指導者の皆さんの悩みで一番多い「保護者対応の悩み」。実際どんなことに悩みを抱えているか、些細なことでも構わないのでサカイクに聞かせてください。現場の皆さんがどんな悩みを抱えていて、サカイクにこんな記事があると保護者に伝えやすいのに......などメディアに求めることなどを教えてください。指導者の皆さんの悩みを解決すべく、今後の記事制作の参考にします。11/25(木)19:30~オンライン座談会も開催します。些細な悩みを吐き出す場としてもOKですのでぜひ皆さんお気軽にご参加ください。アンケートはこちら>>
2021年11月18日一般社団法人国際こども日本語教育協会(団体所在地:東京都中央区 代表理事:平井 千晴、以下当協会)は、2022年2月、日本初「こども」に特化した「こども日本語指導者養成講座」を開講いたします。外国語としての日本語教育への需要に応え、講義と模擬授業、認定試験により即戦力が身につく充実したカリキュラムです。既に日本語教師として活躍されている方のスキルアップや日本語未経験者の方の資格取得として、また子育て世代の家庭内での教育、ボランティアなど、様々なシーンで活用いただけます。日本初「こども日本語指導者養成講座」を2022年2月に開催一般社団法人国際こども日本語教育協会URL: ■こども日本語教育のプロフェッショナルを育てる当協会は日本語を第二、第三言語として学ぶこどもが対象の日本語教育を推進しています。高まる世界的需要に応えるため、継承語、そして外国語としての日本語教育カリキュラム作成、教材開発、人材育成に取り組み、日本語習得をめざすこどもたちと、世界で活躍する日本語指導者を支援しています。代表理事・平井は2013年に台湾台北市で政府認可の幼児・児童教育施設を設立。長年にわたり、こどもを対象とした日本語教育を実践した経験を踏まえ、2019年に当協会を設立。そのノウハウを基に「こども日本語教育」の教材及び教授法を確立しました。これまでの2年で育成したこども日本語指導者は100人を超え、現在、世界19か国で活躍中です。海外補習校、バイリンガル幼稚園、教室開業、また、日本のインターナショナルスクール、外国人児童生徒支援のためのボランティア教室など、卒業生の活躍の場は多岐にわたっています。■高まる需要と人材不足に応える外国語としての日本語教育の知識を持ちながら、幼児・児童教育にも明るい人材は不足しています。420時間の日本語教師養成講座を修了し、大人への日本語教授経験のある教師でも、幼児の教授法は全く異なるスキルが必要です。また国語の教員免許があっても「国語教育」と「外国語としての日本語教育」は異なります。このように「こども日本語教育」に必要な知識と経験値を持ち合わせた人材は不足しており、需要と供給のギャップを目の当たりにし、求められる人材の育成とカリキュラム・教材の開発に取り組みました。■カリキュラムや教科書をゼロから作成外国人幼児・児童のための日本語教科書、継承語として学ぶこどものための系統的なカリキュラムや日本語教科書は存在しませんでした。経験と知識、こどもの教育、日本語教育、国語教育、異文化コミュニケーションなどを専門とする人材を総動員し、体系的なカリキュラムと教材開発に着手。教育現場での試行錯誤を繰り返し、教材開発を進めるのと同時に、こどもの言語形成理論にのっとった指導法を確立いたしました。更にこどもは興味関心がなければ学習意欲が湧かないため、親しみやすいオリジナルキャラクターと、現代にあったデザインを創作し、好評を得ています。このように独自開発の教材と指導法を実践した授業で実績を重ね、2019年より「こども日本語指導者養成講座」を開講しております。独自開発の教材(左)と指導風景■今後の展望グローバル化に伴い、海外在住の日本にルーツを持つこどもや日本在住の外国にルーツを持つこどもなどを対象とした日本語教育の需要が高まっています。例えば海外では日本にルーツを持つこどもが親子間のコミュニケーションやアイデンティティクライシスなどの問題に頭を悩ませているご家庭が多いようです。その一方、日本では外国人労働者の増加に伴い、公立学校で学ぶ外国人児童生徒数も増加していますが日本語の学習支援が足りていないのが現状です。当協会認定の「こども日本語指導者」はどちらのケースにも効果的な支援が可能です。私たちが育成した継承語教育の指導者がご家庭に支援を行い、親子関係の改善や、日本にルーツを持つこどもたちが、そのルーツを肯定的に受け入れ、クライシスを乗り越えるための一助となることも今後の目標の一つです。■代表理事:平井 千晴 プロフィール東京音楽大学声楽科卒業。サンフランシスコに留学中より幼児教育に従事。日本に帰国後国際結婚を機に台湾へ移住。自宅でこども日本語クラス及びリトミッククラスを開校する傍ら、日本、アメリカ、イタリアでの様々な研修や実践を通して、幼児教育の専門家としての知識と経験を蓄積。2013年Smiley Rhythm(微笑音符)を設立。近年世界で注目を集めるレッジョ・エミリア・アプローチを採用し、語学、芸術、音楽に特化した幼児教育を実践。台湾台北市に微笑音符幼兒園、微笑音符托嬰中心、微笑音符音樂語文補習班など複数の拠点を展開。2019年一般社団法人国際こども日本語教育協会設立。代表理事:平井 千晴■こども日本語指導者養成講座概要<認定こども日本語指導者コース:201,300円(税込)>外国語、継承語として日本語を学ぶこどもを対象に、プロとして日本語指導に当たる教師を養成するコース。こどもの発達特性や指導法、授業計画についての講義と、講義内容を実践、応用する模擬授業の演習を二部構成で実施。一対一の実技指導で、確実に実力と経験値が上がります。<準認定こども日本語指導者コース:169,800円(税込)>外国語、継承語としての日本語をこどもに教える基礎知識を身につけ、ボランティアや家庭内で教えたい方向けのコース。こどもの発達段階を踏まえた効果的な指導計画の立て方、直接法による日本語教授法、積み重ね学習の実践法などを講義やワークショップを通して学びます。※どちらのコースも、スターター教材セット(10セット)付<スケジュール>12月11日(土):2月講座説明会 9:00/19:00 ※オンライン開催1月12日(水) :2月講座申込締め切り2月12日(土) :講座開始参加資格 : 日本語未経験者、既に日本語教師として活躍されている方まで経験不問開催期間 : 2022年2月12日(土)~4月12日(火)講義2日(各日3時間)/模擬授業演習6回(各回1時間30分)認定試験 : 4月23日(土)もしくは4月26日(火)/9時~12時30分※詳細スケジュールは説明会にて説明会申込方法: 下記HPのお問合せより「説明会の申込希望」と書いて送信くださいHP : ■団体概要名称 : 一般社団法人国際こども日本語教育協会(AJLC)所在地 : 東京都中央区日本橋2丁目1-17 丹生ビル2 階代表理事: 平井 千晴設立 : 2019年12月HP : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年11月12日前回の記事では、Ruffle瑞穂FCで中学生の指導にあたる大塚哲さんに、指導者として子どもと関わる際に意識していることや、子どもと保護者の関係について伺いました。後半の今回は、親として、そしてプレイヤーとしての大塚さんの姿に注目します。会社員、二児の親、そしてプレイヤーとして日々を過ごす大塚さんは、充実した人生を送っているように映りました。子どものサッカーにばかり集中せず、ご自身の時間も大事にされている大塚さんに、引き続きサカイク10か条のひとつ「9.サッカー以外のことを大切にしよう」をテーマにお話を伺いました。(取材・文:中村僚)【関連リンク】子どもが心からサッカーを楽しむために大切にしてほしい親の心得「サカイク10か条」写真提供:エリース東京FC<<前編:社会人リーグ主将、自身も真剣にサッカーを楽しむお父さん選手がサッカー少年の育児で実践するただ一つの事■大人になってもサッカーを続けるのは当たり前のことだった大塚さんは子どもの頃からサッカーに明け暮れ、サッカーと共に暮らしてきました。生活の中心には常にサッカーがあり、それは今も変わりません。「私自身も子どもの頃からずっとサッカーをプレーしていて、幸運なことに高校時代は全国高校サッカー選手権に出場することができました。その後、サッカー部のある会社に就職し、その会社を退職して、そこからはチームを少し転々としました。そんな中で巡り会ったのが、現在所属しているaries TOKYO FC(エリース東京FC)です」日本では、学生時代にどれだけサッカーに精を出しても、高校や大学で区切りをつけて競技を引退する選手が数多くいます。大人になってからも競技を続ける選手は稀でしょう。しかし大塚さんにとっては、サッカーを続けることはごく自然な選択でした。「常に生活の中心にサッカーがあったので、サッカーをプレーできる環境を探すのは当たり前でした。ただ、妻からは『プロでもないのになんで週末もずっとサッカーしてるの?』と言われたことはあります(笑)。応援もしてくれていますけどね」■サッカーには、社会人になっても長い間熱中させる魅力があるそれだけ長い間熱中させる魅力がサッカーにはあると、大塚さんは話してくれました。「高校時代の体験は大きいですね。周囲には僕が所属していた学校よりも強豪と言われた高校はたくさんありました。しかし、試合に出ていない選手も含めてチーム全員で高めあって、全国大会に出場することができました。あの経験は忘れられません。保護者としても指導者としても、あの一体感や成功体験を子ども達に経験してもらいたいと思っています」「サッカーは時として理不尽なことが起こります。自分よりも下手だと思っている選手が試合に出たり、圧倒的に実力で勝っているはずの相手に試合で負けたり......。でもそうした理不尽な経験をすると、社会に出たときにどんな辛い目にあっても『あの時よりは全然マシ』と思えるんです。タフさは本当に身についたと思います」■サッカーを通じて自分の世界を広げることができたサッカーを続けることで、サッカー以外の世界を広げることもできたようです。「社会人のチームともなれば色々な人がいます。大企業の役員や、中小企業の社長さんもいます。そう言った方たちはサッカーをやっていなければまず出会わない人なので、あたらしい世界が広がったような気さえします。でもそんな立場も、ピッチの中に入れば全く関係ありません。そのメリハリが楽しいですよね」■自分の人生が充実した姿を見せることが子どもたちへのメッセージになるプレイヤーとしてまだまだ現役を続け、サッカーを楽しむ大塚さんの姿を見て、大塚さんのお子さんたちが感じるものもあったようです。「子どもたちは小さい頃に遊んでいるうちに自然とサッカーに興味を持ち、クラブに入りました。長男は自分と同じ高校に進学してサッカー部に所属しています。サッカーをやろう、ここに進学しようと僕から言ったことはないのですが、子どもたちが自分で決めてくれました。自分のことは自分で決めるようにすることは、僕が子どもたちに接する中で意識しているポイントです。また、自分がプレーする時もですが、子どもたちにはパッション(情熱)を持ってプレーしてほしいと思っています」前編の記事でも書いたように、子どもに干渉する親が増えている中、大塚さんは子どもの決断を否定することなく、また子どもが所属したチームの方針には素直に従い、暖かく見守っています。それは大塚さん自身が自分の人生を楽しみ充実させ、心に余裕があることも、要因の一つのようです。「僕があまりにサッカーばかりやっているので、子どもたちは小さい頃僕のことをサッカー選手だと思っていたのではないでしょうか(笑)。でも無趣味で休日に一日中ゴロゴロしているよりも、活動的に遊んでいる方が、子どもたちにもいい影響があると思うんですよね。僕がこれだけ好き勝手にやっているので、子どもたちもいつの間にかふらっと遊びにいくようになりました。僕が子どもの決断を信じられるのは、自分がこれまでの人生において自分で決断を下して、いまも自分の人生を楽しんで、心に余裕があるからだと思います。」■大人に真剣勝負の場を提供する"裏"選手権今週の土日、11月6日、7日に大塚さんが選手として所属するエリース東京FCが出場するのが、「オムロン ヘルスケア杯 全国シニアサッカー"裏"選手権」です。「"終わりなき挑戦"を続ける"生涯現役"のシニアサッカープレイヤーに"裏選手権"という『真剣な遊び場』を提供する」という大会テーマのもとで、39歳以上の選手が日本一を争います。「裏シニア選手権のような、この年になっても真剣勝負ができる舞台は本当にありがたいですし、楽しいです。自分がサッカーをプレーできることは指導でも役に立ちます。やはり実演できると選手への説得力が違いますし、逆にピッチの中に入ることで選手から教えられることもあります。こういう舞台で別のチームの方とまた新しいつながりができたりするかもしれませんね」大人になってからも必死にボールを追いかけ、相手と真剣勝負する機会はあまりありません。シニアサッカー"裏"選手権のような舞台を整え、子どもたちを見守る大人が真剣に人生を楽しむことが、子どもへのいい影響を生み出すのかもしれません。★この記事はサカイク10か条の項目第9項「サッカー以外のことを大切にしよう」に該当します
2021年11月04日ピアノ指導者お役立ち レッスン手帳2022 【マンスリー&ウィークリー】 / ピアノ指導者お役立ち レッスン手帳2022スリム 【マンスリー】ピアノ指導者へのアンケートをもとに開発した、指導者専用手帳です。表紙絵柄は選べる2種類。さらにダウンロード限定デザインもあり、気分や季節によって着せ替えができます。2022年版は2017年以降、各年で一番ダウンロード数の多かった人気デザイン4種類が再登場します!取り外して使える「レッスン予定表」のほか、「イベント計画表」「テキスト購入予定表」最大で108人まで管理できる「生徒情報」や「入会問い合わせ」「年齢早見表」など、教室管理に便利な内容になっています。4期がわかる作曲家年表や作曲家の誕生日など、音楽専門家に必要な情報も満載!ピアノ指導者お役立ち レッスン手帳2022 【マンスリー&ウィークリー】【マンスリー&ウィークリー】は、カレンダータイプのマンスリーページとバーチカルタイプ(横書き)のウィークリーページがあり、たっぷり書き込めます。ご自身やご家族のスケジュール管理のほか、翌週のレッスンに必要なことをメモしておくなど、幅広くご活用いただけます。■2021年12月~2023年3月対応■日曜始まり■3色ペンが入るペンホルダーと2色のしおり紐付き※法改正にともない祝日・休日が変更になることがあります。(2021年9月現在)定価:1,870円(10%税込)仕様:A5判/208ページ発売日:2021年10月19日ISBN:978-4-636-10077-8商品コード:GTP01100111 amazonにてご予約受付中! : ピアノ指導者お役立ち レッスン手帳2022スリム 【マンスリー】スリム(マンスリー)はカレンダータイプのスケジュール管理ページと、ノートとして使えるフリーページが多いのが特徴。手軽に持ち運べる薄さが魅力です。■2021年12月~2023年3月対応■日曜始まり■3色ペンが入るペンホルダーとしおり紐付き※法改正にともない祝日・休日が変更になることがあります。(2021年9月現在)定価:1,210円(10%税込)仕様:A5判/80ページ発売日:2021年10月19日ISBN:978-4-636-10078-5商品コード:GTP01100112 amazonにてご予約受付中! : ☆ピアノ指導者お役立ち レッスン手帳2022特設ページピアノ指導者お役立ち レッスン手帳2022 : お求めは、全国ヤマハ特約楽器店・書店または弊社オンラインショップ >まで。【本商品に関するお問い合わせ】(株)ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス ミュージックメディア部問い合わせフォーム: 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2021年10月06日新型コロナウイルスの影響で外出を控える人が増え、健康維持のために自宅で運動するようになった人もいることでしょう。ウクライナに住むある家族も、自宅でトレーニングができるように運動器具などをそろえたといいます。この家族は、全員がスポーツ好きなのだそう。その中にはスコティッシュフォールドのロッキーも含まれます。ロッキーは、家族の誰かがトレーニングを始めると、積極的に参加してくるのだとか。しかし、ロッキー自身が運動をするのではありません。では、ロッキーはどのようにしてトレーニングに加わっているのでしょうか。その様子がこちらです。「いいぞ、その調子だ。もっと頭を床に近付けるニャ!」ロッキーは厳しいトレーナーだった!腕立て伏せをする飼い主さんの頭を触って、指導しているように見えるロッキー。この動画を見た人たちは大笑いし、たくさんのコメントが寄せられています。・かわいすぎて笑った!この猫に励まされたら、やる気が出そう。・最高のパーソナルトレーナーだ!・ロックダウン中にこのトレーナーがいたら、俺は絶対に太らないだろう。飼い主さんいわく、ロッキーは動画のように、トレーニングをしている人の動きをコントロールしようとするのだそう。していることはまさに、パーソナルトレーナーのようです。家にこんなにかわいいトレーナーがいたら、モチベーションが上がって、毎日しっかり運動を続けられそうですね![文・構成/grape編集部]
2021年09月01日8人制サッカーが全日本少年サッカー大会(現:全日本U-12サッカー選手権大会)に導入され、今年で10年になる。日々、子どもたちの指導にあたる指導者は、8人制のメリットやジュニアサッカーの変遷について、どのように感じているのだろうか?全日本少年サッカー大会で優勝経験のある、センアーノ神戸の大木宏之監督に、COACH UNITED ACADEMYユーザーからの質問に答えてもらった。(取材・文:鈴木智之)ジュニアサッカーの専門指導者を育成「8人制サッカー指導者資格」はこちら>>■主導権を握ってサッカーをするチームが増えてきたQ:11人制から8人制に移行し、現状をどう見ていますか?11人制のときは50m×80mの中に22人の選手が入り乱れていて、いま思うとかなりごちゃごちゃしていましたよね。ゴールキーパーがボールを持っても、人がいるところを省いて、ロングキックを蹴るチームがほとんどでした。ディフェンスラインではボールをつなぐリスクを負わず、大きく前に蹴って、球際のしのぎ合いをがんばるチームが、試合に勝ちやすかった印象があります。最後はドリブル勝負みたいなところがあって、相手の人数が多い中で1人、2人と剥がせる力を持った選手がいると、得点になるという。それが8人制になり、選手一人あたりのプレースペースが増えた結果、選手の判断を大事にして、主導権を握ってサッカーをするチームが増えてきたと感じます。Q:8人制になったことで、指導に変化は生まれましたか?かつてはドリブルなどの技術を中心に教えていましたが、8人制になったことで、ドリブルでの個の突破部分も大切にしながらオフ・ザ・ボールの動きも重視するようになりました。相手チームがボールを保持して攻めてくる中で、どう守備をすればいいかなどのトレーニングも増えました。ほかには、どのポジションの選手であっても、攻撃も守備も求めるようになりましたね。8人制の場合、守備の選手がゴール前に攻め上がることも、攻撃の選手が自陣ゴール前で守備をすることもあります。その影響からか、攻守にいろんなことができる選手が増えてきた印象があります。■オフ・ザ・ボールの動きの指導についてQ:COACH UNITED ACADEMYユーザーから、「攻撃面のオフ・ザ・ボールの動きを、どう指導すればいいでしょうか?」という質問が多くありました。アドバイスをいただけますか。私の場合、低学年と高学年に分けて考えています。小学2、3年生であれば、2対2などを通じて「まずは、自分のことをマークしている相手を、どうすれば攻略できるかを考えよう」と言います。自分のマーカーを見て、その選手を外すことを考えさせるのです。具体的には「マーカーから隠れるポジションをとること」を指導していきます。相手の背後に隠れることや、相手の動き、目線を見て、ボール保持者に近づいてパスを受けた方がいいのか、相手の背後のスペースで受けた方がいいのかなど、マーカーに対して駆け引きをするようにアドバイスをします。低学年の場合、最初は手でボールを投げるところから始めてもいいので、相手を見てプレーすることを意識させます。Q:5、6年生になると、どのように指導が変化していくのでしょうか?味方がどこにいて、相手がどこにいて、ゴールがどこにあるのかといった空間認知の部分や、ゴールまでの道筋を2つ、3つ持ちながら、チームメイトの動きを意識する部分に働きかけていきます。そのためには、オフ・ザ・ボールのポジショニングが大切です。練習中は、ゲームの中でフリーズをすることもあります。子どもたちの考えを否定せず、できるだけアイデアを聞いてあげて、その中で「こういうやりかたもあるよ」と提案をしながら、ゴールへの道筋を複数持てるようにしていきます。●センアーノ神戸のオフ・ザ・ボールのトレーニングはこちら>>■サッカーで大切なのは相手を観察することQ:守備の指導では、「プレスのかけ方」と「カバーリング」について難しさを感じている指導者が多くいました。この2点において、注意すべきことはなんでしょうか?低学年の場合は、ボール保持者に対して積極的にチャレンジさせます。当然、失敗することもあります。相手の方が技術的に上であったり、スピードがある場合、何も考えずに向かって行くとかわされるので、フリーズを入れながら「相手に抜かれちゃったけど、どうしてだろう?」などの問いかけを通じて、子どもたちに考えさせます。サッカーで大切なのは相手を観察することなので、相手の様子を見て、どのぐらいの距離で守るのかなどを、体験しながら身につけていきます。自分がマークしている選手が、いま何を考えてるのかを想像しながら距離を詰めることや、相手と駆け引きをすることにもアプローチします。Q:高学年には、どのような指導をしますか?高学年になると、相手を誘導して、味方同士で挟み込んで奪うといったように、グループでの守備を意識させます。ピッチのどこで相手がボールを保持しているのか、点差はどうなのかなど、状況によって守備の仕方が変わってくるので、試合の流れを見ながら守備をすることの大切さも教えています。そして、選手の判断で「ボールを奪いに行ける!」と思うのであれば、積極的にトライさせます。そのかわり「抜かれたら、必死に戻るんだ!!」と言います(笑)。■指導者が学びチャレンジし続けることが大事Q:8人制サッカーについて、大木監督はポジティブにとらえていますか?圧倒的にポジティブに受け止めています。2年前にヨーロッパに行かせてもらって、スペインの7人制、ドイツの5人制を経験しました。同世代の子たちと試合をしたところ、彼らの方が戦術眼に優れていました。少人数の中でプレーの原理原則、攻守の関わりなどを身につけているのだと思います。私が小学生年代で重視してるのが、サッカー脳を鍛えることです。プレーの原理原則をベースに、クリエイティブな発想を具現化できる技術を持たせてあげたい。それがあれば、8人制から11人制に変わっても、困ることはないはずです。8人制サッカーの指導者資格ができましたけど、育成に携わる人たちが、同じ方向性のもとに指導ができることは、大きな発展だと思います。A代表やU-24代表を見ても、日本にも賢い選手が増えてきました。今後も、我々指導者がそこにチャレンジしていくことが、日本サッカーの将来につながっていくのではないかと思っています。ジュニアサッカーの専門指導者を育成「8人制サッカー指導者資格」はこちら>>●センアーノ神戸のオフ・ザ・ボールのトレーニングはこちら>>
2021年07月02日職場での人間関係に悩んだことがある人は少なくありません。いじわるな先輩や上司に『指導』という名目で理不尽な態度を取られ、つらい想いをしてしまうケースも。こうした上下関係を利用したパワーハラスメントは、近年問題視されています。『職場のおつぼね様』川田大智(@daichi_kwd)さんがTwitterに投稿した創作漫画『職場のおつぼね様』をご覧ください。先輩からのいじめを受けて転職をした1人の女性が、新たな職場で出会ったのは…。〈〈〈【職場のおつぼね様】〉〉〉 #仕事探しはスタンバイ pic.twitter.com/IJpQpsudgp — 川田大智 (@daichi_kwd) June 11, 2021 女性の指導係になったのは、本物のお局さま…!『お局さま』というと、気に入らない相手に対して、きついいい方をしたり、意地悪をしたりといったよくない印象があります。しかし、漫画に登場するお局さまは、悪しき習慣を否定し、後輩を励ましてくれる素敵な先輩でした。読者からは「最高の先輩」などの声が寄せられています。・お局さまが超絶かっこいいです!継承すべき伝統と悪習の違いが分かっている。・「そなたの仕事をなされ」って、最高の先輩ですね。こんな人に出会えたら人生が変わると思います。・まさか正真正銘のお局さまが登場するとは…。インパクトが強くて笑っちゃいました!尊敬できるお局さまの下、女性は今度こそ充実した社会人ライフを送ることができるでしょう。漫画に多くの人が、クスッとさせられました。[文・構成/grape編集部]
2021年06月25日「スカートはヒザ丈にすること」「髪色は黒のみ」「男女ともに髪が肩につく長さは禁止」など、学校によっては厳しい規則が定められていることも。校則は風紀の乱れを取り締まるためのもの。しかし、行きすぎた校則は成長途中の若者に悪影響を与えるとして、問題視され始めています。『厳しすぎる生徒指導』漫画家の川田大智(@daichi_kwd)さんが描いたのは、新米教師が主人公の創作漫画。主任の鬼瓦先生は、厳しい生徒指導を行うことで有名です。鬼瓦先生が女子生徒の髪にハサミを入れるのを目にし、新米教師は胸を痛めますが…。〈〈〈【厳しすぎる生徒指導】〉〉〉 #仕事探しはスタンバイ pic.twitter.com/ds6b1SHQV9 — 川田大智 (@daichi_kwd) May 14, 2021 女子生徒のだらしなく伸びた前髪を、散髪用のハサミで見事にイメチェンさせた鬼瓦先生。強面な外見の持ち主の彼ですが、繊細な手つきで生徒たちのヘアスタイルをよりよいものにしてあげたのです!鬼瓦先生の凄まじいギャップに、漫画を読んだ多くの人が一瞬で心を奪われてしまいました。・こんなにも素晴らしい頭髪検査なら、喜んで受けます!・最高にかっこいい先生…。鬼瓦先生のような大人になりたい。・自分の学校は校則が『拘束』になってたなあ。こんな先生がいればよかった。「自分の学校にもこんな先生がいたらいいのに」という言葉が数多く寄せられた、今回の作品。きっと鬼瓦先生は伝説の教師として、たくさんの生徒の未来を明るくしていくことでしょう…![文・構成/grape編集部]
2021年05月15日私は中学生のころ、ある件がきっかけで「生理=恥ずかしいこと」「生理だということは周りに知られてはならないこと」という認識を持つようになりました。私が中学生のころに経験した出来事についてお話しします。 放課後に呼び出された女子生徒中学1年生の秋ごろのことでした。帰りのホームルームが終わる直前、担任の教師が女子生徒たちに向かって「女子はホームルームが終わったら、体育館へ行くように」と伝えたのです。それだけではなく、男子生徒たちに向かって「体育館に近づかないように」と告げました。 怒られるようなことをした覚えはありません。クラスメイト全員が疑問符を浮かべたまま解散。男子生徒は部活へ行く者と帰る者に分かれ、女子生徒は荷物を持って体育館へ移動しました。 女性教師による生理指導私が到着したころはすでに数十人集まっており、1年生の女子のみが集められていました。教師の指示で、女子生徒はクラス毎に整列し、ほかの生徒や教師の到着を待つこと、数分……。 全員が集合したあと、私は教師を含め、この場にいる全員が女性であることに気が付いたのです。「何の話をするのだろう」「長引くのは嫌だな」と呑気に考え事をしていると、教師の1人が未使用のナプキンを取り出しました。 生理指導は1時間以上教師によると、先日1年生のクラスが並ぶ階の女子トイレにあるサニタリーボックスに捨てられていた使用済ナプキンが小さくまとめられていないままだったとのこと。そのナプキンは経血が丸見えの状態だったため、指導が必要だということになったのでしょう。指導のなかでは、「経血が見えてしまうのは恥ずかしいこと」「隠さなければいけない」と聞かされ続けました。 その後、1人ひとりに未使用のナプキンが配られ、開封し小さくまとめる練習が始まりました。きれいにできない子やできたけれど粘着力が甘く開いてしまった子は教師から指導が入り、まとめ直す練習に入るのです。じょうずにできた子から帰されましたが、できなかった子はなんと長時間練習をさせられたようでした。 しかし、この指導で私に印象に残ったのは、経血が丸見えにならないように生理用品のまとめられるようになることではありませんでした。指導にあった言葉から、「生理は恥ずかしいことなんだ、隠さなければいけないものなんだ」ということが胸に刻まれてしまったのです。 その後しばらくは、生理=恥ずかしいものという考えが私の心に根付いてしまっていました。今思えば、あの指導で教師たちが伝えたかったのは、「生理のマナー」だったのだと理解できます。しかし、あの指導方法で、私の心に残ったことは、残念ながらそのことではありませんでした。生理についての大切な指導も、伝え方次第では違ったものになってしまうのだなと残念に思う出来事でした。 ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように! 監修/助産師REIKO--------著者/佐藤里桜
2021年04月28日何人かいるコーチたちの間で、今やるべき練習メニューや練習時間など指導方針にギャップがある。子どもたちの成長という目的は全員一緒なのに、それぞれアプローチの部分で異なるイメージを持っていて、相容れない状態。話し合い以外にどうやって解決すればいい?とのご相談をいただきました。みなさんのチームではどうしていますか?かつては自分も同じ悩みを抱えていた、という池上正さん。ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた経験をもとにアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導DVDプレゼント!詳しくはこちら【4月限定】>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<ドリブルとパス、どちらを先に教えるべき?ジュニア年代の育成ではどちらを優先すべきか教えて<お父さんコーチからの質問>こんにちは。私は地元の少年団でコーチをしております。担当はU-12です。担当するトップチームのコーチ間で、今やるべき練習メニューの相違、練習時間の使い方など指導方針のギャップがあり、信頼関係がうまく構築できていないと感じています。指導対象となる子どもたちの成長を第一に考えていることは一致しているのですが、指導方針のギャップを埋めるためにはどのような行動をとるのがよいでしょうか。「子どもたちの成長」という目的は一緒なのに、そこまでのアプローチがそれぞれ異なるイメージを持っていて、相容れない状況です。池上さんはこれまでそのような場合に、どんな風に解決してきたかなど教えていただけないでしょうか。話し合いを重ねるだけでなく、練習メニューで共通認識をすり合わせることができたりする方法や、この年代にはこの練習が良いという指針など、もしそんなのがあればアドバイスをお願いします。<池上さんのアドバイス>ご相談、ありがとうございます。コーチ間で指導方針や方法論にギャップがあるというお話ですね。具体的に、どう違って、異なることでどんな弊害が起きているのかもわからないので、想像でお話しするしかないのですが、もしかしたら「違いは違いとしてそのままにする」ということでもいいのかもしれません。■相容れないように聞こえても根っこは同じ、というのは海外でもあること先日、ドイツのサッカーに詳しい湯浅健二さんの講演を拝聴しました。湯浅さんによると、世界トップの監督たちが集まると、決まって喧々諤々(けんけんがくがく)の議論が始まるそうです。「私の理論では......」と主張します。ただし、一見すると、それぞれが相容れないように聞こえるが、根っこは同じことを話しているのだそうです。そんな話を非常に面白く聴かせていただきました。このことは、まさしくオシムさんがおっしゃっていたことに通じます。「サッカーにはセオリーがあるぞ」サッカーは、どんな戦術でも共通の認識がある。そこから、こうじゃないか、ああじゃないかとそれぞれの指導者が表現を変えたり、その人らしい色をつけていくのです。■グアルディオラの「3ゾーン・5レーン」は選手に意識させるための工夫によるもの例えば、マンチェスターシティーを率いるペップ・グアルディオラ監督は、「3ゾーン・5レーン」という表現をします。これはサッカーのアタックのベーシックな考え方「3ゾーン・3レーン」を、もう少し細やかに約束ごとを作ったものです。例えば、左右のサイドを使いだすと、真ん中が空いてきます。グアルディオラ監督は基本の3レーンをさらに分けて5つにして選手に示しました。誰かがどこかのレーンに入ると、そこにスペースができます。そのレーンがあるか、ないかではなく「誰かが動くとスペースができる」というセオリーを飲み込ませるために、5つのレーンを選手に意識させる工夫をしているのです。「うちのチームはこのレーンを使うぞ」というような、新しいものが出てきたわけではありません。もとのセオリーは同じなのです。■かつては自分も同じ悩みを抱えていたそのように考えると、ご相談者様の少年団のコーチのみなさんも実は根本の考え方は同じだと感じます。アプローチの仕方に違いはあれど、「子どもたちの成長」という目的は一緒だとご相談者様も書いておられます。全員が子どもの成長を本当に思っているとしたら、実は話し合いで十分解決するケースではないでしょうか。私自身、Jリーグ2クラブに在籍した時代は、育成コーチや育成部長といった立場で多くのコーチとミーティングを重ねてきました。コーチの能力にばらつきがあるなどして、ご相談者様の悩みと同じような問題を抱えたこともあります。さまざまな意見が出される中で「カテゴリー(年代)別に、ある程度練習メニューを決めてはどうだろう」という意見も出ました。各々のコーチに任せず、指導の均一化を図るには、マニュアル化してしまうことも考えられました。そうすれば、指導がブレず進むかもしれないというわけです。■練習メニューは山ほどあるのだから、それぞれのコーチが何をしてもよいしかし、そうした場合「コーチのパーソナリティー(個性や判断)はどうなるのか?」といった異論も出てきました。そこを重要視するならば、指導の根幹となる部分(ビジョンや哲学)は共有しよう。ただし、そこからズレてしまってはいけないことはきちんとアナウンスする。その範疇で指導できそうならば、各コーチに任せた方がいいのではないか。そんな議論をたくさんしました。加えて、練習メニューの選択にも共通認識を持つことを大事にしました。練習メニューは山ほどありますから、何をしてもいいわけです。■枝葉の議論でなく、おおもとの目的をテーマに話し合ってみようそのなかで「ドリブルかパスか」みたいな、前回のこの連載でさせていただいたような話もたくさんしました。「いや、パスを重視すべきだ」「いや、どちらかに偏って指導するのではなく、クローズドスキルの時間を減らせばいい」そういった議論を重ねました。つまり、議論の内容は、常に枝葉の部分ではなく、おおもとのところをテーマにしてきた気がします。例えば、子どもがうまくなっていくことってどういうことなのか?自分で判断する重要性は何なのか?視野を持たせて自分で情報を集める能力をつけないと、上に行って困るのは子どもではないか?そうすると「みなさん、選手が自分で判断できるようになる練習をやってください」と言えばいいだけでした。■サッカーの要素が全部あるメニューさらにいえば、この年代にはこの練習が良いという指針は特に設けません。それは今も同じです。良い練習とは、サッカーの要素が全部あって、子どもがらせん階段をのぼっていけるようなメニューが一番です。そう考えると、ゲーム(ミニゲーム)が一番です。指導者は、ゲームをする際の「設定」を、その年代の特徴を考慮して考えればいいだけです。その年齢ごとに、仲間を認識できる広さや人数を調整する。例えば、幼児なら人数は、2対1や2対2など、味方は自分ともうひとりだけ。コート(グリッド)は狭く設定します。池上正さんの指導DVDプレゼント!詳しくはこちら【4月限定】>>次ページ:どんな練習メニューをするか、の前に大事なことは......■どんな練習メニューをするか、の前に大事なことは......(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)要するに、年齢が低ければ低いほど、人数もコートの広さも小さくなります。年齢が高くなれば4対3や4対4など、人数を増やす設定にします。パスをする選択肢(仲間)が増えてくるし、グリッドが広くなるので、パスも長くなります。日本はその気づきが欧州よりもかなり遅れました。わずか十数年前まで、小学生まで11人制でやっていたのですから。オランダは、小学生に4対4を40年前からやらせています。まずは、「どんなふうに育てるか」というビジョンを明確にするための話し合いをして みてはいかがでしょうか?池池上正さんの指導DVDプレゼント!詳しくはこちら【4月限定】>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2021年04月23日ジュニア年代の指導ではドリブルとパス、どちらを先に教えたらいい?保護者も子どもたちもドリブル軍団が勝利を収める場面を見て移籍したくなるようだ。サッカーの最小局面は2対1という考えで指導しているけど、保護者や子どもたちのそんな姿を見ていると、指導が不安になる。ジュニア年代で優先的に伝えるのはドリブル?パス?というご相談。みなさんはどんな風に教えていますか?これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、お父さんコーチの悩みにアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導DVDプレゼント!詳しくはこちら【4月限定】>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<監督の顔を潰さずチーム外自主トレでできることは?<お父さんコーチからの質問>池上さん初めまして。私は普段は専属で街クラブのジュニアチームで指導しています。指導年齢は未就学児から小6までです。早速ですが質問です。ジュニアの育成年代に伝えて行くべき優先順位はパスですか?ドリブルですか?ドリブルに特化したスクールや動画の配信が子ども達を夢中にさせているのを目の当たりにします。またドリブルに特化したチームが有利にゲームを運び勝利する場面も多々見かけます。私としては「サッカー」を教えたいのでサッカーの最小局面は2対1という考えの元で指導しています。ただ保護者や子ども達はドリブル軍団が勝利を収める場面を見ると移籍したくなるようです。正直私も不安になる事があります。池上さんの育成に関する優先順位、勝手に前提を作って恐縮ですが、ドリブルかパスかの考えをもとにご教授いただけると幸いです。<池上さんのアドバイス>ご相談、ありがとうございます。これまでも拙書でも何度か取り上げてきましたが、ドリブルかパスかという議論は、日本ではまだ見かける議論です。そのうえ数年前から「ドリブルデザイナー」といった肩書を名乗る方も現れました。■ドリブルよりパスを教えることが難しいと思う指導者も少なくないドリブルやリフティングは、目に見えて成長がわかりやすい技術で、しかも「個人」に絞って技術の程度を評価できます。一方の「パス」は、ひとりだけの技術ではありません。受け手がボールを受けやすいスペースに現れて初めて、出し手はパスを出せます。その点では、ドリブルが個人のスキルであるのに対し、パスはチーム(組織)のスキルと言えます。その点で、指導者のみなさんはパスを教えることを難しく感じられているようです。■止める、蹴るの技術を取り出して教えるのは後でいい例えばパスのスキルというと、まずは「止めて蹴る」から教え始めます。「ボールを止められなかったり、しっかり蹴れなければパスはできない」という考えの方は多いと思います。ある指導者と話をしたときのことです。私が「うまく動くことを教えれば、サッカーは楽しくなりますよ。(止める、蹴るの)技術を取り出して教えるのは後でいいのではないか」と話したら、「ボールを蹴れない子どもに動き方を教えても仕方がないだろう」とおっしゃいました。「まさしくおっしゃる通りです。でも、キックの練習から入ると、このキックはいつ使うのかがわからないのでは?ゲームの中で、向かい合って蹴ったりするパスは使いませんよね。まず最初に、『ここに動いてボールをもらえばシュートを打てる』ということを理解できれば、子どもは『じゃあ、そのときにうまく蹴るためにキックの練習をしよう』となりませんか?」そう話しました。キックやボールコントロールを何のためにやるのか、それがわかったほうが技術練習は断然楽しくなるはずです。その指導者の方は「なるほど」と納得してくださいました。■どちらが先ではない。パスもドリブルも一緒に教えないといけない対するドリブルも、実は同じことが言えます。「こういうときにドリブルできるとどう?向こうの人にパスしやすくなるよね」とか「この密集を抜け出すためにはドリブルができるといいね」と、使いどころを一緒に探してあげてください。要するに、パスもドリブルも一緒に教えないといけません。どちらが先ということはないと私は考えます。では、その先にあるものはなにか。ご相談者様が書かれているように「2対1」がそのひとつです。さまざまな局面で、ドリブルをしたほうがいいか、パスしたほうがいいかを判断する力を養うためにも、2対1をしてもらいます。2対1から始める意味は「2人で協力すると簡単に点が取れるよね」ということを伝えるのが一番のポイントです。例えば、味方のほうにちょっとボール向けると、前が空く可能性があります。そうすると、そこでパスもできるし、自分でドリブルしてシュートも打てます。どっちもできる。「そこで何を選びますか?」といったプロセスをたどることが大事です。指導者が「そこでパスを選べ」とか「ドリブルで勝負しろ」と命じるものではありません。■ドリブルがうまくなった子にパスを教えるのは難しい加えて、これは私の経験上わかっていることですが、ドリブルが上手くなった子に、「じゃあ、次はパスができるようになろう」とパスを教えるのは難しい。ひとりでドリブルで相手を抜けてしまう子は、なかなかパスを出そうとしません。逆に、ドリブルもパスも一緒にトレーニングした子どもがゲームの中で自分の前にスペースがあるのにパスを探していたら「ここ、空いてるじゃん。ドリブルしてごらんよ」とアドバイスすると、その子は変わってきます。変化しやすいのです。パスもドリブルも、選択肢が両方ある。もっといえば、どこにパスを出すか、どんなドリブルで場面を変えるかというようにそれぞれに選択肢があることが重要です。場面場面でどれだけたくさんの情報を持てるか。そして、その情報を瞬時に整理して選べるかがいい選手の条件です。この認知、判断の次に「行動」がきます。正確に出てきたパスをコントロールし、次にパスやドリブルを選べるか。それができるプレーヤーになるためのベースをつくるのが、私たち育成年代を教える指導者の大きな仕事なのです。■サッカーに必要な認知、判断力は「大人になったら理解できる」ものではないしたがって、情報を入れるトレーニングを早くからやったほうがいい。対面パスやジグザグドリブルのようなクローズドスキルだけでは、子どもは考えなくて済みます。日本のジュニアは足元の技術が素晴らしいと言われますが、それだけをやってしまうと頭で考える力がついてきません。近年、この認知能力は、世界のサッカーが見られるようになったおかげで推進されているかもしれません。「個の力を育てないといけないのでは」という意見があります。おっしゃる通り欧州でも「個の力が重要」と言われています。抜きんでた個の技術は、メッシなどスーパーな選手がひとつのお手本でしょう。ところが、欧州の指導者は、すべての子どもたちをメッシになるように育てなきゃいけないとは思っていません。対する日本人はことさら「個の力は大切だ。メッシのような選手を育てなくては」と思ってしまうのかもしれません。ディフェンダー、ミッドフィルダー、フォワードと、ポジションの違いもありますが、共通して持たなくてはいけないのはサッカーをどう認知して判断するかという力です。このベースがあっての話が「個の力」の追求になるのですが、そこが抜けていないでしょうか。この能力は「大人になったら理解できる」というものでもありません。小さいときから、何を選びますか?何を考えますか?と、自分で考えて認知し行動する習慣をつけておく必要があります。無論、2対1の局面でもドリブルしたほうがいい場合もあります。でも、そこは「君が選べばいいんだよ」と伝える。そんな育て方をしてほしいと思います。池上正さんの指導DVDプレゼント!詳しくはこちら【4月限定】>>次ページ:ドリブル軍団を見て移籍したくなる理由■ドリブル軍団を見て移籍したくなる理由(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)「ドリブル軍団が勝利を収める場面を見ると移籍したくなるようだ」と書かれていますが、移籍する人たちはドリブルを指導してほしいわけではないと思います。シンプルに「強いチームに行きたい」と親子とも思っているのではないでしょうか。そこを変えない限り、日本の育成は変わらないと思います。「じゃあ、ドリブル軍団に勝つように頑張ろう」では時間がかかります。保護者や子どもたちがサッカーの本質を理解していないから、目に見えて成果がわかりやすいところに行きたくなる。そこに理解を求めたり、一緒に学ぶ姿勢を持てるといいと思います。2対1など、あなたがなさっていることは間違っていません。ご自分の指導にぜひ自信をもって、学びながら進めていってください。池池上正さんの指導DVDプレゼント!詳しくはこちら【4月限定】>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2021年04月16日猫から前脚で叩かれる『猫パンチ』。猫を飼っていない人でも、猫パンチというワードを聞いたことがある人もいるほど、知られています。パンチをするのは、猫の狩猟本能の1つ。猫ならば習わずとも、本能で猫パンチを繰り出すことができるようです。しかし、保護猫のクウちゃんは、『猫パンチ講座』を開いて講習をしていたのだとか。飼い主さん(@kunyan_kainyan)が撮った写真がこちらです。「猫パンチは、脇を『ギュッ!』と縮めてから…」「『パッ!』と出す」猫パンチは脇をギュッ!と縮めて〜パッ!と出す pic.twitter.com/wU0HJ9jN6U — クウとカイ (@kunyan_kainyan) April 13, 2021 ボクシングジムのコーチのように気合の入った顔で、猫パンチ講習を行うクウちゃん。一緒に暮らしている猫のカイちゃんも、クウちゃんに猫パンチを夜な夜な教わっていたのかもしれません。投稿は反響が上がり、さまざまな声が寄せられていました。・漫画『あしたのジョー』ならぬ『あしたのネコ』ですかね。・面白すぎる!パンチの時に爪も出すんですね。・熱血指導をされていますね。とても人間味がある猫ちゃん!指導に熱が入るクウちゃん。これからの猫パンチは、より強烈なものになっているかもしれませんね![文・構成/grape編集部]
2021年04月15日8日、東日本国際大学(福島県いわき市)の野球部で発生した新型コロナウイルスのクラスターについて、市は新たに30人の感染が確認されたと発表。このクラスターの感染者は合わせて42人となった。野球部では、3月末に泊まりがけで県外遠征をしたあとに大規模なクラスターが発生した。部員は、NHKの取材に対し、3月上旬から10人ほどの部員が相次いで発熱や味覚障害などの体調不良を訴えていたにもかかわらず、遠征が行われたと証言している。大学側は「できる限りの対策をした」としているが、野球部員は「症状を訴えた部員はスタッフの指示に従って大学が契約している市内の病院を受診したが、いずれもPCR検査は必要ないとされ、検査を受けられなかった」「全員が食堂に集まって決められた時間に食事をとるのは危ないと考え、一部の部員が密になるのを防ぐため時間をずらして食事をとろうとしたところコーチに叱責され、理由を説明しても改善されなかった」と語っており、両者の言い分には食い違いが生じている。なお、クラスターの発生を受け、東日本国際大学は今月十日に開幕する南東北大学野球連盟春季リーグ戦の第1週(4/10、11)及び第2週(4/17、18)への欠場が決まった。これをうけ、SNS上では大学及び指導者の感染対策がずさんだったという指摘が相次いだ。《密になる事を避けようと進言した部員に叱責したコーチは、このご時世においてどういうお考えなの……????》《このコーチ陣たちがした行動は良くない。そして、間違いなく他の部活動や組織でも起こっていることである。検査を受けさせないこと、陽性者を隠蔽することは、いろんなところで起きてるんじゃないかな?》《プレイヤーが対策しようとしたのにコーチとか大学がその足を引っ張ると言う展開か。可哀想に。》《実に日本の体育会系らしい組織だこと……》新型コロナウイルスへの感染は、無症状者の場合でも周囲に感染を広げるうえ、息切れなどの後遺症を起こす可能性も指摘されている。感染対策に注力すべきことを意識していたのは、コーチではなく生徒だったようだ。
2021年04月09日勝ったり負けたりが当たり前の、普通の少年団。最近は楽しませることが大事だとよく目にするので、自分なりにメニューを組んで実施しており、子どもたちには好評だけど、保護者から「もっと厳しくしてほしい」と......。厳しくされている方が「指導されている」感が出るからだと思うけど、どうしたら楽しみながら成長することを理解いただけるのか。どんな伝え方がいい?とのご相談。保護者への伝え方など、指導者の悩みですよね。これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんがご自身が実践していることを踏まえ、保護者の皆さんへの伝え方をアドバイスします。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<U-8世代にも効率よく理解させる練習メニューが知りたい!いい方法はある?<お父さんコーチからの質問>池上さんこんにちは。私は3年前から地域のスポーツ少年団で指導をしています。地方在住なので情報が都市部に比べると遅かったり少なかったりするのは否めませんが、自分なりに本やネットなども使って勉強しています。指導しているチームはもともと県大会に毎回進出するようなレベルではなく、勝ったり負けたりが当たり前なので、歴代指導者もいわゆる厳しい指導はしておらず、サッカーの基礎を教え、練習最後に行う試合や大会などを通して学んでいくという感じです。よくある地方のチームだと思うのですが、最新のトレンドを抑えたトレーニングや、今現在「良い」とされている指導、チーム運営ができているかというと自信はありません。最近では、楽しませることが何より大事だということをよく目にするので、自分なりにネットや本などで情報を収集し実践しています。子どもたちには楽しんでもらえているようですが、保護者の皆さんに「楽しいのもいいけど、もっと厳しく指導してほしい」と言われます。親御さんたちも楽しむことが大事だと言われていることはわかっているようですが、それが結果や成長につながるかという点で完全に腹落ちしていないようなのです。分かりやすく結果が出ないと親が納得しないということと、厳しく指導されているのが目に見えるほうが「指導されている感」があって満足するようです。厳しい指導の部活などを経験している世代だからこそなのはわかりますが、そんな保護者を納得させるような伝え方や、楽しみながら上手くなることが伝わるメニューの例などがあれば教えてください。<池上さんのアドバイス>ご相談、ありがとうございます。今の親御さんたち自身が部活動などで厳しい指導を経験しているため、厳しく指導されているほうが「指導されている感」があって満足する。ご相談者様がおっしゃる通りだと思います。これは保護者のみならず指導者も同様です。皆さん、「スポーツは勝負事なのだから勝つチームがいい」「強いチームをつくるのが、いいコーチ」という評価になっています。■誰かと比べて上か下かではなく、以前よりどれだけ伸びたかを見てあげよう一方で、教育の現場は一足先に変わり始めています。例えば、子どもへの評価の考え方のひとつが「相対評価」です。誰かと比べて上か下か、そこを見ます。そうなると、わが子が、勉強にしろ、スポーツにしろ、属するグループで一番にならないと満足しません。対岸にあるのが「絶対評価」です。子どもが、以前よりどれだけ伸びたか。サッカーであれば、同じ大会で去年は1回戦負けだったのに、今年は1勝して2回戦に進んだ。それはひとつの成長としてとらえることができます。そのように「絶対評価」に慣れてくると、スポーツや少年サッカーの姿は変わってくるかもしれません。自分たちのチームがどれくらい伸びたか。コーチはそのことをよく知っているはずです。以前はあんな練習しかできなかったけど、いまはこんな練習ができるようになった。ここをもう少し鍛えて、こう変われば、もっとうまくなる――そんなイメージはできているはずです。それは、試合に勝つか負けるかではなく、個々とチーム全体が以前より上手くなる。前の年より進化する。そういうとらえ方の説明を、指導者が保護者に対し具体的な例を挙げて話せるようになるとよいかと思います。■コーチが子どもたちに話す姿を保護者にも見てもらう私は、私自身のサッカー観や指導観を保護者に伝えるために、練習や試合で子どもたちに話す姿を保護者にも見てもらいます。コーチ側がどんなことを大切にしているのか。そのことをどう伝えているのか。話を聴いている子どもたちは、そのことを理解しているのか。そういったことを親御さんに見てもらうのです。また、保護者とも可能な限り話します。私が最近新たに始めたチームで、フニーニョ(※ドイツで発祥したミニサッカー。ミニゴールを4つ使い3対3で行うミニゲーム。近年ドイツサッカー連盟が9歳以下の試合に導入を推奨した)の交流会を開催しました。試合のあと、私は保護者にこう言いました。「真剣に守っているように見えないですね。皆さん、どうですか?」すると皆さん、一斉にうなずいていらっしゃいました。「そうですね。次はもっとしっかり追いかけるようになるといいですね」と話しました。そんなふうに、次のステップが何なのかをしっかり親御さんにも伝えます。それを続けていくと、親御さんたちの姿勢は相当変わります。■楽しむことがモチベーションにつながる、という解説もしてあげるそれと同時に、サッカーを楽しむことが子どもたちのモチベーションにつながるという解説を、保護者にしてあげたほうがいいでしょう。昔から「好きこそものの上手なれ」と言われますね。サッカーが大好きだからこそ、真剣にやる。そうすることで、技術は身につきます。そのことは、スポーツ心理学の学びの中でも証明されています。とはいえ、物事に対する子どものモチベーション(動機付け)は、最初の段階では外発的なものが必要です。楽しくなるために、熱中できるために、コーチがどんな活動環境を提供してあげられるか。そこが問題です。楽しいからこそ真剣に取り組むのですが、そのうち気づけば誰も笑っていません。集中します。■「楽しい」はワイワイキャーキャーすることではない。真剣に楽しむことを教えて「子どもはサッカーを楽しみましょう」そんな価値観が広まってきたのは悪いわけではありませんが、私からすると「楽しい」がまだ甘いように感じます。ワイワイ、キャーキャーと歓声を上げるのが楽しい、というレベルで終わってないでしょうか?さらにもっと楽しくなると、笑うことはなくなります。まさしく集中し、ゾーンに入る。練習の中で白い歯を見せて笑っている子がいなくなります。そこをぜひ目指してほしいのです。徐々に真剣になっていく。そんな空気を作るために、常に勝ち負けのあるメニューを考え、子どもたちと対話し、要求を高めていきます。そこを、「笑っている子をなくす」「真剣に取り組む」といった、姿勢というか「かたち」から入ってしまうと、態度への注意が増えます。集中しよう。真剣にやろう。最後まで頑張ろう――そう指示命令されれば、子どもは真剣にやろうとするでしょう。でも、サッカーも、他のスポーツも、そうやって「真剣にやれ」と叱ってやらせるものではありません。そのような管理され作られた空気は長く続きませんし、委縮させられた子どもは自由にサッカーを考えられなくなります。池上正さんの指導を動画で見る>>次ページ:サッカーが俄然楽しくなるきっかけをつくる■「次は、今日負けたところに勝とう」と言ってはいけない理由(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)選手が勝ちたいと思うのは当然です。だから、試合に勝ったら「勝ってよかったね」でいい。それなのに大人たちが「次はあそこに勝って優勝しようぜ」と、次の「勝利」を目標に掲げていないでしょうか?負けて悔しい、でいい。そのあとに「次は、今日負けたところに勝とう」と大人は言ってははいけません。負けたら「残念だったね。また頑張ろう。うまくなろうね」でいいのです。そこで「次は勝とう、相手にリベンジしよう、とは私は言いませんよ」と保護者に説明してもいいですね。コーチがあくまでも「絶対評価」で子どもたちをとらえていることを伝えてください。私が最近地元にチームを作ったのは、絶対評価で子どもたちを育てていくとどうなるのか。子どもたちが大きく成長することを証明したいと考えているからです。ぜひ、そんなふうに考えて、保護者とたくさん話してください。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2021年03月05日20年以上に渡ってスペインで指導者として現場に立ち、アトレティコ・マドリードやビジャレアルのアカデミーなどで活動してきた、佐伯夕利子さん。なかでも2014年にビジャレアルのアカデミーが実行した「育成改革」には、指導者人生を揺るがすほどの影響を受けたと言います。インタビュー第3回では、佐伯さん自身の変化について、話をうかがいました。(取材・文鈴木智之)ビジャレアルが行った育成改革改革のおかげで、これまで選手をジャッジして来たことに気付いたと佐伯さんは語ります(写真はサッカー少年のイメージ)<<第2回:そのコーチングは「指導者が考える正解」では?ビジャレアルが将来を見据えて行った指導者改革■「これまで選手をジャッジし続けてきた」と気づいた――ビジャレアルの育成改革では指導風景を撮影し、映像をもとに指導者間でディスカッションしたとおっしゃっていましたが、佐伯さん自身フィードバックを受けて、どのような変化があったのでしょうか?まず、選手に対するアプローチの仕方が、ガラリと変わりました。なかでも強く感じたのが「私はこれまで、選手をジャッジし続けてきたんだ」ということです。たとえば、「この選手は良い選手」「この選手はそうでもない」というのもジャッジです。誰しも指導者にはお気に入りの選手がいて、どんな状態でもピッチにいてほしい。説明のつかない信頼感を寄せている選手がいます。その子に対するジャッジは、文句なしに「良い選手」です。でもいま振り返ると、それは思い込みだったのではないだろうかと。もしかすると、良い選手であるという先入観のもと、ラベリングをしていたのかもしれません。――ご自身の考えを、客観的に見られるようになったのですね。他に変わったのが、口から出る言葉です。人間は無意識のうちに、習慣化した言葉を使っています。指導中にも、頻繁に口をついて出ます。ビジャレアルの育成改革ではメソッド部門のメンタルコーチたちが、私の近くに影のように寄り添い、練習中にカメラを回し、メモをとりながら「佐伯コーチは練習中、何を言っているのか?」を記録しました。そして、私の口から出てくる言葉を全部「仕分け」してくれるんです。ポジティブな言葉とネガティブな言葉を分け、選手に対してポジティブなフィードバックが多かったのか、ネガティブなフィードバックが多かったのかに分けます。■言葉を可視化したことで、選手が自分の言葉をどう感じるかに気付けた――どんな言葉をかけているか、可視化されるわけですね。そうなんです。たとえば、90分の練習でA君に18回、B君に8回、C君に2回、声をかけたとします。「この数字を見て、佐伯コーチは何を感じますか?」と質問をされます。そこで私は「A君に18回も声をかけている。すごく執着しているな」とわかるわけです。次に、A君にかけたポジティブな言葉とネガティブな言葉を仕分けされた表を見せられます。すると、18回のうち15回がネガティブで、3回がポジティブなワードを使っていたことがわかりました。――A君に対して、ネガティブに執着していたわけですね。そこで私は自分の考えを正当化するんです。「でも、あの子には、これまで何度も注意しているんですよ。それなのに、状況を見ないでボールを受けてしまって、それから何をしようかを考えるから、ボールを奪われることが多くて。何度言っても改善されないんです」というように。指導者というのは自分を正当化させたら天下一品で、いくらでも言葉が出てきます。でも、はたして本当にそうなんだろうか? というところを、メソッド部のコーチが掘り下げてくれるんです。一つひとつ踏み込んで、「この言葉は、A君に対してどのように伝わってったと思う?」「このように言われたら、A君はどのように思ったと思う?」と、あえて指摘せず、質問を投げかけることで私自身にその答えを出させるのです。それを繰り返すことによって、「こんな言葉を使ってしまった」「こんな言い方をしてしまった」「A君は、いまどう思っただろう?」という意識が芽生えるようになりました。自分の指導を俯瞰できるようになったというと、おおげさに聞こえるかもしれませんが、いままでそんなことは思ったことがなかったので、一番の成長だと思います。――すごいアプローチですね。例えば同じシチュエーションで同じミスをした時に「また?」と指導者が言ったとします。その「また?」が、言われた選手に与えるインパクトは、どのようなものがあるだろうか?「また?」と言われた次のアクションで、結局あなたが望むプレーをA君はできた?と聞かれるわけです。同じミスをしたときに、指導者に「また?」と言われたら、次から身体が縮こまってしまい、より良いアクションは起こせないですよね。メソッド部門の人たちはそのような対話を通じて、私を変えてくれました。■スペインでは勘違い指導者の居場所がなくなりつつある――キャリアのある指導者を変えるのは、大変なことだと思います。変える方も、変わる方も。私だけでなく、スペイン国内の大多数の指導者は、多くの勘違いのもとに指導をしてきたのだと思います。幸運なことに、私はそれに気がつくことができました。さらに申し上げると、スペイン国内では指導者のプロファイルが変わってきていると感じています。これまではパフォーマンス系の指導者、例えば吠えるタイプの指導者やミスをした選手がいたら、ピッチサイドで地面にペットボトルを投げつけてみたり、審判に食ってかかったりするような指導者が多くいました。審判にプレッシャーをかけることイコール、チームへのプラスになるという変な信仰があったり。まだまだそのような指導者は少なくありませんが、流れが変わってきて、徐々にそういった指導者の居場所がなくなってきていると感じています。■知識があっても現代のやり方に合わない指導者は求められていない――そのような指導者はかつては「熱心な指導者」と言われていましたが、世の中が変わってきた中で、求められる指導者像も変化してきたのでしょうか?そう思います。先日、スペインの有名なスポーツダイレクターと話をしたのですが、同じことをおっしゃっていました。「○○監督はフットボールの知識があって、4-3-3について語らせたら、自分がいままで出会ってきた中でナンバーワンだ。だけどスポーツダイレクターの立場から考えると、彼を監督して招聘するのはありえない。なぜならもうそういう時代じゃないし、彼のやり方は求められていないんだよね」と言っていました。選手とのコミュニケーション方法やチームの作り方、自分の知識の伝え方など、時代とともに求められるやり方も変わってきているのだと思います。――オールドスタイルの指導者の居場所がなくなってきているのですね。はい。スペインで言うと、1980年代、90年代の指導スタイルから、進化していない人達の居場所がなくなってきているように感じます。そういう人達は、海外に居場所を求めています。なぜならばアフリカやアジアなどは、ヨーロッパと比べて人権への意識が低い地域もあるので、そのような指導がまだ認められるからです。もちろん、アフリカやアジアで仕事をしている指導者全員がそうだと言っているのではありません。そこは誤解なさらないようにしてほしいです。中には実力が認められて、海を渡った指導者もいます。でも、そうでない人がいるのも事実です。■過去にもてはやされた手法をなぞることがイケてると勘違いしていた――日本のスポーツ界にも、指導者のパワハラは根強く残っています。ハラスメント系の指導者というのが、一昔前はイケている指導者だった時期がありましたよね。「あの監督は情熱がある」といったように、色々な言葉で正当化されてきたんです。私もそう思っていた時期もありました。例えば、「メンバーリストは相手のチームよりも後に出せ」とか、色々なことを教えられました。でも時代は変わり、指導者がメンバーリストをいつ出すかに気を取られている間に、そのエネルギーを選手に向けて、選手のことを考える時間に当てたほうがよっぽど良いですよね。――そう思います。試合前というのは、選手が試合に向けてどのような気持ちでいるか。それに指導者は寄り添っていなければいけないはずなのに、つまらない信仰のようなものを、私達はたくさん作り上げてきてしまいました。それをなぞることが、イケている指導者だと勘違いし、そのような指導者をスペインのサッカー界は大量生産してしまったのです。しかし現在、先進的なクラブは、そのようなプロファイルの指導者は求めていません。ビジャレアルが2014年に改革しようとしたのは、まさにその部分で、それが遅かったのか、早かったのかはわかりませんが、私に多くの影響を与えてくれました。■ひどい指導者たちを批判するだけでは何も変わらない。指導環境改善のためにできること――過去の誤った振る舞いに気がついたとき、どのように感じたのでしょうか?私はメソッド部門のコーチに「いままでの自分はひどい指導者だったんだと、恥ずかしく思う」と言いました。すると、「いいんだよ。キミに非があるわけではないんだから。キミは、そのやり方しか知らなかっただけなんだ。それが正しいと思っていただけなんだ」と。さらに、こう言われました。「キミがやってきたことと、違ったアプローチがあることも知ってほしい。こういうやり方もあるんだと知ることで、指導者として豊かになれるはず。指導者をそのように育ててきた、スペインのスポーツ文化にも責任はある。人間は知っていることしか見えない。キミたちはひとつのやり方しか教わってきていないから、見えるものも見えなくなっているんだ。知ることによって、見えるものも変わるはずだから、『知る』を増やそう」と。――深い言葉ですね。日本のスポーツ界には未だにハラスメントがあり、子どものスポーツに対して、ひどい指導をしている人も多いと聞きます。でもそこで、「ここにひどい指導者がいる」「あそこにもいるぞ」と批判を繰り返すだけでは、何も変わりません。なぜならばそのような指導者達は、言い訳でなく、他のやり方を知らないんです。そして、いままではそのやり方で試合に勝ったり、大会に優勝したりと、機能してきてしまったのです。なので、その部分に対する『学びくずし』と言うか、そこに取り組むためのきっかけや、サポートする人がいない限り、指導者は変わることができない。私の経験上、そう思います。(第4回に続く)<<第2回を読む佐伯夕利子(さえき・ゆりこ)1973 年10月6日生まれ/イラン生まれ92 年にスペインに移住し、93 年から指導者の道を歩み始める。レアル・マドリードのスクールをはじめ、スペイン男子3 部リーグ、アトレティコ・マドリッド女子チームなどで監督経験を積む。08 年からビジャレアルに在籍し、男子U19のコーチ、レディースの監督、女子部統括責任者などを歴任。18 年に公益社団法人日本プロサッカーリーグの特任理事(非常勤)に選任され、2020年3月からJリーグ常勤理事。
2021年02月16日30年近くに渡ってスペインで活動し、サッカー指導の現場で奮闘してきた佐伯夕利子さん。スペインの指導ライセンスレベル3(日本のS級に相当)を取得し、アトレティコ・マドリードの女子チームやビジャレアルのアカデミーで指導を行ってきました。2020年よりJリーグの常勤理事となり、現在は日本を拠点に活動(11/30-2/1まで一時帰国中)しています。選手の育成について多くの知見を持つ佐伯さんに「子どもたちを伸ばすために、指導者が変わらなければいけない理由」をテーマにインタビューを行いました。第2回はビジャレアルが行った育成改革の内容に迫っていきます。(取材・文鈴木智之)ビジャレアルが行った育成改革改革の第一歩は、指導者が自分を知ることから始まったそう(写真はサッカー少年のイメージ)<<第1回:1人ひとりの個性を見て個別最適化がチーム強化に。スペインの名門ビジャレアルが育成改革に取り組んだキッカケ■育成はすぐに結果が出るものではない。「今」だけ見ていて良いのか――サカイクでは、「子どもを変えるには、大人が変わらなければいけない」というメッセージを打ち出しています。ビジャレアルの育成改革は、まさに大人(指導者)が変わることで、子どもたちの変革をうながしたそうですが、どのような取り組みをしたのでしょうか?それまでの私達はサッカークラブの指導者なので、普段からサッカーの話ばかりをしていました。どんなシステムがいいのか、サイドバックの選手に求める要素は...といった形です。あるとき、ビジャレアルの育成改革を推進したコーチに「そんな話を何十年もしてきて、これから先の何十年も続けていくのか?」と言われたときに、はっとしたのです。指導者として、それはあまりにも貧しいのではないか。そうではなくて、もっと広い視野で選手を育てるべきなのではないかと。ご存知のとおり、育成はすぐに結果が出るものではありません。目の前にいる選手が8年後、10年後にこうなっていてほしいという理想像に向かって、進んでいかなくてはなりません。8年後、10年後に、今いるコーチが引き続き、ビジャレアルにいるとは限りませんが、選手たちの将来にとってプラスになるのであれば、より良いアプローチを模索するべきだということで、まずは指導者に対して様々な取り組みが行われました。■選手には「自分で考える」を求めていたのに、指導者が具体的に指示しすぎていた――どのようなことが行われたのでしょうか?改革の第一歩は、指導者が自分を知ることから始まりました。「理想の選手を育成するにあたって、それに適した指導を、私達指導者が行っているか」に目を向けました。ビジャレアルアカデミーが掲げる理想の選手像は、自ら積極的に考えて、判断して実行できる選手であり、試合中、変わっていく状況に対して適応できる能力を備えた選手です。そう言っている割には、攻撃パターンを3つぐらい作って、それをただ繰り返すドリルのようなトレーニングをさせていたり、「自分で考えてプレーしよう」と言いながら、指導者が「右に蹴れ、左に蹴れ、いまのは違うだろ」と言い続けていました。――多くの指導者にとって、耳の痛い話ですね。ビジャレアルアカデミーでは、私達指導者がどのような振る舞いをしているのか、それを自分たちの目で確かめるところから始めました。具体的には、アクションカメラの「Go Pro」をつけて指導の現場に立ち、いつもどおりトレーニングをします。「Go Pro」は自分の目線と同じなので、選手の反応が撮影されています。その映像を見ると、多くの発見がありました。練習前後に選手を集めて、指導者がトレーニングについての話をするのですが、いつもうなずいて聞いているように見えたA君が、実は聞いている素振りをしているだけだったり、聞いていなさそうに見えたB君が、話を理解しようとしていたりと、指導者が持つ印象と映像に映っている事実が異なっていました。その理由は、指導者が選手にするラベリングにあります。指導者のレッテルや主観が、事実を違うように映していたのです。――映像で見るからこそ、多くの情報を客観的に得ることができるわけですね。もう一つはハンディカムで指導者自身を映し、トレーニング中や試合中にどのような指示出し、振る舞いをしているかを、コーチングスタッフ全員でチェックし、ディスカッションをする場を設けました。これは週に1回、2時間の学びの場なのですが、自分の指導の様子がみんなの前で映し出され、選手とどのようなコミュニケーションをとっているか、どのような言葉を使っているかなどにフォーカスし、ディベートをしました。■そのコーチングは指導者が考える「正解」では?――そこでは、どのようなディスカションがなされるのでしょうか?映像には試合の様子は映っておらず、指導者の姿だけが収められています。そこで試合中、私が選手のあるプレーに対して「いまのはパスじゃなくて、ロングキックでしょ!」と言ったとします。すると進行役が映像を止めて、「いまのコミュニケーションについて、他の指導者はどう思う?」と意見を聞いていきます。そうやって、指導者の振る舞いを一つひとつ検証していくのです。――指導者からするとハードな学びの場ですね。はい。たとえば他のコーチから「この前のスタッフミーティングで、『自主的に物事を考えられる選手になってほしい』という話をしたよね。でも『ロングキックでしょ!』というコーチングは指導者であるあなたが考える正解であって、パスをした選手の判断や選択肢を否定することになっている。結局、あなたが言うとおりのプレーをしないと、ネガティブなフィードバックをされる。つまり、ダメな選手と評価されるわけだ。それは私達の目指す方向性ではないし、言っている事とやっている事が違うよね」といったフィードバックを受けます。それを1年間繰り返しました。■20年の指導歴で初めて自分が成長できる機会だった――指導者のみなさんは、そのフィードバックをすんなりと受け入れることができたのでしょうか?大人になると、誰しも自分をさらけ出すのは嫌ですよね。自分の指導の様子を撮影されて、みんなの前でフィードバックを受けるのは居心地が悪く、怒りや恥ずかしさなど、いろいろな感情が混ざり合います。私達にとっては、すごく難しい時間であり空間でしたが、その経験をしたことで、「使用前、使用後」と呼べるような変化がありました。中にはふてくされて、自分の殻に閉じこもってしまった人もいて、学びという面では残念なことではありますが、そこまで踏み込んで、指導者を改革しようとしてくれたビジャレアルというクラブは勇気があるなと感じました。――佐伯さんご自身は、それらの取り組みによる変化をどのように感じたのでしょうか?ビジャレアルの育成改革がスタートしたのが、2014年です。私はそれまで、20年ほど指導者をしていましたが、これまでの20年間、何をしていたのだろうと思うぐらい、使用前と使用後の変化を感じました。「選手を育成する」ということについて、間違えてとらえていたのだと気がつくことができたのです。時間が経てば経つほどその想いが強くなり、自分の中で整理できなかった思考が、緩やかなスピードではありますが固まってきました。それまで、選手に対するアプローチに違和感を覚えたことはありませんでした。自分のやっていることに間違いはないと思っていましたし、周りから疑問を投げかけられることもありませんでした。つまり20年以上の指導歴で、自分が成長する機会は一度もなかったのです。(第3回に続く)<<第1回を読む佐伯夕利子(さえき・ゆりこ)1973 年10月6日生まれ/イラン生まれ92 年にスペインに移住し、93 年から指導者の道を歩み始める。レアル・マドリードのスクールをはじめ、スペイン男子3 部リーグ、アトレティコ・マドリッド女子チームなどで監督経験を積む。08 年からビジャレアルに在籍し、男子U19のコーチ、レディースの監督、女子部統括責任者などを歴任。18 年に公益社団法人日本プロサッカーリーグの特任理事(非常勤)に選任され、2020年3月からJリーグ常勤理事。
2021年02月09日■ 前回 のあらすじ余計なことは言わないよう、生徒に口止めをする先生でしたが、その間に保護者達は同士を集めていたのです…指導を怠った校長先生を訴えることも辞さない覚悟の保護者たち。その願いが届き、ついに臨時集会が開かれることになりました。いよいよ直接対決が始まります…!次回へ続く※あくまで個人の体験談です。先生にまつわるお話になりますが、「すべての教師がそうだ」と誤解のないようお願いします。※実話をベースとしたフィクションです。登場人物はゆっぺさん含めすべてフェイクです。コミックライター: ゆっぺ 【同じテーマの連載はこちら】 4人の子育て! 愉快なじゃがころ一家 この連載の全話を見る >>
2021年01月12日■ 前回 のあらすじついに保護者が校長先生へ直談判したものの、上からの評価が良かった先生の一件は問題視されることもなく済まされてしまって…今度はナプキンではなく、新聞紙のうえで残った給食を食べるようにと指導する先生。そして、放課後まで「半額シール」を貼っておきなさいという謎の罰…。けれど、保護者たちも黙って引き下がったわけではありませんでした。次回へ続く※あくまで個人の体験談です。先生にまつわるお話になりますが、「すべての教師がそうだ」と誤解のないようお願いします。※実話をベースとしたフィクションです。登場人物はゆっぺさん含めすべてフェイクです。コミックライター: ゆっぺ 【同じテーマの連載はこちら】 4人の子育て! 愉快なじゃがころ一家 この連載の全話を見る >>
2021年01月06日2020年11月29日、タレントの武井壮さんはTwitterを投稿。その内容が反響を呼んでいます。武井さんは、スポーツ競技の指導者が、試合に負けた選手に『しがちな対応』について、苦言を呈しました。試合に負けた罰に『グランド10周走ってこい』なんてのは指導じゃねえ。。試合に負けたら各選手に必要な能力を分析して、それを獲得するのに必要で有効なトレーニングや技術練習を与えて、栄養補給の知識を与えて、休養時のデータを取らせて、体を育てつつ技術を上げ、自分は戦術を学ぶもんじゃないか?— 武井壮 (@sosotakei) November 28, 2020 部活動などで試合に負けた際、指導者が選手に「グラウンドを10周走らせる」といった行為はよく聞かれます。武井さんはこれを批判し、指導者がすべきなのは「分析と戦術を学ぶこと」だと話しました。ネット上では、投稿に賛同する声が相次いでいます。・正論に拍手。いまだに根性論がまかり通っている。息子の部活顧問にアナウンスしたいくらいです。・罰を受けるべきは指導者です。そもそも『負けた罰』という意味がよく分かりませんね。・本当にその通り。負けたら指導者の力不足。勝利は選手の頑張りです。・負けると罰が待っているとなると、「罰を受けないために失敗しちゃいけない」と思ってスポーツを楽しめなくなる。負けた選手を責めるのでなく、次の時のためにしっかり対策をすることの大切さを述べた武井さん。スポーツだけでなく、さまざまな分野でいえることかもしれませんね。[文・構成/grape編集部]
2020年11月30日ピラティス第二世代ティーチャーが直接指導全国に約100店舗ヨガ・ピラティスの専門スタジオ「zen place」を運営するZEN PLACEが、2020年10月17日(土)からオンラインワークショップ、『プレ・ピラティス・テクニーク』を開催します。講師にはピラティス第二世代指導者、デボラ・レッスンを迎え、全3回の開催予定です。デボラ・レッスンはピラティス創始者のジョセフ・ピラティスの直弟子であるキャローラ・ストラウス・トリアからピラティスメソッドの指導法を学んだ正当な指導者です。アメリカからの生配信を受講同ワークショップでは、ピラティスの基本となる基礎概念についてデボラ・レッスンがアメリカ・ニューヨークからオンライン配信を行います。スケジュールは初日が2020年10月17日(土)8:00から09:30で、3週に渡り土曜の朝に開催されます。受講者であれば当日の出欠に関わらず、ワークショップの録画を翌週の火曜日23:59まで視聴可能です。受講料は1回のみ7,000円(税込み)、3回セットで18,500円(税込み)です。(画像はプレスリリースより)【参考】※zen place academy『プレ・ピラティス・テクニーク』
2020年10月16日いくら歳を重ねても逃れることはできない、人間関係のトラブル。学校や会社、家族での関係をこじらせると、ストレスの原因になります。中でも大人の悩みで多いのは、職場の人間関係でしょう。いくら好きな仕事をしていても、人格に問題がある人と一緒だと疲れてしまうものです。横柄な研修医に、指導医がスカッとする対応!病棟で看護師として働いている、ぱれちに(paretiny)さんが描いたのは、ある病院で起こったエピソード。その病院には、やたらと態度が大きい研修医の男性がいたといいます。横暴な言動をする研修医に対し、周囲の人たちはストレスを感じていました。看護師を見下しているのか、研修医は人を不快にさせる発言を連発。これらの暴言はパワーハラスメント(通称:パワハラ)といえます。しかしある日、指導医は彼のミスをズバリと指摘!「態度がデカいわりに」という言葉を聞くに、指導医は彼の看護師に対する横柄な態度をしっかりと見ていたのでしょう。同僚の前で恥をかいたためか、自分の態度の悪さを反省したのか、その日から研修医は態度を改めたそうです。・スカッとした!叱るんじゃなくて、ちゃんと指摘する指導医さん、かっこいい!・どこにでもいるんですね、こういう態度がデカいのに仕事ができない人。・あるあるですね…。頭がよくても人間性が悪いともったいないですよね。悪い部分を指摘してくれる人がいるのは、ある意味幸せなこと。この研修医は、早いうちに気付くことができてよかったのではないでしょうか。彼が今回の出来事を受け、しっかりと改心することを願うばかりです。[文・構成/grape編集部]
2020年09月26日日本の選手は指導者のいう事を素直に「ハイ」と聞く子が多いと言われますが、試合では常に指示を待って動くわけにはいきません。試合中自分で判断して動けるようになるには何が大事なのか。サンフレッチェ広島ユースで長年指導にあたり槙野智章選手や柏木陽介選手(ともに浦和)ら日本代表選手を育て、U-15/U-16日本代表コーチを経て、2015年からはU-17日本代表指揮官として久保建英選手らを見てきた森山佳郎監督に、思考力や決断力、自己判断力を養うことの重要性についてお伺いしました。(取材・文:元川悦子)取材当日練習に参加していた昌平高校の選手たち■試合では決断の連続だから自己判断力を養うことが大事新型コロナウイルスの感染拡大で、日本代表活動が休止状態になってしまいましたが、7月から年代別代表強化が再スタートしました。U‐16日本代表は7・8月に1回ずつ千葉・幕張のJFA夢フィールドで合宿を実施。9月は静岡で行われる「2020SBSカップ・ドリームサッカー」に参戦する予定になっています。「2004年以降生まれの今のU‐16代表はまだ核になる選手がいないんです。加えてこのコロナ禍で試合に出始めた選手の発掘ができていない。通常の年だと3月や8月はフェスティバルがあったりして、高校1年生を中心に新戦力が出てくるんですけど、今年はそのほとんどが中止になってしまって見つけられていない。海外で強烈な経験をさせる機会も作れませんし、なかなか厳しいですね。それでも選手には45分のミーティング映像4本を配信して見てもらったり、テクニカル面やフィジカル面強化のための発信をしたりしていました。こういう時は自分で考えて行動する力をつける大きなチャンス。日本の選手は指導者の言うことを素直に『ハイ』と聞く子が多いですけど、実際の試合では決断の連続。大人になって生きていくうえでもそうです。思考力や決断力、自己判断力を養うことの重要性に気付いて、やってくれる選手が増えてくれたらいいと思っています」と話すのは森山佳郎監督。サンフレッチェ広島ユースを長年率いて槙野智章選手や柏木陽介選手(ともに浦和)ら日本代表選手を育て、2015年からはU‐17日本代表指揮官に転身し、今は3世代目に突入しています。■久保建英の注目度が高かったことで反骨精神が養われた過去2世代には、2000‐2001年生まれの菅原由勢選手(AZアルクマール/オランダ)や中村敬斗選手(シントトロイデン/ベルギー)、久保建英選手(ビジャレアル/スペイン)ら2017年U‐17ワールドカップ参戦組、2002‐2003年生まれの西川潤選手(C大阪)、若月大和選手(シオン/スイス)、中野伸哉選手(サガン鳥栖)ら2019年U‐17ワールドカップ参戦組がいて、メンタル的に成熟している選手が少なくなかったようです。「2000年世代は自己主張する子が異常に多かったんです。由勢、敬斗、建英だけじゃなく、瀬古歩夢(C大阪)や鈴木冬一(湘南)らも要求が凄かったですね。彼らにとってプラスだったのは、久保の注目度が高かったことで競争心と反骨精神が養われた点。『1学年下の建英ばっかり』という悔しさが募って、『絶対に負けないぞ』というギラギラ、メラメラした感情がつねに感じられました。ハーフタイムに戻ってきてケンカになることもあった。僕が『静かにしろ。落ち着け』と諭したくらい。選手ミーティングを30~40分もやっていて、僕が呼びに行っても『選手だけで話し合ってるから来ないでください』と言われたこともありました(苦笑)。2000年世代はそれに比べると大人しかったですけど、世界大会直前に入ってきた若月や藤田譲瑠チマ(東京V)など自分の意見を持っている選手が入ってきて引っ張ってくれたので、すごくいいグループになりました。最近も西川がJ初ゴールを決め、唐山翔自(G大阪)や田中聡(湘南)や成岡輝瑠(清水)も試合に出始めるなど、お互いに刺激を与えあっています。特に大きいのは16歳の中野伸哉がJリーグに出場したこと。彼は今の2004年の選手と1つしか変わらない。小学校高学年や中学生から見てもほんの少し上です。そういう意味でもインパクトが大きいと思います」■久保建英が他の選手と大きく違った点このように森山監督の教え子からは10代のうちからプロデビューする選手が次々と出ています。その筆頭が久保建英選手ではないでしょうか。バルセロナのカンテラで育ち、14~18歳までFC東京で過ごした彼の成長率の高さは目を引くものがあります。「彼の強みはつねに物怖じせず、つねに自己主張するところ。2015年4月のU‐15代表の立ち上げだったインドネシア合宿の時から先輩を差し置いてFKを蹴ってましたからね。本人に聞いたら『バルサでは3~4人集まってきて<俺だ俺だ>と奪い合うのが普通』と言っていました。槙野などもブレないメンタルを持った選手でしたけど、14歳くらいで初めてきた代表の遠征でそこまで自信を持って主張できる子は見たことはないです。バルサで少年時代を過ごしたことも追い風でしょうけど、彼はもともとそれだけの自己判断力や決断力、責任感がある人間に育ってきていた。そこは改めて強調しておきたいですね」久保選手のように自らアクションを起こせる人間になるには、ある物事に対して自分なりにどうすべきかを考える作業を繰り返すことが大切です。指導者や保護者などの意見を聞くことも大切ですが、それだけでは「言われた通りにしておこう」と受け身になりがち。コロナ感染拡大でこれまで通りの活動ができなくなった今こそ、何事にも自立心を持って自発的に取り組む重要性を子どもたちに再認識してもらうこと。そう仕向けるべきだと森山監督は考えます。■ミスをした時他責にするか、自己反省するかでその後の成果が変わる「実を言うと、僕は中学校1年生の時にバスケットボール部に入ってしまい、1年間サッカーができなかったんです。サッカーから離れてみて『自分はこんなに好きだったのか』と痛感した。その気持ちが40年経った今も続いていますし、それ以来一度もサッカーをやめようと思ったことはありません。仲間と汗を流せる幸せに気づいたことは本当に大きなプラスになっています。今回のコロナ禍にそんな気持ちを強めた育成年代の選手も多かったと思います。それを大事にしてほしいんです。僕は代表活動を始めるに当たって、『意識を変える』『取り組む姿勢を変える』の2つを必ず選手に伝えるんですが、世界を目指そうと思うなら普段の生活を変えないといけない。日常の生活習慣から食事や休息、練習の準備やフィードバックなど全てです。ピッチ上でも何かミスした時に人のせいにするのと、自分に問題があると受け止め、改善していくための策を考え積極的にチャレンジしていくのでは、その後の成果は大きく違ってきます。僕はチャレンジするミスは大歓迎。今年の困難をそうやって自分を変える好機にしてほしいと願っています」ここでアクションを起こすか起こさないか。自分が大きな岐路に立っていることを多くの子どもたちに気づいてほしいものです。森山佳郎(もりやま・よしろう)筑波大学卒業後、マツダに入社しマツダサッカークラブ(現サンフレッチェ広島)に入団。横浜フリューゲルス、ジュビロ磐田、ベルマーレ平塚でプレーした後引退。引退後はサンフレッチェ広島ユースのコーチに就任。広島ユース監督を退任後、U-15/U-16日本代表コーチを経て、2015年にU-15日本代表監督に就任。現在はU-16日本代表監督を務める。広島ユースを高円宮杯4度優勝に導くなど強豪チームに成長させ、トップチームで活躍し日本代表に選ばれる選手を育て上げるなど、高校年代の指導者として高い評価を得ている。
2020年09月14日6歳までに脳の神経系統が大人の90%に発達すると知り、脳を発達させるメニューを知りたいコーチ。ですが、未就学児に集中させるのは難しいですよね。飽きて一人でほかの事をしだす子もいるし、この年代に教えるにはどうすればいい?というご相談です。今回のご相談に池上さんが提案する、子どもたちが楽しんで取り組める「遊び」の要素を取り入れたメニューとは。これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが送るアドバイスを参考にしてみてください。(取材・文島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<技術はあるのに「1対1を組み合わせた」単騎攻撃ばかり。連携のイメージをつけさせる指導法を教えて<お父さんコーチからの質問>スクールで未就学児を指導しています。6歳頃までに脳の神経系統は大人の90%にも達すると聞いたので、脳を発達させるためにいろんなことにチャレンジさせたいのですが、いかんせん集中が続かない年代なので、練習にあきたり、一人で違う事を始めることもあります。まだ始めたばかりの子たちで、中にはゲームでの接触を怖がったりして積極的にボールを追えない子もいるのですが、この年代におすすめの練習はありますか?<池上さんのアドバイス>ご相談いただき、ありがとうございます。おっしゃる通り、脳の神経系統は6歳頃までにぐんと発達します。このあたりの概論は日本サッカー協会のB級ライセンスを取得する際に学びますね。では、6歳までに発達する90%とはどんなことでしょうか?■遊びの中で身体の動きをスムーズにすることもできる例えば、手の指が一本ずつ折れる。グー・チョキ・パーができる。そのような基本的な動きが該当します。そこから、例えば「右手がグーで左がパーをやってごらん」と言われると、ちょっと難しく感じる子どもが出てきます。さらに、その右手グー、左手パーと違うものを出している状態から「グー・チョキ・パーの順番で変えていこう」となったら、ひとつずつずれていくわけです。(大人でも難しかったりします)そうなると、左右違う動きがなかなかできません。そんな基本的な動きを、遊びのなかで行うだけで、身体の動きはスムーズになります。例えば、鬼ごっこ。鬼ごっこには、本当にいろんな動きが含まれています。鬼が来た。鬼が右に行こうとしたのを見定めて、左に動いてタッチを避ける。もしくはかわすためにしゃがむ。動いている場所に、石とか、椅子とか、何らかの障害物があればそれをよけたり、飛び越えて動く。そんなふうにたくさんの遊びの要素をもったものをメニューに取り入れると、スムーズな動きが自然に身についていきます。■サッカーボールを使った左右バランスの取れた発達を図る方法もまた、幼児期にできるものとしては、サッカーボールを手で使うメニューがあります。右手と左手、両方で交互に投げさせます。右で投げるときは右で投げる姿勢と動きに、左は左のそれになります。6歳くらいで始めると、利き手で投げる動作をたくさんやっていないので、左右どちらも簡単にできるようになります。利き手と逆の手で投げる不自由さを感じないので、子どもは抵抗なく交互に試るからでしょう。ずっと利き手ばかりで投げていると、利き手のほうがスムーズなので逆の手で投げたがらなくなります。これは大人もそうですね。これは、足でも同じことが起きます。6歳以下の幼児の頃から両方の足で蹴ることを遊びの中でたくさんやってみてください。そうすると、左右バランスのとれた発達が図れます。■あまり気負わないこと、大人が義務感をもってしまうと「遊び」が楽しめない少年サッカーでは、小学3年生くらいからコーディネーションのようなトレーニングをしていますね。そんなふうに考えてやってみてください。そして、気をつけたいのは「6歳になるまで90%成長してしまうから、今のうちにいろんなことをやろう」と大人が気負わないことです。あくまでも楽しく遊ばせてあげてください。何かの本に書かれている通りにやらせなくてはと大人が考えてしまうと、遊びでやっているはずが遊びでなくなってしまいます。もっと簡単に考えると、幼児期はスキップくらいで十分です。それより上、小学3年生くらいであれば、スキップしながら手を回す。手を叩きながらスキップする。身体全体をスムーズに動かすメニューですね。ほかにも、サイドステップをしながら手を回したり、道具を使う「ラダー」などさまざまあります。ネットで検索すればたくさん出てくるでしょう。ただし、そういった運動を長い時間やる必要はありません。ちょっと経験するくらいの程度でいいのです。足がクロスするような動きの入ったものも3年生くらいからやるといいでしょう。■遊びの要素はとても重要、「我慢」ではなく楽しくて続けられることを意識して「遊びの要素」はとても重要です。大阪教育大学の先生で「子どもの遊び」の研究をされていた方が、子どもが本当に楽しいと感じたものはいつまででもやると言われていました。ノコギリで丸太を切ることにハマってしまった子どもは、30分くらい一心不乱で切り続けます。幼児の集中力は、興味関心と関連があります。楽しくなれば、ずっとやります。大人は、小さい子はすぐ飽きてしまうと思いがちですが、彼らは集中力がないわけではありません。日本人の「集中力をあげる」というイメージですぐに浮かぶのは「我慢・忍耐力・根性」です。ここを改めなくてはいけません。子どもは楽しいものを提供すれば喜んで取り組みます。サッカーも、最初に一番楽しいはずの「試合」から入らないから、そんなことが起きるのだと思います。多少気が弱いとか、相手とぶつかりそうになったらやめるといった傾向があっても、試合はこんなことなんだよ、ボールの取りあいがあって、点が入るとうれしいよね、ということが伝えられたら子どもは変わっていきます。その点で、年齢が下がれば下がるほど、すべてが楽しいものになっている必要があります。指導者も同様の対象です。「あのコーチとやるのは楽しい」という評価が、コーチのありかたにつながってほしいと思います。ところが実際は「楽しい」よりも「勝たせてくれるかどうか」みたいなことがコーチの評価になりがちです。「積極的にやれ」「逃げるな!」と叱ったりする場面を見ることはまだ多いです。しかしながら、子どもにはそういう面があることを理解しておいてほしいのです。「いま、逃げなかったらどうなると思う?」と問いかけて、解決の方法を子どもと一緒に見つけ出すことが求められます。■「無理しなくていいよ」と言ってあげることが大事(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)じゃあ、どんな練習だったら、怖くないかな?こんなふうに一度やってみる?と、少し強度を下げたり、違う形でやるメニューを提供してみることで、子どもたちは克服できる。3年生、4年生になって、子どもがぐっと変わったりしませんか?そこまで待ってあげましょう。この子は弱気だと決めつけたり、無理やりやらせる必要はありません。サッカーが嫌いになってしまいます。「ぼく、できない」と言ったときに「無理しなくていいよ」と言ってあげること。何回かでできなからといって、その子の一生が決まるわけではありません。長い目で見てあげてください。6歳の子が何かができなければ「じゃあ、来年1年生になったらまたやるか」と言ってあげてください。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2020年08月28日熱心な無理解者に苦しめられて『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)ノンフィクションのモデルの立石美津子です。障害のある子どもを育てていると、熱心な無理解者に出あうことがあります。・「障害というハンディがあるのだから、今、辛くても頑張らせることが本人の将来のため、それが愛情だ」と思っている。・こだわりはわがままの一種なのだから、応じてはならないと思っているところがある。・努力すれば必ずできるようになると信じて疑わないところがある。・苦手を克服させようと必死に努力させ、何でも一人でやらせようと試みる。・「どうやったらこの子は○○ができるようになるのだろうか」とできないことばかりにスポットを当てがち。・偏食を徹底して直そうとする。・本人にとって難しいことであったとしても、みんなと同じことができるようにさせようとする。・本人の意図を考えずに才能を開花させようと躍起になりがち。・「やればできる」と過度な期待を抱きがち。・「障害にともなう困難の改善」ではなく、「障害そのものの克服」を目的にしているところがある。子どものことを思ってくれているのはわかる、熱心に支援をしてくれようとする…でも、こうした行為は子どもを苦しめてしまうことがあります。熱心な無理解者という言葉は、児童精神科医の故・佐々木正美先生が提唱された言葉で、私の知人でもある公認心理師、臨床発達心理士、特別支援教育士スーパーバイザーの川上康則先生も「発達障害のある子どもについて【無理解・誤解・理解不足】などの状態にもかかわらず、熱心と言われるくらいの積極的な指導・支援を繰り返し、かえって当事者の状態を悪化させてしまう人のことを指す」とおっしゃっています。たしかに、熱心であることは非常に重要です。しかし、「本人のため」「良かれと思って」の部分が前面に押し出されてしまうと、本人にとっては「苦行」のように感じられるのではないでしょうか。自閉症の息子も、療育施設で苦手な音の克服の訓練をされた結果、その施設に行くことすら怖がるようになってしまいました。「本人のため」「良かれと思って」だけが一人歩きしない支援が必要だと常々感じています。子どもの気持ちを大切にする大人のあり方では、子どもに寄り添い、子どもの気持ちを大切にする対応とはどんなものでしょう。・できることを伸ばそうとする。・偏食を無理に治そうとはしない。・こだわりに十分に付き合い、信頼関係を築いた上で、こだわりの緩め方を一緒に考えてくれる。・大人本位の「こうあるべき」にとわられすぎない。・子どもの今の状態を受け入れている。子どもにとって安心できる人は、このような対応をしているのではないでしょうか。同じ場所で支援者によって対応が違うと、子どものさらなる混乱を招く更に困ってしまうのは同じ場所でも上記の2種類のタイプの人がいて、子どもに対して全く違う対応をするケースです。子どもは無理強いされたり、許容されたりして「何が正しいのか」がわからず混乱してしまいます。こうした状況を「ダブルバインド」と言うそうです。子どものほうも相手により態度を変える(怖い大人の前でだけおとなしくし、やさしい大人にはからかいを多く出すなど)といった誤学習をしてしまうかもしれません。これは「偏食をわがままとして許さない父と、受け入れる母」など家庭内でもおこりがちです。わがままとみなすか、こだわりと共存するか感覚過敏によって偏食がある場合、無理強いされることは、もしかしたら「芋虫を小さく切ってあげるから一かけらだけでもいいから食べなさい」と言われているような状況にあるのかもしれません。熱心な無理解者はとかく「自分だけの基準」で考えてしまい、子ども本人の苦しみ、辛さまで思い至らないのかもしれません…。とはいえ、わがままかこだわりか見分けるのが難しいこともあります。しかし、「その子が何にこだわっているか」をよく観察していると、その子にも譲れない部分があるということが見えてきます。例えば靴、同じデザインのものでないと絶対に拒否するという段階の子どもがいます。違うものを無理に履かせようとすれば自傷しパニックになることでしょう。でも、「〇〇を買って欲しい」などのわがままな要求のときは、自傷や他害よりも、その場で泣くだけといった様子が見られることがあります。安全基地の確保障害がある子どもにとって、社会にはさまざまな怖いもの、苦手なこと、わからないことがたくさんある世界のように見えるかもしれません。叱責されてばかり、無理強いされてばかりだと、自ら一歩を踏み出すことすら怖くなってしまうかもしれません。「安全基地(Secure Base)」としての大人の存在が不可欠です。「この世は怖くない、安心、安全なんだ」「先生や親は自分を脅かす存在ではない」「大人は自分を守ってくれる人間である」ということを幼いうちに十分に経験させることが大切だと思います。障害があっても、経験を積んでいけばやがて「人生には思い通りにならないこともある」ことをその子なりに体験します。大海原に出ても戻ることができる心地よい「港」のような存在がいれば航海の勇気も出ます。安心安全な居場所=安全基地さえ確保していれば、時期がきたら本人から苦手なことにも挑戦する勇気も出てきます。人生をスタートさせたばかりの時期は、特に大人との愛着形成をする大切な時期です。保護者も支援者も先生もそのことを忘れてはならないと思います。
2020年07月18日編集部:学研キッズネット編集部点数アップと大学受験に強い個別指導学院フリーステップは、2020年2月下旬から一部教室でオンライン個別指導のテスト運用を始めていたが、今回の緊急事態宣言を受けて全教室で運用を開始することを発表した。オンライン個別指導概要■個別指導で大切な双方向通信集団指導型の指導では一方通行でも授業を提供することができるが、個別指導ではどうしても双方向のコミュニケーションが必要です。「特に、フリーステップでは『発問型授業』を大切にしているので、生徒の反応がすぐに講師に伝わる必要があります」と語るのは今回のオンライン授業の運用拡充担当者。「さらに気をつけたことは、各家庭で支払っている通信料金以上の経済的負担をかけないこと」。そのため、新たな端末を必要とするサービスやアプリ開発が必要なものは全て排除しているという。■元気な姿をたとえ画面越しにでもe-メールに答案用紙を添付して添削するタイプでもなく、一方通行の講義動画を配信するタイプでもなく、生徒と画面越しではあっても向き合える双方向通信の授業は、講師にとっても安心できる要素の一つ。何よりも担当する生徒が無事に休校期間を過ごせていることを自分の目で確認できるという安心感があるという。通常授業と変わらずに授業ができることで、ここまでの授業で学習習慣の改善した生徒が、勉強以外の時間が増えてしまい、通塾前の状態にまで戻ってしまわないかという不安が払拭されるという。■授業の概要通常授業と同じ○対象学年:小学1年生〜高校3年生・高卒生○授業時間:1コマ80分○授業形態:個別指導○受講に必要なもの:インターネット接続環境とお手持ちの端末(スマートフォン・タブレット・PCなど)■個別指導学院フリーステップについて定期テストの点数アップと大学受験に強いフリーステップは、個別指導のために厳選された講師、生徒・保護者としっかり向き合える仕組み、グループ全体が保有するデータを駆使した科学的な指導システムという3つの強みを生かし、オーダーメイドのカリキュラムで、無理なく、無駄なく目標達成にむけて、生徒、保護者と一緒に歩んでいく個別指導の学習塾です。【入塾及びカリキュラムに関するお問合せ先】株式会社成学社/個別指導学院フリーステップお問合せフォーム::0120-88-0656 (9:00-22:00 )■「学研キッズネットFor Parents」のニュース一覧はコチラ■学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。すくすく伸びる子どもたちのために
2020年04月09日サッカーが上手い下手でマウンティングする言動がチームの中に広がっている。コーチもだけど、子どもたちの中にも。親としてはサッカーが上手くなるのもだけど、小学生に大事なのは技術だけでなく態度や思いやり、協力的な部分だと思っている。ボランティアコーチだから教育的な指導を求めすぎるのも難しいのか......、とモヤモヤする気持ちを抱えるお母さんからご相談をいただきました。皆さんならどうしますか。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、取材で得た知見をもとに3つのアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<息子は人見知り?試合に出ても練習に参加しません問題<サッカーママからのご相談>小学生サッカーチームで兄弟ともにお世話になっていました。兄は卒団し、弟(11歳)はまた違う指導者にメインで指導してもらっています。元々、指導者によって考え方が違うため、なんとなくまとまりがないチームであることは分かっていましたが、最近特に上手い下手でマウンティングする言動がコーチ、子どものなかにまで広がっているように感じます。とてもあからさまです。もちろんサッカーが上手くなって勝ちを取りに行くのも大切だけど、それは一部ではなくみんなでそうするべきだと思うし、小学生のサッカーに一番重要なのは、態度とか、相手をおもいやるとか、みんなで協力するとかそういうソフトな部分なのではないかと思い、モヤモヤし続ける日々です。子どもはこのチームで卒団までやりたいようですし、そうなると、親から言えることはなにもなく。ボランティアコーチでまとめてもらっていますので、教育的な部分を求めすぎるのも難しいのかと思いながらもそれでも指導する立場なのに......とモヤモヤがとまりません。<島沢さんのアドバイス>ご相談ありがとうございます。「上手い下手でマウンティングする言動」が具体的にどういったものなのかがわからないので、はっきりしたことは言えませんが、お母さんの感覚でそう思えてしまう。しかも「あからさまに」と書かれているので、看過できない問題であることは確かだと感じます。■サッカーの力の差で仲間を従わせるのはスポーツマンではない私の知っている少年団でも、似たようなことがありました。「一番足を引っ張っているヤツをみんなで指さしてみて。イチ、ニッ、サン!」そのように音頭を取って、子どもたちに指をささせる。そんなコーチがいました。その方の夢は「Jリーグ選手を少年団から輩出すること」で、長く"高学年だけを"見てきた自分にはそのくらいの指導力があると言うのです。すると何が起こったか。小学校の掃除の時間に、レギュラークラスの子が自分の掃除当番をベンチスタートの仲間にやらせたり、下校時にランドセルを持たせるといったマウンティング行動が目立つようになりました。しまいには、そういったことに交わっていない子どものお母さんが、担任教師からこういわれたそうです。「サッカー少年団の子どもたちのなかで、主従関係ができてしまっている。力の強い子が弱い子を家来のように扱っているというか。度を超すといじめにならないか心配です。サッカーのコーチはちゃんとした人が教えているのでしょうか?」そのお母さんは「ちゃんとした人かと言われれば、全く違います。すぐに怒るし、何試合やってもずっと同じレギュラーメンバーを出し続けて、2点差以上開かないと絶対交代させません」とありのままを担任に伝えました。担任は家来のように仲間を扱っていた子たちに「サッカーの力の差で仲間を従わせるのはスポーツマンではない」と叱ってくれました。以来、そういったことはなくなりましたが、ほかにもそういった話はよく聞かれます。■モヤモヤする現状を改善するための3つの方法結論から言うと、お母さんの「モヤモヤ」は、正当な感覚です。三つアドバイスしますね。まず、できればマウンティングをやめていただく努力をしてほしいです。ほかの保護者に意見を聞いてみましょう。同意見であれば、コーチに対してやめてほしい言動を伝えましょう。その際は、いつもお世話になっていて感謝している旨をまず伝えてから話します。それでも伝わらなければ、クラブの代表の方に話します。ふたつめ。他の保護者から後方支援を受けられなさそうであれば、息子さんが傷ついていないかだけでも話を聞きましょう。また、どう感じているのかを聞いても良いでしょう。お母さんはよくないことだと思っていると伝えたほうがいいと思います。よく、コーチのことは悪く言うななどとおっしゃる方がいますが、あくまで主体は子どもです。少年スポーツは大人のメンツや名誉のために存在していません。三つめ。よろしくないコーチだとしても、最終学年まで同じチームで続けてきたお子さんの気持ちは汲んであげましょう。決して、他のチームへ移籍しようといったことは言わずに最後までプレーさせてあげましょう。■子どもの「見本」になる大人か「反面教師」になる大人かの区別をする力も必要「ボランティアコーチでまとめてもらっていますので、教育的な部分を求めすぎるのも難しいのか」と書かれていますが、まったくそんなことはありません。社会の一員として子どもを教えている以上、責任はあります。ぜひ視点を変えてください。「教育的かどうか」というよりも、「大人として正しい言動かどうか」で判断してください。子どものスキルが未熟か成熟しているかによって態度を変えたり、未熟な子に対して強い態度に出るのは大人として失格です。私がそういったことを言ったり書いたりすると、「コーチをしたこともないくせに」とおっしゃる方がいますが、その言葉も意味が分かりません。コーチとしたら、子どもは個々で能力差もあって大変ですね。イライラして子どもに当たりたくなる気持ちはよくわかりますと言ってほしいのかもしれません。大人には、子どもたちが生きていくうえで「こんな大人になりたい」と思える見本になる人と、その逆である「反面教師」になる方がいらっしゃいます。その区別をする力もこれからは必要です。■パワハラ、セクハラがなくならないのは親たちの考えも原因(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)以前、私の子どもが在籍した少年団にも、モヤモヤするコーチがいました。よろしくないのでは?と他のお母さんたちに話したら、ひとりのお母さんはこう言いました。「うちは、大人の言うことは基本的にちゃんと聞くようにしつけてあります。長く生きている人には、それだけの長があるということなので」かなり驚きました。そういう考えの方もいらっしゃいます。だからパワーハラスメントも、セクシャルハラスメントもなくならないのだと思いました。「ママはおかしいと思うよ。あなたは影響されないでね。(マウンティングされている)お友達を支えてあげて」それだけはぜひお子さんに伝えてください。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2020年03月04日2019年12月と今年1月の2回に渡り、東京、大阪で指導者向けのセミナーが実施されました。このセミナーはチームのグループコミュニケーションアプリ「BAND」とCOACH UNITEDが共催。「サッカーを教えるだけのクラブは生き残れない!スポーツの可能性と新しい時代に求められるサッカークラブの作り方」というテーマで行われました。■クラブを運営する指導者の悩みとは?参加者はJリーグのクラブや街クラブ、少年団の代表者、監督・コーチを始め、サッカー以外の競技団体からも集まり、その数は100名近く。北海道や広島など遠方から足を運ぶ人もおり、注目度の高さがうかがえます。事前アンケートによると、セミナー参加者の多くが、時代にあった「チームの価値づくり」「チーム運営・マネジメント」に悩みを抱えており、また保護者とどう連携し協力関係を築いていけるかといった「保護者とのコミュニケーション」に関する悩みが多く見られました。参加者の一人で、埼玉県でジュニアチームのコーチを務める杉本健さんは、このように話します。「私自身、2児の父親でアラフィフ(50歳前後)ですが、現在の親の世代との価値観の多様化・ギャップを感じています。サッカーは競い合うスポーツですし、いわゆる他の"習い事"とは違うと考えています。ただ、そうは思わない親御さんも増えているようで、組織についても、やや旧態依然とした部分があるため、時代に合わせた柔軟性が求められているように感じています」折しも、少子化の時代。子どもの減少にともない、クラブの淘汰も進む中、持続的に子どもたちを育成し、クラブを成長、運営させていくにはどうすればいいかという悩みを持つ指導者は増えてきています。そんな悩みに対し、解決策やヒントを提示するのが、このセミナーの趣旨でした。■勝てば選手が集まる時代は終わった講師はFC市川GUNNERSの代表を務める幸野健一さん。30年以上に渡って育成年代の指導者や環境改善に関わってきました。2014年にアーセナルサッカースクール市川(当時/現・FC市川GUNNERS)を立ち上げ、行政と連動してグラウンドを作るほか、様々な施策を実行し、クラブを日本有数の規模に成長させた、育成年代のスペシャリストです。近年はクラブチームの代表を務めるかたわら、『プレミアリーグU-11』の実行委員長としても活動し、「全員出場」をルールに盛り込んだリーグ戦を全国で開催。FC市川GUNNERSでも選手の出場時間を管理し、「全試合の40%以上に出場させる」ことを実行しています。「"大会で勝てば選手が集まる"という勝利至上主義の時代は終わりました。このまま少子化が進めば近い内に4分の1のクラブは必要なくなってしまいます。子どもたちや保護者に対して我々が提供できる価値とは何か?を真剣に考えなければいけません。レギュラー選手ばかり試合に出して強いのは当たり前。私のチームでは『全員を試合に出して、試合に勝つ。強いチームになる』ことを価値として様々な取り組みを行っています」選手ファーストで様々な施策に取り組むFC市川GUNNERS。トレーニングの量についてもデバイスを使って管理し、トレーニング、試合、休息のサイクルを回し、「休むことや食事をしっかりとることもトレーニングの一貫なんだ」と、選手や保護者に伝えています。「体組成計測定、フィジカルテストなどを通じ、選手個々のデータを見て、成長のどの段階にいるのかを、選手と保護者に説明します。いまは体が小さくて、接触プレーで弾き飛ばされてしまうかもしれないけど、まだ成長の過程なので、しっかりと食事をとっていれば成長しますからとデータを見せて説明すると、子どもも親も安心します」出場時間の確保、選手のフィジカルデータの収集を始め、全コーチが選手を評価するときの基準を作成するなど、チームに所属する子どもたち全員を成長させるためのアプローチを徹底。立ち上げからわずか5年の若いクラブは、今では400名近くの会員を抱える関東有数の人気クラブに成長しました。■みんなを幸せにしながら強いチームを目指す「みんなを幸せにしながら、強いチームを目指しましょう。クラブの価値は強さだけで決まるのではありません。親御さんが何を求めているか、監督の好き嫌いで試合に出られるのではなく、科学的なデータをもとに納得してクラブに子どもを任せられる。子どもが試合に出て、サッカーの楽しさ、プレーする喜びを知ることができる。それがクラブに関わる人たちみんなを幸せにしていくことなんです。」その一貫としてクラブが重視しているのが、セミナー参加者の悩みにも多く挙げられた「保護者とのコミュニケーション」です。FC市川GUNNERSは、チームの考えや育成方針、子どもたちの状況を密に共有していくために、昨年の9月からグルーコミュニケーションアプリである「BAND」を導入しています。幸野さんは話します。「チームを運営してく上で、親御さんの理解や協力を得ることは不可欠です。コミュニケーションの量、質ともに高めていかなければなりません。そのためにBANDを使ってチームの考えを発信したり、週末の試合映像や分析映像、データの共有などを密に行っています。また、コーチの大きな負担になっていた選手の出欠管理や送迎有無などもBANDで一括管理するようになり、コーチの手間と時間が大幅に削減される一方で、保護者とのコミュニケーションの量も増えました。クラブが提供できる価値を高めていくためにこうした新しいテクノロジーを導入していくことも、非常に重要だと思っています」しかし、すべてのクラブがFC市川GUNNERSのようにできるわけではありません。最後に、幸野さんはセミナーをこう締めくくりました。「やれることからやることが大切だと思います。クラブに関わる子どもたち、親御さんをどう幸せにできるかを考えてみてください。残念ながら、その価値観でクラブを運営している人はほとんどいません。ブルーオーシャンだと思います」今回のセミナーを通して、参加者の方々は「自チームの問題点が見えた。新年度に向けて変更できることはしていきたい」「今、何が求められているのか、具体的に気付かされた」「選手、保護者とのコミュニケーションの確立方法がとても参考になった」と多くの気づきを得たようです。少子化やスポーツにおける価値観の多様化が見られる昨今、スポーツクラブやスポーツ指導の在り方が、これまで以上に問われる時代になってきています。まずは『できるところから』あなたのチームでも取り組んでみてはいかがでしょうか?●幸野健一氏によるセミナーの追加開催が決定!3月15日(日)。この記事でも紹介した幸野氏による指導者向けセミナーを都内で追加開催することが決定しました!今回は新たなプログラムもご用意!セミナーの詳細やお申し込みはこちらから>>■FC市川GUNNERSも導入する「BAND」とは?チームのコミュニケーションや管理に適したアプリです。業務連絡や出欠管理、カレンダーや資料の共有、そして写真や動画の管理まですべて一つにまとめることができます。BANDのアプリダウンロードはこちら>BANDの詳しい説明や導入事例を知りたい方はこちら>【BAND利用者の声】AFC茅ヶ崎ジュニアユース:伊藤さん「クラブからの情報発信をBANDで一括管理しています。スケジュールや予定に関する説明、試合会場などもBANDのカレンダー機能を通して共有しています。出欠管理も一緒に確認できるので、コーチにとっても便利だと思います」
2020年02月17日保護者の当番は一切なし。送迎だけお願いしているが、それすら協力してくれない状況に疲弊してしまったコーチからのご相談です。コーチ自身ボランティアで指導者とチームの代表を引き受けたのに、出場機会がなかったのにフォローがなかった、などわが子の扱いへの不満を浴びせてくる保護者にもほとほと疲れ果ててしまったそう。ですが、自分がチームを離れるとして、子どもをこのまま所属させていていいのか......とお悩みです。みなさんならどうしますか?今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、ご自身の体験と数々の取材活動で得た知見をもとに、アドバイスを送ります。「子どもたちのため」大人はどうしたらいいのか、皆さん参考にしてください。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<やる気がなさそうな長男のサッカーがしんどいのよ問題<サッカーパパからのご相談>自分は、地域のスポーツ少年団でボランティアコーチをしています。昨年からコーチ兼チーム代表をする事となり、始めはチームの為、子ども達の為と思って頑張っていましたが、保護者の方の協力が無く、チーム運営に係る雑用など全て自分が被る事になっているのに疲れてしましました。チームの選手の人数が少ない為、2学年でようやく試合に出られるような状況です。誰か休んでも試合に出られないような状況なので、保護者が送迎が出来ない選手が出れば、自分が送迎をしています。この間の試合では、9人中6人が送迎となり、もう1人の指導者と手分けをしてなんとか対応するような事態もありました。うちのチームには、保護者の当番などは一切無く、送迎だけお願いしていますが、それすら協力して頂けないような状況です。保護者総会で、その事について議題が上がりましたが、自分の負担が増えるような事に賛同する親は居なかった為状況は今後好転するとは思えません。我が子も5年生ですし、あと少しと我慢して来ましたが、余りに負担が大きく、また精神的にも余裕が無くなってしまいました。また、とある保護者から自分の子に対する扱いが悪いと苦情を受け気持ちが更に沈んでしまいました。曰く、試合中に意味なくその子が交代させられ、その後のフォローも無く辛い思いをしていたと。その日は1人で試合を引率していたので、そこまでとても出来ない状況でしたが、そう後から言われると、自分に何か出来る事は無かったか、気がつかなかったかと、更に悩んでしまいます。妻とも相談して、今年度いっぱいで自分はチームを辞めようと思っていますが、そうなるとチームに迷惑をかける事になるので、我が子をこのままチームに所属させる訳にはいかないと思っています。大人の都合で、我が子を移籍させる事にも、はたしてこれで良いかとの葛藤も有ります。今後、どのようにサッカーと向き合っていくのか良いか、アドバイスを頂けるとありがたいです。よろしくお願いいたします。<島沢さんのアドバイス>ご相談ありがとうございます。メールの文章だけでは確実とは言えませんが、この状況ですと、民間クラブなどではなくお父さんコーチがボランティアで指導する少年団なのでしょう。そうであれば、非常にレアなケースと言えるでしょう。この連載でよくご相談を受けるのは、保護者が運営や雑用を任され、長く籍を置くコーチが多少なりとも強権をふるう。子どもは委縮し、親も意見を言えず風通しが悪い、という案件が多いです。少年団(恐らく)で親が送迎も当番もなくて、それでコーチが困っているという相談は初めてです。ご相談者様のチームは、きっと以前いた保護者がそのようなやり方でそれが踏襲されているのでしょう。■保護者達が協力的でない理由「ボランティア・社会的役割への概念」さて、本題です。このようなコーナーに、つまり返事が来るかどうかもわからないコンテンツにメールをされるのは、余程切羽詰まってのことだろうと察します。そのような状況のときは、まず原点に返ることが重要です。お父さんは、何のためにサッカーを息子さんにやらせていますか? ボランティアでコーチやチームの代表まで務め、6人もの送迎を苦労して引き受けるのはなぜでしょうか?「何のためにやるか」これを考えることがとても重要です。チームの為、子ども達の為と思って頑張っていた。お父さんがそう書かれているように、わが子を含めた子どもたちのためですよね?彼らをサポートすることに喜びを感じていたのだと思います。であれば、そのことをもっとほかの保護者にも説明したほうがいいと思います。案外他の方は、例えば「好きでやっている」とか、「自分の子どもが上手いから楽しみでやっている」としか考えていないこともあります。そこに「子どもたちのために」という大義があるなどと思ってもいないのです。例えば、私の夫も息子の少年団で学年コーチを務めていましたが、毎日夜中まで働くなか、土日の練習や試合をみたあと出勤するというハードな日々でした。妻の私は少しでも夫の負担を減らしたいと考え、他の子のお父さんで時折試合を見に来る方に「コーチになっていただけないでしょうか?」とお願いしたら、「ぼくもそれは考えたのですが、コーチになると土日遊びに行けないので妻からやるなと言われています」と言われました。そんな反応になるのは無理もありません。日本では今の40、50代以降は、ボランティアの概念や経験を学校で学んでいません。地域での社会的な役割をシェアする文化も育まれていない。そこは個人の価値観(子どもたちのために)でなんとか担保されている状況かと思います。■あなただけが苦しまないで。まずはほかのコーチ、保護者にも相談をそこで三つ提案します。まず、代表やコーチを辞める前に、ほかのコーチに相談をしましょう。辞めることも考えているが、なんとか保護者に協力してもらえないか。「子どもたちのために」という大義を一緒に考えてもらいます。「みんなの、みんなのための、みんなによるサッカー少年団」を目指しましょう、と。このままコーチだけが負担を背負っていては、運営を続けていくのは不可能ではないか。次にバトンタッチする人たちのためにも、ここで仕組みを変えたいと申し出てみましょう。次に、保護者のなかにそのことを相談できる人(例えばキャプテンの親御さんなど)がいれば、話をしてみましょう。三つめ。上記ふたつが不調に終わったときにどうするか。そのときは、理由を明確にして辞めましょう。「力を尽くしたが、今の状況ではコーチや代表を務めることは心理的に負担なので辞めさせていただきます」と説明したほうがよいです。忙しすぎた保護者の代表や、他のコーチと指導法が合わずに辞めたお父さんコーチの話を見聞きしてきましたが、彼らの多くは疲れ果ててひっそり辞めていきます。理由を明確にしないため、周囲が憶測だけで噂話をし始め、それを聞き及んだ当事者の子どもが傷つくといったケースは少なくありませんでした。■親の退団と子どもがチームに残るかは別問題。その理由は......(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)同時に、お父さんの「退団」に、息子を巻き込んではいけません。「今年度いっぱいで自分はチームを辞めようと思っていますが、そうなるとチームに迷惑をかける事になるので、我が子をこのままチームに所属させる訳にはいかない」お父さんはそのように書かれていますが、一度働きかけていれば、そこで合意を得られなかったのでやめることは迷惑をかけていることにはなりません。そもそもボランティアです。指導をしてもらいたいのであれば、親たちはレッスン料を払ってコーチを雇えばよいのです。現在のチームの運営はうまくいっているとは思えません。コーチにお任せで交流もないので、コーチと親との信頼関係が育まれていないように見えます。「試合中に意味なくその子が交代させられ、その後のフォローも無く辛い思いをしていた」と親御さんからクレームを受けたとありますが、子どもは未熟なのでそういった文句を言ったりします。でも、親がコーチに対し「ボランティアなのにひとりでよくやってくれている」とか「子どものためにやってくれて良い方だ」といったリスペクトがあれば、「コーチは忙しかったんだと思うよ。なぜ交代させられたか自分でよくプレーを振り返ってごらん」とか「自分でコーチに聞いてみてごらん」などとアドバイスできるはずです。さまざまなことをもっと学び合わなくてはいけないチームに見えます。が、お父さんが去ったとしても、子どもに退団を強いるのはやめしょう。お父さん自身憂れいているように、大人の都合で移籍させることは賛成できません。新しいチームでうまくいかないことがあると、お父さんのせいにするでしょう。人は自己決定するから、粘り強く向き合うことができるんです。そこを忘れないでください。息子さんの意思に任せましょう。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2019年09月26日次男がやりたいと言って始めたサッカー。幼稚園児だけ通わせると小2の長男が暇になるからお友達も誘って長男も始めたのに、年中の次男が泣いて嫌がるようになりサッカーを辞めた。長男の学年は上手い子が多く、本人も運動は得意でなく、やる気も見えない。下の子を連れて観に行く親の方が疲れてしまっているけど、長男自身は辞めるとは言わない。こんな時、本人の意志を尊重した方がいいの?とお悩みのサッカーママからご相談をいただきました。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、ご自身の体験と数々の取材活動で得た知見をもとに、アドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<試合で起用されなくなって泣く息子をどう受け止めたらいいの問題<サッカーママからのご相談>未就園児、幼稚園、小学2年の男の子3人兄弟です。最初は次男がサッカーをやりたいと言ったことが、サッカーと関わったきっかけです。長男は全く興味が無かったのですが、幼稚園の子だけ通わせると暇になってしまうので、学校のお友達も誘ってやってみないかと話をしたところ、行ってみたいとなったので、5か月前からサッカーを始めました。しかし、1か月過ぎたころから次男が泣いてサッカーを嫌がるようになり、1か月間泣いてチーム練習に行け無くなってしまいました。まだ年中ですし、泣いてる子を無理やり行かせる自分にも疲れてしまってサッカーを始めて2か月で辞めることにしました。長男の方は、次男が辞めても「僕も辞める」とは言わないので通い続けていますが、その教室の2年生はとてもレベルが高く、長男とスクールの子たちの差は凄いものがあります。長男はもともと運動が得意ではない上に、家で練習をしようとも、練習と試合の時に一生懸命ボールを追いかけようともしません。生徒が20数人いてコーチは1人なので、初心者の長男に手取り足取り教えて貰えるわけもなく、親としても上手くなりたいと思っているようには見えません。まだ始めて5か月目ですが、下の子2人連れて練習と試合に行くのも負担になってきたのもあって、私が「どうしたものかな」と思っています。でも、本人に何度聞いても辞めないと言います。こういった場合は本人の意思を尊重した方が良いのでしょうか?<島沢さんのアドバイス>ご相談ありがとうございます。お母さんのとるべき道はシンプルで、二つにひとつですね。① 長男君が続けたいと言う限り、続けさせる。② お母さんから「ママはすごく大変だから送り迎えが難しい。今月限りでサッカーはやめてもらいたい」とお願いする。この二択です。■親がサポートを続けられることも大事だけど......子どもは親の庇護のもとで育っています。自身の意向で何かをしたいといっても、親の経済的、肉体的、物理的な条件がそろわなくては何もできない弱い存在です。例えば、200キロ離れたところにすごく良いサッカースクールがあって、そこに行きたいと言っても親はできませんね。そのようないくつもの条件のなかで私たち親は、自分たちのできる限りのことをして、彼らの成長を支える。それが親の役目でもあります。お母さんは「下の子2人連れて練習と試合に行くのも負担になってきた」とあります。が、頻度やスクールとご自宅の距離などは、最初からわかっていた条件ですよね。そのうえ、次男を入れるために、長男を学校のお友達を誘ってやってみないかとまで言って引き込んでいます。もし、私がご長男君であれば、お母さんからもし「送り迎えがしんどいからやめてほしい」と言われたら、「お母さん、そりゃ、ねえだろ」と食ってかかりますね。すでに何度も「弟はやめたのに、君はサッカーやめないの?」と尋ねています。長男君にすれば、こころのなかで「はあっ!?」ですよね。私なら抗議します。「誘ったのはお母さんじゃん。俺はやめたくないって言ってるのになんでそんなにしつこく言うの?そりゃ勝手すぎるだろ」と。もしそうされたら、お母さんはどうしますか?今のお気持ちを小学2年生に訴えますか?「だって、あなたはもともと運動が得意ではないうえに、家で練習をしようとも、練習と試合のときに一生懸命ボールを追いかけようともしないじゃない。生徒が20数人いてコーチは1人だから、初心者の君が手取り足取り教えて貰えるわけもなく、お母さんとしては上手くなりたいと思っているようには見えないのよ」いかがですか? ちと残酷だと思いませんか。長男君はまだ7歳や8歳です。まだサッカーというスポーツを観察しながらやっているような時期でしょう。■まだ7歳「温かい放牧」で見守ればグッと変わることも私が知っている低学年の子は1年間スクールに行っても、寝転がったり、どこかに走って行ったりしてなかなか練習に溶け込めませんでした。でも、ボールを蹴るときは楽しそうにしていて、辞めるとは言わない。コーチは叱ったりせず「おいでね~」と声掛けし、温かく見守ってくれました。したがってお母さんも、ピッチで寝転がる子を黙って1年間見守り続けることができました。結果、次の年は寝転がることも逃げることもなくなりました。彼はサッカーに目覚めたのです。その後仲間と一緒にサッカーを楽しく続けました。このように、子どもには大人から温かく見守られなくてはいけません。私はそれを「温かい放牧」と呼んでいます。結果を求めない。出来栄えで判断しない。子どもがやりたいと言うことを、親の経済的、肉体的、物理的な条件がそろえばやらせてあげてほしいと思います。ああ、島沢さんはイジワルだ。相談しなきゃよかった、と思われているかもしれません。でも、この連載をもし読んでいただいたうえでご投稿されたのならば、私が「子どもファースト」だとわかっていただけると思います。■今は頑張っているように見えなくてもこれから少しずつ変わっていく。親が信じてあげよう(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)それに、お母さんのお気持ちは痛いほどわかります。目の前で頑張っているように「見えない」息子に苛立ちますよね。私の息子も走るのが苦手なサッカー少年でした。みんなが動き始めているのに、ひとりだけ集中力が切れるのか地面を見ています。ボールから目を離しっぱなしなので、味方のキーパーからのパスが息子の後頭部に当たることなど日常茶飯事でした。ああ、いやだ。みっともない。やめてほしい。なんとかしてよ。恥ずかしい。そう思いますよね。 でも、その子を産んで育てているのは私なんです。ダメなところがあれば、成長できるよう見守らなくちゃ。中学年、高学年になると少しずつ変わっていきます。親が信じてあげましょう。せっかく、お母さんのおかげでサッカーという成長できる場所を手にしたのです。お母さん、がんばれ。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2019年09月11日「猫のしつけ」は不可能ではなかった!映画やドラマに出演する猫ちゃんたちの“演技指導”を手がける動物トレーナーに、そのテクニックを教わった。「原作を読んだときは胸が熱くなりました。猫にこんなにも人間の心がわかるなら、きっとふだん私が接している子たちも、いろいろ考えているんだろうな、って。でも、その半面、猫と人間が会話する密な関係性を実写化できるんだろうか、という不安もありました」そう語るのは、映画『旅猫リポート』(10月26日公開/企画・配給:松竹)で、福士蒼汰(25)扮する悟の飼い猫・ナナのトレーナーを務めた「ZOO動物プロ」の北村まゆみさん。本作は、ある事情からナナと一緒に暮らせなくなった悟が、新たな飼い主を探すため、ナナを連れてクルマで旅に出るというストーリー。悟とナナの“会話”が見どころのひとつだ。これまで数々の映画やドラマで、猫のキャスティングやトレーナーを担当してきた“猫使いのプロ”の北村さんに、ワガママで気まぐれな猫ちゃんをしつけるコツをうかがった。■まずは“猫ファースト”で対処「犬は飼うもの猫は飼われるもの、って言うほどですから、基本的には、人間が猫に合わせるしかないんです。よく、『障子を破ってしまうんですけど、どうしたらいいでしょうか』といった相談を受けることがあるんですが、『いまは破れない障子もありますから、それに張り替えてください』とアドバイスしています(笑)。また、ドアを勝手に開けてしまうなら、猫が開けられないようなドアノブに取り換えるとか。そうやって、猫がイタズラしないように、こちらが対処するしかありません。ただ、猫の飼い主さんに、そうアドバイスすると、たいてい『でも、うちの猫ちゃんは、こういうイタズラなところがかわいいんですよね』という返事がかえってきますね(笑)」(北村さん・以下同)■子猫のときから「触りグセ」を「触られるのが嫌いな猫ちゃんだと、爪を切ったりお風呂に入れたりするのが大変。私はトリマーでもあるのですが、猫の爪を切ろうものなら引っかかれてしまって傷だらけ、ということもありました。猫は、体の先端部分がすごく敏感なので、足先を触ると『イヤ~』と暴れるコが多いのです。でも、子猫のころから体をひっくり返したりして足先を触らせるクセをつけておくと、苦労せず爪を切らせてくれるようになります。お風呂も、子猫のころから定期的に入れておくと、苦労しませんよ」
2018年10月26日