子どもが成長するにつれ、徐々にそれぞれの性格がはっきりしてきます。でも、なかには、親からすれば「困った」と思うような性格もあるでしょう。そんな子どもの性格の「困った」に答えてくれるのは、著書の『脳科学的に正しい 一流の子育てQ&A』(ダイヤモンド社)で注目を集める脳科学者・西剛志先生です。「集中力がない」「聞き分けがない」「内気」という3つのケースについて、親がどうするべきかというアドバイスをしてくれました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/和知明(インタビューカットのみ)脳が未発達の子どもは集中力がなくてあたりまえ多くの親御さんから寄せられる悩みとして、「子どもの集中力がない」というものがあります。集中力を司る脳の前頭前野という部分は28歳くらいまでの長い時間をかけて発達していくものですから、子どもの前頭前野はそもそも未発達です。つまり、子どもは集中力がなくてあたりまえなのです。でも、そうはいっても、すごい集中力を発揮する子どももいますよね?電車が好きな子どもなら、飽きずにずっと電車を眺め続けます。そういう子どもがなにに集中しているかというと、間違いなく自分が好きなことなのです。つまり、たとえ前頭前野は未発達の子どもでも、自分の好きなことならしっかり集中できる。そうして集中することが、集中力を育む最適なトレーニングとなります。であるならば、親としては子どもの好きなこと、やりたいことをきちんと見つけて、没頭させてあげることが大切になります。逆にいうと、子どもがやりたくもない習い事を親のエゴで無理やりやらせるようなことはNGだということです。それから、親のNG行為としては、子どもにむやみに介入することも挙げられます。せっかく子どもが自分の好きな遊びに集中しているのに、つい「面白そうだね」なんて一緒に遊ぼうとしてはいませんか?その都度、子どもの脳の集中は途切れますから、これは、わざわざ親が子どもの集中力を育む邪魔をしているということなのです。子どもがなにかに黙々と取り組んでいるときは、親はそっと見守るように心がけてください。また、集中力がなく飽きっぽい子どものなかには、単純に頭がいいという可能性もあります。おもちゃを与えてみてもすぐに飽きてしまう。それは、頭がいいためにそのおもちゃでの遊び方をすぐに学習してしまうからということも考えられるわけです。聞き分けがない子どもほど社会的に成功しやすいまた、「うちの子は聞き分けがない」というのもよく寄せられる悩みです。親の立場からすれば、聞き分けがない子どもはわがままに映って困ってしまうものですよね。ですが、ちょっと意外な研究データがあります。ドイツのヘッツァーという心理学者の研究なのですが、「聞き分けがない子どもほど社会的に成功しやすい」というのです。親の目にはただのわがままに映っているような子どもも、子ども本人からすればそうではない場合もあります。それは、子どもが自分の考えをきちんと持っていて、親の話に納得していないという場合です。自分でしっかり考えることができるのですから、将来的に成功を収める可能性が高いというのも納得できる話ですよね。そういう子どもに対しては、親の考えをしっかり伝えることが大切です。なにかを禁止するにしても、「○○しちゃ駄目」というだけではなく、なぜ駄目なのか、その理由をきちんと伝える。そうすれば、自分の考えを持っているような頭のいい子なのですから、しっかり理解してくれるはずです。とにかく、「聞き分けがないことは悪いことだ」と決めつけてはいけません。ただ、そうはいっても、聞き分けがないことで家族以外の他人に迷惑をかけるようなことは問題ですから、その点だけはきちんとしつける必要があるでしょう。もうひとつの注意点は、先の話を受けて、「うちの子は聞き分けがないから成功する」と早合点してはいけないということ。聞き分けがない子どもになることの要因として、カロリー不足、睡眠不足、愛情不足の3つの不足が挙げられます。もしかしたら、自分の考えをしっかり持っているのではなく、それら3つが不足しているだけかもしれません。しっかりご飯を食べさせて、睡眠時間を確保し、親子のスキンシップを取ってください。内気な子どもほど内的なエネルギーに満ちている最後に、「内気な子ども」のケースを取り上げておきましょう。いつからか「明るいことがいい」「ポジティブであることがいい」という時代になったことで、子どもが内気なことを心配している親は意外なほど多いものです。ただ、これも聞き分けがないことと同じように、心配しすぎる必要はありません。内気な子どもは、「内面的才能」が高い可能性が考えられるからです。内面的才能とは、「自分の心を深く掘り下げる能力」のこと。そんな子どもは、幼少期のときには口数も少なくてひとりで遊ぶようなことが多いという傾向があります。そして、そのなかで高い創造力を身につけ、将来はクリエイティブな仕事で力を発揮するということもある。あるいは、自分の心を深く掘り下げられると同時に他人の気持ちもわかるので、カウンセラーなどの仕事に向いているということもあります。また、内気な子どもほど内的なエネルギーが強いという研究もあります。ひとりで遊んでも十分に楽しめるというのは、エネルギーに満ちていると見ることもできます。一方、明るく外交的な人はどうかというと、他人と会って他人からエネルギーをもらってはじめて楽しいと思える。自分自身で楽しみを生み出すような強いエネルギーを持っていないのです。たとえ内気であっても、そんなエネルギーに満ちた子どもなら、内面的才能によって自分の心を掘り下げ、「これだ!」と思う目標を見つけたときには、それに向かって力強く進んでいけるでしょう。いずれにせよ、「内気なことは良くないこと」という先入観を親はいますぐに捨てるべきです。内気な子どもには内気な子どもだからこそ持つ力があるのです。『脳科学的に正しい 一流の子育てQ&A』西剛志 著/ダイヤモンド社(2019)■ 脳科学者・西剛志先生インタビュー一覧第1回:家のなかに生活感を!子どもの「創造力」を伸ばすために親ができること第2回:お手伝いで子どもの「自制心」が育つ“脳科学的メカニズム”第3回:集中力がない、聞き分けがない、内気。子どもの性格の「困った」はどうする?第4回:子どもを自立できる人間に育てる――脳科学者が考える「理想の子育て」【プロフィール】西剛志(にし・たけゆき)1975年4月8日、鹿児島県出身。脳科学者(工学博士)、分子生物学者。T&Rセルフイメージデザイン代表。LCA教育研究所顧問。東京工業大学大学院生命情報専攻修了。2002年に博士号を取得後、(一財)知的財産研究所に入所。2003年に特許庁入庁。大学非常勤講師を兼任しながら、書籍出版、雑誌掲載、ノーベル賞受賞者との対談、世界旅行、結婚、当時日本に1100人しかいない難病の克服など、多くの夢を実現。その自身の夢をかなえてきたプロセスが心理学と脳科学の原理に基づくことに気づき、いい人生を歩むための脳科学的ノウハウを企業や個人向けに提供するT&Rセルフイメージデザインを2008年に設立。現在は、脳科学を生かした子育ての研究も行う。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年12月11日「Hey! Say! JUMP」山田涼介が、恋人の記憶を取り戻すため記憶屋探しに奔走する『記憶屋 あなたを忘れない』より、感動の物語を予感させる本作の場面写真が到着した。山田さん演じる大学生・遼一は、恋人・杏子にプロポーズをするが、数日後、杏子は遼一の記憶だけを失う。彼女の記憶を取り戻そうとするが…というのが本作のストーリー。平川雄一朗監督は、本作について「原作を読んだ時に、これはヒューマンドラマなんだなと思いました。人間同士の絆みたいなものを感じ取りましたね。映画では人間の美しさも汚さも混在していて、切なくもなるし温かくもなる作品にしたいと思いました」と語り、原作から感じ取った“絆のドラマ”をテーマにしたことを明かしている。そして今回到着した場面写真では、遼一が遠くの空を見上げる、どこか切なさを感じさせるカットがまず目を引く。また遼一と、遼一と共に記憶屋探しをする弁護士・高原(佐々木蔵之介)の2ショットも公開。恋人の記憶を消された遼一は、記憶屋の存在を追う中で様々な人と出会うが、その中でも欠かすことのできない人物がこの高原。彼は遼一にとって良き理解者であり、パートナー。2人のユーモラスな掛け合いは注目どころ。さらに、高原と愛娘との愛らしいカット。幼少期に記憶を一部失った遼一の幼なじみ・真希(芳根京子)、遼一の記憶を失った杏子(蓮佛美沙子)と、それぞれのカットも到着した。『記憶屋 あなたを忘れない』は2020年1月17日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:記憶屋 あなたを忘れない 2020年1月17日より全国にて公開ⓒ2020「記憶屋」製作委員会
2019年11月20日ウーマンエキサイトをご覧の皆さま、こんにちは!ぴなぱと申します。今回は以前書かせていただいた の続編です。公開後いろいろと質問をお受けしたのでそれらにお答えしつつ、前回からさらに掘り下げて詳しく書いていけたらと思っております。まず、子どもに絵の具をやらせようと思ったとき、初めはどんな道具を用意したらいいのかというお話。基本的に初めは安い道具やあり合わせのものでいいと思います。参考までに我が家で使っているものをご紹介します。パレットとバケツは私が元々持っていたものを使っています。絵の具、筆、紙、ビニールシートは全て100均で買い揃えました。筆は水彩の場合馬毛とナイロンが主流で、子どもの場合ナイロン製のものの方が使いやすいかもしれませんが(小学生の絵の具セットなどはナイロン筆が多いと思います)、私は馬毛の方が水彩らしさが出しやすくて好きなので、馬毛のものを選んでいます。平筆と丸筆がありますが、最初は丸筆の方が使いやすいと思います。絵の具は固形でパレット状になっているものも売っていますが、それはそれで手軽でいいんですが初めはやはりチューブから始めるのがおススメです。絵の具の質に関してもいい絵の具はやはり描き心地も伸び方も全然違いますが、最初のうちはとにかく思いっきり描いた方がいいので安いもので十分です。 色は基本の赤・青・黄色・白さえあればとりあえず大丈夫。混ぜ方次第でいくらでも好きな色にできます。追加していくなら緑・オレンジ・茶色など。これらは基本色からでも作れるのでなくてもいいですが、あったらあったで便利だし賑やかだし、こういう色も作れるという見本にもなります。黒についてはお子さんが「どの色より一番黒が好き!」とかでなければ当分いらないです。同様に肌色(現在はペールオレンジと言われる色)も個人的にはオススメしません。うちではどちらも使わず、必要なときはその都度他の色を混ぜて作っています。黒は主張が強すぎて混色や使い方が難しいということもありますが、黒も肌色も特に顔を描くときなどにそれだけで完結してしまいがちな色なので、一人一人肌の色も髪の色も少しずつ違うということを意識しづらくなってしまいます。パレットやバケツはなんでもいいですが、できれば使い捨てのものより洗って繰り返し使えるものがいいです。前回も少し書きましたが道具の手入れというのも大事なことで、終わったら自分で綺麗にする習慣をつけるのも必要なことだと思っています。絵の具は消耗品だし筆も使っているうちにどうしても劣化してしまいますが、パレットやバケツは大事に使えばずっと使えるものですからね。続いて描くときの環境について。我が家ではリビングの比較的広い場所にビニールシートを敷いて、その上で描いています。部屋にスペースがない、賃貸だから汚すと困るなどの場合もあると思いますが、要は「このスペースでは好きにしていい」という場所が作れればいいと思います。例えば折りたたみ式の机を1つ用意して、その上ならいくらでも汚していいとしてもいいでしょうし、ダイニングテーブルにビニールシートを被せてもいいし、可能なら屋外で描いてもいいと思います。5歳になった現在は服を着替えて手を洗う程度で済む汚れ方しかしませんが、始めたばかりの小さい頃は終わったらお風呂に直行して流していました。服も絵の具用に汚れてもいいものを用意しています。絵の具を始める時期については、指や道具を口に入れないようになって、ある程度こちらの言ってることがわかる歳になれば始められると思います。我が家の長女は2歳前後で始めました。初めは手形を取って遊んだり指で直接描いたりしながら、少しずつ筆に移行していけばいいと思います。 ここまで水彩画に限ってのお話をしてきましたが、創造力を伸ばすという意味ではなにも絵の具にこだわることはなく、お子さんが興味のあることやお母さんお父さんの好きなこと、なんでもいいと思います。一番は「何かを作り出すのは楽しい!」とお子さんが感じてくれること。スポーツでも音楽でも同じことですが、〇〇が得意・〇〇が好きということはその子の自信になり、いつかそれに救われるときもあるかもしれません。いろんなものに触れて、その子にしかない個性を伸ばしていけたらいいんじゃないかなと思います。
2019年10月29日創造力は、大人になってもとても大切なもの。でも、大人になって自由に創造力を羽ばたかせるためには、子どもの頃から創造力を育んでおくことが重要です。子どもは誰でも、無限の創造力を持って生まれます。しかし、親の接し方によって、せっかくの創造力がつぶされてしまうことも…。今回は、心理カウンセラーの筆者が、子どもの創造力をつぶしてしまう親の特徴や行動について紹介します。特徴1「子どもの自由裁量を許さない」あなたは日常の中で、子どもにどれくらいの頻度で「ダメ!」と言っていますか?大人が「ダメ!」と言うことの中には、よく考えると特段ダメでもないことがたくさん含まれています。例えば、子どもがお絵かきをしている時、太陽を描くのに青いクレヨンを用いたとします。あなたなら、どうコメントしますか?ママが「太陽を青で書いたりしちゃダメでしょ。赤か黄色じゃない?」とコメントすれば、子どもは「太陽って、赤とか黄色なのだ」と覚えるかもしれませんが、反面、青い太陽を楽しむ創造力は失われてしまうでしょう。こんな時はできれば「わあ、太陽が青いの?サファイアみたいですてきだね!」と、子どもの創造力に乗っかりたいものです。ほめられた子どもは、喜んでさらに創造力を働かせるようになるでしょう。特徴2「遊び方を限定する」おもちゃに限らずモノは基本的に、使い方が決まっていることが多いですね。例えばブロックは組み立てて遊ぶものですし、新聞は読むものです。ただし、子どもの創造力を伸ばしたい場合は、「モノの使い道」という枠を取り外すことが重要です。子どもの世界では、例えばブロックはただ組み立てるものに留まらないことが多いようです。時にそれはおままごとの食べ物になったり、サッカーボールのように蹴って遊んだりするかもしれません。こんな時、「ブロックは組み立てるものでしょ?おままごとをするなら、おままごとセットを使ってね」なんて言ってしまうのは、子どもの創造力を奪うことにつながります。特徴3「部屋をいつもきれいにしておく」「きれいな部屋で、すっきりと暮らしたい!」そんなふうに思っていませんか?実は、部屋をいつもきれいにしておくことで、子どもの創造力を奪ってしまうことがあります。子どもは、そこにあるもので創造力を働かせ、工作したり、あれをこうしたらどうなるだろう…と試したりして、創造力をどんどん伸ばしていきます。つまり、そこにモノがあるから伸びる、とも言えるわけですね。おもちゃでも何でも、いつもすぐに大人が片づけてしまうきれいな部屋には、モノが少なく、その分、創造の余地が少ないという見方をすることができます。もちろんいつも散らかっているのは理想ではありませんが、寝る前に片づける、食事の前に片づける、この部屋は昼間なら片づけなくてもよい…などのルールづくりを行い、子どもにある程度、モノを自由に使わせる工夫をするとよいでしょう。創造するとは、常識を疑うこと創造するということは、常識を疑うことでもあります。大人になってもこれは同じで、突出した何かを行っている人は、決して型枠の中にはまって安穏としていることがありません。大人になってこれができるようになるかどうかは、子どもの頃に、自由に創造力を羽ばたかせることを認められたかどうかにかかっているのです。当たり前を教えることは簡単です。でも、子どもの創造力を伸ばしたいなら、当たり前ではないという理由だけで否定をしないこと。当たり前ではないことを否定する親こそが、子どもの創造力をつぶしてしまうのです。<文・写真:ライターあん茉莉安>
2019年10月15日私の両親はもの静かで、決してふざけたりせず、真面目なタイプでした。両親が笑う姿をあまり見たことがないくらいです。仕事が忙しく、休日のレジャーにもごくたまにしか行ったことがありませんでした。そんな両親が、孫が生まれてから激変したのです。 毎日産院に来てくれた父私の父親は、家が大好きな人でした。必要がなければ外出なんてめったにしません。そんな父がじいじになったその日から、仕事が終わったあとに必ず、出産直後の私と赤ちゃんがいる産院に来てくれるようになったのです。 じいじは毎日1時間ほど、ひたすら孫の様子を眺めたり、抱っこをしたり。毎日とても幸せそうな顔をして帰って行きました。毎日私への手土産も持参してくれて、とてもうれしかったです。 毎日私たちの自宅に来てくれた母私の母親は、子どもだった私が見てもわかるほどに、子どもが苦手な人でした。私自身、あまり遊んでもらった記憶がありません。しかし、私が自宅に帰った翌日から、ばあばとなった母は毎日私達の自宅に来てくれるようになったのです。 毎日孫に話しかけたり、遊んであげたりするばあばの顔は、幸せそのものでした。私は、ばあばが娘を見てくれている間に家事をすることができ、とても助かりました。 お出かけに連れて行ってくれる両親私は小さいころから、家族でレジャーを楽しんだ記憶があまりありませんでした。ところが、孫が生まれてからというもの、休日は両親が何かとお出かけに連れて行ってくれるようになったのです。 娘が0歳のころは公園やショッピングモール。生後半年ごろからは水族館や動物園も。そして1歳記念に温泉旅行。お出かけの間も、両親は孫にメロメロで、まさに溺愛です。娘もたくさんかまってくれるじいじ&ばあばが大好きです。 孫の誕生によって、まるで人が変わってしまったかのような両親。私も覚えていないだけで、こんなふうにかわいがってもらっていたのかもしれない……と思うと、あたたかい気持ちになりました。著者:丸川朋一女の母。出産を機に仕事を退職。子育てのかたわら、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆中。現在二人目妊活中。
2019年10月09日「胎内記憶って本当にあるの?」と思っている方も多いのではないでしょうか。筆者もその1人でした。そこで、わが家の4人の子どもたちに、胎内記憶について聞いてみることにしました! ママのおなかの中はどうだった?わが家には、10歳の長男、8歳の次男、6歳の長女、2歳の三男の4人の子どもたちがいます。4人に「ママのおなかの中はどうだった?」と聞いて、はっきりと答えてくれたのは、当時3歳の長女でした。 いきなり体育座りの態勢になり、頭をひざにくっつけて「ギュッと、こうやっておなかの中で待っていたんだ。そのときに光が見えて今だ! と思って出てきたの。でもあまり出てきたくなかった」と話していました。娘の出産は、予定日から10日経っても出産の兆候がなかったので、陣痛促進剤での出産でした。そのことを彷彿とさせる娘の言葉に驚きました。 おなかに来る前はどこにいたの?また、わが家の子どもたちは、おなかにいたときのことよりも、おなかに来る前のことをよく覚えているようでした。 当時3歳だった長男は言葉が遅めで、当時はあまり話しませんでしたが、ふと思い立って聞いてみることに。「おなかに来る前はどこにいたの?」とさらっと聞いてみると、「お空にいて、キリンさんとゾウさんに乗ってシューーンと飛んできた!」と興奮気味! 普段はまだあまり話さないのに、大興奮しながら話す長男にビックリでした。 ほかのきょうだいは……?「おなかに来る前はどこにいたの?」という質問に対して、次男と長女、三男が共通して答えていたことは、「上から来た」ということでした。第三子の長女は、「私の番はまだかな~?」と思いながら待っていたようです。 私にとっては、望んできてくれたのならこんなにうれしいことはないと感じています。現在2歳の三男も「上からシャンプしてきた!」、ときには「飛行機に乗ってきた!」という言い方もします。 胎内記憶について聞くときは、2歳から3歳ごろだとはっきりした答えが返ってくるように感じました。わが家の子どもたちも、年齢が上がってくると「そんなこと覚えてないよ」と言っています。年齢を追うごとに忘れてしまうようでした。みなさんもぜひ、お子さんが話せるようになったら聞いてみてくださいね。著者:武山あゆみ三男一女の母。ワンオペ育児に奮闘するかたわら、自身の体験をもとに妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆中。
2019年10月08日みなさんは、胎内記憶の話を聞いたことはありませんか? わが家では、長女のときは育児に追われていましたが、次女が語ったおなかの中にいたころの記憶と思われる発言に興味を持ち、いろいろと聞いてみました。今回は、胎内記憶に関するエピソードをお伝えしたいと思います。 びっくり! 胎内記憶を語る次女次女がいたずら盛りの2歳ごろ、長女をいじめる時期があり、「あなたがお母さんのおなかにいたころ、お姉ちゃんがいつもさすって話しかけてくれていたんだよ。いつも大事に思っているんだよ」と話すと、意外な答えが返ってきました。 「うん、覚えてる。背中をさわられて、いつもくすぐったかったんだよね~」と言ったのです。そのときは「まさか覚えてないよね」と思ったのですが、胎内記憶のある子は意外とめずらしくないと、あとから知りました。 小さいころは胎内記憶がある可能性も?そんなできごとがあった私は、ある先輩が話していた胎内記憶のことを思い出しました。「ずっと昔、急に頭の上が明るくなってきてさ。あれ、生まれたときの記憶だよ」と言っていたのです。 大人になっても覚えている場合はめずらしいようですが、2~3歳くらいまではおなかの中にいたころや、生まれたときの記憶が残っている子も多いそう。また、子どもによっては、「お空の上からお父さんとお母さんを見ていた」という子もいるそうです。 次女にいろいろ聞いてみると不思議な答えが!胎内記憶を信じ始めた私は、次女にいろいろと質問してみることにしました。「お母さんのおなかの中はどうだった?」と聞くと、「お母さんの声がいつも聴こえたよ。あったかいお風呂の中にいて、浮かんでた。でもだんだん動けなくなってきた」と答えたのです! ちなみに「おなかの中にいる前はどこにいたの?」と聞くと、「お姉ちゃんと一緒に踊ってた。でもここじゃなかった」とのこと。胎内記憶だけでなく、おなかの中に宿る前の記憶もあるのかも? と驚いたことを覚えています。 その後も時々、娘に胎内記憶のことを聞きましたが、4歳くらいからは「覚えていない」と言うようになりました。大人もそうですが、子どもも数年前までのことはよく覚えているような気がします。胎内記憶、本当に不思議です。著者:石原みどり知的障害を持つ子どもと口唇口蓋裂を持つ子どもの母。波乱万丈で大変なこともあるが、子どもたちと幸せいっぱいに生活している。経験を踏まえ、子育てに関する情報を発信中。
2019年10月07日恋愛には「いい匂い⇒素敵な人⇒好きかも」のベクトルが成立するといわれています。匂いを上手く使う方法を紹介します。香水のつけすぎに注意女性のいい匂いは、男性の本能を揺さぶります。女性とすれ違った瞬間に、ふわっといい匂いがすると、男性はつい振り返ってしまうのです。だからといって、香水をたくさんつければいいと言うわけではありません。どんなにいい匂いでも、鼻にツーンとくるくらいの香水は逆に男性を遠ざけてしまうので、ほどほどにしましょう。香水は胸元にちょこっとつけて、服の中から少し香る程度でいいんです。胸元は体温が高いので、少量でも十分に周囲の人に匂いが届きますよ。香り付け専用ビーズを活用するまた最近は、洗剤と一緒に入れる香り付け専用のビーズが人気です。衣類が発するほのかな匂いも男性を刺激します。ただし、人間というのは鼻が慣れてしまって、自分自身ではあまり匂いを感じなくなるものです。自分では匂いを感じないからといって、適量以上にビーズをどばどばと入れるのはやめましょう。洗剤や柔軟剤にも香りがついている商品が多いので、ビーズは少量でも、衣類から男性を引き寄せる効果は十分です。髪から匂わせる大作戦香水や衣類以外では、髪の匂いで記憶に残す方法があります。シャンプーやトリートメントの匂いにも、男性は反応してくれますよ。髪型はショートでもロングでも、髪が揺れたときに匂いが発生します。髪の匂いで男性を魅了したいなら、髪は結ばずにおろしておきましょう。また髪からの匂いは、男性の年代によって好みが分かれるという調査結果があります。20代は甘い匂いや柑橘系で、30代はシトラス系やローズ系の匂いを好む傾向があるそうです。意中の男性がいるなら、相手の年齢に合わせて匂いをチョイスしていきましょう。足元のケアも抜かりなくいい匂いが男性を引きつけるなら、その逆もまた然りです。どんなにルックスを磨いても、匂いで嫌われてしまったらアウトです。夏に素足で履いたサンダルや冬に長時間履いたブーツなどには気をつけましょう。
2019年09月18日映画『記憶にございません!』で主演を務める中井貴一と監督の三谷幸喜がユニットを組み、楽曲「まったく記憶にございません」をリリースすることが分かった。映画公開前にはオリジナル・サウンドトラックがリリースされることも決定しているが、今回中井さんと三谷監督がユニットを組んだ楽曲は、そのサントラのボーナストラック曲。1961年生まれの同い年となる中井さんと三谷監督。本作撮影中もあうんの呼吸で演じ、演出していた2人が今回は音楽でタッグ!サラリーマンあるあるの事柄を三谷監督が作詞し、中井さんは突き抜けた調子のいい爽快な歌声を披露。さらに、三谷監督は合いの手で参加し、思わず口ずさみたくなる新しい音頭が誕生。しかも、このサントラでしか聴けない「まったく記憶にございません」。映画本編には、“まったく”入っていないので要注意だ。「最後から二番目の恋」エンディングテーマ以来の歌唱となる中井さん。「この曲は、映画とはまったく関係ないですけれど、世の中が明るくなるような歌なので、そんな歌が歌えて、夢が叶ったと言えば叶ったのかなと思います」と楽曲について話し、「三谷さんの合いの手は完璧で、まるで谷啓さんが歌っているように聞こえました。歌を聞いていただければ想いは伝わると思いますが、誰でも『記憶にない』と言いたくなるときがありますから、現実と掛け離れているようで、とても身近な歌になっていると思います」とコメントしている。『ステキな金縛り』の主題歌以来の作詞となる三谷監督は「この曲は、実は映画とはまったく関係ありません。劇中にも出て来ません。僕の映画は、いつもはどちらかというと音楽に溢れているのですが、今作はやや少なめ。劇中音楽を集めてみたら、意外にサントラを作るには尺が足りないことがわかって、何か足そうということになり、急きょ作ったのがこの『まったく記憶にございません』です」と最初予定には無かったと明かす。また「予想外のクオリティとなり、びっくりしています」と言い、「植木等さんが歌った人生の応援歌みたいな曲を目指しました。僕は青島幸男さんになりきって詞を書き、中井さんは植木さんになりきって歌いました。極論ですが『記憶にございません!』という映画が後世に残らなくても、この歌は残る、そのくらい素晴らしい曲になったと僕は思っています」と楽曲に自信を見せている。「記憶にございません!」オリジナル・サウンドトラックは9月11日(水)リリース。ボーナストラック曲「まったく記憶にございません」は9月4日(水)先行配信。『記憶にございません!』は9月13日(金)より全国東宝系にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:記憶にございません! 2019年9月13日より全国東宝系にて公開©2019フジテレビ東宝
2019年08月28日こんにちは、なきりエーコです。今回は、娘がずっと忘れない「お友だちとのあること」についてのお話です。■それは幼稚園で起こった小さなトラブルのはずだった…よくある出来事でお友だちにも悪気があったわけではなかったし、仲直りしたとのことで私はそれで終わりかと思っていたのですが…ん?■同じ話を何度もする子ども。その心は?んん?足をふまれたのは年少さんのころだったのに、年中さんになっても言ってます…。娘にとってはよほど印象深い出来事だったのか…? それとも娘なりの話のタネなのか…。いまだに思い出したように言ってます。スルーすることもできますが、これをしてしまうと本当に何かあったときに言ってもらえなくなりそうなので、1回1回きちんと聞くようにはしています。娘も聞いてもらうことによって満足してるようなので、もう儀式のような感じになってます。記憶力がいいのか、根に持つタイプなのか…。娘にビックリした話でした。
2019年07月12日赤ちゃんとの毎日がもっとラクに、もっと楽しくなる。ベビーカレンダーは、そんな毎日を応援するコラムを絶賛連載中! 今回は、メンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラーのカトウ ヒロコさんからメッセージです。 なんど言ってもちゃんとやってくれない、注意しても同じ間違いをするなど、しつけをする上で困っているなら、もしかしたら伝え方をちょっと変えたほうがいいかも。 記憶のメカニズムを知って、子どものしつけをラクにしませんか。 記憶するまでの過程とは記憶の過程には情報をキャッチする第一過程、記憶を定着させる段階の第二過程、記憶を蘇らせアウトプットする段階の第三過程に分けられます。 たとえば電車内でのしつけに当てはめてみると、第一過程:子どもが電車内では静かにしていなければならないということを知る第二過程:子どもが電車に乗るたびに静かにしなければならないことを思い出し、試みる第三過程:子どもが、親などに言われなくても自ら電車内で静かにするようになる このうちの第二過程を何度か繰り返すことによって、第三過程の状態になります。また、情報をキャッチした段階と思い出す環境が同じだと記憶の再生率が高いとされています。 子どもが自らやるようになるには?人の記憶について調べたところ、最初に聞かされた単語と最後に聞かされた単語の再生率が高いということがわかっています。つまり、あまり長々と話しても覚えていられないということです。ましてや子どもであれば、端的に伝えるのが効果的といえます。 また、単純に反復して覚えるより、意味や関連を考えて覚えたほうが長期記憶に移行しやすいとされています。「やりなさい」と言い続けるより、「○○だから、こうしようね」と伝えたほうが記憶に残りやすいのです。 感情的にガミガミ言ってしまうのは要注意言っても言ってもきちんとやってくれないと、つい声を荒げてしまったりしてしまうこともあるでしょう。けれど、これには注意が必要です。 努力して覚えようとしなくても忘れられない記憶を「フラッシュバブルブ記憶」といいます。これは一般的には、大切な人との死別や大きな事故を目の当たりにしてしまった場合などに起こるとされていますが、日常でも起こり得ることです。 感情的に怒られることによって、子どもが知らずのうちに心に大きな衝撃を受けてしまい、場合によっては、成長していくにつれて、忘れたくても忘れられずに苦しむ要因ともなりえます。あくまでも、“しつけは冷静に“が重要です。 つい長々と諭してしまう、つい声を荒げてしまう、などはしつけには逆効果。端的に伝えて、焦らず、そしてこどもがきちんと反復して自分のものにするまで温かく見守りましょう。 著者:ライター カトウ ヒロコメンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラー。また、フリーのWEBプロデューサー&ライターとして活動中。
2019年07月04日国語はもちろん、算数や理科などあらゆる教科を勉強する際にも重要とされる「言葉の力」。子どもの「言葉の力」を伸ばすためにはどうすればいいのでしょうか。お話を聞いたのは、屈指の名門校、麻布中学・高校の国語教諭である中島克治先生です。まずは、「おしゃべりな子どもと無口な子どものちがい」についてのお考えから話してもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)ドリル学習では「言葉の力」はなかなか伸びない我が子が、まわりの子と比べて無口だと心配になってしまう親もたくさんいると思います。でも、ありていにいってしまえば、それは「個性」ということなのです。親がどんなにおしゃべりでも子どもは無口になることもあるし、その逆もある。同じような育て方をしても兄弟姉妹でちがいはありますし、親のアプローチいかんで子どもが多弁になったり寡黙になったりといったことはないのではないかとわたしは考えています。子どもには親とはまったく別の人格が備わっていて、おしゃべりであれ無口であれ、それはその子の「個性」なのです。そうとらえれば、「なんとか子どもの言葉を増やそうと努力しているのに……」と、頭を悩ますというような呪縛から解放されることになるはずです。とはいえ、おしゃべりか無口かということとは別に、「言葉の力」を身につけておくことはあらゆる勉強をするにあたって重要となります。そう考える教育熱心な親であれば、子どもにドリル学習などをさせているかもしれません。でも、ドリル学習にはあまり意味がないとわたしは考えています。子どもからすればドリル学習はやらされる、仕方なくやる受け身の側面が強いものです。しかも、紙の上での学習ということで、どうしても現実世界に応用しづらいものであるため、学習した内容の定着率も良くありません。たとえ勉強した直後には身についても、1カ月、1年といった時間が経つと内容がすっぽりと抜け落ちてしまうのです。単なるドリル学習というものは、どうしてもただ覚えること、テストでいい点を取ることに重点が置かれます。そういう学習で得た知識は、子どもにとって「生きた知識」にはならないのです。親との共通体験が子どもの学習を補強していくでは、「生きた知識」としての言葉の力をどのように伸ばしてあげればいいのでしょうか。その方法は、「実生活のなかでの親とのコミュニケーション」です。たとえば、親子で植物園に出掛けたときに、以前に図鑑で見たことのある花が咲いているのを発見したとします。そして、「これ、前に図鑑で見たよね?」「どんな花だっけ?」といった会話をする。すると、実体験のなかで実物と言葉がぴたっと結びついていくので自然に言葉が子どもの頭に入っていくのです。親に教えてもらったとか、親の質問に答えられてうれしかったとか、具体的な場面のなかでの親との共通体験が学習を補強し、そのときに得た言葉はしっかりと子どもの頭に刻まれます。共通体験といっても、わざわざどこかに出掛けて特別な体験をしなければならないということはありません。それこそ家庭での日常的な会話でもできることです。会話の内容も天気のことでもご飯のことでもいいし、幼稚園や小学校での出来事、親子それぞれが観たテレビ番組の感想をいってもいい。そういった親とのコミュニケーションを通じて、子どもは満足したり、安心したり、うれしく感じたりといったポジティブな体験とともに感受性を高めながら言葉を覚えていくのです。子どもに知識をただ詰め込もうとしても、身につくものではありません。喜怒哀楽などの気持ちが伴わなければ、学習したことが子どもの糧にならないからです。たとえば、子どもがはじめて真っ赤な美しい夕焼けを見たとき、「綺麗」という言葉を知らなくとも子どもの心はすでに震えています。そして、そばにいる親が「綺麗だね」とつぶやいた。自分の心の震えと「綺麗」という言葉が重なり合う。そんな言葉を忘れるわけがありません。親子のコミュニケーションにおける3つの注意点子どもとコミュニケーションを取る際の注意点もお伝えしておきます。ひとつは、子どもから「これ、なに?」というふうに質問をされたときに、すぐには答えないほうがいいということ。答えられることでもあえて答えず、「なんだろうね?」「うちに帰ったら調べてみようか」というふうに答えるのです。どういうことかというと、子どもに立ち止まる時間を与えるということです。そうすることにより、子どもは手探りで考えることになる。その時間が、その後の学習で得た知識の定着を高めることになります。次の注意点は、子どもの言葉を頭から否定しないということ。子どもは大人が忘れてしまったような感覚を持っていて、大人が考えもしなかった側面から考えることもあるものです。大人になってしまった親からすれば、子どもの言葉が間違っていると思っても否定してはいけません。また、子どもの言葉に親が本当に驚かされることもあるでしょう。そういうときは否定せずに「そんなふうに考えるんだね」といったリアクションをしたり、素直に驚きを伝えたりしましょう。子どもからすれば、自分より言語能力が長けていると思っている親にちょっと先んじることができたという優越感を得ます。その優越感によって、子どもは言葉に対してよりポジティブにかかわっていくようになるのです。そして最後のアドバイスとしては、なにより親自身が子どもとのコミュニケーションを楽しむことが大切だということ。子どもは「教えてもらっている」と思うと受け身になってしまい、学びに対する積極性を失います。でも、親自身が楽しんでいれば、それは親が子に教えるという姿勢ではありませんよね。子どもも親の楽しむ姿勢に引っ張られてコミュニケーションを楽しむようになる。そうして、親子のコミュニケーションによって言葉を得る効果も高まるわけです。『本物の読解力をつけることばパズル 入門編』中島克治 著/小学館(2019)■ 麻布中学・高校国語科教諭・中島克治先生 インタビュー一覧第1回:子どもの「言葉の力」を伸ばすには?名門麻布の国語教師が説く“親の心得3か条”第2回:先取り学習はこんなに危険。「した子」の成績が「しなかった子」に抜かれるのはなぜ?(※近日公開)第3回:麻布中高の国語教師が断言。「絵本の読み聞かせ」の教育効果はやっぱり絶大だった!(※近日公開)第4回:我が子に“読書好き”になってほしいなら。ぜひ身につけさせたい「読み癖」とは(※近日公開)【プロフィール】中島克治(なかじま・かつじ)1962年生まれ、東京都出身。麻布中学・高校を経て東京大学文学部卒業。東京大学大学院博士課程修了。現在、私立麻布学園麻布中学・高校国語科教諭。『本物の読解力をつけることばパズル 初級編』(小学館)、『一生役立つ! 子どもの本当の読解力をグッと引き出す方法』(PHP研究所)、『1話5分! 12歳までに読みたい名作100』(新星出版社)、『小学生クロスワードBOOK 1・2・3年生』(星雲社)、『本物の国語力をつけることばパズル 中級編』(小学館)、『本物の国語力をつけることばパズル 入門編』(小学館)、『本物の国語力をつけることばパズル 初級編』(小学館)、『夏目漱石ほか文豪名著 書き写しノート』(朝日新聞出版)、『小学校入学前にことばの力をつける魔法の本棚』(小学館)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年06月24日「非認知能力」とは、テストの点数や偏差値など数字で測れる認知能力に対して、数字では測れない力のこと。そこには、回復力、やり抜く力、自信、自己肯定感、リーダーシップ、主体性、社会性、共感力……など、さまざまな力が含まれます。その非認知能力との出会いによって自身の人生を変えたのが、ライフコーチとして日米で講演会やワークショップを展開する、アメリカ・ワシントンDC在住のボーク重子さん。全米の女子高生が知性や才能、リーダーシップを競う大学奨学金コンクール「全米最優秀女子高生」で娘のスカイさんが優勝したことでも注目を集め、出版された本は軒並みベストセラーになっています。もちろん、ボーク重子さんの子育ての軸となったのも、子どもの非認知能力を伸ばすことでした。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/櫻井健司(インタビューカットのみ)はじめての失敗で心が折れた子ども時代子どもの非認知能力の有無によってどんなちがいが生まれるのか――。親であればとても気になるところですよね。ここでは、わたし自身を例にしてお伝えしましょう。子どもの頃のわたしは、「いい高校、大学、会社に入って、いい結婚をすれば一生安泰だから、とにかく勉強をしなさい」といわれて育ちました。わたしの親は少し教育熱心だったかもしれませんが、当時の「幸せへ向かうレール」に子どもを乗せようとする、ごく普通の家庭だったと思います。わたしはいわれるままに勉強をしましたから、最初は学校の成績も優秀でした。ところが、中学生のある日、急に数学ができなくなったのです。いつも100点だったテストがいきなり70点になってしまった。そして心が折れた。いまならその理由がわかります。それは、わたしの非認知能力がまったく育っていなかったからです。当時のわたしは、「やりなさい」といわれたことになんの疑問も持たずに従っていました。いわゆる「いい子」です。だからこそ、自分で考えるということをまったくしたことがありませんでした。勉強も親や先生にいわれたことをやって、とにかく暗記を繰り返すだけ。学習内容の本質を理解していませんから、学習レベルが上がると一気に成績が落ちてしまったのです。そこでわたしがどうしたかというと……勉強をやめてしまいました。というのも、賢くないと思われるのがすごく嫌だったからです。「勉強をしなければ、『やればできるのに』と思ってもらえる……」。そう考えたわけです。そのときのわたしに回復力ややり抜く力といった力があれば、そこで立ち止まって「どうすればいいか」と考えられたでしょう。でも、当時のわたしにはそれらの力はなかった。要するに、わたしには勉強での失敗経験がなかったのです。なにかをして失敗するという経験は、非認知能力を育てるためにはとても大切なものです。あたりまえですが、失敗しないことには回復力なんて育つわけがありませんからね。そもそも、それ以前に主体性が育っていれば、親や先生のいうことにただ従うのではなく、自ら考えて勉強に励むこともできたかもしれません。さらに、そういった主体的な勉強で成績が上がったのなら、自信をつかむこともできたでしょう。でも、当時のわたしはそうではなかった。だから、たったひとつのテストの結果でポキッと心が折れてしまったわけです。教育法のちがいが子どもの人生を大きく変えるそれからはどんどん成績は下がる一方で、自分は「なんてダメなのだろう」という気持ちを拭うことができませんでした。そこからわたしが回復するには、15年ほどの時間がかかりました。20代はそれこそ暗黒時代。ずっと「どうして自分はこんなに駄目な人間なんだろう?」「どうせわたしなんて……」と思いながら過ごしていました。その後、回復するに至ったのは、30歳になる直前に、当時お付き合いしていた男性にフラれたことが大きなきっかけです。そのとき、真剣な顔をしている彼を見たわたしは「プロポーズかな?」と思った。でも、彼は「君は僕と結婚したらどう生きたい?」と聞くのです。当時のわたしは、「え?そんなの決まってる」と思いました。その答えは、「あなたのお世話をして、あなたの子どもを生んで、一緒に年を重ねたい」です。わたしの返事を聞いて、彼はこういいました。「僕、それだけの人はいらない」と。幼い頃から凝り固まった人生観を刷り込まれ、自分というものを持てていないわたしに彼は愛想を尽かしたというわけです。そうして「幸せへ向かうレール」から外れたことで、わたしは一念発起しました。ずっと心のどこかで「いつかやりたい」と考えていたアートの勉強をするため、イギリス、続いてアメリカに渡ったのです。そのうち結婚して娘が生まれると、また強い不安に駆られました。「わたしに育てられたら、いつも自信を持てなくて誰かの指示を待つわたしみたいな人間に娘が育つのではないか」と――。そして、娘のための学校を探しているうちに出会ったのが非認知能力でした。当時のアメリカにおけるいわゆるエリートコースにある幼稚園や小学校は非認知能力教育に重点を置くようになりつつありました。そして、ある研究によって、その潮流は決定的なものとなった。従来の教育を受けるか、非認知能力を高める教育を受けるかによって、その後の子どもたちに大きなちがいが生まれることがはっきりとわかったのです。非認知能力を高める教育を受けた子どもたちの学習は、機械的にやらされるようなものではありません。学習内容に興味を持ち、自ら能動的に学ぶ。勉強したくないときも、責任感があるから「やらなくちゃ」と勉強をする。もちろん、学習成績も上がります。さらには、自分がやったことを肯定してもらえるため、自信を持つようにもなる。子どもたち一人ひとりが認められるから、いじめも減る。やる気、主体性、パッションがあって、自分がやりたいことをやるためにそれ以外のことも自然にできるようになるし、やり抜く力も身についていく――。まさにいいことずくめなのです。親は子どものロールモデルという役割から逃れられないさて、肝心の非認知能力を高める教育ですが、特別な学校でしかできないというわけではありません。むしろ、家庭教育のほうが重要だともいえます。娘を通わせた学校の先生からは、「いちばん小さいけれど最強のコミュニティーである家庭での教育、親との対話が子どもにもっとも影響を与える」といわれました。親は子どものロールモデルという役割から逃れることはできません。親の姿を見て育つ子どもは、ふとしたときに出るしぐさや口癖などまで親に似るものです。子どもは必死に生きて親を愛して、いずれ親のようになる。それだけ親という存在は子どもにとって大事なものなのです。そう気づいたとき、わたしは思い至りました。「だとしたら、まずわたし自身が自分の非認知能力を高めなければいけない」と。それから、わたしはいろいろと行動をはじめました。アートギャラリーを立ち上げたこともそのひとつでしょう。とにかく行動することが大切で、ずっと家にこもっていても心は強くなりません。家でご飯を食べてテレビを観ているだけなら、誰かに共感したり、失敗して回復したりする必要もないし、主体性やリーダーシップを発揮する場面もありませんからね。そして、「ママ、いまはこういうことをしてるんだよ」というふうに、自分の行動を子どもとシェアするのです。子どもは親を見て育つといいますが、見えやすくするのも親の役目です。子どもには、いわれなければわからないこともたくさんあるのですから。親の行動をシェアする際には、「失敗こそシェアする」と心がけてください。当時のわたしはなにもわからないままビジネスをはじめましたから、当然、失敗の連続です。それらの経験を娘に伝え、ときには娘からアドバイスをしてもらうこともありました。それは、失敗か成功かという結果ではなく、なにがどうしてどうなったかというプロセスを娘に見せるということです。そうすることで、子どもは、失敗は通過点であってやり直しができるということ、方法はひとつじゃなくてもしひとつの方法が駄目でも他の選択肢や可能性を試せばいいといったことを学んでいくことができます。それは、回復力ややり抜く力といった非認知能力そのものですよね。そう考えていたわたしは、娘には成功より失敗を重点的に見せてきましたから、娘にとってはじつは格好悪いママなんです……。はじめて「子育ての本を書くんだ」といったときに、いちばん驚いていたのが娘でしたね(笑)。娘のスカイさんと。『世界基準の子どもの教養』ボーク重子 著/ポプラ社(2019)■ ボーク重子さん インタビュー一覧第1回:子どもが親の失敗から学ぶもの。「やり抜く力」を育むなら“格好悪い親”であれ第2回:「親の態度」がカギを握る。子どもの自己肯定感を高める行動、低める行動(※近日公開)第3回:「ルールを守れる子ども」はこうして育つ。親が子に与えるべき大事な“時間”(※近日公開)第4回:「自分の考えを言えない」問題の解決法。幼い子どもにこそ大切な“リベラルアーツ”(※近日公開)【プロフィール】ボーク重子(ぼーく・しげこ)ライフコーチ。福島県出身。30歳の誕生日1週間前に「わたしの一番したいことをしよう」と渡英し、ロンドンにある美術系の大学院サザビーズ・インスティテュート・オブ・アートに入学。現代美術史の修士号を取得後、留学中にフランス語の勉強に訪れた南仏の語学学校でのちに夫となるアメリカ人と出会い1998年に渡米、出産。「我が子には、自分で人生を切り開き、どんなときも自分らしく強く生きてほしい」との願いを胸に、全米一研究機関の集中するワシントンDCで、最高の子育て法を模索。科学的データ、最新の教育法、心理学セミナー、大学での研究や名門大学の教育に対する考え方を詳細にリサーチし、アメリカのエリート教育にたどりつく。最高の子育てには親自身の自分育てが必要だという研究データをもとに、目標達成メソッド「SMARTゴール」を子育てに応用、娘・スカイさんは「全米最優秀女子高生 The Distinguished Young Women of America」に選ばれた。同時に、子育てのための自分育てで自身のキャリアも着実に積み上げ、2004年、念願のアジア現代アートギャラリーをオープン。2006年アートを通じての社会貢献を評価されワシントニアン誌によってオバマ大統領(当時上院議員)やワシントンポスト紙副社長らとともに「ワシントンの美しい25人」に選ばれた。2009年、ギャラリー業務に加えアートコンサルティング業を開始。現在はアート業界でのキャリアに加え、ライフコーチとして全米並びに日本各地で、子育て、キャリア構築、ワークライフバランスについて講演会やワークショップを展開している。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年06月08日「ソーシャルスキル」という言葉を知っているでしょうか。直訳すると「社会的な技能」となりますから、なんとなく意味も想像できるかもしれません。いま、子どもたちのソーシャルスキルが不足している、あるいは未熟なままであると危惧しているのが、法政大学文学部心理学科教授の渡辺弥生先生。きちんと社会生活を営むために欠かせないというソーシャルスキル。具体的にはどんなものなのでしょうか。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「バイバイ」のハンドサインもソーシャルスキルソーシャルスキルというと、なにか特別な技能を想像するかもしれませんね。でも、これはみなさんすべてが日常的に使っているしぐさや行動なのです。たとえば、手の振り方次第で相手に「こっちに来て」とも「バイバイ」とも伝えられますよね?このように、社会生活をうまく営むために「こういう場合はこういう振る舞いをする」というフォーム(モジュール:人間の行動のうえで、まとまった社会的機能を有する単位)のようなものです。「うまく営む」というと、「要領良く生きていく」ためのスキルだと勘違いする人もいるでしょう。でも、そういうものではなくて、ある社会に暮らすために誰にも求められているものなのです。電車に乗るときのマナーをイメージしてもらえるとわかりやすいかもしれません。電車でのマナーは、社会生活をスムーズに営むためのものであって、要領良く生きるためのものではないですよね。それらは、かつては親やおじいちゃん、おばあちゃん、近所の大人たちが子どもたちに教えてきたものです。でも、地域との接点が薄れ、核家族化が進んだいまはそれが難しくなってきています。極端にいえば、家庭教育を担うのは親だけという状況。その親が教えることができなければ、子どもはソーシャルスキルを学ぶことができないのです。遊びが多くのソーシャルスキルをもたらすまた、子どもがソーシャルスキルを身につけることが難しくなってきている原因としては、子どもたちが自由に遊べる時間が激減しているということも挙げられます。いまの時代の親は本当に教育熱心です。子どものためを思って塾はもちろんさまざまなお稽古事に子どもを通わせますから、子どもが自由に友だちと遊べる時間はどんどん減っています。でも、本来、子どもは遊びからさまざまなソーシャルスキルを学ぶのです。たとえば、近所の子どもたちと遊ぶうち、年上のお兄さんやお姉さんに優しくされれば、「思いやる力」を学べます。そうして学んだスキルを、今度は年下の子どもたちを相手に発揮することもあるでしょう。また、山の急勾配を登るような遊びなら、何度転げ落ちても粘り強く挑戦を続けるうちに、子どもは「あきらめない力」を身につけます。逆に、遊びのなかで「あきらめる力」を身につけることもあります。たとえば、本当はもっと遊んでいたいのに、日が暮れてしまって遊ぶことを「あきらめた」という経験はみなさんにもあるでしょう?これも立派なソーシャルスキルです。「あきらめる力」は「粘り強さ」の対極にあるものではありません。ときと場合によっては、どこかで妥協することも必要なのです。そうできなければ、次のステップに進んで頑張るということもできないでしょうからね。そういった「決断」が「あきらめる」ということなのです。ソーシャルスキルの不足が招く悪影響ソーシャルスキルは、いってみれば「生きるための総合力」です。それらが不足してしまうと、当然、子どもたちにはさまざまな影響が表れます。その筆頭は、「人とうまくかかわれなくなる」ということ。人間は社会生活を営む動物ですから、「ひとりで生きていける」なんて思っている人であっても、実際にはどこかで人とかかわって生きています。それなのに、人とうまくかかわることができなければ、まわりから「迷惑な人だ」と思われるなどして、幸せな人生を歩むことが困難になります。それから、「うまくかかわれなくなる対象」には「自分」も含まれます。「ソーシャル」というからには他者とのかかわりをイメージすると思いますが、先に挙げた「あきらめない力」や「あきらめる力」がそうであるように、ソーシャルスキルが欠乏すると、自分ともうまくかかわれなくなるのです。「不安ありき」の家庭教育では子どもも不安になるでは、子どもにソーシャルスキルを身につけさせるために親はどうすればいいのでしょうか。わたしは、変に難しく考える必要はないと思っています。なによりも楽しく子育て、家庭教育をすることを心がけてほしいのです。先に、ソーシャルスキルが不足すると人とうまくかかわれなくなるとお伝えしました。すると、「うちの子がそうなったらどうしよう」と思った人もいることでしょう。いまの親を見ていると、多くの人が「不安ありき」の家庭教育をしているように思えてくるのです。自分の子どもが「不登校にならないか」「いじめに巻き込まれないか」といくつも不安があって、そうならないための家庭教育になっているのではないでしょうか。それはすごく残念なこと。子どもは無限の可能性を秘めています。だとしたら、起きてもいない問題をイメージして不安を取り除くような発想ではなく、子どものいいところをどんどん伸ばしてあげるためになにをすべきなのかという発想で、もっとポジティブに家庭教育をしてほしいですね。親が毎日のように不安な顔をしていたら、子どもだって不安になります。でも、お父さんとお母さんが人生を楽しんで、いつもニコニコして「人生って面白いよ!」と伝えてくれたら、子どもはワクワクした気持ちで毎日を過ごせるにちがいありません。「情動感染」という言葉がありますが、気持ちは即時に影響し合うところがあるのです。そうすれば、幼稚園でも小学校でも友だちがどんどんできて、先生ともいい関係を築けるし、自己肯定感が高まり、結果として自然に必要なソーシャルスキルを学んでいくように思うのです。『感情の正体 ――発達心理学で気持ちをマネジメントする』渡辺弥生 著/筑摩書房(2019)■ 法政大学文学部心理学科教授・渡辺弥生先生 インタビュー一覧第1回:「あきらめない力」も「あきらめる力」も大切!子どもの決断力を伸ばす家庭教育法第2回:我が子の自己肯定感を育むなら“親の基本”の徹底を。「見返りを求める」は絶対NG!(※近日公開)第3回:劣等感を自尊心に!寝る前に親子で実践、「レジリエンス」の簡単トレーニング法(※近日公開)第4回:「10歳の壁」ではなくて「10歳の飛躍」!親が我が子の10歳をもっと面白がるべき理由(※近日公開)【プロフィール】渡辺弥生(わたなべ・やよい)大阪府出身。法政大学文学部心理学科教授。筑波大学卒業、同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだあと、筑波大学文部技官、静岡大学助教授、ハーバード大学在外研究員、カリフォルニア大学客員研究員等を経て現職。同大学大学院特定課題ライフスキル教育研究所所長も務める。専門は発達心理学、発達臨床心理学、学校心理学。『まんがでわかる発達心理学』(講談社)、『小学生のためのソーシャルスキル・トレーニング スマホ時代に必要な人間関係の技術』(明治図書出版)、『イラスト版 子どもの感情力をアップする本 自己肯定感を高める気持ちマネジメント50』(合同出版)、『子どもの「10歳の壁」とは何か? 乗り越えるための発達心理学』(光文社)、『考える力、感じる力、行動する力を伸ばす 子どもの感情表現ワークブック』(明石書店)、『図で理解する発達 新しい発達心理学への招待』(福村出版)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年06月03日明確な答えがない時代を生きる子どもたち。今後、どんな力が求められているのでしょうか?「観察力」「推論する力」「他者を受容して理解する力」「再考する力」「表現力」、そして「自ら学ぶ力」と「コミュニケーション能力」。並べてみれば、きりがありませんね。では、どうすればこれらの能力を身につけることができるのでしょう?その答えとして、上記の全ての力を育てるために有効な手段のひとつ、「対話型鑑賞法」をご紹介しましょう。アメリカ発の新しい美術鑑賞教育法「対話型鑑賞」とは対話型鑑賞法(Visual Thinking Strategies)とは、アメリカ発の新しい美術鑑賞教育法です。対話型鑑賞法について語るうえで欠かせない著作 Visual Thinking Strategies の訳者である、元京都造形芸術大学アートプロデュース学科教授、アート・コミュニケーション研究センターの福のり子氏の言葉をご覧ください。ニューヨーク近代美術館(MoMA)教育部の部長を務めた本書の著者フィリップ・ヤノウィン(Philip Yenawine)は、鑑賞教育における知識偏重型の指導に疑問を抱き、長年の調査・研究・実践を踏まえて新たな指導方法を開発した。それがヴィジュアル・シンキング・ストラテジー(VTS)である。「アート作品は文字に頼らない視覚的なもので、親しみやすい部分と謎めいた部分をあわせ持っている。また、解釈が開かれており、幅広い層に訴えかけるテーマを扱っている。さらに、多様かつ複雑で、概念と感情の両方を喚起するという特性を持っている。」こうした美術作品の特性を活かし、VTSでは対話を介してグループで作品をみるという鑑賞方法を提唱している。ヤノウィンは、対話型鑑賞を通して子ども達にさまざまな力がつくことを、その理論的背景、そして数々の実践例を紹介しながら説得力をもって私たちに語ってくれている。VTSを介して彼らが身につけていく「複合的能力」とは、観察、解釈、根拠をもった考察、意見の再検討、そして複数の可能性を追究する力などである。(引用元:フィリップ ヤノウィン 著, 京都造形芸術大学アートコミュニケーション研究センター 訳(2015),『学力をのばす美術鑑賞』,淡交社.)アートは現象!?鑑賞者と作品の間で何が起こるのか一般的にはアートとは、表現者側の活動として捉えられる側面が強いものです。つまり、表現者が働きかけるためにとった手段、媒体、対象などの作品やその過程が、アートだと思われがちです。しかしアートとは、表現者あるいは表現作品と、鑑賞者とが相互に作用しあうことにより、精神的・感覚的な変動を得ようとする活動だとも言えるでしょう。対話型鑑賞法では、鑑賞者側の活動に重点を移し、作品と鑑賞者の間に起こる現象をアートと捉えています。作品を解釈するのは、鑑賞者自身です。そしてその解釈は、鑑賞者それぞれが育った環境や経験、好みや思考の特性によって異なります。対話を通して鑑賞者の視点から作品を捉えるとき、人間にとっての知覚のメカニズムが反映されます。つまり、個人の認知や認識の過程、さらには思考形成の過程を探ることの手がかりが得られるのです。これは、子どもたちの心や知の発達に大いに役立つことでしょう。対話による鑑賞で「他者を受容して理解する力」が育つ本来人間は、見たいものを見たいようにしか見ません。同様に、聴きたいものを聴きたいようにしか聴きません。これが先入観を生み、相互理解を妨げ、ひいては偏見を生み出す原因となっています。しかし、対話型鑑賞を続けることによって、さまざまな視点や解釈の可能性を受け入れることができるようになります。自分は絶対にAだと思ったのに、隣の子はBだと言っている。さらに、Cだと考えている人もいる。このように、自分とは異なる他者の意見にふれることで、先入観のしがらみから自分自身を解放できるのです。論理的思考力・自ら学ぶ力・観察力・共感力・表現力が養われる対話の経験を通して、論理的な思考力が養われることは言うまでもありません。なぜなら、自身の考えを他者に理解してもらうためには、自分の思考回路を順序立てて説明することが求められるからです。さらに、周囲の人々の様々な意見に出会うことで、もともとの自分の考えを再考する機会にも恵まれることでしょう。同時に、自分自身の視点や思考の特性を知り、検証するという、自己との対話も始まります。自己対話は、自ら自分自身を育て、主体的に学ぶことを学ぶという、セルフ・エディケーション能力への道を拓いていきます。さらに、鑑賞する喜びから感動できる力、作品に対する「観察力」や「共感力」が育まれます。加えて、イメージの構想力や言語による「表現力」、それを相手に円滑に伝え合う「コミュニケーション能力」も伸びていきます。対話を通して培われた「鑑賞する力」は、次第に「表現する力」を育てることにつながっていくのです。もちろん、対話型鑑賞に参加する子どもたちだけでなく、親御さんにも大きなメリットがあります。子どもたちとの対話を通して親御さん自身も、自分の思考の特性に気づかされるはずです。そして、我が子の思考や感性、そこから生じる行動を、より深く理解することができるようになるでしょう。人間の知の基本フレームは、小学生の時期に形成される発達心理学の観点では、人間の知の基本フレームは小学生の時期に形成されると言われています。思考や感性が形成されるこの大切な時期に、あらかじめ定められた解答を単に繰り返すだけの作業や、一問一答式のテスト結果などの目先の成果を優先してしまうと、どうなるでしょう。子どもたちの自ら学び創造する力、じっくりと考える力、他者を理解する力を削いでしまうのではないでしょうか。作品とのまっすぐな対話を通して、将来役に立つであろうさまざまな能力を育んでいくために。他者との深い対話を通して、子どもたちの想像力に富んだ未来を切り拓いていくために。親子の豊かな対話を通して、家族の幸せな時間を共有し、相互理解を実現するために。ぜひ、親子で「対話型鑑賞」に取り組んでいただけたらと思います。次回からは、私がこれまで「対話を通した創造的鑑賞」と称して子どもたちと行なってきた数多くの事例を示しながら、実際の対話による鑑賞の方法をご紹介していきましょう。(参考)■対話型鑑賞法フィリップ ヤノウィン 著, 京都造形芸術大学アートコミュニケーション研究センター 訳(2015),『学力をのばす美術鑑賞』,淡交社.岡崎大輔(2018),「なぜ、世界のエリートはどんなに忙しくても美術館に行くのか」, SB Creative.鈴木有紀(2019),「教えない授業――美術館発、「正解のない問い」に挑む力の育て方 」,英知出版.エイミー・E・ハーマン著(2016), 「観察力を磨く 名画読解」,早川書房.上野行一(2011),「私の中の自由な美術-鑑賞教育で育む力」,光村図書出版.上野行一(2014),「風神雷神はなぜ笑っているのか(対話による鑑賞完全講座)」,光村図書出版.奥村高明(2015),「エグゼクティブは美術館に集う(「脳力」を覚醒する美術鑑賞)」,光村図書出版.アメリア・アレナス(2005),「MITE! ティーチャーズ・キット」〈1〉〈2〉〈3〉,淡交社美術手帖編集部(2019),「美術手帖 19年2月号 みんなの美術教育」,美術出版社.■アートを現象として捉えるマルティン・ハイデッガー 著, 関口浩 訳(2008),「芸術作品の起源」,平凡社.ジャック・デリダ著, 高橋允昭 , 阿部宏慈 訳(2012),「絵画における真理」〈上〉法政大学出版局今道友信(1973),「美について」,講談社.佐々木健一(2004),「美学への招待」,中央公論新社.■教育心理学レフ・セミョノヴィチ ヴィゴツキー著, 柴田義松 訳(2001),「新訳版・思考と言語」,新読書社.佐藤公治(2015),「ヴィゴツキーの思想世界――その形成と研究の交流」,新曜社.ジャン・ピアジェ 著, 滝沢 武久 訳(1972),「発生的認識論」,白水社.■対話型鑑賞法造形芸術の効果パウル・クレー 著, 土方定一, 菊盛英夫, 坂崎乙郎 訳(2016),「造形思考」〈上〉〈下〉,筑摩書房.ヴァシリー ・カンディンスキー 著, 宮島久雄 訳(2017),「点と線から面へ」,筑摩書房.
2019年06月02日婚約指輪は女性の憧れですが、そのお返しは必ずしなくてはならないというマナーはないのです。しかし、お返しは彼にも喜んでもらえるもののため、用意してみることがオススメです。お返しの相場とは婚約指輪のお返しは一般的に、半返しつまりもらったものの半額程度のものをお開始することが一般的です。相場としては10〜15万円程度の価格帯のお返しをしている人が多いとされています。しかし、結婚後はまとまったお金が必要になることも多く、少しでもお金はこれからの生活のために使いたいと思っている場合には、無理をしない範囲で用意することをオススメします。お返しを贈るタイミングとしては1〜3週間の間がマナーです。婚約指輪と交換するのも良いとされています。定番のお返しとはお返しの品は色々なものがありますが、やはり定番かつ実用的なのが「腕時計」です。腕時計なら毎日でもつけることができ、イニシャルやメッセージ、記念日を刻印するなど一緒に時間を刻むという意味を込めて贈る人もいます。また、長く形に残るという意味でもオススメとなります。すでにお気に入りの時計を持っている、という男性にはスーツなどがオススメです。スーツは何着あっても困らないものですし、憧れのブランドスーツやフォーマル仕様のものは一枚あると便利です。そのほか、ブランド物の財布やネクタイピンなども人気となっています。欲しがっていたものを贈る前から彼が欲しがっていたものを贈る、というのも喜ばれて記憶に残るお返しとなります。趣味に関係するものであれば、あなたのことを考えて選んだという気持ちがより伝わります。また、通勤や趣味で自転車やバイクを乗っている場合には、お返しに新調してみるというのもオススメです。日常的に使うものを選べば、毎日使ってもらえます。ネクタイや時計など定番のものを贈るのも良いですが、普段使っているものや趣味のものであれば思い出に残しやすくなると考えられます。定番以外のお返し特に彼が希望するものがないという場合には、二人でいける旅行券などがオススメです。婚前旅行として彼の行きたかった場所や行ったことない場所に旅行に行けば、彼だけではなく二人の思い出作りになります。彼が電化製品が欲しいという場合には、電化製品でお返しをするというのも一つの手段です。新しいタブレットなどは実用的なので喜んでもらえそうです。
2019年05月26日「子どもの集中力が続かない」というのは、子育て中によく聞かれる悩みのひとつです。また、集中力はあっても「自分が興味のあること限定」というお子さんも少なくありませんよね。今回は「子どもの集中力が続かない原因と改善方法」についてご紹介しましょう。子どもの集中力を低下させる原因は?子どもの集中力が低下する原因には、さまざまものがあります。代表的なものは以下の通りです。・長時間のゲームやテレビ鑑賞ゲームやテレビ、スマートフォンを閲覧する時間が長くなってしまうと、脳の中で記憶や学習、感情のコントロールに深くかかわっている前頭前野という部分が疲れてしまい、注意力散漫になったり、集中力が低下してしまったりするといわれています。・不規則な生活夜ふかしをして十分な睡眠時間がとれていないと、イライラしやすくなったり、ケアレスミスが多くなったりしやすいといわれています。また、朝起きるのが苦手でいつも遅刻ギリギリの時間まで寝てしまい、朝食をとる時間がないと、集中力が足りなくなるともいわれているのです。不規則な生活の中に、集中力が低下する原因がいくつも潜んでいるといえるでしょう。集中力のある子とない子の違い一般社団法人教育デザインラボ代表理事で、都留文科大学特任教授の石田勝紀氏は、集中力に関して「人間は『集中タイプ』と『拡散タイプ』の2つに分かれている」と述べています。「集中タイプ」は、先天的に集中力が高いケース、自分の興味のあることに関しては抜群の集中力を発揮するケース、「習い事や部活動で忙しく、短時間で宿題をこなさなければいけない」など必要性に迫られることで集中力を発揮するケースがあるといいます。勉強は好きではないものの、歴史小説や歴史漫画が好きで、歴史の成績だけは常にトップクラスであるという子どもや、趣味に没頭すると誰かが話しかけてもまったく反応しない子どもなどはこのタイプです。一方の「拡散タイプ」は、周りの人々や環境のことが常に気になりやすく、集中力があまり高くありません。それゆえに「落ち着きがない」と思われることも。しかし、見方を変えれば、「よく気がつく」「他の人の様子を察知できる」ということでもあり、将来的にサービス業などで活躍する可能性が高いのだそう。集中力があるに越したことはありませんが、集中力がないからといって子どもを否定的に判断したりせず、「この子はこういうタイプなのだ」と見守ることも大切だと言えますね。子どもの集中力をアップさせる方法子どもの集中力をアップさせるためには、普段の生活の中に以下を取り入れましょう。・集中モードへの切り替えを促す何かに集中するためには、「集中モード」に入ることから始まります。大人の場合でも、就業時間になったからといってすぐに仕事に没頭できるわけではなく、今日のタスクをチェックしたり、デスクの上をキレイにして仕事をしやすい環境を作ったりして、徐々に集中モードに切り替えていくという方が多いのではないでしょうか。ぜひそれを子どもにも習慣づけてみましょう。具体的には、テレビやスマートフォンから離れる、机に向かってノートや鉛筆を準備する、ひらがなや漢字の書き取りといった簡単な勉強から始めることなどが効果的です。・子どもに「集中力がない」と言わない教育評論家の親野智可等先生によると、親に「集中力がないんだから!」と言われ続けた子どもは、無意識のうちに「自分は集中力がないんだ」と思うようになります。その結果、子どもは「どうせ自分は集中力がないから」と何事もすぐに諦める癖がついたり、自己肯定感が低くなったりしてしまいます。そうならないためにも、子どもが何かに集中していたときは、「集中力があるんだね!」と褒めてあげましょう。勉強ではなく、遊びでもかまいません。親に集中力があると認めてもらえた子どもは、たとえ集中力が切れそうになったときでも「自分には集中力があるんだから、まだやれる!」と自分自身を奮い立たせることができるようになります。・ゲーム機はルールを設けて楽しむ2017年に朝日学生新聞社が小学1年生~6年生の男女457人を対象に行なった調査によると、「“ゲーム機を持っているが使用を禁止されている子ども” よりも、“ゲームをしてもOKな子ども” の方が勉強への集中力が高く、宿題にも自主的に取り組み、親との会話も多い」という結果が出ています。長時間の使用によって集中力を妨げる可能性があるゲームですが、だからといって禁止するのではなく、家庭内でルールを決めて使用することでメリットがあるようです。***子どもの集中力がないと、親はつい焦ったり、時にはイライラしてしまったりすることもあります。でもそれは、子どもが本来持っている集中力が発揮できない状態になっているだけかもしれません。生活環境を整えたり、普段の言葉がけを意識したりすることで、子どもの集中力を育てるためのサポートをしてあげましょう。文/田口るい(参考)Study Hackerこどもまなび☆ラボ|子どもの「集中力」を養う方法。遊びや習い事を活用しよう!東洋経済オンライン|子どもの集中力は、こうやって作り出せる!ベネッセ教育情報サイト|子どもに集中力をつけるには?[教えて!親野先生]All About|学習集中力の高め方!ゲームと勉強で態度が違う理由ITmedia NEWS|「ゲームOK」の子の方が勉強に集中し、親との会話も長い……朝日小学生新聞調査
2019年05月18日いま地震がきたら、保育園にいる子どもはどうする? …働くママにとって地震をはじめ、台風や豪雨などの自然災害は心配の種ですよね。先ごろ発売された 『全災害対応! 子連れ防災BOOK 1223人の被災ママパパと作りました』 は、離れているときに子どもを災害から守るためにどうすればよいかのヒントがいっぱい詰まった1冊。被災パパママの声をもとに作られたリアルな防災本です。災害から子どもの命を守るためには、物を備えるハード面に加えて、災害時の行動のルールを作るソフト面もとても重要だそう。本を手がけたNPO法人ママプラグ代表の冨川万美(とみかわ まみ)さんに詳しい話を聞きました。NPO法人ママプラグクリエイティブな視点で家族の未来を設計する事業型NPO法人。自ら考えて動く「 アクティブ防災 」を提唱し、全国で防災講座を展開するほか、女性のキャリアを豊かにする「キャリア事業」などを中心に活動。企画した書籍に『被災ママ812 人が作った子連れ防災手帖』(つながる.com)、協力した書籍に『被災ママに学ぶちいさな防災のアイディア40』(アベナオミ著)など。 twitter: @active_bousai ■親は子どもを守れない?!子ども一人で対応するスキルとは「子どもは自分が守ろうと思っている」。 YESか、NOか。「この質問は全国の防災講座で、ママたちにいつも聞くんですが、毎回100%手が挙がるんですよ。でも、本当は違っていて、『あなたはお子さんを守れないかもしれません』。そう話すとみなさん、“どういうこと?”という顔をしますが、実際子どもが手の届くくらい近くにいるのなんて1日のうちのほんの数分くらい。同じ部屋にいても地震の揺れがひどければ動けませんし、自分がケガをしてしまうかもしれません。子どもの名前を呼んだら、お母さんに近寄ろうとしてうっかりガラスの上を歩いてケガをしたという子もいました。ただこれは、ガラスの上を裸足で歩くと危険だと知っていれば防げたケガなんですよね。親としては、子どもが自分で自分を守れるように知識を与えて、体で覚えさせることが大切です」子どもと離れ離れになったとき、子どもが一人で対応できるスキルがあれば、生存の可能性も高まります。一例として、頭を両手で抱えてまるまって身を守る「だんごむしのポーズ」は小さな子に教えるのにもおすすめ。ポーズと合わせて、頭をケガすると危ないということも伝えましょう。教えるときは恐怖心を与えないよう遊びの中で一緒に練習するのがよいそうです。このほかにも今すぐ簡単にできるのは、トイレをがまんしないこと。子どもはギリギリまでがまんしがちですが、行けるときに行っておく習慣をつけておくと災害時にも役立ちます。■災害時はトラブルが3倍に!「家族の問題」が顕著に現れる災害時には、心や身体にさまざまな問題が出ることも認識しておきたい点です。DMAT(災害派遣医療チーム)/DPAT(災害派遣精神医療チーム)/日本赤十字医療センターメンタルヘルス科/半蔵門のびすここどもクリニック副委員長の河嶌譲先生は、本の中で次のように語っています。「子どもが、突然の意識消失を引き起こしたり、頭痛や腹痛をうったえたり、手足が動かなくなったりするなど、さまざまな身体症状が現れることがあります。年齢にそぐわない甘え方をしたり、わがままになったり、現実にはないことを言い出したりします。これらはすべて異常な状態に対する正常な反応です。ムリにやめさせようとせず、子どもの言葉に耳をかたむけるようにしてみてください」災害時は誰もが心の余裕がなく、トラブルは平時の3倍程度になると心得ておくとよいのだとか。親は「いきなり性格が変わった」と感じるかもしれませんが、普段からストレスに感じていたことが、大きな災害によるストレスで表面化するだけ。これは災害時に限らず学校のトラブルなどでも起こるので、普段でも子どもに大きな変化があれば「学校で何かあったのかな」など、気づくきっかけにもなります。人間関係のトラブルも同じで、ママ友や夫婦間のぎくしゃくも災害時は増幅するそう。実際に「震災によって家族のきずなが強まった」という家族もいれば、「夫婦仲が悪くなって離婚に至った」という家族もいます。日頃から気になっている人間関係は、解決しておけるとよいですね。■災害時の家族のルールは、より具体的に決めておく避難所は、明かりも消せないし、いつもと違うことばかりで落ち着きません。震災後のストレスで子どもが泣いたり騒いだりすることもあり、子連れファミリーが過ごすには、実はとても過酷な場所。子連れの場合、やはり自宅避難が基本となることが多いと冨川さんは言います。「家屋が倒壊の恐れがあるなど、やむをえない事情で家に帰れないこともあると思いますが、避難所に長く生活するというのは、子連れには難しいと思ったほうがいいですね。被災地の外、たとえば実家などに避難することも考えたほうが気持ちに余裕ができます。罪悪感やセキュリティの不安などから被災地に残る人も多いのですが、非常時はなにかを割り切る必要がありますね。 “パパは仕事や復旧のために残るけれど、子どもとママは○日経ってもライフラインが復旧しなかったら実家に帰る”など、なるべく具体的に決めておくとよいと思います」非常時に冷静な判断をするのは難しいですし、家族の意思や決断のズレは夫婦の溝を深め、ときとして離婚につながることも。災害時の家族のルールを決めることは、家族で防災に関して話し合い、意識を高めるきっかけにもなります。■保育園へ迎えにいけないときはどうする?働くママは、1日のかなりの時間を子どもと離れて過ごしています。自分が会社にいて、子どもは保育園。そんなときに災害が起きたらどうすればよいのでしょうか。東京都では大規模地震が発生したとき、みんなが一斉帰宅をすると緊急車両の通行の妨げ等になることから、災害時は72時間帰らない「一斉帰宅抑制」を推進しています。つまり、帰りたくても帰れない、ということも起こりえます。「パパもママも都心で働いている場合は、ムリをして帰宅しないことも大事。保育園にも3日間は帰ってこられないかもしれないということを話しておく必要がありますね。夫婦どちらが迎えに行きやすいかは話しておいて、どちらも難しいときは誰が迎えにいってくれるのかを考えておく。保育園ママでも職場が近いなどの理由で迎えに行ける人はいるので、やっぱりママ友ネットワークは大事ですね。日頃からLINEグループなどでつながって、“こういうときはお願いします”とお互い協力しあえるように話しておくとよいですね」本にはこのほかにも具体的な家族の防災ルール作りのポイントや医療従事者による災害時のアドバイスなど、知っておきたいのにこれまであまり情報がなかった子連れ防災のノウハウが満載。レジャーの延長線上で防災意識を高める防災ピクニックや防災キャンプのポイントも紹介されています。「ピクニックやアウトドアなどは防災とリンクする知識が多く、キャンプをやっている家庭は災害にも強いですよ。震災のときもキャンプ気分で楽しんで子どもが泣いたりしなかったというファミリーもいます」親子のアウトドアはいい思い出になるし、パパの活躍シーンもいっぱい。ママ友と家族ぐるみで防災を意識したピクニックやキャンプを楽しむのもよそさそうです。「子どもを守るためにパパやママがやっていくべきことは、恐怖におびえながらストイックに防災に取り組むのではなく、“楽しみながら、日常生活の質を底上げすること”」と冨川さん。この本を読むと、防災が「ちょっと面倒くさそうなもの」から「やってみようかな」というものに変わります。 『全災害対応! 子連れ防災BOOK 1223人の被災ママパパと作りました』 NPO法人ママプラグ(祥伝社)1,300円(税別) 「子連れ」に焦点を当て、防災バッグの考え方や必要なグッズはもちろんのこと、防災に強い家族になるために必要な、家族間の連携を図るための方法や遊びながら防災力を身につける方法などを、イラストを交えて楽しく紹介。全災害に対応日本に暮らすすべての子連れ家族に役立ててもらいたい1冊。
2019年04月09日「EQ」とは、知能指数と呼ばれる「IQ」に対して、「心の知能指数」と呼ばれる概念のこと。このEQの重要性を提唱し、『子どもの未来が輝く「EQ力」』(プレジデント社)を上梓したのが、EQWELチャイルドアカデミーの主席研究員・浦谷裕樹先生です。EQが高いと、なぜ「子どもの未来が輝く」のでしょうか。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/榎本壮三(インタビューカットのみ)「頭の力」をうまく使うにも「心の力」が必要そもそもわたしがなぜ、「EQ」に注目することになったのか――。今回はそんな話からはじめてみます。わたしは学生時代から能力開発に興味を持っていました。つまり、「人間はどこまで伸びるのか」ということを突き詰めてみたかったのです。日本の教育は、どちらかというと「どうやって底辺にいる子たちの力を伸ばして全体の底上げをするか」という発想に基づいたものです。そうではなくて、トップ層にいる人間の能力はどこまで伸びるのかということに興味があった。そんな経緯もあり、そういう研究を国内でも大きな規模でおこなっているEQWELチャイルドアカデミーに入社することになったわけです。そして、幼児や小学生、中高生の能力開発トレーニングに携わるうち、学力をはじめとしたさまざまな能力向上のベースにあるものこそEQだということに気づきました。学力を向上させる「頭の力」には思考力や記憶力などがありますが、それらをうまく使うにも「心の力」であるEQこそが必要なのです。EQの高低によって人生はまったくの別物になるEQには、自己肯定感、忍耐力、協調性、やり抜く力、自制心、共感力、リーダーシップ、誠実さ、創造性、コミュニケーション能力……など、さまざまな要素があります。これらの力に優れているかどうかで子どもの人生はまったく別のものになるということは、容易に想像できるものでしょう。EQが低ければ、まず自分の感情をうまくコントロールすることができません。そうすると、学校でも家でも問題を起こすことになる。友だちとはしょっちゅう喧嘩をするし、親のいうこともまともに聞かない。あらゆることに対するやる気も持てなくて、やるべきこともやれない。自己肯定感が低ければ、なにをやろうにも「自分はどうせ駄目だから」とマイナス思考に陥って、せっかく持っている才能を活用することもできないでしょう。一方、EQが高い子どもはどうなるか。人間関係が穏やかで、やるべきことをしっかりやれるので、まずは学校生活にすんなり順応できます。そうなると、当然、学力も向上していくことになる。興味を示して「やりたい」と思った趣味やスポーツも、すいすい身につけられる。結果的に、「優秀な子」といわれる子どもに育ちやすいということになります。そういう子どもが大人になったとき、社会に出たときのいちばんのメリットは、なにかをしようと思ったときにそれらをスムーズに実現できるということです。しかも、EQのさまざまな力を生かして、自分とまわりの人間の能力を最大限に引き出し、いいかたちで早く実現することもできる。自分の思いをかたちにできる、「自己実現」できる人間になれるのです。「自己実現」がこれからの時代のキーワードこれからの時代は、高いEQによる「自己実現」が重要なキーワードになると感じています。というのも、あらゆる状況がそう指し示しているからです。まずひとつが、「人生100年時代」に入ってきたということ。平均寿命が延び、60年も70年も仕事を続けなければならない人が増えていく。その間、技術革新はどんどん進み、つねに新しいことを学び続ける必要があります。そこで心が豊かでなければ、働き続けるモチベーションを保てないということになってしまうでしょう。もうひとつが「グローバル化社会」です。日本でも外国人労働者が急激に増えているように、これからは多種多様な人たち、異文化を持つ人たちと一緒に仕事をしていかなければなりません。さまざまな人たちとうまく協働していくには、コミュニケーション能力をはじめとしたEQの高さが求められます。加えて、とくに日本では「少子高齢化」が急激に進みます。人口が減り一人ひとりの重要性が増していくなかで並行して進むのは、「AI時代」。ちょっと考えればできるような仕事、マニュアル化できる仕事はAIが担うことになります。わたしたち人間がやるべきことは、それこそAIにはできないことしかありません。EQを生かして粘り強く考え、創意工夫し、問題解決をして、本当に自分がやりたいことを実現していくことなのです。そうできれば、新しいことを学び続け、働き続けるモチベーションも保てますし、そうするために、多種多様な人ともうまく協働しようとするでしょう。幸せとは、社会とかかわらなければ得られないそして、「自己実現」は人間としての幸せにもつながるものです。いま、「ウェルビーイング」と呼ばれる「幸福感」の研究が進んでいます。その研究によると、人が幸せを感じるためには3つの要素が大切だとされています。まずは、「体の健康」。病気がちであるより、体が元気であるほうが幸せというのは当然のことですね。ふたつ目は「心の健康」。毎日、うつうつと過ごすより、機嫌良くいきいきとしているほうがいい。これもあたりまえのことです。3つ目が大きなポイントで、これは「社会的な健康」といわれます。人間はただ心身が健康であっても、本当の意味での幸せは得られません。一人ひとり異なる自分の能力を生かして世のなかとかかわる、もしくは社会貢献をする。それができてはじめて本当に幸せだと感じることができるのです。「自己実現」とは、ただ身勝手に自分がやりたいことをやるというものではありません。幸せを得るためには、自分の能力を見定め、それを最大限に生かし、どうすればまわりの人たちによろこんでもらえるのかと考えなければならない。本当の意味での「自己実現」とは、自分が幸せになると同時に、周囲も幸せにするものなのです。『子どもの未来が輝く「EQ力」』浦谷裕樹 著/プレジデント社(2018)■ EQWELチャイルドアカデミー・浦谷裕樹先生 インタビュー一覧第1回:幼児教育ブームのなかで今注目の「EQ、非認知能力」って何のこと?第2回:「頭の力」には「心の力」こそ必要。EQが高いと優秀な子に育つ納得の理由第3回:父親流の「厳しい愛情」が子どものEQを伸ばす。人間性と学力を高める親のかかわり方(※近日公開)第4回:お説教は「○分以内」で。子どものEQを高める“叱り方の正解”とは(※近日公開)【プロフィール】浦谷裕樹(うらたに・ひろき)1972年7月31日生まれ、東京都出身。EQWELチャイルドアカデミー・新未来教育科学研究所主席研究員。工学博士、理学博士。京都大学理学部卒業、京都大学大学院理学研究科修士課程修了。高校時代に「人間の可能性はどこまで伸ばせるのか」との問いを抱き、学生時代より古今東西の能力アップ法を研究開始。現在は「楽しく、わかりやすく、ためになる」をモットーに全国で講演活動中。とくに参加型のトレーニングやワークを盛り込んだセミナーを得意とする。著書に『メンタルウェルネストレーニングのすすめ』(エコー出版)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年04月04日はじめまして、こんにちは。このたびウーマンエキサイトで子育てに関するお話を書かせていただくことになりました、ちひろと申します。こちらでは私の幼少期の話をおもに書いていこうと思います。なぜかというと私は自分の母のことがスーパー好きだからです。そして私も息子からスーパー好きと思われたいじゃあないですか!←えっ30年間、自分の「なりたい母親像」暫定一位を獲り続ける母との記憶を思い出すことで、母のような母親に近づきたいと思っています。私は父、母、兄、そして私の4人家族で育ちました。なんと兄とは11ヵ月違いの年子!(同じ年齢の時期が2週間あります)常に騒がしく、はちゃめちゃな毎日でした…そんな騒がしく多忙な毎日を送る母は、私が物心ついたころからワーキングマザーでワンオペ上等のパワフルかあちゃんだったのでした。そして、いつだってやさしく明るい印象でした。朝は誰よりも早く起き、兄妹を保育園へ送り出したら仕事へ。兄と二人で一番最後のお迎えということもありました。帰れば夕飯を作り、洗い物、アイロンがけ、弁当のおかず作りなどなど。眠るのはもちろん私たちのずっと後です。ちなみに父は家事育児にほぼノータッチ!今もそうですが、本当になんでも一人でこなす母でした。兄妹の年が近いこともあり、本当に毎日のようにケンカしていました。そして二人して自身の正当性を母に訴えて大泣き…自分が母親になり、あらためて客観的に見るとさながら地獄絵図だったと思います。そんな母も昨年、私が息子を出産し「祖母」に昇格。ムチムチな息子を「小さい頃の私にソックリ!」という祖母バカを発揮しています。私の育児にはいつも「育児してもらった記憶」が背中を押してくれています。不安なとき、悩んだときは母が私にしてくれたように私も息子と向き合うのです。そしてあわよくばママがスーパー好きな息子になってもらいたいのです。
2019年03月26日本日ご紹介のアイテム、実はとってもこだわり満載の商品なので、「すごいでしょー、すごいでしょー」 と、ズラズラと語るつもりでいたのですが、実際に、目にした瞬間。「これからの勉強=きっと楽しい冒険になる!!」と、心が震えるほどの衝撃を受けたので、お話していきます。エッ、これが見慣れた図鑑?この照明のスイッチを入れると、パーーーッと色鮮やかな世界が生まれるんです。それは「本来の色」 との出会い。きっと、子どもは「興味が湧いて、グッと惹き込まれる。」「大好きな図鑑が、いつもと違って見えてくる。」「お絵描きに夢中になって、集中力が続く。」「字の練習も折り紙も、コツがつかみやすい。」「ページをめくる楽しみが止まらない!」「好奇心が無駄にならない。」我々大人もワクワクしますが、とにかく子どもに知ってほしい、子どもだから知ってほしい。と願う、本当の色の世界。そこには、集中力を妨げる薄暗さや不要な影はありません。なぜなら、子どもの目(視界)のために作られた特別な照明だから。徹底的なこだわりのカギは、2つのテクノロジーにありました。【1】 影のない光の作り方。子どもの頭の位置は低いから、その手元には、部屋の照明による自分の頭の影が生まれてしまう。確かに子どもの手元には影ができがちですよね。そのお邪魔フィルターを取り除くために、医療用の手術灯をヒントにした独自構造を、国内シェアNO.1の山田医療照明と共同開発。その視界は?というと、もうエイヤーッと邪魔モノ(影)をやっつけた感。気が散ることなく、思いっきり創作&勉強に励めるー!【2】 目に優しい太陽光LED。美術館や医療現場など、色の正確さを求められる環境で用いられる、太陽光LED。それは、まるで自然光の下で見ているかのような、最高レベルの演色性。★本来の色が見えるクレヨンも、絵本も、図鑑も、ビーズも、写真も、植物も、虫も。「こんな色してるんだ。」と知る。=色を見る力を、育てることができるんです。★眼が疲れにくくなる一般的な白色LEDと比べて、ブルーライトのピーク波長の強さが約半分。=目に優しく、疲労を抑えて子ども達の目を守ります。つまり、「色」を見る力を育てて、目もシッカリ守る。子ども達の目をどこまでも考えて作られた照明なんですね。リビング学習を、より良い環境で。いまどきのリビング学習。オシャレ重視な照明の下では、子どもの目が疲れないかちょっと心配。より良い学習環境づくりのためにも、学習机に代わる入学祝いとして、この照明を候補に入れてみてはいがでしょうか?選べるホワイト/ブラックのシンプルデザインは、インテリアに馴染みやすくほどよい存在感。リビング学習を、優しく正確な灯りで見守ってくれます。子ども達よ、冒険の隊長になろう!入学して始まる、長い、長い、勉強生活。知らないことを吸収し、知っていることがドンドン増えてゆく。そんな冒険の隊長は、子ども自身。◎隊長は、付属ステッカーでカッコよくカスタマイズできるのである。◎隊長は、お気に入りのペンや文具をそこに収納できるのである。◎隊長がくじけそうな時も・・・太陽光がドレミの音階で照らしてくれるのであ〜る。いざ、お勉強デビュー! 子どもたちの溢れる意欲と、自発的な学習のために。▼ご紹介したアイテムはこちら ⇒「バルミューダライト/BALMUDATheLight」 文・T.Kitahara作って食べて、会話が弾む。家族との大切な日常に、ほんのひと手間、幸せの仕掛けを。 ■こどもと暮らす ■暮らしのはなし
2019年03月17日子どもが幼少期のうちからつけておきたいのが、「伝える力」です。相手に自分の意思をしっかりと伝えることができれば、良好な人間関係を築いたり、精神的に安定したりすることにつながるでしょう。そのためには、親が子どもとの関わり方やコミュニケーションを工夫する必要があります。今回は、伝える力の重要性や、子どもに伝える力を身につけさせるためのコツについて紹介していきましょう。「あれ食べたい」が友だちに伝わらない理由日常生活の中では、自分の意思を相手に伝える場面がたくさんあります。例えば、食べたいものや欲しいものを親にリクエストするとき、友だちと遊ぶ約束をしたいとき、先生に忘れ物をしたことを報告するとき。自分の意思を伝える相手が親や祖父母などの身近な存在であれば、「この前テレビで見た、あれが食べたい!」といった断片的な伝え方をしても、ある程度は真意を汲み取ってもらえることも多いでしょう。しかし、友だちや先生に同じような伝え方をしても、相手の理解を得られない可能性が高いのではないでしょうか。もし子どもが友だちに「明日、公園で遊ぼうね!」と伝えたとしても、その友だちは「何時に、どの公園で遊ぶんだろう?」と不明点が残り、結局遊べなかったり、親同士で改めて連絡を取ったりすることになります。自分の意思を伝えるためには、相手が必要とする情報が何なのか、どんな言い方をすれば正確に伝わるのかを理解することが前提にあるのです。気持ちをうまく伝えられないから「相手を叩く」伝える力が乏しい場合、自分の意思がうまく伝わらないことにイライラしたり、イライラが暴力などに変わったりすることもあります。小さな子どもが自分のおもちゃを他の子どもにとられたとき、相手を叩いたりしてしまったり噛んでしまったりすることがあります。これは「とらないでほしい」という気持ちをうまく伝えられないから。伝える力があれば、「とらないでほしい」と言葉にできるため、こうした状況にも落ち着いて対処することができるようになります。また、伝える力があれば、非行などのネガティブな誘いがあっても、しっかり断ることができます。大人の中にも、断るという行為が苦手であることから不本意な状況に陥る人が少なからずいますよね。そのような人には伝える力が十分に備わっていないことが多いのです。伝える力は、トラブル回避に役立ち、ひいては自分自身を守ることにもつながります。伝える力を養うためのコツ子どもの伝える力は、家庭内でのコミュニケーションを工夫して伸ばすことが可能です。子どもが自分の意見をしっかり伝えられるように、また余計なトラブルを避けるためにも、以下の点を意識してみましょう。■子どもの感情を言葉にしてあげる子どもは語彙力が乏しいため、自分の気持ちをうまく言葉にできないことも多いです。そんなときは、子どもの様子や話の内容から「それは〇〇っていう気持ちだと思うよ」と感情を言葉にしてあげましょう。他の子どもにおもちゃをとられてイライラしているようだったら「おもちゃをとられて『悔しい』って思ったんだよね」などと子どもの気持ちを汲み取ってあげるのです。そうすることで、子どもは「悔しい」という感情がどんなものなのかを理解し、言葉として伝えられるようになっていきます。■「そのとき、どう思ったの?」と聞く何かを伝えたいときには、まず「自分がどう思っているか」がベースになります。そのため、子どもに自分がどう思っているかを意識させる習慣を作ることが大切です。「どう思ったの?」と聞いても、最初は「嫌だった」「楽しかった」といった簡単な答えしか返ってこないかもしれません。しかし、感情を言葉にすることに慣れていけば、「くやしかった」「もっと頑張りたいと思った」などの表現ができるようになっていきます。また、自分の意思と向き合う習慣を付けることは感情のコントロールにもつながります。■5W1Hに沿って質問をする5W1Hとは、Who(誰が)When(いつ)、Where(どこで)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)を表す言葉です。何かを伝えたいときにこれらの項目を意識すると、伝えたいことがより明確になります。子どもは断片的な情報のみで何かを伝えようとしたときは、これらに沿った質問をして伝えたいことの全体像を共有するようにしましょう。また、親が子どもに何かを伝えるときも、「明日の朝、公園に砂遊びをしに行こう。ちょっと遠い公園だから自転車で行こうか」など、5W1Hに則って話すようにすれば、徐々に子どもが真似するようになることも期待できます。■「断ること」「断られること」はネガティブなことではないと伝える伝える力が弱い人の特徴として「断ること・断られることを恐れてしまう」というものがあります。その場合、何かを伝える前に「こんなことを言って断られたらどうしよう、嫌われたらどうしよう」「断って相手を傷つけたらどうしよう」と不安になってしまい、最終的に自分の本意ではない状況に巻き込まれたり、我慢を強いられたりします。そうならないためには、断ることや断られることに対して、親自身がポジティブに捉えることが大切です。例えば、子どもに何かを断られた際には「自分の意見を言ってくれてありがとう」と言い、子どもの頼みを断る際にはその理由をしっかりと説明しつつ、「来週ならできるよ!」などの具体的な妥協案を出しましょう。***子どもの伝える力を養うことができれば、友だち付き合いがうまくいくようになるだけでなく、親子のコミュニケーションも取りやすくなります。将来、子どもが社会に出た後にも必ず必要となる力なので、積極的に伸ばしていきましょう。文/田口るい(参考)ベネッセ教育情報サイト|自分の気持ちを相手に伝える力を育てよう[ソーシャルスキル]東洋経済オンライン|家庭内の会話で、国語力を上げる2つの方法学研キッズネット|子どもの伝える力を育てる2つのチャレンジNHKエデュケーショナルすくコム|子どもの気持ちを知るヒント「思いを『言葉』で伝えさせる」ecomam|人に頼むことは、相手への信頼を伝えること
2019年03月04日「これからの子どもには『考える力』が必要だ」という言葉をここ数年よく目にするようになりました。しかし、その「考える力」とはどういうものなのでしょうか。お話を聞いたのは、ウェブサイト「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』」主任相談員の小川大介さん。小川さんによると、「『考える力』とは明白なる『技術』」なのだとか。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「考える」と「悩む」はまったく別のもの「考える力」とひとことでいっても、人によって定義はばらばらです。いま、大学入試改革に伴っていわれている「考える力」とは、「自分なりの価値観を明確にして社会との関係づくりをしていける力」。いわば、自己決定力のことです。わたし個人としては、これを「考える力」と呼ぶのはちがうように感じています。では、わたしが定義する「考える力」とはなにか――。それは、事象を正確にとらえて分析し、課題を設定する。そして、情報など自分が使えるあらゆるものを組み合わせることでなんらかの変化を生み出していく。その一連のプロセスを進めていける力こそが、「考える力」なのだと思います。はっきりお伝えしておきたいのは、「考える」と「悩む」はまったく別のものだということ。なにかを目の前にして「うーん」とうなって止まってしまう。これは、「考える」ではなく、ただ悩んで苦しんでいるだけです。なぜそこで悩んで苦しむかというと、先に述べた一連のプロセスを経ていないからです。なにが課題なのかを見つけようとしないままに、「答えらしきもの」が浮かんでくることを追い求めているだけ。だから、もやもやとして苦しいわけです。ものごとを明確にすることには、いまなにが起きているのかを見る、情報を集めるというステップ、あるいは、時系列に並べ直す、重要度を整理するといったファクターがある。そして、そういうものを割りつけていきながら、ものごとを徐々に分解しまとめていく必要があります。つまり、「考える」とは明白なる「技術」なのです。親子の会話で子どもの「考える力」を伸ばすでは、どのようにその技術を身につけさせればいいのでしょうか。ここでは、家庭での親子の会話でできることを紹介します。たとえば、ヨーロッパの難民問題のニュースを親子で見たとします。子どもに「これってなに?どういうこと?」と聞かれた。そこでただ教えてしまっては、子どもは考えるプロセスを身につけることはできません。かといって、いきなり「どう思う?」と聞いても、まだ考えていないのですから、自分なりの答えは返ってこないでしょう。そうではなく、順を追って問いかけるのです。まずは「難民って知ってる?」と問いかけ、知らないのなら一緒に調べてみる。そして、「なにが起きているのか」という現状を一緒に確認します。難民にはどんな事情があり、なぜヨーロッパの人たちは怒っているのか、ニュースのコメンテーターはどう解説したかといったことです。次に、「もし自分が難民の側だったらどう思う?」「逆にヨーロッパの人だったら?」と、立ち場を変えて想像させてみます。こうしてようやく、「じゃ、あなたはどう思う?」「どうしたらいい?」という問いかけの段階に至ることができ、「もっとよく話し合ったらいい」といった子どもなりの答えにたどり着かせることができるわけです。もしかしたら、結局「わからない」という答えが返ってくるかもしれません。でも、そこに至るまでの問いかけによって、考えることに必要なプロセスを経ているのですから、子どもにとっては「考えるトレーニング」になっているのです。一様に国語の勉強を押しつけるのはよくないいまの例で、まず難民という言葉を調べるとお伝えしました。考えるという行為は言葉を使ってするものですから、考えるためには考えるべきことに関連する言葉の意味を知っている必要があります。つまり、「考える力」を伸ばすためには、国語力が重要なキーワードとなります。とはいえ、幼い子どもに一様に国語の勉強を押しつけるのは間違いです。というのも、子どものタイプによって言葉にあまり関心を示さない、「言葉に反応したくない」という時期があるからです。それは、一般的に小学校1~2年生の頃に表れます。比較的女の子に多いのが、いろいろな言葉を覚えることが好きなタイプ。一方で男の子に多いのは、「同じ内容を表せるならどの言葉でもいい」と考えるタイプです。前者はものごとが定まっていくことですっきりしたいタイプで、言葉を知ってものごとがはっきり見えてくることで安心できるということ。すると、自然にコミュニケーション力も上がるので、その子どもにとっては単語力の重要性がさらに増していくことになります。後者は、いわば「算数タイプ」。言葉にあまり反応しない代わりに数字に強い、算数が得意な傾向があります。数字というのは抽象化されたものですよね。みかんが3個でも本が3冊でも、同じ3です。算数が得意な子どもは、ものごとをまとめていく抽象化能力に長けているのです。そして同時に、表現の広がりに対して関心を示さないということでもあります。さらに、「言葉も数字もまどろっこしい、直接見たい」「わからないことはとりあえずやってみたい」と考える、「体感タイプ」といえるタイプの子どももいます。算数タイプ、体感タイプの子どもに無理やり国語の勉強を押しつけると、確実に国語が嫌いになってしまいます。もちろん、コミュニケーション力はどんなタイプの子どもにも必要なものです。「言葉に反応したくない時期」を過ぎる9歳くらいになれば、タイプを問わずコミュニケーションに必要な国語力を伸ばしてあげないといけません。とはいえ、大前提としては、それぞれのタイプや成長段階を踏まえてその教育をする必要があります。まず親が国語力の4要素を知るでは、子どもの国語力をアップさせるためにはどうすればいいのでしょうか。やみくもに問題集をこなせばいいわけではないし、たくさんの本をただ読めばいいわけでもありません。重要なのは、国語力というものがどのように成り立っているかを親が知ることです。国語力は4つの要素にわけられます。「語彙力」がベースにあり、その上に「読む力」「解く力」「答える力」があるという構成です。ひとつのテーマを与えられたときに、それに関連する情報をどれだけ頭のなかに広げられるか。それが「語彙力」。「読む力」は「内容を理解し要約する力」。「解く力」は「情報を分析する力」です。随筆や小説を扱う場合なら、登場人物の立ち場や心情を理解する「共感する力」も「解く力」に含まれるでしょう。そして、「答える力」はいわゆる「表現力」です。「答える力」は、2段階にわけられます。自分のなかにあるものをなんらかの言葉にいったん置く第1段階。表現する相手を想定してさらに言葉を置き換えていくという第2段階です。国語力にはこういう要素があることをまず親御さんが理解することが大切です。というのも、国語が苦手な子どもがどこでつまずいているのかを知らなければ対処できないからです。そもそも言葉を知らないのなら、意味を調べることを教えないとならない。言葉を知っていて読むこともできているのにテストの点数が悪いのなら、「解く力」が足りないと考え、どのように問題をとらえたか、どう思ってその答えにしたのかを子どもに聞いて、「解く力」をつけてあげなければなりません。どの段階でつまずいていて、その原因がどこにあるのか。子どもと一緒に分析して対処してほしいと思います。『親も子もハッピーになる最強の子育て』小川大介 著/ウェッジ(2018)■ 中学受験のプロ・小川大介さん インタビュー一覧第1回:“国語嫌い”になりやすい子どものタイプと、親がやりがちな間違った教育法第2回:“リビング学習でかしこくなる”は勘違い。東大生がリビングで勉強する本当の理由(※近日公開)第3回:子どもは勝手にかしこく育つ。“自ら学ぶ力”を伸ばす辞書・地図・図鑑の活用法(※近日公開)第4回:“後伸び”する子としない子の違い。成長後に学力が急伸する幼少期の過ごし方(※近日公開)【プロフィール】小川大介(おがわ・だいすけ)1973年生まれ、大阪府出身。ウェブサイト「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』」主任相談員。プロ家庭教師集団「名門指導会」副代表。京都大学法学部卒業。関西最大手の進学塾の看板講師として活躍後、個別指導教室「SS-1」を創設。教科指導スキルに、声かけメソッド、逆算思考、習慣化指導を組み合わせ、短期間での成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。家庭をひとつのチームと見立てておこなう独自のカウンセリングは実施数5000回を超え、高い精度でクライアントを成功へ導いている。受験学習はもとより、幼年期からの子どもの能力の伸ばし方、親子関係の築き方といった子ども教育分野でも定評がある。著書に『1日3分! 頭がよくなる子どもとの遊びかた』(大和書房)、『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』(すばる舎)、『親子で学べる! カピバラさんドリル 小学社会47都道府県』(かんき出版)など多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月04日親ならば、「子どもには頭が良くなってほしい」と願うことはあっても、「頭が悪くなってほしい」と願うことはありません。では、そもそも学力を高めるためにはどんな力が必要なのでしょうか。素人だと教科によってちがうと思ってしまいがちですが、V-net教育相談所を主宰し、さまざまな独自教育メソッドを開発している松永暢史さんは、「学力を高める力とは言語能力」だと断言します。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)勉強ができるということは言語能力が高いこと親御さんが子どもに「勉強ができるようになってほしい」と願うのなら、「言語能力」を伸ばしてあげることを心がけてください。「勉強ができるということは言語能力が高いことに他ならない」というのが、教育に長く携わってきたわたしの結論です。言語能力というと国語というひとつの教科に限られた力だと思われるかもしれませんが、あらゆる勉強は言葉を使ってするものです。数学だって言語で説明されて理解できればいいのですからね。言語能力は、大きくふたつにわけられます。耳にした、目にした言語を正しく受け取る「了解能力」と、自分の意志を正しく相手に伝える「運用能力」です。これらを伸ばすには、実践するしかありません。つまり、「本を読み、文章を書く」ということ。ただ、どちらもまだ難しいような幼い子どもの場合、まずは「聞かせる」ことからはじめます。子どもにきちんと言語を理解させるには、「読み聞かせ」が重要です。人間というのは知能がすごく発達した動物です。それこそ、親が話していることを聞いているだけでしゃべれるようになるのですから、本当にすごいことですよね。赤ちゃんは、言葉を覚えようと大人以上に注意深く親の言葉などの周囲の音を聞いている。その前提を思えば、幼少の時期に正しいリズムの日本語を聞かせてあげる必要があります。言語能力を高めるには過去の名作を音読する正しいリズムとは、例を挙げると石焼きいもの移動販売車から聞こえてくる「いしや~きいも~」の呼び声。「たけや~、さおだけ~」もいいですね。これらに共通する特徴とは「一音一音切っている」ということ。これが日本語の音読のベースなのです。「ショッピング」という言葉も、英語の正しい発音だと日本人には「ショピン」に聞こえますよね。英語は子音で終わることが多い言語であることに対して、日本語は一音一音に母音がつく言語なのです。幼い子どもには、きちんと一音一音切って遠くに話しかけるような日本語に触れさせることが大切です。では、具体的になにを読み聞かせればいいのでしょうか。わたしは、「古典」を聞かせることを提唱しています。もちろん、子どもが言葉を理解しはじめれば、本人に音読をさせます。古典を読み聞かせること、音読させることに驚いた親御さんもいるでしょう。ただ、これには明白な理由があります。『徒然草』をきちんと一音一音で切って音読すると、子どもの国語の力はぐっと伸びます。どういうことか説明しましょう。言葉は時代につれ徐々に変化していますが、当然、その変化は前の時代の言葉を受けたものです。『徒然草』は、江戸時代に寺子屋と藩校でもっとも音読された随筆で、当時の役人や作家など文章を書く人間に『徒然草』を知らない人はいません。つまり、前の時代にテキストとしてよく読まれたものを音読すればするほど、その後ろの時代――この場合であれば、現代の言葉の力が高まるというわけです。では、『源氏物語』や『枕草子』を楽に読めるようになるにはどうすればいいのか。その答えは、その前の時代の『古今集』を音読することです。そしてさらに、『古今集』を楽に読めるようになるには、その前の時代の『万葉集』を音読するのです。読み方の手本は「宮中歌会始」です。新春恒例の行事ですから、ニュース等で目にしたことがある人も多いでしょう。そのイメージで、『徒然草』なら「つ、れ、づ、れ、な、る、ま、ま、に」と一音一音切って読んでみてください。読むだけで子どもの頭が良くなる本があるわたしは、実験として幼い子どもがいるお母さんばかりを集めて古典の音読会を2年間ほど続けたことがあります。その結果、子どもたちの国語力は爆発的に伸びました。まだ小さいのに、みんなが長いセンテンスでしゃべることができるようになったのです。とはいえ、古典にとっつきにくさを感じる親御さんもいるかもしれません。でも安心してください。戦後に生まれた文学作品や絵本のなかにも、正しい日本語の系譜を受け継いでいる作品はたくさんあります。それらは、わたしの著書『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』(すばる舎)で「読むだけで頭が良くなる厳選本145冊」として紹介しています。これは、400冊を超える作品のなかからわたしが実際に音読して選びました。選んだ本は、一音一音切って読んで、意味が綺麗に伝わってくる作品ばかりです。作家、絵本作家のなかにも日本語本来のリズムがきちんとわかっている人がいるのです。ただ、「何歳のお子さんにはこの作品」と、年齢別におすすめ作品を紹介することはできません。子どもはそれぞれ成長に差があるので、一概にどの本がいいと決められないからです。とはいえ、著書で紹介した145冊はいずれもわたしが自信を持っておすすめできるいい作品ばかり。そのなかから気になる作品を選んで子どもに読み聞かせをしてあげたり、子どもに音読させたりしてみてください。間違いなく、子どもの国語の力は大きく伸びていくはずです。『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』松永暢史 著/すばる舎(2015)■ 教育環境設定コンサルタント・松永暢史さん インタビュー一覧第1回:“AIに勝つ力”は学校教育では育たない。親にしか伸ばせない子どもの「7つの力」第2回:国語力は“〇〇の音読”で爆発的に伸びる。読むだけで子どもの頭がよくなる名作本の選び方第3回:思考と行動、男女の違いを徹底解説。“男の子らしさ”“女の子らしさ”が伸びる教育方針(※近日公開)第4回:学力を伸ばすコツは男女で違う!子どもの性別で見る学習傾向と、勉強法のひと工夫(※近日公開)【プロフィール】松永暢史(まつなが・のぶふみ)1957年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学文学部哲学科卒業。V-net教育相談事務所主宰。教育環境設定コンサルタント、学習アドバイザー、能力開発椅子トラクター。「サイコロ学習法」「ダイアローグ法」「抽象構成作文法」など多数の教育メソッドを開発。子どもの個性に合わせてどのような教育をすることが正しいかを導き出し、学習計画、教育機関利用法、進学計画等を提案する。個人授業では国語を担当。『頭のいい小学生が解いている 算数脳がグンと伸びるパズル』(中経出版)、『落ち着かない 話を聞けない マイペースな 小学生男子の育て方』(すばる舎)、『「ズバ抜けた問題児」の伸ばし方』(主婦の友社)、『新 男の子を伸ばす母親は、ここが違う!』(扶桑社)など、教育関連の著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月01日「先行きが見えない」と異口同音に語られる時代。これから長い人生を歩まなければならない子どもたちは、どんな力を身につけておくべきなのでしょうか。V-net教育相談所を主宰し、さまざまな独自教育メソッドを開発している松永暢史さんは、子どもたちに必要なものとして、7つの力を掲げています。そして、そのなかでも根幹となり得るのが「感受性」だといいます。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「判断力」と「創造力」の礎となる「感受性」子どもに必要な力として、わたしはまず「判断力」と「創造力」を挙げます。判断力がなければ、知識を持っていたとしてもそれを正しく使うことができません。それから、「他の誰もやっていないことをやりたい」「つくりたい」「描きたい」といった願望はいつもわたしたちのなかにある。いわば、創造力は、人間らしくあるための力といえるでしょう。ただ、それらふたつの力に先行して必要なものが「感受性」です。ものを感じ取る力がなければ、正しい判断もできないし、新しいものを生み出すこともできません。判断力、創造力、それに先立つ感受性――この3つが、子どもにとってもっとも大切な力です。それらに加えるなら、「観察力」「探究心」「着想力」「思考力」も大切な力になります。観察は目だけでなく頭でもおこなうもの。言葉がなければ、鋭く深い観察はできません。動物は、人間が仕掛けた罠を観察して見破るということはそうできませんよね?でも、人間なら「あれは罠じゃないか?」と言葉で考えて罠の存在を見破ることができる。動物よりはるかに優れた観察力を持つのが、人間という生き物なのです。そして探究心。ものごととは、目に見えている部分ではなくその下に重要なものが埋まっているものです。だとすれば、なにかに興味を持ったら立ち止まってとどまりそれを突き詰める必要があります。着想力は創造力のベースになる力です。なにかをつくりあげる力があったとしても、そもそもその「なにか」を思いつく力がなければつくる課程に進めません。そして、いうまでもなく、考える動物である人間には思考力が求められます。「7つの力」を伸ばすには家庭環境が重要でも、残念ながら、いまの学校教育はこれらの力を伸ばそうとしているようには思えません。何十人かでまとめてクラス分けされ、先生の話をちゃんと聞くことが求められ、たくさんの宿題を課される。わたしには、近い将来AIに取って代わられる仕事の訓練をされているように見えるのです。では、先に述べた「判断力」「創造力」「感受性」「観察力」「探究心」「着想力」「思考力」はどんなものかというと、これらは「AIが持てない力」です。「AIにできないことはなにか」と考えたわけではありません。「これからの人間にとって大切なものはなにか」と考えると、結果的にAIにできないことに行き着くのです。そして、これらの力を学校教育で伸ばしてくれないのであれば、家庭環境の在り方こそが重要になります。たとえば、感受性というものは、誰かに壊されることなくゆっくり育まれて徐々に良くなるものであって、ある教育によって突然良くなるものではない。「これから感受性を伸ばす教育をします」といった具合に伸ばすことはできません。ということは、子どもの感受性を向上させることは親にしかできないことなのです。感受性を伸ばすには「甘いお菓子」はNG!?子どもの感受性を伸ばしてあげたいのなら、まず「甘いだけのお菓子」をあげることをやめましょう。甘みというものは強烈な味覚ですから、甘いものを口にし続けると他の味を感じる力が鈍くなってしまいます。同じ甘みを持つものでも、果物だったらどうでしょうか?甘いけど酸っぱさも含むなど、味わいが多重です。そういった複雑さを感じ取れる力こそ感受性でしょう。子どもの感受性を伸ばすには、甘いお菓子ではなくて果物を与えるべきです。もちろん、これは一例です。他のさまざまなことについても、刺激が強いものを受け取って反応するのではなく、できるだけ余計な刺激物がない、いい自然環境に触れることが大切です。たとえば、同じことが聴覚についてもいえます。人間の耳は20キロヘルツまでの音しか聞き取ることができません。でも、自然界には20キロヘルツ以上の高周波の音がたくさん存在します。じつは、人間というものはこれらの高周波音を肌で感じ取っているのです。そして、その経験が豊かであるほど感受性も豊かになります。そう考えると、土があって草が生えていて海や川から心地いい風が吹くような環境に子どもを置いてあげる必要がある。ただ、特に都会の子どもだとそういう場所にひとりで行くことはできるものではありません。つまり、自然に囲まれた場所に子どもを連れて行ってあげるのが親の重要な役割なのです。『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』松永暢史 著/すばる舎(2015)■ 教育環境設定コンサルタント・松永暢史さん インタビュー一覧第1回:“AIに勝つ力”は学校教育では育たない。親にしか伸ばせない子どもの「7つの力」第2回:国語力は“〇〇の音読”で爆発的に伸びる。読むだけで子どもの頭がよくなる名作本の選び方(※近日公開)第3回:思考と行動、男女の違いを徹底解説。“男の子らしさ”“女の子らしさ”が伸びる教育方針(※近日公開)第4回:学力を伸ばすコツは男女で違う!子どもの性別で見る学習傾向と、勉強法のひと工夫(※近日公開)【プロフィール】松永暢史(まつなが・のぶふみ)1957年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学文学部哲学科卒業。V-net教育相談事務所主宰。教育環境設定コンサルタント、学習アドバイザー、能力開発椅子トラクター。「サイコロ学習法」「ダイアローグ法」「抽象構成作文法」など多数の教育メソッドを開発。子どもの個性に合わせてどのような教育をすることが正しいかを導き出し、学習計画、教育機関利用法、進学計画等を提案する。個人授業では国語を担当。『頭のいい小学生が解いている 算数脳がグンと伸びるパズル』(中経出版)、『落ち着かない 話を聞けない マイペースな 小学生男子の育て方』(すばる舎)、『「ズバ抜けた問題児」の伸ばし方』(主婦の友社)、『新 男の子を伸ばす母親は、ここが違う!』(扶桑社)など、教育関連の著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年02月28日子どもにはたくさんの経験を通して心も体も成長してほしい。そう考えている親御さんも多いことでしょう。しかし、子どもたちがこれからするであろうたくさんの経験のなかには、うまくいかないことやできないこと、失敗なども数多くあるはず。こうした困難に向き合うには、子どものメンタルは強いに越したことはありません。今回は、子どもにとって「メンタルが強い」とはどんな状態のことをいうのか、メンタルが強いとどんな利点があるかを考えてみます。また、メンタルが強い子どもは、普段どのようなことを習慣にしているのかも紹介します。逆境や困難に適応する「レジリエンス」メジャーリーグで活躍するイチロー選手、サッカー日本代表の長友佑都選手、フィギュアスケートの羽生結弦選手など、スポーツ選手が逆境を跳ね返して活躍する姿には、彼らの強靭なメンタルを感じます。メンタルの強さは超一流のスポーツ選手だけでなく、子どもたちにも必要となってきます。なぜならば、この先、子どもたちにはさまざまな逆境や困難が立ちはだかり、それを乗り越えていかなければならないからです。メンタルの強さというと、「負けず嫌いな性格」や「苦手なこと立ち向かう勇気」、「泣きたい気持ちを堪える我慢」のような強気な心と思われがちです。しかし子どもたちに必要なのは、もっとしなやかで折れない心なのです。最近注目されている「レジリエンス」をご存じでしょうか。レジリエンスは、ストレスのかかった状態に耐え、ほかの誰かに心ない言葉を投げられても傷つかず、トラブルに臨機応変に対応できるような生きのびる力です。レジリエンスは、勉強、スポーツ、人間関係、仕事などで、私たちの心が「折れない」ようにしてくれる心の筋肉のようなもので、誰もが持っているのだそうです。「レジリエンス」が高い人の特徴3つ海外では、レジリエンスについてすでに40年近く研究されています。欧米の学校では、子どもたちに心の強さを教える「レジリエンス教育」を取り入れているところも2,000校にのぼり、国内でもレジリエンスを育成しようという動きが学校や会社で広まってきています。国内でレジリエンスを活用した人材育成に携わっている久世浩司さんは、レジリエンスが高い人の特徴として、「回復力」「弾力性」「適応力」の3つが備わっているといい、それぞれについて次のように述べています。・「回復力」困難に直面しても、すぐに元の状態に戻ることができる、心のしなやかさをもっています。柔軟な心理は、レジリエンスの高さの証です。・「弾力性」これは、予想外のショックやストレスなどがあっても、弾力性をもって耐えることができる精神を表します。人から批判され、嫌なことを言われても、心の傷とならずに守ることができます。・「適応力」予期せぬ変化に抵抗するのではなく、それを受け入れて合理的に対応することができる思考をもっています。(引用元:久世浩司著(2015), 『マンガでやさしくわかるレジリエンス』, 日本能率協会マネジメントセンター.)※太字処理は編集部で施したこの3つの特徴は、特別な能力として一部の人にだけに備わっているものではなく、誰にでもあるものです。そして、レジリエンスは心身の疲労によって衰えることもありますし、反対に大人になってからでもトレーニングで十分に高められるといわれています。メンタルは強くできる!レジリエンスを鍛える4つの習慣お子さんのメンタルを強くするには、日頃の考え方や行動を変えてあげることが重要です。今回は、心理学者のアルバート・バンデューラ博士が提唱した「自己肯定感」を高める4つの要因にフォーカスした、レジリエンスを鍛える方法をご紹介します。【習慣1:成功体験を積みかさねる】小さな成功体験が「やればできる」の大きな原動力になります。例えば、「漢字テストで100点を取る!」という目標を立てたら、まずは出題範囲をいくつかに分けて、小分けにした範囲でパーフェクトを目指します。縄跳びで100回跳べるようにするには、いきなり100回達成にチャレンジするのではなく、まず10回、20回と小刻みに目標を立てて、クリアしていきます。【習慣2:お手本を見せる】私たちの脳には、誰かが上手にやっているのを近くで見ることで「自分にもできそうだ」と共鳴する運動神経細胞「ミラーニューロン」があります。スポーツでもピアノでも、「自分にもできる」と思えるようになるきっかけはお手本を見ること。ぜひ、プロのパフォーマンスを実際に見せてあげましょう。また、動画を見せることでも十分な効果があります。コンサートDVDを活用したり、日本代表選手のプレーをテレビ観戦したり、積極的に取り入れてみてください。【習慣3:プロセスを励まし、褒める】家族や先生からの「あなたならできると思うよ」という言葉は、子どもの背中を押してあげる効果があります。このとき、できるかできないかを重視した励ましではなく、到達できたところまでのプロセスを励まし、褒めることが大切です。プロセスで励まされた子どもは、「自分は前と比べてここまでできるようになった」と振り返ることができるようになり、やればできるという気持ちに自信がつきます。【習慣4:前向きな気分で盛り上げる】グループ学習やチームスポーツでは、ポジティブな気分や感情が自己効力感をアップさせます。「ドンマイ」「次は成功するよ」「1勝したらお祝いしよう!」と盛り上げることで、子どもは「もしかしたら、やればできるのかもしれないぞ!?」と考えることができます。本人に自信がないようなときでも、「〇〇君ならきっとできるよ!」と子どもを信じて言い続けましょう。どの方法も、最初から子どもひとりでできるものではなく、家族や先生など周りの大人のサポートが必要となります。しかし、考え方の習慣化が定着すれば「やればできる」の自己効力感は高まりますし、それが「回復力」「弾力性」「適応力」を備えたメンタルの強さにつながります。***この習慣は、大人も取り入れることが可能。自己効力感がアップし、レジリエンスを高めることができます。メンタルを強くしたいと思っている親御さんは、お子さんと一緒に取り入れてみてはいかがでしょうか。(参考)久世浩司著(2014),『なぜ、一流の人はハードワークでも心が疲れないのか?』, SBクリエイティブ.久世浩司著(2015), 『マンガでやさしくわかるレジリエンス』, 日本能率協会マネジメントセンター.ジェシカ・ジョエル・アレキサンダー・イーべン・ディシング・サンダール著、鹿田昌美訳(2017),『デンマークの親は子どもを褒めない 世界一幸せな国が実践する「折れない」子どもの育て方』, 集英社.NHK クローズアップ現代+|“折れない心”の育て方~「レジリエンス」を知っていますか?~Z会さぽナビ|特集 折れない心を育てる(1)
2019年02月26日テキスタイルレーベル「ユキ フジサワ(YUKI FUJISAWA)」のデザイナー 藤澤ゆきが、1日限りのイベント「“1000 Memories of” 記憶のWorkshop by YUKI FUJISAWA」を3月16日原美術館で開催する。同イベントは、ワークショップとトークショー、プレゼンテーションの3部構成で実施。ワークショップでは、“あなたの一番大切な記憶”(手紙や写真など)を金色の箔に写し取り、“記憶の抜け殻”として作品を持ち帰ることができる。また、それらの“大切な記憶”は、版となって藤澤の手に渡り、ワンピースにプリントされたのち、29日から表参道ROCKETでスタートする個展「“1000 memories of” 記憶のshop by YUKI FUJISAWA」にて展示される。なお、イベントの企画・プロデューサーは、シアタープロダクツ(THEATRE PRODUCTS)の元プロデューサー金森香が担当。ワークショップで提供される“記憶のおやつ”は、日本の菓子研究家である福田里香が担当する。藤澤をはじめとする、豪華スタッフが手掛ける贅沢で心あたたまるひとときを、ぜひ体感してほしい。【イベント情報】■“1000 Memories of” 記憶のWorkshop by YUKI FUJISAWA会期:3月16日会場:原美術館 ザ・ホールおよび中庭住所:東京都品川区北品川 4丁目7-25時間:11:00〜17:00<ワークショップ情報>時間:1回目:11:30〜12:30、2回目:13:30〜14:30、3回目:15:30〜16:30 ※各回60分程度を予定定員:各回10名参加費:2,500円(当日清算)(原美術館入館料・記憶のおやつ・材料費を含む/当日11時から17時まで開催中の展覧会「ソフィ カルー限局性激痛」原美術館コレクションよりをご覧いただけます。)一般受付開始:2月27日 11:00〜 申し込み方法:件名を「記憶のworkshop申し込み」として、名前、参加人数、連絡先を明記の上、event@haramuseum.or.jpまで連絡。先着順で定員に達し次第受付終了とする。原美術館メンバーは先行予約可。■1000 memories of” 記憶のshop by YUKI FUJISAWA 会期:3月29日〜4月3日 ※会期中無休・入場無料会場:表参道ROCKET住所:東京都渋谷区神宮前4-12-10 表参道ヒルズ同潤館3F時間:11:00〜21:00 ※3月31日 11:00〜20:00、4月3日 11:00〜18:00入場無料
2019年02月23日「子どもが話を聞いてくれず、困っている」「他の子に比べて落ち着きがなく、人の話を聞く力が弱い気がする」というのは、子育て中によくある悩みのひとつです。「聞く力」は、他者とのコミュニケーションには欠かせないものであり、学習能力に関わってくる部分でもあります。今回は、子どもの聞く力の必要性や、聞く力を育てるために家庭の中でできるコツについて紹介しましょう。コミュニケーション能力が高い人は「聞く力」がある聞く力は、人間が生きていくうえで欠かせない、さまざまな能力の土台となります。その代表的なものは、コミュニケーション能力でしょう。会話を通したコミュニケーションでは、当然ですが相手の話を聞く場面が出てきます。その際に的確な返しをするためには、相手の話をしっかりと聞いて理解することが前提です。話が理解できていないと、的外れな返答をしてしまったり、会話がスムーズに進まなかったりしてしまいますよね。話が上手な人のことを「コミュニケーション能力が高い」と褒めることがよくありますが、話が上手な人は同時に聞き上手でもあります。相手の話をしっかり「聞いて」いるからこそ、相手に伝わる話ができるのです。また、思いやりの気持ちや共感能力を持てるかどうかにも、聞く力がかかわっています。人の話をじっくり聞くということは、話の背景や前提条件を想像したり、ちょっとした言葉尻や話し方の抑揚から相手の本音に気づいたり、その話を自分の立場に置き換えて考えたりすることにつながるのです。相手の気持ちを的確に汲み取ることができれば、さまざまな人に愛され、信頼されるようになるでしょう。「聞く力」と「学力」は関係している!話をしっかりと聞けるというのは、ただ話に耳を傾けることではありません。話を聞いて、その内容を理解し、自分なりに考えるということです。また、話をしっかり聞くためには、話をしている相手に意識を傾ける必要があります。これは学習するうえでとても大切なことです。聞く力が育っている子は、以下の能力も伸びていくとされています。■思考力・理解力言葉をしっかり聞くことができれば、聞いた分だけ知識を増やすことができます。クラスの中でも先生の話をきちんと聞いている子は、テストの点が高かったり、間違いや勘違いが少なかったりすると思いませんか?聞く力は、学力を伸ばすために非常に重要な条件のひとつなのです。■読む力・書く力集中して人の話を聞ける子どもは、言葉の世界が豊かです。聞いた言葉はいつか必ず、その子のものになります。そして、その言葉は、学校生活が始まったときの「読み言葉」や「書き言葉」の基礎になるのです。読解力は国語だけでなく、算数の問題理解にも役立つはずです。言い方を変えれば、聞く力を養うことで、これらの能力も身につきやすくなり、学習能力の向上が期待できるのです。幼児期の今こそ、家庭で「聞く力」を伸ばそう学習面のみならず、生活面でも役立つ聞く力は、子どもの頃の生活習慣を工夫することで育てることが可能です。そのために、家庭では以下のことを意識しましょう。1.「話すこと」に注目するのをやめる最近の子どもたちは、「人の話を聞けない」「聞かない」傾向があるようです。その理由のひとつは、幼少期の子どもの発達過程で「どれだけ話せるようになったか」が注目されてしまうから。そして、その次の段階では「自分の意見をしっかりと言えるかどうか」に重点が置かれてしまうからです。話す力も大切ですが、その根底には聞く力があります。「しっかりお話を聞けたね!」と子どもを褒めるなど、「聞くこと」も意識してみましょう。2.絵本の読み聞かせをする子どもの教育や発達に良い影響があるといわれている絵本の読み聞かせですが、聞く力を育てるうえでも非常に有効です。子どもが絵本の楽しさを知り、もっと物語の続きを聞きたいと思えるようになれば、集中力もついていきます。そのためには、親も一緒に絵本を楽しむ姿勢を示しましょう。たくさんの言葉を聞くことで「読み言葉」や「書き言葉」の基礎ができるというメリットもお忘れなく。3.「あとで聞くね」の約束は必ず守る忙しいときに子どもに話しかけられて「今は忙しいから、あとで聞くね」と言ったことのある親は多いのではないでしょうか。子どもの話はできる限りその場で聞いてあげるのが望ましいですが、実際にはなかなか難しい場合もあります。そんなときは、「あとで聞くね」という約束を必ず守り、話を聞く時間を作りましょう。自分の話をしっかりと聞いてもらう習慣のある子どもは、人の話を聞くことも大切にするようになります。4.子どもの話を聞く余裕を持つ聞く力を育てるためには、まずは子どもの話を聞くことが基本です。しかし、親もひとりの人間であり、ストレスが溜まっていたり、疲れていたりする場合は子どもの話を聞く余裕がなくなります。そうならないためにも、ストレス解消や休息の機会を十分に設けましょう。家族や祖父母に協力してもらったり、行政や民間のサービスを使ったりするのも良いでしょう。子どもとしっかり向き合うためには、親のコンディションが整っていることが前提です。***聞く力を大切にすることは、子どもが持つさまざまな可能性を広げるきっかけにもなります。吸収力の高い幼児期のうちから積極的に育てていきましょう。文/田口るい(参考)PHPファミリー|幼児期が大切です「聞く力」で伸びる 7つの能力NIKKEI STYLE|絵本の読み聞かせ 子どもの「自己肯定感」を伸ばすベネッセ教育情報サイト|子どもが話を聞かないのはなぜ?原因と可能性をプラスに変える方法とは船津 徹 著(2017),『世界標準の子育て』,ダイヤモンド社.
2019年02月12日「素敵な男性と出会いたいなぁ…」と嘆いているだけでは、現状は変わりません。今一度、子どもの頃にやった恋愛力があがるおまじないを試してみてはいかがでしょうか?おでこを出すおまじない子どもの頃、「おでこは恋愛力をあげるパーツ」だという噂が広まったことがありませんでしたか?確かに開運的な視点で見ると、おでこは恋愛運を呼び込むパーツだといわれています。だからこそ、恋愛がうまくいかないときは、おでこを出した髪型にチェンジして状況打破をしようとするおまじないが広まったのです。ただし、子どもの頃は、パッツン前髪でもかわいく見られますが、大人の女性がそれをやってしまうと子どもっぽい印象を与えてしまうので、あまりおすすめできません。大人女性は前髪を上手くアレンジして、おでこを出す工夫をしましょう。方角を重視するおまじないまた、部屋の中の東南の方角に花を飾るというおまじないもハヤりましたよね。東南という方角は、季節でいうと春にあたります。花が咲いていい香りで満たされる春は、まさに新しい出会いの季節なので、このようなおまじないが誕生したのです。このおまじないに年齢は関係ありませんので、出会いを増やして恋愛力を上げたい大人女性は、東南の方角を意識してみませんか。花は造花ではなく、生花が出会い運を呼び込んでくれるとされています。ちなみに、恋愛に効くといわれている赤い花を取り入れるのがおすすめですよ。さらに恋愛力をあげるために赤い花の中でも前向きで強い恋愛力を発揮するのがバラです。バラを飾るのがおっくうなときは、ローズの香水を東南の方角に置くというおまじないをしている女の子もいました。風水的にはローズの香水でも、良縁を引き寄せる効果はあるそうです。そして、気になる男性と連絡先を交換することができたら、スマートフォンを東南の方角に置いてスタンバイしましょう。うれしい連絡が届く可能性がアップするかもしれませんよ。
2019年01月23日2020年度に大きく変わる「大学入試共通テスト」では、知識の詰め込みだけではなく、思考力や判断力が問われるようになります。このような力を養うためには、机の前での「The 勉強」では身につきません。実は、日常生活の中の新しい経験や楽しい体験こそ、思考力や判断力が自然と身につけられるチャンスなのです。そこで今回は、その具体的な方法をご紹介します。日常や非日常の体験の中でこそ記憶に残る!子どもの考える力は、無限の可能性を秘めていると言われています。しかし、小さな子どもの思考力を引き出すには、親の手助けが必要です。なかでも日常生活と勉強をリンクさせる方法が、もっとも有効なようです。意識的に、日常生活に学校で学んだことを応用させることで、学習内容をより定着させることもでき、さらに思考力や判断力、さらには応用力も養うことができるのです。そこで実践したいのが、買い物やスケジュール管理、お出かけの計画などの経験や体験。大人にとっては当たり前のことでも、子どもにとっては初体験のことばかり。初体験というのは、子どもにとってすべてが学びであり、その経験から大切なことをどんどん吸収していきます。子どもは自分の体験で得た知識はそう簡単には忘れません。理科・社会は私たちの生活と関わる教科なので、日常生活の中でも様々な体験ができますが、いつもと違う場所でいつもと違う体験をするほうがより記憶に残ります(引用元:日経DUAL|中学受験にも生きる!冬のおでかけ学習【社会編】)子ども主体で考え、判断させる実例集それでは、実際にどんな方法があるのか実例をご紹介します。子どもの年齢や、学校で習っている学習内容に合わせて、どんなことに挑戦できるかをご両親が判断してみてください。■決まった金額内で買い物をする足し算や引き算、掛け算などを学校で勉強し始めたら、子どもに買い物を頼んでみましょう。慣れるまでは一緒に買い物に出かけて、後ろから見守ってあげるのでもいいですね。500円や1000円など、あらかじめ予算を決めておいて、その予算を越えないように買い物をするよう伝えます。余ったお金でお菓子を買っていいよとご褒美をあげれば、足し算と引き算を使って、いくらのお菓子が買えるのかを一生懸命計算するでしょう。ほかにも、一緒に買い物へ行って会計をする時に、お釣りの小銭が少なくなるように考えさせると、思考力が身につきます。小さなお子さんであれば、100円を渡して駄菓子を自分で計算させながら買うのもいいですね。<この体験で身につく力>思考力判断力計算力■お出かけの目的地や交通手段を考える親子でのお出かけは、子どもにとって新しい経験がいっぱい。いつもは親が決めてしまう休日のお出かけ先を、たまには子どもに決めさせてみましょう。子ども主導で計画を立て、家族で出かけてみることもよい経験です。ガイドブックやインターネットを見ながら、目的地を決めましょう。そのときに、日帰りでも行ける場所なのかを地図で確認しながら決めるといいですね。地図を学習している時期であれば、学習内で勉強した地名などを絡ませて、行き先を決めるのもおすすめです。行き先を決めたら、そこまでの交通機関を一緒に考えてみましょう。地図上で目的地を見ながら、電車で行きやすい場所なのか、駅からは徒歩なのかバスなのか、車で行く方が便利なのか、ご両親がアドバイスしながら経路を考えてみます。このような経験を通じて、子どもは自ら考える力や、交通手段などを比較して決定する判断力を養うことができます。また、実際にその場所に行ってみると、計画通りにいかないことも出てくるでしょう。その時に、どうして上手くいかなかったのか、どうすれば上手くできるのかをもう一度考えてみると、そこで応用力も育まれます。そして、地図を見ながら目的地までも、ぜひ子ども主体で動いてみましょう。親にとっても新しい発見があり、親子で新鮮な体験になるはずです。<この体験で身につく力>思考力判断力応用力地図を読む力■お出かけ先でのスケジュール管理時計が読めるようになったら、日常的な声掛けで、「○時に家を出るけど、あと何分ぐらいある?」などと、クイズ感覚で問いかけてみることで日常生活と勉強を“リンク”!子どもの「判断力」「応用力」「計算力」を鍛えるよい方法ですね。そして、日常生活の中で時間の管理がある程度できるようになったら、お出かけ先でのスケジュールを子どもに組み立てさせてみてはいかがでしょうか。一日のスケジュール表を紙に書いて、「○時にここに着くには、何時に出ればいいかな?」「お昼には何分ぐらい時間を取ろうか?」など、最初はご両親と一緒にスケジュールを組み立ててみましょう。慣れてきたら、自分で考えさせてみて、ご両親が無理のないスケジュールになっているかを確認してみるのもいいかもしれません。そして実際に現地へ行ってみて、スケジュール通りに回れたのか、回れなければどこで時間がかかったか、時間が足りなかったのかなどを、一緒に話し合ってみるのもおすすめです。子どもはその体験をもとに、次回は時間の管理を工夫することができるでしょう。時間の配分を予測したり、改善したりすることができるようになると、日常生活や学校生活の時間の使い方も上手にできるようになるでしょう。<この体験で身につく力>思考力判断力時計を読む力時間の使い方臨機応変に動く力3つのアプローチを親が意識しておく!買い物やお出かけの計画などを、ただ経験させるのではなく、以下のようなことを親御さんが意識しておくのがより効果的なようです。【「考える」とは】「自分の言葉で語れること(What)」「疑問に思うこと(Why)」「手段や方法を思いつくこと(How)」のいずれかのことをしているときに、「考えている」という状態になると考えます。通常の教育では、「これは何?」「どこ?」「いつ?」「どっち?」が多く、このようなインプットばかりのアプローチでは、考えるという行為は起こりにくいのです。(引用元:東洋経済ONLINE|「考える力がない子」を変える3つの問いかけ)意識しておきたいのが、この3つのアプローチです。集団で行う学校での学習では、自分の言葉で伝えたり、じっくり時間をかけて手段や方法を考える機会が少ないのが現状。しかし日常での経験の中であれば、その機会は親御さん次第でたくさん与えることができるのです。〇自分の言葉で語れること(What)〇疑問に思うこと(Why)〇手段や方法を思いつくこと(How)買い物やお出かけなどをきっかけに、自分の言葉でどうしたいかを人に伝えられたり、そこで疑問に思うことを言葉にしたり、手段や方法を考えたりという経験をたくさんさせて、自然と考える力を身につけさせましょう。***知識をインプットするような机の上の勉強だけではなく、日常の中の経験と学習内容をリンクさせることで、自らの力で考え、判断する力が自然と身につきます。これが親子での楽しい体験であれば、子どもは「またやってみたい!」「もっと何かしてみたい!」という意欲にもつながります。たっぷり時間が取れる長期休みなどに、ぜひ親子で実践してみてくださいね。文/内田あり(参考)ベネッセ教育情報サイト|親子で過ごす時間が子供の学習能力を底上げする!日経DUAL|中学受験にも生きる!冬のおでかけ学習【社会編】東洋経済ONLINE|「考える力がない子」を変える3つの問いかけ
2019年01月15日