「グリコ・森永事件」をモデルにした小説「罪の声」で数々賞を受賞し、いま最も注目される小説家・塩田武士の待望の新刊「騙し絵の牙」が8月31日(木)より発売されることが決定。本作は、俳優・大泉洋を綿密に分析し尽くした作家が描く、完全「あてがき」 による新感覚小説で、カバーも大泉さんが務めている。大手出版社で雑誌編集長を務める速水輝也。誰もが彼の言動に惹かれてしまう魅力的な男だ。ある夜、上司から休刊を匂わされたことをきっかけに、速水は組織に翻弄されていく。すると次第に彼の異常なほどの“執念”が浮かび上がってきて…。斜陽の一途を辿る出版界で牙を剥いた男が、業界全体にメスを入れる!出版社は数少ない文芸のヒット作に対して、映画会社などから映像化の声がかかるのを待ち、芸能事務所は俳優に適した映像化作品が生まれるのを待つ。そんな一般的な流れに抗い、塩田作品10作目にあたる本作は出版社と作家に加え、芸能事務所そして俳優までが一体となって、発案当初から映像化をも見据え企画された異色の文芸作品だ。社会派作家・塩田氏の4年間にわたる丁寧な取材と、大泉さんに関する綿密な分析、さらには大泉さん本人からの細部にわたるアドバイスが加わったことで、読者は大泉さん個人を自然に主人公に重ねて読み進めることができる作品に仕上がっている本書。また、話し方や会話の間の取り方など、塩田氏の緻密な分析により初めて実現できた完全「あてがき」を通し、読み手は主人公に扮する大泉さんが、脳内で自ずと動き出すというかつてない感覚を体験できるという。また単行本のカバーも、主人公に扮した大泉さんが飾っており、単行本のカバーを飾るのは実はこれが初。グレーのスーツに身を包み、原稿や書類を脇に抱え編集長・速水に扮した大泉さんの影が、“騙し絵”を写し出している。装丁を担当したのは、星野源らトップアーティストのCDジャケットなどを手掛けるアートディレクター・吉田ユニ。裏表紙の別カットにも注目だ。「騙し絵の牙」の発案出発点は、雑誌「ダ・ヴィンチ」の表紙に出る際、おすすめ本を一冊選ばなければならなかったことからだと明かす大泉さん。「私は表紙撮影がある度に、『大泉エッセイ』を担当してくれていた同編集者に、いつも『お薦め本、ない?』と、聞いていたんです。映像化されて、私が主演をできるような小説をと。それを、毎回訊かれるのが、彼女はめんどくさくなったんでしょうね。『じゃあ、もう大泉さんを主人公としてイメージした本をつくります!』と言ったが始まりなんです」と話す。また中にも自身の写真が入っているそうで、「私の写真集と言っても過言ではございません!」と言い、「でもいま、何より怖れているのが、この小説が映画化されたとき、速水役が私でない、ということです」と不安も明かし、「本書帯キャッチに<最後は“大泉洋”に騙される>ってあるんだけれど、<最後は“大泉洋”が騙される>って。実それが“騙し絵の牙”だったんだと。それだけ避けたいですね」とコメントしている。著者の塩田氏は、「私のイメージを遥かに超えた『小説の核』が出来上がった」と自信を見せ、「速水輝也と大泉洋さんの『完全同期化』を目指し、私は大泉さんの映画やバラエティー番組、舞台を観て、語尾や会話の間、どのような方法で笑いを取っているのかを分析しました。作品中に速水が接待でモノマネをするシーンがありますが、それはほぼ全てが大泉さんのレパートリーです。改めて実感しました。こんな振り幅の大きい俳優はいない、と」と分析していて確信したそう。また、いまはもうできることはない、という清々しさが胸内にあると言う塩田氏は、「『物語の内容が現実とリンクしていく可能性がある』――そう気づいたとき、読者の皆さまはどんな未来予想図を描かれるでしょうか?本を愛する全ての人たちへ。さぁ、新しい扉を開いてください」とこれから本書を手に取る読者へメッセージを残している。「騙し絵の牙」は8月31日(木)より発売。(cinemacafe.net)
2017年08月22日読むのに真面目な理由も目的も不要。ただただ楽しいエッセイ集第2弾『風と共にゆとりぬ』について、著者・朝井リョウさんに話をうかがいました。トリュフチョコレートを彷彿させる色合いに金色の飾り文字が並ぶ表紙。どんな重厚な作品かと思ったら、朝井リョウさんのエッセイ集第2弾『風と共にゆとりぬ』である。「装丁はできるだけ名作っぽくしてください、ってお願いしました」本を開きページをめくってまた驚く。紙がやたらと、妙に、分厚い。「間違えて2枚めくっちゃった、って思いますよねー。名作らしくボリューム感を出したかったんです」小説家の随筆集は、新聞や雑誌に載ったものを収録する場合が多い。だが本作は書き下ろしがメイン。「新聞連載分以外は全部、雑誌に掲載した数本も含め、この本のために書きました。エッセイを書くこと自体が楽しくて幸せなんです」眼科医との攻防、作家仲間・柚木麻子さんと臨んだ結婚式の余興、レンタル彼氏との騙し合い…。軽妙な語り口に笑いつつも、自分の感情を客観視するバランスの良さに感服。日頃から自発的に書くそうで、「一日のうちにある程度枚数を書かないと、全然生産していなくていいのかという気分になってしまう。なので小説が進まなかった日は、発表するあてがなくてもエッセイを書くんです。エッセイ用の語彙は別腹のようで、言葉が湯水のように出てくる。小説で堅苦しい言葉を使うと気取った感じになりますが、エッセイだとそれが面白かったりする。使える言葉の範囲が広がるので、小説を書いている時より辞書をよく使います。それも楽しくて」帯には<ひたすら楽しいだけの読書体験をあなたに>とある。「小さい頃、本が好きなのに“読んで何か得なければ”と感じることもありました。そうしたプレッシャーが一切なく読めたのがさくらももこさんの『もものかんづめ』から始まるエッセイ三部作。どこから読んでも、5分だけ読んでも1時間読んでも面白くて、何も試されることなく文章を読む楽しさを味わえて、ありがたかった。その感謝の気持ちもあって、自分も作家になったらそういうものを出したいと思っていました。さくらさんに倣って三部作を目指します」噴き出すこと間違いなしなので人前で読むのは危険。また、278、282ページは人前で開くのも危険かも…。理由は見れば分かります。あさい・りょう作家。1989年生まれ。‘09年『桐島、部活やめるってよ』で小説すばる新人賞を受賞してデビュー。‘13年『何者』で直木賞、‘14年『世界地図の下書き』で坪田譲治文学賞受賞。※『anan』2017年8月9日号より。写真・水野昭子(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2017年08月07日お笑いタレント「ピース」として活躍する中、自身初の長編小説「火花」で153回芥川賞を受賞し、小説家としても活動する又吉直樹。この度、又吉さん待望の小説第2作「劇場」が、3月7日(火)発売の文芸誌「新潮」4月号(新潮社)にて掲載&発表されることが明らかになった。芥川賞を受賞した「火花」は、単行本253万部、文庫30万部で累計283万部の大ベストセラーとなり、また昨年は動画配信サービス「Netflix」にて林遣都、波岡一喜、門脇麦、小林薫、染谷将太ら豪華キャストを迎えドラマ化。現在も配信中となっており、さらに2月26日(日)よりNHK総合でも放送されることが決定され、いまもなお各メディアを巻き込んでの社会現象となっている。そんな異例のヒットとなった「火花」に続き、今回掲載される第2作「劇場」は、なんと“恋愛小説”。原稿用紙300枚の長編で、初の恋愛小説に挑戦する。また本作の発表に先駆け、執筆中の又吉さんに密着取材したNHKスペシャル「又吉直樹第二作への苦闘」(仮)が放送されることも決定している。NHKスペシャル「又吉直樹第二作への苦闘」(仮)は2月26日(日)21時~NHK総合にて放送予定。(cinemacafe.net)
2017年02月13日NHK連続テレビ小説で話題の『あさが来た』。ヒロイン白岡あさのモデルは大阪を拠点に活動した実業家の広岡浅子さんで、その生涯を描いた小説『土佐堀川』が原案です。激動の大阪を元気に駆け抜けたあさのような女性の姿を見ていると、毎日の仕事に対する自分のモチベーションもアップしますよね。そんな、仕事のモチベーションをアップさせてくれる女性の自伝小説3選をご紹介します。ファッションデザイナーの草わけ的存在小篠綾子さんPhoto by Amazon『糸とはさみと大阪と』は、これまたNHK連続テレビ小説『カーネーション』でも記憶の新しい、小篠綾子さんの自伝小説です。日本のファッションデザイナーの草分け的な存在であり、世界的に有名なファッションデザイナーであるコシノヒロコさん、ジュンコさん、ミチコさんの三姉妹を育てた小篠綾子さん。朝ドラでは描かれなかったエピソードもあり、軽快な文章で面白く読めます。小篠さんのバイタリティーあふれる力強い女性の生き様は、読んでいるだけで自分も力が湧いてきます。「もっと自分の思った通りに行動しよう」と背中を押してくれる、そんな物語です。女性漫画家東村アキコさんが漫画家になるまでPhoto by Amazon自伝小説は読むのが大変かもと思っている人におすすめなのがこちら。テレビドラマ化された『主に泣いてます』や実写映画化された『海月姫』の作者、東村アキコさんが描いた自伝的な漫画『かくかくしかじか』です。優しい家族や周りの人達に囲まれて肥大化された自意識で包まれていた美大を目指す主人公が、鬼のような絵画教室の先生と出会い過ごす日々が描かれた作品です。ノンフィクションの漫画ですが、時折笑え、最後には泣けてしまうストーリー展開は秀逸。美大を目指した人のみならず全ての人が自分の青春時代を振り返って共感できる内容で、作者に親近感が湧いてしまいます。特に厳しい恩師とのやりとりを見ていると、ちょっとサボっている自分も叱られているような気持ちにすらなります。成功するためには努力が必要であると改めて思え、明日のやる気に繋がる作品です。女性物理学者米沢富美子さんの自伝Photo by Amazon日本経済新聞の「私の履歴書」に掲載されていた女性物理学者・米沢富美子さんの自伝『人生は、楽しんだ者が勝ちだ 私の履歴書』。1960年代当時の日本で女性が大学に進学したり就職したりするのは相当な苦難である中、どんな困難な状況におかれても前に突き進んでいく米沢さんのパワーには感動です。時代は変わろうとも様々な困難がある社会の中で頑張っている女性に勇気を与えてくれる一冊です。理系文系関係なく読んで楽しめる本ではないでしょうか。毎日の仕事が大変だと、どうしても下がってきてしまうモチベーション。パワフルで偉大な女性の自伝小説を読んでモチベーションアップを図ってはいかがでしょうか。
2016年02月19日東京都・三軒茶屋のIID 世田谷ものづくり学校は、恋愛小説を基にアーティストが世界観を表現した「小説家とアーティストがコラボレーションしたギャラリー展」を開催する。開催日時は12月4日11:00~18:30および、12月5日10:00~17:00。入場無料。同展は、小説家とアーティストが手を組み、小説の世界観をそれぞれのアーティストがそれぞれの感性で表現したもの。同展では、忙しい生活サイクルの中で段々と顕著になる「活字離れ」の反面、成長していく情報共有ツールに対し「潜在的に精神成長を求める人たちはいるものの、ベストなツールが未だに現れていないためではないか」と分析している。その上で、活字離れを嘆くのではなく、前向きに新しい表現方法で文学を伝え、現代人の生活の中で文学とアートが寄り添う時間を増やすことを目的としているということだ。同展では、活字媒体の変革の第一回として京都を舞台とした恋愛小説を基に、海外でも実績のあるアーティストによって幾何学造形、ドローイング、グラフィックと各手法で作品が創られ、展示される。参加アーティストは、フルカワカイ(同人誌作家)、竹鼻良文(立体造形デザイナー)、tttttan(線描家)、おばまえりか(イラストレーター・WEB/グラフィックデザイナー)。また、会期中にはライブドローイングも開催予定。そのほか、今回の小説でヒントになった人物や風景、造形の数々も作家の畑として並列展示され、小説家がその場で言葉を生み出す作業場も出現するということだ。
2015年11月11日日本最大級の小説投稿サイト「小説家になろう」とマイナビBOOKSがコラボした、小説コンテスト「お仕事小説コン」の応募が6月4日にスタートした。テーマは、就職や転職をサポートしているマイナビならではの「お仕事小説」。「お仕事小説」とは、ストーリーの中に何らかの「お仕事」ネタが出てくる、もしくは主人公が何らかの「職業」に就いている小説のことだ。主人公が仕事を通して成長する姿に元気づけられたり、あまり知られていない業界の知識を得ることができたりと人気が高く、近年では「お仕事小説」をもとにしたテレビドラマや映画も多数制作され、話題沸騰中のジャンルである。この「お仕事小説コン」では、書店員や銀行員などの一般的な職業はもちろん、勇者や魔王といった架空の職業も含み、ジャンルを問わず面白い作品を幅広く募集している。2015年8月27日まで応募を受け付け、グランプリ1作品、優秀賞5作品を選出。グランプリ作品には賞金10万円、優秀賞には賞金3万円を贈呈し、両賞ともにマイナビより電子書籍として発売されるので、ぜひチャレンジしてみてはどうだろうか。『小説家になろう×マイナビBOOKSお仕事小説コン』概要●主催株式会社マイナビ、株式会社ヒナプロジェクト●募集作品・ストーリーの中に何らかの「お仕事」が出てくる作品・主人公が何らかの「職業」についている作品※ジャンル、文字数は自由(書籍化を想定し、70,000文字以上推奨)●賞金・グランプリ(1作品) 賞金10万円+マイナビにて電子書籍化・優秀賞(5作品) 賞金3万円+マイナビにて電子書籍化●応募資格不問(プロ、アマ、年齢等一切不問)●応募方法「小説家になろう」に作品を投稿して、「お仕事小説コン」とキーワード設定●応募締切2015年8月27日●結果発表2015年11月予定●審査員株式会社マイナビ出版事業本部マイナビeBooks編集部
2015年06月08日ポニーキャニオン発のレーベル「ぽにきゃんBOOKS」と、VOCALOIDをはじめとしたソーシャルシーンを牽引する「EXIT TUNES」がタッグを組んで、小説『星屑ユートピア』(判型:B6判・340ページ)を刊行する。発売日は3日で、価格は1,200円+税。小説『星屑ユートピア』は、楽曲再生数175万回超(※2015年2月現在)を誇り、VOCALOID・巡音ルカの伝説的代表曲のひとつに数えられるotetsu作詞・作曲の「星屑ユートピア」を小説化したもの。原案にotetsu、著者にせつない純愛小説、やさしい目線で描かれたエッセイで人気の作家である井上香織を迎え、本書を飾るイラストにはTVアニメ『RAILWARS!』や『異能バトルは日常系のなかで』で作画監督を担当した なつのはむとを起用。物語は登場人物たちのせつない恋愛模様や、未来に向かうために生じる摩擦、心の葛藤が描かれていくという。<小説『星屑ユートピア』あらすじ>ちょっとやんちゃな陽輝(はるき)と、ピアニストをめざす内気な姫菜(ひな)。幼馴染のふたりは同じ高校に入学したのだが。天文部の部長・星神との出逢い、そして恋の予感。さらに星神先輩のカノジョ(?)らしき、"ルカ"と呼ばれる謎の美女も現れて……。少しずつ陰りが差し始める陽輝と姫菜の友情。せつない恋の行方は……?なお、初回限定版には豪華三大特典として、otetsu新曲「Twinkle road」、声優の藤田咲、沼倉愛美が出演するSP映像、本書の電子版をダウンロードできるポニカ(ダウンロードカード)が付属。また、このほか9月に予定されている「読者様感謝イベント参加券」も封入される。(C)2015 otetsu・井上香織/ポニーキャニオン・EXIT TUNES(C) Crypton Future Media, INC. www.piapro.net piapro
2015年06月02日パピレスが運営する電子書籍投稿&編集プラットフォーム「upppi」で開催していたマリクロとの共同企画「恋愛小説&イラストコンテスト」の小説選考結果が28日、発表された。同コンテストは2段階の企画となっており、第1段階として昨年11月から、恋愛小説を想定したヒロインのキャラクターイラストの募集・選出を実施。1月28日の発表で、イラストレーター・弓槻みあさんの作品が選ばれた。そして第2段階として、このヒロインをイメージキャラクターとした恋愛小説の募集を行い、このたび結果が発表された。大賞に選出されたのは、下り絵さんの『あおい空のハート』。審査員は講評で「イラストのイメージにぴったりの、ラブストーリーと呼べる、投票1位にふさわしい作品」と絶賛し、「主人公たちの学校での日々が自然に描かれていくなかで、それぞれの性格、なかなか積極的になれない初々しい恋愛、主人公が『彼』にひかれていく過程、恋する心模様などがきちんと伝わる」「イラストの女の子がこの作中で話す姿がありありと想像できる文章」と評価した。なお、佳作には水鬼さんの『夢の中で桜は語る』が選ばれた。採用作品については、規定の賞金が支払われると共に、後日イラスト選出作家の書き下ろしイラスト付きで絵ノベル化、および『電子書店パピレス』『Renta!』での配信が予定されている。
2015年05月29日「MASTERキートン」などの漫画原作・脚本の長崎尚志による傑作ミステリー小説をWOWOWでドラマ化する連続ドラマW「闇の伴走者」。漫画家の田中圭一、脚本に「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」の佐藤大、そして監督に『僕等がいた』『ホットロード』など恋愛映画の旗手、三木孝浩が集結していることが分かった。漫画界の巨匠・阿島文哉の一周忌に50枚の未発表画稿が発見された。作画は阿島そのものだが、35年前の連続女性失踪事件を彷彿とさせる謎の多い内容だった。阿島夫人は、本当に阿島が描いた画稿なのか調べるようアジマプロの部長・小澤に指示を出した。調査会社から派遣されて来た元警察官の優希は、漫画編集者で知識が豊富な醍醐に協力を求めた。醍醐は、画稿の背景やシャドーの描き方、ペンやスクリーントーンの種類などから描かれた年代と作者を割り出していく――。漫画の虚構の世界と、リアルなドラマの世界が融合した、未だかつて観たことのない異色のクライムミステリーを描く本作。これまで『陽だまりの彼女』『アオハライド』『くちびるに歌を』を描いてきた三木監督にとっては、今回が初のミステリー作品となるが、「初めてのサスペンス・ミステリーで非常にワクワクしてます」といまから撮影が待ち遠しい様子。「幻の原稿に隠された未解決事件の謎を解くというこの一風変わったミステリーの裏側には、底の見えない深淵なる闇があり、その魅力にすっかり引き込まれてしまいました。本作を監督するにあたり、その闇に臆することなく思いきりダイブして、この作品の核を掴み取りたいと思います」と語った。脚本を担当する佐藤さんは「刺激的な原作の魅力を損なう事なく、連続ドラマにしか出来ない展開とツイストで描きます。普段、知ることの出来ない漫画家と編集者の関係や出版業界のリアルな裏側を知る知的好奇心と共に、謎へ迫っていく凛々しい優希とマニアな醍醐という凸凹コンビの誕生を楽しんでください」とコメント。本作に登場する漫画を手掛ける田中さんは、「天才マンガ家の遺した謎の原稿を担当させていただくことになりました。原作を読んでみて、『マンガ界の巨匠たちとライバル関係だったマンガ家、その天才的な筆致は…』という設定に背筋が寒くなりました。そんなの“マンガ界のモノマネ芸人”である私に描けるの?しかし、これに挑まなければマンガ家として“負け”になる、そういう気持ちで執筆することにしました」と気合十分のようだ。「映像化不可能だと思っていたのですが、本当に出来ちゃうんですね。楽しみです」と語る原作者・長崎氏も納得の最強スタッフが集結した本作。キャストは、後日発表されるとのことだ。連続ドラマW「闇の伴走者」は4月より毎週土曜夜10:00~放送予定。(text:cinemacafe.net)
2015年01月23日芝浦工業大学は、同学・情報工学科の米村俊一教授と、同学・工業経営学科の卒業生で作家の中村航氏が、小説執筆の支援ソフト「ものがたりソフト」を共同開発したことを発表した。「ものがたりソフト」は、芝浦工大と中村航氏が共同で開発を始めた小説執筆の支援ソフト。2012年から二者による共同研究がスタートし、のちに小説家・中田永一氏も参画した。開発にあたり、米村教授が認知心理学で用いられる「プロトコル解析法」という手法を用い、中村氏の発話内容を書き出して思考の規則性を整理。こうした手順により、小説家の思考をシステム化した。また、このソフトは書き手の頭の中にある断片的な思考をつないで、ひとつのあらすじを作る過程をサポートする機能を持つもので、画面に出る質問項目に沿って答えを入力していくと、小説を全く書いたことのない人でもあらすじを作ることができる仕組みとなっている。ヘルプボタンを使えば、あらかじめソフト中にデータベース化されている文言がランダムで表示され、書き手の発想を広げる役割を果たすという。なお、同ソフトは現在も改良中で、公開予定は未定。今後、インターネットとの連携により、時代背景の調査を補助する機能の追加などを検討しており、最終的には小説本体の執筆までサポート可能なものを目指していくとのことだ。ちなみに、ソフトの公開に先駆け、11月1日、同ソフトで作成したプロット(小説の設計図)をもとに執筆された、中村航氏と中田永一氏の合作青春小説「僕は小説が書けない」が発売される。
2014年10月28日1986年にフランスで発表され話題を呼び、40以上の言語に翻訳されるに至った小説『悪童日記』。日本でもベストセラーとなった同小説は、トマス・ヴィンターベアら名だたる監督による映画化の話が幾度も浮上しながら消えるなど、様々な要因が重なり、いつからかこういわれていた。“映像化不可能”と。その難題といえる映画化をハンガリーのヤーノシュ・サース監督がやり遂げた。その他の写真映画化が頓挫してきた原作への挑戦。まず、この試みに臨んだ理由を監督はこう明かす。「とにかく僕はリスキーなテーマや題材に挑むことが好きなんだ。また、両親がユダヤ人強制収容所からの生還者で。一度、戦争にきちんと向き合いたかった。『悪童日記』はそのふたつのテーマにトライできる。だから、いつか自分にチャンスが巡って来ると信じていたんだ」ハンガリー出身の亡命作家、アゴタ・クリストフの原作は舞台となる町の名も主人公の出身地も特定されていない。その中で、監督はハンガリーが舞台のハンガリー人の物語として描いた。「アゴタが自身の体験が基になっていることは明確。だから、アゴタ本人に会ったとき、僕はこう切り出した。『これはあなたの記憶と体験を綴った物語。ですから、ハンガリー語でハンガリーを舞台に描きます』と。そのとき、彼女は『そのとおりよ』といってね、すごく喜んでくれたよ」物語の主人公は第二次大戦末期、首都ブタペストから田舎町の祖母宅に疎開した双子の兄弟。ナチスの侵攻、ユダヤ人差別、貧困など、国が混迷を極める中、彼らが身を持って体験する過酷な現実が描かれる。中で鮮烈な印象を残すのが双子を演じた子役の二人。実は演技経験のない素人を起用した。「死と隣り合わせの戦時下を生き抜く兄弟を体現できる子役を現代から探し出すのは至難の業で。ハンガリーのすべての学校に電話して、奇跡的に出会ったのがアンドラーシュとラースローのジェーマント兄弟だった。実際に彼らは貧しい村の出身で。劇中の兄弟同様に肉体労働の経験もあった。ありのままでいてほしかったからあえて演技指導はしなかったよ」作品はチェコのカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭でグランプリを獲得など世界各国で高い評価を得ている。「各国ともに若い人たちがこの映画を支持してくれね。“この兄弟の境遇は他人事ではない”と現代の社会に重ねて語る若者がすごく多い。僕は受賞よりもそのことがうれしい。日本の若者にもぜひ観てもらいたいね」『悪童日記』10月3日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、シネマカリテほかにて公開取材・文・写真:水上賢治
2014年10月02日ライフィートはこのほど、小説付きレトルトカレー「華麗なる小説」を発売した。○東京の文化流行を取り入れた"小説付き"ご当地カレー同商品は、有数の古書店街・神田神保町の「カレーと本」の文化流行をパッケージした商品。味へのこだわりはもちろん、付属小説やパッケージにも気を配り、東京の新しいご当地カレーとして、お土産や贈答品として活用できるよう、また幅広い年齢層が楽しめるように開発したという。カレーは、180g。日本人になじみのあるルウカレーと、幅広い世代に人気のあるキーマカレーの良さをバランスよく配合、鶏ひき肉を多く使って旨みを引き出し、あらゆる年齢層が楽しめるように適度にスパイスを効かせた中辛味とした。また、本を読みながら食べることをイメージし、冷めてもおいしく食べられるように風味にもこだわったという。付属の小説は、夏目漱石(夢十夜)、宮沢賢治(注文の多い料理店、他1編)、芥川龍之介(羅生門、他2編)、太宰治(走れメロス、他1編)など、日本を代表する文豪の短編小説を中心に収録。いつでもどこでもすぐに読めるよう、持ち運びにも便利な、市販の文庫と同サイズとした。小説は現在4種類あり、作家/作品は今後も追加予定となっている。販売価格は、648円。現在、Webサイトほかにて購入することが可能となっている。
2014年04月09日突然ですが、官能小説を書いてみたことがありますか?おそらくですが、ありませんよね。「どんなセリフや服装、仕草よりも、女性の書く官能小説ほど男性をムラムラさせるものはありません」こう語るのは、元人気グラビアアイドルでありながら、今月『キレイになりたくて』(双葉文庫)を発売し、官能小説家デビューを果たした小阪由佳さん(写真)。今回は小阪さんに、初心者でも簡単に実践できる、官能小説の書き方を伺います。みなさんも実際に官能小説を書いて、彼氏や気になる男性に見せてみてください。突然現れたあなたの壇密顔負けの色気に、きっとカレはボルテージが一気にMAXになってしまいますよ。■1.まずはお勉強「まずは官能小説なるものが一体どういうものなのかを知らなくてはいけません。そのために、本屋さんで、官能小説を一冊選び、恥ずかしがらずに購入しましょう。一通り読めば、“官能小説ってこういうものなんだ!”という雰囲気が掴めます。どうしても手にとって購入するのが恥ずかしい場合、アマゾンなどのネットショッピングを使うのもよいかもしれませんね」これは実に大切なステップ。官能小説を書く前に、まずは読んで、カラダの奥底から溢れる性欲を感じましょう。これが官能小説を書く際のエネルギーになりますから。■2.経験を元にし過ぎない「エッチな場面を書くとなると、初心者がついやってしまいがちなのが、自分の経験を元にノンフィクション風に書いてしまうことだと思いますこれではリアリティがある反面、ファンタジーに欠け、イマイチ読んでムラムラきません」それに、変にリアリティがあると、カレに見せた場合“お前ってこんな体験したことあるんだな・・・・・・”とドン引きされてしまい兼ねませんしね。■3.想像力をフル活用する「自分の経験を頼りにしないとなると、当てにできるのは想像力のみです。是非、頭の中のムラムラ・スイッチをONにして、想像力を働かせましょう。自分がやってみたいプレイを自由に書けることが官能小説の醍醐味です」これは非常に大切なステップ。カレに読ませれば、“こいつはこんなプレイに興味があるんだな。フムフム・・・・・・ムフフ・・・・・・”と、こっそりカレに、挑戦してみたいプレイを伝えることができますよ。■4.読み返して恥ずかしいくらい大胆に書く「官能小説を書くのは、人前で水着姿になっていたグラビアアイドルの私でも、恥ずかしいものがあります。外見より内面を出す方が恥ずかしいですからね。だからといって、中途半端な表現では読んでもムラムラこないのが官能小説。喘ぎ声や体位もはっきりと大げさなくらいに描写しましょう!」これも官能小説を書くときには重要なことです。あとから読み返して恥ずかしいくらいの表現が、官能小説には丁度いいのです。■おわりにいかがでしたか?カレのために書く官能小説は、いわば少しピンクなラブレター。恥ずかしいのは百も承知で、それでも勇気を出して素直に書いてみてくださいね。きっとベッドの中でのカレに大きな変化があるはずですよ。(小川沙耶/ハウコレ)※取材協力小阪由佳85年生まれ。元グラビアアイドル。2009年にグラビア界を引退後、美容専門家に。現在は、『(株)リバイバルミーティング』の代表を務めている。オフィシャルブログ「recovery」。2013年8月『キレイになりたくて』(双葉社)で官能小説家デビュー。二十歳のグラビアアイドルの女の子が、とにかく売れたい、と無我夢中になって業界に染められ、色々な男性と交わる話が話題を呼んでいる。
2013年08月27日初の小説執筆で注目集まるモデルブームの先駆者的存在であり、現在もなお人気ファッションモデルの1人として、多岐にわたる活動を展開している押切もえ。彼女が、現役のモデルとしては初めてとなる、小説家デビューを果たすことが8日、明らかとなった。押切は、ヒット作となったエッセイ「モデル失格~幸せになるためのアティチュード~」(小学館)などの著書はすでにあるが、小説を発表するのは初めてだ。タイトルは「浅き夢見し」で、小学館より、8月7日に発売されるという。苦悩するモデルの姿には、美しさへの問いも小説は、25歳の売れないモデルを主人公とし、苦悩しながらも有名モデルへの道を目指して、夢を追い求めていく、前向きに一歩を踏み出していこうとする姿が描かれたもの。モデルとして第一線を走ってきた彼女ならではの視点から、その世界の裏側も含め、自分なりの美しさへの問い、輝き続けるとはどういうことかという生き方に関わる普遍的な問いが、小説というかたちを通して、語られるものとなるとみられる。モデル世界の小説ではあるけれど、そこから発せられるメッセージは、すべての人に向けられているものといえるだろう。押切が構想3年という年月をかけ、新たなチャレンジをみせた作品だ。自分を変えていきたい人、本当に美しく生きることを考える人にぜひ。なお、イベントなどを含む最新情報は「AneCan.TV」で、順次公開されていくとのことなので、こちらもチェックを。【参考】▼Moe mode (押切もえオフィシャルブログ)▼AneCan.TV該当ページ黄色じゃイヤよ!白くないと「男性がすごくイヤがる」女性の●●●3選(7月8日)あの大手企業が自然界の美成分をコスメに凝縮!あなたの肌も一生枯れない?(7月6日)哀しく燃え尽きる夏の恋にならないために「脇をウエットにするべき」理由 とは?(7月6日)恋のから騒ぎに「白黒はっきりつける」男性必殺アイテムとは?(6月29日)元の記事を読む
2013年07月09日ケータイ、スマホ、電子書籍端末などでも小説が読める時代になりました。文字だけで私たちを楽しませてくれる「小説」は最もお手軽で、しかし深みもあるエンターテインメントではないでしょうか。今までにあなたを感動させた小説はありますか?その小説は何でしょうか? マイナビニュース会員に聞いてみました。調査期間:2012/10/25~2012/10/28アンケート対象:マイナビニュース会員有効回答数 916件(ウェブログイン式)■あなたは今までに読んで感動した小説はありますか?はい232人25.3%いいえ684人74.7%まず「感動した小説があるか」を聞いてみました。約25%、1/4が小説で感動した経験があるとのこと。一番感動させてくれた小説は何か、またどんな点に感動したかを聞きました。結果、票が大変に割れました。一番票数を集めた小説でも6票でした。小説に関しては好みが非常に分かれるようです。代表的な意見と共にご紹介します。●『ノルウェイの森』著者:村上春樹別れようと思っていた恋人となぜかやり直してもいいかなと思ったきっかけになった。(京都府/女性/29歳)同回答が合計6人。今やノーベル文学賞の本命となっている村上春樹さんの代表作。ファンが多い作品として知られています。●『西の魔女が死んだ』著者:梨木香歩子供向けの小説ながら奥が深く、主人公とおばあちゃんの言葉が心に響くから。(栃木県/女性/28歳)同回答が合計6人。日本児童文学者協会新人賞を受賞しています。児童文学の新しい傑作です。●『塩狩峠』著者:三浦綾子利己的に生きるのではなく、利他的に生きるところ。(東京都/男性/29歳)同回答は合計5人。実際に起こった鉄道事故を元に、クリスチャンである三浦綾子さんが「自己犠牲」をテーマに描いた古典的な名作です。●『いま、会いにゆきます』著者:市川拓司純粋で温かい物語だったところ。(兵庫県/女性/27歳)同回答は合計5人。メディアミックス展開で大成功を収めた小説。映画は2004年に公開されています。●『手紙』著者:東野圭吾人間同士の温かいきずなに触れた。(東京都/男性/42歳)同回答は合計4人。毎日新聞に連載され、単行本になるや第129回直木賞候補になったベストセラー。●『容疑者Xの献身』著者:東野圭吾見返りを求めない、こんなに深い愛があるものかと感動しました。(広島県/女性/29歳)同回答は合計4人。ミステリー小説です。映画化もされて大々的に宣伝されたので、読んでなくても知っている人が多いのでは。それにしても東野圭吾さんの小説は人気がありますね。●『白夜行』著者:東野圭吾読んだ後の余韻を残すうまさ。(大阪府/女性/30歳)同回答は合計4人。これまたベストセラーになった東野圭吾さんのミステリー。2006年にはテレビドラマ化。2011年には映画化されました。●『恋空』著者:美嘉まだ若い自分が好きな人をおいて死んでしまう。(富山県/男性/31歳)同回答は合計3人。元はケータイ小説で、美嘉さんのデビュー作でもあります。2006年に書籍化されてベストセラーになりました。●『星の王子様』著者:アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ読んでいて純粋な気持ちになった。(大阪府/女性/23歳)同回答は合計3人。児童文学史に残る永遠の名作。大人になってから読むと、また別の感動が心に広がります。●『アルジャーノンに花束を』著者:ダニエル・キイス人間にとっての幸せってなんだろうと考えさせられるところ。(栃木県/男性/39歳)同回答は合計3人。SF小説の傑作です。映画化された際の邦題『まごころを君に』は、あの『エヴァンゲリオン』に引用されています。●『罪と罰』著者:フョードル・ドストエフスキー主人公が殺人を犯してもその男を愛した女が彼の送られるシベリアまでついて行って彼をずっと見守っていたところ。(熊本県/男性/29歳)同回答は合計3人。長いことでも有名なロシア文学の古典です。ロシア文学は登場人物の名前を覚えるのも大変なんです。長いので。●『おおつごもり』著者:樋口一葉人間の業を見事に描いているから。それも24歳の女性の作品であるから。(東京都/男性/45歳)樋口一葉と言えば今や5千円札の人。彼女は夭折しましたが偉大な文学者でした。今読んでみるとみずみずしい筆致に驚かされます。●宮部みゆきさんの小説全般人物描写の匠(たくみ)さと、目に浮かぶような情景描写のテクニックには嫉妬(しっと)心さえ浮かびます。(東京都/男性/37歳)宮部みゆき作品で「これ」という票をたくさん集めたものは残念ながらありませんでした。しかし、「全部好き」という回答がこの人以外にも。さすがベストセラー作家ですね。熱い支持者がいます。この記事を読んでいるあなたが感動した小説は何でしょうか?(高橋モータース@dcp)
2013年01月13日推理小説を執筆する際に、守らないといけないルールというのが実は存在します。「推理小説が大好き!」という人なら知っていると思いますが、、たまに読む人やあまり読まないという人はもしかするとそんなのがあることさえ知らないかもしれません。今回は、そんな推理小説のルールを紹介します。とはいえ、そのルールを絶対に守らないといけない!という訳ではありませんし、推理小説を書く際の入門的なものだと考えてもらえると幸いです。まずは『ノックスの十戒』から紹介しましょう。ノックスの十戒とは、1928年に推理小説家のロナルド・ノックスが発表した推理小説を書く際の入門的なルールです。1.犯人は物語の最初の部分から登場している人物でなくてはならない。いきなり最終局面で「実は私が真犯人なのだフハハハハ!」などといきなり知らない人物が登場したらダメですもんね(笑)。2.探偵方法に超自然的な能力を用いてはいけない。時間を巻き戻せたりしちゃうと簡単に犯人が分かってしまいますし……。3.犯行現場に秘密の抜け穴や秘密の通路が2つ以上あってはならない。1つだけあるのはOKだそうです。4.未発見の毒薬や難解な科学的説明が必要になるような器具を用いてはならない。読者が推理できないような空想上の薬物や、ドラえもんの秘密道具などのトンでもアイテムが登場してはいけない、ということですね。5.中国人を登場させてはならないこのルールが発表された当時は、中国人は神秘的、または超常現象的な力が使えると考えられていたそうです。6.偶然や第六感によって事件を解決してはならない。適当に犯人の名前を挙げたら正解でした、めでたしめでたし。という展開は確かに寒いですよね(笑)。7.探偵自身が犯人であってはならない。そりゃそうだ(笑)。ただし、探偵が事件を解決に導くために犯人を装うというのはアリだとか。8.事件を読者がわからないような手がかりによって解決してはならない。読者に推理できる証拠はすべて明らかにしないといけない、ということでしょうね。9.ワトソン役(物語の語り部)は自分の判断や見解をすべて読者に伝えないといけない。これも9番目と同じく、推理の判断材料をちゃんと提示せよ、ということのようです。10.双子の登場人物、または一人二役の変装などは予め読者に知らされなければならない。出すならちゃんと読者にも知らせろ、とそういうことですね。ノックスの十戒は以上です。次に、ノックスの十戒と並んで有名な推理小説を書く際のルールが、『ヴァン・ダインの二十則』です。これは推理作家のS・S・ヴァン=ダインがノックスの十戒と同じ1928年に発表したもの。少し長いですが、おつき合いください。1.事件の謎を解く手がかりは明白に記述されていなくてはならない。読者に謎の手がかりなどはあってはいけないということで。これはノックスの十戒と同じですね。2.作中の人物が仕掛けるトリック以外に、作者が読者を騙すような記述をしてはいけない。読者のミスリードを誘ういわゆる「叙述トリック」というものですが、ヴァン・ダインはこの叙述トリックがあまり好ましくなかったそうで、こういったルールを入れたそうです。3.余計なラブロマンスを付け加えて知的な物語の展開を混乱させてはいけない。ミステリーの課題は、犯人を正義の庭に引き出すことであり、恋に悩む男女を結婚の祭壇に導くことではない。確かに推理小説を読んでいるつもりがいつの間にか恋愛小説になってたら驚きますよね(笑)。4.探偵自身や捜査員の1人を突然犯人にしてはいけない。これは恥知らずのペテンである。これはノックスの十戒にもありましたよね。5.犯人は論理的な推理によってしなければならない。偶然や暗合、動機のない自供によって解決してはいけない。これもノックスの十戒にありました。テキトーな推理で偶然犯人が分かる、などは持っての他ということですね。6.探偵小説には必ず探偵役が登場して、その人物の捜査と一貫した推理によって事件を解決しなければならない。誰も推理しなかったら物語は進みません。非常に基本的なことですね。7.長編推理小説には死体が絶対に必要である。殺人より軽い犯罪では読者の興味を持続できない。殺人と窃盗で比べると、解決することの重要性などが違ってきますね。8.占いとか心霊術、読心術などで犯罪の真相を告げてはならない。ちゃんと自分の頭で推理しろってことでしょうか。9.探偵役は1人が望ましい。1つの事件に複数の探偵が協力し合って解決するのは推理の脈絡を分断するばかりでなく、読者に対して公平を欠く。それはまるで読者をリレーチームと競争させるようなものである。読んでいる人も1人の探偵の目線の方が読みやすいかもしれませんね。10.犯人は物語の中で重要な役を演ずる人物でなくてはならない。最後の章でひょっこり登場した人物に罪を着せるのは、その作者の無能を告白するようなものである。仰るとおりで(笑)。11.端役の使用人等を犯人にするのは安易な解決策である。その程度の人物が犯す犯罪ならわざわざ本に書くほどの事はない。要するに犯人役にはちゃんとした重要性を持たせろということですね。12.作中にいくつもの殺人事件があっても、真の犯人は1人でなければならない。ただし端役の共犯者がいてもよい。真犯人が何人もいるのは推理する読者も困惑してしまうかもしれませんね。でもグループ犯などもありますし、今はこの限りではないのでしょうね。13.冒険小説やスパイ小説なら構わないが、探偵小説では秘密結社やマフィアなどの組織に属する人物を犯人にしてはいけない。非合法な組織の保護を受けられるのでアンフェアである。あまりにも強大な力がバックにあると、探偵側が手も足も出なくなっちゃうからでしょうか。14.殺人の方法と、それを探偵する手段は合理的かつ科学的であること。空想科学的であってはいけない。毒殺の場合なら、未知の毒物を使ってはいけない。これもノックスの十戒にありましたね。15.事件の真相を説く手がかりは、最後の章で探偵が犯人を指摘する前に、作者がスポーツマンシップと誠実さをもって、全て読者に提示しておかなければならない。ノックスの十戒にあるように、推理の手がかりはちゃんと読者に明かしなさい、ということです。16.よけいな情景描写や、わき道にそれた文学的な饒舌は省くべきである。物語の筋と関係ない余計なパートは入れるな、ということのようです。17.プロの犯罪者を犯人にするのは避けること。それらは警察が日頃取り扱う仕事である。真に魅力ある犯罪はアマチュアによって行われる。13番目と同じように、探偵役が手も足も出ないような人物を犯人にしてはいけない、ということですね。18.事件の結末を事故死とか自殺で片付けてはいけない。こんな結末は読者をペテンにかけるようなものだ。そんなオチだったら読者は「今までの推理はなんだったんだ!?」と唖然となりますね。19.犯罪の動機は個人的なものがよい。国際的な陰謀とか政治的な動機はスパイ小説に属する。要するに、探偵役の手に負える範囲で……ということですね。20.自尊心のある作家なら、次のような手法は避けるべきである。これらは既に使い古されたものである。・犯行現場に残されたタバコの吸殻と、容疑者が吸っているタバコを比べて犯人を決める方法・インチキな降霊術で犯人を脅して自供させる・指紋の偽造トリック・替え玉によるアリバイ工作・番犬が吠えなかったので犯人はその犬に馴染みのあるものだったとわかる・双子の替え玉トリック・皮下注射や即死する毒薬の使用・警官が踏み込んだ後での密室殺人・言葉の連想テストで犯人を指摘すること・土壇場で探偵があっさり暗号を解読して、事件の謎を解く方法簡単に言うと、ありきたりなものは使うな、ということのようで(笑)。以上が、推理小説を書く際のルールと呼ばれているものです。1928年に発表されたものですので、今では「ちょっと意味がわからないです」と思ってしまうものもありますね。ただ、本当に基本的なルールも含まれているので、「推理小説を書いてみたい!」という人は、まずこれらを参考にしてみるのもいいかもしれませんね。(貫井康徳@dcp)
2012年11月17日ダグ・リーマン監督が、推理小説家オレン・スタインハウアー原作の「ツーリスト 沈みゆく帝国のスパイ」(ハヤカワ文庫NV刊)を映画化することとなった。マット・デイモン主演の『ボーン』シリーズや『Mr.&Mrs.スミス』などを手がけてきたヒットメーカーのリーマン監督だが、今回の同スパイ小説の映画化で監督とプロデューサーを兼任する契約を結んだという。本作は、CIA諜報員ミロ・ウィーバーが世界的な犯罪に挑む中で、雇われ暗殺者を追っていくうちに深みに陥ってしまうというスリラー作品だ。同原作の原題が、ジョニー・デップ、アンジェリーナ・ジョリー共演作『ツーリスト』の原題と同じ「ザ・ツーリスト」であることから、映画化では別のタイトルが採用されることになる模様。リーマン監督は現在、日本のライトノベルを原作に、トム・クルーズ主演で贈る『All You Need Is Kill』(原題)の撮影中だ。
2012年09月12日面白いミステリー小説って読んでいるとグングン引き込まれていきますよね。ストーリーや謎解きの魅力ももちろんですが、やはりそこには人を惹き付ける“文章の魅力”があると思わざるをえません。そこで、映画化も決定した『チャイルド44』 (新潮文庫) を始め、これまで数々のミステリー小説を翻訳してきた翻訳家の田口俊樹さんに、優れた文章の書き方やミステリー小説の魅力についてお話を伺いました。ちなみに田口さんは今年もっとも面白かった海外のミステリー小説を決める「翻訳ミステリー大賞」を創設した方です。--いい文章ってなんですかね?「簡単に言えるのは、簡潔で明解であることです。自分が言わんとすることが相手にきちんと伝わる文章が美しいと思います。難解な文章の持つ美しさもありますが、分かりにくいものを伝えるというのであれば、分かりにくさをきちんと伝える明解さが必要です。良くないのは自分の考えていることがハッキリしないままに綴られた不明瞭な文章です。とはいっても、いきなり全体像や意見をハッキリさせた状態から書き始めるというのは、むしろ稀なことで、書きながら考えをコンクリートする、その過程で何かを発見する、というのが本来のプロセスですが」--翻訳するときもそのあたりを考えますか?「そうですね。ただ、翻訳に限って言えば100%を伝えようと思ったらうまくいかない。それを文章に起こせば当然込み入ったものになる。言葉選びこそ翻訳者のセンス。その積み重ねで一冊の本ができます。また、翻訳者の仕事としておもしろいのは、自分では絶対こんな文は書けないという文が結果的に書けてしまうというところにあります」--気がついたらすごいものになってた、みたいな?「もちろん原作があるからこそできることなのですが、日本語になれば自分のものという気持ちはあります。外国の作家ならではのスケールの大きさはなかなか日本人の感覚では描けなかったりするものです。そこがミステリー小説を翻訳する醍醐味です。今年から書店員が選考する『本屋大賞』に対抗するような形で、翻訳者が選ぶ『翻訳ミステリー大賞』というものを始めました。今年はスウェーデンの新人作家、スティーグ・ラーソンの『ミレニアム』(早川書房)や、ドン・ウィンズロウの『犬の力』(角川文庫)など、重厚な世界観を描いた優れた作品が多かったと思います。翻訳ミステリー小説をもっとたくさんの人に読んでもらいたいですね」--ありがとうございました。田口さんの訳書はこれまで、『夢で殺した少女』 (ヴィレッジブックス) 、『マンハッタン物語』(二見書房)、『消せない炎』(理論社)、『きみの遠い故郷へ』(文藝春秋)など多数。今注目の「翻訳ミステリー大賞」の選考作と合わせてチェックしておきたいですね。(根岸達朗/プレスラボ)【関連リンク】翻訳学校 フェロー・アカデミー田口さんが講師をされている翻訳の専門学校です先輩の体験談で分かるフェロー・アカデミー実際に受講した先輩の体験談やこぼれ話が満載です読書の秋だけど……。あなたが読めなかった分厚い本は?気持ちだけが先行してしまうことはありますよね
2009年12月17日