長澤まさみと斉藤由貴が10月31日、東京・PARCO劇場で三谷幸喜の新作ふたり芝居『紫式部ダイアリー』の開幕直前会見を行った。会見には三谷も同席、それぞれ開幕に向けて思いを語った。『紫式部ダイアリー』 チケット情報とある文学賞の選考会前夜が舞台。時代を現代に移して、若手作家の紫式部(長澤)とエッセイストとして確固たる地位を築いた清少納言(斉藤)の女のバトルを描くふたり芝居だ。長澤と斉藤は初顔合わせ。長澤は2010年のテレビドラマ『わが家の歴史』以来の三谷作品だが、三谷の舞台は今回が初めて。斉藤は『君となら』(1995年、1997年)以来、およそ20年ぶりの三谷作品だ。「(ふたり芝居なので)分かっていたことなんですが、出ている時間が長いので、稽古も大変でした」と振り返った長澤。同じ事務所の先輩でもある斉藤は「まさみちゃんがランドセルしょってる頃から知っているんですが、こんなに素敵な女優さんになったまさみちゃんと共演できるのは本当に光栄だし素敵な時間」と楽しそう。初めて三谷の演出を受けた長澤は「いやになるぐらい細かった」と笑いながら「今まではコメディというと、その場の空気感から生まれてくるものだと思っていたが、三谷さんとご一緒して、笑いにたどりつくためには、丁寧な積み重ねが大事なんだと感じることができた。とても勉強になりました。その時々の人物の気持ちや感情の流れなど、細やかに演出してくださるので、紫式部というキャラクターが出来上がっていく過程が実感できた」と手応えを話した。その言葉に大きくうなずきながら、斉藤は「笑いを狙ってていくのではなく、本質的な部分を掘り下げていって自然に出てくるおかしみが三谷さんの演出だと思う」と分析。一方、演出の三谷は今回のキャスティングについて「長澤さんの舞台を見て、映像ももちろんですが、舞台でのたたずまいが本当にきれいで、もっと舞台をやってほしいと思っていました」「その相手役はうまいベテラン女優さんでないとと思い、斉藤さんにお願いした。彼女は日本一のコメディエンヌ。20年前に舞台でご一緒した時から思ってました」とコメント。さらに「このふたりにあてて書きました。このふたりでないと成立しない作品になっていると思います」と舞台をPRした。公演は11月1日(土)から30日(日)まで東京・PARCO劇場にて。
2014年10月31日3か月って本当にあっという間ですよね。気がつけば、楽しい楽しい夏休みも、そして幅広いジャンルのドラマが詰まりに詰まった7月クールも終了してしまいました。そこで今日は、毎度“勝手ながら”選ばせていただいております、お気に入りのドラマランキングを発表!う~ん、今回は悩みに悩んだ結果、熱き男たちの演技がキラリ光ったこちらの3作品をセレクトさせていただきました。■第1位:13年経っても変わらない久利生公平に“ほっ”――伝説のドラマ「HERO」2014年の夏クールは、このドラマ無くして語ることはできません。フジテレビ・月9に13年ぶりに見事返り咲いた伝説のドラマ「HERO」です。これまで【ドラマニア】コラムでも何度かご紹介して参りましたが、最終回を終え平均視聴率21.3%と、昨今の同枠数字と比較してとても好調な結果に。「キャストが変わって大丈夫か!?」「今の時代に久利生公平は合うのか?」など、続編放送に高まる心配の声を大きく撥ねのけ、新生「HERO」(メンバーの変化はあくまで“時代の流れ”。久利生自身も、変わっている部分と変わっていない部分が非常にリアリティあふれる形で再現されていましたよね!)として復活を遂げました。2001年の時のように、木村拓哉さん演じる久利生検事の恋愛面が描かれることがなかったのがやや残念ではありましたが…、その分、2014年らしい角度での事件・法律、深く考えさせられる部分が非常に多かった気が致します。勝村政信さんや大塚寧々さんなど懐かしいキャストのゲスト出演や、初回から大きな話題を呼んだ児玉清さんの写真出演など、作品に携わる全ての人が一丸となって挑んでいる情熱が伝わってくるドラマに仕上がっていたのではないでしょうか。先日フジテレビ社長が「また続編を…」なんておっしゃっている発言がニュースとなっていましたが、果たしてどうなる!?今後の動向から、まだまだ目が離せませんよ~。■第2位:“マニア”にはたまらない!?――10名のベテラン脚本家が描いた「おやじの背中」日曜劇場でオムニバスだなんて大丈夫!?最初はそう思ったこちらのドラマ。しかしながら、豪華10名の脚本家さんの名前を見た瞬間から、その不安は一気に期待に変わりました。実際に全ての放送を終えた今でも、「やっぱりベテランの皆さんはさすがだな」という感想を抱いております。中でも、具体的に強く印象に残っているのは、以下の3作品。坂元裕二さんの「ウエディング・マッチ」(役所広司・満島ひかり)、木皿泉さんの「ドブコ」(堀北真希・遠藤憲一)、三谷幸喜さんの「北別府さん、どうぞ」(小林隆)です。いずれの作品も、感動の“涙”はもちろん、どんな時でも決して“笑顔”を忘れないで…というメッセージが自ずと伝わってくるような、とてもコミカルな仕上がりになっていましたよね。親子ってどう描いても、つい恥ずかしくなってしまいがちな部分なのに…、それを笑わせてくれるところが本当にスゴイなぁと感動。このように、見る人によって十人十色な楽しみ方ができるのがオムニバスドラマの良いところです。自分のお気に入りの物語を見つけて、是非大切な誰かと一緒に見ていただきたいドラマとなっていますよ。■第3位:現代を代表する“演技派”が勢揃い!――涙ナシでは見られない「若者たち 2014」「昼顔」や「同窓生」など、恋愛面で面白いドラマもたくさんラインナップされていたので、今回は本当にセレクトに悩みました。…ですが、そんな中でも、様々な要素で視聴者の胸を強く打ってくれた「若者たち 2014」を抜かすことはできませんでしたね。皆さんはこのドラマ、ご覧になりましたでしょうか?主演の妻夫木聡さんを始め、瑛太さん、満島ひかりさん、柄本佑さん、野村周平さんら佐藤兄弟に、毎話「これでもか!」というくらい泣かされたこのドラマ(今思い出しても涙が出てきます…泣)。劇中の台詞にもありましが、“どこか古い臭い生き方”をしている主人公の背中が、お金の大切さ、恋愛の意義、そして“生きる”ということ難しさ…。誰もが一度はぶつかったことがあるであろう壁を、不器用ながらにブチ破っていく姿がとても印象的に映し出されていましたね。また、3人の監督が毎回それぞれの視点で演出するという試みも非常に面白く、「世代によって強調する部分が違うのかな?」と素人ながらに楽しませていただきました。役者一人一人のアップの演技に耐えうるというか、とにかく皆さん上手いんです!圧巻とはまさにこのこと(笑)。ある意味同業のライバルとして映る兄弟役の皆さんの姿を見ていて、これからのドラマ・映画界が益々楽しみになってくる、そんな一作だったのではないでしょうか。さて、次回の【ドラマニア】では10月クールドラマのラインナップをご紹介予定です。お楽しみに~。(text:Yuki Watanabe)
2014年10月08日恐怖漫画の第一人者・楳図かずおの初監督作『MOTHER マザー』が9月27日(土)に公開を迎え、楳図監督を始め、主演の片岡愛之助、舞羽美海、真行寺君枝が都内劇場で舞台挨拶に臨んだ。楳図作品の“原点”と言える楳図監督自身の母親の存在にスポットを当て、ホラー仕立てにした本作。漫画家・楳図かずお役を愛之助さんが、楳図の母の“謎”を調べる新人編集者を舞羽さん、そして楳図の母を真行寺さんが演じている。おなじみの赤白ボーダーシャツで登場した楳図監督は早速「グワシ!」で挨拶。登壇したキャスト陣を見やり「みなさんにしっかりとお芝居で表現していただき、いい映画になったと満足しています!」と自信満々に語る。楳図監督にとって本作の公開は初の監督作のお披露目であると同時に、1995年に連載を終了した漫画「14歳」以来、実に19年ぶりとなるオリジナル新作の発表となる。楳図監督は「漫画や映画というものを超えた、『14歳』と地続きの僕の中の新作。『14歳』以来、19年ぶりにみなさんに見ていただいてやっとひと息つけたなという感じです」と晴れ晴れとした表情を見せる。陽気な楳図監督の挨拶に愛之助さんもニッコリ。「いつも監督は現場でもこんな感じでホラー映画を撮ってる気がしませんでした」とふり返る。本作の楳図かずお役を始め、仮面ライダー、ドラマ「半沢直樹」のオネエの官僚など映像作品では“独特”の役柄を演じる機会が多いが、自らこの点に言及し「三谷幸喜さんに『普通の映画には出ないの?』と言われました(笑)」と告白。それでも、本作を観た三谷さんからは「普通の映画おめでとう」という祝福(?)メールが届いたそうで嬉しそうにニッコリ。また、楳図作品が自らの主戦場である歌舞伎と「共通するところが多い」とも。「女性が美しく“美”というものを意識しているところ。『グワシ』などの決めポーズは歌舞伎で言う見得(みえ)ですよね?本作にも随所に歌舞伎と共通するところがあり、すんなり入れました」と明かす。舞羽さんは、宝塚の娘役のトップから楳図作品のホラーヒロインへと華麗な(?)転身を遂げたが「まさかやるとは…(笑)」と苦笑しつつも、「現場に入るとアクションが多くて、走ったり転んだりでした」とふり返る。そして「妖しくて、美しくてスクリーンから“キレイ”がはみ出るよう!」(楳図監督)、「こんなお母さん、美しすぎませんか?」(愛之助さん)と監督&主演俳優をして言わしめるほどの妖艶な美を見せつけた真行寺さんは「子どもの頃から楳図作品のファンで、『へび少女』は19歳まで頭から離れずトラウマだった」と語り、「この映画は私にとっての先生へのリベンジです!」と不敵な笑みを浮かべていた。舞台挨拶の締めはやはり、監督、キャスト、そして観客で一斉に「グワシ」!愛之助さんの「先生はやり残したことがあるそうです」という言葉に、楳図監督は「かなり大きなシーンを(削った)。あのシーンがあったら200点だったんですが…」と少し残念そう。愛之助さんは「『MOTHER 2』でぜひやりたいと思います!」と早くも続編への意欲を口にし、会場は拍手に包まれた。『MOTHER マザー』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:マザー 2014年9月27日より全国にて公開(C) 2014「マザー」製作委員会
2014年09月27日柴咲コウ、新垣結衣に、有村架純、長澤まさみ、満島ひかり、戸田恵梨香、さらには常盤貴子と、いまをときめく美人女優ばかりと共演する、何とも贅沢な(?)男がいる。それは、北海道のローカルスターから、いまやすっかり引く手あまたの人気個性派俳優となった大泉洋だ。2014年は、劇団ひとり原作・監督、柴咲さん共演の『青天の霹靂』に主演、そしてこの秋は、北海道を舞台にした染谷将太共演の『ぶどうのなみだ』、新垣さん共演で、幽霊役となる『トワイライト ささらさや』と主演作が連続公開。いま分かっているだけでも、来年には2本の主演映画が公開となり、さらには先日、来年3月30日スタート(予定)のNHK朝の連続テレビ小説「まれ」でヒロイン・土屋太鳳の両親役を常磐さんと演じることが発表され、話題を呼んだばかり。なぜ、ここまで大泉さんがウケるのか?なぜ、芸人顔負けのユーモアセンスを持つキャラクターとは裏腹に(!?)、ヒューマンドラマにも引っ張りだこなのか、その魅力に迫った。1973年生まれ、北海道江別市出身の大泉さんは、北海学園大学在学中に演劇研究会のメンバー(森崎博之、安田顕、戸次重幸、音尾琢真)と演劇ユニット「TEAM NACS」を結成。「TEAM NACS」や、札幌市を拠点にする「劇団イナダ組」の舞台に参加していたところを、“ミスター”こと鈴井貴之氏の目にとまり、出演した北海道テレビ放送の深夜番組「水曜どうでしょう」でブレイク。北海道では押しも押されぬ人気者となり、やがて「水どう」は全国的にも人気を博すようになった。2005年、TVドラマ「救命病棟24時」第3シーズンで全国区デビュー。以後、「ハケンの品格」(’07)や大河ドラマ「龍馬伝」(’10)などに出演、09年には「赤鼻のセンセイ」で連続ドラマ初主演を果たした。映画には、鈴井氏が監督を務めた『river』(’03)、『銀のエンゼル』(’04)、内田けんじ監督の『アフタースクール』(’08)や、シリーズ化された『探偵はBARにいる』(’11/’13)、三島有紀子監督の『しあわせのパン』(’12)、三谷幸喜監督の『清洲会議』(’13)などに出演してきたほか、『千と千尋の神隠し』(’01)などのジブリ作品や『ブレイブストーリー』(’06)などでは味のある声とキャラクターで声優をこなしている。エッセイも執筆し、最近では東芝の新型家電のCMで優香と夫婦役でイメージキャラクターを務めるなど、その活躍の場は実に幅広い大泉さん。北海道が舞台となった『思い出のマーニー』では、「TEAM NACS」のメンバーが揃って声優として参加し、「僕らが生まれ育ち、現在も活動している“北海道”を舞台にしてくれているのがとても嬉しい」と、全国ブレイクを果たしてもなお、北海道にこだわり続ける郷土愛を語っていた。10月4日(土)北海道先行公開の新作『ぶどうのなみだ』は、三島監督の前作『しあわせのパン』に続く“北海道企画”の第2弾だ。同じく引っ張りだこの若手実力派・染谷さんと、演技初挑戦で映画初出演となったシンガーソングライターの安藤裕子と共演。企画は「TEAM NACS」を擁するプロダクション、クリエイティブオフィスキューの鈴井亜由美が務め、四季折々の北の大地を映し出すべくオール北海道ロケを敢行した。同作では、大きな“喪失”を抱え、父の遺した土地で一途に理想のワインづくりに励むアオという、イメージとはまた違う役柄に。安藤さん扮する謎の美女・エリカに振り回されつつも、惹かれていく男を好演している。一方、11月8日(土)より公開の深川栄洋監督作『トワイライト ささらさや』では、新垣さんと初共演で夫婦役になるも、突然の事故で亡くなってしまう夫・ユウタロウ役。「妻とまだ幼い子を遺して逝けない」と、様々な人に乗り移りながら妻を助けていく幽霊、という難役に挑んでいる。舞台で培った演技力やカンのよさで、ひとクセもふたクセもあるキャラクターや繊細な心情を秘めた人物を演じられる器用さを持つ大泉さんは、“不器用に生きる男”を演じさせたらピカイチらしい。しかも、大泉さんが相手役で共演する女優陣は、いずれも日本を代表する錚々たる美女ばかり。意外な“モテ”俳優でもあるのだ。2015年には、『クライマーズ・ハイ』『わが母の記』の原田眞人監督による時代劇『駆込み女と駆出し男』で、戸田さん、満島さんと共演。大泉さんが演じるのは、江戸時代、駆け込み女たちの人生のリセットをお手伝いする医者見習いの主人公・中村信次郎で、戸田さんと満島さんは、そんな大泉さんのもとに“駆け込む”女性たちを演じるという。また、現代日本で起きたゾンビパニックを描く人気コミックの実写映画化『アイアムアヒーロー』の主演にも抜擢。サエない非モテ男子の漫画家アシスタント役で、共演の有村さんが“ZQN(ゾキュン/作中でのゾンビの名称)”に噛まれてしまう女子高生に、2人が出会う“ヤブ”な看護師には長澤さんが扮している。監督は『GANTZ』シリーズの佐藤信介。大泉さんが、かつてない極限の世界でいかに等身大ヒーローになれるかが鍵となる。さらに、「あまちゃん」「ごちそうさん」、そしてついにフィナーレを迎える「花子とアン」と高視聴率をキープし、国民的ブレイク俳優を次々生み出している“朝ドラ”にも、ついに進出を果たす大泉さん。2015年は、老若男女から支持される“お茶の間の顔”になっているかもしれない。(text:cinemacafe.net)
2014年09月26日三谷幸喜が書き下ろし、演出を手がける舞台『紫式部ダイアリー』が11月、PARCO劇場に登場する。「男が出てこない作品を書いたことがなかった」と語る三谷が初めて挑んだ女優ふたり芝居である。現代を生きる紫式部と清少納言、ふたりの女流作家による痛快バトルが描かれた物語で競演するのは、初顔合わせとなる長澤まさみと斉藤由貴。三谷作品は『君となら』(1995年初演、1997年再演)以来、およそ20年ぶりの再挑戦となる斉藤に、過去のエピソードや新作舞台にかける思いを聞いた。舞台『紫式部ダイアリー』チケット情報「『君となら』初演の時は、三谷さんは台本を書くことで精一杯で、いっぺんも稽古場に来なかったんですよ。私たち出演者は、毎日ファックスに少しずつ届く台本を待って、稽古をしていました。最終的に台本が全部あがったのは、幕が開く十日前くらいだったでしょうか。今回は、三谷さんご自身が演出されるので台本を遅らせるわけにはいかないでしょうね。でも逆に完成が遅ければ“台本の完成が遅かったからせりふを覚えられなかったんです!”という言い訳ができるかな~なんてズルいことを考えたりして(笑)」つまり、三谷と実質的に力を合わせての舞台作りは今回が初体験。「楽しみだけれどドキドキする」とチャーミングに笑いながら、人間・三谷を信頼を込めて鋭く見つめている。「三谷さんってパッと見は、オドオドした低姿勢風なアプローチをしているじゃないですか。でも実はすごいファシストな面を持っているんじゃないかと(笑)。自信満々で、絶対にこう!と思ったことを曲げない強さがあるような気がする。自分の作品を打ち出す人には当然、そうであって欲しいと思うんです」さらに、ふたり芝居という高き壁にともに向かう事務所の後輩、長澤に対しても「先輩、後輩というのはまったく関係なし」と同志の瞳を向けた。「まさみちゃんは感受性が豊かで、ピーンと張った琴線のようなものを持っているイメージがあります。おそらく尖った部分も持ち合わせているはず。でもそれは女優の種として必要不可欠。それがあるから素敵だし、この人好きだなと思えるんですよね」目下の最大の不安は「せりふが覚えられるかどうか。とにかくせりふ覚えが悪いんです。三谷さんに“せりふは三行以内で”とお願いしたい(笑)」。だが、刺激的なオンナふたり芝居への好奇心は高まるばかり。三谷ワールドに飛び込む態勢は万全だ。「若く美しくて飛ぶ鳥を落とす勢いの紫式部(長澤)と、年齢を重ねるほどに先行きに不安を感じる清少納言(斉藤)の構図は、きっと多くの皆さんがイメージされるんじゃないかと。ま、私自身はそれほど不安を抱えちゃあいませんが(笑)。でもやっぱり女性として、年々お肌の悩みなどは出てきます。マゾじゃないけど、そうした等身大の不安を舞台上で表現するのは面白い経験になるだろうなと。楽しんで取り組みたいと思います」公演は11月1日(土)から30日(日)まで東京・PARCO劇場にて。チケットの一般発売は9月20日(土)午前10時より。取材・文上野紀子
2014年09月19日三谷幸喜や倉本聰ら10人の脚本家と、大泉洋に役所広司、満島ひかりら10組の豪華俳優陣が10の物語を紡ぐドラマ「おやじの背中」(TBS)。このほど、堀北真希が本作で女性警察官役に初挑戦し、制服姿を披露することが明らかとなった。本作で堀北さんが出演するのは、「野ブタ。をプロデュース」(’05)や「Q10」(’10)などをヒット作を手がけてきた木皿泉が脚本を務める一篇「ドブコ」。物語は、堀北さん演じる女性警察官・三冬が同僚で幼なじみの男性警察官から披露宴を欠席するよう頼まれるところから始まる。婚約者が嫉妬するほど親しかった幼なじみから断られ、釈然としない三冬だったが、父親の正(遠藤憲一)がこのことを知り、頼まれもしないのに仲裁に入り、話がこじれてしまうというもの。堀北さんが木皿作品に出演するのは、「野ブタ。をプロデュース」以来9年ぶりとなるが、コミカルな展開も木皿作品でどんな演技を見せてくれるのか。そのほか、本作以外に脚本を担当するのは、池端俊策(出演:大泉洋)、井上由美子、岡田惠和(出演:田村正和&松たか子)、木皿泉、倉本聰(出演:西田敏行・演出:石橋冠)、橋部敦子、三谷幸喜、山田太一。数々のヒット作、話題作で時代を切り取ってきたドラマの達人たちが顔を揃えている。日曜劇場「おやじの背中」の一篇「ドブコ」は、7月5日(土)よりクランクインを予定。(text:cinemacafe.net)
2014年07月01日入江甚儀、20歳。時折、年相応と言える笑顔をのぞかせるが、インタビューが進むにつれてその落ち着いた佇まいと口調から「本当にまだ20歳?」と疑いたくなってしまう。一方で当人は「もう20歳」と感じているという。ドラマに映画、舞台と活躍の場を広げ、NHKの大河ドラマ「軍師官兵衛」にも出演するなど確実に成長を遂げているように見えるが、自らの歩みについて「自分の中ではまだまだ遅いと思ってます」と毅然と語る。ブレイクの萌芽を抱えた20歳は成長を、変革を、ほとばしるエネルギーを発散する舞台を渇望している――。そんな彼にとって武者修行の場として最適と言えるかもしれない。先日より放送がスタートしたドラマ「闇金ウシジマくんSeason2」に入江さんはレギュラー出演を果たしている。10日で5割という暴利の闇金業者「カウカウファイナンス」を営むウシジマとそれでも彼に金を借りに来る切羽詰まった債務者たちの姿を描き、2010年に深夜ドラマとして異例の高視聴率を記録。映画化を経て、連ドラのシーズン2が製作された。入江さんは読者モデルとして名を上げることを志し、やがて悪事へと手を染めていく若者・中田を演じている。本シリーズでウシジマという当たり役をものにした主演の山田孝之を中心に、すでにシーズン1で完成している「ウシジマくん」の世界に飛び込んでいくプレッシャーと緊張感というのはどれほどのものか?「山田さんにやべ(きょうすけ)さん、崎本(大海)さんの3人が揃ってると怖いですよ」と苦笑を浮かべるが、俳優として物怖じすることはなかった。「確かに以前からのみなさんがいて、世界観が出来上がってはいるんですが、このドラマ自体、金を借りに行く側の人間が主体的に存在し、そこに金を貸す『カウカウファイナンス』の人間がいて…という関係性の中で成り立っている作品。だから世界観や空気感になじむことを考えるというより、まず自分の役をきちんと表現するというところからだなという思いが強かったです。それができれば、あとはウシジマくんがいるだけでこの世界の匂いをしっかりと感じさせてくれるので」。中田というのは決して人間として好意を持てる男ではない。「目先の利益に飛びつくタイプで飛びついたら食い散らかして、そこで何かを手にしたはいいけど、見渡すと恋人も友達もいなくなっている。考えが浅はかなんです」と入江さん。「演じる上ではヘラヘラしている感じは意識しましたね。何か疑問に思っても、それを受け止めきれずに流れてしまう。ちゃんと考える人間というのは一度、自分の中で飲みこんで、考えて『こうしよう』となるけど、それができないヤツは笑ったり、黙ってごまかしてしまうと思う。だからヘラヘラしながら、何かに突っかかりを感じても、すぐに『そうっすよね~』とスルーしちゃうような薄っぺらさというのが出せればと思いました」。散々な言いようではあるが、一方で中田を単なるダメな男とは思わない。嫉妬や羨望、野望、人間臭さ…。語弊を怖れず言えば「共感」や「似たもの」を感じているとも言う。「『似てない』と言ったら嘘になると思います。それは中田に限らず、他の役にも感じるし、自分の中に同じような部分があるからこそこのドラマを見て分かるところがあるし『こうはなりたくない』とも思えるんだと思う。中田は『有名になりたい』と思って芸能界にも片足を突っ込んでるけど、僕自身もいま、こういう仕事をさせてもらってて、服を買うのも好きだし上を目指したいって気持ちもすごく強い。そこにはリスクを背負わなくちゃいけない部分もあって、でも中田はそれをうまくコントロールできずに利益だけを求めて堕ちていく。どこかで一歩間違えれば自分も…というのは感じますよ」。そう、単に崖っぷちに立った人間の転落や債務に沈んでいく“負け組”のドラマを見せるだけではないのが本作の特徴。目を背けたくなるのは自分の中にも確実にある感情が描かれているからでもある。ではそこで一線を越えてしまう人間と踏みとどまる人間の違いはどこにあるのか?入江さんは「自分を信じ切れるかどうか」とうなずく。「自分を信じられないからお金の力を借りようとしてしまう。不安で『もっと必要なものがある』と足りないものを埋めようと金を借りてしまうんでしょうね。中田を演じて、改めて感じたのは成長しないヤツだなってこと。成長した気になってるけど、最初から最後まで外見はグレードアップしても中身は変わらない。空回りって言葉がピッタリなんです。何でそうなったのか?順番を間違えたんだと思います。オシャレが好きだから働いて、お金を貯めて好きな服を買って、そこで少しずつ評判を手にして内面も磨きがかかって…と成長していけばいいのに、いきなり金がないから借りる(笑)。苦労しないから身に着かなかったんですね」。入江さん自身は買い物するにも「迷って迷って…というタイプ(笑)」とのこと。親元を離れて一人暮らしを始めて「単純なことですが、遣えばお金はなくなっていくものなんだと実感しました。家にいた頃はお金がどこから出てくるのかさえも分かってなかった」と首を振る。ちなみに、これまでで一番大きな買い物は「思い切って買った革ジャケット」だという。「自分の中で『変わりたい』という思いがあって買いました。それを買ったことで人生の直線にひとつ大きな丸い点が付けられたような気はしています。もちろん、買ったから変わったと思うの浅はかですが、少なくとも“これを着るからには良い仕事しなきゃ”っていう責任やプレッシャーを背負うところはあります。何にせよ、買い物をするときは、この仕事にどう活かせるかってことは常に意識してますね」。自ら事務所のオーディションに応募して芸能界を志したのが中学2年生の時。見事合格するが、そのわずか3日後に連続ドラマのレギュラー出演が決定したというのは語り草である。その後も初舞台で主演を務め、次々とドラマに出演するなど、順調すぎるキャリアを歩んできた。もちろん、それは傍から見てのこと。当人はひとつずつの作品の中で時に葛藤し、もがき、実績を積み重ねてきた。デビューからドラマに映画、舞台とひと通りの作品をこなし、“ふた回り目”と言える周回に入った近年、確実に自分の中の変化や成長を感じている。「去年は特にいろんな監督に出会い、いろんな共演者の方々と仕事をさせていただき、いろんな意見を聞いていろいろ試して、芝居に対する考え方が大きく変わりましたね。特に『ロスト・イン・ヨンカーズ』(三谷幸喜演出)はすごく大きかったです。3か月ずっとあの舞台の世界に居させてもらえたというのは、なかなかない経験で、役者として大きな転換点になった気がしています。改めて感じるのは、お芝居って総合力であり、相手がいてこそ成り立つということ。ただ前に出ればいいってものではないし、時に自分がグイと出ることも必要だし、逆に引くことで自分が生きることもある。駆け引きの面白さを感じました」。経験が自身の血肉になると同時に、自分に足りないものも強く感じるようになった。「これまでは脚本を読んで、パッと自分の中に沸いたイマジネーションに芝居で近づいていくという作業が多かったんですが、それだけじゃ足りない場面が出てくるんです。もっともっと、普段から役作りをしていきたい。それからまだまだできないことがたくさんあって、殺陣もダンスも歌も全然できない。出来ることだけやっていると必ず行き詰まる時が来る。努力しないと演じられない役に挑戦したい。いつか、それができるようになった時にもう一度、原点に戻って“何もしない”役をやってみたいですね」。最後にもうひとつだけ。「年下のカレ」というこのインタビュー企画に合わせて恋愛観を尋ねると、ここでも動じることなく「互いに意見を言い合える仲でありたいですね。“言葉で言わなくても感じて”という部分は、付き合うと出てくると思うけど、そこに頼りたくないんです。伝えたいことはお互いに伝えて理解して、分かり合いたい」と確固たる答えが返ってきた。「年上の女性も大丈夫?」と訊くと、最後の最後で子供のようにはにかんだ表情を見せてくれた。「経験がないので…でも、大丈夫です(笑)!」<プロフィール>入江甚儀1993年5月18日生まれ 東京都出身身長181cm血液型O型「Colorful」(’10)、「人狼ゲーム」(’13)、舞台「ロストインヨンカーズ」(三谷幸喜演出/’13)など、映画・ドラマ・CM・舞台など幅広く活躍中。現在放送中のドラマ「闇金ウシジマくん Season2」のほか、NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」(’14)にも出演中。「キカイダーREBOOT」(’14・5月公開)に主演決定。<作品>TVドラマ「闇金ウシジマくん Season2」MBS・TBSほか深夜にて放送中!(そのほか地域の放送局情報は公式サイトにて随時更新中)TBS:毎週木曜24:58~/MBS:毎週木曜 24:59~※放送日時は、変更となる場合がございます。<ストーリー>まっとうな金融機関からはもう借りられない「後がない」客に金を貸し、10日で5割という法外な金利をむしり取る闇金カウカウファイナンス。その社長を務めるウシジマのクールな眼差しが捉える群像劇を描いたコミックが真鍋昌平の『闇金ウシジマくん』だ。2010年に深夜ドラマ化されて異例の高視聴率を記録し、2012年公開の劇場版も大ヒット。そのウシジマくんとカウカウファイナンスが、ファン待望の新シリーズとなって深夜ドラマ枠に帰ってきた!ホストや風俗、アルコールやギャンブルといったものに依存する人たちや、有名になりたい、金持ちになりたい、性欲を満たしたい、働かずに暮らしたいといった欲望に取り憑かれた人々の人間模様を描き出す本作。視聴者はきっと、「こうならないように明日から頑張ろう……!」と、不思議とポジティブになれるはず。また、新シリーズにおけるキャスティングの目玉として、山田孝之の盟友・綾野剛がウシジマの幼なじみ役【戌亥】として登場。裏の世界にも通じている情報屋として、ウシジマの依頼を受けての活躍に乞うご期待。<出演者>山田孝之綾野剛、崎本大海、やべきょうすけ、武田航平、入江甚儀、絵美里原作・真鍋昌平『闇金ウシジマくん』(小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中)企画・プロデュース山口雅俊脚本福間正浩演出山口雅俊白川士遠藤光貴コピーライト(C)2014真鍋昌平・小学館/「闇金ウシジマくん2」製作委員会・MBS(photo / text:Naoki Kurozu)
2014年02月06日瞬間最高視聴率はなんと関東46.7%、関西で50.4%という2013年の化け物ドラマ『半沢直樹』(TBS系)。1977年以降の民放のテレビドラマ史上第1位という金字塔を打ち立てた堺雅人さんを超えるようなスターは生まれるのでしょうか?テレビでもお馴染み、人気手相占い芸人の島田秀平さんをはじめ、有名人気占い師100人で占った結果がこちらのランキング。2014年のお茶の間の話題を独占するのは誰になるのか。さっそく上位10人の予想を見ていきましょう!【2014年 お茶の間スター予想ランキング】1位妻夫木聡2位大野智3位水嶋ヒロ4位福山雅治5位堺雅人6位松本潤7位生瀬勝久8位岡田将生9位二宮和也10位佐藤健みごとトップに輝いたのは、トヨタやロト7のCMでのコミカルな演技も話題の妻夫木聡さんです!☆占い師さんからのコメント・前半はスキャンダルに注意。「もう終わったこと」をほじくり出される。余計な釈明は火に油を注ぐだけなので、黙して語らずで。後半は運気上昇。賞を取る、著名な監督の作品に参加するなど華やかな出来事も。(天城映先生│365誕生日大占術)・自由で感性の人で、仕事にもそんな面が出てくる人ですね。こだわりが強くて、マニアックな趣味か、変わった恋愛をもともとしやすいタイプでは?見た目とつき合ってみたときの印象がぜんぜん違いますね。2014年はおもしろい仕事のオファーがきそうです。(菅野鈴子先生│原宿の母)・2014年、仕事運的にはとても脚光を浴びやすい年となるでしょう。海外からのオファーが来たり、意外な悪役などで今までの殻を破るような面が見られるかもしれません。頭でっかちになってしまうところがあるようなので、考え過ぎずに飛び込むと成功しやすいでしょう。冬と5月の健康とトラブルに注意。(0学会本部│開祖★0学占術)爽やかな笑顔と確かな演技力で人気俳優としての地位を確立してきた妻夫木さん。第34回日本アカデミー賞で最優秀主演男優賞を受賞した『悪人』では、これまでのイメージを一変させる役作りで、観客を驚かせました。数々のテレビドラマ、映画に出演し受賞も多数。2013年11月公開の映画『清須会議』においても、三谷幸喜監督から「植木等の後を継ぐのは妻夫木聡」と太鼓判を押されるほど高評価を受けています。1月11日からはコメディー映画『ジャッジ!』がスタート。その後も続々と出演作の公開が控える今年、妻夫木旋風が日本中を席巻するのかもしれません。3位にランクインしている水嶋ヒロさんも要注目株。小説家に転身して、俳優としての表舞台から退いていましたが、このたび、1月18日公開の映画『黒執事』で本格復帰することに。占い結果を見ると、今回のカムバックはかなり華々しいものになりそうですね。今後の活躍から目が離せません!5位にはなんと再び、視聴率王・堺雅人さんの名前が。あの男、今年もまたやってくれるのでしょうか?そんな中、並みいるイケメン俳優を抑えて、名バイプレイヤーである生瀬勝久さんが7位にランクイン!『リーガル・ハイ』の第1シーズンで、堺雅人さんのライバル役として独特の存在感を放っていた生瀬さんは、2010年に、10年来、脇役ながら強烈なキャラクターを演じ続けた『TRICK』(テレビ朝日系)のスピンオフドラマ『警部補矢部謙三』でドラマ初主演するなど(2013年に第2シーズンがありましたね)、着実にスターへの階段を上っています。1月11日には、その集大成ともいえる『TRICK トリック -劇場版- ラストステージ』が公開されます。お茶の間を沸かすスターはイケメンで当たり前。そんな常識を覆し、2014年に並み居るイケメンスターたちを押しのけて生瀬さんが大輪の花を咲かせる……そんなどんでん返しを見せてくれることに期待を寄せるのって邪道でしょうか。(文=総合占術研究家橘のえる)100人の占い師が2014年の運勢を大予想!「2014年cocoloni超運ランキング」
2014年01月03日WOWOWは、三谷幸喜の脚本・監督による"完全ワンシーンワンカット"のドラマ『大空港2013』を29日(22:00~)に放送する。2011年に放送された『short cut』と同じく、100分間、カメラを止めずに最後まで撮り続ける"完全ワンシーンワンカット"で挑んだ同ドラマ。長野の松本空港を舞台に、空港職員と乗客の家族が繰り広げる群像劇を描いたコメディで、人間の視点に近い臨場感あふれる作品に仕上がっている。そこで、三谷監督と空港のグランドスタッフ役で主演を務めた女優・竹内結子に話を聞いた。――"完全ワンシーンワンカット"でドラマを撮る意味とは何でしょうか?三谷監督「俳優の魅力を引き出す良い手法だと思ってます。カットを割って撮るのも集中力が必要だけど、ブツ切りだから芝居が嘘になってくる。例えば、100分間、1人の人間を演じ続けていると、疲労も溜まってくるし、演じている人間の素の部分が確実に出てくるから、舞台に近いとは思います。今回は、山道を一直線だった前作と違って、屋上に行ったり2階に行ったり。位置的にも物語的にも交錯しているので、難易度がはるかに高かった」――この手法で撮ろうと思ったきっかけを教えてください。三谷監督「元々舞台の人間なので、舞台と映像の手法の合わせ技が何か出来ないかと思って。映像派の監督でもない僕が出来る演出は、俳優と向かい合って良さを引き出すこと。その点、長回しはすごく効果的なんです」竹内「私は舞台未経験ですが、お芝居をし続けることは舞台みたいな感じなのかなと。でも、カメラで撮っているので、見切れたり、入るタイミングを計算してお芝居をしなければいけないので映像っぽくもあるし。とても新鮮でした」三谷監督「舞台より全然難しいですよ。立ち位置も寸分の狂いも無いようにしないとNGだから、俳優はすごく大変」――竹内さん、オファー時の心境とお芝居をした感想を教えてください。竹内「最初は面白そうだなというワクワク感が強かった。でも、よく考えると観るのは面白いけど、あっち側にいくのかと考えた瞬間にゾッとしました。『大変なものを受けてしまった』って(笑)。でも、演じている時はちょっとした興奮状態でしたね。撮影監督の山本英夫さんらと息を合わせながら、共演者みんなが立ち位置を調整し合う感じでした。色んな人が色んなことを考えながら、こんなにチームプレイでお芝居することはなかなか無いと思う。撮影後のプレビューでも、『何で覚えられないんだろう……』って悩んでると、生瀬さんや香川さんが『大丈夫!やれるよ!』って励ましてくれました」――5日間の撮影で1日1テイクという状況で、三谷監督は仕掛けをしていたそうですね。三谷監督「3日目くらいからスタッフワークは良くなるんだけど、俳優さんの演技は慣れてくるんです。より新鮮味を持たせるために、相手役の人だけにアドリブを言ってもらって生のリアクションを楽しむ。実を言うと前回、山本さんの後に付いて行ったら僕が見切れちゃって、NGを出しました。今回は反省して、スタッフ部屋で待機してたから、本番中にやる事がなくてイタズラをしてました」竹内「私はてんやわんやですよ~!歩く道すがら、色んな爆弾が仕掛けられているので、それをかいくぐっていく感じ。素で動揺してる場面もあるけど、アドリブが投下されても、この共演者の皆さんとなら何とかなる!大丈夫!と」三谷監督「笑ったらバラエティになっちゃうから、そこは僕と俳優たちとのせめぎ合いですよね。信頼関係があるからこそ出来ること」――撮影を終えて思うことはありますか?竹内「やってみたいなと思っていたものに近づきました。でも、舞台は怖い話をいっぱい聞くので。いきなりセリフを忘れたり、監督みたいに地雷を仕掛けられたら怖いなぁと」三谷監督「竹内さんとやりたいと思ったきっかけは、『ステキな隠し撮り~完全無欠のコンシェルジュ~』なんです。その時に、竹内さんは転んだのに芝居を続けてて、本当に面白かった。もっと映像畑の方かなと思ってたけど、何があっても対処出来るし舞台に向いてるなと。ミュージカルとかどう?」竹内「歌はちょっと…。今は前向きではありませんね(笑)」――三谷監督、"完全ワンシーンワンカット"ドラマの今後の構想はありますか?三谷監督「ワンシーンワンカットの可能性を突き詰めていきたいので、更に難易度の高いものをやりたいと思っています。撮影の山本さんありきの企画なので、『南の島が舞台で水中シーンから始まって陸に上がっていくのは?』って話したら、カメラに水滴がついても拭けないから無理だと。最後に潜るのは大丈夫って言ってたけど」竹内「どのタイミングでボンベを付けるんでしょうね(笑)」――ありがとうございました。では、最後にドラマのPRをお願いします。竹内「ワンカットだということを途中で忘れてしまうほど、撮影の山本さんが観ている世界に引き込まれていきますよ。ご覧いただく皆さんが一緒にてんやわんやを体験しているような感覚になると思うし、そういう意味でも面白い作品です」三谷監督「どうやって撮ったんだろう? っていう興味で観てもらえると思うけど、知らないで観ると、ワンカットだと分からないままだと思う。そんなのめり込む作品にしたいと山本さんと話していたので、『何か分からないけど、このドラマは集中するね』って思ってくれれば正解かな」ドラマW三谷幸喜『大空港2013』三谷幸喜の脚本・監督による"完全ワンシーンワンカット"のドラマ第2弾。長野の松本空港で働くグランドスタッフの大河内千草(竹内結子)は、天候不良で羽田空港に着陸できずに降り立った田野倉一家のアテンドをすることに。飛行機を待つ間、家族に隠し事がある父親の守男(香川照之)やお金に困っているライターの蔵之介(生瀬勝久)ら田野倉一家に、謎の女性(戸田恵梨香)、パイロット姿の男(オダギリジョー)らも加わった大騒動が巻き起こる――というストーリーで、放送はWOWOWで29日22時~。また、同ドラマを撮影したカメラマン・山本英夫を追うノンフィクションW「撮影監督・山本英夫~三谷幸喜の夢を撮る~」も、27日22時から放送する。
2013年12月28日女優の竹内結子と三谷幸喜監督が20日、都内で行われたドラマW三谷幸喜『大空港2013』の完成披露試写会に出席した。三谷が脚本と監督を手掛けた同ドラマは、"完全ワンシーンワンカット"で撮られた群像コメディ。長野・松本空港で働くグランドスタッフの大河内(竹内)は、羽田空港の天候不良で空港に降り立った田野倉一家が引き起こす騒動に巻き込まれていく――というストーリーで、キャストは竹内のほか、香川照之、生瀬勝久、戸田恵梨香、オダギリジョーらが出演している。ドラマは、WOWOWプライムで29日に(22:00~)放送。昨年11月に放送された前作『short cut』に続き、"完全ワンシーンワンカット"に挑んだ三谷は、「お客さんの反応を見て、僕の原点はここだと思いました」と満足げな笑みを見せ、「カメラの存在を感じさせないから、俳優たちを見る作品。ワンカットならではの俳優の底力や魅力が出ていると思う」とドラマの出来に自信たっぷり。一方、「前作を見て面白いな~と思っていたので、すぐに飛びつきました。でも、自分は演じる方なんだと考えたらゾッとした」とオファー時の心境を語った竹内は、「カットをかけずに撮影したことを感じさせないくらい、のめり込める内容になってます」と笑顔でアピールした。また、長野ロケに行く前日に台本の後半をもらったという竹内は、「泣きながら覚えました。台本は早くください!」と三谷に懇願して笑いを誘いつつ、1日1テイクのみの5日間の撮影を、「役者陣は日に日に結束していきましたね。一瞬も気を抜かずにやっていたので、みんなで頑張ろうぜという雰囲気だった」と楽しんだ様子。また、役者陣には内緒でアドリブを用意していたという三谷は、「やればやる程、セリフが馴染んできちゃうから、4テイク目から仕掛けを用意した。戸惑ったらそこで終わりだから、役者を信頼しているからこそ出来ること」と明かすと、竹内は「投下されるアドリブ爆弾に必死でした」と苦笑いしていた。
2013年12月21日元AKB48の秋元才加が来年2月に東京・PARCO劇場で上演される三谷幸喜作・演出の舞台『国民の映画』に出演することが決まった。秋元はAKB48卒業後初の舞台出演となる。同作は2011年3月に初演、2012年に第19回読売演劇大賞、紀伊國屋演劇賞など数々の演劇賞に輝いた三谷の代表作のひとつ。1940年代のドイツ・ベルリンを舞台に、宣伝大臣ベッゲルスと映画人たちとの間で繰り広げられる人間ドラマを描く。出演には、2012年に本作で読売演劇大賞最優秀男優賞に輝いた小日向文世をはじめ、段田安則、吉田羊、シルビア・グラブ、新妻聖子、今井朋彦、小林隆、平岳大、小林勝也、風間杜夫らが再び顔を揃えるほか、今回新たにに三谷作品初参加となる渡辺徹と秋元才加をキャスティング。渡辺は空軍元帥ゲーリング役、秋元は新進女優エルザ役を演じる。AKB48卒業後初の舞台出演となる秋元は「最初にこのお話を頂いた時、「え、あの三谷幸喜さんの作品ですか?」と驚いてしまいました。三谷幸喜さんの作品にこんなに早く出演させて頂けるなんて。AKB48を卒業して、最初の舞台が三谷幸喜作品という事でいいスタートを切れるように精一杯努力していくつもりです!共演者の皆様にがむしゃらに食らいつきながらも、沢山学ばせて頂きたいと思います!応援よろしくお願いします」とコメントを寄せている。公演は2014年2月8日(土)から3月9日(日)まで。チケットの一般発売は2013年12月上旬を予定。
2013年09月11日78歳のいまも歌に、舞台に、世の悩める仔羊たちの相談にと活動を続ける、美輪明宏。そんな彼の魅力のすべてを伝える、NHKの特集番組「真夏の夜の美輪明宏スペシャル」が8月21日(水)に放送されることが決定。本番組にて宮沢りえが出演していることが明らかとなった。今年5月に、三谷幸喜が脚本・演出を務めた舞台「おのれナポレオン」で、天海祐希に代わり、見事に代役を務めた宮沢さん。本番組では、美輪さんが宮沢さんに伝えるのは「人生開運の法則」だ。今回、初めて美輪さんの自宅を訪問し、対談を敢行。今秋、彼女は野田秀樹演出の舞台「MIWA」で美輪明宏役を演じる予定だ。「どうやって美輪さんを演じれば?」――三輪さんの教えは、演技論・役者論を超えて人生論まで深まり、宮沢さんは感極まって涙を流す場面も…。一方、スタジオでは彼の人生をふり返りながら、盟友・黒柳徹子とのトークも。テレビの創成記に青春を送った2人が共に生きた“日本の青春時代”が明かされる。さらに、1968年に主演して以来、彼のライフワークともいえる舞台「黒蜥蜴」。その制作の舞台裏を半年もの間追った、芸術家・美輪明宏の素顔、また7月に故郷・長崎で音楽会を開く彼を追い、被爆した少年時代そして後の「ヨイトマケの唄」誕生の秘密にも迫っていく密着ドキュメンタリーも収められている。特集番組「真夏の夜の美輪明宏スペシャル」はNHKにて8月21日(水)22:00~放送。(text:cinemacafe.net)
2013年08月20日主演に妻夫木聡、ヒロインに北川景子を迎えて、大手広告代理店を舞台に描いたコメディ映画『ジャッジ!』が2014年の1月に公開されることが決定した。妻夫木さん演じる主人公・太田喜一郎は、大手広告代理店に勤める新人広告マン。会社の上司に押し付けられ、世界最大の広告祭に審査員として参加することになる。さらに、毎夜開かれるパーティに同伴者が必要なため、「太田」喜一郎と同じ苗字の、会社の同僚「大田」ひかり(北川景子)は、“偽夫婦”として嫌々ながらも同行することになるのだが…。脚本はCMプランナーとしてソフトバンクの「ホワイト家族」シリーズや、妻夫木さんがのび太役で出演しているトヨタの「ドラえもん」シリーズなどを手がける澤本嘉光。監督は、CMディレクターとしてトヨタの「TOYOTOWN」やサントリー「グリーンDAKARA」などの話題作を多数手掛け、2012年にACC CM FESTIVAL クラフト部門「ディレクター賞」を受賞した永井聡。CM業界の酸いも甘いも知り尽くした2人だから描くことのできる、世界観や演出に映画ファンのみならず、クリエティブに携わる全ての人が思わず興味を抱くはずだ。そんな2人からは、「犬のお父さんなどのCMを作って来て得てきたものを100%以上注ぎ込んだ映画にできそうです」(澤本さん)、「自分が普段働いている業界が舞台なので、ノンフィクションの部分を楽しんで探してもらえればと思います」(永井さん)と意気込み十分のコメントも寄せれられている。三谷幸喜監督作品(『ザ・マジックアワー』、『ステキな金縛り』)や矢口史靖監督作品(『ハッピーフライト』、『ロボジー』)などの数々のヒット作を世に送り出してきたフジテレビが、松竹とタッグを組み、新たな才能とともに取り組むこのビッグプロジェクト。映画『ジャッジ!』は、今年8月上旬にクランクイン、9月中旬にクランクアップを予定。公開は2014年1月、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ジャッジ! 2014年1月、全国にて公開
2013年07月09日日本の演劇界を牽引するふたり、野田秀樹と三谷幸喜が初タッグを組んだ舞台『おのれナポレオン』が4月9日(火)、東京芸術劇場で初日の幕を開ける。三谷が劇作と演出を手掛け、野田は自身が書いた作品以外ではほぼ初めて俳優として出演する話題作。さらに共演者の顔ぶれも豪華だ。天海祐希、山本耕史、内野聖陽ら主役級の俳優が集結。開幕に先立ち、6日と7日にプレビュー公演が行われた。「おのれナポレオン」チケット情報病死か毒殺か?英雄ナポレオンの死の謎を、三谷が独自の解釈を加えた歴史ミステリーとして描いている。絶海の孤島セントヘレナ島に幽閉され、退屈で窮屈な毎日を送るナポレオン(野田)。彼は愛人・アルヴィーヌ(天海)とその夫で副官のシャルル・モントロン(山本)らと一緒に、読書やピアノ、お芝居ごっこをして有り余る時間を浪費して過ごしている。身の回りの世話は従僕マルシャン(浅利陽介)の仕事だ。主治医のアントンマルキ(今井朋彦)は、監視役の島の総督ハドソン・ロウ(内野)に、ナポレオンを“皇帝”として扱ってほしいと頼むが、ロウは“捕虜”だといって取り合わない。そんな中、ある事件をキッカケに何者かによるナポレオン殺害の企みが発覚し……。物語はナポレオンの死後、20年近い歳月を経たパリで、その死に疑問をもったセントヘレナ出身の医学生が関係者をひとりずつ訪問する形で始まる。彼らがナポレオンとの思い出話を語りだすと、いつしか当時の姿に変わり、一瞬のうちにパリから島へと時空を超える。ワンシチュエーションものが得意な三谷には珍しく、時間と空間が大きく広がりをもった設定になっている。また、通常とは異なるステージの形状にも注目したい。客席が舞台の左右にも設けられ、四角いステージを三方から取り囲む形になっている。そのためセットはごくシンプルに、椅子とベッド、それにナポレオンが好きだったというチェスなど、最低限の装置だけ。その分俳優の芝居に委ねられるところは大きいが、そこは演技巧者の面々だけに、三谷の期待に充分応えていたと言えよう。野田は子どものような無邪気さで舞台を走り回っていたかと思えば、天海とのラブシーンでは男の一面を見せたりと、振り幅の広さを存分に発揮。天才と言われた一方、エキセントリックな性格のナポレオンを体現していた。愛人役の天海は野田との息もぴったりで、コミカルな演技で笑いを誘いながらも愛情と打算に揺れる女心を好演。内野は野田ナポレオンを虐待する役だが、単純に憎んでいるだけではない複雑な心情をみせていた。緻密に描かれた人間関係とエピソードの数々は、やがて明らかになるナポレオンの一世一代の企みへと繋がっていく。それは、三谷が物語の中に仕込んだ壮大な仕掛けにほかならない。公演は5月12日(日)まで。なお、5月9日(木)19:00の公演の模様を全国の公共劇場および映画館にて生中継配信する。
2013年04月09日テレビでは多くのドラマが放映されています。視聴率が悪く、打ち切りになるものもありますが、視聴率が良く、多くの視聴者の心を打ったドラマはずっと記憶に残ります。皆さんが今までに見た中で「生涯最高だ!」と思ったドラマは何でしょうか?調査期間:2013/2/1~2013/2/6アンケート対象:マイナビニュース会員有効回答数 1,000件(ウェブログイン式)「あなたが生涯最高!と思うドラマは何ですか?」と聞いたところ、結果は以下のようになりました。●第1位『-JIN- 仁』●第2位『やまとなでしこ』●同2位『ロングバーケーション』●第4位『相棒』●第5位『踊る大捜査線』●第6位『オレンジデイズ』●第7位『リーガルハイ』●第8位『家政婦のミタ』●同8位『東京ラブストーリー』●第10位『ホタルノヒカリ』■なぜそのドラマが好き?そのドラマが最高な理由を聞きましたので紹介します。●『-JIN- 仁』時代考証も医療監修もしっかりしているのに、そこだけに頼らず、人間模様も繊細に描かれていて見応えがあった。(26歳/女性)●『やまとなでしこ』愛よりお金とはっきり言いきるところがいい。女は27歳が一番きれい、だから27歳で結婚すると言っていた主人公のとおり、自分の目標も結婚27歳だった。(28歳/女性)●『ロングバーケーション』大人の恋愛。子供心に憧れたし、なのにピュアさもある。出演者も良かった。(28歳/女性)●『相棒』思わず一緒に推理してしまう。1話完結なので見やすいし、警察の組織事情もよく描かれている。(28歳/女性)●『踊る大捜査線』コメディとシリアスのバランスが良く、恋愛一辺倒のドラマじゃないことが非常に新鮮だった。(25歳/女性)●『オレンジデイズ』柴咲コウさんが、耳の聞こえない役でほとんどセリフがないのに名演技だったから。あんな大学生活に憧れました。(25歳/女性)●『リーガルハイ』堺雅人の鬼気迫る演技が魅力的だから。(23歳/女性)●『家政婦のミタ』テンポよく笑いがあり、ストーリーも展開が予測できなくて面白かった。(33歳/女性)●『東京ラブストーリー』特に理由はないが本当に涙が出たドラマがそうそうないから。(36歳/男性)●『ホタルノヒカリ』主人公の干物っぷりが近年の女性を的確に表現していて、あきないドラマだと思うので。(30歳/女性)■そのほかに挙がった「最高!なドラマ」得票数は少なかったですが、ほかにも以下のようなドラマが挙げられました。●『ガリレオ』主人公の謎解きの鮮やかさがカッコ良かった。理系のカッコ良さがクローズアップされた点が特に印象的だった。(32歳/男性)福山雅治さんの当たり役になりましたね!●『トリック』何度見返しても楽しむことができるし、細かいこだわりが感じられるので。(29歳/女性)鬼束ちひろさんが担当したエンディングテーマもヒットしました。●『独眼竜政宗』ジェームス三木の脚本は最高です! どの登場人物も主役に思えてしまうほど生き生きしてます。(41歳/男性)NHK大河ドラマに視聴者を引き戻した歴史的な作品です。●『アンフェア』何度も予想を覆され、すごく面白かった記憶があるから。(26歳/女性)あまりの人気で劇場版が2作製作されました。●『33分探偵』33分で事件を解決するというテーマや、ところどころに現れる面白さが最高だった。(25歳/女性)堂本剛さん主演で「脱力系サスペンスドラマ」とされています。●『HERO』キムタクがかっこよすぎ。(27歳/女性)2001年にフジテレビ系列で放映されました。その後、特別版、映画版も作られました。●『カーネーション』毎日ドキドキした。(33歳/男性)「演出が素晴らしい」と映画評論家の町山智浩さんも絶賛されていました。●NHK大河ドラマ『新選組!』ストーリーが良くできていて、グッとくるシーンが多かった。(25歳/男性)脚本を三谷幸喜さんが担当したことで話題になりましたね。●『ER緊急救命室』シリアスな話題も、ロマンスも大人が見て納得したり、考えさせられるテーマが満載でとにかく最高です。(47歳/男性)ERはなんと第15シーズンまで製作されました。有名どころがずらっと並ぶという結果になったのではないでしょうか。あなたが最高だと思うドラマは何ですか?(高橋モータース@dcp)
2013年03月11日信頼できる顔合わせ。だが、安心してはいられない。三谷幸喜が作・演出を手がけ、野田秀樹が自作以外の舞台に初めて出演する『おのれナポレオン』。作品に意外性を持ち込む名手・三谷が、対応能力の高い布陣を得て、誰もが知る英雄の物語をストレートに描くとは思えない。手がかりを得るため、出演者のひとりで、三谷作品をよく知る山本耕史に話を訊いた。NHK大河ドラマ『新選組!』(2004年)、スペシャル・ドラマ『新選組!! 土方歳三 最期の一日』(2006年)、映画『ザ・マジックアワー』(2008年)『ステキな金縛り』(2011年)など、三谷作品では映像での接点が多く、舞台で組むのは『オケピ!』(2000年)以来となる。「好青年の役をいただいたのは、最初の『オケピ!』ぐらいでしたね。で実際にお仕事をしてみたら“イメージと違った”と言われて(笑)。次からは、土方歳三もそうですけど、ひと癖ある人物ばかり。おそらく今回もそういうキャラクターということで、お話をいただいたのかもしれません」。演じるのは、セントヘレナ島にナポレオンが幽閉される際に随行した軍人、モントロンの役だ。ポスター撮影時には、三谷からこんな演出があったという。「“自分がもった毒で死んだナポレオンに、じゃあな、と言っている感じで”と。実際の舞台でどうなるのかわかりませんが、三谷さんの演出はいつも明確なので、僕は身を委ねるというか、きちんと指示通り表現できるように、まずは心を柔軟にしておきたいと思います」。ナポレオン役の野田とは、『新選組!』で共演経験がある。「勝海舟役の野田さんとは、何度か一緒のシーンでお芝居させていただくことがありました。力が抜けていながら、スピード感があってシャープで。デフォルメしても、自然だし。斬新な勝海舟でしたね。演出家としての客観的な視点も持ってらっしゃるので、今回は大いに勉強させていただこうと思います」。山本の妻役を天海祐希が演じるほか、内野聖陽、浅利陽介、今井朋彦が出演する。「ご一緒したことのある方ばかりで、チームワークが今から楽しみですね。人間関係を積み上げながら、さらに先を目指したい。百戦錬磨の方たちを相手に、どこまで食らいついていけるのか、遅れをとらないようにがんばりたいと思います」。『おのれナポレオン』は4月6日(土)・7日(日)にプレビュー公演をおこなった後、4月9日(火)から5月12日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウスにて上演。チケットぴあでは、無料会員向けWEB先着先行「プリセール」を1月20日(日)11:00から受付。
2013年01月17日東京日比谷の劇場、シアタークリエにて、現在「シアタークリエ 5th Anniversary ONE-HEART MUSICAL FESTIVAL」が公演中だ。シアタークリエは、森光子主演の『放浪記』など数々の名作を生み出した芸術座のあった場所を再開発し、2007年11月7日にオープンした劇場。こけら落としは三谷幸喜の書き下ろし作品『恐れを知らぬ川上音二郎一座』で、その後もストレートプレイ、ミュージカルと多彩なラインナップを上演し続けている。中でもミュージカルは、オリジナル作品からブロードウェイ産、ロンドン産、ウィーン産などバラエティに富んだ作品を上演しており、観客の支持も高い。本作は、これらに出演したキャストをはじめ、シアタークリエになじみの深いミュージカルスターが集結。同劇場で日本初演されたウィーン・ミュージカル『レベッカ』など、同劇場5年の歴史の中で上演された作品の楽曲をはじめ、様々なミュージカルの人気ナンバーを歌い継いでいく。主な出演者は石井一孝、石川 禅、石丸幹二、入野自由、伊礼彼方、岡田浩暉、小野田龍之介、佐々木喜英、武田真治、中川晃教、新納慎也、古川雄大、彩乃かなみ、一路真輝、大塚千弘、香寿たつき、昆 夏美、シルビア・グラブ、涼風真世、平田愛咲、真琴つばさ(男女五十音順)。キャストは日替わりのため、上演されるナンバーも日によって異なる。さらに、『エリザベート』トート役で日本のステージに立ったハンガリー出身のマテ・カマラス、同じく『エリザベート』ルドルフ役を韓国で演じているチョン・ドンソクがゲスト出演し、華を添える。アニバーサリー・イヤーだからこそ実現した豪華キャストによる夢の祭典。ミュージカルファン必見のステージだ。公演は1月3日(木)まで。
2012年12月27日映画製作発表記者会見で初披露数々のドラマ・CM出演などで、いまや引っ張りだこの存在となっている、ファッションモデルで人気女優の剛力彩芽が20日、映画「清須会議」の制作発表記者会見で、初の引眉姿を披露した。この映画「清須会議」は、三谷幸喜監督の最新作で、監督自身の書き下ろし小説が原作。織田信長が明智光秀に討たれた本能寺の変ののち、尾張の清須城で実際に行われたといわれる領地分配を議題とする会議をモチーフにしたもので、三谷ワールドならではの人間喜劇が繰り広げられる、新感覚の時代劇映画となっている。剛力はこの作品の中で、織田信忠の妻・松姫役を演じている。古の雰囲気を感じさせるやわらか和美人引眉とは、奈良時代から江戸時代にかけて行われた化粧法で、眉を剃ったり抜いたりして、もとの眉位置よりもかなり高い位置に、墨などで薄く特有の長円形に眉を描くもののこと。時代劇には欠かせないスタイルのひとつでもある。眉が変わると印象はがらっと変わりやすいものだが、やはり普段の剛力とはまったく異なった魅力のある姿。別人のようで、新鮮な印象をうける。あまり時代劇の経験はないという彼女だが、引眉に豪華な時代衣装という姿は、違和感なくはまっていて、やわらかな古の和美人といったところだ。この映画「清須会議」には、剛力彩芽の他、役所広司、大泉洋、小日向文世、佐藤浩市、鈴木京香、妻夫木聡、中谷美紀、浅野忠信、伊勢谷友介、寺島進ら豪華キャストが出演している。公開は2013年11月、全国東宝系にて行われる予定だ。元の記事を読む
2012年12月21日三谷幸喜監督の最新作で現在撮影中の『清須会議』の製作発表会見が12月20日(木)、東宝スタジオ(東京)にて行われ、三谷監督に主演の役所広司、大泉洋、小日向文世、佐藤浩市、鈴木京香、妻夫木聡、中谷美紀、浅野忠信、伊勢谷友介、剛力彩芽ら総勢16名が出席。俳優陣は劇中の衣裳とメイクのままで、大泉さん(秀吉)はほとんどハゲのようなカツラ、妻夫木さんは(織田信雄)は付け鼻、女優陣は一瞬、誰なのか分からないほどまゆ毛を剃ったり、描き加えるなどの“大変身”を遂げて登場した。織田信長の死後、その後継者や仇である明智光秀の遺領の配分について話し合われた清須会議。歴史上、初めて会議によって歴史が動いたと言われるこの史実に基づいて柴田勝家、秀吉ら信長の配下の者たちの人間ドラマを三谷監督自身が書き下ろした小説を原作に描き出す。小学生の頃にこの史実に触れて以来、いつか作品にと思い続けてきたという三谷監督は時代劇ファンとして本作で「一番に意識したのはビジュアル」と語る。例えば、秀吉のハゲ上がった頭について「信長は秀吉のことを“ハゲネズミ”と呼んでたと史料にもありますが、過去に大河ドラマも含めてハゲネズミと言える秀吉はいなかった。これまでビジュアルに凝った時代劇がなかったのはファンとしてもどかしかった」と史実を意識したビジュアルを強調し、自身初の時代劇について「手ごわい相手ですが、自分なりの時代劇ができるんじゃないかと思ってます」と手応えを口にした。役所さんは『THE 有頂天ホテル』以来、7年ぶりの三谷作品。主人公で織田四天王の一人である柴田勝家を演じ「(三谷監督に)見捨てられてなかったんだなと思った」とニッコリ。「三谷さんの本(=脚本)は読んでても面白いので、実写で面白くなくなったらどうしようかと不安です」とも。対峙する秀吉役の大泉さんのきらびやかな衣裳と自らの地味な衣裳を見比べ、「制作費のほとんどが秀吉の衣裳になってるらしいです(笑)。監督からは『体臭と口臭のひどい男』と言われてますが、最近、臭うようになってきました」と笑いを誘った。その大泉さんは、三谷監督の“秀吉=ハゲネズミ”の説明に「何となく起用の理由が分かってきました」と苦笑。「秀吉は策士でヒールと言ってもいい役で、カッコいいところはカッコいいので、そういう秀吉を想像してたらこのビジュアルで愕然としました…。ぬらりひょんみたい」と自虐的に語る。初共演となる役所さんについて「史実では秀吉が勝つけど、役所さんの姿を見たときに100%負けると思った。『北斗の拳』世代としてはラオウがやってきたかと思うくらいのオーラ、闘気があった」と圧倒されたようだ。三谷作品常連の佐藤さんは、信長の重臣である池田恒興を演じるが「とにかく勝ち馬に乗ろうとする男」という設定。「監督はあて書きをされてるそうですが、この男はオレのことをそういう風に思っていたのかとショックです」とニヤリ。眉毛の濃い秀吉の妻・寧役の中谷さんは劇中で使う尾張弁で「どえりゃーうれしいがね!」と挨拶し、「大泉さんと一緒に人心を掌握するための踊りに励んでおります」と楽しそうに語った。剛力さんは、中谷さんとは正反対にほとんど眉毛のない姿で登場し「時代劇に憧れていたので、掛も着させていただきウキウキしながら撮影に臨んでいます」と満面の笑み。お市の方を演じた鈴木さんも同じく眉なしで、シーンによってはお歯黒も施しているそう。「秀吉に対抗するくらい派手な衣裳を着させていただき、眉やお歯黒も楽しんでます」とうなづく。三谷監督は「最初は心配でしたが、やってみたらすごく似合ってて怖いけど美しい!ほかの仕事もこのままで行った方がいいと思います」と大絶賛だった。三谷作品ということで歴史物とは言えコミカルな作品と捉えられがちだが、監督は「コメディじゃない。人間喜劇で笑いはあるけど、なるべく真面目にオーソドックスな時代劇として作ってます」と語る。三谷流の時代劇で歴史の鳴動がどのように描かれるのか完成が待たれる。会見には寺島進、でんでん、坂東巳之助、梶原善、市川しんぺーらも出席。ほかに中村勘九郎、松山ケンイチ、染谷将太、天海祐希、西田敏行らも出演している。『清須会議』撮影は12月下旬まで行われ、2013年の8月の完成、11月の公開が予定されている。■関連作品:清須会議 2013年秋より全国東宝系にて公開© 2013フジテレビ東宝
2012年12月20日「女の子と付き合うなら自分でリードしたいタイプですね」。強気の表情でそう語るのは若手俳優集団「D-BOYS」の堀井新太。半年ほど前に20歳の誕生日を迎えたばかり。仕事や自らについて、プロ意識の高さや大人としての責任感を感じさせる口調で語りつつ、時折のぞくヤンチャな表情、いたずらっぽい笑みが印象的だ。現在、BeeTVにおいて配信中のネットドラマ「ハイスクールドライブ~目が覚めたら高校生だった~」でドラマ初主演を果たした。近年、ネット配信ドラマをステップに多くの若手俳優がスターダムの道を歩んでいるが、堀井さんもその期待を背負う有望株。そんな彼が俳優としての野望から恋愛観までたっぷりと語ってくれた。高校時代、モテるのはクールなタイプだったけど…“学園潜入型恋愛ドラマ”と銘打たれた本作。瑞々しい青春を送る主人公の高校生の身体になぜか光浦靖子(オアシズ)演じる30代後半女性の意識が入り込んでしまうのだが、彼女はしゃべることも手足を動かすこともできない。何もできないままただひたすら若者の言動に驚き、怒り、リアルなツッコミを入れていくというこれまでにない目線とスタイルで物語が進行する。堀井さんが演じた主人公・蒼太はモテモテのバスケ部キャプテン。「最初は明るい男をイメージして、素の僕自身に近い男として演じようと思っていた」と堀井さん。だがメガホンをとった瀬田なつき監督(『嘘つきみーちゃんと壊れたまーちゃん』)からは「もっと感情を押し殺して」と正反対の性格を求められた。「脚本の柴崎(竜人)さんにも『不機嫌な二枚目をイメージして書いた。バスケをやってるし、『スラムダンク』の流川(楓)のような役として演じてほしい」と言われました。リハーサルで芝居を組み立てていくときに考えたのは高校時代のこと。モテる奴って確かにクールなタイプだったなと。好かれようとする奴ほどモテないんですよ(笑)。裏表が見えないような男の方が魅力的に映るのかな?と。ある意味でひねくれた男でもあるし、素直じゃない奴として演じるようにしました」。堀井さん自身は「蒼太とは正反対で思ったことをすぐに口に出すし、面白ければすぐ笑うタイプ」とのことで、蒼太と似ていると感じた部分はほとんどなかったという。「あえて挙げるなら…部活(※堀井さん自身は軟式野球部で活躍)に関しては、僕も大会前にはすごく熱くなってました。でも実際に部活シーンを演じてみてもやっぱり違うんですよね。蒼太はキャプテンという立場にあることも関係しているかもしれないけど、自分が部活に打ち込んでた頃を思い出してもやっぱりちょっと違うなと」。自身と違うタイプだからこその蒼太に対する憧れは?可愛らしい同級生の彼女にあんなに愛されながらも冷たくあしらう姿には劇中の光浦さんならずとも「おいっ!」と突っ込みたくもなるが…。「憧れはありますよ。蒼太は友人に対してもそっけないところがあるけど、不思議と人が集まってくる。それは“何か”を持ってるんでしょうね。ムカつく気持ちももちろんありました。自分でやりながら『最低な野郎だな』って思ってましたから(笑)。自分で自分がそっけないということすら意識してないんでしょうね。ただ演じながら蒼太の本当の考えが徐々に分かっていくところはありましたね」。物語が進む中で、部活の指導に訪れていた年上の女性に蒼太がほのかな想いを抱いていることが明らかになる。堀井さん自身、年上の女性は恋愛の対象か?と尋ねると「高校時代は考えられなかったけど、いまならアリですね」という答えが返ってきた。「いまなら」の理由は冒頭でも紹介した「自分が主導権を握りたい」という思いにある。「例えば僕が高校生で自転車しか持ってなくて、年上の彼女に『前の彼氏は車だったけど』なんて言われたら惨めで耐えられないです(苦笑)。食事するにも定食屋しか行けないのに、『イタリアンが…』なんて言われたら悲しい!いまは自分で仕事もしてるし、免許もあるし(笑)、年上の女性でもグイグイ自分でリードしますね」。「意識はしてないけど、普通の自分のノリでいると本当に弟みたいに」「D-BOYS」では下から2番目、スペシャルユニットの「D☆DATE」では最年少ということで“弟分”“末っ子キャラ”として見られがちだが、実生活では長男。恋愛観からもうかがえるが積極的に攻めていく性格だと自らを分析する。「実は先輩にゴチャゴチャ言われるのが一番嫌なタイプです。でも「D-DATE」の先輩方は本当にすごい人ばかりなので大人しく言うこと聞いてます(笑)。そうしたら『お前、弟みたいだな』と言われるようになって…。高校の先輩・後輩の関係よりも年が離れている分、実際にお兄様方は静かだし大人なんです。意識はしてないけど、ごく普通の自分のノリでいると本当に弟みたいな感じなんですよね」。そうやって学生時代とは違った立ち位置で先輩を見ながら仕事に打ち込む中で意識も変わってきた。「仕事を自分一人でやってるものだと思わなくなりましたね。少しずつ周りを見られるようになり、連帯感を大切にするようになりました。部活でも最初は自分がレギュラーを獲るのにとにかく必死だったのが、少しずつチームが勝つためにということを考えるようになったけど、それと同じかな。作品に携わったとき、どうすればより良い作品になるかというのを常に意識するようになりましたね」。様々な作品に出演する中で“役者”という仕事への思い、カメラの前や舞台上こそが自分の主戦場だという意識も固まってきたという。「僕自身、映画やドラマを観終わったときに『あぁ現実に戻った』と感じられる作品、ジブリの映画のように終わるのが寂しいと思えるような作品が好きなんです。だから自分もそういう作品に関わりたい。好きな監督は三池崇史監督と三谷幸喜監督。もしも、おふたりの作品に自分が入ったらどうなるのか?どんな芝居ができるのか?と考えるとワクワクします」。20代も視界良好といったところだが、最後にプライベートでの現在の目標を聞いてみた。「いまだにパソコンを持ってないので、21歳までに普通に扱えるようになりたいです。自分の歌さえどうやってダウンロードするのか知らないので(苦笑)。現代っ子らしくない?下町育ちで『靴は下駄でいい』ってタイプですから(笑)。頑張って自分でコンテンツを作れるようになりたいですね!」。(photo/text:Naoki Kurozu)特集「年下のカレ」カーディガン(MORGAN HOMME/プリマクレール・アタッシュプレス)シューズ(MORGAN HOMME/プリマクレール・アタッシュプレス)
2012年12月10日三谷幸喜作・演出、野田秀樹主演。日本の演劇界をリードする2大ビッグネームが、来年4月、ひとつの舞台で力を合わせることになった。1955年生まれの野田は、1976年に劇団夢の遊眠社を旗揚げ。以降、NODA・MAPを主宰する現在まで、考える面白さに満ちた演劇ならではの表現を追求し、国内のみならず海外でも多くの成果を残している。一方、1961年生まれの三谷は、1983年に結成した東京サンシャインボーイズの主宰者として、笑いにこだわった舞台で人気を博す。シチュエーション・コメディという欧米ではポピュラーだったジャンルを日本に定着させた功績は大きい。ふたりが同じ作品に関わったのは、三谷脚本によるNHK大河ドラマ『新選組!』に野田が勝海舟役で出演した2004年の一度だけで、両者のホームグラウンドともいうべき舞台でのコラボレーションは、今回が初めて。そもそも野田が自作以外の舞台に本格的に出演すること自体、異例のケースだ。三谷が書き下ろす作品のタイトルは、『おのれナポレオン』。近年、ゴッホ、石川啄木、夏目漱石など実在した人物の知られざる一面を描くことの多い作者が、今回は、ナポレオン・ボナパルト(1769~1821)を題材に選んだ。フランス革命の精神を継承して出世した身ながら、皇帝として強大な権力をふるって反発を買い、最後には追放され、51歳でこの世を去った“英雄”ナポレオン。まさに乱高下したといっていいその人生は、「私の辞書に不可能という言葉はない」との発言や、1日3時間しか睡眠しなかったという伝説など、エピソードにあふれている。果たして、三谷の筆は、硬軟自在に変貌する知性的な演技と高い身体性を併せ持つ野田を擁して、どこに向かうのか、興味は尽きない。ほかに、天海祐希、山本耕史、浅利陽介、今井朋彦、内野聖陽をキャストに迎え、2013年4・5月、野田が芸術監督を務める東京芸術劇場のプレイハウスにて上演。チケットは1月26日(土)一般発売開始予定。
2012年11月03日17日に発売された、本年度アカデミー賞で作品賞を始め最多5部門に輝いた『アーティスト』のBlu-ray&DVDから、約100分に渡る特典映像の一部が到着。本作のミシェル・アザナヴィシウス監督と脚本家・三谷幸喜氏が、お互いにファンだという名匠ビリー・ワイルダー監督の話題に華を咲かす豪華対談映像の一部が公開された。『アーティスト』特別動画本作は、映画黄金期のハリウッドを舞台に、時の大スター、ジョージ・ヴァレンティン(ジャン・デュジャルダン)と、彼の手助けでスターの座を駆け上がっていく新人女優ペピー・ミラー(ベレニス・ベジョ)の甘く切ない愛の物語を、白黒&サイレントで紡ぐラブストーリー。「ビリー・ワイルダーの影響を感じました」と三谷氏が感想を語ると、「『サンセット大通り』(50)を思わせる作品ですよ。特に音楽に関しては大きな影響を受けています」とアザナヴィシウス監督は指摘に同意。「ワイルダー監督は登場人物の弱い面も描いていて、愛情を感じます」と敬愛する理由も明かすなど、ワイルダー監督の談議に華を咲かす様子がうかがえる。また、主演のジャンを気に入った様子の三谷氏が「顔が昔の俳優さんの顔をされているんですよね」と尋ねれば、「だから彼は名優なんですよ。『OSS 117私を愛したカフェオーレ』(06)の時はショーン・コネリー、本作ではヴァレンチノやフェアバンクス。役柄によっていろんな人物に似るのは、いい俳優の証です」とアザナヴィシウス監督も大絶賛している。特典映像では、この豪華対談映像のほか、本作のメイキングが音声&カラー映像で収録されていて、撮影の舞台裏や作品の世界観がより深く楽しめるコンテンツが満載だ。世界各国の映画賞で100部門以上受賞した珠玉の愛の名作を、充実の映像特典とあわせて存分に堪能してほしい。『アーティスト コレクターズ・エディション』発売中Blu-ray、DVD各4935円(税込)発売元:ギャガ販売元:ポニーキャニオン文:鴇田 崇
2012年10月22日来年秋に公開予定の三谷幸喜監督の新作『清須会議』に出演する総勢26名のキャストが発表され、役所広司、大泉洋、小日向文世、佐藤浩市からコメントが届いた。その他の写真“清須会議”とは、安土桃山時代、1582年6月27日に開かれた、織田氏の継嗣問題と、明智光秀の領地配分を議題にした、尾張国・清須城(愛知県清須市)で行われた会議のこと。映画は、信長の没後、彼の跡取りに名乗りをあげたふたりの男の息つまる頭脳戦を描くもので、信長の重臣・柴田勝家を役所、羽柴秀吉を大泉、丹羽長秀を小日向、池田恒興を佐藤が演じる。三谷作品には『THE 有頂天ホテル』以来となる役所は、「久しぶりの三谷作品への参加、とても楽しみです。戦国武将の中で地味な印象の“勝家”ですが、きっといい奴だったんだろうなぁと思います。愛すべき男、勝家を楽しんで演じたいと思います」。昨年、三谷監督が演出した舞台『ベッジ・パードン』に出演し、監督作品には初出演となる大泉は、「尊敬する三谷さんの映画に出演し、本当に豪華な出演者の皆様の中で“秀吉”という大役を演じる事に大変緊張しています。また監督の『今回の秀吉は本当の猿みたいな見た目です』という言葉にいささかの不安を感じております(笑)」。小日向と佐藤は、「三谷さんの演出にしっかり応えられる様、気合を入れて挑みます」(小日向)、「三谷さん自身の原作から自身の台本へ、同じ二次元なれど脚本は三次元な広がりを持ち、一人の人間の所業とは思えぬ裁きに舌を巻く作品、今から楽しみです」(佐藤)とコメントを寄せている。その他、妻夫木聡、坂東巳之助、伊勢谷友介、中村勘九郎、篠井英介、鈴木京香、中谷美紀、剛力彩芽、浅野忠信、寺島進、阿南健治、松山ケンイチ、でんでん、市川しんぺー、浅野和之、染谷将太、瀬戸カトリーヌ、近藤芳正、戸田恵子、梶原善、天海祐希、そして、同時代を生きていた『ステキな金縛り』の更科六兵衛役で西田敏行が出演する。撮影は11月よりクランクインし、公開は2013年秋の予定。『清須会議』2013年秋、全国東宝系超拡大ロードショー
2012年10月22日映画監督・劇作家・脚本家として絶大な人気を集める、日本が誇る喜劇の名手・三谷幸喜が、昨年行った「三谷幸喜生誕50周年大感謝祭」の締めくくりとして発売した小説「清須会議」(幻冬舎刊)。その映画化にあたり、このほど役所広司や大泉洋ら豪華なキャスト陣の参加が発表された。三谷監督の第6作目となる『清須会議』は、自身初となる“時代劇”。天下統一を目前にしながら、明智光秀の謀反によって、本能寺で命を絶った織田信長。その信長亡き後、織田の継嗣問題と明智光秀の領地配分を議題に、日本史上において初めて会議の席上で歴史が動いたと言われる「清須会議」をテーマに、猛将・柴田勝家vs羽柴秀吉の頭脳戦を軸にそれぞれの思惑の中、絶妙に絡み合う人間模様を三谷監督ならではのコメディタッチで描き出す。今回、発表されたキャスト陣は三谷監督の意気込みが伝わる超豪華な面々。織田信長の筆頭宿老にして羽柴秀吉との織田家後継争いを繰り広げる実直な猛将、主人公・柴田勝家役には、『THE 有頂天ホテル』以来7年ぶりの三谷映画となる名優・役所広司。その敵役となる、巧みな人心掌握術で勝家に相対する羽柴秀吉役に三谷映画は初出演となる大泉洋が扮する。さらに、勝家&秀吉と共に清須会議に出席する織田四天王の策士・丹羽長秀役に小日向文世、会議の行方を左右する池田恒興役に佐藤浩市と日本映画界を支える主役級の俳優たちが集結。しかし、もちろんそれだに留まるはずもなく、信長の跡継ぎ候補になる次男・織田信雄役には妻夫木聡、三男・信孝役に坂東巳之助。信長の弟・三十郎信包役に伊勢谷友介、長男・信忠役に中村勘九郎という奇跡のようなキャスティングが実現した。一方の女優陣には、信長の妹・お市様役に鈴木京香、秀吉の妻・寧役に中谷美紀、信忠の妻で未亡人の松姫役に剛力彩芽と、もはや映画版“大河”(?)の様相だ。このほかにも、浅野忠信、松山ケンイチ、でんでん、寺島進、篠井英介、梶原善、染谷将太、近藤芳正、戸田恵子、瀬戸カトリーヌ。そして“忍びの者”役に天海祐希、また奇しくも同時代を生きていた『ステキな金縛り』の更科六兵衛を演じた西田敏行も登場し、劇中では濃密なドラマが展開すること必至だ!日本映画・ドラマ・演劇・歌舞伎界から結集した、まさに“鉄壁の布陣”で挑む本作だが、今回の撮影にあたり、スタジオセットでハリウッド顔負けのスタジオセットが話題となった『ザ・マジックアワー』を上回る大規模なセットを現在制作中だという。果たして、三谷監督の新境地はどんな笑いと感動を見せてくれるのか?期待して続報を待ちたい。『清須会議』の撮影は11月よりクランクイン、公開は2013年秋を予定している。■関連作品:清須会議 2013年秋より全国東宝系にて公開© 2013フジテレビ東宝
2012年10月22日俳優・渡辺謙が12年ぶりに舞台に立つ。渋谷・パルコ劇場の40周年を記念した第1弾『ホロヴィッツとの対話』に主演することが発表された。作・演出は三谷幸喜。同劇場に渡辺が出演するのは実に28年ぶりとなる。本作は、ピアノ調律師として20世紀のピアノの巨匠たちの演奏を支え続けたフランツ・モアと、彼が支えたピアニストのひとり、ウラディミール・ホロヴィッツとの、ある一夜の会話を描くもの。三谷のライフワークともいえる光の中を生きる表舞台の人とその光を支えるバックステージの人のドラマで、海外芸術家シリーズの新作となる。公演は来年2月と3月、東京と大阪で開催される。三谷と渡辺はこの舞台への思いについてそれぞれコメントを寄せた。三谷幸喜のコメント「世界の謙さんが、渋谷の謙さんになってパルコ劇場に帰って来ます。僕は舞台俳優としての謙さんの大ファンです。スクリーンの謙さんも素敵だけど、舞台の上の存在感は凄いです。ダイナミックで暖かくて格好良くて茶目っ気たっぷりな、生・謙さんをぜひ劇場に観に来て下さい。特にクリント・イーストウッドとクリストファー・ノーランには観て欲しいな。自分たちが俳優渡辺謙について、実はまだ半分しか知らなかったことに気づくはずですから」。渡辺謙のコメント「12年ぶりの舞台をやることになりました。前回も13年ぶりでした。人々が忘れ去った頃に出てくる“蝉”のようです。俳優の基礎を作ってくれた舞台に久しぶりに上がるのは、緊張とか興奮を越えた恐れのようなものを感じます。それを乗り越える気になったのは、三谷君とパルコのおかげです。三谷君は、彼がTVの脚本家としてデビューした頃からの友人です。パルコ劇場は僕のデビュー作『下谷万年町物語』そしてその後のTV、映画への大きなステップとなった『ピサロ』と節目節目でお世話になった劇場です。その40周年記念作品の1本に出演できることに不思議な力を感じたからです。でも、その恐れが今、消えたわけではありません。ようやく地上に上がって来た“蝉”がその恐れにおののきながら鳴いている姿をぜひ見ていただけたらと思っています」。『ホロヴィッツとの対話』は東京・パルコ劇場にて2013年2月9日(土)から3月10日(日)まで、大阪・シアターBRAVA!にて3月13日(水)から31日(日)まで上演する。なお、公演の詳細は10月上旬、公式HP等で発表される。
2012年09月26日クラブジャズバンドのTRI4THが12月10日(月)にツアーファイナルを東京・duo MUSIC EXCHANGEで行う事が決定した。【公演情報はこちら】TRI4THは2006年より活動を開始。迫力あるライブパフォーマンスは、造り込まれた楽曲と確かなテクニックに裏打ちされている。2009年11月には、脚本・三谷幸喜、音楽監督・小西康陽ミュージカル「TALK LIKE SINGING」に出演、東京・ニューヨーク公演に参加する等、幅広い活動を展開している。今回のツアーは8月8日に発売したアルバム『TRI4TH AHEAD』のリリースツアーで、演奏はもちろん、開場から開演まではDJも楽しめるそう。チケットの一般発売は9月1日(土)から。なお、チケットぴあでは先行抽選プレリザーブを実施中。8月23日(木)午前11時まで。
2012年08月21日『ステキな金縛り』で2011年実写映画ナンバー1ヒットを記録した三谷幸喜監督が早くも新作映画『清須会議』を製作し、来年秋に公開することを発表した。その他の写真『清須会議』は、三谷監督が本日発売する同名小説が原作。本能寺の変で織田信長が没した後、彼の跡取りに名乗りをあげたふたりの男の息つまる頭脳戦を描く。老将・柴田勝家と後に天下を統一する羽柴秀吉が、壮絶な駆け引きを展開する本作は、ふたりの他にも歴史の名将たちが次々に登場し、会議場で“歴史が動いた”瞬間を描くという。キャストは今後発表されるが、三谷監督は小説執筆時は「柴田勝家をショーン・コネリー、秀吉は若かりし頃の緒形拳」とイメージしていたそうで、映画版ではどのような俳優がキャスティングされるか気になるところだ。また、美術監督の種田陽平氏が清須城下町を現代に甦らせるべくロケセットを作り出すなど、大規模な製作体制が敷かれており、今年11月より撮影を開始し、来年秋の公開を予定している。『清須会議』2013年秋公開
2012年06月27日興行収入60.8億円という大ヒットを博した『THE 有頂天ホテル』や昨年の邦画No.1を記録した『ステキな金縛り』など、大ヒット喜劇を送り出し続ける三谷幸喜監督が、昨年から続く自身の“生誕50周年感謝祭”の締めくくりとして、本日6月27日(水)発売となる自身著の小説「清須会議」を同名映画化することが決定!本作は、三谷監督の映画作品史上、初の時代劇であり、初の小説の映画化作品となる。天正10年、本能寺の変で織田信長が命を絶った後、彼の跡取りに名乗りを上げた2人の男。老将・柴田勝家と、後に天下を統一する羽柴秀吉。清須城を舞台に、2人の人生を賭けた頭脳戦が交わされる。これが日本史上、初めて会議の席上で歴史が動いた「清須会議」。勝家、秀吉を始め、歴史に名を残した猛将たちのそれぞれの思惑をモノローグ式に、その全貌が三谷監督ならではの人間喜劇としてコミカルに描かれる。原作となる小説は、三谷監督にとっては実に17年ぶりとなる小説で、これが発売される6月27日は奇しくも歴史上、清須会議が行われた日と旧暦で同日。映画では小説とは異なるアプローチで、登場人物“全員”が騙し騙されるさまを描いていくという。『ザ・マジックアワー』では架空の港町が東宝スタジオに作り上げられたが、本作では、それを上回る大規模となる城下町のセットを美術担当の種田陽平と共に制作する予定だ。また、毎度その豪華キャスティングで挑む三谷作品。現時点では未発表だが、「『清須会議』は群像劇であり全員が主役。日本映画・演劇界を代表する“信じられないくらい”豪華キャストに出演していただきます」と三谷監督が語る通り、今回も当然、豪華キャストの集結が期待される。ちなみに、小説執筆時のキャスティングイメージは、柴田勝家=ショーン・コネリー、秀吉=若かりし頃の緒形拳とのことだが、その采配やいかに?本作の撮影は今年11月にクランクイン、2013年秋の公開を予定している。『清須会議』は2013年秋、全国東宝系にて公開。■関連作品:清須会議 2013年秋、全国東宝系にて公開
2012年06月27日三谷幸喜がロシアを代表する劇作家アントン・チェーホフの『桜の園』を演出する舞台が、東京・PARCO劇場で6月9日に初日を迎えた。前日の6月8日には公開舞台稽古が行われ、出演の浅丘ルリ子、藤井隆、青木さやかと三谷が会見に応じた。三谷版「桜の園」チケット情報『桜の園』は『かもめ』『ワーニャ伯父さん』『三人姉妹』と並ぶチェーホフ4大戯曲のひとつ。革命前夜のロシアを舞台に没落貴族の喜悲劇を描く。物語はパリで放蕩生活をしていた桜の園の女地主が資産を使い果たし、領地が競売にかけられるため帰国するところから始まる。会見で三谷は「『桜の園』は読むと結構笑えるところがあるんですよ。実際、戯曲には“4幕の喜劇”と書かれていて、コメディとして作ってある。だからこそ、僕みたいな喜劇作家が本来のコメディとして作るべきなんじゃないかと思いました」と本作を手がけるに至った経緯を語った。三谷の演出について訊かれた出演者は「すっごくダメ出しが長いです。でも三谷さんがおっしゃったことが、こういう風に変わるんだ、としみじみ感じながらやらせていただいてます」(浅丘)、「僕が迷っていても許してくださって、その結果を採用してくださる器の大きい方です」(藤井)、「私が不安に思っていたりすると気付いてくれて凄いなと思います」(青木)、とそれぞれが三谷を絶賛。今回のキャスティングについて訊かれた三谷は「新しいイメージでチェーホフをやりたかったので、なるべくチェーホフから遠いところにいる人を集めた」と話すと、浅丘が「本当はシェイクスピアやチェーホフは好きじゃないので、以前来た話はお断りしたことがあるんです。今回は三谷さんとならやってみようかしら」と引き受けた理由を明かした。また大学生役に挑戦する藤井に対し、報道陣から年齢的なギャップについて問われると「(劇中で)頭が禿げてるみたいな件もありまして、(僕も)ちょうど前頭部が禿げ上がってきたのでいいタイミングだな」と笑いを誘っていた。稽古場ではキャストが浅丘の楽屋に集まり、皆でお茶を飲むなど仲のよさを青木がアピール。逆に三谷は「僕は距離を置いてました」と話し、「浅丘さんはおしとやかに見えますけど一方でべらんめえなところもあって、結構怖いんですよ」と暴露。これを受けて浅丘が「“てめえ馬鹿やろう、うるせえんだよ”とか、いろんな面を三谷さんにお見せしているんです」と自身が演じる女地主・ラネーフスカヤの役作りの一環(!?)だったと話していた。会見の最後に三谷は「この3人の中で一番笑いをとるのは浅丘さんだと思う」と浅丘のコメディエンヌぶりをぜひ見て欲しいとアピールしていた。公演は7月8日(日)まで東京・PARCO劇場にて上演。その後、7月12日(木)から22日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホール、7月25日(水)から29日(日)までKAAT 神奈川芸術劇場にて上演される。チケットは発売中。
2012年06月11日三谷幸喜らしさがこれほど際立つ舞台は珍しい。国も違う100年も後輩の演劇人によって、自らの戯曲にチューンナップが施され、作品本来の喜劇性を取り戻したと知ったら、チェーホフはどう思うか。それが、三谷版『桜の園』の稽古場取材で得た感想だった。三谷版『桜の園』公演情報初めて他人の戯曲を演出することになった三谷にとって、まず最初に頼りにしたのが、キャスティングだろう。破産寸前なのに優雅な暮らしをあきらめきれない“桜の園”の女地主・ラネーフスカヤに、浅丘ルリ子。自前の豪華なドレスで稽古に取り組む姿勢からはスターの風格が漂い、世俗に染まらないピュアな印象が役によく合う。何より、嘆きのセリフが暗くなりすぎないのがいい。透明感のある声はどこか凛々しく、特権階級としての矜持をにじませる。一方、彼女の対極に位置するのが、成り上がりの実業家・ロパーヒン役の市川しんぺーだ。猫のホテルのメンバーとして小劇場で足腰を鍛えたタフな存在感が、浅丘と絶妙なコントラストをなす。作者チェーホフが“喜劇”と称していながら、笑いの部分をきちんと汲み取った上演は、これまで多くなかった。だからこそ笑える舞台にしようと立ち上がった三谷だけに、やはりそこへのこだわりは並大抵ではない。笑いの達人である藤井隆、青木さやかのほかにも、大和田美帆、瀬戸カトリーヌ、阿南健治、藤木孝ら、陽性なキャストが揃っている。普通、出番でない俳優は自分の世界に没頭していてもおかしくないが、この現場では、笑い声をあげながら、他人の稽古を楽しそうに見ている俳優が多いのが印象的だった。また、お互いの役名を早く覚えようと、役名入りゼッケンを胸につけて稽古するというもの、悲劇の稽古場なら考えられない。ましてや、演出家までもが自らの胸に“アントン”(チェーホフのファーストネーム)と書いてみせるなんて。チェーホフ戯曲のどこに面白さを感じるか。そして、自分が感じたその印象に観客をどう巻き込むか。他の演出家なら素通りしてしまいそうな何気ない場面が、テンポや間のとり方、セリフのトーンを変えただけで、爆笑シーンとして生まれ変わる不思議。すべては演出家のセンス次第だ。つまり今回の三谷の挑戦は、自らのクリエイターとしての資質にあらためて向き合う作業に他ならない。チェーホフでありながら、三谷流。三谷ワールド全開なのに、あくまでもチェーホフ。最良の着地点を目指して、稽古は開幕まで続く。6月9日(土)から7月8日(日)まで東京・PARCO劇場、7月12日(木)から22日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホール、7月25日(水)から29日(日)までKAAT 神奈川芸術劇場 ホールにて上演。チケット発売中。
2012年05月28日