『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』『覆面系ノイズ』の三木康一郎監督作『“隠れビッチ”やってました。』が公開決定。映画初主演となる佐久間由衣を迎えたほか、村上虹郎、大後寿々花、森山未來と異色のキャストが揃った。異性からモテ続けることで「認められたい欲求」を満たしてきた主人公・ひろみ。自分が傷つかずに、相手の気持ちだけを弄びながら、恋愛の美味しい所だけを楽しみ、体の関係は断る―というゲームのようなやり口に、ひろみのシェアハウス仲間であるバイセクシャルの晃と恋愛に失敗してばかりの彩は驚いていた。服の露出は少な目、鎖骨がちらりとのぞく透け感のあるワンピースが戦闘服。どこにでもいる女性に見えるのに、計算しつくした仕草と会話で、男性を落とすハンターぶりから、彩は「あんたは“隠れビッチ”ね!」と名付ける。そんなある日、同じ職場に気になる相手が現れ、ひろみは初めて自分の本音と向き合う――。原作は、あらいぴろよによる一見すると清純派の女性だけど、男性にチヤホヤされたい欲望の強いビッチ女だった実話のコミックエッセイ。本作は、そんな“隠れビッチ”のモテ戦術を面白可笑しく披露しつつも、その裏に潜む現代女性の心の隙間や歪みに寄り添う作品となっている。主人公・ひろみを演じるのは、「トランジットガールズ」『あの日のオルガン』に出演、本作が映画初主演となる佐久間由衣。「主人公・ひろみは、色々な戦略で男性を翻弄する役柄ですが、演じる時には、愛したい。でも愛し方がわからない主人公の寂しさやコンプレックス、彼女の感情の深い心の穴である部分を理解しようと精一杯努めました」と演じた感想を語り、「原作者であり、主人公のモデルにもなった、あらいぴろよさんの話も参考にさせて頂きながら、全てのシーンを大切にそして思い切り演じさせて頂きました。私にとって既にとても大切な作品です」とコメント。またひろみとシェアハウスをするバイセクシャルの晃と駄目な恋愛を繰り返す彩役には、「この世界の片隅に」『銃』の村上虹郎と、連続テレビ小説「わろてんか」の大後寿々花。そして、主人公を見守る男性・三沢役は、現在放送中の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」に出演する森山未來に決定した。村上さんは「僕は、主人公・ひろみとその友人・彩とシェアハウスをしている、バイセクシャルの晃役なのですが、みんなの食事の支度から、駄目な恋愛を繰り返す女子2人の心のケアまでお世話する、“お母さん”みたいな役割を楽しんで演じました」と役どころについて触れ、大後さんも「彩は、外向きは仕事もプライベートも充実しているように見えて、実は自分に自信がなくて、気になる相手には嫌われないために体を許してしまうような恋愛を繰り返してしまう女性」と役について語り、「佐久間さんや村上さんとは初共演でしたが、和気あいあいとした雰囲気の中で撮影を終える事ができました」と撮影について明かした。一方、森山さんは「これは“もし佐久間由衣ちゃんがナチュラルに隠れビッチをやっていたとしたら誰も太刀打ちできないでしょ”、という映画です」と映画について語り、「僕も彼女に打ち砕かれた死屍累々の一人です」とコメントしている。『“隠れビッチ”やってました。』は2019年、全国にて公開予定。(cinemacafe.net)■関連作品:“隠れビッチ”やってました。 2019年、全国にて公開予定©『“隠れビッチ”やってました。』フィルムパートナーズ/光文社
2019年01月29日お笑いコンビ・三四郎が、31日深夜(25:00~)に『三四郎のオールナイトニッポン2019新春初笑いスペシャル』のパーソナリティを務めることが決定した。三四郎が『オールナイトニッポン』の新春お笑い特番を担当するのは今回で3年連続となる。各芸能事務所一押しの芸人やアーティストが、『オールナイトニッポン』の次世代パーソナリティの座をかけて、熱いパフォーマンスを繰り広げていく。ゲストにはラブレターズが登場し、マシンガンズとウエストランド井口が、元旦の深夜の街中に飛び出し、中継を行う。スタジオでは、お笑い芸人のバッドナイス常田、マジカルラブリー、かが屋、宮下草薙、犬カブトムシ、歌手のにゃんぞぬデシ、男女ボーカルユニット・まるりとりゅうがが、パーソナリティ適性をアピール。番組を一番盛り上げた出演者には、『オールナイトニッポン0(ZERO)』を単独で担当する権利を与えられる。このほか、参加したリスナーにプレゼントが当たる『オールナイトニッポン』に関するクイズ企画も実施する。
2018年12月22日今回ご紹介するのはこれ!どん!スープカレーで有名な札幌の名店『木多郎』さんの『札幌スープカリー 木多郎』のチキンカレーです!■圧倒的なチキンのボリュームが胃袋を襲う!チキンカレー、よくあります!レトルトカレーでも何個食べてきたことか。しかし過去、これほどまでチキンの量が多かったカレーがあっただろうか!?いや、ないでしょう。(※ 個人の感想です)しかも、ごっつりニンジン入り。こんなに大きいニンジンが入ったレトルトカレーが他にあっただろうか!?いや、こちらもないでしょうねえ……。(※ 個人の感想)さあ、具材の見た目ががっちり心をつかんでくれました。肝心の味のほうはどうでしょうか……?■スッと染み渡るスープカレーするると飲める!本当にスープみたいな食感ですね!ただ、某レビューサイトで実店舗の木多郎さん対するコメントを見る限り、もう少し脂分が多く、とろみがあるスープらしいので、レトルト用にアレンジされているのかもしれませんね。さて、総評です。■総評味★★★★☆具材たっぷりで満足感があります。スープカレーなので、ご飯と一緒に食べるとリゾットぽくなり、味が染み込んでおいしいです。辛さ★☆☆☆☆まったくと言っていいほど辛さはないです。ココナッツミルクやはちみつも含まれているので、すごくマイルドでどなたでも美味しく食べられるはず!ニンジンの大きさ★★★★★こんなに大きいニンジンがカレーのなかに入っていることを見たことがありません。むしろこのサイズのニンジンが、カットされずに料理にはいっているのを見たことがありません。このサイズのニンジンに火を通し、美味しく食べられるようにするまで、レトルトカレー工場の人はどれくらいの試行錯誤をおこなったのか……その苦労を思うだけで、あと3杯は食べられますね。製造元のタンゼンテクニカルプロダクトさんは、地元北海道でスープやたれ造りを手掛けられているようです。スープの具材の煮込み方などにも、並外れたこだわりがあるのではないでしょうか!いつかは札幌のお店で本場の味を食べてみたいですね~。札幌スープカリー、いい響きだ。【参考】※ 木多郎※ タンゼンテクニカルプロダクト【筆者略歴】ビビり
2018年12月20日宮藤官九郎が演出を手がける『ロミオとジュリエット』が11月20日(火)に東京・本多劇場で開幕する。『ロミオとジュリエット』は、対立するふたつの旧家でそれぞれ生まれた男女が恋に落ち、悲劇的な結末を迎える物語。とあらすじを説明するまでもないほど有名なシェイクスピアの戯曲に宮藤官九郎が挑むのは初めてのこと。ロミオを演じるのは今年50歳を迎えた三宅弘城。このキャスティングだけで、ひと筋縄ではいかない『ロミジュリ』になりそうな予感が伝わってくる。また、宮藤の映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』でヒロインを務めた森川葵が初舞台となる今作でジュリエットを演じる。ロミオの親友マキューシオには勝地涼、ロミオにケンカをふっかけることとなるジュリエットの従兄弟には皆川猿時と、宮藤作品でおなじみの面々が名を連ねる。宮藤は「なるべくまんまやる!」とコメントしているが、上記のキャストに加え、小柳友、阿部力、今野浩喜、よーかいくん、篠原悠伸、安藤玉恵、池津祥子、大堀こういち、田口トモロヲという名を見ていると、「まんまやる」にしても、いや「まんまやる」ことによってより前代未聞の『ロミジュリ』になるのではないかという期待が募るばかりだ。もう新しい切り口など存在しないのではないかと思われるほど上演が重ねられてきた戯曲を、宮藤が生まれ変わらせるかもしれない瞬間がすぐそこまで来ている。三宅のいう「ロミジュリ史上、最珍傑作」を目撃しない手はないだろう。12月16日(日)まで東京公演を行い、その後は新潟、大阪、愛知でも上演される。文:釣木文恵
2018年11月20日「劇団鹿殺し」の代表・丸尾丸一郎による初めての小説(10月12日刊行)を原作にした舞台「さよなら鹿ハウス」が11月8日(木)に開幕する。小説の著者であり舞台では作・演出を手掛ける丸尾と、丸尾をモデルにした“角田角一郎”を演じる主演・渡部豪太に話を聞いた。【チケット情報はこちら】丸尾が「小説のお話をいただいたときに“自分しか経験していないことを書きたい”と思い、人生で1番濃い2年間を書きました」と語るように、本作は、劇団鹿殺しのメンバー7人が中古のハイエース1台で関西から上京し、「鹿ハウス」で共同生活をしながら“伝説”になるために心身を燃やし尽くした日々を描いた作品。小説を読んだ渡部は「すごく面白かったです。路上パフォーマンスをしたり警察のご厄介になったりとなかなかハードコアな生活なのですが、それを仲間の愛で乗り切ってる感じがやさしくて。丸尾さんの人柄が出てるなと思いました」と感想を語った。登場人物は、角田角一郎、鹿の子チョビン、オレノハーモニー、ジョン・J・ウルフ、入交ヨシキ、渡辺ダガヤ、山本サトル。微妙に名前を変えたのは「7人の思い出を自分の主観的な目で書くから」だそうだが、舞台化について「『劇団鹿殺し』の話にはならないと思います。こういう7人組がいた物語として捉えてもらえれば」と丸尾。演出するうえでも「自分の記憶とは完全に切り離してフラットにつくっていくと思います。“この劇団員はこういうヤツだった”とこだわるつもりもない。7人のキャラクターが立って、単純に劇として会話が面白くなればいいです」と構想を語る。それを聞いて渡部も「僕も“角田さん”を演じるのであって、丸尾さんを演じる感覚ではなかったので、今の言葉を聞いて“それでいいのだな”と思いました。丸尾さんには当時の出来事やみそ汁の匂いとかを教わって、役に繋げていこうと思っています」。脚本については「小説に書いていない日常生活を、会話劇でみせたいと思っています。でも日常会話ってすげー難しいの!」(丸尾)と頭を抱えつつも楽しそう。「いきいきとした7人の生活を表現したいから」と、今までやったことがないというエチュード(即興劇)を稽古に取り入れる予定だそう。渡部も「今は一緒に冒険に出られるというような気持ちです。劇中で劇団員になれるのも面白そう」と期待をのぞかせ、同じく楽しげな顔。そんなふたりを筆頭にどんな作品が生まれるのか、幕が開くのを楽しみに待ちたい。OFFICE SHIKA PRODUCE「さよなら鹿ハウス」は、11月8日(木)から18日(日)まで東京・座・高円寺1、11月22日(木)から25日(日)まで大阪・梅田 HEP HALLにて上演。
2018年10月26日お笑いコンビ・三四郎とタレントのYOUがパーソナリティを務めるニッポン放送『YOU&三四郎 恋愛見極め人 コレって脈あり!?』が、10月5日(毎週金曜 21:00~21:30 ※関東ローカル)よりスタートすることが明らかになった。同番組は4月30日から5月25日までの平日に毎日放送(26時10分頃~)されていた3分コラボコーナーが、好評によりレギュラー化したもの。恋愛サポートアプリ「Pairs」協力のもと、リスナーから寄せられる恋の悩みや相談に対して、三四郎とYOUがトークを交えて脈アリかどうか、判定していく。YOUは「経験と実績のニッポン放送に!ライドオン!」と喜びのコメント。三四郎の小宮浩信は「レギュラーやったー!YOUさんのおかげ!バチボコ頑張ります!」と抱負を述べ、相田周二は「ベテランの名に恥じぬよう毎週ベテランらしさを出せればと思っております!よろしくお願いします」と話した。
2018年09月22日●信じてついていきたいという思い自身の作品がベストセラーになるだけでなく、映像化により数々のヒットドラマを生み出す小説家・池井戸潤の作品が初映画化となった『空飛ぶタイヤ』(6月15日公開)。大企業のリコール隠しという重いテーマの中、こちらも”初”映画出演を果たしたのが、ジャニーズJr.のユニット・Love-tuneとして活躍する阿部顕嵐だ。主演の長瀬智也演じる赤松社長の元で働く今時の青年・門田駿一を演じた阿部。物語を前進させるキーパーソンであり、同作に出演する数少ない20代として、若者世代を代表する役どころでもある。同作で銀幕デビューを飾る阿部に、インタビューした。○先輩・長瀬に引っ張ってもらった――今回原作も読まれたということで、作品全体の印象を教えてください。作品タイトル自体は知っていたのですが、読んだことがなかったのですぐに原作を買いました。すごくスカッとしましたし、門田役としては、信じる人についていくという素晴らしさを感じました。――門田の筋が通ってるところなど、自分を重ねる部分はありましたか?誰かを信じてついていくというのは、僕個人としても重なっている部分がありました。僕はこの仕事をこの先もやり続けるつもりで、もう、この仕事以外はできないと思っています。そういった、信じて突き進んでいくところに、気持ちを重ねながら演じました。――初めての映画出演とのことですが、そうそうたる先輩に囲まれた大作というのもすごいと思います。どういうお気持ちでしたか?現場には長瀬くんをはじめとして、笹野(高史)さんや六角(精児)さん、テレビで見てきた人たちばかりだったので、緊張しました。長瀬くんや笹野さんがいる待合室に飛び込んで、多分「誰だ、こいつ」という状況だったんですけど(笑)。お二人ともすごく優しいので、花粉症の話で盛り上がったり、飴をくれたり、リラックスして楽しくお話もできました。お仕事の話も聞かせていただいて、全てが勉強になりました。長瀬くんは、これまでご挨拶をさせていただいたくらいでしたが、実際に現場でご一緒したらテレビで見る長瀬くんのままで、想像していた通りの方でした。フランクに話しかけて下さるので、現場にいる間はずっと引っ張っていただいていました。――完成披露試写会の舞台挨拶でも、長瀬さんからつっこまれたりしていましたよね。たくさんフォローしてくださって。ああいう方になりたいと思いました。舞台挨拶の裏側では少し話したくらいで、映画のことについては、ほぼほぼ話していないです。すごくフラットに他の共演者の方とも話されていて、おもしろかったです。――同じシーンが多かったのは六角精児さんだったと思いますが、現場ではどのような感じだったんですか?僕も一応、ギターをやらせてもらっているので、ギターの話で盛り上がりました。あとは、電車旅の話。趣味が仕事につながってるとおっしゃってたので、刺激を受けましたし、現場でもスマートな印象でした。――長瀬さん演じる赤松社長からクビにされながらもついて行こうとする姿が印象的でしたが、阿部さんは門田としてどのように感情を捉えていたんでしょうか?怒られる前から良くしてくださっていたという背景があったんだろうなと思ってました。そこはジャニー(喜多川)さんとかぶるところがあって、むちゃくちゃ言われても、許してしまうんです(笑)。何を言われてもついていきたいと思う部分を、重ねました。信用してた人、一番好きでずっとついてきた人に疑いをかけられると悲しいし、怒りも湧いてくると思うんですが、それ以上に許せてしまう門田は、大人だったんだなと思います。●ファンには赤松社長のような女性になってほしい!?○男女関係なく勇気付けられる――最近はジャニーズJr.さんもたくさんユニットがあって、その中でもこういう大きな作品に出ることについて、メンバーや周囲の反応はいかがでしたか?もちろん、みんな「絶対に観に行く」と言ってくれています。だからこそ、ジャニーズJr.の一員としての責任感はあります。観た方にとっては、ジャニーズJr.イコール僕ということになるわけですから、僕個人としても頑張っているけど、背負っている気持ちがあります。――読者アンケートを取ったところ、阿部顕嵐さんがかっこいいという声も多く、Love-tuneさんへの思いが20万字分くらい来ていまして。20万字ですか!? すごいな……!――そういうファンの女性の方々も観に来ると思いますが、こんな風に楽しんでもらえるんじゃないかな、というポイントを教えてください。僕のことを好きで興味を持ってくれた方も、帰るころには作品を好きになって欲しいし、作品を通して、愛されキャラとして、門田のことも好きになってくれたら嬉しいなと思います。――門田のことは愛されキャラと捉えてたんですか?その部分は、少しあるなと思っていました(笑)。女性は女性に感情移入しやすいのではないかと思うので、深田恭子さんが演じられた赤松社長の奥さんみたいに、包み込むような優しい女性になりたいなと思いながら帰っていくのかな? もしくは小池栄子さんみたいにイキイキと働く方か、どちらかに共感するのかもしれないですよね。でも年齢問わず男女関係なく、たくさんの人に、闘うということに目を向けていただけたら。作品に勇気付けられて、日常生活でも「もっと頑張ろう」と思うようになって、帰ってほしいと思います。だから……赤松社長みたいな女性になってほしいですね。――えっ!!すいません、女性じゃないから気持ちがなかなか……!(笑) 女性はどういう風に見るんだろう!? 一人一人に闘うことがあるから、男女関係なく勇気付けられたら嬉しいです!○若さゆえの感情の動きを出す――でも、阿部さんのおっしゃる通りで、きっと男女も関係なく勇気付けられるということなのかもしれませんね。初映画ということで、監督とはどのように作り上げていったのでしょうか?監督はたくさん「どう思う?」と聞いてくださって、嬉しかったですが、まだ不安になってしまう部分もありましたので、相談させてもらいながら進めました。撮影では監督が本当に何度も「もう1回」と言って撮ってくださったシーンがあるんですが、そこはすごく印象深いし、その後も「もっともっとやりたいでしょう」と言ってくださって、楽しかったです。実は、そのシーンは本編ではカットされています。カットされてるんですけど、どのシーンでも全力で撮り直してくださるんだと思って、嬉しかったです。――くじけたり凹んだりはされなかったんですか?初めての映画で、凹むのは大前提だと思っていました。その上で良いものを出したいから、撮り直しをしてくださって、嬉しかったです。それだけ、期待してくださったのだと思います。逆に「最初はどうなることかと思ったけど、今日良かったよ」と言ってくださったシーンもあって、そこも印象的でした。――舞台『何者』では主演を経験されましたが、大きな2作を通して、自分で成長したと思う点や、気づいた点などはありますか?本木監督と、『何者』の時の演出家の丸尾丸一郎さんに、共通して言われたことが一つありました。それが「若いから、技術じゃ周りに敵わない。本番でのパッションを大事にして」ということでした。年を重ねて経験を積めば技術はついていくけど、今できることはそこではないとはっきり言っていただいたことで、勇気付けられました。もちろんもっと技術的に上手くなりたいと思うけど、まだ足りない分は、少しでも若さゆえの感情の動きで出していけたらと思っています。――今回は映画『空飛ぶタイヤ』特集で、この後プロデューサーのインタビューも予定しているのですが、何か聞きたいことや言いたいことがあればぜひ。なんだろう……そうですね、「『空飛ぶタイヤ』に出るとしたら、どの役をやりたいか」です。――プロデューサーに!? 斬新ですね!聞いてみたいです(笑)■阿部顕嵐1997年8月30日生まれ、東京都出身。ジャニーズJr.内ユニット「Love-tune」のメンバーとして活動。17年10月には単独ライブ「Love-tune Live2017」を行った。ドラマ『近キョリ恋愛~Season Zero~』(14)で初主演を果たす。今作が映画初出演となる。近年は『魔女の宅急便』(17)、『何者』(17)など、舞台にも積極的に出演。
2018年06月13日漫画『家庭教師ヒットマンREBORN!』の舞台化が決定。「『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE」として、2018年9月21日(金)から10月6日(土)まで、東京・天王洲 銀河劇場と大阪・メルパルクホール大阪にて公演が行われる。原作は、『週刊少年ジャンプ』で2004年から2012年まで連載された、天野明による漫画作品。2006年から2010年までテレビ東京系列で放送されたテレビアニメのほか、ゲーム、ノベライズなど、様々なメディアミックス展開でも人気を博している。今回の舞台化に当たって演出・脚本を手掛けるのは、「老若男女の心をガツンと殴ってギュッと抱きしめる」を合言葉に、人間の愛おしさを表現する物語と役者の身体、そしてパフォーマンスに重点をおいた演出で観客を魅了する「劇団鹿殺し」代表の丸尾丸一郎。キャスト陣には、テレビアニメにおいてリボーン役の声優を務めたニーコが同役を務めるほか、ツナこと沢田綱吉役として竹中凌平が出演。物語を彩るボンゴレファミリーの面々は、獄寺隼人役の桑野晃輔、山本 武役の山本涼介、笹川了平役の上杉 輝、六道骸役の和田雅成、雲雀恭弥役の岸本勇太、ランボ役のKIMERUがそれぞれ演じる。そのほか、城島 犬役の椎名鯛造、柿本千種役の稲垣成弥、M・M役の平山りの、ランチア役の川上将大らの出演が決定している。【開催概要】「『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE」会場・公演日程:<東京>2018年9月21日(金)~30日(日) 天王洲 銀河劇場<大阪>2018年10月3日(水)~6日(土) メルパルクホール大阪原作:天野明『家庭教師ヒットマンREBORN!』(集英社 ジャンプ コミックス刊)演出・脚本:丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)キャスト:ニーコ(リボーン)、竹中凌平(沢田綱吉)、桑野晃輔(獄寺隼人)、山本涼介(山本 武)、上杉 輝(笹川了平)、和田雅成(六道骸)、岸本勇太(雲雀恭弥)、KIMERU(ランボ)ほかチケット:ローソンチケットにて発売チケット価格:プレミアムチケット 10,800円(税込)、一般 7,800円(税込)※プレミアムチケットには、公演パンフレット(販売品)とプレミアムチケット限定グッズ(非売品)が付属。<チケット販売スケジュール>・マべメン先行(抽選):6月4日(月)10:00~7月10日(火)23:59・銀河劇場先行(抽選)7月11日(水)12:00~7月19日(木)23:59TEL:03-5769-0011(平日 10:00~18:00)・オフィシャル先行(抽選) 7月20日(金)12:00~7月30日(月)23:59・プレリク先行(抽選) 7月31日(火)12:00~8月6日(月)23:59・一般発売(先着) 8月17日(金)12:00~©天野明/集英社©『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE製作委員会<公演に関する問い合わせ先>株式会社マーベラスユーザーサポートTEL:0120-577-405(土日祝日指定日除く11:00~17:00)
2018年06月07日香川県出身の画家である猪熊弦一郎の“猫”を描いた作品を集めた展覧会「猪熊弦一郎展 猫たち」が、3月20日から4月18日まで、渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムにて開催。(無断転載禁止)※クレジット付画像を使用しています猪熊は、戦前にはマティスと交流し、戦後は20年間ニューヨークを拠点に活躍、その後はハワイでも活動。百花繚乱の昭和の画壇にあって試行錯誤を繰り返しながらも、常に独自の境地を維持し、極めて個性的な作品群を残した画家。「いちどに1ダースの猫を飼っていた」ほどの無類の猫好きとして知られ、私生活でも作品のモチーフとしても猫は重要な存在だった。たくさんの猫に囲まれた暮らしのなかで、写実的なスケッチ、シンプルな線描、デフォルメした油彩画など実にさまざまな作品を描いた。本展では百数十点にのぼる作品を、作風や技法、他のモチーフとの組み合わせなど複数の視点から紹介する。また猫以外の主題の作品も加えた本展の構成は、猪熊の奥深い芸術世界に触れるきっかけとなるよう企画された。地元では親しみをこめて「いのくまさん」と呼ばれる猪熊。香川県にある丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で2015年に開催された「猫達」展は、絵画ファンのみならず、全国の猫好きの人々が訪れ話題に。本展はその展覧会をさらにパワーアップし、猫以外の主題の作品も加えた内容で開催される。(無断転載禁止)※クレジット付き画像を使用していますかつて「今まで色々と沢山描かれている猫は、どうも自分には気に入らない。それで猫の形と色を今までの人のやらないやり方で描いてみたいと思った。」(“美術の秋「赤い服と猫”報知新聞 1949年10月4日)、そして「愛しているものをよく絵にかくんです。愛しているところに美があるからなんです。」(“「歩く教室」写生会アルバム”「少年朝日」 1950年12月号)とも語った猪熊氏。モチーフとしての猫に対する客観的な視点と、友としての猫に対する敬愛の念が呼応した、彼ならではのユニークな「猫たち」を堪能してみては。なお、通常前売り券(一般/税込1,100円、大学・高校生/税込700円、中学・小学生/税込400円)と、数量限定のオリジナル缶バッジ付き前売券(一般のみ/税込1,400円)が3月19日まで販売中。【展覧会情報】「猪熊弦一郎展 猫たち」会期:2018年3月20日~4月18日会場:Bunkamura ザ・ミュージアム住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1 地下1階時間:10:00~18:00(毎週金曜、土曜は21:00まで)※入館は各閉館の30分前まで料金:一般 1,300円(1,100円)大学・高校生 900円(700円)中学・小学生 600円(400円)※( )内は前売および団体料金※団体は20名以上。電話(03-3477-9413)での予約が必要会期中無休
2018年03月07日様々な役を演じ分け、思考回路を切り替えることが多い、俳優という職業。柔軟な思考力を持つために心がけていることについて村上虹郎さんに教えてもらいました。左脳と右脳、そして直感。この3つが行動の基準です。舞台稽古に取り組んでいるときは、普段の何倍も脳を使っている、という村上虹郎さん。「セリフの意味を咀嚼し、共演者のことを考え、演出家の言葉に耳を傾け、客観的にどうしたら面白い“製品”になるか意識しながら、臨機応変に自分の役として動く。今まさに、舞台『密やかな結晶』の稽古中なのですが、スポーツよりもずっと疲れるんです。でも、そういうところが舞台の醍醐味ですし、とても楽しい。もちろん、コテンパンにされて辛いときもありますけど(笑)」悩んだり、辛いときは、自分の心に尋ねる。「感情と理論の両面から“本当はどう思っているの?”と自分に聞いてみます。両方ともが“理にかなっている”と思ったら、ストンと納得できる。頭ではわかっていても感情が整理できなければダメだし、逆もそう」感情と理論に加え、もう一つ大事なものが。「絶対的に、自分の直感を信じています。だから、左脳と右脳と心の3つが行動の判断基準になっています。このあいだ、地球外生命体について調べていて、直感に従って考え続けていたら、右目だけめっちゃ充血したんです!右脳を使いすぎたからだと言われて驚いたけど、直感型なんだなと自覚しました」村上さんの思考に影響を与えたもの【競争社会で生き抜くための方法が勉強になります】「僕の好みではないですが、今の日本は競争社会でもある。生き抜く方法を身につけることは大事だと思っています。漫画『キングダム』は、5~6割が中国の文献に基づいて描かれていることもあり、戦術的な思考が参考になります。ちなみに、僕の風呂上がりは、登場人物の秦王・えい政にそっくりです(笑)」むらかみ・にじろう1997年3月17日生まれ。現在、東京芸術劇場にて上演中の舞台『密やかな結晶』(富山、大阪、福岡公演もあり)では、“おじいさん”役を演じている。カーディガン¥24,000右手のブレスレット¥40,000(共にSURR by LAILATEL:03・5468・5966)パンツ¥27,000(WACKO MARIA/PARADISE TOKYOTEL:03・5708・5277)その他はスタイリスト私物※『anan』2018年2月14日号より。スタイリスト・松田稜平ヘア&メイク・矢口憲一(by anan編集部)
2018年02月10日「地元出身クリエイターによる地元発の舞台」として企画された第一弾公演で、関西出身の劇団鹿殺し・丸尾丸一郎と悪い芝居・山崎彬が初タッグ。上演するのは、丸尾末広の同名漫画を原作にした怪奇幻想歌劇『笑う吸血鬼』で、丸尾丸一郎が脚本を、山崎が演出を務める。公演に向けて、山崎とキャストの大原海輝、ゆうたろう、高本学に話を聞いた。怪奇幻想歌劇『笑う吸血鬼』チケット情報原作は「漫画を読んでいる感覚というより、絵画を観ているような感覚になりました」と大原が語るように、耽美かつ退廃的な世界観が魅力。謎の駱駝女から血を受けて吸血鬼となった14歳の美少年・毛利耿之助(こうのすけ)を中心に、思春期の若者たちの苦悩や葛藤が描かれる。演じる役について、耿之助役の大原は「原作を読んだときは、飄々としている男の子だなって思ったんですけど、戯曲をもとに演じていると、内で燃えるものや人間味がちゃんとあって。生きているからこその感情や心の変化をすごく感じています」と語り、8年前に失踪した姉・ミコを探し続ける橘マコト役のゆうたろうは「いじめられっ子で独りぼっちだけど、一番エネルギーを持っている子だなと思う。僕も割とひとりでいることが好きなタイプだったので、自分との共通点をつなぎつつ、マコトの大きなエネルギーを自分なりに作り上げたいですね」と意気込む。吸血鬼に憧れて放火を繰り返す辺見外男役の高本は「自分の思春期のことを思い返すと、外男の心の葛藤とかフラストレーションって共感できるんですよね。そのモヤモヤの先にある放火。外男がどう生きて、苦悩して、どんな最後になっているか、僕自身も役としても成長を見せられたら。僕が外男でよかったと思っていただけるように演じたいです」。山崎はキャストの3人とは今回が初めてだが「一日目からひとつになれるなって感覚的に思いました。みんなシャイだけど、内にはちゃんと熱いものを持ってる。それをちゃんと舞台で爆発させられる人たちだと思います」と信頼を寄せ、「原作ファンや彼らのファンはもちろん、何も知らずに来た人の心にも響く芝居にしたい。歌もダンスもあるので、エンタテインメントとして面白いものになりますし、心地いい熱さを持った作品にしたいですね。年末に観に来てくださった方に“実家に帰ればよかった”と思われないように(笑)、胸に刻むものにしたいと思います」。公演は12月28日(木)から31日(日)まで大阪ビジネスパークにて。チケット販売中。
2017年12月15日映画・舞台・ドラマと活躍中の若手俳優、村上虹郎さん。締め切りが間近! ちょっと落ち着こうってときの3曲とは?村上虹郎さんが“焦る気持ちをクールダウンする”ときに聴く3つのうたアンケートやコメントなど、期日までに提出してねとマネージャーに宿題を出されることがあります。試験勉強じゃないけれど、そういうものって気分が乗らないとできない。やらなきゃいけないのに、全然、そういうモードになれないとき、いちど自分を落ち着かせるために聴きたい曲を選んでみました。響心SoundsorChestrAは、ボーカルの総理とここ1年ほどの付き合いなのですが、急速に意気投合して一緒に旅行もしたくらいの仲(笑)。僕は、音楽ってイントロ5秒を聴けば好きな曲か苦手な曲かわかると思っていて。響心の「そうじゃないと言える生活」はまさに、出だしの5秒がガツンと響いた。王道のロックであり、バンドサウンド。歌詞もすごくいい。総理は、ミュージシャンというより思想家なんです。とても博識で、僕は“知の巨人”と呼んでいます。だから、彼の言葉にもすごく刺激を受ける。音楽は表現のための手段と言い切るだけあって、これからも激変していくバンドだと思う。同世代だし、ずっと注目していきたいし、一緒に成長していきたいと思わせてくれる表現者です。とても温かで穏やかな空気感のハンバート ハンバートの音楽も大好きです。2人の歌声が童謡のように優しいのですが、歌詞をよく聴くとすごく言葉にエッジが利いていて、キツイこととか、生きること、死ぬことみたいな人間の芯に迫ることもさらっと歌ってくれている。「ぼくのお日さま」も、言葉がうまく出せない心苦しさみたいなものを歌っている曲。2人のハモりがちょっとズレていたり、なんだか不器用な感じがかわいらしくも切なく聞こえるのがいい。野田さんの音楽は、中学生時代にRADWIMPSを父親に教えてもらって。それ以来、ずっと聴いています。illionはもうセンスの塊というか、レベル違いのかっこよさ。音の一つ一つが踊っているようなダンスミュージックで、ずっとリピートして聴いていられます。ヘッドフォンで一人、音楽を聴くことって結局、自分との対話だと思うんです。音楽を通して自分の考えや願望が溢れてくる。そのきっかけを作ってくれる音楽に、もっともっと出合いたいです。『そうじゃないと言える生活』響心SoundsorChestrAオルタナティブ新世代バンド。音源はiTunesほかで配信中。「ボーカルの総理は盟友。彼の思想は半端じゃない!」『ぼくのお日さま』ハンバート ハンバート(SPACE SHOWER MUSIC)来年、結成20周年の男女デュオ。アルバム『むかしぼくはみじめだった』に収録。「エッジの利いた言葉遣いにハッとする名曲。」『Water Lily』illion(ワーナーミュージック)RADWIMPS 野田洋次郎のソロプロジェクト。アルバム『P.Y.L[Deluxe Edition]』に収録。「音自体が踊りだすような格別な高揚感に震える!」むらかみ・にじろう1997年、東京都生まれ。2014年、主演映画『2つ目の窓』でデビュー。2018年2月2日から石原さとみ主演舞台『密やかな結晶』に出演。※『anan』2017年11月22日号より。文・梅原加奈(by anan編集部)
2017年11月18日●苦悩を身体で表現するアプローチも就職活動中の大学生たちが繰り広げる関係を、SNSなどの要素を絡めて描き、第148回直木三十五賞を受賞した朝井リョウの傑作『何者』。2016年10月には、佐藤健主演で映画化もされた同作が、11月25日より舞台で上演される。ジャニーズJr.内のユニット・Love-tuneの阿部顕嵐(あらん)が主演を務める同作は、キャストを実際に大学生に近い同年代でそろえ、新たな表現を見せるという。就職活動がひとつのフックともなっている同作は、マイナビニュースとしても気になる存在。今回は、演出を務める丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)に話を聞いた。○現代的な切り口に新たな挑戦――今回は朝井リョウさんの小説の舞台化ですが、原作についての印象はいかがでしたか?ビシバシと、物語と感情と人格が伝わってくる、すごく現代的な作品で面白かったですね。就活やSNSという部分を切り取ることで、生きるスタンスを表現できるんだ、と思って。映画版も観に行ったら満席で、若者から共感を呼んでいる作品だなと実感しましたね。――そういう「現代的な切り口」を舞台上でどう表していくのでしょうか。ふだんの舞台で映像を使ったことなかったんですが、今回は新しいことにもチャレンジしなきゃいけないと強く思いました。Twitterという現代的な感覚を、いかに舞台装置に落とし込むかという点が大きくて、これは映像を使わない手はないな、と。その上で映像だけに頼らず、様々な演出でお客さんと感情を共有できるように、原作を舞台に落とし込んでいきたいと考えています。――今回は出ている方も、もしかしたら観に来る方も作中の人物と同年代くらいなのかなと思いましたが、どうアプローチされるんですか?キャストに最初に伝えたのは「僕は演出家だけど、一方的な先生みたいなことはできないし、わからないことはキャストに聞くよ」ということでした。「君だったらどういう感情になるの?」とキャストに聞いて、一緒に作っていく感覚ですね。今の22歳の感覚なら、僕より顕嵐くんの方が絶対に知っているだろうし。――キャストから出てきたことで、はっとさせられたことなどはありましたか?例えば拓人の立ち位置についての議論や、キャラクターがどういうスタンスでいるのか、周りで起こっている出来事をどう見ているかといったことは、キャストの言葉で、はっとさせられることが多いです。特に大きかったことで言うと、舞台上では今回出てこない、烏丸銀次という役をどうするかは、話し合いを進める上で、最初に考えていたプランとは変わりました。○各キャストの印象は――今回出演される6名についてお話を伺えればと思います。二宮拓人役として主演を務める、阿部顕嵐さんについての印象はいかがですか?顕嵐くん、実は最初は心配はしていたんです。拓人の物語が一本の筋となっているので、顕嵐くんがどういう人かによって舞台が大きく変わるなと思っていて。でも、僕がイメージしていた表現ができるし、今回最後にやろうとしている、拓人の苦悩を身体で表現するということのアプローチも、できそうだと思う。だからすごく舞台『何者』の可能性が広がりました。顕嵐くんは、可能性の男だなと思っています。――阿部さんの存在が作品の可能性を広げているんですね。舞台の王道である、笑って泣いて共感して、何か新しいものを持って帰ってもらうということ、お客さんが劇場を出たときに、入る前と変わった気持ちを渡すということ。それが、顕嵐くんを通してできる気がしています。顕嵐くんは僕が行こうとしているところも理解してくれているし、顕嵐くんの行きたいところも僕は理解していて、お互いに明確に行先が見えている感じです。――続いて小早川理香役の美山加恋さん、今回は意識高い系女子ということで。お芝居の基礎ができているし、求心力がある女優さんだなと思います。あとは加恋ちゃんの新しいものを見せたいですよね。せっかく演出をさせてもらって、この舞台に出ているのであれば、なにかしら今までの加恋ちゃんにないものが、お客さんの中で作られるような部分を見せてあげたい。壊れる加恋ちゃんを見せたいなと思っています。●就活独特の強迫観念や焦りを理解してもらう○出演者に化学反応を――ちょっと斜に構えている宮本隆良役の、長妻怜央さん。阿部さんと同じユニットのメンバーなんですね。怜央くんも、本当にポテンシャルがすごいんですよ。つい見ちゃう。もちろんまだ、演技について知らないこともあるし、基礎を固めていかないといけない部分はあるんですが、怜央くんがそういう武器を持った時の強さが見えるから、少しでも高みに連れていけるような演出家になりたいなと思っています。顕嵐くんと怜央くんの同じユニットの安井(謙太郎)くんとは前に作品で一緒になったことがあるんですが、安井くんからは「うちの顕嵐と怜央がお世話になるのでよろしくお願いします」って、保護者みたいなメールがきました(笑)。――舞台経験はあまりないけど、それだけポテンシャルがあるんですね。まず、持って生まれたものがある子なんです。神様からのギフトを持っているから、まだ経験値がないだけであって、経験さえ積めば僕らでは手の届かないところに辿り着けるんじゃないかなと思います。――神谷光太郎役の鈴木勝大さんは、映画『帝一の國』などでも注目されていますね。勝ちゃんは、今回すごく頼りにしています。ガラッと場の空気を変えられる役者さんなんです。光太郎という役も実際そういうキャラクターだし、勝ちゃんが現れることによって、冷たい部屋が明るくなったり暖かくなったり、笑っちゃうような景色が見えたりする。笑える部分の雰囲気は、勝ちゃんが作ってくれますね。――それは、本人の資質も関係するものですか?ありますね。パンっと声が出て、カラッと心の状態を変えられる役者さんなんです。役者さんにもいろんなタイプがいて、徐々に変えていける人もいれば、ベタッとしたところが持ち味の人もいますが、勝ちゃんはカラッと変えていける人だと思います。――拓人から思いを寄せられる、田名部瑞月役の宮崎香蓮さんについてはいかがですか。ザッキーはすごく等身大の人、という印象です。もともとの才能よりも、努力で進んできた人だと思うんです。だから真摯に役に向き合えば、お客さんが最も感情を入れやすく、そこが武器になるはずです。ザッキーが舞台上で輝くと、お客さんはすごく勇気を持てるんじゃないかな。――サワ先輩役の小野田龍之介さんは、もうかなり経験も豊富で。もう、演出家にとって、役者というだけではなくて"参謀"みたいな感じですね。的確なことを言ってくれるし、この座組にいてくれてよかった。龍ちゃんには、みんなの声のトレーニングもやってもらっているんです。昔、鴻上(尚史)さんに「小劇場出身の役者は、無免許運転みたいなもの」と言われたことがあるんですが、僕らは演劇研修所とかでトレーニングを積んだわけじゃなくて、「アクセルふんだら進むから!」みたいな感じで公道を走っている状態(笑)。でも龍ちゃんは子どもの時からトレーニングを積んできていて、いわば免許皆伝です。だから、免許を持った参謀です。――色々なバックグラウンドの方がいる舞台ですよね。そうなんです。だから化学反応を起こさせて、強い作品をつくりあげていけたらと思います。○就職活動のリアリティも必要――「就職活動」がキーになる作品をステージ上で表すにあたって、演出でのポイントや、難しさはどのようなところですか?ショーアップされて見せる演出も考えています。しかし就活独特の強迫観念や焦り、そして同じ就活生でも色んなスタンスの人がいるという雰囲気を、6人がうまく表現していかないと、間口の狭い作品になってしまう。また、いかに就活をしたことない方にも彼らの気持ちを理解してもらうかは大きなチャレンジですね。エントリーシートとか、僕自身もものすごく悩んだ思い出があります。「自分の長所は?」とか、突きつけられるじゃないですか。人生でそういった場面は就活以外にももちろんいっぱいあるとは思いますが、多くの人にとって最初に来るものだし、日本は終身雇用みたいなイメージもあるから「今後の一生を決めるんだ」ということを思うと、震えて足がすくむ感覚です。――出てらっしゃるみなさんも、日々の選択はされていそうですよね。顕嵐くんも、タレントというのは「毎日就職活動しているようなもの」と言っていました。毎日評価を受けて、自分を良く見せることに立ち向かっているから。就活経験はなくても、あの6人の気持ちは、絶対キャスト自身も持っている感情だと思うんです。ただ、就活独特のあの雰囲気や空気感などがわかると、より舞台に重みやリアリティが出てくると思います。――拓人にとって、心の拠り所としての演劇という面があると思うのですが、丸尾さんも共感する部分はありますか?ありますね。演劇って、一月以上も役者やスタッフ、皆で作品に向き合うんで、終わった頃には家族みたいになってる。僕は劇団出身ですが、劇団なんて言いたいことを言い合う若干仲の悪い家族ですよ。今もそんな家族と演劇でご飯を食べていけたらいいなと思って、劇団を続けていますし。実は僕は就活で内定をもらってから劇団鹿殺しを旗揚げしたので、本当に就職するか悩んだんですよ。親からは「とりあえず就職してみたら。嫌だったらやめたらいいと思う。でもやらないのは食わず嫌いみたいなものだから」と言われて、旅行会社の営業部に入りました。営業自体は得意だったんですが、2年位経って、この先この仕事は僕よりも旅行に使命感を持っている人がやるべきだ、そんな自分がこのまま会社いたとしてもトップにはなれないし、僕は僕の好きな演劇に戻ろうと思って、今に至ります。――最後に、作品を観た方に、こういうことを感じてもらえるんじゃないか、という点を教えてください。役としての6人って、特別なギフトを持ってない人たちで、多くの方にとって近い存在なんです。その人たちが、結局は自分という頼りない情けない存在でも、前に進んでいくしかないと認めた時に、一つ大きな階段を昇って見える景色がかわってくる。お客さんが劇場を出たときに、身軽になって飛び立てるような舞台にしたいなと思います。
2017年11月14日昨年、佐藤健が主演を務め、菅田将暉、有村架純、二階堂ふみら豪華キャストで映画化され大ヒットとなった朝井リョウ原作「何者」の初舞台化が決定。主演を、阿部顕嵐(Love-tune/ジャニーズJr.)が務めることになった。■あらすじ二宮拓人は、就職活動を控えた御山大学社会学部の学生。同じ学部の光太郎とルームシェアをしており、光太郎はバンド活動に明け暮れているが、拓人は脚本家をしていた演劇サークル「劇団プラネット」をやめ、就職活動に専念していた。また、拓人は光太郎の元彼女・瑞月に片想いしているが、光太郎にも言えずにいる。ある日、同じアパートの真上の部屋の住人・理香と瑞月が留学仲間であること、理香は隆良と同棲していることを知る。瑞月と近づきたい拓人は、光太郎、瑞月、理香、隆良の就職活動を控えた大学生5人で、理香の部屋を「就活対策本部」として定期的に集まることに。海外ボランティアの経験、サークル活動などの切り口や、手作り名刺、SNSのツールを駆使しつつ、就職活動に励む5人。5人はそれぞれに表面は強がりながら、自分の就職活動は順調であると虚勢を張りつつ、それぞれ面接を重ねていく。ある者は就職活動をせずに独立をめざすと公言しながら、裏で面接を受けていたり、ある者はOB・OGとのつながりを強調しているものの、全く相手にされていなくて空回りしていたり…。SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする本音や自意識、それぞれの抱く思いが複雑に交錯し、人間関係は徐々に変化していく。やがて、彼らの中に“内定”を得た者が現れたとき、これまで抑えられていた本音が顕わになっていく――。■気になるキャストは?原作を手がけたのは、神木隆之介や東出昌大ら、いま大活躍中の若手キャストで映画化もされた「桐島、部活やめるってよ」で、センセーショナルなデビューを飾った若手実力派作家・朝井氏。本作「何者」では直木賞を受賞した。その初の舞台化となる本作で、いつも冷静で無口、分析能力に長け、友人からも一目置かれる大学生、主人公・二宮拓人役を演じるのは、9月3日に最終公演を終えたばかりのミュージカル「魔女の宅急便」でトンボ役を務め、その演技が高評価を受けた阿部さん。また、エントリーシートやOB訪問などの活動にも余念がなく、留学帰りであらゆることに意識が高い女子・小早川理香役には、映画『いま、会いにゆきます』、ドラマ「僕と彼女と彼女の生きる道」などで天才子役として注目を集め、現在放送中の「キラキラ☆プリキュアアラモード」ではテレビアニメ初主演も務める女優・美山加恋。理香と同棲している彼氏で、就活すること自体が格好悪いと思っており、自分はクリエイティブな活動で生きていきたいと思っている宮本隆良役には、今回、外部公演初出演となる長妻怜央(Love-tune / ジャニーズJr.)が決定。拓人とルームシェアをしている元バンドマン・神谷光太郎役には、舞台「シブヤから遠く離れて」や映画『帝一の国』などでの活躍も記憶に新しい鈴木勝大。拓人が片思いしている光太郎の元カノで、アメリカ留学経験があり、控えめでおとなしいが芯は強い性格の田名部瑞月役には、学園ドラマ「GTO」から大河ドラマ「花燃ゆ」まで幅広くこなす宮崎香蓮。さらに、拓人のサークルの先輩で理系の大学院2年生、面倒見がよく拓人が唯一本音を語れる相手でもあるサワ(沢渡)先輩役には、「パレード」「ミスサイゴン」「三銃士」などミュージカル界での活躍がめざましい小野田龍之介が決定。就職活動を通して自分が「何者」かを模索する5人の大学生たち。お互いを励まし合いながらも、友情、恋愛、裏切りといった様々な感情が交錯しながら人間としての成長していく生々しい物語が、舞台上ではどのように展開されていくのか、注目だ。■キャスト・スタッフのコメント到着■二宮拓人役:阿部顕嵐(Love-tune / ジャニーズJr.)初めての外部舞台の主演、そして「何者」の拓人役を演じると聞かされた時は、驚きと喜びが混じり合った複雑な気持ちになりました。原作「何者」を読んでみて、拓人の第一印象は余裕がなく斜に構えていてプライドが高いと感じました。拓人は大学生であり就活生。僕自身も現役大学生なので拓人と分かり合えるポイントは多々あると思います。ですからよりリアルに大学生、就活生としての心の不安などを共感して貰えるように演じたいと思っています。拓人役を他の「何者」でもなく僕が演じて良かったと言っていただける様に、拓人の人生を生きて全力で役と向き合いたいと思っています。■小早川理香役・美山加恋同世代が多いお芝居なのでどんな掛け合いや空気感になるか楽しみです。登場人物たちもちょうど同世代。私は就活はしていないのですが、きっと悩みや考え方が似ているところもあるはず。劇場でリアルなものを届けられるようじっくり稽古していきたいです。ぜひ劇場で「何者」の世界を共有していただければと思います。■宮本隆良役・長妻怜央(Love-tune / ジャニーズJr.)「何者」という作品に出演させていただけるという話を聞いた時、嬉しいと同時に注目されている作品なのですごいプレッシャーも感じました。就職活動に悩むリアルな日常の雰囲気を表現するのは難しいと思いますが、演出家さんや共演者の方々の助けを借りながら、精一杯頑張ります。僕が演じさせていただく宮本隆良という人物は、僕とは違ってハッキリ自分の考えを他人に伝える力があり、しっかり自分の理想を持っている人だなと思いました。しかし逆に、プライドが高いところは似ていると感じました。彼と僕の違う所と似ている所を研究し、自分なりの宮本隆良を演じていきたいと思います。しっかりと爪痕を残し僕の座右の銘である「常に全力投球」の言葉を忘れずに精一杯頑張っていきます。同じグループの阿部顕嵐とはライバルの気持ちでお互いを高め合っていきたいです。■神谷光太郎役・鈴木勝大神谷光太郎という人物に対して僕が思うことは、羨ましいなということです。ふわふわしているように見えて芯がある、天真爛漫なのに愛される。なんだかこいつズルいな! と感じました。でも、そんな光太郎にも夢との向き合い方の中で生まれた心の傷や闇を感じました。そこに向き合いながら光太郎が何者かを考えていければと思います。■田名部瑞月役・宮崎香蓮就活中の友人たちには、読ませられない。原作を読んだとき、そう思いました。わたしは就活を経験したことがありませんが、「自分を見つめ直すこと」をしている友人たちは本の中の登場人物たちと同様に、とても苦しそうだったからです。リアルで、怖くて、面白い、故に大好きな小説。その舞台化に携わることができて本当に嬉しいです。わたしも、自分を見つめ直し、苦しみたいと思います。是非劇場に観に来てください。■サワ先輩役・小野田龍之介「何者」舞台化に携わることが出来て光栄に思います。就活を経験した人、誰しもが「ドキッ!」とさせられる物語かと思います。映画版も舞台のように作られていたので、この作品が舞台化された時どの様になるのか楽しみです。■原作者:朝井リョウ『何者』を執筆していたころとは、作品に出てくる【就職活動】や【SNS】などのキーワードを取り巻く環境は大きく変化しています。そんな中、小説、映画、舞台と作品自体も変化できる機会に恵まれたことをとても幸せに思います。キャスト・スタッフの方々が「何者」をどのようにアップデートしてくださるのか、期待しています■演出家:丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)僕も就職活動をしたことがある。履歴書の長所を書く欄に「僕は味噌汁の味噌になれます。様々な具材をまとめあげ……」などと書いた気がする。舞台「何者」に沢山の素晴らしい具材が集まってくれた。主人公・二宮拓人を演じる阿部顕嵐さんとは初めてだが、拓人役に通じる繊細な雰囲気と内に秘めた熱い心を感じ、一緒に作り上げていく作業に今からワクワクしている。他にも、美山加恋さん、長妻怜央さん、鈴木勝大さん、宮崎香蓮さん、小野田龍之介さんと、原作にリアルな世代の力のある方々に集まっていただき、素晴らしい「何者」の味付けが出来ることを確信している。「何者」東京公演は11 月25 日(土)~12 月10 日(日)まで天王洲銀河劇場にて上演。(text:cinemacafe.net)
2017年09月11日人気深夜ラジオ『三四郎のオールナイトニッポン0(ゼロ)』パーソナリティである三四郎のお二人に、同番組の聴きどころをお聞きしました。滑舌が悪くて聞こえない?三四郎の爆笑必至の深夜ラジオ。1年で終了する番組が多い中、3年も続いている人気深夜ラジオ『三四郎のオールナイトニッポン0(ゼロ)』。中学校の同級生である三四郎が、唯一2人で喋る場所だという。小宮:3年も続いているのは、リスナーのメールの面白さに助けられてますね。金曜深夜の3時から5時まで聴いてネタを送ってくれるなんて、バグった人たちですよね。相田:なんてこと言うんだ!でも「ラジオ聴いてます」と声かけてくれる人はたいていリュックの位置が高くて、シャツインしてます(笑)。小宮:僕らをテレビで見たことがなくても、ラジオで知ってくれる人もたくさんいて、幅が広がりましたね。相田:タクシーの運転手の方が僕の声を聞いて「ラジオやってる人ですか?」って気づいてくれることもあって、それは嬉しいですね。小宮:僕のほうがテレビに出てるんで、最初は“小宮が好き”で入ってくるんです。でもラジオを聴いていたら相田を好きになる人が多くて複雑な気持ち。――ラジオでのトークのテーマは?小宮:中学生の男子が、教室の隅っこで話すような内容ですね。相田:20年くらい友達なのに、初めて知ることとかたくさんあって。小宮:相田が小さい頃にご飯にキャビアをのせて食べていたとか、8つも習い事してたとかね。でも同級生のノリで2人でダラダラ話してると、リスナーからすぐ指摘されます。リスナーは僕らのこと舐めてますから。「お前らちゃんと喋れ!」みたいな。相田:リスナーの存在はだいぶ気にしてますね。こないだゴルフクラブを買うってラジオで言っちゃったんですよ。僕リスナーに絶対に舐められたくないんで、本当に買って打ちっぱなしに行ったりして…大変です。小宮:いじられキャラじゃなかった相田を、リスナーはいじってくる。相田:テレビでは見せていないキャラクターも、ラジオでは出てきてると思います。――3年間で記憶に残ってる回は?小宮:僕が体調不良で休んだ回がありまして。相田:OA2時間前に判明して、急遽ラブレターズが来てくれて。それはそれで盛り上がっちゃって。小宮:家で聴いてて、複雑でしたね。いつもより盛り上がってるなって。――芸人として今後の展望は?小宮:「細く長く目立たないように」ですね。相田:ニッポン放送の局長に媚びを売ってるおかげで、年始の大事な特番を任せてもらえたりしたんで、これからも局長には媚びを売っていきたいと思います(笑)。――最後に、番組の聴きどころを。小宮:「時々、有名な人が来る」。小栗旬さんや、三代目J Soul Brothers山下健二郎さんとか。相田:たまに来てくれるイケメンにご期待ください!『三四郎のオールナイトニッポン0(ゼロ)』三四郎が、一週間で起こった出来事や同級生ならではの思い出話など、ここでしか聞けない爆笑必至のフリートークを展開。本編放送終了後、LINE LIVEにて10分程度の限定配信も必見。さんしろうボケ担当の相田周二(左)とツッコミ担当の小宮浩信(右)による、成城学園中学時代の同級生の漫才コンビ。ウッチャンナンチャンや出川哲朗らが在籍するマセキ芸能社所属。※『anan』2017年9月6日号より。写真・内山めぐみインタビュー、文・しらたけときお(by anan編集部)
2017年09月05日劇団鹿殺しの丸尾丸一郎と松岡充が、新たな演劇ユニットを始動。OFFICE SHIKA PRODUCE VOL.Mとして『不届者』を上演する。一見意外な組み合わせにも思えるこのふたりが、なぜ共に新作舞台を創作するまでに至ったのか、話を聞く。【チケット情報はこちら】2012年の『リンダリンダ』で俳優として共演したふたり。お互いの第一印象を訊ねると、丸尾いわく「世間一般でいうチャラ男」、一方松岡は「稽古中は演出家の、公演中は観客の求めることが手に取るように分かるズルい男」と、決していいものではなかったよう。しかし「松岡さんはすごくストイックだし、お客さんに何か残さないといけないという意識がすごく強い」、「鹿殺しの作品を観続けていくうちに、鹿殺しとは、丸尾丸一郎とはってところがブレない人だと分かってきた」と続け、徐々にお互いに対するリスペクトの度合いを高めていった様子。丸尾は『不届者』創作の原点について、「『リンダリンダ』ではすごくポジティブだった松岡さんですが、僕はその腹の底にある、何か黒い部分を描いてみたくて」と明かす。さらにそれは、残忍な一面を隠し持っていたとも言われる“徳川吉宗”を松岡が演じることで、作品としての明確な輪郭をもち始める。そんな丸尾のアイデアに対し松岡は、「鹿殺しのファンだから」と切り出し、「僕は丸尾丸一郎の描く世界観というものにグッときているひとり。しかも丸くんは、“人間”というものをちゃんと描くことが出来る稀有な存在でもある。だから不安はありません」と、丸尾に全幅の信頼を寄せる。松岡が徳川吉宗を演じるということで、江戸時代が舞台の時代劇かと思えば、決してそうではないと丸尾は言う。「ある詐欺事件と吉宗のいる江戸時代の話がシンクロしていく、そんな劇構造にしようと思っています。だから時代劇でもないですし、恐らく着物も着ない。お客さんにいろいろ想像してもらって、最後には誰もが感じる怖さや情けなさ、生きたいっていう願望なんかが残る作品になればいいなと思います」。ふたりの創作は今後も続いていくのかと問うと、「そう思わせる作品にしないといけない」と丸尾。「松岡さんはもちろん、お客さんに対しても『丸尾と組むといろんな松岡充が見られるぞ』って思わせたいなと。ある意味、松岡さんのことが嫌いな人にも観てほしいです」と笑うと、「本当は俺のこと嫌いなんちゃう?(笑)」とすかさず松岡。だがそんなツッコミも、丸尾への期待の表れなのだろう。「やるからには松岡充の、丸尾丸一郎の代表作だって言えるものじゃないと嫌だからね!」と松岡が見つめた丸尾の顔には、一瞬の不安の後に、はっきりとした自信を見てとることが出来た。OFFICE SHIKA PRODUCE VOL.M 「不届者」は9月27日(水)から10月1日(日)まで、東京・天王洲銀河劇場で上演。チケットは発売中。取材・文:野上瑠美子
2017年09月04日秋元康がプロデューサーを務め、メンバーの9割が演技経験ゼロという新劇団「4ドル50セント」が旗揚げされることになり、8月23日(水)に記者会見が行われた。秋元さんが、以前から親交のあるエイベックスの松浦勝人社長から、新たなプロジェクトの発足を依頼されたことをきっかけに動き出した今回のプロジェクト。「いままでにやってこなかったこと」として劇団プロジェクトを構想し、自らトータルプロデュースを務め、脚本には近年、高い評価を集めている「劇団 鹿殺し」の丸尾丸一郎を起用。劇団員は現時点で女性21名、男性20名の計31名。最年少メンバーは15歳で最年長は27歳。昨年秋の1か月ほどの応募期間で約5,000名の応募があり、容姿や演技力だけでなく、キャラクターなども加味しながら31名を選出した。劇団名「4ドル50セント」は、1960年代を代表する歌姫ジャニス・ジョプリンが27歳で死んだとき、傍らには赤いマールボロがあり、手には釣り銭と思われる4ドル50セントが握られていたというエピソードに由来。秋元さんは「彼女が握りしめたかったものは、もっと違ったものだったと思う」と語り、ジャニスがつかめなかった夢をつかむという思いを込めて命名した。秋元さんは、劇団による演劇という今回の企画について「いつかやってみたいと思っていた」と長い間、温めてきた企画であったと明かす。「僕にとっては原点で、AKB48も最初は劇団でやろうと思っていた。そういう意味で原点に戻りました」と語った。劇団のめざす方向性については「懐かしい、汗くさい、泥にまみれたものができたらと思っています」と語った。先述のとおり、31名の約9割が演技経験ゼロ。現役の植木屋やファストフードの店員だった者、新聞配達員などバラバラの個性が集合している。また、劇団としての活動に加え、31名の中から全8名による派生ユニットも結成されることになっており、メディア向けのPR活動を行なうほか、ボーカルダンスユニットとしてパッケージのリリース、単独ライブも予定しているという。今後、11月3日(金・祝)~5日(日)の日程で、秋元さんの原案を丸尾さんが脚本化した舞台「18クラブ」をプレ公演として青山スパイラルホールにて上演。2018年2月には新宿・紀伊国屋ホールにて旗揚げ公演が行われる予定。「クラブ18」は、ジャニス・ジョプリン、ジミ・ヘンドリクス、ジム・モリソン、エイミー・ワインハウスなど、27歳で死んだロックミュージシャンたちの総称である「クラブ27」をもじったもので、西東京市田無で夢も目標もない女子高生たちが「18クラブ」を結成するというドラマ。丸尾さんは「立ち入り禁止の田無タワーにのぼる、へんてこな物語になると思います」とその一端を明かした。今後、劇団メンバーたちは劇団での活動に加え、各人の特性に合わせて、TVや映画、バラエティなどでも活動していくことになるという。(text:cinemacafe.net)
2017年08月23日アイドルグループ・Hey! Say! JUMPの山田涼介が18日、主演映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(9月23日公開)の完成披露試写会に、西田敏行、尾野真千子、村上虹郎、寛一郎、門脇麦、林遣都、廣木隆一監督とともに登場した。原作は東野圭吾によるベストセラー作品で、全世界で累計500万部を突破、中国での映画化も決定している。かつて人々から悩み相談を受けていた「ナミヤ雑貨店」にたどり着いた青年・敦也(山田)と幼馴染の3人は、1980年とつながった郵便受けを通じて、昭和の人々の悩み相談に対し返事を書くことになる。ナミヤ雑貨店の店主・浪矢雄治を西田敏行が演じる。寛一郎は、撮影現場の雰囲気について「僕と虹郎がわちゃわちゃしているのを、優しく山田くんが見守ってる」と振り返った。山田は「暗いシーンが多かったので懐中電灯を持ってたんですけど、その懐中電灯の光をお互いの顔に当てて『ウェイ』ってやってるだけだから、見守りますよね」と苦笑。「『おおなんか、かわいいな』って。かわいかったですね」と、年上らしい様子を見せた。また、19歳から51歳を演じる尾野が「ね。19歳とかね、無理があるでしょ」と苦笑すると、山田はマイクを外して「大丈夫」と声をかける。尾野が驚いて「え!?」と聞き返すと、山田は「すごい強い目で『え?』って言われました」と笑い、尾野は「そうやっておだてられ、できました!」と報告した。門脇と林は劇中歌を歌うことになるが、林は「西田さんが『麦ちゃん、素晴らしかったね』ってずっとおっしゃっていて、僕も一応歌ってたのになって……」と切ない空気に。林は「一役者として、優しい目で見てくださいとは言いたくないですが、『売れない、芽が出ないミュージシャン』という設定なので、わかった上で見てください」と訴えかけると、西田も「そういった意味では役に忠実だったと思います」と納得していた。
2017年08月18日俳優としての一歩を踏み出してから4年──。20歳を迎えた村上虹郎に、自分に俳優は向いていると思うか?と投げかけると「ほかの仕事をしていたら…とも考えることもありますが、俳優の仕事は興味深すぎて、面白い。映画もドラマも舞台もやらせていただいて、今回の『武曲 MUKOKU』も含めて、やっぱり映画っていいなと思います」。何とも真っ直ぐな答えが返ってきた。そして「自分で作品を選びはしませんが、この作品のようにいい出会いがあります」と語るように『武曲 MUKOKU』は彼の人生の一部となり、今後の村上虹郎を語るうえで必要不可欠な1本となった。監督は熊切和嘉、主演は綾野剛。クランクイン前に熊切監督は鎌倉近郊での撮影に備え逗子に移り住み、イメージを膨らませた。綾野さんは研吾になりきるため剣道の稽古に邁進。さらに剣道家の身体を創り上げるために壮絶な肉体改造を自らに課した。そんなふうに並々ならぬ想いでこの映画に挑む監督と主演俳優に、村上さんはどう向きあったのか。演じるのは、研吾の宿命のライバルとなっていく天才剣士・融。「演じる役が難しいことも大変なこともありますが、今回の融は演じるのは大変ではなかったです。もちろん身体的なアクション部分は大変でしたが、融を生きることは僕にとってすごく楽しくて、すごく幸せな時間でした」。そう思えるのは、音楽と剣道、村上さんにとって身近なカルチャーが融のキャラクターを構築していることも大きかった。融は、ある理由から“剣を棄てた男”研吾と出会い、スポーツとしての剣道ではなく、生死をかけた決闘のような剣に魅せられていく。その感情はどうやって捉えたのだろう。「いま生きているこの時代には放射能や大気汚染、農薬などの問題があって、事故もある、自殺者も増えている。決して死は遠いものじゃないと思うんです。映画にも死を描いたものがあって、そういう映画を観ることで僕らは死を疑似体験している。でも融にとっては、何て言うか…死はもっとリアルなんです。彼にとって剣道はスポーツではなく生死をかけたものであって、精神世界での殺し合いというか…。僕も小学校から中学校にかけての数年間、剣道をやっていてスポーツとしての剣道は知っています。でも、この映画を通じて別の剣道の一面を知ることができました」。難しかったのは融が上達する前の芝居、剣道初心者の芝居をしなくてはならなかったことだ。参考にしたのは、なんと熊切監督。剣道の経験のない監督に「竹刀を振ってもらったり、蹲踞の姿勢をしてもらったりして、下手な人の動きを把握するためにいろいろお願いをしました。ふり返ると、監督にすごいことをさせてしまいました…(苦笑)」と無邪気に話すが、実は前々から「熊切監督と仕事がしたかった」のだと明かす。念願の熊切組だった。融が研吾に出会い刺激を受けたように、村上さんは熊切監督から刺激を受け取った。「どの現場でもどの役でも、芝居をしているときはその役の人生を突きつけられるし、答えを求められます。僕と熊切監督の間には(いい意味で)都合もないし、しがらみもないし、自分の信じたことを演じさせてくれる、それが素敵なんです」。また、研吾が野獣だとすると融は小さな恐竜だと2人の関係性を語る。「融から見た研吾は、得体の知れない者としての怖さがあって、何だこの人?というような普通の人にとっては出会いたくない人です。でも、刺激を求めていた融にとっては会いたかった人。関わることで自分のなかで新しい何かを見つけられるような、そういう出会いだったと思います」。研吾を演じる綾野剛との出会いからも「綾野さんの役づくりは本当にスゴい。そして美しかったです」と刺激を受けた。クライマックスに用意されている台風の夜に2人が決闘するシーンは村上さんにとってのクランクイン。さぞかし緊張したのかと思いきや「嵐のなかの決闘シーンよりもラストシーンの道場での決闘で、防具を着けるときのほうが緊張しました」と話す。村上さんが「一番好き」なシーンとして挙げるのは、嵐の決闘後に研吾と再会するシーンだ。その理由は──「なぜあそこで融は、声にならない声で“すみませんでした”と言うのか、撮影前は理由がわからなかったんです。わからないのは、僕と融が違う人間だからではなく気持ちがまだそこにたどり着いていないからで、そこまで行こう、行ってやろうと思いましたし、融として答えを見つけなくてはならなかった。その答えは言葉にするのが難しいですが、彼の成長でもあって──それまで腑に落ちなかったものが腑に落ちた、そういう演技ができました。決闘シーンも大切ですが、僕にとっては謝るシーンも大切で、好きなシーンです。完成した映画を観て、あの融の顔はいつでもできる顔じゃないって感じました」。セリフはないけれど強く訴えかけてくるものがあり、研吾と融の心の声、魂の叫びに、きっと心が震えるだろう。そんな男たちの戦いを「女性にも観てほしい」と村上さん。「剣道の世界は男っぽいかもしれないですが、人間らしさが描かれています。それぞれのキャラクターの色気、それぞれのキャラクターが貫こうとしているものを感じてほしい。とても男くさいですが、女性もきっと楽しんでもらえると思います」。男だからこそ共感できるものもあれば、女だからこそ感じるものもある──その色気、女性こそ必見。(text:Rie Shintani/photo:You Ishii)■関連作品:武曲 MUKOKU 2017年6月3日より全国にて公開(C) 2017「武曲MUKOKU」製作委員会
2017年05月30日現在の小劇場界の最先端で活躍する人気劇作家たちが集結し、小劇場の聖地・下北沢を舞台に“人生最悪の一日”をテーマに書き下ろしたパニック・コメディー作品「下北沢ダイハード」が、テレビ東京金曜深夜のドラマ24にて7月より放送されることが決定。また案内人として、下北沢とゆかりのある舞台人、古田新太と小池栄子を迎えることも分かった。本作は、毎回設定も登場人物も変わる1話完結型のコメディー・ドラマ。古田さんと小池さんが、町のうらぶれたスナックの常連客とお店のママに扮し、2人が下北沢で起きた“人生最悪の一日”を語り始めるところからドラマがスタート。「違法風俗店で警察のガサ入れにあった俳優」「SMプレイでスーツケースに全裸で入ったまま、誘拐事件に巻き込まれた政治家」など、11通りのダイハードは本人にとっては大事件なのに、傍から見ていると爆笑必至のエピソードが繰り広げられる。そんな本作の脚本を手掛けるのは、映画『夜は短し歩けよ乙女』の脚本も手掛ける上田誠をはじめ、えのもとぐりむ、喜安浩平、西条みつとし、柴幸男、根本宗子、細川徹、福原充則、松井周、丸尾丸一郎、三浦直之といった11人の劇作家。また演出は、星野源の「SUN」のMVや、「Perfume」の作品を多く手掛ける関和亮、「マキシマムザホルモン」「でんぱ組.inc」などもMVを手掛けるスミス、『傷だらけの悪魔』の監督を務めた山岸聖太が担当する。今回案内人を務めることになった古田さんは、「おいらは(下北沢には)ほぼ毎日いるからね。ロケ地が全てわかるでしょ。絶対に聖地にならない所を狙って欲しいですね」と期待を抱き、撮影での楽しみを問われると、「終わってからの飲みですかね。いい作家が集まっています。ぜひご期待ください」とコメント。また小池さんは、「チャレンジングな企画に呼んで頂けるのは興奮しますね。色の違う11本の作品の良いスパイスになれるよう頑張りたいです」と意気込み、「皆が下北沢にもっともっと興味を持ってくれるキッカケになって欲しい」とメッセージ。さらに古田さんとの共演に「夢のよう」と話す小池さんは、「番組名物になるような、楽しいかけ合いが出来たら嬉しいです」と撮影を楽しみにしているようだ。各話の出演者には一体誰がキャスティグされるのか、そちらも期待だ。「下北沢ダイハード」は7月より毎週金曜深夜0時12分~テレビ東京にて放送予定。(cinemacafe.net)
2017年05月23日日本文学の名作を人気声優が読むドラマリーディングシリーズ第2弾『三四郎/門』が11月30日(水)よりTOKYO FMホールで上演される。舞台『三四郎/門』チケット情報キャストは上演回ごとに異なり、置鮎龍太郎、岸尾だいすけ、武内駿輔、野島健児、濱野大輝、古川慎、浅倉杏美、、阿澄佳奈、石川由依、大久保瑠美、加藤英美里、下田麻美、藤田咲が出演。今年3月に上演した『それから』に続いて夏目漱石作品を取り上げる。構成・演出は映画監督として知られるが、近年は舞台演出にも意欲的な深作健太。深作は「「声」という洗練された表現力を武器として、近代の日本文学の代表作が放つ言葉の魅力を、普遍的なものとして、時代を超えてお届けしたいと願っております。このプロジェクトが、現代の新しいスタンダードとなって、末永く続くことを祈りまして」とコメントしている。チケット発売中。■『三四郎/門』回替わりキャスト11月30日(水)19:00開演…野島健児 古川慎 加藤英美里 大久保瑠美12月1日(木)13:00開演…岸尾だいすけ 濱野大輝 石川由依 大久保瑠美12月1日(木)19:00開演…岸尾だいすけ 武内駿輔 阿澄佳奈 下田麻美12月8日(木)19:00開演…岸尾だいすけ 武内駿輔 石川由依 浅倉杏美12月9日(金)19:00開演…置鮎龍太郎 古川慎 加藤英美里 藤田咲
2016年11月14日前回公演『名なしの侍』で、サンシャイン劇場進出という大きな目標を達成した劇団鹿殺し。そんな彼らが次の一手として選んだのは、2003年に上演した初期作品のリバイバル。じつはこの作品、劇団員・オレノグラフィティにとっては非常に思い出深いもの。劇団鹿殺し チケット情報「僕が劇団鹿殺しを観て“初めて衝撃を受けた作品”なんです。高校演劇仲間の繋がりで1つ前の公演も観てたんですけど、それは『やりたいことはわかるけど情熱のかけかたが間違ってる』感じで(笑)。でもこの『image~』は本当に衝撃を受けて、それがきっかけで入団を決めました」(オレノ)その作品は、彼の言葉を借りれば「今の鹿殺し作品より、お客に対して(作品が)“暴力的”で“乱暴”」。しかしそれは言い換えれば、荒削りかつプリミティブなパワーでもあったということ。そんな作品を13年を経て再び上演するにあたり、劇団が迎えたゲストは「虚構の劇団」の小沢道成。実は鹿殺しには初出演となるものの、オレノと小沢は虚構の劇団にオレノが客演したり、小沢が主宰する演劇プロジェクト「EPOCH MAN」にオレノが音楽で参加したりと、ここ数年で密に交流を重ねてきた間柄。「いつか絶対に劇団公演に出て欲しいと思っていたので。ようや実現しました」(オレノ)「(作家の)丸尾丸一郎さんも舞台で共演してるし、演出の菜月チョビさんも何度も話してるし。なんだか初めて飛び込む現場という感じではないんだけど、でも劇団での皆さんは初めて。そこはどうなるんだろう、と」(小沢)「なんかあったら言ってね。劇団での俺ら、全然違うから(笑)」(オレノ)彼らが思うお互いの共通点は「演劇が好き」ということ。「どれだけ純粋に好きか、一緒にものづくりをやってるとそれはわかるんですよね。そして僕も『演劇が好き』な人が好き。その熱意は劇団でも変わらないんじゃないかな、と思うので、そこは信頼してます」(小沢)「でも僕は同じことをミッチー(小沢)に思うんですよ。この人演劇好きだなあ、と」(オレノ)しかしながら初参加の作品が、近年の鹿殺し作品とは違った傾向ということで……。「ビジュアル撮影の時点で、こうなるとは予想もしてなかったというか(笑)。まだ稽古に入ってないというのもあるけど、まったくどういう作品になるのか想像がつかないかも。ただ、確実に自分にとって得るものは多いはずだから、そこは楽しみかなと」(小沢)「タイトルの『image』は『想像せよ』という意味。お客様のイメージと演者のイメージが合致した時に凄いものが生まれる、と、そういうメッセージが込められてます」(オレノ)鹿殺しが新たに挑む“原点回帰”、そのパワーは近年の小劇場作品では感じられない快楽を与えてくれるかもしれない。11月23日(水・祝)から東京・駅前劇場にて。チケット発売中。取材・文:川口有紀
2016年10月20日村上虹郎主演で贈る映画『二度めの夏、二度と会えない君』。この度、10月2日(日)にクランクインしたばかりの本作から、写真が初公開された。篠原智(村上虹郎)は、もう2か月も塞ぎ込んでいた。突然現れてどうしようもなく惹かれてしまった森山燐(吉田円佳)が死んだのだ。死の直前、思いを抑えきれず「好きだ」と智が告げたとき、燐が見せた苦しそうな表情が頭から離れない。幼なじみで生徒会長の菅野瑛子(加藤玲奈)の説得も全く耳に入らず、ふらふらと歩いていると、気付けば燐との思い出の場所に来ていた。そこで起こったのが“タイムリープ”。半年前の夏、燐と出会った夏に戻ってきてしまっていた。燐は「バンドやろう!」と、記憶の中と同じく積極的に智を誘ってくる。戸惑う智だったが、前と変わらぬ燐のパワーと一緒に演奏できる嬉しさに抗えず、ドラムの花京院姫子(金城茉奈)、ベースの石田六郎(山田裕貴)を巻き込み、バンド活動を始める。バンド禁止の学校で、遂には会長を味方につけるほどの活躍を見せるが、刻々とあの瞬間が近付いていた…。智がやるべきことは決まっていた。2度めの夏に、大好きな燐が最期まで笑顔でいるために。原作は、「ガガガ文庫」(小学館)が10周年企画として満を持して送り出した赤城大空の同名ライトノベル。キャストには主演の村上さんを始め、演技初挑戦となる新星・吉田円佳、「AKB48」の加藤玲奈、金城茉奈、山田裕貴ら若い才能が集結する。今回到着したのは、クランクイン日に撮影されたメインキャスト5人の集合カット。この日5人が揃ったのは、貼りだされた実力テストの結果を各々が見に行くという場面。学園を舞台にした作品でよく見られるシーンではあるが、主人公の心情が表れており本作では物語を大きく動かす重要な場面となっている。撮影時は初日らしい緊張感がありながらも、キャスト同士の会話で笑顔を見せるなど良い雰囲気。爽やかな制服姿で登場した5人は、それぞれが役柄に合わせて外見が変化。特に髪色を変更したキャストは、これまでと大きく印象が変わっており、黒髪にチェンジした加藤さん、そして原作キャラクターを尊重し思い切って髪を銀に染めた山田さんが異彩を放っている。まだまだ撮影は始まったばかりの本作。この初日の撮影シーンが、一体どのように物語に結びついていくのだろうか。『二度めの夏、二度と会えない君』は2017年秋、全国にて公開予定。(cinemacafe.net)
2016年10月05日1902年香川県高松市に生まれた画家・猪熊弦一郎。作品を通じて猪熊弦一郎とはどんな人物だったのかを知るために、猪熊の故郷香川にある「丸亀市猪熊弦一郎美術館(通称 MIMOCA、以下MIMOCA)」を訪ねた。MIMOCAを訪ねるまで、頭の中には一つの疑問があった。猪熊弦一郎のことを調べる程、その多彩な絵画様式に驚かされ、そしてまた「どれが本当の猪熊さんなのか」という疑問が沸き上がってきたのだ。もちろん、どの作品もその絵筆を持った猪熊作品に違いないのだが、時にその作品からはアンリマティスを色濃く感じ、時に作品からはピカソの面影を感じる。また、具象と抽象を行き来し、自在に色彩やフォルムを操っているようにさえ見える。さあ、猪熊はどのような生涯をアーティストとして歩んだのか、6月30日まで開催中の展示「猪熊弦一郎展「私の履歴書」前編ーー絵には勇気がいる」を同館学芸員の古野華奈子さんとともに巡りながらお届けしよう。1/2はこちらから。■幼少期から晩年まで、約2万点の猪熊作品の収蔵約2万点もの猪熊作品を所蔵するMIMOCA。猪熊が幼少期に書いた絵から、東京美術大学(現 東京藝術大学)在学時の作品も含めて、日本、フランス、ニューヨーク、ハワイなどで創作された晩年までの作品を収蔵している。それに加えて、猪熊が蒐集していた雑多なものたちも保管されており、その時々の企画に合わせてセレクトされ、彼の絵画作品と共に展示されている。MIMOCAは、まさに猪熊の生涯に渡る創作活動の軌跡を知ることが出来る場だ。■私の履歴書ーー絵には勇気がいる5月にMIMOCAを訪れた時は、1979年に日本経済新聞の連載「私の履歴書」のために猪熊が半生を綴った原稿を元に構成された企画展「猪熊弦一郎展「私の履歴書」:前編ーー絵には勇気がいる」と、猪熊が晩年描いた「顔シリーズ」が展示されていた。学芸員の古野さんと共にこの二つの展示を歩きながら彼の作品を通して猪熊と向き合ってみたい。■絵の上手な少年が画家・猪熊弦一郎になるまで「私の履歴書」を元に猪熊の半生を知る企画展は、猪熊が絵画に目覚めた幼少期の作品からスタートする。その後、現東京藝術大学に進んだ猪熊は、後に画家として活躍する同級生、小磯良平、荻須高徳、中西利雄、岡田謙三、山口長男らの洗練を受ける。同級生たちと切磋琢磨し、自分らしい作品とはと猪熊が試行錯誤を繰り返したことは、次々と作風の変わる作品からも感じ取れる。「どんな絵画表現が出来るのだろうか」と言う問いに対するその時々の猪熊の答えが作品になっているかのようだ。《題名不明》1919年《画室》1932年■マティスからの一言ーー「お前の絵はうますぎる」学生時代よりパリに行くことを熱望していた猪熊は、1938年妻・文子と共に憧れの地を踏む。そこで猪熊はマティスに絵を見てもらう機会を得るのだが、そこでマティスに「お前の絵はうますぎる」と言われる。このことを猪熊は、著書『私の履歴書』にこう記している。ーー結局、うまく描くということは人によく見てもらいたいと思うために描くことに通じている。(中略)思ったことを素直な、虚飾のない姿でカンバスにぶっつけることこそ一番大切だ。「絵がうますぎる」という先生の言葉はそんな意味だ。(中略)この言葉は私の一生を通じて、すべてのことに最も大きな教訓となっているーー■自分らしい表現を追求して猪熊と親交が深かった画家の一人に藤田嗣治がいる。藤田と猪熊は第二次世界大戦中、フランスの片田舎へ共に疎開したり、日本への引き上げ船に乗るようにと藤田が猪熊を諭したりと、まさに寝食を共にしながら過ごした友人でもあった。同企画展では、藤田独特の乳白色の地塗りのテクニックを猪熊なりに真似たような作品『レゼシーの人形のような子供』(1939)も展示されている。また、日本への最後の引き上げ船に乗る直前まで、戦火の中描き続けた作品『マドモアゼルM』(1940)。この作品はパリでの最後の作品となり、猪熊の具象作品の代表作と言われている。《マドモアゼルM》1940年3年という短いパリ滞在期間においても、猪熊の作品は次々とその様相を変えてゆく。濃密な3年間、自分らしい表現とは何かを追求する猪熊の姿を、この展示を通じて知ることができた。猪熊は制作活動を通じ、「自分の表現とは何か」「美しさとは何か」を、生涯問い続けていたのだろう。アーティスト猪熊弦一郎の生涯は、創作を通じた発見の連続だったのかもしれない。ーー私は画家になって本当に良かったと思う。(中略)毎日を喜びと感謝を持ちつつ制作を続け、ますます子供の心のように清く生き生きとそして明るく、何事によらず未知の世界に大きな驚きと興味を持ち続けて、いままでにない何かを作り上げたい念願で一杯である。ーー『私の履歴書』猪熊弦一郎著より抜粋MIMOCAでは、勇気を持って絵と向き合うことを選んだアーティスト・猪熊弦一郎の軌跡に触れることができる。瀬戸内を訪ねるのなら、ぜひ訪れたい場所の一つだ。【展覧会情報】企画展「金氏徹平のメルカトル・メンブレン」会期:7月17日から11月6日常設展「猪熊弦一郎展ニューヨークでの制作ーデザイン・壁」会期:7月17日から11月6日特別展示「ホンマタカシ《三越包装紙》」会期:7月17日から11月6日【美術館情報】丸亀市猪熊弦一郎現代美術館住所:香川県丸亀市浜町80-1(JR丸亀駅前)開館時間:10時から18時まで(入館は17時30分まで)休館日:年末(12月25日から30日)※臨時休館の場合あり
2016年06月28日瀬戸内を訪ねるにあたり、気になるアーティストがいた。1902年香川県高松市に生まれた画家・猪熊弦一郎。スキャパレリーピンクの小石が遊ぶように書かれた三越の包装紙「華ひらく」のデザインや、JR上野駅の中央改札の上に架かる壁画「自由」も広く知られる彼の作品だ。きっと誰もが、一度は猪熊の作品を目にしたことがあるだろう。今回FASHION HEADLINEでは作品を通じて猪熊弦一郎とはどんな人物だったのか知るために、彼の故郷・香川県にある「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(通称 MIMOCA、以下MIMOCA)」を訪ねた。■駅前に現代美術館を作った理由MIMOCAは、猪熊弦一郎の生前に完成した美術館だ。故に、美術館の設立を猪熊に提案した丸亀市の熱意と、猪熊本人の思いが込められた館になっている。美術館があるのは、高松駅からJR予讃線で約40分のところにあるJR丸亀駅から、徒歩1分のところ。まさに駅前美術館だ。1902年香川県高松市に生まれ、幼少期の一時期を香川県丸亀市で過ごした猪熊弦一郎。MIMOCAの設立は、丸亀市から猪熊へ「猪熊弦一郎の記念館を作りたい」という提案からはじまったという。しかし、猪熊は「私個人の記念館ではなく、世界の現代美術と触れ合える美術館にしましょう」と逆提案したのだと同館の学芸員、古野華奈子さんが教えてくれた。現代美術館にしたいと猪熊が願ったのは、自身の作品だけでなく現代の優れたアーティストや現代美術を紹介することで、何度も足を運びたくなる場所にしたいという願いから。そして、それが西洋の教会のように「訪れるとすっきりリフレッシュできるような「心の病院」のような存在でありたい」と生前猪熊は語っている。■MIMOCAの建築はMoMAも手がける建築家・谷口吉生駅からMIMOCAに向かうと、大きく広げたキャンパスのような猪熊による壁画「創造の広場」の脇に小さなドアがある。このトンネルの中に入って行くような感覚を覚えるエントランスを抜けると高さ14mにも及ぶ自然光が差し込む吹き抜けが私たちを迎えてくれる。「猪熊は小さな頃からいいもの、いい空間を体験して欲しいと願っていました」と古野さん。その願いから、今でも高校生までは無料で入館することが可能だ。猪熊は才能を見出すことにも長けていた人物。丹下健三の名建築の一つである香川県庁も、歴史を紐解けば当時の香川県知事から猪熊が県庁建築にあたり相談を受けた折に、丹下の名前を挙げたのがきっかけだという。MIMOCAの建築にあたっては、後にニューヨークのニューヨーク近代美術館(MoMA)の建築をデザインコンペで勝ち取る建築家、谷口吉生が猪熊によて選ばれた。谷口の設計による展示室の一つからは、その上部に設けられた横長の窓から丸亀の空を覗くことができる。美術館を訪れた人は、その日の空模様を感じながら作品と向き合うことができるだろう。また、展示室からカフェへと渡るガラス張りの渡り廊下からは駅前の光景を眺めることができる。「街の人々に訪れてもらえる場所に」という熱意はMIMOCAにもう一つのエントランスがあることからもよく分かる。前述の入り口の横に、建物に入らずとも上へ昇ることが可能な大階段がある。その先にあるのは、瀬戸内の海を思わせるような青の絨毯が印象的なカフェレスト MIMOCAや、猪熊の蔵書等を公開する美術図書室などの共有スペースだ。街に開かれた場所でありたいという思いが、至るところから感じられる仕掛けだ。後編は、MIMOCAの収蔵作品を通じて知る、アーティスト猪熊弦一郎が生涯求め続けた"美"について
2016年06月28日結成15周年を迎える劇団鹿殺しがこの夏、初のサンシャイン劇場に挑む公演『名なしの侍』。この出演者欄を見て、「堂島孝平」という名前に驚いた人も多いのではないだろうか?劇団鹿殺し『名無しの侍』チケット情報「僕もオファーが来て驚きました(笑)」(堂島)「サンシャイン劇場という大きな劇場で音楽劇をやるからには、しっかり歌える方をお呼びしたいな、と。探しているうちに、ふと堂島さんのお名前が挙がって。ライブを観に行って、一発で『この方と一緒にやりたい!』と思いお願いしたんです」(座長・菜月チョビ)客席の雰囲気を捉えながら行うMCの様子が、菜月いわく「演劇的だった」のだとか。そしてそのオファーを快諾した堂島も、実はここ10年劇場によく足を運んでいる“演劇好き”。「でもそれは、あくまでもいち観客だったので……まさかこうした舞台で、自分が俳優として出演するなんて考えてなかったです(笑)。しかもふたを開けてみたら15周年記念だって言うし」(堂島)「重いですよね(笑)」(菜月)「ただ最近、映画に出演させていただいたり、映像作品を作ったりと音楽以外の活動のお話をいただくこともあって。それはそれで音楽とはまた違う『新しい表現』として楽しんでいたんですよね。今回も、チョビさんと(座付き作家の)丸尾丸一郎さんが『やれます』っていうし、じゃあやりましょうと。『Yes』から入るのが仕事の基本スタンスです(笑)」劇団の名前は知っていたが、作品を観たのはオファーが来てから。初めて鹿殺しの作品を観て感じたのは “シンパシー”だったという。「ジャンルとかイメージにとらわれず、オリジナルなものを成し遂げてやろうという気概が感じられたというか…僕自身、音楽業界の中でそういう風にやってきたので」(堂島)また今作は、劇団鹿殺しにとっても久々となる時代劇作品。「私にとって時代劇は、今よりも生きている実感が強くて、熱量の高い時代の物語。夏の公演だし、日常からポンと離れた部分でお祭り気分を味わって欲しいな、と」(菜月)「僕、時代劇めちゃくちゃ好きなんで嬉しいんですよ!」(堂島)「多分、堂島さんのほうが鹿殺しメンバーより時代劇に詳しいですよ(笑)」(菜月)サンシャイン劇場は劇団鹿殺しが近年主戦場としてきた本多劇場に比べ、およそ倍のキャパシティとなる。そう、この公演は15周年にして挑む“大勝負”でもあるのだ。「勝負を打つのって、カッコイイじゃないですか。誰でもはやれない挑戦をしてくれるってのが、劇団鹿殺しらしさだな。だから応援したくなる。」(堂島)鹿殺しの作品が訴えかける“切実さ”は、いつも観客の心を揺さぶる。そんな彼らが満を持して挑む大舞台、冒険することをためらいがちなこんな時代だからこそ、その生き様をその目で見届けようではないか。公演は7月16日(土)から24日(日)まで。取材・文:川口有紀
2016年04月28日三越日本橋本店中央ホールにて3月30日から4月5日まで、三越の包装紙「華ひらく」の生みの親である猪熊弦一郎にフィーチャーした展覧会「猪熊弦一郎と『華ひらく』展」が開催される。同展示会は、猪熊弦一郎が香川県で生まれ育ったことももあり、三越伊勢丹と瀬戸内海の島々を舞台に開催される現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭 2016」とのコラボレーションの一環として開催されるもの。また3月30日からの期間は、戦後間もない1950年に猪熊弦一郎によってデザインされ、三越の顔として現代でも愛され続けているオリジナル包装紙「華ひらく」のデザインを採用した様々なアイテムが全国14店舗の三越各店で展開される(展開アイテムは各店ごとに異なる)。華ひらく柄を採用したラインアップは、廣瀬染工場による江戸小紋ストール、胸元にワンポイントとして華ひらくモチーフを採用したTシャツ、華ひらく柄のペアブリックボトルのミネラルウォーターなど。多彩な表情で暮らしの中にとけこんだ「華ひらく」をじっくりと楽しむことができる機会となっている。
2016年03月16日12月18日(金)に開幕する残酷歌劇『ライチ☆光クラブ』。原作は、古屋兎丸の同名コミック。1985、86年に上演された東京グランギニョルの演劇『ライチ光クラブ』を、その約20年後の2006年に古屋が漫画化したものだ。2012年には、コミックを原作として江本純子の演出で舞台化。チケットは即日完売、追加公演、追々加公演まで行われ、翌2013年にも再演を果たすほどの熱狂を生んだ。そして今年、演出に河原雅彦、劇作・脚本に「劇団鹿殺し」の丸尾丸一郎、パフォーマンス演出には「東京ゲゲゲイ」の牧宗孝を迎え、再び『ライチ☆光クラブ』が誕生する。残酷歌劇『ライチ☆光クラブ』チケット情報同作は、工場からの黒い煙に覆われた町、螢光町の廃墟に、学生服に身を包んだ少年たちが集う秘密基地「光クラブ」での出来事を描いた物語。彼らはある「崇高なる目的」のために“甘美なる機械(マシン)”である「ライチ」を創りあげる。醜い大人になることを拒み、永遠に美しくあることを選んだ少年たちの幼いが故の純粋で暴力的な欲望と狂気―。帝王として君臨するゼラと8人の少年たちによるグランギニョル=残酷劇を描く。稽古場を訪れたのは、開幕を11日後に控えた12月7日。まず聞こえてきたのは、ゼラを演じる中村倫也の歌声。劇中歌のレコーディングが行われていた。今作は“残酷歌劇”。前作とは異なり、歌やダンスが取り入れられた舞台だ。中村が歌う隣では、「光クラブ」のタミヤ役・玉置玲央が芝居の確認を重ねている。レコーディングが終わると、圧倒的なパフォーマンスが話題のダンスチーム「東京ゲゲゲイ」のメンバーが先導を切り、全員で洋楽にのせてストレッチを始めた。この濃厚なメンバーで作られる新たな『ライチ☆光クラブ』に期待が高まる。稽古が始まりいきなり圧倒されたのは、一幕の冒頭からみせられるダンス。ゼラへの服従を感じさせる光クラブの一糸乱れぬダンスだ。「東京ゲゲゲイ」のBOWが、女性ながらに「光クラブ」のデンタク役としてキャストを引っ張り、首や手の角度まで細かに調整していく。1回踊るごとに完成度がメキメキと上がっていく様子は見ていて気持ちがいいほどだが、最初はダンス経験があまりないキャストもいる中で9人の動きを合わせるだけでも大変だったという。パフォーマンス演出の牧は「(ダンス中の)ちょっとした表情がいい」と声をかけていた。ゼラを妄信し、彼らの正義を貫き踊る少年たちの表情は見どころだ。冒頭シーンの終わりに河原が「ここまでで(チケット代のうち)4千円分!」と言ってキャストを笑わせていた。現場からはそれを超える気合いが十分に感じられる。中村や玉置をはじめ、吉川純広や尾上寛之、池岡亮介ら注目の若手俳優が揃う本作。彼らの新たな一面が見られるはずだ。公演は12月18日(金)から27日(日)まで東京・AiiA 2.5 Theater Tokyoにて。取材・文::中川實穗
2015年12月16日多部未華子、綾野剛に松坂桃李、木村文乃、光宗薫、菅田将暉ら最旬キャストを迎え、俳優・田口トモロヲがジョージ朝倉による人気コミックスを映画化した『ピース オブ ケイク』。共感度高い“流されやすい”ヒロインを好演する多部さん、かつてないナチュラルな役柄がハマる綾野さん、そして、実は“裏の主役”との呼び声も高い初のオカマ役を演じた松坂さんなど、何かと話題のつきない本作から、キス直前シーンほか撮影秘話も含めたメイキング写真がシネマカフェに到着した。現代女性の切ない恋や仕事におけるリアルな心情を描き、20~30代の女性を中心に熱烈な支持を得ているジョージ朝倉による原作コミックが、豪華なキャストでファン待望の実写映画化となった本作。綾野さん演じる京志郎は、“ヒゲ店”(ヒゲ店長)という愛称で親しまれており、ワイルドなヒゲが特徴だが、今回到着したのは、クライマックスのキスシーン直前の多部さん&綾野さんの写真。キスシーンでは「(ヒゲのせいで)多部さんが痛いのではないか」と心配した綾野さんが、自らヒゲをモミモミ、少しでも触れたときの痛みを和らげようとした、という微笑ましいエピソードを公開直前イベントで発言していた、まさにそのシーン。写真からは、多部さん、綾野さん、そして田口監督がこの重要シーンについて話し合っている様子が伺える。ちなみに、この直後に映りこむ大量の観葉植物「クワズイモ」は、スタッフが各自家に持ち帰り、大切に育てているという。続いては、京志郎への「好き」がスタートした直後のシーンの多部さんと田口監督の写真。バイト仲間が新しい仲間・志乃(多部さん)を温かく迎え入れ歓迎会!そんな楽しい宴を堪能し、アレやコレやがあった翌朝のシーンとなり、二日酔いなのか、お茶をゴクゴク飲む志乃の姿が気持ちのいいシーンでもある。田口監督と真剣に話し合っている様子の多部さん。田口監督は、25歳の志乃の気持ちをよりリアルに表現するため、撮影当時、同じ年齢だった多部さんに、たびたび25歳の女性の心情やセリフの言い回しを相談していたらしい。また、田口監督と写るのは、「劇団鹿殺し」座長の丸尾丸一郎さん。劇中に登場する「劇団めばち娘」に演出をつけている写真だ。「劇団めばち娘」は、「ツチノコの嫁入り」という演目を披露、看板役者であるオカマの天ちゃん(松坂さん)が衝撃的&刺激的な名演を見せるシーン。この「ツチノコの嫁入り」は、「劇団鹿殺し」によって実際に舞台化されることが決定しているが、座長の丸尾さんも映画にカメオ出演。どの場面に、どんなふうに出演しているのか、要チェック。撮影期間中は、スタッフ、キャストでよく食事に行っていたという本作。今回のメイキング写真からも、とっても明るく穏やかで和やかな撮影の雰囲気が伝わってきそうだ。『ピース オブ ケイク』は新宿バルト9ほか全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ピース オブ ケイク 2015年9月5日より全国にて公開(C) 2015ジョージ朝倉/祥伝社 /「ピース オブ ケイク」製作委員会
2015年09月08日ジョージ朝倉の同名人気コミックスを原作とした田口トモロヲ監督作品『ピース オブ ケイク』。9月5日(土)より公開されるこの作品に登場する劇団「めばち娘」が、なんと実際に旗揚げされる。作・演出を手がけるのは、若手注目劇団・劇団鹿殺しの丸尾丸一郎。この“前例なき舞台化” は、映画内の劇団シーンに協力したことから始まったという。劇団めばち娘『ツチノコの嫁入り』チケット情報田口「まず、劇団というもののリアリティは映画できちんと出したかったんです。しかもその劇団『めばち娘』は、主人公の志乃がいずれ生業にしていく大切なシチュエーション。なので現在進行形で旬な劇団さんに造形を頼みたいな、と」そこで抜擢されたのが丸尾。原作に描かれている舞台シーンは断片的な場面のみなので、俳優が演技をしやすいように大まかに前後のシーンを考えて欲しい、というのが田口のオーダーだったのだが……。田口「そしたらメチャクチャたくさん書いてきたんですよ。そこまでは望んでないのに(笑)」丸尾「劇団の細かい設定まで(笑)。ジョージ先生のもともとの画と設定がすごく面白かったので、僕自身新鮮な気持ちで作業出来ましたね」しかも、そこで丸尾が出してきたストーリーが……丸尾「『ツチノコの人類に対する復讐劇』。アナルからツチノコが入って、ツチノコの思いと共鳴した人間の中に入って人間に復讐していく、という話です」田口「変でしょ?(笑)でもそこまで壮大に想像力を働かせてくれたことが嬉しかった」丸尾「すごく楽しく書けたんで、何かしらこれを舞台にできないか……と思っていたんです。そうしたらプロデューサーの方から、じゃあ公開に合わせて実際に舞台化をしませんか、というお話をいただいて」田口「これこそ奇跡の展開ですよね。もしくは無茶でしょ、と(笑)」劇団公演、プロデュース公演と立て続けに作品が続く丸尾。田口監督が言うように“旬”な若手演劇人である彼にとって、この作品は“単なる企画物”ではない。丸尾「劇団も旗揚げ10年を超えて、劇団公演でも外部作品でも“丁寧なもの”を求められることが多くなって、このへんで一度『衝動のみ』に立ち返らないといけないな、と。そういう意味では、自分の殻をこの舞台で一度壊したい。プレッシャーはもちろんありますけど、あえてそこは考えないで“ザ・アバンギャルド、ザ・バカ”に突っ走りたいなと」そう語る丸尾を見る田口監督も、なんだか楽しそうな表情だ。田口「実は映画を観て、ジョージ朝倉さんが『めばち娘』の物語をスピンオフで書いてくださったんです。映像化したものがそういう形で広がりを持ってきている、それはすごく嬉しい事で。だからこの舞台化も、若干不安はありつつも(笑)楽しみにしています」9月17日(木)から27日(日)まで東京・CBGKシブゲキ!!にて上演。チケット発売中。取材・文:川口有紀
2015年09月04日