アイドルグループ・吉本坂46が5日、東京・Zepp Hanedaで「吉本坂46 2nd&3rd Anniversary Live~冬眠~」を開催し、ライブ終了をもって“冬眠”という名の活動休止に入った。秋元康氏のプロデュースによる、乃木坂46、欅坂46(現・櫻坂46)に続く坂道シリーズとして2018年8月に結成された吉本坂46は、吉本興業グループに所属するタレント約6,000人の中から選ばれたメンバーで編成。年齢と性別もバラバラな異色の男女混合アイドルグループとして活動してきた。1500人の観客が駆け付けたこの日のライブでは、吉本坂46がこれまで発表してきた全楽曲をパフォーマンス。2月2日に発売した1stアルバム『That’s Life~それも人生じゃん~』に収録されている新曲「笑ってサヨナラ」、「永遠のゴールドラッシュ」、「誰を殴ればいい?」も初パフォーマンスした。また、坂道グループの楽曲、乃木坂46の「夏のFree&Easy」と櫻坂46の「サイレントマジョリティー」にも挑戦。ダンスを得意とするメンバーによるSuper Dance Showでは、圧巻のパフォーマンスで会場を沸かせた。アンコールでは、間奏中も「ありがとう!」を繰り返し、最後の楽曲「笑ってサヨナラ」を歌い終えると、改めて「ありがとうございました」と感謝。そして、ステージに「吉本坂46 冬眠」と書かれたセットが登場した。トレンディエンジェルの斎藤司は「こういったご時世になってコロナの被害を受けたのは我々とNiziUぐらいじゃないかと」と笑いを交えつつ、「こうやって皆さんがまた集まってくれたことに感動しました。ありがとうございました」と感謝。「今日冬眠という形で迎えますが、もっと個々が大きくなって、またいつか目覚める日を夢見ながら。またいつか集まれたらいいなと思います」と個々の成長を誓った。新型コロナウイルス感染のため欠席した次長課長・河本準一もメッセージを寄せ、「吉本坂46としては冬眠しましたが、個々の活動は止まるわけにはいきません。それぞれがレベルを上げていつでも春を迎えられるようにこれからも邁進していきます。これからもメンバー一同、前に進んでいきますので、メンバーの応援よろしくお願いします」などと思いと伝えた。○「吉本坂46 2nd&3rd Anniversary Live~冬眠~」セットリストM1 今夜はええやんM2 泣かせてくれよM3 君の唇を離さないM4 抱いてみるかい?M5 夏のFree&Easy(乃木坂46)M6 やっとここまでM7 永遠のゴールドラッシュM8 好きになってごめんなさいM9 バーボンソーダM10 誰を殴ればいい?M11 イケメン騎士団M12 サイレントマジョリティー(櫻坂46)M13 Super Dance ShowM14 どつくより笑わせろM15 現在地M16 不能ではいられないM17 やる気のない愛をThank you!M18 STRQY SHEEPEC-1 めっけもんEC-2笑ってサヨナラ
2022年02月05日自身の筋肉を使ったネタでブレイクした、お笑いタレントの、なかやまきんに君。身体作りに磨きをかけ、ボディビルダーなど活躍の場を広げています。そんな、なかやまきんに君は2021年12月31日をもって、約21年間所属していた吉本興業から円満退所したことを発表しました。2022年1月25日には、YouTubeチャンネル『ザ・きんにくTV 【The Muscle TV】』で退所の経緯などを語っています。なかやまきんに君は、引退をせずに「海外に挑戦する」「日本中の体脂肪を燃やす」という2つの夢を目指すといいます。10代の頃から夢だった海外進出を目指しつつ、YouTubeチャンネルへの反響を受けてオンラインフィットネスのプロジェクトも進めていくようです。動画内で『第2の筋肉人生』と語ったなかやまきんに君は、自身のステップアップについて次のように述べました。筋肉においても、ステップアップっていうのは大切です。毎回毎回同じ刺激を与えていましたら、筋肉というのは、そこで成長は止まってしまいます。ステップアップすること。それを私は『筋肉の扉』といっています。筋肉の扉は自分の筋肉で開くというふうにいっております。人からああだこうだいわれても、やりたくないものはなかなかできないものなんですけども、自ら開いた扉というのは、なかなか閉まることはないと思っています。ザ・きんにくTV 【The Muscle TV】ーより引用なかやまきんに君は、吉本興業からの退所をTwitterでも報告。同月26日時点で、34万件以上の『いいね』が寄せられています。皆様へご報告です。私、なかやまきんに君は約21年間お世話になりました吉本興業を退所させて頂く事になりました。吉本興業の皆様、芸人の皆様大変お世話になりました。改めまして、ありがとうございました。文字数の関係で写真を添付させて頂きましたのでご覧下さいませ。パワーなかやまきんに君 pic.twitter.com/4vwKvStfer — なかやまきんに君 (@kinnikun0917) January 25, 2022 次のステップに進んだ、なかやまきんに君には、ファンからたくさんの応援メッセージが届きました。・さらなるご活躍を陰ながら応援しています!・なかやまきんに君の筋肉ネタが大好きです。頑張ってください。・子供の頃からずっとファンです。期待しています!・今後も一緒に筋肉を磨いていきたいです。オンラインフィットネス、ぜひよろしくお願いします。また、報告の文章を読んだ人からは「『敬具』とか『草々』とかの感覚で、文末に『パワー』って添えている点に笑う」という声も。なかやまきんに君らしい報告は、人々に踏み出す勇気と笑いを届けたようです。今後の活躍も楽しみですね![文・構成/grape編集部]
2022年01月26日吉本坂46が、2022年2月5日に東京・Zepp Hanedaで開催されるアニバーサリーライブをもって“冬眠”することを発表した。吉本坂46は秋元康プロデュースにより乃木坂46・欅坂46に続く坂道シリーズとして2018年8月に結成。吉本興業グループに所属するタレント約6,000人の中から選ばれたメンバーで編成されており、年齢と性別もバラバラな異色の男女混合アイドルグループとして活動してきた。昨年10月からよしもと有楽町シアターで行ってきた「定期公演」は、1周年となる本日10月29日で幕を閉じ、そこでキャプテンである河本準一(次長課長)より冬眠がアナウンスされた。この1年、新型コロナの感染状況を見極めながら活動をしてきたものの、やはりグループの魅力は楽曲はもちろんのこと、ファンと直接触れ合う時間を大切にすること。しかしながら感染者は減少しているとはいえ、コロナ禍終息までの道筋がいまだにはっきりとは見えない状況下の中、通常の活動に戻れるようになるまでにはまだまだ先が見えないとのことで、活動を休止することとなった。また吉本坂46は新曲のリリースも予定しており、アニバーサリーライブでも披露する予定となっている。<ライブ情報>吉本坂46 アニバーサリーライブ2022年2月5日(土) Zepp Haneda※公演時間、チケット販売などの詳細は追って吉本坂46公式ホームページでご案内させていただきます。<リリース情報>吉本坂46 3rdシングル『不能ではいられない』2019年12月25日(水) リリース●映像盤(CD+DVD):税込1,900円※初回仕様限定盤【CD収録内容】1. 不能ではいられない2. STRAY SHEEP3. どつくより笑わせろ4. めっけもん5. 不能ではいられない –off vocal ver.-6. STRAY SHEEP –off vocal ver.-7. どつくより笑わせろ –off vocal ver.-8. めっけもん –off vocal ver.-【DVD収録内容】1. 「不能ではいられない」Music Video2. 「STRAY SHEEP」Music Video●通常盤A(CD):税込1,300円※初回仕様限定盤【CD収録内容】1. 不能ではいられない2. STRAY SHEEP3. どつくより笑わせろ4. 好きになってごめんなさい5. 不能ではいられない –off vocal ver.-6. STRAY SHEEP –off vocal ver.-7. どつくより笑わせろ –off vocal ver.-8. 好きになってごめんなさい –off vocal ver.-●通常盤B(CD):税込600円※RED1位記念【CD収録内容】1. 不能ではいられない2. 不能ではいられない –off vocal ver.-吉本坂46「不能ではいられない」MV『不能ではいられない』配信リンク:関連リンク吉本坂46 公式サイト:吉本坂46 YouTube:吉本坂46 公式Twitter:吉本坂46 公式Instagram:
2021年10月29日小松菜奈&宮沢氷魚の共演で、吉本ばなな著「キッチン」(新潮文庫)に収録されている同名短編小説を映画化した『ムーンライト・シャドウ』。「キッチン」は社会現象ともいえる大ヒットを博し、これまでに世界30か国以上で翻訳され、発売から33年経ったいまでも世界中の人々に愛されている。生と死や愛をモチーフに生きることの寂しさ、美しさをナチュラルに描き出す作風が特徴で、長きに渡り人々の胸を打つ作品を世に送り出してきた人気小説家・吉本ばなな。繊細かつ力強さも兼ね備えた巧みな表現力で紡ぐ登場人物の心理描写は世界中のファンを魅了し、これまで役所広司・鈴木京香・堀北真希主演の『アルゼンチンババア』(07)、安藤サクラ&井浦新共演の『白河夜船』(15)、近年では日韓合作による『デッドエンドの思い出』(19)など映像化されてきた作品も数知れず。その中でも1988年に刊行された「キッチン」は30か国以上で翻訳され、新潮社が毎年夏に行うキャンペーン「新潮文庫の100冊 2021」でプレミアムカバー版として販売されるなど、“世界の吉本ばなな”の原点として広く知られる。表題作も故・森田芳光監督『キッチン』(89)、日本・香港合作『kitchen キッチン』(97)として映画化されている。「地に足がつかない気持ちが映像によってどう表現されるのか楽しみ」そして短編小説として収録されている「ムーンライト・シャドウ」は、1987年に日本大学芸術学部長賞、1988年に泉鏡花文学賞を受賞するなど、吉本ばなな初期の名作との呼び声も高く、いまなお愛され続けている作品だ。先日、主人公・さつき役を長編映画単独初主演となる小松さん、さつきの恋人・等役を宮沢さんが務め映画化されることが発表されると、不朽の名作が時を超えて、いま最も旬な2人の共演に原作ファンの間でも大きな話題をさらった。吉本さん自身も映画化について「全編を通じて、夢なのか妄想なのかそれとも現実なのか。年齢を重ねると『人って死ぬんだな』とか、『理不尽なことも起きるんだな』とだんだんわかってくると思うのですが、そういうことを考えてもみなかった若い時期にそういうこと(大切な人との別れ)が起こってしまって、地に足がつかない気持ちが映像によってどう表現されるのか一番楽しみにしています」と期待を寄せている。マレーシアの気鋭映画監督が映像化その期待をさらに膨らませてくれるのが、本作でメガホンをとるエドモンド・ヨウ監督。『アケラットーロヒンギャの祈り』で、2017年の東京国際映画祭で最優秀監督賞を受賞という快挙を成し遂げた気鋭の映像クリエイターが、美しい世界観にグローバルな風を吹き込み、新しいカタチの日本映画を誕生させた。短編小説「ムーンライト・シャドウ」で描かれるのは恋人たちの日常に溢れる幸せな時間と、新たな一歩を踏み出そうとする前向きな気持ち。奇しくも日常を普通に過ごすことが困難であり、人との関係も希薄になりつつある現代において、さつきと等の間に確かに存在するひたむきな愛は、心の奥底に眠る大切な誰かを想う気持ちを再び温めてくれるような不思議な感覚を呼び起こさせる。刊行から33年という月日を経ても色褪せない感動を読者の心に刻む本作は、さつきの心情とリンクするかのように、少しずつ希望をもたらしそっと寄り添ってくれるだろう。『ムーンライト・シャドウ』は9月、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ムーンライト・シャドウ 2021年9月、全国にて公開予定©2021映画『ムーンライト・シャドウ』製作委員会
2021年07月19日原作・アニメ共に一大ムーブメントを起こしている「呪術廻戦」の初映画『劇場版 呪術廻戦 0』より、主人公・乙骨憂太の設定画が公開された。2018年3月から「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の芥見下々による漫画作品「呪術廻戦」。人間の負の感情から生まれる呪いと、それを呪術で祓う呪術師との闘いを描き、シリーズ累計発行部数は5000万部を突破。新たなステージとなる劇場版では、既刊単行本の中でも人気のストーリーのひとつ、「呪術廻戦」の前日譚である「呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校」(通称“0巻”)が描かれる。本作の主人公・乙骨憂太は、幼少の頃、結婚の約束を交わした幼なじみ・里香を交通事故により目の前で失い、彼女に憑りつかれてしまうキャラクター。呪いとなった里香は、乙骨の周囲の人間を傷つけてしまう。人との関わりを避け生きてきた乙骨だったが、呪術高専の教師・五条悟との出会いを機に、愛する人の呪いを解くことを誓う。今回公開されたそんな乙骨憂太のデザインは、原作者・芥見さんからの希望を反映し、芥見さんの描いたラフデザインを基にアニメスタッフが仕上げた、劇場版ならではのものとなっている。『劇場版 呪術廻戦 0』は12月24日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:劇場版 呪術廻戦 0 2021年12月24日より全国東宝系にて公開© 2021 「劇場版 呪術廻戦0」製作委員会©芥見下々/集英社
2021年06月21日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第80回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】友人のメンタルが不安定で心配です。最近、私の友人の一人が大学をやめました。その子は授業にあまり出席せず、よく「大学、つまらない」と言ってアルバイトに精を出していたので、やめると聞いた時はあまり深く考えていませんでした。ただ、久しぶりにその子の家にいくと部屋の中が半ばゴミ屋敷状態で。ゴミや衣服が床に散乱して足の踏み場はなく、生ゴミを片付けていないのか悪臭が漂っていました。何でこうなったのか聞くと、返事は「なんか、どうでもよくなっちゃって」の一言。このままでは生活できなくなるのが目に見えていましたし、私だけの手には負えないと思ったので、片づけを少しして、「絶対、親にすぐ連絡しなよ」と伝えて帰りました。会った時にはすでに鬱っぽい表情や態度だったので、すでに彼の両親や医者の助けがもっとも必要で、私にできることはあまりないかもしれません。ただ大事な友人ですので、もし何かしてあげられることがあるなら、してあげたいです。こういう時、どうやってその友人と接したらいいでしょうか。(22歳・男性・学生)【回答】たぶん、あなたがアセスメントしていらっしゃる通り、ご友人にはご両親や医者の助けが早急に必要だと思います。大事なご友人のためにできることは、一刻も早くご家族や医療・福祉につなげてさしあげることでしょう。ご友人に「親にすぐ連絡しなよ」と言ってくださったとのことですが、ご自分で連絡することができない場合もあるでしょうから、しばらくは様子を見ていく必要があると思います。大事なご友人がこういう状況になってしまっているのを目の当たりして、さぞかしご心配でしょう。特にあなたのように優しい方は、なんとかして力になりたいと四苦八苦されていらっしゃることと思います。でも、「私だけの手に負えない」とご判断なさったのは賢明でした。ここであまりにもあなたが介入しすぎると、共倒れになる危険性があるからです。そうなれば、ご友人の為にも決してよいことにはなりません。ここはひとつしっかりと線を引いて、してあげられることとしてあげられないことを分けて考えていきましょう。繰返しになりますが、今できることは、まずご両親に現状をお知らせすること。ご友人が自分ではできないようでしたら、ご友人の承諾を得て、代わりにご連絡して差し上げるのもよいかもしれません。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年06月11日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第79回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】最近、自分の将来のことをよく考えます。現在、私は55歳。結婚はしたことがなく、もちろん子どもはいません。今は実家の総菜屋を切り盛りしながら、足の不自由な父と認知症気味の母と3人で暮らしています。こんな還暦間近の私ですが、「郊外で有機栽培の野菜を育てて、それをお惣菜にして売る」という夢があります。そのために、今は野菜の育て方の勉強をしたり、新たに店を開く場所や資金繰りを考えたりしていますが、年齢を考えると今すぐにでも、本格的に動き出さなければいけない気がします。ただ、両親の介護にどうしても時間を取られてしまって……。思うように自分のやりたいことができていません。幸いにも近くに住む弟と妹が通院や介護を手伝ってくれていますが、実家にいる私の負担はどうしても大きいです。かといって両親を蔑ろにして、自分の夢ばかりに力を注ぐのは気が引けてしまいます。このまま私の将来は、目の前のことに追われて閉ざされてしまうのでしょうか。現状のやるせない状況と気持ちを打破するために何かアドバイスをいただけたら嬉しいです。(55歳・女性・自営業)【回答】夢と介護の板挟み。お読みしているだけで、胸が苦しくなってくるようです。たしかに、55歳というのは、これから動ける時間が十二分にあるわけではなく、かといってすべてを諦めるほど残りの時間が短いわけでもなく、なんとも身動きのとりづらい年齢ではあります。そこで、勝手ながら、ふたつ、チェックポイントをご提案させていただきたいと思います!チェックポイント(1)「後悔を背負う覚悟で、本当にやりたいことを選んでいるか」人は、選択肢があればあるほど迷い、あげく選んだものを手にしながら選ばなかったものに思いを馳せる生きもののようです。どのみち後悔するのであれば、せめて納得できる後悔になるよう、自分の心にとことん忠実でありましょう。チェックポイント(2)「自分が言っていることは、夢を諦めることの言い訳ではないか」人間の脳は言い訳を考えるのがとても上手で、夢を諦めることを正当化するために、いかにももっともな言い訳を作り出すのが大得意です。言い訳で自分を誤魔化していないか、確認しましょう。さて、いかがでしょう。まずは、ご自分の気持ちの、本当に本当のところを見つけてください。それが見つかれば、問題は8割解決。あとの2割で、どうやって実現するかの方法を考えるだけです。お気持ちさえ定まれば、現状を打破する方法は必ず見つかるはずです。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年06月04日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第78回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】今年で57歳となり定年も近づいてきた私ですが、長年、仕事で細かいミスを連発してしまいます。書類を作成すれば誤字脱字や記入漏れをどうしても見逃してしまい、エクセルにデータを入力すれば入力する位置がずれてしまい、私の書類やデータを基に作業する人に、毎回のことのように、迷惑をかけています。もちろん、私もミスをなくそうと、机のパソコンには「必ず確認」と書いた付箋を貼っていますし、確認する際は自作のチェックシート見ながら一つ一つ確認したり、声を出して確認するようにしています。ただ、どうしても客観的に自分の仕事をチェックすることができず、ミスを減らすことができません。幸いにも職場の周りの人は私のミスを修正したり、指摘したりしてくれるので大事に至るようなことはないのですが、迷惑をかけてばかりで本当に申し訳なく、情けない気持ちです。どうやったら自分や自分の仕事を客観的に見つめて、ミスを減らすことができるでしょうか。(57歳・男性・会社員)【回答】今年で57歳になられるのですか。まあ、私たち同い年です。奇遇ですね。そして、あなたさまのご相談を拝読していて気付きました。私たち、もうあと数年で「定年」なんて年になっているのですね。はあ〜。驚いた……。さて、「どうやったら自分や自分の仕事を客観的に見つめて、ミスを減らすことができるか」ということですね。まずは、自分の現状に甘んじることなく、さらに成長しようとしている姿勢に感動です。私たちくらいの年齢になると、良い悪いは別として、もう固まっちゃってる人が多いですものね。あなたさまは、まだまだ柔らかいわあ。素晴らしい。その柔軟さを活かして、「苦手なこと」より「得意なこと」を見るようにシフトチェンジしちゃいませんか。周りの人にミスを修正してもらいながらも、長年働いてこられているということは、小さなミスをカバーして余るなにかが、あなたさまにはあるのだと思います。だから周りの人が助けてくれるのでしょう。それは、仕事ができるとかできないとかではなくて、あなたさまが醸し出すオーラのようなものかもしれません。あの人がいると、場が落ち着くんだよね〜とかね。誰にだって凸凹があると思うんです。もう、私たちこの年ですから、凹を修正しようと躍起になって落ち込むより、客観的に見つめ直して自分の凸をしっかり自覚して、それをどんどん発揮していこうじゃありませんか!【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年05月28日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第77回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】反復性のうつ病で療養を続けています。これまでの様々な家庭や家族の諸事情から無茶な働き方をしたことが、発症の原因だと思っています。なので、治療は人生を振り返る機会かとも考え、今も続けております。ただ、ひきこもり状態が続く中では、どうしても先を明るく見ることができません。「自分の病気や生きてきた過程を通して、誰かの役に立てれば」と思えても、「やはり私なんかには無理では」とすぐに否定してしまって、葛藤の日々が続いています。こんな時、前を向くにはどうしたらよいでしょうか。(56歳・女性・無職)【回答】うつ病の治療中でいらっしゃるのですね。鬱の症状は本当に辛いと聞いています。さぞかしお辛いだろうと、案じるばかりです。さて、私たちは幼いころから、「目標を立ててそれを達成すること」を良しとして、繰り返し、繰り返し、教わってきました。目標に向かって努力して成果を手に入れれば認められ、途中で挫折すれば反省を求められ……。だから、いつの間にか、「ありのままでいる」ということができなくなってしまったようです。でも、本来、私たちはこの世に誕生したときすでに、足りないものも余るものもなく、まるっと完成しているのではないかと思うのです。看護学校で人体の仕組みについて勉強したとき、本当にそう思いました。いったいどうやって、いったい誰が、こんなすごいもの(人間の体)を作ってくれたんだろうって。だって、身体にちょこんと入っている腎臓ですら、その働きを機械で代行させようと思ったら、ちょっとした冷蔵庫くらいの大きさになってしまうんですよ。だからもう、そんな完璧な体をいただいてこの世に生まれた時点でミッション完了!!そこから続く人生に起こるあれこれは、すでにすべてを達成している上にオマケで加える彩にすぎないのではないかと思えてならないのです。「誰かの役に立ちたい」でも、「私なんかには無理」と葛藤される日々とのことですが、私のこの考え方でいけば、この世に存在しているってことだけですでに「役に立って」います。少なくとも、この体の仕組みを作ったなにかは、大満足してくれているはずです。だから、ありのままでいいんじゃないかしら。まずは、そんなふうに考え方をちょっと修正してから、次のステップに行きましょうよ!【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年05月21日吉本ばななの短編小説『ムーンライト・シャドウ』の実写化映画が2021年9月10日(金)に全国で公開。主演は、小松菜奈が務める。吉本ばなな『キッチン』収録の短編小説を映画化1989年に刊行された『キッチン』と『TUGUMI』(1989年山本周五郎賞受賞)で人気を博し、1989年の年間ベストセラーにおいて1位と2位を独占した平成最初のベストセラー作家・吉本ばなな。特に『キッチン』は世界30か国以上で翻訳され、国内外問わず多く人々から愛されている。そんな『キッチン』に収録されている短編小説『ムーンライト・シャドウ』が実写映画化。同作品は、1987年に吉本ばななが大学の卒業制作として発表し、日本大学芸術学部長賞や泉鏡花文学賞に輝いた吉本ばなな初期の名作だ。吉本自身が、「初めて他人に見せることを前提に書いた思い出深い小説」と語る作品でもあり、ファンの中では“初期の名作”と呼び声も高い。『ムーンライト・シャドウ』は、「恋人の死」という突然訪れた悲劇を中々受け入れることができない主人公・さつきの一人称の視点で描かれる。愛する人を亡くした主人公のさつきが、死者ともう一度会えるかもしれない、という不思議な現象〈月影現象〉を通して、哀しみをどう乗り越えるのかを描いた「さよなら」と「はじまり」のラブストーリーだ。主演は小松菜奈そんなさつき役を演じるのは、本作が初の長編映画単独主演となる小松菜奈だ。2014年に公開された映画『渇き。』で鮮烈な女優デビューを果たし、第44回日本アカデミー賞では、『糸』で優秀主演女優賞を受賞した小松。『ムーンライト・シャドウ』で、主人公・さつきの心の機微をどのように演じるのか期待が高まる。登場人物(キャスト)さつき:小松菜奈突然訪れる恋人の死をなかなか受け入れることができない主人公。等:宮沢氷魚さつきの恋人。全てを包み込むような優しさを持つ一方、ふといつのまにか、その場からいなくなってしまうような儚さが漂う。さつきと幸せな時間を過ごすが、突然帰らぬ人に。演じるのは「MEN’S NON-NO」専属モデルとして活躍するかたわら、初主演映画『his』や舞台「ピサロ」で俳優としても注目を集める宮沢氷魚。柊(ひいらぎ):佐藤緋美等の弟。兄の等と自身の恋人・ゆみこを同時に亡くし、兄の恋人=さつきとともに、ともに深い哀しみに打ちひしがれながらも、少しずつ“生きていく”という日常を取りもどしていく。亡くなった恋人・ゆみこのセーラー服を着て日々を過ごし何かを感じようとする、原作でも非常にインパクトのあるキャラクター。麗(うらら):臼田あさ美〈月影現象〉へさつきと柊を次第に導いていく、不思議な女性。原作ファンが注目するキャラクターの一人。ゆみこ:中原ナナ柊の亡くなった恋人。蛍:吉倉あおいさつきの親友。充:中野誠也さつきや柊と麗を巡り合わせる人物。原作にはないオリジナルのキャラクター。監督にエドモンド・ヨウ監督を務めるのは、マレーシア人映画監督 エドモンド・ヨウ。2017年の東京国際映画祭では、『アケラットーロヒンギャの祈り』で東南アジア初となる最優秀監督賞を受賞した気鋭の映画監督だ。『ムーンライト・シャドウ』では、原作への尊敬と愛情を抱きながら、幻想的で詩情豊かな物語に新しい生命を吹き込む。エドモンド監督のこだわりが垣間見える、鮮やかなセットデザインにも注目。さつきの部屋のセットについては巨匠ペドロ・アルモドバルからインスピレーションを得たと明かしており、作品全体の映像のカラーはクシシュトフ・キェシロフスキやルカ・グァダニーノの作品から影響を受けているという。小袋成彬がコラボレーションソングに映画『ムーンライト・シャドウ』のコラボレーションソングに、小袋成彬の「Parallax」が決定。小袋成彬は、宇多田ヒカルをプロデューサーに迎え、アルバム『分離派の夏』 でメジャーデビューしたアーティストで、「Parallax」は2nd アルバム「Piercing」以来1年9か月振りとなる新曲だ。作品詳細映画『ムーンライト・シャドウ』公開時期:2021年9月10日(金)原作:「ムーンライト・シャドウ」吉本ばなな(新潮社刊「キッチン」収録作品)出演:小松菜奈、宮沢氷魚、佐藤緋美、中原ナナ、吉倉あおい、中野誠也、臼田あさ美監督:エドモンド・ヨウ脚本:高橋知由配給宣伝:SDP、エレファントハウス<『ムーンライト・シャドウ』あらすじ>さつき(小松菜奈)と等(宮沢氷魚)は、鈴の音に導かれるように、長い橋の下に広がる河原で出会った。恋に落ち、付き合うまでに時間はかからなかった。等には3つ下の弟・柊(佐藤緋美)がいて、柊にはゆみこという恋人(中原ナナ)がいた。初めて4 人で会ったときから意気投合し、自然と一緒に過ごす時間が増えていく。食事をしたり、ゲームをしたり、ゆみこが気になっているという〈月影現象〉について「もしも現実に月影現象が起きたら、誰に一番会いたいか?」を語りあったり。何気ないけれど穏やかで幸せな日々が過ぎていくなかで、別れは前触れもなくやってきた。等とゆみこが死んだ──。深い哀しみに打ちひしがれるさつきと柊。愛する人を亡くした現実を受け止めきれず、ショックで食べることも忘れ、ひたすら走るさつき。そんなさつきを心配しながら、ゆみこの制服を着て何かを感じようとする柊。それぞれの方法で哀しみと向きあおうとしていた。ある日、2人は不思議な女性・麗(臼田あさ美)と出会い、少しずつ“生きていく”という日常を取りもどしていく。そして、以前みんなで語り合った〈月影現象〉に導かれていく。もう一度、会いたい、会いに来てほしい──。その現象とは、満月の夜の終わりに死者ともう一度会えるかもしれない、という不思議な現象だった……。
2021年05月15日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第76回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】同じ町内会に所属する年上の人たちの態度に辟易しています。私が所属する町内会は10世帯ほどの集まりで、私も含めて8割以上が高齢世帯です。こぢんまりとした会ですが、毎年春先になると、誰が役員になるかで大揉めを起こします。これまでは、それでもみんな、嫌々ながらも公平に、順番で受け持つようにしていました。ただ最近、私よりも年上の人たちが、自分の番になっても頑なに役員をやろうとしなくなったんです。もちろん、年とともに億劫になる気持ちは分かります。でも、「こういうのは若い者に任せればいい」とか、「どうしてもやれというなら町内会を抜ける」とか、受けたくないがために、言いたい放題で協力するそぶりも見せないのはどうかと思います。こういうお年寄りを動かすことはできるのでしょうか。もしできるならどうやって接すればよいのでしょうか。(61歳・女性・会社員)【回答】人間関係ほど面倒なものはないですね。町内会でのご苦労、本当にお疲れさまです。あなたさまよりも年上の方々というと、70代のみなさまでしょうか。町内会役員の就任拒否。人生の残り時間を考えると、役員の仕事なんかにかかずり合っている余裕はないといったところでしょうか。もしくは、寄る年波には勝てずにいらっしゃるのかもしれませんね。いずれにしても、「こういうお年寄りを動かすことはできるのでしょうか」、できません。そもそも、私たちに他人さまを自分の思い通りに動かす力は備わっていないのです。120%無理です。なので、アプローチを変えて考えてみましょう。まずは、町内会とは、なんぞや。そもそも、必要な組織なのか。10世帯がかわりばんこに役員を押し付け合って、毎年大揉めを起こしながら嫌々でも継続しなければならないほどの機能を持った組織ですか?もし、そうであるなら、日常生活に必須の組織ですから、より若い者に運営を任せるのが得策でしょう。もし、そうでないなら、毎年恒例のストレスにさらされながら無理して関わり合っている必要はありません。即刻脱会してさっぱりしましょう。「そうはいかないから、困っているんです」と言うあなたさまの声が聞こえてくるようです。そうですよね。そうなんですよ。はたから見るとものすごく単純なからくりなのですが、渦中にいる者にとってはにっちもさっちもいかない状況に見えるのが、人間関係なのです。なぜか。そこに情(感情)がからまってくるからです。「私だってやったんだから、あの人もやるべき」とか、「自分ばっかりラクしようとしてるんだわ、そうはさせないから」とかね。いったん情を捨てて考えてごらんになることをおすすめしたいと思います。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年05月14日吉本ばななの初期の名作『ムーンライト・シャドウ』が小松菜奈主演、エドモンド・ヨウ監督で映画化、今秋に公開されることが分かった。吉本ばななは、1989年の著書『TUGUMI』(1989年・山本周五郎賞受賞)と『キッチン』で年間ベストセラーの1位と2位を独占、平成最初のベストセラー作家となった。それ以後も多くの人気作品を発表、美しく詩的な文章とその独特な世界観で、日本のみならず海外のファンも多い。その中でも特に『キッチン』は世界30か国以上で翻訳され、発売から30年以上経った今でも世界中の人々に愛されている。この中に収録されている短編小説が『ムーンライト・シャドウ』だ。この作品は1987年に吉本ばななが大学の卒業制作として発表し、日本大学芸術学部長賞を受賞、そして翌1988年に泉鏡花文学賞も受賞したもの。吉本自身も「初めて他人に見せることを前提に書いた思い出深い小説」と語り、手に取った者を物語の圧倒的パワーで強烈に引き寄せて心を揺さぶり、胸を熱くし、ファンの中では初期の名作との呼び声も高い。物語は突然訪れる恋人の死をなかなか受け入れることができない、さつきの一人称の視点で描かれる。今回の映画化に当たり、その主人公を演じたのは長編映画単独主演となる女優・小松菜奈だ。2014年に公開された映画『渇き。』で鮮烈な女優デビューを果たし、それ以降も話題作に多数出演。第44回日本アカデミー賞では、映画『糸』で優秀主演女優賞を受賞するなど人気実力ともにトップを誇る。原作で描かれた主人公の心の機微をどう演じるのだろうか。メガホンを取ったのがエドモンド・ヨウ監督だ。彼が撮影した映画作品は、世界中の重要な国際映画祭で上映されており、国際的に高く評価されているマレーシア人映画監督のひとりである。2017年の東京国際映画祭では、『アケラットーロヒンギャの祈り』で東南アジア初となる最優秀監督賞受賞の栄誉に輝く。原作への尊敬と愛情を抱きながら、幻想的で詩情豊かな物語を描くその手腕で新境地へと挑戦してくれるはずだ。このコラボレーションがどの様な作品を生み出すのか、続報に期待したい。<吉本ばなな:コメント>『ムーンライト・シャドウ』は、私がちょうど小松さんと同じ年齢の頃の24歳くらいに、初めて他人に見せることを前提に書いた思い出深い小説です。主人公のさつきを小松さんが演じると聞いて、そのときの気持ちに作品を生まれ変わらせてくれるんじゃないかと、そんな気がしました。小松さんは、ものすごく旬でパワフルな方という印象でしたが、このお話の中にある“暗さ”のようなものも彼女の中に感じられるので、すごくぴったりだと思いました。今回手掛けるエドモンド監督の作品にある、ちょっとだけ日常からふわっと浮いている感覚が、人を亡くした時の人の気持ちとすごく似ていると思います。全編を通じて、夢なのか妄想なのかそれとも現実なのか。この小説の大切なところは、「人が死んでしまう」ということ。若くて美しくて順風満帆で、何も陰りのなかった人が、突然「別れ」というものに晒された時にどうにもしようがない期間があり、地に足がつかない気持ちを時間が立ち直らせてくれる。生身の人間が演じることで映像によってどう表現されるのか、自分が描いていなかった部分がふと出てくることがいっぱいありそうな気がしていて、私も楽しみにしています。もしかしたらこの小説は全部妄想なのかもしれない。小説だとちょっと浮いている感じを行間で表すしかありませんが、映像になると目に見えて現れる。でも現実ではない。そういう表現を、エドモンド監督は得意なんじゃないかなと思います。今、特にこの時代だからこそ、急にびっくりするようなことが起こるというのは、誰にでも起こり得ることだと思います。美しい映像を味わう気分で観ていたとしても、心の中に何かがだんだん食い込んでくるような映画になる予感がしています。できれば大きい画面で観て欲しいなと思います。<小松菜奈:コメント>吉本ばななさんの『キッチン』はもちろん知っていたのですが、今回『ムーンライト・シャドウ』のお話をいただいて、改めて原作を読むきっかけとなりました。「さっきまで目の前にいた人が急にいなくなってしまう」でも周りの日常は何も変わらない。どれだけ自分や誰かを責めても二度と戻る事ができない…その時から時は止まってしまうのだろう。走り出したり、止まったり、ぽつぽつと歩く。その繰り返しの日々の中で登場人物が何かを抱き締めながらも、哀しみ・喪失感・絶望・孤独それだけじゃない、乗り越えようとする人間のエネルギーみたいなものを吉本ばななさんの生み出す1つ1つの魅力的な言葉から感じました。いつか人生で経験する「死」、このようなカタチで再び本を開くきっかけとなってよかったと思います。主人公のさつきは普通の子だからこそ難しい部分もありましたが模索していく中で、さつきと同じ感情になった瞬間は嘘がないような気がしました。撮影中はエドモンド監督の描きたいシーンについて、みんなが監督を信頼しているからこそ、私たち役者の感情を大事にしていただき、スタッフさんのアイデアや意見も取り入れて、最終的に一つになるという現場でした。今回、監督とご一緒できて、また一つ私の新しい扉を開けていただいたと思います。自分でもどんな風に完成しているのか未知の世界で、こんなに想像がつかない作品は初めてかもしれません。だからこそ作品の完成がとても楽しみです。是非、皆さんも楽しみにしていただけたら嬉しいなと思います。<エドモンド・ヨウ監督:コメント>いちばん最初に原作を読んだのは2006年のことです。シンプルな構成と短い物語であるにも関わらず、『ムーンライト・シャドウ』を読んだ記憶は10年以上経った今でも色褪せず、鮮明に残っています。当時、私は20代初めで、登場人物達や、作者である吉本さんが執筆された年齢と同世代だったのです。その時揺さぶられた感情はとても力強いものでした。言わば、ちょうど良い年齢の時にこの本を読んだのです。その2年後、大好きな日本映画や日本文学の影響で、早稲田大学で修士号を専攻する事になり、その頃撮った短編は、ほとんど日本の偉大な小説作品から影響を受けて作ったものです。映画化のお話を頂いた時、私の旅が原点に戻ったような気持ちでした。吉本さんの文章の普遍性やエモーションをスクリーンに投影する素晴らしい機会を嬉しく思いました。『ムーンライト・シャドウ』のさつきは、その後吉本さんが生み出した、多くの登場人物の原型だったのではないかと思っています。そのほとんどのキャラクターにさつきの姿を見出すことが出来ます。このさつきを演じるのは、小松菜奈さんしか考えられませんでした。彼女なしでは映画化は不可能でした。演技をするのではなく、小松さんはさつきになったのです。監督の私にとっては、このようなコラボレーションは本当に幸福で豊かな体験でした。シーンの1つ、ショットの1つを撮るたびに、期待に胸を膨らませて小松さんのお芝居を見守っていました。それは非常に有機的なプロセスでした。彼女はキャラクターについての新たな秘密を打ち明け、あたかもその魂が垣間見えるように、一瞬にして喜びと悲しみの閃光を放つのです。現在のような世界的規模のパンデミックのさなかに、この作品を皆さんに送り届けることが出来て本当に光栄です。コロナ禍における撮影は非常に困難でしたが、スタッフやキャスト、私のムーンライトファミリー全員が、この映画に魂とハートを注いでくれました。このような困難な時期にあっても、愛する映画のためにやり遂げたことは驚くべき事だと思います。息もつく間もありませんでしたが、私にはそのすべてが幸福な時でした。『ムーンライト・シャドウ』今秋より公開
2021年05月12日社会現象ともいえる大ヒットを記録した吉本ばななの名作「キッチン」に収録されている「ムーンライト・シャドウ」が映画化、この秋公開されることが決定した。主演は小松菜奈が務める。1988年の泉鏡花文学賞、1989年の山本周五郎賞など、多数の受賞歴をもつ吉本さん。「TUGUMI」と「キッチン」は1989年の年間ベストセラーの1位と2位を独占し、両作共に映画化されている。また「キッチン」は日本だけでなく、世界30か国以上で翻訳され、発売から30年以上経ったいまでも世界中の人々に愛されている。そして今回映画化される「ムーンライト・シャドウ」は、「キッチン」に収録されている短編小説で、1987年に吉本さんが大学の卒業制作として発表し、日本大学芸術学部長賞を受賞、そして翌1988年に泉鏡花文学賞も受賞した作品。吉本さん自身も「初めて他人に見せることを前提に書いた思い出深い小説」と語り、深く心に刻まれるその存在は、ファンの中では初期の名作との呼び声も高い。それを今回、初の長編映画単独主演となる小松さんを迎え、映像化。本作は、突然訪れる恋人の死をなかなか受け入れることができない、主人公・さつきの一人称の視点で描かれるが、そのさつき役を小松さんが演じる。映画化にあたり、吉本さんは「小松さんは、ものすごく旬でパワフルな方という印象でしたが、このお話の中にある“暗さ”のようなものも彼女の中に感じられるので、すごくぴったりだと思いました」と話し、「この小説の大切なところは、『人が死んでしまう』ということ。若くて美しくて順風満帆で、何も陰りのなかった人が、突然『別れ』というものに晒された時にどうにもしようがない期間があり、地に足がつかない気持ちを時間が立ち直らせてくれる。生身の人間が演じることで映像によってどう表現されるのか、自分が描いていなかった部分がふと出てくることがいっぱいありそうな気がしていて、私も楽しみにしています」と期待。さらに「今、特にこの時代だからこそ、急にびっくりするようなことが起こるというのは、誰にでも起こり得ることだと思います。美しい映像を味わう気分で観ていたとしても、心の中に何かがだんだん食い込んでくるような映画になる予感がしています。できれば大きい画面で観て欲しいなと思います」とコメントしている。2014年に公開された『渇き。』で女優デビューし、『近キョリ恋愛』『溺れるナイフ』『恋は雨上がりのように』などに出演、『糸』では第44回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞した小松さん。今回改めて原作を読んだそうで「『さっきまで目の前にいた人が急にいなくなってしまう』でも周りの日常は何も変わらない。どれだけ自分や誰かを責めても二度と戻る事ができない…その時から時は止まってしまうのだろう。走り出したり、止まったり、ぽつぽつと歩く。その繰り返しの日々の中で登場人物が何かを抱き締めながらも、哀しみ・喪失感・絶望・孤独それだけじゃない、乗り越えようとする人間のエネルギーみたいなものを吉本ばななさんの生み出す一つ一つの魅力的な言葉から感じました。いつか人生で経験する『死』、このようなカタチで再び本を開くきっかけとなってよかったと思います」と感想を述べ、「自分でもどんな風に完成しているのか未知の世界で、こんなに想像がつかない作品は初めてかもしれません。だからこそ作品の完成がとても楽しみです」と撮影をふり返って語った。本作の監督を務めるのは、国際的に高く評価されているマレーシア人映画監督のひとり、『アケラットーロヒンギャの祈り』を手掛けたエドモンド・ヨウ。さつき役は小松さんしか考えられなかったという監督は「彼女なしでは『ムーンライト・シャドウ』の映画化は不可能でした。演技をするのではなく、小松さんはさつきになったのです。監督の私にとっては、このようなコラボレーションは本当に幸福で豊かな体験でした。シーンの一つ、ショットの一つを撮るたびに、期待に胸を膨らませて小松さんのお芝居を見守っていました。それは非常に有機的なプロセスでした」と思いを明かしている。『ムーンライト・シャドウ』は秋、公開予定。(cinemacafe.net)■関連作品:ムーンライト・シャドウ 2021年秋、全国にて公開予定©2021映画『ムーンライト・シャドウ』製作委員会
2021年05月12日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第75回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】今年は修士2年の私にとって就活の年です。今は就職試験に向けて毎日、机に張り付いて勉強しています。希望の就職先はコロナ禍もあってか今年は倍率が高く、受からなかった場合は就職浪人して、もう一度だけ試験を受けようと考えています。ただ、周囲を見渡すと学生なのは、もう自分しか残っていなくて……このまま進んでいいのか不安になります。学部を卒業した友人はすでに私よりも1年以上社会人としての経験を積んでいます。高校卒業と同時に就職した友人にいたっては、社会人経験5年以上で、子どもを授かった人もいて、私よりはるかに人生経験豊かです。そうした中、客観的な視点で俯瞰してみると、私は周囲から置いて行かれているようにしか見えません。この不安を拭い去って覚悟を決めるにはどうしたらいいのでしょうか。(24歳・女性・学生)【回答】就活ですか。新型コロナウィルスに翻弄される昨今の状況下では、さぞ大変でしょう。お察しいたします。現在は修士課程に在籍中でいらっしゃるのですね。修士では何を研究なさったのですか。研究はうまくいったでしょうか。手ごたえを感じられる修士論文は書けましたか。さて、学部卒業生や高校卒業と同時に就職された方々と比べて焦っていらっしゃるようですけれど、そもそも、あなたとその方々とは目指すところが違っているのですから比べる必要はまったくありません。あなたは極めたい学問があって、大学に残ったのですものね。あなたよりも早く社会に出ることを選んだ方々とは、歩いている道が違うのです。あなただって、カエルとハトを比べたりはしないでしょう?とはいえ、不安が拭い去れずにいらっしゃるのですから、なんとかしなくては!ご参考になればと願いつつ、ひとつの考え方をご紹介しようと思います。「自分を顧みるとき、『can』で考えずに『state』で考える」です。あなたの場合で言えば、“社会人経験がない”“人生経験を積んでいない”“子どももいない”と「できる」「できない」で考えるのではなく、“もっと勉強したいと思って修士に進学した”“就職浪人してもチャレンジしようとしている”自分の今の姿勢をよしと考えるのです。「できる」「できない」はその姿勢の先にくっついてくるだけのものです。しかも、その結果に対する善し悪しの評価は、時代や文化や人によって変わってしまうあやふやなものです。だから、今在る自分の姿勢をきっちり評価してください。なあに、ちょっと考え方を変えればいいだけです。大丈夫、頑張って!【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年05月07日女優の吉本実憂が1日、SNSを通じ、4月30日に芸能事務所・オスカープロモーションを退社したと発表した。吉本は、振り袖の後ろ姿を捉えた写真と共に、「2021年4月30日を持ちまして、約9年お世話になった事務所オスカープロモーションを退社致しました」と報告。「色んなノウハウを教えて下さった事務所の方々に、とても感謝しております」と同事務所への思いを記した。そして、「自分の中で1つの節目をつくると同時に、改めていつも応援して下さってる方々のありがたみも感じています! ありがとうございます」と周囲の支えを噛み締め、「素敵な作品をつくり続けられるように今後とも精進して参りますのでよろしくお願い致します!」と決意を新たにしている。2012年、第13回全日本国民的美少女コンテストにてグランプリを受賞し、芸能界入り。2014年に読売テレビ・日本テレビ系の『獣医さん、事件ですよ』で女優デビューを飾り、同年の大河ドラマ『軍師官兵衛』にも抜てきされた。昨年末の晴れ着撮影会では、2020年を「充実していたようなしてなかったような色でいうと“グレー”な1年だった。だけど黒と白の2色だけでつくられたグレーではなく、たっっっくさんの色が混ざり合ってのグレー」と振り返り、2021年に向けて「土台は、芝居、アクション。共にリアルを追求する。あと、洋服、メイク、ネイルが好きなのでファッションに関わることもやっていきたい。広く深く重く、色んなものを表現し、届けられるような人になる」と意気込んでいた。
2021年05月01日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第74回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】最近、亡くなった父と話がしたいと思うことが多くなりました。子どもの頃、私は父と仲が良く、学校や友達、進路のことまで日常のあれこれを父に話していました。父からのアドバイスはどれも参考になり、振り返ると、そのときの心の支えであったとも思います。しかし、大学進学や就職をする中で、それまで聞かされていた父の話が、必ずしも正しい内容でなかったり、偏見のある内容であることに気づいて。父から心が離れ、それから相談したり腹を割って話したりすることもなく、父は亡くなってしまいました。それから3年。一転して、父ならどうアドバイスするだろう、自分の気持ちを聞いてほしい、と思うことが増え、大人になってから父と素直に接することができなかったことに後悔するようになりました。父なき今、どうすることもできないことは分かっています。ただ、このやるせない気持ちと折り合いをつける方法はないものでしょうか。(58歳・女性・主婦)【回答】私も、去年の春に父を送りました。だからと言うわけではないのですが、あなたさまの寂しさ、後悔、なんとも言えないやるせないお気持ちが我がことに重なり、沁みてきました。本当に、この寂しさたるや、どんな言葉を使ってもあらわしきれないものがありますね。私たちはそれがあまりに苦しいので、少しでも楽になる「折り合いをつける方法」を探してしまいますが、私は、そんなのないと思っているんですよ。もう二度と会えない人を思い出し、あれこれ考えてしまうことは、たしかにどうしようもなく辛いです。考えれば考えるほど会いたくなるのに、会いたくなった端からもう二度と会えないという現実を突きつけられる。でも、それが故人を「悼む」ということなのではないかと思うようになりました。「悼む」というのは、なにも死を悲しみ嘆くばかりではありません。その人の残した言葉を思い出し、その人の一瞬一瞬の表情を懐かしみ、その人の生きてきた時間を丸ごと慈しむ。その人がここに存在していたということを、決して忘れないでいつづける。それが「悼む」ということだと思います。だから私たちは、積極的に悼んでいるのです。あなたさまが覚えていなくて、誰があなたさましか知らないお父さまを覚えているでしょう。いつまでも忘れず、繰り返し想うこと。それが残された私たちにできることなのではないでしょうか。そしていつか、私たちも誰かに悼まれる時が来るのです。すべては回り、巡り、流れていきます。それを止めることは、誰にもできない。「折り合いをつける方法」を探して、もがき苦しむより、流れに身をまかせてみようではありませんか。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年04月30日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第73回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】一昨年に定年を迎え、同じ会社でそのまま嘱託で働いています。仕事内容は定年前と同じで、社内の様々なデータを分析し、レポートをまとめることです。嘱託になる前は、そのときの上司に「役立っているよ」と言ってもらえたこともあり、少しは自分が会社にいる価値はあるのかな、と思えていました。でも、最近、レポートを渡しても反応が全く返ってこなくて……。本当に役に立っているのか心配でたまりません。改善した方が良いところを聞いても返事はなく、自分に作業依頼する人も減ってきたように思います。自分の作る資料に不足があるのか、自分には頼みにくいのか、そもそも資料は必要ないのか。考えれば考えるほど、嘱託という立場もあってか、自分の会社での存在価値に自信がなくなります。職場にもう私の居場所はないのでしょうか。(62歳・女性・会社員)【回答】悩ましいご状況ですね。さぞかし、日々鬱々したご気分でおられることだろうと心配です。定年前同様にさまざまなデータを分析し、まとめていらっしゃるお仕事に対して、最近周りの反応が思わしくないと。それで自分の存在価値に自信がなくなり、居場所まで危ういと。では、ここに1本の大樹があると想像してください。天高く伸び、大きく枝を張った大樹です。その大樹の周りには、幾人もの人が小屋をつくって住み着いていました。住人Aは常々こう言っています。「この大樹のおかげで私たちは強い日差しをよけて快適に生活できるのだ」。しかし、住人Bはこう言います。「本当に迷惑な大樹だ。こいつがあるせいで私の畑に日が当たらない」。そして、住人Cは「え、大樹なんてあったかい?魚釣りが本業の私には、あってもなくても関係ないね」と言っています。そんなさまざまな声を聞きながら、今日も大樹はすっくと天に向かって伸び、しっかりと大地に根を張っています。粛々と水を吸い上げ、葉を茂らせ、二酸化炭素を吸って、酸素を放出しています。さあ、大樹の存在価値を決めるのは、Aさん?Bさん?それとも、Cさん?みんな自分の都合で勝手なことを言っているように見えるのですが、それらの言葉を鵜呑みにして大丈夫でしょうか。仏教的な考え方の中に、「直観」を真実とするという考え方があります。「直観」とは、自分の身体もってして知ることで、数値・言葉・道具・計算などに寄らず、どんな理由をつけても変わらない真実だそうです。つまり、「もう私の居場所はないのか」との問いに答えがあるとしたら、「自分が自分の身体でどう感じているか」がすべてだということです。ぜひ今一度すべての雑音を排除して、ご自分の奥にあるシンプルな「感覚」を見直してごらんになってみてください。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年04月23日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第72回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】1月に夫をがんで亡くしました。本人が望んでいた通りの在宅での看取り。希望を叶えられたのはよかったと思っているのですが、それでも他にもっと何かしてあげられることがあったのではとの後悔もあり、まだまだ気持ちの整理はついていません。そんな中、同居する娘(次女)の振る舞いが気持ちの余裕をどんどん奪ってきます。娘は強迫性障害がひどく、一日に何度もシャワーを浴びないと、落ち着いていることができません。それを責めるべきではないとわかっていますが、一緒に暮らしていると、どうしても目についてしまいます。また、平気で嘘をつくことも多々あり、それがさらに私の心を苛立たせます。ただでさえ、悲しく辛いときに苛立たせる娘の振る舞い。気持ちを整えるにはどうしたらいいでしょうか。(61歳・女性・主婦)【回答】夫さまを看取られたとのこと。大仕事をなさいましたね。まだまだ日も浅いですから、お気持ちが千々に乱れることもおありでしょう。無理もありません。私たちには“時間薬”という強い味方がついていてくれますが、気持ちが整ってくるまでには、2年くらいの月日が必要と気長にかまえていてくださった方がよいように思います。大切な人を失った悲しみを癒すには、そのくらいの時間をかける必要があるということです。そんな中にあって、娘さんの行動がいちいち目についてしまうというのも、これまた無理もないこと。私たちは、それぞれに“許容のコップ”を持っていて、それには上限があると思うのです。心身ともに快調で、物事も万事うまくいっているような時には、コップの容量に余裕があります。だから少々のことは、大目に見られるのです。でも、身体の調子が悪い時や、今回のように大切な人を看取られたばかりなどという時には、コップは既にいっぱいいっぱいです。そうなれば、ちょっとの刺激で、たとえ普段は気にならないようなことであったとしても、コップは溢れ出してしまうでしょう。娘さんが悪いわけでも、ましてやあなたが悪いわけでもない。今、そういう状況にあるというだけです。一番手っ取り早い対策は、コップを溢れさせる原因から物理的距離を置くということです。今回の場合で言えば、娘さんとの距離をとるということですね。でも、一緒に暮らしていらっしゃるのですから、物理的な距離を置くことはそう簡単ではないでしょう。わかります。では、せめて、心の距離はとってみようではありませんか。「どうしても目に付く」という状況になったとき、私たちはそれをコントロール不能な状況と考えがちですが、「どうしても目に付く」のではなく「自分が積極的に見てしまっている」のだ、ということが案外あるのです。つまり、自分が見ているのですから、事象の軸は自分にあり、コントロール可能だということです。ぜひそこに気づいていただきたい。自分の心を守るバリアをしっかりイメージしていただいて、3回に1回でいいので、娘さんの行動から目を離してみてください。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年04月16日吉本興業ホールディングスは13日、中国での事業を推進するため、中国・上海に新会社を設立したことを発表した。新会社では、両国の人材発掘育成を図るためのオーディション番組制作と、中国市場における日本の農水産品・物産品の販路拡大と地方経済活性化のためのライブコマース事業を皮切りに、現地パートナーとともに各種共同事業を立ち上げていく。なお、新会社は2021年3月に設立、吉本興業ホールディングスが100%株式を保有する全額出資子会社となる。各事業については詳細が決まり次第、発表する。
2021年04月13日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第71回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】長い間、夫との不仲で苦しんでいますが、離婚出来ませんでした。子育てや仕事で考えないようにしてきましたが、今は、リタイアして毎日、夫と二人暮らしです。夫は、いわゆる古い男尊女卑の考えが根強くあり、何度も話し合いましたが、折り合いはつかず、もう40年以上我慢しています。これからの人生考えると本当に真っ暗で出家したいとも考えます。どうにか心穏やかに生きる道はないのでしようか。(69歳・女性・無職)【回答】40年以上も我慢を続けてこられたのですね。なんと大変な人生を送ってこられたことか、拝読しながら胸が痛みました。これからを考えると真っ暗ですか。困りましたね。なんとか心穏やかに生きる道はないか、お探しになるのも無理はないと思います。離婚したいと思いつつ、そうはできない理由がおありだったのでしょう。煮え湯を飲むような思いも、きっとなさったことでしょう。でも、結局、離婚しないでここまでやってこられた。人生100年とはいえ、もう半分以上も我慢で過ぎてしまったのですから、もうそろそろご自分の思い通りに行動したとて、罰は当たらないと思いますがいかがでしょう。とはいえ、思い通りにできないから困ってしまう。夫と離れて暮らしたいけれど、経済的に立ち行かないということもあるでしょう。夫とは離れたいけれど、子供や孫とは離れたくないということもあるでしょう。すべてが自分の思い通りにはいかないのが世の常です。おのずと、塩梅を見て折り合いをつけるということになりますね。夫さまと折り合いをつけろというのではありませんよ、自分が自分と折り合いをつけるということです。自分が自分と折り合いをつけるには、覚悟が必要です。「これでいいんだ」「どんなことがあってもこうしよう」と腹をくくる覚悟です。私たちは道に行き詰まるとすべてを他人のせいにしてあきらめてしまうクセがあるようですが、そこから先の道がどうなるかは、実のところ自分の覚悟ひとつなのです。やるかやらないかを決める覚悟。決めた道が大失敗であったとしても責任を持つ覚悟。日々明るく幸せに過ごしてやる!という覚悟。その覚悟さえしっかりしていれば、道はおのずと開けて行くような気がします。「これからの人生真っ暗だから出家したい」のではなく「もっと自分を高めたいから出家したい」とのご覚悟でしたら、いつでもご相談くださいね。心から応援させていただきますから。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年04月09日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第70回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】「親の老い」がなかなか受け入れられません。母はこれまで記憶の衰えなど感じさせず、元気に生活をしていました。ただ、90歳を過ぎてから急に物忘れが増え、危なっかしい行動を何度もするように。母も自分に老いが迫っているのを感じているのか、何か失敗するたびに落ち込んで泣いています。私は母が落ち込んだ時は、「こんな元気な90歳、周りにいないよ!」と元気づけ、毎回、失敗しないようにどうするかを伝えるようにしています。母もそのときは「わかった」と答えてくれます。ただ、何度言ってもやることはなく、同じことの繰り返しで、もう小さい子どもに接している気分です。こういうのが「老いる」ということかもしれませんが、それがやるせなくて仕方がありません。親の老いをスッと受け入れる方法はあるのでしょうか。【回答】時に厳しく、時に優しく、なんでも知っていて頼りになり、いつでも守ってくれたお母さん。いついつまでも、あの頃のお母さんのままでいて欲しい。本当にそうですね。私も、そう思います。物忘れが増え、危なっかしく行動する親の姿をスッと受け入れることは、なかなかできません。なぜ、親の老いを受け入れることは、こんなにも難しいのでしょう。思うに、親の老いた姿の先に、無意識のうちに、自分の老いを見ているからではないでしょうか。私たちは、いずれ誰もが老いて死にます。きっとどなたさまも「そんなことあたりまえじゃないか」とおっしゃるでしょう。でも、実際にその老いや死を、自分のこととして腹に落としているかというと、そうではないようなのです。だってみなさんその時になると「まさかこうなるとは!」とおっしゃるのですから。つまり、日頃私たちは「老い」や「死」を封印して過ごしているのです。でも、親の老いた姿を見ることでその封印が破られ、人間が根本的に抱えている「なんで人は老いるんだろう」「なんで人は死ぬのに生まれてくるんだろう」という思い(これをスピリチュアルペインと言います)に気づかされてしまうから、心がザワつくのではないでしょうか。となりますと、スッと受け入れる方法は、おいそれとはありません。あえてご提案するとすれば、「なんで?」ではなく、「こういうもんなんだ」と思うようにすること。考えてもどうしようもないことを、どうしようもないままにしておく胆力を持つことなのです。やるせなくなってきたら、無理をしてでも「こういうもんなんだ」と声に出して言ってみてください。少しは心のザワザワが、静まるかもしれません。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年04月02日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第69回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】22歳になる娘は高校生のときに、友人関係に悩んで不登校になりました。病院に通い、担任の先生とも相談を重ねながら、当時はなんとか高校を卒業し、地元の私立大学に入学。私は大学に入れば、環境も友達も変わり、少しずつ変わっていけるかと思いました。しかし、状況はなかなか改善しませんでした。娘は家族と普通に会話しますし、一緒なら外出もできます。ただ、大学に行ったり、就職活動することはできません。私たちも病院に連れていく以外、見守ることしかできていません。私たち親が死んだときに一人っ子の娘はひとりで生きていけるのか。先の見えない悩みが頭から離れません。(50歳・女性・会社員)【回答】ご心配ですね。ご心労いかばかりか。大切なひとり娘さんですもの、目の中に入れても痛くないほど可愛がり、愛情を注いでいらっしゃることでしょう。ましてや、娘さんは人間関係の禍に巻き込まれた被害者でいらっしゃる。なんとお可哀想なことか。「私たち親が死んだとき、娘がひとりで生きていけるか」とのご心配も、痛いほどわかります。でも、お二人がいなくなったら、娘さんは、きっとひとりで生きてゆけますよ。見守ることしかできないとおっしゃっておいでですが、日々の食事はどうしていらっしゃいますか。掃除洗濯は?入浴や空調、なんだかんだと光熱費もかかるでしょう?想像いたしますに、すべて問題なく整えて差し上げていらっしゃるのではないでしょうか。娘さんにとって、お家は極めて安全な「繭」ですね。そこに潜り込んでいれば、お父さんお母さんに可哀想だとかばってもらえ、たっぷりと愛情を注いでもらえ、何不自由なく暮らしていけるのです。そんな「繭」から、どうして出るものですか。そうなれば娘さんは、無意識のうちに「繭」に居続ける理由を積極的につくります。だから、状況は改善するわけがありません。そして、あなたさまは、「繭」に籠り続ける娘さんを心配しつつも、娘さんが「繭」に居続けてくれていることに、心のどこかでほっとなさっている……。現在の困った状況は、同時に、安定した状況でもあるという、絶妙なバランスを保っているのではないでしょうか。ごめんなさい。あくまでも数行のご相談の文章から、勝手に想像したに過ぎません。どうかお気を悪くしないでくださいね。もうすぐ春です。良い気候になりますから、思い切って窓を開けて外の空気を入れましょう。膠着して澱んだ気を換えなければ変化は始まりません。明るい明日が、待っていますように。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年03月26日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第68回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】義母のお金の管理に困っています。私たちと一緒に暮らす義母は年金をお小遣いにしています。義母のお金なので、その使い道を私たちが口出しすることはないのですが、お金の管理はとても杜撰で……。しょっちゅう「お金がなくなった」と言って家中を探し回るんです。私もそれにつきあうことになるのですが、ほとんどはいつもの場所にしまわなかったり、置き場所を変えたりといった甘い管理が原因。毎回同じことの繰り返しで、最近は「今日もかぁ」と辟易しています。ただ、義母は他人にお金を管理されるのがどうしても嫌なようで、私たちが話を持ち掛けても断固として拒否します。こういった時、義母も私たちも納得できる折り合いのつけ方はあるのでしょうか(58歳・女性・主婦)。【回答】お金の問題って、厄介ですよね。義理のご関係だとなおさらでしょう。ところで、ご相談を拝読して、私、看護師なものですから、ちょっと心配になったのは認知症のことです。お義母さま、そのへんは大丈夫そうですか。お金の管理が甘いとか杜撰だとかの問題ではなく、認知機能がうまく働いていないという場合にもこういったことがよく起こります。お金に関していえば、「お財布の中が小銭だらけ」などというのも要注意現象。端数に合わせて小銭を出すことがうまくできなくなり、ついついお札で支払ってしまうので、お財布の中に釣銭の小銭ばかりがたまってしまうという現象です。「しょっちゅう家中を探し回る」ことに加えて、そういったこともあるようなら、すこし注意して見てさしあげたほうがよろしいかもしれません。あらあら、老婆心、大変失礼いたしました。さて、お義母さまも、ご家族さまも、双方が納得できる折り合いのつけ方、ですね。う〜ん。お金を置く場所を決めてつくったところで、そこに置かないから探し回ることになっているのですものね。それはダメ。かといって、こちらが管理するというのもお気に召さない。どうしたものでしょう。医療・介護の現場では、こういった場合、「注意する側」と「注意される側」、「管理する側」と「管理される側」といった対立にならないように、チームとなる働きかけを試みることがあります。いうなれば、お義母さまの「お金管理チーム」の設立ですね。一緒に困って、一緒に考えて、一緒に管理するというスタンスです。きれい事ですまないのは重々承知しておりますが、ご参考までに。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年03月19日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第67回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】転職に踏み切れないでいます。私は今の会社に勤めて5年目。1年前には営業部への異動がありました。ただ、この部署が万年人手不足の状態で、給料は変わらないのに残業ばかりが増えています。会社もそれは認識しており、上からは「そろそろ補充する」とは聞かされるのですが、2年間で2人がやめているのにも関わらず、一向に新しい人が入ってくる気配はなく……。このままなら転職したいと考えています。一方で、会社には私を会社に誘ってくれた恩人がおり、新人の頃には期待して海外研修も1年間行かせてくれるなど、とてもお世話になっているので、裏切るような形になってしまうと思うと、どうしても一歩踏み切れないでもいます。こんな時、恩人の方との関係を保ちながら、最後の一歩を踏み出す方法はあるのでしょうか(28歳・男性・会社員)。【回答】ありません。あっちもこっちもまるく収まる方法なんて、そうそうありませんよ。私たちには、知らず知らずのうちに天秤にかけて判断していることが、なんと多いことでしょう。たとえば、スーパーに行って果物を選ぶ。リンゴとミカン。どちらがフレッシュか。コスパがいいか。甘そうか。目的地まで行く交通手段を選ぶ。電車とバス。どちらが空いているか。時間がかからないか。安いか。そんなふうに、さまざまなことを天秤にかけて判断しているのです。だから得意なはずなのですけれど、ときどき進むに進めず引くに引けずという膠着状態になってしまうのはなぜでしょうか。そんなときはたいてい、天秤にのせるものを間違っているような気がします。天秤にかけて比べることが可能なのは、あくまでも同質のものです。つまり、リンゴとミカンなら天秤にのせて比較検討することができますけれど、リンゴと電車を天秤にのせて「どっちがいいか」と考えても決められないってことです。そうしてみると、「給料が変わらないのに残業ばかり」「人員の補充がない」という労働環境と、「海外研修に行かせてもらった」という恩師への御恩は、同時に天秤にのせても比べることのできない異質のものでしょう。だから、にっちもさっちもいかなくなっているのではないでしょうか。天秤の片方に「恩」をのせたとき、もう片方にのるのは「義理」では?恩師に今の状況とあなたの考えを真摯にお話しさせていただいて、義理を通しましょう。そして、労働環境については、他社と比較して検討されてはいかがでしょうか。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年03月12日吉本興業は9日、お笑いコンビ・極楽とんぼの加藤浩次とのエージェント契約を3月末で終了すると発表した。公式サイトには、「タレント加藤浩次は当社とエージェント契約を締結したうえで芸能活動を行っておりましたが、双方の協議の結果、同契約の期間満了により2021年3月31日(水)をもってエージェント契約を終了することになりましたのでご報告します」。また、「当社としましては、加藤浩次の新しい環境での活躍を応援してまいる所存です」とし、「ファンの皆様、関係各位におかれましては、引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます」と呼びかけている。
2021年03月09日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第66回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】最近、友人が自暴自棄になっていて心配です。彼女は昨年、休学をして1年ほどヨーロッパのある国に留学する予定だったのですが、コロナ禍でそれが急遽中止に。突然、目標を失ってしまい、無気力な生活が続いていたようです。その影響か、久しぶりに連絡を取ると、「大学院にいる意味も見いだせないからやめようと思っている」と相談してきました。すでに退学用の書類も揃えており、彼女は退学する気満々なのですが、就職先などは決まっておらず、やめてすることもあまり考えていないようで……。コロナ禍で求人も少なくなっている中、私はできれば辞めてほしくないと思っています。こういう時、どういう言葉を友人にかけるのが正解なのでしょうか(23歳・女性・学生)。【回答】ほっておいておやりなさいな。正解の言葉なんてないですよ。それより、なんであなたは「辞めてほしくない」と思うのかしら?世の中すっかり変わりましたから、大学院出の学歴があっても、仕事にありつけるとは限りません。私が大学生だった40年前には、そりゃまだ「三高(高学歴・高収入・高身長)」なんてのがもてはやされていましたから、大学院出という学歴は役に立ったかもしれませんが、今は違うでしょう?大学院は、学問を追究し研究を重ねて極めたいことがある探求者が行くところで、その情熱を失った者がいても時間とお金の無駄使いというデメリットしかありません。「就職先も決まっておらず、大学院をやめてすることも考えていない……」大いにけっこう。鬱々と意味を見出せない大学院に居続けるより、なにがあるかわからない大海原に漕ぎ出したほうがよっぽどいいと思います。己のことを思い返すと、23歳くらいの時って、なんだかあらかた人生が決まってしまったような気分になっていたように思います。あなたはそんなことないですか?ところがどっこい、人生はそのあとに逆転、逆転、大逆転です。無限の可能性が待っています。これ、本当よ。だから、ちっちゃくならずに、どどーんと大きくかまえていて欲しい。人生ね、コロナ禍に限らず、いろんなことがあるものです。いちいち自暴自棄になっているヒマなんてない。彼女もいつか必ずそのことに気づくはず。友人としてできることは、その彼女の底力を信じること。信じ切ること。どこまでも彼女の選択をリスペクトすること。安っぽい言葉をかけるよりずっと覚悟のいることだから、頑張って!【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年03月05日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第65回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】“元父親”のこれからの世話をどうするか悩んでいます。父は15年以上前に母と離婚していて、すでに還暦を迎えました。離婚後はずっと一人で生活しているようで、今後、新たなパートナーと一緒になる雰囲気もありません。私は離婚してからも父と定期的に会っており、嫌いなわけではないので、今の姿を見ていると「父はこれから孤独な生活を送るのではないか」と心配になります。一方、だからといって私が今後の父の世話を見ると、父ばかりが苦労せずに甘い蜜ばかりを吸い、今まで私と妹を一人で育てた母が損しているようで、母にとても申し訳ない気もして……。まだ先の話ではあるのですが、どういう選択肢を取ればいいのか答えが見つかりません。そもそも、父と母、両者が納得できる方法はあるのでしょうか。(27歳・男性・会社員)【回答】子としてのお立場、そしてご心情、伝わってくるものがあります。まだまだお若いのに、ここまで考えが及んでいらして敬服いたしました。立派にお育ちになりましたね。さて、最初に思いましたことは、「離婚は親の問題、親の身勝手」ということです。もちろんご両親さまにもやむにやまれぬ理由があってのことだったとは思いますが、離婚はやはり親の都合です。子どもは言わばまき込まれてしまっただけ。だから、「今まで私と妹を一人で育てた母が損しているようで、母にとても申し訳ない」と気に病む必要はまったくないと思うのです。そこまであなたが責任を負う必要はありません。どんなことでもそうですが、「これからどうしようか」と考えるとき、まず主軸になるのは「自分はどうしたいのか」でしょう。自分の気持ち。自分の希望。自分の願い。それ以外にしっかりとした原動力となり得るものはないのです。無理や我慢をして「自分はどうしたいのか」に矛盾する行動を取ったとしても、そこにはろくなものが生まれてきません。あなたは今「父ばかりが苦労せずに甘い蜜を吸う」とか、「母が損している」とか、なんだか「軸」が自分以外の人にいってしまっていますね。それらのことは、自分の気持ちが決まってから、配慮すればいいことではないかしら。お父さまとお母さま、共にご納得いただける方法は、あなたの「軸」を真ん中にして成り立つものだと思うのです。だから、まずはごちゃごちゃとしたしがらみをひとつひとつ払って、純粋に「自分はどうしたいのか」だけを考えてみてください。そこに答えがあると思います。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年02月26日江崎グリコの「アイスの実」シリーズから、新作フレーバー「アイスの実<濃いブラッドオレンジ>」が登場。2021年3月1日(月)より全国で発売される。「アイスの実」新作は“濃いブラッドオレンジ”一粒一粒に詰まった素材の濃い味わいを楽しめる“ひとくちジェラート”として、1986年の発売から36年目をロングセラー商品「アイスの実」。今回新たにラインナップに加わる「アイスの実<濃いブラッドオレンジ>」は、ブランド史上初となるブラッドオレンジフレーバー。フルーツの果汁をたっぷりと使用した“濃い”シリーズの新作となる本商品には、春に旬を迎えるイタリア産のブラッドオレンジ果汁40%を使用。人工甘味料不使用で仕上げており、素材本来のジューシーで濃い味わいと、後口のほろ苦さが楽しめる一品となっている。<濃いぶどう>&<濃いもも>も同時発売また、果汁80%のジューシーで濃厚なおいしさの<濃いぶどう>、黄金桃の果汁・果肉をブレンドしたコク深いおいしさが楽しめる<濃いもも>も併せて発売される。商品情報「アイスの実<濃いブラッドオレンジ>」発売日:2021年3月1日(月)価格:140円+税【問い合わせ先】グリコお客様センター(フリーダイヤル)TEL:0120-917-111受付時間:10:00〜16:00(月〜金)
2021年02月25日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第64回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】たび重なる闘病生活に疲れてしまいました。最近、甲状腺がんとの診断を受けました。がん宣告はこれで3回目。1度目は12年前の卵巣がん、2度目は昨年の乳がんで、3度目がこの甲状腺がんです。生涯のうち2人に1人ががんを患うと言われるこの時代。なってしまうのは特別なことじゃないと思いますし、子どもの成長を見届けたいとの思いで、手術や長期治療を続けてきました。幸いにもその間、日常生活に大きな支障はなく、12年前の卵巣がんについては完治のお墨付きをもらうこともできています。でも、3度目ともなると、どうしても「なぜこう何度も……」という思いを鎮めることができなくて。まだまだやりたいことがあるし、子どものサポートはしたいと思いつつも、疲れてしまって気持ちを上向きにすることができません。どうしたら改めて前を向くことができるようになるでしょうか。(58歳・女性・会社員)【回答】前を向く方法……このような大変なご状況を抱えて、それでも前を向く方法……すぐには思いつけません。どんな言葉も、ここまでを生きてこられたあなたの前では、薄っぺらなものになってしまいます。子どもさんの成長を見届けたいという一念で、果敢に治療を続けてこられた。正にその意志の力が病を押さえ込み、命を燃やし続けさせてきたのだと思います。本当に、心からリスペクトします。でも、3度目のがん宣告を受けた今、前を向けなくなっていらっしゃる。そりゃそうでしょう。そりゃそうですよ。なにかあなたにお伝えできる言葉がないか必死で探しましたが、どんな言葉も力不足でダメです。なので、私が常々感じていることをお話しさせていただこうと思います。私は看護師なのですが、これまでにいろいろ見させていただいて「わかった!」と思っていることがあります。それは、「死ぬときは決まっている」ということです。実は生まれた時から、○○年○○日までと、命の限りは決まっている。どんなに元気でもその時がくれば死ぬし、どんな大病を抱えていてもその時がくるまでは死なない。そういうものなのだなと、わかったように思っているのです。その日がいつなのかは、たかだか人間の私ごときにはわかるわけもありませんが、そのかわり、心配も無用です。「事故に合わないように」とか「病気にならないように」とか、心配しなくていい。だって、生きるところまで生きることが決まっているのですからね。あとは、もらったその時間をどう使うかだけです。なんだか乱暴な話になってしまってすみません。あなたの日々が安寧でありますように、朝に夕に祈ります。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年02月19日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第63回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】がんと診断されて心が不安定な姉との付き合い方がわかりません。私の姉は3年前にステージ4の乳がんが見つかりました。現在は通院治療を受けており、独身で視力がほとんどないこともあって、80歳近い両親が世話をしています。元々、姉と両親は仲が悪いのですが、がんの診断を受けてからというもの、姉は両親に向かって「自分が病気になったのは両親や先祖のせいだ」と、罵倒を繰り返すようになりました。もちろん、今の姉の状態を考えれば、不安と無力感でやるせない気持ちでいっぱいになっているのは理解できます。でも、私が何度、両親と姉の間に入ってその場を収めても、すぐに罵詈雑言が飛んでくるため、今では私も親も親戚もお手上げ状態です。家族全員が少しでも穏やかな日々を過ごせるようにするにはどうしたらよいでしょうか。(55歳・女性・会社員)【回答】「今では私も親も親戚もお手上げ状態」というご状況、なんと申し上げてよいのか……。ご家族全員が穏やかにお過ごしになれるときが一日も早く訪れますように、心からお祈りいたします。お聞きする限り、お姉さまのご病気は決して楽観できるご状態ではないでしょう。たぶんお姉さまには、ご自身の「死」の影が見えているのではないかと想像します。キューブラー・ロスという学者は、人は自分の死を受け入れるまでに5つの段階を通過すると説きました。第1段階は、否定。第2段階は、怒り。第3段階は、取引。第4段階は、抑うつ。第5段階は、受容。この説に当てはめて考えてみると、お姉さまは今、第2段階の怒りに呑み込まれていらっしゃって、甘えられるご家族にそれをぶつけていらっしゃるのかもしれません。罵詈雑言の裏には、「死」への不安が隠れているのかもしれません。とはいえ、だからすべてを許さなければいけない、というわけではありません。すべてを許してくれそうに見えるお釈迦様も、「もし罵る者に罵りを、怒るものに怒りを、言い争うものに言い争いを返したならば、その人は相手からの食事を受け取り、同じものを食べたことになる。わたしはあなたが差し出すものを受け取らない。あなたの言葉は、あなただけのものになる。そのまま持って帰るがよい。」(『サンユッタ・ニカーヤ』)といって悪態をついた人を突き放したといわれています。良かれと思ってかける情けが、かえって相手のゆく道をふさぐという場合もあります。介護や福祉の制度を活用して、一度、思い切ってお姉さまとの距離を置いてみるというのもひとつの手かもしれません。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年02月12日