グラビアアイドルの夢見るぅが、最新イメージDVD『隊長!!』(発売中 4,180円税込 発売元:竹書房)をリリースした。同DVDは、昨年放送のテレビ東京系『家、ついて行ってイイですか?』に出演して一躍注目を集めた夢見るぅの記念すべき1stDVD。同番組出演以来、セクシーな写真をあげたSNSが話題を呼び、Twitterのフォロワー数が22万人を超えるなど、人気を誇っている。148cmのミニマムサイズも、上からB100・W60・H85という圧倒的なスタイルの夢見るぅ。バストのサイズもIカップと、グラドル界でもトップクラスの破壊力だ。今回は、過激な水着姿となって胸の谷間や横乳、さらには下乳などあらゆる角度からIカップのバストを楽しめる構成。露出度の高い水着姿はもちろん、着衣のシーン、メイド服を着たシーンでは横乳全開で、谷間もガッツリと見せるサービスシーンに挑戦している。
2020年03月27日栗原心愛さん(享年10)を虐待し死亡させたとして傷害致死罪などに問われた父・勇一郎被告(42)に3月19日、懲役16年の判決が言い渡された。昨年1月、千葉県野田市にあるアパートの浴室で死亡した心愛さん。各メディアによると発見されたとき体に複数のアザがあり、胃にはほとんど内容物がなかったという。また公判では勇一郎被告の携帯電話に残された、心愛さんの苦しむ様子が撮影された動画も公開。裁判長は「尋常では考えられないほど陰湿で凄惨な虐待だ」と非難したという。「勇一郎被告は後悔を口にしてはいるものの、虐待については大半を否認していました。しかし、裁判長は『客観的な状況と整合しない』と一蹴したのです。また有罪判決ではありますが、懲役刑だと勇一郎被告がいずれ出所するということ。更生プログラムも含めて、今後の課題は山積みといえるでしょう」(NPO関係者)19年6月、勇一郎被告の妻であるなぎさ被告も傷害幇助の罪で懲役2年6カ月・保護観察付き執行猶予5年が言い渡されている。各メディアによると心愛さんに食事を与えず、勇一郎被告の虐待を認識しながらも静止しなかったとされるなぎさ被告。「夫に怒られると思った」などと証言したという。「勇一郎被告の暴力を見続けたため、なぎさ被告はストレスで正常な判断ができなかったといわれています。彼女は『娘が暴力を受けることで、自分が暴力を受けなくても済むと思った』とも明かしていました。彼女にはもう1人、子どもがいます。母としての責務を全うするためにも、トラウマ回復のプログラムを受ける必要があります」(前出・NPO関係者)また児童相談所には、その判断の適性を問う声が上がっている。各メディアによると心愛さんが「お父さんにぼう力を受けています」とアンケート用紙に書いたところ、柏児童相談所は彼女を一時保護。しかし勇一郎被告が「お父さんに叩かれたというのは嘘」などと書かれた心愛さんの手紙を持って現れたため、児童相談所は心愛さんを自宅に戻す判断をしたという。「相談所側は手紙について『父親に書かされている可能性が高いと認識していた』と明かしました。しかし相談所はその名の通り、あくまで相談がメイン。強い権限はなく、児童福祉司が虐待に関する専門的な知識を持っていないケースもあります。人手不足も深刻ななか、虐待の通報が年々増加。そのため、現場は疲弊しています。専門性を高めるような方針を打ち出すなど、そのあり方を検討すべきかもしれません」(全国紙記者)
2020年03月20日教育熱心な読者のみなさんなら、「ネグレクト」という言葉を聞いたことがある人も多いかもしれません。ネグレクトとは、子どもを無視して放置するという、虐待の一種のこと。そのネグレクトに含まれるものとして、近年、問題視されているのが「スマホネグレクト」です。それはいったいどんなもので、どんな問題をはらんでいるものなのでしょうか。スクールカウンセラーの経験も豊富な心理学者である、明治大学文学部教授の諸富祥彦先生にお話を聞きました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)親のスマホ依存症によって引き起こされるネグレクト近年問題となってきたネグレクトのひとつに、「スマホネグレクト」というものがあります。これは、親のスマホ依存症によって引き起こされるネグレクトのこと。ただ、スマホネグレクトの場合は、子どもを完全に放置しているわけではなく、たとえば食事中に親がスマホばかりを見て子どもとの対話が減るといった、程度としては通常のネグレクトより小さいものといえます。しかしながら、スマホネグレクトも大きな問題をはらんでいることは間違いありません。家族の大切な対話の場である食事中にも、親はスマホばかり見ているのですから、「お父さん、お母さんは自分のことを大事に思ってくれている」という実感を子どもは得にくくなる。そのため、いわゆる愛着、専門用語ではアタッチメントといいますが、親子間における心の絆の形成が弱くなるのです。そうなると、親子関係はうまくいきにくくなる。また、スマホネグレクトを受け続けた子どもは、親から愛されている人間として穏やかに育つということも難しくなるでしょう。数年前に出版された『ママのスマホになりたい』(WAVE出版)という絵本をご存じですか?これは、スマホ依存症のお母さんに対する子どもの心の叫びを描いた作品です。食事中でも、子どもではなくスマホが気になってしまうという人がいれば、ぜひ一度読んでみてください。あなたの子どもも、登場人物の子と同じような寂しい思いを抱いているかもしれませんよ。衝動をコントロールできない子どもが増加中いま、幼い子どものなかに衝動をコントロールできないという子が増えています。小学生になっても、嫌なことがあると寝っ転がって「やだやだやだ!」とバタバタと暴れ、いうことをまったく聞いてくれない3歳児のような子どもが増加中なのです。わたしが小学校の先生から聞いた例を紹介します。ある低学年の女の子が手を洗っていると、水がはねて体にかかってしまったそう。途端に、その子は手足をばたつかせながら、「いますぐ乾かせ!」といったのだそうです。先生が「じゃ、向こうにいって乾かそうね」というと、今度は「いまここで乾かせ!」といって暴れたのだとか……。いま、こういう子どもが増えているのです。わたしは、このことにもスマホネグレクトが関連していると考えています。子どもの情緒の安定には、子どもが親に対して「ママ」と呼べば「なに?」と返してくれるという心のレスポンスが欠かせません。親がすぐそばにいてくれるという安心感のなかで、子どもの心は安定していくからです。それなのに、親がスマホに夢中で、子どもの「ママ」という呼びかけに気づかない、あるいは上の空の返事をしていたらどうですか?子どもはつねに不安を抱えることになり、自分の気持ちを持て余して、先に述べたようなかんしゃくを起こすような子どもになってしまうのです。そういう子どもは、ちょうどスマホが普及しはじめた頃から増加しています。割合を見ても、スマホ依存症の親は10人にひとりくらいで、衝動をコントロールできない子どもも10人にひとりくらいと完全に一致している。この数字からも、スマホネグレクトと衝動をコントロールできない子どもの増加には強い関連があると考えられます。より自覚的になりスマホの利用法を見直すスマホネグレクトの問題を解決するには、親自身がスマホ依存症を断ち切るしかありません。ただ、アルコール依存症と比べると、スマホ依存症を自覚することは簡単ではありません。アルコールの場合は誰もが体に悪いものだとわかっていますし、昼間からお酒を飲むようなことがあれば、完全にアルコール依存症を疑いますよね?でも、スマホの場合、スマホ自体を悪いものだとは考えませんし、スマホ依存症かそうではないかの線引きも非常に曖昧なものです。わたしの調査では、大学生の1日あたりのスマホ利用時間が6時間半でした。それだけ、スマホが生活の深いところまで浸透しています。大学を卒業して結婚し、親になったからといって、スマホの利用時間を減らすということは簡単ではないでしょう。そう考えると、より自覚的に自分自身がスマホ依存症になっていないかと疑い、その利用時間を減らしていくよう考えるべきです。たとえば、スマホを使うのは、トイレに入っているときだけにする。「ちょっとトイレにいってくるね」といって、トイレの中でだけスマホでの用事を済ませるというふうに制限するのです。あるいは、子どもとの関係を思えば、「子どもの前ではスマホを触らない」というルールを自分に課すのもいいと思います。毎日、子どもと接することができるのは、子どもが18歳や22歳になるくらいまでの限られた時間です。そのかけがえのない時間を大切にするためにも、スマホの利用法を見直してみてください。『孤独の達人 自己を深める心理学』諸富祥彦 著/PHP研究所(2018)■ 諸富祥彦ホームページ■ 明治大学文学部教授・諸富祥彦先生 インタビュー記事一覧第1回:“手がかからない子”ほど要注意!「いい子症候群」が怖い理由と、その防止法第2回:「過干渉」育児が招く悲しい結果。“見守るだけでは物足りない”親が危険なワケ第3回:「スマホ依存の親」と「衝動がコントロールできない子ども」の意外な関係第4回:完璧な子育てを目指さなくていい。親はもっとわがままに“自分の幸せ”を追求しよう(※近日公開)【プロフィール】諸富祥彦(もろとみ・よしひこ)1963年5月4日生まれ、福岡県出身。心理学者。明治大学文学部教授。「時代の精神(ニヒリズム)と闘うカウンセラー」「現場教師の作戦参謀」を自称する。1986年、筑波大学人間学類卒業。1992年、同大学院博士課程修了。英国イーストアングリア大学、米国トランスパーソナル心理学研究所客員研究員、千葉大学教育学部講師、同大学教育学部助教授を経て、2006年より明治大学文学部教授。日本トランスパーソナル学会会長、日本カウンセリング学会認定カウンセラー会理事、日本生徒指導学会理事、教師を支える会代表等の肩書も持つ。専門は人間性心理学、トランスパーソナル心理学。孤独、むなしさ、生きる意味などをキーワードに、現代人の新たな生き方を提示している。スクールカウンセラーとしての活動歴も長く、学校カウンセリングや生徒指導の専門家でもある。『男の子の育て方』『女の子の育て方』『一人っ子の育て方』(いずれもWAVE出版)、『子育ての教科書』(幻冬舎)、『「本当の大人」になるための心理学 心理療法家が説く心の成熟』(集英社)、『他人の目を気にしない技術』(PHP研究所)、『「プチ虐待」の心理』(青春出版社)、『「すべて投げ出してしまいたい」と思ったら読む本』(朝日新聞出版)、『知の教科書 フランクル』(講談社)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年02月26日2018年、FUKAIPRODUCE羽衣が上演した二人芝居『春母夏母秋母冬母』。母と子の関係を描いた今作は、初演時「FUKAIPRODUCE羽衣の新たな代表作」とも言われ、大きな反響を呼んだ。この作品に惚れ込んだCBGKシブゲキ!!のラブコールに応えるかたちで、2月13日(木)より再演が行われる。オリジナルキャストである深井順子、森下亮のふたりに加え、声優でもある土屋神葉、東京パフォーマンスドールの上西星来が参加。オリジナルのふたり、新しいふたりのペアだけでなく、深井と土屋、森下と上西の組み合わせもあり、じつに4バージョンの『春母夏母秋母冬母』が上演されることとなる。舞台は、夜中の公園で中学生カップルが遊ぶシーンからスタートする。公園に置かれた遊具は夢で見る景色のように、非現実的にぐにゃぐにゃとしている。ふたりの男女はそれぞれ、自分と母との物語を紡ぎながら、14歳から40歳までを自在に行き来する。自らの作品を妙なミュージカル、「妙ージカル」と称するFUKAIPRODUCE羽衣。ふだんは性愛の部分もたっぷり描くことが多いが、今作では母子の愛が中心。あたたかく優しい、けれど決してそれだけではない母という存在……。観ていくうちに、自然と観客が自分の母についてあらためて考えるような作品だ。また、劇中では作・演出の糸井幸之介がつくるオリジナルの楽曲がいくつも披露される。彼の曲はいつも、孤独な気持ちにひっそりと寄り添ってくれるようなメロディと歌詞で、胸を打つ。初演は、主宰である深井順子の40歳記念公演と銘打たれていた。糸井も森下も、深井と同じ77年生まれ。あのとき3人が作り上げた舞台が、共に96年生まれの若いふたりの息吹を得て、再び立ち上がろうとしている。CBGKシブゲキ!!presents『春母夏母秋母冬母』は、2月13日(木)から19日(水)まで東京・CBGKシブゲキ!!にて上演。文:釣木文恵
2020年02月11日1歳半をすぎると、徐々に言葉が増えてきてかわいい盛り。ところが、わが家の長男が最近習得した言葉で大変困っているものがあります。それはズバリ「いたいよー!」。二言目には「いたい」と叫ぶので、虐待だと思われないか、いつも心配になります。 お風呂場でも「いたいよー!」お風呂場に入ったとたん「いたいよー!」が始まります。いつもお風呂場の窓を開け放っているので、間違いなく声は外にダダ漏れ。「お風呂場で痛いこと+子どもに熱湯でもかけている?=虐待」と思われそうで不安です。 「はー、始まった……」と思いつつ、長男に向けてというよりは、外を通る未知なる人物に向けて「いたくないでしょお~。あったかくて気持ちいいよねえ~。きれいきれいしようねえ~」と大声で話しかけ、「虐待していませんアピール」をする日々です。 ママの姿が見えなくなった途端にトイレや洗濯干しでママの姿が見えなくなると、とたんに絶叫が始まります。「ママーっ!!」と見つけるまで大声で叫び、最近覚えた「ねーどこー!?」に続きます。 外に聞こえるほどの大声なので、ご近所さんに「幼児を置き去りにして親が外出している+育児放棄=虐待」と思われるのではと気が気ではありません。私の返事が息子に届かないものなら、「いたいよーう! いたーい!」と習得した言葉が始まります。 きょうだいとのやりとりでも「いたいよー!」長女とおもちゃで遊んでいて、取り合いになると「いたいよー!」が始まります。長女が手をあげた形跡はないのですが、「いたい」を繰り返します。食事中もエプロンをつけると「いたいよー!」、苦手な野菜を食べさせようとすると「いったいよー!」です。歯磨きはもちろん断固拒否。無理に磨くと「いったーいーっ!」。 こんなに連呼されると、「あの家では子どもが1日中痛い目に合っている=虐待」と思われても無理ないレベルです。 「いたい」という言葉を発したときの家族の反応から「注目が集まる」ということを覚えたのかもしれませんが、なかなか厄介な言葉です。しばらくはこちらも大声で「虐待していませんからアピール」を外に向けて続けていかなくてはならなさそうです。みなさんのご家庭でもそんな「困った」はありませんか? 監修/助産師REIKO著者:伊川 遥女の子と男の子の二児の母。家事や子育てのかたわら、自身の体験をもとに妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆中。趣味は読書、音楽、料理、ボルダリング、絵を描くこと。
2020年02月07日1組の男女が時を超え、性別も超えて織りなす舞台『春母夏母秋母冬母』が2月13日(木)からCBGKシブゲキ!!(東京都渋谷区)で上演される。FUKAIPRODUCE羽衣の糸井幸之介が作・演出・音楽を手がけ、オリジナルキャストの森下亮(クロムモリブデン)と深井順子(FUKAIPRODUCE羽衣)に加え、土屋神葉(劇団ひまわり)と上西星来(東京パフォーマンスドール)が本作に初挑戦する。登場するのは、深夜の公園で遊ぶ「こなこ」と「ユキユキ」の中学生カップル。そのシーンの中に、こなこと母、ユキユキとママの、幼年期・思春期・壮年期の物語が挟み込まれ、それぞれの「母」との関係性が描かれる。1組の男女が、母と子を自在に演じ分け、こなことユキユキのさまざまな年齢の物語が展開される。2018年5月に吉祥寺シアターで初演。「母」という普遍的テーマや、韻を踏んだ歌詞と耳に残るメロディ、詩的な世界観が評価され、今回の再演に至った。オリジナルキャスト同士、新キャスト同士、そして新旧キャストが入り混じる公演と、計4パターンでの上演が予定されている。初日まで2週間ほどとなった1月下旬、都内で行われている稽古を見学した。この日、行われていたのは、中学生になったこなこと母のシーン。母の帰りを待ちながらどこか寂しさを感じるこなこと、酔っ払いながら一人本音を漏らす母を描く場面だ。糸井の作品は、ミュージカルならぬ「妙ージカル」と称される、芝居と歌を融合させた独特な作風が特徴。どんな稽古をしているのか想像がつかなかったのだが、細かく場面を区切りながら、糸井が気になったポイントで、適宜修正点を提示して、再度芝居をするという、意外とスタンダードな手法をとっていた。キャストの組み合わせを代えて稽古をしていくので、自然と互いの芝居を見合う。40代のオリジナルキャストの森下と深井が、20代のフレッシュな新キャストの土屋と上西に動線や演技のアドバイスを伝えたり、若手の土屋と上西も自分らしさを出そうと動きやセリフの言い回しを少し変えてみたり。キャストによって演出が大きく変わることはないようだが、それぞれの創意工夫が見られたのが面白かった。初演をご覧になった方も、ご覧になっていない方も、楽しめる舞台になりそうだ。公演は2月19日(水)まで。チケット発売中。取材・文・撮影:五月女菜穂
2020年02月03日こんにちは。助産院ばぶばぶのHISAKOです。習い事をさせないと「よい親」「よい子育て」とは言えないのではないか? そんなふうに習い事や早期教育をとらえている大人が多いです。今回は、早期教育や習い事についてお話ししたいと思います。 幼児教室よりも自然体験をさせよう発達心理学や小児行動学、専門的分野の立場で研究を重ね、根拠ある理論思考回路のなかで想定した「遊び」「場所」「学習の方法」は、子どもの健やかな成長のためだとしても、子どもの無限の創造力には敵わないのではないでしょうか。 自然の中に繰り出すと、子どもたちは夢中になって遊びます。落ちている枝1本。蟻1匹。海岸の色とりどりの貝殻。すべてが体験型学習になり、子どもの自主性、積極性、感受性を育てます。習い事や幼児教室に行かせるより、実際の体験や経験のほうがずっと意義のある学びとなると私は思います。 自分がやりたいことを見つけられる力子どもに真っ先に獲得してもらいたいものは、「勉強ができるようになる能力」や「人より優れた何かができるようになる能力」ではないと思います。「やりたいことを見つけられる力」それこそが、彼らに学ばせたい真髄だと私は思います。自発的な経験を積めば積むほど、積極性と創造的な生き方が磨かれていきます。子どものうちから基礎能力を高めておけば、自分のしたいことが見つかったときに道が開けやすくなるという考え方は、確かにその通りだと思いますが、日本という豊かな国に住み、学習環境としてはかなり高いレベルの中で育ってきているはずなのに、10代後半の子どもたちと関わっていると意欲や自主性、主体性、積極性が低いことがとても気になります。 子どもへの過干渉のリスクとは子どものためによかれと関わる“過干渉”は、不成績を恐れる気持ちや自己肯定感の低さ、評価されないことを避ける、つまらない人生観をつくり上げてしまうリスクや、躍動感のある創造性を潰してしまう可能性もあります。 身につけさせたいのは、何か自分の好きなものを見つけ、それに取り組もうとするバイタリティー、モチベーション、既成概念にとらわれない自分への自信です。誰かが引いた線路の上を歩んでいくより、自分で決めた人生を自分で納得しながら歩んでほしい。まだ自主性が育っていない段階で、大人が「あれしなさい、これしなさい」と求めていくことは、子どもが自分で本当に好きなものを見つけたり探したりという意欲の芽を摘んでしまうマイナス要因を持っています。 習い事や早期教育は必ずしなければならないことではないと思います。自分がやりたいことを見つけ、目標に向かっていく挑戦的な意欲、前向きな自信、根性などがまず育ってこそ、そこに学力が意味を持つのではないかと私は感じています。 監修者・著者:助産師 助産院ばぶばぶ院長 HISAKO総合病院小児科・産婦人科・NICU病棟勤務を経て、地域での助産師活動・出張専門助産院を開業。2006年には来院ケアも可能な「助産院ばぶばぶ」をオープン。2020年に12人目を出産し、ママたちに元気と勇気をおすそ分けすべく母乳育児支援や講演活動、書籍出版など多岐にわたって活動中。
2020年02月03日あんふぁんWebで実施した「子どもの教育費」についてのアンケート。328件の回答の中で多かった悩みは、「1人につきかかる大学までの教育費の総額はいくら?」「教育費の貯め時はいつ?」でした。そこで今回は、ファイナンシャルプランナーである筆者が、教育費について解説します。※2019年6月28日〜7月19日、あんふぁんWebでアンケートを実施。回答数:328件学校に支払うお金だけで、大学までオール国公立でも500万円を超える一般的にかかるとされる「教育費」には、習い事や塾などの金額も含まれていますが、今回は、純粋に幼稚園や学校だけにかかる金額を算出しています。なお、教育費は私立、国公立によって大きく違いがあります。また、給食や通学方法によっても違いが出てきます。今回は、小中学校の項目で給食費は計算に入れていません(給食そのものの有無、お住まいの地域などにより差があるため)。一覧表から分かる通り、幼稚園から大学までオール国公立の場合で500万円を超え、オール私立の場合でおよそ1600万円です。都市部で多い、私立の中高一貫校に進学するパターンでは、およそ1000万円となります。また、入学のための塾や習い事によっても、かかる費用は大きく変わってきます。さらに、大学に進学し一人暮らしをする場合には、これに生活費がプラスされます。月平均10万円程の生活費を補助すると、4年間でかかる費用はプラス480万円必要となります。ただし、きょうだいでの割引や免除や奨学金、特待生など補助もありますので、今回の算出はそのような割引きのない場合と考えてください。細かいところでは給食や通学費によっても変化し、制服など学校で必要なものがお下がりでもらえるかなどでも大きく違ってきますね。みんなはどれくらい貯めているの?「子どもの教育費のために、1人あたり毎月いくら貯めていますか?」のアンケート結果のグラフを見ると、毎月2万円以下が46%で一番多いことがわかります。これをもとに単純に計算すると、だいたい中学卒業までに、2万円×12か月×15歳=360万円は貯蓄できることになりますね。また児童手当を別途教育用の貯金にまわすと、児童手当(※3歳未満は月額1万5000円、3歳〜12歳は月額1万円、中学生は月額1万円/所得により制限あり)によって、約196万5000円は貯蓄できることになります。これらをすべて貯蓄に回すと556万5000円が中学卒業までに貯蓄できる計算となります。安心ラインは、最低あと200万円中学卒業時点ではすでに小中学校の学費を考える必要がないとすると、用意すべきは高校と大学の学費となります。アンケート結果からの試算で、約550万円を中学卒業時点で貯めていたとすると、高校はそれまで貯蓄に回していた分を当てることができそうなので、自宅から通える公立の大学なら十分に賄えることがわかります。ただし、高校・大学が私立の場合、または国公立の大学でも一人暮らしの場合は、少なくともあと200万円は必要となるでしょう。あと月1万円プラスで貯めようとする意識が大切では、貯め時はいつなのか?やはり一番は、子どもが小さい時です。子どもが小・中学生になるとよりお金がかかってくることを考えると、それより以前のできるだけ早いうちに貯め始めることが大切といえます。そして一番お金のかかるのは大学です。大学までは教育資金を崩さずに日々のやりくりで教育費をまかなうとしても、「大学入学までにあと月1万円プラスで貯めること」を目標にするとより安心です。例えば、幼児期の習い事に月1万円、2万円とかけている場合や、大きな学校外教育費となる「塾代」も、本当に必要かを見極めていくことも、教育費の総額を考えると大切です。王道になりますが、大きな固定費の見直しや、レジャーや外食のあり方を見直すことは「あと月1万円プラスで貯めること」への近道になるでしょう。現在の家計を考えて、「これ以上の貯金は難しい!」という場合は、学校選びの段階で、自宅から無理なく通える範囲を検討していくのも一手です。また、学費の免除や奨学金、特待生に当てはまらないかを検討してみること、制服など大きな出費になるものはお下がりがないかなど、「プラス1万円を貯める代わりに、教育費の出費を1万円でも減らす」という工夫をしてみてもいいかもしれません。将来、大学も学費が安くなるのを切に願いますが、今できることは、子どもの選択の幅を広げて応援してあげられる「教育資金」の準備。子どもの学習と同じく、早い時期から無理せずコツコツが大事なポイントです。※参考:文部科学省平成28年度子供の学習費調査<文・写真:ライター結生>
2019年12月20日■前回までのあらすじ中学を卒業した春に、母は「女の子は可愛くないと…」と整形をすすめてきた。そのときすでに予約は取られていたのだった…。》 「あなたのためなら何でも!」そんな母が勧めたのは整形だった… ■私の母はみんなから「良いお母さん」と言われる…■私が“本当にしたかったこと”は母には言えなかったとても熱心な母で、私には何でも良いものを与えてくれました。でもそれが、私にとってはかえって苦しくなってしまうこともあったのです。しかし母は私のためを思ってやってくれているのだから─……不満に思ってしまう私が悪いんだ─……そう思うと、何も言うことができませんでした。※この物語は私の経験を基に、一部フィクションもまざっております。■本連載が書籍化!オール描き下ろし 『親に整形させられた私が母になる エリカの場合』 (グラハム子著/KADOKAWA 1210円(税込))ウーマンエキサイトで連載された本作をイチから再構築した作品が書籍化!『親に整形させられた私が母になる エリカの場合』として発売中です!
2019年12月20日エルメス(HERMÈS)は、期間限定イベント「エルメスの夢見る花火」を銀座ソニーパーク(Ginza Sony Park)」にて2019年12月14日(土)から12月25日(水)まで開催する。「エルメスの夢見る花火」は、クリスマスの銀座の街に誕生する大人から子供までが楽しめるプレイグラウンド。銀座メゾンエルメスの屋上から両手にシルクスカーフを掲げた「騎乗の花火師」が舞い降りて、来場者を迎える。特別に地上へとやってきた「騎乗の花火師」とは、写真を撮ることも可能だ。また、会場内では、特設ステージが設けられており、そこでは「エルメスの夢見る花火」の“花火師”になれるインタラクティブな花火体験を用意。銀座メゾンエルメスのガラスブロックにめがけてレザー製の花火筒をかざせば、プロジェクションマッピングでオリジナルの花火を打ち上げることができる。なお、11月27日(水)から2020年1月31日(金)までは、デジタルグリーティングカード“エルメスの夢見る花火”スペシャルサイトも展開する。同ページでは、エルメスを象徴するケリー バッグや馬の形をした6種の花火モチーフが用意されており、そこから好きな花火モチーフを選んで自分のメッセージを綴れば、“飛び出す絵本”カードとしてSNS上で大切な人に贈ることが可能だ。【詳細】エルメスの夢見る花火会期:2019年12月14日(土)~12月25日(水) 18:00~22:00(日・祝 21:00まで)会場:銀座ソニーパーク 地上フロア住所:東京都中央区銀座5-3-1※プロジェクションマッピングは、天候により中止する可能性あり。※プレイグラウンドは銀座ソニーパーク開園時間(5:00~24:30)に準じてオープン。
2019年12月01日米フロリダ州のとある家庭で、住み込みで働いていたベビーシッターの女が、雇い主の子どもを性的虐待した罪で禁固20年を言い渡された。地元紙「Tampa Bay Times」が報じている。マリッサ・モウリー(28)がナディーン・キャンベルさん宅で住み込みのシッターとして働くようになったのは20歳のとき。キャンベル家はモウリーを娘のように温かく迎えたという。当時9歳前後だったキャンベル家の男の子が11歳になるころ、モウリーは本性を現す。性的虐待が始まったのだ。やがてモウリーは妊娠。雇い主はボーイフレンドとの間にできた子どもだと思い、彼女をいたわっていたという。2014年10月にモウリーは男児を出産。その後も性的虐待は男の子が14歳になるまで続いた。現在、被害を受けた男の子は17歳。5歳になる息子を育てながら高校に通っている。そう、モウリーが産んだのは被害を受けた男の子の子どもだったのだ。彼が生物学上の父親であることはDNA鑑定の結果からも明かだ。2017年に、キャンベルさんは息子に被害を打ち明けられ、警察に相談。キャンベル家を辞め、ウェイトレスとして働いていたモウリーは未成年者への性的暴行容疑で逮捕、起訴された。「父親であることで、この子がティーンエイジャーのうちにできることは限られてしまいます。放課後は息子の面倒を見なければならないし、デートだってできません。17歳で5歳の子がいる男とデートをしてくれる相手がいるとも思えませんけど。でも、この子は今まで会った中でも、最も素晴らしい父親の一人です」とキャンベルさんは語っている。
2019年10月21日編集部:学研キッズネット編集部新しい学習指導要領の改訂により、デジタル教育が大きく注目されています。私たち親は、こどもたちにどんな教育を心がけるべきでしょうか。学研でSTEAM教育の事業化に携わっている佐久裕昭さんにお伺いしました。STEAM教育が注目されている理由——佐久さんはSTEAM教育の事業化に携わっているそうですね。あらためてお伺いしたいのですが、STEAM教育が注目されているのはどうしてですか?「STEAM」とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts(芸術・感性)、Mathematics(数学)のそれぞれの単語の頭文字をとった造語です。もともとは、アメリカが科学技術分野の人材育成に力を入れる中で出てきた「STEM」という教育のキーワードがあり、そこに世界的に有名なデザイナーであるジョン・前田氏が「Arts」を加えた「STEAM」を提唱しました。私が言うまでもありませんが、昨今では特にITの分野が著しく発展していると思いますよ。ITの進化にともなって社会が大きく変化する世の中になっていますから、それに対応できる総合的な知とイノベーティブな感性を持った人材の育成が必要だと言われているのです。小学校でのプログラミング教育が必修に~親はどうすればいい?——2020年からは小学校でのプログラミング教育が必修となりますね。子どもたちが 「ITとは何か?」ということに興味を持つきっかけとして最適なのではないでしょうか。コンピューターに命令するということが、どのようなことであるかを知ることで、ITがどのような仕組みで動いているかを理解できると思います。またプログラミング教育には、論理的な思考方法が身につくという側面もあります。AIやIoTなど今後ますますIT化する社会に対応し、さらに日本発のイノベーションを起こせるような児童を育てるための教育が始まろうとしているのです。——IT機器というと、スマホ、タブレット、パソコンなどありますが、その違いを聞かれたら親はなんと答えればいいでしょうか。ハードウェア的にはキーボードがあるかないかという違いかなと思います。最近はスマホやタブレットにキーボードをつけることも一般的になっていますから、それほど大きな差はなくなっているような気がしますね。機能という面ではほとんど違いがないのではないでしょうか。ただ、決定的に違うのは「使われ方」だと思います。パソコンがサービスを作り、スマホやタブレットはそのサービスを使うための道具。つまり、今の社会における生産のためのツールはパソコンで、スマホやタブレットはそれを受け取るためのツールという認識になるのではないでしょうか。パソコンの重要性——子どもがスマホやタブレットではなく、パソコンを使う必要性や利点というのはありますか?先ほども言いましたが、現代社会においては生産の大元のツールはパソコンです。そのため、教育の現場でも、子ども達が使用するデジタル機器はパソコンを推奨したいと考えられているんです。新学習指導要領でも子どもたちのタイピングスキルを伸ばしたいと言われていて、小学校に導入する端末の要件として、キーボード機能を有している必要があるんです。今後は大学入試にもCBT方式(Computer Based Testingの略。コンピューターを利用した試験方式を指す)のテストを導入していく予定があるそうなので、パソコンの重要性はますます上がっていくと思います。ただし、スマホやタブレットが重要でないということでは決してありません。個人的にはスマホやタブレットに日常的に触れている子どもの方が、これからのデジタル社会に馴染んでインパクトのあるイノベーションを起こせるんじゃないかと思っているくらいです。こどもを有害な情報から守る——こどもがデジタル機器に触れる際に注意しておくことは?インターネットからITに触れ始める子どもが多いと思いますので、ペアレンタルコントロールはするべきでしょうね。ネットは便利な反面、子供にとって有害なコンテンツが溢れています。また勝手にネットショッピングをしたり、ゲームに課金したりしてしまう危険性もあります。まずは子どもにそう言った危険をしっかり説明して、リスクをつまびらかにし、共有することが大切です。最初は必ず親と一緒に使うようにするとか、自分の部屋ではなくリビングでしか使わせない、ブロッキング機能を使うなど各家庭の対処方法を見つけて可能なかたちで実践するべきだと思います。VRにAR~新しい技術に対する親の心構え——VRや AIなど新しい技術がどんどん登場していくデジタルの世界。親の心構えはどうあるべきでしょうか?私は、これからの社会はITを使わない進化の方向性はないと考えています。それくらい、デジタル技術が現代社会にもたらしたものは大きいのではないでしょうか。コンピューターが現代社会のシステムを支えていると考えても過言ではありませんし、今後さらにそうなっていくと思います。そんな中で大切なのは、大人が怖がらずに子どもをデジタル機器に触れさせることです。大人は自分が子供の頃になかった技術を否定しがちです。テレビだって昔は子どもに観せると有害と言われていましたし、ゲームも子どもへの悪影響ばかり指摘されました。現代ではスマホやタブレットがそれに当たる存在となっています。子どもに使わせないメリットより、使わないままで将来的に受けてしまうデメリットの方が大きいのではないでしょうか。子どもの好奇心を止めずに、どんどんやらせてあげてほしいと思います。まずは親子で一緒に楽しむことから——最後に親子で楽しめるパソコンの活用術を教えてください。大人が普段使っているサービスを一緒に楽しむことから始めてみてはどうでしょうか。「エクセル」や「ワード」といった仕事で使用しているソフトで夏休みの予定表を作ったり、「パワーポイント」で自由研究のレポートを作成したりと、大人が普段行っているパソコンの使い方を一緒に体験させるだけでも、好奇心が湧いてくると思います。おすすめしたいのは、一緒にプログラミングして何かを作ってみることです。残念ながら、できあがる作品は大人よりも子どもの方が間違いなくいいものになると思いますよ(笑)(学研キッズネット編集部)今年のお子さんの夏休みの「自由研究」は、パソコンを使わせてまとめ作りにチャレンジさせてみてはいかがでしょうか。豪華賞品がもらえる「パソコン×自由研究」コンテストも開催中!学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。すくすく伸びる子どもたちのために
2019年08月14日最近、新聞やテレビなどの報道で「教育虐待」が取り上げられ、特に中学受験をする子供の話として、注目を集めています。しかし、どの年齢の子供にも起きる可能性があるとも言われています。筆者も子供を中学受験させた経験者ですが、「教育虐待をしていたかも」という方の話を元に「教育虐待」について考えてみました。■ 教育虐待って一体どういうこと?makaron* / PIXTA(ピクスタ)最近は中学受験が盛んで「塾以外で過度に両親のいずれかが勉強を押し付ける」現象が起きています。これが「教育虐待」になりやすいとも言われています。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)また、中学受験に関する本も多く出版されていて、中でも「親の力が9割」という内容の本が多く出ていますが、「親がリードしなければ、子供の将来はダメになる」と誤解してしまう親もいるのでしょう。今回、ご近所に住んでいた方で「中学受験」がらみで離婚にまで発展した母親と連絡を取ることができ、実際にあった「教育虐待」について話を聞きました。■ 教育虐待は母親がしてしまうケースもあるNOV / PIXTA(ピクスタ)夫婦共働きで母親はウェブデザイナーとして在宅で仕事をしていて、父親は会社員というご家庭でした。近くに引越したのを機に仲良くさせていただいたのですが、子供3人全員を将来中学受験させるという方針のご家庭で、お付き合いに少し困りました。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)子供3人が全員とも幼稚園年長時から地元の小さな塾に通い、スイミングや習字、体操、空手と塾以外にもたくさんの習い事をしていました。筆者の子供とスイミングスクールが一緒で同じ時間帯に授業があり、しきりに「中学受験」について話をしてくるので、少し距離をおいた時期もあります。■ その家庭で起きた教育虐待の連鎖あんみつ姫 / PIXTA(ピクスタ)その後、年齢順に有名中学受験専門塾に通わせるようになり、会うたびに「有名校に3人とも通わせる」と話していました。ひとり目の子は中学受験をしましたが、全て不合格で地元の公立中学に通わせました。ふたり目の子は、上の子の様子を反面教師にしたのか、母親の目を気にしながらも、塾で上位クラスにいるように勉強をしていました。しかし、少しでも順位が下がれば、母親が「どうしてできないの!」と怒鳴り、必要以上にドリルをするようにしました。Graphs / PIXTA(ピクスタ)ふたり目の子供は、母親も満足する超難関校に合格し、その他の学校にも合格したのですが、母親が一番気に入った学校へ入学しました。一番下の子で、ついに問題が起きました。ふたり目の子と同じ学校への受験を考えて、中学受験の準備に入りました。成績は一時よかったものの、成績が落ち始めました。過度に独自のドリルをさせたり「なぜできないの!」としつこく説教したり勉強を強いるようになりました。父親が止めても、父親に「私にまかせて!」と怒鳴るようになったといいます。さらに成績が落ちることにもつながったのです。■ ついに子供の体に異変が…OrangeMoon / PIXTA(ピクスタ)ある日、母親が子供たちを起こしにいくと、一番下の子が激しい腹痛を起こしていて、慌てて病院に連れていきました。検査の結果、特に異常はなく、医師から「何か学校や習い事でつらそうにしているとかありますか?」と聞かれたそうです。母親は黙っていましたが、父親から「実は妻が子供に中学受験の勉強をきつくさせていた」と話し、医師から注意を受けることになりました。親から教育虐待を受けると、場合によっては「助けて!」という心の叫びとして、体の症状として出てくることもあるようです。医師からは強く「教育で子供を追いつめてどうするの?」とお叱りも受けたとか。その子供は「塾は嫌い。ママもパパも嫌い。勉強はいや」と泣きながら訴えて、母親は「教育で虐待をしていた」と気づき、父親も止めなかった自分を責め、中学受験をやめる決心をしました。このことで夫婦間の溝が生まれて離婚されたのですが、「自分の学歴コンプレックスから子供を苦しめた」と話していました。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)その母親が「こういう傾向の人が教育虐待をしやすいのでは」話してくれました。1.両親のどちらかに学歴コンプレックスがある2.父親もしくは母親の卒業校に通わせたいという強い希望がある3.共働きで金銭的余裕があるので、教育に力を入れたい4.両親ともに高学歴すべての家庭に当てはまるとはいいきれませんが、父親が教育虐待をしているケースも多いと教えてくれました。■ まとめmaroke / PIXTA(ピクスタ)最近は早期教育が盛んですが、教育虐待の始まりになっている可能性も少なくありません。高校や大学への進学後も、教育虐待によって心の傷を負っている子もいるようです。「子供には苦労させたくない」という考えの家庭は多く、教育方針が厳しい家庭は見かけます。しかし、ひとつ間違えると、家庭崩壊へ繋がります。親が歩んだ人生と、子供の歩む人生は違います。「子供が自分で将来を決めて進む」ということを大切にしながら、子供と接していきたいものです。
2019年07月30日「被害を誰かに打ち明けたときに、『抵抗できたはず』『どうして周りに相談しなかったの?』などと言われると、〈私が悪かったんだ〉と、自分を責め続けてしまいます。そのことは、親から性虐待を受けたという事実以上に、被害者を苦しめます」そう話す宮本ゆかりさん(49)。香川県高松市在住の宮本さんは4歳から中学2年生まで、実父から“性虐待”を受けていた。自分と同じような被害者を出したくない。そんな思いから、’17年にブログで実名を公表し、自ら受けた性虐待とそのトラウマ(心的外傷)を克服してきた体験を公開。性虐待を受けている被害者から、メールで相談を受けている。今年3月、この活動が新聞で紹介されると、相談メールが月に20件も寄せられるようになった。ゆかりさんの本業は美容師で、美容院を経営している。相談は、すべてボランティア。相談メールに返信するのは、深夜になることもある。それでも対応するのは、“性虐待”を受けた被害者の心理が、あまりにも社会に理解されていないからだ。今年に入ってからも、19歳の実の娘に性虐待を続けていた父親に対し、名古屋地方裁判所岡崎支部は、無罪判決を下した。裁判官は「抵抗できないほどの暴力や、心理的極限状況に追い込まれていたわけではない」と判断した。「幼いころから性虐待を受けていたら『抵抗してもムダ』という気持ちになるんです。しかも、彼女には2人の弟がいた。父の性虐待が世間に知られて仕事を失ったら、弟たちが生活できなくなると心配していたといいます。なぜ、そういう被害者の心理が理解できないのでしょうか」’17年7月、110年ぶりに性犯罪に関する刑法が厳罰化された。しかし、多くの問題が残っている。抵抗できないほどの暴力や脅迫があったと証明できないと罪に問われないなど、被害者側にとって立件のハードルが高いままだ。ゆかりさんは、ときに相談者に会って話を聞くこともある。「私に寄せられる相談の9割が、父からの性虐待を母に相談したとき、『見て見ぬふりをされた』ことが心の傷になっています」母親の対応も、被害者のトラウマを深くする。ゆかりさん自身もそうだった。「私も、母親が全力で守ってくれていたら、40年近く苦しまなくてすんだかもしれません」ゆかりさんは1970年、香川県高松市に生まれた。父は、地元の有名企業に勤める会社員。母は、専業主婦だった。父から受けた性虐待で、もっとも古い記憶は4歳ごろのもの。「母が留守のとき、父はじゃんけんゲームをしてくれました。私が勝ったらおやつをもらえて、父が勝ったら私の股間をなめるんです。くすぐったくて嫌だったけど、お菓子がもらえるからがまんしていました。母には言うな、と言われていました」さらに、ゆかりさんが小学生になると、父はゆかりさんを海や山に連れていき、裸の写真を撮った。「『子どもの裸はけがれなくてきれいだから』と。私が嫌がっても父は聞いてくれません。母も、その場にいたけど、『撮ってもらいなさい』と父の味方でした」父は、ゆかりさんが言うことを聞かないと、すぐに怒鳴ったり、ときには体罰を加えたりした。父の暴力は、母にも向けられた。「父は、私が言うことを聞かないと、『おまえの育て方が悪い』と言って、すぐに母を怒鳴るんです。だから母は、泣きじゃくる私のお尻を自分も泣きながらたたいたり、火を消してまだ熱いマッチ棒を、私の手に押し付けたりしたこともあります」子どもながらに、<母は、どうして父の言いなりなのか。母のような自立できない女性になりたくない>って思っていたんです」ゆかりさんが小学5年生になるころには、父の性虐待はエスカレートしていった。「私が眠っていると、父は寝室にそっと入ってきて下腹部などを触るようになりました」そして、幼い体をなめ回した。間もなく父は、性器まで挿入してくるようになる。「当時は、まだ小学生ですから、その行為が何を意味するのかわかりません。でも、『絶対、お母さんには言うな』って言われて。すごく嫌だったけど、従っていれば、いつもは怖い父が優しかった。私は、父に自分を差し出すことで、居場所を確保していたんです」父がしてくる行為を、<おかしい>と感じたゆかりさんは、何度も父に、「これは間違ったことじゃないの?」と尋ねたが、「ほかの家でもよくあることだ」と言われ、どうすることもできなかった。しかし、中学2年生の保健体育の授業で、男女の体の違いを学んだゆかりさん。父からされてきたことは、子どもをつくる行為ではないか、と気づく。「それまで、私は父親とどこまでのことをしているのか、よくわかりませんでした。でも、取り返しのつかないことをしたのかも、と思うとパニックになって……」父に抱いていた“不信感”が激しい憎悪と侮蔑に変わった。「初めてハッキリ父に『やめて!』と言いました。それでも父は、何度も部屋に忍び込んでくる。でも、私が激しく怒鳴ったら諦めるようになりました」こうして、約10年にわたる父からの性虐待に終止符が打たれた。しかし、ゆかりさんにとって、ここからが本当の地獄の始まりだった。「この世から消えてしまいたかった。行為の意味を知らなかったとはいえ、私がもっと早く『やめて』と言えていたら父を止められていたはず。でも私は、自分の居場所ほしさに、父に自分を売ってしまった。だから、<抵抗しなかった私が悪いんだ>、<私はけがらわしい存在だ>と自分を責め続けたんです」苦しみを抱えきれなくなり、父から受けていた性虐待のことを、母に打ち明ける決心をする。母は父と離婚して私を守ってくれると信じたかった。しかし、母の言葉は、ゆかりさんを再びどん底に突き落とす。「あなたが誘ったらしいじゃない。お父さんは、あなたがかわいくって、あなたがほかの男性を誘っちゃいけないと思ったって。このことが世間にバレたら、お父さんが会社をクビになって、私たち、ご飯が食べられなくなるから黙っておくのよ」ゆかりさんの心は、母の言葉によって完全に殺された。中学時代の後半は、父とも母とも口をきかなかった。「死ぬことばかり考えました。ここから飛び降りよう、とか。でも、遺体を父に見られるのも嫌で。早く家から出るしかない、と」高校卒業と同時に、就職先も決めず家を飛び出し、大阪に出た。紹介された美容室で雇ってもらい、美容師の道を歩むことになる。’90年、同い年の男性と、20歳で結婚。22歳で長男を、25歳で長女を出産する。「子どもを持って、やっと、<この子たちのために死んだらあかん>と思えるようになりました」出産を機に、家族で香川に戻ったゆかりさん。実家の近所に住んでいた。「父の顔は見たくなかったけど、母には会いたくて。表面上は父とも普通に接していました。はたから見れば、仲のいい家族に見えたでしょうね」しかし、31歳のとき、ゆかりさんはうつ病になってしまう。父親から受けた性虐待のトラウマが原因だった。夫婦関係にもすれ違いが生じ、離婚。先が見えない不安を抱えて、母にこう打ち明けたことがある。「いまだに父の行為が頭から離れなくて、つらさから抜け出せない」すると母は、初めて知ったかのようにショックを受け、涙ながらにこう言った。「そんなことがあったのね。いま、お父さんは仕事で大事なプロジェクトを抱えているから、数年待って。お父さんが退職したら、別居してあなたたちと暮らすから」今まで、母に何度か説明していたのに、伝わっていなかったのか。それとも、都合の悪いことは忘れてしまうのか――。「でも、やっと私のことをわかってくれたんだから、信じて待とうと思ったんです」うつ病を発症してから2年後、地元の美容院の店長を任されるまでに体調は回復。ゆかりさんは、いつまでも過去を引きずってはいけないと、父にも笑顔を向けられるよう努力していた。「心の中は、ずっと苦しいままでした。40歳を過ぎても、私はまだ母の愛情が欲しかった。気持ちを理解してほしかったんです。父が退職したとき、改めて母に、『前に言っていたように離婚しないの?』と聞きました。そしたら、『いまさら別れる気はない』って」<やはり、母から愛されていない>。そう考えると不安定になり、予定のない休日は、子どもがいないと、布団をかぶって泣いた。そんなとき、運命の本と出合う。1冊は、元タカラジェンヌ・東小雪さんの著書『なかったことにしたくない実父から性虐待を受けた私の告白』(講談社)。もう1冊は、『毒になる親』(講談社/スーザン・フォワード著)だ。「本を読んで、初めて“性虐待”という言葉を知ったんです」当時はまだ、“性虐待”という言葉は浸透していなかった。本やネットで調べたゆかりさんは、<父がしていたことは“性虐待”だ。拒否できなかった自分が悪いんじゃない。だから人に知られても恥ずかしくない>と考えるようになる。さらに<子どもを心身ともに傷つける“毒親”は、許さなくていい。距離をとればいい>と思えるようになった。「性虐待って、家庭内で起きるから実態が知られにくい。だから私も自分の体験を公表することで、その実態と被害者の気持ち伝えようと思ったんです」
2019年07月29日父から受けた性虐待の、もっとも古い記憶は4歳当時のもの。中学の保健体育の授業で初めて、父から子どもをつくる行為をされていたと知った宮本ゆかりさん(49)。父だけではなく、幼い娘が抵抗できないのを見て見ぬふりをしてきた母の態度が、性虐待が終わった後も宮本さんを苦しめ続けた。家庭の外では言い出しにくい性被害。宮本さんは、ブログで自分の経験をさらけ出しながら、自分と同じ性虐待に苦しむ被害者を救おうと動き始めた――。「『親が問題なのだから、あなたは何も悪くない。あなたの人生は、あなたのものだから、親に気を使わずに自分の人生を生きてほしい』。親から性虐待を受けて、私のブログに連絡をくれた女子高生のAさんに会って、そんな話をしてきました」そう話す宮本ゆかりさん。香川県高松市在住の宮本さんは4歳から中学2年生まで、実父から“性虐待”を受けていた。自分と同じような被害者を出したくない。そんな思いから、’17年にブログで実名を公表し、自ら受けた性虐待とそのトラウマ(心的外傷)を克服してきた体験を公開。性虐待を受けている被害者から、メールで相談を受けている。今年3月、この活動が新聞で紹介されると、相談メールが月に20件も寄せられるようになった。冒頭のAさんもその一人だ。ゆかりさんの本業は美容師で、美容院を経営している。相談は、すべてボランティア。相談メールに返信するのは、深夜になることもある。それでも対応するのは、“性虐待”を受けた被害者の心理が、あまりにも社会に理解されていないからだ。今年に入ってからも、19歳の実の娘に性虐待を続けていた父親に対し、名古屋地方裁判所岡崎支部は、無罪判決を下した。裁判官は「抵抗できないほどの暴力や、心理的極限状況に追い込まれていたわけではない」と判断した。「幼いころから性虐待を受けていたら『抵抗してもムダ』という気持ちになるんです。しかも、彼女には2人の弟がいた。父の性虐待が世間に知られて仕事を失ったら、弟たちが生活できなくなると心配していたといいます。なぜ、そういう被害者の心理が理解できないのでしょうか」’17年7月、110年ぶりに性犯罪に関する刑法が厳罰化された。しかし、多くの問題が残っている。抵抗できないほどの暴力や脅迫があったと証明できないと罪に問われないなど、被害者側にとって立件のハードルが高いままだ。「被害を誰かに打ち明けたときに、『抵抗できたはず』『どうして周りに相談しなかったの?』などと言われると、<私が悪かったんだ>と、自分を責め続けてしまいます。そのことは、親から性虐待を受けたという事実以上に、被害者を苦しめます」ゆかりさんは、ときに相談者に会って話を聞くこともある。「冒頭のAさんは、義父から性虐待を受けていました。それでもしっかりと自分の進路を決め、高校卒業後は県外の大学に進学したいと言ってくれていました。でも、『やっぱり病気がちな母が気がかりだから、自分の思うように生きられない』と苦しんでいるんです。私も、彼女と同じように苦しんだから、『親にしばられなくていいよ』と伝えました」母親の対応も、被害者のトラウマを深くする。「私に寄せられる相談の9割が、父からの性虐待を母に相談したとき、『見て見ぬふりをされた』ことが心の傷になっています」ゆかりさん自身もそうだった。「性虐待を受けて傷ついても、気付いた大人が全力で守ってあげられたら、その子は早く立ち直れる。私はこれからも、その役割を果たしたいんです」
2019年07月29日育児放棄や虐待によって罪のない子どもたちが巻き込まれる事件を目にすることが日本でも増えていますが、今回ご紹介するのは、中東の子どもたちの過酷な現状を描いた話題作です。その作品とは……。全世界が絶賛する『存在のない子供たち』!【映画、ときどき私】 vol. 246中東の貧民窟に生まれた12歳の少年ゼインは、学校にも通わずに朝から晩まで両親に働かされていた。両親が出生届を出さなかったために、法的には社会に存在すらしていないゼイン。唯一の支えは妹のサハルの存在だけだった。ところが、サハルが11歳で強制結婚させられてしまい、怒りと悲しみからゼインは家出をしてしまう。そこでは厳しい現実が待ち受けていたが、ゼインは「僕を産んだ罪」を理由に、自分の両親を訴えることを決意するのだった……。中東が抱える貧困と移民の問題に真っ向から挑み、高く評価されている本作ですが、今回は全身全霊を捧げたこちらの方に、あふれる思いについてお話いただきました。レバノンが生んだ美しき才能ナディーン・ラバキー監督!2007年には、『キャラメル』で監督・脚本・主演を務め、一躍注目を集めたラバキー監督。女優としても幅広く活動しており、本作ではゼインの弁護士役として出演もしています。そこで、自身が目撃した現実やいまの思いについて語っていただきました。―まずは、多くの難民を受け入れてきたレバノンの現在の状況から教えてください。監督レバノンは文化的にも、国民の気質的にも、誰に対しても温かく歓迎するところがあるので、これまでに150万人以上の難民を受け入れてきましたが、これはいろいろな意味で大きな挑戦でもありました。そのなかで私たちはベストを尽くしてはいますが、本来この責任は世界でわかち合わなければいけないもの。難民条約にサインしたにも関わらず、多くの国がその責任を果たしていません。それゆえに、ヨルダンやトルコなど近隣諸国が難民の60%以上を受け入れており、経済的にも社会的にも大きな影響を受けています。世界で考えたら、本来はもっとできることがあるはずですが、これが現状です。―では、本作のストーリーは監督が実際に見たものが描かれているのでしょうか?監督レバノンでは苦しんでいる人々を当然のように目にする状況にあります。食べ物が足りないとか、戸籍がないために世間から“見えざる者”になってしまっている人や違法滞在者など、本当につらい現実です。水も電気もなく、まるで下水道のなかにいるかのような耐え難い環境で暮らしている人たちも多く、収容所やキャンプでは寒さが原因で亡くなる方もいるほど。いまでは難民だけでなく、レバノン人にとっても非常に厳しい状況が続いています。そして、そのなかでもっとも心を痛めているのが、子どもたちについてです。犠牲を払っている子どもたちの“声”を届けたかった―その思いがこの作品を作るきっかけとなりましたか?監督彼らが寒さに震えていたり、お腹を空かせていたり、学校に通えなかったり、子どもなのに仕事をしなければいけなかったり、つらい思いをしている姿を見るたびに、「私たち大人がいかに彼らを失望させているのか」「いかにシステムが欠落しているのか」を感じています。子どもたちが一番もろい存在のはずなのに、一番大きな代価を彼らに払わせてしまっているのです。その結果、自分の誕生日も知らず、無言のままに重荷を背負わされ、毎日虐待されるつらい生活が普通の人生だと考えている子どもはたくさんいます。そして、彼らは存在を知られることなく生まれ、存在を知られないまま亡くなっていくのです。私はそういった現実を見ているうちに、「何かしなければいけない」という責任を感じましたし、この映画を作ることを義務だと思うようになりました。つまり、子どもたちは声なき者だからこそ、この作品は彼らの“声”として届けたかったのです。―今回は主人公のゼインを演じた少年が本物のシリア難民であることをはじめ、全員がプロの役者ではないそうですが、どのように選びましたか?監督本作は3年間かけてリサーチをしてから脚本を書いたので、私自身が見たものからインスピレーションを受けており、事実が基になっています。キャスティングについても、現実世界で同じような境遇にある人を探すという方法で、彼らを見つけることができました。たとえば、ゼインの外見は、栄養不足が原因で実年齢よりも体つきが小さい子どもたちをたくさん見てきたということを反映させています。キャラクターのイメージとしては、家族のために早く大人にならなければいけなかった環境にあったため、聡明さと路上で生きるタフさを持つ、大人のような子ども。それが頭のなかで描いていたゼイン像でしたが、想像していた通りの少年と出会ったときは奇跡のようでした。―彼らの実人生が役に影響を与えた部分もありましたか?監督通常の映画であれば、脚本や監督のイメージに役を合わせていくものですが、今回は彼らの個性をベースにして、私たちがそこに合わせていくような作り方を意識しました。そもそも彼らの生活や人物像というのは私が想像で作り上げてはいけないものだし、そんな権利は自分にはないと感じていたからです。それほど現実にはリアルな苦しみと困窮があるわけだから、なるべく真実を捉えたいと考えていました。彼ら自身の経験や感情を私たちが描こうとしている物語やキャラクターを寄せていったので、スタッフも演者たちも現実とフィクションがわからなくなって混乱することもあったくらいです。演者が自分の経験をアドリブで語ることもあった―そのなかで忘れられない出来事もありましたか?監督実際、彼らが本能的に自分の経験を話すようなアドリブも多くありました。たとえば、子どもから訴えられたゼインの母親が「あなたは私のような状況に置かれたことがないからそんなことが言えるんだ」と弁護士役の私に向かって言うシーン。そのなかで、母親役の女性が「お金がなくて子どもに砂糖と水しか与えられない経験をしたことがないでしょう?」と訴えるのですが、これは彼女自身の経験です。彼女は映画のなかに出てくるスラム街に住んでいる人ですが、あの瞬間はゼインの母親としてではなく、自らの思いを語っていたのです。ほかのみんなも同様のことをしてくれました。―だからこそ、俳優では演じられないようなリアルな表情には思わず言葉を失いました。監督自らの現実と演じている役が入れ替わってしまうこともありましたが、彼らの言葉はすごく重要だったので、そういったものが自然に起きるようなオープンな現場は意識していたところです。つまり、彼らが「どんなことを言っても大丈夫なんだ」と自由でいられる環境をしっかり用意したいと思いました。それによって、彼らも“翼”を持つことができたのではないかと感じています。―とはいえ、撮影中に問題が起きたことも多かったのではないでしょうか?監督確かに、演者が翌日来ないかもしれないといった我々ではコントロールできない部分でのリスクはつねに負い続けていた作品だったと思います。というのも、戸籍や証明書を持っていないような人も多かったので。実際、ゼインを助けるエチオピア移民のラヒルを演じた女性が、拘束されたシーンを撮ったあとに逮捕されてしまったことがありました。そのときは、ラヒルの子ども役を演じていた赤ちゃんの両親も逮捕されてしまい、その先がどうなるのかわからない状況に陥ってしまったこともあったほどです。この方法でしか作ることができなかった作品―そんななかで、どのようにして作品を完成まで導いていったのでしょうか?監督そもそも大きなリスクがある作品だとわかっていたので、私たちは完全にインディペンデントで製作することにしていました。私の夫であるハーレドもプロデューサーとして入っていますが、ここまで大変だと知っていたら彼もやらなかったかもしれないですね……。まずは製作する場所も何もないところからスタートしなければいけなかったのですが、予定していた刑務所が閉鎖してしまうことになったり、せっかく見つけた子役たちもいま撮らなければ大きくなってしまうこともあったりしたので、すぐに撮影を開始しなければいけませんでした。ただ、子どもも大人も演技についてはまったくの未経験。「アクション!」といって求めているものをすぐに演じてくれるわけではなかったので、彼らとも時間を過ごす必要がありました。製作期間中はカメラマンも編集者もみな同じアパートで作業してくれました。編集などを含め完成までに2年。本当に小さな現場でしたが、これ以外の方法でこの作品を作ることはできなかったと思います。―撮影自体も困難が伴ったと思いますが、身の危険を感じることはありませんでしたか?監督もちろん、とても危険な場所ではありましたが、危害を加えられるというよりも、公害のような環境の問題のほうが大きいと感じました。というのも、貧困地域では雨が降ると、下水から水が溢れてきて、水浸しになってしまうからです。そのため、不衛生で臭いもすごいし、空気さえも汚染されているのがわかるほどだったので、私も熱を出してしまったことありました。しかも、当時私は2人目の子どもを出産したばかり。撮影の合間には授乳のために家に帰らなければいけなかったので大変でしたが、どんなに危険な状況でも、私たちは大きな目的があったし、使命感もあったので、それが続ける強さに繋がっていたと思っています。―まさに意志を貫く強さを監督から感じます。それを支えているものは何ですか?監督彼らは同じ状況に置かれたままなのに、「私は家族と幸せになっていいんだろうか」という罪悪感をいまだ抱いている部分もあり、心理的な負荷はまだ乗り越えられてはいません。「自分にはやらなければいけないミッションがあるんだ」という感覚があるからだと思います。人が存在しているのには、それぞれに理由があると考えています。私は恵まれていることに何かを変えることができるかもしれない自分なりの貢献方法や理由を見つけることができたと思っています。「ひとりひとりが物事を変えることができる」という考え方は甘いと言われるかもしれませんが、私は心からみなが自分なりにできることがあると信じているのです。その変化というものは、たとえ大きくなくても、他人の人生や命に影響を与えられることができると思っています。そんなふうに自分の目標や夢、そして存在理由を感じられることが、私にとっては毎朝起きる力になっているのです。日本でも同じ思いを感じている人はいるはず―それでは最後に、これから観る方に向けてメッセージをお願いします。監督状況は違っていても、同じような思いをしているような人は世界中にいるはずなので、ただ遠い国の話という風には感じないと思っています。実際、こういった問題はレバノンだけではなく、アメリカでも子どもの7人に1人のはお腹を空かせているような状況ですし、コミュニティのなかで端に追いやられてつらい思いをしている人は文化や国に関係なく、日本にもいるはずです。だからこそ、きっとみなさんの心に触れる作品だと思っていますし、人類はこのまま子どもたちに対する不公平さに目をつぶっていくことはできないと、私は信じています。目をそらしてはいけない現実がそこにはあるそれぞれの人物が放つ存在感と物語の持つ強さに圧倒され、激しく心を揺さぶられる本作。現代社会が抱える問題を描きつつ、「自分にできることは何か」「生きるとは」「愛されるとは」といった普遍的な思いがあなたのなかにも生まれるはず。映画の持つ力を目の当たりにすることができるいま観るべき1本です。胸を引き裂く予告編はこちら!作品情報『存在のない子供たち』7月20日(土)よりシネスイッチ銀座、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国公開配給:キノフィルムズ©2018MoozFilms/©Fares Sokhon
2019年07月19日編集部:学研キッズネット編集部2020年教育改革まであと1年を切り、多くの小学校でプログラミング教育がスタートしています。小学校だけでなく、今後は中学校、高校でもプログラミング教育が必修・拡充化され、大学入試にもプログラミングなどの情報科目の導入が検討されています。まずは今後の教育改革への理解を深め、早めの準備を検討してみてはいかがでしょうか?教育改革はこう進む90秒でわかる今後の教育改革ムービーパソコン学習、関心はあるけどお子さんに使わせるのはやっぱり不安…?お子さんがパソコンを使うことに不安を感じられる親御さまがいらっしゃるのも事実。有害サイト、課金、パソコンばかりで外で遊ばなくなる…確かにそんな話を聞いたら消極的になってしまうかもしれません。でも、その不安もかんたんな設定でクリアできます。パソコンから広がるお子さんの可能性に、安心して期待できる環境をつくってはいかがでしょうか?その不安、「ファミリー機能」で解決できます。「ファミリー機能」の安心ポイント【ポイント01】フィルタリング機能で有害サイトへのアクセスを制限できます「ファミリー機能」の「フィルタリング機能」を使えば、お子さまが有害なサイトにアクセスするのを防ぐことができます。また制限のレベルやコンテンツのカテゴリー別に制限をかけるなど、より細かな設定も可能です。【ポイント02】使えるアプリとゲームを制限できます「ファミリー機能」を使えば、アプリやゲームへのアクセスを制限したり、特定のアプリやゲームの利用を禁止することができます。またクレジットカード番号の入力の際に暗証番号を設定しておけば、不用意にお子さまが課金できなくなります。【ポイント03】パソコンの使用時間を制限できますお子さまがバーチャルの世界で時間を費やしすぎないように、使用時間を制限することができます。方法は2つ。パソコンを使用できる時間帯を設定する方法と、パソコンを1日何時間まで使用できるかを決める最大時間数を設定する方法です。たとえば平日は1日2時間までに制限し、週末はもっと長く使えるようにすることも可能です。今年の夏休みの自由研究で、パソコンにチャレンジしませんか?タイピング、プログラミングなど、パソコン学習にもいろいろとありますが、今年はパソコンを使った自由研究にチャレンジするのはいかがでしょうか?学研キッズネットの自由研究プロジェクトなら、豊富なテーマの中から自分の研究したいテーマが選べ、自由研究に必要な要素が予めデザインされたテンプレートを使えば、簡単にきれいな作品が作れます。夏休み限定で、「パソコンでつくる自由研究コンテスト」も実施していますので、この機会に是非ご参加ください!学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。すくすく伸びる子どもたちのために
2019年07月19日2歳くらいに訪れるイヤイヤ期。何を言っても嫌。あれも嫌。これも嫌。この時期は、子どももよくわかっていないし、なんでも「嫌!」と言ってみているんだなとおおらかに構えていられました。娘が3歳を迎えるころになると、言葉はたどたどしくても、いろいろ理解して会話らしきものもできるようになってきました。ここで、娘との言い合いが増えてきたのです。 娘のわがままにイライラ! 思わず手が出そうに3歳近くになると、「嫌」と言う以外にも、「これをしたい」「あれをしたい」という要望も多くなってきます。たとえば、よくあるのは「お菓子を食べたい」「アンパンマンを観たい」など。こちらとしては、お菓子を食べるのはごはんを食べてから、アンパンマンを観るのはお風呂に入ってからなど、親としての都合がいろいろあります。 そこで、「ごはんを食べてからね」などと言うのですが、「お菓子を食べる!」と言って頑として聞かない。こちらも負けじと「ごはんを食べてから」を繰り返すわけですが、繰り返しているうちに娘が大泣きしてヒスを起こす……。こうなると、こちらもイライラして思わず手が出そうになります。 母に言われた「半分しかわかっていないんだから」これを毎日のようにやられると、イライラ度も増してきます。毎日、娘に対して怒っている自分を振り返り、「これって虐待に近いのかも……」と不安になることも。 すっかりイライラして、実家の母に愚痴をポロリとこぼしました。「本当に頑固で嫌になる。言い出したら聞かないし、言ってもいうことを聞かない」すると、母に言われたのです。「まだ半分しかわかっていないんだから」と。 まだ3年しか生きていない会話ができるようになって、すっかり対等に娘と話すようになっていましたが、相手はたったの3歳。まだ3年しか生きていないんだと、ふと我に返りました。娘にとっては、「今」したいことがすべて。なぜ、お菓子を食べたいと言っているのに、ごはんを食べなくてはならないのか、因果関係としてまだわからないんですよね。 そう思えてから、娘にとっての「今」を中心に話すように心がけるようにしてみました。たとえば、「お菓子を食べたい」という要望には、「ごはんを食べてから」という回答ではなく、「今はあげられない」と回答して、気を逸らせてから「ごはんを食べよう!」と違う話題に振ってしまう、という具合です。 子どもにもよると思いますが、この時期も今思えばちょっとの期間でした。3歳を過ぎた今では、「◯◯したら、お菓子食べようね」と自分の要望を叶えるためにまずしなければならないことを自分から言うようになりました。イライラしてしまったら、まだまだ半分くらいしかわかっていないんだと思ってみると、ちょっと心が軽くなるかもしれません。 イラスト:imasaku著者:ヒロコ ラメッシェ4歳女児の母。旅行雑誌編集デスク、アルバイト情報サイト編集長を経て、フリーのWEBプロデューサー&ライターとして活動中。現在、モロッコ在住。自身の経験からママたちと共有したい情報を発信中。現在、モロッコ在住。自身の経験からママたちと共有したい情報を発信中。メンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラーの資格を持つ。
2019年07月14日教育先進国として名高いフィンランド。そのメソッドが優れていることは世界的に有名ですが、実際にどのような教育や政策が実施されているかご存じですか?日本で行なわれている教育との差は、いったい何なのでしょうか?今回は、日本とフィンランドの教育を徹底比較していきましょう。フィンランドの学校教育フィンランドの教育が世界から注目されるようになったのは、1968年に行なわれた大々的な教育改革がきっかけでした。この改革により、フィンランドは「持てる資源のほとんどを教育に投資する」「男女、家族の背景、財力は関係なく、万人に教育の機会を与える」という方針のもと、1972年には初等学校・中等学校を総合学校として統合し、義務教育をこれまでの6年から9年に延長します。この総合学校とは、日本の小学校と中学校にあたるものです。9学年全てが同じ校舎で学ぶ場合と、1~6学年と7~9学年の校舎が分かれている場合があります。総合学校を卒業した後、子どもの約半数は普通高校に進み、大学または応用化学大学への進学を目指します。それ以外の子どもは職業高校へ進み、実際の現場や学校などで職業訓練を受け、職業資格、上級職業資格、専門職業資格という3段階の資格を取得するのだそう。いずれの学校も、卒業までに2~4年かかります。待機児童問題とは無縁なフィンランド日本ではここ数年、保育園不足や待機児童問題が深刻化しています。厚生労働省の調査によると、平成29年度の待機児童数は全国で26,081人。前年比2,528人の増加でした。一方、フィンランドでは保育が必要な全ての子どもに保育施設を24時間確保することが各自治体に義務づけられており、違反した場合は罰則があります。そして、親の就労状況に関係なく、0歳から保育園(日本の保育園・幼稚園に相当)を利用することができるのです。また、総合学校での初等教育が始まる前の1年間は、保育園もしくは学校内でのプレスクール(就学前教育)に通って社会性を育てることが義務教育に含まれています。フィンランドと日本の教育比較日本とフィンランドには、幼児教育や義務教育のシステム以外にも、さまざまな違いがあります。・教育費日本では、認可保育園の場合は保護者の収入に応じた保育料がかかり、高校や大学では学費などの負担があります。しかしフィンランドでは、プレスクールから大学・大学院まで無料で通うことが可能です。総合学校では、教科書や給食も無料。高校では、教科書代の負担はありますが、給食は無料です。家庭の経済状況にかかわらず、学びたい子どもはしっかり学べるという体制が整っているのです。昨今日本で増えている、大学卒業後の奨学金返済が生活を圧迫しているという問題も、フィンランドであれば起こることがなさそうですね。・読書量フィンランドの読書量は世界1位。図書館の数はもちろん、図書館を利用しにくい地域を巡回する移動式図書館の数も多く、国民が図書館利用に熱心であることで知られています。昨今読書離れが指摘されている日本とは対照的ですね。ところで、「読書量が算数の成績を左右する」ことはご存知ですか?「読書量の多い人は国語の成績が良い」というイメージを抱いている方は多いかもしれませんが、「読書量が多いほど算数の偏差値が高い」という研究結果も出ているのです。2016年から2017年にかけてベネッセが行なった調査によると、読書量の多いグループと全く読書をしないグループとでは、読書量の多いグループのほうが全ての科目において成績が良く、中でも算数の偏差値において最も大きな差が開いたのだそう。フィンランドが教育先進国として成績を残している理由には、読書量も関係しているかもしれませんね。・授業や休みの日数フィンランドの年間授業日数は190日程度で、日本よりも40日程度少なくなっています。加えて、夏休みが2ヶ月。さらに、小学生のうちは宿題やテストもほとんどなく、塾もないので、学習時間そのものが他の国と比べて短い傾向にあります。小学生のうちから塾に通うことが当たり前になっている場合も多い日本からすると「そんなに休んで、勉強は大丈夫なの?」と不安になってしまいそうですが、逆に遊びと勉強の切り替えがしっかりとできるようになり、限られた時間で集中して学習に取り組むようになるのです。・PISAテストの結果フィンランドは、経済協力開発機構(OECD)が3年に1回、世界各国の15歳の子どもを対象に実施している「国際学習到達度調査(PISA)」で常に上位となっていましたが、2016年には数学の結果が12位と順位を落としています。一方で日本の数学の成績は5位でした。しかし、フィンランドではこの結果を受けても教育制度の改革をする予定はないそうです。その理由は、フィンランドの教育指針は生徒の勉強時間を多くすること“ではなく”、「学校を楽しくおもしろい場所にすること」だから。順位という数字に一喜一憂することなく、教育の本当の目的をしっかりと見定めているのです。・地域の子育て支援日本では、ワーキングマザーや、子どもがいる共働き家庭に対する理解や支援が、まだまだ充分ではありませんよね。一方、フィンランドのヘルシンキ市には、「レイッキプイスト」という日本の学童保育と子育て支援センターを併せたような施設があります。ここでは、おやつ代のみという格安の料金で放課後の学童保育を利用できるほか、夏休み期間は子どもに無料で昼食を提供するサービスを行なっているそう。このように、社会全体で子育てをする文化があり、子育てと仕事が両立できる体制が整っているのです。フィンランド式教育のメリット日本に比べて授業時間が少なく、休暇を十分に取っているフィンランドの教育ですが、さまざまなメリットがあります。一般財団法人基礎力財団理事長の陰山英男氏いわく、勉強は短時間で済ませたほうが学力が上がるのだそう。小学校高学年では、2時間程度をピークに、3時間、4時間と学習時間が増えるにつれて成績が落ちていったという結果が出ていると言います。反対に、学習時間が短ければ、そのぶん集中して学習することができるようになり、脳が鍛えられていくのだそう。「○分だけ」と時間を決めて行なうことで、毎日続けやすくなる効果もあるため、勉強の習慣も身につきやすくなります。また、自由時間がきちんと確保されていることから、自分の得意分野を見つけたり個性や能力を伸ばしたりする機会につながり、子どもの自己肯定感を伸ばすきっかけになるのも利点です。幼少期から習い事や塾などの教育に熱心になるケースが多い日本ですが、たまにはフィンランドのように、「遊ぶ時間を十分確保して、限られた時間で集中して勉強する」ことを実践してはいかがでしょうか。***フィンランドと日本の教育には、それぞれ優れた面があります。子どもの性格や生活環境に合わせて、適宜使い分けてみるのもいいかもしれませんね。文/田口るい(参考)Compathy Magazine|日本も後に続け!世界一の学力を誇るフィンランドの教育とは?こどもまなび☆ラボ|「フィンランド教育」の特徴とは?「教育費無料」にとどまらない、教育大国のシステムホンシェルジュ|ゆとり教育風のフィンランド教育?特徴と課題、日本の教育との違いに迫るクーリエ・ジャポン|子供を高い私学に入れるのはカネの無駄?「PISA」の結果を各国メディアはこう報じた東洋経済オンライン|フィンランドのワーママに「罪悪感」などない厚生労働省|「保育所等関連状況取りまとめ(平成 29 年4月1日)」カレントアウェアネス・ポータル|フィンランドの公共図書HugKum|小1は15分、小2は30分。勉強は短時間で済ませるほうが、学力が上がる!【隂山英男の家で伸ばす! 子どもの学力】こどもまなび☆ラボ|読書量が算数の成績を左右する!?子どもの学力を上げるために「1日数分」からできること影山ラボ|子どもは無限に育つ
2019年06月22日近年、虐待に関する悲しいニュースが続いていますよね。同じ子どもを持つ親として、心を痛めている方も多いのではないでしょうか。しかし、こうした問題は決して他人事ではありません。なぜなら、虐待は悪意のもとになされるものだけではないから。「子どものためによかれと思って」なされた行動が、親の自覚のないままに虐待とみなされるケースもあるのです。特に、「教育虐待」にはその傾向があります。「教育虐待」は、ここ数年で広まってきた言葉ですが、どのような行為を指すかご存知でしょうか?「知らない」という方のなかには、気づかないうちに当てはまってしまっている方もいるかもしれません。そこで今回は「教育虐待」と「教育虐待を未然に防ぐ方法」についてお話しします。「教育虐待」は子どもの将来に多大なダメージを与えるみなさんは、自分の子どもに下記のような「しつけ」や「教育」を行なっていませんか?・宿題が終わっていないと、夜遅くまでやらせる・解けない問題があると、「どうしてできないの?」と責める・塾や習い事でスケジュール漬けにしている・親子間の約束が守られなかったとき、厳しく責め立てる・成績が悪いと、「努力が足りない」「人間のくず」などの暴言を浴びせる一見、よくある「しつけ」や「教育」のように思われるかもしれません。しかし、これらの行為が子どもを過度に追い詰めた場合、「教育虐待」とみなされることがあります。青山学院大学の古荘純一教授によると、「教育虐待」とは、教育を理由に子どもに無理難題を押し付ける心理的虐待のこと。2011年の「日本子ども虐待防止学会」で初めて発表された、新しい考え方です。「教育虐待」を受けている子どもは、大人になってからも、他者からの指示がなければ動けなくなる恐れがあります。また、自信が持てない、何をしても楽しめないなど、心の問題を抱えてしまうことも。学校生活や就職活動を機に不適応行動を起こす人も少なくありません。こうしたことから、「教育虐待」は子どもの将来に多大なダメージを与えるということがわかります。「子どものために」と言いながら子どもを追い詰める親たち「教育虐待」という言葉を広めた武蔵大学の武田信子教授によると、教育虐待に走りやすい家庭は、下記のような特徴を持っている家庭が多いと言われています。1. 親自身が、経済的事情などで進学を諦めた経験がある2. 母親が不本意に仕事を辞めて、専業主婦になった3. 子どもの両親ともに高学歴で社会的地位が高い上記の1と2の親が「教育虐待」をした場合の理由として考えられるのは、自らの生き方や学歴にコンプレックスを抱いているということ。子どもには同じ苦しみを与えたくないという強い思いから、自分が経験した失敗を避けるための教育に力を入れてしまいます。一方、3の親の場合は “失敗知らず” ですが、逆に自らの成功体験に依存しているということが考えられます。自分の知らない道を子どもに歩ませることを極端に恐れ、子どもにも高学歴・社会的地位の高い大人を目指すことを強制してしまうのです。社会福祉法人カリヨン子どもセンターの石井花梨事務局長いわく、教育虐待は決して特別な家庭に限った話ではないのだそう。表面的には「子どものために」という親心のもとに行なわれているのです。しかし、本当に子どものことを考えていると言えるでしょうか。本当に子どものことを考えていれば、子どもを追い詰めるほどの行為には至らないはずです。そう考えると、「教育虐待」をしている親は、「子どものために」と言いながら、実際には自分のために、過度な「しつけ」や「教育」を行なっているのだと言えますよね。その教育、本当に必要……?子どもを見て考え直そうとはいえ、「しつけ」や「教育」そのものを怠るわけにはいきません。親として、子どもに適切な「しつけ」や「教育」を行ないつつ、「教育虐待」しないようにするには、どうすればいいのでしょうか。小児科医の高橋孝雄さんは、親の「しつけ」や「教育」が虐待になるかどうかの分かれ目は、「親の関心が子どもにあるのか、テストの点数や合格した学校などの成果にあるのか」であると言います。前者であれば、自分の行為によって子どもが追い詰められていたら、すぐに気づいて対処できるはずです。しかし、後者の場合、子どもの変化に気づけないまま、子どもを追い詰め続けてしまうことがあります。教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏いわく、現在の教育虐待には、「親自身の不安を解消しようとしている」という構造があるのだそう。我が子が新しい時代を生き抜いていけるのかが不安で、親が思う解決策を与えようと無理やり難関大を目指させたり、子どもの望まない習い事でスケジュールを埋めたりしてしまうのです。しかし、子どもたちがこれから生きていくのは、親たちが生きてきた世界とは全く異なり、予想もつかない世界。おおた氏は、親が与える解決策にはあまり意味がないと言います。まずは、「親は無力である」と親自身が自覚することが大切なのだそう。「教育虐待」を未然に防ぐのに必要なのは、まず子ども自身に関心を持つことです。子どもの様子をよく観察し、今行なっている「しつけ」や「教育」が本当にその子に必要なのか、よく考えなくてはなりません。たとえば、子どもが習い事に行くのを嫌がったとき、たまたま気分が乗らないだけなのか、ずっといやいや通っていたのか、はっきりさせることが必要です。そのうえで、なぜその習い事に通わせているのか、親の考えを伝えます。最後は、「続けるのか辞めるのか、あなたが決めていいよ」と、子どもの意思を尊重しましょう。子どもの人生は子どものものであることを自覚したうえで、子ども自身の生きる力を信じてあげることが大切なのです。***子育てをしていると、子どもが自分の分身であるかのような錯覚につい陥ってしまうことがあるでしょう。だからこそ、より幸せな人生を歩めるように導かなくては、と考えてしまいます。しかし、子どもは親と同じひとりの人間であり、親の分身ではありません。どんな人生を歩むことが幸せか、決めるのは子ども本人です。親が特別なことをしなくても、自分の思う幸せを追い求め、たくましく道を切り開いていきます。親は、それを一番近くで応援してあげればいいのです。(参考)こどもまなびラボ|「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには “決定的に足りない” 時間がある日経DUAL|「勉強しなさい」エスカレートすれば教育虐待に東洋経済ONLINE|中学受験で教育虐待しやすい親の2つの特徴東洋経済ONLINE|「あなたのため」が「教育虐待」に変わるときPRESIDENT Online|なぜ「教育」という名の「虐待」が増えているのか朝日新聞DIGITAL|しつけに名を借りた虐待…どの家庭でも起こりうる「考える力」を伸ばす『地図育®』コラム|教育熱心も度が過ぎると虐待になる?あなたのその行動が”教育虐待”にならないように気を付けよう日経DUAL|「教育熱心」と「教育虐待」線引きはどこに?
2019年06月20日ICT教育とは、簡単に言うと「デジタル機器(タブレットやパソコン)を使った教育」のことを指しますが、そのメリットや注意点を正しく理解しているでしょうか。ICT教育は、国もその重要性を認識し、ガイドラインが策定されています。そのため、今後多くの学校でICT教育が取り入れられると予想されているのです。この記事では、ICT教育の代表的なメリットや、ICT教育を受ける際に注意しておきたいことも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。そもそもICT教育とは?そもそもICT教育とは、インターネット、パソコンやタブレットを利用した教育のことです。「ICT」は、「Information and Communication Technology」の頭文字をとった言葉で、「情報通信技術」という意味で、現在非常に注目されています。ICT教育では生徒1人ひとりに端末を配布し、紙ではなくデジタルを媒体とした授業を行います。事前に作成したデータや動画を用いて授業を行うため、紙を使った授業ではできなかった五感を刺激する授業が可能です。特に、紙では伝えづらかった英会話や図形問題では、理解を深めるのに役立つでしょう。今後は情報通信技術が益々重要になっていくことが考えられているので、総務省や文部科学省もガイドラインを策定するほど重要でありと認識されています。しかし、現在はすべての学校でICT教育を受けられるわけではありません。子どもにICT教育を受けさせたいのであれば、ICT教育を導入している学校を探す必要があります。ICT教育のメリットとは?ICT教育のメリットには、代表的なものに以下の3つがあります。授業が分かりやすくなる効率的に授業の準備ができるデジタル機器が身近な存在になるひとつずつ解説していきます。●授業が分かりやすくなるICT教育を導入することにより、インターネット環境や映像を使うことで授業が理解しやすくなります。具体的な例を挙げると英会話がイメージしやすいのではないでしょうか。英語の授業は、英語が話せない日本人教師が教えています。そのため、ネイティブな発音による授業が難しく、文法ばかりの授業で英会話が身につきにくい環境です。しかし、ICT教育を取り入れることで、インターネットを通じてネイティブに話せる講師が授業を受け持てるため、子ども達は日頃からネイティブな英語に慣れ親しめます。幼いころからこの環境が整っていれば英会話が身近なものになり、今以上に実用的な英語力が身につくことに期待ができるのです。他にも、アニメーションを使った授業を行えば、図形を立体的に認識する手伝いができたり、歴史に興味を持ちやすくなったりすることに期待できます。また、端末を使った授業なので、何度も同じ授業を見直せるため、自習がしやすくなり理解度の向上にも役立つでしょう。ICT教育を取り入れれば、再生するだけで教師の授業を何度でも受けられます。興味が持ちやすく分かりやすい授業を受けることが可能なので、子ども達の理解度を高められる可能性があるのです。●効率的に授業の準備ができるこちらは教員側のメリットになりますが、ICT教育を取り入れることで効率的に授業の準備ができるため、教師の負担を軽減することができます。というのも、紙が媒体の授業を行う場合はプリントを作ったり、1人ひとりのテストの採点を教師が行ったりする必要がありました。授業の準備やテストの採点は教師への負担が大きく、退職する理由のひとつでもあったのです。しかし、ICT教育ならデジタル機器を使った授業になるので、授業の準備はデータの必要な箇所の修正や追加で済みます。小テストのような頻繁なテストもデジタル化することで、準備が簡単になるだけではなく、採点の時間を大幅に削られるようにもなるでしょう。その結果、ICT教育は残業や休日での仕事を減らせるので、教師の負担を大きく軽減させることができます。●デジタル機器が身近な存在になる日本に限らず、世界的にパソコンやスマートフォンなどのデジタル機器が身近な存在になりつつあります。一昔前まで、パソコンやスマートフォンを持っている人は多くありませんでしたが、現在は仕事や大学でも使用する場面が増えたため、デジタル機器を取り扱えるスキルが必須になってきています。このような流れからも、パソコンやスマートフォンが使えなくては、社会に出てから戦力になりづらくなってきています。そのため、これからの子ども達は今までの授業と同時に、デジタル機器の取り扱いについても理解することが必要と言えるのです。ICT教育を導入することで幼いころからデジタル機器の扱いに慣れさせることができるため、デジタル機器の導入による授業の効率化に加え取り扱いも学ぶことができるため一石二鳥です。さらに、デジタル機器は非常に高価なので、家庭の収入差によるデジタル機器を取り扱う機会に差がありましたが、ICT教育を受けることによりすべての子ども達が平等にデジタル機器を身近な存在にできるようになるのもメリットの一つです。仕事の自動化やビッグデータの取り扱いなど、今後益々デジタル機器を使った仕事が増えていくことが考えられており、ICT教育はそんな状況になっても対応できるような教育が期待できるのです。ICT教育の注意点生徒の理解度を深めたり教師の負担を軽減させたりと、ICT教育には大きなメリットがあります。しかし、ICT教育は大きなメリットと同時に、注意したほうが良いこともあるのです。ICT教育で注意しておきたいことは、主に以下の3つです。時代とともにトレンドが変化するVDT症候群になる可能性がある想像力が低下する可能性もある子どもにICT教育を受けさせたいのならば、情報収集してよく注意しておきましょう。●時代とともにトレンドが変化するデジタル機器や情報通信技術というものは、進化が非常に早いです。つい最近出たデジタル機器や技術でも、数年後には古くて誰も使わなくなっている可能性があります。せっかく学校で習得したことや慣れた端末がトレンドではなくなり、将来役に立たない知識や技術になるかもしれません。そのため、ICT教育を受ける際はトレンド色の強い知識や技術だけではなく、ワードやエクセルなど凡庸性が高い教育も受けることをおすすめします。●VDT症候群になる可能性があるデジタル機器を使いすぎると、VDT症候群になる可能性があります。VDT症候群とは、パソコンやスマートフォンのディスプレイやキーボードの使いすぎで、肉体的・精神的に疲労をすることで起こる症状です。VDT症候群には、以下のような症状が確認されています。眼球……ドライアイ、視力低下、頭痛体……肩こり、腰痛、手のしびれ精神……イライラ、耳鳴り、頭痛VDT症候群を予防するためには、連続作業時間を60分以内にして定期的に休憩をするようにしてください。また、正しい姿勢で作業することも重要です。ICT教育を取り入れる場合は、自然とパソコンやスマートフォント接触する時間が増加しますので、子どもがVDT症候群にならないように常に注意してあげましょう。●想像力が低下する可能性もあるICT教育では、視覚から得られる情報量が非常に多くなります。調べれば解決してしまうため自分で考える機会が減ってしまい、その結果想像力が低下するかもしれないと考えられているのです。もし、ICT教育を取り入れるのなら、五感を使う教育をしたり、自分で考える時間を作ったりと、子どもの想像力を向上させる工夫をする必要があるでしょう。モバイル機器を禁止する時間を設けたり、親子で会話するときは調べることを禁止したり、子どもが想像力を働かせられる環境を整えることをおすすめします。まとめICT教育は学習効率を上げられるため、子どもには大きなメリットがあります。また、世界的にモバイル機器の取り扱いスキルや情報通信技術は必須スキルとなっていくことが予想されているので、社会に出てから苦労しないようにぜひとも取り入れておきたい教育方法です。しかし、ICT教育には気をつけなければいけないことが多々あります。もし子どもにICT教育を受けさせるのならばデメリットに関して把握しておき、ICT教育によるデメリットを最小限にする努力が必要になるでしょう。●ライター/高須 亮
2019年06月06日子どもたちの個性を大切にする『イエナプラン』教育で知られるオランダ。その教育環境の良さや子どもの幸福度の高さ(2013年・世界第1位)から、日本でもオランダ教育の要素を取り入れていこうという動きが出てきています。今回は、教師の役割や通知表の評価の仕方を通して、日本とは何もかも違うオランダ教育について考えていきましょう。イエナプランだけじゃない!?学校ごとに異なる教育方針オランダでは、学校が「子どもの未来を作る場」だと考えられています。そして、学校は「自分の好きなことや得意なことを見つける場所」という考えが、社会に根づいているのです。このように、国全体で子どもの未来につながる教育を目指していて、憲法でも『教育の自由』が保証されているオランダ。よく知られているのは「イエナプラン教育」ではないでしょうか。■イエナプラン教育って?ドイツのイエナ大学教授ペーター・ペーターゼンが生み出した、子どもたちの個性を大切にして対話を重視する教育のこと。<特徴>○異なる年齢の子どもたちが一緒に学習する。○子どもたちが輪になって、さまざまなテーマについて話し合い発表する。教師は進行役に徹する。○教室は「リビングルーム」という考え。グループ活動がしやすいように、自由に移動可能な机・椅子が配置されている。※イエナプランについて、詳しくは過去記事をご覧ください。□尾木ママ絶賛!“日本教育の3周先を行く”オランダの「イエナプラン教育」□オランダで大人気「イエナプラン教育」とは?日本でも開校間近“期待のスクール”の魅力。もちろん、オランダのすべての小学校がイエナプラン教育を取り入れているわけではありません。「100人いれば、100通りの教育方法がある」といわれるくらい多様性に富んでいるオランダ教育には、他国で生まれた教育も積極的に取り入れる柔軟さがあるようです。先生はコーチ!自己肯定感を育む授業の仕組み『子どもを伸ばす共育コーチング』(拓殖書房新社)の著者でコーチングのプロとして活躍中の石川尚子先生は、視察に行ったオランダの学校で次のような授業風景を目にしたそう。オランダの学校では、授業の折々に、先生から質問が投げかけられます。(中略)純粋に、子どもたちの考えを促す質問です。どんな答えが返ってきても、先生はまず受け止めます。ですから、子どもたちにも、先生が求めている正解を答えなければという思考がありません。誰かの評価を得るためではなく、純粋に自分はどう思うかを考え、表現し合います。(引用元:ベネッセ 教育情報サイト|教育にコーチングが根付いている国の子どもは幸福度が高い?[やる気を引き出すコーチング])その質問とは、「ここまでやってみてどう思った?」「どんなことに気がついた?」といった、子どもの内に秘められている言葉を引き出すものばかりだったそうです。そして授業の最後には、必ずこの学びの体験を次に活かす質問を投げかけます。先生から「次やるときは、どうしたらもっとよくなると思う?」などの問いを受けることによって、子どもたちは今回の体験を振り返り、次に活かすための気づきが生まれるのです。やってみて振り返り、またやってみて振り返る。オランダの教育現場ではこの過程が大事にされており、それはまさにコーチングのプロセスと手法だと石川先生は述べます。このプロセスを繰り返し、実践したことがうまくいくと、自己肯定感はより高まるそう。まずは大人が答えを持たずに、子どもの考えを受け止めることが大切です。そして、次に進むためにはどうしたらいいか、この学びからどんな気づきが得られたか、など子どもなりの考えを引き出すように導く「質問力」が必要なのですね。オランダは「先生こそが社会のことを一番知らない」という前提で教育プログラムが作られているそうです。極端な言い方になりますが、それは「社会に出たことがないから」。しかし、私たちが生活している「社会」は、日々ものすごいスピードで変わっていっているという現実があります。だからこそ先生は「教える人」「指導する人」ではなく、子ども一人ひとりの適性を見抜き、適した道に進めるようにアシストしてあげる「コーチ」に徹しているのです。点数で評価しない。通知表は子ども自身の成長の記録博報堂のクリエイティブディレクターを経て、家族の教育環境のためにオランダに移住した吉田和充さんは、小学校に通うお子さんが持ち帰ってきた通知表に非常に驚かされたそう。それは、日本の学校で渡される通知表とはまったく違うものでした。日本との大きな違いは、分厚いバインダーに挟まれた書類のような形式で渡されることです。このバインダーは入学時からずっと同じものを使い続けていて、4歳の最年少学年では絵や工作がファイルされているだけのこともあるそうです。学年が上がるにつれて、全国統一試験の結果なども加わってきます。内容としては、まず担任の先生の総評から入ります。A4サイズ1ページ分にもわたり、生徒のことをかなり詳細に記しているそう。次に生徒自身のコメントです。仲の良い友だちや好きな活動や遊び、授業について自分の言葉で書かれています。このように最初の2ページほどは、先生と生徒双方の総評のようなコメントが書かれているそうです。次にようやく成績に関するページが出てきます。ただし各教科で点数が重視されることはなく、過去の自分と比べた成長率が評価のポイントになります。つまり、すべての評価は『絶対評価』であり、大事なのは「前の学期の自分と比べてどう成長したか」ということだというのです。テストの点数や偏差値を重視しないのは、オランダが国として「学校は自分の適性や好きなことを見つけて、将来の自分の進む道を決める場所」という共通の認識をもっていることにほかなりません。通知表に記されている42個の評価項目の一部をご紹介します。・積極性・人の話を聴く力・リーダーシップ・プレゼン能力・計画性・他人を助ける能力・学校行事への参加度・自己主張力・協調性・独創性日本の学校の通知表でも同じような評価項目がありますが、「プレゼン能力」や「自己主張力」「独創性」などは、これからの社会を生き抜くために、ぜひ身につけたい能力です。我が子の成長と向き合うとき、「テストの点数が上がった」「同級生のほかの子に比べて優れている」という視点で見るのではなく、「1年前に比べて積極的に発言できるようになった」と評価してあげたいですね。***日本でも少しずつオランダ式の教育を取り入れようという動きが出てきているようです。いいところは取り入れつつも、日本独自の優れた教育は否定すべきではありません。目まぐるしく変化する世の中の流れに合わせながらも、常に「子どもにとって何が最善なのか」を考えて導いてあげる必要がありそうですね。(参考)現代ビジネス|「世界一の教育」オランダの小学校は日本とはレベルが違ったStudy Hacker こどもまなび☆ラボ|オランダで大人気「イエナプラン教育」とは?日本でも開校間近“期待のスクール”の魅力。Study Hacker こどもまなび☆ラボ|尾木ママ絶賛!“日本教育の3周先を行く”オランダの「イエナプラン教育」ベネッセ 教育情報サイト|教育にコーチングが根付いている国の子どもは幸福度が高い?[やる気を引き出すコーチング]FINDERS|「通知表」が変われば教育が変わる?オランダの通知表に見る世界一子どもが幸せな理由【連載】オランダ発スロージャーナリズム(11)
2019年06月04日先行き不透明なこの時代、子どもの将来に不安を感じる親が、わが子になるべくたくさんの教育をほどこそうとする風潮があります。ですが、中には子どもが大きな負担を強いられているようなケースや、課題をさぼったり期待通りの成果を出さない時に、つい強く叱りすぎてしまったり、時には罰を与えてしまったり…。そんな話を聞くことも決して少なくはありません。どこまでが教育で、どこからが虐待なのか? 何が親をそこまで駆り立ててしまうのか?『追いつめる親』『習い事狂騒曲』の著者であり、教育ジャーナリストのおおたとしまささんにインタビュー。第3回は、おおたさんが考える「これからの時代に必要な力」についておうかがいします。お話をうかがったのは… おおたとしまささん教育ジャーナリスト。麻布中高卒業、東京外国語大学中退、上智大学卒業後、リクルートにて雑誌編集。独立後、多数の育児・教育関連媒体の編集・企画に関わる。学校や塾などの教育現場を丹念に取材し、斬新な切り口で考察する筆致に定評がある。しつけから中学受験、夫婦関係までをテーマに、講演・メディア出演も多数。中高教育の資格、カウンセラーの資格。小学校教育の経験もある。『ルポ塾歴社会』『名門校とは何か?』『受験と進学の新常識』『中学受験「必笑法」』など著書は50冊以上。 『追いつめる親「あなたのため」は呪いの言葉』 の改訂版が2019年7月に出版予定。■あれもこれもの器用さはいらない! たった1本のナイフを磨き鍛えること――これからのグローバル時代を、子どもに「たくましく生き抜いてほしい」と願う親御さんは多いと思うのですが、どんな力が必要になるとお考えですか?おおたさん:私は、真のグローバル教育というのは、例えば、手元には1本のナイフしかないけど、これを使って森の中でどう生き延びるか? というようなことを考える訓練をつむことだと思っています。よくグローバルな人になるためには、英語やらディベート力やらあれこれ必要だと言われますが、大切なのはどれだけ多くのツールを持っているかではなく、自分の中の個性的なナイフをどれだけ鍛えておくことができるかだと思います。あれもこれもとツールを与えすぎることは、逆に子どもたちが本来持っているナイフをさびつかせてしまうことになりかねません。――たくさんの道具を与えるのではなく、本来子どもが持っている「1本のナイフ」を鍛えることが大事なのですね。おおたさん:親が与えすぎると、子どもは自分で選ぶことも考えることもできなくなります。それでは、よく言われる「指示待ち人間」になってしまいますよね。「指示待ち人間」ではこれからの世の中生きていけないということは、もう親御さんはとっくにわかっているはずです。――確かに。…そのはずなのに、気が付けばつい与えすぎてしまう。いったいなぜ!?おおたさん:親自身が与えられる以外の生き方を知らないからでしょう。必要な武器を自分で考えて、自分で手に入れて、自分で磨くという経験がないから、不安で怖い。だから、子どもにあれもこれも与えようとしてしまうのです。周囲に、「自分の道は自分が選ぶ」と言える大人がどれだけいるでしょうか? 大人たちが自分で自分の道を選んでいくことができていないから、無意識のうちに子どもたちにも自分の道を選ばせまいと仕向けてしまうのです。■ボーっとする時間…「余白」が子どもを育てるおおたさん:もちろん、子どもにたくさんの機会を与えてあげたい、いろいろな能力を伸ばしてあげたいという親の気持ちは間違っていませんし、よくわかります。例えば、習い事をつめこんでしまうのも、どこにどんな才能があるかわからないから、いろいろなことをやらせて引き出してあげたいという気持ちからだと思います。ですが、そもそも子どもというのは、ボーっとしている時間に一番育つのです。そういう時間を奪ってしまったら、育つものも育たなくなってしまいますよ。――ボーっとしている時間に育つものとは?おおたさん:子どもは暇な時間があれば、それをどう使おうか考えて、そこで自発性が芽生えます。例えば、暇な時間があって、本を読んでも絵を描いてもつまらない。で、今度は庭に出て虫を取ってみたら、「あ!これ、すっごく楽しい!」と時間を忘れて取り組めたとします。そうすると、自分が何を好きで、何をしている時が幸せで、何を欲しているのかを感じ、自分自身を知ることができます。それが、「人生の羅針盤」を作るのです。幼児期は、その羅針盤に気づいて、それを使いこなす訓練をたくさんしなければならない。そのために必要なのが、ボーっとする時間なのです。常に予定を埋められて、ボーっとする時間を奪われると、人生の羅針盤を使いこなせない人になってしまいます。主体性なく、なんとなく世間的に良いと言われる方向を向いて生きるしかなくなった状態で、いくら高学歴や仕事スキルを得ても何の意味があるのでしょうか?――暇な時間に自ら考えて動いているうちに「人生の羅針盤」を築いていくのですね。おおたさん:親が子どもにいろいろなことを与えるのは、例えるなら、スマホに使うのか使わないのかよくわからないようなアプリを、とにかく大量に入れるようなものです。特に、今の親御さんは、正解がわからないといわれているこれからの時代に向けて、使えそうなアプリを全部入れておかなければという発想になって、インストールすることにばかり時間を費やしてしまっているように思います。でも、本当にやらなければならないのは、スマホ自体の性能をあげることです。OS(基本ソフト)やCPU(中央演算処理装置)をアップデートして、将来、アプリをサクッとダウンロードできるような本体にしてくことが大事なわけです。そもそもの優先順位が間違ってしまっているのです。■習い事は何のため? 結果を求めすぎて奪われる「3つの時間」おおたさん:また、私は、習い事はスキルを身につけることが目的ではないと思っていて。習い事の目的は、「夢中」になって「達成」して「挫折」して「克服」する、この4つのサイクルを経験し人間的に成長することだと思っています。――具体的には、どういうことでしょうか?おおたさん:例えば、子どもが水泳に夢中になって、25メートルが泳げるようになったり、何か目標を達成したりするとします。でも、がんばればがんばるほど、思うようにタイムが伸びなかったり、必ずどこかで壁にぶちあたる時がきます。そこで、子どもが「もう辞める」とくじける。でも、それでもがんばってみようと乗り越えた時に、ネガティブな部分を克服するというすばらしい経験をすることができるのです。こうした経験は、勉強やほかの体験にも応用が効きます。――なるほど…。でも、習い事にスキルの獲得を求めてしまっている親御さんも多いように感じます。おおたさん:「ボーっとする子どもの時間を奪っていないこと」「子どもの基本的な成長に必要な時間を奪っていないこと」「家族の時間を奪っていないこと」、その3つの時間が確保できるうえなら、スキルを獲得するためでも良いと思いますよ。でも、少しでも空き時間があると「もったいないから」とつめこむのは大きな間違いです。――話はちょっと変わりますが、一時期、幼児教育ブームが起こり、本を数千冊読んだり高い飛び箱を飛んだりという園の教育がメディアで称賛されていましたが、おおたさんはどう思われましたか?おおたさん:サーカス団に入れれば、クマだって玉乗りするしライオンだって火の輪をくぐりますよね? それと同じで、子どもだって鍛えればできるようになるかもしれません。でも、「それに何の意味があるのですか?」ってことなのですよ。本は数千冊読んだからすごいのでしょうか。1冊の本にこだわって何度も読み返すことだって大事ですよね。実際、子どもは気に入った絵本を何度でも読みたがります。子どもには子どもの物差しがあるのに、大人が子どものことを知らないから、大人の価値観で「数千冊も読むのはすごいこと」と決めつけてしまう。逆に、数千冊読むことで損ねていることもある。そういう視点も持ってほしいと思います。■「親は無力である」その自覚が子どもの励ましになることもおおたさん:子どもが育つうえで、親の影響力は絶大です。ですが、結局のところ、親は実は無力なのです。親になると、子どものためにあれもこれもしてあげようという気持ちにかられます。でも、それがそのまま親の期待通りの成果をもたらすとは限りません。むしろそうならないことの方が圧倒的に多いですよね。――確かに。それに、子どもに期待通りの結果を望むのは親のエゴですよね…。おおたさん:親ができることは、子どもを励まし見守ることだけ。「生まれてきてよかったね」「ひとりぼっちじゃないよ」と言ってもらえ、「あなたの人生はあなたしか歩めない」と認めてあげることだけなのです。でも、無力であることは、決して悪いことではありません。たとえ、子どもと一緒にオロオロすることしかできなくても、それが子どもにとって生きる支えになるのです。むしろ、親が子どもにしてあげる、最高の励ましであることも多いのです。同時に、親は子どもの人生を支えることだけに依存せず、自分の道を自分で選ぶような生き方を常に実践していかなければなりません。「自分の道を自分で選ぶ生き方」の手本を示すことができれば、それが親にできる最高の教育であると私は思っています。親は自分の理想を子に押しつけるのではなく、ありのままの子どもを認めてあげればいい。そうすれば、子どもはまぶしいくらいに輝きはじめます。そして、不安な気持ちでいっぱいになりながら、子どもの背中を見守るしかないというのが子育ての本質であり、そのこと自体がこのうえなく幸せなことなのではないでしょうか。生まれたばかりの頃は、ただ健康で元気に育ってくれればそれで良かった。なのに、いつから、親はわが子に「もっともっと」と求めてしまうようになるのでしょう?「教育虐待」の話を聞いていて、いつの間にか子育ての原点に立ち帰らせられた、そんな取材でした。まちとこ出版社N
2019年05月30日先行き不透明なこの時代、子どもの将来に不安を感じる親が、わが子になるべくたくさんの教育をほどこそうとする風潮があります。ですが中には、子どもが大きな負担を強いられているようなケースや、課題をさぼったり期待通りの成果を出さない時に、つい強く叱りすぎてしまったり、時には罰を与えてしまったり…。そんな話を聞くことも決して少なくはありません。どこまでが教育で、どこからが虐待なのか? 何が親をそこまで駆り立ててしまうのか?『追いつめる親』『習い事狂騒曲』の著者であり、教育ジャーナリストのおおたとしまささんにインタビュー。第2回は、「教育」と「虐待」の境目についておうかがいします。お話をうかがったのは… おおたとしまささん教育ジャーナリスト。麻布中高卒業、東京外国語大学中退、上智大学卒業後、リクルートにて雑誌編集。独立後、多数の育児・教育関連媒体の編集・企画に関わる。学校や塾などの教育現場を丹念に取材し、斬新な切り口で考察する筆致に定評がある。しつけから中学受験、夫婦関係までをテーマに、講演・メディア出演も多数。中高教育の資格、カウンセラーの資格。小学校教育の経験もある。『ルポ塾歴社会』『名門校とは何か?』『受験と進学の新常識』『中学受験「必笑法」』など著書は50冊以上。 『追いつめる親「あなたのため」は呪いの言葉』 の改訂版が2019年7月に出版予定。■教育と虐待、その境い目の見極め方法――明確な線引きは難しいと思うのですが、「教育的指導」と「虐待」の境目をきちんと知っておきたいです。おおたとしまささん(以下、おおたさん):概念的な線引きとしては、「子どもの人権を尊重しているか」というところです。子どもを親の所有物ではなく、自分と同じひとりの人間だと思うことができているかどうか、それが「教育的指導」と「虐待」の境目だと思います。――具体的な目安はありますか?おおたさん:例えば、1日5時間勉強させても全然平気な子もいるのですが、普通の子にさせたら大抵はつぶれてしまいます。それと同じで、負荷はその子にとっての相対的なものである、ということがまず大前提です。そして、その相対的な負荷が子どもの受忍限度を超えていることに気づくには、なんらかの負荷(勉強や習い事など)をかけた後の子どもの表情を見ればわかると思います。例えば、勉強が終わった後、「つらかったけどやっと終わったぜー!」というふうに晴ればれとした明るい表情になっているのか。それとも宿題が終わった後も「また明日もあるのか…」というふうに全然表情が輝かないのか。それが、ひとつの判断材料になると思います。負荷が終わった後にショボンとしているようでしたら、それは明らかに「これ以上やったらマズイ」というサインです。■「どうしてできないの?」「約束したでしょう?」2つの言葉が子どもを追いつめる――教育熱心すぎる親がやってしまいがちなNG対応はありますか? おおたさん:2つのパターンがあります。1つは、「どうしてできないの?」という言い方。そう言われても、わからないものはわからないのだからどうしようもないですよね。追いつめられれば追いつめられるほど、子どもの頭は真っ白になってしまいますし、「こんな問題ができないあなたはバカ」という含意が子どもを直撃します。――確かに…。ですが、親がつい言ってしまいがちな言葉です…。おおたさん:もう1つは「約束」です。例えば、テストで悪い点を取ると、教育熱心な親御さんは「どうしてこうなったのか?」「これからどうするか?」と冷静に原因と対策について話します。そして、「じゃあ具体的にどうするんだ?」と問いつめます。ヘビににらまれたカエル状態の子どもは、「これからはゲームの時間を減らして毎日勉強する」などと言わざるを得ません。ほとんど誘導尋問なのですが、こうして子どもは約束させられるわけです。でも、約束した時は本気でも、人間はそんなに強くありませんし、ましてや子どもです。ですが、約束が破られた時、「やるって約束したのに! 約束を破ったのか!」と親は理論武装して責め、子どもは言い逃れができず、追いつめられてしまうのです。――身に覚えがあるような…(苦笑)。おおたさん:実は、むやみに怒鳴ったりたたいたりする親御さんは少数で。最近の多くの親御さんは、こうして子どもを叱るに十分な理由をみつけてから、その正論を振りかざして、子どもを追いつめるのです。でも、たとえ、そこに正論があったとしても、相手を傷つけすぎて良いわけがないのです。親がやるべきことは、どうしたら子どもが悪かったと理解してくれるのか、次から改善してくれるのかを考えること。なのに、目的が自分のネガティブな感情を全部吐き出して、子どもにぶつけることに変わってしまっているのです。■体罰は愛ではない! 指導者としての未熟さが原因――「時には、ビシッと親の力を見せつけてやらないとなめられる」という厳しい親の意見も耳にしますが、どう思われますか?おおたさん:家庭において、親は絶対的な強者で子どもは弱者です。親という圧倒的に強い立場を利用して、逃げ場がない子どもを追い込むのは、穴に落ちた犬に石を投げるような卑怯(ひきょう)なことだと思いますけどね。以前、北海道で、親がしつけと称して山中に7歳の子どもを置き去りにした事件(※)がありましたよね? 当時も「親の行為はしつけか、虐待か?」と話題になりましたが、山中に幼い子どもを置いていくなどということがしつけのわけがない。あれは命に関わるような暴力的な行為で、たとえどんな理由があっても絶対にやってはいけないのです。――当時、「似たようなことをやってしまったことがある」という親御さんも少なくなかったですよね。おおたさん:中には、しつけと称して、愛があればたたいていいと体罰を容認する人もいますが、私は、体罰を生むのは愛ではなく、指導者としての未熟さだと思っています。言葉や態度による罵倒も同じです。スパルタ的な指導で子どもが伸びるという人もいますが、罰による成長は一時的なものであり、本質的な成長にはなりません。人は変えられる(外的動機づけ)のではなく、自ら変わる(内的動機づけ)のですから。 ■子どもの言動にイラッ「どうしても怒りが抑えられない時は?」――でも、親も未熟で、怒りの感情が抑えられない時もあります。そんな時はどうしたらよいのでしょう?おおたさん:ひとつ提案があります。子どもの言動にイラッとしてしまった時は、「今、自分は溺れかけているんだ」と考えてみてください。溺れている時、あなたはまず何をしますか? まず、口を閉じますよね? 次に、ジタバタするのをやめますよね? そうやって溺れた時と同じようにふるまったうえで、自分の感じていることをただ言葉にするのではなく、どうやったら子どもが前向きな気持ちで、自らの行動を改めようと思えるようになるか、翻訳するひと手間を考えましょう。いい翻訳が思いつかない時は、そのまま口を閉じていることが最善の策であることも少なくありません。――すでにやってしまった(手を出してしまったり暴言を吐いてしまったり)場合、親はどうやってリカバリーしたらいいのでしょう?おおたさん:間違いに気づいた瞬間から、親子関係をどうつくっていくのか、どんな親になりたいのか、それを考えればいいと思います。大切なことは、起きてしまったことを否定するのではなく、それを糧にするにはどうしたらいいかを考えること。望ましくないことが生じてしまった時、それを今後の糧にすることができるかどうかが、その人の強さだと思います。親も強くならなければいけないし、子どもにもその強さを学んでもらわなければならない。親も子どもも成長しています。親子関係も修復可能です。取り返しがつかないなんてことはないのですから。友人や仕事関係の相手にはきちんと配慮できるのに、わが子となると遠慮なく追いつめてしまう。子どもなら許されると思ってしまう。そこには、どんなに傷つけても結局、子どもは親以外には頼れない、という親のおごりや甘えがあるのかもしれません。でも、おおたさんが言うように、「たとえ、正論だとして相手を傷つけすぎて良いわけがない」のです。怒りが抑えられない時は、せめて「口を閉じる」こと。心に留めておきたいと思いました。次回は、おおたさんが考える「これからの時代に必要な力」についてうかがいます。※2016年、北海道の山中で、親が子どもをしつけのために車から降ろし、置き去りにした事件。7日後、子どもは無事発見された。取材・文/まちとこ出版社N
2019年05月29日先行き不透明なこの時代、子どもの将来に不安を感じる親が、わが子になるべくたくさんの教育をほどこそうとする風潮があります。著者の周囲でも、幼児期から塾に通ったり、毎日が習い事で埋まっているという話はざらです。もちろん、子どもが楽しんでいるなら良いのですが、中には、大きな負担を強いられているようなケースも見受けられます。さらに、子どもが宿題や習い事の練習をさぼったり、成績がふるわなかった時、つい強く叱りすぎてしまったり、時には罰を与えてしまったり…。そんな話を聞くことも、決して少なくはありません。そんな時に知ったのが、「教育虐待」という言葉でした。教育虐待とは、「子どもの受忍限度を超えて勉強させること」、「親の所得格差が子どもの学習権に大きく影響する」状態も教育虐待とされています。もし、上記の話に少しでも引っかかる方がいたら、一度立ち止まって考えてほしい。そんな思いで、『追いつめる親』『習い事狂騒曲』の著者であり、教育ジャーナリストのおおたとしまささんにお話をうかがってきました。著書には、驚くような悲惨な教育虐待のケースも紹介されていますが、それは決してひとごとではありません。本書を読んでいくと、この問題が親個人の問題ではないこと、そして程度の差こそあれ、親であれば誰もが陥る危険性があることがよくわかります。どこまでが教育で、どこからが虐待なのか? 何が親をそこまで駆り立ててしまうのでしょうか?お話をうかがったのは… おおたとしまささん教育ジャーナリスト。麻布中高卒業、東京外国語大学中退、上智大学卒業後、リクルートにて雑誌編集。独立後、多数の育児・教育関連媒体の編集・企画に関わる。学校や塾などの教育現場を丹念に取材し、斬新な切り口で考察する筆致に定評がある。しつけから中学受験、夫婦関係までをテーマに、講演・メディア出演も多数。中高教育の資格、カウンセラーの資格。小学校教育の経験もある。『ルポ塾歴社会』『名門校とは何か?』『受験と進学の新常識』『中学受験「必笑法」』など著書は50冊以上。 『追いつめる親「あなたのため」は呪いの言葉』 の改訂版が2019年7月に出版予定。■「子どもをスーパーマンに」求め過ぎる親たちおおたとしまささん(以下、おおたさん):教育熱心な親が子どもを追い詰めてしまうのは、今にはじまったことではありません。教育虐待という言葉ができる前の1970年代から、教育虐待に関する事件は起きています。ただ、昨今の教育虐待の状況は、以前とは少し変わってきたところがあると感じています。――どこらへんが変わってきているのでしょうか?おおたさん:高度経済成長期はテストで良い点がとれる子を育て、「高学歴」というパッケージ商品さえ手にすれば、それで親は満足でした。いい大学にさえ入れば、そこから先の将来は良い会社に入って終身雇用というレールができていたからです。ですが昨今、高学歴はもう役に立たないと言われるようになりました。とはいえ、学歴が要らなくなったというわけではなく、高学歴があることはもう大前提。それプラス、スポーツも音楽もといった、ほかのオプションもできなくてはいけないという、まるでスーパーマンのような人間を育てなければならないという、ある種の暴走が社会にはびこっているように感じます。それを真に受けてしまった親御さんが、幼児期からいろいろな習い事をさせたり、何かの役に立ちそうなスキルを身に着けさせたりと、躍起になっている傾向があります。――求められるハードルがどんどん上がっているのですね。おおたさん:子どもの特技や強みを伸ばすための習い事ならまだ良いのですが、例えば、英語やプログラミングの場合は、将来の職業スキルとして、幼児期からやらせているわけですよね? 「このスキルを身につけておかないと、将来仕事に就けない」というふうに。そういう面が目立ってきているように感じます。■「教育」とは何? 「人材育成」との混同が引き起こす虐待――子どもの将来に対する、親の不安が押しつけられてしまっているのでしょうか?おおたさん:現在の教育虐待の構造の前提として、教育そのものがビジネスの原理に汚染されている、というところがあります。そもそも、教育とビジネスというのは、全く違う力学として働くものですが、経済至上主義的な現在の価値観で、教育がビジネス的な論理に当てはめて語られるようになってしまったのです。――具体的に、どういうことなのでしょう?おおたさん:「教育」と「人材育成」がごっちゃになっているのですよ。そもそも教育とは、子どもの持つ能力を、その子らしく最大化して自己実現し、かつ、余った力を社会に還元してより良い社会を作ること。つまり、「教育はまずその子ありき」なのです。一方で、人材育成というのは、なんらかの目的に合致した人を育てることです。例えば、「わが社にはプログラムができる人材が必要」というふうに。つまり、「人材は目的ありき」なのです。本来「教育」とは、「どうしたらこの子が輝けるよう育つのだろう?」と、その子を見て考えるべきものなのに、その子を見ずに「これからの時代はこんな人材が求められているから、そういう人材にするためにどうしたらいいのか?」と、型にはめていく発想になってしまっているわけです。■子どもだけではない「追いつめられる親」――時代に求められる「型」に、親が子どもをはめようと躍起になってしまう。その焦りや不安が教育虐待の引き金になっていくのですね?おおたさん:それ以外にも、親が脅迫概念にかられる背景がもうひとつあります。それは、「子どものできは親次第」という社会的通念があることです。例えば、東大に子どもを合格させた親がメディアでチヤホヤされるなど。子育てにおける成功事例は、その子、その親、その関係性があったうえで、その場限りのものでしかないのに、たまたまうまくいった例をあたかも親の手柄のようにいう風潮がおかしいのです。逆に、子どもがひきこもりやニートになってしまった親が「自分の子育てが間違っていたのではないか?」と自分を責めてしまったり、周囲から非難されたり…。本来、親の関わり方と子どもの人生の在り方とは、直線的因果律(結果が生じるには、ある特定された原因が存在するという考え方)で結びつけることはできないのですが。これは、マスメディアの責任も大きいと思います。――確かに、核家族で子育てしていると、子どもの責任が全部親の肩にかかってくるような、そんなプレッシャーは感じます。おおたさん:現代の子育てでは親の責任が大きすぎて、親の方に力が入りすぎているのかもしれません。親こそが、すでに追い詰められているのかもしれません。だとすれば、教育虐待は単なる親の人格的な問題として片づけることはできないのです。「教育」と「人材育成」は似て非なるもの。「本来の意味での教育が、虐待に直結することはありえず、教育虐待のように見えるものの本質は、『人材育成虐待』なのではないか?」とおおさたんは言います。自分が子どもにしているのは、本当に教育なのか? それとも、人材育成なのか? 非常に考えさせられるお話でした。 次回 は、「教育」と「虐待」の境い目についておうかがいします。取材・文/まちとこ出版社N
2019年05月28日教育といえば「何かを教える」というイメージが強いですよね。しかし最近では「教えない」教育が重視されています。今回は、教えない教育がもたらすメリットや、家庭でもできる教えない教育について紹介しましょう。詰め込み教育から「教えない」教育へこれまでの教育は、試験や受験に役立つ知識をただひたすら詰め込む形が主流でした。教科書の内容を暗記したり、計算問題をひたすら反復練習したりして知識を蓄えることこそが、正しい勉強方法だと考えていらっしゃった親御さん方も多いのではないでしょうか。しかし、時代は変化しました。今やロボットやAIが人間の代わりに仕事や作業をすることが当たり前になりつつあります。その結果、これからを生きる子どもたちに必要なのは、知識を詰め込むことではなく、物事をより柔軟に、かつ自主的に考える力を身に付けることに変わってきているのです。こうした力を育てるためには、かつての教育とは真逆ともいえる「教えない」教育が有効だとされています。教えない教育がもたらすメリット教えない教育とは、子どもに何も教えずにただ放置することではありません。学びの基礎となる部分をしっかり教えたり、安全な環境を整えたりした上で、その先を子ども自身に考えさせることに重点を置いた教育です。結果として、子どもには以下のようなメリットがあります。・思考力が身につく教えない教育は、言い方を変えれば「子どもに考えさせる教育」です。「どうしたらこれが達成できるのか」「どうしたら前よりもうまくできるのか」などと考えることで、思考力がどんどん身についていきます。・自分の意見を言えるようになる教えない教育では、自分の中の考えをまとめて実行したり、相手にわかりやすく伝えたりすることが必須です。その結果、子どもは、自分の意見を言うことに慣れていき、やがてプレゼンテーション能力が向上していくことも期待されています。・問題解決能力が伸びる子どもが自分なりに試行錯誤することで、納得のいく答えを導き出したり、自分の本意とは違う結果を受け入れたりする場面が、教えない教育ではたくさん存在します。そうした経験をした子どもは、問題にぶち当たった時にも諦めたりせず、どうすれば解決できるのかをしっかりと考えることができるのです。・知的好奇心が伸びる教えない教育を行うと、子どもは新しい発見にたくさん出会います。その結果、自分で考えることの楽しさや、気づくことの喜びを知っていくようになり、知的好奇心がどんどん伸びていきます。子どもが「学びたい」と思える環境づくりのコツ教えない教育を通して、子どもが自ら「学びたい」と思えるようにするために、以下に取り組んでみましょう。・子どもが集中している時は見守る子どもが何かに集中している時間は、まさに「自ら学んでいる」状態です。そんな時はついつい「すごいじゃん!」「ママ(パパ)にも見せて!」などと声をかけたくなりますが、その気持ちをぐっとこらえて見守るようにしましょう。教えない教育では、子どもが行なっていることに親がやたらと手出しをするのではなく、子どもが安心して集中できる環境を整えてあげることこそが重要とされています。・自然の中で遊ばせる自然には、木の香りや太陽の光、土の感触や鳥の鳴き声など、五感への刺激が溢れています。脳科学分野の権威である小泉英明氏は、自然がもたらすさまざまな刺激についてこう述べています。「光、音、様々な形や色、感触――自然は、意図しない刺激に満ちています。一方、人間が与える教育は、意識上の言語で作られたもの。良い教育をしているつもりでも知らず知らずのうちに意識下への刺激がカットされて、刺激が狭められてしまう危険性があるのです」(引用元:日経DUAL|“教えない”早期教育を脳科学者らが勧める理由)さらに小泉氏は、意欲ややる気にかかわっている脳の内側を鍛えるためには、ひらがなや数字を教えるといった知育的な学びよりも、まずは自然に触れることが大切だとおっしゃっています。子どもと自然がいっぱいの公園などで遊ぶのはもちろん、キャンプや農作業体験をするのも、教えない教育の一環として有効です。・子どもの質問にすぐ答えを出さない子どもに「どうしてこれはこうなるの?」と質問されたら、「それはこうだからだよ」と答えを教えて説明する親は多いでしょう。しかし、それでは子どもの考える機会を奪うことにつながる場合もあります。そのため、子どもに質問されたら「どうしてだと思う?」と質問返しをして、子どもなりの考えを引き出しましょう。そうして自分の考えを言えたら「しっかり考えたんだね」と褒めてあげるのがコツです。そんなやりとりを通して、子どもは考えることの楽しさを覚えていきます。***昨今では、低年齢から塾や習い事をする子どもも多く、親はつい「うちの子にも何かさせなければ……」と焦りがちです。しかし、何かを教えたり与えたりする教育だけでなく、あえて教えない教育も、子どもの成長を促すことを知っておきたいですね。文/田口るい(参考)プレジデントオンライン|ペラペラな親ほど早期英語教育に“冷淡”日経DUAL|“教えない”早期教育を脳科学者らが勧める理由プレジデントオンライン|自ら机に向かう子の親が欠かさない習慣日経ビジネス|先生が「教えない」ほうが学力は伸びるぎゅってweb|一生モノの「集中力」は子どものときにベネッセ教育情報サイト|どうなる?大学入学共通テスト小学生のうちから「考える」習慣づけが大切に!?Study Hackerこどもまなび☆ラボ|2020年度から「大学入学共通テスト」がスタート!親が今からやっておくべきことは?
2019年05月17日新元号が発表された日、カリグラフィーワークショップの為日本に帰国しました! 初日のワークショップは表参道で、フランス書体2種類から生徒さんにお好きな書体を選んでもらい、仕上げはお花を入れたbox にゴールドでお好きなフレーズを入れてもらいました。 2種類の紫陽花はそのまま置いておくと自然にドライフラワーになるそうで長く楽しめます。母の日のプレゼント用に書かれる方や自分用に欲しいという方も、メッセージやお好きなフレーズを決めてもらってゴールドインクで仕上げてもらいました。 続いて麻布十番でのワークショップ、書体はアングレーズ体で1日集中レッスン。 お楽しみのランチは今話題のケータリングのmomoegohan、お菓子はherriottさんを用意してもらいました! 最後はリボンにフレーズを書きこんでもらい完成!あっという間の1日でしたが、皆さんの上達が目に見えて嬉しかったです。 そして新浦安のスタジオで写真とカリグラフィーのワークショップ! テーブル上に見事な桜を用意してくださいました。 アングレーズ体を練習して、最後は写真にフレーズを書いて仕上げです。プロのカメラマンにも来ていただいて写真のうまい撮り方をレクチャーしてもらいました。 この日のお菓子もherriottさんで。うさぎが可愛い!岐阜、名古屋、静岡からご参加の方もいらっしゃいました。感謝です。 前半4日間連続のワークショップが終わり、後半は名古屋、大阪、神戸の4日間です。今年も満開の桜が見れて美しい日本を堪能しながらの滞在、幸せです。
2019年04月25日「将来、子どもが英語を話せるようにするためにはどうしたらよいですか?」これは私が幼児の英語教育に携わってから、一番よく聞かれる質問です。2020年度に全国の小学校で英語教育が必修化することを受け、英語教育を重視するママが増えています。そんな教育熱心なママたちからの質問の中には「あれ?」と感じてしまうものも。今回は私の経験も含めながら、みなさんが勘違いしているかもしれない英語教育のいろいろをQ&A形式で紹介したいと思います。Q. 英語耳・英語脳は6歳までしか育たないの?A. 幼児期(1~6歳)は「聞く」と「話す」がとても得意な時期です。そして、リスニング能力については、やはり早い時期から英語を始めた子どものほうが発音が良いと感じます。でも、6歳を過ぎても英語耳、英語脳を育てることは可能です。私の経験の範囲内ですが、年齢に関わらず、良い耳を持つ人は日本語にない"R"と"L"の聞き取りもできますし、聞き取りができれば、その音を自分で作り出すこともできます。英語と日本語は周波数が違う、音節が違うから聞き取りづらいなどと言われますが、大人になってから環境や勉強法で克服し、ネィティブ並みの発音を身につけている人が私の周りにはたくさんいます。Q. 英語に興味がないわが子。英語を学ばせるのはムリ?A. 子どもが英語に興味がないと悲しんでいる人は、まず自分が英語に興味があるかを考えてみましょう。私が英語を学ぶ上で一番大切だと思うのは、子どもだけでなく、大人も一緒にやってみること。一番効果的なのは、で以前にお伝えした、子どもが好きな遊びを英語で大人が一緒にやることです。でも、それが難しい場合は、自分が好きな海外アーティストの曲を子どもに聴かせたり、海外旅行に行ったときのエピソードを話してあげるだけでも大丈夫。家庭で身近に英語の存在を感じられる環境が子どもの言語感覚を養います。Q. 日本人の親が英語を教えるのはよくないの?A. 発音を重視される保護者にはネィティブの先生とのレッスンをおすすめしています。しかし、「英語を嫌いにならない子ども」を育てたいのであれば、日本人のママやパパが英語を教えることに私は大賛成です。幼少期から英語に触れておけば、子どもが成長してやる気になった時にぐんと伸びます。そのためにはやはり子ども本人が楽しめる形を大人が一緒になって作り上げることが一番。幼少期は「大好きなママやパパ」と一緒に「遊びながら学ぶ」ことが、子どもの心も育てます。Q. お金をかけているのにちっとも上達しない!A. レッスンに通わせているのに、英語が身についていない!」という相談もよく受けます。そのような相談に限って「レッスンにさえ通わせていれば大丈夫」と家庭でのサポートがない場合がほとんど。週に1度、1時間程度のレッスンに通わせているだけでは英語は身につきません。家庭で習い事と連動している教材のCDを聴かせ、DVDを見せるのは大切な親の役目。子どもと一緒にCDを聴いて、DVD鑑賞ができればなおよしです。私が教えているクラスの子どもたちも家庭でのサポートのあるなしで、あきらかに習熟度に違いが見られます。英語教育は年齢があがると、子どもの努力も親の努力もより必要になりますが、幼児期に種まきをしておくと、この努力が軽減されます。「大人も一緒に楽しむ」をキーワードにこの春から親子で英語を楽しんでみませんか。<文・写真:フリーランス記者稲井華子>
2019年04月15日「夢見るハニーハント デザートブッフェ」が、2019年5月6日(月・祝)、19日(日)、6月2日(日)の3日間限定で大阪 アートグレイス ウエディングコーストにて開催される。結婚式でしか踏み入れることのない結婚式場を一般開放して開催される「夢見るハニーハント デザートブッフェ」は、はちみつを贅沢に使った約20種類の特製スイーツを楽しめるデザートブッフェだ。鮮やかな黄色に彩られたテーブルには、クマさんプリンやミツバチを模ったマカロン、ハチの巣柄のハニカムムースなど、旬のはちみつを使用したかわいいスイーツがずらりと並ぶ。ブッフェには、はちみつを使用したスペインラルポークのロースト ハニーマスタードソースや、季節の温野菜、スープなどのランチプレートがセット。自然溢れるロマンティックな会場で、はちみつ尽くしの1日を楽しんでみては。【詳細】夢見るハニーハント デザートブッフェ期間:・2019年5月6日(月・祝) 11:30~13:00 ※1部制・5月19日(日)、6月2日(日) 11:30~13:00 / 13:45~15:15 ※2部制場所:大阪 アートグレイス ウエディングコースト住所:大阪府大阪市住之江区南港北2-8-1料金:大人 3,980円(税込)、小学生1,500円(税込)、小学生以下 無料 ※サービス料込メニュー:・フード ※プレートスペインラルポークのロースト ハニーマスタードソース/季節の温野菜、サフランライス/新たまねぎのスープ/クロッカン野菜のサラダ/トースト&はちみつ数種/チーズ・デザートブッフェくまさんが作ったレモンシフォン/お花のカップケーキ/蜂蜜マカロン/はちの巣クッキー/ボンボンショコラ/ナンテコッタパンナコッタ/くまさんプリン/はちみつベルガモットジュレ/ハニカムムース/アールグレイとレモンのムース/オレンジのレアチーズムース/爽やかオレンジショートケーキ/クルクルクレープロール/サワーグルトアイス(タイムサービス)/パパパパンデピス・ドリンクコーヒー(ホット、アイス)/紅茶(ホット、アイス)/オレンジジュース/ウーロン茶/ハーブティー2種※内容は仕入れの状況により一部変更になる可能性あり【予約・問い合わせ先】TEL:06-6569-5537(定休:祝日を除く月・火曜日及び指定日)
2019年04月11日後を絶たない児童虐待事件が注目を集める昨今、行政の対応のあり方が議論の俎上に上がっている。米国で実際に起こったケースを紹介したい。先月28日、アリゾナ州のチャンドラー警察署が1本の動画を公開した。警官が体に装着したボディカメラの映像で、一軒家に強行突入する様子が収められている。この家のサラ・ベックは2月25日、熱を出した2歳の息子を自然療法の診療所に連れて行った。チャンドラー警察署によると、このとき子どもの体温は40.5度にまで上がっていたという。担当した医師は、子どもが髄膜炎など命を脅かす病気を患っている可能性を指摘。診療所では検査する設備がなかったため、すぐに病院へ息子を連れて行くよう指示した。しかし、その後ベックは子どもを受診させなかったことから、医師は児童局へ通報、そこから地元のチャンドラー警察署へ相談が入り、警察が介入することとなった。動画では、警官が玄関をノックして中に入れるよう要求している。ベックとその夫ブルックス・ブライスは「もう熱は下がったから大丈夫。お引き取りを」と、決して家の中に警官を招き入れようとしない。警官はパトカーに戻り、電話で説得を続けるも、ベックは「息子はもう元気ですよ。今はもう37度を切っているんです。本当に元気だから」と電話を切ってしまう。警官は再度玄関へ赴き、「自分たちの目で子どもの様子を確かめたい」と食い下がる。「その必要はないから、帰ってくださいよ」と突っぱねる親との押し問答をしている間に、児童局が子どもを一時保護する裁判所命令を入手。警官は両親に告げる。「あなた方は選ぶことができる。つまり、家から出てくるか、子どもを病院に連れて行くか、児童局に一時的に監護権を渡すかだ」。それでもブライスは「病院には行かないし、時間を無駄にするつもりもない」と答えたため、警官は銃を構え、ドアを壊すことを警告した上で突入。親に銃を突きつけている間に子どもを保護した。チャンドラー警察署によると、問題の2歳児の他にも2人の子どもがおり、全員が原因不明の汚れに覆われていたという。ベックの弁護士は「子どもを連れ去るのは明らかに不必要であり、正当防衛の範囲をはるかに超えている」と声明を発表。両親がなぜ頑なに受診させなかったかについてはわかっていないが、ベックが子どもに予防接種を受けさせていなかったため、病院に行けばその件で責められるかもしれない、と及び腰になった可能性も指摘されている。
2019年04月01日