公式戦が始まったけど、試合があったことをチームのインスタで初めて知る、ということが何度もあった。同級生は呼ばれているのに息子が呼ばれてない。親として恥ずかしいしショック。これから頑張っても試合のメンバーに選ばれないなら移籍すべき?と悩むお母さんからご相談をいただきました。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見をもとに、3つのアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<出場時間の短い息子、興味があるバレーボールに転向したほうが良いという妻と意見が割れてます問題<サッカーママからの相談>初めまして、よろしくお願いします。息子は小学3年生で県内でも強豪のクラブチームに所属しております。2年生から公式戦も始まったようですが、息子には声がかかっていないので、試合があった事さえ知らないのです。チームのインスタで試合があった事を初めて知るという事が何度もありました。同じ小学校の友達は試合に呼ばれているようで、なんだかこの状況が親として恥ずかしく感じてきました。2年生ですでに選抜されている事にショックなのと、これから頑張っても選抜されないのではないかと不安になっております。このままこのチームに所属して練習のみに参加するべきか、他のチームに移籍するか悩んでおります。 ここからの逆転劇はありますでしょうか?毎日家でもコツコツ練習していて、確実に上手くはなっています。 サッカーも大好きで、息子はチームが好きなのでここで続けたいと言います。高学年になり、試合にも呼ばれないと同じ小学校のチームメイトから馬鹿にされたりしないかなど勝手に私が心配しています。本当に情けないのですが、アドバイスを頂けたら幸いです。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。チームのインスタグラムでチームメイトが試合に参加することを知るなんて、息子さんはどんなにかショックだったことでしょう。ぜひ励ましてあげてください。■レギュラーだけに試合を告知するチームのやり方はおかしいとはいえ、お母さんが「なんだかこの状況が親として恥ずかしく感じてきました」という告白は、少し残念です。解釈が間違っていたら申し訳ないのですが「親として恥ずかしい」の言葉が、息子が試合に呼ばれていないことを指しているととれるからです。受け取り方はさまざまあるでしょう。しかし、私はこの「レギュラーにだけ試合告知する」というチームのやり方に憤りを感じます。少年団ではなく民間のクラブチームですから、クラブ員全員に平等なプレー機会と楽しくプレーできる環境を与えるのが本来の使命です。人数が多ければ参加する大会を分けて、子どもたちにその都度説明すべきです。それをこっそり隠れてエントリー組にだけ知らせて試合に連れていくなど、教育的配慮に欠ける以上に人としてどうでしょうか。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■戦力ダウンになるからレギュラー以外帯同させなかったチーム実は、都内にあるクラブが以前、都大会の地域予選で同じことをしました。8人制です。記憶があいまいで申し訳ないのですが、エントリーが十数人。1試合のうち確か12人程度を必ず試合に出場させなくてはならないレギュレーションでした。ほかのチームはエントリーぎりぎりまでの人数を参加させ、12人出場を順守していました。ところが、そのクラブは9人しか連れてきていませんでした。レギュラー以外の子どもを出場させると戦力ダウンになるからです。■補欠だからしかたない、ではなくチームの大人に情けなさを感じてほしいあとで、そのクラブで試合に呼ばれなかった子どものお母さんから話しを聞くことができました。お母さんは「うちのクラブはガチガチの勝利至上主義なんです。試合があることを知らされなくても、私たち補欠組は仕方ないねとあきらめています」と涙ぐんでいらっしゃいました。聞けば、そのクラブは代表であるコーチの方の息子さんはJリーガー。プロを輩出したクラブとしても有名でした。さまざまなブランド力の前に、誰も何も言えない状態でした。十数年前の話ですが、いまだに同じようなことが行われていることにがく然とさせられます。息子さんが試合に呼ばれないことを、お母さんが残念に思う気持ちは私も同じ親としてよくわかります。しかしこの場合は、息子さんよりも所属するクラブの大人たちに対して情けなさを感じて欲しいです。■お子さんにはどうあって欲しい?レギュラーで活躍するのが最優先なのかここから三つほどアドバイスさせてください。ひとつめ。まずは子育ての原点に還ってみましょう。一度胸に手を当てて考えてみてください。お母さんは何のために子育てをしているのでしょうか?子どもにどうあってほしいですか?「このままこのチームに所属して練習のみに参加するべきか、他のチームに移籍するか悩んでおります。 ここからの逆転劇はありますでしょうか?」とあります。サッカーではいつもレギュラーで活躍してほしくて、そうではない息子さんを許せないのでしょうか?違いますよね?お母さんは、息子さんをサッカーのプロ選手にするために産んだわけではないと思います。それなのに、相談文には「恥ずかしい」「情けない」がたくさん並びます。息子さんに対して負の感情を抱いていることが伝わります。「私は何のために子育てしているの?」そこに注目すると、おのずとどうすればいいかが、わかると思います。■不安かもしれないが、親は我が子を肯定してあげよう2つめ。お母さん、「心配するのが親の役目だ」と昔々の子育て観に縛られていませんか?前述したように、移籍すべきかどうかと悩んだり、試合にも呼ばれないと「馬鹿にされたりしないか」と心配しています。このようにお母さんが不安になるのは、レギュラーのみ試合告知するようなクラブにいるのも理由のひとつかもしれません。息子さんのサッカー環境は決してポジティブなものではないようです。しかしながら、お母さんご自身が息子さんを肯定していないことも大きな要因ではありませんか?そうではなく、以下のように考えられないでしょうか。うちの子は試合に出られなくても、こんなにサッカーを楽しんでいる。うちの子は、コツコツと家でも練習して本当に努力家だ。うちの子は試合を知らせてくれないようなチームなのに、チームが好きだなんて、なんて寛容な人間なんだろう。そのように、お母さんが肯定することが、何よりも息子さんの力になります。逆に、心配な感情、不安な気持ちは、息子さんの自己肯定感を下げます。言葉にするとしたら「僕のことを一番知っているはずのお母さんにこんなに心配されてしまう、ダメな僕」と感じてしまうのです。自分とは違う生命を預かるのですから、誰でも不安でいっぱいです。しかし、心配してオロオロするのではなく、多少不安なところがあってもわが子を信じてあげてください。鈍感でいるか、強がること。お母さんの鈍感さや強がりが息子さんの力になるのです。そして、成果主義を卒業しましょう。いいですか?試合に出られなくて一番つらいのは、息子さんです。そこを決して忘れてはいけません。何か良いことをしなければ認められない家庭は、子どもにとって地獄とまでは言いませんがつらい場所です。サッカーや学校は評価ばかりで、ジャッジされ続ける日本の子どもにとって、家庭は安全基地でなくてはいけません。心理的安全性がある家でこそ、子どもはこころのエネルギーをチャージして意欲的になれるのです。■不安に陥りがちな「こころの癖」はどこから来るのか(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)3つめ。この機会に、子どもを心配してしまう自分の育ちを見つめ直しましょう。こちらから「子どもを信じましょう」「子どもに決めさせましょう」「自立させましょう」と方法論を伝えても、皆さんおそらく「わかってはいるけど、それが難しい」と思っていますよね?不安に陥りがちな「こころの癖」はどこから来るのか。何か発見したら、またメールをください。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。
2024年04月24日コーチもチームメイトも良い人で本人も楽しく通っている。親としてクラブには特に不満はない。だけど、「本人が行きたいといった」と高熱でも試合に参加させたり、学校行事よりサッカーを優先させる周りの保護者とのやり取りに悩んでいる、というご相談。【サッカー>学校行事】を「本気でやっていくなら当たり前」と周囲は言うそうですが、みなさんはどう感じますか?スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見をもとに、子どもをサッカー漬けにする4つのリスクについてお伝えします。(文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<サッカーやっている息子は自分の理想と正反対、と息子のサッカーを嫌う妻を何とかしたい問題<サッカーパパからの相談>現在小学1年生(4月から2年生)の息子がいます。今息子が入っているクラブチームでの保護者同士のやりとりに悩んでいます。小学校に入学する前に幼稚園のサッカー教室で1年間程サッカーを習っていましたが、小学校入学の際に別のクラブチームに入りました。幾つかのクラブチームやスポーツ少年団に体験に行ったのですが、息子が行きたいと言った今のクラブチームに入ることを決め、息子は楽しく通っています。コーチもチームメイトも良い方ばかりで、親としてチームに何も不満はありません。ただ、周りの保護者がとても熱心で、たまに不安になることがあります。例えば、試合の日に子どもが高熱を出しているのに「本人が行きたいと言ったから」と参加していたり、学校行事よりも試合を優先させるのが当たり前など......。「サッカーを本気でやっていくなら当然。みんなそうしてるよ」と言われるのですが、私はどうしても理解ができずにいます。小学校1年生でも、そのようにする必要があるのでしょうか?とても熱心な保護者さんと話していると、うちもそうしなきゃいけないんじゃないか、息子にさせることができていない私はダメなのかな......。と思ってしまいます。私は息子が体調不良の時は休ませています。学校行事や月に1度しかない夫の土日休みは試合を休んで旅行に行くこともあります。それも毎月ではないですし、練習試合が月に3回程度あるので、1回休んだとしても他にも出ることができます。私が息子を甘やかしているのでしょうか。これでは息子のサッカーは上達しないでしょうか。教えてください。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。いやはや、驚きました。高熱でも試合に行かせるなんて正気の沙汰ではありません。学校行事より試合を優先させるということは、例えば遠足などを休ませて試合に行かせるということでしょうか。しかもまだ小学1年生で、そこまで親御さんが過熱するとは。もちろん高学年であったとしても、熱があるのに試合に出してはダメだし学校行事を優先させるべきです。■学生の本分は勉強子どもに試合を優先したいとせがまれても毅然とした態度を見せて小学生の本分は勉強です。学校で仲間と一緒に学ぶことが彼らの軸です。例えば学校の少年団ではなくいくつかの小学校から子どもが集まるクラブでは、全員の予定に合わせられません。そこで子どもが学校を休んでサッカーの試合に行きたいとせがんだとしても「小学生は学校を最優先にしなくてはいけない。それはわが家の方針です」と毅然とした態度を見せてください。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■チームの保護者はクラブのありようを映す鏡それにしても、このように親御さんの暴走を許しているということは、クラブ自体やコーチが、何よりもサッカーを優先せよという姿勢なのかも知れません。以前取材で訪れた少年サッカーの大会会場で、コーチの方が祖父母の法事で練習を休んだ子どもを「サッカーは大事ではないのか」となじっていました。そのコーチをとがめる大人がいない事実が何より残念でした。子どもをサッカー漬けにしたいコーチよりも、そうでないコーチのいるチームを選んでください。そこに集う親の姿は、そのクラブのありようを映す鏡だと私は思います。試合で、ベンチが静かでポジティブなかけ声が多いチームの親御さんは、また同じように穏やかに見守っています。逆にベンチが怒鳴ったり指示の多いチームは、親御さんもまた同じように感情的になっています。■あなたの感覚は間違っていない、このままでいて結論から言うと、お母さんはそのままでOKです。どうか、今お持ちになっている教育観をブレずに持ち続けてください。体調不良の時は休ませてください。学校行事や月に一度しかないお父さんの土日休みは、サッカーの試合を休ませて旅行に行きましょう。小学生時代の家族の思い出がサッカーしかない。音楽、科学、他のスポーツなどサッカー以外のことに触れる機会がないといった環境は、子どもの健やかな成長を促せません。■子どもをサッカー漬けにすることで懸念される4つのリスク(リスク1~3)そのようにサッカー漬けにすることは、4つのリスクがあると私は考えます。1つめがスポーツ障害です。まだ骨の発達が伴わない小児期にスポーツをやり過ぎてしまうと、疲労骨折や膝や足首にスポーツ障害を抱えることになりかねません。過度な活動がたたって、ドクターストップがかかったり、手術をした小学生もいます。2つめはバーンアウト。精神疲労です。お腹いっぱいになるまでサッカーをやり過ぎて「もうサッカーはいいや」と燃え尽きてしまった子も複数知っています。3つめが重要です。小学生からスポーツをやり過ぎてしまうと、脳の成長が阻まれます。私はこのことを『高学歴親という病』(講談社α新書)という書籍を企画構成したことで知りました。脳科学者で小児科医の著者、成田奈緒子先生が同書で詳しく説明しています。まず小学校低学年くらいまでに育てなければいけないのは「からだの脳」です。別名「原始人の脳」ともいいます。睡眠、食欲、呼吸など生命の維持、心身の成長に欠かせない部分を育てなくてはいけません。姿勢の維持も、「重力に逆らって立つ」「椅子にきちんと座る」といった、もっとも基本的な身体の力です。自律神経は、血液の運搬や体温調整、心臓や内臓の働きなどの体内活動を司ります。これらにかかわる脳を育てるには、早寝早起き朝ごはん。生活リズムが重要です。その次に、より高度な機能を司る「おりこうさんの脳」を育てます。計算したり、文章を読解したり、言語を理解する知能、五感をつかって自分の周囲を認知する知覚もここに含まれます。いずれも大切な能力ではありますが、さまざまな研究で、人間の基本的な動きを支える「からだの脳」が育っていなければ、おりこうさんの脳もうまく育たないことがわかっています。そして3番目、最後に育てるのが「こころの脳」です。コミュニケーション能力や社会性をつけていきます。脳は「からだの脳」→「おりこうさんの脳」→「こころの脳」の順番に育てなくてはいけません。平日遅くまで練習して食事も睡眠も遅くなっていけば生活リズムが乱れます。■家庭崩壊にもつながりかねない4つ目のリスク(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)リスクの4つめは、親子関係性が悪化する懸念です。親が子どものサッカーに入れ込みすぎる家庭では、子どもに過大な期待をかける傾向があります。レギュラーで活躍している時は楽しいでしょう。そこには悦びがあります。ところが、親が思うとおりにいかないこともあります。すると、子どもに対し嫌悪を抱く親御さんは少なくありません。そうなると、子どもは追い詰められます。自著で申し訳ないのですが、それについては『スポーツ毒親』(文藝春秋)に詳しいです。家庭は、子どもにとって安全基地です。他人の言動に振り回されることなく、どうか安心して子育てを楽しんでください。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。
2024年03月27日補欠の息子。試合に出ないと分かっているのに見に行かないとダメ?レギュラーの親は「みんなで応援しよう」と熱く盛り上がってるけど、行っても悲しくなるだけだし行きたくない。わが子が出ない試合に行くのがツライ。小学生年代は全員出場させてくれてもいいのでは?自分は今後どうしたらいい?とお悩みをいただきました。同じような体験をしている親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見をもとに悩めるお母さんに寄り添いアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<自主練しない息子。モチベーションアップは親の役目ですか問題<サッカーママからの相談>こんにちは。サッカーを通じての子どもの育成ではなく、子どものサッカーでの私の悩みなのですが、投稿させてください。すみません。息子(9歳、3年生)のサッカーを見に行くのがしんどいです。公式戦などのちゃんとした大会はメンバー固定、うちの息子は緊張感のない練習試合(トレーニングマッチ)ですら試合が決まった最後の方にしか出場させてくれない。同じ月謝を払っているのに不公平じゃないでしょうか......。私たちはチーム運営のお金やコーチのお給料を払っているだけ?この間、今度の公式戦の帯同について補欠ママ同士で語りましたが、試合にほとんど出ないと分かってるのに応援に行くなのべきか(全く出ない時もある)。となりました。何とかして欠席したい。行かない理由を探したい......、とみんな同じような意見でした。スタメン組の親たちは、公式戦だからみんなで応援しましょう!と熱いですが、正直我が子が出ないなら行っても辛いだけ。それでも見に行くんですよね。行ってまた出場機会がないことにイライラ、悲しくなるんですが......。小学生年代は全員公式戦に出せてくれても良いのではないでしょうか。今後私はどうしたらいいでしょうか。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。試合に出られないわが子を見るのは辛い。その気持ちはよくわかります。そこを通ってきた親として、育成現場を見てきた者として3つほど伝えさせてください。■アドバイス①日本サッカー協会も補欠ゼロを提唱しているひとつめ。少年サッカーは競技の入り口です。その後子どもたちの体格、技術、取り組みがどこでどう変わるかわからない。まずはサッカーの楽しさにどっぷりつかるべきです。そうであれば、本来ならば小学生はプレータイムを概ね平等にすることが求められます。本来は補欠を作ってはいけないと日本サッカー協会も提唱しています。しかし、勝ちたい大人はそうしません。サカイク記事:「日本サッカー協会の技術委員会でも従来から『補欠ゼロ』を提唱しています」人数が多く全員出られないのであれば2チーム出場するなど配慮が必要です。加えてクラブ側は、わが子がレギュラー、ベンチスタートにかかわらず、保護者が「わがチーム」として応援する機運を高める働きかけをすべきでしょう。自分の子だけでなく、他の子にも自然と目が行く。そんなチーム作りが求められます。とはいえ、そのようなクラブは私の体感で2割弱です。地域によっては1割いないかもしれません。普段の練習でも、欧州では技術がおぼつかない子に時間を割くと聞きますが、日本では「チーム一丸」と言いつつ上手い子のほうに目が行くことを当然と考える指導者は多いでしょう。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■アドバイス②補欠だから見に行かない、という理由は子どもの自己肯定感を下げる要因にも二つめは、自己肯定感の話です。「わが子が試合に出ていない状況が苦しいから観に行かない」という理由だと、息子さん側にとって「補欠である自分はお母さんを苦しめている」「お母さんを苦しめる自分イコール=ダメな僕」つまり、「補欠はすごくダメなことで、補欠である僕はダメなやつ」という認識になりがちです。自己肯定感が下がってしまいます。もし「なるほど」と思ったら、一度笑顔で試合を観に行ってみましょう。試合に出られなくても仲間を応援する姿、負けて悔しがる姿、仲間のゴールを喜ぶ顔を見てあげてください。上手でエースでひとりでドリブル突破して点を決めてくる子どもと同じくらい、もしかしたらそれ以上の価値のある笑顔ではないでしょうか。他者の成功を愛(め)で、ともに喜べるのですから。お母さんが「ただそこにいる」ことで息子さんは安心するのではないでしょうか。補欠の僕でもちゃんと見守ってくれている、と。息子は試合に出られないけれど、親はただそこにいる。そこにいるだけのことが子育てともいえるのです。そこにいるだけの自分を自分で褒めてあげてください。もしパートナーがいれば「ただそこにいる」役目を二分割してください。そこにいる役をシェアすれば、自由な時間に自分の趣味も楽しめます。息子さんも2人が交替で観に来てもらえることで、より安心感は増します。もちろん一緒に行ってもいいでしょう。そして、試合に出られないことが一番悔しいのは誰なのかを考えてみましょう。試合に出られなくても遅刻もせず、不貞腐れもせず、チームのために参加する息子さんをほめてください。「真面目にチームを応援できて、えらいね。必ずいいことがあるよ」と。そしてこの「必ずいいことがある」を、親である自分自身にも向けてください。サッカーやスポーツで「補欠だった」社長さんや成功者は山ほどいます。補欠だったけれどその後伸びた子もたくさんいます。その逆で、小学生のころは天才と言われたのに、その後伸びずに人生につまづく人もいます。私は取材の中で、さまざまなアスリートを見てきました。小中学校のときはエースだったのに、高校で上手くいかなかった。勉強はしてこなかったので希望しない大学に入り、競技も引退。こころにぽっかり穴が空いた彼は、大学の授業にも出ずひとりのアパートで小学校や中学校時代の試合ビデオばかり観て暮らしました。つまり過去の栄光にすがって生きていたわけです。片や、同じチームで補欠だった友人たちは希望通りのいい大学へ進学。海外留学をしたり、サークルで楽しくスポーツをしている。「妬み、嫉みしかわいてこず、自分の過去の栄光にすがってばかりだと気づいた」と話した彼は大学を辞め、現在は楽しく働いています。仲間とフットサルをするなどサッカーも続けているそうです。しかしながら、お母さんが試合に行く、行かないは、お母さんの自由です。お母さんには息子の試合に行かないことを選ぶ権利、人権があります。気持ちが乗らないときは「今日は映画を観に行って来るから」などと欠席すればいいのです。選ぶのはあくまでお母さんなのですから。■アドバイス③チーム移籍をする際は子どもの気持ちを優先に(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)三つめは移籍の話です。この時期9歳ならば小学3年でしょうか。ご近所にもう少しレベルが緩やかなクラブがあって可能性があるなら移籍を考えてもいいでしょう。そこはお母さんの気持ちよりも、子どもを優先にしてください。「出られないから移籍するのか」と言われるかもしれません。が、そんなことは当然です。大人だってより良い職場、自分の力を発揮できる場所を探して転職します。ごく普通のことです。「試合に出られないとスポーツは面白くないかなと思ったので、移籍を勧めてみました」これで十分です。何のためにわが子にサッカーをさせているのか。息子は何のために補欠を我慢しているのか。子育てで大事なことは何なのか。そういったことをあらためて考えてみましょう。必ず発見があるはずです。わが子がずっとレギュラーだったら気づかなかったかもしれない気づきや学びがあるはずです。物事は、マイナスから新たなプラスが生まれることが往々にしてあるのです。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。
2024年02月07日大会の格で苦情を言ってくる親たちに理解をお願いしたい。全員をだいたい同じ出場時間に調整していろんな試合を経験させているのに、県大会や全国につながるような試合を格上とみなし、練習試合は本気度が低くて成長にならないのではと言われる。保護者が練習試合でも成長を感じられるようになるには、選手または親にどんなアプローチが効果的?とのご相談をいただきました。 今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、悩めるお父さんコーチにアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見られるCOACH UNITED ACADEMY>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<相手とのボールの奪い合い小学生のうちは競り合いを学ばせるかコンタクトプレーをしない方法を教えた方が良いのか教えて<お父さんコーチからの質問>こんにちは。いつも連載を読んでいます。先日の記事で、「試合を経験して成長する、うまくなるといったプロセスは、練習試合でも公式戦でも同じ」「小学生の試合ではそんなに変わりはない」とおっしゃってくれて、助けられた気持ちになりました。【該当記事】スクールのみでチームに所属してない子、対外試合の経験が積めない弊害はあるのか教えて私が保護者コーチとして関わるチームは、子どもが多いチームなので1学年20人ほど所属しています。所属人数が少なくて苦労しているチームに比べると大変ありがたいのですが、レベル別にA、Bチームを作って練習試合を含め、試合経験をさせています。だいたい同じような出場時間になるように記録して調整しています。ですが、先日の記事にもあったように大会の格や規模について苦情を言ってくる親御さんが結構います。全日予選のような公式大会につながる試合や県リーグを格上とみなし、練習試合ではこちらも対戦相手も本気度が低いので成長につながらないのではないかと言うのです。そこでご相談です。練習試合でも成長を感じられるようになるには、選手自身の気づきや実感があると保護者も理解してくれるのではないかと思うのですが、このような場合は事前に課題を設けるのが良いでしょうか?(子どもがサッカーノートに書くし、コーチのフィードバックもあるので)小5~6年代だと、どのような方法がお薦めでしょうか。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。私が発信したことが何かの力になったのであれば、非常にうれしいことです。こちらから発信はするけれど、それについて読者の方から感想をいただくことは滅多にありません。伝えていただきありがとうございます。■わが子しか見ない傾向にあるので難しいが、チームとしての成長に目を向けてくれるよう説明が必要さて、本題です。保護者の方々が「練習試合ではこちらも対戦相手も本気度が低いので成長につながらない」とおっしゃっているとのこと。公式戦、練習試合にかかわらず、そもそも子どもの成長を読み取るのは簡単ではありません。特に、素人目でうまくなっているかどうかはわかりづらいでしょう。わかりやすいのはリフティングの数とか、挙げたゴールの数とか、どのくらい自主練をしたかなどがひとつの尺度になるのでしょうが、それは目に見える一部の事実にしかすぎません。特に、一人ひとりの保護者だから自分の子どもしか見ない傾向があるため、余計難しいかもしれません。本来ならば、チームとしての成長に目を向けてほしい。そのためには、指導者から保護者への説明や解説をするとよいでしょう。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■その年代でどうなってほしいのか説明をする例えば小学生であれば、数的優位を理解して実践できるようにしたいので2対1や3対2の練習をしていることを説明してください。「ドリブルよりも簡単に相手を抜き去ることができます。サッカーというスポーツがどのように成り立っているかを認知してもらうための練習です」そんな説明をすると、保護者はそこに注目し始めます。子どもに対して「最近パスが上手くなったね」とほめたり、認めてもらえるようなことにつながります。少しわかってくると「サッカーらしくなったね」といった感想も聞けるようになります。■その日の「狙い」を事前に説明する練習試合でも同じです。「今日の練習ゲームは、こんな狙いでやっています」と事前に説明します。直接保護者に言わなくても「明日の試合はこれを目標にやろう」と子どもたちに伝えます。事前に試合にはそういった成長するための狙いや目標を立てて臨んでいることを保護者に伝えておけば、子どもたちが自分の親に伝えます。■試合後、子どもたち全員と保護者とともに「良いところ探し」の機会を作るさらに試合後、子どもたちに「試合はどうでしたか?狙い通りにできましたか?」と尋ねて一人ひとり感想を言ってもらいましょう。それを、私のクラブでは保護者にも尋ねます。「今日の試合はどうでしたか?」すると、親御さんたちは「子どもが練習していることが出た」とか「全部成功はしないけれど、やろうとしていることが見えた」などと感想を言ってもらえます。なるべく良いところを探して言ってもらえる空気感があるとさらに良いでしょう。たとえ0対10で大敗したとしても「一回だけだけど、ワンツーできてたね」といいところ探しができます。■「弱気に見えるかもしれないけど、実際は......」と子どもたちの感情を保護者に解説する最後にコーチが保護者に向けて解説をしてあげてください。必ず伝えてほしいのは「子どもたちのの感覚」についてです。「見た目は負けて弱気になったように見えるかもしれないけれど、実際はその日の目標に向き合おうとしていましたよ」などです。実際にプレーする子どもの感情を知ってほしいからです。それを親御さん向けに毎回やります。そのうちに解説しなくても、あの場面でこういうことがありましたねと親のほうから話し始めます。■レベル別に分ける理由を説明しようまた、公式戦をAとBでレベル別にする理由も説明したほうがよいでしょう。同じくらいの力の子でチーム編成をするのは、誰もが活躍できる環境を用意すること。誰もが必要な人材だと保護者に知ってもらいましょう。混ぜてやってしまうと、相手が強い場合に「アイツがいなかったら」などと子どもは正直に言ってしまいがちです。力の差があり過ぎる不均衡な試合は、強い側、弱い側、その両者ともに上達につながりません。また、AとBを練習試合で時にバラバラにしてもいいと思います。ABを決めたら全部固定するのではなく、流動的に編成します。■保護者の意見、要望に全部賛同する必要はないが、気持ちを聞いてあげるのは大事まとめると、保護者との距離をもっと縮めることです。眺めていると、コーチの皆さんは保護者に意見されることを嫌がります。だからついつい遠のいてしまう。親御さんのほうもそれを察するので話しづらくなります。時に保護者から言われたことが「それはいいかも!」と思えるかもしれません。親が言ったことを全部賛同するわけではないけれど、気持ちを聞いてあげるのはとても大切です。■災害支援ボランティアはリスペクトされるのにスポーツのボランティアは......(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)そもそも日本にはボランティア格差があると感じています。災害支援のボランティアはとてもリスペクトされますが、スポーツのボランティアはどうでしょうか。欧州だとその2つは同等です。自分たちの中でやりがいを感じ、自分たちが「わが町のサッカーを支えている」という自覚があります。どうか「コーチはボランティアだからそこまでやる必要はない」と考えず、保護者にご自分から歩み寄れるコーチになってください。それは必ずリスペクトにつながるはずです。池上正さんの指導を動画で見られるCOACH UNITED ACADEMY>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2024年01月29日皆さんは、学生時代に打ち込んだことはありますか? 今回は「息子の試合で暴走する親」にまつわる物語とその感想を紹介します。 ※この物語はフィクションです。イラスト:モナ・リザの戯言バスケ部でスタメン中学校でバスケ部に所属する主人公。小柄ながら、実力でスタメンを勝ち取って活躍していました。ある日、主人公は練習試合でいつもの調子を出せず、チームも負けてしまいます。すると落ち込む主人公に、チームメイトの父親が声をかけてきますが…。チームメイトの父親は、主人公のプレーを散々貶して「部活やめろ」と迫ってました。父親の企みは出典:モナ・リザの戯言チームメイトの父親は自分の息子がスタメンでないことが許せず、息子をスタメンにするために主人公を蹴落とそうと企んでいたのです。チームメイトの父親からの言葉に傷つき、落ち込む主人公。その後も調子は上がらず、不調のまま中学最後の試合を迎えることになるのでした。読者の感想自分の息子の活躍が見たい気持ちは理解できますが、だからといってほかの子どもを蹴落とそうとするなんてひどいです。そんなことをしてスタメンになれても、息子は喜ばないと思います。(50代/女性)主人公のように誰にでも本領を発揮できず、調子の悪いときはあると思います。その主人公を蹴落とそうと、スタメンになれない息子の代わりに親がでてくるのは非常識に感じました。(30代/女性)※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。※作者名含む記事内の情報は、記事作成時点のものになります。※実際に募集した感想をもとに記事化しています。(lamire編集部)
2024年01月18日サッカーが好きでスクールに通っている子。親はチームに入れたいけど、子ども自身は「コーチたちの声がうるさいから」と入団を拒否。サッカーの技術は学べるけど対外試合のないスクールのみで良いのか、と悩む保護者にアドバイスしたいが、定期的に外部との試合ができない弊害はあるのか?とご相談をいただきました。今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、悩めるお父さんコーチにアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<公式戦が終わって卒団まで6年生にどんな指導をすればい?中学以降の準備はどれだけしておけばいいか教えて<お父さんコーチからの質問>地域のチームで年小から小3までを見ています。生計を立てる活動ではないボランティアコーチであり、普段は仕事をしているため行けると行けない日があります。チームは勝利主義で学年に関わらずトップチームとそれ以外に分けています。ボールにたくさん触れたほうが良いので、レベル感で分けることは悪いことと思いませんが、トップ中心のチーム作りになっており、他の子達がその練習相手にされていることにいつも異を唱えています。自分が行ける日は、トップチーム以外の子達をあえて受け持ちます。そんな中、ある保護者から質問を受けました。前置きが長くなりましたが、以下が相談です。子どもはサッカーが好きで少し遠いスクールに通っている。ただ、親としては近所のチームで近所の子達と力を合わせる体験をして欲しいのでこのチームに入れたいが、子どもは「このチームの練習は自由にできず、コーチ達の声がうるさいから行きたくない」と。心苦しいですが、サッカーが嫌いになるのであれば、無理にチームに来る必要はないと伝えています。ただ、スクールは試合がないので試合経験を積ませるにはチームに入るしかないが、どうしたら良いか、ということに悩んでいました。私は試合だけ来たらどうか、とチームに提案してみましたが、他のコーチからは許可がでませんでした。サッカーを嫌いになるくらいなら、好きなところでやれば良いと思っていますが、定期的な対外試合ができない弊害はありますでしょうか。チーム指導の話と違うので、連載の趣旨とずれたらすみません。最近はスクールでしかサッカーしない子も増えてきているようですが、その子たちが中学以降に部活やクラブでサッカーをするときに戸惑わないよう、何か自分が協力できること(公園で一緒にサッカーをして遊ぶ際のコツとか)は無いかと思っての相談です。※勝利主義か子ども達が楽しいほうが伸びるかは我々コーチ陣の問題なので引き続きチームで話し合って行きたいと思います。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。さまざまなお悩みが書かれていてどれに答えればよいのか迷いますが、「チームの練習は自由にできず、コーチ達の声がうるさいから行きたくない」と話す子どもの件をお話しします。■「うるさく言われたくない」自分の気持ちを口に出せる子は多くなったうるさく言われたくない。自由にやりたい。そう感じて、言葉に出して言える子どもは多くなった実感はあります。指導や講習会を日本全国さまざまな場所で行っていますが、日本の子どもたちの様子が変わってきたなと感じています。例えばコーチが何か言っても、聞かない子増えてきています。私自身、南米やスペインなど欧州の子どもたちの姿も研修などで見てきましたが、彼らはコーチの言うことを聞いていません。言うことを聞いて試合に出してもらえるとしたら、練習ではやっているふうにします。基本的に自分で考えて、創造して、自由にプレーします。日本の子どもたちにもこのようにうるさく言われたくないという子どもが出てきています。そうわがままを言うなというような捉え方はしないで欲しいものです。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■試合で成長するプロセスは小学生年代では公式戦も練習試合もそれほど変わりない次に、試合経験を積ませることについてです。私の知り合いのコーチは、民間のクラブチームで4年生をみています。地域のリーグ戦は1チームで参戦しているのですが、その学年は20人以上在籍するためどうしても試合に出られない子が出てくるそうです。ただし全員登録しているため、毎試合は出られないけど試合ごとに交代しながら出場させている。公式戦で出場時間が短ければ、練習試合で経験を積ませています。これに対し、親御さんから苦情が出ました。なぜ自分の子どもは公式戦ではなく、練習試合なのでしょうか、と。親たちは公式戦と練習試合の違いが気になると言うのです。当然ながら、練習試合よりも公式戦のほうが緊張感など多少異なる部分はあります。しかしながら、試合を経験して成長する、うまくなるといったプロセスは、練習試合でも公式戦でも同じです。言葉を選ばずに言ってしまえば、こと小学生の試合ではそんなに変わりはないと思います。そのコーチも、その週の公式戦に出られなくても、次の週に行う練習試合に出られれば同等の経験を積めますと伝えています。が、親御さんの感覚は違うようです。子どもはどんな試合でも勝ちたいものです。勝ちたい気持ちは育てなければいけないと私も思います。とはいえ、見守る大人たちは、試合を経験する意味を子どもたちとは違うところでとらえてほしいのです。負けて悔しがるのも、悔しくて泣いてしまうのもいい。しかし、親も含めて落胆し暗いムードのまま帰宅する。もしくは親のほうが子ども以上に悔しがって、子どものミスを責めたりするような状況になってはいけません。■その子が通いたいと思える別のチームを探してみたらいいもうひとつ「定期的な対外試合ができない弊害はないか?」という質問です。この「定期的」の尺度がもしかしたら皆さんは頻度が多すぎないでしょうか。私が主宰しているクラブでは、月に1回ないし2回しか対外試合をしません。日本の子どもは忙しいです。月2回で十分です。土日のどちらか半日で終わらせ、どちらかは休みにしています。そのやり方でも、子どもたちのスキルはどんどん上がっています。今では多くの指導者が「楽しいほうが伸びる」とおっしゃいます。そう考えるのなら、毎週試合をやらなくてもいい。練習も週2回で十分です。ご相談文にあるこの小学3年生は、別のチームを探してみたらいいと思います。そして、その子のように、コーチの声がうるさいからいやだとの理由でクラブを去るケースはこれからも出てくるかと思います。パワーハラスメントなどを多くの人々が理解する時代になりました。どちらかといえば、指導者ら「中の人」が敏感でなければいけないのに、保護者や選手など「外の人」のほうが鋭いのが現実のようです。ご相談者様のクラブは、一度コーチで話し合いする必要があるかと思います。どんな人がクラブを立ち上げたのかわかりませんが、立ち上げた人の思いが反映されているのかなど、一度検証が必要です。時代とともに変化しなくてはいけないことと、変えてはいけないことがあるはずです。そこを整理したほうがいいでしょう。そこで話し合って変化できないなら、仕方ありません。そのチームに合うように指導するか、別のチームで指導するか、コーチも選ばなくてはなりません。■視野を広げるためにも若いうちは言われたことをその通りやってみることも大事ただ、ひとつ言えるのは、若いうちは他の目上のコーチから言われたことをその通りやってみることも大事です。所属したチームのコーチ陣がやろうとしていることに一度従ってみる。そのやり方で指導力をつけた結果、さらに深く考えれば「このやり方で正解かどうか」がわかってきます。勝つけれど、子どもたちがサッカーを続けないとか、うまいけれどチームプレーができる子が育っていないとかさまざまな事象が見えてくるはずです。■池上さん自身、子どもたちが楽しむことより園の要求を優先され「もう来なくていい」と......(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)最後に、私の経験をお伝えしましょう。YMCAで指導員だったころ、保育園のスポーツ指導に通っていました。「気をつけの仕方を教えて」「ラジオ体操を美しくできるようにしてください」といった園長先生からの要望に応えました。ある意味、園長が望んだ指導をしたのです。その出来栄えに、園長は喜びました。ところが、子どもたちは窮屈そうに見えました。「教え込むようなそんな指導じゃないほうがいいですよね?こうもできますよ」と異なるやり方を提案しました。若い先生たちにみていただくと「こっちのほうがいい」「楽しそうですね!」と賛同を得ました。そこに運動会がやってきました。私はサーキットトレーニングのような鉄棒や跳び箱を子どもたちにやってもらいました。入場行進や退場行進といった園長先生が好むようなものを省き、園庭の真ん中に立つと「みんな、さあおいで!好きなものをやってごらん!」と声をかけました。子どもたちは喜びいさんで飛び出してきました。わーっと歓声をあげてやり始めました。年中さんでも逆上がりをしていました。みんなが楽しんでいて、若い先生たちは満足そうでした。ところが終了後、私は園長から呼ばれて「もう来なくていいです」と言われました。40年も前の出来事です。3歳児が入場行進で手が上がっていないと、その小さな手を叩かれる。そんな時代でした。先日も、ある自治体のスポーツ協会主催で「スポーツインテグリティ」をテーマに講演をしました。スポーツはどこから来たのか?スポーツとは何なのか。そこを大人が理解して変われなければ、子どもはスポーツで幸せになれない。私はそう思います。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2023年12月19日日曜劇場「下剋上球児」の第4話が11月5日放送。始まった甲子園予選。1回戦終了後に菅生新樹演じる日沖が発した言葉に「試合出て欲しかったよ」「この悲しみをどこにぶつければいいの…」などといった声がネット上にあふれている。鈴木さんが約2年ぶりに日曜劇場で主演を務める本作は、高校野球を通し現代社会の教育や地域、家族が抱える問題やさまざまな愛を描くドリームヒューマンエンターテインメント。キャストは大学まで野球一筋だったが怪我で引退、大学も中退しスポーツトレーナーとして働いていたが、教師になる夢を捨てきれず32歳で大学に再入学したものの再び中退、無免許で教員をしていた南雲脩司に鈴木さん。横浜の強豪私立高校から三重県立越山(えつざん)高校に赴任してきた山住香南子に黒木華。弟の暴力事件の責任を取って、試合に出ないことを決めた越山高校野球部主将・日沖誠に菅生さん。警察沙汰を起こしてしまった誠の弟・日沖壮磨に小林虎之介。名門クラブチーム元エースだが越山高校に入った犬塚翔に中沢元紀。家が遠くフェリーと電車で通学している根室知廣に兵頭功海。南雲の妻・美香に井川遥。越山高校校長の丹羽慎吾に小泉孝太郎。越山高校野球部前監督・横田宗典に生瀬勝久。孫の翔を溺愛する犬塚樹生に小日向文世。前回のラストで南雲が大学を卒業してないと聞かされた賀門英助に松平健といった顔ぶれ。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。甲子園予選が始まる。1回戦で越山高校が対戦するのは昨年夏の大会を一回戦で敗退した多気高校。南雲は監督の横田を隠れ蓑に副部長として指揮を執ることに。そして、この大会を最後に監督だけでなく教師も辞めると決意してベンチ入りしていた。越山は1点を先制、その後も南雲の采配で試合を進めるが逆転され、1回戦で敗退する。弟、壮磨の事件の責任を取って、試合に出なかった日沖ら3年生の部員たちの夏が終わる…というのが今回の展開。試合後、日沖は応援に来た関係者を前に「最後の試合やし、勝って終わりたかったです」と正直な想いを吐露。部員が自分1人だった頃を振り返り、南雲や香南子、横田に感謝。「新しいグラウンドできて、1年生も入ってきてくれて…ほんまに嬉しかったです」と涙を流す。「日沖くん…本当良い子だよ…いちばん頑張ってたから試合出て欲しかったよ」「日沖くん良い子...試合に出てほしかったな」「日沖兄が良い奴すぎてこの悲しみをどこにぶつければいいの…」といった声がネットに上がるなか、南雲の“無免許問題”が急展開を見せる。野球部の監督だけでなく教師も辞めた南雲は、丹羽とともに警察に出頭することに…このラストに視聴者からは「どうやってこっから監督として戻ってくるんだ?」「ここから監督復帰無理だろ」「ここから一発逆転の手段が浮かばない…」などの反応が続出している。【第5話あらすじ】南雲が無免許で教師をしていたことが明るみとなり、校長の丹羽や香南子は保護者たちの対応に追われる。南雲の裏切りに激怒した犬塚は強豪校から野球指導のできる新監督を山住に相談もなく決めてしまう。在宅で取り調べを受けることになった南雲の身にも、青空(番家天嵩)への心ない言葉や容赦ない記者たちの追及が降りかかる…。「下剋上球児」は毎週日曜日21時~TBS系にて放送中。注)このドラマは「下剋上球児」(カンゼン/菊地高弘 著)にインスピレーションを受け企画しましたが、登場する人物・学校・団体名・あらすじはすべてフィクションです。(笠緒)
2023年11月06日仕事や恋愛など、物事を進める時には、タイミングが大事といわれます。タイミングによっては、自然とよい結果になったり、時には人生の転機になったりすることも。そんな、タイミングの重要さをテーマにした、仲曽良ハミ(@nakasorahami)さんの漫画をご紹介します。『父さんの好きなチーム』ある日、漫画の主人公であるいくるは、父親と一緒に、テレビで野球観戦をしていました。酒を飲みながら観戦する父親は、自分の好きなチームの試合ということもあり、熱が入っている様子。しかし、いくるは、試合の結果に興味がないようです。なぜ、父親と一緒に野球を観ているのかというと…。試合は、父親が応援するチームが逆転勝利!その瞬間、いくるは父親にこう告げます。「ねえねえ父さん、ハイパーミニモーターが欲しいんだけど」いくるが野球を一緒に観ていた理由は、父親におもちゃをねだるためでした!父親がいつもよりお酒を飲んでいて、かつ応援しているチームが勝利したという絶好のタイミングを逃すまいと、いくるはすかさず、ねだり始めます。チームの勝利に気をよくした父親は、いくるの思惑通り、おもちゃが買える金額のお小遣いをくれたのでした。鋭い観察力と計画的な行動で、自分の欲しいものを手に入れたいくるは、「してやったり」と思ったことでしょう。【ネットの声】・これは賢い!作戦勝ちですね。・めっちゃ分かる。私もこの方法で、よくお小遣いをおねだりしていました。・こういうのが、意外と大人になっても身を助けるのだろうな。タイミングを計り、チャンスをものにする力は、社会人にも必要な素養のひとつ。もしかしたら、いくるは将来、出世するのが早いかもしれませんね…![文・構成/grape編集部]
2023年10月02日実際の試合以上の複雑性を生み出すヴィセラルトレーニングの構造を具体的に解説株式会社カンゼンは、「レイヤー=変数」を重ね、試合以上の複雑性を生み出す『フットボールヴィセラルトレーニング無意識下でのプレーを覚醒させる先鋭理論[実践編]』を10月3日に発売いたします。阿部勇樹(元日本代表)推薦!「この先のサッカーのために何が必要か? 指導者として新たな発見があった」『フットボールヴィセラルトレーニング無意識下でのプレーを覚醒させる先鋭理論[実践編]』書影タスク(課題、目的)に向けて「レイヤー(層)=変数」を 重ね、実際の試合以上の複雑性を生み出す上巻『フットボールヴィセラルトレーニング[導入編]』では、神経科学を実用的に用い、認知、意思決定、無意識下でのプレーを最適化するための理論を紹介した。下巻『フットボールヴィセラルトレーニング[実践編]』では、タスク(課題、目的)に向けて「レイヤー(層)=変数」を重ね、プレーヤー、フィールドサイズ、ピッチ形状、ゾーニング、ボール、ゴール、ゲート、ツール、時間などを操作し、実際の試合以上の複雑性を生み出すヴィセラルトレーニングの構造を具体的に解説していく。サンプルページ第1章根本的なアイデア3解決と問題第2章実践的なヴィセラルトレーニングの導入2ヴィセラルトレーニング特有の原則:「レイヤー」の重なり第2章実践的なヴィセラルトレーニングの導入3どのように複数のレイヤーを整理するのか?第2章実践的なヴィセラルトレーニングの導入図14~図17第3章賢いサッカー選手3記憶第4章意思決定1伝統的なトレーニングとヴィセラルトレーニングの意思決定CONTENTSCONTENTS①CONTENTS②CONTENTS③CONTENTS④監修者まえがき第1章根本的なアイデア1なぜヴィセラルトレーニングは誕生したのか?2「機械的論理」対「芸術的論理」3 解決と問題4「試合」対「エクササイズ」5ヴィセラルトレーニングはなぜ選手の無意識的なプロセスを改善するのか?第2章実践的なヴィセラルトレーニングの導入1どのようにヴィセラルトレーニングを導入するのか?2ヴィセラルトレーニング特有の原則:「レイヤー」の重なり3どのように複数のレイヤーを整理するのか?4チームプレー形式でどのようにヴィセラルトレーニングを始めるべきか?5「構造化トレーニング」や「戦術的ピリオダイゼーション」を手助けするヴィセラルトレーニングという手段6ヴィセラルトレーニングをどこで適用すべきだろうか?6・1ゲームモデル6・2ゲームシステム6・3試合の局面6・4ヴィセラルアナリティクス6・5SSG・MSG・LSG・SG6・6個人トレーニング6・7小さなグループ6・8チーム6・9活性化6・10主要なトレーニング6・11補完的なトレーニング6・12レクリエーション的なトレーニング7ヴィセラルトレーニングにおける計画8通常のヴィセラルトレーニングと特別なヴィセラルトレーニング9育成年代からプロまでのヴィセラルトレーニング10すべてのトレーニングや試合をヴィセラルトレーニングに変換する方法11・1守備のポジショントレーニング11・2ロンド12ヴィセラルトレーニングと育成年代13ほかのスポーツを導入したヴィセラルトレーニング14ヴィセラルトレーニングにおける最大限の特異性第3章賢いサッカー選手1実行機能2ピッチ外における実行機能の評価3記憶3・1作業記憶3・2前方視的記憶3・3エピソード記憶3・4手続き記憶3・5パターン記憶4予測第4章意思決定1伝統的なトレーニングとヴィセラルトレーニングの意思決定2「現代的」な意思決定3「思考せずに思考する」対「思考することで思考する」4サッカーにおける意思決定に限らない意思決定第5章視覚的な認知1ヴィセラルトレーニングにおける視野2スキャニング(視覚認知行動)を説明するために役立つ従来のモデル3無意識の思考を刺激する「無意識のスキャニング」第6章心理学的なアプローチ1サッカーにおけるプライミング2無意識も従順である: 実施意図3実施意図を実際の試合でどのように適用するか?4「無意識の実行意図」がある場合はどのようになるか?5無意識を助ける意識的なプロセス6現実の出来事に基づいた感情的な優位性としての状態依存性記憶7無意識から暗黙的に学ぶそのほかの方法8無意識的にトレーニングを助ける「警告」9行動の観察10ビジュアライゼーション11瞑想12無意識へのアプローチにおける最後の手法:夢13明晰夢第7章感情とモチベーション1ヴィセラルトレーニングにおける感情2ヴィセラルトレーニングにおけるモチベーション2・1モチベーションの最も深い源泉:エロス第8章創造性1ヴィセラルトレーニングと創造性2意識における1つのタスク:機能的固定3「自動化」対「創造性」第9章認知的柔軟性1機能的結合の変化2精神的・認知的な耐性を強化するためのヴィセラルトレーニング3認知的疲労4認知的疲労におけるそのほかの要因5トレーニングと同様に重要な脳の回復第10章テクノロジーとイノベーション1テクノロジー・イノベーション・ヴィセラルトレーニング2サッカーにおける仮想現実と拡張現実第11章制約1ヴィセラルトレーニングはなぜ伝統的なタスクの制約ではないのか?2量的、質的な制約の次元3ナーゲルスマンのトレーニングセッション4明示的な制約と暗黙的な制約第12章ヴィセラルトレーニングという旅の終わりに1予備的な結論2最後のテスト3おわりに監修者あとがき訳者あとがき書誌情報書名:フットボールヴィセラルトレーニング無意識下でのプレーを覚醒させる先鋭理論[実践編]著者:ヘルマン・カスターニョス監修:進藤正幸訳者:結城康平ISBNコード:978-4-86255-696-7定価:2,970円(本体2,700円+税)判型:四六判ページ数:488P発売日:2023年10月3日出版社:カンゼンAmazon : Rakutenブックス : 商品ページ : 【この件に関する問い合わせ先】株式会社カンゼン宣伝プロモーション部担当:伊藤真TEL:03-5295-7723MAIL: ito@kanzen.jp 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年09月28日事前に練習内容を共有しないのでアシスタントコーチの準備が無駄になったり、練習でしてないことを試合で求める年上コーチ。練習も単調で子どもたちの成長が見えづらい。いくつか改善したら子どもたちの楽しさも増幅すると思うのでお願いしたいが、年上コーチと上手く付き合い方が難しい......。と悩むスクール代表からのご相談をいただきました。ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、コーチ間のコミュニケーションについてアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<事前に練習内容を共有しない、練習でしてないことを試合で求める年上コーチに対応を改善してもらう方法を教えて<お父さんコーチからの質問>初めまして。池上さんの記事、大変勉強になります。私が担当しているのは、まだ団子サッカーを続ける小学2年生のチームで、3年生になる前にポジション意識させ、3年生になったらポジションをハッキリさせていこうと考えています。現状は、みんな自分が点数を取りたくてしょうがない様子で、パスをしません。これから先パスの意味、意義をどの様に教えたらその重要性を理解してもらえるのか悩んでいます。現在は「シュートを打とう打とうとしてGKに向かって行ったって、そのままシュート打ったってそれはGKに当たってしまう。だから騙そう」と説明していますが理解している気配がしません。この年代の子どもたちに伝わるような何かいい言葉はありますでしょうか?今のままの伝え方でも成長とともに分かってくれるのか、ご意見伺えましたら幸いです。よろしくお願いします。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。つい最近まさしく同じような話題を、私のクラブの子どもたちの試合を観ながらコーチと話しました。■まずは子どもたちが自分の判断でプレーしていることを見守ってあげる方が良いそれぞれの子どもたちのポジションを私が決めてしまえば、多分もう少しスムーズにいきます。ただし、そうしてしまうと子どもたちの伸びしろを奪うかもしれません。違うポジションの経験をすることで、その子がもっと違う発見をするかもしれないのに、私が「この子にはここが合っている」と主観で決めることの弊害がきっとあります。プレーの一つひとつを見ても「いや、そっちに行くよりこっちのほうが良かったね」と思ったりすることがあります。でも、それは外から見るとそうなのですが、プレーした子がその状況をどう打開するかというのは、そのとき、その子にしかわからない。その子の判断になるわけです。もしかしたらそのとき「自分の技術では抜けない」とか「パスできない」と思ったかもしれません。だからこそ、何も言わずに見守ってあげたほうがいいのです。そうすると、それぞれの子どもがやりたいように、あるいはやれる範囲で、あるいはやれないかもしれないけどチャレンジしようとします。その行為こそが、後々大きな成長につながります。ここでため息が出たのではないでしょうか。「後々」の成長になる。育成年代の指導者は現在地ではなく、そこを見なくてはなりません。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■団子サッカーを脱却するための指導私のトレーニングを見た指導者からよくいただく質問が「パスばっかりする選手になりませんか?」です。私は微笑みながら「パスすることの何がいけないのでしょうか?」と話します。私は小学生に、ワンツーで抜け出すことを指導します。パスしたらまた自分がもらいに動く。そうすると、もらった子も次にまたパスを出して動く。つまりずっと流動する。だんだんサッカー自体がダイナミックになります。それを小学生のスタートのところから教えておかなくては、今の世界のサッカーの潮流には乗れません。したがって、団子サッカーを解消する際は、ポジションを決めるといったことよりも「パスを出したら、次どこに行ったらもらえる?」「その次はどこに出したらシュートが打てる?」と言った問いかけをし、必要があれば原理原則を伝えます。そんなふうに指導をしていってもらえるといいかなと思います。■スペインで指導経験のある佐伯夕利子さんもかつて団子サッカー解消で失敗私も何度かお話ししたことのある佐伯夕利子さんはスペインで指導者をしてきた方です。彼女は著書『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』に、かつて低年齢の子どもたちが団子にならないようにするためにマーカーを置いた話を書いています。マーカーを置いて、子どもに自分のポジションをわかりやすく示していた、と。その指導をこう振り返っています。「何と幼稚な指導をしていたか」そんなことでは、団子サッカーからは脱却できません。日本では、指導者のみなさんは「広がれ、広がれ」と団子にならないよう声をかけます。一瞬広がりはしますが、チームとして繋がってはいません。それが現状なのです。■サッカーを理解すると子どもたちの視点が変わる「この年代の子たちに伝わるような何かいい言葉はありますでしょうか」とあります。例えば「サッカーで大切なのはチームゲームだよ」と言い続けてください。団子になりがちな幼児や1年生からそのことを理解させるのです。理解すると、子どもたちはこんな視点を持つようになります。「(小学)2年生の子たちが誰もパスしないんです!」ある日、高学年の女の子たちが、不満そうな顔で私に訴えてきました。「そうなの?それは大変やな」と彼女たちに対して共感を示したのち、「ちょっとみんな集まって」と声をかけ、話し合いをしました。まず、私がこんな問いかけをしました。「サッカーはチームでやります。みんなにすごいね!って言われたら、誰でも嬉しいよね。楽しくなるためにチームがあります。みんなが楽しめるようにするためにはどうしたらいい?」すると、私に訴えてきた高学年の女の子が「チームのメンバー全員がボールに触らないとシュートできないっていうルールにしたら?」と言ってきたのです。これはいい勉強になると思いました。じゃあ、そうしよう!と言って始めたら、みんながパスをつなぎ始めました。2年生の子どもたちも周りを見始め、パスを出し始めたのです。全体的にとてもダイナミックになりました。■大事なのは「ひとりでやるトレーニングをしない」こと(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)そんなふうにみんなで勉強できたのは、チームのなかに子どもたち全員が何でも言える雰囲気があったからです。心理的安全性とか、安全基地になるといったことを、指導者が意識して運営していけば、このようなことが起きるのです。もう一つ大事なことは、絶対ひとりでやるトレーニングをしないこと。2人組なら、いつも違う人としてもらうよう配慮してください。他者を感じることがとても重要です。そのことをこころとからだに刷り込んでいく。そう言った工夫を意識してください。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2023年07月21日事前に練習内容を共有しないのでアシスタントコーチの準備が無駄になったり、練習でしてないことを試合で求める年上コーチ。練習も単調で子どもたちの成長が見えづらい。いくつか改善したら子どもたちの楽しさも増幅すると思うのでお願いしたいが、年上コーチと上手く付き合い方が難しい......。と悩むスクール代表からのご相談をいただきました。ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、コーチ間のコミュニケーションについてアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<絶えず口ゲンカ、相手の気持ちを考えない、準備・片付けをしない子どもたちの意識改善をどうすればいいか教えて<お父さんコーチからの質問>こんにちは。私はサッカースクールを運営している者です。コーチスタッフは10代から50歳代の幅広い年齢層です。私はスクール運営・代表として、各年代(U-6からU-13以上)で自分のチームの選手に合う練習方針を考えております。しかしながら50代のコーチの指導方法(U-12以上担当)に疑問を持つ事が増えてきています。気になることがあれば対話をしていきましたが、あまり改善がみられません。やはり年下の私(40代)から指示されることが気持ちよくないのでしょうか?これまでにあったことです。・事前に練習内容を共有しないので、アシストコーチの準備が無駄になった・声かけが曖昧で「一生懸命やる」を紐解いて伝えてほしいが、具体的な説明をしない・練習でしてないことを試合で選手に要求するので、選手はコーチの指示でしか動けなくなる・練習が単調で工夫が見られないため、選手たちの成長が見えづらい今までたくさんの選手を見てきてくれたことに対する感謝や、送迎などたくさんやってきてくれているため、こちらもしっかりと言い出せない部分もあります。そして何より教わっている子どもたちは「楽しい」と発します。運営者としては、「もっとこうしたら子どもたちの楽しいは増幅するだろうし、成長速度も変わり卒業してからでも色々な所でサッカーを楽しめる」と思っているため、改善をお願いしたく悩んでいます。年上50代のコーチスタッフとの正しい付き合い方のアドバイスを頂けたらうれしく思います。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。選手と指導者との間に円滑なコミュニケーションが必要であるように、コーチ間の共通理解は重要です。その点からすると、ご相談者様のお悩みは、やはりコミュニケーションの問題だと感じます。■修正を求めるときは、こちらがどれだけ心を開くかがカギ相手にいわゆる修正を求めたり、新しいものを提案する場合は、こちらがどれだけ心を開くかがカギになります。例えば、50代のコーチスタッフを攻撃するような言い方ではなく「みんなでより良くなりたいから、こんな考え方はどうでしょう?」といった表現で話をしてはいかがでしょうか。逆に、「どうして変わらないのか?」「時代が違います」というような否定的な言い方では、コミュニケーションができません。基本的な構えとして、この50代のコーチが言うことを聞いてくれないという感情をもって話してしまうと、なかなか伝わらないでしょう。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■正論であっても言い方によってはすんなり納得してもらいづらいご相談文に書いてあるように、チームの子どもたちは楽しいと言っています。であれば「子どもたちは楽しいと言ってくれているのでいいチームだと思う。ただ、もっとよりよくするためにこうしませんか?」「ここを話し合いませんか?」「僕らももっと学び合いたい」と提案することをお勧めします。あるいは「子どもがうまくなる」「こんなふうにしたほうがもっと楽しくなるかもしれません」という言い方です。私自身、「子どもに対する言い方がやさしいですね」とよく言われます。それは、相手のことを正しくリスペクトしているからだと思います。さらにいえば、その姿勢は大人に対しても同じです。私はこう思いますけどいかがですか?という言い方をします。それ間違っていますよとか、そうじゃなくてこっちがいいですよみたいな言い方はしません。もしそれが正論だとしても、言い方によっては、すんなり納得してもらいづらいからです。■本人が言わないのなら、こちらから尋ねるなど歩み寄りをまた、ご相談文に「練習内容を共有しない」「一生懸命やれと言う言葉を紐解いてほしい」といったことが書かれていますが、まさにコミュニケーションの問題です。例えば、その50代のコーチが何も言わないのであれば、周りのコーチたちも何も準備しなければいいのです。あるいは準備が必要だと思えば、「何が必要ですか?」と尋ねればいいと思います。「準備が無駄になる」と書かれているということは、そのベテランコーチに何も聞かずに準備しているようです。他のコーチはアシスタントなのですから、核になるメインのコーチにいったん聞く必要があります。もしかしたらメインコーチは「何も聞いてくれない」と思い、アシスタントの方々は「何も言ってくれない」と考えているのかもしれません。ひと言「今日、どうしますか?」と聞けば住む話です。「一生懸命の意味」についても、尋ねればいいことです。子どもがさぼっているのか、やっているけれどいまひとつ夢中になっていないのか。例えば「考えながらやれ」の一言でも、「何を見て、伝えたのですか?」とやんわり尋ねてみてはどうでしょうか。こちらから歩み寄る必要があります。■コーチ同士のミーティングで提案するという手も「練習でしてないことを試合で選手に要求するので、選手はコーチの指示でしか動けなくなる」についても、そのことをかみ砕いて実例を挙げて話してみましょう。「こないだこんなことがありましたが、子どもたちが指示でしか動けなくなるかもしれないと少し思ったのですがどうでしょう?」コーチのミーティングやコーチ会議など、皆さん行っているはずです。その場で提案してもいいかと思います。「すべてを教え込むのではなく、子どもたちが自分で考えて学んでいくことに軸足を置いた指導ってどうでしょうかね?」■指導者間のコミュニケーションが取れている方が、子どもも楽しくサッカーができる(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)つまり、「すべてを教え込むのではなく、子どもたちが自分で考えて学んでいくことに軸足を置いた指導ができていない」とか「そこに転換すべきだ」といった主張ではなく、あくまで提案です。そのような視点で「練習が単調で工夫が見られないため、選手たちの成長が見えづらい」ことについても「もっと楽しくなる練習ってないですかね?」と提案してみましょう。コーチ同士のコミュニケーションがとれているほうが、子どもも気を遣わず楽しくサッカーができるはずです。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2023年07月14日チリで行われたサッカーの試合で起きたハプニングが話題になっています。現地時間2023年5月14日、チリのプロサッカーリーグの試合が開催されました。前半8分をまわったところで突然、フィールドに『乱入者』が現れたのです。どこからともなく全速力で走って来た『乱入者』は、ボールを持っている選手に向かって一直線。そしてなんと、選手からボールを奪ったのです!しかし、選手はもちろん、観客の中にも、その『乱入者』に対して怒っている人はいませんでした。なぜなら…実際の試合の映像を見れば分かります。試合に乱入したのは…犬!しかもボールをくわえたまま離しません!結局、『CDパレスティーノ』のマクシミリアーノ・サラス選手が優しく犬を抱きかかえて『強制退場』となりました。運ばれていく犬に対して、なぜか観客席からは大きな拍手が起きていますね。この動画は49万件の『いいね』が集まり、見た人みんなを笑顔にしたようです。・最高にかわいい!その犬にボールをあげて!・運ばれていく時の犬の表情が誇らしげなのが笑える!・この犬は前世でサッカー選手だったに違いない。ボールを追いかけることが好きな犬は多いもの。この犬は、選手たちがボールを追いかけるのを見て、一緒に遊びたくなってしまったのですね。試合には参加できませんでしたが、たくさんの声援と拍手を浴びたこの犬は間違いなく、観客のハートを勝ち取ったことでしょう![文・構成/grape編集部]
2023年06月12日幼稚園の頃から所属しているのに、年々ぐっと伸びる子がいて差が開いてつらい。子どもが出ない試合は応援する気にもなれず、出場した時の周りのがっかり感にもいたたまれない。上手い子のママが強いし、ママたちのかかわりもストレス。子どもはやめたくないというが、自分が逃げ出したい。どうすればいい?というご相談をいただきました。スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見やご自身の体験をもとに、お母さんがラクになれるアドバイスを送ります。わが子にどうしてサッカーをさせているのか、改めて考えてみてください。(文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<「センスがないからサッカーやめろ!」暴言を吐く幼稚な夫を変えたい問題<サッカーママからのご相談>「試合に出られない息子。上達しないのに時間の無駄と思う自分がイヤです問題」の記事を読ませていただきました。私も同じ悩みを持っています。9歳の息子は幼稚園の頃から現チームに所属していますが、年々ぐっと伸びる子がいて、どんどん息子との差が開いていきます。期待の隣に嫌悪感と悦びがあると知って、とても腑に落ちました。息子が一番つらいと考えてなるべく期待はしないようにと頑張っているのですが、どうしても無理です。試合を見に行くのも辛いので、なるべく夫に任せて見ないようにしていても試合に出られなかったと知るだけで泣けてくるし、自主練をしない息子にもイライラします。高学年になり、遠征やイベント運営など親が出ることも多くなって、他のママとの関わりもとてもストレスになっています。やっぱりうまい子のママが強いし、同じレベルのグループができているように感じます。我が強い人が多いので、何かあるたびにもめて振り回されてストレスがたまります。毎日の送迎、週末の試合、お弁当作りなど出費もかさみます。やめたくないと言う息子のためにとは思いますが、逃げたしたくて仕方ないです。息子が出ない試合で他の子を応援する気にもなれず、交代で息子が出たときの周りのがっかり感の空気を見るのも嫌で、試合に行ったときは離れたところにいます。どうやったら、割りきって応援できるのでしょうか。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。過去記事を読み「期待の隣に嫌悪感と悦びがある」という学びを得たうえで、自分で何とか気持ちをコントロールしようとしている様子が伝わってきます。■試合の出場機会が均等にならないのは、未だに残る勝利至上主義の影響お母さんが参考にされた方も、5年近く前に配信された過去記事(試合に出られないのに自主練提案しても手応えなし...。競争心の無い息子にイラつく自己嫌悪ママの問題)を読んだうえでご相談されています。こんなにも多くの親御さんが苦しんでいることに驚かされます。そもそも、四種(小学生)の間は全員が均等に試合の出場機会を得られるよう指導者が考えていただければ、何の問題もありません。そういったチームは少しずつ増えています。ところが、現実的にそのようなチームは圧倒的に少数派です。そうならないのは、サッカーのみならず日本のスポーツ育成に勝利至上主義が色濃いからでしょう。よって、全員を試合に出すチームを選んで子どもを入団させてほしいのですが、息子さんのチームはそうではないようです。では、どうすればいいのか。お母さんに二つほどアドバイスさせてください。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■まずは、お子さんが何のためにサッカーをしているのか、を整理しようひとつめ。まずは、息子さんにとってのサッカーは何か?ここを整理しましょう。お母さんは、息子さんを是が非でもプロ選手にしたいわけではないと思います。では、何のために息子さんはサッカーをしているのでしょう?「やめたくないと言う息子」とあるので、サッカーをやめてはどうかと提案、もしくは命令したこともあるようです。それでも息子さんは続けたいというのですから、サッカーに魅力を感じているのでしょう。息子さんになぜやめたくないのかを聞いたことがありますか?恐らく仲間といるのが楽しかったり、練習が楽しかったりするのだと思います。小さいなりに、サッカーをすることへの大義ともいえる確固たる意味が彼の中にあるのです。そのような貴重な居場所を、親の勝手な感情で奪ってはいけません。チームに暴力やパワハラがない限り、彼のほうから「サッカーをやめたい」とか「チームを移りたい」と言うまで、親のほうからアクションを起こさないでください。上手くいかないと親が主導して次々チームを替わるサッカージプシーの親子をいくつか見てきましたが、子どもに主体性が身につかないだけでなく親子関係が悪化する傾向があります。子どもの世界に親が過度に干渉すると、ブーメランのように返って来るわけです。そのことはぜひ覚えておいてください。■今のあなたの態度は、息子さんの存在を否定ているふたつめ。お母さんの気持ちを整理しましょう。試合を見に行くのも辛い。試合に出られなかったと知るだけで泣けてくる。自主練をしない息子にイライラする。このようなお母さんの態度は、息子さんの存在を否定しているように思います。似たような葛藤を抱えている方々は「息子の前ではマイナスの感情は見せないようにしています」とおっしゃいます。しかし子どもというものは、自分のことを親がどう思っているのかを容易に見破るものです。不甲斐ないプレーをして、お母さんを辛くさせている。自分が試合に出られないと、お母さんは泣くほど悲しむ。自主練して頑張っているところを見せないと、お母さんの機嫌が悪くなる。以上のような気持ちが100%でないにしろ伝わっているとしたら、息子さんの自己肯定感は下がるばかりです。9歳という年齢は「どんな自分でもお母さんは愛してくれる」という親への信頼感が、とても重要です。その気持ちが「自分は何があっても大丈夫」という自己肯定感を育む種になるからです。ああ、そんなこと、わかっています。そんな声が聴こえてきそうです。私の連載を読んでいるのですから、恐らく子育ての原理はわかっている。でも、頭に気持ちがついていかないのではありませんか?私自身も経験があります。お母さんの気持ちを100%理解できないかもしれませんが、察することはできます。ママ友からのストレス、送迎などの出費もある。相談文を読むと、息子さんがサッカーをすることは、お母さんにとって何ひとついいことがありません。では、息子さんがレギュラーだったら?エースだったら?恐らく世界は一変するでしょう。出費だなんてきっと思わないでしょう。お母さんが書いた「我の強い人」の仲間入りをしていたかもしれません。ところが現実は絶対的なレギュラーでも、エースでもない。でも、親が辛いからと子どもからサッカーを取り上げられない。だから悩むのですよね?あなたはすごくいいお母さんです。子どものために自分がどうあるべきか、自分がどうあれば子どもが幸せになれるかを懸命に考えています。そうであれば、今の状態は一見ピンチのようですが、お母さんが親として成長できる大チャンスです。■親の見栄や承認欲求を満たさない子では不満?お母さんがラクになる方法は......(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)私たちは子どもに試されています。自分の親はどんな人間?と。自分の見栄や自己承認欲求を埋めてくれる子どもでないと、不満な人なのか。子どもの成長を第一に考え、ゆっくりと長い目で見守ってくれる人なのか。もしまだ前者であるならば、一旦息子さんのサッカーから離れましょう。夫に今の自分の辛さや葛藤をきちんと話し、サッカーについては夫に任せ距離を置きましょう。そのぶん、子どもの食事つくりや他の子育てで頑張れば良いのです。息子さんのサッカーに縛られず、しがみつくことなく過ごしましょう。できれば、自分の趣味や生きがいを子ども以外で見つけることに時間とエネルギーを割いてください。まずは、お母さんが生き生きと過ごすことです。「お母さんも○○を楽しむから、君もサッカーを楽しんでね。でも、何かあれば相談に乗るからね」そんなふうに言える日が来ることを願っています。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『高学歴親という病』(講談社α新書)。
2023年04月26日お笑いタレントの渡辺直美さんが、2023年4月19日に自身のInstagramのストーリーズを更新。メジャーリーグで活躍する、大谷翔平選手の試合を見に行った時の出来事を明かしました。同月現在、アメリカのニューヨーク州で暮らしている渡辺さん。同州にあるヤンキースタジアムで、2年ぶりに野球の試合を観戦したといいます。その2年前、渡辺さんは隣に座っていた観客と意気投合した様子。一緒に写真を撮るほど、親睦を深めたようです。なんとその観客と、今回再会を果たしたといいます!まさかの大再会で草。「え、なおちゃんこ鍋やん!」って向こうが気付いてくれて。「あれ?久々やんけ!お元気?!」「今日大谷だから来てんのけ?」「せやで!」って盛り上がった。息子さんも大きくなってて「俺、あれからお前のインスタフォローしてんだぜ」って画面見せてくれた。野球は世界を一つにするにょ。watanabenaomi703ーより引用(原文ママ)奇跡の再会を果たしただけでなく、その観客の息子さんが立派に成長していたことにも渡辺さんは驚いたとのこと。今回の再会を受けて、渡辺さんは野球が世界の人々をつないでくれると感じたようです。渡辺さんの出来事に、「そんな奇跡が起きるんですね!」「いい話!」といった反響が上がりました。2年ぶりの野球観戦を経て、渡辺さんは人と人とのつながりを温かく思ったことでしょう![文・構成/grape編集部]
2023年04月19日各国を代表する選手が集い、全力で世界一の座を競い合う野球大会『ワールド・ベースボール・クラシック(通称:WBC)』。2023年3月11日に行われた第1ラウンドで、日本代表はチェコ代表を相手に、10対2で勝利をつかみました。この試合で注目されたのは、熱い試合だけではありません。スポーツマンシップにのっとった温かいやり取りも話題になりました。大谷翔平から3球三振を奪ったチェコ選手、ツーショットを公開日本人からも多くの歓声が上がったのは、チェコ代表の先発としてピッチャーを務めた、オンジェイ・サトリア選手の活躍。圧倒的なテクニックから『怪物』と呼ばれるあの大谷翔平選手から110キロ台のチェンジアップで3球三振を奪い、ベンチではボールを見せびらかすように大喜びする姿を見せていました。試合後は、「三振を奪ったボールを記念にキープしてもらった。チャンスがあれば、大谷選手にサインをしてもらいたい」とコメントしていた、サトリア選手。多くの日本人がその後の展開を気にする中、同月14日、自身のTwitterアカウントに自慢の写真を公開しました。One and only @MLB @MLBONFOX @WBCBaseball @BaseballCzech pic.twitter.com/dEey6XEbNU — Ondřej Satoria (@OndrejSatoria) March 14, 2023 写っているのは、輝く笑顔を見せる、サトリア選手と大谷選手の姿!そして大谷選手の手には、チェコ代表からのサインが書かれたユニフォームが掲げられています。写真とともに投稿された「One and only(唯一無二)」というコメントは、日本代表との試合や大谷選手とのひと時、そしてプレゼントなど、いろいろなものを指しているのかもしれません。投稿では明かされていませんが、きっとサトリア選手はキープしたボールに大谷選手のサインをもらったのではないでしょうか。サトリア選手と大谷選手のツーショットは、試合を観ていた多くの人の胸を熱くしたようです!・チェコ代表は、なんて気持ちのいい集団なんだ!2人とも、いい笑顔だなあ。・サトリア選手は素晴らしいピッチャーだった。また日本代表との試合が観たいな。・これがスポーツのいいところだよね。メッセージにもジーンとした…。試合を観ている人にも、スポーツの楽しさを教えてくれた、チェコ代表との試合。チェコ代表のウィリー・エスカラ選手のヒザに162キロのボールを当ててしまった佐々木朗希選手が、株式会社ロッテのお菓子を持ってお詫びをするエピソードも話題になりました。選手と観客がともに楽しむことのできる試合とは、今回のようなものを指すのでしょう![文・構成/grape編集部]
2023年03月14日プロスポーツの会場では、選手のプレーや、ほかの観客に危害を及ぼさないよう、物の投げ入れが規制されています。しかし、サッカーの試合中、観客席からグラウンドに大量のぬいぐるみが投げ入れられたことが、ネット上で話題になりました。出来事が起こったのは、2023年2月27日にトルコ・イスタンブールで行われた、スュペル・リグ第23節のベシクタシュ対アンタルヤスポル戦。ベシクタシュのTwitterアカウントが公開した、前半4分頃の様子をご覧ください。Çocuklar hep gülsün. pic.twitter.com/JWyzKTLgD2— Beşiktaş JK (@Besiktas) February 26, 2023 スタンドの観客から続々と投げ入れられ、ピッチの緑を埋め尽くす、大量のぬいぐるみ…!一見異様な光景ですが、ヨーロッパにおいては、地域の恵まれない子供たちへの寄贈などを目的に、サポーターが自発的に行うことがあります。例えば、スペインのサッカークラブ『レアル・ベティス』においては、毎年の恒例行事となっているようです。レアル・ベティスの『恒例行事』が始まったのは2018年のこと。地域の恵まれない子供たちに寄贈する目的で、サポーターが、スタジアムのピッチ上にいたボランティアに向かって、ぬいぐるみを投げ入れた。レアル・ベティスとそのサポーターが、恵まれない子供たちに向けたチャリティーとして始めた取り組みは、今や毎年恒例の光景となり、他クラブのサポーターも「様子を見てみたい」と好評である。『Daily Mail』ーより引用(和訳)トルコの同試合で、投げ入れられたぬいぐるみは、2023年2月6日にトルコ南部で発生した大地震で被災した子供たちに対し「少しでも笑顔になってほしい」という願いを込めて寄付されたもの。この一幕には、「体中に鳥肌が立つほど感動した」「奉仕の心からの行動だろうね」「心揺さぶられる瞬間だった」といったコメントが見られました。一方で「なぜ、ぬいぐるみなのだろう?」「被災した子供たちに必要なのは、食料と避難所、そして安全が約束されていることだ」など、被災した子供たちへの直接的な支援を望む声も。試合を妨げないことや、より具体的な支援をすることも重要ですが、ぬいぐるみを通して、子供たちに寄り添う気持ちが表れたシーンには、多くの人が心を打たれたようです。[文・構成/grape編集部]
2023年02月28日2023年2月21日、東京都文京区の『東京ドーム』にて、プロレスラーの武藤敬司さんの引退大会が行われました。メインイベントの引退試合にて、プロレスラー、内藤哲也さんを相手に奮闘するものの敗れてしまった、武藤さん。これで39年のレスラー人生に幕を下ろした…かと思いきや、なんとここから予想外の展開となったのです!「蝶野カモン!」サンケイスポーツによると、マイクを握っていた武藤さんは「まだ自分で歩いて帰れるし、エネルギーも残っている。灰にもなっていない。どうしてもやりたいことが1つある」と話し、「蝶野!俺と戦え!」と放送席にいた蝶野正洋さんをリングに呼び込んだといいます。異例となる延長戦の結果…蝶野さんの必殺技で武藤さんはギブアップ!まさかの引退試合で2連敗を喫すという、伝説を残したのでした。試合後、武藤さんはTwitterにてリング上の蝶野さんとの写真を公開し、感謝の意を表しています。39年間お世話になりました。 pic.twitter.com/ODOMdjw1LP — 武藤 敬司 (@muto_keiji) February 21, 2023 最後まで戦い抜いた、武藤さんの雄姿に多くの人が感動し、ネット上ではコメントが相次いでいました。・引退試合の中でもトップクラスの感動です!まだまだ応援します!・泣ける…!お疲れさまでした…!最高にカッコよかった。・号泣でした。プロレスの沼にハマったのはこの2人がいたからです!本当に今までありがとう!武藤さんは現在60歳。今後は別の形でプロレス界に貢献していくのでしょう。引退後にどんな活躍をしていくのか、楽しみですね![文・構成/grape編集部]
2023年02月22日以前は上の学年の試合に出ていたが、部員が増えたら呼ばれなくなった。コーチには「頭が悪い」と言われたけど、悔しがっている様子もない息子に親の自分がイライラ。チームが強くなるには他の子たちも上手くなる必要があるのは分かっているけど、息子が追い越されると悔しくてしょうがない。これからもこんな気持ちが続くのに、子どもをどう見守ればいい?とのご相談をいただきました。スポーツと教育のジャーナリストであり、男女のサッカー選手を育てた先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの子育てと取材で得た知見をもとにアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<クラブで理不尽に扱われた長男をやめさせる際に次男も一緒に退団。後悔してます問題<サッカーママからのご相談>はじめまして、こんにちは。息子は4歳からサッカークラブに所属し、今年で4年目の小2(8歳)です。最初は同い年がいなくて1人上級生に混じって練習し、試合に出ていましたが、1年生の頃同い年の部員が4、5名増えました。そのうちの一人が頭がよくコーチの指導をよく理解し動ける子で、息子はコーチから頭がわるいと言われてしまいました。今、上級生の練習や試合にはその子を指定し、息子は呼んでくれない雰囲気があります。息子の技術的には全然劣っていません。息子はあまり悔しがってる様子ではないですが私はかなり悔しく、この気持ちを自宅での自主練習に励むよう息子にぶつけてしまいました......。私のイライラの気持ちをどう納めたらいいのか、他の親御さんはどうしているのか気になります。チームが強くなるためには、息子だけでなく他の子どもたちも上手くならないといけない事を願う反面、息子が追い越されると悔しくてしょうがないです。こんな気持ちはこれからどんどん増えていくと思います。どんな風に息子を見守ればいいか教えてください。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。「悔しい」「イライラする」と、ご自分の気持ちを率直に語ってくださり有難いです。お母さんは、辛い目に遭っているわが子を前に傷ついているのです。辛いですね。そんなお母さんと似た気持ちで試合に出られないわが子を見守っている親御さんは、この日本にたくさんいるかと思います。■子どもがレギュラーか補欠か、など競争に一喜一憂する親が多いサッカーだけでなく、ミニバスケットボール、バレーボール、少年野球。本来は「スポーツって楽しい!」とスポーツの楽しさを味わうだけで良いジュニア期に、日本のスポーツは勝利や強くなること、他者との競争に負けないことを強いています。そんなことを踏まえて、お母さんには、まずはこの連載の42回目にあたる『土日も連休も丸つぶれなのに...わが子が試合に出られないと親が報われないぜ問題』を読んでいただければと思います。そこに、私の体験が描かれています。息子が小学1年生のころ、2年生の試合に連れて行かれた際、何試合もあるのにまったく出られなかったことがありました。一緒に参加した1年生の子は試合に出ていたため、息子が不憫なのと、ベンチにいる姿を見ているのが私自身非常に辛かった。そのときは気づかなかったけれど、私のこころは傷ついていました。そして、試合に出ていた同じ1年生のお母さんと一緒に観ていたのですが、最後の試合の前半で私は先に帰ってしまいました。帰り道に泣きながら休日出勤の夫に電話しました。すると夫から「それだと、○○(息子の名前)が、終わった後、ママは僕が出られないから先に帰っちゃったんだ、ってがっかりするんじゃない?」と言われました。親として、こころから反省しました。自分の感情ではなく、子どもの気持ちを優先して考えるべきでした。欧米は一部の競技で早期教育が問題になってはいますが、日本のようにほとんどの子どもが巻き込まれる状況にありません。対する日本は、小学生の子どもにスポーツをさせている多くの親御さんが、子どもがレギュラーか補欠かといった競争にさらされる姿に一喜一憂しています。かつての私もそうでした。そしてお母さんも同じ状況ではないでしょうか。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■アドバイス①「今のあなたでは満足してない」と子どもを否定する言動をとらないでは、どうすればいいのか。かつて毒親だった私から、三つアドバイスさせてください。自分がなぜイライラするのか?そこを分析して自分を見つめ直しましょう。それがひとつめです。例えば、子どもが試合に出られず腹が立つ。頭がよくコーチの指導をよく理解し動ける子のほうが試合に呼ばれて悔しい。その怒りを息子さんにぶつけてしまうのは正解でしょうか? 心のなかにあるこんな毒を息子さんに吐き出すお母さんは正しいでしょうか?私は「いいお母さん」の物差しは人それぞれ違っていいと思いますが、正しいか否かの正解はあると考えます。試合に出られないからと言って子どもに自主練習を押し付けたりするのは、正解ではありません。イライラして怒るのもいけません。それらすべての行動が、息子さんに向かって「今のあなたではお母さんは満足しない」と否定することになります。私自身がそうだったから余計わかるのです。試合に出られない子どもに「残念だったね」「悔しいね」と共感しても、(試合に出られないのはあなたが頑張ってないからだよ。お母さんは悔しいんだよ)と胸の中で言ってしまえば、それは子どもの気持ちと同化しているのと同じ。共感しても、同化してはいけません。■アドバイス②ジュニア期は楽しむことが大事、自己肯定感を高めることそしてふたつめ。もし自分が正しいと言えないなと感じたのであれば、違う自分を探しましょう。まずは自分を整えるのです。自分を整えるときのキーワードは「今の私は子どもを成長させられる親か?」という問いかけです。息子さんはあまり悔しがっている様子はない、と書かれています。それならば、ほうっておけばいいのです。冒頭でお伝えしたように、ジュニア期で最も重要なのはそのスポーツを楽しんで好きになるかどうか。その一点に尽きます。「サッカー、好きなんだね」「今日は楽しかった?」そんな声掛けだけで十分です。あとは早寝早起きをさせて、朝ごはんを食べさせ、遠征や試合の日はお弁当を作ってあげて「楽しんでおいで」と送り出せばいいのです。それだけで十分、子どもは成長します。なぜなら「僕はお母さんから心配されていない。信頼されている」と安心する。自己肯定感が高まるからです。■アドバイス③自分が育てられた教育や子育てを踏襲していいのか、新たな学びが必要(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)三つめ。子育て受難の時代です。私たちが受けた教育や子育てが、子どもを成長させるものかどうかを検証する必要があります。今までは、レギュラーか補欠かといった競争に子どもをさらし勝ち抜かせていく。子どもを圧迫して発奮させる。それがひとつの教育とされていました。しかし、自分もそういうふうに育てられたからと、同じ子育てを踏襲してはいけません。新たな学びを入れる必要があります。以下に三冊の本を紹介します。参考にしてみてください。①『子どもが伸びる「待ち上手」な親の習慣』(庄子寛之著/青春出版社)公立小学校の現役教師が書いた本。「子どもを伸ばす親には、待ち上手という共通項があった」と話しています。副題の「イライラしない親は子どものどこを見ているのか」でもわかるように、イライラせずに子どもを見守るコツが書かれています。お母さんの疑問に答えてくれる本だと思います。②『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(島沢優子著/文藝春秋)拙書です。子どもにスポーツをさせている親の実態と、毒親にならないためにどうすればよいのかを書いています。③『高学歴親という病』(成田奈緒子著/講談社+α新書) ※2023年1月20日発売私に、子どもに共感してもいいけれど、同化してはいけないと教えてくれた小児脳科学者の本です。高学歴親と標榜されていますが、日本の学歴偏重社会で歪みがちな子育てを考え直せる本です。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)。
2022年12月21日11月は厚生労働省が定める児童虐待防止推進月間ということ、ご存じでしたか。今回は、子どもたちを理不尽な暴力暴言指導から守るために大人は何ができるかを提案できればと思います。子どもが所属するチームで、指導者が子どもを叩いたり、暴言を吐いたりしたとき、保護者の皆さんはどうしていますか。叩かれたのが自分の子じゃないから、トレセンや中学以降に行きたいチームへの入団を妨害されるのが怖くて抗議できないから、卒業まで耐えた......。など、黙認している保護者の方もいますよね。暴力暴言指導を受けたとき、我が子が受けていなくてもチームのほかの子が受けているのを知ったとき、保護者は黙って我慢するしかないのでしょうか。スポーツと教育のジャーナリストであり、スポーツ暴力・パワハラ相談窓口相談の相談役を務める島沢優子さんに聞いてみました。(文・島沢優子)写真は少年サッカーのイメージです<<関連記事:サッカーでの育児の悩みに島沢さんが答えるサカイク連載「蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~」サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■読者からの暴力暴言指導の悩み「指導者の暴力や暴言があり、移籍を考えています。試合で負けると「お前のせいだ」などと言って顔を叩くことがあります。叩くのは一人だけでなく、ほかのコーチが別の子を叩くのを見たこともあります。叩くだけでなく、試合中も「なんで○○しないんだよ!」のように怒声を浴びせ、子どもたちは委縮しています。一部の保護者が抗議をしたところ、叩いたことは謝ったのですが、その後練習の際子どもたちに「親たちがいちいち干渉してこないよう黙らせろ」と言ったそうです。このままチームに居続けるのも子どもにいい影響はないとわかっているのですが、S級ライセンスを持っていてトレセン担当でもあるので、親が抗議することで子どもへの報復(トレセンや強豪校への進学の妨害、干されるなど)が心配です。子どもを人質に取られているようで、親としても身動きが取れない状態です。本人は友達と一緒にプレーできる今のチームにいたいと言いますが、ひっそりと移籍させた方がいいのでしょうか」■多くの保護者が報復を恐れ、暴力暴言指導を黙認しているこれがS級ライセンス保持者のすることでしょうか。暴力をふるい、保護者からの抗議があると「親を黙らせろ」と子どもに八つ当たりする。いや、これって事実なの?と疑いたくなります。ところが、私の連載への質問箱に以上のような投稿が複数あります。プライバシー保護のため、編集部のほうで共通要素をまとめたものとしましたが、投稿者への確認もしており、事実であることは間違いないようです。多くは、相談者が書いているように指導者側からの報復を恐れ、子どもをそのまま所属させている。皆さんがこの記事を読んでいる今この時間、このようなコーチのもとで子どもたちがうつむいたままサッカーをしています。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは■順天堂大学で起きた元日本代表による暴言指導、J1ではサガン鳥栖監督がライセンス降格そのことは、昨今の報道をみても明らかです。「1年のクソ坊主。お前みたいなのがいた(出身)クラブからはもう選手獲らないからな!」「人間のクズ」このような暴言が継続されたとして、順天堂大学サッカー部の堀池巧監督が指導現場から外されました。つい先月、10月のことです。耐えかねた選手らがハラスメント行為を文書にまとめ大学側に提出したのです。堀池監督と言えば、20日に開幕したW杯で指揮を執る日本代表・森保一監督や三浦知良選手らとともに1994年アメリカW杯を目指した「ドーハ組」のひとり。13年には、日本サッカー協会(JFA)が公認する最高位の指導者資格で、Jリーグで監督を務めるために必要な「公認S級コーチ資格」を取得しています。にもかかわらず、怒りを態度で表すことも頻繁にあったうえ、2016年8月の総理大臣杯のトーナメントでより戦いやすい組に入るため予選の試合で「負けろ」と指示を出していたことが、当時在籍した選手複数人の証言によって報じられています。このような「敗退行為指示」が認められた場合、Jリーグでは「サッカーに限らずスポーツに対する信頼や高潔性の維持に疑義を生じさせてしまった責任」と見られ、クラブライセンス剥奪などの厳罰があります。堀池監督が指導していたのは大学ですが、大きな問題に発展する可能性は小さくないでしょう。ほかにも、J1サガン鳥栖でパワハラ行為が認定された金明輝前監督は今年3月、S級からA級に降格させられています。S級からの降格は初めての処分でした。同日、J2東京ヴェルディでパワハラが認められた永井秀樹前監督はS級資格の1年停止になりました。復帰までに研修や社会奉仕活動が求められるものの「処分が甘いのではないか」という声はあちらこちらから聞こえてきます。■今春には高校の強豪サッカー部での暴力動画も大学生やプロだけでなく、高校生も暴力や理不尽な扱いに苦しんでいます。今年5月、暴力動画を発端に、被害届を出した生徒が中学浪人させられていたことも判明した秀岳館高校サッカー部の騒動。9月には、木更津総合高校サッカー部の3年生が顧問のパワハラによって大量退部していたと報道されました。学校側は一部を認め調査すると発表しました。日本サッカー協会は他団体とともに2013年4月、暴力根絶宣言をしました。ちょうど10年前、2012年12月23日に大阪市立高校のバスケットボール部員が顧問の暴力や暴言を苦に自死したことなどがきっかけです。指導環境の修復に乗り出して10年目になるというのに、日本最高位の指導者資格を保持するコーチが、子どもたちに暴力をふるう、しかも何ら反省しないという実態があるのです。なぜ、修正できないのでしょうか。それは、修正できない人を、周囲の人たちが「他人事」と放置しているからだと考えます。上述した事件のひとつが報じられた際、複数の指導者が私にメッセージをくださいました。「いつかやると思った」「ブラックな指導をしていることは知っていた」そこで「何故やめろよと言わなかったのですか?」と尋ねると、「仲がいいだけに言いづらい」「(自分との)関係が悪くなるから」と注意するのを控えていました。数年前に高校サッカー部で暴力が発覚した指導者は、何のお咎めもなくそのまま小中学生のクラブを設立。海外でプレーした実績などが保護者に評価され、クラブは大きくなりました。が、指導者本人のマインドは何も変わっていないため、今度はスタッフへのハラスメントが原因で代表の座を追われたのです。■当事者たちが声を挙げなければ、被害はなくならない記事冒頭にお伝えした、S級コーチが暴力をふるうチームにわが子を預け続ける親御さんと恐らく同じでしょう。問題が起きても、多くの保護者が「子どもは人質なので声をあげられない」とうつむきます。チームメートの親全員が同じ価値観ではないことも要因です。親御さんにクラブへ被害を訴えるよう勧めた際「ここ(クラブ)にわが子がいるわけでもないのに、私の気持ちがわかりますか?息子も私も仲間外れになるかもしれないのに」と言われました。こんなことは一度や二度ではないので、他人が口で言うほど簡単でないことは私も重々承知しています。それでも、競技団体や社会に知ってもらわなければ被害はなくなりません。もっといえば、声をあげなければ「間違ったことでもまかり通る」ことを子どもに学習させる可能性もあります。■親たちが相談できる窓口はいくつかあるしたがって、JFA傘下の各都道府県や市区町村のサッカー協会へぜひ相談してください。それには公的機関なので実名で訴えることが前提です。暴力や暴言があった日時、相手、そのシチュエーションなど細かく文書化しておくこと、そしてそのことをともに伝えてくれる証人が必要です。公益財団法人日本サッカー協会にも「暴力等根絶相談窓口」はありますが、【利用対象者】が「トップアスリートとその関係者」のため、それ以外の小中高校生は対象外かもしれません。上述したように、各都道府県や市区町村の相談窓口をまずは利用しましょう。同じ問題を解決するために米国で設立された「セーフスポーツセンター」では匿名でも相談に応じますが、残念ながら日本ではどの競技団体もそこまでのマンパワーは割かれていないので、弁護士や有志のスポーツ人からなる民間の相談窓口も候補に入れてください。例えば『日本スポーツマンシップコーチング普及コミュニティ』が設けている「スポーツにおける暴力・パワハラの相談窓口」です。こちらは匿名でも相談を受け付けます。私もアドバイザーとして相談員を務めています。日本スポーツマンシップコーチング普及コミュニティ「スポーツにおける暴力・パワハラの相談窓口」サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2022年11月28日2022年10月22日、アメリカのケンタッキー州でケンタッキー大学のバスケットボールの試合が行われました。この日は『ブルー・ホワイト・ゲーム』という毎年恒例の特別な試合で、大勢の人たちが観戦に訪れていました。その試合会場で撮影された、ある親子の写真が大きな反響を呼んでいます。煤だらけの作業着姿で試合を観戦する父親写真に写っているのは幼い男の子と父親。父親は炭鉱労働者の作業着姿で、顔や手は煤(すす)で汚れて真っ黒です。なぜこの写真が話題になったのか…それはケンタッキー大学のバスケットボールチームの監督を務めるジョン・カリパリさんが自身のTwitterに投稿したからです。My family’s American dream started in a Clarksburg, WV coal mine, so this picture hits home.From what I’ve been told, after his shift, he raced to be with his son & watch our team. Don’t know who this is, but I have tickets for him & his family at Rupp to be treated as VIPs!! pic.twitter.com/a5BJXUnK2v — John Calipari (@UKCoachCalipari) October 24, 2022 僕の家族のアメリカンドリームは、ウエストヴァージニア州クラークスバーグの炭鉱から始まった。だからこの写真は心に響いたよ。私が聞いたところでは、彼は仕事の後、息子さんと一緒に我々の試合を見るために駆け付けてくれたらしい。彼が誰だか分からないが、彼と彼の家族のために今度のラップ・アリーナでの試合のVIPチケットを用意しているよ!@UKCoachCalipariーより引用(和訳)息子さんと試合を見るために、汚れた顔で作業着のまま会場にやってきた男性。当時はまだ、この男性が誰なのかは分かっていませんでした。ところが拡散されたツイートを見た、写真の男性の妻が「これは私の夫のマイケル・マグワイアと息子のイーストンです!」とコメントをしたのです。海外メディア『WKYT』によると、この日マイケルさんは炭鉱での仕事の後、夜に家族と試合を見に行くことを楽しみにしていたそうです。しかし、仕事が長引いてしまい、終わった時には試合の開始時間が迫っていたといいます。「このまま会場へ直行するか、帰宅してシャワーを浴びるために試合を半分見逃すか」という選択を迫られたマイケルさん。そこで彼の頭に浮かんだのは、「息子が初めて観戦するバスケットボールの試合を見逃すわけにはいかない」という思いでした。こうしてマイケルさんは作業着のまま試合会場へ向かい、イーストンくんとの約束を守ったのです。カリパリ監督の投稿には「素晴らしい父親だ」「僕が子供の頃、父さんが仕事の制服姿で試合に駆け付けてくれたのが嬉しかったな」「同じ父親として尊敬するよ」などのコメントが寄せられています。後日、カリパリ監督はマイケルさんと話せたとのこと。マイケルさんたちは今度、VIPとして試合に招待してもらえることをとても喜んでいるそうです。真っ黒に汚れた顔と作業着姿で試合会場へ行けば、目立つことは避けられません。しかし、マイケルさんにとっては周りの目より、イーストンくんと一緒に試合を見ることのほうが大切だったのでしょう。大好きな父親と観戦した初めてのバスケットボールの試合を、イーストンくんはきっと一生忘れないでしょうね。[文・構成/grape編集部]
2022年11月13日イスラエルで行われたサッカーの試合中に起きた出来事が話題になっています。2022年9月、サッカーチーム『ハポエル・リション・レジオン』でミッドフィールダーとして活躍するイーライ・タマム選手は、試合に出場していました。彼はこの試合で見事なシュートを決めます。ボールがゴールネットを揺らした直後、イーライ選手はユニフォームを脱ぎました。すると、喜んで駆け寄るチームメイトを押しのけて、テレビ中継をしているカメラのほうに走っていきます。彼がカメラに向かって見せたかったものは…こちらをご覧ください。הצליח לרגש אותנו: אילי תמם כובש שער ומקדיש אותו לכלב שלו pic.twitter.com/lL8uCiR8Pj — מנהלת הליגות לכדורגל (@IPFL_FOOTBALL) September 6, 2022 イーライさんが着ているTシャツにプリントされているのは、愛犬のスカイの写真。実はこの試合の数日前に、スカイは天国へ旅立ったのです。イーライさんは8年前に、子犬だったスカイを家族に迎えました。しかし、スカイが1歳の時に、獣医からてんかんを患っていることを知らされます。それからはスカイは病気と闘い続ける日々だったそうです。あらゆる治療や薬を試したものの、この2年間はスカイにとって非常に困難な日々が続いていたといいます。その結果、イーライさんは最愛の犬を失う悲しみとともに、スカイを苦しみから解放してあげることを選んだのです。試合でゴールを決めた後、彼はスカイの写真にキスをして、涙を浮かべながら空を見上げました。悲しみをこらえながら出場した試合で決めたゴールを、空の上のスカイに捧げたかったのでしょう。※画像は複数あります。左右にスライドしてご確認ください。 View this post on Instagram A post shared by elay tamam ● אילי טמם (@elay_tamam) この感動的なシーンは、見ていた多くの人たちの心を揺さぶったようです。・彼はスカイへの愛情を、この感情的な追悼で示したんだね。・こういうの大好き。ペットは無条件の愛とサポートをくれる。美しい示し方でペットの愛を称えてくれてありがとう。・素晴らしいね。スカイは天国から見ていただろう。ウェブメディア『The Dodo』によると、試合中にユニフォームを脱いだことでイーライさんは罰を受けたそうです。彼はルール違反をしてでも、多くの人たちに、自分のスカイへの愛情を知ってほしかったのではないでしょうか。大勢の前で自分への愛を示してくれたイーライさんを、スカイも見守っていたかもしれませんね。[文・構成/grape編集部]
2022年09月23日指導者が「リフティングが100回できた者からレギュラー」と言ったから一生懸命練習してチームで一番できるようになった。試合でも、一人でドリブルして相手を交わしてゴールを決めた。チームミーティングでも「別次元」と褒めたらしいのに、出場機会がどんどん減ってる。リフティングでレギュラーの話はどうなった?わが子が出場できない理由を聞いてもいいの?というご相談をいただきました。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの子育てと取材で得た知見をもとに、アドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<指導者が息子を劣等生扱いするのがツラいのでチームを辞めさせたい問題<サッカーママからのご相談>小学校5年生男子の母親です。地区のスポーツ少年団のチームに所属しています。3年時に指導者が変わり、4年生から試合に出る時間が少なくなり、現在公式戦はもちろんのこと、練習試合での出場時間もほとんどなくなりました。指導者は、常々「実力勝負」「勝ちにこだわる」ということを口にして、練習試合であっても下級生を連れてきてスタメンで使っています。少しでも試合に出れるよう、指導者に次の2点を尋ねて良いものか、逆恨みされないか、悩んでおります。1点目は、指導者の過去の発言について。指導者がリフティングに凝った時、「リフティングが100回できた者からレギュラーだ」と言ったことがあります。息子は一生懸命練習し、チームで唯一常時100回左右でできるようになりました。最高は250回です。チームには息子ほどできる子はいません。「レギュラーの話はどうなったのか」と聞くのは嫌味に聞こえるでしょうか。2点目は、選手起用の考え方についてです。我が子のみを見ていて目が曇っているのかもしれませんが、どうも指導者に好かれていないように思えてなりません。先日の試合で、息子は5年生で唯一公式戦に出してもらえませんでした。その後のフレンドリーマッチでも、公式戦で足を痛めた子が続けて出て、息子はその子と代わる形で後半から出場しました。息子は、得意のドリブルで相手をかわして前まで持っていきゴールを決めました。素直に上手でした。その後の全体ミーティングで、指導者は「凄かった。別次元の動きだった」と皆の前で褒めました。息子は「じゃあ、最初から出せ」と思ったそうです。「別次元の動き」と褒める割には、お情け程度(フレンドリーマッチの半分)にしか試合に出さない理由を尋ねて良いものでしょうか。不毛なことでしょうか。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。試合に出られないわが子を見守るのは、親としても辛いものがありますね。私も親として同じ思いをしたので、お気持ち察します。■自分の当番日に出場できなかったから辞めさせた親もあるサッカークラブで、小学5年生からサッカーを始めたA君が入団して半年も満たずに辞めてしまいました。A君自身は続けたかったのですが、お母さんの一存で辞めさせたのです。ご自分が当番だった日にA君が公式戦に出られなかった。それが理由でした。ひとつ下の4年生の上手な子が数人出場していました。「みんな試合に出られると聞いていたのに、息子は出られなかった。言っていることとやっていることが違う。信用できません」お母さんは、周囲にそう漏らしていました。コーチらは試合後、プレー時間がなかったことをA君に謝り、次の練習試合でたくさん出られるようにするからと話していました。本人も納得して帰って行ったのですが、お母さんは納得していませんでした。コーチの方は「子どもとともに、母親にも話をするべきだった」と後悔していました。「まだサッカーを始めたばかりだから、出られなくても仕方がないと思ってくれると期待してしまった。5年生は高学年だしプライドもある。お母さんにもあったでしょう。そこを僕らが汲めなかった」これは10年ほど前。試合に全員出場させようといった機運はほぼなかった時代のお話です。サカイクで連載をされている池上正さんを始めとして「全員に出場機会を」の機運は少しずつ広がりつつありますが、10年経っても状況は劇的には変わりません。8,9割のチームが勝利するためにレギュラーメンバーをずっとプレーさせている。それが、さまざまな指導者や親たちに取材してきた私の実感です。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■わが子への「かわいそう」という感情は、くせ者。共感は良いが同化はダメとはいえ、A君のお母さんの行動は正しかったと思われますか?A君のお母さんは、息子さんが試合に出られずベンチでポツンと座っている姿を見るのが辛かったのだと思います。辛いだろう、悲しいだろうと思うと、かわいそうになりますね。しかし、親のわが子への「かわいそう」という感情は、実はくせ者です。得てして良い子育てに繋がりません。この連載で何度か申し上げているように、子どものつらさに共感するのは必要なことですが、子どもの気持ちと同化してはいけません。同化するとは、子どものつらさを、親がわがことのように受け止めてしまうこと。お母さんが「そんな子どもを見守っている私って、かわいそう」となりがちです。■コーチに質問したいのは、親御さんが自分の気持ちを鎮めたいからでは?かわいそうなままでは不安です。不安な親は、自分の不安を払拭したくて子どもに干渉したくなります。第三者がみれば過度な干渉でも、親御さん自身は「子どもに良かれと思って」世話を焼いてしまいます。「リフティングができたら試合に出すと言ったじゃないか!」「異次元の動きと褒めたのに、なぜレギュラーじゃないのか?」そのようにコーチに質問したくなるのは、息子さんに良かれと思ってでしょうか?もしかしたら、ご自分の気持ちを鎮めたいのではありませんか?実はストレスがたまった「自分に良かれと思って」考えたことかもしれません。子を想う親の気持ちは非常に複雑です。子どもに笑顔でいてほしい。努力が無駄にならずに済むようにしてあげたい。すべて親心です。■親が先回りしてしまうと、子どもは自分で思考することや課題解決の経験が積めないところが「良かれと思って」やったことはほとんどの場合、子どものためになりません。なぜならば、親が先回りすることで、子どもは何も考えず、何もやらなくて済みます。要するに、自分の課題解決をする経験を積めません。親心は時として暴走することがあります。そこに気をつけなくてはなりません。暴走しないためには、まず子育てをしている意味を考えましょう。お母さんが息子さんを育てるなかで、最も大事なのは何ですか?私は、まず子どもを死なせないことだと思います。私の子ども二人は兄妹ともサッカーをしていましたが、兄は割と鈍感なので心配しませんでしたが、生真面目で繊細な妹のほうはサッカーで気に病んでいそうなとき、命を絶ったりしないか彼女の表情を盗み見ていました。気になって寝室に見に行ったこともあります。■もう5年生、監督やコーチには自分で質問させよう次に大事なのは子どもの人としての成長を支えること。息子さんはもう5年生、高学年です。成長してほしいのならば、上述したように何事も自分で解決をする経験をさせてあげてください。「リフティングが100回できた者からレギュラーだ」と言ったコーチに対し、「僕は努力したのに。レギュラーの話はどうなったのか」と尋ねるのは、息子さんがやるべきです。少なくとも、お母さんではない。「聞いてみたら?」と話し、息子さんが「え~、聞けないよ」と拒むなら、まだその時期ではないということ。ほっとけばいいのです。選手起用についても、「別次元の動きだった」と皆の前で褒めたのなら、「じゃあ、最初から出してください」と自分で言えばいい。親としては「悔しいなら言ってみたらいいじゃん」くらいの態度で十分ではないでしょうか。なぜ試合に出られないのか。そこを自分で考えて策を講じる経験をさせてあげてください。それをせずに、親のほうが「なぜ出られないんだ?」と詰問するのは、子どもが成長する機会を奪うことになりかねません。■子どもに自信を持たせたいなら、親がいつまでも不安を抱えていないこと(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)そして最後に。お母さんがいつまでも不安に思っていては、息子さんは自分に自信を持てません。大好きなお母さんを「いつまでも不安がらせるダメな僕」であり続けるからです。子育ては、子どもへの「不安」を「信頼」に転換する旅なのです。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)。
2022年08月17日子どもが試合に出られないのに、チームに協力したくない。新しいメンバーが入ってきて、前からいる子では息子だけ出れなくなった。周りのママたちは慰めてくれるけど、出られる子の親に私の気持ちなんてわからない。サッカー辞めさせると言っても子どもは嫌だと言うし、何もかもが嫌になった。というお悩みをいただきました。みなさんもこんな苦しい思いをしたとき、どうしますか?今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの知見をもとに、悩めるお母さんに寄り添いアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<強豪クラブで試合に出られなくなった息子にどう接すればいいのか問題<サッカーママからのご相談>はじめまして。以前配信された記事を見て、自分と全く同じ問題だと感じました。タイトル:試合に出られないのに自主練提案しても手応えなし...。競争心の無い息子にイラつく自己嫌悪ママの問題似たような相談になってしまうかもしれませんが、アドバイスいただけませんでしょうか。配信された記事では「試合を見なければいい」とありましたが、やっぱり気になってしまいます。子どもはサッカーが楽しいと言っていますが、試合に出られないのに何も協力したくなくて......。うちの子は10歳です。今までは人数ギリギリだったため、出られないと悩む事はなかったのですが、最近一気に3人も入ってきて、前から居たメンバーでうちだけ出られなくなりました。出してもらえないイライラもそうですが、がっかりで居たたまれない気持ちになりました。チームのママたちは慰めてくれて、「ランチいこう」と誘ってくれたり気を遣ってくれたのですが、それすら「どうせ出られる子のママに、私の気持ちなんてわからない」と、何もかもが嫌になってしまって、サッカー以外でも子どもや夫にあたる日々です。正直どうしたら良いのかわかりません。サッカーやめさせると言っても、嫌だと言って子どもは1人で練習に行くようになりました。上達しないのに、時間の無駄だと思ってしまいます。こんな自分が本当に嫌です。どうしたらよいのでしょうか。<島沢さんからの回答>ご相談ありがとうございます。匿名だからできることかもしれませんが、とても正直な気持ちがお母さんのメールから伝わってきます。きっと実直で素直な方なのだろうと勝手に予想しました。加えて、お母さんのメールにとても感心してしまいました。なぜなら、お母さんは「自分と全く同じ問題だと感じた」と、5年近くも前に配信された過去記事を読んだうえでご相談されているからです。前の記事を読んでからメールしてくださるともっと深い話ができるのになあと少々残念な気持ちになることのほうが多いので、今回はとても助かります。■自覚している分、問題の半分は解決している愛するわが子を試合に出してもらえないイライラ。がっかりしてしまう気持ち。家族に当たってしまう自分。試合に出られないからでしょうか。「サッカーをやめさせる」とまでお子さんに迫っています。しかしながら、「上達しないのに、時間の無駄だと思ってしまう」ご自分を強く嫌悪しています。そうです。お母さんはもう気づいています。「今の自分のままではダメだ」と。お母さん、大丈夫です。この問題の半分はすでに解決しています。何も不安に思うことはありません。一緒に、イライラやモヤモヤを鎮めましょう。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■期待の両隣には「悦び」と「嫌悪感」が存在するまず最初に、私の経験も伝えつつ、お母さんの気持ちを整理したいと思います。私が仲間と毎月開催している「スポハグカフェ」で、6月19日にスポーツをテーマにした講座を開きました。サッカースペイン1部リーグのビジャレアルのスタッフを務める佐伯夕利子さんがゲストのひとりでした。彼女が心理学の専門家らと指導改革をされた話をまとめた『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(小学館新書)を作った縁で、お付き合いが続いています。佐伯さんによると、「期待する」という感情の両隣りには、「悦び」と「嫌悪感」が存在するそうです。■期待通りにならないとき、期待は嫌悪感に代わる私たち親という人間は、自分の子どもが自分たちの期待通りに物事を成し遂げてくれたり、期待した通り、もしくはそれ以上の成果をあげてくれたら喜びます。漢字はさまざまありますが悦びの感情に包まれます。私もサッカー親でしたから、息子や娘が試合に出たり、活躍すれば嬉しかったです。ところが、期待した通りにならなかったり、大きく期待を裏切る結果を見せられた途端、期待した感情は「嫌悪感」に変化すると言います。子どもに対し「ダメな結果しか出せないヤツだ」と嫌悪する、というのです。これを聞いたとき、私は深く納得しました。ああ、あの時に感じた「がっかりした」とか「情けない」といった負の感情は、そういうことだったのかと。怒りとか憎しみとは違う、強いイライラ感。そして、子どもに対しイライラする自分を認識したときに必ず押し寄せる自己嫌悪。恥ずかしい気持ち。私自身「あのとき子どもを嫌悪していたのだ」と改めて気づかされました。当時はこうやって言葉にして自己分析できませんでしたが、私は悦びと嫌悪感を行ったり来たりしていたわけです。いいときは一緒に悦ぶ一方で、そうでないときは子どもにひどい態度を見せていたかもしれません。■悪い結果を呪い、イライラする自分を呪っていたしかし、私にそれはおかしいことだと気づかせてくれたのは夫でした。夫は息子をなじったり目の前で嫌な態度を見せたりしませんでしたが、私の前では息子をダメなやつだと否定しました。すると、それを聞いた私は怒り出します。「試合に出られなくて一番つらいのはあの子じゃないのか」「本人は一生懸命やっているのかもしれないのに、そんな言い方はひどい」と夫を責めました。すると、夫は「はあ?」と怒って反撃に出ます。「よく言うよ。ママなんかさっきまであいつを怒ってたじゃないか。やる気が感じられないとか、一生懸命やってないとか」そうなのです。自分も夫と同じことをしていたことに気づかない。嫌悪感という感情の渦の中でぐるぐる回っているので、冷静でいられなかったのでしょう。しかし、同様に感情的になって息子への嫌悪感を丸出しにする夫の姿を見て、気付くわけです。それは恐らく夫も同じことだったと思います。その後、さまざまな学びを得て、少しずつ自省できるようになりました。子どもたちが度々運んでくる悪い結果を呪う一方で、「そんなことでイライラしたり落ち込む自分は親失格だ」と自分を呪う。まさに異なる呪いパンチの撃ち合いです。■良い結果でなかったとき、一番つらいのは本人(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)そんな葛藤を繰り返していたある日。九州から上京した祖父母と食事に行こうとしたら、息子がゲームを途中で辞めたくないから行かないと言い出し夫と揉めました。せっかく遠方から来た祖父母に対する気持ちを夫は問いましたが、なかなか折れない息子を叩いてしまいました。その夜、夫がとても真剣な顔で「俺たちは結局子どもに試されているんだよ」と言ったのです。もともと多くを語る人ではないのでその一言だけでしたが、私は「子どもと一緒に成長しなきゃいけないんだ」ととらえました。以来、呪いパンチ合戦は減ってきました。良い結果でなかったときは「一番辛いのは本人」と受け止め、前向きでなくても「大人だって、やさぐれたりふてくされたりする。いつか自分で気づくまで待とう」と思えるようになりました。「期待のお隣りさんは、悦びと嫌悪感」この道理を知って、自分の子育てを振り返ってください。振り返りができた時点で、息子さんにやさしくなれる自分を発見するはずです。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)。
2022年07月20日近年、新型コロナウイルスの影響で、保護者が子どものサッカーを観戦する機会が減っています。子どもの様子が知りたくて、「サッカー、どうだった?」と聞くと「別に」「普通」などのそっけない答えしか返ってこず、やきもきした経験は誰しもあるのではないでしょうか?そこで今回は、スポーツジャーナリストとして、多くの著名人、アスリートの取材をしてきた二宮清純さんに「子どもの答えを引き出す、質問の仕方」や「コーチに質問するときのポイント」についてうかがいました。(取材・文鈴木智之)写真は少年サッカーのイメージ<<前編:インタビューのプロ二宮清純さんに聞いた「今日の試合どうだった?」「別に......」で終わらせない会話術■負け試合でも手ごたえがある場合も。「勝った?負けた?」より「今日なんかいいことあった?」と聞こう二宮さんは前回の記事で、「言葉に頼らない」「距離感が大事」など、質問をするときのポイントを教えてくれました。子どもとサッカーの話をするときにしてしまいがちなのが、「勝った?」「負けた?」「何点取った?」など、結果にフォーカスする質問です。二宮さんは「もちろん試合に勝つことや点を取ること、 勝利に貢献することは大事ですが、試合に負けたとしても、自分の中で手応えがあったプレーがあるはず」と言います。「試合の勝ち負けや点取った? ではなく、今日はなんかいいことあった? などの間口の広い質問の方がいいのではないかと思います。僕は子どもの頃、少年野球をしていたのですが、ある試合で内野からピッチャーに牽制のサインを出して、アウトにしたことがありました。試合には負けたけど、自分としてはすごく嬉しかったんです」その試合を偶然見ていた学校の先生から「あのプレーは頭脳的だったね」と褒められたそうで、50年経ったいまも、そのことを覚えていると言います。「試合には負けたけど、褒められて嬉しかった記憶がいまもあります。スポーツには結果以外に、手応えを感じたプレーもあるので、そこを引き出すような『何かいいことあった?』など、相手に委ねるような聞き方がいいと思います」■負けたとき、結果が出ない時ほど自分を信じる力が必要子どもが試合に負けて落ち込んでいたり、いいプレーができなくて悩んでいるときは、保護者の出番です。二宮さんは「負けたときほど、自分を信じることが大事」と言葉に力を込めます。「僕が思う名選手の条件は『負けたとき、結果が出ないときに、自分を信じてることができた人』です。よく『負けたときは自分を信じろ。勝ったときは自分を疑え』という話をするのですが、負けたときやうまくいかないときは、周りから『何でだめだったの?』『何で負けたの?』など色々言われます。そのときこそ、自分を信じる力が必要なんです」うまくいっていないときは、周りから白い目で見られたり、心無い言葉を浴びせられたりすることがあります。「そんなときこそ、誰よりも自分が自分の味方になってあげること。オレはこんなもんじゃない。今日はたまたまうまくいかなかっただけだ。『次はやってやるぞ』ぐらいの気持ちでいいと思います。そこで味方になってあげられるのが保護者です。子どもの様子を観察した上で、サポートできることは何だろう? と探してあげるといいと思います」一方で、試合に勝ったとき、うまくいっているときは「これは自分ひとりの力じゃない。周りが手助けをしてくれたからうまくいったんだと、周囲に気持ちを向けることが大事」と言います。「僕は取材者として、たくさんのスポーツ選手を見てきましたが、ティーンエイジャーの頃は、うまくいっていると自分の手柄だと思って、有頂天になる場合があるんですよ。そういうときこそ、『本当にこれでいいのかな』『たまたまかもしれない』『周りの助けがあったからだ』と、自分を疑う視点があった方がいいんです」■言葉には体温がある、指導者に聞きたいことがあれば直接話してみよう子どもとのコミュニケーションに加えて、指導者とのやりとりに悩んでいる保護者も少なくありません。練習内容や選手起用に関して、指導者に聞いてみたいけど、どう言っていいかがわからない......。そんな思いをしたことのある人もいるのではないでしょうか。インタビューのプロである二宮さんは、「昔は指導に口出しするなとか、子どもを預けたら文句を言うなといった風潮があったと思いますが、いまの時代はそうはいきませんよね。指導者と保護者のコミュニケーションは、より大事になってきていると思います」と話します。「疑問があるときは、会って話をした方がいいと思います。いまはLINEをはじめ、文字でやり取りすることの多い時代です。ですが、それだと言葉のニュアンスやイントネーションが伝わりきれないところがあります」二宮さんは「私に任せてください」という言葉を例に説明します。「文字で単純に『私に任せてください』と書くのと、実際に会って、笑顔で『私に任せてください』と言って相手の肩をポンと叩くのとでは、受け取る側の印象はまったく違いますよね。文字で『私に任せてください』だと、突き放していると感じるかもしれません。でも会って、顔を見て『私に任せてください』と言われると、安心できますよね。それは、表情や言葉からニュアンスが伝わるからです」練習前後の5分、10分でも、コーチに会って話すことができれば、モヤモヤや疑問の解消にもつながりそうです。「大事な話は、会ってした方がいいです。言葉には体温がありますから。文字だけだと、体温を感じることはできませんよね。字面だけで判断することは危険なので、大事な話をするのであれば、基本的に会った方がいいと思います。どう対応するかはそれからですね」サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」■相手から受け取る情報量のうち、「言葉」はわずか7%コミュニケーションの基本は、顔と顔を突き合わせることにほかなりません。『メラビアンの法則』によると、人間が相手から受け取る情報量のうち、言葉から受け取るのはわずか7%で、それ以外の93%は非言語(表情や仕草など)によるものだそうです。それほど、言葉以外の情報は大切なのです。コロナ禍では会って話をしずらく、マスク越しの表情を読み取るのは難しいかもしれませんが、注意深く観察することを心がけるだけで、得られる情報量が変わってきそうです。お子さんやコーチ、周囲の方とより良いコミュニケーションをとるためにも、ぜひ参考にしてみてください。二宮清純(にのみやせいじゅん)スポーツジャーナリスト。株式会社スポーツコミュニケーションズ代表取締役。1960年、愛媛県生まれ。スポーツ紙や流通紙の記者を経てフリーのスポーツジャーナリストとして独立。五輪・パラリンピック、サッカーW杯、ラグビーW杯、メジャーリーグなど国内外で幅広い取材活動を展開。明治大学大学院博士前期課程修了。広島大学特別招聘教授。大正大学地域構想研究所客員教授。経済産業省「地域×スポーツクラブ産業研究会」委員。認定NPO法人健康都市活動支機構理事。著書に「勝者の思考法」「人を見つけ人を伸ばす」「人を動かす勝者の言葉」など多数。サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」
2022年06月28日誰でも、ついつい気になってしまうことが、何かしらあるものですよね。今回紹介する心理テストでは、そんな「つい気にしてしまうこと」を診断できます。ぜひ、普段は気がつかない、自分の心理を確認してみてください!Q.あなたは、プロレスを見に行きました。試合前に気になるのは次のどれですか?直感で決めてください。A.横断幕やのぼりB.リングサイドの有名人C.選手のコスチュームD.選手のコンディションA.横断幕やのぼりAの横断幕やのぼりを選んだ人は、口コミをみると、ついつい気にしてしまうかも!いろいろな判断をするときに、周囲の考えを参考にする傾向がある様子。口コミサイトのようなコアな情報を発見できる場所で、リサーチをする機会が多いのではないでしょうか。人と違う着眼点や豊富な情報を持っているため、周囲からの評価も高いでしょう。B.リングサイドの有名人Bのリングサイドの有名人を選んだ人は、損得について、ついつい気にしてしまうタイプだそう。物事への興味や関心が高く、お得な情報をいち早く確保するのではないでしょうか。そのため、数ある情報の中でも、無意識に損得を見分ける力に長けているのだとか。世の中を上手く渡る術を、持っている人だそうですよ。C.選手のコスチュームCの選手のコスチュームを選んだ人は、ついつい世間体について、気にしてしまう傾向があるみたい。あなたは、プライドが高めで、美に対する価値観にも強いこだわりがあるはずです。ついつい人の目を気にしてしまい、世間体に配慮しながら行動しているかもしれません。しかし、周囲からの信頼度は高く、信頼できる常識人だと認識されているとのこと!D.選手のコンディションDの選手のコンディションを選んだ人は、友達の状況が、ついつい気になってしまう様子。あなたは、人の面倒をみたり、気を使ったりする性格なのでしょう。知らないうちに、友達の状況を意識してしまうのだとか。外見だけでなく内面の変化についても悟り、フォローができるため、人から頼れる存在だと思われているみたいです。自分が無意識に気にしていることがわかると、ちょっと生活に変化が起きそうですよね。ついつい気にしてしまうシチュエーションが起きたら、心理テストの結果を参考にしてみてください。もしかしたら、もっと、物事がいい方向に向かうかもしれませんよ!"
2022年06月13日2022年4月9日に行われた、ボクシングの試合をご存じでしょうか。世界的なスーパースターであるゲンナジー・ゴロフキン選手に、ロンドン五輪金メダリストの村田諒太選手が挑む、王座統一戦が行われました。興行規模は20億円以上といわれる、日本ボクシング界最大のビッグマッチで、ボクシングファンにとって目が離せない大注目の試合です。日々の出来事をInstagramに投稿している、ミハイロ(mihajlo0011)さんもこの試合に注目しており、歴史に残る試合を子供たちと観戦して「感動を一緒に味わいたい」と考えていました。試合当日、子供たちと一緒に観戦するのですが、子供たちは全く興味を持ちません。それどころか、ミハイロさんと一緒に遊びたがってしまいます。ミハイロさんは一緒に観ることを諦め、子供たちにこう伝えます。「もうお願いだから試合を見させてくれ…大事な試合なんや」すると、ぐうの音も出ない反論をされるのでした。息子さんの言葉に対して、コメント欄には、さまざまな声が集まっています。・かわいい顔で真理をついてきた!・非常にありがたいお言葉をいただきましたね。・子供から、道徳的指導をされちゃったお父さん!心に響く発言をした息子さんに、多くの人が感心したようですね。大きくなった息子さんが、ボクシングの面白さを理解できたら、一緒に楽しめるかもしれません。いつか、家族みんなでボクシング観戦ができたらいいですね![文/AnyMama(エニママ)・構成/grape編集部]
2022年05月27日Jクラブのスクールと学校のチームに所属しているけど、チームで試合に出られない。伸びる時期だから試合に出られないのはもったいないとJクラブのコーチがチームを紹介してくれた。体験は楽しかったようだし移籍も良いと思うけど、移籍すると県のトレセンに選ばれない可能性が。中学以降は通っているJクラブのジュニアユースに行きたいし、どんな選択をすればいいのか悩む......。とのご相談をいただきました。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの知見をもとにお子さんにとって一番いい環境をどうやって決めるかアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<楽しいチームがいい?厳しいチームがいい?6歳児二択問題<サッカーママからのご相談>こんにちは。10歳の息子は現在、学校のサッカーチームと、Jクラブのスクールに入って活動しています。学校のサッカーチームは人数が少なく、試合に出場できません。Jクラブのコーチに、今伸びる時期だから試合に出られないのはもったいないと言われ、他の学校サッカーで試合に出られるチームを紹介されました。体験に行ってみてとても楽しかったようです。移籍もいいかな?と思ったのですが、今加入している学校サッカーの方で小4でのトレセンに選んでもらっています。U-10の県トレセンももしかしたら可能性があります。しかしながら移籍するとそのトレセンがなくなります。来年には所属しているJクラブのジュニアユースセレクションを受ける予定です。受かれば絶対にそちらに加入したいのですが、落ちた場合どっちを選んだらいいのか悩んでます。このような場合、試合を諦め今のままのほうがよいでしょうか?<島沢さんからの回答>ご相談ありがとうございます。子どもが、進路なり、サッカーを続ける環境を選択する岐路に立たされたとき、親は一体どうふるまえばいいのか。まずは、ここを考えましょう。■悩むのは子どもであって親ではない私は、まずは子どもの意思を尊重すべきだと考えます。息子さんの年齢は10歳で、来年ジュニアユースのセレクションを受けると書かれていることから、現在は5年生でしょう。高学年ですから自分がどんな環境でサッカーをしたいのか。もしくは、どんな環境が自分のためになるのかも、親御さんと一緒に考えることができるはずです。ご相談文を読む限りは、お子さんがどういった環境を希望しているのかがわかりません。お母さんは、セレクションを落ちた場合、試合のできるクラブに移籍するか、トレセンを重視して試合ができない学校のサッカーチームの二択で悩んでいると書かれています。が、悩むのは息子さんであって、お母さんではありません。そこを忘れないでください。■小学生にふさわしいサッカー環境とはでは、お母さんは、小学生の息子さんがサッカーをするにあたって、どのような環境がふさわしいと思われますか?私の意見を言わせていただくと、以下のような条件が考えられます。1)指導者に暴力や暴言がなく、楽しくサッカーができるところ。2)指導者に威圧的な態度がなく、主体的に取り組むよう子どもに求めているところ。3)勝利至上主義ではなく、サッカーを好きになることが最優先されているところ。4)全員が試合を経験できるよう配慮されているところ。これらが保証されていて、なおかつ試合を経験できれば移籍を考えてもよいかと思います。ぜひこの4つのことを考えながら、息子さんと「じゃあ、どんなチームだと楽しくサッカーができるかな?」と一度話し合ってほしいと思います。■どんなスポーツでも試合が一番楽しいものそのうえで親として助言するとしたら、どんなことがあるでしょうか。お母さんがひとつ悩まれているのが、トレセンに選ばれることと、試合に出ることのどちらが息子さんにとって重要なのかということです。私の個人的な意見になりますが、サッカーに限らずどんなスポーツでも試合が一番楽しいものです。そして、試合をしたほうが上達するはずです。これはJクラブのコーチがおっしゃる通りだと思います。もし、息子さん本人がほかのクラブに移籍してもよいというならば、今すぐそうしてあげたほうがよいでしょう。■子ども自身が最優先したいのは何なのか、を聞いてみようじゃあ、県トレセンに入れなくなっていいのか。それについては、都道府県ごとにトレセンの内容や活動の頻度は異なるため、その価値について明確なことは言えません。それこそ、Jクラブのそのコーチの方に尋ねてはいかがでしょうか。加えて、息子さんに、トレセンの活動を最優先して考えたいかどうかを聞いてみましょう。それと、Jのジュニアユースを落ちた場合、「どっちを選んだら?」と悩まれているようですが、これは中学で学校部活のサッカー部に入るのかを悩まれているということでしょうか。Jのクラブ以外にジュニアユースクラブはないのでしょうか。■小学生年代でトレセンに選ばれることがその後のキャリアに大きく影響することはないただ、私はトレセンに入れる環境か、そうでないかは、あまり優先すべきファクターではないように思います。小学生時代にトレセンに選ばれることが、その子のサッカーキャリアに大きな影響を及ぼすようには思えません。トレセンに選ばれることを単なる勲章とはとらえず、そのトレセンのなかで何が学べるのか、どんな成長があるのかに注目してほしいと思います。そもそも、トレセンに選ぶ基準は、指導者によってまちまちです。多くの指導者は、体が強く大きい子、スピードがあり、足元のテクニックのある子を選ぶようです。多くの指導者が「トレセンの選考でピックアップされるのは、今すぐ試合で勝つために戦える選手が多い」と言います。なぜならば、トレセンでも、市区町村対抗といった試合があるからです。例えばドリブルが上手くて、スピードがあって、同学年の子どもを抜いて行ける子がいると、トレセンの地区大会で有利になると考えられています。私が尊敬するあるコーチは、Jリーグクラブで育成に携わった時期にさまざまなセレクションに立ち会ったそうです。そのコーチが「この子、いいね」と指摘しても、ほかのコーチとはことごとく意見が合わなかったと聞きます。■今の時点でトレセンにはそれほどこだわらなくていい(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)息子さんがどんな選手なのかは知るよしもありませんが、上述したことを考えると、そんなにトレセンにこだわらなくてもよいかと思います。例えば統計的にみても、小学生でトレセンに選ばれ、そのまま日本代表で活躍する選手はほとんどいません。周囲の評価に一喜一憂せず、息子さん自身の意思を尊重し、人間的な成長を手助けするのが親御さんの役目だと私は思います。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)。
2022年05月25日子どもがサッカーを始めると、練習や試合の送迎で車の出番が多くなります。子どもだけでなく、チームメイトを乗せたりすることもありますが、体が出来上がってない年齢の子どもたちは車酔いをする子も少なくありません。わが子は大丈夫だったけど、乗せたお友達が吐いてしまった......。掃除も大変だけど、試合前に体調が悪くなってしまいかわいそう。という経験をした親御さんもいますよね。そこで、中古車情報メディア『カーセンサー』の西村泰宏編集長に、子どもが車酔いしにくい車の種類と酔いにくい乗り方を教えてもらいましたので、お子さんの車酔いで悩んでいる方は参考にしてみてください。(取材・文:小林博子)試合当日はチームの荷物を運んだり、チームメイトを同乗させることもありますが、子どもの車酔いに悩む保護者も多いもの(写真は少年サッカーのイメージ)<<関連記事:サッカー道具や試合の荷物運び。子どものサッカーに関わる間の車選び、ファミリーカー以外におすすめの1台はこれ■親の悩みでも多く聞かれる子どもの車酔いジュニア世代の「子どもの車酔い」に悩まされている親御さんも多いと聞きます。自分の子どもがそうでなくても、チームの子どもを複数人乗せることが多くなるので、お友達が酔ってしまった。ということも。自家用車だけでなく、合宿や遠征に向かうバス利用の際も、子どもの車酔いについての悩みが寄せられることが多いもの。車内の掃除も親の悩みの一つですが、何より試合に向かう朝に具合が悪くなってしまった子がかわいそうになりますよね。いいコンディションで試合に向かわせたいものです。西村さんにお伺いすると、車酔いする主な原因は「揺れ」だと言います。いくつかある車の揺れの種類のうち、車酔いに大きく関わってくるのが「ロール」と呼ばれるものなのだそうです。ロールは重心の高さが大きく関係しており、車高が高い車では大きくなりやすいのです。つまり「ミニバンやSUVは比較的酔いやすい」と言えるそう。また、タイヤのサスペンションが緩めで揺れをふんわりと感じる車も酔いやすいと言われているのだそうです。酔いにくい順にボディタイプで並べると下記のようになります。セダン↓ワゴン↓ミニバンミニバン以外の選択肢としておすすめ、3列シートのSUVの人気車種アウトランダーPHEV(写真提供:カーセンサー)複数子どもを乗せる前提だと購入の対象にならないかもしれませんが、酔いにくいという側面から判断すると、車高の低く低重心なスポーツカーはセダンよりさらに上位に来るそうです。■乗る席、運転の仕方で酔いやすさが変わる車種だけでなく、乗車中の行動でも酔いやすさは変わります。車酔いする体質の子どもを乗せる際は、以下のことに注意してみてください。と西村さんからアドバイスをいただきました。・視界が開けた席に座る予測不可能な揺れは脳を混乱させ、車酔いを引き起こす原因の一つです。後部座席より助手席のほうが酔いにくい理由は、視界が開けていて揺れを脳が予測しやすいからと言われています。・急発進・急ブレーキを極力行わない車に乗っている際、私たちの体には慣性の法則が働きます。その際に急ブレーキを踏まれると「前後にGがかかること」になり、頭が揺られて車酔いを引き起こしやすくなります。同じ理由で「急発進」も。酔いやすい子どもを乗せる際は、いつも以上に速度の変化に気をつけて優しい運転を心がけましょう。・香りの強い芳香剤を使わないお友達が車に酔う理由には匂いの違いもある、と西村さんは言います。同乗したお友達が車に酔う理由の一つに「匂い」もあるのだそう。乗せている方は普段と同じ匂いなのでなにも感じなくても、乗せてもらった子どもは自分の家の車と違う匂いを感じることで酔いやすくなったりします。どんなに「いい香り」と思っても強い匂いの車内用フレグランスを使うのは避けた方が良いそうです。香りは人によって快・不快が違うので、「これなら大丈夫」というものはないと思っておいた方がよいでしょう。逆に、無香料タイプの消臭剤などはおすすめです。上記の「酔いにくくなる乗り方」に加え、シートカバーで座席を覆い、酔って嘔吐などをしてしまった場合への対策もしっかり講じておくことが大切です。大事な車にみんなが気持ちよく乗れるよう、ぜひ参考にしてみてくださいね。
2022年04月20日2022年4月10日、千葉県千葉市にある野球場『ZOZOマリンスタジアム』で行われた、『千葉ロッテマリーンズ』 vs 『オリックス・バファローズ』の試合。この日の試合で、『千葉ロッテマリーンズ』に所属する佐々木朗希選手が歴史的快挙を遂げました。佐々木選手は、『オリックス・バファローズ』の打者を一度も出塁させず、プロ野球史上16人目となる完全試合を達成したのです。この日の試合でも、高い技術によって、見事な投球を披露した佐々木選手。サンケイスポーツによると、13者連続奪三振を達成するだけでなく、最速は164キロをマークするなど、投手として素晴らしい活躍を見せたといいます。完全試合は、1994年に『読売ジャイアンツ』で活躍していた元プロ野球選手の槙原寛己さんが達成して以来、28年ぶり。佐々木選手は今回の快挙によって、完全試合を遂げた記念すべき16人目となりました。歴史的瞬間に立ち会った観客からは、「すごいものを見た」「これが『令和の怪物』か…!」といった声が上がっています。20歳という若さで、早くも数々の伝説を残している佐々木選手。今後も『令和の怪物』の名にふさわしい活躍を見せてくれそうです![文・構成/grape編集部]
2022年04月10日子どもがサッカーを始めると、練習や試合の送迎で車の出番が多くなります。子どもだけでなく、チームメイトを乗せたり、ボールやマーカーなど試合会場に着いてから練習で使う道具の運搬など、これまでとは違う車の使い方になります。そろそろ買い替え時期となると、そんな用途ありきで検討するご家庭も多いのではないでしょうか。そこで、中古車情報メディア『カーセンサー』の西村泰宏編集長に、サッカーをする子がいる家庭におすすめな車の選び方を伺いました。(取材・文:小林博子)子どもがサッカーを始めると、車で送迎する機会が増えることも。(写真は少年サッカーのイメージ)■荷物多め&車内が汚れる!子どもがサッカーを始めた家庭の車事情まずは、これからサッカーを本格的にする子どもがいるという方にもわかりやすいよう、サッカーファミリーの一般的なカーライフをご紹介します。中にはチームでバスを持っているクラブもあるかもしれませんが、親の車出しがあるチームは少なくありません。サッカー少年たちの荷物は、ボールと着替えを入れた大きなバックパックというケースがほとんどです。子ども1人だけを乗せるならそのバックパック程度ではありますが、試合の送迎などでチームの子どもたちを乗せる場合、それぞれがバックパックを持っていますので、荷物だけでかなりのスペースを割くことに。さらに、「試合当番」があるチームの場合は、日除けのタープや折りたためるベンチ、夏は大きなドリンクジャグなどを運ぶこともあり、荷物だけでなかなかの量になります。そして、車内が汚れがちなのも特徴です。子どもたちは泥や砂埃などで通常よりもシートや床を汚しがちですし、小学生年代だと車酔いする子も少なくないので、車酔いをする子がいる場合は車内で嘔吐されてしまうことも......。車は何人乗りが最適で、どれくらいのスペースがあれば十分か、そして汚れに強い内装は?など、考えなくてはならない項目は多岐にわたります。子どもがやりたいと言って始めたサッカーですが、大会出場などが増えるにつれ、このように車選びにも影響がでることがあるのです。■選択肢は「ミニバン」だけ?答えはNO!そんなことを考慮すると、とにかく大きくて、荷物をたくさん積めて、汚されてもいい内装の車にするのが正解なのかと思いがち。そこで候補にあがるのはミニバンやワゴンですが、車好きな親御さんの中には「いかにもファミリーカーという印象の車は嫌だ」と思う方も多いようです。そんなニーズに応えるべく、カーセンサーの西村編集長が車選びで考えるべきことをサッカーファミリーバージョンで考えた、4つの観点を教えてくれました。人と荷物をたくさん乗せるなら、アルファードのようなミニバンしか選択肢にないの!?とあきらめなくても大丈夫です(写真提供:カーセンサー)■その1.乗る年数とサッカー以外の用途は何か?まず、お子さんの年齢によって、何年間サッカー向けの車が必要かをまずは考えてみましょう。と西村さんは言います。その間、送迎は週何回あるのか、遠征などで何人も乗せる回数は年何回あるのかなども想定してみることが大事だそう。遠征で大人数を乗せるのが年数回の場合は、その時だけレンタカーを活用するのも手段のひとつ。「わざわざそれだけのために大きなミニバンを購入する必要はないのかもしれません」と西村さん。また、サッカー以外の用途についても考えてみて欲しいと西村さんは言います。特に小学生の保護者世代のご家族に多いのが、キャンプなどのアウトドアレジャーも積極的にしたいというケース。この場合も荷室が広い車を選びたくなるはずです。「サッカーのためだけ」ではない基準が増えます。車を買うときはどうしても「今の生活」に目を向けがちですが、少し先の未来を見据えることで、よりクリアに考えることができ、よい選択ができるはずです。とアドバイスをくれました。■その2.リセールバリューを重視するのか車を購入する際に「リセールバリュー(再販価値)」を考慮するかを考えるのはあたり前になっていますが、サッカーファミリーの場合は、前述したように必要な大きさや汚れの程度が通常と異なる特別な期間になることもあるので、一般的な概念とは切り離して考えてみてください。と西村さんは言います。その結果、もしかしたら「次の1台は乗り潰す(=リセールバリューは考慮しない)」という選び方になるかもしれません。その場合は、前述した「その1.」で想定した年数の間に乗れる、リーズナブルな中古車を探すという選択肢が新たに生まれますし、その年数はサッカー送迎仕様で選ぶと割り切ることができるでしょう。ちなみに、日本製のアルファード(トヨタ)やヴェルファイア(トヨタ)など大型のVIP系ミニバンやハイエース(トヨタ)などの商用車は海外での人気が高く、10万キロを超える走行距離があっても売れやすい傾向にあるのだそう。リセールを考える場合は、少々値段が高くてもこれらの海外で人気がある車を選ぶのも手です。■その3.荷物は外付けという選択肢もサッカーの荷物のことを考えると、荷室の広さを重視しがちですが、実は「外付け」という選択肢があることも知っておくと、選択の幅が広がると西村さんは教えてくれました。具体的には、車体の上に取り付ける「ルーフキャリア」などです。スノーボードやサーフィンをする人たちも良く使用していますね。外付けで荷物を積めると思うと、荷室の大きさだけに固執せずとも、必要なスペースを確保できるかもしれません。■その4.車酔い・汚れ対策は内装にこだわるより、カーシートに別売りのカバーを西村さん曰く、車内が汚れるという懸念点から、シートの材質にこだわりたいと思う方が多いかもしれませんが、欲しい車との掛け合わせでピッタリのものを見つけることは困難なためあまりおすすめではないのだそう。それよりもサッカーをする子どもがいるご家庭におすすめなのは、シートカバーを使うことなのだとか。最近では、さまざまなタイプのシートカバーが1つ1万円以下で購入できます。ひと昔前の概念だとやぼったいイメージがあるかもしれないシートカバーですが、アウトドアブームの昨今は、キャンパーやサーファー向けの汚れや水に強くておしゃれなデザインのものもたくさん販売されています。汚されたら取り外して丸洗いできますし、たとえお子さんが嘔吐したら破棄して新調しても大きな出費にはなりません。リセールバリューを考える上でも、シートカバーで覆うことで車内をきれいに保つことは有効な手段です。子どものサッカーの送迎が発生する時期は、車以外にも生活の様々なことが影響してくると思いますが、「サッカーだけ」にとらわれず、親子が快適かつに過ごせて良い思い出をたくさん作れるような車選びをしていただくための参考にしてください。
2022年04月05日