行事の一環として、県内の小・中・高・特別支援学校生が利用する場合は、引率の教員を含め無料※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、障害福祉サービス受給者証、地域相談支援受給者証、特定疾患医療受給者証、特定医療費(指定難病)医療受給者証、先天性血液凝固因子障害等医療受給者証、小児慢性特定疾病医療受給者証提示者及び介護者1名は無料【問い合わせ先】長崎県美術館TEL:095-833-2110
2021年08月21日熊本市現代美術館は、展覧会「こわいな!恐怖の美術館」を2021年9月25日(土)から12月5日(日)まで開催する。“恐怖や不安”をアートを通して受け止める「こわいな!恐怖の美術館 展」は、無意識を揺さぶる恐怖や不安を理知的に受け止め、「それ(恐怖や不安)」をテーマにした作品を紹介する展覧会。本展では、天災や疫病など、日常生活の様々なところに偏在する多様な“恐怖と不安”を、人間の持つ自然な感情の1つとして捉え、作品として昇華したアーティスト達の独自のセンスとユーモアを体感できる。作品を通して、恐怖や不安に対する発想の転換や、“こわい”ことに向き合って新たなアイデアを促すポジティブな内容となっている。“恐怖”から“安心”までのお化け屋敷体験迷路のような「お化け屋敷」に象徴されるように、出口がどこかわからない“恐怖”を体感できるのが、会場入口に登場する「南無サンダーの演劇お化け屋敷@大學湯」。恐怖と不安を抱えながら出口を目指し、最後に「あー怖かったね」と安心するまでの“お化け屋敷体験”をセットで楽しめる。尚、「お化け屋敷」が苦手な人には回避ルートも用意する。また、屋敷という場所そのものが悪しき場所であり「化け物」だととらえる西洋型お化け屋敷を見て取れる、オディロン・ルドンが描いた幽霊屋敷の絵画作品、出口の見えなさを“行き止まり”で表現した浜田知明の《行き止まり》なども登場する。恐怖の対象を可視化する「お化け」人々は、得体のしれない“恐怖の対象”に不安を感じ、「お化け」という可視化された存在を求める心情を持っている。実際に、江戸時代から伝わる怪談「百物語」や、都市伝説上の口裂け女、人面犬、人面魚、疫病除けのアマビエなど、数々の「お化け」を定義することで、不可解な存在を受け止めて理解しようしてきた。そんな人々の心情に共鳴するかのような、“得体のしれないもの”に形を与えた田名網敬一や浜田知明の立体作品などが登場する。恐怖と結びつく暗闇、夜の時間さらに、恐怖をあおる暗闇や、ホラー映画で恐怖の出来事が起こる“夜の時間”に着目した作品も展示。薄暗いタッチで描かれた暗闇の作品を紹介する一方で、恐怖とは対照的な“夜の楽しさ”を思わせる田名網敬一のカラフルアートや夜をモチーフにしたコーダ・ヨーコの「ヨルのキオク」シリーズなども登場。様々な真夜中のイメージを目の当たりにすることができる。【詳細】こわいな!恐怖の美術館開催期間:2021年9月25日(土)~12月5日(日)会場:熊本市現代美術館 ギャラリーⅠ・Ⅱ住所:熊本県熊本市中央区上通町2-3 びぷれす熊日会館 3階休館日:火曜日、11月24日(水) ※ただし11月23日は開館開館時間:10:00~20:00(展覧会入場は19:30まで)観覧料:一般 1,100(900)円、シニア(65歳以上) 900(700)円、学生(高校生以上) 600(500)円、中学生以下 無料※( )内は前売/20名以上の団体/各種障害者手帳を提示した人と付き添い1名(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、被爆者健康手帳等)、電車・バス1日乗車券、JAF会員証、緑のじゅうたんサポーター証/美術館友の会証を呈示した人。前売の販売は9月24日(金)まで。※10月10日(日)は熊本市現代美術館開館記念日を祝して入場無料。チケット取扱い:熊本市現代美術館、イープラス(e+)、ローソンチケット“ローチケ”[Lコード:81992]、セブンチケット[セブンコード:090-328]※開催内容の変更、入場制限の実施などの可能性あり。最新情報は、公式ホームページを確認。【問い合わせ先】熊本市現代美術館TEL:096-278-7500
2021年08月13日9月24日(金)から公開される、きのこ・菌類の秘めたる力に迫った驚異のドキュメンタリー『素晴らしき、きのこの世界』より予告編が解禁となった。ナショナルジオグラフィックやディズニーネイチャーのドキュメンタリー作品を手掛け、タイムラプス映像のパイオニアと言われる映像作家ルイ・シュワルツバーグが監督をつとめる本作。本国アメリカではなんと20週にわたる超ロングラン上映が行われ、予想をはるかに超えるヒットを記録。アメリカの映画批評サイト、ロッテントマトでも100%フレッシュを獲得するなど高評価を受けている。解禁された予告編は、「私の使命は菌類の言葉を見つけること」と話す、菌類学者ポール・スタメッツの声と同時に、木々に覆われた森の中で“きのこ狩り”中のスタメッツがカゴを持って登場する場面からはじまる。そして、青や黄色など鮮やかな色が可愛らしいきのこ、まるでエイリアンのような形状の赤い毒々しいきのこ、白いレースのドレスをまとったような美しいきのこ、光を放つきのこなど、一言できのことまとめるにはあまりにも多種多様な姿をしたきのこたちが、にょきにょき伸びたり、ゆらゆら揺れたりする神秘的な姿が、タイムラプス映像で映し出される。そこに入る「私たちの身近にあって、ミステリアスな存在」というナレーションの声の主は、アカデミー賞受賞歴のある俳優で無類のきのこ好きだというブリー・ラーソンだ。人気フードライターのユージニア・ボーンは、きのこについて「植物とも動物とも違う、中間的な存在」と解説。医療や治療、環境問題など菌類による知られざる解決策の断片が映し出され、きのこの偉大さの一部が分かる予告編となっている。土の中には地球を守るために菌類のネットワークが張り巡らされており、それはさながら足もとに広がるきのこの宇宙だ。菌類によるその知られざる広大なネットワークは、物質を腐らせ分解し、菌類同士や他の生物と栄養素を共有、つながりを形成し、それを生きた土壌に変えてきた。我々の目に留まるきのこは土の上にある部分にすぎず、その本体のほとんどは地下に広がる菌糸体という不思議な生物なのだ。きのこ・菌類は、食物としてだけでなく、様々な生命の再生や維持、アルツハイマーやがんなどの治療、環境汚染の浄化にまで役立つことから、地球上の様々な問題へのきのこの応用が期待されている。幻覚作用をもたらす一方で、人間の命を救うほどの力も持っていると言われるきのこ。その知られざる可能性を提示した本作は、偉大で神秘的なきのこの力を知るとともに、観れば誰もがきのこに対する意識を変えるに違いない、未来への希望を感じることもできる一作だ。『素晴らしき、きのこの世界』は9月24日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:素晴らしき、きのこの世界 2021年9月24日より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開© 2018, Fantastic Fungi, LLC
2021年08月09日長野・軽井沢のセゾン現代美術館では、コレクション展「collection 40」を、2021年7月22日(木・祝)から11月21日(日)まで開催する。また、特別展示「若林奮軽井沢・高輪美術館(現・セゾン現代美術館)の庭」も同時開催される。コレクション作品40点を紹介「collection 40」展では、セゾン現代美術館のコレクションから、選りすぐりの40点を展示。パウル・クレー、ワシリー・カンディンスキー、マン・レイ、ジャクソン・ポロック、マーク・ロスコ、ジャスパー ・ジョーンズ、アンディ・ウォーホル、荒川修作、中西夏之、宇佐美圭司などの作品を目にすることができる。若林奮による庭園構想に着目した特別展示も一方、同時開催の特別展示「若林奮軽井沢・高輪美術館(現・セゾン現代美術館)の庭」では、戦後日本を代表する彫刻家であり、同館の庭園全体のプランも手がけた若林奮にフォーカス。若林の制作とは、人間と自然がとり結ぶ関係性を問うことであった。自然と人間の共生を希求しつつ作品制作を続けるなかで、1980年代から晩年まで取り組むことになる庭園制作は、そうした若林の思想を具現化する表現形態であったといえる。本展示では、1982〜85年に《軽井沢・高輪美術館の庭》として制作された同館の庭園構想のためのドローイング、写真作品、模型などを展示し、若林の思考の軌跡を紹介する。展覧会概要コレクション展「collection 40」同時開催:特別展示「若林奮軽井沢・高輪美術館(現・セゾン現代美術館)の庭」会期:2021年7月22日(木・祝)〜11月21日(日)会場:セゾン現代美術館(特別展示は1Fパサージュ)住所:長野県北佐久郡軽井沢町長倉芹ヶ沢2140開館時間:10:00〜18:00(11月は17:00まで)※入館は閉館30分前まで休館日:木曜日(9月23日(木・祝)は開館)※8月は無休入館料:一般 1,500円、大高生 1,000円、中小生 500円※20名以上の団体は各100円引※内容は変更となる場合あり(最新情報は美術館ホームページにて確認のこと)【問い合わせ先】セゾン現代美術館TEL:0267-46-2020
2021年07月11日特別企画展「スイス プチ・パレ美術館展―珠玉のフランス近代絵画―」が、滋賀の佐川美術館にて、2021年9月14日(火)から11月7日(日)まで開催される。なお、鹿児島市立美術館では9月5日(日)まで開催される予定であったが、8月19日(木)をもって終了。フランス近代絵画の充実したコレクションスイス・ジュネーブに1968年に開館したプチ・パレ美術館は、19世紀後半から20世紀前半にかけて芸術の都・パリを中心に制作された、フランス近代絵画を主としたコレクションを所蔵する美術館。1998年以降は休館しているものの、充実した所蔵コレクションから、国外の大規模美術展に継続的に出品協力を行っている。日本では30年ぶり、鹿児島では初となるコレクション展「スイス プチ・パレ美術館展―珠玉のフランス近代絵画―」は、プチ・パレ美術館の主要コレクションが来日する、日本では30年ぶり、鹿児島では初となる本格的なコレクション展だ。印象派のルノワールからナビ派のモーリス・ドニ、フォーヴィスムのヴラマンク、キュビスムのアンドレ・ロート、エコール・ド・パリのユトリロ、スタンラン、藤田嗣治まで、38作家による油彩画65点が一堂に集結する。19世紀後半に“光の描写”に挑んだ印象派が現れて以来、フランスでは画家たちによって次々と革新的な絵画が生み出されてきた。「プチ・パレ美術館」では、時代を象徴する巨匠の作品のみならず、その他多数の優れた周辺作家の作品も所蔵。実験的な精神に満ちた画家たちによる多彩な作品を通して、時代の活況を見て取ることができる。印象派からナビ派/ポン=タヴァン派、新印象派、フォーヴィスム、キュビスム、そしてポスト印象派やエコール・ド・パリに至るまで、フランス近代絵画の全体像とダイナミックな時代の潮流を体感できそうだ。【詳細】特別企画展「スイス プチ・パレ美術館展―珠玉のフランス近代絵画―」会期:2021年9月14日(火)~11月7日(日)場所:佐川美術館住所:滋賀県守山市水保町北川2891開館時間:9:30~17:00 ※最終入館は16:30まで。休館日:月曜日(9月20日は開館)、9月21日入館料:一般 1,200円、高大生 800円(要学生証提示)、中学生無料 ※ただし保護者の同伴が必要。※専門学校・専修学校は大学に準じる。※障害者手帳の持参者(手帳の提示が必要)、付添者(1名のみ)は無料。■終了した会場・鹿児島市立美術館会期:2021年7月23日(金・祝)~8月19日(木)※当初は9月5日(日)までの会期を予定していたものの変更(チケットの払い戻しについては、後日美術館ホームページにて案内)住所:鹿児島県鹿児島市城山町4-36問い合わせ先TEL:099-224-3400
2021年07月09日フランス・シャンパーニュ地方にあるランス美術館は、ルーヴル美術館に次いでカミーユ・コローの作品を多く所蔵するなど、19世紀の風景画が充実していることで有名。本展『ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ』では、このランス美術館のコレクションから厳選した約80点の名作を通して、印象派の中核ともいうべきフランス近代風景画の歴史をたどる。18世紀以前の西洋美術において、風景画は崇高な神話や歴史画の背景にすぎなかった。けれど18世紀末から19世紀初頭にかけて、その風景画に注目が集まり始める。この動きは革命後の社会の変化、新興ブルジョワジーの台頭、産業革命と都市化による田園風景への憧れなど、当時新しく生まれた価値観を受けて引き起こされたもので、画家らはアトリエを出て屋外で風景をスケッチし始めた。そんな風景画家の中でも特に注目を集めたのは「バルビゾン派」と呼ばれる画家たち。彼らはパリ郊外にあるフォンテーヌブローの森に隣接するバルビゾン村に滞在し、大作を生み出してゆく。その写実的な作風がモネやルノワール、シスレーなど19世紀後半に活躍する印象派の画家たちに受け継がれていったのだ。こうしたフランス印象派の成り立ちを余すところなく紹介したのが本展。近代画家の先駆者であるミシャロンやベルタンに始まり、コローやクールベ、ブーダン、さらに印象派のモネやルノワール、ピサロまで、19世紀フランス絵画の巨匠の作品が一堂に会する。会場では時系列に章が展開し、関連する資料も数多く登場。例えばチューブ式絵の具や、エッチング(腐食銅版画)の発明が風景画の発展を加速させたことなど、文明が美術に大きく影響を及ぼしている様子がよくわかる。いま話題となっているデジタルアートも、過去の名作も、技術の発展が新しい芸術を生んでいるという事実は変わらない。心が洗われるような異国の美しい風景画とともに、そんな普遍性にも気づかせてくれる、発見のある内容だ。コンスタン・トロワイヨン《ノルマンディー、牛と羊の群れの帰り道》1856年Inv. 907.19.234ランス美術館©MBA Reims 2019/Photo : C.Devleeschauwerジャン=バティスト・カミーユ・コロー《湖畔の木々の下のふたりの姉妹》1865‐70年Inv.887.3.82ランス美術館©MBA Reims 2019/Photo : C.Devleeschauwerクロード・モネ《べリールの岩礁》1886年Inv. 907.19.191ランス美術館©MBA Reims 2019/Photo : C.Devleeschauwerピエール=オーギュスト・ルノワール《風景》1890年頃Inv. 949.1.61ランス美術館©MBA Reims 2019/Photo : C.DevleeschauWer『ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ』SOMPO美術館東京都新宿区西新宿1‐26‐16月25日(金)~9月12日(日)10時~18時(入館は17時半まで)月曜休(8/9は開館)一般1500円ほかTEL:050・5541・8600(ハローダイヤル)※『anan』2021年6月30日号より。取材、文・山田貴美子(by anan編集部)
2021年06月29日京都市京セラ美術館では、開館1周年記念展「コレクションとの対話:6つの部屋」を、2021年10月9日(土)から12月5日(日)まで開催する。コレクションとの“対話”2021年にリニューアル開館1周年を迎える京都市京セラ美術館は、 1933年に「大礼記念京都美術館」として開館した。その所蔵品は現在約3,800点に及び、とりわけ国内有数の近代日本画コレクションを誇るほか、洋画・工芸・版画についても名品を有している。「コレクションとの対話:6つの部屋」展では、現代美術家や建築家など、ジャンルや時代を超えたスペシャリストが、京都市京セラ美術館のコレクションと“対話”。6つの部屋で、同館の歴史や所蔵品に着想を得た新作の制作や展示空間の構成などを展開し、コレクションに新たな光を投げかける。青木淳:日本画下絵と建築が織りなす空間建築家で京都市京セラ美術館館長の青木淳は、これまで作家として作品を発表するのみならず、建築家として空間構成も手がけてきた。今回着目するのは、日本画の下絵。日本画の素描や下絵には、完成作に至るまでの過程が凝縮されている。そこに建築図面との類似性を見てとる青木は、本展では所蔵品の日本画下絵を用いた展示空間を構成する。宮永愛子:過去・現在・未来の出会い一方、ナフタリンや塩などを用いて時の可視化を試みるアーティスト、宮永愛子は、歴史ある京都の陶芸家の家系という自身の出自をたどり、過去の時間の新たな捉え方を提示。宮永自身の出自に深く関わる1900〜30年代の京都の工芸、幼少期より親しんできた京都市美術館の建築空間や建築部材にも着目し、過去・現在・未来が合流する場をつくりだす。同時代美術としての西洋絵画と日本の洋画などにも着目そのほか本展では、同館の洋画コレクションで重要な位置を占める黒田重太郎が師事した画家、アンドレ・ロートを取り上げ、同時代の美術としての西洋絵画と日本の洋画について考察。さらに、詩人や文筆家として活躍しつつ、同館の活動を支えた学芸職員、竹内勝太郎と加藤一雄の文章に着目して、所蔵作品に新たなアプローチを試みる。展覧会概要京都市京セラ美術館開館1周年記念展「コレクションとの対話:6つの部屋」会期: 2021年10月9日(土)〜12月5日(日)会場:京都市京セラ美術館 本館 北回廊1F住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124開館時間:10:00〜18:00(最終入場は17:30)休館日:月曜日(祝日の場合は開館)料金:一般 1,000円(800円)、大学・高校生 500円(400円)、中学生以下 無料※( )内は前売・20名以上の団体料金※京都市内に在住・通学の高校生・高等専門学校生は無料、障害者手帳などの提示者は本人および介護者1名無料(確認できるものを持参のこと)※前売券は、8月中旬から美術館ウェブサイトにて販売予定■対話者竹内勝太郎(学芸職員・詩人)、加藤一雄(学芸職員・文筆家)、アンドレ・ロート(画家)、青木淳(建築家・京都市京セラ美術館館長)、宮永愛子(現代美術家)、ひろいのぶこ(繊維造形作家)、髙橋耕平(現代美術家)【問い合わせ先】京都市京セラ美術館TEL:075-771-4334
2021年06月28日東京藝術大学大学美術館では、展覧会「藝大コレクション展2021II期東京美術学校の図案─大戦前の卒業制作を中心に」を、2021年8月31日(火)から9月26日(日)まで開催する。東京藝術大学のコレクションから“図案・デザイン”を紹介東京藝術大学のコレクションの核となるのは、教材として収集された古美術作品と、教育成果の記録である学生制作品であり、いずれも日本近現代美術史における重要な作品・資料である。展覧会「藝大コレクション展2021II期東京美術学校の図案─大戦前の卒業制作を中心に」では、東京藝術大学の前身である東京美術学校の図案科(現デザイン科・建築科)の卒業制作を中心に、重要文化財の尾形光琳《槇楓図屏風》、能装束の図案などを、「図案」「デザイン」という視点から紹介する。図案科・工芸科の作品を公開東京美術学校は1889年の開校以来、教育の一環として図案教育、つまりデザイン教育を行ってきた。1896年には図案科が正式に設置され、優れたデザイナーを輩出してきた。なかでも、大正期から昭和初期にかけて制作された図案科の卒業制作には、従来の「図案」の概念とは異なる絵画的な作品が多数現れることになる。会場では、長安右衛門の卒業制作《装飾文様(懊悩)》など、図案科・工芸科の作品を一挙公開する。日本美術作品を“図案・デザイン”に着目して紹介また、本展では、東京藝術大学所蔵の日本美術作品を、図案・デザイン要素に着目して紹介。草木などを図案化した装飾的な意匠が見られる、尾形光琳《槇楓図屏風》や池田孤邨《四季草花図》といった琳派作品のほか、能装束の文様を描き留めた狩野芳崖の《加州家蔵能装束模様》などを目にすることができる。近年の卒業制作や現代の工芸もさらに、近年の卒業制作や現代の工芸も特集展示。心理学の理論に基づく人格データから花像をデザインし、伝統的な友禅染で染め上げた工芸科の卒業制作、曾斯琴《人間花像》など、2000年以降の卒業制作を紹介するとともに、平松保城らによる現代の工芸作品にみられるデザインにも光をあてる。展覧会概要展覧会「藝大コレクション展2021II期東京美術学校の図案─大戦前の卒業制作を中心に」会期:2021年8月31日(火)〜9月26日(日)会場:東京藝術大学大学美術館 本館 展示室1住所:東京都台東区上野公園12-8開館時間:10:00〜17:00(最終入館時間は16:30)休館日:月曜日(9月20日(月・祝)は開館)、9月21日(火)観覧料:一般 440円(330円)、大学生 110(60円)、高校生以下・18歳未満 無料※( )は20名以上の団体料金※団体観覧者20名につき1名の引率者は無料※障がい者手帳の所持者(介護者1名を含む)は無料※本展は事前予約制ではないが、変更および入場制限などを実施する可能性あり【問い合わせ先】TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)
2021年06月26日東京都世田谷区にある、『世田谷美術館』。砧(きぬた)公園内にある同美術館は、豊かな自然とアートを楽しむことができ、近隣住民の憩いの場となっています。そんな憩いの場に訪れるのは、どうやら人間だけではないようです。美術館に現れた『小さな訪問客』が話題に!ある日の夕方、美術館の職員用通用口の前では、警備員と客の攻防が行われていました。何かの侵入を必死に防ぐ警備員。中に入ろうとしていたのは…!通用口の前にいたのはなんと、赤ちゃんタヌキ…!出典:世田谷美術館母親とはぐれてしまったのでしょうか。ちょうどスタッフが通用口を行き来する時間帯だったため、ドアが開く度に侵入を試みようとしていたそうです。まだ体の小さな赤ちゃんタヌキは、階段を下りるのが怖い様子。その後、スタッフに見守られながらゆっくりと階段を降り、最後は茂みへ帰っていきました。美術館に現れた珍客に、ネット上ではこのような声が寄せられています。・かわいい…!無事お母さんの元へ帰れるといいな。・きぬた公園に、『たぬき』が現れたのか!・なんてかわいいお客様…。ずっと見ていられる。美術館に現れる珍しい客といえば、広島県尾道市の『尾道市立美術館』へやって来る猫も有名ですよね。美術館にやってきた『珍客』警備員とのやり取りに、心がポカポカどうやら美術館には、人間だけではなく動物も引き寄せる不思議な力があるようです…![文・構成/grape編集部]
2021年06月04日上質な日本美術のコレクションで知られるアメリカのミネアポリス美術館の名品がならぶ展覧会『ミネアポリス美術館日本絵画の名品』が、サントリー美術館で6月27日(日)まで開催されている。ミネアポリス美術館(通称 Mia)は、アメリカ中西部にあるミネソタ州最大の都市・ミネアポリスに1883年に設立された美術館。約9万点のコレクションのうち1割を超える約9500点が日本美術のコレクションだ。本展は室町時代から近世までの日本絵画の流れを、Miaの充実したコレクションでたどっていくもの。また、展示作品の3分の1以上が日本に初めて里帰りするものだそう。展示風景より展覧会は、日本絵画の主要ジャンルを8章構成で紹介していく。第一章「水墨画」では、躍動感あふれる描写で鳥を描いた雪村のほか、迫力とかわいらしさが同居する山田道安の屏風などを展示する。雪村周継《花鳥図屛風》室町時代、16世紀山田道安《龍虎図屏風》室町時代、16世紀とくに、山田道安《龍虎図屏風》は、虎の表情や吹きすさぶ風の描写など、細部まで楽しめる作品だ。山田道安《龍虎図屏風》部分室町時代、16世紀山田道安《龍虎図屏風》部分室町時代、16世紀続く第2章「狩野派の時代」では、当時の主流派であった狩野派の作品を展示。仙人と童子を描いた狩野山雪の《群仙図襖》は、9名の仙人と童子が描かれた襖。それぞれの仙人の表情やポーズを描き分けている。狩野山雪《群仙図襖(旧・天祥院客殿襖絵)》江戸時代、正保3年(1646)画面右端にいる仙人は「劉海蟾(蝦蟇仙人)」。糸を通した小銭を使ってガマガエルと遊んでおり、その姿が愛らしい。狩野山雪《群仙図襖(旧・天祥院客殿襖絵)》部分江戸時代、正保3年(1646)第3章の「やまと絵―景物画と物語絵―」では、日本独自の絵画様式となったやまと絵を紹介。もともとは中国的な主題の「唐絵」に対して、日本の風俗や事物を主題にした絵を指していた「やまと絵」は、時代を経ていくうちに日本独自の絵画様式として発展していった。武蔵野の平野を描いた《武蔵野図屛風》はその一例だ。第4章の「琳派」も日本で生まれた独自の様式である琳派を紹介している。作者不詳《武蔵野図屛風》 江戸時代、17世紀第5章の「浮世絵」は、江戸時代に花開いた大衆芸術、浮世絵を紹介。葛飾北斎や東洲斎写楽などの誰もが知る浮世絵版画のほか、肉筆浮世絵も展示。江戸の文化がいかに豊かであったかを垣間見ることができる。三畠上龍《舞妓覗き見図》江戸時代、19世紀三畠上龍《舞妓覗き見図》部分江戸時代、19世紀三畠上龍《舞妓覗き見図》は、謎が多い対幅の作品。左幅には美しい舞妓、右幅にはまぶたをこじ開けている丁稚姿の少年の図が描かれている。作品の主題はなんなのか、現時点ではわからないが、インパクトが強い作品だ。そして、第6章の「日本の文人画〈南画〉」、第7章「画壇の革新者たち」、最終章「幕末から近代へ」と続く。とくに第7章の「画壇の革新者たち」は、伊藤若冲や曾我蕭白など近年人気が高い奇想の絵師たちの作品が並んでいる。伊藤若冲《鶏図押絵貼屛風》は若冲が好んで描いた鶏が並ぶ屏風。筆の濃淡を巧みに使った躍動感あふれる鶏が描かれている。曾我蕭白の《群鶴図屛風》は、若冲とはまた異なるスタイルで鶏を巧みに描いており、両者を見比べると、絵師の特徴をわかりやすく捉えることができる。伊藤若冲《鶏図押絵貼屛風》江戸時代、18世紀曾我蕭白《群鶴図屛風》江戸時代、18世紀本展は室町時代から近代に至るまでの日本絵画の魅力がわかりやすくまとめられている展覧会。豊富なジャンルの日本絵画のなかから、お気に入りの絵師や作品を見つけ出しにいってみよう。取材・文:浦島茂世【開催情報】『ミネアポリス美術館日本絵画の名品』4月14日(水)~6月27日(日)、サントリー美術館にて開催
2021年06月02日東京・六本木の森美術館が、2021年4月22日(木)にリニューアルオープンします。森美術館がリニューアルオープン森美術館が、約3か月の改修工事期間を経てリニューアルオープン。オンラインでのチケット販売やQRコード認証などを活用するとともに、土日休日料金やオンライン事前購入料金を設定し、より快適な鑑賞環境を整えます。ミュージアムショップ旗艦店「森美術館 ショップ」リニューアルにあわせて、ミュージアムショップの旗艦店となる「森美術館 ショップ」を六本木ヒルズウェストウォーク3階にオープン予定。森美術館オリジナルのロゴグッズや展覧会カタログ、森美術館ゆかりのアーティストの限定グッズ、限定作品を展開するほか、花器や酒器といった若手陶芸家が手がける陶磁器、デザイン雑貨なども取り揃えられています。また、「森美術館 ショップ」のオープンを記念して、同店ではモレスキン(Moleskine)のノート「カイエジャーナル」に奈良美智のドローイングをプリントした限定版を展開します。展覧会「アナザーエナジー展」を開催なお、森美術館のリニューアルオープンにあわせて、展覧会「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力──世界の女性アーティスト16人」がスタート。本展では、世界各地で創作活動を続ける70代以上の女性アーティスト16名を取り上げ、それぞれの初期作から代表作、そして本展のための最新作などからそのキャリアを多角的に紹介。【詳細】森美術館 リニューアルオープン開館日:2021年4月22日(木)住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階■森美術館 ショップオープン日:決まり次第告知※2021年4月28日(水)のオープンを予定していたが、4月25日(日)からの臨時休館に伴い延期場所:六本木ヒルズウェストウォーク3階営業時間:11:00〜21:00TEL:03-6406-6280限定グッズ例:奈良美智 モレスキン カイエジャーナル(3冊セット) 3,300円(税込)■展覧会「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力──世界の女性アーティスト16人」会期:2021年4月22日(木)〜9月26日(日)会場:森美術館【問い合わせ先】TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)
2021年05月19日世界三大美術館のひとつであり、創立150年の歴史を持つニューヨーク・メトロポリタン美術館。同館が誇る珠玉の西洋絵画コレクションから選りすぐりの名品65点が来日。しかもそのうち46点が日本初公開というかつてない展覧会が11月に大阪市立美術館、2022年2月に東京・国立新美術館で開催されることが決定した。出品予定の作品は、ラファエロ、ティツィアーノ、カラヴァッジョ、レンブラント、フェルメールから、 マネ、モネ、ルノワール、ゴッホなど。誰もが知る巨匠たちの名画で、ルネサンスから19世紀まで、西洋絵画史の500年をたどる。展示内容の詳細は6月頃に発表される予定。楽しみに待ちたい。カラヴァッジョ(本名 ミケランジェロ・メリージ)≪音楽家たち≫1597 年 メトロポリタン美術館Lent by The Metropolitan Museum of Art, Rogers Fund, 1952カジョルジュ・ド・ラ・トゥール≪女占い師≫おそらく 1630 年代 メトロポリタン美術館Lent by The Metropolitan Museum of Art, Rogers Fund, 1960オーギュスト・ルノワール ≪ヒナギクを持つ少女≫1889 年 メトロポリタン美術館Lent by The Metropolitan Museum of Art, The Mr. and Mrs. Henry Ittleson Jr. Purchase Fund, 1959【開催概要】『メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年』大阪会場:大阪市立美術館会期:11月13日(土)~1月16日(日)東京会場:国立新美術館会期:2月9日(水)~5月30日(月)
2021年04月16日シャンパンの産地として知られる、フランス・シャンパーニュ地方の都市、ランス。その中心に建つランス美術館は、19世紀の風景画コレクションの充実ぶりで知られており、なかでもカミーユ・コローの作品は、ルーヴル美術館に次いで数多く所蔵されている。6月25日(金)より、SOMPO美術館にて開催される『ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ』では、ランス美術館のコレクションを中心とした選りすぐりの名品約80点が来日する。神話画や歴史画の背景に過ぎなかった自然が、絵の中心として描かれることで誕生した西洋美術の風景画は、19世紀フランスにおいて、鉄道網の発達、チューブ式絵具の発明、また新興ブルジョワジーの台頭などを背景に、新たな展開を遂げ、戸外制作を積極的に行った画家たちの眼差しを通し、生き生きと表現されるようになった。同展では、こうした新たな流れの先駆者であるミシャロンやベルタンにはじまり、コロー、バルビゾン派、ブーダン、そしてルノワール、モネ、ピサロら印象派の作品を中心に、油彩、版画を紹介。コローやバルビゾン派にはじまり、印象派でひとつの頂点に達するフランス近代風景画の展開を丁寧にたどっていく。ジャン゠バティスト・カミーユ・コロー《湖畔の木々の下のふたりの姉妹》1865–70年Inv.887.3.82ランス美術館 (c) MBA Reims 2019/Photo : C.Devleeschauwerテオドール・ルソー(1812–1867)《沼》1842–43年Inv. 907.19.227ランス美術館(c) MBA Reims 2019/Photo : C.Devleeschauwerウジェーヌ・ブーダン《ベルク、出航》1890年Inv. 907.19.34ランス美術館 (c) MBA Reims 2019/Photo : C.Devleeschauwerカミーユ・ピサロ 《ルーヴル美術館》1902年Inv. 907.19.208ランス美術館 (c) MBA Reims 2019/Photo : C.Devleeschauwerクロード・モネ《ベリールの岩礁》1886年Inv. 907.19.191ランス美術館 (c) MBA Reims 2019/Photo : C.Devleeschauwerピエール゠オーギュスト・ルノワール 《風景》1890年頃Inv. 949.1.61ランス美術館 (c) MBA Reims 2019/Photo : C.Devleeschauwer【開催概要】『ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ』会期:6月25日(金)~9月12日(日)会場:SOMPO美術館開館時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)休館日:月曜(8月9日は開館)SOMPO美術館公式サイト( )
2021年04月07日展覧会「虹をかける:原美術館コレクション」が、群馬・渋川市の原美術館ARCにて、2021年4月24日(土)から2022年1月10日(月・祝)まで開催される。原美術館とハラ ミュージアム アークが「原美術館ARC」として集約40余年の歴史を歩んできた東京・品川の原美術館と別館のハラ ミュージアム アークが統合され、2021年4月、群馬県の地で「原美術館ARC」として再スタートを切る。豊かな自然の中にたつ「原美術館ARC」は、漆黒の建物それ自体が美術品のように美しく、館内には、書院造をモチーフとした特別展示室「觀海庵」などが設けられている。設計は世界的建築家・磯崎新が手掛けた。“虹”をテーマに、多彩な作品を紹介する最初の展覧会「原美術館ARC」としての初めての展覧会は、多様性や共存、平和の象徴ともいえる“虹”をテーマとし、現代美術を集めた「原美術館コレクション」と、国宝・重要文化財を含む東洋古美術からなる「原六郎コレクション」の中から、様々な国籍や文化を背景に持つアーティストたちの作品を紹介する。なお、本展は第1期と第2期に分かれており、各期で異なる作品に出会うことができる。約1,000点から構成される「原美術館コレクション」「原美術館コレクション」は、1950年代以降の世界各国の現代美術を、原美術館設立当初から収集し続けてきたものだ。理事長・原俊夫独自の視点で選ばれた絵画、彫刻、写真、映像、インスタレーションなど約1,000点で構成される。「虹をかける:原美術館コレクション」展では、2018年の「現代美術に魅せられて」展で出品されたものや、惜しくも中止となった原美術館最後の収蔵品展に展示する予定だった作品群を中心に紹介する。草間彌生、蜷川実花、荒木経惟、安藤正子、ジム ランビー、クリスチャン ボルタンスキーらに加え、原美術館でも人気を博した奈良美智や宮島達男の作品もリニューアルし展示される。狩野探幽や円山応挙らの作品が揃う「原六郎コレクション」一方「原六郎コレクション」では、明治時代の実業家である原六郎が収集した古美術から、中国陶磁の真髄を伝える国宝「青磁下蕪花瓶」、浮世絵美人図の先駆けとなる重要文化財「縄暖簾図屏風」をはじめとする近世日本絵画や書、工芸を所蔵している。本展では、近世日本の住宅に特徴的な書院造をモチーフとした展示室で、狩野派の日本絵画や円山応挙の大作画巻「淀川両岸図巻」といった作品と現代美術の競演を楽しむことができる。【詳細】展覧会「虹をかける:原美術館コレクション」会期:第1期 2021年4月24日(土)~2021年9月5日(日)、第2期 2021年9月11日(土)~2022年1月10日(月・祝)会場:原美術館ARC住所:群馬県渋川市金井2855-1TEL:0279-24-6585休館日:木曜日(祝日と8月を除く)、展示替え期間、1月1日(土)入館料:一般 1,100円、大高生 700円、小中生 500円、70 歳以上 550円※原美術館メンバーシップ会員は無料、学期中の土曜日は群馬県内の小中学生の入館無料※ぐーちょきパスポートを提示、障がいのある人は特別料金規定あり※団体については問い合わせ※伊香保グリーン牧場とのセット券(一般 1,800円、大高生 1,500円、中学生 1,400円、小学生 800円)※カフェ、ミュージアムショップのみ利用の場合も原美術館ARC への入館料が必要。【出品作家(予定)】全期:アニッシュ カプーア「虚空」、草間彌生「ミラールーム(かぼちゃ)」、宮島達男「時の連鎖」、森村泰昌「ロンド ネオ」(仮題)、奈良美智「My Drawing Room」、鈴木康広「日本列島のベンチ」、束芋「真夜中の海」第1期(春夏季)現代美術:艾未未(アイ ウェイウェイ)、カレル アペル、アルマン、今井俊満、トム ウェッセルマン、アンディ ウォーホル、エロ、河原温、工藤哲巳、篠田桃紅、篠原有司男、ジャスパー ジョーンズ、杉本博司、須田悦弘、ジャン デュビュッフェ、ルイーズ ニーヴェルスン、ナム ジュン パイク、ルチオ フォンタナ、ジャクソン ポロック、クリスト、三木富雄、ロバート メイプルソープ、ロバート ラウシェンバーグ、ジム ランビー、李禹煥(リ ウファン)、ロイ リキテンシュタイン、ジェームス ローゼンクイスト、マーク ロスコなど古美術:狩野探幽「龍虎図」、円山応挙「淀川両岸図巻」など第2期(秋冬季)現代美術:荒木経惟、安藤正子、アドリアナ ヴァレジョン、フランチェスカ ウッドマン、加藤泉、加藤美佳、アンゼルム キーファー、ウィリアム ケントリッジ、マリック シディベ、周鉄海(シュウ テイハイ)、崔在銀(チェ ジェウン)、ジェイソン テラオカ、ミカリーン トーマス、蜷川実花、クリスチャン ボルタンスキー、ジョナサン ボロフスキー、増田佳江、やなぎ みわ、柳幸典、米田知子、横尾忠則、ピピロッティ リスト、ジャン=ピエール レイノーなど古美術:狩野派「雲龍図」、狩野派「層嶺瀑布図」など
2021年03月25日皇居や千鳥ヶ淵、北の丸公園といった桜の名所エリアに立地している東京国立近代美術館にて、毎年恒例の春にちなんだ催し「美術館の春まつり」が3月23日(火)より開催される。所蔵作品展『MOMATコレクション』では、年に一度この時期だけ公開される、桜を描いた重要文化財の川合玉堂《行く春》、しだれ桜ほか40種類を超える希少な桜を描いた跡見玉枝《桜花図巻》や、川瀬巴水などの「新版画」における桜、染織では釜我敏子《型絵染着物春の野》など、花を描いた名画約20点が会場の一室に並ぶほか、13,000 点を超える所蔵作品の中から選りすぐりの約200点を紹介。岸田劉生や安井曽太郎、セザンヌなどおなじみの作品も3フロアにわたって展示される。船田玉樹《花の夕》1938年川瀬巴水《井の頭の春の夜》1931年釜我敏子《型絵染着物春の野》 1992年撮影者:アローアートワークス © 1994同時期開催として、退廃的、妖艶、グロテスク、エロティックといった「単なる美しいもの」とは異なる表現を紹介する企画展『あやしい絵展』、写真のもう一つの側面を探るコレクションによる小企画『幻視するレンズ』 のほか、桜を見ながらひと休みできるよう、前庭に床几台によるお休み処が設置されるなど春らしい企画も。前庭の様子(2018年撮影)千鳥ヶ淵をはじめ、美術館周辺に咲きほこる桜との競演を楽しみながら、自分だけの花を見つける散策に出かけよう。【『美術館の春まつり』展 開催概要】会期:3月23日(火)~4月11日(日)会場:東京国立近代美術館開館時間: 10:00~17:00(金・土曜は20:00、入館は閉館30分前まで)※企画展『あやしい絵展』は9:30開場休館日:月曜日(3月29日は開館)※コロナ感染症の感染拡大防止のため、開館時間・開催内容を変更する可能性あり東京国立近代美術館公式サイト( )
2021年03月02日アーティゾン美術館の新たな収蔵品、そして代表的なコレクションを展示する『STEPS AHEAD:Recent Acquisitions 新収蔵作品展示』が2月13日(土)より5月9日(日)まで開かれている。美術館の3フロア全部を使用する、大規模な展覧会だ。アーティゾン美術館、そして前身であるブリヂストン美術館を擁する石橋財団は印象派や日本近代洋画などを中心とした非常に優れたコレクションで世界的にも知られていた存在だ。近年、同財団は中心となるコレクションをさらに充実させる一方、収集対象の幅を広げ、抽象表現を中心とする20世紀初頭から現代までの美術、そして日本の近世美術などの作品も積極的に収集。より広がりのあるコレクションとなっている。同展は、これまで未公開であった作品92点を中心に、201点を14のセクションに分けて展示している。最初のセクション「藤島武二の《東洋振り》と日本、西洋の近代絵画」では、前身のブリヂストン美術館時代も人気だった印象派作品、日本近代洋画の黎明期の作品に、カイユボットなど近年加わった作品を交えこれまでのコレクションにさらなる厚みが加わっていることがわかる。展示風景 「藤島武二の《東洋振り》と日本、西洋の近代絵画」セクションより。モリゾやカサット、ゴンザレスら印象派の女性画家は近年注目されているまた、同セクションでは、エヴァ・ゴンザレス《眠り》(1877-78年頃)、マリー・ブラックモン《セーヴルのテラスにて》(1880年)、メアリー・カサット《日光浴(浴後)》(1901年) など、印象派の女性画家たちの作品が並べて展示されている。女性画家たちの活動は、今後より注目の集まる分野だ。そして、キュビスムや今後の発展を期待させる新収蔵品や関連作品などバラエティ豊かな展示が続く。展示風景「カンディンスキーとクレー」セクションより。奥の作品はヴァシリー・カンディンスキー《三本の菩提樹》(1908年)「カンディンスキーとクレー」のセクションにある、ヴァシリー・カンディンスキー《三本の菩提樹》も新収蔵品の一つ。カンディンスキーが抽象画に向かう直前に描かれた鮮やかな色彩が目を引く風景画だ。同セクション内で展示されている彼の抽象画作品を、より深く理解するための手がかりにもなるだろう。展示風景「倉俣史朗と田中信太郎」セクションより。ソファは倉俣史朗、彫刻と絵画は田中信太郎によるもの「カンディンスキーとクレー」に続くセクションは「倉俣史朗と田中信太郎」。色彩が豊かな絵画が並ぶにぎやかさも感じさせる空間と、モダンで静謐な空間が隣り合う構成も刺激的だ。プロダクトデザイナーの倉俣史朗と画家で彫刻家の田中信太郎の二人は生前から交流があり、旧ブリヂストン本社ビルの大規模改修の空間デザインを倉俣が手掛け、田中の作品を設置したことから石橋財団とも縁が深かった。このセクションでは、二人の家具と彫刻や絵画が配置されている。なお、倉俣の椅子は美術館の各所に休憩用として設置されているので、座り心地も体感することができる。展示風景 「抽象表現主義の女性画家たちを中心に」セクションより抽象表現主義の女性画家たちのセクションも見どころのひとつだ。上記写真の壁にかけられた作品は、左のリー・クラズナー《ムーンタイド》1961年、中央のエレイン・デ・クーニング《無題(闘牛)》1959年、右のジョアン・ミッチェル《ブルーミシガン》1961年と、すべて女性作家の手によるもの。もともと石橋財団はブリヂストン美術館時代より戦後のフランス抽象絵画の展開に目を向けてきており、その研究過程のなかで第二次世界大戦後にアメリカで発生し、世界的に影響を与えた抽象表現主義の勃興に、女性画家たちの活躍も大いに寄与していることが浮き彫りにされていったという。同展は収蔵品展と銘打っているものの、14すべてのセクションがしっかりとしたテーマが立てられている。今後の調査、研究が進めば、これらのセクションが元となる展覧会が作られるかもしれない。その時が楽しみだ。展示風景「具体の絵画」セクションよりこのほか、芸術家の肖像写真コレクションやオーストラリアの現代絵画など、展示作品は多岐にわたる。アーティゾン美術館の新しい可能性を存分に感じられる展覧会、時間に余裕を持って鑑賞しにいこう。取材・文:浦島茂世【開催情報】『STEPS AHEAD: Recent Acquisitions 新収蔵作品展示』2月13日(土)~ 5月9日(日)、アーティゾン美術館にて開催
2021年02月22日"Mona Lisa – Portrait of Lisa Gherardini, wife of Francesco del Giocondo / Leonardo DA VINCI © RMN-Grand Palais (Musée du Louvre) / Michel Urtado © PETER SAVILLE"ユニクロ(UNIQLO)のグラフィックTシャツブランド「UT」から、ルーヴル美術館とのコラボレーションアイテム「ルーヴル美術館コレクション」第1弾が、2月5日より発売される。"The Virgin and Child with Saint Anne / Leonardo DA VINCI (Musée du Louvre) "本コレクションは、ユニクロとルーヴル美術館が結ぶパートナーシップの一環として展開されるもの。記念すべき第1弾は、「モナ・リザ」をはじめとする歴史的名作を、UTならではのユニークな解釈で表現したアートワークが落とし込まれたLifeWearを提案。アイテムは、メンズ Tシャツ(6柄)、メンズ スウェットフーディ(4柄)、ウィメンズ Tシャツ(6柄)、ウィメンズ スウェットシャツ(4柄)がラインアップされる。"La Belle Jardinière – Madonna and Child with Saint John the Baptist / Raffaello SANTI, known as Raphael © RMN-Grand Palais (Musée du Louvre) / Franck Raux Flowers, Shells, Butterflies, and Grasshopper / Balthasar van der AST © RMN-Grand Palais (Musée du Louvre) / Tony Querrec Louvre Pyramid © I.M. Pei "メンズコレクション(Tシャツ 6柄、スウェットフーディ 4柄)メンズコレクションは、イギリスを代表するグラフィック・アーティスト、ピーター・サヴィルがデザインを手掛けており、「アートアンドロジック(Art and Logic)」をテーマに展開。ルーヴル美術館の所蔵品すべてにつけられる「目録番号」や、芸術作品の構図に用いられる「黄金比」など、アートに潜むロジック(論理)に着目し、デザインの要素として取り入れられている。"The Winged Victory of Samothrace / Hellenistic Art (C. 190 BC), Island of Samothrace (northern Aegean) © Musée du Louvre, Dist. RMN-Grand Palais / Philippe Fuzeau © PETER SAVILLE""Aphrodite, known as the ""Venus de Milo"" / Hellenistic Art (C. 100 BC), Island of Melos (Cyclades, Greece) © Musée du Louvre, Dist. RMN-Grand Palais / Anne Chauvet © PETER SAVILLE"ルーヴル美術館では、約3万5000点の作品が8部門に分けて展示されている。UTメンズコレクションではその幅広さを紹介するため、4つの展示部門よりそれぞれの代表的な作品をセレクト。「モナ・リザ」や「サモトラケのニケ」「ミロのヴィーナス」など、誰もが知る名作が、ピーター・サヴィルの洗練されたグラフィックにより新しいアートとして生まれ変わった。"Psyche Revived by Cupid’s Kiss / Antonio CANOVA © RMN-Grand Palais (Musée du Louvre) / René-Gabriel Ojéda © PETER SAVILLE""Flowers, Grapes, and Peaches / Jan Frans van DAEL © RMN-Grand Palais (Musée du Louvre) / Adrien Didierjean © PETER SAVILLE""Mona Lisa – Portrait of Lisa Gherardini, wife of Francesco del Giocondo / Leonardo DA VINCI © RMN-Grand Palais (Musée du Louvre) / Michel Urtado © PETER SAVILLE""Aphrodite, known as the ""Venus de Milo"" / Hellenistic Art (C. 100 BC), Island of Melos (Cyclades, Greece) © Musée du Louvre, Dist. RMN-Grand Palais / Anne Chauvet © PETER SAVILLE"ウィメンズコレクション(Tシャツ 6柄、スウェットシャツ 4柄)ウィメンズコレクションは、UTオリジナルデザインで展開。「女性」をモチーフとした作品群に焦点をあて、ミステリアスな微笑みを浮かべる「モナ・リザ」、献身的な聖母を描いた「聖母子と幼き洗礼者聖ヨハネ」、官能的な「オダリスク」など、巨匠たちが残した様々な女性の姿に花のモチーフを掛け合わせた、鮮やかなグラフィックTシャツをラインアップ。"Mona Lisa – Portrait of Lisa Gherardini, wife of Francesco del Giocondo / Leonardo DA VINCI © RMN-Grand Palais (Musée du Louvre) / Michel Urtado Vase of Flowers in a Niche / Jan van HUYSUM © RMN-Grand Palais (Musée du Louvre) / Tony Querrec Louvre Pyramid © I.M. Pei ""The Bather, known as the Valpinçon Bather / Jean-Auguste-Dominique INGRES © RMN-Grand Palais (Musée du Louvre) / Philippe Fuzeau Flowers in a Stone Frame Opening onto a Landscape / Ambrosius BOSSCHAERT © RMN-Grand Palais (Musée du Louvre) / Franck Raux Louvre Pyramid © I.M. Pei ""Deianeira and the Centaur Nessus / Guido RENI © RMN-Grand Palais (Musée du Louvre) / Gérard Blot Flowers in a Crystal Vase Standing on a Stone Pedestal, with a Dragonfly / Abraham MIGNON © RMN-Grand Palais (Musée du Louvre) / Stéphane Maréchalle Louvre Pyramid © I.M. Pei""La Belle Ferronnière / Leonardo DA VINCI © RMN-Grand Palais (Musée du Louvre) / Michel Urtado Flowers in a Crystal Vase Standing on a Stone Pedestal, with a Dragonfly / Abraham MIGNON © RMN-Grand Palais (Musée du Louvre) / Stéphane Maréchalle Louvre Pyramid © I.M. Pei"スウェットは、シンプルなラインアートにより、女性が主役の歴史的名作がモダンに表現されたグラフィックをデザインモチーフとしてプリントしたコレクションに。"The Virgin and Child with Saint Anne / Leonardo DA VINCI (Musée du Louvre) ""Aphrodite, known as the ""Venus de Milo""/ Hellenistic Art (C. 100 BC), Island of Melos (Cyclades, Greece) (Musée du Louvre) "取り扱いは、一部のユニクロ店舗およびユニクロのオンラインストアにて。また、本コレクションの発売を記念し、「ルーヴル美術館コレクション」スペシャルサイトも公開中。合わせてチェックしてみて。「ルーヴル美術館コレクション」スペシャルサイトURL:その他のユニクロの記事はこちらから
2021年01月29日古代オリエントの香油壺や、アール・デコ期の香水瓶など、「香り」にまつわる器を集めた展覧会『香りの器 高砂コレクション展』が1月9日より、パナソニック汐留美術館で開幕した。3月21日(日)まで開催されている。この展覧会は、2020年で創業100年を迎えた高砂香料工業が収集した香りにまつわる資料、美術品から、「香りの器」に焦点を絞り、約240点を展示するもの。高砂香料工業は日本画家・甲斐庄楠音の兄、甲斐庄楠音が創業した日本最大の香料メーカー。現在まで50年以上にわたり香りや香料の文化を伝えるものを広く収集していることでも知られている。本展は「第1章 異国の香り」と「第2章 日本の香り」の2部構成。第1章では、古代メソポタミアやエジプトから始まった香りの歴史を紐解きつつ、陶器やガラスの器の変遷を見ていく。展示風景より。古代オリエントやイスラーム世界の香りにまつわる器が並ぶかつて、香油や乳香、没薬など「香り」を持つ素材は、力を持つものとされ、宗教的な儀式において使われていた。そして時代が進むにつれ、王や貴族などが用いる贅沢品として用いられるようになる。それゆえに「香り」を保存する器も、価値のある豪華なものが用いられていた。左《両耳付筒型香油瓶》 前4-3世紀 東地中海沿岸域中《両手付香油壺》前4-3世紀 東地中海沿岸域右《コホル瓶と青銅製ビン》前5-4世紀 東地中海沿岸域ガラスは紀元前2300年頃にメソポタミアで発明されたと考えられ、人類は前1600年頃に容器を形作れるようになった。粘土の芯にガラス生地を巻きつける方法(コアガラス)で作られた容器に王侯貴族たちは、この器のなかに香油などを入れていたとされている。時代は進み、17世紀頃になると現在の形での「香水」が作られるようになり、18世紀には庶民にまで普及する。その過程で、さまざまな形の香水瓶も生まれていったた。ドイツではマイセンの職人たちが、ボヘミア(チェコ)では、ガラス職人たちが、さまざまな形の香水瓶を制作している。マイセン《色絵勿忘草文貼付香水瓶(一対)》19世紀ボヘミアン・ガラスの香水瓶がずらりと並ぶそのような状況下で、香水瓶の世界、そしてガラス工芸、デザインの世界を大きく変えたのがルネ・ラリックだ。19 世紀末、アール・ヌーヴォー全盛期に宝飾デザイナーとして活躍していたラリックは、1912年、現在も人気ブランドとして知られるコティ社から香水瓶のラベルデザインを依頼されたことをきっかけに、香水瓶そのもののデザインにも着手するようになる。ルネ・ラリック 香水瓶《レフルール(コティ社)》《レフルール(コティ社)》は、ラリックが最初にラベルデザインを依頼された香水。彼は紙ラベルではなく、ガラス製プレートを発案し、バカラ聖の瓶に貼って販売したところ大好評となった。本作は、その後に制作されたラリック社製のもの。ルネ・ラリック 香水瓶《蝶々》 1911年ルネ・ラリック 香水瓶《ユーカリ》1919年ルネ・ラリック 香水瓶《光に向かって(ウォルト社)》目に見えない「香り」のイメージを的確にボトルのデザインに落とし込み、なおかつ大量生産も可能にしたラリック。彼がガラスの香水瓶を手掛けたことで、その後の香水瓶のデザインは大きく変わっていったのだ。続く「第2章 日本の香り」では、日本独自の発展を遂げた香りの歴史をたどっていく。6世紀の仏教伝来とともに始まった日本の香りの歴史では、「香道」という独自の芸術も生まれるようになった。展示風景よりこの章では、香道に関する道具類のほか、濱田庄司、河井寛次郎、板谷波山などの名工が手掛けた香炉や、現在放送中の大河ドラマ『麒麟がくる』にも登場した香木「蘭奢待」などを展示。独自の発展を遂げた日本の香り文化をしっかりとたどることができる。展示される香油壺や香水瓶、香炉などはどれも細かい細工がほどこされた繊細なもの。可能であれば単眼鏡など細部を観察できる道具を持参し、細部までしっかりと鑑賞するのがおすすめだ。【開催情報】『香りの器 高砂コレクション展』1月9日(土)~3月21日(日)、パナソニック汐留美術館にて開催
2021年01月14日横浜美術館にて現在開催中のコレクション展「ヨコハマ・ポリフォニー:1910年代から60年代の横浜と美術」の見どころを紹介する関連プログラム「オンライントーク」の配信が開始した。横浜とゆかりある作家たちによる絵画や版画、彫刻など約150点の所蔵品から、大正期〜高度経済成長期に至るまでの横浜のアートシーンを探訪する横浜美術館コレクション展「ヨコハマ・ポリフォニー:1910年代から60年代の横浜と美術」。「オンライントーク」で配信される3本のシリーズ映像は、鑑賞をより豊かで多様なものとすることを目的に横浜美術館のエデュケーター(教育普及担当)が制作を担当。(1)「林敬二氏 自作を語る」(2)「長谷川潔の作品と技法」(3)「奥村泰宏と横浜」という3つのテーマから出品作品の見どころや楽しみ方を紹介する。「林敬二氏 自作を語る」では、特集展示の出品作家である画家・林敬二が、生まれ育った横浜の地や川村信雄画塾と東京藝術大学での思い出、画家としての信念や出品作「漾々(ようよう)・アイボリーブラック」シリーズについて語る。また、「長谷川潔の作品と技法」では銅版画家・長谷川潔の作品《アレキサンドル三世橋とフランスの飛行船》(1930年制作)を中心に、作品で使われているメゾチント(マニエール・ノワール)などの技法を実演を交えながら紹介。「奥村泰宏と横浜」においては、写真家・奥村泰宏が生まれ育った戦後の横浜を捉えた写真数点から、現在にもつながる横浜の街の歴史に迫りつつ、奥村独自の視点にも注目していく。なお、横浜美術館は大規模改修工事のため2021年2月28日(日)をもって一時休館。2023年度中の再オープンを目指している。会場に足を運べない方も休館前最後の展覧会となる本展を、「オンライントーク」とともに楽しんでほしい。(1)「林敬二氏 自作を語る」(2)「長谷川潔の作品と技法」(3)「奥村泰宏と横浜」※神奈川県の文化芸術活動再開加速化事業補助金を受けて制作「オンライントーク」詳細: 【開催情報】横浜美術館コレクション展「ヨコハマ・ポリフォニー:1910年代から60年代の横浜と美術」会期:2020年11月14日(土)~2021年2月28日(日)会場:横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3-4-1)休館日:木曜日(2021年2月11日を除く)、2020年12月29日(火)~2021年1月3日(日)、2月12日(金)開館時間:10:00~18:00 ※入館は17:30まで
2020年12月18日19世紀のフランスでは、都市の近代化が進み、人々の生活も大きく変化します。市民は自由に郊外や地方に出かけて、旅行を楽しむことができるようになりました。そのような社会の変化が芸術家にも大きな影響を及ぼします。実際に経験する身の周りの自然や生活、現実をありのままに描き出そうとするコローやクールベといった画家たちがあらわれたのです。パリ郊外のバルビゾン村に移り住み、風景や田園生活を描いたバルビゾン派を代表するジャン=フランソワ・ミレーは、大地に根づいた農民の日々の営みを描き出します。明治時代の初期に日本で紹介されて以来、ミレーの描く真摯に働く人々の姿は私たちに深い感銘を与えました。歴史画が正統派絵画とされていた時代に風景を主題として描いたバルビゾン派の画家たちの革新的な試みは、モネ、ルノワールなど光や色彩を追求した印象派の画家たちに引き継がれました。印象主義のスタイルが広く普及した19世紀末、ポスト印象主義の時代に絵画は多彩な広がりをみせました。ドニやボナールなど印象派以降の画家たちは、20世紀絵画への道筋を切り拓いてゆきます。本展では、自然主義や写実主義から印象派やポスト印象派を経て、ナビ派へといたる19世紀のフランス絵画の系譜を、フランスとイギリスの美術館から出品された珠玉のコレクションを中心に辿ります。ジャン=フランソワ・ミレー《冬、薪集め》1868-75年(C)Amgueddfa Cymru – National Museum Wales開催概要会 期 2020年12月19日(土)~2021年1月24日(日)*会期中無休会 場 そごう美術館(横浜駅東口・そごう横浜店6階)開館時間 午前10時~午後8時*12月31日(木)は午後6時閉館 *1月1日(金・祝)は午前9時―午後7時*入館は閉館の30分前まで *そごう横浜店の営業時間に準じます。料 金 一般 1,300(1,100)円、大学・高校生 800(600)円、中学生以下無料*消費税含む。*( )内は前売料金。*ミレニアム/クラブ・オンカード、セブンカード・プラス、セブンカードのいずれかをお持ちの方はカード提示で( )内の料金にてご入館いただけます。*障がい者手帳各種をお持ちの方、およびご同伴者1名さまは無料でご入館いただけます。*前売券は、12月18日までそごう美術館またはセブンチケット、ローソンチケット、イープラス、チケットぴあにてお取り扱いしております。*新型コロナウィルス感染予防に関する対応につきましてご理解・ご協力を賜わりますようお願い申しあげます。*展覧会の中止や延期、一部内容が変更になる場合がございます。*最新情報は、そごう横浜店・そごう美術館ホームページをご覧ください。作品紹介ジャン=フランソワ・ミレー《慈愛》1858-59年(C)Musée Thomas Henry, Cherbourg-en-Cotentinジャン=フランソワ・ミレー《雷雨》1847年頃(C)Musée Thomas Henry, Cherbourg-en-Cotentinジャン=バティスト・カミーユ・コロー《カステル・ガンドルフォ、アルバーノ湖畔で踊るチロルの羊飼い》1855-60年(C)Amgueddfa Cymru – National Museum Walesポール・セザンヌ《プロヴァンスの風景》制作年不詳(C)Amgueddfa Cymru – National Museum Walesクロード・モネ 《睡蓮》 1906年(C)Amgueddfa Cymru – National Museum Wales 企業プレスリリース詳細へ本記事に掲載しているプレスリリースは、株式会社PR TIMESから提供を受けた企業等のプレスリリースを原文のまま掲載しています。FASHION HEADLINEが、掲載している製品やサービスを推奨したり、プレスリリースの内容を保証したりするものではございません。掲載内容に関するお問い合わせは、株式会社PR TIMES()まで直接ご連絡ください。
2020年12月14日