社会保険とは、個人ひとりでは対応できないリスクに備えて、対象になる国民全員から保険料を集めて、もしもの時にお金を給付するものです。民間の保険と比べて、次のような特徴がみられます。保険料だけでなく、国が負担するお金で運営本人の意思に関わりなく加入義務がある健康状況によって保険料が変わらない今回は自営業からアルバイトまで、どんな社会保険制度の対象になるか、タイプ別に確認します。社会保険には5つの分野がある日本の社会保険は、次の5分野があります。分野ごとにカバーしているリスクがあります。収入が減ってしまうことに対して「年金」「手当金」が支給されたり、治療や介護サービスを利用する時の本人負担が軽くなったりします。社会保険制度を一覧でおさらいどの制度の対象になるかは「雇われているかどうか」「職業は」「年齢は」「住んでいるところは」などで区分されています。雇われて働いている人が対象になる保険は被用者保険と呼ばれます。厚生年金保険や、船員保険などが被用者保険です。被用者保険の対象にならない、地域の住民を対象にした保険は地域保健と呼ばれます。国民健康保険、後期高齢者医療保険などが地域保健です。タイプ別:どの社会保険に加入するか社会保険には5つの分野がありますが、5つすべてに加入するわけではありません。次の働き方を例に挙げました。A~Eの例を見ながら、どんな場合に、どの社会保険制度に加入するのかチェックしましょう。会社員専業主婦学生バイト個人事業主法人の社長A.会社員Aさん(45歳)は、正社員として株式会社に勤めています。会社員として就職すると、社会保険の手続きはほとんど会社任せで完結します。そのため、自分がどんな保険の対象になっているか、把握していない人も多いでしょう。こうして見ると、社会保険で幅広いリスクをカバーされていることは会社勤めのメリットとも感じられます。B.専業主婦Aさんの妻、Bさん(45歳)は専業主婦です。Aさんの配偶者として、国民年金の「第3号被保険者」になります。第3号被保険者は、国民年金の保険料を納める必要はありません。第3号被保険者になるのは、20歳以上60歳未満の期間です。仕事に就いていないので、雇用保険や労災保険には加入していません。C.学生アルバイトAさんの子供、高校生のCさん(16歳)はアルバイトをしています。学生は、原則として雇用保険には加入しません。労災保険は当然に対象になります(一部の農林水産業を除く)。Cさんはまだ年金保険には加入していませんが、もしも高校卒業後18歳で会社員になれば、その時から厚生年金保険に加入します。いっぽう大学に進学する場合は、20歳になった時に国民年金保険に加入します。20歳前に厚生年金保険の適用がない事業所に就職した場合は、20歳になったら国民年金に加入する必要があります。D.個人事業主Dさん(50歳)は、個人事業を営んでいます。会社員のAさんと違い、加入の手続きはどれも自分でする必要があります。手続きを忘れていると、無保険や保険料滞納になってしまうかもしれません。国民健康保険は疾病の原因が業務災害かを問わないので、仕事で負ったケガでも、国民健康保険を使って治療を受けることができます。労災保険は、希望すれば特別に加入できる制度があります。E.法人の社長Eさん(30歳)は、株式会社を立ち上げて、代表取締役に就きました。同じように1人で事業をしていても、個人事業とするか法人とするかで、社会保険の中身は大きく違ってきます。会社の代表者・個人事業主はどちらも雇用保険に加入できません。役員の場合は、労働者性があれば、雇用保険に加入できることもあります。協会?組合?国保組合?違いを確認社会保険の5分野の中で、特にたくさんの制度に分かれているのが医療保険です。その医療保険を実施している組織には、とても名前の似通ったものがあります。全国健康保険協会健康保険組合国民健康保険(都道府県)国民健康保険組合「健康保険組合」と「国民健康保険組合」は名前はよく似ていますが、全く違う制度です。混同しがちな両者について、違いを押さえておきましょう。[adsense_middle]1.雇われている人の保険「協会けんぽ」「健保組合」会社員など雇われて働く人を対象にした健康保険。健康保険の事業を行っている組織は、大きく2つに分けられます。全国健康保険協会(協会けんぽ)健康保険組合全国で幅広く事業をする「協会けんぽ」全国健康保険協会は「協会けんぽ」とも呼ばれます。健康保険が適用になる会社のうち”健康保険組合がない会社”が対象です。中小企業など、社員が1人の会社でも加入することができます。厚生労働省の「平成29年度健康保険・船員保険事業状況報告」によると(以下同じ)、被扶養者も含めて、約3,800万人が加入しています。より会社に密着したサービス「健康保険組合」主に大企業では、企業ごとに組織される「健康保険組合」があります。約1,400の組合があります。解散や合併で、健康保険組合の数は減少傾向です。被扶養者も含めて、約2,900万人が加入しています。法律で決まっている最低限の給付のほか、組合が独自で給付を手厚くすることができます。従業員の健康意識は組合の財政に繋がるので、禁煙プログラム、メタボ解消キャンペーンなど、積極的に健康増進に取り組む組合も多くあります。2.健康保険の対象にならない人は「国保」「国保組合」健康保険・船員保険・共済保険などの対象にならない場合は、国民健康保険の対象になります。健康保険との違いは、家族を扶養にする制度が無いこと、退職後の任意継続が無いこと、傷病手当金が(基本的に)無いことなどが挙げられます。都道府県と市区町村が行う国民健康保険国民健康保険組合原則は”都道府県が行う国民健康保険(国保)”の対象に原則として、都道府県の区域内に住所があれば、都道府県が行う国民健康保険の対象になります。その都道府県の中にある市区町村は、都道府県と一緒に運営を行います。各々役割分担があり、加入している人の直接の窓口は市区町村です。国保組合もある特定の職業に就いている個人事業主や、個人事業の従業員を対象に、「国民健康保険組合」が組織されている場合もあります。全国に約160の組合があります。医師・歯科医師薬剤師建設・土木税理士美容師など全国どこでも加入できる組合と、職業も地域も限定されている組合があります。社会保険の種類に関するまとめ5分野の社会保険について、仕事のタイプ別に加入する制度をチェックしました。20歳になったとき、40歳になったとき、就職、退職…など、ライフステージによって加入する社会保険は変わります。せっかく持っている保障なので、イザという時に使えるように把握しておきましょう。
2019年12月04日失業保険とは、簡単にいうと「雇用保険に加入する働き方をしていた人が、離職した場合などに受給できる最低限の生活費」です。もちろん、基本的には受け取る権利のあるお金ですので、どなたでも平等にその権利はあります。しかし、該当事由を満たしていない場合や、違反行為に抵触しながら気づいていない場合もあり、その際は不正受給とみなされ罰則やペナルティを課されることになります。今回はこの「不正受給」について解説していきます。失業保険とは何らかの理由により(会社都合・自己都合)離職した場合に、受け取る権利の発生するお金のことを、一般的に「失業保険」や「失業手当」と呼びます。正式には、失業保険ではなく「雇用保険」と言い、失業手当ではなく「基本手当」という名称です。ここからは、雇用保険と基本手当について概要を解説します。管轄はハローワーク雇用保険の申請の手続きに関して管轄はハローワークです。ヤングハローワークや、マザーズハローワークなどの簡易的な機能のみの施設ではなく、お住まいの地域の要となっているハローワークにて手続きをしなければなりません。前の勤め先を退職された際に、雇用保険被保険者証などの書類を一式受け取ると思いますので、それらを持参して手続きを行うことになります。雇用保険について雇用保険で受給できるお金には、以下のものがあります。基本手当(いわゆる失業手当や失業保険と呼ばれるもの)就職促進給付(再就職手当など)教育訓練給付(一般教育訓練給付金など)雇用継続給付(高年齢雇用継続給付など)基本手当について雇用保険で受給できる権利のあるお金のうち、最も代表的なものは「基本手当」です。これは「失業保険」や「失業手当」と一般的に呼ばれているもので、離職後に次の仕事が決まるまでの間、所定の要件を満たすと「生活費」としてもらえる給付金です。ちなみに、雇用保険における基本手当は所得とはみなされず、非課税扱いとなります。基本手当給付の内容と流れ雇用保険における基本手当を受給するためには、一定の要件を満たし、所定の手続きを済ませる必要があります。ここからは、その一連の流れについてそれぞれ解説していきます。手続きの方法離職(退職)した場合、退職時にこれまで勤めていた会社から「雇用保険被保険者証」などの書類を受け取ります。これは、在職時に雇用保険に加入していた証明書となり、基本的には離職時に必ず受け取ることになります。これらの書類を持って管轄のハローワークへ行き、離職票に記入し基本手当を受給するための準備に入ります。受給開始までの流れ受給開始までには、一定の期間と手続きを踏む必要があります。一般的には以下の流れになります。離職受給資格決定受給説明会への参加(日程は予め決まっています)失業の認定を受けるまでの期間の求職活動失業の認定(4週に1度は活動状況をチェックされます)受給開始受給開始までの期間について雇用保険における基本手当の受給が実際に開始されるまでには、前職を離職した理由によって期間の差があります。離職理由は大きく二つで「会社都合」と「自己都合」に分けられます。会社都合とは、勤務先の倒産などによるやむを得ない離職の場合です。自己都合とは、転職を希望して退職した場合など働いている側の意志で退職した場合です。不正受給は詐欺とても残念なことに、本来であれば「働きたい人を応援するお金」である雇用保険に関して、不正受給をする(しようとする)人が少なからずいることも確かです。手当の不正受給は必ずばれます。不正受給は雇用保険法で厳しく罰せられます。これらの中でも特に悪質な場合は、詐欺罪として刑事告訴され処罰を受けることもあります。不正受給がばれた場合のペナルティについては以下の項目で詳しく紹介します。[adsense_middle]該当した場合のペナルティ不正受給が発覚した場合、その日以降の基本手当は打ち切りとなります。さらに、これまで受け取った給付金の全額返還を命じられます。この返還命令の金額とは別に、ペナルティとして「不正受給の額の約2倍の額以下の金額」を納めなければなりません。これを、いわゆる「3倍返し」と呼び、不正受給がいかに厳罰に処されるかおわかりいただけるかと思います。さらに、納付命令分の全額及び不正受給した金額の返還が全て終わるまでの間、年に5%の延滞金が発生します。また、命令に従わず放置していると財産の差し押さえもあります。これまでの受給分を全額返還+不正受給額の約2倍以下のペナルティ納付=3倍返し不正は必ず発覚するハローワークでは、このような不正が行われないように、様々な調べ方を用いて徹底して不正を取り締まっています。不正受給を見逃してしまうことは、正しく受給している方たちとの不均等を生むことにもなります。正しく受給している方たちへ迷惑をかけないためにも、ハローワークでは常に取り締まりを強化しています。具体的な調査方法不正を取り締まる為の具体的な調査方法には、一般的に以下のようなものがあります。ただし、これら一つだけの調査で発覚するのではなく、二重、三重での調査を行っているため、小さな不正でも見逃さないよう徹底されています。勤務先の帳簿や各種書類による記録照合直接、雇用保険被保険者を訪ね事情を訊く直接、会社などを訪問し会社側から事情を訊く一般の方からの通報(電話、メール、投書など)会社側への調査協力依頼雇用保険被保険者による不正だけではなく、その不正に協力した雇い主(会社側)も厳しく罰せられます。不正受給の主な動機と内容不正受給には、二つのパターンが考えられます。ひとつは「わかっていてバレないだろうと不正をする」場合、もうひとつは「勘違いから結果的に不正受給をしたことになる」場合です。前者の場合は本人の意思で不正をしているので罰せられるべきですが、少なくとも後者の「勘違い」や「認識不足」の結果として不正をしていた場合に関しては、正しい知識をもって未然に防ぐことが出来ます。また、判断に悩む場合は必ずハローワークに相談しましょう。不正受給の主な動機不正受給をしてしまった方の動機として、よくあるものは以下のものがあります。これらは全て不正受給に該当します。離職後に自営業を始めたが開業届も未提出だからバレないと思った超短期のアルバイトで給与手渡しの為バレないと思った知り合いの仕事を少し手伝った際の謝礼程度は不正にならないと思った知人を手伝っただけで交通費しか受け取っていないから良いと思った居住地ではない他県での短期アルバイトだからバレないと思った不正受給の事例具体的な不正受給の事例として、よくあるものを以下に紹介します。「こんなことも不正受給にあたるのか」と感じるような事例も中にはあるかもしれませんが、万が一不正受給をしてしまうと認識の甘さでは済まされませんのでお気を付けください。退職後に再就職するつもりがないにも関わらず、求職活動を行ったようにみせかけ基本手当を満額受給するアルバイト等賃金の発生する行為をしたにも関わらず、失業認定申告書に記載しなかった前職の離職後、自営業など会社員以外の働き方を始めたにもかかわらず偽りの申請をしたそもそも求職活動を行っていないのに「失業認定申告書」に偽りの内容を記載した「失業認定申告書」とは失業認定申告書とは、離職に伴う手続きをハローワークで行った後、受給説明会に参加することで発行されます。受給説明会は、簡単に言うと雇用保険制度についての講習会です。ここで正しい基本手当の受給について等を学びます。この失業認定申告書は、失業認定に必要な項目が記載されており、正しい求職活動をしているにもかかわらず、働く意欲があるのになかなか仕事が見つからない状態であることの証明になります。一カ月に一度程度、失業の認定のためにハローワークに出向く必要がありますが、その際にはこの申告書と「雇用保険受給資格者証」などを持参しなければなりません。意図しない不正受給を防ぐためにはここまでで、雇用保険についての基礎知識や手続きの流れ、どのようにして受給するか等についてお解りいただけたと思います。不正受給は厳しく罰せられますから絶対にしてはいけません。しかし、上にまとめた事例の中で、ひょっとしたら「これくらいでも不正に当たるのか」と思う項目があった方もいらっしゃるかもしれません。また、不正と気付かずに抵触する行為を行おうとしていた場合もあるかもしれません。不正受給を防ぐために大切なことは、良いか良くないかをご自身で判断するのではなく、実際の状況に関して正しい内容をハローワークへの提出書類に記しましょう。離職後の働き方に関することであったり、実際に受給するまでの間や、基本手当受給前後のアルバイトなどに関しても申告すべき内容になります。偽りなく申告することで、自分の身を自分で守ることにも繋がります。不正受給を防ぐためには、自己判断は絶対にせずハローワークに正しい内容を申告しましょう。失業保険・不正受給に関するまとめいかがでしたか。ご本人の意志で不正受給をすることはもちろん絶対にやってはいけない行為ですが、ご本人の知らない間に違反行為に抵触している場合も考えられます。失業保険を受給することになった際には最低限の知識をもって、普段から気を付けておくことをオススメします。不正受給の罰則は厳しく、その不正は必ず露呈します。最も重い罰として、詐欺罪でも刑事告訴もあり得ますので「ばれないだろう」という安易な気持ちで不正に手を染めることは絶対にやめましょう。不正受給に抵触してしまうのではないか?などの判断に悩む場合は、早めにハローワークに相談しましょう。
2019年12月04日仕事を退職したら、それまで使っていた健康保険証はどうなるのでしょうか。社会保険のうち「健康保険」には、退職後も加入し続けられる”任意継続”の制度があります。退職したあと高額になりがちな保険料を抑えられるメリットがあります。任意継続以外にどんな選択肢があるのかも知っておきましょう。基本:退職したら、翌日から健康保険は使えない勤務先を退職する場合、翌日から健康保険の給付を受ける資格は無くなります。健康保険証は会社の指示に従って、速やかに返却しましょう。退職日までに会社へ返却できるとよいでしょう。保険証を持っていても、使ったらダメ!医療機関で提示を求められなかったからといって、うっかり退職の翌日以降に、在職時の保険証の情報のまま治療を受けたらどうなるのでしょうか。もし自己負担3割で治療を受けた場合、後から治療費の7割を返還しなければいけません。返還の手続きには手間もかかります。被扶養者になっている家族の保険証も、退職日の翌日からは使用できません。家族が持っている保険証も含めて、返却漏れがないようにしましょう。例外:資格喪失後も受け取れる給付がある実は、退職して健康保険証を返却した後でも、一定の期間に限り受け取れる給付があります。いずれも、給付額は在職時と変わりません。傷病手当金・出産手当金の継続給付(収入の約3分の2)退職日に傷病手当金を受けていて、かつ退職日まで引き続き1年以上被保険者だった場合は、支給開始日から最大1年6カ月まで引き続き傷病手当金を受け取ることができます。出産手当金も同様です。退職日に出産手当金を受けていて、かつ退職日まで引き続き1年以上被保険者だった場合は、出産の日後56日まで出産手当金を受け取ることができます。埋葬費、埋葬料(最大5万円)退職した本人が、退職後3カ月以内に亡くなった場合、健康保険から「埋葬料」もしくは「埋葬費」が支給されます。金額は最大で5万円です。そのほかにも、退職した後の傷病手当金を受けている人や、傷病手当金の支給が終わってから3カ月以内に死亡した人も受給できます。退職後の出産育児一時金(1児につき42万円)退職した日の翌日から6カ月以内に、被保険者だった本人が出産した場合は、出産育児一時金が支給されます。一児につき原則42万円です。ただし、退職日まで引き続き1年以上被保険者であった場合に限ります。なお、退職したあと家族の健康保険の扶養になった場合は、家族の健康保険からの「家族出産育児一時金」を受給する資格も発生します。重ねて受給はできないため、どちらかを選んで受給します。退職後も医療保険に加入しなければいけない期間をあけずに再就職し、再就職先で健康保険に加入できる場合は、続けて健康保険の被保険者になるため、医療保険の心配はないでしょう。もし次のように健康保険に加入できない事情がある場合は、失業中にも何かしらの公的医療保険に入らなければいけません。再就職するまで期間がある再就職先が決まっていない再就職するが、就職先で健康保険に加入できないたとえ病院にかかる予定がなくても、公的医療保険には必ず加入しなければいけません。加入していなかったことが後から分かった場合は、保険料をさかのぼって請求されることもあります。健康保険が途切れる場合、3つの選択肢では退職後の公的医療保険には、どんな選択肢があるでしょうか。家族の健康保険の被扶養者になる前の会社で入っていた健康保険を任意継続する市区町村で国民健康保険(国保)に加入する続けて健康保険に加入できない場合は、この「1→2→3」の順に検討してみましょう。家族の被扶養者に健康保険の被扶養者が増えても、被保険者が負担する保険料は増えません。まずは被扶養者になれるかどうか検討してみましょう。国保・任意継続保険料などを比較保険料や給付など、両制度を比較してみましょう。国民健康保険の保険料は、市区町村のHPなどで試算もできます。個別に計算してみないと判断できませんが、退職直後は国民健康保険のほうが保険料が高くなるケースが多いようです。国民健康保険では、前年の所得額や、家族の人数に応じて保険料を計算します。国民健康保険(国保)と任意継続の保険料、家族の保険料も含めどちらが安くなるか計算してみましょう。倒産や解雇による離職は、国保料が安くなることも倒産・解雇・雇止めなどの理由で退職した場合には、国民健康保険料の軽減を受けられることがあります。お住いの市区町村に相談してみましょう。任意継続被保険者とはでは、3つの選択肢から「任意継続被保険者になる」ことを選んだ場合、受けられる給付や支払う保険料はどうなるでしょうか。任意継続とは文字通り、健康保険に加入する資格を”任意”に”継続”できる制度です。[adsense_middle]任意継続の給付内容傷病手当金と出産手当金を除いて、被保険者だった時と同じ給付が受けられます。負担割合や給付額も、被保険者であるときと変わりません。配偶者・子・親など、被扶養者の治療についても引き続き給付が受けられます。任意継続被保険者の保険料従業員として勤めている間は、健康保険料のうち2分の1が給与から天引きされ、残った2分の1は会社が負担していました。ところが任意継続被保険者になると、保険料の全額を負担しなければいけません。簡単に言えば、負担する保険料は退職前の2倍になります。任意継続の場合、標準報酬月額は退職時の金額を使用しますが、保険者ごとに上限があります。協会けんぽであれば、令和元年度は標準報酬月額(月収)30万円が上限です。任意継続できる条件・年数任意継続被保険者になるための条件離職する日まで継続して2カ月以上被保険者であった離職した翌日から20日以内に、保険者に申し出た任意継続被保険者になるためには、そう細かい要件はありません。退職後、健康保険・船員保険・後期高齢者医療などの医療保険制度で被保険者になる場合は、任意継続できません。加入できる期間退職した翌日から2年間限りです。延長はできません。手続きは、退職翌日から20日以内に任意継続を希望する場合は、退職日の翌日から20日以内に保険者に申し出なければいけません。保険者…保険事業を行うもの。全国健康保険協会もしくは各健康保険組合。手続きをする場所加入している健康保険が、全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合は、各都道府県にある支部で手続きができます。健康保険組合に加入している場合は、各健康保険組合に問い合わせるなどして、手続き方法を確認しておきましょう。保険料の支払い毎月の保険料は、その月の10日までに支払います。例えば4月分なら、4月10日までに支払います。初回の保険料は、保険者が指定する日に支払います。例えば3月31日から4月29日までの間に退職した場合、4月分から保険料を支払い始めます。保険料の未払いは、資格喪失に初回の保険料を期日までに支払わなかった場合には、始めから任意継続被保険者になれなかったことになります。2回目以降の保険料も、納付期日までに保険料を支払わなければ、翌日から資格を失ってしまいます。くれぐれも気を付けましょう。在職時の保険証は返却して、任意継続の保険証を受け取る任意継続被保険者としての保険証は、在職時の保険証とは別のものです。任意継続を申し出てから2~3週間ほどで、本人の手元に新しい保険証が届きます。保険証が届くまでに医療機関にかかる場合は、医療機関の窓口で、まだ保険証が届いていないことを伝えましょう。もし10割負担で治療を受けた場合、自己負担を超えた金額は、保険証が届いた後で保険者に請求できます。全国健康保険協会では、令和元年10月から、申出後1週間程度での保険証交付が可能になりました。早めの交付を希望する場合は、任意継続の申出をするときに、退職証明書等を添付する必要があります。[adsense_middle]任意継続をやめる時いったん任意継続被保険者になると、自分の希望で任意継続をやめることはできません。「やっぱり国民健康保険に変更したい」と思っても2年間は手続きできないのです。どんなときに任意継続が終わるかは、決められています。任意継続被保険者になってから2年が経った死亡した保険料を支払わなかった後期高齢者医療の対象になった再就職などで健康保険・船員保険に加入した再就職しなかったり、再就職先に健康保険がなかったりと、何もないまま2年が経つと、任意継続被保険者の資格を失います。この場合は、市区町村で国民健康保険に加入しましょう。退職時、健康保険以外の手続きは?被用者保険のなかで、任意継続の制度があるのは健康保険だけです。勤務先で他に加入していた社会保険はどうなるのでしょうか。年金保険制度…「免除」の手続きも20歳以上60歳未満の人が失業した場合は、退職日の翌日が属する月の分から、年金保険料を支払います。扶養していた配偶者がいる場合は、配偶者の年金保険料もかかります。保険料は月額16,410円(令和元年度)ですが、失業後は保険料を支払うことが負担になることもあるでしょう。国民健康保険は、失業を理由として保険料の免除申請ができます。保険料全額の免除や、一部金額の免除があります。4分の1免除半額免除4分の3免除全額免除再就職して経済的に余裕ができた場合に、後から保険料を納めることもできます。社会保険(健康保険)の任意継続に関するまとめ健康保険の任意継続ができる期間は、退職翌日から20日間と短いです。また任意継続をする以外にも、国民健康保険に加入したり被扶養者になるなど、他の選択肢もあります。退職してから慌てて考えるのではなく、事前に検討して手続きの方法を確認しておくことをおすすめします。
2019年11月29日こんにちは、婚活FP山本です。現役会社員なら税金のことは年末調整で済みますが、年金を受給するようになると確定申告が必要になるかもしれない事をご存じでしょうか。仮に不要であっても、確定申告しないことで余計な損をしているケースも多々あるのが実情です。現役中の方も年金受給中の方も、基本的な知識は持っておきましょう。そこで今回は、年金受給者の確定申告についてお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。そもそも年金受給者でも確定申告が必要?まずは年金と確定申告の基本についてお伝えします。そもそも日本では、基本的に「全ての利益」に対して税金が発生するルールです。これは給料でも年金でも変わらず、そして給料もそうですが、年金でも基本的に税金が源泉徴収されます。一方、いくつか例外もあり、公的年金が158万円未満の場合(65歳未満なら108万円未満)だと源泉徴収はありません。また公的年金には、給与所得控除のような「公的年金等控除」という制度もあり、年金額が158万円未満(65歳未満なら108万円未満)だと収入ナシと見なされて税金も発生しない制度です。あなたの年金額はいくらでしょうか?上記の通り、158万円が一つの境界線となります。この金額を超えているなら確定申告が必要……というより、基本的に「したほうが得」です。覚えておきましょう。年収の中に税金天引きの所得があるならメリット年金を含めて、年収の中に税金が天引きされている、源泉徴収されている所得があるなら、確定申告したほうが得なことも多いと言えます。なぜなら、源泉徴収された税金は多めに取られていることも多いので、確定申告することで返してもらえることも多いためです。なお、先ほどの公的年金等控除は、2020年から変更予定となっています。一応、年金その他の収入が1000万円以下なら、同時に基礎控除も変更予定なので税負担は変わりません。しかしそれでも「自分の場合はどうか」を確認しておきましょう。年金所得者の確定申告不要制度の要件!次は、年金所得者の確定申告不要制度についてお伝えします。実は年金所得者の場合、以下の要件を満たす時は確定申告が不要です。公的年金等の収入金額が400万円以下公的年金等に係る雑所得以外の所得が20万円以下簡単に言えば、まず年金が400万円以下で、そして給料や個人年金などが年20万円以下の場合、確定申告しなくても良い制度になります。ただし、以下の場合は確定申告が必要です。所得税の還付を受ける場合確定申告が必要な特例を受ける場合つまり……悪く言えば「損を受け入れるなら確定申告しなくていい」といった意味合いです。また確定申告は不要でも、代わりに住民税の申告が必要なこともあります。なるべく、確定申告することをおすすめしたいところです。20万円以下の対象者は年金暮らしの人?先ほどの要件で、年金が400万円を超える人は滅多にいません。しかし給料や個人年金などが年20万円以下というのは、意外と厳しい要件と言えます。給与所得控除などを差し引いて計算するにしても、多くの場合で超えてしまうでしょう。20万円以下の対象者は、実質的に「年金暮らしの人」かもしれません。必要性の面でも損得勘定の面でも、どちらで考えてもやはり確定申告は「すべきもの」と考えておくことをおすすめします。年金だけで生活できる人は限りなく少ない……ここで少し余談をお伝えします。確定申告が必要なら老後は働きたくない……などと考えた人もいるかもしれませんね。確定申告が必要なのは、基本的に「年末調整がない年金受給者」です。定年延長などで、引き続き勤め先で年末調整できるなら確定申告は要りません。ただ、定年後の就労は非正規雇用やアルバイトということも多く、必ずしも年末調整があるとは限らないのが実情です。一方、今は老後資金2000万円問題が上がっているように、定年後に働かなくていい人はかなり限られています。実質的に、働かない選択肢は中々ありません。年金だけでは中々生活できない以上、ひいては確定申告も必要になる可能性が極めて高いと言えます。余計な損を防ぐためにも、確定申告できるようになっておきましょう。在職老齢年金の見直しを含め、働くのが基本実は現在の年金は、現役世代並みに稼げる(65歳以上なら月47万円)高齢者に限り、年金額が減らされる「在職老齢年金制度」が採用されています。ちなみに対象者は、高齢在職者のうち約13%です。この制度が、2021年から見直される可能性が高まっています。つまりそれほど、国としても高齢者に意欲的に働いてほしい訳です。もはや定年まで働けばいい人生モデルは成り立たなくなっています。老後も働く前提なのですから、合わせて確定申告も覚悟しておきましょう。年金収入の確定申告の方法とは?ここからは、年金収入の確定申告の方法についてお伝えします。まず、年金(と給料)収入について申告する場合に使う必要な書類は、以下の通りです。確定申告書A(公的年金等の)源泉徴収票また確定申告では、1枚目(第一表)で所得毎の総額を、2枚目(第二表)で内訳を記載します。なお、書類作成は国税庁サイトにある「確定申告書等作成コーナー」を使うと、書き方の説明もありますからおすすめです。合わせて、必要に応じて「生命保険料控除(証明書)」なども申告・添付します。税金とは、以下の流れで計算しますから、合わせて理解しておきましょう。収入-経費=利益×税率=税金額「〇〇控除」という税金計算上の経費を増やせるほどに、最終的な税金額も安くなります。全部で14種類ありますから、他に使えるものがないかも確認しましょう。収入の金額と種類以外は通常と同じ給料は給与所得に該当し、年金は雑所得に該当します。また現役中の給料と比べ、基本的に年金額は割安です。そんな収入の金額と種類の違いはあるものの、確定申告の基本や書き方については現役の方と変わりません。経験済みなら、安心して取り組みましょう。なお、扶養控除や配偶者控除は、対象が高齢者(70歳以上)になると控除額が上がります。高齢者に優しいのが日本ですね。せっかくの優遇があるのですから、使えるなら忘れず申告しましょう。[adsense_middle]確定申告の提出の仕方と期限は?今度は、確定申告の提出や期限についてお伝えします。まず、確定申告書の提出の仕方は以下の通りです。税務署へ郵送する税務署へ持参するe-Taxを利用する(事前の申請や一定の機器が必要)また確定申告は、毎年2月16日~3月15日が期限となっています。この期間の税務署は沢山の高齢者が申告に来ていますから、持参するにしても気後れはしないでしょう。さらに最近では、土曜日も受け付けている税務署も増えてきましたから、平日働いていても大丈夫です。なお、申告が必要なのに期限に間に合わなかったり申告しなかったりすると、相応のペナルティを受ける可能性があります。余計な損を生まないためにも、ひとまず期限はしっかり守りましょう。書き方や仕方が分からない時は税務署で相談を!初めて確定申告するのであれば、どうしても分からない部分も出てくるのが普通です。そんな時は、ぜひ税務署に相談しましょう。特に確定申告の期間中は、専用の相談・作成コーナーを設ける税務署も多いです。書き方や仕方について、署員の方に相談しながら完遂しましょう。一方で、確定申告は毎年のことです。いつまでもできない、分からないままでは、それはそれで節税面などで損に繋がりかねません。なるべく早めに確定申告のことも理解していきましょう。老後資金は2000万円どころか4000万円必要!最後に、肝心なことをお伝えします。確定申告も含め、何事も年齢が高まるほどに目新しいことに困難や苦手意識を感じがちです。すると、どうしても人は避けようとしますね。お気持ちは分かるものの、確定申告を避けると労働を避けることにも繋がりかねません。一方、今は老後資金2000万円問題が言われていますが、実際には多くの場合で2000万円どころか倍の4000万円は必要です。しかし4000万円を超える資産を持つ高齢者は、全体の2割以下となっています。つまり、多くの場合で老後も働かなければならない訳です。限界まで働き、ギリギリまで貯金を減らさないようにするのが老後を生き抜く基本と言えます。そのためには、確定申告もセットで必要です。ちなみに確定申告は、例えば家賃収入や資産運用で老後対策をする際にも必須ですから、避けられないと考えて挑みましょう。尽きる直前では遅い、早くから対策を!多少なりとも貯金がある方の中には、まだまだ「いつか貯金が尽きる現実」を理解していない方も沢山おられます。実際のところ、70代~80代で貯金が尽きそうな方も多いです。尽きてから、尽きる直前になってからでは、定年直後よりもさらに諸々の対処のハードルは高いでしょう。働き口を探すのも働くのも、確定申告を覚えるのも、少しでも若いほうが有利です。70代~80代よりは、まだ今のほうが若いのではないでしょうか。どんなに周囲のサポートがあったとしても、肝心なのは本人です。ぜひ今のうちから、少しでも早くから、確定申告も含めて「未来への備え」を始めていきましょう。年金生活のためにも確定申告に慣れておこう働くにしても年金生活するにしても、どちらにしても老後は確定申告が必要になる可能性が高いです。仮に不要であっても、確定申告しない・できないのは損に繋がりやすいと言えます。人間いくつになっても成長できない訳ではありませんから、ぜひ早めに確定申告にも慣れていきましょう。
2019年11月25日勤め先で健康保険に加入していると、病気やケガのとき3割の自己負担で医療機関を受診することができます。この健康保険には、病院での自己負担額を抑える以外に、病気やケガで働けなくなった時の収入をカバーする保障もあります。それが「傷病手当金」です。身近な病気やケガでも使えますが、自分で申請しないと受け取れません。申請手続きも難しくないので、病気やケガに備えて知っておきましょう。傷病手当金の内容病気やケガが理由で仕事を休んだ場合、休んだ間は給料が貰えなかったり、給料が減ってしまったりすることがあります。この場合に、減った収入の一部を保障してくれるのが傷病手当金です。健康保険の被保険者である人が利用できます。対象になる健康保険の「被保険者」とは勤務先で、健康保険に加入している本人が対象です。市区町村で加入手続きをする「国民健康保険」に加入している場合は、傷病手当金制度はありません。全国健康保険協会(協会けんぽ)健康保険組合どちらが保険者になっている健康保険も対象になります。親や配偶者の「被扶養者」になっている場合は、傷病手当金を受け取ることはできません。手元の健康保険証をチェック医療機関を受診するときに使う「健康保険証」をご覧になってみてください。被保険者本人であれば、自分の勤め先が書いてあり、”本人(被保険者)”といった印字があります。この場合、傷病手当金を申請できる「被保険者」です。家族の扶養になっている場合は、家族の勤め先が書いてあり、”家族(被扶養者)”といった印字があります。傷病手当金が受給できる条件傷病手当金を受給するためには、次の1~4の要件をすべて満たす必要があります。1)療養のために休んでいること必要と認められれば、自宅で療養する場合や、自費診療を受けた場合も対象になります。一方で美容を目的とした整形手術は、対象になりません。通勤中のケガ、業務に関連するケガ・病気は対象外業務災害・通勤災害によって負ったケガや病気は、対象になりません。この場合は、健康保険ではなく労災保険から給付が行われるからです。給与明細には「労災保険料」と書かれていることはないので、「自分は労災保険の対象になるの?」と分からない人もいるでしょう。実は、ほとんどの労働者は労災保険の給付を受けることができます。労災保険の保険料は、事業主が全額を支払っています。労働者を1人でも雇ってる事業主は、当然に労災保険が適用されます(一部の農林水産業を除く)。アルバイトでも、勤務時間に関わらず対象になります。労働災害が起こった場合は、労災保険から給付を受けましょう。2)仕事をすることができないことここでいう仕事の内容は、傷病手当金を受ける本人の本来の業務に就けるかどうかで判断します。会社に出勤はできない状態だったが、自宅で副業はしていた→〇:本来の業務に就けないので、支給される医師が許可したので、半日だけ出勤した→✕:半日でも本来の業務に就けるので、支給されない3)連続する3日間の待機期間が完成していること3日間継続して、休業している必要があります。傷病手当金が受け取れるのは、早くても4日目以降の期間です。3日間の待期期間には、会社の定休日や、有給休暇も含めることができます。勤務時間中に病気が発生して途中から働けなくなった場合は、この1日目も待期期間に含めます。一方で、退勤後に働けなくなった場合は、翌日から待期期間を計算します。待機期間は、同じ傷病について1度だけ計算します。その後に出勤日を挟んで、再度休業が必要になったとしても、2回目以降は「連続して3日の待期期間」は必要はありません。4)報酬が支払われていない、または少ない傷病手当金を受け取る休業日に、事業主から給料が支払われているときは、原則として傷病手当金は支給されません。有給休暇を使っている日は、待期期間に数えることはできますが、”有給”の休暇なので傷病手当金は支給されません。なお、給与が支払われていても、その額が傷病手当金の額よりも少ないときは、その差額が支給されます。他の給付金と調整で受け取れないことも傷病手当金以外の給付金を受け取ることができる場合は、傷病手当金の金額が調整されたり、受給額がゼロになったりします。同じ疾病に限らず、別の疾病で給付金を受け取っている場合も調整の対象になります。健康保険の出産手当金障害厚生年金、障害手当金労災保険の休業補償給付(退職後に傷病手当金を受け取る場合は)老齢基礎年金、老齢厚生年金受け取れる日数は、最大1年6カ月傷病手当金は、同じ病気・ケガに対して支給開始日から1年6ヵ月を限度に支給されます。支給開始日とは、3日間の待期期間が終わったあと、初めて傷病手当金を受け取る日です。途中でケガ・病気が治って出勤していた期間も、この1年6カ月に含みます。そのため、1年6カ月中に出勤した期間がある場合、受け取ることができる日数は1年6カ月より短くなります。傷病手当金の金額傷病手当金は、休業1日ごとに支給されます。1日あたり支払われていた報酬の額を「標準報酬月額」をもとに算定し、その3分の2程度が傷病手当金の額になります。標準報酬月額とは、社会保険料を決める際に基準にするおおよその月給のことです。その人に支払われている4~6月の賃金をもとに年1回見直されるほか、昇給や減給があった際にも変更されます。[adsense_middle]実際に、傷病手当金を計算してみましょう次のような収入の場合、傷病手当金の額はいくらになるでしょうか。①直近12カ月間における標準報酬月額の平均を求める(30万円×9カ月+34万円×3カ月)÷12=31万円「継続する12カ月間」が対象になります。例えば入社してから5カ月しか経っていない場合は[5カ月間の標準報酬月額の合計額÷5]で計算します。このように支給開始日以前の期間が12カ月に満たない場合、30万円が上限になります(平成31年4月以降に支給開始の場合)。②30で割り、1日あたりの金額を求める31万円÷30=10,333.33…≒10,330円10円未満の端数は四捨五入します。③3分の2の金額を求める10,330円×2/3=6,886.66…≒6,887円1円未満の端数は四捨五入します。1日あたり6,887円、30日あたり206,610円の傷病手当金が受け取れます。組合によっては独自の”付加給付金”があるところも健康保険事業を行う「保険者」は、大きく2つに分けられます。全国健康保険協会(協会けんぽ)…主に中小企業健康保険組合…主に大企業健康保険の事業を行っているのが「健康保険組合」である場合、法律で決まった金額にプラスして独自の給付金を支給しているところもあります。例えば1日の給付額が本来は「3分の2(約67%)」のところ「80%、85%」などに増額されたり、給付期間が「最長1年6カ月」のところ「2年、3年」と長く受け取れたりする場合があります。詳しくは、加入している健康保険組合に確認しましょう。傷病手当金の受給手続き申請するタイミング傷病手当金は、実際に休業したあとに申請できます。休業”見込み”では申請できません。休業期間が4日~1カ月程度であれば、疾病が治り復職してから申請すればよいでしょう。休業の1日ごとに2年を経過すると、時効によって権利が消滅してしまい請求できなくなります。数カ月にわたって休む場合は、何日分をまとめて申請するかは法律で決まっていません。協会けんぽでは、給与の締め切り日ごと・1カ月単位の申請を勧めています。必要な書類申請書には、自分を含めて3者の記入欄があります。被保険者本人の記入欄事業主が証明する欄医師が意見を記入する欄申請書は、健康保険事業を行う保険者によって違います。協会けんぽであれば、ホームページから印刷して使用できます。申請先医師の記入をもらってから、会社を経由して申請するのがスムーズでしょう。協会けんぽの場合は、事業主経由ではなく、協会けんぽに直接郵送することもできます。退職した後の期間は受け取れるか?治療が長引いて仕事に就くことができず、やむなく会社を退職することもあるかもしれません。条件を満たせば、退職日のあとも引き続き傷病手当金が受け取れる場合があります。退職しても引き続き受給できるケース2つの条件をクリアする必要があります。まず、退職した時点で傷病手当金を受けることができる状態にあることです。退職日に出勤したときは、退職後の傷病手当金は受け取りできません。加えて、引き続き1年以上の被保険者期間があることです。「引き続き1年以上の被保険者期間」は、1日も空白期間のない被保険者期間です。空白がなければ、転職で勤務先が変わったり、組合から協会けんぽに保険者が変わったりしても、期間を通算することができます。任意継続被保険者であった期間は含めません。短い休み…有給休暇とどっちを使う?たとえばインフルエンザで1週間会社を休んだ場合も、傷病手当金は受け取ることができるのでしょうか?受給要件を満たせば、もちろん受け取ることができます。1週間の休みであれば、最大4日分の手当金です。(休業1週間ー待機期間3日間)ですが、休業が数日程度であれば傷病手当金を受け取らずに有給休暇を使うという選択肢もあるでしょう。休業開始から3日間は有給休暇を使い、4日目から傷病手当金を申請することもできます。傷病手当金の申請の際には、医療機関にも書類を記入してもらう必要があるので、手間はゼロではありません。状況によって、どちらの制度を使うか判断するとよいでしょう。社会保険の傷病手当金に関するまとめ傷病手当金は、申請しないと受け取れない給付金です。病気・ケガで4日以上休業する際は、勤務先にも相談して受給漏れのないようにしましょう。
2019年11月21日今回のテーマは「失業保険の給付制限」についてです。失業保険とは一般的な名称であり、正式には「雇用保険のうちの失業手当の給付について」ということになります。この失業手当については、一度でも転職や退職を経験された方ならご存知ではないでしょうか。失業したらすぐに失業手当がもらえるのか?失業保険とはどのようなシステムになっているのか、等を項目別に詳しく説明していきます。また、この記事の内容はあくまでも一般的な解説です。ご自身の給付内容についての詳細はハローワークにてお尋ねください。管轄はハローワーク退職後はやらなければならないことが多く、会社勤めの社会保険から国民健康保険への切り替えや、厚生年金から国民年金への変更手続きも必要な為、一体どこに何をしに行って良いのか混乱する場合もあるかと思います。退職後の手続きについては、まず一番にハローワークへ行きましょう。離職票など、退職時に前の勤め先から渡される必要な書類を持参してハローワークを訪ね、「求職票」に所定の事項を記入し提出しなければいけません。曜日や時間帯によっては、かなり待たされてしまうこともありますので、時間には余裕を持って行動しましょう。退職後の手続きをする場所以前は公共職業安定所と呼ばれていましたが、現在ハローワークと呼ばれるようになりました。これに付随して、土日祝日も開所していて、遅い時間まで空いており利用しやすい出張所のような関係施設も増えてきました。そこでは主に、求人情報の閲覧や職業相談を行っています。たとえば若者支援コーナーやマザーハローワークコーナー等のような施設ですが、このような関係施設では退職後に行わなければならない求職票の記入、提出などを行うことができない場合がほとんどです。退職後まず最初の手続きについては、お住まいの地域の要となるハローワークで行う必要がありますので、退職時に受け取る書類などで事前に調べてから手続きに向かうようにしましょう。雇用保険とは雇用保険=失業保険と考えている方がほとんどだと思います。しかし、雇用保険はこれ以外にも大切な役割を担っています。メインは「失業手当」ですが、他にも、求職活動の促進・働く人の能力開発などの教育支援・働く人の働く環境を改善し、あらゆる年齢や性別の方でも平等に払炊くことが出来る機会を与えられるよう推進すること等を目的としています。ハローワークの掲示板には、公共職業訓練の資格取得講座や各種セミナー募集の張り紙を見かけることもありますが、このようなことも雇用保険の一環です。職業訓練には2種類あり、ひとつは失業手当を受け取ることが出来る人が対象の「公共職業訓練」もうひとつは、失業手当の給付対象ではない人向けの「求職者支援訓練」です。失業保険の対象で、失業給付の受給権を持っている方は「公共職業訓練」でスキルを身に付け、次のお仕事へのステップにすることができます。簿記などの資格取得を目指すコースや、パソコンスキルを身に付けるコースなど様々な講義があります。是非ハローワークにてお尋ねください。育児休業給付金雇用保険は、働く意思があるのに事情があって働けない方をサポートする目的があります。育児休業給付金という制度も、実は雇用保険の制度として利用できます。失業手当について失業手当とは、正式名称「基本手当」のことを指します。基本手当とは退職する前の2年間の中で、連続して12カ月以上雇用保険に加入している人が退職した場合に受け取る権利が発生します。この際の失業手当の額は、退職する6カ月前の「平均賃金日額」の5~8割部分を日額として計算し、退職した理由や雇用保険に加入していた期間などから「いくら(基本手当)」を「いつまで(受給期間)」もらえるか決まります。[adsense_middle]期間や受給額は人それぞれ基本手当を受給できる日数や受給金額などは、離職理由や年齢、これまでに何年間雇用保険に加入していたか等によって差があり、決して一律ではありません。基本手当を受けられる期間は離職日翌日から1年間という条件は統一されています。実際に受給できるまでの期間実際に失業手当(基本手当)をもらえるようになるまでには、どれくらい時間がかかるのでしょうか。退職した条件によって給付額や給付期間が変わります。以下「会社都合退職」と「自己都合退職」にわけて解説します。会社都合の場合リストラや勤務先の倒産など、本人の都合ではなく勤務先の都合で退職せざるを得ない場合を「会社都合」と呼びます。この場合は、最短で7日間の待期期間の後、受給開始となります。会社都合の場合、雇用保険に加入していた本人はまだ働く意思が有ったにも関わらず退職せざるを得ない状況であり、突然無職になるわけですから、当然給付制限なしですぐに失業手当をもらうことができます。自己都合の場合自己都合退職(離職)の場合、7日間の待期期間の後、さらに3ヶ月の待期期間(給付制限)があります。したがって、早くても3ヶ月と7日間経った後からの受給開始となります。いずれの場合も給付制限後すぐに失業手当をもらえるわけではありません。手当の所定の振込日が決まっていますので、最短の締め切り日後の振込日に受給できることになります。2週間~1か月後と思っておく方が確実です。給付制限の意味とは?雇用保険に加入していて離職した場合、すぐに失業手当などを受給できるわけではありません。なおかつ、離職後に働く意思がない場合などは「求職者」に認定されず、失業手当の受給条件に該当しない場合もあります。ここから給付制限の概要と、なぜ給付制限が設けられているのかについて解説します。給付制限は原則3ヶ月自己都合退職の場合、原則として3ヶ月の給付制限があります。そもそも自己都合退職で、失業保険をもらっているという状況は「働く意思があり、少なくとも認定日には必ずハローワークに行き就職活動をしているにも関わらず、なかなか仕事が見つからない」状態のことです。この給付制限の3ヶ月の間には、十分な就職活動をしたとみなされる必要があります。このことから、求職活動をするのに十分な期間ということで、自己都合退職の場合のみ給付制限が3ヶ月とされます。【補足】特定理由離職者自己都合の場合は必ず3ヶ月の給付制限があることは、すでに解説しました。一部、給付制限が免除になるケースがあり、これを「特定理由離職者」と呼びます。主に、急を要しやむを得ない離職理由である場合です。これらのいずれかに該当すれば特定理由離職者となり、給付制限なしで失業給付を受給することができる場合があります。ドクターストップの場合(医師から勤務継続が困難であると診断された場合)家庭環境の急変により勤務困難になった場合(家族の死亡など)結婚による転居や、勤め先が変わり長距離通勤の必要がある場合(往復4時間が目安)家族の長期看病(または看護)により勤務不可能(おおむね30日以上が目安)失業保険の給付制限に関するまとめいかがでしたか。一度も退職、転職をしたことがない方には未知の世界だったことと思います。失業保険は雇用保険のことですが、雇用保険の核は失業手当ですが、失業した時だけでなく、育児中の給付金やスキルアップのための教育訓練にも利用できます。給付制限は、離職理由によって差があることもお解りいただけたと思います。特定理由離職者の概念も覚えておかれると心強いでしょう。ご自身の意思での退職の場合はもちろん、意図しない離職に見舞われた際にもお役に立てるかと思います。是非ご参考になさってください。
2019年11月20日「年金を受け取れる年齢が迫ってきました。しかし、周囲からは“受給を繰り下げたほうが後々楽になる”と言われたり、“死んだら終わりだから、繰り上げて60歳からもらったら”と言われたり……。いったい何を信じていいのかわかりません」(59歳専業主婦)年金の受給開始は原則65歳からだが、最大5年、受給を繰り上げたり(早めたり)、繰り下げたり(遅らせたり)することができる。“年金博士”として知られる、社会保険労務士の北村庄吾さんは、こう解説する。「年金は65歳より1カ月受給を繰り上げるごとに、0.5%ずつ減額されます。5年早めて60歳からもらおうとすれば、30%も減額された年金が生涯続きます。反対に、1カ月受給を繰り下げるごとに、年金額は0.7%ずつ増額します(繰り下げ期間は最低1年以上)。最大70歳まで繰り下げれば、42%も増える計算に」(北村さん・以下同)次の「繰り上げ、繰り下げ受給をした場合」の「受給率」と「損益分岐点」を見てほしい。損益分岐点の年齢で、年金を繰り上げ/繰り下げ受給をした場合の受給総額と、65歳から年金を受給した場合の受給総額が並ぶことになる。以降、長生きすればするほど、65歳に受給開始した場合に比べて、繰り上げ受給した場合には“損”に、繰り下げ受給した場合は“得”になっていく。【繰り上げ受給】60歳=受給率:70%/損益分岐点:76歳8カ月61歳=受給率:76%/損益分岐点:77歳8カ月62歳=受給率:82%/損益分岐点:78歳8カ月63歳=受給率:88%/損益分岐点:79歳8カ月64歳=受給率:94%/損益分岐点:80歳8カ月65歳=受給率:100%【繰り下げ受給】66歳=受給率:108%/損益分岐点:77歳10カ月67歳=受給率:117%/損益分岐点:78歳10カ月68歳=受給率:125%/損益分岐点:79歳10カ月69歳=受給率:134%/損益分岐点:80歳10カ月70歳=受給率:142%/損益分岐点:81歳10カ月「長生きリスクを考えて、よっぽど生活に困窮しているなどではない限り、繰り上げはしないほうがいい」と語る北村さん。では、年金額を増やすために、必ず繰り下げをしたほうがいいのだろうか。「無理に年金の受給を繰り下げて、生活に困窮してしまっても、意味はありません。また、妻が年下の専業主婦などの場合、夫が20年以上厚生年金に加入しているなどの条件を満たせば、年間およそ39万円の加給年金 が、妻が65歳になるまでの間、夫の年金に加算されます。しかし、厚生年金を受給していることが条件なので、受給を繰り下げると、その間の加給年金はもらえません。人によって、寿命や加入している年金の種類、夫婦の年齢差も異なりますし、繰り下げることが、必ず得とは言い切れないのです」さらに、注意してほしいのが、5年年金を繰り下げたからといって、手取り額が42%増額するとは限らないという点だ。「平均的な収入で、40年勤め上げたサラリーマンの年金額は、厚生年金と基礎年金を合わせて、約188万円とされています。しかし、国民健康保険や介護保険などの社会保険料があるため手取りは約166万円になります。これを70歳まで繰り下げると、年金額は約267万円まで増えるが、社会保険料に加え、所得税と住民税もかかるようになり、手取り額は約225万円に。手取り額でみれば、35%の増額にしかなりません」
2019年11月15日「年金は繰り下げが正解!」「いや65歳からもらうべきだ」。さまざまな意見に、多くの人も迷っていることだろう。でも、正解は“夫婦によって違う”。あなたにとっての正解はーー。「年金を受け取れる年齢が迫ってきました。しかし、周囲からは“受給を繰り下げたほうが後々楽になる”と言われたり、“死んだら終わりだから、繰り上げて60歳からもらったら”と言われたり……。いったい何を信じていいのかわかりません」(59歳専業主婦)年金の受給開始は原則65歳からだが、最大5年、受給を繰り上げたり(早めたり)、繰り下げたり(遅らせたり)することができる。“年金博士”として知られる、社会保険労務士の北村庄吾さんは、こう解説する。「年金は65歳より1カ月受給を繰り上げるごとに、0.5%ずつ減額されます。5年早めて60歳からもらおうとすれば、30%も減額された年金が生涯続きます。反対に、1カ月受給を繰り下げるごとに、年金額は0.7%ずつ増額します(繰り下げ期間は最低1年以上)。最大70歳まで繰り下げれば、42%も増える計算に」(北村さん・以下同)次の「繰り上げ、繰り下げ受給をした場合」の「受給率」と「損益分岐点」を見てほしい。損益分岐点の年齢で、年金を繰り上げ/繰り下げ受給をした場合の受給総額と、65歳から年金を受給した場合の受給総額が並ぶことになる。以降、長生きすればするほど、65歳に受給開始した場合に比べて、繰り上げ受給した場合には“損”に、繰り下げ受給した場合は“得”になっていく。【繰り上げ受給】60歳=受給率:70%/損益分岐点:76歳8カ月61歳=受給率:76%/損益分岐点:77歳8カ月62歳=受給率:82%/損益分岐点:78歳8カ月63歳=受給率:88%/損益分岐点:79歳8カ月64歳=受給率:94%/損益分岐点:80歳8カ月65歳=受給率:100%【繰り下げ受給】66歳=受給率:108%/損益分岐点:77歳10カ月67歳=受給率:117%/損益分岐点:78歳10カ月68歳=受給率:125%/損益分岐点:79歳10カ月69歳=受給率:134%/損益分岐点:80歳10カ月70歳=受給率:142%/損益分岐点:81歳10カ月「長生きリスクを考えて、よっぽど生活に困窮しているなどではない限り、繰り上げはしないほうがいい」と語る北村さん。では、年金額を増やすために、必ず繰り下げをしたほうがいいのだろうか。「無理に年金の受給を繰り下げて、生活に困窮してしまっても、意味はありません。また、妻が年下の専業主婦などの場合、夫が20年以上厚生年金に加入しているなどの条件を満たせば、年間およそ39万円の加給年金 が、妻が65歳になるまでの間、夫の年金に加算されます。しかし、厚生年金を受給していることが条件なので、受給を繰り下げると、その間の加給年金はもらえません。人によって、寿命や加入している年金の種類、夫婦の年齢差も異なりますし、繰り下げることが、必ず得とは言い切れないのです」それでは、さまざまな夫婦のケースから、“賢いもらい方”を考えてみよう。【1】会社員の夫と同年齢妻サラリーマン家庭の場合、夫が完全リタイアする65歳から受給を開始するのが基本だ。「いまは企業に再雇用が義務付けられていますし、60歳からの5年間は働くことは大前提です。収入がある間は繰り上げる必要はないですよね」65歳以降も、家計に余裕がありそうなら、年金の繰り下げを検討してもいいかもしれない。「じつは、どの年金を繰り下げるかは選ぶことができる。夫の厚生年金のみを繰り下げたり、妻の基礎年金のみを繰り下げたり。さまざまな選択ができるのです」繰り下げる場合、女性の平均寿命のほうが長いので、妻の年金から検討するのが合理的だ。要件を満たしていれば、夫が亡くなると、妻は遺族厚生年金がもらえるようになるが。「妻が基礎年金のみ受給している場合、夫の厚生年金の約4分の3が、妻の年金に上乗せされます。しかし、仮に繰り下げによって、生前に夫が厚生年金額を増額していたとしても、遺族厚生年金の算出の基準となるのは、65歳時点でもらったときの受給額です」【2】会社員の夫と年下妻妻が年下の専業主婦などの場合は、加給年金をもらえるので、厚生年金は繰り下げないほうがいい。ただし、夫の基礎年金を繰り下げても、加給年金には影響はない。「夫の厚生年金は65歳から受給して、基礎年金のみを70歳まで繰り下げると、加給年金をもらったうえで、70歳からの年金額を約33万円も増やすことができます。仮に、夫が5歳年上の夫婦の場合、夫が81歳、妻が76歳の時点で、夫婦の受給総額は4,326万8,040円となり、繰り下げなかった場合の受給総額を超えることになります」夫が85歳、妻が80歳の時点では、134万円も“得”をする。ちなみに、加給年金をもらわずに夫の厚生年金と基礎年金の両方を70歳まで繰り下げた場合、受給総額が夫の基礎年金のみを繰り下げた場合を超えるのは、夫が86歳、妻が81歳の時点だ。だが、「平成30年簡易生命表」(厚生労働省)によると、65歳男性は平均84.7歳までしか生きられない。夫が65〜70歳の間は無年金になるうえ、夫は平均よりも長生きしなければならない。【3】会社員と姉さん女房妻が年上の場合は、妻が65歳を迎えた時点で、夫は現役世代か、再雇用で働いていることになる。「夫が働いている間は、妻は年金をもらわなくても生活が成り立つ可能性が高い。であれば、受給を繰り下げて、老後に備えるという選択をすることもできます」仮に妻が5年受給を繰り下げた場合、81歳時点で“得”することになる。【4】自営業の夫婦満額の基礎年金は、65歳受給開始で月額約6万5,000円。夫婦でも13万円ほどにすぎない。「定年のない自営業者の場合は、できる限り働き、可能な限り繰り下げることが大事です」70歳まで繰り下げれば、基礎年金額は月額9万2,300円に。夫婦ともに繰り下げれば、18万4,600円。だいぶ心強い金額になるのだ。必ずやってくる老後を豊かなものにするために、あなたも年金の繰り下げを検討してみてはどう?
2019年11月15日自分で事業を立ち上げる場合、健康保険、労災保険などの社会保険はどうなるのしょうか。事業の代表者として、社会保険にを放ったらかしにしておくと「知らないうちに法律違反をしていた」「思っていたよりたくさんの保険料がかかってしまった」ということになりかねません。今回は、個人事業主の社会保険について解説します。そもそも、個人事業主とは自分がリーダーになって事業を始めるには、大きく2つの選択肢があります。法人を立ち上げて、その代表者になる個人事業主になる法人…株式会社、合同会社など法人を立ち上げるには、必要な書類を揃え、法務局で申請をするなどの手順があります。社長1人しかいなくても会社は作れますし、合同会社の場合、5万円もあれば設立登記も可能です。株式会社の代表に就任すれば「代表取締役」、合同会社であれば「代表社員」を定めて経営者になります。個人事業主…個人名や、屋号で活動会社を立ち上げずに、個人で継続して事業を行う場合は「個人事業主」です。1人で事業を行う場合に限らず、従業員を雇って事業を行う場合もあります。”オフィス〇〇”、”〇〇商店”など屋号を付けることもできます。同じ”自営業”でも、個人にするか・法人にするかで社会保険の扱いは大きく違います。個人事業主になった場合、社会保険はどうなるのでしょうか?個人事業主でも、社会保険に加入?個人事業主である”代表者自身”は、社会保険の対象になりません。労災保険を除いて、任意に加入することもできません。ただし、経営する事業所には社会保険が適用されることがあります。つまり「事業主は」社会保険に加入できなくても、雇っている「従業員を」社会保険に加入させる必要があります。個人事業主でも、従業員数や業種によって、従業員を社会保険に加入させる手続きや、社会保険料の支払いをしなければいけないのです。各社会保険が適用される条件社会保険の種類ごとに詳しく確認しましょう。「厚生年金保険と健康保険」、また「雇用保険と労災保険」では、互いの取り扱いが似ているところがあります。[adsense_middle]1.厚生年金保険・健康保険老齢・死亡・障害状態のとき、年金が受け取れる厚生年金保険。また病気やケガのとき、治療にかかる負担額を抑えてくれる健康保険。行っている事業が「強制適用事業所」に該当する場合は、厚生年金保険・健康保険が適用されます。ただし、個人事業主自身は厚生年金保険・健康保険に加入できません。従業員数・業種によって、社会保険の加入義務個人事業の場合、次の2つをどちらも満たす場合に、強制適用事業所になります。常時5人以上の従業員がいること適用業種であること(例…製造業、金融業、保険業、医療業など16業種)なお、一定の船舶も強制適用事業所になります(厚生年金の場合)。強制適用事業所ではない場合は?従業員が5人未満の場合や、非適用業種の場合は、当然には厚生年金保険・健康保険が適用されません。「暫定任意適用事業」と呼ばれ、次のステップを踏んで、適用事業所となることができます。労働者の2分の1以上の同意を得る事業主が申請する厚生労働大臣が認可するなぜ、わざわざ申請して、社会保険の適用事業所になるの?求職者や従業員にとっては、自分で支払う「国民年金・国民健康保険の保険料」は大きな負担です。そのため”社会保険完備”の職場を選ぶ求職者も多いでしょう。求人の際にプラスに働く可能性があります。2.雇用保険失業、休職、職業訓練などの際に、給付を受けられる雇用保険。労働者を1人でも雇うと、雇用保険が強制的に適用される事業所となります。ただし、個人事業主自身は、雇用保険に加入できません。農林水産業では加入がゆるやか個人経営で、農林業・畜産業・養蚕業・水産業(船員を雇用する場合を除く)、かつ常時5人未満の労働者しかいない場合は、「暫定任意適用事業」となります。当然には雇用保険が適用されません。暫定任意適用事業の場合は、厚生年金保険・健康保険と同様に、適用事業となるよう認可の申請をすることができます。3.労災保険仕事中のケガなどに対し、治療費や収入を補填してくれる労災保険。労働者を1人でも雇うと、労災保険が強制的に適用される事業所となります。ただし、個人事業主自身は、この”労働者”にはあたりません。個人経営で、農林水産業、かつ雇用する従業員の数が一定数以下(危険作業のない農業の場合は5人未満、など)の場合は、「暫定任意適用事業」となります。当然には労災保険が適用されず、適用事業となるよう認可の申請をすることができます。事業主は、希望があれば労災保険に加入できる個人事業主自身は、通常は労災保険で保証されません。ただし、希望する事業主が”特別に加入”できる制度があります。中小事業主の特別加入従業員数の少ない中小事業の代表者は、労災保険の「特別加入」を申請できます。なお、特別加入するためには、労働保険の事務処理を「労働保険事務組合」に委託します。一人親方の特別加入人を雇わずに、次の個人事業をしている場合も、労災保険の特別加入を申請できます。個人タクシー、個人運送業大工の一人親方林業、漁業など一人親方で組織する組合などを通して、申請する必要があります。妻や子供が、雇用者の場合は?従業員が、同居している親族”のみ”の場合、これらの親族は「労働者」とはみなされません。同居の親族以外にも従業員がいる場合は「ほかの従業員と同じように、事業主の指揮命令に従っていることが明確である」などの条件を満たして、各社会保険に加入できる場合があります。個人事業主自身が、社会保険に加入する方法ここまで見てきたように、労災保険を除いて、個人事業主自身は社会保険に加入できません。事業主が社会保険に入りたい場合はどうすればよいでしょうか。社会保険に加入したいなら”会社をつくる”個人事業主と異なり、代表取締役などの「法人の代表者」は、加入できる社会保険が増えます。社会保険に加入すると、負担が増える?社会保険に加入すれば、もちろん保険料を支払わなくてはなりません。会社員として勤めていると、保険料の負担は2分の1です。しかし経営者としては、残った2分の1も会社負担分として納付しなければなりません。従業員に支払う給与や自分が受け取る報酬に、上乗せして負担がかかります。事業主+事業主の家族の保険料=安くなることもいっぽうで、社会保険に加入できない事業主は「国民年金保険料」や「国民健康保険料(国保)」など、別の保険料を納める必要があります。国民健康保険料は世帯人数に応じた保険料がかかるため、扶養する家族がいると特に割高になりがちです。家族がいる”ひとり社長”は、社会保険に加入することでかえって保険料が安くなる可能性もあります。国保だけでは保障が不安だから…と、さらに民間の保険に加入している場合もあるかもしれません。社会保険に加入することで、こうした保険は節約できます。個人事業主の社会保険に関するまとめ事業をスタートする時、個人で始めるか、法人を立ち上げるかは、大きな選択肢です。その判断材料には「税金がお得なのは」「事務作業の手間は」「取引先からの信用は」といったもののほか、「社会保険」も必須の事項として考える必要があります。個人事業にも社会保険料がかかる場合があることや、個人事業主自身は社会保険に加入できないことなど、ポイントを押さえておきましょう。
2019年11月13日年をとるごとにつのる老後への不安。どうにかしたいという一心で、投資や財テクに手を出そうと検討している人も多いだろう。でも、あなたが選ぼうとしているのは老後破綻の入口かもーー。「老後2,000万円不足問題や、年金受給開始年齢の引き上げ論などがメディアで話題となり、リタイアが見えてきた50代の人たちの多くは“時間がないから、何か手を打たなくては”と焦っていることでしょう。しかし、そんな老後不安を抱える人たちの資産が狙われているんです」こう警鐘を鳴らすのは、「やってはいけない!老後の資産運用」(ビジネス社)の著書もある、ファイナンシャルプランナー(FP)の岩城みずほさんだ。「老後のため、よかれと思ってやったことが大失敗ーー。そんなことにならないよう、陥りやすい落とし穴を押さえておきましょう」岩城さんが、老後不安につけ込まれて、ついやってしまう「お金のタブー」を解説してくれた。【タブー1】外貨建て生命保険に加入「死亡保障と運用商品をパッケージにして、外貨で高利率の運用をする『外貨建て保険』が人気です。じつはリスクが高い商品なのですが、『保険』というワードに安心感を抱く人が多いようです」保障や運用のそれぞれに手数料がかかるし、外貨建てのため、両替手数料も上乗せされる。「長期運用が基本の商品ですので、10〜15年以内に解約した場合は、元本割れすることが多い。また、外貨としては増えていても、購入時より為替レートが円高になれば、日本円にしたときに、元本割れしている危険も」【タブー2】トンチン年金で老後資金を確保一定の期間、保険料を払うと、死ぬまで決まった額がもらえるのが、トンチン年金。「人生100年時代を反映した商品です。某社商品を例にとると、53歳女性が70歳まで月に約4万4,000円の掛け金を払うことで、70歳から月3万円の保険料が終身でもらえますが、払った保険料がもらった年金を超える損益分岐点は95歳と、かなりの高齢となります。まずは、公的年金の未納部分を支払う、受給開始年齢を繰り下げて年金額を増額させる(最大4割増)ことを最優先に考えましょう」よかれと思ってやったのに、大きく損をしてしまった……。そんなことがないように、「お金のタブー」を頭にたたき込もう!
2019年11月09日働く人が職場で加入する保険のことを「被用者保険」と言います。雇用保険健康保険(+介護保険)厚生年金保険これらの保険料は、給与から天引きされ支払います。このうち「健康保険・厚生年金保険」を、特に社会保険と呼んだりします。40歳以上65歳未満であれば、健康保険料と併せて、介護保険料も支払います。パートタイマー・アルバイト従業員は、どのくらい働いた場合に社会保険に加入することになるのでしょうか。実は、「勤務先の規模」によっても異なります。パート・アルバイトの定義とはパートタイマー、アルバイトという言葉は、健康保険法や厚生年金保険法には登場しません。パートやアルバイトといった働き方を、これらの法律では「短時間労働者」と呼んでいます。ここでいう短時間労働者とは、1週間の所定労働時間が「同一の事業所に雇用される”通常の労働者”に比べて短い労働者」です。所定労働時間…会社ごと、労働者ごとに、個別に決めた労働時間のことです。これに対し、「法律で」決まっている労働時間の上限のことを「法定労働時間」と呼びます。通常の労働者とは、いわゆる「正社員」のことです。同じ職場に正社員がいない場合は、正社員に準ずるような働き方をしている社員を基準にします。同じ業務に就いている正社員より勤務時間が短い場合は、無期限で雇われていても「短時間労働者」となります。パートしかいない会社の場合は?パートタイマーしか勤務しておらず、比較できる正社員がいない場合は、パートタイマーが通常の労働者になってしまうのでしょうか?この場合は「事業所の営業時間に対して、どのくらい勤務しているか」などをもとに総合的に判断されます(日本年金機構疑義照会より)。正社員を雇うことのある会社で、たまたまパートタイマーしかいない場合などでは、パートタイマーが「通常の労働者」にはならないということです。パートタイマーが社会保険に加入する条件事業所の中には、社会保険が適用される「適用事業所」と、そうでない事業所があります。適用事業所であれば、パート・アルバイトなどの短時間労働者が社会保険に加入するかどうかは、①4分の3基準、②5要件と呼ばれる2つの決まりで判断します。どちらかに該当すれば、社会保険に加入し、保険料を支払う必要があります。①4分の3基準では、週30時間以上働く場合に対象となる可能性が高く、②5要件では週20時間以上働く場合に対象になります。ただし、これらの条件を満たしても適用除外となる場合もあるので、併せて説明します。①4分の3基準を満たす次の2つの条件に、どちらも当てはまる場合は、健康保険・厚生年金保険の被保険者になります。1週間の所定労働時間が、通常の労働者と比べて4分の3以上1カ月の所定労働日数が、通常の労働者と比べて4分の3以上所定労働日数…会社ごと、労働者ごとに、個別に決めた労働日数のことです。4分の3基準を満たす場合は、次の5要件に関係なく、被保険者となります。一般的に、正社員の労働時間は法律の上限と同じ「週40時間」になっていることが多いです。そのため「正社員の4分の3」とは「週30時間」を目安にできます。[adsense_middle]②5要件を満たす4分の3基準のどちらか片方でも当てはまらない場合には、次の5つの要件すべてに当てはまるとき、健康保険・厚生年金保険の被保険者になります。労働時間が週20時間以上1年以上雇われる見込みがある月給8.8万円以上ある学生ではない大企業、もしくは労使合意のある中小企業に勤めている5つの要件を詳しく確認しましょう。1)1週間あたりの決まった勤務時間が20時間以上であること20時間以上かどうかは「あらかじめ決められた」労働時間で判断します。たとえば、普段は18時間勤務だが、残業でたまたま20時間以上になった場合などは、残業時間は判断に含めません。2)雇用期間の見込みが1年以上であること期間を決めずに(ずっと)雇われる場合や、契約期間が「1年」「2年」などの場合は、雇用期間1年以上の見込みがあると判断されます。雇用期間が「6カ月」などと短い場合でも、次のような場合には雇用期間の見込みが1年以上と判断されます。「更新の可能性有り」と契約書で明らかにされている同じ条件で働く他のパートタイマーが、実際に1年以上雇われている実績がある3)賃金の月額が88,000円以上であることあらかじめ決まった賃金で判断します。年額だと105.6万円の賃金ですが、判断は「月額の賃金」で行います。残業した分の賃金は除いて判断するなど、次の手当は計算に含めません。精勤手当、皆勤手当通勤手当家族手当時間外労働・休日労働・深夜労働に対して払われる賃金賞与これらの賃金は、88,000円以上かどうかの判断をする際には賃金に含めません。ただし、保険料を計算する時には、これらの賃金も含めた金額をもとに保険料が発生します。4)学生等でないこと昼間学生を指します。夜間学校・定時制・通信制などに通う人は、加入対象になります。5)従業員数の要件被保険者数が501人以上の会社で働いている被保険者数が500人以下の会社で働いていて、社会保険に加入することについて労使で合意がなされている「国・地方公共団体に属する事業所」もこの中に含まれます。人数は店舗・支店ごとではなく、企業全体で判断します。適用除外(加入できない場合)適用除外に当てはまる場合は、たとえ「4分の3基準」や「5要件」を満たしていても、健康保険・厚生年金保険が適用されません。日雇労働者(※健康保険では、日雇労働者のための保険制度もあります)2カ月以内の期間限定で働く1年のうちのある季節だけ行われる仕事で働く(…酒造業など)臨時的事業で働く(…博覧会など)所在地が一定しない事業所で働く(…サーカスなど)日雇いで働く人が1カ月より長く働いた場合や、当初2カ月と決めていたが3カ月働くようになった場合は、それより後は被保険者になります。季節を定めていても4か月を超える期間働く場合や、臨時的事業でも6カ月を超えて働く場合は、はじめから被保険者になります。船員保険・国保組合・後期高齢者医療は優先また、健康保険の場合「船員保険」「国民健康保険組合」「後期高齢者医療保険」に加入している人も適用除外です。健康保険ではなく、これらの保険が優先されます。「国民健康保険”組合”」と「国民健康保険」は別のものです。国民健康保険組合とは、医師国保・土木建築国保など、同じ業種の組合員で組織されています。国民健康保険とは、職場で健康保険に加入していない人を対象に、市区町村単位で運営されています。扶養されているかどうかは、加入要件に関係ない適用除外の中には「被扶養者であること」という条件はありません。被扶養者…扶養されている人のこと。たとえば、会社員の夫と短時間パートの妻の場合「妻」のことを指して言います。家族の被扶養者になっていても、基準を超えて働けば、社会保険に必ず加入しなければいけません。扶養に入るか、勤務先で保険に加入するかを自分で選択することはできません。扶養にもなれず、勤務先で保険に加入できない場合もある勤務時間の短いパートタイマーだが時給が高い場合や、ボーナスが高額な場合などです。被扶養者になるには年収基準(130万円未満/60歳未満の場合)があるので、年収が高くなると被扶養者にはなれません。自分の勤務先で保険に加入しようと思えば、4分の3基準、もしくは5要件で決まっている労働時間以上働いている必要があります。「配偶者の扶養にもなれないし、勤務先で社会保険にも加入できない」という場合もあり得るのです。(国民健康保険や、国民年金に加入する必要があります)[adsense_middle]パートタイマーでも、社会保険の対象者が増える!?今後の法改正の動向実は、この5要件が登場したのはごく最近です。近年、社会保険の加入対象者が広がっています。”被用者保険の適用拡大”と言われるものです。今後はどうなるでしょうか。2016年大企業を中心にパート加入者拡大前述の「5要件」が新設され、大企業と国の事業所を中心に、パートタイマーの社会保険適用が拡大されました。この時は、国の事業所・被保険者数501人以上の企業のみ対象でした。2017年500人以下の企業も加入できるように2017年4月からは、被保険者数500人以下の企業でも労使合意があれば、パートタイマーの適用拡大が可能になりました。地方公共団体に属する事業所も適用対象になりました。そして…501人以上、の決まりは廃止?保険に加入するパートタイマーをさらに増やすことが、厚生労働省で議論されている途中です。この9月にも最新の検討状況が明らかにされたところです。501人以上、という企業規模の条件をなくし、すべての中小企業を対象にする賃金月額8.8万円以上、という要件をなくす特に企業規模の要件については、撤廃すべきと議論に上がっています。就職活動をするとき、通常は労使合意があるかまでは分かりません。入社した会社によって保険に入れないのは不合理…とも考えられます。健康保険・厚生年金保険、適用が広がる背景には…適用拡大の背景には、女性・高齢者の労働参加や、人手不足が挙げられます。パートでも自分の職場で社会保険に加入できれば、”130万円の壁”と呼ばれる扶養の要件を気にする必要はなくなります。扶養から外れないようにと年末にシフトを少なく調整し、現場では人手不足…といった問題の解消も狙っています。「主婦パート→厚生年金」は意外と少なく、約2割ただし、適用が広がったため社会保険に加入した人のうち、国民年金第3号被保険者(いわゆる主婦パート)だった人は2割ほどに留まります。実は一番多いのは、自分で保険料を納めないといけない「国民年金第1号被保険者」だった人で、約4割です。これらの人のうち約半分は、国民年金保険料が未払いだったり、減免されていたりしました。社会保険に加入することで、年金保険料を確実に納め、年金額を増やすことができます。保障がなかった人が、社会保険の対象にここから分かるのは、社会保険の適用拡大は、”配偶者に扶養されていた”いわゆる主婦パートの人のみを対象にしているのではないということです。生活スタイルや家族の形も多様化しています。これまで将来の年金が確保できなかった人たちにとっては、生活を支える大きな保障になります。社会保険に加入する利点健康保険・厚生年金保険に加入して「被保険者」になると、受け取れる給付金も増えます。いずれも、被扶養者であれば受け取れないものです。私生活のケガ、病気で仕事を休んだ…傷病手当金出産で仕事を休んだ…出産手当金老後の年金、2階建て部分…老齢厚生年金比較的軽い(3級)障害でも受け取れる年金…障害厚生年金受け取れる遺族の範囲が広い年金…遺族厚生年金納めた保険料は「出費が増えるから損」ではなく、もしもの時のリスクに備えるお金になっています。これだけの保障を、加入時の健康状態にかかわらずカバーしてくれます。パートの社会保険加入に関するまとめ社会保険に加入しなければいけないパートタイマー・アルバイトの人の範囲は、年々広がっています。社会保険に入りたくても入れなかった人にとっては、嬉しい流れと言えるでしょう。今は社会保険に入っていないという人も、法律の改正によって、将来は加入の対象になる可能性があります。「家族の扶養に入れるかどうか」で労働時間を調整する働き方は、一般的でなくなるかもしれません。加入する要件や、加入した場合のメリットについて、今のうちに押さえておきましょう。
2019年11月01日「今年6月、“年金だけだと老後資金が2,000万円不足する”とした金融庁の報告書が話題となりました。そして、8月末に厚生労働省が、今後の年金制度の見通しである“財政検証”を発表しました。しかし、いずれもサラリーマン夫と専業主婦の妻というモデル世帯を中心とした分析。独身で、一人暮らしの女性などは、参考にしにくくなっているのです」そう語るのは家計コンサルタントの八ツ井慶子さんだ。7人に1人の女性が生涯結婚しない時代。さらに50歳以上の離婚率は’90年から比べて、2.5倍の5.49%(’17年)にまで増えている。夫との死別なども含め、一人暮らしをしているいわゆる“おひとりさま”は現在、65歳以上女性の5人に1人にあたり(内閣府「令和元年版高齢社会白書」)、今後も増えていく見込みだ。まず、知っておく必要があるのが、将来の年金見通し。「もともと、物価の上昇などにあわせて、年金の支給額も上がっていく仕組みでした。しかし、『マクロ経済スライド』が導入され、寿命の延びなども考慮して、年金支給額の上昇は調整されるようになりました。年金は実質的に“目減り”していくのです」(八ツ井さん・以下同)もらえる金額は変わらなかったり、わすかに上がっていたりしても、物価はそれ以上に上昇していくため、もらえる年金の価値はどんどん減っていく。実際に、どれくらい減るのだろうか?「人口比や寿命の延びから、独自に年金の将来を試算してみました。10年後の’29年には、年金を受け取る65歳以上の人口は3%増加する見込みです。一方、年金の保険料を支払う20〜64歳までの人口は6.5%減ると予想されている。さらに、この20年間の平均余命の伸び率から、10年後の女性の寿命は2.5歳ほど延びると仮定。それらをふまえて計算した結果、10年後の年金支給額は、マイナス11.03%になると試算しました」わずか10年で、約1割以上の減!そんな試算をもとに、タイプ別の“おひとりさま”の年金の今後を見てみよう。「会社員として働いていた女性が現在、受け取っている年金の平均額は、基礎年金と厚生年金をあわせて10万8,776円。しかし、10年後、支給額は、現在の価値に換算して9万6,778円にまで下がってしまう見通しです(以下、10年後の予想額はすべて現在の価値における金額)」最新の家計調査によると、65歳の単身女性の月の支出額はおよそ15万円(総務省2018年「家計調査」)。現在でも4万3,000円ほどの赤字だが、10年後には5万4,643円に。仮に95歳まで生きた場合、単純計算で1,967万円の不足となる。だが、それ以上に厳しいのは、自営業者などの国民年金のみの受給者だ。10年後に予想される基礎年金の額は4万9,663円。今年10月に始まった、年収が87万9,300円以下の条件を満たせば支給される、「年金生活者支援給付金」の5,000円(満額)を足しても、とても年金だけで生活はしていけないだろう。大黒柱だった夫が亡くなった場合の専業主婦はどうだろうか?「たとえば会社員の夫が亡くなり、子どもがいなかった場合、夫がもらえるはずだった厚生年金の4分の3にあたる遺族厚生年金をもらうことができます。これは再婚しなければ一生涯、受け取れます」10年後に年金額が“減った”場合でも、平均で実質12万円の受給。それでも65歳以上の“おひとりさま”の平均支出額からは、月に3万円ほどの赤字で、95歳までの30年で累計1,147万円の不足に。専業主婦がサラリーマンの夫と離婚した場合はどうだろう。「サラリーマンの夫と離婚した場合、“離婚分割”といって、夫の厚生年金の一部を受け取れます。といっても、夫の厚生年金の半分がもらえるわけではありません。婚姻期間中に夫が払った保険料の“実績”の半分をもらえるというもの。対象は厚生年金だけです。当然、婚姻期間が長いほど、もらえる金額は増えますが、分割後に増える金額は、現在でも平均3万1,000円ほどにすぎません」10年後は、その平均が2万7,632円まで目減りするかもしれません。“おひとりさま”平均支出からいえば、月に7万9,126円の赤字で、30年だと2,849万円不足する。かくも厳しい“おひとりさま”の老後生活。しかし、これはあくまでも、平均額をもとにしたモデルケース。個人差があるので、注意してほしい。「一人暮らしは、1人あたりの生活コストが割高になります。世帯の人数が2人から1人になっても、家賃や光熱費は半分になるわけではありませんから。しかし、見直しは十分可能。まずは契約している電力・ガス会社を変えたり、携帯電話のプランを検討して、光熱費や携帯電話代など、毎月必ずかかる“固定費”を見直しましょう。削減の効果は一生涯続きます」さらに、“おひとりさま”には攻めの姿勢が大事かもしれない。「重要なのは、長く働くことです。将来への不安を、働いていない人は働き始めるきっかけに、すでに働いている人は働き続ける動機に変えてみてはいかがでしょうか」金銭的には不安が多い“おひとりさま”。でも、自分のライフプランを自分1人で決められるのも、また“おひとりさま”の特権だ。
2019年10月28日東日本大震災、熊本地震と震災が身近で発生し地震保険への関心が高まっていますが、分譲マンションでも地震保険に加入できるとご存じですか?分譲マンションの地震保険は、戸建ての地震保険とは少々違う考え方で加入を検討します。今回は分譲マンション住まいにおける地震保険加入の必要性やメリットなどをご紹介します。地震保険の基礎知識まずは地震保険の基礎知識をご紹介します。地震保険で押さえておくべき基礎知識は3つ挙げられます。地震保険は火災保険とあわせて加入地震保険は損害区分を基準に保険金が支払われる建物の構造や所在地で保険料が異なる地震保険は火災保険とあわせて加入地震保険は火災保険とあわせて加入する必要があります。地震保険に入りたいとお客さまからの問い合わせをいただくことがあるのですが、「地震保険は単体での加入はできないので火災保険と一緒に加入する必要があります」とご案内しています。地震保険を用意する場合は火災保険とあわせてご加入ください。地震保険は損害区分を基準に保険金が支払われる地震保険には4つの損害区分があります。全損大半損小半損一部損万一の際はこの4つの損害区分で損害を判定し、保険金が支払われます。損害区分が一つ違うと受け取る保険金が数十%違ってきます。査定は保険会社が指定する鑑定人によって行われますが、鑑定人により査定結果に差が出るので注意が必要です。建物の構造や所在地で保険料が異なる地震保険では、建物の構造や所在地により保険料が異なります。地震発生の際に被害が大きい首都圏では比較的高い保険料、地震が少ない地方では保険料が安く設定されています(下表は地震保険の保険料最安値と最高値)。保険料が高いため地震保険に入らない方もいらっしゃいますが、必要最低限の保障は用意されたほうがいいでしょう。※保険期間1年、地震保険金額1000万円、割引適用なしとして算出分譲マンション住まいの場合は地震保険に加入する必要性はあるの?地震保険は分譲マンション住まいも加入する必要があると考えています。東日本大震災や熊本地震以後、地震保険の加入率は上昇傾向にあり、2008年に22.8%だった地震保険の世帯加入率は2018年に32.2%となりました。このように地震保険の世帯加入率が10年間で10%増加したのは、大規模地震に備える方が増え、地震保険への関心が高まっているからだと推測されます。ここでは、まず地震保険の基礎知識を紹介し、次に分譲マンションの地震保険についてご紹介します。分譲マンションは専有部分と共用部分で分けて地震保険加入を検討する分譲マンションには専有部分と共有部分がありますが、分譲マンションで地震保険を検討する際はこれらを分けて検討します。専有部分は簡単に言うと部屋の内側、共有部分はそれ以外の場所です。注意したいポイントは、共有部分はエントランスや廊下だけでなく、排水、電気設備などや、ベランダや窓も共用部分に含まれる点です。専用部分で地震保険を検討する場合分譲マンションの専用部分の地震保険を検討する場合は、いくらの保障が必要なのかを考えます。ただし、地震保険は火災保険とあわせて加入する必要があり、保険金額は火災保険の保険金の3割から5割の金額で設定します。これらに基づき、ご自身のマンションの価値がどれくらいなのか、被災したときにいくらの保険金を用意するのか、家財に対する保障はどうするのかを検討してください。共用部分で地震保険を検討する場合共用部分の地震保険加入にはマンションの全世帯の合意が必要なため、地震保険はマンションの管理組合が加入する場合がほとんどです。そして、共用部分に新たに地震保険をかける場合は金銭的な負担が生じるため、マンション全世帯の合意を取るのは難しいです。ですから現在共用部分で地震保険に加入していないマンションに住まれている場合は、ご自身が居住する専有部分の地震保険だけを検討するのが現実的です。分譲マンションを購入する際に確認しておきたいこと分譲マンションを購入する際には共用部分に地震保険が掛けてあるかどうかを確認してください。新築の場合は、マンションの管理組合が地震保険に加入する予定があるかどうかをご確認ください。マンションは構造的に強く造られているため、東日本大震災規模の地震が起きても大丈夫と言われたりもしますが、それ以上の震災が来ないとは言い切れません。また、共用部分の地震保険加入を検討中、もしくはすでに加入しているマンションであれば、万一の時を考えられる住人が多いマンションだという判断基準にもなります。非常事態のことに備えられる人たちが多いマンションだと万一の時に安心できますね。分譲マンションでは専有部分の建物と家財の地震保険のご用意を!分譲マンション住まいの場合、地震保険の加入は専有部分だけを検討することが現実的でした。次に地震保険の対象を詳しくご紹介します。[adsense_middle]地震保険の対象は建物と家財地震保険の対象は大きく分けて2つあります。建物家財地震保険の「建物」と「家財」は、火災保険の建物家財の保険金3割から5割の金額で保険金を決定します(建物の上限は5,000万円、家財の上限は1,000万円)。例えば、建物2,000万円、家財1,000万円の火災保険で地震保険に加入すると、600万円から1,000万円の建物の保険金、300万円から500万円の家財の保険金を設定できます。また、地震保険の対象は居住用の家とそこにある家財である点をご注意ください。建物の地震保険の内容建物の地震保険は、用途が居住の建物を保険の対象としています。法人や個人事業主が自宅を事務所として使っている場合も地震保険の対象です。家財の地震保険の内容家財の地震保険は、居住用として使用されるの建物の中にある家財を対象としています。対象外の家財は、30万円以上の貴金属などの装飾品、通貨、預貯金証書、印紙、切手、自動車等は対象外です。これは地震保険が「生活を立て直すため」に設立されたものであり、ぜいたく品や趣味嗜好性の高いものは対象外としているからです。分譲マンション住まいで地震保険に加入するときのポイント分譲マンション住まいで地震保険に加入するときのポイントは、2つあります。建物だけでも用意しておくと安心貯蓄でカバーできるなら必要なし建物だけでも加入しておくと安心分譲マンションで地震保険に加入する際は、建物だけでも加入しておくと安心できます。地震保険の保険金の用途は限定されていないので、建物、家財どちらかで資金が用意できれば問題ありません。仮にご自宅が被災し地震保険の保険金を受け取った場合、その保険金を生活費に充ててもいいし、新しい生活に必要なものをそろえる資金として活用できます。震災後に新しい生活を始める必要最低限の金額を建物の地震保険で受け取れるようにしておけば、家財の保障はいらない場合もあります。万一の時の資金が用意できるなら加入不要保険全般に言えることですが、万一の時に必要な資金を用意できる場合は保険に加入する必要はありません。生命保険や損害保険は本来、万一の時に今の生活を維持する保障を用意するのが目的です。保険加入が税金対策として有効な場合がありますが、基本的には必要のない保険には加入しないというスタンスで保険をご活用ください。分譲マンションの地震保険のメリット/デメリット最後に分譲マンションの地震保険に加入するメリット/デメリットをご紹介します。分譲マンションのメリット/デメリットとしていますが、地震保険全体のメリット/デメリットだと言っていいかもしれません。分譲マンションであっても戸建ての住宅であっても地震保険のメリット/デメリットは共通する部分が多いです。[adsense_middle]分譲マンションの地震保険のメリット分譲マンションの地震保険に加入する場合のメリットは2つ挙げられます。被災した際に時まとまった資金が用意できる地震保険料控除が受けられる被災した際にまとまった資金が用意できる筆者は熊本在住なのですが、熊本地震の際に地震保険に加入していて助かったという話をよく耳にします。保障内容は覚えていなかったけど、全損だったので2,000万円近く保険金が支払われたというお客さまもいらっしゃいます。地震保険に加入していれば万一の時にまとまったお金を受け取れるので、それを資金として新たな生活をすぐに始められます。被災して精神的に苦しい状態の中、当面のお金の心配をしなくていいことはとても重要です。地震保険料控除が受けられる地震保険に加入していると、毎年の所得税、住民税の控除が受けられます。所得税は地震保険の保険料に応じて保険料の全額~5万円までが控除され、住民税は地震保険料の控除に応じて保険料の全額~15,000円までが控除されます。例えば、地震保険を年間40,000円支払っている方だと、所得税で4,000円、住民税で2,000円、あわせて6,000円の節税効果があります(※所得税、住民税ともに10%として計算)。10年間で6万円、30年間で18万円の控除額になるのでメリットは大きいです。分譲マンションの地震保険のデメリット分譲マンションの地震保険に加入する場合のデメリットは3つ挙げられます。火災保険が必要ない場合は火災保険の保険料が無駄になる査定結果によっては十分な保険金を受け取れない可能性もある時価査定のため、買った時の金額よりも少ない保険金が支払われる火災保険が必要ない場合は火災保険の保険料が無駄になる地震保険は火災保険とあわせて加入する必要がありますが、地震保険に加入したいために火災保険に加入する場合は、火災保険が全く必要ない世帯だと火災保険の保険料が無駄になります。火災の発生割合は全国共通で、地震の発生割合は地域によって差があります。火災保険に加入するかしないかは考え方で違ってくるので個々の判断が重要です。査定結果によっては十分な保険金を受け取れない可能性もある地震保険は、損害保険の鑑定人により査定結果が異なる場合があります。地震保険の査定基準で、1つ違えば受け取る保険金は数十%違ってきます。鑑定に不服の場合は再調査も依頼できますが、被災後の状況で早急に資金が必要な場合は時間をかけられないこともあります。また分譲マンションですので、階数や場所により被害状況が異なれば、査定結果も違ってきます。隣の部屋が大半損なのに自分の家は一部損だったということも十分考えられるので、そういったリスクを含んだデメリットもあるとご承知ください。時価査定のため買った時の金額よりも少ない保険金が支払われる地震保険は保険金を支払うときの基準として時価査定を使っています。時価査定とは、被災して同じマンションを購入する際に、購入してから経過した年数を引いて査定することです。例えば2,500万円で購入したマンションが10年後被災して全損となった場合、マンション購入金額から10年経過分の金額数百万円を差し引いて保険金が支払われます。地震保険では、マンション購入から時間が経過している場合は、同じクラスのマンションを再購入する費用には足りないこともあるので注意が必要です。分譲マンションの地震保険に関するまとめ分譲マンションの地震保険はこれからますます需要が増えることが予想されます。地震保険では年間数万円の保険料で万一の時に新しい生活の資金を用意できます。万一の時に不安であったり、資金を用意できない場合は地震保険への加入をご検討ください。地震がいつ発生してもいいように、早めの検討をおすすめします。
2019年10月28日最近、「在職老齢年金」の見直しがさかんに議論されている。在職老齢年金とは、年金をもらいながら働く60歳以上の方を対象としたもので、給与と年金の合計額が、基準額を超えたとき、厚生年金が減らされる制度だ。現在の基準は65歳以上が47万円、60~64歳は28万円だが、年金の減額は高齢者の働く意欲をそぐと問題に。そこで、基準を62万円に引き上げることを中心に検討されている。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。■年齢に関係ない基準額の引き上げを期待たとえば65歳のAさんは、給与が月45万円で、年金は月15万円。給与と年金の合計が57万円で基準の47万円を超えるため、年金が減らされています。減額は、合計57万円から基準47万円を引いた残り10万円の半額、5万円です。Aさんの年金は月10万円に。しかし、改定案どおりに基準が62万円になった場合、Aさんの年金は減額されず、月15万円のまま受け取ることができます。基準が上がり、年金の減額者が減るのはいいことでしょう。ただ、対象者はかなり限られています。現在、働きながら年金をもらっている65歳以上で、もっとも多いのは、年金と賃金の合計額が20万~24万円の方です。合計額が47万円を超えるのはかなりの高給取りで、働きながら年金をもらう方の17%、年金受給者全体の1.5%しかいません(’19年10月・厚生労働省)。それより問題は60~64歳のほうです。働いている方がたくさんいるのに、基準は28万円と65歳以上より低水準です。今回の改定議論では、65歳以上と同様、基準を62万円に上げる意見もありますが、現行のままでよいという意見が根強いようです。というのも、年金の支給は原則65歳から。今65歳未満の方がもらっているのは「特別支給の厚生年金」などに限られ、それも男性は’25年、女性は’30年に制度そのものが終わってしまうからです。ですが、今働く60代前半の方は体力ややる気がまだあるのに、年金が減額されない程度にと給料を抑えてしまうでしょう。その後、65歳以降に基準額が上がったところで、一度抑えた給与を上げるのは至難の業です。在職老齢年金を改定するなら、年齢に関係のない基準額の引き上げを期待したいものです。日本の少子高齢化は予想を上回るスピードで進行しています。今年1~7月の出生数は、前年同期より5.9%減って約52万人。このままだと、今年の出生数は90万人を下回ると言われます(厚生労働省)。働き手が減り、年金受給者が増えていくなか、国は、高齢者にできるだけ長く働いて、長く年金保険料を払う側にいてほしいと考えています。そのため、在職老齢年金の改定や、年金受給を75歳まで先送りできる制度、基礎年金の払込期間を今の40年から45年に延長する案などを検討しています。その先には、年金の受給開始を70歳に延ばしたい思惑が丸見えです。私たちは議論の行方に注目しながら、長く働ける体力作りにも力を入れたいですね。
2019年10月25日社会保険は、ケガや病気などのリスクに備えるため、法律で決められた制度です。保険会社が販売する民間の保険とは違い、法律で決められた要件に当てはまる場合は、本人の意思にかかわらず加入しなければなりません。社会人になると、いきなり社会保険料が給与から天引きされ始めますが、保障内容については事前に聞いていないことが多いのではないでしょうか。社会保険に加入する要件、加入するメリットについて解説します。「社会保険」という言葉の意味は、大きく分けて2通り「社会保険」と言うとき、大きく2通りの意味があります。広義の社会保険1つ目は”広い意味での”社会保険です。医療保険・年金保険・介護保険・雇用保険・労働保険の5つがあります。社会全体でリスクに備えるための公的な保険を指します。個人が支払う保険料にプラスして、国も費用を出して運営されていることがほとんどです。狭義の社会保険(本記事で解説する社会保険)2つ目は”狭い意味での”社会保険です。会社などに勤務する人を対象にした保険は「健康保険」「厚生年金保険」「雇用保険」「労災保険」の4つがあります。このうち「雇用保険・労災保険」の2つが「労働保険」と言われるのに対し、「健康保険・厚生年金保険」の2つが、「社会保険」と呼ばれています。”パートタイマーだが、社会保険に加入することになった”といった文脈で使われるときは、この2つの保険を「社会保険」と捉えていることが多いでしょう。アルバイトなど短時間で働く人が、段々と勤務時間を増やしていく場合は、次の順で保険の対象になることが一般的です。労災保険(必ず加入)雇用保険(週20時間以上働く)健康保険・厚生年金保険(正社員と比べて4分の3以上働く)今回は、狭い意味での社会保険である「健康保険」「厚生年金保険」について解説します。社会保険が適用される要件健康保険・厚生年金保険は、全ての労働者に適用されるわけではありません。事業所(会社など)が条件に合うかそれぞれの労働者が条件に合うか適用…「加入する」「対象になる」と言われる状態です。1.事業所(会社など)が条件に合うか次の事業所は、法律上当然に、健康保険・厚生年金が適用される”強制適用事業所”となります。国、地方公共団体の事業所法人(〇〇会社、〇〇法人など)個人経営で、常時5人以上の従業員がおり、かつ"適用業種"であること(例…製造業、金融業、保険業、医療業など)船員法で定める船舶(厚生年金のみ)個人経営の場合、適用業種に該当しないもの…①農林水産業、②飲食店・理美容業などサービス業の一部、③弁護士など自由業、④宗教業逆に、当然には適用事業所に該当しないものは次の通りです。個人事業で、従業員が常時5人未満個人事業で、業種が「①農林水産業、②飲食店・理美容業などサービス業の一部、③弁護士など自由業、④宗教業」強制適用事業所に該当しない場合は、事業主が厚生労働大臣に申請して認可を受けた場合のみ、健康保険・厚生年金が適用されます。2.それぞれの労働者が条件に合うか適用事業所に勤務すると、原則として、本人の意思にかかわらず、健康保険・厚生年金保険の被保険者となります。「社会保険に加入する・しない」を自分の意志で決めることはできません。ただし、日雇労働者・ごく短期間雇われる者などは適用が除外されます。被保険者…保険に加入している本人のことです。健康保険・厚生年金保険に加入できない労働者の例日雇労働者2カ月以内の期間限定で働く人パート・アルバイト等で一定の要件に当てはまらない人など契約書上は「日雇い」となっていても、1カ月を超えて雇用された場合は、それ以降社会保険に加入することになります。初めに短い期間で雇い入れたことだけを理由に、社会保険に加入させない、といった取り扱いはできません。社会保険の保険料は、給料の約15%健康保険料・厚生年金保険料は、いずれも毎月の給与から、事業所が控除(天引き)して支払います。社会保険料は合計して、給料の約15%程度が目安です。[adsense_middle]3つの保険料に共通の事項毎月受け取る給与から事業所が控除する実際に納付する義務があるのは事業所「標準報酬月額」に保険料率をかけて保険料を計算する標準報酬月額=だいたいの月給のこと給料の額にそのまま保険料率をかけると事務処理の手間がかかるため、健康保険では50等級・厚生年金保険では31等級の「標準報酬月額」が定められています。例えば、入社時の給料が198,000円だった場合、標準報酬月額は「20万円」になります。どの標準報酬月額に該当するかは、年に1回定期的に見直されるほか、大幅に昇給・減給があった場合にも見直されます。保険料は勤務先と従業員で半分ずつ負担するため、実際に従業員が負担する保険料は、この半分の額です。健康保険料主に中小企業に勤めている場合は「全国健康保険協会(通称:協会けんぽ)」が保険事業を行います。保険料は都道府県ごとに決まり、毎年見直されます。おおむね約10%です。大企業の場合は、独自に保険事業を行う「〇〇健康保険組合」が設置されていることもあります。健康保険組合の保険料は各組合ごとに定めます。介護保険料40歳以上65歳未満の場合、健康保険料と併せて徴収されます。保険料率は毎年見直しされます。厚生年金保険料平成29年9月まで、段階的に引き上げられてきました。現在は18.3%で固定されています。年金財政が厳しくなった場合は「保険料を引き上げる」のではなく「給付額を減らす」ことで、保険料と給付額のバランスをとるように改正されたためです。(公務員・私学教職員はこれより低い保険料率でしたが、令和9年までに、会社員と同じ水準に引き上げられます)私立学校教員については、保険料は15.77%(令和元年)です。令和9年4月までに18.3%まで段階的に引き上げられ、会社員・公務員・教員の保険料が統一化されることになっています。さらに、雇用保険料がかかるこの3つの保険料のほかに、給与に対して雇用保険料がかかります。「一般の事業」の保険料率は0.9%で、従業員が負担するのは0.3%です。(平成31年度)なお、労災保険については、全額が事業主負担のため従業員が負担する保険料はありません。健康保険・厚生年金保険に加入するメリット保険料がかかるために、給料が減る、家計の負担が増えると敬遠されることの多い社会保険ですが、保険料を支払った分、様々な給付を受けることができます。健康保険のメリット(扶養されている時との違い)メリット1:ケガや病気で休んだとき、給料の一部が保障される健康保険の被保険者になると、業務に関係のない病気やケガで休業したときに”傷病手当金”が受け取れます。例えば、月給30万円だったが病気で会社を休み、給料が支払われなかった場合、1年半で最大約360万円が受け取れます。メリット2:出産のため休んだとき、給料の一部が保障される出産のため休んだ場合には”出産手当金”を受け取ることができます。例えば、月給30万円だった人が産休を取った場合、産前~産後の計約3カ月の休業に対し、合計約65万円が受け取れます。厚生年金保険のメリット(自営業など国民年金加入者との違い)メリット1:老齢年金の額が増える20歳以上60歳未満の人は、基本的に全員が、公的年金制度に加入しなければいけません。ほぼ同じ金額の保険料を支払った場合でも、国民年金か厚生年金かで将来受け取れる年金の額は差があります。この例では厚生年金のほうが年額47万円多く、20年間受け取った場合では約940万円のプラスになります。メリット2:障害状態になった時に、年金を受け取れる可能性が高まる業務に関係のないケガや病気で障害状態になり、障害年金の受給を申請する場合、初めて医師の診察を受けた「初診日」に厚生年金に加入していると、支給額がプラスになります。障害等級1級、2級の場合重い障害で、生活が自宅・病院の中に制限されるような場合です。老後に受け取る年金と同じように”2階建て年金”があり「障害厚生年金」を受給できます。例えば、月給30万円・厚生年金の加入期間が25年未満・障害等級1級と認められ、障害基礎年金を受け取る場合、毎年約66万円の障害厚生年金がプラスされます。障害等級3級の場合1級・2級よりは軽度の障害の状態だが、働くことに制限がある…として障害等級3級と認められた場合です。初診日に厚生年金の被保険者であれば「障害厚生年金」が受給できます。国民年金にしか加入していなかった場合、3級の障害年金は受け取ることができません。3級の障害厚生年金では、最低でも毎年約58万円が受け取れます。メリット3:自分が亡くなったとき、年金を受け取れる遺族の範囲が広がる国民年金のみ加入していた人が亡くなって「遺族年金」を受け取ることができるのは、18歳年度末までの子供がいる場合のみです(障害状態の子は20歳年度末まで)。一方で、厚生年金の被保険者であった場合には、小さな子供がいない配偶者や、55歳以上の父母・祖父母など、年金を受け取ることができる遺族の範囲が広がります。例えば、月給30万円・厚生年金の加入期間が25年だった場合、毎年約37万円が受け取れます。デメリット…受け取れなくなる手当もある夫婦どちらかが片方をずっと扶養していると、本人が65歳になってから受け取る老齢厚生年金に「配偶者加給年金」が加算されます。いわば”扶養手当”のようなもので、約22万円(年齢に応じ約3~16.5万円の加算あり)が、配偶者が65歳になるまで受け取れます。共働きでお互いに充分な厚生年金被保険者期間(20年以上)がある場合、この加給年金は受け取れません。社会保険に加入できないときはどうすればいい?勤務先で社会保険に入れない場合でも、何かしらの「公的医療保険」「年金保険」に加入しなければなりません。[adsense_middle]家族の「被扶養者」になる「扶養」という言葉が指すものも様々です。「所得税」を計算する時の”扶養”と、「社会保険」の”扶養”はそれぞれ別の判断基準です。被扶養者…扶養されている人のことです。主婦や主夫など。厚生年金での扶養厚生年金保険に加入している人の「配偶者」が、扶養されていると認定された場合、配偶者は国民年金の第3号被保険者となります。第3号被保険者である期間は、年金保険料を支払う必要はありませんが、厚生年金の受給額を増やすこともできません。健康保険での扶養健康保険では、配偶者以外も「被扶養者」になることができます。続柄(親兄弟や、おいめいも対象になる)同居か別居か(子・親・兄弟等は同居でなくでもOK)年収(130万円未満もしくは180万円未満で、同居の場合は被保険者の2分の1未満…など条件有)この3つを基準に判断されます。国民年金、国民健康保険の被保険者になる従業員5人未満の個人事業に勤めている生計を維持する家族がいない健康保険は親の被扶養者になっているが、年金保険には加入していないこういった場合、自分で年金保険・公的医療保険に加入する必要があります。健康保険の代わりに「国民健康保険」に、厚生年金保険の代わりに「国民年金保険」に加入します。居住地の市区町村役場で手続きができます。多くの場合で「健康保険」よりも「国民健康保険」のほうが保険料が高くなります。国民健康保険の保険料は、居住地の市区町村役場に確認してみましょう。勤務先で健康保険に加入できない場合は、まず家族の被扶養者になれないかを検討し、その後に国民健康保険の加入を検討することをおススメします。社会保険に関するまとめケガや病気による休業、長期の障害状態、老後の収入減少など、社会保険がカバーしているリスクは多岐に渡ります。民間保険を契約する場合は、社会保険の保障だけでは不足する部分を補うものと位置付けましょう。社会保険について知っておくことは「貰えるはずのお金の申請漏れを防ぐ」「必要以上の民間保険を契約しなくて済む」ことにも繋がります。
2019年10月25日年末調整で行う地震保険料控除申請がよくわからず地震保険料控除申請を行わない方もいらっしゃいます。毎年の地震保険料控除申請で減税できる金額は微々たるものでも、10年、20年と積み重なると数十万円を超える場合もあるので、地震保険に加入されている方は地震保険料控除申請を行うことをおすすめしています。今回は地震保険に加入されている方、加入を検討されている方向けに、地震保険の基礎知識と地震保険料控除のポイントをご紹介します。知っておきたい地震保険の基礎知識地震保険料控除に関するまとめ今回は年末調整時に行う地震保険料控除のポイントをご紹介しました。国が定める控除は私たちの利益につながるものが多いので、地震保険料控除だけでなくその他の税金に関する控除も積極的に活用して減税制度を最大限活用しましょう。小さいことの積み重ねが大きなお金を生み出します。ぜひ将来的に節税できる金額を想像しつつ、楽しんで地震保険料控除申請を行われてください。
2019年10月08日“老後2,000万円問題”を機に年金制度に注目が集まっている裏で、じつは介護保険制度の“改悪”が検討されている。’21年から負担が倍になる可能性もある改悪の中身とは――。「介護保険制度がスタートしてからまもなく20年になります。現在、制度改正に向けた審議会が行われていますが、利用者の自己負担増となるような改悪プランが検討されているのです」そう懸念を示すのは淑徳大学総合福祉学部の結城康博教授。’21年4月に施行される介護保険制度の改正にむけ、8月29日に厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会で議論が始まった。3年に1度、制度を見直している審議会は、年内までに議論をまとめ、その結果を受け、来年の通常国会で法案が審議される。どんな改悪プランが検討されているのか――。「介護保険制度が始まった当初、要介護認定された高齢者が介護サービスを利用する場合、年収に関係なく、自己負担は1割でした。ところが’15年には280万円以上の年収のある人が2割負担とされ、昨年には年収340万円以上の人が3割の負担とされました。今回の審議会では、2割負担や3割負担の対象者を増やすことが議論されています。とくに2割負担については、厚生年金受給者の平均年収でもある年収190万円以上ある人を対象にする案が具体的に出ています」(結城教授・以下同)所得の基準を下げることで、国民の負担を重くし、国庫の負担を軽くしようという魂胆だ。さらに、比較的軽度な要介護1と2の人を、介護サービスの“対象外”にすることも論点になっているという。「通所介護と訪問介護が、要介護1と2に人が利用する介護サービスの3割を占めています。現在、介護保険において行っているこれらのサービスを、各自治体がボランティアを中心として行っている総合事業に任せようとしているのです」各自治体の裁量に任せられた「総合事業」。介護サービスよりも利用者の自己負担額は安く抑えられるというが……。「’15年の介護制度の改正で、要介護より軽度な要支援1と2が、総合事業に移行しました。ところが、介護のプロではないため利用者が満足なサービスが受けられないケースが続出。ボランティアの人材も不足しており総合事業制度そのものが破綻している状況なんです。とても要介護1、2の受け皿にはなりえません。しかも、洗濯や買い物などの家事は専門職でなくてもできるかもしれませんが、認知症の人に受け入れられ、介助をするとなると、専門的な知識をもった介護職員でないと難しいのです」さらに、介護保険の第2号被保険者として40~64歳が毎月支払っている介護保険料(年間平均3万3,600円)を、若い世代にも払わせることも検討されている。「たとえば、30歳以上から介護保険料を徴収するということも審議される可能性があります。しかし、まだ年齢的に介護が遠く、目の前の生活に手いっぱいの30代から、介護のためと月3,000円も徴収したとしたら、高齢者に対しての悪感情を作ってしまうかもしれません」
2019年10月04日娘の同級生のお母さんとの会話から娘が高校3年生の時のことUpload By 荒木まち子当時、我が家では子どもの通院や入院の保険は親の生命保険に家族特約を付けて補っていました。個人賠償責任保険(他人を怪我させてしまったり、他人の物を壊してしまったりしたときの補償)は自動車保険に個人賠償責任特約を付けてカバーしていました。また学資保険にも加入していたので、我が家は娘が未成年の間は娘自身が保険に入る必要はないと考えていました。娘が19歳の時娘が就職して2年目。前の年に比べ勤務状況も安定し、毎月の収支の目途が立ちやすくなってきたので、私達は保険の資料を集め始めました。Upload By 荒木まち子知的障害や発達障害、ダウン症やてんかんがあっても加入できる保険届いたパンフレットによると保険の保障内容には死亡や入院、通院、個人賠償責任保険の他に権利擁護費用保険(※)が含まれていました。(※)法律相談費用、弁護士委任費用、弁護士接費用同封されていた支払い事例集には「病気やケガによる支払い」の他に「いじめやパワハラの相談」「携帯電話などの購入などに関する相談」「痴漢と誤解されたときの相談費用の支払い」のなどが具体的な事例が記載されていました。Upload By 荒木まち子資料を見て安心した娘は、その後しばらく申込書を放置していました。20歳になってしばらくして娘が血相を変えて会社から帰って来ました。Upload By 荒木まち子社会人になり行動範囲が広くなった娘は、一人での外出の機会も増えました。今回のようなケースに限らず娘は今後、さまざまなアクシデントに遭遇することでしょう。娘は押しの強い相手に言い返すことができません。強引な勧誘や詐欺など、相手が悪意を持って接してきた場合、それを上手くかわすことは難しいということは娘自身も十分自覚しています。娘は他人に危害を加えるタイプではありません。また小さいころに比べ近ごろは大きな怪我や病気をすることもなくなっていたので、娘は保険に対してのんびり構えていたようです。しかしながら今回のことで「やはり自分には保険(特に権利擁護費用保険)は必要」と思ったようです。娘は埋もれていた資料を引っ張り出してきて、自分の給与で無理なく保険料が払えそうな補償プランを選び、申し込みをしました。ニーズに合った保険を探す最近は自転車損害賠償責任保険加入を義務化する地域、自治体も増えてきています。令和2年には新たに知的障害・発達障害等のある人とその家族向けのがん保険(※)の販売も予定されているようです。(※)特徴としては①保険に加入する際に、知的障害等の治療に関する告知が不要。②家族ががんの重度状態(StageⅣ)となった場合に、知的障害等のある人を被後見人とした成年後見制度を利用するための費用を補償する「がん成年後見費用等補償特約」をセットできる。子どもや親の年齢、子どもの障害の種類や特性、行動範囲などによって必要な保険は違ってきます。これからもアンテナを張って最新の情報を集め、自分達に合った保険選びをしていこうと思います。参考:神奈川県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例 | 神奈川県
2019年10月03日養老保険は、保険の契約期間中に死亡した場合でも、満期を迎えた場合でも同額の保険金を受け取ることができる生命保険です。そのため、死亡保険と貯蓄型保険の両方を兼ね備えた生命保険であると考えることもできますが、本記事では、オリコン顧客満足度ランキングの紹介と養老保険のメリットやデメリットといった特徴について触れていきます。オリコン顧客満足度ランキング:養老保険ランキングTOP10上記データは、価格.com 保険がWEBサイトで公開しているカカクコム・インシュアランスにおける契約申込者の割合ですが、養老保険の申込割合が驚きの0%です。データを見た人の中には、価格.com 保険だからではないか?といった反論をされる人もおられるかもしれませんが、今度は同じく比較情報サイトである保険市場の例を見てみましょう。保険市場の場合保険市場の場合、養老保険を選んで比較検討をしようとしても、条件に該当する保険商品がヒットせず、これは価格.com 保険と同じように、養老保険の申込をする人がいないことを意味します。なぜ、このようなことになっているのか、養老保険に加入するメリットとデメリットを紹介しながら、その理由について考えてみます。養老保険に加入するメリットとは養老保険に加入するメリットは、保険契約の期間中に死亡しても、満期を迎えて生存していたとしても同額の保険金が支払われるところにあります。つまり、養老保険は、死亡保険金または満期保険金のいずれかの保険金が必ず受け取れることになるため、仮に死亡した場合は葬式費用に、生存していた場合は、将来の老後資金や子供のための学資資金など、幅広く活用できるメリットがあります。養老保険に加入するデメリットとは養老保険に加入するデメリットは、メリット以上に多くあるのが現状であり、考えられる主なデメリットは以下の通りです。養老保険に加入するのに必要な保険料が高額死亡保障が一生涯ではない契約の仕方によっては、元本割れする可能性がある満期保険金を受け取った場合で差益が生じた場合は課税対象になる不要な保障まで抱き合わせになる可能性がある(郵便局=かんぽ生命)など養老保険の返礼率が高いのは、もはや過去のお話養老保険が多くの保険会社で販売されていた当時は、解約返戻金の返礼率が高いことや一時払い(一括払い)で養老保険の保険料を払い込んでしまうことで、普通預金などでお金をコツコツ貯めるよりも多くのお金が得られるといった考え方が主流でした。しかしながら、現在ではこのような考え方はもはや過去のお話であり、時間とお金をかけてより多くの資産形成をする上で、適当な方法では無くなっているのが現状です。生命保険の予定利率が低くなっているのが現状こちらは養老保険に限りませんが、たとえば低解約型返戻終身保険、学資保険、個人年金保険など、生命保険の解約や満期を迎えることで得られる保険金も、保険会社の予定利率が低いことなどが原因で大きく期待できない状況です。そのような時代の中で、高額な保険料を支払ってまで養老保険に加入するメリットや期待値が大きく損なわれていることも、養老保険が個人の方から受け入れられない原因の1つであるとも考えられます。[adsense_middle]養老保険のシミュレーションが、WEBでほとんどできない一般に保険会社のWEBサイトでは、保険料などのシミュレーションが簡易にできるところも多くなっています。しかしながら、養老保険の場合、シミュレーションをWEBでほとんどできないのが現状となっており、見積もりを保険会社へ直接依頼しなければならない手間や時間がかかってしまっています。このような部分も、養老保険が個人に受け入れられない原因の1つなのではないかと思われます。養老保険を販売している主な保険会社(令和元年度現在)令和元年度現在において、養老保険を販売している主な保険会社を紹介しておきます。なお、紹介順はランキングではなく五十音順とします。かんぽ生命JA共済ジブラルタ生命住友生命ソニー生命第一生命第一フロンティア生命大樹生命日本生命プルデンシャル生命三井住友海上あいおい生命明治安田生命メットライフ生命令和元年度現在において、養老保険を販売している主な保険会社は13社あります。先に紹介したオリコン顧客満足度ランキングの養老保険ランキングTOP10の内、2位にランキングしていた東京海上日動あんしん生命保険では現在養老保険を販売していないという部分は、大きな特徴とも言えそうです。そもそもおすすめの養老保険はあるのか?こちらは筆者個人の見解となりますが、養老保険は、現代の生命保険の保障や資産形成を考慮する上で、残念ながらおすすめできるものではないと考えています。実際に養老保険を販売している保険会社も少ないことが、これまで解説した需要とのバランスを物語っているようにも思えますが、次項では参考情報として、オリコン顧客満足度ランキングの養老保険ランキングTOP10の内、3位までの養老保険について特徴をそれぞれ紹介しておきます。なお、2位の東京海上日動あんしん生命保険は販売を行っていないため、順位を繰り上げての紹介となります。[adsense_middle]第3位:第一生命保険「ジャスト養老保険」第一生命の「ジャスト養老保険」は、一定期間に渡って死亡保障を備えながら将来の資金を形成することができる特徴があり、特に時の経過に応じて解約返戻金が増える点が大きな特徴とも言えます。なお、主な概要は以下の通りです。契約年齢範囲:3歳~80歳保険期間:13歳~90歳保険料払込期間:保険期間と同一保険料払込方法:年一括払・半年一括払・月払保険金額:最低保険金額300万円、最高保険金額7億円診 査:診査扱・告知書扱配当方式:毎年配当保険料例:20歳 10,750円、30歳 14,630円、40歳 22,440円、50歳 45,720円契約内容の変更:保険期間の変更、保険金額の減額、契約者貸付制度、払済保険への変更が可能第2位:かんぽ生命保険「新フリープラン」かんぽ生命の「新フリープラン」の主な特徴として、保険金の倍額支払があり、不慮の事故や感染症で死亡した場合で所定の条件を満たしている場合、当初の死亡保険金の倍額が支払われる特徴があります。なお、保険期間は10年から最長50年の間で、1歳きざみに設定できる特徴もあります。契約年齢範囲:0歳~80歳(契約種類により異なる)保険期間:10年~50年(ただし、被保険者の年齢により異なる)保険料払込期間:保険期間と同一保険料払込方法:月掛保険金額:最低保険金額100万円、最高保険金額1,000万円(ただし、被保険者の年齢により異なる)診 査:告知書扱配当方式:毎年配当保険料例:30歳 48,563円、35歳 63,679円、40歳 93,725円契約内容の変更:保険金額の減額、契約者貸付制度、払済保険への変更が可能第1位:ソニー生命保険「5年ごと利差配当付養老保険」ソニー生命の「5年ごと利差配当付養老保険」は、責任準備金などの運用成果に応じて、契約後6年目から5年ごとに契約者配当金が支払われるほか、被保険者が不慮の事故により180日以内に所定の身体障害の状態になったときは、以後の保険料の払込が免除されます。また、保険金額が500万円以上の場合、高額割引制度が適用される特徴もあります。契約年齢範囲:0~78歳保険期間:20年~30年(5年きざみ)、60・65・70・77・88歳で選択保険料払込期間:年満期:保険期間と同一、歳満期:保険期間と同一保険料払込方法:年払・半年払・月払保険金額:最低保険金額100万円、最高保険金額7億円診 査:診査扱・告知書扱等(契約年齢および保険金額により異なる)配当方式:5年ごと利差配当保険料例:25歳24,220円、30歳28,750円、35歳35,120円、40歳44,690円、45歳 60,580円契約内容の変更:保険期間の変更、保険金額の減額、契約者貸付制度、払済保険への変更が可能養老保険のおすすめ人気ランキングに関するまとめ現状では、個人が生命保険の加入や見直しにあたり、養老保険を活用することは、一昔前とは異なり不利になってしまう点が多くあるため、あまりおすすめできる生命保険とは言えません。実際のところ、養老保険を販売している保険会社もさほど多くなく、さらに比較情報サイトを基に比較検討や情報を集めることができない現状も踏まえますと、いかに養老保険の需要が無いのかご理解いただけるのではないでしょうか。
2019年09月24日国民年金の保険料は、原則として、日本に住んでいる20歳から60歳までの人が納めなければならない義務を負っています。そのため、例えば20歳を過ぎた学生をはじめ、失業して収入のない人など、国民年金を払うのが困難な人や払えない人にも納付義務があることを意味します。最悪な場合ですと、年金を払わないことによる財産の差し押さえもあり得ることを踏まえ、本記事では年金と差し押さえの関係について解説を進めます。年金を払わないと、ただちに財産が差し押さえられるわけではない国民年金保険料を未納のまま、長い期間に渡って放置していた場合で、最悪な場合は財産を差し押さえられてしまうことになるのは確かですが、年金を払わないからといって、ただちに財産が差し押さえられるわけではありません。実際に、国民年金保険料の未納がある場合、通常は年金事務所から特別催告状が自宅へ郵送で送られ、何かしらの対応が求められます。また、日本年金機構から委託を受けた会社(アイヴィジット)が、国民年金保険料の未納になっている人に対して、電話などで納付を促すこともあります。国民年金保険料の未払いや不払いによる滞納を長く続けると危険信号国民年金保険料の未払いや不払いによる滞納を長く続けることは問題ですが、何よりも大きな問題は、年金事務所などから連絡があった場合に未対応のまま放置することです。前項では、年金を払わないからといって財産がただちに差し押さえになるわけではないことをお伝えしましたが、大まかに解説しますと、催促、督促、最終通告などのように、未納や滞納問題がエスカレートしていき、最終的に財産の差し押さえとなるわけです。年金を払えない、払わないから連絡しないは最もしてはいけないこと年金事務所などから催促や督促などの連絡が来た時に、年金を払えないためや払う気がないからなどといった理由で、連絡をしないことは最もしてはいけないことです。たとえば、経済的な理由などが原因で毎月国民年金保険料を納めるのが困難な人も多いと思われますが、このような立場に置かれている方であれば、まずは年金事務所へ相談をしに行き、納付ができない事情をしっかりと説明することが重要です。国民年金保険料の未納や滞納による催促や督促などの対応方法とは前項で紹介しましたように、国民年金保険料の未納や滞納による催促や督促などが届いた場合は、放置をせずに速やかに年金事務所へ相談をすることが正しい対応方法と言えます。当然のことながら、未納や滞納をしている国民年金保険料をすべてまとめて納付できることが望ましいのは確かですが、意図的に払わない人を除きますと、その大半は経済的な理由によるものが考えられ、全額納付はまずもって不可能でしょう。年金事務所へ相談を行い、国民年金の保険料免除申請を行う国民年金保険料の未納や滞納による催促や督促などが届いた場合は、放置をせずに速やかに年金事務所へ相談をすることが正しい対応方法です。この時、なぜ国民年金保険料を納付することができないのか、事情を説明した上で国民年金保険料の免除申請を行うようにして下さい。なお、免除方法には全額免除、半額免除などがあり、相談に行った人だけではなく、配偶者などの収入(所得)によって免除の条件が変わります。国民年金保険料の未納や滞納が多いと考えられる人とその理由国民年金保険料の未納や滞納が多いと考えられる人には、主に無職やフリーターなど収入(所得)が少ない人、自営業者やフリーランス、場合によっては学生などが考えられます。また、次項で紹介する国民年金の種別が変更になったことによる影響もあると思われますが、このように言い切れる理由には、収入の問題だけではなく、国民年金に加入している人の種別と納付方法が大きく関係しているためです。[adsense_middle]国民年金に加入している人は、大きく3つの種別に分けられる本記事の冒頭では、国民年金の保険料は原則として、日本に住んでいる20歳から60歳までの人が納めなければならない義務を負っていることをお伝えしました。そのため、上記年齢の範囲にあてはまっている人は、基本的に以下で紹介する3つの種別のいずれかに必ず該当していることになります。(例外あり)国民年金の第1号被保険者国民年金の第1号被保険者とは、後述する、国民年金の第2号および第3号の被保険者にあてはまらない人のことを指し、考えられる主な職業は以下の通りです。無職フリーター自営業者フリーランス学生など国民年金の第2号被保険者国民年金の第2号被保険者とは、会社員や公務員など、毎月の給料などから厚生年金保険料が天引きされている人のことを言います。判定のポイントとして、必ず正社員でなければならないといったことではなく、契約社員、アルバイト、パートなどといった待遇であったとしても、毎月の給料などから厚生年金保険料が天引きされている人であれば、国民年金の第2号被保険者に該当します。国民年金の第2号被保険者になる主な職業は、以下の通りです。会社員公務員契約社員・アルバイト・パート(毎月の給料などから厚生年金保険料が天引きされている場合に限ります)会社役員など国民年金の第3号被保険者国民年金の第3号被保険者とは、前項で解説した国民年金の第2号被保険者に扶養されている配偶者で、年齢が20歳以上60歳未満の人です。実務上、国民年金の第3号被保険者に該当するためには、収入要件など他の条件も満たしている必要がありますが、ここでは、大まかに主な職業を紹介しておきます。専業主婦(主夫)アルバイトやパートに就いており、給料から厚生年金保険料が天引きされていない人種別における国民年金保険料の納付方法国民年金の種別は第1号被保険者から第3号被保険者まであることが分かりましたが、それぞれの種別によって国民年金保険料の納付方法は異なります。重要ポイントは、第1号被保険者以外は、基本的に自ら国民年金保険料を納付することがないため、仮に国民年金の第2号被保険者や第3号被保険者になっている期間については、未納期間や滞納期間が発生することはないことになります。国民年金の種別変更に注意勤務先を退職した場合や年齢が60歳に達した場合など、様々な事情によって国民年金の種別が変更になることがあります。たとえば、国民年金の第2号被保険者であった人が勤務先を退職し、その人には扶養している配偶者がいたとします。この時、夫婦いずれも国民年金の第1号被保険者に種別が変更となり、種別変更届を行わなければ、将来もらえる年金額などに影響が生じてしまう点に注意が必要です。国民年金の種別変更忘れによる不整合があった場合前項の例の続きとなりますが、たとえば会社員であった第2号被保険者が退職し、第3号被保険者であった配偶者が種別変更届を行わなかった場合、誤りのあった部分についての国民年金保険料を後から納付する必要があります。(本来ならば第1号被保険者であるのにも関わらず、第3号被保険者として取り扱われていた未納部分のことです)この場合、基本的に配偶者である本人に国民年金保険料を納付する義務が生じますが、本人が納付できない場合、次項で紹介する法律上のルールに則って納付をする必要があります。国民年金保険料の納付義務についてポイントを知っておこう国民年金保険料を払わないと最終的には財産を差し押さえられることになるのですが、ここでは国民年金保険料の納付義務についてポイントを解説します。実のところ、国民年金法という法律の中には、国民年金の納付義務について規定しており、以下にポイントをざっくりまとめます。国民年金の被保険者は、国民年金保険料を納付しなければならない世帯主は、世帯に属する被保険者の国民年金保険料を連帯納付する義務を負う配偶者は、被保険者になっている他方の国民年金保険料を連帯納付する義務を負う国民年金保険料を本人が納付できない場合、世帯主や、未納や滞納状態である本人の配偶者が連帯納付しなければならないことを意味します。[adsense_middle]国民年金保険料と財産の差し押さえについて、これまでの解説をまとめます国民年金保険料と財産の差し押さえについて、これまでの解説を流れに沿ってまとめます。国民年金保険料が未納や滞納状態の場合、年金に関係する機関から特別催告状などの納付に関係する連絡がある1の連絡があった場合、速やかに年金事務所へ納付の相談へ行き、国民年金保険料の免除申請手続きを行う免除された期間について、催促や督促といった連絡が来ることはない免除申請の結果、免除された以外の未納部分がある場合は納めることになるが、本人のみならず、世帯主や配偶者も連帯納付する義務を負っている国民年金保険料を払わないことによる財産の差し押さえは、本人のみならず、世帯主や配偶者などが意図的に払わないなど、悪質な場合に十分ありえると予測できます。国民年金保険料を納付しないことによる財産の差し押さえは余程のこと国民年金保険料を納付しないことによる財産の差し押さえは余程のことであると考えられ、通常は年金事務所などから連絡が入った後に、納付についての相談をすることで解決するはずです。しかしながら、相談後のルールを破ったり、連絡を無視し続けたことが財産差し押さえという最悪な結末を迎える訳であり、いわば自業自得というしかありません。年金未納による差し押さえに関するまとめ国民年金保険料の未納や滞納が原因で財産を差し押さえられる場合とは、催促や督促といった再三の連絡に対して、応対や相談をしなかった場合であり、いわば長い期間に渡って、極めて不誠実な対応を行ったことによる結果です。国民年金保険料は、世帯主をはじめ配偶者なども未納となっている家族のものを連帯納付する義務を負っているため、年金を払わないことによる財産の差し押さえは余程のことと理解する必要があるでしょう。
2019年09月23日養老保険とは、保険契約を締結した保険期間(保障期間)に、養老保険の保障対象となる人(被保険者)が死亡した場合は死亡保険金が支払われ、生存していた場合は満期保険金が支払われる生命保険です。一般に、養老保険は貯蓄機能に優れていると言われることがあるのですが、現代の事情や若年者の皆さんの将来を考慮しますと、はたして養老保険に加入することは得策なのか疑問が残ります。そこで本記事では、養老保険のメリットやデメリットをはじめとした養老保険の考え方について解説を進めていきます。養老保険の仕組み養老保険とは、どのような生命保険なのか冒頭で紹介しましたが、改めて、図を活用して、その仕組みについて触れておきます。養老保険は、保険契約した時から満期までの保険期間(保障期間)に渡って死亡しても生存しても保険金が受け取れる生命保険であることが分かります。また、養老保険の契約の仕方によって異なるものの、保険料の払込期間(支払い続ける期間)も契約から満期までになっている点もポイントと言えます。養老保険に加入するメリットとは養老保険に加入するメリットは、保険契約の期間中に死亡しても、満期を迎えて生存していたとしても同額の保険金が支払われるところにあります。養老保険は、死亡保険金または満期保険金のいずれかの保険金が必ず受け取れることになるため、仮に死亡した場合は葬式費用、生存していた場合は老後資金やその他の足しにといった具合に活用できるメリットがあります。養老保険のデメリットとは養老保険のデメリットは、保険料が、終身保険や定期保険などといった死亡などが原因で支払われる生命保険に比べて、かなり高額な点が挙げられます。併せて、養老保険の保障内容を提示された際の保険設計書に記載されている配当金は、あくまでも概算値であるため、将来必ず支払われる金額ではない点もデメリットと言えます。これ以外に考えられる養老保険のデメリットは次項の通りです。死亡保障が一生涯ではない養老保険に加入しますと、養老保険の被保険者が死亡した場合に死亡保険金が支払われることになりますが、満期を迎えることによって満期保険金を受け取り保障が終了します。そのため養老保険は、終身保険のように死亡保障が一生涯ではないデメリットがあります。契約の仕方によっては、元本割れする可能性がある養老保険は、契約の仕方によって元本割れを起こしてしまう可能性があり、将来受け取ることになる満期保険金と総支払保険料の差額がどのくらいになるのかしっかりと確認しておくことが極めて重要です。仮に、養老保険に加入する前に提案された保険設計書などで、将来の元本割れが起こる場合、加入を見送ったり、加入内容を見直したりする必要があります。養老保険の差益は課税対象になる養老保険に加入し、受け取った満期保険金が、これまで支払ってきた総支払保険料よりも多くなった場合、その差益は一時所得として課税対象になります。総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)=一時所得の金額たとえば、満期保険金が1,000万円、総支払保険料が900万円だったとしますと、50万円(1,000万円-900万円-50万円)が一時所得の金額となりますが、税法上、50万円の2分の1にあたる25万円が課税対象です。不要な保障まで抱き合わせになる可能性があるこちらはすべての養老保険ではありませんが、保険会社が販売している養老保険の中には、死亡保障だけではなく、医療保障など不要な保障まで抱き合わせで付帯されてしまう可能性があります。そのため養老保険に加入する前は、保険会社間の比較はもちろんですが、どのような保障が付帯されることになるのか、あらかじめしっかりと確認しておくことが大切です。養老保険への加入は、おすすめできるのか?養老保険のメリットとデメリットについて紹介しましたが、実際のところ、養老保険に加入することはどうなのか気になる人もおられると思います。こちらにつきましては、個々によって考え方は異なりますが、筆者個人の見解としては養老保険の加入をおすすめしません。以下、その理由について、参考程度となりますが紹介していきます。[adsense_middle]昔と今で時代が大きく変化しており、生命保険の活用方法や意味合いも変化しているため養老保険の活用を振り返りますと、一昔前は予定利率や解約返戻金の返礼率が高く、さらに養老保険は、死亡しても生存しても保険金が支払われる大きなメリットがあるため、評判や人気が高かったことは確かです。しかしながら、平成から令和の時代に入った現在におきましては、掛金が高額で、予定利率や解約返戻金の返礼率が低くなっており、貯蓄機能に優れている強みを活かすことがかなり難しくなっています。一時払い養老保険の強みも低下一時払い養老保険とは、たとえば、保険期間(保障期間)が10年の養老保険であれば、10年分の保険料を一括で支払うもので、いわば10年分の保障を一度に買ってしまうイメージです。一時払い養老保険も当初は、高い予定利率に貯蓄機能の強みもありましたが、現在では掛金が高額で低い予定利率によって強みが見出せず、さらにまとまった多額のお金があるのであれば、もっと効果の高いお金の活用ができる時代になっています。積立投資を活用した投資制度の充実現在、つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)といった、自助努力によって将来の老後資金などを作るための投資制度が充実しており、少なくとも養老保険に加入するよりも、これらの投資制度を活用した方が大きなメリットが得られます。たとえば、節税効果やお金の流れを表すキャッシュフローといった点におきましても、養老保険よりもこれらの投資制度を活用した方が有利になる場合がほとんどです。養老保険への加入と投資制度の活用を目的別に比較前項では、養老保険の加入をおすすめできない理由について、筆者個人の見解を紹介させていただきましたが、ここでは養老保険と投資制度の活用において、加入目的別に簡易に比較したものを2つ紹介しておきます。なお、比較する上において、養老保険を販売している某保険会社(公平性の観点から保険会社名は公開しません)が、保険料例としてWEBで公開している以下情報を下に考えていきます。[adsense_middle]比較の前提条件養老保険に加入契約した年齢は、30歳とし、満期は60歳とします死亡保険金および満期保険金は、1,000万円とします毎月の掛金(保険料)は、男性で30,110円、女性で29,900円としますつみたてNISAは、20年間で1,000万円の資産形成をするものとしますiDeCoは、30歳から60歳まで30年間、資産運用するものとします上記以外の条件は加味しないものとします将来が心配なので、特別な事情を考えず、普通に1,000万円準備しておきたいはじめに、将来が心配なので特別な事情を考えず、普通に1,000万円準備しておきたいといった考え方の下、養老保険に加入する場合とつみたてNISAを活用する場合を比較してみます。1,000万円を準備するのに、養老保険では30年間という期間を要し、つみたてNISAでは20年間という期間を要していることがわかり、10年間の差は大きいことが確認できます。付け加えて、養老保険は差損益がマイナス、つみたてNISAではプラスとなっており、養老保険の活用がおすすめできない理由が明白であることが分かります。老後の生活が心配なので、老齢年金にプラスした老後資金1,000万円を準備したい今度は、老後の生活が心配なので、老齢年金にプラスした老後資金1,000万円を準備したいといった考え方の下、養老保険に加入する場合とiDeCoを活用する場合を比較してみます。iDeCoは、年齢が60歳になるまで老後資金を自ら準備するための投資制度であるため、仮に30歳からiDeCoに加入した場合、前提条件にある運用期間はいずれも30年で同じになります。この時、1,000万円を準備するのに、養老保険は差損益がマイナス、iDeCoではプラスとなっているほか、毎月の掛金が養老保険に比べてiDeCoは少なく済んでいるため、他の必要な部分にお金を充てられることも分かります。毎年の所得控除額による節税効果にも大きな差が生じる養老保険に拠出した1年間の生命保険料は生命保険料控除として所得控除の対象となり、iDeCoに拠出した1年間の掛金は、小規模企業共済等掛金控除としてこちらも所得控除の対象となります。しかしながら、これら2つの所得控除は税法上大きな違いがあり、前提条件を基にした1年間の所得控除額による違いは以下の通りです。養老保険の保険料とiDeCoの掛金に対する所得控除の取り扱いは全く異なり、iDeCoの掛金として拠出した場合、掛金の全額が所得控除の対象となるため、納めるべき所得税および住民税が大きく軽減される効果が得られます。同じ時間やお金を活用する場合、養老保険に加入するメリットが見出せないここまで、養老保険とつみたてNISAやiDeCoの活用を目的別に比較したものを紹介しましたが、それぞれの比較結果を踏まえますと、同じ時間やお金を活用する場合、養老保険に加入するメリットが残念ながら見出すことができないと筆者は考えます。筆者が、養老保険に加入することをおすすめできないと申し上げた理由には、先に紹介した比較内容や税法上の取り扱いなど、養老保険の加入者側が不利になる内容が多いからです。それでも養老保険に加入する場合、比較検討をして判断する養老保険に加入することをおすすめしない理由について、筆者個人の見解をお伝えさせていただきましたが、それでも養老保険に加入する場合、保険会社間で比較検討することが大切になります。また、あくまでも参考程度に留めておく必要がありますが、養老保険のランキングを比較検討するための材料として活用してみるのも1つの方法とも言えるでしょう。養老保険に関するまとめ養老保険には、保険金を必ず受け取れるメリットがあるものの、加入目的によっては、養老保険に加入するよりも得策なお金の活用方法があることは確かです。特に投資制度を活用した積立投資におきましては、同じ金額や同じ時間を活用した場合、養老保険よりも得られるメリットが大きくなることも十分考えられます。そのため、それぞれの効果を比較検討しながら、ご自身にとって効果的なお金の活用方法を探されてみることをおすすめします。
2019年09月23日「この10月から、全国的に火災保険料の大幅な値上げが実施されます。それは、損害保険会社が保険料算出の基準にする『参考純率』が、平均5.5%引き上げられたためです」そう語るのは、「保険相談サロンFLP用賀SBS店」所属で、ファイナンシャルプランナーの佐藤和士さん。建物や家財を守る火災保険。火事だけでなく、台風による窓の破損や床上浸水、雪の重みによる屋根の倒壊など、風災や水害、雪害も補償対象だ。住まいを守るために欠かすことのできないこの保険が値上がりした要因は、’18年5月、「参考純率」が4年ぶりに見直されたこと。火災保険の保険料は、「損害保険料率算出機構」が決めた「参考純率」をもとにして、保険会社が個別の状況(経営状況、価格戦略等)をふまえて決めている。そしてこの保険料は地域や、建物構造(マンション・鉄骨造住宅・木造住宅の3種類)、築年数、補償内容などによって異なる。今回、「参考純率」が最も大きく引き上げられたのは鹿児島県のマンション。その改定率は40.1%と、平均を大きく上回っている。引き上げの背景を、佐藤さんは次のように話す。「近年、ゲリラ豪雨や台風などによる水害、豪雪の被害が多発し、保険金の支払いが急増していることが影響しているでしょう。これまで保険金の支払いは4,000億円前後だったのですが、’18年度には1兆円を超えてしまう見込みです」参考純率は’14年にも改定されているが、それ以降も大規模な雪害や水害が起こっている。九州を中心に襲った’15年の台風15号、記録的な暴風や猛烈な雨で被害をもたらした’18年7月の西日本豪雨……。とくに’18年9月の台風21号は大阪府をはじめとした地域が甚大な被害を受け、保険金の支払いは過去最高額の9,698億円に。莫大な保険金額を今後も支払うことを予想し、民間の各保険会社は値上げのプランを明らかにしている。東京海上日動の火災保険を例にとってみよう。次の都道府県、建物構造に当てはまる住居は、30%以上の値上げがなされる。■栃木県、群馬県、富山県、石川県、山口県、九州7県、沖縄県のマンション■山形県、栃木県、群馬県、山口県、熊本県、鹿児島県の鉄骨住宅■熊本県の木造住宅佐藤さんが続ける。「三井住友海上は築年数が10年以上の場合、大幅に値上げされることがほとんど。ただし、木造住宅はほか2つの建物構造と比べ、上昇率が据え置かれている印象です」
2019年09月19日住宅ローンを組むときに、団体信用生命保険に加入する人は、生命保険を見直しましょう。必要な死亡保障額を算出し、その分だけ民間の生命保険で賄えるようにすれば、保険金による十分なサポートを確保しつつ、月の支払いを抑えることができ、家計が楽になる可能性があります。■ 1. 住宅ローンと生命保険の関係は?スイマー / PIXTA(ピクスタ)一般的に、銀行等で住宅ローンを組む場合、団体信用生命保険(=団信)に加入することが条件とされることがほとんどです。1-1住宅ローンと団体信用生命保険住宅ローンの返済者が返済途中で死亡した場合は、団信の保険金で残りの住宅ローンが一括返済される仕組みになっています。つまり、団信は生命保険なのです。金融機関が団信加入を必須にするのは、ローン返済者がいなくなったときに債務が残らないようにするためです。住宅ローンを借りる人が併せて団体信用生命保険に加入することで、万一のことがあっても、銀行は住宅ローンの返済が滞る心配をしなくて済みます。遺族は住宅ローンの返済を免除されて住宅を手元に残すことができるようになっていて、住宅ローンの借り手・貸し手の双方にとってメリットがある保険といえます。団信加入不要の金融商品は「フラット35」ほか、数えるほどしかありません。1-2団信の補償内容と民間の生命保険の保障内容団信が生命保険ならば、自分の入っている民間の生命保険と同じ保障内容になっている可能性があるために、それぞれの保障内容を確認する必要があります。保障内容がかぶっているものがあれば、内容を精査し、最低限の保障内容になるようにしましょう。削減した場合は保険料が月数万円安くなる、総額で数百万円安くなる場合もあります。削減した保険料では貯蓄や住宅ローンの繰り上げ返済などに回すことができ、さらに住宅に支払う費用を抑える効果が期待できます。■ 2. 生命保険の内容、どう見直せばいいの?CORA / PIXTA(ピクスタ)生命保険見直しの必要性が理解できたら、次に、実際どのように見直せばよいかを見ていきましょう。2-1残される家族の生活費を考える契約者が亡くなってしまったあとは、ローンの残債に充てるお金のほかにも様々なお金が必要なはずです。例を挙げると、残された家族の住居費(家賃)、食費、光熱費、通信費、日用品費、娯楽費、医療費、教育費などがあると思います。それらをなるべく正確に算出しましょう。2-2必要保障額を算出する必要な費用の合計額を算出したら、そこから遺族年金や死亡退職金等の死亡後の収入、貯蓄額を差し引きます。この「必要保障額」が生命保険の保障金額にすべき金額です。2-3両方の保険を使ってカバーできるようにする団体信用生命保険により万一の場合のローン返済はされます。そのために、民間の保険では、必要保障額が補償金として支払われるように設定しましょう。両方の保険によってうまく保障内容を設定すれば、余分な出費がなくなります。■ 3.まとめtombo / PIXTA(ピクスタ)住宅ローンを組んだら、団体信用生命保険に加入することになるため、既存の生命保険と保障が重複する場合があります。重複を避けるために、必要保障額を算出し、最低限のカバーができるように保障内容を再設定しましょう。ただし、ライフステージによって必要な死亡保障額が変わってくる可能性があります。定期的に見直しをすることを忘れないようにしましょう。ファイナンシャルプランナー(AFP)/宅地建物取引士一般社団法人/家族信託普及協会®会員吉井希宥美
2019年09月18日「『年金生活者支援給付金』とは、公的年金を受け取っている人で、年金を含めた所得が一定額以下の方の生活を支援するために、消費税が引き上げられる10月から年金に上乗せして支援金が支給される公的支援制度のことです」こう語るのは社会保険労務士の和田雅彦さん。10月から消費税が10%にアップすることで私たちの生活はますます厳しくなることが予想される。そんななか最も影響を受ける低所得者への支援という意味合いで「年金生活者支援給付金」(以下、支援給付金)が増税のタイミングで新設されるという。「給付対象者には今月中に請求書が送付される予定です。請求書に所定事項を記入し、返送することで国(日本年金機構)が審査をし、給付の決定を行います。給付対象者になると、10月以降に支給額が記載された通知書が届きます」つまり“自ら手続きをしないともらえるものももらえない”というのは、他の年金関連の申請手続きと同じということ。そこで支援給付金の仕組みと手続き方法について和田さんに解説してもらった。「まず対象となるのは65歳以上で年金が支給されている方。そして、前年の収入が年金と他の収入を合わせても老齢基礎年金の満額相当額(約78万円)以下であること。これから年金を受け取る人もこの要件に該当すれば支給されます」ただし所得が要件をギリギリ超えてしまって対象外となった場合、給付を受けた人より封入が少なくなる“逆転現象”が起こることも。「そのときは、年金と他の収入が約88万円までであれば、逆転が起こらないように、別の給付金『補足的老齢年金生活者支援給付金』が支給されることになります」また障害基礎年金、遺族基礎年金を受けている人で、給付金の受給要件を満たしている場合も支給の対象になる。厚生労働省の試算では、すべて合わせると対象者は約970万人になるという。となると、気になる支給額は?「老齢年金受給者に対する給付ですと、対象者は基本的に『月額5,000円×保険料納付済期間÷480』で計算された額が支給されます。保険料納付済期間とは、20歳から60歳までの40年間(480月)のうち、国民年金の保険料を支払った期間、会社員や公務員であった期間、あるいは会社員、公務員の被扶養配偶者であった期間です。また、保険料免除期間についても給付に反映されます」ちなみに“480月すべて支払った”場合には、月額5,000円、年間6万円が支給されることになる。「また対象は世帯ではなく個人ですので、夫婦どちらも支給対象となる場合は、それぞれに支給されることになります」対象者には9月中に請求書が送付されてくるが、どんな申請手続きが必要なのだろうか――。「請求書はハガキ形式となっており、基本的には、提出日、氏名、電話番号を所定の位置に書き込むだけです。難しくないので、書類が届いたら早く申請しましょう」支給の要件を満たす限り、一度手続きを行えば、以後の手続きは不要だが、いったん支給の要件を満たさなくなった場合は、再開には改めて請求手続きが必要になる。「認定されると10月分と11月分の給付金は、12月中旬に振り込まれます。以降、振り込みは年金と同じ口座に偶数月に行われます。ただし、ハガキ請求の到着が10月18日以降になると、振り込みも来年2月以降になってしまいます。さらに、今年中に請求すると、制度のスタートである10月分から振り込まれますが、請求が来年にずれ込むと、請求した月の翌月分からしか受け取れないので注意が必要です」「申請用紙が届かない」「自分が対象範囲内なのかわからない」という場合は速やかに近くの年金事務所に相談することと和田さん。「とにかく、認定請求をしないことには給付は受けられません。また、申請が遅れると損をしてしまいます。自分の身は自分で守るためにも、早急の申請を心がけてください」
2019年09月18日現行の年金制度では、原則として65歳になると、将来の老後生活資金にあたる老齢年金を受け取ることができます。ただし、年金は65歳になってから受け取る方法だけではなく、60歳から受け取り時期を早めて年金をもらうことや年金の受け取り時期を65歳以降に遅らせることで、増額された年金を受け取ることもできるようになっています。本記事では、これらの内、年金の受け取りを遅らせる繰り下げ受給についてポイント解説を進めていきます。国民年金の繰り下げ受給とは老齢基礎年金(国民年金)の繰り下げは、66歳から1ヶ月ごとに0.7%ずつ増額され、細かく増額率が設けられていることが分かります。年金を繰り下げすることによってもらえる年金が増えることはご理解いただけたものの、実際の年金額がいくらになるのかイメージがわかないと思いますので、次項では簡単な例で繰り下げ受給の効果を紹介します。老齢基礎年金(国民年金)の繰り下げをした場合の年金額老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間においてすべて国民年金保険料を納付した場合、65歳から支給される年金額は年額で780,100円です。(令和元年9月現在)ここでは、仮に40年間の国民年金保険料をすべて納めた状態の人が、66歳0ヶ月から繰り下げした場合と70歳から繰り下げした場合の年金額を以下に紹介します。歳0ヶ月から繰り下げした場合繰り下げによる増加した年金額:780,100円×4%≒65,528円老齢基礎年金(国民年金)の年金額:845,628円(780,100円+65,528円)老齢基礎年金(国民年金)を繰り下げした場合の年金額を計算するには、年間の年金額に増額率を乗じて計算します。66歳0ヶ月から繰り下げした場合、上記表(緑枠)より8.4%を乗じて計算し、加算しますと、年金額は845,628円となり、1ヶ月あたりの年金額は70,469円となります。70歳から繰り下げした場合繰り下げによる増加した年金額:780,100円×42%=327,642円老齢基礎年金(国民年金)の年金額:1,107,742円(780,100円+327,642円)70歳から繰り下げした場合、上記表(水色枠)より42%を乗じて計算し、加算しますと、年金額は1,107,742円となり、1ヶ月あたりの年金額は約92,311円となります。厚生年金をもらえる人は、老齢厚生年金も繰り下げの対象会社員や公務員の方をはじめ、これまで厚生年金保険に加入した年金履歴がある人は、前項で紹介した老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金も支給されます。この時、年金の繰り下げを行った場合、国民年金から支給される老齢基礎年金だけではなく、厚生年金から支給される老齢厚生年金も繰り下げの対象となります。なお、厚生年金を繰り下げした場合における増額率は国民年金と同様ですが、厚生年金を繰り下げした場合、経過的加算額が上乗せされるため、受け取ることができる年金はさらに多くなります。年金受取年齢は何歳が良いのか?65歳を基準に比較検証本記事の冒頭では、年金は65歳になってから受け取る方法だけではなく、60歳から受け取り時期を早めて年金をもらうことや年金の受け取り時期を65歳以降に遅らせることで、増額された年金を受け取ることもできる旨をお伝えしました。年金を早くもらうことを繰り上げ、遅くもらうことを繰り下げと言いますが、ここでは本来年金が支給開始になる65歳を基準に、繰り上げした場合、65歳から年金をもらった場合、繰り下げした場合の3つを比較してみます。[adsense_middle]比較検証の前提条件と比較結果比較検証を分かりやすくするために、以下の前提条件で簡易なものとします。比較検証は、60歳から繰り上げをした場合、65歳から年金を受け取る場合、70歳まで繰り下げした場合の3パターンを比較します支給される年金は、令和元年9月現在における老齢基礎年金の満額(780,100円)のみとします60歳からの繰り上げは、30%減額とし、70歳からの繰り下げは42%増額とします死亡年齢は、平均寿命とし、男性81歳、女性87歳とします上記以外の条件は、加味しないものとします男性の場合女性の場合比較検証結果は、何年生きられるかわからないため、結果論に過ぎない比較検証の結果、男性も女性も平均寿命まで生存していた場合、年金を70歳から繰り下げする受取方法が最も有利であることが分かり、女性の例のように、長生きをすればするほど総受取年金額に大きな差が生じることになります。ただし、自分自身が何歳で死亡するのか分からないわけでありますから、あくまでも比較検証は結果論であり、早くに死亡した場合は逆転現象が起こることになります。年金を繰り下げするメリットとデメリットこれまでの解説や比較検証を基に、年金を繰り下げするメリットとデメリットをまとめます。年金を繰り下げするメリット年金を繰り下げするメリットは、本来もらえるはずの年金が多くなるところにあります。前項の比較検証は、国民年金(老齢基礎年金)のみの場合で簡易的なものとなりますが、仮に厚生年金から支給される老齢厚生年金のことも考慮しますと、年金を繰り下げすることによる年金額の増加は、さらに大きなものになります。また、繰り下げした際の増額率は一生変わらないため、長生きするほどその効果が大きくなります。年金を繰り下げするデメリット年金を繰り下げするデメリットは、仮に早くに死亡をしてしまった場合、もらえるはずであった老齢年金を受け取ることができないため、結果としてロスが生じてしまう懸念があります。このほか、国民年金の振替加算や厚生年金の加給年金など、ざっくり言ってしまうと、一定条件を満たすことで保障されるその他の年金が支給されないデメリットが生じる点も挙げられます。毎年、税金を納めなければならない懸念が生じる年金の繰り下げを行いますと年金収入が多くなりますが、1月1日から12月31日までの1年間で受け取った老齢基礎年金(国民年金)と老齢厚生年金(厚生年金)は、雑所得として税金が課される対象となります。そのため、たとえば年金を繰り下げして70歳からもらう場合などで、老齢基礎年金(国民年金)と老齢厚生年金(厚生年金)をいずれの年金も受け取る場合などは、毎年税負担が強いられる可能性が高くなります。税法上の扶養控除の対象にならない懸念が生じる年金を繰り下げすることによって年金収入が多くなった場合、年金受給者である本人は税負担が生じる可能性があるほか、税法上の扶養控除の対象にならない懸念も生じます。たとえば、会社員である子供と同居をしていたと仮定し、年金収入が少ない場合、子供は親を扶養控除の対象とすることができる可能性が高く、税負担を軽減させられますが、繰り下げによる年金収入が多い場合は、扶養控除の対象外になってしまう可能性も否めません。健康保険の被扶養者になれない可能性が高くなるこちらも会社員である子供と同居をしている例で紹介しますが、年金を繰り下げすることによって年金収入が多い場合、健康保険の被扶養者になることができず、75歳になるまでは国民健康保険に加入する必要があります。(75歳から後期高齢者医療保険に切り替わるため)健康保険の被扶養者になれることで国民健康保険の負担を当然に避けられますが、世帯全体で見ますと、無駄にお金を支出してしまう懸念が生じることも否めません。年金を繰り下げする上での注意点年金を繰り下げすることによって年金が多くもらえることは確かですが、前項で紹介した各種年金制度や税金をはじめ、公的保険などの関係性も幅広い視野で見ていきますと、一概に年金が多くもらえるから得といった考えになるのは危険です。年金を繰り下げすることによって年金収入が増加する分、税負担や公的保険の負担が強いられるとするならば、それらの支出を差し引いたトータルで、年金の繰り下げを検討する必要があると言えます。以下、年金を繰り下げするその他の注意点について紹介します。[adsense_middle]年金の繰り下げ手続き後に取り消しや修正はできない年金の繰り下げをするためには、繰り下げをするための手続きをする必要があるのですが、一度繰り下げ手続きをしますと、後から取り消しや修正といった各種変更をすることはできません。そのため、年金の繰り下げ手続きを行う前は十分に考え、慎重な判断が必要になると言えるでしょう。年金の繰り下げは、遺族が代わりに行うことができない仮に、年金の繰り下げの待機中に本人が死亡してしまった場合、遺族は死亡した本人がもらうべきであった年金を未支給年金といった形で受け取ることができます。ただし、未支給年金は日本年金機構(年金事務所)に対して請求しなければもらえないほか、未支給年金の金額は繰り下げした金額ではなく、本来ならば65歳から支給されるはずであった金額となります。他の年金を受け取れる権利が発生した場合、繰り下げできない他の年金を受け取れる権利とは、具体的には66歳になる前に遺族厚生年金や障害厚生年金などを受け取れる権利を得た人のことを指し、このような人は年金の繰り下げができないことになっています。年金の繰り下げは、損得以前に老後生活ができるのかを考える年金は、老後生活をしていく上で極めて重要な生活資金であることを踏まえますと、年金の繰り下げは損得以前の問題であり、そもそも年金の支給が無い状態で老後生活をしていくことができるのかを考える必要があります。なぜならば、一度年金の繰り下げ手続きを行った場合、後から変更をすることができないからです。仮に若年者の方で、将来年金の支給が無ければ老後生活が厳しい人にとってみますと、年金の繰り下げを考えるよりも、まとまった老後生活資金を準備する対策を事前にとっておく方が望ましいと言えそうです。年金の繰り上げも考慮した長期目線の老後生活を考える年金の繰り上げは、年金を早くから受け取ることができる仕組みですが、本来もらえるはずの年金が減額されたとしても、長期目線で老後生活のお金がうまく回るのであれば、決して悪いこととは言い切れない場合もあるでしょう。もちろん、年金の繰り上げも年金の繰り下げと同じようにメリットやデメリットがあるものの、目先のメリットやデメリットだけに捉われるのではなく、ご自身や世帯にとって納得のできる有利な選択を取れることが望ましいと思われます。年金の繰り下げに関するまとめ年金の繰り下げは、損得以前に、そもそも安定した老後生活を継続して行っていけるのかを考えておく必要があります。仮に、老後生活が厳しく、年金が老後生活資金に欠かすことができないものであるならば、少なくとも年金の繰り下げをすることは望ましい選択肢とは言えず、むしろ年金が減額されたとしても繰り上げする方が望ましい場合もあるでしょう。年金の繰り上げや繰り下げといった年金の受け取り方は、ご自身が置かれている状況をはじめ、考え方や直感による影響が強いものとなりますが、配偶者との相談も含めて納得のいく年金の受け取りを実現するようにしたいものです。
2019年09月15日老後資金2,000万円が不足する問題のニュースが金融庁から発表されたことをきっかけに、将来の老後資金や年金破綻の懸念が多くの人の頭をよぎりました。政府(国家)は、この金融庁の発表について誤りだと指摘したものの、次いで経済産業省では老後資金が3,000万円不足するといった発表をした経緯もあり、どの情報が正しいのか、わけが分からなくなっている人も多いのではないでしょうか。そこで本ページでは、これらの内、年金破綻に焦点を当て、FP目線の考えを紹介していきたいと思います。将来、日本の年金制度が破綻する可能性はあるのか現状においても、支給される年金が少ないという多くの声が上がっている中で、これまで以上に将来の年金支給金額が減少することは、若年者の老後生活は相当厳しいものになると予測する考えとつじつまが合うのではないでしょうか。当初、100年安心と言われた年金制度の定義は一体どうなってしまったのか、首をかしげたくなります。消費税の増税によって、すべての国民が支出に対して負担増になる消費税の税率が10%に増加することによって、今後すべての国民は支出に対する負担増が強いられることになりますが、消費税が10%に上がる前の時点で、10%の消費税率が終わりではないといった議論がなされたことがニュースになりました。つまり、若年者が老後年金生活を迎える時には消費税がさらに多くなることも十分予測でき、そのようになりますと、現在よりもなお将来の老後生活は相当厳しいものになるでしょう。自助努力による老後資金対策が左右する時代年金制度が破綻する可能性が極めて低いと考える理由を紹介しましたが、やはりこれからの老後資金や老後生活を考えていく上で重要なのは、自助努力による老後資金対策になると言えます。現在高齢者の方々が現役世代であった時代のように、お金を預金へ預け入れていれば多くの利息を得られる時代ではなくなっており、預金でお金を寝かせておく時間的なロスは避ける必要があります。では、老後資金対策は、どのように行うのが良いのでしょう。[adsense_middle]個人型確定拠出年金(iDeCo)を活用した老後資金対策個人型確定拠出年金(iDeCo)は、預金・保険・投資信託といった金融商品を自由に組み合わせて自ら資産運用をするもので、まとまった老後生活資金を節税しながら準備することができる私的年金制度のことです。個人型確定拠出年金(iDeCo)は、現状まとまった老後資金を準備するには極めて優良な制度と言えます。つみたてNISAを活用した老後資金対策つみたてNISAは、2018年(平成30年)1月から新たに始まった少額投資非課税制度のことで、金融庁が指定した投資信託またはETF(上場投資信託)を毎月一定金額ずつ買付して資産形成する方法です。つみたてNISAは、まとまったお金が手元になくても少額から始められる特徴があり、無理なく老後資金の準備をしやすいメリットがあります。小規模企業共済を活用した老後資金対策小規模企業共済とは、経営者や会社役員の方などが、廃業や退職時の生活資金のために積み立てる制度のことを言い、会社員や公務員で言うところの退職金制度です。小規模企業共済は先に紹介したiDeCoやつみたてNISAと異なり、基本的に誰でも加入できるものではなく、加入対象が限られているものの、小規模企業共済を老後資金対策として活用できることは確かです。小規模企業共済の詳細については、以下、中小機構のWEBサイトを見て確認されてみることをおすすめします。年金制度の破綻や崩壊、経済の低迷を考えるよりも自助努力をする方が賢明年金制度の破綻や崩壊、経済の低迷を私たち一個人が考えても、残念ながら自分自身の老後生活が豊かになることはありません。これまで以上に厳しい老後生活が強いられることが十分予測できる中で賢明なのは、やはり、先に紹介した制度を賢く活用した自助努力に尽きると筆者は考えます。国が国民に対して、老後生活は自分自身で準備してといった丸投げの批判も多いものの、不満を言っても何も変わらないわけであり、自分や家族は自分たちで守る考えを持つことがこれからの時代に必要なことと言えそうです。年金制度の繰上げ受給についても知っておこう現在、国民年金や厚生年金は原則として65歳から支給されることになっておりますが、65歳になる前に年金を受給することもでき、これを年金の繰上げ受給と言います。繰上げ受給には、全部繰上げと一部繰上げの2つの方法が設けられているものの、いずれの繰上げ受給を行ったとしても、本来ならば65歳から支給されるはずであった年金額よりも少なくなってしまう点に要注意です。繰上げ受給した年金は一生変更できない仮に、年金を繰上げ受給するための手続きを行い、実際に年金の支給を受けた場合、以後死亡するまでに支給され続ける年金額は減額され続けた金額となり、一生変更することはできません。繰上げ受給をした場合、長生きをすることでトータルの受取年金が少なくなる、障害年金や遺族年金といった他の年金の支給などに大きな弊害を生じさせるデメリットもあるため、繰上げ受給の請求は慎重に検討をする必要があります。なお、年金の繰上げ受給における注意点については、以下、日本年金機構のWEBサイトで詳しく解説されております。年金破綻の可能性に関するまとめ年金破綻の可能性は極めて低いと思われる一方、年金破綻の防止策として、若年者が将来支給される年金額は現在よりもさらに少なくなると見積もっておくのが無難でしょう。また、消費税の増税など負担の強いられる要素が様々なところで発生する懸念も考慮しますと、若年者の方はもちろん、老後生活に不安のある人は早急な対策が求められることになります。ご自身の懐具合と将来を考慮し、貯蓄・資産運用などできるところから始める必要があると言えます。
2019年09月15日年金は、将来の老後生活を考える上で欠かすことができない重要なお金です。しかしながら、将来支給される年金の見込み額は、これまで支給されてきた平均的な年金額よりもさらに少なくなることが予測されており、会社員(サラリーマン)や自営業者をはじめ、夫婦共働き世帯にとっては関心の高い問題だと思われます。そこで本記事では、将来の年金はいくらもらえるのかについて、ポイントや考え方について紹介していきます。年金がいくらもらえるのかを知る前に受給資格期間を要チェック上記は、平成31年度に50歳未満の人に対して送付されるねんきん定期便の例となりますが、裏面の受給資格期間(赤枠箇所)が120月(10年)以上になっていれば、将来年金の支給が受けられる受給資格期間を満たしていると確認することができます。なお、こちらは参考情報となりますが、ねんきん定期便を破棄や紛失した場合などで、古いものしかないといった人もおられる可能性も考慮し、平成30年度分の書式が違うものも紹介しておきます。年金の受給資格期間を満たせていない場合仮に、年金の受給資格期間を満たせていないことが確認できた場合、このまま放ったらかしておきますと、将来年金が1円たりとも支給されず、これまで支払ってきた年金保険料がすべて無駄になってしまいます。国民年金や厚生年金は、将来、どのくらいもらえるのか将来いくらくらい年金がもらえるのかは、ねんきん定期便の裏面にある、これまでの加入実績に応じた年金額(赤枠部分)を見ることで確認できます。なお、ここで言う年金の加入実績に応じた年金額とは、65歳から支給される現在の年額であり、たとえば30歳の方であれば、今30歳の方が年金の支給を受けた場合に1年間で支給される年金額といったイメージになります。国民年金と厚生年金は、基本的に併給される前項で解説したねんきん定期便にある、これまでの加入実績に応じた年金額に記載されている(1)老齢基礎年金は、国民年金から支給される年金のことを指し、(2)老齢厚生年金は厚生年金から支給される年金のことを指しています。このように、国民年金と厚生年金は年金の履歴によってそれぞれ計算され、どちらの年金も一緒に支給が受けられることになるのですが、これを併給(へいきゅう)と言います。年金の支給は、原則として偶数月の15日に2ヶ月分まとめて支給されるこちらは参考情報となりますが、原則として65歳から支給される年金は、偶数月の15日に前月と前々月分の2ヶ月分がまとめて支給される仕組みになっています。たとえば、10月15日に30万円の年金が口座へ振り込まれたとした場合、年金の内訳は、8月分15万円、9月分15万円といったイメージです。このような年金制度の仕組上、仮に年金の支給を受けている人が死亡した場合、必ず未支給の年金が発生することになるため、遺族の方は、この未支給の年金を請求してもらい忘れのないように心がけておきたいものです。年金の繰上げ受給について減額された年金は生涯に渡って受け取ることになり、65歳以降も減額された年金額が戻ることはないため、繰上げ受給の請求は慎重に行う必要があります。繰上げ受給をすると国民年金と厚生年金の両方の年金額が減額される本記事中において、国民年金と厚生年金は基本的に併給され、どちらの年金も支給されることを紹介しましたが、繰上げ受給をすると国民年金と厚生年金の両方の年金額が減額されます。前項の解説の通り、減額された年金額が元に戻ることは一生ないため、国民年金と厚生年金の両方の年金額が減額される影響は、長い目で見るとかなり大きなデメリットになってしまいます。なお、一度繰上げ請求した後に取消しをすることはできないため、解説が重複しますが、繰上げ受給の請求は慎重に行う必要があります。繰上げ受給をして長生きすると、損をする自分は何歳まで生きるのか誰にも分かりませんが、仮に繰上げ受給をして長生きすると、65歳から年金の支給を受けた場合に比べて損をしてしまうデメリットが生じます。なお、参考までに、年金を繰上げ請求した場合と繰上げ請求しなかった場合における受給総額が同額となる年齢を紹介しておきます。繰上げ請求した年齢60歳の場合:76歳8ヶ月繰上げ請求した年齢61歳の場合:77歳8ヶ月繰上げ請求した年齢62歳の場合:78歳8ヶ月繰上げ請求した年齢63歳の場合:79歳8ヶ月繰上げ請求した年齢64歳の場合:80歳8ヶ月たとえば、繰上げ請求した年齢が60歳の場合で、76歳8ヶ月を超えて長生きした場合は、65歳から年金の受給を受けていた方が得であるといった見方になります。障害年金や遺族年金の支給に影響が生じる場合がある障害年金や遺族年金は、65歳から支給される老齢年金に比べて支給金額が多く、受給者にとって有利になる場合がほとんどですが、繰上げ受給をした場合、障害年金や遺族年金の支給に影響が生じるデメリットがあります。ざっくり言ってしまいますと、障害年金や遺族年金の支給を受けられる条件を満たしていたとしても、繰上げ受給をしたことによって、これらの年金の支給が受けられないことがあるということです。一般的に考えますと、デメリットは大きくなると言えます。繰上げ受給をする前は、年金事務所や専門家へ相談するのが望ましい年金の繰上げ受給は、年金が早くもらえるメリットがあるものの、それ以上のデメリットが極めて多いことが分かりました。実際のところ、先に紹介したデメリットのほかにも、専門的なデメリットが多数あるため、仮に年金の繰上げ受給を検討している方は、年金事務所や専門家である社会保険労務士などへ相談するのが望ましいと言えます。将来いくら年金がもらえるかを知るには将来もらえる年金額がいくらなのかをより正確に知るためには、毎年、誕生月になると郵送されるねんきん定期便を確認したり、ねんきんネットを活用するのが確実です。なぜならば、国民年金の納付履歴、免除履歴、未納履歴や厚生年金を計算する上で必要な平均標準報酬月額、平均標準報酬額、年齢、性別などは、すべての方で異なるためです。そのため、ねんきん定期便やねんきんネットの見方や活用方法を知る方が、楽でより確実な方法だと言い切れます。
2019年09月14日国民年金の保険料は、原則として20歳から60歳までの40年間において、日本に住んでいるすべての方が納めなければならないことが法律(国民年金法)で決まっています。つまり、国民年金には納付義務があることを意味しますが、仮に国民年金を納めない場合、実のところ、老後の年金問題だけに関わらない数多くのデメリットが生じてしまいます。そこで本記事では、国民年金を払わないデメリットを中心に解説を進めていきます。国民年金保険料を払わない主なデメリット国民年金保険料を払わない主なデメリットとして、滞納者および未納者本人が障害や死亡といった状態になった場合において、国民年金から支払われる障害基礎年金や遺族基礎年金の支給が受けられない懸念が生じます。また、原則として65歳から支払われる老後生活資金にあたる老齢基礎年金も支払われない懸念が生じるため、国民年金保険料を払わないことに対するメリットは一切なく、デメリットしかありません。国民年金の支払いが滞納や未納の場合、具体的にどうなるのか令和元年度(平成31年4月~令和2年3月まで)における国民年金の保険料は、1ヶ月あたり16,410円となっており、無職の人や低所得の人からしますと、国民年金を納めるのが義務だと分かっていても、中々納められない人も多いのが現状です。実際、国民年金の納付について滞納や未納がある場合、日本年金機構から督促状が郵送で送付されたり、日本年金機構から委託を受けているアイヴィジットという会社から自宅へ電話が来たりします。国民年金保険料を滞納や未納の場合の対応方法国民年金保険料を滞納や未納にしている場合、日本年金機構(年金事務所)から督促状やアイヴィジットから電話が来ることをお伝えしましたが、これらの場合の対応方法をそれぞれ紹介します。日本年金機構(年金事務所)から督促状が届いた場合日本年金機構(年金事務所)から督促状が届いた場合は、督促状に書かれている内容を一度確認し、必ず年金事務所に電話連絡をするようにして下さい。この時、時間を設けて一度年金事務所へ足を運ぶことになる場合もありますが、重要なのは、なぜ未納や滞納になっているのか理由を説明した上で、国民年金の納付免除手続きを取ることです。なお、国民年金保険料の免除制度につきましては後程解説を進めます。アイヴィジットから電話が来た場合アイヴィジットから電話が来た場合、電話が来た時点で日本年金機構(年金事務所)に電話連絡を済ませているのであれば、すでに電話連絡をして今後の対応について相談することになっている旨を伝えることで足ります。日本年金機構(年金事務所)とアイヴィジットの情報伝達にはタイムラグが生じるため、すでに日本年金機構(年金事務所)に電話連絡を済ませた後であったとしても、重複して同じ内容の問い合わせが来ることも多々あります。そのため、とても不快な思いをしてしまうことも十分考えられますが、冷静に対応しておくようにしたいものです。国民年金保険料の免除制度とは国民年金保険料の免除制度とは、無職や低所得をはじめ、勤務先の倒産や解雇などによる失業によって、国民年金の保険料を納めるのが経済的に難しい場合に行う手続きです。国民年金保険料の免除制度を活用しますと、国民年金の保険料が滞納や未納といった取り扱いにはならず、納付が免除される取り扱いになり、以下のようなメリットが得られます。[adsense_middle]督促状や電話連絡による催促が来ない日本年金機構(年金事務所)から国民年金保険料の滞納や未納に対する督促やアイヴィジットからの催促などによる電話連絡は、あくまでも国民年金保険料の滞納や未納がある場合となります。したがって、国民年金保険料の免除制度を活用したことによって、これまでの年金納付履歴に未納期間がない場合は、これらの連絡が来ることはありません。国民年金の免除期間は、受給資格期間に反映される国民年金保険料の免除制度を活用しますと、国民年金が免除された期間について受給資格期間に反映されるメリットがあります。受給資格期間とは、年金の支給を受けるために必要な期間のことです。一例として、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金が支給されるために必要な国民年金保険料の納付要件について、以下に紹介します。なお、納付要件の紹介において、国民年金保険料の免除に関するものだけを紹介し、すべての納付要件ではないことをあらかじめ申し添えておきます。老齢基礎年金:国民年金保険料を納付した期間、または、免除された期間が10年(120月)以上あること障害基礎年金:初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること遺族基礎年金:死亡した人が、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が、加入期間の3分の2以上あること国民年金保険料の滞納や未納期間は、受給資格期間に反映されない前項の解説より、国民年金の免除期間は受給資格期間に反映されるため、仮に老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金が支給されるための要件を満たした場合にお金を受け取ることができます。その一方で、国民年金保険料の免除申請をせず、国民年金保険料の滞納や未納をしていた場合、その期間は受給資格期間に反映されないため、免除申請を行っていた方が得策であることが分かります。国民年金の免除期間は、将来受け取る年金額に反映される実のところ、国民年金の免除期間は将来受け取る年金額に反映されることになっており、具体的には、原則として65歳から支給される老齢基礎年金を受け取る際に、2分の1が受け取れる仕組みになっています。大まかな例となりますが、仮に20歳から60歳までの40年間において、すべて全額免除の取り扱いとなった場合、1年間に支給される老齢基礎年金は、年額390,100円(令和元年度)となります。なお、滞納や未納は年金額に反映されません。国民年金保険料の納付猶予制度についても知っておこうこれまで国民年金保険料の免除制度について解説を進めましたが、国民年金の滞納や未納を防ぐための制度として、免除制度のほかに国民年金保険料の納付猶予制度があります。国民年金保険料の納付猶予制度とは、年齢が20歳から50歳未満の人で、本人と配偶者の前年の所得が一定金額以下の場合、申請をすることによって、国民年金保険料の納付が猶予される制度のことを言います。国民年金保険料の納付猶予制度が承認される一定金額とは国民年金保険料の納付猶予制度が承認される一定金額には計算式が定められており、以下の計算式によって計算した金額の範囲内であれば、国民年金保険料の納付猶予が承認されます。(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円なお、計算式にある扶養親族等の数とは、源泉徴収票や確定申告書に記載されている扶養控除を適用した人数のことを指しており、いわゆる税法上の扶養人数となります。したがって、0歳から15歳までのいわゆる年少扶養親族は、扶養親族等の数に含まれない点に注意が必要です。国民年金保険料の納付猶予制度は受給資格期間に反映されるが、年金額に反映されないこちらは、国民年金保険料の納付猶予制度における注意点となりますが、仮に国民年金保険料の納付猶予制度を活用した場合、納付猶予を受けた期間について、受給資格期間に反映されるものの、将来受け取る年金額に反映されません。次項で解説を進めますが、納付猶予を受けた期間は追納と言って、免除などの承認を受けた期間の国民年金保険料を後から納付しなければ、将来の年金額に反映されることはありません。追納申請をすると、納付書で後から国民年金を納付することが可能国民年金保険料を払わない場合、基本的に将来支給される年金額も増加しないため、このような事態を避けるために、免除や納付猶予を受けた期間の国民年金を後から納付することができる追納制度が設けられています。実際に追納をするためには、年金事務所に対して追納の申請手続きをする必要があり、この手続きを行うことによって後日納付書が自宅へ郵送され、その納付書で国民年金を納付する流れとなります。[adsense_middle]国民年金の保険料を追納する際の注意点国民年金の保険料を追納する際の注意点として、追納することができる期間が10年以内の期間に限られていることが1つ目の注意点として挙げられます。たとえば、平成30年4月の国民年金保険料を追納する場合の期間は、令和10年4月末日までといったイメージです。2つ目の注意点として、3年度目以降に追納をする場合、追納するべき国民年金保険料に時間が経過したことによる加算額が上乗せされることが挙げられます。これによって、本来納めるべき国民年金よりも多くのお金を納付しなければならなくなるため、早めに追納されることが望ましいと言えます。国民年金を追納した場合、税金の所得控除が適用できる国民年金の追納を申請し、郵送された納付書で国民年金を納めた場合、その納めた金額は、所得税や住民税を計算する上で控除される社会保険料控除として適用できます。たとえば、平成30年度に免除を受けた国民年金保険料が60,000円あったとし、この60,000円分の国民年金保険料を令和元年に追納したとします。この時、令和元年度の年末調整や確定申告時に60,000円分の社会保険料控除が適用でき、これによって納めるべき所得税や住民税が軽減されるメリットが得られます。年末(12月31日)近くに国民年金保険料を追納した場合の注意点通常、毎年秋ごろになりますと、日本年金機構より社会保険料控除証明書が自宅へ郵送され、1年間に支払った国民年金保険料の金額などが記載された葉書を受け取ります。これを年末調整や確定申告の際に添付して社会保険料控除の適用を受けますが、仮に年末(12月31日)近くなど、すでに社会保険料控除証明書が届いてからの追納は、同証明書に追納後の金額が反映されていません。そのため、このような場合は追納後に受け取る納付書の控えを添付することで、適用忘れをすることなく社会保険料控除が受けられることになるため、いつ追納しても大丈夫だと言えるでしょう。国民年金保険料の免除制度と猶予制度まとめこれまで、国民年金の保険料を払わないデメリットと滞納や未納を回避するための方法として、国民年金保険料の免除制度および国民年金保険料の納付猶予制度、追納制度について解説を進めました。本記事で解説した様々な制度があることによって、情報が上手く整理できない場合も考えられるため、以下、それぞれの制度を活用した場合における国民年金の受給資格期間と年金額の反映効果についてまとめます。年金を払わないデメリットは一目瞭然前項の表を見ると、国民年金保険料を滞納や未納のままにしておくデメリットは一目瞭然であることが確認できます。国民年金は、老後生活資金にあたる老齢基礎年金だけではなく、障害や死亡といった場合に一定要件を満たすことで支給が受けられる障害基礎年金や遺族基礎年金もあり、年金を払わない効果は、国民年金で保障が受けられるすべての年金に対してデメリットしか与えないことが分かります。国民年金保険料を滞納や未納にしている場合は、年金事務所へ相談を国民年金保険料を滞納や未納にしている場合は、できるだけ速やかに年金事務所へ相談をし、国民年金の免除制度や猶予制度が適用できないか対応をすることが得策です。一時的に免除や猶予の対応を受け、お金に余裕ができた時に少しずつ追納していくことが、将来の老後資金対策や配偶者および子供のためになることをしっかりと理解しておくことが極めて重要であると言えます。年金を払わないデメリットに関するまとめ国民年金保険料を払わないデメリットは数多くあります。実際のところ、それぞれの人が置かれている状況は全く異なりますが、例えば既婚の場合における未納のデメリットは大きいと考えられ、配偶者や子供がいる状態での障害状態や死亡といったリスクを生活保障の面で支える働きが国民年金にはあります。国民年金は、老後生活資金だけに特化したものではありませんので、広い視野で将来のお金や物事を考え、どうしても年金を納めることができない場合は、免除申請や納付猶予といった制度を上手に活用するようにしたいものです。
2019年09月09日年金だけでは老後の生活は成り立たないというのはもはや常識に。でも、このまま嘆いているだけでいいのか。もう、今さら働けないと思っている人にこそ読んでほしい、50歳から始める仕事探しーー。「金融庁が『老後2,000万円足りない』と発表して以来、『将来、年金をどれだけもらえるのか?』は、最大の関心事かと思います。でも、ただ手をこまねいているのではなく『65歳までに、いくら貯蓄できるのか?』を考えて、50代から世帯の年収を増やしていくべきです。50歳からはじめても、年金受給までに『1日数時間で1,000万円の貯蓄』も可能ですよ」こう話すのは、老後のライフプランニングに詳しいマネーセラピストの安田まゆみさん。でも「1日数時間で1,000万円の貯蓄」って、いったいどうやったら稼げるのだろう?「いえいえ、難しく考えることはありません。時給1,000円で1日3時間×週4日働くと、15年たてば約900万円の収入になります。そして1日4時間働けば、15年で1,200万円稼げます。ここで大事なのは、『いかに効率よく、つまり極力負担が少なく、無理なく続けられる仕事を選べるか』なんです」(安田さん)安田さんによれば、主婦が「無理なく続けられて、1,000万円貯蓄できる」仕事とは、おもに「家から出ずに働く」「主婦力を生かした仕事」「財産を働かせる」の3つに分類できるという。ここでは「家から出ずに働く」について、仕事選びのコツと心構え、そして注意すべき点を安田さんが解説。合わせて2人の実例を紹介。■家から出ずに働く「いざ、会社や店舗で働き始めたあとに、嫌な上司や先輩がいることに気づくなんてことはけっこうあります。もとよりメンタルが弱くて、なにも言えなくなってしまう人や、そもそも、人と一緒に仕事するのが苦手だという人もいます。そんな場合は『在宅ワーク』を選ぶべきでしょう」(安田さん)仕事の受注も、人と会うことなくスマホで進められる。在宅ワーク・プラットフォーム「シュフティ」などに登録し、クライアントからの仕事を受ければ、一度も直接会話することなく受注から納品、入金までを完了できる。「結婚前の仕事が『事務職』だった人や『パソコンを使っていた』という人も少なくないでしょう。文字入力の単純作業や商品レビューの作成など、SEなどの専門的な知識はなくても対応できる仕事はあります」(安田さん)【実例1】「パソコンは触れるだけ」でも月15万円稼げた/Aさん・40代・専業主婦「息子が私立大学に合格し、学費も含めてまとまった収入が必要になりました。夫は年収500万円ほどですので、私もパートで足しにと思っていたのですが、「インターネットで稼げる」という雑誌記事をたまたま目にしたんです」40代専業主婦のAさんは、資格などはなかったが、結婚前の職場では事務作業でパソコン操作することはあった。現在の業務内容は「ウェブ情報収集作業」で、1日3〜4時間ほど。平均月収15万円、年収は180万円ほどになるという。「仕事を始めて2年、PCでの作業が長時間だとつらいこともありますが、だいぶ慣れてきたので、継続して続けられそうです」【実例2】“好きなこと”の延長でストレスなく稼ぐ/Bさん・52歳・専業主婦「会社員の夫は年収750万円で、私は専業主婦です。息子2人はすでに社会人になり、子育ても終わったので、趣味を生かせる仕事がしたいと思っていました。若いころから文章を書くのが好きだったので、クラウドソーシングのサイトでネット記事をライティングする仕事に登録したんです」現在52歳のBさんは練習で書いた文章を添付して応募し、何度か「不採用」に泣いたものの、現在は軌道に乗り、月額平均で5万円ほどの収入になっている。「1日にかかる時間は3〜6時間とまちまちですが、好きなことなので無理なくできています。これなら65歳を過ぎても、やる気がある限り、続けられそうです」そんな在宅ワークだが、クライアントの顔が見えないため、報酬の未払いなど金銭トラブルが起こることがある。また悪徳業者の中には、受講料をとって資格を取らせて、仕事を発注しないという例もあるのでご注意を。仕事の探し方としては、ネットで情報収集をしつつ、同時に主婦友やママ友などの口コミも参考にするべきだという。「そうして多重構造で情報収集しておいて、比較検討することが大事。そのうえで、最終的に登録するのがスマホでも、友人・知人の紹介での面接でもいいんです。そして、仕事がつらい、続かないと思ったら、辞めてしまってもいいんです」(安田さん)老後のお金は不安、でも嫌なことをしてまで働きたくない……。そんな“わがまま”を押し通そう。
2019年09月07日5年に1度の年金の通信簿。令和初の財政検証が公表された。“政治事情”で公表が遅れたといわれるこの文書。記されていたのは、あまりにも灰色の未来だった――。「財政検証が8月27日に、ようやく発表されました。財政検証とは5年に1度、経済状況などを鑑みて、年金制度が持続できるかどうかを見る“通信簿”のようなもの。作成しているのは年金を所管する厚生労働省です。まさに国の見解といっていい」こう語るのは、経済評論家の平野和之さんだ。’14年以来、5年ぶりとなる「財政検証」はこれまでの例から、6月に発表されるとみられていたが、予想より2カ月以上遅れての公表となった。「当時、“2,000万円問題”でバッシングを受けていたことや、参議院選挙を控えていたこともあり、忖度が働いたのだと思います」それでは、そんな“忖度通信簿”の中身を解説してもらおう。「財政検証で重要になるのが、“所得代替率”。『現役男子の平均手取り額』に対する『夫婦2人のモデル世帯の年金受給額』の割合です。’19年度の『平均手取り額』は35万7,000円。『モデル世帯』の年金受給額は、夫婦の基礎年金13万円、夫の厚生年金9万円の計22万円です。よって、所得代替率は61.7%となっています」しかし、少子高齢化の時代に、この水準は維持できない。「制度維持のため、所得代替率を50%まで段階的に引き下げていくことは既定路線になっています」所得代替率が現在のモデル世帯の61.7%から50%に下がるということは、年金が2割ほど減るということ。現在の「平均手取り額」から計算すると、22万円から、17万8,500円への減額となる。それでは、どのように引き下げられていくのか。今回の財政検証では、女性と高齢者の労働参加が順調に進み、経済も成長していくケース1から、もっとも悪化していくケース6まで、6段階の試算が行われた。もっともよい試算であるケース1でも、所得代替率は5年後に60.9%に下がり、現在44歳の人が受給開始を迎える’40年には54.3%、そして’46年に51.9%になり、以降は下がらない。ケース1〜4までは経済成長率がプラスになることが前提だが、第一生命経済研究所の首席エコノミストである永濱利廣さんはこう警鐘を鳴らす。「現在、日中貿易戦争が懸念され、日本ばかりでなく、世界経済全体が冷え込んでいます。日本以外の国は、税金や国債などで公共事業などに投資する財政出動に傾いているのに、日本は10月に消費税増税を予定している。増税すれば景気が後退し、税収が下がることは過去の経験則としてある。そういった最悪のシミュレーションが、ケース6にあたる可能性があります」(永濱さん)年金制度に詳しい日本総研主席研究員の西沢和彦さんはこう語る。「(財政検証が前提としている物価や賃金の上昇率の予想は)過去の実績に照らし楽観的。現実的なのは、ケース5と6です」最悪なケース6では、5年後には所得代替率が60%となり、’43年には50%に。’52年に46.1%まで落ち込んだところで、将来に備えて現在160兆円用意されている年金積立金が枯渇する。その後、保険料と国庫負担で賄うことができる所得代替率は36〜38%にまで落ち込むと報告されている。所得代替率36%を現在の「平均手取り額」から計算すると、夫婦2人の年金額は12万8,520円。現在の水準から約42%の減額だ。とても暮らしていける額ではない。しかし、この試算すら“甘い前提”で成り立っているという。「ケース6では経済成長率がマイナス0.5%と想定されていますが、運用利回りはプラス0.8%。経済成長率がマイナスなら、運用益もマイナスになるのが普通なので、さらに悪い“ケース7”も試算するべきです」(平野さん)西沢さんはこう語る。「“100年安心”とは十分な年金がもらえるという意味での100年安心などではありえません。年金給付が抑制されていくことにより、制度として“持つ”という意味でしかないのです」
2019年09月05日