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『#マンホール』熊切和嘉監督のもと、菊地凛子が初の邦画単独主演を務める『658km、陽子の旅』の初日が7月28日(金)に決定。さらに、菊池さんを自作に起用したことのあるアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督とイザベル・コイシェ監督からのコメント入り特報映像が解禁となった。本作は、父の訃報を受け東京から青森県弘前市の実家までヒッチハイクをすることになった陽子が、東京―福島―宮城―岩手―弘前をたどる旅の中で出会う人々とのトラブルやあたたかい交流を通して、後悔を抱え孤立した心を癒していく一夜のロードムービー。特報映像では、長く続く海岸沿いの道を、ひたすら歩みを進めていく主人公・陽子(菊地凛子)。熊切監督作品『私の男』(13)に続き音楽を担当するジム・オルークの曲が心情を現すように響く中、波の荒い海を見つめ、砂浜に横たわり空を見つめるシーンが映し出される。人生を諦めて生きてきた彼女が、この旅を通して得られるものとは…?孤独や虚しさを感じながらも、陽子が一歩ずつ、確かに歩んで行く姿が胸に迫る特報映像が完成した。なお、イニャリトゥ監督とは菊池さんがアカデミー賞にノミネートされた『バベル』(07)、コイシェ監督とは主演映画『ナイト・トーキョー・デイ』(10)でタッグを組んでいる。★アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ(映画監督/『バベル』『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』)彼女が過去と対峙する姿に、悲しく胸を締め付けられた。彼女の苦痛や悲しみは、観客の心を突き刺し、目が離せなくなる。熊切和嘉は、主人公の痛みや雰囲気を探求し、見事に描き出し、素晴らしい仕事を成し遂げた。★イザベル・コイシェ(映画監督/『死ぬまでにしたい10のこと』『マイ・ブックショップ』)この映画は孤独と敗北を描いた、力強い物語だ。人生の岐路に立つ孤独な女性を映し出し、観客の心を確実に揺さぶるだろう。『658km、陽子の旅』は7月28日(金)よりユーロスペース、テアトル新宿ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:658km、陽子の旅 2023年全国にて公開予定©2023「658km、陽子の旅」製作委員会
2023年03月19日“国際派女優”とも“お騒がせ女優”とも呼ばれながら、昨年7月にその波乱万丈な生涯を閉じた女優・島田陽子さん(享年69)。晩年、彼女のマネージャーを務めていた福島浩一朗氏がこの度、沖縄県の尖閣神社の社務所長に転身した。故郷の埼玉県から石垣島に単身移住し、第二の人生を送っている。東シナ海を行き来する船舶の安全を願って尖閣諸島の魚釣島に尖閣神社が建立されたのは’00年のこと。ところが’04年3月、魚釣島に不法上陸した中国人活動家によって破壊される事件が発生。その後、壊された祠を持ち帰り、有志らの尽力によって’19年に現在の地に移設・再建された。今年の2月18日には3年ぶりとなる例大祭が盛大に執り行われたばかりだ。芸能マネージャーから宮守になった理由を福島氏はこう語る。「僕は、地元の本庄市長選に立候補した昨年1月に島田さんのマネージャーを辞めました。選挙は惨敗だったのですが、投票日の二日後に石原慎太郎元東京都知事が亡くなられて……。石原さんといえば都知事時代に尖閣諸島を都で購入すると表明して、国有化に導いた尖閣諸島に大変な功績があった人ですから、運命を感じてしまいました。尖閣神社は’19年の再建から社務所はずっと無人だったんですよ。台湾有事が叫ばれる中、誰かが守らなくてはいけない。そこで、自分がやろうと手を挙げたわけです」市長選に続いて、尖閣神社の宮守に“立候補”したというわけだ。現在は境内にある社務所に住み込みで暮らしているという福島氏。無人だったため社務所内は手つかずの荒れ放題で、ガスも通っていなかったためカセットコンロで調理をしているという。それでも元芸能マネージャーらしく、早くも商才を発揮しているようだ。「島に移住して神社を守るといっても、自分の生活費は稼がなくてはなりません。そこで思いついたのが『旭日ダルマ』(大3000円、小2000円)という神社限定の縁起達磨です。同じデザインの『御朱印帳』(初穂料込み4000円)も開発しました。例大祭ではありがたいことに、ダルマを一人で40個買っていかれた方もおられました」有人になったことで「御朱印を受けられるようになった」といった喜びの声も聞こえ、石垣島のパワースポットとして観光客の間でも話題になり始めている。最後に、女優のマネージメントと神社のマネージメント、どちらが大変かと聞いてみると…。「そりゃあ、島田陽子ですよ、全く面倒くさいもの(笑)。島田さんと僕とスポンサーの3者ですべて話がついた後に、マネージャーの僕の知らないところで島田さんが勝手にスポンサーにギャラを釣り上げようとする、なんてこともありましたね。それでもまあ、愛すべき人でした。今となってはすべてが懐かしいですね」そう笑みをこぼしながら、沖縄の地で故人を偲んだ。
2023年02月24日映画『658km、陽子の旅』が2023年7月28日(金)に公開される。主演は菊地凛子、監督は熊切和嘉。東北へヒッチハイクで向かう、感動のロードムービー映画『658km、陽子の旅』は、父の訃報を受け、東京から青森県弘前市の実家まで、思いがけずヒッチハイクで向かう羽目になった主人公・陽子を描くロードムービー。会いたくない父、帰りたくない故郷...…様々な思いが駆け巡る中、東京―福島―宮城―岩手―青森をたどる一夜の旅が、陽子の凍った心を溶かしていく。菊地凛子が初の邦画単独主演ヒロイン・陽子を演じるのは、菊地凛子。『バベル』、『パシフィック・リム』シリーズなど、ハリウッドやヨーロッパ作品で存在感のある役柄を演じてきた菊地凛子が、初の邦画単独主演を果たす。主人公・陽子...菊地凛子青森県弘前市出身の42歳、東京在住のフリーター。就職氷河期世代。父親の訃報をきっかけに、一人で24年間帰っていなかった故郷・弘前をめざすことに。父の出棺まであと12時間。ヒッチハイクで見ず知らずの人の助けで車に乗せてもらったり、自ら歩いたりと、一夜の出会いと別れを紡ぎながら寒空の東北を歩んでいく。工藤茂...竹原ピストル陽子の従兄。陽子の父が亡くなったことをうけ、陽子と茂と、その家族と共に車で弘前へ一緒に帰ることに。しかし、途中のサービスエリアで子どもがトラブルを起こし...。立花久美子...黒沢あすか陽子が旅の途中で出会う毒舌のシングルマザー。日頃胸に秘めていることを口にできない。忙しさなどから秘めた事を聞いてくれる人との時間が少ない。小野田リサ...見上愛陽子と同じようにヒッチハイクする訳あり女子。悩みや葛藤を抱えながらも、明るくて優しい子。若宮修...浜野謙太陽子を乗せる怪しいフリーライター。クズな男。八尾麻衣子...仁村紗和便利屋として生計を立て陽子を助ける。水野隆太...篠原篤陽子の旅を静かに見守る。木下夫婦(登/静江)...吉澤健/風吹ジュン陽子と出会い優しく手を差し伸べる、心温かい夫婦。陽子は父親のイメージを登に持つ。工藤昭政...オダギリジョー陽子の父。熊切和嘉が菊地凛子と20年ぶりにタッグメガホンをとるのは、2023年に『#マンホール』も公開される熊切和嘉。熊切和嘉は、2001年の劇場デビュー作『空の穴』で、当時新人の菊地凛子をヒロインに抜擢。20年の時を経て、2人が再びタッグを組む。エンディングテーマは映画『ドライブ・マイ・カー』の石橋英子エンディングテーマは、"Wilco/A ghost is born"のプロデューサーとしてグラミー賞を受賞する世界的ミュージシャンのジム・オルークとマルチな演奏家として国内外で活躍する石橋英子が担当。映画『ドライブ・マイ・カー』の音楽も手掛けた石橋の優しく透き通る歌声が導く幻想的な楽曲「Nothing As」が作品を盛り上げる。「TSUTAYA CREATORS’PROGRAM」審査員特別賞受賞作を映画化なお、映画『658km、陽子の旅』は、映画オリジナル企画コンテスト「TSUTAYA CREATORS’PROGRAM」の審査員特別賞受賞作を映画化するもの。同コンテストはこれまでにも、『嘘を愛する女』や『哀愁しんでれら』といった話題作を輩出してきた。映画『658km、陽子の旅』あらすじ夢破れ人生を諦め惰性で日々を過ごしていたフリーター陽子は、かつて夢への挑戦を反対され20年以上断絶していた父が突然亡くなった知らせを受ける。 従兄・茂の一家が葬儀のため弘前へ帰る車に無理やり乗せられ、しぶしぶ一緒に帰ることに。しかし、途中のサービスエリアでトラブルを起こした子どもに気を取られた茂の一家に置き去りにされてしまう。陽子は弘前に向かうことを逡巡しながらも、所持金がない故にヒッチハイクをすることに。しかし、出棺は明日。それまでに実家にたどり着けるのか。北上する一夜の旅で出会う人々・・・シングルマザー、人懐こい女の子、怪しいライター、心暖かい夫婦、そして若かりし父の幻・・・様々な人々との出会いにより、時を止めていた陽子の心が動きだす。【作品詳細】映画『658km、陽子の旅』公開日:2023年7月28日(金)監督:熊切和嘉脚本:室井孝介、浪子想原案:室井孝介出演:菊地凛子、竹原ピストル、黒沢あすか、見上愛、浜野謙太、仁村紗和、篠原篤、吉澤健、風吹ジュン、オダギリジョー
2022年12月12日大腸がんによる多臓器不全のため、7月25日に69歳で死去した女優・島田陽子さん。『続・氷点』『犬神家の一族』などで楚々とした演技を披露し、お嬢様役をやらせれば右に出るものはいないと言われた昭和を代表する女優の一人だった。’80年には米ドラマ『将軍 SHOGUN』で日本人女優として初のゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞。「国際派女優」と呼ばれるも、キャリアの後半は歌手の故・内田裕也さんとの壮絶な不倫愛などでお騒がせ女優としての評判が定着してしまった。晩年は身寄りのない生活で、亡くなった直後に所属事務所が「近親者のみで荼毘に付された」と発表したが、本誌が渋谷区に取材したところ、引き取り手の遺族が現れないため遺体がまだ存在していたことが判明した。約2週間もドライアイスの中で保管されていたという。「ご遺体がまだ残っているのに所属事務所が火葬したと発表したのは前代未聞のことでした。島田さんが代表を務める個人事務所のような会社で、スタッフには芸能界の仕事に長けている人が少なかったそうです。それで今回の騒動をまねいてしまいまったのかもしれません」(島田さんの知人)結局、島田さんの遺体は渋谷区により火葬された。無縁仏として合葬されてしまうところだったが、お骨に関しては事務所関係者によって引き取ることができ、先に亡くなっていた実母とともに、9月に都内のお墓に納骨された。所属事務所は「ゴールデングローブ賞のトロフィーのレプリカをお墓に設置するタイミングでお別れ会を開きたい」と発表していたが、10月頃に本誌がお墓を訪れた際にはまだ墓石に名前も刻まれていない状態だった。しかし、11月末になってついにトロフィーのレプリカがお墓に設置された。墓石には真新しい文字で刻まれた島田さんの戒名も確認できた。「大女優にしてはいささかこぢんまりとしたトロフィーですが、多額の借金を残したまま天国に旅立ってしまったので仕方ないのかもしれませんね。いまだにファンのためのお別れ会は開かれぬままですが、俳優ら仕事関係者によるお別れ会は全国各地で行われました。これでようやく御本人も眠りにつけることでしょう」(前出・島田さんの知人)昭和の大女優にふさわしい波乱万丈の人生だったーー。
2022年12月09日大腸がんで7月に亡くなった島田陽子さん(享年69)。逝去直後の騒動は落ち着きを見せているが、9月に開催予定と報じられたお別れ会は、いまだに行われていない。長年の知人が語る。「晩年はお金がないのにタワーマンションに住んで家賃を半年分も滞納。ポストはいつも督促状の山でした。裁判所からの呼出状もあったそうですが、当の本人は封すら切らずに知らぬ存ぜぬだったそうです。借金の額は聞いているだけでも1千万円を軽く超えるとか」家族とも縁が切れていたため一時は遺体の引き取り手もなく、渋谷区がドライアイスで保管する事態となっていたが、9月にようやく親族によって実母とともに納骨された。しかし、この墓が新たな金銭問題の火種になりつつある。「島田さんは’80年にアメリカのドラマ『将軍 SHOGUN』でゴールデングローブ賞の主演女優賞を受賞しました。このときにもらったトロフィーのレプリカを製作してお墓に建てようと、島田さんの事務所関係者たちが計画しているのです。しかし、この特注墓石には話題をつくってお金を集めるという意図が見え隠れします。事務所関係者は再三にわたって資金集めを画策していますが、うまくいかずお別れ会は2度も延期され、島田さんの友人たちからの不信感はかなり強いのです。債権者たちから“レプリカを建てるお金があるなら、まずは借金を返して”という声も上がっています」(前出・知人)本誌はこの“トロフィー墓碑”について所属事務所に問い合わせたが、回答は得られなかった。生前、「宇宙葬」を希望するなど型にはまらない考えを持っていた島田さんだが、ファンや友人らは、故人を偲ぶ機会が早期につくられることを望んでいるのではないだろうか。
2022年11月16日国際派女優として知られた女優の島田陽子さん(享年69)が、がんのため亡くなってはや3カ月。逝去直後、「荼毘に付した」という報道が出たが、実は渋谷区が遺体を保管しており火葬されていなかったという事実を本誌は報じていた。「まだご遺体があるのに『荼毘に付した』という情報を出したのは島田さんの所属事務所だったそうです。メディアもまさか大女優の逝去に関して事務所関係者が事実と異なる情報を出すとは思わず、その通りに報じてしまったのです。ご遺体は2週間もドライアイスの中でしたが、8月上旬には火葬されました。晩年の島田さんは家族とは疎遠で、唯一の理解者だったお母様のお骨を自宅に大事に保管していましたが、9月になってやっとお母様と一緒に納骨されたそうです」(島田さんの知人)本誌は島田さんが納骨されたというお墓を訪ねた。都内一等地にある日蓮宗のお寺の墓地に島田さんはひっそりと眠っていた。墓石は本名の「中村家」と書かれ、島田さんの両親が生前に建てたものだった。墓石には両親の名前しか刻まれておらず、現状では誰もこれが島田陽子さんの墓だとは知る由もない。しかし、住職に確認すると確かに9月に納骨が済まされたそうだ。また、予定されていたお別れ会も未だ開かれないままだ。「当初は9月という話だったのが、『10月中には』『やっぱり11月に』とずれ込むばかり。一度は事実と異なる情報を出した事務所に関係者が不信を抱き、なかなか賛同者が集まらないのだそうです。また、生前の島田さんは宇宙葬を望み、契約書も交わしていました。宇宙葬というと壮大に聞こえますが、実際は遺骨の数グラムを小さなカプセルに入れて飛ばすことなんだそうです。それだけでも叶えてもらえれば故人の供養になると思うのですが…」(前出・知人)ファンが島田さんにお別れをいう機会は設けられるのか、そして宇宙に行きたいという島田さんの夢は叶うのか――。今後を見守りたい。
2022年10月26日逝去後に「遺体放置」という前代未聞の事態となってしまった島田陽子さん(享年69)。7月25日にがんで逝去するも家族が現れず、遺体は約2週間、渋谷区役所が管理していたという。「葬儀をして荼毘に付したといった報道が死亡直後に出たのですが、これは“虚偽情報”だと言われています。8月上旬にようやく火葬が終わり、遺骨はいま自宅に安置されているようです」(芸能関係者)しかし島田さんの元マネージャー・福島浩一朗氏は、未解決トラブルがまだ残されていると語る。「島田さんの遺作となった主演映画『エヴァーガーデン』の製作費のうちおよそ1千万円がプロデューサーでもある彼女の会社に入金されたのですが、ほかの出演者にギャラが支払われていないんです。だから私としては彼女の葬儀を盛大に執り行って、話題を作ったうえで遺作を世に出し、その収益で出演料を支払えればと考えているのですが……」荼毘に付された後も金銭問題がくすぶっているというより“炎上”している島田さん。なんとギャラとして支払うべきお金を“着服”してしまったという証言が……。彼女を知る映像プロデューサーもこう語る。「島田さんからは『ギャラをもらっていない』と聞きましたが、私が調べたところ製作費として約1千万円渡されていたのです。彼女は女優ですが、さまざまな企画で自ら動き、費用面の交渉まで行っていましたから」また島田さんは生前、キューバの革命家チェ・ゲバラを題材とした作品を撮るための製作費5千万円を集めるためにも奔走していたと同プロデューサーは明かす。「この映画は撮影に向けて動きだしたとスポーツ紙が報じていましたが、いったいどこから資金を調達したのでしょうか……」次々に浮上する島田さんの金銭疑惑。前出・福島氏はさらなる問題についても語った。「彼女は以前住んでいたタワマンの近くの駐車場に愛車を止めていましたが、借金の担保として手放しました。しかし亡くなった後も車は置かれたまま。だから駐車場代が発生し、いま12万円ほどになっているそうです。譲渡された相手が誰かわからず、駐車場を貸している方が困っています」晩節これほど困窮した有名女優がいただろうか。島田さんの友人はこう悔やむ。「島田さんがしみじみ言ってました。『年を取ってからお金がないと、すごくみじめですよ』って。それでもええカッコしいだから友達と食事に行っても全部払う。高級フレンチで35万円ごちそうしたとも言っていました。彼女はがん治療に『光免疫療法』という1クール330万円もかかる方法を選びましたが、その金策に悩み、治療開始が遅れてしまったんです」それでも福島氏はほほ笑んだ。「今ごろ本人は天国から僕らを見て笑っているかもしれませんね」トラブル続出でも愛され続けた女優だった――。
2022年08月23日7月25日に亡くなった女優の島田陽子さん(享年69)。さみしいことに、亡くなった後も実妹たちが遺体を引き取らなかったと本誌は8月2日発売号で報じたが、その直後、編集部に衝撃的な情報が寄せられた。「島田さんの遺体はまだ火葬されていません。渋谷区の施設に安置されたままなんです」電話の主は、島田さんの元マネージャー・福島浩一朗氏だった。「遺体は毎日ドライアイスを詰め替えて、保管していると区の担当者から聞いています。私が引き取ろうにも、渋谷区の場合は三親等以内の親族に限られているそうです。2人の妹のどちらかが私に委任してくれれば、渋谷区は私に遺体を渡すと。その後は、ハリウッド女優らしくきらびやかな葬儀をして送り出してやれたらと思っています。そんな話をケント・ギルバートさんにしたら『絶対に呼んでください』と言っていましたよ」福島氏は島田さんが生前、埼玉県にある長泉寺に墓地を購入していたと言う。住職にも話を聞いた。「島田さんがここにお墓を建てると決めたのは’20年2月のことです。墓石はまだありませんが、すでにお金はいただいています」本誌が渋谷区役所に確認したところ、福祉部管理課民生係の担当者は困惑しながらも「火葬はまだ行われていません」と認めた。8月5日時点でも2人の妹から福島氏に委任状は届いていない。今後、島田さんの遺体はどうなるのか。終活カウンセラー協会の代表理事・武藤頼胡さんによれば、今回のように遺体の引取り手がいないケースは日本全体でも増えているという。「病院で引取り手が見つからなかった遺体は自治体が管理します。第三者でも引き取れますが、委任状はあったほうがよいでしょう。腐敗等の問題で、火葬までの期間は決して長くはとれません。遺骨はしばらく保管されますが、その後合葬され無縁仏として埋葬されると、同じような遺骨と交ざってしまうので、島田さんの骨だけを返すことは難しくなるかもしれません」実は編集部には、さらに別の人物からも連絡があった。島田さんが出演したボイスドラマ『Romeo,Juliet』を演出・プロデュースした水野哲氏だ。9月から電子チケットサイト「ZAIKO」で販売される同作では、島田さんはジュリエットを演じたという。「『10代の役でも私はできる。ほかの人には決して負けませんよ』なんて言っていました。体調が悪くて録音が何度か中止になることもありましたが、『点滴を一日やれば楽になるから大丈夫』なんて女優魂を見せていましたね。やっぱり声はちょっと出にくかったり、苦しい感じもあったけど、セリフなんかしっかりしてて、今聞くとすごく感動しますね。国際女優の彼女の一面をちゃんと残せたというのは良かったです」晩年も演技で仕事関係者をも魅了し続けた島田さん。しかし、プライベートでは寂しげな姿も見せていたという。「お金があるように振る舞う場所ではめちゃくちゃ使っていました。フランス料理を豪勢に奢って振る舞うこともあれば、そうでない場所では実にお金がないという一面も見せます。ジュース代の小銭を財布から出すのに10円、20円を数えて『あるかな、あるかな』なんて不安そうなときがありました。妹さんと縁が切れて『きょうだいなんてそんなもの。私はもう全く一人になりました』とも言っていました。本当に変わった方でね、一言ではいえないですよ。サービス精神がありすぎて誤解されることもありましたが、優しい方であったことは確かです」(水野氏)そんな大女優の遺体の行き先が宙に浮いてしまっている事実に愕然とせざるをえない。元マネージャーにより供養される日は来るのだろうか。
2022年08月09日女優の島田陽子さんが、がんのため都内の病院で亡くなった(享年69)。彼女と長年親交があったという友人Aさんが悔やむ。「がんの告知は、遺作となってしまった映画『エヴァーガーデン』の撮影中のことでした。本人も悩んでいましたが、髪が抜けたら女優業に差し支えると、治療に踏み切れなかったんです。医師から手術するよう勧められていましたが、人工肛門になることもあってか拒否していました」突然の訃報に、映画プロデューサーも肩を落とした。「4月に一緒に福島へ行き“復興の映画を作りましょう”と話していたばかりでした……」8歳のときに熊本から上京し、中学1年生で「劇団若草」に入団した島田さん。’70年にドラマデビューすると、翌’71年放送のドラマ『続・氷点』(TBS系)で注目され、人気女優へと駆け上がっていく。’80年にはアメリカのテレビドラマ『将軍 SHOGUN』(米NBC)でヒロインを演じ、国際女優と呼ばれるなど幅広い活躍を見せた。その一方で、数々のスキャンダルを巻き起こした“恋多き女”でもあった。当時を知る芸能記者が振り返る。「’88年に故・内田裕也さんとの不倫が発覚。内田さんは妻・樹木希林さんとの離婚届を’81年に役所に提出していましたが、希林さんが離婚無効の訴訟を起こして勝訴。島田さんは内田さんと結婚できなかったと言われています」’96年に照明ディレクターだった夫と結婚するも’19年に離婚。また、仕事が激減し2億5千万円で購入した豪邸のローンを払えなくなったり、ヘアヌード写真集を出版するなど、常に話題を振りまいた女優であった。そんな彼女の訃報は、やはり“想定内”では済まなかった。報道後に突然、所属事務所からマスコミ各社に異例の内容のFAXが送られてきたのだ。《実のところ弊社は知人の報道の方からご一報戴き、亡くなられた事実を知ることとなりました》《闘病期間や入院の時期、大腸癌の発症時期など親族や近しい友人、葬儀におけるスケジュールなどに関する情報は皆無の状況にあります》では、島田さんの弔いはどのように行われたのだろう。前出の友人Aさんからも、決して安らかとは言えない状況が伝えられた。「島田さんは両親が亡くなっており、家族は妹2人だけなのですが、その彼女たちが遺体の引き取りを拒否したと聞き、驚きました。そのため遺体は区役所が管理していて、会えないとも……」親しい友人たちも弔うことのできない混乱の中、なんとか葬儀は行われたという。遺族が姿を見せない中で、その中心となったのは、島田さんが設立した映画製作会社のスタッフだった。窓口となった男性が葬儀の様子をこう話す。「密葬は私も含めて十数人で行いました。病院の方にも女優さんだからと配慮してもらって、ドレスを持ってきてご遺体に着させたんです。ただ、妹さんお2人とは連絡が取れず、葬儀に出席もされていないのは事実です。身元引受人は、生前の島田さんが一筆書いてお願いしていた方となりました。長年、彼女の面倒を見ていた方です。遺骨はいま、島田さんの自宅に祭壇を設けて安置してあります」芸能界で華々しく活躍しながら、その葬儀には家族の姿さえもなかった島田さん。なぜこのような孤独な最期となってしまったのか。前出とは別の、彼女と近しい友人Bさんが、真相を明かしてくれた。「陽子さんは3姉妹の長女。お父さんが亡くなった後は、自分が一家の大黒柱として家族を養うという気持ちが強かったそうです。デビュー以来ずっと順風満帆だった陽子さんですが、うまくいかなくなったのは内田裕也さんとの交際がきっかけで借金を背負うようになってから。そこから自転車操業になって、妹さんたちに無心することもあったそうです」金銭がもとで亀裂が生じていた姉妹関係が破綻したのは、母の病いがきっかけだという。「お母様は脳梗塞になり、車いす生活を余儀なくされていました。3姉妹持ち回りで世話をしようという約束でしたが、陽子さんは芸能活動もあるため、主に費用の面でバックアップするという話になっていました。しかし、借金の返済に追われ、ままならなくなってしまったそうなんです」それでも、2年ほど前に亡くなる最期まで母親の介護をしていたのは、島田さんだった。前出の友人Aさんは後悔まじりに話す。「この数年間はとても苦しかったと思います。妹と疎遠になり母を失い、『これで本当にひとりきりになってしまった』としみじみ言っていたことを思い出します。実は彼女には、ニューヨークのブロードウエーで『将軍 SHOGUN』に主演したリチャード・チェンバレンと二人芝居をするという企画もあったんです。さぞ無念だったでしょう」近年も女優として並々ならぬ意欲を見せていた島田陽子さん。天国でもやり残した夢を追い続けているに違いない。
2022年08月02日7月25日、女優の島田陽子さんが大腸がんによる多臓器不全のため、都内の病院で亡くなった。69歳だった。「サンスポ」によると、島田さんは亡くなる直前に主演映画『Evergarden(エヴァーガーデン)』の撮影を終えていたという。本作は島田さん自ら企画、プロデュースも手がけた作品だが、惜しくも遺作となった。撮影した横山浩之監督(61)は、年内公開の意向を示しているという。’71年にドラマ『続・氷点』のヒロイン役で注目を集め、映画『砂の器』(’74年)『犬神家の一族』(’76)などに出演し人気を博した島田さん。’80年にはアメリカの連続テレビドラマ『将軍 SHOGUN』に出演。主人公と恋に落ちるヒロインを演じ、その演技力が評価されゴールデン・グローブ賞テレビドラマ部門の最優秀女優賞を受賞。これを機に、“国際女優”として脚光を浴びた。輝かしい女優人生を歩むいっぽう、島田さんのプライベートは波乱万丈だった。NHK大河ドラマの急きょ降板騒動や金銭トラブルも何度か報じられている。’80年代には樹木希林さん(享年75)の夫でロック歌手の内田裕也さん(享年79)との不倫が発覚。これによって、内田さんと希林さんは離婚騒動にまで発展し、世間を騒がせることに。その後、内田さんと島田さんは関係に終止符を打っていた。そんな経緯はあったものの、島田さんの内田さんへの敬愛の念はなくなっていなかったようだ。内田さんが亡くなって約9カ月経った’19年12月、島田さんは本誌に登場し在りし日の思い出を語ってくれた。■「私が尊敬していたのはあの人の才能です」2人の出会いは、’88年公開の島田さん主演映画『花園の迷宮』での共演だった。本作にはオールヌードシーンがあり、島田さんは監督との話し合いを続けながらも葛藤していたという。そのような時、宿泊先のホテルのドアに内田さんからのメモが挟んであったといい、励ましの言葉がこう綴られていたという。《今、大変悩んでいらっしゃると思います。自分の意見をひと言言わせてください。裸になることで、あなたの品位は1ミリたりとも傷つきません》内田さんの優しさに背中を押された島田さんは、こう振り返っていた。「世間の内田さんのイメージとは真逆な、繊細で思いやりにあふれた文章でした。ようやく心を決め、私がスタジオに向かうと、雨の中、内田さんは傘もささずに私が来るのをじっと待っていてくれました」世間的にはロックンローラーとして型破りなイメージがあった内田さん。しかし、島田さんが知っている内田さんの性格は、正反対だったという。「内田さんは他人の目があるとロックンローラーを演じてしまいます。人からどう思われているか常に評価を気にして、日常を忘れにハワイに行っても、毎日、日本の新聞と週刊誌を買い込んでチェックしているような人でした」そんなギャップのある内田さんについて、島田さんはこう語った。「私が尊敬していたのはあの人の才能です」島田さんが内田さんと最後に再会したのは、’17年8月。都内のホテルのカフェで偶然会ったといい、その日の夜遅くに内田さんから電話がかかってきたという。「私といた8年間が内田さんが輝いていた人生のピークだったようで、『あの時代が懐かしい』と。『そうね、楽しかったわね』と私が言うと、『あの時期は自分は幸せでした』と。それが最後の言葉になりました」若かりし頃に内田さんと過ごした時間は、島田さんにとってかけがえのない思い出だった――。
2022年07月27日2021年8月に急逝した作家・魚住陽子が綴る、静謐でありながら、自らの感情に向き合う強さを感じさせる珠玉の短編集。魚住陽子を知っていますか?1951年に埼玉で生まれた魚住陽子さんは書店や出版社に勤務するかたわら同人誌に詩を発表、カルチャースクールで小説を学び、35歳の時に作家デビュー。「水の出会う場所」「菜飯屋春秋」など、その独自の世界観は多くの読者を魅了し、根強い人気を獲得します。1989年には「奇術師の家」で第1回朝日新人文学賞を受賞し、その他芥川賞をはじめとする文学賞へも幾度となくノミネートされました。しかし腎臓の病を患い、残念ながら2021年8月、69歳でその生涯の幕を閉じました。短編集『夢の家』本作は彼女が遺した作品から、6編を収録した短編集です。画家の女性と彼女がかつて共に暮らした男性との愛憎を互いの心情描写で綴る表題作「夢の家」、家族を喪った一人暮らしの中年女性と彼女が関わる整体院を中心に、彼女を取り巻く人間模様を描く「シェード」、往復書簡というかたちでの師弟ふたりのやりとりによってそれぞれの感情や生活の変化を描く「郭公の家」、そして、作者の母校の創立記念の冊子に収録されていた、女子高生たちの日常のやりとりをいきいきと描いた「物置に蝶が来ている」、その他2編を加えた全6編を収録。静謐でありながら、その奥に潜む生々しい感情(後悔、諦め、憎しみ、愛、失望、希望など)をしっかりと見つめ、自らに向き合う強さを感じる作品群は、作者独自の世界観にあふれています。また、病を抱えながら暮らし、創作を続けてきた作者ならではの死と生についての鋭敏な感覚も、そこここに散見され、はっとさせられるものがあります。作者が晩年取り組んでいた俳句のエッセンスやどの作品にも登場するたくさんの草花、そして何気ない生活風景の描写にも魚住ワールドともいうべき美意識が感じられる短編集。ファンの方はもちろん、足を踏み入れたことのない方にもぜひこの世界観に触れていただきたい一冊です。推薦のコメント遠ざかってゆく者と残される者。魚住文学はその間に横たわる暗がりへと読者を誘い込む。他のどこにもない小説が、そこに映し出されている。ーー小川洋子 (帯コメントより)<目次>-----------------------------・物置に蝶が来ている・萌木色のノート・夢の家・シェード・郭公の家・旅装・あとがき(加藤閑)夢の家 | 魚住 陽子 |本 | 通販 | Amazon : 【著者紹介】魚住 陽子(うおずみ・ようこ)1951年、埼玉県生まれ。埼玉県立小川高校札業後、書店や出版社勤務を経て作家に。1989年「静かな家」で第101回芥川賞候補。1990年「奇術師の家」で第1回朝日新人文学賞受賞。1991年「別々の皿」で第105回芥川賞候補など。2000年頃から俳句を作り、『俳壇』などに作品を発表。2004年、腎臓移植後、2006年に個人誌『花眼』を発行。著書に『奇術師の家』(朝日新聞社)、『雪の絵』、『公園』、『動く箱』(新潮社)、『水の出会う場所』『菜飯屋春秋』(ともに小社)がある。2021年8月に腎不全のため死去。書誌情報『夢の家』魚住 陽子著2022年6月29日 発売A5変形判/並製272頁ISBN:978-4-909646-55-2定価:1,980円(税込)発行元:駒草出版(株式会社ダンク 出版事業部) 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年06月28日日本を代表するチェリスト長谷川陽子が、デビュー35年を迎えた記念演奏会を開催する(5月19日:東京文化会館小ホール)。この記念すべきコンサートのプログラムに選ばれたのは、ベートーヴェンの「チェロ・ソナタ」(全曲)だ。数あるチェロの名曲の中からこの作品を選んだ理由についての長谷川陽子の言葉がとても素敵だ。「今年は、私にとってデビュー35周年の年となる。この節目にベートーヴェンのソナタ全曲に臨みたいと考えた。ベートーヴェンの音楽の本質とは何だろう。コロナ禍のこの数年、ベートーヴェンが残した作品に触れながら考えを巡らせるのは、幸せな時間だ。この問いの答えはまだ出ていない。けれど、今現在の私が考えるベートーヴェンの本質は潔さ、迷いのない力強さ、誠実さ…この3つの要素を強く感じる。ふと思う。人間として、音楽家として、そのように生きてゆきたい。チェロ・ソナタ全曲に取り組むことでベートーヴェンへの憧れを、みなさまと共有したい。応援して下さるお客様と、支えてくれた周りの人たちへの感謝の気持ちとともに」共演者に、名手松本和将(ピアノ)を迎えたこの公演は、音楽家として1つの節目を迎えた長谷川陽子の決意の表れのようにも感じられる。新たな未来に向けた希望の調べに耳を傾けたい。●公演概要5月19日(木)東京文化会館小ホール「長谷川陽子 チェロ・リサイタル」 ●長谷川陽子Yoko Hasegawa (チェロ, Cello)色彩豊かな音色と音楽性を持ち合わせた、日本を代表するチェロ奏者の一人。2022 年デビュー35周年を迎える。1987年音楽之友社主催「フレッシュ・アーティスト・シリーズ」にてリサイタル・デビュー。1988 年小林研一郎指揮、日本フィ ルとの共演で協奏曲デビューした。その後、フィンランドのシベリウス・アカデミーに留学し、1992年首席で卒業後帰国。これまで、国内外の主要オーケストラとの共演、全国各地でのリサイタル、室内楽、朗読との共演などその活動は多岐に わたる。霧島国際音楽祭賞、ロストロポーヴィチ国際チェロ・コンクール特別賞、新日鉄フレッシュ・アーティスト賞、第9 回齋藤秀雄メモリアル基金賞等、受賞多数。後進の指導にもあたり、現在、桐朋学園大学音楽学部准教授を務めている。オフィシャルホームページ
2022年04月20日上白石萌歌が主人公を吹き替える映画『ゴーストバスターズ/アフターライフ』。この度、新たに日本語吹き替え版声優として、高山みなみ、朴ロ美、木内秀信、日笠陽子の参加が明らかになった。4名の豪華声優陣が演じるのは、主人公フィービーを取り巻くキャラクターたち。江戸川コナン、鬼太郎、ムーミントロールなどの声でお馴染みの高山さんが、フィービーの唯一の友達となり、共にゴーストたちに立ち向かう仲間ポッドキャスト。舞台「千と千尋の神隠し」の上演を控える朴さんが、フィービーと兄トレヴァーの母親であり、初代ゴーストバスターズの一員イゴン・スペングラー博士の娘・キャリー。フィービーが通う学校の教師グルーバーソンは、『アントマン』や『思いやりのススメ』など数々の作品でポール・ラッドの声を担当してきた木内さん。フィービーとトレヴァー、ポッドキャストと共に<新生ゴーストバスターズ>の一員となるラッキーを、「けいおん!」「はたらく細胞BLACK」の日笠さんが務める。科学オタクのフィービーと意気投合する重要なキャラクターを演じた高山さんは「『彼が出て来ると、ちょっと和む…』音響監督と相談しながら、ポッドキャストくんの雰囲気を作りました。不可思議なことが大好きで好奇心旺盛。背伸びしつつも、フィービーちゃんの良い相棒なのだと思います」とポッドキャストの魅力を語り、『ゴーストバスターズ』2016年版のホルツマン役でも声優を務めた朴さんは「観終わったあと、とても洗われた気持ちになり、気がつくと温かな涙が頬をつたっていました。初代ゴーストバスターズ監督の息子ジェイソン・ライトマンが今回監督したこともあるのか、まさに『家族の物語』だと思いました」と作品の感想を語る。フィービーとポッドキャストに初代ゴーストバスターズの存在を教える物語のキーマンを演じた木内さんは「演出も時代の変化も感じつつ懐かしい部分もあり思わずニヤけてしまいます。もちろん前作品を知らなくてもお楽しみいただける作品になっています」とメッセージ。シリーズファンだったという日笠さんも「まさか自分が子供の頃見ていたゴーストバスターズの世界に関われる日がくるとは思っていなかったので非常に嬉しいです。当時見ていた方は思わずホロッと涙してしまう胸が熱くなるような展開ですし、親から子へ、子からまた子へ...、今に繋がっていて、さらにきっとこれからも繋がっていくのだと思わせてくれる希望の物語です」とコメントしている。『ゴーストバスターズ/アフターライフ』は2月4日(金)より全国にて公開。※朴ロ美の「ロ」は、正しくは「王偏に路」(cinemacafe.net)■関連作品:ゴーストバスターズ/アフターライフ 2022年2月4日より全国にて公開
2022年01月18日南野陽子が、16年ぶりの新曲「空を見上げて」「大切な人」を含むベストアルバム『Four Seasons NANNO Selection』を本日12月8日にリリースした。1980年代にアイドルとして活動し、現在は女優としてドラマや舞台で活躍している南野。今作は四季をテーマに本人が選曲した、季節感に溢れた南野の新たな魅力を引き出した作品で、ジャケットや歌詞ブックレットにも南野のビジュアルが満載となっている。また待望の新曲「空を見上げて」「大切な人」は、南野との信頼関係も強い日本歌謡界の巨匠・萩田光雄がサウンドプロデュースを手がけている。また『Four Seasons NANNO Selection』発売にあたり、南野本人からのコメントが届いている。■南野陽子 コメント詞や音から季節や物語を感じていただけるように、色彩感豊かにお気に入り曲を36曲、集めてみました。当時の私の楽曲を知らなくても楽しんでいただける内容だと思います。皆さまに青春時代のその頃、その刻を懐かしんでいただきたいです。そして、南野陽子ワールドには欠かせない萩田光雄さんに、久々の新曲2曲をプロデュースして頂きました!こちらもぜひ聴いて下さい。<リリース情報>南野陽子 ベストアルバム『Four Seasons NANNO Selection』2021年12月8日(水) リリース価格:3,600円(税込)南野陽子『Four Seasons NANNO Selection』初回仕様(三方背スリーブケース)南野陽子『Four Seasons NANNO Selection』ジャケット※CD2枚組 / 34曲収録 / 高品質Blu-spec CD2規格※初回仕様は、CDケース本体のジャケット写真とは違うビジュアルの三方背スリーブケースに収納※南野陽子セルフライナー付『Four Seasons NANNO Selection』特設サイト:
2021年12月08日8月19日、新型コロナウイルスによる肺炎のため亡くなった千葉真一さん(享年82)。本誌に見せていた野際陽子さん(享年81)との日々を本誌秘蔵写真で振り返るーー。60年を超える芸能キャリアでも、常にマスコミをにぎわせてきた千葉さん。その中でも本誌の取材がとりわけ多かったのは、野際さんとの夫婦生活だった。東映アクションドラマ『キイハンター』での共演がきっかけで、’73年に結婚した2人。日の出とともにエーゲ海の船のうえであげたという結婚式の思い出とともに、1カ月余りの旅行から帰国すると、「指輪とヒゲがお土産なのよ!」と報告してくれた。その後、のちに女優となる真瀬樹里(46)が生まれ、おしどり夫婦として知られたが、SONNY CHIBAとしてハリウッドでの活動を本格化したい千葉の思いによって離婚。2人そろって記者会見を行った。野際さんは’17年に死去。千葉と同じく、晩年まで精力的に活動していた。天国で再会し、残した家族や俳優仲間たちをいつまでも見守ってくれるだろう。
2021年08月27日SNSの普及もあり、教育情報があふれる時代になりました。もちろん情報に助けられることもありますが、理想の子育てと自分の子育てを比較して落ち込むことも多いのではないでしょうか。それぞれはすばらしくても、すべての教育方法を取り入れることがベストとは限りません。逆に、親が頑張りすぎて余裕をなくしてしまうことは、子どもにとって悪影響です。親子で “ゆとり” をもつために、「しないこと」を考えてみませんか。親のストレスが子どもに悪影響を及ぼす……親がいっぱいいっぱいの状態になり、ストレスをため込んでしまうのはとても危険です。なぜならば、その親のストレスが、今度は「マルトリートメント(不適切な養育)」というかたちで子どもに悪影響を及ぼすからです。マルトリートメントの意味は、虐待よりももっと広い意味の「子どもの健全な成長・発達を阻む不適切な行為」。たとえば、「大声で叱りつける」「叩く」「気分に任せて態度を変える」行為などが、それにあたります。子どものこころの発達研究センター発達支援研究室の小児科医・友田明美氏(福井大学教授)によると、マルトリートメントがエスカレートすると、子どもの脳に強いストレスがかかり、脳の損傷を招くこともあるのだそう。その結果、脳機能にも影響が及び、正常な発達が損なわれてしまうとのこと。子どもによっては、キレやすい性格になったり、うつ状態になったりするケースも……。また、親のストレスが子どもの人間関係にも悪影響を与えると話すのは、日本メンタルアップ支援機構代表理事の大野萌子氏。子どもにマナーを守らせるとき、「親自身のイライラをぶつけるように “表情も音調も冷たく、言い放つ” ような冷たい対応をしていると、いずれ、子どもも他人に対して同じような態度をとるようになる」と警告しています。さらにこのとき、親に口答えできず、我慢を強いられ続けると、自分より弱い人に対して攻撃的になる傾向もあるのだそう。そんな最悪の状況は避けたいですよね。そのためには、親の精神的な “ゆとり” を確保するのが有効です。次に紹介する「10のしないこと」をぜひ参考にしてみてください。子どもの教育に疲れたら「10のしないこと」を考えて「疲れたな……」「イライラしているな」と感じたら、 “しなくてもいいこと” を考えてみましょう。合同会社こどもみらい探究社代表で保育士の小竹めぐみ氏と小笠原舞氏、教育学博士であるアグネス・チャン氏など、子育て・教育のプロたちの提言を参考に、「10のしないこと」をピックアップしてみました。しないこと1:子どもに期待しない子どもは「親の期待」に敏感です。親が子に期待をすると、子どもは強いプレッシャーを感じます。すると今度は、子どもの意識は「親を満足させること」に向いてしまうのです。たとえば、ママが「今日もゴールを決めてね!」って言っていたから、なんとしてでも頑張らなくてはと考えてしまうわけです。「最後まで走れるといいね」「全力で頑張ろうね」など、 “そのときのその子のベスト” を大切にしてあげましょう。しないこと2:先回りしない、手助けしすぎない親は、わが子が勉強や運動などで遅れをとらないように、「教えてあげなきゃ」と先回りしがちです。しかし、東京家政大学子ども学部教授の岩立京子氏によると、それは子どもから学びのチャンスを奪う「悪い先回り」なのだそう。「チャレンジと試行錯誤のあとの達成感が子どもを育む」と信じて、あれやこれやと先回りしたい気持ちをぐっと押さえていきましょう。しないこと3:子どもの失敗を恐れない子どもに「失敗させたくない」と考える親御さんは多いはず。しかし、子どもにとって、失敗からの学びはとても貴重です。教育ジャーナリストの中曽根陽子氏は、「失敗は、そのときの能力以上のことに挑戦した結果。つまり、成長のチャンス」だと言っています。「自分でやるの!」と言い張って、お皿をひっくり返した……ということ、よくありますよね。でも、その失敗が未来の挑戦力につながるのですから、お子さまにはどんどん失敗をさせてあげてください。しないこと4:他人の成功例をまねしない「これからの教育に王道はないんですよ。他人のものさし、固定概念に縛られていてはダメ」「人間の価値はその子の個性にあります」ーーこれらはアグネス・チャン氏の言葉。「毎日絵本を10冊読んでいたので、国語のテストはいつも100点です」という記事を読んで、「今日からうちも10冊読み聞かせよう!」といった教育は、わが子の個性を見ているとは言えませんよね。もしかしたら、お子さんは絵本よりも図鑑のほうが好きかもしれません。これからの時代は、子どもをしっかりと見て、その子に合った対応をすることが大切です。しないこと5:子どもをほめないアドラー心理学では、子どもを「ほめる」のではなく「認める」ことを大切にしています。なぜならば、親が子どもをほめるときは、どこかで「子どもを自分の思い通りにしよう」という下心が入ってしまうから。「こんなに勉強ができてすごいね!(もっと頑張って、もっと勉強ができるようになってほしい)」とほめるのではなく、「頑張ったね!ママも嬉しいよ」と、子どもを認め、共感してあげてください。しないこと6:生活リズムにこだわりすぎなくていい小竹氏と小笠原氏は、「夜は9時までに寝ないといけない」「一日三食食べさせなければ」「遅くならないうちにお風呂に入らなきゃ……」と、生活リズムにこだわりすぎなくていいと話しています。親だって毎日同じ時間に寝ることはないですし、一日二食になることもありますよね。ですから、寝る時間がいつもより遅くなってしまっても、お風呂に入れなくても、「今日はこれでOK」と、肩の力を抜く日があってもいいのです。しないこと7:ルールを守りすぎないルールを守るより新しい発見を楽しむべきだと、アグネス・チャン氏は言っています。ルールを守って、いつも通りの生活しかしたくない子を育ててしまったら、大人になって苦労しますよ。だってものすごいスピードで新しいものが出てくる時代ですから。そのたびにストレスになったら、毎日楽しくないじゃないですか。新しいものを求める子にしましょう。新しいものをつくれる子にしましょう。そのためには、親が新しいものを怖がらないで、刺激的な楽しい環境をつくることです(引用元:ブックバング 小学館|子どもに「規則正しい生活」は必要ない 息子3人を「スタンフォード大学」に合格させたアグネス・チャンが考える教育法)アグネス・チャン氏は、日本で重要視される「規則正しさ」よりも、刺激的な毎日を送って脳のシナプスを増やすことが重要だと断言。実際に「毎日食事場所を変える」「突然家族旅行を決行する」などを実践して、子どもが退屈しないような工夫をしていたそう。「ルールを絶対に守らない」ということではなく、日常にスパイスを加えるイメージです。しないこと8:イライラしている自分も子どもも責めない親も子どももイライラする日がありますよね。特に子どもはそんなイライラをもてあまし気味です。アグネス・チャン氏は、「子どものイライラの原因はホルモン」だと話しています。思春期前後の子どもは、ホルモンバランスが変化するためイライラしがちなのだそう。「イライラは誰のせいでもなく仕方がないこと」と親が丁寧に説明をしてあげることで、子ども自身もイライラを客観視できるのです。ですから、イライラしている子どもにイライラしそうになったら、このコラムの「しないこと8」を思い出してくださいね。しないこと9:いつも笑顔でなくてもいい笑顔は誰にとってもうれしいもの。でも、 “笑顔” にとらわれすぎていませんか?心理学者・大日向雅美氏(恵泉女学園大学学長)は、「子育ては修羅場!いつも笑顔で穏やかでいることは無理」と言いきっています。また、こころぎふ臨床心理センター所長の長谷川博一氏も、「無理をして笑顔をつくる必要はない」と述べています。だから、親はいつも笑顔でなくたっていいのです!悲しい、つらいことがあれば、我慢せず泣いたっていいのです。しないこと10:子どもを世界の中心にしない食事のメニューやお出かけの場所などを決めるとき、子ども中心に考えてしまう親御さんは少なくないはず。しかし家庭のなかで子どもを特別扱いしすぎると、その子は自己愛の強い、自己中心的な人間になってしまうかもしれません。以下は、サイコセラピストのエイミー・モーリン氏が挙げた、「あなたは特別な子よ」というメッセージを送っていないかどうかのチェックリストです。□子どもをほめちぎり、もち上げることが好きである□子どもに求められたら、何をしていてもすぐに中断している□子どもが望むことをするために、たくさんの時間を費やしている□わが子の能力はどんなことでも平均以上だと思っているもしひとつでも当てはまるようであれば、お子さまが「私って特別」と感じている可能性があります。エイミー・モーリン氏は、「自分が世界の中心」と子どもが勘違いしないために、「親はひとりの時間をつくる」「夫婦の時間を楽しむ」べきだと話します。親が自分の人生を犠牲にしない生き方をすることは、子どもへの大きなメッセージとなるはずです。***「しないこと」でよい効果が得られるなら最高ですよね。一方で、絶対やったほうがよいことがあります。それは、「大好きの声かけ」や「スキンシップ」で親の愛をしっかり伝えること。アグネス・チャン氏は「前に進んでいく力になる自己肯定感を育てるのは、親の絶対的な愛情です。それはこれからの時代、子どもを幸せにしたい親が贈るべき最高のプレゼント」だと言っていますよ。「すること」と「しないこと」、しっかり心に刻みたいですね。(参考)小竹めぐみ 著, 小笠原舞 著(2016),『いい親よりも大切なこと』, 新潮社.中曽根陽子(2016),『成功したいなら「失敗力」を育てなさい』, 早川書房.ブックバング 小学館|子どもに「規則正しい生活」は必要ない 息子3人を「スタンフォード大学」に合格させたアグネス・チャンが考える教育法伸芽’sクラブ|子育てはもっと楽をしてもいい?余裕ある子育て、子育てを楽しむことが与える子供への影響PHPファミリー|子育てでお母さんが持っておきたい「3つの余裕」公益財団法人 母子健康協会|新マルトリートメント(避けるべき子育て)が子どもの脳の発達に与える影響についてーマルトリートメントが子どもの人生に影響を与えるSTUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|子どもの失敗の機会を奪う「悪い先回り」を今すぐやめて、「いい先回り」をするための工夫とは?STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|「失敗を恐れない力」の育て方。子どもに「挑戦したい!」と思わせる、効果抜群な言葉かけSTUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|子育てでは“ほめないこと”が大切なわけ。アドラー流・子どもを「ほめずに勇気づける」方法Forbes|精神の強い親がしない13のことダイヤモンドオンライン|「期待しない子育て」が脳にとてつもなくいいワケ東洋経済オンライン|「子どもに当たり散らす親」がいずれ陥る悲劇 「しつけ」という言葉ですべてを片付けるなすくすく子育て情報|いい母の重圧現代ビジネス|メンタルが強い子の親が、絶対に子どもを「特別扱い」しないワケ
2021年05月18日広瀬すず、櫻井翔、江口洋介らが出演する現在放送中のドラマ「ネメシス」に南野陽子の出演が決定した。本作は、広瀬さん演じる天才助手・美神アンナと、櫻井さん演じるポンコツ探偵・風真尚希の凸凹バディが、探偵事務所ネメシスに舞い込む難事件を次々と解決していくミステリードラマ。第5話まで放送された本作。アンナの父・美神始(仲村トオル)失踪の謎、20年前の事件の真相に近づいていくネメシスだが、黒幕まであと一歩と迫る中、大きな問題が立ち塞がる。そこで、風真のかつての師匠である怪しげなマジシャンの力を借りることになるのだが、そんな元凄腕詐欺師にして現在はマジシャンという異色な経歴を持つ美しきコンフィデンスマン・緋邑晶を南野さんが演じる。中華街を根城とする緋邑は、人を欺くのはお手のもの。風真をポンコツ扱い、アンナをお嬢とあしらう緋邑がチームネメシスを救う…?南野さんは「マジックを実際にするシーンもあり、カードや角砂糖、花札を使ったものが出てくるんですけど、私はあまり器用な方ではないので、おうちでとりあえず100回は練習しようと気合いを入れましたね」と語り、「7話から見始めてもまだまだ間に合うので『ネメシス』をたくさんの方に楽しんでもらえたら嬉しいです。これからの展開を見逃さないでください!」とメッセージを寄せている。また、緋邑が登場する7話以降には、彼女だけではなくスピード狂の医者・上原黄以子(大島優子)のドライビングテクニックや、道具屋・星(上田竜也)の秘密道具、天才的頭脳を持つアンナの親友・四葉朋美(橋本環奈)のひらめき、AI開発者の姫川烝位(奥平大兼)の捜査力に、アクロバティックな料理人・リュウ楊一(加藤諒)のアクションも大活躍。さらに、7話のラストで驚愕の真実が。これまでの物語の全てが伏線になっており、探偵事務所ネメシスが追う事件の真相が明かされていく。「ネメシス」は毎週日曜日22時30分~日本テレビにて放送中。(cinemacafe.net)
2021年05月10日親子関係が子どもの学力に及ぼす影響は、私たちが想像しているよりもはるかに大きいらしい――。なんとなくそう感じている保護者の方も多いのではないでしょうか。家庭内の雰囲気や親子の関係性は、子どもの人格形成だけではなく、学力への影響も少なくないのです。今回は、「親子の絆と学力の関係性」について考えていきます。親子のコミュニケーションと学力の深い関係最近は、親も子どもも仕事や家事、学校や習い事などで忙しく過ごし、また専用のスマートフォンやタブレットを持つようになったことからも、家族間のコミュニケーション不足が問題となっています。たとえば夫婦のやりとりも、LINEで「いまから帰る」「了解」のみ、またはスタンプひとつで完了、ということも少なくないのではないでしょうか。教育社会学者の舞田敏彦氏は、家族における「関係の貧困」こそが、子どもの学力低下につながっていると指摘します。たとえば、「算数の計算問題はできるのに文章題はできない」「(LINEでの細切れの単語の会話に慣れてしまって)長い文章の構築ができない」など、読解力の乏しさや文章力の未熟さが見られるなら、親子のコミュニケーションについて考え直す必要があるようです。国立青少年教育振興機構の調査結果をもとに、舞田氏が独自で割り出したデータによると、「家族とよく話をするグループほど、勉強が得意という子が多い」という結果に。家族と話をする頻度が最も高い群では、52.3%が「勉強が得意」と答えた一方で、会話頻度が最低の群では28.4%と約半数でした。特にほかの教科に比べて、「国語が得意」と答えた比率は、家族関係が良好なほど明らかに高くなったそうです。同様の結果が導き出された調査はほかにも。ベネッセ教育総合研究所のアンケート調査によると、学力の上位層ほど保護者との会話が多く、「1日の出来事を話す」「学校での勉強について話をする」ことがわかりました。逆に、学力の下位層ほど「宿題をやるように(親から)注意される」と答える比率が高くなり、親子の会話というよりも、親から一方的に注意されたり叱られたりする傾向が強まるようです。これらの結果からも、子どもが落ち着いて勉強に取り組める環境は、良好な親子関係のもとでつくられるということがわかるでしょう。家族関係の問題が子どもに及ぼす影響家族といえどもそれぞれ別の人間なので、当然ぶつかり合うことやわかり合えないこともあります。すぐに関係を修復できずに殺伐とした雰囲気が続き、家庭内が不穏な空気に包まれてしまうことで、子どもにはどのような影響を与えてしまうのでしょうか。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所で知的・発達障害研究部部長を務める岡田俊氏は、「普段から夫婦間で本音を出していないと、(子どもの進学など)大事な局面になるとお互いが譲れなくなり、対立してしまうことも。子どもの目の前で夫婦がぶつかり合うと、子どもにストレスを与えてしまう」と指摘します。日頃から夫婦間の意思疎通が不十分であることから、「ちょっとした夫婦げんかでも壊滅的な結果をもたらすかもしれない……」とお互いに思い込み、衝突を避けてやり過ごす夫婦は意外と多いものです。しかし、普段から本音を隠していることでお互いの気持ちがわからなくなり、きちんと向き合わなければならなくなった段階で夫婦のスタンスの相違が露呈してしまい、本当に取り返しのつかないことになるケースも。このような夫婦のほころびを目の当たりにすると、子どもは「自分のせいでお母さんとお父さんの仲が悪くなったのかも」と不安になり、当然勉強も手につかなくなるでしょう。ただし、共働きゆえに家族が一緒に過ごす時間が少ないのは、子どもの学力が低下する直接的な原因にはなりません。ペンシルバニア大学ウォートン・スクールの組織心理学者であるスチュワート D.フリードマン氏の研究では、「親が仕事や子育てに費やす時間の長さは、子どものメンタルヘルスに影響していない」ことや、「必ずしも長い時間を一緒に過ごす必要はなく、本当に大切なのは質の高い時間」であることがわかりました。具体的には、親が仕事に費やす時間が長くても短くても、何よりも家庭を第一に優先すべきだと考えている場合、子どもの感情面の健康状態はより良好であると判明し、また親が仕事に対してポジティブな気持ちで取り組んでいることも、子どもの心の成長にプラスにはたらくことがわかったのです。問題は、一緒に過ごす時間の長さではありません。イライラして感情的になって子どもに八つ当たりをしたり、子どもに過剰な期待をして無理難題を押しつけたりなどのマルトリートメント(不適切な養育)が問題なのです。子どもを対等な存在として尊重できているか、と改めて考えてみましょう。東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之氏は、「あまりにも強く叱りすぎるなど、不適切な言葉がけを繰り返すことは、子どもの脳に悪影響を与える」と述べています。さらに、小児神経科医の友田明美氏によると、「日常的に “不適切な養育” を受けてきた人の脳を調べると、傷がついて変形していることがわかった」そうです。夫婦のやりとりや子どもへの接し方は、家庭内の問題のためあまり表面化されません。しかし、確実に子どもの心や脳に影響を及ぼしているのです。親自身がストレスをためないことが第一家族間でのいざこざが子どものストレスにならないように、親はどのようなことに注意するべきなのでしょうか。前出の岡田氏は、「親自身がストレスをためないことが大事」だと言います。日々の生活に追われて自分を後回しにしたり、子どものことばかり考えてひとりで悩みを抱えたりすることで、いつの間にか精神的に不安定になっていませんか?「自分のため」に楽しんだり休んだりすることも、家庭内の安定のためには必要です。また、日頃から夫婦間で本音を出し合うように心がけましょう。正直な気持ちを伝えることに慣れてしまえば、何か問題が起こったときにも関係がこじれることなく改善に向かうはずです。家族のコミュニケーションがしっかりとれていて、家庭が安心できる場所だと感じている子どもは、落ち着いて勉強に取り組むことができます。教育ジャーナリストの中曽根陽子さんによると、「親のほうから一方的に勉強や成績、進路などの話をするのではなく、子どもからも働きかけができる親子関係であることが、子どもの学力向上に有利に働く」のだそう。前出の舞田氏も、「親子のコミュニケーションが少ないと、子どもは自分の世界にこもってしまい、未知のものに触れて何かを読み解くことも減ってしまう」と指摘しています。読解力も文章力も、そして想像力も対人コミュニケーションから得られることが多いので、ぜひ家庭での会話量を増やしていきましょう。***日々のなにげない会話は、家庭の風通しをよくし、親子の絆を深めます。さらには、子どもの学習への意欲にもつながることがわかれば、親子のコミュニケーションがいかに大事なのか理解できるのではないでしょうか。(参考)日経DUAL|親子関係の貧困化は学力に関わる 朝食は簡素でOKベネッセ教育総合研究所|学力が高い子どもは、保護者との会話が多い傾向がある。日経DUAL|夫婦関係や親のメンタル不調が子どものストレス源にDIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|親のキャリアは子どもの成長にどんな影響を与えるかSTUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|脳が変形するって本当!?子どもの脳を傷つける“親のNG行為”PHPのびのび子育て 2019年10月号,PHP研究所.プレジデントオンライン|5歳児の脳を損傷させた「DV夫婦」ビジネスジャーナル|「子どもの学力は親の学歴&年収で決まる」の“まやかし”…非認知能力と学力に相関関係
2020年08月22日大切なわが子のために、できることはすべてしてあげたいーー。そう考えるのは親として当然です。しかし、勉強面や生活面で干渉しすぎてしまうと、子どもの将来に悪影響を及ぼしてしまう恐れも。今回は、「ハイパーペアレンティング」と呼ばれる “過干渉の子育て” をする親たちについて解説していきます。急増中の「ハイパーペアレンティング」な親とは?「ハイパーペアレンティング」という言葉を初めて目にする人も多いのではないでしょうか?簡単に説明すると、「過干渉の子育て」や「子どもをコントロールしようとする親たち」の総称として使われることが多いようです。いわゆる『教育虐待』もハイパーペアレンティングに含まれると言っていいでしょう。近年増加傾向にある「ハイパーペアレンティング」な保護者たち。その原因として、昨今の不安定で混沌とした社会情勢や、SNSなどの過剰な情報によって保護者のあいだで不安が増大していることが挙げられます。東京未来大学こども心理学部准教授で育児工学者の小谷博子先生は、「決して安定した社会が望めないこれからの時代を生き抜くために、さまざまなものを身につけさせてやりたいと早期教育に走る親たちが増えてきている」と指摘します。また、明治大学文学部教授で心理学者の諸富祥彦先生も、「現在の情報化社会のなかで、親は他人の子育てや家庭教育と自分を比べて不安になり、自己否定することが増えている」と述べており、他者との比較によって不安が増大していることを危惧しています。「ハイパーペアレンティング」は、一見すると “教育熱心な親” として悪くないイメージをもたれがちですが、実際には子どもに大きな負担をかけているケースが少なくありません。さらには親自身も大きなプレッシャーを感じており、親子ともに高すぎる理想に押しつぶされてしまうことも……。子どもを疲弊させる「ハイパーペアレンティング」の例「ハイパーペアレンティング」の具体的な例をいくつか挙げていきましょう。■たくさんの習い事をさせるハイパーペアレンティングの典型と言えるのが「習い事をたくさんさせる親」です。いい学校に進学をしていい会社に就職し、よりよい人生を歩ませるために親は最善を尽くそうとしますが、その手段としてやみくもに複数の習い事をさせることは、間違いなくハイパーペアレンティングです。ひとつひとつの習い事は子どもにとって有効であっても、欲張ってすべてをやらせようとすると、子どもは心身ともに疲弊してしまいます。■予定を詰め込んで “退屈” させない習い事をたくさんさせることと同様に、学校以外の予定を親が勝手に決めてスケジュールを詰め込むのも、ハイパーペアレンティングの一例です。子どもには、ぼーっとする “退屈な時間” が必要。国立大学付属小学校の松尾英明教諭は、「成績だけでなく、人格的な面も含めて “すばらしい” と賞される子は、家でダラダラしていることが多い」と指摘しています。脳を効率的に働かせるためにも、ぼーっと過ごす時間は必要不可欠なのです。■子どもの友人関係に口を出す子どもの交友関係を黙って見守ることができず、つい「あの子とはあまり遊ばないほうがいいんじゃない?」などと口を出してしまうのもハイパーペアレンティングと言えるでしょう。さまざまなタイプの人間と関わって、豊かで深い人間関係を築くことよりも、「わが子にいい影響を与えてくれる子」や「付き合うとメリットがある子」を選ぶことを優先するのは、子どもにとって決してよいことではありません。■子どもの失敗を先回りして阻止するハイパーペアレンティングは、言い換えれば「親の過干渉」です。子どもが何か新しいことを始めようとすると、すかさず情報を集めて「でもこれってこういうところが危ないみたいよ」「やってもあまり意味ないんじゃない?」とやる気を削いだり、実際に手を伸ばして転ぶ前に抱き上げたりするのは、過干渉にほかなりません。失敗を経験しないまま大人になると、わが子はどうなってしまうと思いますか?「ハイパーペアレンティング」は、決して子どもを苦しめたり困らせたりしようとしているわけではありません。根底にあるのは「わが子によりよい人生を歩ませたい」「将来苦労させたくない」という親の強い愛情。親であるならば当然そのように考えますよね。しかし、教育評論家の石田勝紀さんは「親の『子どもにこうなってもらいたい』は押しつけである」と断言しています。親と子では、得意なことも苦手なことも、そして価値観も異なります。だからこそ、親は子どもと自分を同一視するのではなく、子ども自身ときちんと向き合い、子どもが大切にしてる価値観を大事にしてあげるべきなのです。ハイパーペアレンティングにならないためにここまで読んで、「もしかしてうちも『ハイパーペアレンティング』予備軍!?」と心配になった親御さんもいるのではないでしょうか。ハイパーペアレンティングにならないために心がけるべきことをまとめたので、ぜひ参考にしてください。濁協医科大学の永井伸一名誉教授は、「頭のよい子ども、自主的に勉強できる子どもに育つかどうかは、中学生までに親がどう関わったか、それによってどのような脳がつくられたかで決まる」と述べています。大事なのは、「遊び」のなかで学習する習慣をつけること。楽しいと感じれば、脳は活性化し、グングン新しいことを学べるのです。逆に面白がれなかったら、何を見ても聞いても知識は深く根付きません。だから、小さい時から塾に入れてしごいたとしても残念ながら本当に頭のいい子は育たないんです。(引用元:現代ビジネス|「子どもをダメにする」親の研究~3000人の聞き取り調査でわかった!)「塾にさえ入れれば勉強ができるようになる」「たくさんの習い事をさせているから大丈夫」と、根拠のない安心感を得るのは危険です。子ども自身が何を学びたいか、何に興味があるのかを見極めて、環境を整えてあげましょう。教育ジャーナリストの中曽根陽子さんは、「親であるならば『こんな人間に育ってほしい』『子どものときに自分が苦手だったことを得意になってほしい』と願うのは当たり前」としたうえで、親としての究極の願いは「子どもに幸せになってほしい」ということが大前提であると説きます。はたして、親であるみなさんが考える「理想の子ども」は、目の前の我が子とはまったく別の人間になっていないでしょうか。自分が思う理想の子ども像に我が子を当てはめようとして、子どもが「自分らしく自分の強みを生かす」ことを邪魔していないでしょうか。(引用元:STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|親の役目は我が子の「自己探求の力」を育むこと。“理想の子ども像”を押し付けてない?)そして最後に、何よりも大事なのは「親自身が自分の人生を楽しむべき」だということ。諸富先生は、親自身が幸せになることで、子どもは「人生は楽しいんだ!」ということを親の生き方を通じて知るといいます。完璧な子育てをする完璧な親になどなる必要はありませんし、なれるはずもありません。そんなことを考えるより、もっと自分の願望に素直に従って、親自身が幸せになり、子どもに「僕も幸せになっていいんだ」「わたしも幸せになっていいんだ」と思わせてあげる。それが子育てにおいてもっとも大切なことです。(引用元:STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|完璧な子育てを目指さなくていい。親はもっとわがままに“自分の幸せ”を追求しよう)また、前出の石田さんも、親が子どもの「ネガティブな部分」にばかり意識が向いてしまうのは、「親自身が自分の人生を楽しむことに意識がフォーカスできていないことが背景にある」と述べています。子どもの成績や生活態度ばかりに目が向いて、小言が多くなったり過度に干渉したりするのは、親が自分の人生に不満を抱えているケースが多いのです。まずは親自身が自分の人生を楽しむことができれば、心に余裕が生まれます。そうすれば、ありのままのわが子を愛することができるようになるのではないでしょうか。***『100万人が信頼した脳科学者の絶対に賢い子になる子育てバイブル』(ダイヤモンド社)の著者であるジョン・メディナ氏は、「ハイパー・ペアレンティングは、子どもの知能の発達を妨げる恐れがある」と警鐘を鳴らしています。子どもが子どもらしく、健やかに成長するためにも、過干渉にならないように気をつけたいですね。(参考)PHPのびのび子育て 2020年8月特別増刊号,PHP研究所.STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|完璧な子育てを目指さなくていい。親はもっとわがままに“自分の幸せ”を追求しようCHILD RESEARCH NET|スケジュールをつめ込まれた子供:ハイパー・ペアレンティングは避けるべきプレジデントオンライン|なぜ頭のいい子は家でダラダラユルユルか東洋経済オンライン|子どもを追いつめる、親たちの「願望と正論」現代ビジネス|「子どもをダメにする」親の研究~3000人の聞き取り調査でわかった!STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|親の役目は我が子の「自己探求の力」を育むこと。“理想の子ども像”を押し付けてない?ダイヤモンドオンライン|「期待しない子育て」が脳にとてつもなくいいワケ
2020年08月17日近年の教育界における重要なキーワードとして「自己肯定感」があります。その解釈や評価は人によってさまざまですが、教育ジャーナリストの中曽根陽子さんは、「自己肯定感は、人間が生きていく力の根幹」だといいます。それだけ重要なものだとすれば、親としては子どもの自己肯定感をしっかりと伸ばしてあげたいものですよね。そのために必要なのは、「親自身が幸せになること」なのだそう。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカット)ありのままの自分を認められる自己肯定感は、生きる力の根幹「自己肯定感」とは、自分のいいところも悪いところも含めて、「自分はありのままでいいんだ!」と認められる感情のことです。一方、その逆はなにかというと、自分の存在を認められない「自己否定」です。この自己否定の感覚が強くなると、最悪の場合は自ら死を選ぶということにもなりかねません。それだけ自己肯定感は重要な力であり、いわば生きる力の根幹です。そう思えば、親であれば我が子の自己肯定感をしっかりと高めてあげたいもの。では、自己肯定感が高い子どもの親にはどんな共通点があるのでしょうか?いま、わたしは、自分のやりたいことをしっかり持っている、自己肯定感の高い子どもの親たちへの取材を続けています。その取材を通じて見えてきたことのひとつとして、自己肯定感の高い子どもの親たちには、子どもに干渉しすぎず、それこそ「子どものありのままを受け止めている」という共通点があることが挙げられます。子どもがやりたいことがなんであれ、まずは認めてあげて、うまくいかないときには、どうすれば実現できるかと一緒に考え、子どもを支援するかたちでの対応をしているのです。一方、自己肯定感の低い子どもの親に見られる共通点が、「子どもをできない存在としてとらえている」ということでした。そういう親は「子どもは、あらゆることを親が教えてあげなければならない存在」だと思っています。そのため、よかれと思って、自分が正しいと思っていることを押しつけて、子どものやりたいことを否定してしまう。あるいは、他人と比較してダメ出しをしたり、親の望む子ども像を押しつけたりしがちです。それでは、子どもの自己肯定感が育まれるはずもありません。しっかりと子どもを観察し、できるだけ子どものいい面やできた部分を見て励ましてあげてください。自己肯定感が高い子どもの親も自己肯定感が高いまた、自己肯定感の高い子どもの親に見られるもうひとつの共通点として、「親自身の自己肯定感が高い」ということも挙げられます。じつは、自己肯定には2種類あります。ひとつが「条件付きの自己肯定感」、もうひとつが「条件のない自己肯定感」です。条件付きの自己肯定感とは、「誰かと比較して優れている」とか「評価されている」というように、人との比較でもたらされる自己肯定感です。この自己肯定感は、自分より優れている人が現れたり失敗して評価が下がったりすると、途端に自信がなくなって低下してしまうものです。反対に、条件なしの自己肯定感は、いいところもダメなところもある自分を受け入れられる自己肯定感。「自分はこのままでいい!」「自分は大丈夫!」と感じられれば、たとえうまくいかないことが起こっても、自己肯定感は揺るがず安定しています。そして、自己肯定感が高い親は、自分の心のコップを、ありのままの自分を受け入れられる自己肯定感という水で満たしているからこそ、子どもの心のコップにも水を注ぐことができるわけです。自分のコップが水で満たされていないのに、子どものコップに水を注ぐことはできませんよね。そうであるならば、親自身が楽しく幸せな人生を歩むことが大切。しかし、残念ながら、ありのままの自分を肯定できないということはあると思います。それでも、もし自分が真剣にそれを望めば、人は必ず変わることができます。そのためには、「ポジティブ心理学」というものを学んでみるのもいいかもしれませんね。じつは、ポジティブ心理学については、わたしもいままさに勉強中です。いま、ポジティブ心理学の分野では、それこそ人が幸せになるための方法の研究がどんどん進んでいます。そういった、自分が幸せになる方法を学んで実践するわけです。ファーストステップとしておすすめするのが、その日にあったよかったことを3つ書き出してみて、なぜそれが起きたのかを考えるということです。これは、マイナスではなくプラスのことに目を向けるレッスンであり、続けていくと幸福度が上がるといわれています。日常のなかの小さな幸せに気づくことができるようになると、自分の心のコップが満たされていくのを感じられるようになります。ぜひやってみてください。日本人は、どうしてもまわりの目を意識しすぎているように感じます。周囲に気を使うばかりに自分の幸せを感じられなくなっている人も多いのではないでしょうか?子どもの自己肯定感を高めてあげるためにも、親であるみなさんはもう少し自分の幸せを追求してみてはどうでしょうか。子育ては「未来をつくる人材の育成プロジェクト」また、いまの親御さんたちを見ていて強く感じるのは、真面目すぎる面があるということ。先行きが不透明な時代ですから、子どもの将来を思って子育てに力を入れるという感情はもちろん理解できます。でも、不安な気持ちからは、いい結果は得られません。「子どもはきっと大丈夫! なんとかなるさ」と、もう少し気楽に考えていいとも思うのです。わたしは、子育てとは「未来をつくる人材の育成プロジェクト」なのだと考えています。我が子だから「きちんと育てないといけない」と力が入るわけです。ならば、とらえ方を少し変えてみましょう。「子どもは神様から一時的に預かったたまもので、独り立ちできるように育てて社会に還す」という感覚で子育てをするのです。「自分のもとにたまたまやってきた子どもは、はたしてどういう人間なのかな?」と考えて、まずは観察してみる。そうして、「こういう性格なのかな」「得意分野はこういうところかな」というふうに見立てをして、その子の強みが生かせるように励ましながら、子どもが自分で決めていけるように支援してほしいのです。子どもは最終的に親離れしなければなりませんし、親もまた子離れしなければなりません。そのためにも、子どもに自分の人生のすべてを注ぐようなことは避けたほうが賢明です。親であると同時にひとりの人間であるみなさんの人生には、さまざまな出来事があります。子育てという人材育成プロジェクトに携わることは、そのひとつに過ぎません。そういうふうに少し俯瞰して考えることが、子育てに入れ込みすぎることなく、子どもをひとりの人間として認められ、自己肯定感を高めることにもつながるはずです。新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界は大きく揺れ動き変化しています。そんな時代に遭遇した子どもたちには、これまで以上に、自分で考え、道を切り開いていく力が必要になってくると思います。ぜひ、失敗を恐れずに挑戦できる力を育んでください。『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』中曽根陽子 著/晶文社(2016)■ 教育ジャーナリスト・中曽根陽子さん インタビュー記事一覧第1回:親の役目は我が子の「自己探究の力」を育むこと。“理想の子ども像”を押し付けてない?第2回:学歴の価値はどう変わる? 「偏差値の高い大学に行く」ことにしがみつく必要は、もうない第3回:任せて、失敗させて、考えさせる。「困難を乗り越える力」を伸ばすには、放っておくのが◎第4回:自己肯定感が「高い子の親」と「低い子の親」。驚くほど全く違う、それぞれの特徴とは【プロフィール】中曽根陽子(なかそね・ようこ)1958年生まれ、東京都出身。教育ジャーナリスト。マザークエスト代表。慶応義塾大学大学院システムデザインマネジメント科ヒューマンラボ研究員。出産のために小学館を退職後、1994年、子育て中の母親たちが子どもと一緒にあそび場をチェックし紹介する『子どもとでかける大阪あそび場ガイド』(メイツ出版)を制作。取材から執筆、イラストまですべてを母親たちの手によって作成した同書は、いまなお改定版を重ねるロングセラーとなり、シリーズ累計50万部超。2004年、女性のネットワークを生かした編集・取材活動を行う情報発信ネットワーク「ワイワイネット」を発足。「お母さんと子どもたちの笑顔のために」をコンセプトに、数多くの書籍をプロデュース。2013年、「親を人材育成のプロに」というコンセプトのもと、母親自身が新しい時代をデザインする「マザークエスト」を立ち上げ、アクティブラーニング型のセミナーの開催を中心に活動している。現在は、教育ジャーナリストとして紙媒体からウェブ媒体まで幅広く執筆する傍ら、海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエイティブな力を育てる探求型の学びへのシフトを提唱する。主な著書に『はじめての海外旅行 安心おでかけガイド』(メイツ出版)、『マンガ版 子どもが伸びる! コーチングブック』(合同出版)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年05月25日少子化が進んだいま、限られた数の子どもに愛情をたっぷり注ぐ親が増えていることで、新たな問題が生じています。それは、「子どもが失敗をしないようにする親」の増加です。失敗をしないことは悪いことではないようにも思えますが、いったいなにが問題なのでしょうか。教育ジャーナリストとして活躍する、中曽根陽子さんに教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカット)子どもに失敗させまいとするのは、親が「安心したい」だけ子どもが失敗することがわかっていて、みすみすその道を進ませるのは忍びない――。子どもに失敗させたくないというのは、我が子を思う親として当然の感情であり、親が持つ本能ともいえます。ただ、その感情の裏にあるのはなにかというと、多くは親自身が「安心したい」という気持ちのように思うのです。いまは世の中の先行きが不透明な時代です。だからこそ、自分が受けてきた教育や体験をそのまま子どもに与えるだけでは通用しないということも親は薄々感じています。すると、「学歴をつけておけばいい」というふうに、「これをやらせておけばいい」といった策が見つからないということになる。その不安を解消して自分が安心したいがために、「せめて子どもがなるべく失敗しないですむようにしたい」という発想に至るのだと思います。「わたしの子どもは失敗しないから、子育てや家庭教育がうまくいっている」と感じたいわけです。そう考えると、子どもに失敗させまいとして取っている言動も含め、自分の言動の裏にある親自身の気持ちをときどき振り返ることが大切になってきます。「いまの言葉かけや行動は、本当に子どものためのものなのか?」「そもそも自分が安心したいだけではないのか?」というふうに疑問視するのです。子育てに追われる忙しい生活のなかでは、どうしても目先のことばかりに目が向きがちですが、自分自身を俯瞰することはとても大切です。困難に立ち向かう力は、失敗からしか学べないでも、なぜ親が安心したいがために、子どもに失敗させまいとすることがよくないのでしょうか?親が安心することがよくないわけではありません。子どもに失敗させまいとすることがよくないのです。なぜなら、失敗の経験から子どもは多くのことを学び、たくましさを身につけていくからです。新型コロナウイルス感染の拡大という事態で、世の中は一気に変化を余儀なくされています。変化が加速していく時代のなかを子どもたちはサバイバルしていかなければなりません。思いもかけない事態に直面したときにはなおさら、自分で判断し行動する主体性が必要です。それなのに、まったく失敗を経験しないまま大人になってしまうと、ちょっとした困難にぶつかっただけでも挫折してしまうということになるでしょう。困難にぶつかって一度はしょげてしまっても、そこから学び、再びその困難に立ち向かうようなたくましさは、失敗を乗り越える経験からしか学ぶことができません。そして、その学ぶ場は学校などではなく、多くは家庭生活のなかにあります。だからこそ、親の対応が大切になるのです。考えてもみてください。親元にいるときの子どもの失敗なんて、大人から見れば大したものではないはずです。仮に失敗したとしても、人生が終わるといったことはありません。ですから、どんどん失敗をさせてあげましょう。そのなかで、子どもは失敗を乗り越える成功体験を積むことができる。その体験が、のちに生きる知恵として力を発揮するようになるのです。子ども自身に任せ、子ども自身に解決させる子どもに失敗をさせることが大事だというと、「子どもにどうやって失敗させたらいいでしょうか?」なんて疑問を持った人もいるかもしれません。でも、「失敗をさせる」のではなく、「失敗をさせないようにしない」ことが大切です。言い換えると、いい意味で放っておくのです。たとえば、「子どもが忘れ物をしないか心配だから」と考えて、子どもが小学校に持っていく持ち物をすべて用意しているような人はいませんか?もちろん、子どもが小さいときにはトレーニングとして一緒に持ち物の準備をすることも必要でしょう。でも、いつまでたっても親がすべて用意していると、仮に忘れ物があったときには、子どもは「お母さんがちゃんと用意してくれなかったからだ!」と親のせいにします。そうではなくて、子どもに任せればいい。それで忘れ物をしたとしても、強く叱ってはいけません。なぜなら、叱るだけでは子どもの行動変容につながらないからです。親がやるべきことは、子どもに任せて、失敗したとなったら今後の行動変容を促すこと。「次からどうすればいいかな?」と聞いてみましょう。忘れ物をして恥ずかしい思いをした子どもなら、「忘れ物をしないためにはどうしたらいいか」と自分で必死に考えるはずです。持ち物の用意に限らず、さまざまなことを子どもに任せること。そしてなにか問題が発生したとしても、親はサポートに徹して子ども自身に解決させることを強く意識してほしいと思います。『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』中曽根陽子 著/晶文社(2016)■ 教育ジャーナリスト・中曽根陽子さん インタビュー記事一覧第1回:親の役目は我が子の「自己探究の力」を育むこと。“理想の子ども像”を押し付けてない?第2回:学歴の価値はどう変わる? 「偏差値の高い大学に行く」ことにしがみつく必要は、もうない第3回:任せて、失敗させて、考えさせる。「困難を乗り越える力」を伸ばすには、放っておくのが◎第4回:自己肯定感が「高い子の親」と「低い子の親」。驚くほど全く違う、それぞれの特徴とは(※近日公開)【プロフィール】中曽根陽子(なかそね・ようこ)1958年生まれ、東京都出身。教育ジャーナリスト。マザークエスト代表。慶応義塾大学大学院システムデザインマネジメント科ヒューマンラボ研究員。出産のために小学館を退職後、1994年、子育て中の母親たちが子どもと一緒にあそび場をチェックし紹介する『子どもとでかける大阪あそび場ガイド』(メイツ出版)を制作。取材から執筆、イラストまですべてを母親たちの手によって作成した同書は、いまなお改定版を重ねるロングセラーとなり、シリーズ累計50万部超。2004年、女性のネットワークを生かした編集・取材活動を行う情報発信ネットワーク「ワイワイネット」を発足。「お母さんと子どもたちの笑顔のために」をコンセプトに、数多くの書籍をプロデュース。2013年、「親を人材育成のプロに」というコンセプトのもと、母親自身が新しい時代をデザインする「マザークエスト」を立ち上げ、アクティブラーニング型のセミナーの開催を中心に活動している。現在は、教育ジャーナリストとして紙媒体からウェブ媒体まで幅広く執筆する傍ら、海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエイティブな力を育てる探求型の学びへのシフトを提唱する。主な著書に『はじめての海外旅行 安心おでかけガイド』(メイツ出版)、『マンガ版 子どもが伸びる! コーチングブック』(合同出版)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年05月21日「これからの時代、学歴は武器にならない」ともいわれます。その一方で、中学受験をはじめとした受験熱、教育熱は高まるばかり。日本において、学歴が持つ価値や意味はどんなものになっていくのでしょうか。教育ジャーナリストの中曽根陽子さんは、「大学に行くことを目的とするのではなく、もっと大きな人生の目的に向かうルートに大学があるなら、行けばいいだけのこと」と語ります。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカット)日本とまったく異なる欧米の入試システム世代人口が減った現在、日本は「大学全入時代」といわれます。大学のレベルを問わなければ、いまの子どもたちは全員が大学に入学できるというわけです。そうはいっても、やはりレベルの高い大学への入学はいまも変わらず簡単ではありません。とくにそういった難関大学は、入学者数を減らして一定のレベルを保とうとしているからです。では、その「レベル」とはなにか?それは、いまも変わらず、基本的には「偏差値」です。世代人口が多い団塊ジュニア世代が受験生だった時代のような「偏差値至上主義」とまではいかなくても、日本においては偏差値が重視される傾向にあることはたしかです。一方、日本や韓国などで行われるような、アジア型といわれる入試とまったく異なる入試システムをとっているのが、欧米です。欧米の入試では、日本の入試のように受験生が一斉に同じテストを受けるということはありません。一定の学力を測るスコアは必要ですが、その結果はあくまでも合否を判断する資料のひとつにすぎません。その一方で、たとえば志望理由やポートフォリオ、エッセイなどの書類をたくさん提出する必要があります。あるいは、何人かの推薦者がいないといけないということも。要は、入学を志望する人物が、いままでにどういうことをしてきて、どういう人たちとかかわってきて、入学したらなにをしたいのかといったことまで含め、トータルの人物像が欧米では問われるわけです。日本における自分の偏差値で表せるようないわゆる学力と呼ばれるものは、あくまでひとつの指標でしかありません。大学入試改革が失敗すれば日本の未来はない!?ただ、日本でも大学入試改革が進行中です。そもそも、なぜ大学入試改革をする必要があったか?それは、いまという時代が大きく変化しているからです。時代が変われば、それに伴って必要とされる人材も変わってくる。ところが、経済界からは「欲しい人材が育っていない」という声が以前から相次いでいました。そこで、大学入試を変えれば、その前にある高校、中学校、小学校の教育も必然的に変わっていく。そうして、実社会で求められる人材を育てようというロジックで大学入試改革が進められることになったのです。でも、当初予定されていた英語民間試験や記述式問題の導入が延期となるなど、現在は大学入試改革がトーンダウンしているのが実情です。しかし、仮にこのまま大学入試改革が頓挫して、結局かつての入試と同じようなシステムに戻ってしまったら、「日本の未来はない!」というくらいにわたしは考えています。先にお伝えしたように、大学入試改革に先んじて2020年から、高校、中学校、小学校の教育も変わっていきます(インタビュー第1回参照)。そのベースとなるのが、新たな学習指導要領。それは、これまでの教育とは異なる「生きる力」を伸ばすことを目指したものです。さらに、現在のコロナ危機で学校が休校に追い込まれ、オンライン化が加速しているなかで、学校教育の意味が問い直されています。もし、学校関係者が、単にコロナ禍の前に戻すことだけを目指すなら、日本は世界の潮流からも完全に遅れを取ることになるでしょう。さて、文科省によれば、生きる力とは具体的に「学びに向かう力、人間性」「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力」とされています。明らかに、これまで重視されてきたような知識をたくわえる力とは異なるものであり、どれもとても重要な力ですよね。その教育が本当にしっかりと定着するのか。そして、その教育で子どもたちが身につけた力を大学がきちんと評価できるのか。そこに大学入試改革が実を結ぶかどうかの鍵があるように思います。今後は学歴が持つ価値が変わっていく大学入試改革にはじまる日本の教育全体の改革が進めば、「これからの社会で求められる人材」が育つことになるでしょう。ただ、わたし自身は、これからは学歴は万能ではなくなると思っています。もちろん、これからも学歴はある程度の武器にはなるでしょう。でも、「あの大学を出るくらいのポテンシャルを持っている人なんですね」という程度の評価基準になるのではないでしょうか。それよりも問われるようになるのは、先の欧米の大学入試ではないですが、その人自身がなにをしてきたか、なにができるのか、なにをしたいのかといったトータルの人物像でしょう。そう考えると、今後は、自分自身の人生の「目的」をしっかり考えることがより大切になります。たとえば、なんの目的も持たないままに東大に行ったところで、東大で過ごす時間はただの無駄でしかありません。それよりも、自分の人生の目的をしっかり見据え、その目的のために必要な大学に行くこと。必要なければ大学には行かずに目的に向かって最短距離で進んでいく。あるいは、必要になったときに行く。そういった柔軟な考え方を持つことが大切です。大学は単なる通過点にすぎません。その先を見据えて自分の生き方を考えることを、ぜひお子さんに伝えてほしいと思います。『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』中曽根陽子 著/晶文社(2016)■ 教育ジャーナリスト・中曽根陽子さん インタビュー記事一覧第1回:親の役目は我が子の「自己探究の力」を育むこと。“理想の子ども像”を押し付けてない?第2回:学歴の価値はどう変わる? 「偏差値の高い大学に行く」ことにしがみつく必要は、もうない第3回:任せて、失敗させて、考えさせる。「困難を乗り越える力」を伸ばすには、放っておくのが◎(※近日公開)第4回:自己肯定感が「高い子の親」と「低い子の親」。驚くほど全く違う、それぞれの特徴とは(※近日公開)【プロフィール】中曽根陽子(なかそね・ようこ)1958年生まれ、東京都出身。教育ジャーナリスト。マザークエスト代表。慶応義塾大学大学院システムデザインマネジメント科ヒューマンラボ研究員。出産のために小学館を退職後、1994年、子育て中の母親たちが子どもと一緒にあそび場をチェックし紹介する『子どもとでかける大阪あそび場ガイド』(メイツ出版)を制作。取材から執筆、イラストまですべてを母親たちの手によって作成した同書は、いまなお改定版を重ねるロングセラーとなり、シリーズ累計50万部超。2004年、女性のネットワークを生かした編集・取材活動を行う情報発信ネットワーク「ワイワイネット」を発足。「お母さんと子どもたちの笑顔のために」をコンセプトに、数多くの書籍をプロデュース。2013年、「親を人材育成のプロに」というコンセプトのもと、母親自身が新しい時代をデザインする「マザークエスト」を立ち上げ、アクティブラーニング型のセミナーの開催を中心に活動している。現在は、教育ジャーナリストとして紙媒体からウェブ媒体まで幅広く執筆する傍ら、海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエイティブな力を育てる探求型の学びへのシフトを提唱する。主な著書に『はじめての海外旅行 安心おでかけガイド』(メイツ出版)、『マンガ版 子どもが伸びる! コーチングブック』(合同出版)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年05月19日「時代の変化が激しい」「先行きは誰にも見えない」――。いまという時代を指してよく形容される言葉です。では、いまから30年後の2050年はどんな時代になっているのでしょうか?少々無茶なお願いと知りながら、教育ジャーナリストの中曽根陽子さんに予測してもらいました。そして、そんな時代に必要な力とはどんな力なのでしょう。併せて中曽根さんに答えてもらいます。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人子どもたちの65%は、いまは存在しない職業に就くみなさんは、1990年に、その30年後であるいまの社会を想像できたでしょうか?時代の流れが加速度的に速くなっていることを思えば、いまから30年後の2050年の社会となると、それこそ誰にも予測できないはずです。それどころか、新型コロナウイルスの影響で、数カ月先の見通しを立てることさえ難しい事態に陥っています。ただ、このことで、人は国境を越えてつながっているということをなおさら実感するようになっています。もしかしたら、30年後には、宇宙空間までも含めて、遠く離れた場所にいる人やものがつながっていくという世界になっているのかもしれません。そして、社会の変化に伴って変わるのが仕事です。1990年に、30年後にはユーチューバーという仕事があるなんて誰にもわからなかったはずです。よくいわれる話ですが、AIの進化によって、いまの子どもたちが大人になったとき、その65%はいまはない職業に就く可能性が高いという研究もあるほどです。しかし、予測よりもっと早く、「アフターコロナ」には社会は一変するかもしれません。実際、外出が禁止されたことで、リモートワークが予測より早く広まり、働き方も大きく変わっていきそうです。学校教育もオンライン教育が普及するでしょう。私たちはいま、歴史的な大きな転換期に遭遇していて、社会はもちろん、働き方、そして生き方も含めて、もっと多様な時代になっていくのではないかと感じています。これまでの教育で培われる力だけでは、今後は生きていけないでは、そんな時代を生きていくいまの子どもたちには、どんな力が必要とされるのでしょうか?それは、「21世紀型能力」と呼ばれる力です。2020年から施行された新しい学習指導要領では「生きる力」と表現されています。それについて、わたしなりの解釈をお伝えします。これまでの教育では、いかに知識をたくわえるか、そしてその知識を決まった手順に沿ってアウトプットできるかという能力が重視されてきました。でも、その決まった力だけでは、どんどん変化していくこれからの時代を生きていけそうにありませんよね。そんな時代に必要なのは、知識をただたくわえるだけではなく場面に応じて自分なりに活用し、自ら考えて課題を発見し、その課題を解決していく能力です。コロナ危機のいま、まさにその能力が求められています。また、これからは国境を越えて人がつながっていく事象がさらに進んでいくと先に述べましたが、そういう意味で大切になるのが多様性の理解と協働力。外国人と一緒に仕事をしているという人はどんどん増えていますが、今後はさらにその傾向が強まるでしょう。そんななかで大きな仕事をしようと思えば、さまざまなパーソナリティーを持つ人たちと一緒に協働できる力が大切になるはずです。これら、新たな学習指導要領に盛り込まれた「生きる力」が大切だということについては、わたしも基本的には賛同しています。ただ、わたしはもう少し別の視点での能力も大切になるのではないかと感じています。その能力とは、「自分らしく自分の強みを生かしながら幸せに生きていく力」です。ただ生きていても意味はありません。この世に生まれてきた以上、やはり幸せな人生を歩みたいものです。そして、幸せとは、やはり誰かに決められたレールのうえを歩くのではなく、自分の強みを生かして自分らしく生きていくことでしょう。しかも、その生き方が社会や周囲の人たちに貢献できるようなことになれば、幸福度はさらに上がるのではないでしょうか。親の役目は子どもの「自分らしさ」を伸ばすサポートそう考えると、ちょっと欲張りかもしれませんが、未来を生きる子どもたちにはもうひとつ別の能力も身につけてほしい。それは、「自己探究の力」です。「自分らしく自分の強みを生かしながら幸せに生きていくのがいい」とどんなに思っていても、その「自分らしさ」や「自分の強み」をわかっていなければ、そうすることはできないからです。そして、親であるみなさんにも、この「自己探究の力」の重要性を知ってほしいですね。親であれば誰もが我が子には期待します。「こんな人間に育ってほしい」だとか、「子どものときに自分が苦手だったことを得意になってほしい」というふうに考えてしまいますよね?親ならあたりまえのことです。でも、親としての究極の願いは「子どもに幸せになってほしい」ということであるはずです。そこで、ちょっと立ち止まって考えてほしいのです。はたして、親であるみなさんが考える「理想の子ども」は、目の前の我が子とはまったく別の人間になっていないでしょうか。自分が思う理想の子ども像に我が子をあてはめようとして、子どもが「自分らしく自分の強みを生かす」ことを邪魔していないでしょうか。親の役目は、我が子の「自分らしさ」や「自分の強み」を見極め、それらを伸ばしていく手助けをしてあげることなのだと思います。『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』中曽根陽子 著/晶文社(2016)■ 教育ジャーナリスト・中曽根陽子さん インタビュー記事一覧第1回:親の役目は我が子の「自己探究の力」を育むこと。“理想の子ども像”を押し付けてない?第2回:学歴の価値はどう変わる? 「偏差値の高い大学に行く」ことにしがみつく必要は、もうない(※近日公開)第3回:任せて、失敗させて、考えさせる。「困難を乗り越える力」を伸ばすには、放っておくのが◎(※近日公開)第4回:自己肯定感が「高い子の親」と「低い子の親」。驚くほど全く違う、それぞれの特徴とは(※近日公開)【プロフィール】中曽根陽子(なかそね・ようこ)1958年生まれ、東京都出身。教育ジャーナリスト。マザークエスト代表。慶応義塾大学大学院システムデザインマネジメント科ヒューマンラボ研究員。出産のために小学館を退職後、1994年、子育て中の母親たちが子どもと一緒にあそび場をチェックし紹介する『子どもとでかける大阪あそび場ガイド』(メイツ出版)を制作。取材から執筆、イラストまですべてを母親たちの手によって作成した同書は、いまなお改定版を重ねるロングセラーとなり、シリーズ累計50万部超。2004年、女性のネットワークを生かした編集・取材活動を行う情報発信ネットワーク「ワイワイネット」を発足。「お母さんと子どもたちの笑顔のために」をコンセプトに、数多くの書籍をプロデュース。2013年、「親を人材育成のプロに」というコンセプトのもと、母親自身が新しい時代をデザインする「マザークエスト」を立ち上げ、アクティブラーニング型のセミナーの開催を中心に活動している。現在は、教育ジャーナリストとして紙媒体からウェブ媒体まで幅広く執筆する傍ら、海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエイティブな力を育てる探求型の学びへのシフトを提唱する。主な著書に『はじめての海外旅行 安心おでかけガイド』(メイツ出版)、『マンガ版 子どもが伸びる! コーチングブック』(合同出版)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年05月17日今どきの子どもたちのコミュニケーション能力低下は、学校や新卒採用などの現場において、ずいぶん前から言われ続けてきました。また、学校生活から卒業して社会人になれば、さらに高度で複雑なコミュニケーションに対応できる力が求められるでしょう。将来、社会人生活を送るのに十分なコミュニケーション能力を育むためには、日頃の家庭でのコミュニケーションの在り方が大きく影響します。子どものコミュニケーション能力がなぜ低いと言われるのか、そして家庭でコミュニケーション能力を育てるために親ができることについて紹介します。子どものコミュニケーション環境は、今と昔で大きく変わっている子どものコミュニケーション能力が低くなったと言われる背景には、社会の大きな変化があります。たとえば、翌日使う持ち物を確認し忘れていたことを気づいたとき、子どもたちはどうするでしょうか。かつては友だちの自宅へ電話をかけ、応答した家の人に友だちへの取次ぎをお願いし、代わって出た本人に確認をしていましたが、今ではメールアプリなどでダイレクトに、しかも声を発することなく確認することができます。また、わからないことがあれば、親や先生に聞くよりも、先にネットで検索して調べたほうがより早く、そして多くの情報を得ることができる、と考える子も少なくないでしょう。もうひとつ、普段の家庭での過ごし方をイメージしてみましょう。学校や園から帰ってきた子どもたちが、友だち同士、近所で集まって遊ぶ姿を見ることは少なくなりました。そもそも子どもの数が少なくなっているうえに、習い事でお互いに遊ぶ時間を合わせにくい現状があります。夕食時には、同居するおじいちゃんおばあちゃんも含め大人数で食卓を囲んで、その日あったことを話し、いろんな世代の意見を交えながら団らんする――そんなシーンも、昭和を描いたドラマやアニメでしか見かけなくなりました。ITの発達と少子核家族化が、子どもを取り巻くコミュニケーション環境を変えたと言えるかもしれません。言葉が足りないことが原因でトラブルに社会の変化に合わせるように、今どきの子どもたちは、小さなコミュニティの中で仲間内や家族とやりとりする比重が大きくなっています。そして学校生活では、単語レベルでの短い言葉のやりとりが、クラスメートとの意思疎通を不十分にさせてしまい、そこからトラブルになってしまうことも。教育ジャーナリストの斎藤剛史氏は、現代の子どもたちのコミュニケーション能力について、「良好な対人関係をつくる能力が低下している」という “否定的な見方” がある一方で、「周囲の人間関係を的確に把握して、それに自分を合わせるなど高い能力がある」という “肯定的な見方” もあるとしています。しかし、全体的なコミュニケーション能力はやはり低くなっているようです。ただ、今時の子どもたちには、仲間同士では必要以上に気を使うのに対して、大人など異世代や仲間以外に対する人間関係には無関心という傾向もあるように思われます。いずれにしても、昔に比べれば、全体的なコミュニケーション能力は低くなったと言っても過言ではないでしょう。(引用元:ベネッセ教育情報|就職も左右!?「コミュニケーション能力」は家庭から)「やばい」「うざい」「きもい」などの無思慮な短い言葉でやりとりを許し合える身近な関係から一歩外へ出た途端、お互いの言葉が足りないことで、子どもたちの間にトラブルが生じていると考えられます。コミュニケーション能力は就職までも左右する学校生活でのトラブルだけでなく、社会人生活、とりわけその第一歩となる就職にもコミュニケーション能力は大きく影響を及ぼします。全国大学生活協同組合連合会(全国大学生協連)が2009(平成21)年秋に実施した「学生生活実態調査」によると、以下の特徴がある学生ほど、就職内定率が高いことがわかりました。目上の人との会話が得意家族との会話が多い友人の数が多いリーダー経験がある周囲の意見を尊重できる幅広い人間関係を形成して、自分から積極的に働きかけ、周囲に共感できること、つまりコミュニケーション能力の高さは、就職活動の結果までも左右するわけです。また、『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』の著者であり、現役東大生の西岡壱誠氏は、「友だちが多いヤツが東大に合格する」と話しており、“勉強に限らずさまざまな面で活躍している、成長スピードの速い人”の 共通点として、以下のことを挙げています。どんなに意見が違う人の話でも、話を遮るのではなく「いったんは聞いてみよう」という姿勢を持っている。そして、そのなかからなにかを得ようとしているように思います。(引用元:Study Hacker|現役東大生が「友だちが多いヤツが東大に合格する」と言う根拠。やっぱり “性格がいい人” が伸びていく)これは前述した「周囲の意見を尊重できる」という性格に当てはまるのではないでしょうか。どうやら、コミュニケーション能力は「学び」にも影響を与えるのですね。家庭でできるコミュニケーション能力アップ術子どもたちの将来を考えるうえで必要不可欠なコミュニケーション能力は、家庭でも意識することで向上できます。次に紹介するコミュニケーション能力アップ術でピンときたものがあれば、ご自身のお子さまに合わせて取り入れてみてはいかがでしょうか。■子どもの話を最後まで聞く帝京短期大学・生活科学科学科長である宍戸洲美教授は、子どもの話に「しっかり心を向ける」ことが大切だと言っています。まずは、「子どもの話を最後まで聞く」「スマートフォンを見ながら返事をしない」、この2つを心がけてみてはいかがでしょう。話を聞いてもらった経験が多い子どもだけが、話を聞ける子どもになるのです。また、親に話を聞いてもらうと、「お父さんお母さんは私を見ていてくれている、わかってくれている」と感じ、子どもの自己肯定感が高まります。■長い文章で話す「あれとって」「早くして」――親の私たちも、簡単な言葉で話しかけていることが多いのではないでしょうか。「次世代教育のグランドデザイン」を描く研究機関、内田洋行教育総合研究所が配信する「学びの場.com」は、親子間での会話こそ気をつけるべきだとしています。「リビングのテーブルに置いてあるレシピ本を取って」「〇時に家を出ないと用事に間に合わないから、それまでに出かけられるように準備しよう」など、親子で長い文章をやりとりしてみましょう。■学校や習い事以外の場所に出かける地域の行事や、公園や駅前で開催されるイベントなど、さまざまな人と触れ合える場に出かけてみましょう。その際、子どもだけにコミュニケーションを促すのではなく、親の私たちが積極的に声をかけてコミュニケ―ションを図るようにします。教育ジャーナリストの中曽根陽子氏も、「さまざまな価値観への理解とコミュニケーション力は、経験からしか学べない」と言っています。家庭や学校・習い事以外の場所にどんどん子どもを連れ出しましょう!***子どものコミュニケーション能力は、現代の社会の仕組みを見ても、自然に任せていてはなかなか伸びないようです。とはいえ、親が何でも先取りしてヒントを出したり代弁したりするのは禁物。じっくり焦らず見守っていきましょう。(参考)文部科学省|コミュニケーション教育推進会議(第1回)「コミュニケーション能力」に関する指摘・調査等内閣府|情報誌「子どもと若者」~子どもと若者への支援に向けて~コミュニケーション力を高めるためにベネッセ教育情報|就職も左右!?「コミュニケーション能力」は家庭からStudy Hacker|現役東大生が「友だちが多いヤツが東大に合格する」と言う根拠。やっぱり “性格がいい人” が伸びていく学びの場.com|子どものコミュニケーション力は落ちているのかStudy Hackerこどもまなび☆ラボ|自己肯定感を育む、親子コミュニケーション。「聞いて!」「あとでね」の正解Study Hackerこどもまなび☆ラボ|学校と習い事以外の世界はありますか?「生きる力」を育てる “第3の居場所”
2020年01月16日「うちの子は学校の友だちがたくさんいるし、習い事をいくつもさせているから人間関係は充実しているはず」「休みの日は家族で遊んで、長期休みにはおじいちゃんおばあちゃんに会っているし、コミュニケーションはうまく取れているほう」そう信じて安心している親御さんも少なくないのではないでしょうか。しかし、子どもの成長や学びの場は、家庭や学校・習い事以外にもたくさんあるのです。今回は、子どもの生きる力をぐんぐん伸ばす「多様な人間関係の大切さ」について考えていきましょう。狭い世界で生きる現代の子どもたち昔に比べて、今の子どもたちは世界中のさまざまな情報に触れることができるだけでなく、インターネットを通じてたくさんの人たちとすぐにつながることができるようになりました。しかしその反面、現実の人間関係はどんどん狭くなってきていることをご存じですか?平日も休日も習い事や塾などで予定がぎっしりと入っていて、近所の友だちと遊ぶこともままならない日々を過ごしている子どもたち。しかも、これから中学・高校に進学するにつれ、ますます自由な時間が減っていくことは明らかです。ただし、子どもの人間関係が制限されているのは、私たち親の意識が影響しているともいわれています。「今の親たちは、子どもと他人との関わりに敏感で、警戒心がすごく強い」と指摘するのは、国立青少年教育振興機構理事長の鈴木みゆきさん。たしかに、ニュースなどで子どもが巻き込まれる事件を目にするたびに不安を感じ、周囲への警戒心が増すのも無理はありません。「遊ぶことの大切さ」を子どもたちに伝える活動を行う『一般社団法人TOKYO PLAY』代表理事の嶋村仁志さんは、次のように述べています。子どものことを、邪魔なものであったり「自分には関係ない」と思ったり、あるいは子ども教育の専門家などが自分のサービスの「お客」として見る。そういうものばかりだとしたら、その社会では子どもをきちんと育てることができないのではないでしょうか。(引用元:Study Hacker こどもまなび☆ラボ|遊具なし、プログラムなし。異例だらけの“ガラクタ遊び”が欧州で大人気の理由)親以外の近所の大人や、お友だちのお父さんやお母さんたちとの関わり合いは、子どもにとって非常に貴重な体験になるといいます。嶋村さんは、「子どものころに近所の人にかわいがられたり、逆に迷惑をかけて怒られたりしたような経験がないまま大人になってしまうと社会性が育ちにくい」ことも指摘しています。今の子どもたちは、昔に比べて確実に狭い人間関係の中で生きているのです。多様な価値観への理解とコミュニケーション能力が必要な時代次に、どうして狭い世界で生きていくのが良くないことなのか、これからの社会ではどんな能力が求められるのかについて考えていきます。脳科学者の茂木健一郎先生は、「子どもが社会に出て活躍するために育てておきたい能力はふたつある」と述べています。ひとつは、読み書きや計算といった「認知的な能力」。そしてもうひとつは、他人と円滑なコミュニケーションをとれる「社会的な能力」です。どんなに勉強ができても、人とうまく関係を築けなければ社会では活躍できません。茂木先生によると、「幼児期は特に社会的スキルを育む必要がある」とのこと。そのためにも、日常的に年齢の違う子たちと遊ぶ機会を多くもち、さまざまな考え方やたくさんの個性に触れることが大切なのです。さらに、これからはグローバル化が進み、多様な価値観や背景を持つ人たちと接する機会が格段に増えていくでしょう。教育ジャーナリストの中曽根陽子さんは、「さまざまな価値観への理解とコミュニケーション力は、経験からしか学べない」と話します。そのためにも重要となるのが、家庭や学校・習い事以外の “第3の居場所” なのです。子どもが “第3の居場所” で得られるものとは?家庭を “第1の居場所”、学校や習い事を “第2の居場所” としたとき、“第3の居場所” とはどのようなところを指すのでしょう。前出の中曽根さんによれば、地域で開催される自然観察会や、スポーツ、音楽、アートのイベントなど、年齢も背景もさまざまな人が集まる場所だといいます。それ以外にも、1日限りのワークショップや、子どもだけで参加するキャンプ、親の友人同士の集まりなど、出会いの機会はたくさんあります。■コミュニケーション能力が伸びる!そういった第3の居場所では、自分の知らない世界を見聞きすることができるので、子どもはぐんと視野を広げることができます。そして、コミュニケーションの点においても大きなメリットが。中曽根さんは、「心理的距離があるので、理解し合うためにはどんな切り口で話をしたらいいか、自然と相手のことを考えながら話をするようになる」といいます。それは、家族や身近な友人との会話では得られない緊張感です。相手と距離があるからこそ、自分の考えを筋道を立ててわかりやすく伝える訓練にもなるのですね。■「公私」の感覚を知り、礼儀を学べる!前出の鈴木みゆきさんは、さらに「礼儀」を学ぶにも絶好のチャンスであると述べています。親以外の大人との交流で、まず、子どもは「礼儀」を身につけます。親への甘え方とはちがう態度で接したり、あるいは親が相手なら反発するようなことも素直に聞き入れたりと、子どもなりに「公私」の感覚を持つのです。また、子どもの頃、「大人の話に子どもが口を挟むな!」なんて周囲の大人に言われた経験がある人もいるでしょう。これは、「場を知る」「立場をわきまえる」ということにつながるものです。(引用元:Study Hacker こどもまなび☆ラボ|「大人の愛」と「協働力」が子どもを大人に導いていくーー親以外の人との交流によって広がる子どもの視界)■親の心がラクになる!また、子どもに第3の居場所があることは「親にとってもメリットがある」と説くのは、東京大学大学院教育学研究科臨床心理学コース教授の中釜洋子先生です。中釜先生は、「最近、わが家のルールを知らず知らずのうちに細かく決めてしまって、ママ友だちや祖父母などの考えが自分に合わないと、付き合いを狭めてしまうケースも少なくありません」と述べており、親が神経質になることで他者に対して心を閉ざしたり、人付き合いを限定したりするというのです。しかし、社会に出れば臨機応変な対応を求められることが多いもの。中釜先生は、「子どもは、『おうちではダメだけど、おばちゃんの家なら甘いお菓子を食べられる』と区別して考えることができ、意外と柔軟な思考をしている」といいます。親御さんが周囲との関係を閉ざさないように心がけることで、子どもは状況に応じた対応を学べるようになるでしょう。また、親自身も子どもと1対1で向き合い続けるとストレスがたまりますが、ほかの家族の多様な子育ての方法を知ることで、子育てのヒントに気づくきっかけにもなります。みなさんも、わが子を見ては、「どうして○○ちゃんみたいにいい子にできないのかしら」とほかの子どもの良い面ばかりに目がいき、自分の子どもが劣っているように見えてしまうことはありませんか?それはどんな親でも同じです。第3の居場所では、ほかの人が「△△くん、優しいね!」「上手にできるね!」と、わが子の良いところを見つけてくれることも。そうやって、子どもだけではなく、親御さんにとっても「気づきの場」になるのです。親子で一緒に地域の集まりに参加しよう!先ほどからお伝えしているように、第3の居場所はこれからますます必要とされるでしょう。もし今、子どもの人間関係を広げたいと考えているのなら、そのような場所に足を運んでみてはいかがですか?前出の鈴木さんがおすすめするのは、一般の親子が参加できるファミリーキャンプ。全国に点在する青少年自然の家などの施設で、お互いに知らない親子同士がキャンプをするというものです。家族以外の人と一緒に自然体験するという経験をとおして、他人と協力して働くことができる「協働力」が身につくといいます。また、嶋村さんが代表を務めるTOKYO PLAYでは、都内のあちこちで「とうきょうご近所みちあそびプロジェクト」を実施しています。これは、地元地域に暮らす人たちが町会や商店街と協力し、多世代の人が楽しみ、交流する場所をつくることを支援する活動だそう。子どもは大人との交流によって、褒められたり励まされたりすることで自己肯定感を育むことができます。ほかにも、スポーツのイベントやアート系のワークショップなど、お近くの地域でも交流の場がたくさんあるはずです。ぜひ探して参加してみてくださいね。***人間関係は、親子や先生と生徒といった「タテ」の関係と、友人同士といった「ヨコ」の関係のほかに、「ナナメ」の関係もあります。じつはこの「ナナメ」の人間関係こそ、子どもにとっての逃げ場になったり、刺激を与えられる場所になったりするのです。ぜひお子さんに、豊かな人間関係を築くきっかけを作ってあげましょう。(参考)Study Hacker こどもまなび☆ラボ|「大人の愛」と「協働力」が子どもを大人に導いていくーー親以外の人との交流によって広がる子どもの視界Study Hacker こどもまなび☆ラボ|遊具なし、プログラムなし。異例だらけの“ガラクタ遊び”が欧州で大人気の理由PHPのびのび子育て 2019年12月号,PHP研究所.学研キッズネット|AI時代を生き抜くために~「失敗力」が育つ6つの栄養素家庭・学校以外の第3の場所が子どもの生きる力を育てるMIKU|家族の中の子どもを考えよう
2020年01月11日「南野さんがついに離婚します。周囲にも、その意思を漏らしているそうです」(知人)3月3日、8回目の結婚記念日を迎えた南野陽子(51)。その直前、2月28日発売の『週刊文春』で夫・A氏(47)の金銭トラブルが報じられた。記事によるとA氏が事務長を務める東京・銀座のクリニックで、1億8千万円の使途不明金が発覚。お金の管理はA氏が任されていたが、開業から3カ月で支払い督促の通知が次々と届くように。クリニック側はA氏を業務上横領で刑事告訴し、民事でも損害賠償請求を起こす予定だという。さらに衝撃は、これだけではなかった。A氏の荷物から、南野の実父に宛てた金融会社からの督促状や医療費の支払い督促状などが見つかったというのだ。「南野さんのお父さんは、箱根の有料老人ホームに入所しています。毎月の費用はお父さんの専用口座から引落とされるようになっていて、彼女は入金のため十分なお金も用意していました。しかし口座はカラで、元となるお金も消えていたのです。口座や入金の管理していたのは、夫であるAさん。支払い督促状が来ていることを今回の件で初めて知った南野さんは、施設に問い合わせました。すると実際に半年分も支払いが滞っていたとわかったそうです。彼女はあわてて100万円以上を振り込んだと聞きました」(前出・知人)11年3月3日にA氏と結婚した南野。しかし直後から金銭トラブルの噂が絶えなかった。にもかかわらず夫婦関係を続けてきた南野。理由は、実父(82)との関係があったからだ。「南野さんが仕事で遠くに行かなければならないとき、A氏がお父さんを献身的にサポートしてくれていたそうです。老人ホームに2人でお見舞いに行ったことも、一度や二度ではありません。A氏は、彼女の前ではいつも“よき夫”であり続けたのです」(前出・知人)もともと普通のサラリーマンだった南野の父は、派手なことを嫌う人だった。そのため85年に芸能界デビューした当初は、猛反対。89年に南野の個人事務所社長に就任したが、衝突も多かったという。しかしある出来事をきっかけに、2人の関係に変化が見え始めた。「兵庫県に住む南野さんのお母さんが、11年11月に脳出血と心内膜炎のため急逝したのです。死に目に会うことができなかった彼女はずっと『もっと親孝行していればよかった』と悔やんでいました。以降、お父さんの存在は彼女にとって何よりも大切なものに。『せめてお父さんだけでも幸せにしてあげたい!』と考えるようになったのです」(前出・知人)母の死後、南野は父を兵庫から箱根の老人ホームへと呼び寄せたという。13年には自宅をバリアフリー仕様に改装し、父との同居を決意したと報じられた。しかし予想以上に仕事が忙しくなったため、2年前から再び父を老人ホームへと移すことになった。「南野さんにとっては苦渋の決断でした。だからこそ『せめてホームでの生活はきちんとしてあげたい』と十分なお金を用意していたのです。そんななか、A氏は父の世話や管理を申し出たといいます。南野さんは『彼は病院経営にかかわっているので、安心して任せられる。プロにお願いしたほうが父にとってもいいはず』と言っていました」(前出・知人)だが皮肉にも、そうした“信頼”が事態の発覚を遅らせることとなってしまった。「これまでも周囲は『別れたほうがいい』と説得してきました。しかし南野さんは離れませんでした。すべては『あんなに父のサポートをしてくれる夫が、悪い人のはずがない』と考えがあったからでしょう。しかし、今度は違います。その大切な実父の介護費用が消えていたのですから。彼女のショックは、どれほどのものだったでしょうか」(前出・知人)本誌はA氏の携帯番号やメールに連絡を取ったが、返答はなし。A氏が持っていたという名刺の連絡先にもコンタクトを取ったが、担当者は「うちは関係ありません」と答えた。「南野さんはドラマ撮影のため京都にいましたが、夫と話し合いをするため東京に戻ってきました。すぐにでも離婚についての話し合いを進めるつもりのようです」(前出・知人)
2019年03月05日編集部:学研キッズネット編集部学研キッズネットfor Parentsの記事からわかった、すくすく伸びる子どもたちのために本当に大切なことをふり返る特集第5回のテーマは「ナナメの関係をきずける第3の場」です。人間関係を「タテ」「ヨコ」「ナナメ」で考えたことがあるでしょうか。親子や師弟(先生と生徒)の関係がタテの関係、友人関係がヨコの関係。そのように考えると子どもたちは1日の大半をタテかヨコの関係のなかで過ごしているといえますね。「ナナメ」というのはタテやヨコのつながりから少し離れた関係のことです。祖父母だったり近所のおじさんおばさんであったり、子ども会のような年齢を超えたつながり、地域の活動やワークショップといった場で出会う人たちもこの関係にあたります。家庭を第1の場、学校を第2の場と考えたとき、第3の場で出会う人たちと考えても良いでしょう。人間はいろいろな生き方ができるということを知るには、さまざまな人に出会うのが一番。豊かな人間関係は、子どもに逃げ場や救い、そして生きる力を与えてくれます。このページの目次「第3の場所」が子どもの生きる力を育ててくれる読書は心の土壌を耕す「第3の場所」は保護者が楽しめる場所でもある1.「第3の場所」が子どもの生きる力を育ててくれるこれからの社会で生きていくためには、多様な価値観への理解やコミュニケーション力がますます必要になってくる、と考えるのは中曽根陽子さん。そのためには社会に出る前に少しでも多くの多様な人と触れ合う機会がほしいもの。そこで役に立つのが「家庭や学校・日ごろの課外活動以外の第3の場所」です。中曽根さんは保護者自身も地域へ出て「第3の場所」をもつことをすすめています。なぜなら「親自身がいろいろな場所で人とつながり、それを家庭にもち帰ることで、子どもの世界を広げることもでき」るからです。「子どもの生きる力を育てるために、家庭以外の力も借りて、子育てをしていきましょう。」■家庭・学校以外の第3の場所が子どもの生きる力を育てる「AI時代を生き抜くために~『失敗力』が育つ6つの栄養素」(中曽根陽子さん)24時間ネットがつながるゆえの息苦しさ解消にもナナメの関係が必要と言うのは、つながり依存研究の第一人者である土井隆義教授。■つながり依存研究の第一人者にきく、子どもとSNSのリアルな関係 筑波大学土井隆義教授インタビュー第4回「複眼の教育」という観点から地域ぐるみの教育プロジェクトを行なっているのが「てらこやネットワーク」です。「複眼の教育というのは、文字どおり、1人の子どもを育てていくために、地域の大人や大学生が複数の目で子どもをしっかりと見守っていくしくみのことです。」「親子や教師のような“縦”の関係でも友だちのような“横”の関係でもない、第三者と子どもの“ナナメ”の関係を作り、子どもたちのコミュニケーションを活性化させていくことは、子どもが育つのにとても大事な要素なんです。それを地域で実践していくための学びの場でありコミュニティがてらこやです」。そう語るのは「てらこやネットワーク」の理事長・大西克幸さん。■現代版 “てらこや”で地域ぐるみの教育を NPO法人全国てらこやネットワークインタビュー第1回「てらこやネットワーク」では、地域性を活かした子ども向けの事業(合宿や体験活動など)を全国で展開しています。「大学生が企画運営の主体となっていることが特徴です。てらこやの提唱者である精神科医の森下一先生は、身近の手本となるお兄ちゃん・お姉ちゃんとの出会いが子どもの人生の転機になると言います。あのお兄ちゃん・お姉ちゃんみたいになりたいというような、身近の手本との出会いをどれだけ作っていけるか。『よき人との出会い』、これが『複眼の教育』と並んで、てらこやの大きな目標となっています。」■現代版 “てらこや”で地域ぐるみの教育を NPO法人全国てらこやネットワークインタビュー第3回「てらこやネットワーク」では「子ども食堂」も展開しています。こうした場も第3の場といえるでしょう。もう少し身近な人間関係のなかにも「第3の場」はあります。祖父母の存在です。甘やかしすぎる祖父母への対応がなかなか…と考える保護者も多いかもしれませんが、「子どもたちにとって、逃げ場や甘える場所があることは、決して悪い面ばかりではないのです」と松井美香先生。もちろん祖父母に自分たちに子育ての方針を、感謝の気持ちとともに伝えることは大事ですが、「子どもたちにとっては、厳しい人、優しい人、甘やかしてくれる人、勇気づけをしてくれる人、勇気くじきをする人等々、さまざまな人と関わることは、対人関係を学ぶ上で良いトレーニングになります。」祖父母の甘やかしを無下に否定したり、「わがままな子に育ったらどうしよう」と焦ったりする必要はなさそうです。■祖父母の甘やかしに、わたしたち親はどう対応すれば良いか「くやまない、悩まない、自分を責めない――心がラクになるアドラー流子育て」(松井美香先生)人々の多様な生き方に触れることで、子どもたちは人との心地よい距離感を体得したり、相手に思いの伝わる話し方ができるようになったり、良い目標を持てるようになったりするのでしょう。さて、このような「出会い」は本の世界にも共通するものがあります。↑目次に戻る2.読書は心の土壌を耕す読書は心の土壌を耕す"/>子どもたちが社会に出たとき、多様な価値観を受け入れ、さまざまな考え方をもつ人とコミュニケーションをとっていくためには言語能力が欠かせません。『学研 新レインボー小学国語辞典』の監修もしている言語学者の金田一秀穂先生はこのように言っています。「語い力をデジカメの画素数にたとえて、画素数が少なくても写真は写るけれど、よりクリアに表現するためには画素数が多い方がいい。言葉もそれと同じで、たくさん言葉を知らなくても話はできるけれど、自分の気持ちや状況をより明確に伝えるためには、多くの言葉を知っていた方がいい」■実践!国語辞典を楽しく使いこなそう 学研 子ども向け国語辞典編集室インタビュー第1回読書時間の長い子どもは「論理的思考」「意欲・関心」「他者理解」能力が高いという結果も出ています。このデータを分析した渡邊純子さんは、「過去に読書習慣があったかどうかも、意識・行動などに関する得点に関係して」おり、「小学生のときに本をよく読んでいた中学生、中学生のときに本をよく読んでいた高校生は、論理的思考、意欲・関心、人間関係などの項目で得点が高い」ことから、「年齢が低いころからの継続的な読書習慣が、子どもが生きていくにあたって基礎となる力を伸ばす要因となっている」と言います。■子どものころの読書は生きる力を養う「データで読み解く、子どもとスマホ」(渡邊純子さん)地域で小さな文庫を40年間開いてきた「みどり文庫」の細谷みどりさんは、「『子どもたちの居場所づくり』や『大人と子どもが個人的に信頼関係をきずける場』の提供に本が介在するというところに文庫としての役割があるのではないか」と考えます。このような小さな文庫が近所にあったら、本を借りに親子で立ち寄ってもいいですね。細谷さんも「読書」と「生きる力」との関係について言っています。「本によって培われた先を読む力、推測力や判断力が、本当の『考える力』になっていくのではないでしょうか。目に見えることだけに頼っていると、目の前のことしか見えなくなります。先を見通す力は、動物的な本能や自分の身を守るための直観力にもつながります。わたしはこうした動物的な本能が、現代の人たちには薄れてきているのではないかと危惧しています。」■みどり文庫(後編)~本には人間本来の能力を引き出す力がある~みどり文庫細谷みどりさんインタビューより「本に年齢はなく、いつから読んでも遅くはないのだけれど、いい本に、いいタイミングで出会うこと、そのときにしかない『出会い感』はとても大事な気がします。」そう語るのは子どもの本の専門店で配本事業も行なう「クレヨンハウス」の早崎志乃さん。映画の原作になった本や、自分の興味のある分野の本から読書の世界に入ってみるのもおすすめだそうです。■クレヨンハウスインタビュー~本選びのプロに聞く、子どもの本の魅力とは?~クレヨンハウス早崎志乃さん、馬場里菜さんインタビューより読書が好きになるきっかけはいろいろあります。読み聞かせをされた経験、した経験、歯医者さんの待合室にあった本との出会いなど……。親野智可等先生が、8つの実話を紹介してくれています。■いろいろなきっかけで読書が好きになる伝記が人生を変えるきっかけをくれることもあります。■伝記が人生を考えるきっかけになる「子どもが伸びる親力」(親野智可等先生)本に描かれた世界や生き方に感銘を受けるためには、やっぱり「読む力」が大切!メールやSNSで文字を追うだけでなく、まとまった文章を読む力を養うことで、子どもの出会いの場はずっと大きく広がっていくのですね。ここで、ある編集部員の話を紹介すると、小学生の子どもが学校での人間関係がうまくいかなかったとき、ゆいいつの居場所となったのが学校の図書室でした。司書の先生からの適切な声かけもあって本の世界に目覚め、「この主人公はここまでされても立ち上がるのか!」「こんな知恵でピンチを切り抜けるのか」「この登場人物はなんて賢いんだ!」などと言いながらさまざまなシリーズを読みふけっているうちに、うまくいかなかった友だちともおすすめの本を貸し借りする仲になったようです。まさに本が様々な出会いを運び、成長へと導いた例と言えるでしょう。↑目次に戻る3.「第3の場所」は保護者が楽しめる場所でもある子どもたちに多くの出会いを経験してほしい、本も読んでほしい。そのために、わたしたち親はどうしたら良いのでしょうか。保護者だって人間です。外の世界に出て行くのが苦手なタイプ、読書が苦手なタイプ、読み聞かせがどうしても苦手で……という人もいると思います。まずは「てらこやネットワークの大西さん」の言葉から。「てらこや食堂というのは…、実は親の解放の場にもなっているんです。子育ての痛みなりつらさなりをぽろっと言える場。『そうそう、うちも』と言える場として非常に大事だなと思っています。環境が人を育てていくんです。子どもたちの一番の環境は家庭、とくに母親。その母親の健全なメンタルを維持安定させていくには、相談できる仲間だったり、ガス抜きができる居場所だったりが必要なんです」■現代版 “てらこや”で地域ぐるみの教育を NPO法人全国てらこやネットワークインタビュー第4回「ノヴィーニェこども食堂」を営むトニー・ジャスティスさんも、こう言っています。「(こども食堂について)さまざまな境遇の子どもの居場所、がんばっているお母さんのストレスを解消して、楽しく過ごせる場所になれば良いなと、みんなでがんばっています。」■アフリカ出身トニーさんが主催する国際色豊かな子ども食堂&寺子屋を体験してきたNPO法人アフリカヘリテイジコミティ理事・トニー・ジャスティスさんインタビューより子どもたちが地域の活動に参加するには、まず保護者が情報を集め、申し込むという作業が必要です。奥手な保護者だと、知らないコミュニティに参加するという時点でついつい臆してしまうと思うのですが、主催者のこのような意図を知ると、「ちょっと行ってみようかな。申し込んでみようかな」という気持ちになりますね。前出の読書についても、家に本がたくさんあり、親が四六時中、読書している姿を見せられれば良いのですが、そこまではなかなかできません。では、「国語辞典をケースから出してリビングに置いておく」という簡単な方法はどうでしょう。「国語辞典は身近に置いておくといいんです。ケースに入れて子ども部屋の本棚に入れるのではなく、ケースから出してリビングに置いておき、なにかあったらすぐ調べられるようにしておく。テレビで聞いてわからない言葉をその場で調べる。スマホでもその言葉をピンポイントで調べることができますが、国語辞典で調べると、オマケとして、同音異義語や反対語、イラストなどもいっしょに書いてありますから、一石二鳥にも三鳥にもなります。」(学研プラス 小中学生事業部 辞典編集室 森川聡さん)「国語辞典は、必ずなにかとセットになって使うものだと思うんです。テレビで聞いた知らない言葉、図鑑にのっている知らない言葉、鉄道でも戦隊ヒーローでもなんでもいいので、調べてみるといいですね。忍者とか、手裏剣とかも国語辞典にはのっているので。」(同編集室 今井優子さん)■実践!国語辞典を楽しく使いこなそう 学研 子ども向け国語辞典編集室インタビュー第3回国語辞典とセットでも使いたい図鑑の選び方を教えてくれるのは、学研プラス小中学生事業部 図鑑・辞典編集室の松下清さん。「親子でいっしょに本屋さんへ行って、お子さんが気に入った図鑑を選ぶのがいいと思います。とくにお母さんは、図鑑は同じシリーズでそろえたい願望があるんですよ。棚にきれいに並べたいんですよね。でもそれは大人の都合です。子どもの本ですから、子どもが気に入って『欲しい』という図鑑を買ってあげてください。」■「知識への扉をひらく図鑑のひみつ」図鑑編集室インタビュー第4回学研プラス小中学生事業部 図鑑・辞典編集室松下清さんインタビューより文字や文章が苦手でも、「国語辞典なら読める」という考え方もあります。「(国語辞典に載っている)ひとつひとつの言葉の解説はTwitterと同じくらいの分量ですからね。厚みにたじろがず、辞典を開いてみればじつはとてもシンプルなんですよ。」(前出今井さん)■実践!国語辞典を楽しく使いこなそう 学研 子ども向け国語辞典編集室インタビュー第4回こんなに手軽なら、大人であるわたしたちも気負わず楽しめそうです。子どもがすくすく成長するために大切なことは何か。それは、大人が成長し、人生を豊かにするために必要なことと同じようでもあります。子どもに良いと思うことを実践していくにあたっては、無理せず継続的に、ナナメの関係の力を借りながら、自分の世界を少しずつ広げるつもりで楽しみながらやっていきましょう。次回は「没頭する大人たち」をテーマに、何かを追求し続ける人たちの言葉の数々をお届けします!次のページ子どものころ、好きなことに夢中になったらこうなった。没頭して生きる大人たちの言葉↑目次に戻る学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。すくすく伸びる子どもたちのために
2018年12月27日編集部:学研キッズネット編集部学研キッズネットfor Parentsの記事からわかった、すくすく伸びる子どもたちのために本当に大切なことをふり返る特集第3回のテーマは「学び」です。毎日の学校生活で、子どもたちはさまざまなことを学んできます。「学ぶことは楽しいよ!」自信をもってそう伝えられれば良いのですが、実際の生活では宿題をやらない子どもにヤキモキ、なかなか「やる気」を出さない態度にモヤモヤ、この子の興味はどこにあるの?なんて思うこともしばしば。子どものやる気スイッチを押すのは何なのでしょうか。そもそも「学ぶ」って何なのでしょう。毎日の学習の中に少しでもワクワクした要素が加わるのなら、子どもだってきっと日々が前向きなものになるはず。そのためにわたしたちには何ができるのでしょうか。このページの目次「学び」とは、なんだ?失敗なくして成長せず。失敗は学びの醍醐味「体験」と「待ちの姿勢」で子どものやる気スイッチを探そう親も好きな世界に没頭しよう!1.「学び」とは、なんだ?ひと口で「学び」と言っても、その形や解釈はざまざま。でも、授業で先生の話を聞いてノートをとる、知識をためていくような学びとは違ってきているようです。「遊びのなかでも何かに気づいて、結果として何かを学び身につけてほしい」。東京都港区にある学童保育「クランテテ三田」の校長を務める温井伸明さんは「学び」とは〈「遊び」×「気づき」〉だと考えます。「気づきを得るには、たくさんの失敗と成功が欠かせません。失敗することを嫌がって成功できそうなことしかしないのはもったいない。子どもたちが挑戦したくなるような工夫を遊びのなかに紛れ込ませて『たくさん失敗したけど面白かった』と言わせたい」■遊びの中に気づきを!子どもたちの頭を刺激するサイコロゲーム「子どもがやる気になる学童教室メソッド」(温井伸明さん)次は「探究学舎」の塾長宝槻泰伸さんの言葉。「驚きと感動は子どもだけではなく、大人も、もっと言うと人類の心に火をつけると思っています。人類は驚きと感動にうえているんです(笑)。でも、驚きと感動だけだとエンターテインメントになってしまいますから、教育として間違いないという、共感とか確信が必要です」。こうして授業で心を動かされた子どもは、家に帰ったあとも自分で学んだことを自分なりに追及していくようになると言います。■驚きと感動の種をまき、子どもの知的好奇心に火をつける 探究学舎第2回探究学舎塾長・宝槻泰伸さんインタビューより「相互に影響を受けて仲間とディスカッションすることによって、自分の殻を破ることができ、良い学びを得る」ことができると言うのは株式会社ドコモgacco代表取締役社長 伊能美和子さん。■「オープンなオンライン教育で新しい学びを創造する」株式会社ドコモgacco代表取締役社長 伊能美和子氏インタビュー第3回学びが遊びの発展形ともいえること、学びには人を夢中にさせる何かがあるということはよくわかりました。それでも日々の学習のすべてにドキドキわくわくするのは難しい。いやいや勉強する(あるいはしない)子どもに保護者はどう接したらよいのだろうと考えるとき、松井美香先生のこの見方は、1つのヒントになるのではないでしょうか。「アドラー流で考えるのであれば、『勉強は本人の課題であって、親の課題ではない』のです。親が肩代わりするものではないと考えます。勉強するかしないかを最終的に決めるのは、あくまでも子ども本人。そしてその結果の責任を負うのも本人。勉強しないで将来困るのは本人であって、保護者ではありません。」■自ら勉強する子になってほしいのなら・・・前編■自ら勉強する子になってほしいのなら・・・後編「くやまない、悩まない、自分を責めない――心がラクになるアドラー流子育て」(松井美香先生)2.失敗なくして成長せず。失敗は学びの醍醐味先ほど登場した温井伸明さんが「失敗することを嫌がって成功できそうなことしかしないのはもったいない」と言うのはなぜでしょうか。それは、「成功」だけでは「気づき」に結び付きにくいからといえます。「気づき」に結び付かなければ、「成長」もしません。大事なのは「成功」ではなく「成長」。成長し続ければそのうち成功します。だから「失敗を悪いもの、嫌なものと思わないで下さい」と宮本哲也先生は言います。■挑戦するということ「賢い子どもの育て方」(宮本哲也先生)そもそも「失敗」か「成功」かにこだわるのは、結果に注目しているから。挑戦したからこそ失敗したのだと考えれば、子どもの「失敗」に対する見方も変わるはず。「挑戦した、そのこと自体に価値があるのです」と語るのは松井美香先生です。■失敗を恐れずチャレンジする心を大切「くやまない、悩まない、自分を責めない――心がラクになるアドラー流子育て」(松井美香先生)失敗を恐れずチャレンジする力を『失敗力』と定義するのが中曽根陽子さん。将来のAI時代を生き抜くためには絶対に必要な力だと言います。■失敗できない人は、成功できません「AI時代を生き抜くために 『失敗力』を育てる6つの栄養素」(中曽根陽子さん)3.「体験」と「待ちの姿勢」で子どものやる気スイッチを探そう「うちの子はなんにも興味を持たない」「いつになったらやる気になるの?」そんな悩みをもつ保護者も多いことと思います。子どもの「好き」がわからない、そんなとき保護者ができることの1つは体験させること。もう1つは待ちの姿勢に徹すること。まずは「本物の体験」の大切さを説く言葉から紹介します。写真提供:国立天文台2016年撮影「子どもにとって『興味のある・なし』というのは、『知っているか・いないか』とほぼ同じ意味なので、まずは実際に自分で体験して知ることが、興味をもつことへの第1歩になります。」「子どものころになにを経験するかというのはとても大事だと思います。できる限り本物や、自然現象に接する機会をつくり、どれだけ子どもの興味や可能性を引き出せるかが、保護者や大人たちの務めだと思います。」と語るのは国立天文台の縣秀彦准教授。■星空は科学への入り口国立天文台が伝える星の魅力第3回国立天文台縣秀彦准教授インタビューより「お子さんを連れてきたときに、保護者の方もいっしょに体験してほしいと思います。子どもだけに『やってごらん』とやらせるのではなく、保護者もいっしょにやってみる。そのときに「おもしろいね」と声をかけるだけでなく『なんでだろう』と子どもに伝えてほしいと思います。」■体験が科学する心をはぐくむ板橋区立教育科学館にきく科学館の楽しみかた第4回板橋区立教育科学館持永雅之館長インタビューより「グリコードに夢中になっている姿を目の当たりにして思ったんです。好きなことをやっているときの子どもって、本当に夢中にやるんだなって。そういう瞬間が、もしかすると学びにつながるのではないかと思います。……『ご飯だよー』と言っても無視してなにかやっているようなときがヒントになるんじゃないでしょうか。」■お菓子でプログラミング!?次世代の遊びで子どもたちの想像力をはぐくむ――玉井博久さんインタビュー第4回江崎グリコ株式会社・玉井博久さんインタビューより「子どもを信じて待つことが大事」というのは探究学舎の塾長、宝槻泰伸さん。「子どもの成長には個人差があるので、待つということがとても大切なんです。なにか投げかけたけれど全然反応がなくても、すぐにダメなのかなと思わずに、いつかは絶対に子どもの心に火がつくと信じて待つことが大事だとわたしは思います。」■驚きと感動の種をまき、子どもの知的好奇心に火をつける 探究学舎第3回探究学舎代表取締役社長・宝槻泰伸さんインタビューより人はいつか必ずやる気スイッチを押すときが来るから、それまで自己肯定感を育てながら待つように説くのは親野智可等先生です。「待てる親であってください。待てない親は子どもができないことに目を瞑ることができずに、毎日ガミガミ叱り続けます。それによって、子どもは自己肯定感が持てなくなり「ぼくはダメな子だ」と思い込むようになります。すると、やる気スイッチが入りそうなときにも、「これをがんばってみたい。でも、どうせぼくはダメだろうな」となって、今ひとつスイッチが入らないままになってしまいます。」■やりたいことが見つかってスイッチが入ると人は変わる「子どもが伸びる親力」(親野智可等先生)4.親も好きな世界に没頭しよう!子どもに夢中になれる世界を持ってほしいと強く願っておぜん立てしても、わたしたちが遠巻きに見ていたら、子どもはその冷めた気持ちを感じ取ってしまいます。結局は、親の背を見て子は育つということで、親が楽しく夢中になって学んでいれば、子どももなんだかわくわくして引きこまれてしまうようです。「わたしが最近気になっているのは、自分が試さないで子どもにだけやらせる保護者が増えていることです。(家庭でできる最良の方法は)子どもが『なんで?』と聞いてきたら、保護者の方が『なんでだろうね』と答えてあげること。『そうだね』『どうしてだろうね』『じゃあ、ちょっといっしょに考えようか』という会話があるかどうかが大切です。可能であれば親子で発見や知識を共有する時間をつくってあげて欲しいですね。」■科学教育で子どもの創造性と社会性をはぐくむ サイエンス倶楽部第4回株式会社サイエンス倶楽部専務取締役・広永雅史さんインタビューより「ぼくたちは経験上、保護者が前のめりに学んでいるほうが、子どもは学びに積極的になると感じています。大人が『えっ、なにこれ!?』と夢中になっていて、保護者の背中から子どもがのぞきこんでいるくらいのほうが、子どもはぐっと興味を持つんです。どんな体験でもいいところはたくさんあると思うので、そのいいところを保護者が積極的に見つけていくと、子どもも、『ああ、そんな面白いこともあるんだ』と自分で考えて、気づいてくれるのではないかと思います。」■ワクワクの学び体験が子どもの未来を変える。 Gifte!がプロデュースする本物体験とは第2回Gifte!菅野高広校長インタビューより「いっしょにやることも大事です。保護者の方がおもしろいと思っていることを、子どもがおもしろいと思えばいっしょにやればいいと思います。もし子どもが興味をもたなくとも次から次へと出していけば、どこかで食いついてくることがあるでしょうし。■驚きと感動の種をまき、子どもの知的好奇心に火をつける 探究学舎第3回探究学舎代表取締役社長・宝槻泰伸さんインタビューより自身の経験から保護者が楽しむことをすすめるのは、ねんど造形作家でありエデュテインメントアーティストの岡田ひとみさん。「わたしが物づくりに興味を持ったきっかけは母の影響が強いと思います。母は洋裁が得意で、わたしとおそろいの服をわたしのお人形用にも作ってくれるような人でした。母が楽しそうに作っている姿をそばで見ていて、自然とわたしもやってみたいなと思うようになったのです。子どもって大人が何か楽しそうにやっていると、とても興味を示します。ですから『今年の自由研究は何にしようか』というとき、親もいっしょに楽しめるものを探すといいのではないでしょうか。たとえば親が昆虫好きなら、いっしょに森へ昆虫採集に行ってみるとか。親が目をキラキラさせて昆虫を追いかけている姿を見たら、子どものほうもきっとワクワクしてくると思います。」■親もいっしょに、子どもと自由研究を楽しんで!岡田ひとみさん(ねんど造形作家/エデュテインメントアーティスト)「まずは親自身がいろいろな世界をひらいて、そこに子どもを連れて行くことだと思います。自分の趣味でもいいですし、なんでもいいと思います。大切なのは、親自身が自分の世界を持つことです。」■つながり依存研究の第一人者にきく、子どもとSNSのリアルな関係 筑波大学土井隆義教授インタビュー第4回子どもの成長に必要な親の姿勢は、外界に対する好奇心に満ちた幼少時こそ思う存分遊ばせ、それなりに成長して身近な外界に好奇心の対象がなくなってくる頃にこそ、大人もいっしょになって子どもと遊びや学びの世界を広げ、体験するというものであるように思います。さて、次回は「子どもとICTのふさわしいつきあい方」に焦点をあてていきます。次のページスマホやデジタル。依存を防ぎうまく付き合うにも「自己肯定感」と「親子の会話」がカギ学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。すくすく伸びる子どもたちのために
2018年12月21日編集部:学研キッズネット編集部学研キッズネットfor Parentsの記事からわかった、すくすく伸びる子どもたちのために本当に大切なことをふり返る特集第2回は、睡眠と食事、遊びが子どもたちに与える影響についてとりあげていきます。人生は毎日の小さな積み重ね。伸び盛りの子どもたちにとって、1日のもつ意味合いは大人よりも大きく、また周囲にいる大人に左右されがちです。だからこそ日々の小さな習慣や体験を大切にしてあげる必要があります。このページの目次眠りと「自尊感情・自己肯定感」には深いつながりがある!自分の体は自分の食べたものでできている100%やりたいように遊ぶ時間、夢中になる時間がその子の強みを育てる夢中になっている時間と同じくらい大切なのがぼーっとして過ごす時間1.眠りと「自尊感情・自己肯定感」には深いつながりがある!何時に就寝するのか、何時間眠るのかという睡眠サイクルと、ありのままの自分を受け入れるという自己肯定感とは密接なつながりがあり、ひいては子どもの日常生活(落ち着きや情緒の安定性)や学力にも関係してきます。このことは脳の成長の仕方から考えていくとよくわかります。脳は「古い脳(姿勢を保つ、呼吸、睡眠など【からだ】に関する脳)」→「新しい脳(記憶や思考、指先の微細な動きや言語、感情など、いわゆる【脳】)→「前頭葉(人間らしさなど【こころ】の脳)」の順番で発達していくそう。日中活動をする昼行生物である人間は、朝起きて夜暗くなったら寝るのが当たり前で、早寝早起き朝ごはんという生活習慣を身につけることが、この正しい発達のために大切になってきます。睡眠や食事などによって、まずは土台となる「古い脳」をしっかり育てるべきときに、「新しい脳」を育てようと習い事などを詰め込んで睡眠時間を削ってしまっては本末転倒。このあたりのくわしい話を、発達脳科学を研究している成田奈緒子先生の話を交え中曽根陽子さんがわかりやすく教えてくれています。■寝る子は育つ!正しい睡眠の習慣を身につけよう1■寝る子は育つ!正しい睡眠の習慣を身につけよう2「子どもが伸びる家庭の10の習慣」(中曽根陽子さん)「子どもにとっては生活習慣を身につけることがもっとも重要なことであり、とりわけ睡眠の習慣は、小学校時代においてなにより重要だと考えているからです。」生活習慣を崩さなければできないような勉強が必要になることは本末転倒であると陰山英男先生は読者の質問に答えます。■中学受験で深夜まで勉強する娘に夫が怒り「教えて!陰山先生」(陰山英男先生)「物を考えるのに最適な時間は睡眠時である」自身の経験からそう断言するのは宮本哲也先生。脳の意識の領域と無意識の領域を比べると、無意識の領域の方がはるかに大きいのですが、この無意識の領域にアクセスできる時間が眠っている時間です。ここを入り口として「学力差は睡眠時につく」と考える宮本先生の話はこちらです。■子どもの学力差はここでつく!「『賢い子ども』の育て方」(宮本哲也先生)みなさんは眠りに就くとき、どんなことをイメージしながら横になっていますか?入眠するときのイメージトレーニングの大切さを説くのは親野智可等先生で、人生を左右することさえあると言います。このイメージトレーニングは大人のわたしたちがやってみて、自ら経験しつつ、子どもたちにも教えてあげることをすすめます。毎晩布団に入るときに、うれしいこと、楽しいこと、達成したいことを思い描きながら眠りにつくだけ。「一度コツを覚えれば一生の財産」。そこまで言われたら、やってみないわけにはいきませんね!■眠りにつくときのイメージトレーニングで人生が決まる「子どもが伸びる親力」(親野 智可等 先生)↑目次に戻る2.自分の体は自分の食べたものでできている「早寝早起き朝ごはん」という生活習慣が大事であることから、次に取り上げるのは食事。スポーツ栄養アドバイザー・石川三知さんは、「わたしたちの体は自分が食べたものでできているということを意識してほしい」、「自分の体は自分でしか作れない」と言います。石川さんは食べ物が成長期の子どもの体を支える大切な材料になっていること、「かむこと」の大切さ、味覚や食感が子どもの感性を高めることなどをやさしく教えてくれます。石川さんおすすめレシピも手軽なものばかりなので、ぜひ作ってみてください。■スポーツ栄養アドバイザー石川三知さんに聞くチャレンジできる体のつくりかた第2回「シリーズ専門家にきく!」石川三知さんインタビューより子どもの好き嫌いのなくし方や、子どもにうまく手伝ってもらって食に関心を持ってもらう方法を教えてくれるのが、フードスタイリストのダンノマリコさん。「子どもの好き嫌いに寄り添わず食卓に料理を出し続ける」という考え方も参考になります。■忙しくても、子どもといっしょにごはんを作って食べるコツダンノマリコさんこれからの寒い季節、風邪やインフルエンザの流行に少しでも対抗したいですね!牧野直子先生の風邪対策メニューは、日頃の食事作りを考えるうえでもヒントになります。■寒い冬に負けない!風邪対策メニュー「元気な子どもが育つ毎日のごはん」(牧野直子先生)最近、多いと言われる子どもの「低体温」は、意欲の低下にもつながります。改善には規則正しい生活が大切で、食生活の見直しも大いに役立つはず。牧野先生のレシピをもう1本紹介します。■子どもに急増中!低体温を防ぐ「辛くないチリコンカン」「元気な子どもが育つ毎日のごはん」(牧野直子先生)食事は「何を食べるか」も大切ですが、「誰と食べるか」「どんな雰囲気の中で食べるのか」も同じくらい大切ですよね。家族の生活時間帯が合わずひとりで食事をする子どもや、家事育児を抱えてつかれてしまった保護者のために、居場所を提供する活動をしている人たちもいます。「こども食堂ネットワーク」の事務局長を務める釜池雄高さんは、「子ども食堂」は“「子ども」と「食」を中心にした地域みんなの居場所”だと考えているひとりです。「子ども食堂」とは、子どもがひとりでも食事ができ、地域の人たちが、無料または低額で食事を提供する場を指しています。核家族化が進む現代では、自分のためにも子どものためにも、ときに地域の力を借り、人間関係のネットワークを広げるきっかけにするのも良い方法ではないでしょうか。■いま話題のキーワード「子ども食堂」ってなんだろう?こども食堂ネットワーク事務局長・釜池雄高さんインタビューより大人の健康にとっても食生活は重要な問題ですが、子どもは体が大きく変化する時期であるうえに、自分で食事を選べないという点で保護者の責任は重大だと改めて感じます。眉間にしわを寄せるほど深刻になりすぎず、それでもできるだけ子どもの体に役立つ食べ物を選んで、子どもといっしょに食事の時間をおいしく楽しく過ごしたいものです。↑目次に戻る3.100%やりたいように遊ぶ時間、夢中になる時間がその子の強みを育てる子どもが大好きな「遊び」の時間。でも、子どもが好きな遊びは、大人がハラハラするものばかり。高いところから飛び降りてみたり、火や水を使いたがってみたり、木登りや泥遊び、ひみつ基地なんていうのも好きですね。一方、最近は公園に禁止事項が増えてきました。そんななか、「自分の責任で自由に遊ぶ」ことのできる冒険遊び場プレーパークは「本当にやりたいように遊んでいい」場所です。火を使ってもいい、泥だらけになってもいい、ぼーっとしていたっていい。「自分が100%やりたいようにやるのが『遊び』。大人から見て遊んでいるように見えなくてもいい」と話すのはNPO法人こがねい子ども遊パーク・代表理事の邦永洋子さん。「失敗も含めてすべて自分の手でやってみるという経験の積み重ねが、自分のことを大好きだと思える気持ちや相手を尊重する気持ちにつながると思う」と話してくれました。■自分の責任で自由に遊ぶ、冒険遊び場「プレーパーク」~‟こがねい子ども遊パーク“インタビュー~子どもが「自発的に」「思いっきり遊ぶ」という経験は、創造力や学びの力を育むことにつながると教えてくれるのは中曽根陽子さん。時間を忘れて遊びに熱中しているような状態を体験した子どもの方が、そうでない子どもより学習の効率もあがるし、思いも寄らないような力を発揮することがあるそうです。■よく遊んだ子は賢くなる!?~子どもを伸ばす遊びの力~「子どもを伸ばす10の習慣」(中曽根陽子さん)「何かに没頭できる子は強い」と宮本哲也先生も言います。「子どもが何かに没頭している時間は自分の意志で生命力を磨いている宝の時間なので、どれほど親の趣味とかけ離れていても決して邪魔をしてはいけません」。■没頭力を鍛える「『賢い子ども』の育て方」(宮本哲也先生)「もしかしたらいまの学校でほめられるポイントと、20年後の社会で役立つことは違うんじゃないかって思うんです。いまは、ほめられないなと思うようなことも、ひょっとしたら将来、その子の役に立つことかもしれない。だから、夢中になれる強みを見つけてあげて、伸ばしていくことが大事なのかな」と語るのは株式会社LITALICO(リタリコ)の執行役員CTOの岸田崇志さんです。■多様性を力に変えて 障害のない社会をつくる 株式会社LITALICOインタビュー第4回子どもが意に染まない遊び方をしていると、大人はついつい手出し口出しをしがちです。けれど、こんな時間こそ子どもにとって大切な育ちとなっているのですね。↑目次に戻る4.夢中になっている時間と同じくらい大切なのがぼーっとして過ごす時間子どもがぼーっとしていると、「何してるの?」「〇〇はやったの?」「宿題は終わった?」そんなふうに声をかけてしまったことはありませんか。意外にも、「脳科学の研究で、ぼーっとしている時間のほうが、脳の活動が盛んになるということがわかっています」。「そのときに使っているエネルギーは、意識的に頭を使っているときの20倍にも達する」というのは驚きです。■ぼーっとしている時間に頭は育つ「AI時代を生き抜くために『失敗力』を育てる6つの栄養素」(中曽根陽子さん)もちろん、だからといって、お子さんに「たまにはぼーっとしなさい!」なんて言ってはいけません。わたしたちが親としてできることは、子どもの予定を詰め込み過ぎず「遊び時間やぼうっとする時間を含めて、もっと子どもたちに自由時間を保障してあげ」ること。自由時間に主体的に生きることが、子どもの自己実現力を育てていくのです。■仕事でもプライベートでも、主体的に生きられる人にするには?「子どもが伸びる親力」(親野 智可等先生)↑目次に戻る次回は、土壌ができた上に育まれる、「学び」と「やる気」について深く考えていきます。子どものやる気を引き出すために、保護者にできることとは?次のページ子どもの「学び」には、没頭力と失敗を恐れない気持ちがあればいい学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。すくすく伸びる子どもたちのために
2018年12月20日編集部:学研キッズネット編集部学研キッズネットfor Parentsの立ち上げからもうすぐ3年。すくすく伸びる小・中学生の子どもたちのために、家族のしあわせのためにと願い、様々な専門家の方たちの考えを発信してきました。その考えをすべて見渡すと、いくつか大事なことがあるということがわかってきました。それを1本の樹を子どもに見立てて絵にしたのが冒頭のイラスト。これまでの記事を振り返る形でまとめます。社会がこの先どのように変化していくのか見えない時代ではありますが、子どもたちにはどんな環境にあっても自分のもってうまれた力を生き生きと発揮し、のびのびと生きていってほしいですよね。そのための大切な基盤となるのが「自己肯定感」であり「自尊感情」であると多くの専門家は言います。これはありのままの自分を受け入れ、大切にしたいと思う気持ちのこと。生きていくうえで、なぜ「自尊感情・自己肯定感」が必要なのでしょうか。親野智可等先生は言います。「自分はここに存在していいんだ。自分は大切にされている。自分は大切な存在なんだ。自分は自分でいいんだ。これが、生きていく上で一番大切な自己肯定感というものです。これがあって初めて、がんばる力もわいてきますし、人を思いやる気持ちもわいてきます。」■子どもの存在を無条件に肯定する「一緒にいられて幸せ」という言葉を贈ろう「子どもが伸びる親力」(親野 智可等先生)特集第1回の今回は、この「自尊感情・自己肯定感」を育むために必要な土壌について考えていきます。このページの目次日本人は「自尊感情・自己肯定感」が低い!「自尊感情・自己肯定感」を育てる土壌は家庭子どもを一人の人間としてリスペクトした声かけを感謝の気持ちは思いやりの心を育てる1. 日本人は「自尊感情・自己肯定感」が低い!「自尊感情」「自己肯定感」という言葉を最近、よく耳にするようになりました。これは先ほども説明したように、ありのままの自分を受け入れ、大切にしたいと思う気持ちのこと。人がのびのびと生きていくうえで欠かせない感情です。ところが残念なことに、日本人はこの感情が低いそう。「『自分はダメな人間だと思うことがある』などネガティブな問いに対して、『とてもそう思う』『まあそう思う』という回答は米国・中国・韓国を大きく上回っているという結果が出ています。」国立青少年教育振興機構が行なったこの調査結果やその理由について、中曽根陽子さんがくわしく教えてくれています。■第3回自尊感情を高めるための親のかかわり方「AI時代を生き抜くために 『失敗力』を育てる6つの栄養素」(中曽根陽子さん)↑目次に戻る2.「自尊感情・自己肯定感」を育てる土壌は家庭子どもの自尊感情は、我が子を無条件で大切に思う親の気持ちが子どもに伝わってこそ育まれるもの。そのため「親の言うことを聞いたとき」「よい成績を上げたとき」だけほめる「条件つきのほめ方」では不十分。子どもは「がんばらないとほめられないのかも」「よい子でないとほめられないのかも」と思ってしまい、安心することができません。大切なのは「あなたと一緒にいられて幸せ」「どんなあなたも大好きだよ」という気持ちを伝えることだと親野先生は言います。■子どもの存在を無条件に肯定する「一緒にいられて幸せ」という言葉を贈ろう「子どもが伸びる親力」(親野 智可等先生)子どもが「存在している」という、極めて当たり前と思えるようなことにも目を向け、感謝することが、子どもの「勇気づけ」になると言うのは松井美香先生。■困難を乗り越える力を育てるために、大切なこととは「くやまない、悩まない、自分を責めない――心がラクになるアドラー流子育て」(松井美香先生)「〇〇してえらいね」「〇〇ができるなんてすごいね」ではなく、「あなたがいてくれて本当にうれしいよ」という姿勢。子どもが安心して育っていくために大切な、この気持ちを子どもに伝えるにはどのように声をかけたらよいのでしょうか。↑目次に戻る3.子どもをひとりの人間としてリスペクトした声かけを子どものありのままの存在を受け入れるということは、子どもをひとりの人間として尊重し、大切にするということです。「親に大切にされているという実感がある子は自分で自分を大切に」できます。自分で自分を大切にできることこそ、「自尊感情・自己肯定感」が高い証といえるでしょう。■思春期・反抗期の子には、どう接すればいい?「子どもが伸びる親力」(親野 智可等先生)ところが親は子どもをひとりの人間としてリスペクトしているとは思えないような言動をとることがよくあります。たとえば「何やってんの!」「どこへやったの!」「いつまで起きてるの!」「なんでできないの!」「誰なの!テーブルを濡らしたのは!」などといった5w(what/where/when/why/who)を使った叱り文句。これは子どもが、親が思うように行動しないために生じるストレスを子どもにぶつけて困らせようとする親の気持ちの表れだと親野先生は言います。■親は「何、どこ、いつ、なんで、誰」の5Wで子どもを困らせる「子どもが伸びる親力」(親野 智可等先生)子どもが宿題をやっていないとうすうす感づいていながら発する「宿題やったの?」というような意地悪な質問形も、「子どもを困らせてやりたい」という親の裏の意図が隠れていることが多い、と親野先生。■「片づけしたの?」「宿題やったの?」「明日の仕度したの?」など。「質問形」の裏に隠れているもの「子どもが伸びる親力」(親野智可等先生)ついつい何度も言ってしまう「早くしなさい!」という言葉も親の都合によるもの。これが続くと子どもは、「自分は親から大切にされていない。愛されていない」という気持ちになり、親からの愛情不足感を感じて自己肯定感が低下したり、ひいては親の顔色をうかがう指示待ち人間になったりしかねません。■何気なく言っている「早くしなさい!」の口癖。弊害がたくさんあります「子どもが伸びる親力」(親野智可等先生)「がんばってね!」の声かけは、時と場合によっては子どもをひどく傷つけ、ゆがめてしまうことがあると教えてくれるのは宮本哲也先生。■「がんばってね!」は禁句です「賢い子ども」の育て方(宮本哲也先生)では、望ましくない声かけをしそうになったとき、わたしたちはどうすれば良いのでしょう。それは、難しいことではないと松井先生は言います。「どうしたいの?」「どうすればいいかな?」「どうやったらできると思う?」というように、問いかけるようにすれば子どもに考える力さえつくと言います。■自分のことは自分で解決する~考える力をやしなう声かけ~「くやまない、悩まない、自分を責めない――心がラクになるアドラー流子育て」(松井美香先生)子どもたちと良い関係を築くために、多くの保護者が日々奮闘しています。それでも子どもが自分の思う通りに行動しないと――忙しいときや、受験やテストなどの目標があるときはなおさら――声を荒げがちです。そんなときの感情コントロールにはコツがあります。「自分の心の動きに気づけば子どもにぶつけなくてすむ」と説くのは親野先生。「感情『で』伝えるのではなく、感情『を』伝えましょう」と説くのは松井先生です。■メタ認知力をつければ自分のストレスを子どもにぶつけなくなる「子どもが伸びる親力」より(親野智可等先生)■ 「叱る」「怒る」より効果的な子どもとのコミュニケーション「くやまない、悩まない、自分を責めない――心がラクになるアドラー流子育て」(松井美香先生)↑目次に戻る4.感謝の気持ちは思いやりの心を育てる親が子どもの存在をありのまま受けとめ感謝するという行為は、子どもの思いやりの心を育てます。思いやりを育む他者への関心や信頼感は、自尊感情や自己肯定感とともに大切なもの。子どもの心に他者への優しさが育つ土壌が耕されるかどうかも、わたしたち大人の意識にかかっているようです。「(他者に)感心をもつためには、まず所属する共同体(家庭、学校、地域など)の中で、自分が他者の役に立っていると感じる必要があります。なぜなら、自分が人の役に立てるという感覚が持てなければ、人は思いやりをもって行動しないものだからです。」と松井先生。そのためには、「お手伝いしようかな」と行動に移した子どもに対して、たとえそれが不慣れなものであったとしても「ありがとう!助かる」と感謝の言葉を口にすることが大切。アドラーによると、「人は、良いところも悪いところも、注目されたところが強化する」そうです。子どもの優しい気持ちをわたしたちが大事にすれば、子どもは自分の思いやりが「注目された」と感じることでしょう。■思いやりのある優しい子に育てるために「くやまない、悩まない、自分を責めない――心がラクになるアドラー流子育て」(松井美香先生)子どもへの観察力が大事、と教えてくれるのは親野先生です。今、声をかけられる状況かな、とまず考え、楽しい話をして雰囲気をつくってから親の伝えたいことをさりげなく伝えれば、不毛で不必要な言い合いを避けることができます。よい親子関係を築くことが、子どもの、他者を信頼する気持ちへとつながっていくのですね。■親がひと工夫するだけで、子どもの「わかってる。うるさい」の反抗がなくなる「子どもが伸びる親力」より(親野智可等先生)最後に親野先生の、「子どものころ大人に言われて救われた言葉」を紹介して、第1回を終わります。「子どもが救われる言葉は、大人の自分が言われてもうれしい言葉なんだな」と、みなさんも感じるのではないでしょうか。自分が言われて嫌な言葉は子どもにもかけない。言われたらホッとするような言葉で子どもとコミュニケーションをとる。明るい方向へ進む方法は意外とシンプルなのかもしれません。■子どものころ大人に言われて救われた言葉「子どもが伸びる親力」より(親野智可等先生)↑目次に戻る次回は「自尊感情・自己肯定感」を育むために実は大切な規則正しい生活リズムと、子どもの「やる気」についてひも解いていきます。次のページ規則正しい「睡眠」と「食事」、夢中になれる「遊び」が子どもを伸ばす原点へ学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。すくすく伸びる子どもたちのために
2018年12月19日