映画『マーティン・エデン』が、2020年9月18日(金)より全国順次公開される。労働者階級から独学で作家を目指す若者の苦闘『マーティン・エデン』は、冒険小説「野性の呼び声」で世界的名声を獲得したアメリカの作家ジャック・ロンドンの自伝的小説を、イタリアを舞台に映画化した青春文芸ドラマ。若き日のジャック・ロンドンの姿を主人公に重ねながら、理想と現実のはざまで闘い続ける青年の悲劇と成功を、魂を揺さぶるような熱演でスクリーンに映し出す。ストーリーイタリア、ナポリの労働者地区で生まれ育った貧しい船乗りのマーティンは、ブルジョワの娘エレナに恋したことから文学の世界に目覚め、独学で作家を志すようになる。幾多の障壁と挫折を乗り越えてついに名声と富を手にするが…。果たして彼を待ち受けるのは希望か、絶望か―。主演は『オールド・ガード』のルカ・マリネッリ青年マーティンを演じるのは、映画『オールド・ガード』での熱演で注目を集めるイタリアの俳優ルカ・マリネッリだ。独学で底辺から高みに上り詰めようとする主人公を、全身全霊で演じきった。なお、ルカ・マリネッリは、本作が披露された第76回ヴェネツィア国際映画祭において、『ジョーカー』ホアキン・フェニックスを抑え「男優賞」に輝いている。監督は、2019年トロント国際映画祭審査員プラットフォーム賞、2020年イタリア・アカデミー賞脚色賞を受賞したピエトロ・マルチェッロが務める。【詳細】『マーティン・エデン』公開日:2020年9月18日(金)監督・脚本:ピエトロ・マルチェッロ脚本:マルリツィオ・ブラウッチ出演:ルカ・マリネッリ、ジェシカ・クレッシー、デニーズ・サルディスコ、ヴィンチェンツォ・ネモラート、カルロ・チェッキ原作:「マーティン・イーデン」ジャック・ロンドン(白水社刊)原題:Martin Eden配給:ミモザフィルムズ
2020年07月25日Netflix映画『オールド・ガード』で不死身の特殊部隊のニッキー役を演じ、話題を集めるルカ・マリネッリの主演最新作『マーティン・エデン』が9月に公開。この度、ルカが作家を目指す青年を熱演する場面写真が解禁された。映画化もされた冒険小説「野性の呼び声」で世界的名声を獲得した作家ジャック・ロンドンの自伝的小説を、イタリアを舞台に映画化した本作。監督は、2019年トロント国際映画祭審査員プラットフォーム賞、2020年イタリア・アカデミー賞脚色賞を受賞し、ポン・ジュノ監督も注目する新鋭ピエトロ・マルチェッロ。無学の青年が教養に触れ、独学で底辺から高みに上り詰めようとする切望と激情を圧倒的な迫力をもって描き切った青春文芸ドラマだ。原作者ジャック・ロンドンの波乱万丈な生きざまをベースに、イタリアに舞台を移して生み出された主人公、マーティン・エデンを演じたのは、ローマ生まれのルカ・マリネッリ。『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』ジンガロ役で見せた狂気や、Netflix映画『オールド・ガード』のニッキー役でのロマンスが話題となり、いままさに注目度上昇中、今後のさらなる活躍が期待されている。「ルカ・マリネッリはすべてのシーンにおいて圧巻だ」(ハリウッド・レポーター)と言わしめた本作での熱演は、第76回ヴェネチア国際映画祭において『ジョーカー』のホアキン・フェニックスを抑えて見事、男優賞に輝いた。解禁された場面写真は、日本版オリジナル・ポスターにも使用されている路地裏の荒んだ雰囲気で煙草をくわえるショットに加え、シルクハットの姿も。労働者階級の民衆たちと社会主義の集会に参加し険しい表情を見せる姿も鮮烈。また、文学に目覚めタイプライターに向かう真摯な姿、人生を変えた運命の女性・エレナとの穏やかな時間を切り取った場面も。予告編でも紹介されているパーティで蝋燭を素手で消す場面など、激しいドラマを感じさせる8点となっている。『マーティン・エデン』は9月、シネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2020年07月22日今年で7回目を迎え、夏の風物詩となりつつある「ホラー秘宝まつり」にてプレミア上映される韓国映画『ワーニングその映画を観るな』と、日本映画『メビウスの悪女赤い部屋』の予告編が公開された。ホラーファンや映画ファンから一目置かれる「ホラー秘宝まつり」。2014年からホラー映画未開の地・キネカ大森にて開催がスタートし、多くのホラーファンから「観客参加型のホラー映画祭」として注目を集め、毎年動員が増え続けている。今年で7年目の夏を迎え、東京、名古屋、大阪の3都市で同時開催する。『ワーニングその映画を観るな』呪われた“史上最恐のホラー映画”は実在するのか?ホラー映画の脚本を2週間で仕上げるようにとプロデューサーから厳命された映画監督の卵ミジョン。とある大学の映画学科の卒業制作だったが、観客の半分は途中で逃げ出し、心臓発作で死人まで出たという“呪われた史上最恐のホラー映画”のうわさの真相を探ろうとする。不気味に忍び寄る“何か”に怯え、恐怖する姿が写し出される。物語の舞台となる、実際に韓国で心霊スポットとして知られている廃墟の映画館も登場し、作り物ではない、不気味な生々しさも。果たして、“呪われたホラー映画”の正体とは――。シッチェス・カタロニア国際映画祭をザワつかせた拷問ホラー『The Butcher』(06)でデビューしたキム・ジンウォン監督が贈る、「史上最恐のホラー映画」にまつわるオカルトミステリー。“ホラー映画作りにまつわるホラー映画”というメタフィクション的な構造を持つ。主演はドラマ「サイコだけど大丈夫」のソ・イェジと『エクストリーム・ジョブ』のチン・ソンギュ。『メビウスの悪女赤い部屋』江戸川乱歩原作短編を現代にアレンジ江戸川乱歩の原作「双生児」を現代風にアレンジ、姉の婚約者に恋するあまり、姉を殺して姉になりすます双子の妹の愛欲を描くエロティックホラー。予告編には、主演を務める元グラビアアイドルの清水楓が本作で初挑戦した大胆なヌードも。清水さんは一人二役にも挑戦し、コンプレックスを抱えた妹と、明るく気立てのいい姉、対象的な姉妹を見事に演じ分け、姉に嫉妬し、義理の兄を誘惑していく妹を体当たりで演じている。そのほか、佐藤周監督の心霊ドキュメンタリー『怪談新耳袋Gメン2020』、日本に初めて上陸したゾンビ映画『悪魔の墓場』がリバイバル。さらに、ティム・バートンやクエンティン・タランティーノ、マーティン・スコセッシ、デヴィッド・リンチ、ギレルモ・デル・トロらに影響を与えたイタリアン・ホラー映画の父マリオ・バーヴァ監督の、日本初上映作を含む傑作4選を特集上映する。「夏のホラー秘宝まつり 2020」は東京:キネカ大森にて8月21日(金)~9月3日(木)、名古屋:シネマスコーレにて今夏、大阪:シアターセブンにて8月22日(土)~開催。(text:cinemacafe.net)
2020年07月14日ベネディクト・カンバーバッチ演じる世紀の発明王トーマス・エジソンと、マイケル・シャノン演じる実業家ジョージ・ウェスティングハウスとの壮絶なビジネスバトル〈電流戦争〉を描いた映画『エジソンズ・ゲーム』。この度、2人の関係性を物語る、終盤の重要シーンを捉えた本編映像が解禁された。当初、ワインスタイン・カンパニーの強い圧力によってまとめられていた製作陣にとって不本意なバージョンを、アルフォンソ・ゴメス=レホン監督の師匠で本作の製作総指揮であるマーティン・スコセッシ監督が再編集を支援。監督たちは、超多忙なスター俳優たちを集め再撮影を敢行し、渾身の“ディレクターズ・カット”を完成させた。日本で現在公開されているのは、製作陣により正式に監修、許諾されたディレクターズ・カット(インターナショナル版)だ。今回解禁になったのは、激しい電流戦争を繰り広げたエジソン(ベネディクト・カンバーバッチ)とそのライバルであるウェスティングハウス(マイケル・シャノン)がついに対面を果たした終盤のシーンを捉えた本編映像。史実と同様、本作でもほとんど顔を合わせる場面はなかったエジソンとウェスティングハウス。そんな彼らが電流戦争の末、万博会場で肩を並べる場面から映像は始まる。「フェンスは奇妙なものだ。隣家が作ると庭が2つに分かれ、フェンスは共有に。問題は下方の家がフェンスを設計しそれを作りそのための費用も負担する。だが、もう1軒は無料でフェンスが手に入る」と、電流戦争を巡る2人の関係をフェンス作りに例えるエジソン。そこに1人の少年がエジソンにサインを求め声をかける。電流戦争に勝利したウェスティングハウスではなく、エジソンのほうがカリスマ性があり、世間に広く知られていたことを象徴している。カンバーバッチ自身「人生の教訓を教えてくれるこの場面の脚本はよく書かれていて、この時の撮影はとても楽しかったよ」と語っており、このシーンに行きつくまでの過程と、ここから導かれていくクライマックスは見逃せない。『エジソンズ・ゲーム』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:エジソンズ・ゲーム 2020年6月19日よりTOHOシネマズ日比谷他全国公開©2018 Lantern Entertainment LLC. All Rights Reserved.
2020年06月26日平日昼の映画番組「午後のロードショー」。6月25日(木)放送回はロバート・デ・ニーロ、ミシェル・ファイファー、トミー・リー・ジョーンズら豪華キャストが共演しリュック・ベッソンが監督、マーティン・スコセッシが製作総指揮の『マラヴィータ』をオンエアする。素潜りに青春をかけるダイバーたちを描いた『グラン・ブルー』、ナタリー・ポートマンを世に送り出した『レオン』や最新作『ANNA/アナ』などの作品を監督し、プロデューサーとしても『TAXi』や『トランスポーター』『96時間』など数々のアクション作品を手掛けてきたリュック・ベッソン。本作もまた彼お得意のクライムアクションものだが、同時にコミカルな要素が加わったことでその個性が際立つ1作に仕上がっている。キャストには『ゴッドファーザー PARTII』『タクシードライバー』『レナードの朝』などで圧倒的な演技力をみせ、最近では『ジョーカー』や『アイリッシュマン』も話題のロバート・デ・ニーロ。『バットマン リターンズ』のキャットウーマンや『ヘアスプレー』をはじめ『アントマン&ワスプ』『マレフィセント2』などで80年代から一線で活躍を続けるミシェル・ファイファー。『逃亡者』や『メン・イン・ブラック』シリーズなどで知られ、日本では缶コーヒーのCMでもお馴染みのトミー・リー・ジョーンズら、名優たちが集った。また『タクシードライバー』『アイリッシュマン』らいくつもの作品でロバート・デ・ニーロとタッグを組み、監督としても『ギャング・オブ・ニューヨーク』『ディパーテッド』『沈黙 -サイレンス-』などを世に送り出してきたマーティン・スコセッシが製作総指揮として豪華なスタッフとキャストを束ねている。ニューヨークの元マフィア、ジョヴァンニ・マンゾーニ(ロバート・デ・ニーロ)は潜伏先で問題を起こしては引っ越してきた。今回FBIが用意した潜伏先はノルマンディ地方の田舎町。フレッド・ブレイクという新たな名前をもらい、ジョヴァンニは、妻マギー(ミシェル・ファイファー)、娘ベル(ディアナ・アグロン)、息子ウォレン(ジョン・ディレオ)そして愛犬マラヴィータと共に新生活を始める。ある日、映画の上映会に招かれ、FBIのお目付役であるスタンスフィールドを伴って上映会に参加したフレッドは、身元がバレる心配など忘れてマフィアの裏事情をぶちまけてしまい、フレッドの潜伏先を突き止めたマフィアの一団が一家に迫る…という物語。午後のロードショー『マラヴィータ』は6月25日(木)13時35分~テレビ東京でオンエア。(笠緒)
2020年06月25日日々いろいろな事件や事故のニュースが飛び込んできますが、その背景には人間のさまざまな感情が渦巻いているもの。そこで、ある事件をきっかけに、運命が一変してしまう人たちの姿を描いた注目作をご紹介します。それは……。超一級のサスペンス・ノワール『悪の偶像』【映画、ときどき私】 vol. 307クリーンなイメージで絶大な人気を誇る市議会議員のミョンフェ。ところがある夜、息子が飲酒運転によるひき逃げ事故を起こし、政治家としての危機に直面してしまう。揉み消し工作を実行するも、被害者の新妻であるリョナが行方不明になっていることが判明し、見つけ出そうと動き出す。いっぽう、被害者の父であるジュンシクは、リョナが妊娠していることを知り、何としても彼女を探し出そうとするのだった。そして、“消えた目撃者”の行方を追う2人の父親は、葛藤を抱えながら、後戻りできない道へと進み始めることに……。韓国でも実力派として知られるミョンフェ役のハン・ソッキュさんと、ジュンシク役のソル・ギョングさんがダブル主演を務めた話題作。そこで、作品の見どころなどについて、イ・スジン監督にお話をうかがってきました。韓国のイ・スジン監督2013年に『ハン・ゴンジュ 17歳の涙』で長編デビューをはたした際には、巨匠マーティン・スコセッシ監督から絶賛されたイ・スジン監督。今回は、長編作品2本目となる本作の完成までの道のりや現場での様子、さらには映画作りに対する思いなどを語っていただきました。―この作品は、「韓国社会で起きている事件や事故を誘発し、選択しているのは結局人間である」と感じたところから始まったそうですが、そのなかでも「ひき逃げ」というテーマを選んだのはなぜですか?監督これまで、ひき逃げを題材とした作品はたくさん撮られているので、観客のみなさんにとっては少し食傷気味のところもあるかもしれません。しかし、本来事故というものは故意的に起きるものではないため、事故を起こしたあとの行動が非常に重要なところですよね。もし、しっかりと対処していれば、ひき逃げにはなりませんが、何もしなければひき逃げになってしまうので、この差は運転手の選択にかかってくる事件だと思っています。つまり、この映画は、大枠で見ると、人の選択に関する映画であり、人がどんな選択をするのかによって起こる物語を軸としている映画なのです。そんなふうにひき逃げには本人の選択によって、状況が大きく変わるという側面があるので、今回のテーマにしようと思いました。―劇中では、事件によって生まれる“被害者の父親”と“加害者の父親”を中心に描かれています。その点に関してはいかがですか?監督まず、私の考えとして、人間というのは、もともとは“善なる人”。つまり、ミョンフェも最初は善人であり、善人として人生をスタートしたのだと思っています。しかし、それがいろいろな夢や信念、さらに欲望を持つなかで、一線を越えてしまうんですよね。いっぽう、事件に巻き込まれてしまうジュンシクは被害者ではありますが、息子に対する愛情が強いがゆえに、ある条件と交換でリョナと息子を結婚させ、さらに時間が経つにつれて、息子の違った顔、つまり息子も加害者側の人間であったという一面を知ることになります。ミョンフェとの関係でみるとジュンシクは被害者ですが、リョナとの関係を考えると、彼もまた加害者と言えるのではないかと思ったので、そういった関係性を見せたくて、加害者と被害者という設定にしました。環境が人をどんなふうに変えるのか見せたかった―今回は、いずれも見事なキャスティングだと思いましたが、最初は意外にもハン・ソッキュさんにジュンシク役をお願いしようとしていたそうですね。ただ、ご本人がミョンフェを演じたいとおっしゃったのだとか……。監督そうなんです。具体的にキャラクターの何に惹かれているかということには触れていませんでしたが、以前からまさにこういうキャラクターを待ち望んでいたと。特に、いまこの時期に演じてみたい役だとおっしゃっていました。―ちなみに、ジュンシク役のソル・ギョングさんも実はミョンフェを狙っていたんですよね?監督もしかしたら、ミョンフェのほうが、見た人が理解しやすいキャラクターだと思ったからではないでしょうか。ミョンフェは感情の起伏がすごく大きいですが、けっこうわかりやすいですよね。逆にジュンシクのほうは感情を隠す部分がありますので、そういう意味でミョンフェのほうが感情の表現的に演じやすいと思ったのかもしれないです。―また、チョン・ウヒさんが演じたリョナも、かなりインパクトのある役どころです。彼女の登場で一気に展開も変わりますが、作品のなかで彼女にどのような役割を持たせようと意図されていたのでしょうか?監督リョナという人物を通して、私は「環境が人をどんなふうに変えるのかを見せたい」と思っていました。人の性格まで環境が作るのではないか、と思えるくらい環境は大事なものですから。だからこそ、厳しい環境で育ったリョナは本当に恐ろしい人物。まったく怖いもの知らずで、やられたら倍で返すくらいの激しいキャラクターとなりました。この映画は、前半は2人の父親の物語でどんどん展開していきますが、後半になってリョナが登場すると、そこからガラリと映画の構図が変わります。そういう作りにしたいという意味もあり、これほどまでに強烈なキャラクターのリョナを登場させる必要がありました。楽しかったけど、つらい現場でもあった―現場の雰囲気はどのような感じでしたか?監督もう撮影が終わって1年以上が経ちますが、振り返ってみるとにぎやかで楽しかったなと思います。ただ、いっぽうでは映画と同じように重みのある現場、つまり大変なつらい現場でもありました。その一番の理由は天候。本当に天気に恵まれなくて、非常に苦労したのを覚えています。―撮影は、半年間にわたって行われたそうですが、俳優たちとのコミュニケーションを取るうえで大事にしていたことはありますか?監督誰もが映画に対する強い思いを持って臨んでくれましたし、特にメインの3人は本当に情熱的だったので、コミュニケーションを取るうえで難しいことはまったくありませんでした。彼らは私にとって本当に大きな力になってくれましたし、最大の支持者であったとも思います。―そのお三方を演出するうえで、監督から具体的にお話されたことがあれば、教えてください。監督私は事前に台本の読み合わせやリハーサルに時間を多くかけるタイプなので、撮影に入る前にしっかりと話し合いをしました。みなさんベテランの方々ですし、特別たくさんの演出をしたわけではないですが、現場でのやりとりを挙げるとすれば、ハン・ソッキュさんから「この感情表現はちょっと強すぎますか?もう少し弱めますか?」と聞かれたときに、抑えた表現のほうが好きだったので、そういった要求を出したことがあったくらいです。―では、いま振り返ってみて、完成するまでで一番大変だったのは、どのあたりですか?監督まずは、先ほども話した天候。あとは、スケジュールとロケハンにも苦労しました。というのも、撮影が始まる直前になっても、撮影場所が決まっていないところが多くありましたから。そのため、撮影中も撮り終えたらすぐにロケハンに行くという状況が続き、本当に大変でした。自分自身の個性を生かして作品を作ることが大事―現在、韓国映画では多様性に富んだオリジナル作品が次々と生み出されており、評価も非常に高いですが、監督が思う“韓国映画界の強み”とは何だと思いますか?監督私自身はよくわからないですが、やはりいま指摘してもらった多様性ではないかと思います。商業映画よりもインディーズ映画のほうがよりオリジナリティあふれる傾向にあると思いますし、映画が大好きな監督の卵たちが熾烈に競い合いながら準備していることも、大きく影響しているのではないでしょうか。―「素晴らしい監督はたくさんいるが、ポン・ジュノ監督のあとに続く次の世代が育っていない」という声もあるようですが、監督はどのようにお感じになりますか?監督そうですね。ただ、誰もがポン・ジュノ監督みたいになれるわけではないですし、全員がポン・ジュノ監督みたいになってもダメだ、と私は思っています。もちろん私もポン・ジュノ監督は好きですが、映画監督というのはやっぱり本人のカラーがあり、その人にしか描けない物語、そして自分自身の個性を生かして作品を作るのが一番。そういうものを映画にするということが、大事なことですよね。―では、監督にとって映画作りのモチベーションとなっているものとは?監督実は、私はいままで「これからも映画を作り続けよう」とか「たくさんの映画を作ろう」といった大きな夢を抱いたことはありませんでした。もしかしたら、いまでもそういう夢はないのかもしれません。ただ、どんな瞬間も、どの作品でも、「いま撮っている作品が最後かもしれない」という思いで作っています。おそらく今後もそういう思いは変わらないでしょうね。この作品は、私にとって長編2本目の映画ですが、3本目を撮ることになっても、同じように「これが人生の最後の映画になるかもしれない」という気持ちで撮ると思います。次も、これが最後になってもいい思えるような映画になったらいいですね。―次回作も楽しみにしています。それでは最後に、日本の観客へ向けてメッセージをお願いします!監督観客のみなさんには、ここに登場するたくさんの人物のなかで、誰と一番自分が似ているのか、といったことをこの作品を通して考えながら観ていただけたらうれしいです。そして、選択の岐路に立たされた瞬間、もし自分だったらどういう選択をするんだろうかということを想像してご覧いただくと、より興味を持っていただけると思います。二転三転するストーリーから目が離せない!漂う緊張感に息を潜めつつ、予測できない展開に終始引き込まれてしまう本作。ひとつの選択によって人生が思いもよらぬ方向へと大きく変わっていく様、そして人間の奥底にある本性や闇を覗いてみては?衝撃が走る予告編はこちら!作品情報『悪の偶像』6月26日(金)より、シネマート新宿・心斎橋ほか全国順次公開配給:アルバトロス・フィルム© 2019 CJ CGV Co., Ltd., VILL LEE FILM, POLLUX BARUNSON INC PRODUCTION All Rights Reserved.
2020年06月24日韓国映画のオハコといえる屈指の名優共演のサスペンス・ノワールから、無敵のマ・ドンソク主演のバイオレンス映画、そして気鋭の女性監督が放つ思春期映画まで。この夏、コロナ禍の映画界でも断然アツい話題の韓国映画をピックアップ!M・スコセッシ絶賛!予測不能の超一級サスペンス・ノワール『悪の偶像』“ひき逃げ事件”をきっかけに交錯していく“加害者の父”と“被害者の父”の運命をスリリング、人間の業と結びついた濃密なエモーションを持って描いた本作。『シュリ』『世宗大王 星を追う者たち』のハン・ソッキュ、『オアシス』『君の誕生日』のソル・ギョングの入魂演技をじっくりと捉えながら、防犯カメラやドライブレコーダーの映像によって事件を再構成し、生々しいバイオレンスと繊細なサスペンス描写を随所に織り交ぜたイ・スジン監督の演出力は、まぎれもなく一級品。巨匠マーティン・スコセッシ監督から絶賛された気鋭監督のオリジナル脚本による長編第2作目。まったく異なる世界に住むエリート政治家としがない労働者を主人公にした本作は、ひき逃げ事件をきっかけに、危ういモラルの一線を踏み越えていく男たちの心の痛みを容赦なくえぐり出すダークなヒューマン・ドラマでもある。それでいて、ひき逃げ事件の思いがけない余波が想像を絶する惨劇へと発展していく異様なプロットは、クライム・スリラーの新たな境地を切り開いてきた韓国映画ならではの凄まじさ。※6月26日(金)より公開。ヤクザ&暴力刑事VS凶悪殺人犯!マ・ドンソク主演『悪人伝』凶悪なヤクザのボス、チャン・ドンスがある夜、何者かにめった刺しにされる。事件の捜査にあたるのは、署内でも問題刑事として知られるチョン刑事。奇跡的に一命をとりとめたドンスとチョン刑事はともに共闘して犯人を追い詰めることに…。主演を務めるのは『新感染 ファイナル・エクスプレス』で一躍トップスターの仲間入りを果たし、MCU『エターナルズ』(原題)でハリウッド進出も決まっているマ・ドンソク。本作でも、圧倒的な肉体的存在感と説得力のある演技と重厚なアクションで圧倒。本国では興行収入ランキング初登場NO.1を記録、最終的には観客動員数300万人を超え、近年の韓国映画界にあってバイオレンス・アクション映画としては異例の大ヒットを記録。シルヴェスター・スタローン製作によるリメイクも決定している。※7月17日(金)公開韓国・青龍映画賞で『パラサイト』を抑え脚本賞受賞『はちどり』誰しも経験したことがあるだろう思春期特有の揺れ動く思い、家族や友人との関わりを繊細に描く本作。1990年代のソウルを舞台に、思春期の少女の心情と家族の関係を描き、男性が優位な社会で鬱屈した思いを抱える少女が、ある女性と出会って成長していく。世界各国の映画祭で50冠を超える賞を受賞したキム・ボラ監督の長編デビュー作。2018年釜山国際映画祭での初上映を皮切りに、ベルリン国際映画祭をはじめ国内外の映画祭で賞を受賞。韓国では2019年8月に公開され、単館公開規模ながら観客動員15万に迫る異例の大ヒットに。青龍映画賞で脚本賞に輝き、百想芸術大賞では監督賞、助演女優賞(キム・セビョク)を受賞した。※6月20日(土)公開(text:cinemacafe.net)■関連作品:悪人伝 2020年7月17日シネマート新宿ほか公開予定© 2019 KIWI MEDIA GROUP. ALL RIGHTS RESERVEDはちどり 2020年6月20日よりユーロスペースほか全国順次公開© 2018 EPIPHANY FILMS. All Rights Reserved.
2020年06月21日ベネディクト・カンバーバッチに、マイケル・シャノン、ニコラス・ホルト、トム・ホランドらの共演で贈る『エジソンズ・ゲーム』が新たに6月19日(金)より公開決定。紆余曲折を経て日本公開となった本作のメイキング写真が到着した。今回解禁になったのは、本作の舞台裏を切り取ったメイキング写真。カンバーバッチやシャノンらキャストが、セットの中で監督とコミュニケーションを交わす貴重な場面を見ることができる。当初、ハーヴェイ・ワインスタインの性的暴行などに対する「Me Too」運動の高まりにより公開延期となっていた本作。そこからの復活劇に一役買って出たのは、巨匠マーティン・スコセッシだ。当初のトロント映画祭で披露された本編は、ワインスタイン・カンパニーの強い圧力によってまとめられた、製作陣にとって不本意なバージョンだったという。アルフォンソ・ゴメス=レホン監督の師匠で、本作の製作総指揮であるスコセッシ監督は製作陣による再編集を支援。監督たちは、超多忙なスター俳優たちを集めて再撮影を敢行し、渾身の“ディレクターズ・カット”を完成させ、2年越しの全米公開を成し遂げた。日本では製作陣により正式に監修、許諾されたディレクターズ・カット(インターナショナル版)が公開となる。この映画の脚本はまず、本作で製作も務めたロシアの映画監督ティムール・ベクマンベトフに、その後ゴメス=レホン監督に渡った。本作の脚本を読んだ当時の感想をゴメス=レホンは、「繰り返し読むにつれ、多くのものが見えてきた。成功とは何なのか、闘いに勝つために、人はどこまでやれるのか。名を挙げるためにどこまで卑劣になれるのか」とふり返る。また、プロデューサーのベイジル・イヴァニクはゴメス=レホンに監督を依頼した経緯について、「この作品はアルフォンソに撮ってもらいたかった。アルフォンソも、この作品を時代劇のような雰囲気ではなく現代的なタッチにしたいと考えていた。アルフォンソはスコセッシの弟子で、様々な手段を使って遊ぶんだ。カメラ、モンタージュ、音楽などを使って、ライブ感と面白さを出し、インパクトのある映像にしたいと考えていた」と、映画界の巨匠マーティン・スコセッシ仕込みの現代的で独特なタッチを生み出したことを明かしている。『エジソンズ・ゲーム』は6月19日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:エジソンズ・ゲーム 2020年6月19日よりTOHOシネマズ日比谷他全国公開©2018 Lantern Entertainment LLC. All Rights Reserved.
2020年06月08日マーティン・スコセッシ監督が、自身の隔離生活についての短編映画を製作。木曜日(現地時間)、イギリスのBBC Two局で「Lockdown Culture with Mary Beard」(原題)の最終話内で放送される。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ロックダウン(都市封鎖)という厳しい措置が取られたアメリカ。ニューヨークの自宅で隔離生活を送ったスコセッシ監督は「この先、私が楽しみにしているのは、この状況下で学んだことを心に刻み続けるということです。それは欠くことのできない大切なもの。愛する人たち。できるだけ彼らと一緒にいて、大切にするということです」と、得た教訓について語っている。番組司会者のメアリー・ビアードによると、スコセッシ監督は短編映画の中で、アルフレッド・ヒッチコック監督の『間違えられた男』を通して現在のロックダウンについて考察する姿も見せるという。メアリーは「スコセッシ監督が私たちの番組に映画を作ってくれることになり、とにかく私は大喜びでした。ちょっとしたプレミアの司会者を務める気分です。トリを飾ってもらうのに最高の作品です」とアピールしている。(Hiromi Kaku)
2020年05月28日新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)の影響でアメリカでは失業者が急増しています。そこで経済的に困窮する人たちを助けようと、有名人たちがユニークな方法で寄付金集めを始めました。2020年4月、俳優のレオナルド・ディカプリオは故スティーブ・ジョブズの妻ローリーン・パウエル・ジョブズとともに食糧基金『アメリカズ・フード・ファンド(America’s Food Fund)』を設立。この基金は低所得者や高齢者、子供たちなどに食事を届ける慈善団体を支援する目的で作られました。レオはさらに同月15日、ロバート・デ・ニーロと一緒に制作した動画をInstagramに投稿。そこで驚くべき企画が発表されたのです。ハリウッド映画にエキストラとして出演できる!助けを必要としている人たちへの寄付を呼びかけたレオとロバートは、寄付してくれた人の中から1名に特別な景品を用意していることを発表。その内容はなんと2人が共演するマーティン・スコセッシ監督の新作映画『Killers of the Flower Moon(原題)』にエキストラとして出演し、丸1日3人と一緒に撮影現場で過ごし、さらに映画のプレミアに参加できる権利です! この投稿をInstagramで見る Leonardo DiCaprio(@leonardodicaprio)がシェアした投稿 - 2020年 4月月15日午前5時44分PDT世界的な大スターであるレオとロバートと共演できて、名匠スコセッシの撮影風景が見学できるなんて、映画好きの人にとってはまさに夢のような豪華な景品!さらにレオやほかの共演者と一緒にランチが食べられて、映画のプレミアに参加する際の飛行機代やホテル代も含まれています。有名人たちが次々と豪華景品を提供この企画にほかの有名人たちも続いてほしいと、レオは俳優のマシュー・マコノヒーと人気司会者のエレン・デ・ジェネレスを指名。するとエレンは自身が出演するトーク番組『エレンの部屋』で一緒に司会をする権利をプレゼント! この投稿をInstagramで見る Ellen DeGeneres(@theellenshow)がシェアした投稿 - 2020年 4月月15日午前9時31分PDTまたマシューは彼と一緒にテキサス大学のアメリカンフットボールの試合を観戦する権利を景品としました。 この投稿をInstagramで見る Matthew McConaughey(@officiallymcconaughey)がシェアした投稿 - 2020年 4月月15日午前9時57分PDTさらにエレンから指名を受けた歌手のジャスティン・ティンバーレイクは、彼と俳優のビル・マーレイと一緒にゴルフをした後、ディナーも楽しめる権利をプレゼントすることにしました。 この投稿をInstagramで見る Justin Timberlake(@justintimberlake)がシェアした投稿 - 2020年 4月月15日午後1時54分PDT『All In Challenge』と名付けられたこの寄付金集めは2020年4月25日現在、芸能人やスポーツ選手らによる景品が90を超え、寄付金も続々と集まっています。スターが企画した景品はどれも、大金を払っても経験できないような夢のようなものばかりです。集まった寄付金は全額、『ミールズ・オン・ホイールズ・アメリカ(Meals on Wheels America)』『ノー・キッド・ハングリー(No Kid Hungry)』『アメリカズ・フード・ファンド』などの慈善団体に送られるということです。コロナウイルス対策によって多くの州で外出禁止令が出ているアメリカでは、明日の食事にも困っている人たちが食料品の配給所に長蛇の列を作っています。自分たちならではの方法で多額の寄付金集めに協力している有名人たちに感謝と拍手を送りたいですね。[文・構成/grape編集部]
2020年04月27日10日夜、他界された大林宣彦監督へ哀悼の気持ちをこめ、公私ともに親交があった方々の追悼文を掲載させていただきます。大林監督のご冥福を心よりお祈りいたします。(ぴあ編集部)塚本 晋也(映画監督・俳優)大学生のころ、「『HOUSE/ハウス』という面白い映画があるぞ!」と自主映画仲間と映画談義に花を咲かせました。その後、大好きな『転校生』、『時をかける少女』(ラスト、倒れていた原田知世さんが立ち上がって歌い出す瞬間の驚きとときめき)など好きな映画はたくさんありますが、大林監督とお話するようになったのは、実は2015年に発表した『野火』以降になります。ですから大林監督を慕って行動を共にされていた監督さんたちとも違い、僕には雲の上の人のようにずっと遠くに感じられていました。学生のころうらやましく見ていた自主制作からプロデビューする監督さんたちの、さらにその先をいく存在だったのです。『野火』の上映で、全国のミニシアターからミニシアターへ行脚していたおり、大林監督の故郷にある映画館シネマ尾道で、僕の『野火』と大林監督の『野のなななのか』を上映し、対談をさせていただく大きな機会を得ました。大林監督は、そのすべての映画に戦争というテーマを隠し味としてこめていたと仰いましたが、3.11以降、『この空の花ー長岡花火物語』からははっきりと戦争がモチーフになっていき、その後『野のなななのか』、『花筐』へと続いてゆきます。対談の前に大きなスクリーンで観た『野のなななのか』は、戦争で亡くなった人たちと今この世で生きている自分たちが地続きに感じられる優しい目線で描かれている作品でした。全編が繰り返し歌われる詩のようで、感情が揺さぶられ続けました。そしてこの連作で、年齢や病をものともせず、作品はますますパワフルに溢れ出したのです。対談ではたくさんの大切なことをお話しくださいましたが、衝撃だったのは、大林監督は「僕(大林監督)は戦後の監督で、塚本君は戦前の監督」という視点。また、正義という概念は時代によって変わるので、必要なのは自分を俯瞰してみる正気の目線だ-。という教え。残念ながら自分たち人間は、状況によっては悪魔に変身することができる生き物だと知ってしまったので、そういう状況を作り出さないようひとりひとりが正気の目を持ち続けることが最も大切という思いに至りました。また『斬、』という新作の上映と舞台挨拶でやはりシネマ尾道にうかがったとき、大林監督が新作を撮影されているということを知り陣中見舞いにうかがったこともあります。撮影中にお邪魔するのもいかがなものかとはばかられたのですが、そうっと覗かせてもらうことにしました。そのとき監督はだいぶ小さくなられていましたが、静かに、着実に撮影を進めていらっしゃいました。撮影現場にいることが一番の薬だったのでしょう。そして自分がひょっこり現れたことをたいへんに喜んでくださいました。その後高崎映画祭の授賞式でもご一緒できる機会があったのですが、セレモニーの間どこにいらっしゃるか分からなく、自分の登壇の直前、舞台袖に待機すると車椅子の方が目に入り、その瞬間も大林監督だとはすぐには思わず、通り過ぎて壇上に出てようやく監督だとわかったのです。舞台袖ですべての進行をご覧になっていたのです。しかし目にしても気づかないほど小さくなられていたのでした。僕もゲストを大勢連れていったものですからそのあと直接お話しする機会を逸してしまい、ずっと気になっていました。あのときシネマ尾道さんの計らいで撮影現場にうかがっておいて本当によかったです。しかし高崎映画祭の壇上に出た大林監督は、本当に病気なのかと思うほどしっかりとして、たくさんの貴重なお話をみなさんにしてくださいました。実は新作の『海辺の映画館―キネマの玉手箱』は、試写やDVDでなく、町の映画館で一観客として観させていただくのを楽しみにしていたので、初日を今かと今かと待っていたのですが、まさに公開予定日に旅立たれてしまいました。映画はお客さんに届いて完成するものと思っていらしたはずですので、そこまではがんばろうとされていたのではないでしょうか。コロナの終息が見えない中亡くなられてしまったと思うと、映画の感想をお届けできなかったことが悔やまれてなりません。亡くなられる数日前に、自分の名前も上げてくださり、「君たちが映画をつないで平和な世の中に・・・」と途切れ途切れお話しをしたという奥様の恭子さんのコメントを読みました。高崎でお話しできなくごめんなさい。やっぱりどんな形ででも新作を観てしまうべきだったといろいろ悔やみましたが、今となってはいかんともしようがありません。大林さんはずっと平和のことを考え、その思いを映画に込め、語っていらっしゃいました。『海辺の映画館―キネマの玉手箱』はとてつもなくパワフルな映画と各所から耳に入ってきます。もう少ししたら、最高の場所、映画館で堪能させていただきますからね、大林監督。ほんとうにありがとうございました。大林監督の遺作となった『海辺の映画館-キネマの玉手箱』から (C)2020「海辺の映画館-キネマの玉手箱」製作委員会/PSC塚本 晋也(つかもと・しんや)1960年東京生まれ。映画監督/俳優。日本大学芸術学部卒業後、『電柱小僧の冒険』(1987)でPFFグランプリを受賞。『鉄男』(1989)でローマ国際ファンタスティック映画祭グランプリを受賞するなど、国際的な映画祭での評価も高く、ヴェネツィア国際映画祭では審査員も務めた。自作の『野火』(2015)、『斬、』(2018)や、マーティン・スコセッシ監督の映画『沈黙 -サイレンス-』(2016)などに、俳優としても出演している。
2020年04月16日マーゴット・ロビーが、再び“ハーレイ・クイン”となってスクリーンに帰ってきた。しかも、いまの閉塞感をぶっ飛ばし、テンションをブチ上げてくれる振り切れた覚醒ぶりだ。本作『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒BIRDS OF PREY』のプロデューサーでもあるマーゴットは、『スーサイド・スクワッド』(2016)のときから「ハーレイにはもっと発展させられる部分があると信じていて、彼女をまた演じたい」と願っていたという。「彼女の新しい側面を発掘するのに素晴らしいチャンスだと思ったんです。ミスターJ(=ジョーカー)と別れて、ゴッサムで多くの人に敵視されている状況に置かれ、いつもの自信満々な“ハーレイ”ではいられなくなります。それはストーリーとして面白いし、チャレンジを与えてくれました」と語るように、予習もいらないくらい(冒頭に親切なアニメ解説あり)、前作とは置かれた状況がまるで違っている。孤独な少女カサンドラ・ケイン(エラ・ジェイ・バスコ)と、バディのような、師弟のような関係を築く点も新鮮だ。「今までのハーレイは、ミスターJとの恋愛関係以外で、他人に心を開いたことがありませんでした。本作では人生の新たなステップを歩むと同時に、ハーレイの弱い部分や、ぶっ飛んだ部分など、様々な角度で展開させられるのが面白いと思ったのです」と、プロデューサーとしてもハーレイの新たな物語を準備してきたマーゴット。彼女自身も、ファンたちも愛してやまない“ハーレイ・クイン”というキャラクターについて語ってくれた。「チームのメンバーを信頼する」シャーリーズ・セロンからの影響明かすハーレイを中心とする女性たちの連帯の物語は、『スキャンダル』や『ハスラーズ』を彷彿とさせ、『チャーリーズ・エンジェル』以上にアクションも縦横無尽。そんな本作がついに日本上陸を果たすと、初登場No.1の大ヒットスタートを切った。マーゴットは、『スキャンダル』で共演したプロデューサー兼主演女優の“先輩”シャーリーズ・セロンに「色々質問した」と明かす。「私は今までも、プロデューサーと役者を兼任する人たちと仕事をしたことはありますが、シャーリーズの仕事ぶりはとても興味深かったです」と明かし、「良いプロデューサーは、監督と、監督のビジョンを支え、あえて細かく管理しすぎないようにします。有能な人を雇い、それぞれの才能を信じて自由に仕事をさせてあげることが大切なんです」と続ける。本作では、新進気鋭のアジア系女性監督キャシー・ヤンにメガホンを託したことが注目を集めているところだ。「彼女(シャーリーズ)は信頼の置ける人達だけでチームを結成していました。私も、初めて映画をプロデュースし始めた時から、自分が雇ったチームを信頼し、仕事を託すように気をつけています。プロデューサーは、映画が撮影開始する前の段階から作品に携わるから、大事に育てきた自分の子供の世話を他人に託すような気分になってしまうのは分かります。だからこそ、あえて距離を置き、チームのメンバーを信頼して支えてあげることが、いい作品を作りあげる上でとても大切なのです」。「彼女の弱みや勇敢さ、愛嬌や面白さ、凶悪なところ全てを含めて大好き」“悪カワ”と名付けられた女性ヴィランであるハーレイ・クインになりきるために、何か“スイッチ”のようなものがあるのか尋ねてみると、「ハーレイだけではなく、どの役柄でも、ヘアメイクをして衣装を着ると自我が消えて役柄の心境にのめり込めます」とマーゴット。「特にハーレイは、白塗りをされてタトゥーを施され、ウィッグをつけてメイクをするプロセスが、2時間半から3時間かかるんです。その時間は、私にとって、自身を手放しハーレイになるため心身をスイッチさせる時間になりました。ハーレイ独特のなまりで言葉を発すると、思考回路もキャラクターのものに変えられます」と言う。「私は撮影後顔を洗って、メイクを落として衣装を脱ぐと、一緒に役柄も脱ぎ捨てられるのですが、多分撮影期間は5%ぐらい普段の生活にもハーレイが残っていました。日常生活でも、ハーレイのような行動を取ってしまったり、周囲が気づかない程度に若干影響を受けているな、と感じることがありました。でもほとんどは切り替えができていますよ」と明かしている。そんなハーレイは自分にとっても「大好きな存在」と断言する。「今まで演じてきた役柄全てが、私にとって大切で、愛着がある存在です。自分の演じたキャラクターの悪口を言う人がいたら、身内のようにかばって言い返してやりたくなります(笑)。実在の人物ではないとは分かっていても、私にとってはリアルな存在ですから。役柄を長い間演じると、家族のような理解と愛着が湧いてしまいます。ハーレイの場合は特にそう。彼女の弱みや勇敢さ、愛嬌や面白さ、凶悪なところ全てを含めて大好きですし、理解できます」。「彼女の精神科医としての過去は、とても興味深い」さらに、ハーレイがヴィランであるにも関わらず、世界中で愛されている理由についてマーゴットは、「ハーレイは、悪人ですが、善意のある行動もできます。ワルだけれども、底意地が悪いわけではありません。ハーレイはアンチヒーローと、スーパーヴィランの間の存在で、それぞれ作品の監督によって、そのどちらかの要素が強く引き出されます」と続ける。「本作ではヴィランよりは、アンチヒーローな部分がやや強く引き出されていると思います。もちろんワルであることは変わりないのですが。自己中心的ですし、子供を引き換えに自分の身を守ろうとしたりもします。でも彼女は、その様な悪事を後に後悔できる心を持っています。自分の行動を反省し、改善したいと願っています。そこが、彼女が完全に凶悪ではない印で、愛される理由だと思います」。どこまでも天真爛漫で、自己中心的なヴィラン。だが、子どもや仲間は決して見捨てたりはしない。そんなハーレイが実は“博士号(Ph.D.)を持つ精神科医”だったことが、本作では回想シーンをはじめ、何度も繰り返し語られているのは象徴的だ。ちぐはぐな言動やファッションから「周りの人たちがそう見てくれない」ことは、もしかしたらハーレイにとっては悩ましい部分なのかも…?「私はキャラクターの人生の背景や幼少期、過去の体験を、役作りの一環でリサーチします。それはこの役だけに限りません。例え誰も気付かなくとも、役者として説得力のある演技をするために、私自身が必要とする知識を集めるのです」とマーゴット。「ハーレイの場合も過去を理解することによって、彼女の現在の言動への理解が深まりました。特に彼女の精神科医としての過去は、とても興味深いですね。だってハーレイは頭が良く、人間の言動パターンに対する学問的理解があるにも関わらず、自身が悪い言動に走ってしまうのですから。『スーサイド・スクワッド』でハーレイは“頭の中の声”が聞こえるという設定でした。その時から私は、それが一体どういう意味なのかを調べ始めたんです」とも明かす。リサーチをしながら、“頭の中の声”に惑わされる教養のある女性が世の中には実際にいることを知っていったという。「例え映画のスクリーン上で誰も気がつかなくとも、役柄の深い部分を調べて理解することは、女優としてとてもやりがいを感じます」。バットマンが現れない「“はじかれ者”が寄り集まる」下町が本作の舞台それほどまでにマーゴットにとって愛着のあるハーレイ・クインだが、本作では初めて彼女の自宅アパートが登場する。「散らかっているところだとか、細部まで仕立ててあるところが本当に気に入っています!」とマーゴットも楽しそうに応じる。「部屋の中に置かれている写真スタンドに飾られている写真をよく見ると、ハーレイが2人の修道女に挟まれて立っている写真だと分かるはずです。彼女が孤児院で育った時のもの、という設定なのですが、実はあれ、私が学生だったころの本当の写真を加工して修道女を合成したんです。だから私が着ているのは私が実際に通った学校の制服なんですよ。昔の同級生から『ねぇ、あの写真、うちの学校の制服じゃない?』って連絡がきました(笑)」と裏話も。また、本作で描かれるゴッサムの街並は、これまでのバットマン映画に出てきたものとは明らかに違う。『ジョーカー』に登場した街とも似ているが、よりポップ。「80年代のニューヨークを彷彿とさせる、私たちなりのイメージで描いた」とマーゴットは語る。「バットマンのゴッサムがマンハッタンだとしたら、ハーレイのゴッサムはブルックリンやクイーンズ、ブロンクス区のような下町のイメージです。だから高層ビルでのシーンはなく、道路のシーンが多いんですよ。地上レベルの街の汚さだとか、人の熱気や気温を、映像で出したかったのです。この街は、“はじかれ者”が寄り集まる下町だから、色彩鮮やかで面白いのですが、汚さも大事な特徴の一つ。街全体の散らかった雰囲気と、ハーレイ本人の性格が、ストーリーの中で同調していたと思います」と語り、さらにブラックキャナリー(ジャーニー・スモレット=ベル)が仕事から帰宅するときに裏道を歩くシーンを例に挙げる。「注意して観ると、子供が道で遊んでいて、近所の人の騒音が聞こえるはずです。私はマーティン・スコセッシ監督の『レイジング・ブル』で、建物の内装だとか、近所の騒音を上手に盛り込み、人と人との狭い街の距離感を表現しているところがとても好きです。だからこの映画でも、そのような街の描き方を再現したかったんです。そうすることで、ゴッサムの中心地から離れている、という地理的説明にもなります。なぜバットマンが突然登場して皆を助けないのかという理由にもなっています」。超絶アクションと多様性あるキャラクターへのこだわりこのゴッサムを、あるときはエッグサンドを手に走り抜け、あるときはローラースケートを履いて喜々として暴れ回るハーレイ。そしてカサンドラを守るために、歌姫のブラックキャナリーや危険な殺し屋ハントレス(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)、元刑事レニー・モントーヤ(ロージー・ペレス)と組み、ブラックマスクと対決することになる。ヴィランの中のヴィラン、ブラックマスクを演じたユアン・マクレガーとの撮影も楽しんだそうで、「NGテイクで、私は笑いが堪えられなくなって爆笑し、同時に思いっきり彼の顔に唾を飛ばしちゃったんです。椅子に縛り付けられているから手で口を抑えられなくて(笑)。2人ともその場で大爆笑しちゃいました。その後何度も撮りなおそうとしたのですが、なかなか正気に戻れなくて苦労しました。NGシーンとして、打ち上げパーティーでその映像を流したら、大ウケしました」と、劇中とは打って変わった仲良しぶり。また、格段にパワーアップしたアクションも大きな見どころだ。キアヌ・リーヴスのヒットシリーズ『ジョン・ウィック』の監督チャド・スタエルスキがアクション監修を手掛けており、マーゴット自身「全てが楽しかった」とふり返っている。一番苦労したアクションは、クライマックスの「動くメリーゴーランドの上でローラースケートをする」シーンだという。「大勢のキャストが狭いセットに集結して、ワイドで撮影したロングテイクのシーンでしたから、失敗の余地がなかったんです。動くメリーゴーランドの上でローラースケートのバランスを取るのはとても難しいんですよ。私が転ぶとシーンの頭から撮影し直しになってしまいます。他の子がアクションを失敗しても同じこと。とてもプレッシャーを感じる撮影でした」。このシーンでは、少女カサンドラを守るため女性たちが団結して共闘する。「製作企画の段階で、登場させるキャラクターの人種と年齢層の幅を広げたいという意図がありました。確かにコミックでは、レニー・モントーヤは若い女性の設定ですが、レニーを演じるロージー・ペレスは、本人も若々しく本当に元気な人です」とマーゴット。「彼女は『とにかく運動しろ!』『私はこの映画でもまだまだイケてる!女性に終わりなんかない!』って周りの女性に言い聞かせるのが好きなんです(笑)」と話しつつも、「私が初めて女優として出演したのは、オーストラリアの『Neighbors』(原題)というソープ・オペラ番組なんですが、その番組は30人近い大勢のキャストが出演する作品でした。キャストの年齢層も子供から80歳までの役者がいました。それは私自身が役者として『年齢は関係ない』と気づかせてくれる経験になったのです」と続ける。「だから私自身も広い年齢層を登場させることには合意しましたし、特に監督のキャシー・ヤンは、本作でキャラクターの人種と年齢に多様性を持たせることをものすごく重要視していました」と真摯に語った。「BIRDS OF PREYユニバースを作りたい」それぞれにぶっ飛んだ個性を放つ彼女たちと友情を育み、カサンドラの“保護者”のようになったことで、ハーレイはミスターJがいなくても見事な覚醒を遂げたと言っていいはず?「確かにこの映画は、ハーレイの精神的成長を描いていると思います。面白いことに、ハーレイの本質は映画の始めから終わりまで、全く変化はないんです(笑)。でも本作を通して彼女は周りの人々を信頼できるようになります。年下のカサンドラに自分が認められ、彼女にどう見られるかを気にしはじめます。それによって、ハーレイはやっと自分自身の良いところに気づき、精神的に成長したのだと思います」。では、もし続編を作るとしたら、どうなる?「様々な方向で発展させることができると思います。本作に登場するキャラクター全員が、単独作品の主人公になれるぐらい重要ですから。ハントレスは復讐の殺しリストを達成した後、人生をどう生きるのかもストーリーとして発展させることができますし、ブラックキャナリーもとても重要な役割の存在でしょう」と話し、なんと「本作をきっかけに、BIRDS OF PREYユニバースを作り出せられればいいな、と思っているんです」との言葉も。「この映画に登場させたキャラクターはほんの一握り。今後、オラクル(=バーバラ・ゴードン、ゴードン本部長の娘)も登場させたいし、他にも登場させたい面白いコミックのキャラクターは大勢います」。本作でさらに惚れる人が続出しているハーレイ、その活躍はまだ始まったばかりなのかもしれない。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ハーレイ・クインの華麗なる覚醒BIRDS OF PREY 2020年3月20日より全国にて公開©2019 WBEI and c&TM DC Comics
2020年03月25日オスカーに6部門で候補入りした『スリー・ビルボード』から2年、マーティン・マクドナーが新たな映画を準備していることが明らかになった。タイトルは『The Banshees of Inisheer』で、出演は『In Bruges』でも組んだコリン・ファレルとブレンダン・グリーソン。舞台はアイルランドの小さな島。長年の友人だったふたりの関係が突然壊れ、思いもかけない展開になるという話らしい。世界配給は『スリー・ビルボード』も手がけたサーチライト・ピクチャーズ(旧・フォックス・サーチライト)が行う。撮影はこの夏スタートの予定。文=猿渡由紀
2020年02月19日第92回アカデミー賞授賞式が2月10日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、『パラサイト 半地下の家族』(ポン・ジュノ監督)が作品賞に輝いた。韓国映画が同賞を受賞するのは初めてとなる。文字通り「歴史が動いた」と感じた映画ファンも多いはず。ハリウッドの資本が一切入らない韓国映画が作品賞に加えて、監督賞、脚本賞、そして当然ながら国際長編映画賞も受賞し、映画界最大の祭典であるアカデミー賞に見事“寄生”したわけで、第92回にして訪れた歴史的快挙は、これからも多くの人々の記憶に残るはずだ。投票権をもつ会員の大幅増に伴い、選択肢の幅がより広がったともいわれる近年のアカデミー賞。一方で、その投票システムにより“平均的に優れた作品”が選ばれる傾向も強かっただけに(だから『1917 命をかけた伝令』が本命だった)、一癖も二癖もある『パラサイト 半地下の家族』の主要部門受賞はやはり驚くべき結果だった。メキシコ映画『ROMA/ローマ』が快進撃を続けながら、作品賞は『グリーンブック』に落ち着いた昨年とは大違いである。ひとつ見えてきたのは、現代社会の急速な変化を目の当たりに、「自分たちも変わらなければ」とようやく重い腰をあげた、アメリカの映画業界の意識改革だ。多様性をトレンドとして持ち上げ、やり過ごそうとしていた“支配層”の思惑は崩れ、多様性こそが主流である時代が到来した現代。それを受け入れなければ、映画の未来がないことに、彼らも気づき始めているのだろう。『パラサイト 半地下の家族』の快挙の裏で、ハリウッド黄金期を懐かしむ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(10部門候補で2部門受賞)、ポン・ジュノ監督も敬愛するマーティン・スコセッシ監督のNetflix映画『アイリッシュマン』(9部門10候補で無冠)といった話題作は、大きな勝利を収めることができなかった。映画界が視線を注ぐべきは輝かしい過去ではなく、不穏な現代、そして不透明な未来であり、『パラサイト 半地下の家族』にこそ、それらが映し出されていたのだ。一夜にして起こった映画界の地殻変動は2020年も継続するはずだ。今後の課題は、やはり女性映画監督に対して、いかにチャンスを与えるか。今年の授賞式では、女性の存在感が発揮されるシーンが多かったが、その裏には女性監督が1人もノミネートされなかった監督賞への痛烈な批判があった…。こうして、変化の道を歩みだしたアカデミー賞。今後、『パラサイト 半地下の家族』のシナリオがそうであったように、アカデミー賞にも予想もつかない展開が待ち構えているとすれば、映画ファンはそれを大いに期待すべきだろう。(text:Ryo Uchida)■関連作品:パラサイト 半地下の家族 2020年1月10日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開© 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED
2020年02月10日第92回アカデミー賞授賞式が2月10日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』が作品賞に輝いた。韓国映画が同賞を受賞するのは初めて。作品賞をはじめ、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の最多4冠を達成した。まさにアカデミー賞の歴史が“激動”した一夜となった。アカデミー賞史上初、といえば『パラサイト 半地下の家族』は作品賞と国際長編映画賞(昨年まで外国語映画賞)の同時受賞も達成。これは昨年、旋風を巻き起こしたNetflix映画『ROMA/ローマ』(アルフォンソ・キュアロン監督)も成し遂げることができなかった快挙だ。また、カンヌ国際映画祭の最高賞であるパルム・ドールを受賞し、アカデミー賞の作品賞も手にするのは『マーティ』(第28回/1955年)以来2作目。こちらも、記憶に留めておきたい記録である。監督賞を手にした際のスピーチで、ポン・ジュノ監督は「映画を勉強していた若い頃、最も印象に残ったのは『個人的なことこそが、もっとクリエイティブなことだ』という言葉。それは、偉大なるマーティン・スコセッシによるものでした。わたしはスコセッシ監督の作品で、映画を学んだのです」と同じ監督賞候補に挙がった名匠に最敬礼。また、以前からポン・ジュノ監督の作品を高く評価していた、同じく監督賞候補のクエンティン・タランティーノへの感謝も惜しまなかった。俳優部門はオスカー前哨戦にならい、サプライズなしの結果に。主演男優賞をホアキン・フェニックス(『ジョーカー』)、主演女優賞をレネー・ゼルウィガー(『ジュディ 虹の彼方に』)、助演男優賞をブラッド・ピット(『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』)、助演女優賞をローラ・ダーン(『マリッジ・ストーリー』)が順当に受賞している。作品賞を『パラサイト 半地下の家族』と競い合った『1917 命をかけた伝令』は撮影賞、録音賞、視覚効果賞の3部門を受賞。やはり、全編ワンカット(のように見える)撮影が高く評価され、名撮影監督であるロジャー・ディーキンスが2度目のオスカー獲得を果たした。一方、9部門(10候補)にノミネートされていたマーティン・スコセッシ監督のNetflix映画『アイリッシュマン』は無冠に終わった。【第92回アカデミー賞主な受賞結果】作品賞:『パラサイト 半地下の家族』監督賞:ポン・ジュノ『パラサイト 半地下の家族』主演男優賞:ホアキン・フェニックス『ジョーカー』主演女優賞:レネー・ゼルウィガー『ジュディ 虹の彼方に』助演男優賞:ブラッド・ピット『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』助演女優賞:ローラ・ダーン『マリッジ・ストーリー』国際長編映画賞:『パラサイト 半地下の家族』(韓国)脚本賞:『パラサイト 半地下の家族』脚色賞:『ジョジョ・ラビット』撮影賞:『1917 命をかけた伝令』編集賞:『フォードvsフェラーリ』美術賞:『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』衣装デザイン賞:『ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語』メイク・ヘアスタイリング賞:『スキャンダル』作曲賞:『ジョーカー』歌曲賞:『ロケットマン』視覚効果賞:『1917 命をかけた伝令』長編アニメ映画賞:『トイ・ストーリー4』文:内田 涼
2020年02月10日第92回アカデミー賞授賞式が2月10日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、監督賞に『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督が輝いた。受賞コメントではマーティン・スコセッシ監督、クエンティン・タランティーノ監督に対する感謝を述べた。今年のアカデミー賞では作品賞をはじめ、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞、美術賞、編集賞の計6部門にノミネートされており、ポン・ジュノ監督は初ノミネートで、監督賞を受賞した。韓国人の映画監督として、初めて同賞を手にする快挙を達成。なお、1月に発表された第25回放送映画批評家協会賞授賞式では、サム・メンデス(『1917 命をかけた伝令』)とともに監督賞を同時受賞している。映画はセレブ一家の豪邸に、家庭教師、家政婦、運転手として潜り込み“寄生(パラサイト)”を試みた貧しいキム一家が、そこで想像を絶する悲喜劇に巻き込まれる姿を描いた。共同脚本も手がけたポン・ジュノ監督は、学生時代に家庭教師のアルバイトをした経験があるといい、昨年末に来日した際「他人の私生活を覗き見る奇妙な感覚…。それが映画のアイデアの源泉になっている」と語っていた。受賞コメント「さきほど国際長編映画賞を受賞して今日の仕事は終わったなと思いました」とユーモアたっぷりに語ったポン・ジュノ監督。「映画を勉強していた若い頃、最も印象に残ったのは「個人的なことこそが、もっとクリエイティブなことだ」という言葉でした。その言葉は、偉大なるマーティン・スコセッシによるものでした。わたしはスコセッシ監督の作品で、映画を学んだのです。ですから、こうして候補者として名前が並んだことだけで光栄です」と語ると、会場はスタンディング・オベーションとなり、マーティン・スコセッシ監督に向けて拍手が沸き起こった。さらに、ポン監督は「私の映画をアメリカの人が知らなかったときに、私の作品をいつもリストにあげてくれたクエンティン・タランティーノ監督ありがとうございます。愛しています。もちろん、トッド・フィリップス、サム・メンデスもすばらしい監督ですし、アカデミー協会が認めてくれるなら、このオスカー像を5つに分けたいと思うほど。」と感謝を述べた。(text:cinemacafe.net)■関連作品:パラサイト 半地下の家族 2020年1月10日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開© 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED
2020年02月10日ウィル・スミスとマーティン・ローレンスが演じる、マイアミ市警の名物刑事コンビ“バッドボーイズ”が活躍する、久しぶりの続編にして第3作目となる『バッドボーイズフォー・ライフ』が公開中だ。全米では同日公開の『ドクター・ドリトル』を抑えて、興行成績ナンバーワンの座を獲得。大ヒット発進となった本作は、なんと言ってもハードなアクションのなかで交わされる、漫才のような軽妙な掛け合いが魅力だ。なかでも、いまとなってはハリウッドのトップスターとなったウィル・スミスが、“当たり役”となったマイクを再びいきいきと演じる姿が“胸アツ”。「やっぱりウィル・スミスは“バッドボーイズ”が一番」と思わせる好演を見せている。もちろん、前作以降、コメディ映画で存在感を発揮していたマーティン・ローレンスのおとぼけも健在。絶妙なコンビネーションで観客を沸かせる。さらに注目したいのは、本作の監督だ。『バッドボーイズ』シリーズといえば、豪快さとユーモアをあわせ持つマイケル・ベイ監督のイメージが強いが、今回は新鋭のアディル・エル・アルビ&ビラル・ファラーがメガホンを取った。アウトロー・クライムアクション映画『ギャングスタ』での、キレのある演出と迫力あるバイオレンスシーンが話題になったふたりだが、その資質が本作『バッドボーイズフォー・ライフ』にぴったりとはまり、批評家筋の評価のみならず、観客の支持が圧倒的に大きい作品となった。主演コンビとともに、監督コンビの仕事も堪能してほしい一作だ。『バッドボーイズフォー・ライフ』公開中
2020年02月03日ベネディクト・カンバーバッチやマイケル・シャノン、ニコラス・ホルト、トム・ホランドらの豪華共演、マーティン・スコセッシ製作総指揮で贈る『エジソンズ・ゲーム』の公開日が4月3日(金)に決定。本予告編と場面写真が解禁となった。この度解禁された予告映像では、19世紀のアメリカで、電気の供給権を巡り、<直流>による送電方式を提唱する天才エジソン(カンバーバッチ)と、<交流>による送電方式を提唱する宿敵ウェスティングハウス(シャノン)の激しい攻防が収められている。冒頭から、敵対心をあらわにするエジソンとウェスティングハウス。そこにウェスティングハウスと手を組む新進気鋭の科学者二コラ・テスラ(ホルト)と、エジソンの助手インサル(ホランド)も加わり、白熱したビジネスバトルはより加速。アイディアを盗まれ怒鳴り散らすエジソンの姿や、交流は危険だと煽るネガティブキャンペーンの実施など、我々がよく知る“偉人”とは大きくかけ離れた姿が衝撃的だ。だが、ウェスティングハウスも黙ってはいない。「そろそろ決着を付けようか」とエジソンに宣戦布告するや否や、「君の不正は掴んだ」と不敵な笑みを浮かべる…。<直流>と<交流>、発明家と実業家のプライドと情熱が衝突する、究極のビジネスバトルの行方から目が離せない映像となっている。また、新たに解禁となった場面写真には、カンバーバッチとホランドの“師弟”2ショットや、ホランドの瑞々しい笑顔溢れるショットなどマーベル・シネマティック・ユニバースファン垂涎ものの写真も。さらに、エジソンの宿敵で“カリスマ実業家”ウェスティングハウスの険しい表情を捉えたものや、天才二コラ・テスラとビリヤードに興じる紳士的な姿も写し出されている。ほかにもエジソンの発明のひとつでもある蓄音機の前で、妻メアリーと仲睦まじく会話を交わすエジソンの姿からは、本作で見せる新たな一面も予感させる。テスラの写真からも伺えるように、本作ならではの豪華なセットにも注目してほしい。『エジソンズ・ゲーム』は4月3日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:エジソンズ・ゲーム 2020年4月3日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開©2018 Lantern Entertainment LLC. All Rights Reserved.
2020年01月29日日本のみならず世界中で大ヒットした『ジョーカー』をはじめ、今年も話題となっているアカデミー賞。中でも作品賞にノミネートされる映画は毎年良作揃いで、見ごたえのあるものばかり。とりわけ今年は、近年稀に見るほど授賞式以前に劇場で鑑賞できる作品賞ノミネート作が多いことでも注目されている。マット・デイモン&クリスチャン・ベイル主演『フォードvsフェラーリ』公開中マット・デイモンとクリスチャン・ベイル、アカデミー俳優の2人を主演に起用し、歴史上最も伝説的なレースで、絶対王者フェラーリに立ち向かった男たちの奇跡のような挑戦の実話を描いた『フォードvsフェラーリ』。舞台は世界が熱狂した1966年のル・マン24時間レース。歴史を変えた、2人の男の熱い友情と、チームの絆、そして不可能に挑戦し続ける姿を描いた奇跡の大逆転の物語には共感する人が続出中。本年度アカデミー賞では作品賞のほか、編集賞、録音賞など4部門にノミネートされ、レースをテーマにした映画としては初めて作品賞にノミネートされた。さらに先日、本国で発表されたように、ディズニーとの合併に伴い「20世紀フォックス」は「20世紀スタジオ」に名称変更されるため、オープニングの「20世紀FOX」のロゴは本作で見納め。映画ファンにとってはその意味でも見逃せない1本となっている。ポン・ジュノ監督&ソン・ガンホ『パラサイト 半地下の家族』公開中カンヌ国際映画祭にて、審査員満場一致で最高賞のパルムドールに輝き、各国で大ヒットとなっている超話題作。『殺人の追憶』『グエムル漢江の怪物』『スノーピアサー』の監督ポン・ジュノとソン・ガンホが4度目のタッグを組み、本作では、あらゆるジャンルを完璧に融合させながら、いま世界が直面している貧富格差への痛烈な批判をも内包した超一級のエンターテインメントとなっている。本年度アカデミー賞では、韓国映画初となる作品賞、監督賞(ポン・ジュノ)のほかに、国際長編映画賞、脚本賞、編集賞など6部門にノミネート。タイカ・ワイティティ監督、空想上のヒトラーにも『ジョジョ・ラビット』公開中『マイティ・ソー バトルロイヤル』のタイカ・ワイティティ監督が、第2次世界大戦時のドイツに生きる人びとの姿を辛辣なユーモアを交えて描き、第44回トロント国際映画祭で最高賞の観客賞を受賞したヒューマン・エンターテイメント作品。本年度アカデミー賞では、作品賞のほかに、助演女優賞(スカーレット・ヨハンソン)、脚色賞など6部門にノミネートされている。マーティン・スコセッシ監督&ロバート・デ・ニーロ『アイリッシュマン』Netflix配信中&劇場公開中『タクシードライバー』『レイジング・ブル』など数々の名作を生み出してきた巨匠マーティン・スコセッシとロバート・デ・ニーロが、『カジノ』以来22年ぶり9度目のタッグ。裏社会のボスに長年仕えてきた殺し屋(デ・ニーロ)が秘密と暴力にまみれた自らの半生をふり返る。最新VFXで“若返った”ベテラン俳優たちにも注目。本年度アカデミー賞では、作品賞のほか監督賞(マーティン・スコセッシ)、助演男優賞(アル・パチーノ、ジョー・ぺシ)など、9部門10ノミネートされている。スカーレット・ヨハンソン&アダム・ドライバー主演『マリッジ・ストーリー』Netflix配信中&劇場公開中『イカとクジラ』『ヤング・アダルト・ニューヨーク』のノア・バームバック監督が、スカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバーを主演に迎え、離婚のプロセスに戸惑い、子の親としてのこれからに苦悩する夫婦の姿を、リアルで辛辣ながら思いやり溢れる視点で描いた話題作。本年度アカデミー賞では、作品賞のほか主演男優賞(アダム・ドライバー)、主演女優賞(スカーレット・ヨハンソン)、助演女優賞(ローラ・ダーン)ほか6部門でノミネートされている。そのほか、“全編ワンカット”サム・メンデス監督の『1917 命をかけた伝令』は2月14日(金)から、名作小説「若草物語」をグレタ・ガーウィグ監督が新たな視点で映画化した『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』は3月27日(金)からと、アカデミー賞の結果が出た後での日本公開作品も。第92回アカデミー賞授賞式は日本時間2月10日(現地時間2月9日)に開催される。(text:cinemacafe.net)■関連作品:フォードvsフェラーリ 2020年1月10日より全国にて公開©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation【Netflix映画】アイリッシュマン 2019年11月27日よりNetflixにて全世界同時配信開始パラサイト 半地下の家族 2020年1月10日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開© 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVEDジョジョ・ラビット 2020年1月17日より全国にて公開©2019 Twentieth Century Fox&TSG Entertainment
2020年01月25日韓国映画界を代表するハン・ソッキュとソル・ギョングのダブル主演で贈る、予測不能の超一級サスペンス・ノワール『悪の偶像』が公開されることが決定。併せて、ポスタービジュアルが解禁となった。■ストーリー市議会議員のミョンヒは、ある夜息子ヨハンが飲酒運転中に人をひき殺してしまったことを知る。政治家の危機に直面したミョンヒは、密かに揉み消し工作を実行するが、被害者の新妻であるリョナという女性が事故現場に居合わせ、行方不明になっていることが判明。事実が明るみに出るのを恐れたミョンヒはリョナを見つけ出そうとする。一方、小さな工具店を営む被害者の父ジュンシクは、リョナが妊娠していると知り、何としても彼女を捜し出すことを心に誓う。かくして別のルートで“消えた目撃者”の行方を追うふたりの父親は、耐えがたい葛藤に胸を引き裂かれながら、後戻りできない“罪”の闇に足を踏み入れていく…。■ハン・ソッキュ&ソル・ギョング、“加害者の父”と“被害者の父”役でダブル主演本作は、ある“ひき逃げ事件”をきっかけに交錯していく“加害者の父”と“被害者の父”の運命をスリリングに描き、予測不能のストーリー展開に人間の業と結びついた濃密なエモーションを持ち合わす超一級サスペンス・ノワール。第69回ベルリン国際映画祭で大喝采を浴びたほか、ファンタジア国際映画祭で作品賞、主演男優賞を受賞した。監督は『ハン・ゴンジュ 17歳の涙』のイ・スジン。同作品で第43回ロッテルダム国際映画祭タイガー・アワードを受賞し、巨匠マーティン・スコセッシ監督から絶賛された気鋭監督が、満を持してオリジナル脚本に基づく長編第2作を完成させた。ダブル主演を務めるのは、『シュリ』『ドクター・ポン』のハン・ソッキュと、『オアシス』『力道山』のソル・ギョング。韓国映画界を代表する俳優2人が演じる父親像に注目が集まる。今回解禁されたポスタービジュアルでは、悲しみの表情を浮かべながら相手をにらむソル・ギョングと、その視線を避けようとするハン・ソッキュの複雑な表情が全面に描き出される。「ある“ひき逃げ事件”が運命を狂わす―」というキャッチコピーと、ポスター全体が不穏な雰囲気を醸し出し、2人に襲いかかった事件に立ち向かう相反した態度が導く衝撃の展開に期待が高まるビジュアルに仕上がっている。『悪の偶像』は4月17日(金)よりシネマート新宿・心斎橋ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2020年01月22日ブラッドリー・クーパーが監督と主演を兼任するレオナルド・バーンスタインについての映画を、Netflixが世界配信することになった。当初はパラマウントが配給する予定だった。プロデューサーには、『アイリッシュマン』でNetflixと組んだばかりのマーティン・スコセッシも名を連ねる。映画は、バーンスタインと妻の関係に焦点を当てるものらしい。脚本はクーパーと、『スポットライト 世紀のスクープ』のジョシュ・シンガーが共同執筆した。撮影は来年開始の予定。今作は『アリー/スター誕生』に続く、クーパーの監督作第二弾。『アリー』は8部門でオスカーにノミネートされた。文=猿渡由紀
2020年01月22日エイサ・バターフィールド演じる“童貞のセックス・カウンセラー”が世界中を魅了した英国発大ヒットドラマ「セックス・エデュケーション」。エイサといえば、幼い頃から子役として活躍、『ヒューゴの不思議な発明』や『エンダーのゲーム』など数々の超大作に出演。本作では現場経験豊かなエイサが周囲の演者にもアドバイスするなど座長としての立場を全うし、頼れる演技派俳優としても成長していたことが明らかになった。英国出身のエイサは7歳から演技を学び、11歳で『縞模様のパジャマの少年』の主演を務め、映画賞にもノミネート。その後、マーティン・スコセッシ監督の『ヒューゴの不思議な発明』では14歳で主演に抜擢、『エンダーのゲーム』でも主演を務めてハリソン・フォードと共演、ティム・バートン監督の『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』にも出演するなど、若くしてハリウッドのレジェンドたちと仕事を共にしてきた。高い演技力はもちろん、ベビーフェイスや澄んだブルーの瞳で世界中のファンを魅了。スタジオジブリ好きを公言するなど、親日家としても知られる。主人公オーティスは「色々な点で二面性を持っている」現在22歳となり、子役を卒業して爽やかな演技派俳優へと成長を遂げたエイサは、本作について「僕が演じるオーティスは賢明で思いやりがある少年。その反面、考えすぎて落ち込むこともある。そして自分の性的な気持ちは抑圧されているんだけど、性的な知識だけは豊富。オタク的で幼い面もあれば、賢くて大人な面もある。彼は色々な点で二面性を持っているんだ」と、複雑なキャラクター性をしっかり捉えたうえで演じていたことを明かす。続けて「本作は『縞模様のパジャマの少年』とはかなり違うね。子役時代はシリアスな作品専門だったけど、ここ数年はいくつかコメディにも出演する機会ができたよ。それに今回は自分にとって新しい挑戦となるシーンもあったんだ」と、これまで出演してこなかったジャンルの作品により俳優としての幅を広げていることに言及。成長し演技に磨きがかかったエイサだが、それだけでなく、作品の座長という立場でも成長していたようだ。メイヴ役エマ・マッキーが絶賛「質問すると何でも答えてくれた」オーティスのセックス・カウンセリングの“相棒”メイヴ役のエマ・マッキーは、「エイサとの撮影は素晴らしかったわ!彼は色んな作品での経験があるから、テクニックをたくさん知っているの。私は全然知らないから、質問すると何でも答えてくれた。同時に冗談も好きで、ふざけたりするときもあるの」と、数ある経験をもとにアドバイスしつつ、現場を楽しく盛り上げていたエイサを大絶賛。さらにオーティスの親友エリックを演じるンクーティ・ガトワも「エイサはとても落ち着いていて、僕が熱くなりすぎたりすると気を落ち着かせてくれるんだ。色々とアドバイスもしてくれた。仲も良いし楽しい撮影だったよ」と語り、エマと同じく、頼りがいのあるエイサに太鼓判。エイサは、キャストからの信頼を得た本作について、「キャラクターもしっかり練り上げられていて、本当に素晴らしい内容になっているよ!」と出来栄えに強い自信を覗かせている。シーズン2は、なんと母ジーンがオーティスの高校に性の専門家として登場!さらに迎えた新学期、転校生のオラといい雰囲気のオーティスについに童貞卒業のチャンス到来と思いきや、なんと双方の親同士の衝撃的な情事に遭遇してしまい大ショック。さらには学校内で性病が蔓延してしまう大騒ぎが発生、メイヴのオーティスへの想いも見え隠れ、2人の恋の行方にも新たな変化が!?2人による“性の悩み相談クリニック”は再始動されるのか、シーズン2の展開に期待高まる。Netflixオリジナルシリーズ「セックス・エデュケーション」シーズン2は1月17日(金)より独占配信開始、シーズン1は独占配信中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:【Netflix映画】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング
2020年01月18日東京とロンドン、2つの都市をまたいで起きた殺人事件を巡る英国発の濃厚サスペンスドラマ「Giri/Haji」。本作には、抗争終結の鍵を握る日本人兄弟役で窪塚洋介と平岳大が出演。本作が初共演となった2人だが、撮影後はまるで本当の兄弟のような存在になっていたという。東京在住で家庭を大事にする刑事・健三は、行方不明の弟・勇人を探すために突然ロンドンに派遣される。勇人を捜索する中で、健三は徐々にロンドンの闇社会へと巻き込まれてゆく。2つの都市を巻き込む裏社会の権力抗争を食い止めようと、健三は自らの家族の関わりとも立ち向かっていく――。マーティン・スコセッシ監督の『沈黙 -サイレンス-』でハリウッドデビューも果たした窪塚さんが演じるのは、兄弟の弟・勇人。そして兄で刑事の健三を、15歳のときに渡米し進学、その後役者となり大河ドラマや舞台などに出演する平さんが演じている。そんな2人は、本作で出会う前までお互いのことをほとんど知らなかったそうだが、平さんは「この台本を最初に読んだとき、“弟は絶対窪塚君だろうな”って思ったんです。そう思っていたら本当に窪塚君で」と最初から窪塚さんとの共演を予感していたと告白。そして、撮影していく中ですぐに意気投合し、窪塚さんは平さんについて「真摯に仕事に向かっている姿にすごく共感できました」と言い、平さんも「窪塚君とは興味を持つポイントが共通していたり、物事の本質をわかろうとする姿勢が不思議なくらい似ていました。あと都市伝説が好きだったりとか(笑)」と共通点を明かす。さらに「芝居の中でも兄貴を頼りました」と窪塚さん。「弟の生意気さだったり、ガキっぽさだったりとかで突っぱねたりするんだけど、強がってみたりもしました。現場では、平さんが英語を話せるから、通訳みたいなことをしてくれたりもしました。本当にすごく俺が心底頼っていたっていう部分があったから、それがそのままフィードバックされていると思うんですよ」と現場の様子をふり返り、平さんも「異国の地で、本当に勇人と健三みたいに2人で何か新しいことをするっていうのが、役にも繋がったし、重なった」とコメントした。また窪塚さんは「今でも、平さんは僕にとって本当の兄みたいな存在だと言えます」と撮影を終えてもなおその関係は変わらないようで、「頼りになるし、心強い人です。そしてお互いに切磋琢磨してさらに成長できる仲です。良い関係を築けたと思います」と熱く吐露。平さんも「彼は個性的でとても大好きです。本当に誠実だし、仕事がとてもやりやすいですね。この前も一緒に飲みに行ったばかりで、楽しい男ですよ」と語っており、関係性は役を超越したようだ。Netflixオリジナルシリーズ「Giri/Haji」は2020年1月10日(金)独占配信開始。(cinemacafe.net)■関連作品:【Netflix映画】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング
2020年01月02日映画『エジソンズ・ゲーム』が、2020年6月19日(金)TOHOシネマズ日比谷他全国公開。主演はベネディクト・カンバーバッチ、製作総指揮は巨匠 マーティン・スコセッシが務める。世紀の天才たちがくり広げる、白熱のバトル!世紀の発明王トーマス・エジソンほどの天才にも、最強のライバルがいた。彼の名前はジョージ・ウェスティングハウス。<頭脳でトップに立つクリエイター>であるエジソンに対して、ジョージは<戦略で支配を広げるカリスマ実業家>だ。映画『エジソンズ・ゲーム』は、アメリカ初の電力送電システムを巡る、そんな2人の壮絶なビジネスバトル<電流戦争>を描いたストーリー。莫大な金が動く特許の争奪戦に、名誉をかけた裁判。その影で横行するスキャンダラスなネガティブキャンペーンと裏取引── 超一流の天才たちによる、息もつかせぬ本気のバトルの全貌が、今明かされるー。豪華キャストが、“天才頭脳”の持ち主に!“天才的頭脳”を持つメインキャラクターには、ハリウッドを誇る豪華キャストが集結。『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』で、アカデミー賞にノミネートされたベネディクト・カンバーバッチをはじめ、『シェイプ・オ ブ・ウォーター』のマイケル・シャノン、『スパイダーマン』シリーズのトム・ホランドらが集う。トーマス・エジソン(ベネディクト・カンバーバッチ)物語の主人公であり、歴史的な天才発明家。白熱電球の事業化を成功させ人々から崇められるが、大統領からの仕事も平気で断る傲慢な男。勝利するためなら手段を選ばない。自らを追い込んでいく。事業家・ジョージ・ウェスティングハウスと、電気を巡る白熱のバトルを繰り広げることになる。ジョージ・ウェスティングハウス(マイケル・シャノン)裕福な実業家。大量の発電機が必要なエジソンの“直流”よりも。遠くまで安価で電気を送れる“交流”のほうが優れているという考えの持ち主。“交流”式送電の実演会を成功させたことで、エジソンの反感を買い、バトルを繰り広げることにー。二コラ・テスラ(二コラス・ホルト)エジソンとウェスティングハウスの対決の鍵を握る若き天才科学者。テスラもウェスティングハウスが提唱する“交流”支持者だったが、エジソンにひと蹴りされてしまう。エジソンの助手(トム・ホランド)エジソンのアシスタントを務める。ウェスティングハウスとのバトルの際には、“マスコミを利用する”ことを助言する場面も。実際は会うことのなかった?!エジソンvsウェスティングハウスのバトル目的を選ばないエジソンと、思いやりに長けたウェスティングハウス。そんな対照的な2人がくり広げる<電流戦争>は、実際ほとんど面会することもなく、“新聞”の記事を通して行われていたという興味深い事実をご存じだろうか?映画ではそんなリアリティを反映させるために、実際に2人が同じ画面に映ることを大幅にカット。そのため彼らを演じたベネディクト・カンバーバッチと、マイケル・シャノンは、同じ撮影現場を共にする“貴重”なカットを存分に楽しんだという。ピンチを救った巨匠マーティン・スコセッシなお本作は、2017年にワインスタイン・カンパニーの作品として、全米公開が予定されていたが、共同創業者のハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ疑惑により延期。その後101 Studios が配給権を取得し、映画公開を実現した。この復活劇に一躍買ってでたのは、巨匠マーティン・スコセッシ。当初トロント映画祭で披露された際には、ワインスタイン・カンパニーの圧力もあり、製作陣にとって不本意なバージョンだった為、彼はそれを完成版と認めず製作陣による再編集を支援。最終的に元のバージョンから10分を削り、新たに5つものシーンを追加した“ディレクターズ・カット”を完成させている。<ストーリー>19世紀、アメリカは電気の誕生による新時代を迎えようとしていた。白熱電球の事業化を成功させたトーマス・エジソンは天才発明家と崇められ、大統領からの仕事も平気で断る傲慢な男だった。裕福な実業家ジョージ・ウェスティングハウスは、大量の発電機が必要なエジソンの“直流”より、遠くまで電気を送れて安価な“交流”の方が優れていると考えていた。若手発明家のテスラも、効率的な“交流”の活用を提案するが、エジソンに一蹴されてしまう。ウェスティングハウスは“交流”式送電の実演会を成功させ、話題をさらう。そのニュースにエジソンは激怒、“交流”は危険で人を殺すと、ネガティブキャンペーンで世論を誘導していく。こうして世紀の“電流戦争”が幕を開けた!訴訟や駆け引き、裏工作が横行する中、ウェスティングハウスはエジソンと決裂したテスラに近づく──果たしてこのビジネスバトルを制するのはどちらか──?詳細映画『エジソンズ・ゲーム』公開日:2020年6月19日(金)TOHOシネマズ日比谷他全国公開監督:アルフォンソ・ゴメス=レホン出演:ベネディクト・カンバーバッチ、マイケル・シャノン、トム・ホランド、ニコラス・ホルト配給:KADOKAWA
2019年12月23日黒人映画批評家サークル賞が発表された。作品賞を手にしたのは、『ルディ・レイ・ムーア』。今作ではエディ・マーフィが主演男優賞、ダヴァイン・ジョイ・ランドルフが助演女優賞を受賞。またアンサンブル部門も受賞している。主演女優賞は、『アス』のルピタ・ニョンゴ。助演男優賞は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のブラッド・ピット。外国語映画賞は『パラサイト 半地下の家族』。監督賞は、『ハリエット』のカシ・レモンズと『アイリッシュマン』のマーティン・スコセッシのタイだった。文=猿渡由紀
2019年12月20日ベネディクト・カンバーバッチが世紀の発明王トーマス・エジソンを演じた『The Current War』が、邦題『エジソンズ・ゲーム』として2020年4月、日本公開が決定、併せて日本版ポスターが解禁となった。“頭脳でトップに立つクリエイター”であるエジソンと、その最強のライバル“戦略で支配を広げるカリスマ実業家”ジョージ・ウェスティングハウスによる壮絶なビジネスバトル“電流戦争”を描いた本作。天才発明家エジソンを演じるのは、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』で、アカデミー賞にノミネートされたベネディクト・カンバーバッチ。世界的偉人のイメージを180度覆し、「SHERLOCK/シャーロック」を彷彿とさせるような奇才のダークヒーローを怪演。対するライバルのウェスティングハウスには、『シェイプ・オブ・ウォーター』のマイケル・シャノン。さらに、2人の対決の鍵を握る若き天才科学者テスラに『女王陛下のお気に入り』のニコラス・ホルト、エジソンを支える助手に『スパイダーマン』最新シリーズのトム・ホランドと、英国とハリウッドの人気俳優が集結。アメリカ初の電力送電システムを巡る、エジソンとライバルたちの闘い“電流戦争”があったからこそ、現代の私たちは豊かな暮らしを送っている。そんな歴史の一大トピックが、ついに映画化。莫大な金が動く特許の争奪戦に、名誉をかけた裁判。その影で横行するスキャンダラスなネガティブキャンペーンと裏取引――。超一流の天才たちによる、息もつかせぬ本気の闘いが明らかになる。製作総指揮マーティン・スコセッシが完全バックアップ本作は当初、ワインスタイン・カンパニーの作品として、2017年にトロント国際映画祭でお披露目され全米公開を予定していた。しかし共同創業者のハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ問題が発覚、同社は破産に追い込まれ、映画は公開延期に。その後、ワインスタイン・カンパニーは買収され、新たな101 Studiosという配給会社により、ついに今年10月、全米公開が実現した。この復活劇に一役買って出たのは、『アイリッシュマン』の巨匠マーティン・スコセッシ監督だ。トロント映画祭で披露された本編は、ワインスタイン・カンパニーの強い圧力によってまとめられた製作陣にとって不本意なバージョンだったという。そこでアルフォンソ・ゴメス=レホン監督の師匠で本作の製作総指揮であるスコセッシ監督は、それを完成版と認めず製作陣による再編集を支援した。監督たちは、超多忙なスター俳優たちを集め、たった1日限りの再撮影を敢行。元のバージョンから10分を削り、新たに5つものシーンを追加した渾身の“ディレクターズ・カット”を完成させ、2年越しの全米公開となる奇跡の大逆転を成し遂げた。また、この度解禁された日本版ポスターは、天才エジソンと宿敵ウェスティングハウスの真剣な眼差しと「天才発明家 VS カリスマ実業家」のコピーで、激しいバトルが繰り広げられているかのようだ。2人の間には火花のような電流がほとばしり、「未来を照らすのは、誰だ。」と、電流戦争の行方を問いかけるもの。そして、彼らを支える仲間として、エジソンの右腕であるインサルとウェスティングハウスの共同研究者である二コラ・テスラの凛々しくも麗しい姿も配されている。『エジソンズ・ゲーム』は2020年4月、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2019年12月20日第25回放送映画批評家協会賞のノミネーションが発表された。マーティン・スコセッシ監督の『アイリッシュマン』が作品賞、監督賞、主演男優賞(ロバート・デ・ニーロ)、助演男優賞(アル・パチーノ、ジョー・ペシ)、アンサンブル演技賞など最多14ノミネートを受けた。クエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が12ノミネート、グレタ・ガーウィグ監督の『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』が9ノミネート、ノア・バームバック監督の『マリッジ・ストーリー』が8ノミネート、タイカ・ワイティティ監督の『ジョジョ・ラビット』とポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』が7ノミネートと続く。今年の放送映画批評家協会賞は、監督が脚本も担当した作品が評価されている傾向で、クエンティン・タランティーノ、グレタ・ガーウィグ、ノア・バームバック、ボン・ジュノは、監督賞と脚本賞のWノミネート。スカーレット・ヨハンソンが全く異なるジャンルの作品『マリッジ・ストーリー』と『ジョジョ・ラビット』で、それぞれ主演女優賞、助演女優賞にノミネートされる快挙を果たした。授賞式は1月12日(現地時間)に開催される。(Hiromi Kaku)■関連作品:【Netflix映画】アイリッシュマン 2019年11月27日よりNetflixにて全世界同時配信開始ジョジョ・ラビット 2020年1月17日より全国にて公開©2019 Twentieth Century Fox&TSG Entertainmentワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト 2019年9月27日より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国にて順次公開©1968 BY PARAMOUNT PICTURES CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.
2019年12月10日9日(現地時間)、ゴールデングローブ賞のノミネーションが発表された。注目を集めたのは、監督賞にノミネートされた5人だ。ポン・ジュノ(『パラサイト 半地下の家族』)、サム・メンデス(『1917 命をかけた伝令』)、トッド・フィリップス(『ジョーカー』)、マーティン・スコセッシ(『アイリッシュマン』)、クエンティン・タランティーノ(『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』)と全員が男性。女性監督が1人もノミネートされなかったことで、多くの人が遺憾の意を示した。自身は『スキャンダル』で主演女優賞にノミネートされたが、シャーリーズ・セロンもそのうちのひとり。「Los Angeles Times」紙に思いを語った。「厳しい。本当に、とても厳しい。それに、すごくフラストレーションを感じる。女性監督の数を増やそうとがんばっているところなのに。この業界で女性監督はわずか10%しかいない。それでも今年は彼女たちの仕事ぶりは素晴らしかった。だから本当に悔しい」と残念がった。『スキャンダル』は男性であるジェイ・ローチがメガホンを取った作品。シャーリーズは「女性はもっとチャンスを得られるべきだと強く信じているけれど、だからと言って女性の物語を伝えられるのが女性だけだとは思わないし、男性の物語を伝えられるのが男性だけだとは思わない。そんなことを言ったら、エイヴァ・デュヴァーネイが悲しむ。彼女は冤罪になった5人の少年についての作品(「ボクらを見る目」)を撮ったから」という意見も述べている。(Hiromi Kaku)
2019年12月10日放送映画批評家協会賞のノミネーションが発表になった。最多ノミネーションを受けたのは、マーティン・スコセッシの『アイリッシュマン』で、14部門。次に多かったのはクエンティン・タランティーノの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』だった。作品部門の候補は、この2作品のほかに、『ジョーカー』『1917 命をかけた伝令』『フォードVSフェラーリ』『ジョジョ・ラビット』『パラサイト半地下の家族』『マリッジ・ストーリー』『Uncut Gems』『Little Women』。監督部門は、このふたりのほか、サム・メンデス(『1917』)、ノア・バームバック(『マリッジ…』)、グレタ・ガーウィグ(『Little Women』)、ボン・ジュノ(『パラサイト』)、ジョシュ&ベニー・サフディ(『Uncut Gems』)。主演男優部門は、アントニオ・バンデラス(『Pain and Glory』)、ロバート・デ・ニーロ(『アイリッシュマン』)、レオナルド・ディカプリオ(『ワンス…』)、アダム・ドライバー(『マリッジ…』)、ホアキン・フェニックス(『ジョーカー』)、エディ・マーフィ(『ルディ・レイ・ムーア』)、アダム・サンドラー(『Uncut Gems』)。主演女優部門はレネ・ゼルウェガー(『ジュディ 虹の彼方に』)、スカーレット・ヨハンソン(『マリッジ…』)、シャーリーズ・セロン(『スキャンダル』)、ルピタ・ニョンゴ(『アス』)、シアーシャ・ローナン(『Little Women』)、シンシア・エリヴォ(『Harriet』)、オークワフィナ(『The Farewell』)。受賞発表は2020年1月12日。文=猿渡由紀Netflixオリジナル映画『アイリッシュマン』配信中
2019年12月09日アカデミー賞の前哨戦として注目される、第45回ロサンゼルス映画批評家協会賞が発表された。今年は韓国の『パラサイト 半地下の家族』が作品賞、監督賞、助演男優賞を獲得するという快挙に。次点ではあるものの、脚本賞にも選ばれている。今回と同様、過去の作品賞にもアメリカの作品ではなく外国作品が選ばれたことがあった。昨年は『ROMA/ローマ』、2012年に『愛、アムール』、2000年に『グリーン・デスティニー』が選ばれ、3作品全てがアカデミー賞の作品賞にノミネート。惜しくも3作品とも受賞は逃したが、外国語映画賞は獲得している。果たして『パラサイト 半地下の家族』の運命やいかに。■主な受賞リスト作品賞受賞:『パラサイト 半地下の家族』(ポン・ジュノ監督)次点:『アイリッシュマン』(マーティン・スコセッシ監督)監督賞受賞:ポン・ジュノ監督(『パラサイト 半地下の家族』)次点:マーティン・スコセッシ監督(『アイリッシュマン』)主演男優賞受賞:アントニオ・バンデラス(『Pain and Glory』)次点:アダム・ドライバー(『マリッジ・ストーリー』)主演女優賞受賞:メアリー・ケイ・プレイス(『Diane』)次点:ルピタ・ニョンゴ(『アス』)助演男優賞受賞:ソン・ガンホ(『パラサイト 半地下の家族』)次点:ジョー・ペシ(『アイリッシュマン』)助演女優賞受賞:ジェニファー・ロペス(『ハスラーズ』)次点:チャオ・シューチェン(『フェアウェル』)脚本賞受賞:ノア・バームバック(『マリッジ・ストーリー』)次点:ポン・ジュノ&ハン・ジンウォン(『パラサイト 半地下の家族』)アニメ賞受賞:『失くした体』次点:『トイ・ストーリー4』(Hiromi Kaku)■関連作品:【Netflix映画】アイリッシュマン 2019年11月27日よりNetflixにて全世界同時配信開始
2019年12月09日