イラストレーターであり、チアダンスの講師でもあるサトウユカさんによる連載マンガ「44歳チアリーダー!」の第10話。今回は、チアダンスの指導者ライセンスを取得したときのお話。その結果は……。★前回:「後先考えずにやっちまえ!」ついにド素人が先生に! #44歳チアリーダー 944歳チアリーダー第10話34歳のとき、後先考えずにチアのクラスを始めた私。まったくなんの経歴も資格もない状態で教えていたのですが、週1回の練習が週2回に増え、1年後にはチアダンスのイベントにも出るように。クラスのみんなも上達して行くなかで、これは自分のためにもみんなのためにもちゃんと資格を持っていたほうがいいだろう!と思い、日本チアダンス協会のチアダンス指導者ライセンスの講座を受講しました。36歳の私がついていけるかドキドキ講座の初回は、それこそチアダンスで名を馳せる大学生やOGの子だらけのなかに、36歳の私がポツンと混ざるのだろうか、ターンやジャンプの技術についていけるのだろうか……とドキドキ。でも、学校でチアダンス部の顧問になった先生が勉強のために来ていたり、子どもにチアダンスをさせたいけれど地元にチアダンスクラスがないから自分が先生になりたいという方がいたり、思いの外いろいろな方がいました。もちろん現役の若者たちが多かったけれど、さすがチアリーダー! かわいくてやさしい子ばかりでした。新鮮で楽しかった16年ぶりの勉強2カ月間、週末に講座に通い、時間は10時30分〜16時まで。午前に1コマ90分の座学のクラス、午後に1コマ90分の実技クラスが2コマで、専門学校を卒業して以来16年ぶりの勉強はとても新鮮で楽しかったです。最終テストは筆記テストと、自分が先生役で生徒役の2人に自分が考えた振り付けを教えるという指導実践テストでした。普段先生をさせてもらっているおかげで緊張することもなく、後日無事に合格通知をいただき、36歳で日本チアダンス協会指導者ライセンスを取得できたのでした!※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。★ウーマンカレンダー連載マンガ著者/サトウ ユカ(44歳)イラストレーター&チアダンス講師&19歳17歳男子の母。30歳でチアと出会って魅力にハマり、講師の資格を取って30〜70代の大人女子たちに広めている♪ Instagram:@cheerdanceclass.genie
2021年08月15日8人制サッカーが全日本少年サッカー大会(現:全日本U-12サッカー選手権大会)に導入され、今年で10年になる。日々、子どもたちの指導にあたる指導者は、8人制のメリットやジュニアサッカーの変遷について、どのように感じているのだろうか?全日本少年サッカー大会で優勝経験のある、センアーノ神戸の大木宏之監督に、COACH UNITED ACADEMYユーザーからの質問に答えてもらった。(取材・文:鈴木智之)ジュニアサッカーの専門指導者を育成「8人制サッカー指導者資格」はこちら>>■主導権を握ってサッカーをするチームが増えてきたQ:11人制から8人制に移行し、現状をどう見ていますか?11人制のときは50m×80mの中に22人の選手が入り乱れていて、いま思うとかなりごちゃごちゃしていましたよね。ゴールキーパーがボールを持っても、人がいるところを省いて、ロングキックを蹴るチームがほとんどでした。ディフェンスラインではボールをつなぐリスクを負わず、大きく前に蹴って、球際のしのぎ合いをがんばるチームが、試合に勝ちやすかった印象があります。最後はドリブル勝負みたいなところがあって、相手の人数が多い中で1人、2人と剥がせる力を持った選手がいると、得点になるという。それが8人制になり、選手一人あたりのプレースペースが増えた結果、選手の判断を大事にして、主導権を握ってサッカーをするチームが増えてきたと感じます。Q:8人制になったことで、指導に変化は生まれましたか?かつてはドリブルなどの技術を中心に教えていましたが、8人制になったことで、ドリブルでの個の突破部分も大切にしながらオフ・ザ・ボールの動きも重視するようになりました。相手チームがボールを保持して攻めてくる中で、どう守備をすればいいかなどのトレーニングも増えました。ほかには、どのポジションの選手であっても、攻撃も守備も求めるようになりましたね。8人制の場合、守備の選手がゴール前に攻め上がることも、攻撃の選手が自陣ゴール前で守備をすることもあります。その影響からか、攻守にいろんなことができる選手が増えてきた印象があります。■オフ・ザ・ボールの動きの指導についてQ:COACH UNITED ACADEMYユーザーから、「攻撃面のオフ・ザ・ボールの動きを、どう指導すればいいでしょうか?」という質問が多くありました。アドバイスをいただけますか。私の場合、低学年と高学年に分けて考えています。小学2、3年生であれば、2対2などを通じて「まずは、自分のことをマークしている相手を、どうすれば攻略できるかを考えよう」と言います。自分のマーカーを見て、その選手を外すことを考えさせるのです。具体的には「マーカーから隠れるポジションをとること」を指導していきます。相手の背後に隠れることや、相手の動き、目線を見て、ボール保持者に近づいてパスを受けた方がいいのか、相手の背後のスペースで受けた方がいいのかなど、マーカーに対して駆け引きをするようにアドバイスをします。低学年の場合、最初は手でボールを投げるところから始めてもいいので、相手を見てプレーすることを意識させます。Q:5、6年生になると、どのように指導が変化していくのでしょうか?味方がどこにいて、相手がどこにいて、ゴールがどこにあるのかといった空間認知の部分や、ゴールまでの道筋を2つ、3つ持ちながら、チームメイトの動きを意識する部分に働きかけていきます。そのためには、オフ・ザ・ボールのポジショニングが大切です。練習中は、ゲームの中でフリーズをすることもあります。子どもたちの考えを否定せず、できるだけアイデアを聞いてあげて、その中で「こういうやりかたもあるよ」と提案をしながら、ゴールへの道筋を複数持てるようにしていきます。●センアーノ神戸のオフ・ザ・ボールのトレーニングはこちら>>■サッカーで大切なのは相手を観察することQ:守備の指導では、「プレスのかけ方」と「カバーリング」について難しさを感じている指導者が多くいました。この2点において、注意すべきことはなんでしょうか?低学年の場合は、ボール保持者に対して積極的にチャレンジさせます。当然、失敗することもあります。相手の方が技術的に上であったり、スピードがある場合、何も考えずに向かって行くとかわされるので、フリーズを入れながら「相手に抜かれちゃったけど、どうしてだろう?」などの問いかけを通じて、子どもたちに考えさせます。サッカーで大切なのは相手を観察することなので、相手の様子を見て、どのぐらいの距離で守るのかなどを、体験しながら身につけていきます。自分がマークしている選手が、いま何を考えてるのかを想像しながら距離を詰めることや、相手と駆け引きをすることにもアプローチします。Q:高学年には、どのような指導をしますか?高学年になると、相手を誘導して、味方同士で挟み込んで奪うといったように、グループでの守備を意識させます。ピッチのどこで相手がボールを保持しているのか、点差はどうなのかなど、状況によって守備の仕方が変わってくるので、試合の流れを見ながら守備をすることの大切さも教えています。そして、選手の判断で「ボールを奪いに行ける!」と思うのであれば、積極的にトライさせます。そのかわり「抜かれたら、必死に戻るんだ!!」と言います(笑)。■指導者が学びチャレンジし続けることが大事Q:8人制サッカーについて、大木監督はポジティブにとらえていますか?圧倒的にポジティブに受け止めています。2年前にヨーロッパに行かせてもらって、スペインの7人制、ドイツの5人制を経験しました。同世代の子たちと試合をしたところ、彼らの方が戦術眼に優れていました。少人数の中でプレーの原理原則、攻守の関わりなどを身につけているのだと思います。私が小学生年代で重視してるのが、サッカー脳を鍛えることです。プレーの原理原則をベースに、クリエイティブな発想を具現化できる技術を持たせてあげたい。それがあれば、8人制から11人制に変わっても、困ることはないはずです。8人制サッカーの指導者資格ができましたけど、育成に携わる人たちが、同じ方向性のもとに指導ができることは、大きな発展だと思います。A代表やU-24代表を見ても、日本にも賢い選手が増えてきました。今後も、我々指導者がそこにチャレンジしていくことが、日本サッカーの将来につながっていくのではないかと思っています。ジュニアサッカーの専門指導者を育成「8人制サッカー指導者資格」はこちら>>●センアーノ神戸のオフ・ザ・ボールのトレーニングはこちら>>
2021年07月02日職場での人間関係に悩んだことがある人は少なくありません。いじわるな先輩や上司に『指導』という名目で理不尽な態度を取られ、つらい想いをしてしまうケースも。こうした上下関係を利用したパワーハラスメントは、近年問題視されています。『職場のおつぼね様』川田大智(@daichi_kwd)さんがTwitterに投稿した創作漫画『職場のおつぼね様』をご覧ください。先輩からのいじめを受けて転職をした1人の女性が、新たな職場で出会ったのは…。〈〈〈【職場のおつぼね様】〉〉〉 #仕事探しはスタンバイ pic.twitter.com/IJpQpsudgp — 川田大智 (@daichi_kwd) June 11, 2021 女性の指導係になったのは、本物のお局さま…!『お局さま』というと、気に入らない相手に対して、きついいい方をしたり、意地悪をしたりといったよくない印象があります。しかし、漫画に登場するお局さまは、悪しき習慣を否定し、後輩を励ましてくれる素敵な先輩でした。読者からは「最高の先輩」などの声が寄せられています。・お局さまが超絶かっこいいです!継承すべき伝統と悪習の違いが分かっている。・「そなたの仕事をなされ」って、最高の先輩ですね。こんな人に出会えたら人生が変わると思います。・まさか正真正銘のお局さまが登場するとは…。インパクトが強くて笑っちゃいました!尊敬できるお局さまの下、女性は今度こそ充実した社会人ライフを送ることができるでしょう。漫画に多くの人が、クスッとさせられました。[文・構成/grape編集部]
2021年06月25日「スカートはヒザ丈にすること」「髪色は黒のみ」「男女ともに髪が肩につく長さは禁止」など、学校によっては厳しい規則が定められていることも。校則は風紀の乱れを取り締まるためのもの。しかし、行きすぎた校則は成長途中の若者に悪影響を与えるとして、問題視され始めています。『厳しすぎる生徒指導』漫画家の川田大智(@daichi_kwd)さんが描いたのは、新米教師が主人公の創作漫画。主任の鬼瓦先生は、厳しい生徒指導を行うことで有名です。鬼瓦先生が女子生徒の髪にハサミを入れるのを目にし、新米教師は胸を痛めますが…。〈〈〈【厳しすぎる生徒指導】〉〉〉 #仕事探しはスタンバイ pic.twitter.com/ds6b1SHQV9 — 川田大智 (@daichi_kwd) May 14, 2021 女子生徒のだらしなく伸びた前髪を、散髪用のハサミで見事にイメチェンさせた鬼瓦先生。強面な外見の持ち主の彼ですが、繊細な手つきで生徒たちのヘアスタイルをよりよいものにしてあげたのです!鬼瓦先生の凄まじいギャップに、漫画を読んだ多くの人が一瞬で心を奪われてしまいました。・こんなにも素晴らしい頭髪検査なら、喜んで受けます!・最高にかっこいい先生…。鬼瓦先生のような大人になりたい。・自分の学校は校則が『拘束』になってたなあ。こんな先生がいればよかった。「自分の学校にもこんな先生がいたらいいのに」という言葉が数多く寄せられた、今回の作品。きっと鬼瓦先生は伝説の教師として、たくさんの生徒の未来を明るくしていくことでしょう…![文・構成/grape編集部]
2021年05月15日私は中学生のころ、ある件がきっかけで「生理=恥ずかしいこと」「生理だということは周りに知られてはならないこと」という認識を持つようになりました。私が中学生のころに経験した出来事についてお話しします。 放課後に呼び出された女子生徒中学1年生の秋ごろのことでした。帰りのホームルームが終わる直前、担任の教師が女子生徒たちに向かって「女子はホームルームが終わったら、体育館へ行くように」と伝えたのです。それだけではなく、男子生徒たちに向かって「体育館に近づかないように」と告げました。 怒られるようなことをした覚えはありません。クラスメイト全員が疑問符を浮かべたまま解散。男子生徒は部活へ行く者と帰る者に分かれ、女子生徒は荷物を持って体育館へ移動しました。 女性教師による生理指導私が到着したころはすでに数十人集まっており、1年生の女子のみが集められていました。教師の指示で、女子生徒はクラス毎に整列し、ほかの生徒や教師の到着を待つこと、数分……。 全員が集合したあと、私は教師を含め、この場にいる全員が女性であることに気が付いたのです。「何の話をするのだろう」「長引くのは嫌だな」と呑気に考え事をしていると、教師の1人が未使用のナプキンを取り出しました。 生理指導は1時間以上教師によると、先日1年生のクラスが並ぶ階の女子トイレにあるサニタリーボックスに捨てられていた使用済ナプキンが小さくまとめられていないままだったとのこと。そのナプキンは経血が丸見えの状態だったため、指導が必要だということになったのでしょう。指導のなかでは、「経血が見えてしまうのは恥ずかしいこと」「隠さなければいけない」と聞かされ続けました。 その後、1人ひとりに未使用のナプキンが配られ、開封し小さくまとめる練習が始まりました。きれいにできない子やできたけれど粘着力が甘く開いてしまった子は教師から指導が入り、まとめ直す練習に入るのです。じょうずにできた子から帰されましたが、できなかった子はなんと長時間練習をさせられたようでした。 しかし、この指導で私に印象に残ったのは、経血が丸見えにならないように生理用品のまとめられるようになることではありませんでした。指導にあった言葉から、「生理は恥ずかしいことなんだ、隠さなければいけないものなんだ」ということが胸に刻まれてしまったのです。 その後しばらくは、生理=恥ずかしいものという考えが私の心に根付いてしまっていました。今思えば、あの指導で教師たちが伝えたかったのは、「生理のマナー」だったのだと理解できます。しかし、あの指導方法で、私の心に残ったことは、残念ながらそのことではありませんでした。生理についての大切な指導も、伝え方次第では違ったものになってしまうのだなと残念に思う出来事でした。 ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように! 監修/助産師REIKO--------著者/佐藤里桜
2021年04月28日何人かいるコーチたちの間で、今やるべき練習メニューや練習時間など指導方針にギャップがある。子どもたちの成長という目的は全員一緒なのに、それぞれアプローチの部分で異なるイメージを持っていて、相容れない状態。話し合い以外にどうやって解決すればいい?とのご相談をいただきました。みなさんのチームではどうしていますか?かつては自分も同じ悩みを抱えていた、という池上正さん。ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた経験をもとにアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導DVDプレゼント!詳しくはこちら【4月限定】>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<ドリブルとパス、どちらを先に教えるべき?ジュニア年代の育成ではどちらを優先すべきか教えて<お父さんコーチからの質問>こんにちは。私は地元の少年団でコーチをしております。担当はU-12です。担当するトップチームのコーチ間で、今やるべき練習メニューの相違、練習時間の使い方など指導方針のギャップがあり、信頼関係がうまく構築できていないと感じています。指導対象となる子どもたちの成長を第一に考えていることは一致しているのですが、指導方針のギャップを埋めるためにはどのような行動をとるのがよいでしょうか。「子どもたちの成長」という目的は一緒なのに、そこまでのアプローチがそれぞれ異なるイメージを持っていて、相容れない状況です。池上さんはこれまでそのような場合に、どんな風に解決してきたかなど教えていただけないでしょうか。話し合いを重ねるだけでなく、練習メニューで共通認識をすり合わせることができたりする方法や、この年代にはこの練習が良いという指針など、もしそんなのがあればアドバイスをお願いします。<池上さんのアドバイス>ご相談、ありがとうございます。コーチ間で指導方針や方法論にギャップがあるというお話ですね。具体的に、どう違って、異なることでどんな弊害が起きているのかもわからないので、想像でお話しするしかないのですが、もしかしたら「違いは違いとしてそのままにする」ということでもいいのかもしれません。■相容れないように聞こえても根っこは同じ、というのは海外でもあること先日、ドイツのサッカーに詳しい湯浅健二さんの講演を拝聴しました。湯浅さんによると、世界トップの監督たちが集まると、決まって喧々諤々(けんけんがくがく)の議論が始まるそうです。「私の理論では......」と主張します。ただし、一見すると、それぞれが相容れないように聞こえるが、根っこは同じことを話しているのだそうです。そんな話を非常に面白く聴かせていただきました。このことは、まさしくオシムさんがおっしゃっていたことに通じます。「サッカーにはセオリーがあるぞ」サッカーは、どんな戦術でも共通の認識がある。そこから、こうじゃないか、ああじゃないかとそれぞれの指導者が表現を変えたり、その人らしい色をつけていくのです。■グアルディオラの「3ゾーン・5レーン」は選手に意識させるための工夫によるもの例えば、マンチェスターシティーを率いるペップ・グアルディオラ監督は、「3ゾーン・5レーン」という表現をします。これはサッカーのアタックのベーシックな考え方「3ゾーン・3レーン」を、もう少し細やかに約束ごとを作ったものです。例えば、左右のサイドを使いだすと、真ん中が空いてきます。グアルディオラ監督は基本の3レーンをさらに分けて5つにして選手に示しました。誰かがどこかのレーンに入ると、そこにスペースができます。そのレーンがあるか、ないかではなく「誰かが動くとスペースができる」というセオリーを飲み込ませるために、5つのレーンを選手に意識させる工夫をしているのです。「うちのチームはこのレーンを使うぞ」というような、新しいものが出てきたわけではありません。もとのセオリーは同じなのです。■かつては自分も同じ悩みを抱えていたそのように考えると、ご相談者様の少年団のコーチのみなさんも実は根本の考え方は同じだと感じます。アプローチの仕方に違いはあれど、「子どもたちの成長」という目的は一緒だとご相談者様も書いておられます。全員が子どもの成長を本当に思っているとしたら、実は話し合いで十分解決するケースではないでしょうか。私自身、Jリーグ2クラブに在籍した時代は、育成コーチや育成部長といった立場で多くのコーチとミーティングを重ねてきました。コーチの能力にばらつきがあるなどして、ご相談者様の悩みと同じような問題を抱えたこともあります。さまざまな意見が出される中で「カテゴリー(年代)別に、ある程度練習メニューを決めてはどうだろう」という意見も出ました。各々のコーチに任せず、指導の均一化を図るには、マニュアル化してしまうことも考えられました。そうすれば、指導がブレず進むかもしれないというわけです。■練習メニューは山ほどあるのだから、それぞれのコーチが何をしてもよいしかし、そうした場合「コーチのパーソナリティー(個性や判断)はどうなるのか?」といった異論も出てきました。そこを重要視するならば、指導の根幹となる部分(ビジョンや哲学)は共有しよう。ただし、そこからズレてしまってはいけないことはきちんとアナウンスする。その範疇で指導できそうならば、各コーチに任せた方がいいのではないか。そんな議論をたくさんしました。加えて、練習メニューの選択にも共通認識を持つことを大事にしました。練習メニューは山ほどありますから、何をしてもいいわけです。■枝葉の議論でなく、おおもとの目的をテーマに話し合ってみようそのなかで「ドリブルかパスか」みたいな、前回のこの連載でさせていただいたような話もたくさんしました。「いや、パスを重視すべきだ」「いや、どちらかに偏って指導するのではなく、クローズドスキルの時間を減らせばいい」そういった議論を重ねました。つまり、議論の内容は、常に枝葉の部分ではなく、おおもとのところをテーマにしてきた気がします。例えば、子どもがうまくなっていくことってどういうことなのか?自分で判断する重要性は何なのか?視野を持たせて自分で情報を集める能力をつけないと、上に行って困るのは子どもではないか?そうすると「みなさん、選手が自分で判断できるようになる練習をやってください」と言えばいいだけでした。■サッカーの要素が全部あるメニューさらにいえば、この年代にはこの練習が良いという指針は特に設けません。それは今も同じです。良い練習とは、サッカーの要素が全部あって、子どもがらせん階段をのぼっていけるようなメニューが一番です。そう考えると、ゲーム(ミニゲーム)が一番です。指導者は、ゲームをする際の「設定」を、その年代の特徴を考慮して考えればいいだけです。その年齢ごとに、仲間を認識できる広さや人数を調整する。例えば、幼児なら人数は、2対1や2対2など、味方は自分ともうひとりだけ。コート(グリッド)は狭く設定します。池上正さんの指導DVDプレゼント!詳しくはこちら【4月限定】>>次ページ:どんな練習メニューをするか、の前に大事なことは......■どんな練習メニューをするか、の前に大事なことは......(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)要するに、年齢が低ければ低いほど、人数もコートの広さも小さくなります。年齢が高くなれば4対3や4対4など、人数を増やす設定にします。パスをする選択肢(仲間)が増えてくるし、グリッドが広くなるので、パスも長くなります。日本はその気づきが欧州よりもかなり遅れました。わずか十数年前まで、小学生まで11人制でやっていたのですから。オランダは、小学生に4対4を40年前からやらせています。まずは、「どんなふうに育てるか」というビジョンを明確にするための話し合いをして みてはいかがでしょうか?池池上正さんの指導DVDプレゼント!詳しくはこちら【4月限定】>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2021年04月23日ジュニア年代の指導ではドリブルとパス、どちらを先に教えたらいい?保護者も子どもたちもドリブル軍団が勝利を収める場面を見て移籍したくなるようだ。サッカーの最小局面は2対1という考えで指導しているけど、保護者や子どもたちのそんな姿を見ていると、指導が不安になる。ジュニア年代で優先的に伝えるのはドリブル?パス?というご相談。みなさんはどんな風に教えていますか?これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、お父さんコーチの悩みにアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導DVDプレゼント!詳しくはこちら【4月限定】>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<監督の顔を潰さずチーム外自主トレでできることは?<お父さんコーチからの質問>池上さん初めまして。私は普段は専属で街クラブのジュニアチームで指導しています。指導年齢は未就学児から小6までです。早速ですが質問です。ジュニアの育成年代に伝えて行くべき優先順位はパスですか?ドリブルですか?ドリブルに特化したスクールや動画の配信が子ども達を夢中にさせているのを目の当たりにします。またドリブルに特化したチームが有利にゲームを運び勝利する場面も多々見かけます。私としては「サッカー」を教えたいのでサッカーの最小局面は2対1という考えの元で指導しています。ただ保護者や子ども達はドリブル軍団が勝利を収める場面を見ると移籍したくなるようです。正直私も不安になる事があります。池上さんの育成に関する優先順位、勝手に前提を作って恐縮ですが、ドリブルかパスかの考えをもとにご教授いただけると幸いです。<池上さんのアドバイス>ご相談、ありがとうございます。これまでも拙書でも何度か取り上げてきましたが、ドリブルかパスかという議論は、日本ではまだ見かける議論です。そのうえ数年前から「ドリブルデザイナー」といった肩書を名乗る方も現れました。■ドリブルよりパスを教えることが難しいと思う指導者も少なくないドリブルやリフティングは、目に見えて成長がわかりやすい技術で、しかも「個人」に絞って技術の程度を評価できます。一方の「パス」は、ひとりだけの技術ではありません。受け手がボールを受けやすいスペースに現れて初めて、出し手はパスを出せます。その点では、ドリブルが個人のスキルであるのに対し、パスはチーム(組織)のスキルと言えます。その点で、指導者のみなさんはパスを教えることを難しく感じられているようです。■止める、蹴るの技術を取り出して教えるのは後でいい例えばパスのスキルというと、まずは「止めて蹴る」から教え始めます。「ボールを止められなかったり、しっかり蹴れなければパスはできない」という考えの方は多いと思います。ある指導者と話をしたときのことです。私が「うまく動くことを教えれば、サッカーは楽しくなりますよ。(止める、蹴るの)技術を取り出して教えるのは後でいいのではないか」と話したら、「ボールを蹴れない子どもに動き方を教えても仕方がないだろう」とおっしゃいました。「まさしくおっしゃる通りです。でも、キックの練習から入ると、このキックはいつ使うのかがわからないのでは?ゲームの中で、向かい合って蹴ったりするパスは使いませんよね。まず最初に、『ここに動いてボールをもらえばシュートを打てる』ということを理解できれば、子どもは『じゃあ、そのときにうまく蹴るためにキックの練習をしよう』となりませんか?」そう話しました。キックやボールコントロールを何のためにやるのか、それがわかったほうが技術練習は断然楽しくなるはずです。その指導者の方は「なるほど」と納得してくださいました。■どちらが先ではない。パスもドリブルも一緒に教えないといけない対するドリブルも、実は同じことが言えます。「こういうときにドリブルできるとどう?向こうの人にパスしやすくなるよね」とか「この密集を抜け出すためにはドリブルができるといいね」と、使いどころを一緒に探してあげてください。要するに、パスもドリブルも一緒に教えないといけません。どちらが先ということはないと私は考えます。では、その先にあるものはなにか。ご相談者様が書かれているように「2対1」がそのひとつです。さまざまな局面で、ドリブルをしたほうがいいか、パスしたほうがいいかを判断する力を養うためにも、2対1をしてもらいます。2対1から始める意味は「2人で協力すると簡単に点が取れるよね」ということを伝えるのが一番のポイントです。例えば、味方のほうにちょっとボール向けると、前が空く可能性があります。そうすると、そこでパスもできるし、自分でドリブルしてシュートも打てます。どっちもできる。「そこで何を選びますか?」といったプロセスをたどることが大事です。指導者が「そこでパスを選べ」とか「ドリブルで勝負しろ」と命じるものではありません。■ドリブルがうまくなった子にパスを教えるのは難しい加えて、これは私の経験上わかっていることですが、ドリブルが上手くなった子に、「じゃあ、次はパスができるようになろう」とパスを教えるのは難しい。ひとりでドリブルで相手を抜けてしまう子は、なかなかパスを出そうとしません。逆に、ドリブルもパスも一緒にトレーニングした子どもがゲームの中で自分の前にスペースがあるのにパスを探していたら「ここ、空いてるじゃん。ドリブルしてごらんよ」とアドバイスすると、その子は変わってきます。変化しやすいのです。パスもドリブルも、選択肢が両方ある。もっといえば、どこにパスを出すか、どんなドリブルで場面を変えるかというようにそれぞれに選択肢があることが重要です。場面場面でどれだけたくさんの情報を持てるか。そして、その情報を瞬時に整理して選べるかがいい選手の条件です。この認知、判断の次に「行動」がきます。正確に出てきたパスをコントロールし、次にパスやドリブルを選べるか。それができるプレーヤーになるためのベースをつくるのが、私たち育成年代を教える指導者の大きな仕事なのです。■サッカーに必要な認知、判断力は「大人になったら理解できる」ものではないしたがって、情報を入れるトレーニングを早くからやったほうがいい。対面パスやジグザグドリブルのようなクローズドスキルだけでは、子どもは考えなくて済みます。日本のジュニアは足元の技術が素晴らしいと言われますが、それだけをやってしまうと頭で考える力がついてきません。近年、この認知能力は、世界のサッカーが見られるようになったおかげで推進されているかもしれません。「個の力を育てないといけないのでは」という意見があります。おっしゃる通り欧州でも「個の力が重要」と言われています。抜きんでた個の技術は、メッシなどスーパーな選手がひとつのお手本でしょう。ところが、欧州の指導者は、すべての子どもたちをメッシになるように育てなきゃいけないとは思っていません。対する日本人はことさら「個の力は大切だ。メッシのような選手を育てなくては」と思ってしまうのかもしれません。ディフェンダー、ミッドフィルダー、フォワードと、ポジションの違いもありますが、共通して持たなくてはいけないのはサッカーをどう認知して判断するかという力です。このベースがあっての話が「個の力」の追求になるのですが、そこが抜けていないでしょうか。この能力は「大人になったら理解できる」というものでもありません。小さいときから、何を選びますか?何を考えますか?と、自分で考えて認知し行動する習慣をつけておく必要があります。無論、2対1の局面でもドリブルしたほうがいい場合もあります。でも、そこは「君が選べばいいんだよ」と伝える。そんな育て方をしてほしいと思います。池上正さんの指導DVDプレゼント!詳しくはこちら【4月限定】>>次ページ:ドリブル軍団を見て移籍したくなる理由■ドリブル軍団を見て移籍したくなる理由(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)「ドリブル軍団が勝利を収める場面を見ると移籍したくなるようだ」と書かれていますが、移籍する人たちはドリブルを指導してほしいわけではないと思います。シンプルに「強いチームに行きたい」と親子とも思っているのではないでしょうか。そこを変えない限り、日本の育成は変わらないと思います。「じゃあ、ドリブル軍団に勝つように頑張ろう」では時間がかかります。保護者や子どもたちがサッカーの本質を理解していないから、目に見えて成果がわかりやすいところに行きたくなる。そこに理解を求めたり、一緒に学ぶ姿勢を持てるといいと思います。2対1など、あなたがなさっていることは間違っていません。ご自分の指導にぜひ自信をもって、学びながら進めていってください。池池上正さんの指導DVDプレゼント!詳しくはこちら【4月限定】>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2021年04月16日猫から前脚で叩かれる『猫パンチ』。猫を飼っていない人でも、猫パンチというワードを聞いたことがある人もいるほど、知られています。パンチをするのは、猫の狩猟本能の1つ。猫ならば習わずとも、本能で猫パンチを繰り出すことができるようです。しかし、保護猫のクウちゃんは、『猫パンチ講座』を開いて講習をしていたのだとか。飼い主さん(@kunyan_kainyan)が撮った写真がこちらです。「猫パンチは、脇を『ギュッ!』と縮めてから…」「『パッ!』と出す」猫パンチは脇をギュッ!と縮めて〜パッ!と出す pic.twitter.com/wU0HJ9jN6U — クウとカイ (@kunyan_kainyan) April 13, 2021 ボクシングジムのコーチのように気合の入った顔で、猫パンチ講習を行うクウちゃん。一緒に暮らしている猫のカイちゃんも、クウちゃんに猫パンチを夜な夜な教わっていたのかもしれません。投稿は反響が上がり、さまざまな声が寄せられていました。・漫画『あしたのジョー』ならぬ『あしたのネコ』ですかね。・面白すぎる!パンチの時に爪も出すんですね。・熱血指導をされていますね。とても人間味がある猫ちゃん!指導に熱が入るクウちゃん。これからの猫パンチは、より強烈なものになっているかもしれませんね![文・構成/grape編集部]
2021年04月15日勝ったり負けたりが当たり前の、普通の少年団。最近は楽しませることが大事だとよく目にするので、自分なりにメニューを組んで実施しており、子どもたちには好評だけど、保護者から「もっと厳しくしてほしい」と......。厳しくされている方が「指導されている」感が出るからだと思うけど、どうしたら楽しみながら成長することを理解いただけるのか。どんな伝え方がいい?とのご相談。保護者への伝え方など、指導者の悩みですよね。これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんがご自身が実践していることを踏まえ、保護者の皆さんへの伝え方をアドバイスします。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<U-8世代にも効率よく理解させる練習メニューが知りたい!いい方法はある?<お父さんコーチからの質問>池上さんこんにちは。私は3年前から地域のスポーツ少年団で指導をしています。地方在住なので情報が都市部に比べると遅かったり少なかったりするのは否めませんが、自分なりに本やネットなども使って勉強しています。指導しているチームはもともと県大会に毎回進出するようなレベルではなく、勝ったり負けたりが当たり前なので、歴代指導者もいわゆる厳しい指導はしておらず、サッカーの基礎を教え、練習最後に行う試合や大会などを通して学んでいくという感じです。よくある地方のチームだと思うのですが、最新のトレンドを抑えたトレーニングや、今現在「良い」とされている指導、チーム運営ができているかというと自信はありません。最近では、楽しませることが何より大事だということをよく目にするので、自分なりにネットや本などで情報を収集し実践しています。子どもたちには楽しんでもらえているようですが、保護者の皆さんに「楽しいのもいいけど、もっと厳しく指導してほしい」と言われます。親御さんたちも楽しむことが大事だと言われていることはわかっているようですが、それが結果や成長につながるかという点で完全に腹落ちしていないようなのです。分かりやすく結果が出ないと親が納得しないということと、厳しく指導されているのが目に見えるほうが「指導されている感」があって満足するようです。厳しい指導の部活などを経験している世代だからこそなのはわかりますが、そんな保護者を納得させるような伝え方や、楽しみながら上手くなることが伝わるメニューの例などがあれば教えてください。<池上さんのアドバイス>ご相談、ありがとうございます。今の親御さんたち自身が部活動などで厳しい指導を経験しているため、厳しく指導されているほうが「指導されている感」があって満足する。ご相談者様がおっしゃる通りだと思います。これは保護者のみならず指導者も同様です。皆さん、「スポーツは勝負事なのだから勝つチームがいい」「強いチームをつくるのが、いいコーチ」という評価になっています。■誰かと比べて上か下かではなく、以前よりどれだけ伸びたかを見てあげよう一方で、教育の現場は一足先に変わり始めています。例えば、子どもへの評価の考え方のひとつが「相対評価」です。誰かと比べて上か下か、そこを見ます。そうなると、わが子が、勉強にしろ、スポーツにしろ、属するグループで一番にならないと満足しません。対岸にあるのが「絶対評価」です。子どもが、以前よりどれだけ伸びたか。サッカーであれば、同じ大会で去年は1回戦負けだったのに、今年は1勝して2回戦に進んだ。それはひとつの成長としてとらえることができます。そのように「絶対評価」に慣れてくると、スポーツや少年サッカーの姿は変わってくるかもしれません。自分たちのチームがどれくらい伸びたか。コーチはそのことをよく知っているはずです。以前はあんな練習しかできなかったけど、いまはこんな練習ができるようになった。ここをもう少し鍛えて、こう変われば、もっとうまくなる――そんなイメージはできているはずです。それは、試合に勝つか負けるかではなく、個々とチーム全体が以前より上手くなる。前の年より進化する。そういうとらえ方の説明を、指導者が保護者に対し具体的な例を挙げて話せるようになるとよいかと思います。■コーチが子どもたちに話す姿を保護者にも見てもらう私は、私自身のサッカー観や指導観を保護者に伝えるために、練習や試合で子どもたちに話す姿を保護者にも見てもらいます。コーチ側がどんなことを大切にしているのか。そのことをどう伝えているのか。話を聴いている子どもたちは、そのことを理解しているのか。そういったことを親御さんに見てもらうのです。また、保護者とも可能な限り話します。私が最近新たに始めたチームで、フニーニョ(※ドイツで発祥したミニサッカー。ミニゴールを4つ使い3対3で行うミニゲーム。近年ドイツサッカー連盟が9歳以下の試合に導入を推奨した)の交流会を開催しました。試合のあと、私は保護者にこう言いました。「真剣に守っているように見えないですね。皆さん、どうですか?」すると皆さん、一斉にうなずいていらっしゃいました。「そうですね。次はもっとしっかり追いかけるようになるといいですね」と話しました。そんなふうに、次のステップが何なのかをしっかり親御さんにも伝えます。それを続けていくと、親御さんたちの姿勢は相当変わります。■楽しむことがモチベーションにつながる、という解説もしてあげるそれと同時に、サッカーを楽しむことが子どもたちのモチベーションにつながるという解説を、保護者にしてあげたほうがいいでしょう。昔から「好きこそものの上手なれ」と言われますね。サッカーが大好きだからこそ、真剣にやる。そうすることで、技術は身につきます。そのことは、スポーツ心理学の学びの中でも証明されています。とはいえ、物事に対する子どものモチベーション(動機付け)は、最初の段階では外発的なものが必要です。楽しくなるために、熱中できるために、コーチがどんな活動環境を提供してあげられるか。そこが問題です。楽しいからこそ真剣に取り組むのですが、そのうち気づけば誰も笑っていません。集中します。■「楽しい」はワイワイキャーキャーすることではない。真剣に楽しむことを教えて「子どもはサッカーを楽しみましょう」そんな価値観が広まってきたのは悪いわけではありませんが、私からすると「楽しい」がまだ甘いように感じます。ワイワイ、キャーキャーと歓声を上げるのが楽しい、というレベルで終わってないでしょうか?さらにもっと楽しくなると、笑うことはなくなります。まさしく集中し、ゾーンに入る。練習の中で白い歯を見せて笑っている子がいなくなります。そこをぜひ目指してほしいのです。徐々に真剣になっていく。そんな空気を作るために、常に勝ち負けのあるメニューを考え、子どもたちと対話し、要求を高めていきます。そこを、「笑っている子をなくす」「真剣に取り組む」といった、姿勢というか「かたち」から入ってしまうと、態度への注意が増えます。集中しよう。真剣にやろう。最後まで頑張ろう――そう指示命令されれば、子どもは真剣にやろうとするでしょう。でも、サッカーも、他のスポーツも、そうやって「真剣にやれ」と叱ってやらせるものではありません。そのような管理され作られた空気は長く続きませんし、委縮させられた子どもは自由にサッカーを考えられなくなります。池上正さんの指導を動画で見る>>次ページ:サッカーが俄然楽しくなるきっかけをつくる■「次は、今日負けたところに勝とう」と言ってはいけない理由(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)選手が勝ちたいと思うのは当然です。だから、試合に勝ったら「勝ってよかったね」でいい。それなのに大人たちが「次はあそこに勝って優勝しようぜ」と、次の「勝利」を目標に掲げていないでしょうか?負けて悔しい、でいい。そのあとに「次は、今日負けたところに勝とう」と大人は言ってははいけません。負けたら「残念だったね。また頑張ろう。うまくなろうね」でいいのです。そこで「次は勝とう、相手にリベンジしよう、とは私は言いませんよ」と保護者に説明してもいいですね。コーチがあくまでも「絶対評価」で子どもたちをとらえていることを伝えてください。私が最近地元にチームを作ったのは、絶対評価で子どもたちを育てていくとどうなるのか。子どもたちが大きく成長することを証明したいと考えているからです。ぜひ、そんなふうに考えて、保護者とたくさん話してください。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2021年03月05日20年以上に渡ってスペインで指導者として現場に立ち、アトレティコ・マドリードやビジャレアルのアカデミーなどで活動してきた、佐伯夕利子さん。なかでも2014年にビジャレアルのアカデミーが実行した「育成改革」には、指導者人生を揺るがすほどの影響を受けたと言います。インタビュー第3回では、佐伯さん自身の変化について、話をうかがいました。(取材・文鈴木智之)ビジャレアルが行った育成改革改革のおかげで、これまで選手をジャッジして来たことに気付いたと佐伯さんは語ります(写真はサッカー少年のイメージ)<<第2回:そのコーチングは「指導者が考える正解」では?ビジャレアルが将来を見据えて行った指導者改革■「これまで選手をジャッジし続けてきた」と気づいた――ビジャレアルの育成改革では指導風景を撮影し、映像をもとに指導者間でディスカッションしたとおっしゃっていましたが、佐伯さん自身フィードバックを受けて、どのような変化があったのでしょうか?まず、選手に対するアプローチの仕方が、ガラリと変わりました。なかでも強く感じたのが「私はこれまで、選手をジャッジし続けてきたんだ」ということです。たとえば、「この選手は良い選手」「この選手はそうでもない」というのもジャッジです。誰しも指導者にはお気に入りの選手がいて、どんな状態でもピッチにいてほしい。説明のつかない信頼感を寄せている選手がいます。その子に対するジャッジは、文句なしに「良い選手」です。でもいま振り返ると、それは思い込みだったのではないだろうかと。もしかすると、良い選手であるという先入観のもと、ラベリングをしていたのかもしれません。――ご自身の考えを、客観的に見られるようになったのですね。他に変わったのが、口から出る言葉です。人間は無意識のうちに、習慣化した言葉を使っています。指導中にも、頻繁に口をついて出ます。ビジャレアルの育成改革ではメソッド部門のメンタルコーチたちが、私の近くに影のように寄り添い、練習中にカメラを回し、メモをとりながら「佐伯コーチは練習中、何を言っているのか?」を記録しました。そして、私の口から出てくる言葉を全部「仕分け」してくれるんです。ポジティブな言葉とネガティブな言葉を分け、選手に対してポジティブなフィードバックが多かったのか、ネガティブなフィードバックが多かったのかに分けます。■言葉を可視化したことで、選手が自分の言葉をどう感じるかに気付けた――どんな言葉をかけているか、可視化されるわけですね。そうなんです。たとえば、90分の練習でA君に18回、B君に8回、C君に2回、声をかけたとします。「この数字を見て、佐伯コーチは何を感じますか?」と質問をされます。そこで私は「A君に18回も声をかけている。すごく執着しているな」とわかるわけです。次に、A君にかけたポジティブな言葉とネガティブな言葉を仕分けされた表を見せられます。すると、18回のうち15回がネガティブで、3回がポジティブなワードを使っていたことがわかりました。――A君に対して、ネガティブに執着していたわけですね。そこで私は自分の考えを正当化するんです。「でも、あの子には、これまで何度も注意しているんですよ。それなのに、状況を見ないでボールを受けてしまって、それから何をしようかを考えるから、ボールを奪われることが多くて。何度言っても改善されないんです」というように。指導者というのは自分を正当化させたら天下一品で、いくらでも言葉が出てきます。でも、はたして本当にそうなんだろうか? というところを、メソッド部のコーチが掘り下げてくれるんです。一つひとつ踏み込んで、「この言葉は、A君に対してどのように伝わってったと思う?」「このように言われたら、A君はどのように思ったと思う?」と、あえて指摘せず、質問を投げかけることで私自身にその答えを出させるのです。それを繰り返すことによって、「こんな言葉を使ってしまった」「こんな言い方をしてしまった」「A君は、いまどう思っただろう?」という意識が芽生えるようになりました。自分の指導を俯瞰できるようになったというと、おおげさに聞こえるかもしれませんが、いままでそんなことは思ったことがなかったので、一番の成長だと思います。――すごいアプローチですね。例えば同じシチュエーションで同じミスをした時に「また?」と指導者が言ったとします。その「また?」が、言われた選手に与えるインパクトは、どのようなものがあるだろうか?「また?」と言われた次のアクションで、結局あなたが望むプレーをA君はできた?と聞かれるわけです。同じミスをしたときに、指導者に「また?」と言われたら、次から身体が縮こまってしまい、より良いアクションは起こせないですよね。メソッド部門の人たちはそのような対話を通じて、私を変えてくれました。■スペインでは勘違い指導者の居場所がなくなりつつある――キャリアのある指導者を変えるのは、大変なことだと思います。変える方も、変わる方も。私だけでなく、スペイン国内の大多数の指導者は、多くの勘違いのもとに指導をしてきたのだと思います。幸運なことに、私はそれに気がつくことができました。さらに申し上げると、スペイン国内では指導者のプロファイルが変わってきていると感じています。これまではパフォーマンス系の指導者、例えば吠えるタイプの指導者やミスをした選手がいたら、ピッチサイドで地面にペットボトルを投げつけてみたり、審判に食ってかかったりするような指導者が多くいました。審判にプレッシャーをかけることイコール、チームへのプラスになるという変な信仰があったり。まだまだそのような指導者は少なくありませんが、流れが変わってきて、徐々にそういった指導者の居場所がなくなってきていると感じています。■知識があっても現代のやり方に合わない指導者は求められていない――そのような指導者はかつては「熱心な指導者」と言われていましたが、世の中が変わってきた中で、求められる指導者像も変化してきたのでしょうか?そう思います。先日、スペインの有名なスポーツダイレクターと話をしたのですが、同じことをおっしゃっていました。「○○監督はフットボールの知識があって、4-3-3について語らせたら、自分がいままで出会ってきた中でナンバーワンだ。だけどスポーツダイレクターの立場から考えると、彼を監督して招聘するのはありえない。なぜならもうそういう時代じゃないし、彼のやり方は求められていないんだよね」と言っていました。選手とのコミュニケーション方法やチームの作り方、自分の知識の伝え方など、時代とともに求められるやり方も変わってきているのだと思います。――オールドスタイルの指導者の居場所がなくなってきているのですね。はい。スペインで言うと、1980年代、90年代の指導スタイルから、進化していない人達の居場所がなくなってきているように感じます。そういう人達は、海外に居場所を求めています。なぜならばアフリカやアジアなどは、ヨーロッパと比べて人権への意識が低い地域もあるので、そのような指導がまだ認められるからです。もちろん、アフリカやアジアで仕事をしている指導者全員がそうだと言っているのではありません。そこは誤解なさらないようにしてほしいです。中には実力が認められて、海を渡った指導者もいます。でも、そうでない人がいるのも事実です。■過去にもてはやされた手法をなぞることがイケてると勘違いしていた――日本のスポーツ界にも、指導者のパワハラは根強く残っています。ハラスメント系の指導者というのが、一昔前はイケている指導者だった時期がありましたよね。「あの監督は情熱がある」といったように、色々な言葉で正当化されてきたんです。私もそう思っていた時期もありました。例えば、「メンバーリストは相手のチームよりも後に出せ」とか、色々なことを教えられました。でも時代は変わり、指導者がメンバーリストをいつ出すかに気を取られている間に、そのエネルギーを選手に向けて、選手のことを考える時間に当てたほうがよっぽど良いですよね。――そう思います。試合前というのは、選手が試合に向けてどのような気持ちでいるか。それに指導者は寄り添っていなければいけないはずなのに、つまらない信仰のようなものを、私達はたくさん作り上げてきてしまいました。それをなぞることが、イケている指導者だと勘違いし、そのような指導者をスペインのサッカー界は大量生産してしまったのです。しかし現在、先進的なクラブは、そのようなプロファイルの指導者は求めていません。ビジャレアルが2014年に改革しようとしたのは、まさにその部分で、それが遅かったのか、早かったのかはわかりませんが、私に多くの影響を与えてくれました。■ひどい指導者たちを批判するだけでは何も変わらない。指導環境改善のためにできること――過去の誤った振る舞いに気がついたとき、どのように感じたのでしょうか?私はメソッド部門のコーチに「いままでの自分はひどい指導者だったんだと、恥ずかしく思う」と言いました。すると、「いいんだよ。キミに非があるわけではないんだから。キミは、そのやり方しか知らなかっただけなんだ。それが正しいと思っていただけなんだ」と。さらに、こう言われました。「キミがやってきたことと、違ったアプローチがあることも知ってほしい。こういうやり方もあるんだと知ることで、指導者として豊かになれるはず。指導者をそのように育ててきた、スペインのスポーツ文化にも責任はある。人間は知っていることしか見えない。キミたちはひとつのやり方しか教わってきていないから、見えるものも見えなくなっているんだ。知ることによって、見えるものも変わるはずだから、『知る』を増やそう」と。――深い言葉ですね。日本のスポーツ界には未だにハラスメントがあり、子どものスポーツに対して、ひどい指導をしている人も多いと聞きます。でもそこで、「ここにひどい指導者がいる」「あそこにもいるぞ」と批判を繰り返すだけでは、何も変わりません。なぜならばそのような指導者達は、言い訳でなく、他のやり方を知らないんです。そして、いままではそのやり方で試合に勝ったり、大会に優勝したりと、機能してきてしまったのです。なので、その部分に対する『学びくずし』と言うか、そこに取り組むためのきっかけや、サポートする人がいない限り、指導者は変わることができない。私の経験上、そう思います。(第4回に続く)<<第2回を読む佐伯夕利子(さえき・ゆりこ)1973 年10月6日生まれ/イラン生まれ92 年にスペインに移住し、93 年から指導者の道を歩み始める。レアル・マドリードのスクールをはじめ、スペイン男子3 部リーグ、アトレティコ・マドリッド女子チームなどで監督経験を積む。08 年からビジャレアルに在籍し、男子U19のコーチ、レディースの監督、女子部統括責任者などを歴任。18 年に公益社団法人日本プロサッカーリーグの特任理事(非常勤)に選任され、2020年3月からJリーグ常勤理事。
2021年02月16日30年近くに渡ってスペインで活動し、サッカー指導の現場で奮闘してきた佐伯夕利子さん。スペインの指導ライセンスレベル3(日本のS級に相当)を取得し、アトレティコ・マドリードの女子チームやビジャレアルのアカデミーで指導を行ってきました。2020年よりJリーグの常勤理事となり、現在は日本を拠点に活動(11/30-2/1まで一時帰国中)しています。選手の育成について多くの知見を持つ佐伯さんに「子どもたちを伸ばすために、指導者が変わらなければいけない理由」をテーマにインタビューを行いました。第2回はビジャレアルが行った育成改革の内容に迫っていきます。(取材・文鈴木智之)ビジャレアルが行った育成改革改革の第一歩は、指導者が自分を知ることから始まったそう(写真はサッカー少年のイメージ)<<第1回:1人ひとりの個性を見て個別最適化がチーム強化に。スペインの名門ビジャレアルが育成改革に取り組んだキッカケ■育成はすぐに結果が出るものではない。「今」だけ見ていて良いのか――サカイクでは、「子どもを変えるには、大人が変わらなければいけない」というメッセージを打ち出しています。ビジャレアルの育成改革は、まさに大人(指導者)が変わることで、子どもたちの変革をうながしたそうですが、どのような取り組みをしたのでしょうか?それまでの私達はサッカークラブの指導者なので、普段からサッカーの話ばかりをしていました。どんなシステムがいいのか、サイドバックの選手に求める要素は...といった形です。あるとき、ビジャレアルの育成改革を推進したコーチに「そんな話を何十年もしてきて、これから先の何十年も続けていくのか?」と言われたときに、はっとしたのです。指導者として、それはあまりにも貧しいのではないか。そうではなくて、もっと広い視野で選手を育てるべきなのではないかと。ご存知のとおり、育成はすぐに結果が出るものではありません。目の前にいる選手が8年後、10年後にこうなっていてほしいという理想像に向かって、進んでいかなくてはなりません。8年後、10年後に、今いるコーチが引き続き、ビジャレアルにいるとは限りませんが、選手たちの将来にとってプラスになるのであれば、より良いアプローチを模索するべきだということで、まずは指導者に対して様々な取り組みが行われました。■選手には「自分で考える」を求めていたのに、指導者が具体的に指示しすぎていた――どのようなことが行われたのでしょうか?改革の第一歩は、指導者が自分を知ることから始まりました。「理想の選手を育成するにあたって、それに適した指導を、私達指導者が行っているか」に目を向けました。ビジャレアルアカデミーが掲げる理想の選手像は、自ら積極的に考えて、判断して実行できる選手であり、試合中、変わっていく状況に対して適応できる能力を備えた選手です。そう言っている割には、攻撃パターンを3つぐらい作って、それをただ繰り返すドリルのようなトレーニングをさせていたり、「自分で考えてプレーしよう」と言いながら、指導者が「右に蹴れ、左に蹴れ、いまのは違うだろ」と言い続けていました。――多くの指導者にとって、耳の痛い話ですね。ビジャレアルアカデミーでは、私達指導者がどのような振る舞いをしているのか、それを自分たちの目で確かめるところから始めました。具体的には、アクションカメラの「Go Pro」をつけて指導の現場に立ち、いつもどおりトレーニングをします。「Go Pro」は自分の目線と同じなので、選手の反応が撮影されています。その映像を見ると、多くの発見がありました。練習前後に選手を集めて、指導者がトレーニングについての話をするのですが、いつもうなずいて聞いているように見えたA君が、実は聞いている素振りをしているだけだったり、聞いていなさそうに見えたB君が、話を理解しようとしていたりと、指導者が持つ印象と映像に映っている事実が異なっていました。その理由は、指導者が選手にするラベリングにあります。指導者のレッテルや主観が、事実を違うように映していたのです。――映像で見るからこそ、多くの情報を客観的に得ることができるわけですね。もう一つはハンディカムで指導者自身を映し、トレーニング中や試合中にどのような指示出し、振る舞いをしているかを、コーチングスタッフ全員でチェックし、ディスカッションをする場を設けました。これは週に1回、2時間の学びの場なのですが、自分の指導の様子がみんなの前で映し出され、選手とどのようなコミュニケーションをとっているか、どのような言葉を使っているかなどにフォーカスし、ディベートをしました。■そのコーチングは指導者が考える「正解」では?――そこでは、どのようなディスカションがなされるのでしょうか?映像には試合の様子は映っておらず、指導者の姿だけが収められています。そこで試合中、私が選手のあるプレーに対して「いまのはパスじゃなくて、ロングキックでしょ!」と言ったとします。すると進行役が映像を止めて、「いまのコミュニケーションについて、他の指導者はどう思う?」と意見を聞いていきます。そうやって、指導者の振る舞いを一つひとつ検証していくのです。――指導者からするとハードな学びの場ですね。はい。たとえば他のコーチから「この前のスタッフミーティングで、『自主的に物事を考えられる選手になってほしい』という話をしたよね。でも『ロングキックでしょ!』というコーチングは指導者であるあなたが考える正解であって、パスをした選手の判断や選択肢を否定することになっている。結局、あなたが言うとおりのプレーをしないと、ネガティブなフィードバックをされる。つまり、ダメな選手と評価されるわけだ。それは私達の目指す方向性ではないし、言っている事とやっている事が違うよね」といったフィードバックを受けます。それを1年間繰り返しました。■20年の指導歴で初めて自分が成長できる機会だった――指導者のみなさんは、そのフィードバックをすんなりと受け入れることができたのでしょうか?大人になると、誰しも自分をさらけ出すのは嫌ですよね。自分の指導の様子を撮影されて、みんなの前でフィードバックを受けるのは居心地が悪く、怒りや恥ずかしさなど、いろいろな感情が混ざり合います。私達にとっては、すごく難しい時間であり空間でしたが、その経験をしたことで、「使用前、使用後」と呼べるような変化がありました。中にはふてくされて、自分の殻に閉じこもってしまった人もいて、学びという面では残念なことではありますが、そこまで踏み込んで、指導者を改革しようとしてくれたビジャレアルというクラブは勇気があるなと感じました。――佐伯さんご自身は、それらの取り組みによる変化をどのように感じたのでしょうか?ビジャレアルの育成改革がスタートしたのが、2014年です。私はそれまで、20年ほど指導者をしていましたが、これまでの20年間、何をしていたのだろうと思うぐらい、使用前と使用後の変化を感じました。「選手を育成する」ということについて、間違えてとらえていたのだと気がつくことができたのです。時間が経てば経つほどその想いが強くなり、自分の中で整理できなかった思考が、緩やかなスピードではありますが固まってきました。それまで、選手に対するアプローチに違和感を覚えたことはありませんでした。自分のやっていることに間違いはないと思っていましたし、周りから疑問を投げかけられることもありませんでした。つまり20年以上の指導歴で、自分が成長する機会は一度もなかったのです。(第3回に続く)<<第1回を読む佐伯夕利子(さえき・ゆりこ)1973 年10月6日生まれ/イラン生まれ92 年にスペインに移住し、93 年から指導者の道を歩み始める。レアル・マドリードのスクールをはじめ、スペイン男子3 部リーグ、アトレティコ・マドリッド女子チームなどで監督経験を積む。08 年からビジャレアルに在籍し、男子U19のコーチ、レディースの監督、女子部統括責任者などを歴任。18 年に公益社団法人日本プロサッカーリーグの特任理事(非常勤)に選任され、2020年3月からJリーグ常勤理事。
2021年02月09日■ 前回 のあらすじ余計なことは言わないよう、生徒に口止めをする先生でしたが、その間に保護者達は同士を集めていたのです…指導を怠った校長先生を訴えることも辞さない覚悟の保護者たち。その願いが届き、ついに臨時集会が開かれることになりました。いよいよ直接対決が始まります…!次回へ続く※あくまで個人の体験談です。先生にまつわるお話になりますが、「すべての教師がそうだ」と誤解のないようお願いします。※実話をベースとしたフィクションです。登場人物はゆっぺさん含めすべてフェイクです。コミックライター: ゆっぺ 【同じテーマの連載はこちら】 4人の子育て! 愉快なじゃがころ一家 この連載の全話を見る >>
2021年01月12日■ 前回 のあらすじついに保護者が校長先生へ直談判したものの、上からの評価が良かった先生の一件は問題視されることもなく済まされてしまって…今度はナプキンではなく、新聞紙のうえで残った給食を食べるようにと指導する先生。そして、放課後まで「半額シール」を貼っておきなさいという謎の罰…。けれど、保護者たちも黙って引き下がったわけではありませんでした。次回へ続く※あくまで個人の体験談です。先生にまつわるお話になりますが、「すべての教師がそうだ」と誤解のないようお願いします。※実話をベースとしたフィクションです。登場人物はゆっぺさん含めすべてフェイクです。コミックライター: ゆっぺ 【同じテーマの連載はこちら】 4人の子育て! 愉快なじゃがころ一家 この連載の全話を見る >>
2021年01月06日2020年11月29日、タレントの武井壮さんはTwitterを投稿。その内容が反響を呼んでいます。武井さんは、スポーツ競技の指導者が、試合に負けた選手に『しがちな対応』について、苦言を呈しました。試合に負けた罰に『グランド10周走ってこい』なんてのは指導じゃねえ。。試合に負けたら各選手に必要な能力を分析して、それを獲得するのに必要で有効なトレーニングや技術練習を与えて、栄養補給の知識を与えて、休養時のデータを取らせて、体を育てつつ技術を上げ、自分は戦術を学ぶもんじゃないか?— 武井壮 (@sosotakei) November 28, 2020 部活動などで試合に負けた際、指導者が選手に「グラウンドを10周走らせる」といった行為はよく聞かれます。武井さんはこれを批判し、指導者がすべきなのは「分析と戦術を学ぶこと」だと話しました。ネット上では、投稿に賛同する声が相次いでいます。・正論に拍手。いまだに根性論がまかり通っている。息子の部活顧問にアナウンスしたいくらいです。・罰を受けるべきは指導者です。そもそも『負けた罰』という意味がよく分かりませんね。・本当にその通り。負けたら指導者の力不足。勝利は選手の頑張りです。・負けると罰が待っているとなると、「罰を受けないために失敗しちゃいけない」と思ってスポーツを楽しめなくなる。負けた選手を責めるのでなく、次の時のためにしっかり対策をすることの大切さを述べた武井さん。スポーツだけでなく、さまざまな分野でいえることかもしれませんね。[文・構成/grape編集部]
2020年11月30日ピラティス第二世代ティーチャーが直接指導全国に約100店舗ヨガ・ピラティスの専門スタジオ「zen place」を運営するZEN PLACEが、2020年10月17日(土)からオンラインワークショップ、『プレ・ピラティス・テクニーク』を開催します。講師にはピラティス第二世代指導者、デボラ・レッスンを迎え、全3回の開催予定です。デボラ・レッスンはピラティス創始者のジョセフ・ピラティスの直弟子であるキャローラ・ストラウス・トリアからピラティスメソッドの指導法を学んだ正当な指導者です。アメリカからの生配信を受講同ワークショップでは、ピラティスの基本となる基礎概念についてデボラ・レッスンがアメリカ・ニューヨークからオンライン配信を行います。スケジュールは初日が2020年10月17日(土)8:00から09:30で、3週に渡り土曜の朝に開催されます。受講者であれば当日の出欠に関わらず、ワークショップの録画を翌週の火曜日23:59まで視聴可能です。受講料は1回のみ7,000円(税込み)、3回セットで18,500円(税込み)です。(画像はプレスリリースより)【参考】※zen place academy『プレ・ピラティス・テクニーク』
2020年10月16日いくら歳を重ねても逃れることはできない、人間関係のトラブル。学校や会社、家族での関係をこじらせると、ストレスの原因になります。中でも大人の悩みで多いのは、職場の人間関係でしょう。いくら好きな仕事をしていても、人格に問題がある人と一緒だと疲れてしまうものです。横柄な研修医に、指導医がスカッとする対応!病棟で看護師として働いている、ぱれちに(paretiny)さんが描いたのは、ある病院で起こったエピソード。その病院には、やたらと態度が大きい研修医の男性がいたといいます。横暴な言動をする研修医に対し、周囲の人たちはストレスを感じていました。看護師を見下しているのか、研修医は人を不快にさせる発言を連発。これらの暴言はパワーハラスメント(通称:パワハラ)といえます。しかしある日、指導医は彼のミスをズバリと指摘!「態度がデカいわりに」という言葉を聞くに、指導医は彼の看護師に対する横柄な態度をしっかりと見ていたのでしょう。同僚の前で恥をかいたためか、自分の態度の悪さを反省したのか、その日から研修医は態度を改めたそうです。・スカッとした!叱るんじゃなくて、ちゃんと指摘する指導医さん、かっこいい!・どこにでもいるんですね、こういう態度がデカいのに仕事ができない人。・あるあるですね…。頭がよくても人間性が悪いともったいないですよね。悪い部分を指摘してくれる人がいるのは、ある意味幸せなこと。この研修医は、早いうちに気付くことができてよかったのではないでしょうか。彼が今回の出来事を受け、しっかりと改心することを願うばかりです。[文・構成/grape編集部]
2020年09月26日日本の選手は指導者のいう事を素直に「ハイ」と聞く子が多いと言われますが、試合では常に指示を待って動くわけにはいきません。試合中自分で判断して動けるようになるには何が大事なのか。サンフレッチェ広島ユースで長年指導にあたり槙野智章選手や柏木陽介選手(ともに浦和)ら日本代表選手を育て、U-15/U-16日本代表コーチを経て、2015年からはU-17日本代表指揮官として久保建英選手らを見てきた森山佳郎監督に、思考力や決断力、自己判断力を養うことの重要性についてお伺いしました。(取材・文:元川悦子)取材当日練習に参加していた昌平高校の選手たち■試合では決断の連続だから自己判断力を養うことが大事新型コロナウイルスの感染拡大で、日本代表活動が休止状態になってしまいましたが、7月から年代別代表強化が再スタートしました。U‐16日本代表は7・8月に1回ずつ千葉・幕張のJFA夢フィールドで合宿を実施。9月は静岡で行われる「2020SBSカップ・ドリームサッカー」に参戦する予定になっています。「2004年以降生まれの今のU‐16代表はまだ核になる選手がいないんです。加えてこのコロナ禍で試合に出始めた選手の発掘ができていない。通常の年だと3月や8月はフェスティバルがあったりして、高校1年生を中心に新戦力が出てくるんですけど、今年はそのほとんどが中止になってしまって見つけられていない。海外で強烈な経験をさせる機会も作れませんし、なかなか厳しいですね。それでも選手には45分のミーティング映像4本を配信して見てもらったり、テクニカル面やフィジカル面強化のための発信をしたりしていました。こういう時は自分で考えて行動する力をつける大きなチャンス。日本の選手は指導者の言うことを素直に『ハイ』と聞く子が多いですけど、実際の試合では決断の連続。大人になって生きていくうえでもそうです。思考力や決断力、自己判断力を養うことの重要性に気付いて、やってくれる選手が増えてくれたらいいと思っています」と話すのは森山佳郎監督。サンフレッチェ広島ユースを長年率いて槙野智章選手や柏木陽介選手(ともに浦和)ら日本代表選手を育て、2015年からはU‐17日本代表指揮官に転身し、今は3世代目に突入しています。■久保建英の注目度が高かったことで反骨精神が養われた過去2世代には、2000‐2001年生まれの菅原由勢選手(AZアルクマール/オランダ)や中村敬斗選手(シントトロイデン/ベルギー)、久保建英選手(ビジャレアル/スペイン)ら2017年U‐17ワールドカップ参戦組、2002‐2003年生まれの西川潤選手(C大阪)、若月大和選手(シオン/スイス)、中野伸哉選手(サガン鳥栖)ら2019年U‐17ワールドカップ参戦組がいて、メンタル的に成熟している選手が少なくなかったようです。「2000年世代は自己主張する子が異常に多かったんです。由勢、敬斗、建英だけじゃなく、瀬古歩夢(C大阪)や鈴木冬一(湘南)らも要求が凄かったですね。彼らにとってプラスだったのは、久保の注目度が高かったことで競争心と反骨精神が養われた点。『1学年下の建英ばっかり』という悔しさが募って、『絶対に負けないぞ』というギラギラ、メラメラした感情がつねに感じられました。ハーフタイムに戻ってきてケンカになることもあった。僕が『静かにしろ。落ち着け』と諭したくらい。選手ミーティングを30~40分もやっていて、僕が呼びに行っても『選手だけで話し合ってるから来ないでください』と言われたこともありました(苦笑)。2000年世代はそれに比べると大人しかったですけど、世界大会直前に入ってきた若月や藤田譲瑠チマ(東京V)など自分の意見を持っている選手が入ってきて引っ張ってくれたので、すごくいいグループになりました。最近も西川がJ初ゴールを決め、唐山翔自(G大阪)や田中聡(湘南)や成岡輝瑠(清水)も試合に出始めるなど、お互いに刺激を与えあっています。特に大きいのは16歳の中野伸哉がJリーグに出場したこと。彼は今の2004年の選手と1つしか変わらない。小学校高学年や中学生から見てもほんの少し上です。そういう意味でもインパクトが大きいと思います」■久保建英が他の選手と大きく違った点このように森山監督の教え子からは10代のうちからプロデビューする選手が次々と出ています。その筆頭が久保建英選手ではないでしょうか。バルセロナのカンテラで育ち、14~18歳までFC東京で過ごした彼の成長率の高さは目を引くものがあります。「彼の強みはつねに物怖じせず、つねに自己主張するところ。2015年4月のU‐15代表の立ち上げだったインドネシア合宿の時から先輩を差し置いてFKを蹴ってましたからね。本人に聞いたら『バルサでは3~4人集まってきて<俺だ俺だ>と奪い合うのが普通』と言っていました。槙野などもブレないメンタルを持った選手でしたけど、14歳くらいで初めてきた代表の遠征でそこまで自信を持って主張できる子は見たことはないです。バルサで少年時代を過ごしたことも追い風でしょうけど、彼はもともとそれだけの自己判断力や決断力、責任感がある人間に育ってきていた。そこは改めて強調しておきたいですね」久保選手のように自らアクションを起こせる人間になるには、ある物事に対して自分なりにどうすべきかを考える作業を繰り返すことが大切です。指導者や保護者などの意見を聞くことも大切ですが、それだけでは「言われた通りにしておこう」と受け身になりがち。コロナ感染拡大でこれまで通りの活動ができなくなった今こそ、何事にも自立心を持って自発的に取り組む重要性を子どもたちに再認識してもらうこと。そう仕向けるべきだと森山監督は考えます。■ミスをした時他責にするか、自己反省するかでその後の成果が変わる「実を言うと、僕は中学校1年生の時にバスケットボール部に入ってしまい、1年間サッカーができなかったんです。サッカーから離れてみて『自分はこんなに好きだったのか』と痛感した。その気持ちが40年経った今も続いていますし、それ以来一度もサッカーをやめようと思ったことはありません。仲間と汗を流せる幸せに気づいたことは本当に大きなプラスになっています。今回のコロナ禍にそんな気持ちを強めた育成年代の選手も多かったと思います。それを大事にしてほしいんです。僕は代表活動を始めるに当たって、『意識を変える』『取り組む姿勢を変える』の2つを必ず選手に伝えるんですが、世界を目指そうと思うなら普段の生活を変えないといけない。日常の生活習慣から食事や休息、練習の準備やフィードバックなど全てです。ピッチ上でも何かミスした時に人のせいにするのと、自分に問題があると受け止め、改善していくための策を考え積極的にチャレンジしていくのでは、その後の成果は大きく違ってきます。僕はチャレンジするミスは大歓迎。今年の困難をそうやって自分を変える好機にしてほしいと願っています」ここでアクションを起こすか起こさないか。自分が大きな岐路に立っていることを多くの子どもたちに気づいてほしいものです。森山佳郎(もりやま・よしろう)筑波大学卒業後、マツダに入社しマツダサッカークラブ(現サンフレッチェ広島)に入団。横浜フリューゲルス、ジュビロ磐田、ベルマーレ平塚でプレーした後引退。引退後はサンフレッチェ広島ユースのコーチに就任。広島ユース監督を退任後、U-15/U-16日本代表コーチを経て、2015年にU-15日本代表監督に就任。現在はU-16日本代表監督を務める。広島ユースを高円宮杯4度優勝に導くなど強豪チームに成長させ、トップチームで活躍し日本代表に選ばれる選手を育て上げるなど、高校年代の指導者として高い評価を得ている。
2020年09月14日6歳までに脳の神経系統が大人の90%に発達すると知り、脳を発達させるメニューを知りたいコーチ。ですが、未就学児に集中させるのは難しいですよね。飽きて一人でほかの事をしだす子もいるし、この年代に教えるにはどうすればいい?というご相談です。今回のご相談に池上さんが提案する、子どもたちが楽しんで取り組める「遊び」の要素を取り入れたメニューとは。これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが送るアドバイスを参考にしてみてください。(取材・文島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<技術はあるのに「1対1を組み合わせた」単騎攻撃ばかり。連携のイメージをつけさせる指導法を教えて<お父さんコーチからの質問>スクールで未就学児を指導しています。6歳頃までに脳の神経系統は大人の90%にも達すると聞いたので、脳を発達させるためにいろんなことにチャレンジさせたいのですが、いかんせん集中が続かない年代なので、練習にあきたり、一人で違う事を始めることもあります。まだ始めたばかりの子たちで、中にはゲームでの接触を怖がったりして積極的にボールを追えない子もいるのですが、この年代におすすめの練習はありますか?<池上さんのアドバイス>ご相談いただき、ありがとうございます。おっしゃる通り、脳の神経系統は6歳頃までにぐんと発達します。このあたりの概論は日本サッカー協会のB級ライセンスを取得する際に学びますね。では、6歳までに発達する90%とはどんなことでしょうか?■遊びの中で身体の動きをスムーズにすることもできる例えば、手の指が一本ずつ折れる。グー・チョキ・パーができる。そのような基本的な動きが該当します。そこから、例えば「右手がグーで左がパーをやってごらん」と言われると、ちょっと難しく感じる子どもが出てきます。さらに、その右手グー、左手パーと違うものを出している状態から「グー・チョキ・パーの順番で変えていこう」となったら、ひとつずつずれていくわけです。(大人でも難しかったりします)そうなると、左右違う動きがなかなかできません。そんな基本的な動きを、遊びのなかで行うだけで、身体の動きはスムーズになります。例えば、鬼ごっこ。鬼ごっこには、本当にいろんな動きが含まれています。鬼が来た。鬼が右に行こうとしたのを見定めて、左に動いてタッチを避ける。もしくはかわすためにしゃがむ。動いている場所に、石とか、椅子とか、何らかの障害物があればそれをよけたり、飛び越えて動く。そんなふうにたくさんの遊びの要素をもったものをメニューに取り入れると、スムーズな動きが自然に身についていきます。■サッカーボールを使った左右バランスの取れた発達を図る方法もまた、幼児期にできるものとしては、サッカーボールを手で使うメニューがあります。右手と左手、両方で交互に投げさせます。右で投げるときは右で投げる姿勢と動きに、左は左のそれになります。6歳くらいで始めると、利き手で投げる動作をたくさんやっていないので、左右どちらも簡単にできるようになります。利き手と逆の手で投げる不自由さを感じないので、子どもは抵抗なく交互に試るからでしょう。ずっと利き手ばかりで投げていると、利き手のほうがスムーズなので逆の手で投げたがらなくなります。これは大人もそうですね。これは、足でも同じことが起きます。6歳以下の幼児の頃から両方の足で蹴ることを遊びの中でたくさんやってみてください。そうすると、左右バランスのとれた発達が図れます。■あまり気負わないこと、大人が義務感をもってしまうと「遊び」が楽しめない少年サッカーでは、小学3年生くらいからコーディネーションのようなトレーニングをしていますね。そんなふうに考えてやってみてください。そして、気をつけたいのは「6歳になるまで90%成長してしまうから、今のうちにいろんなことをやろう」と大人が気負わないことです。あくまでも楽しく遊ばせてあげてください。何かの本に書かれている通りにやらせなくてはと大人が考えてしまうと、遊びでやっているはずが遊びでなくなってしまいます。もっと簡単に考えると、幼児期はスキップくらいで十分です。それより上、小学3年生くらいであれば、スキップしながら手を回す。手を叩きながらスキップする。身体全体をスムーズに動かすメニューですね。ほかにも、サイドステップをしながら手を回したり、道具を使う「ラダー」などさまざまあります。ネットで検索すればたくさん出てくるでしょう。ただし、そういった運動を長い時間やる必要はありません。ちょっと経験するくらいの程度でいいのです。足がクロスするような動きの入ったものも3年生くらいからやるといいでしょう。■遊びの要素はとても重要、「我慢」ではなく楽しくて続けられることを意識して「遊びの要素」はとても重要です。大阪教育大学の先生で「子どもの遊び」の研究をされていた方が、子どもが本当に楽しいと感じたものはいつまででもやると言われていました。ノコギリで丸太を切ることにハマってしまった子どもは、30分くらい一心不乱で切り続けます。幼児の集中力は、興味関心と関連があります。楽しくなれば、ずっとやります。大人は、小さい子はすぐ飽きてしまうと思いがちですが、彼らは集中力がないわけではありません。日本人の「集中力をあげる」というイメージですぐに浮かぶのは「我慢・忍耐力・根性」です。ここを改めなくてはいけません。子どもは楽しいものを提供すれば喜んで取り組みます。サッカーも、最初に一番楽しいはずの「試合」から入らないから、そんなことが起きるのだと思います。多少気が弱いとか、相手とぶつかりそうになったらやめるといった傾向があっても、試合はこんなことなんだよ、ボールの取りあいがあって、点が入るとうれしいよね、ということが伝えられたら子どもは変わっていきます。その点で、年齢が下がれば下がるほど、すべてが楽しいものになっている必要があります。指導者も同様の対象です。「あのコーチとやるのは楽しい」という評価が、コーチのありかたにつながってほしいと思います。ところが実際は「楽しい」よりも「勝たせてくれるかどうか」みたいなことがコーチの評価になりがちです。「積極的にやれ」「逃げるな!」と叱ったりする場面を見ることはまだ多いです。しかしながら、子どもにはそういう面があることを理解しておいてほしいのです。「いま、逃げなかったらどうなると思う?」と問いかけて、解決の方法を子どもと一緒に見つけ出すことが求められます。■「無理しなくていいよ」と言ってあげることが大事(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)じゃあ、どんな練習だったら、怖くないかな?こんなふうに一度やってみる?と、少し強度を下げたり、違う形でやるメニューを提供してみることで、子どもたちは克服できる。3年生、4年生になって、子どもがぐっと変わったりしませんか?そこまで待ってあげましょう。この子は弱気だと決めつけたり、無理やりやらせる必要はありません。サッカーが嫌いになってしまいます。「ぼく、できない」と言ったときに「無理しなくていいよ」と言ってあげること。何回かでできなからといって、その子の一生が決まるわけではありません。長い目で見てあげてください。6歳の子が何かができなければ「じゃあ、来年1年生になったらまたやるか」と言ってあげてください。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2020年08月28日熱心な無理解者に苦しめられて『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)ノンフィクションのモデルの立石美津子です。障害のある子どもを育てていると、熱心な無理解者に出あうことがあります。・「障害というハンディがあるのだから、今、辛くても頑張らせることが本人の将来のため、それが愛情だ」と思っている。・こだわりはわがままの一種なのだから、応じてはならないと思っているところがある。・努力すれば必ずできるようになると信じて疑わないところがある。・苦手を克服させようと必死に努力させ、何でも一人でやらせようと試みる。・「どうやったらこの子は○○ができるようになるのだろうか」とできないことばかりにスポットを当てがち。・偏食を徹底して直そうとする。・本人にとって難しいことであったとしても、みんなと同じことができるようにさせようとする。・本人の意図を考えずに才能を開花させようと躍起になりがち。・「やればできる」と過度な期待を抱きがち。・「障害にともなう困難の改善」ではなく、「障害そのものの克服」を目的にしているところがある。子どものことを思ってくれているのはわかる、熱心に支援をしてくれようとする…でも、こうした行為は子どもを苦しめてしまうことがあります。熱心な無理解者という言葉は、児童精神科医の故・佐々木正美先生が提唱された言葉で、私の知人でもある公認心理師、臨床発達心理士、特別支援教育士スーパーバイザーの川上康則先生も「発達障害のある子どもについて【無理解・誤解・理解不足】などの状態にもかかわらず、熱心と言われるくらいの積極的な指導・支援を繰り返し、かえって当事者の状態を悪化させてしまう人のことを指す」とおっしゃっています。たしかに、熱心であることは非常に重要です。しかし、「本人のため」「良かれと思って」の部分が前面に押し出されてしまうと、本人にとっては「苦行」のように感じられるのではないでしょうか。自閉症の息子も、療育施設で苦手な音の克服の訓練をされた結果、その施設に行くことすら怖がるようになってしまいました。「本人のため」「良かれと思って」だけが一人歩きしない支援が必要だと常々感じています。子どもの気持ちを大切にする大人のあり方では、子どもに寄り添い、子どもの気持ちを大切にする対応とはどんなものでしょう。・できることを伸ばそうとする。・偏食を無理に治そうとはしない。・こだわりに十分に付き合い、信頼関係を築いた上で、こだわりの緩め方を一緒に考えてくれる。・大人本位の「こうあるべき」にとわられすぎない。・子どもの今の状態を受け入れている。子どもにとって安心できる人は、このような対応をしているのではないでしょうか。同じ場所で支援者によって対応が違うと、子どものさらなる混乱を招く更に困ってしまうのは同じ場所でも上記の2種類のタイプの人がいて、子どもに対して全く違う対応をするケースです。子どもは無理強いされたり、許容されたりして「何が正しいのか」がわからず混乱してしまいます。こうした状況を「ダブルバインド」と言うそうです。子どものほうも相手により態度を変える(怖い大人の前でだけおとなしくし、やさしい大人にはからかいを多く出すなど)といった誤学習をしてしまうかもしれません。これは「偏食をわがままとして許さない父と、受け入れる母」など家庭内でもおこりがちです。わがままとみなすか、こだわりと共存するか感覚過敏によって偏食がある場合、無理強いされることは、もしかしたら「芋虫を小さく切ってあげるから一かけらだけでもいいから食べなさい」と言われているような状況にあるのかもしれません。熱心な無理解者はとかく「自分だけの基準」で考えてしまい、子ども本人の苦しみ、辛さまで思い至らないのかもしれません…。とはいえ、わがままかこだわりか見分けるのが難しいこともあります。しかし、「その子が何にこだわっているか」をよく観察していると、その子にも譲れない部分があるということが見えてきます。例えば靴、同じデザインのものでないと絶対に拒否するという段階の子どもがいます。違うものを無理に履かせようとすれば自傷しパニックになることでしょう。でも、「〇〇を買って欲しい」などのわがままな要求のときは、自傷や他害よりも、その場で泣くだけといった様子が見られることがあります。安全基地の確保障害がある子どもにとって、社会にはさまざまな怖いもの、苦手なこと、わからないことがたくさんある世界のように見えるかもしれません。叱責されてばかり、無理強いされてばかりだと、自ら一歩を踏み出すことすら怖くなってしまうかもしれません。「安全基地(Secure Base)」としての大人の存在が不可欠です。「この世は怖くない、安心、安全なんだ」「先生や親は自分を脅かす存在ではない」「大人は自分を守ってくれる人間である」ということを幼いうちに十分に経験させることが大切だと思います。障害があっても、経験を積んでいけばやがて「人生には思い通りにならないこともある」ことをその子なりに体験します。大海原に出ても戻ることができる心地よい「港」のような存在がいれば航海の勇気も出ます。安心安全な居場所=安全基地さえ確保していれば、時期がきたら本人から苦手なことにも挑戦する勇気も出てきます。人生をスタートさせたばかりの時期は、特に大人との愛着形成をする大切な時期です。保護者も支援者も先生もそのことを忘れてはならないと思います。
2020年07月18日編集部:学研キッズネット編集部点数アップと大学受験に強い個別指導学院フリーステップは、2020年2月下旬から一部教室でオンライン個別指導のテスト運用を始めていたが、今回の緊急事態宣言を受けて全教室で運用を開始することを発表した。オンライン個別指導概要■個別指導で大切な双方向通信集団指導型の指導では一方通行でも授業を提供することができるが、個別指導ではどうしても双方向のコミュニケーションが必要です。「特に、フリーステップでは『発問型授業』を大切にしているので、生徒の反応がすぐに講師に伝わる必要があります」と語るのは今回のオンライン授業の運用拡充担当者。「さらに気をつけたことは、各家庭で支払っている通信料金以上の経済的負担をかけないこと」。そのため、新たな端末を必要とするサービスやアプリ開発が必要なものは全て排除しているという。■元気な姿をたとえ画面越しにでもe-メールに答案用紙を添付して添削するタイプでもなく、一方通行の講義動画を配信するタイプでもなく、生徒と画面越しではあっても向き合える双方向通信の授業は、講師にとっても安心できる要素の一つ。何よりも担当する生徒が無事に休校期間を過ごせていることを自分の目で確認できるという安心感があるという。通常授業と変わらずに授業ができることで、ここまでの授業で学習習慣の改善した生徒が、勉強以外の時間が増えてしまい、通塾前の状態にまで戻ってしまわないかという不安が払拭されるという。■授業の概要通常授業と同じ○対象学年:小学1年生〜高校3年生・高卒生○授業時間:1コマ80分○授業形態:個別指導○受講に必要なもの:インターネット接続環境とお手持ちの端末(スマートフォン・タブレット・PCなど)■個別指導学院フリーステップについて定期テストの点数アップと大学受験に強いフリーステップは、個別指導のために厳選された講師、生徒・保護者としっかり向き合える仕組み、グループ全体が保有するデータを駆使した科学的な指導システムという3つの強みを生かし、オーダーメイドのカリキュラムで、無理なく、無駄なく目標達成にむけて、生徒、保護者と一緒に歩んでいく個別指導の学習塾です。【入塾及びカリキュラムに関するお問合せ先】株式会社成学社/個別指導学院フリーステップお問合せフォーム::0120-88-0656 (9:00-22:00 )■「学研キッズネットFor Parents」のニュース一覧はコチラ■学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。すくすく伸びる子どもたちのために
2020年04月09日サッカーが上手い下手でマウンティングする言動がチームの中に広がっている。コーチもだけど、子どもたちの中にも。親としてはサッカーが上手くなるのもだけど、小学生に大事なのは技術だけでなく態度や思いやり、協力的な部分だと思っている。ボランティアコーチだから教育的な指導を求めすぎるのも難しいのか......、とモヤモヤする気持ちを抱えるお母さんからご相談をいただきました。皆さんならどうしますか。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、取材で得た知見をもとに3つのアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<息子は人見知り?試合に出ても練習に参加しません問題<サッカーママからのご相談>小学生サッカーチームで兄弟ともにお世話になっていました。兄は卒団し、弟(11歳)はまた違う指導者にメインで指導してもらっています。元々、指導者によって考え方が違うため、なんとなくまとまりがないチームであることは分かっていましたが、最近特に上手い下手でマウンティングする言動がコーチ、子どものなかにまで広がっているように感じます。とてもあからさまです。もちろんサッカーが上手くなって勝ちを取りに行くのも大切だけど、それは一部ではなくみんなでそうするべきだと思うし、小学生のサッカーに一番重要なのは、態度とか、相手をおもいやるとか、みんなで協力するとかそういうソフトな部分なのではないかと思い、モヤモヤし続ける日々です。子どもはこのチームで卒団までやりたいようですし、そうなると、親から言えることはなにもなく。ボランティアコーチでまとめてもらっていますので、教育的な部分を求めすぎるのも難しいのかと思いながらもそれでも指導する立場なのに......とモヤモヤがとまりません。<島沢さんのアドバイス>ご相談ありがとうございます。「上手い下手でマウンティングする言動」が具体的にどういったものなのかがわからないので、はっきりしたことは言えませんが、お母さんの感覚でそう思えてしまう。しかも「あからさまに」と書かれているので、看過できない問題であることは確かだと感じます。■サッカーの力の差で仲間を従わせるのはスポーツマンではない私の知っている少年団でも、似たようなことがありました。「一番足を引っ張っているヤツをみんなで指さしてみて。イチ、ニッ、サン!」そのように音頭を取って、子どもたちに指をささせる。そんなコーチがいました。その方の夢は「Jリーグ選手を少年団から輩出すること」で、長く"高学年だけを"見てきた自分にはそのくらいの指導力があると言うのです。すると何が起こったか。小学校の掃除の時間に、レギュラークラスの子が自分の掃除当番をベンチスタートの仲間にやらせたり、下校時にランドセルを持たせるといったマウンティング行動が目立つようになりました。しまいには、そういったことに交わっていない子どものお母さんが、担任教師からこういわれたそうです。「サッカー少年団の子どもたちのなかで、主従関係ができてしまっている。力の強い子が弱い子を家来のように扱っているというか。度を超すといじめにならないか心配です。サッカーのコーチはちゃんとした人が教えているのでしょうか?」そのお母さんは「ちゃんとした人かと言われれば、全く違います。すぐに怒るし、何試合やってもずっと同じレギュラーメンバーを出し続けて、2点差以上開かないと絶対交代させません」とありのままを担任に伝えました。担任は家来のように仲間を扱っていた子たちに「サッカーの力の差で仲間を従わせるのはスポーツマンではない」と叱ってくれました。以来、そういったことはなくなりましたが、ほかにもそういった話はよく聞かれます。■モヤモヤする現状を改善するための3つの方法結論から言うと、お母さんの「モヤモヤ」は、正当な感覚です。三つアドバイスしますね。まず、できればマウンティングをやめていただく努力をしてほしいです。ほかの保護者に意見を聞いてみましょう。同意見であれば、コーチに対してやめてほしい言動を伝えましょう。その際は、いつもお世話になっていて感謝している旨をまず伝えてから話します。それでも伝わらなければ、クラブの代表の方に話します。ふたつめ。他の保護者から後方支援を受けられなさそうであれば、息子さんが傷ついていないかだけでも話を聞きましょう。また、どう感じているのかを聞いても良いでしょう。お母さんはよくないことだと思っていると伝えたほうがいいと思います。よく、コーチのことは悪く言うななどとおっしゃる方がいますが、あくまで主体は子どもです。少年スポーツは大人のメンツや名誉のために存在していません。三つめ。よろしくないコーチだとしても、最終学年まで同じチームで続けてきたお子さんの気持ちは汲んであげましょう。決して、他のチームへ移籍しようといったことは言わずに最後までプレーさせてあげましょう。■子どもの「見本」になる大人か「反面教師」になる大人かの区別をする力も必要「ボランティアコーチでまとめてもらっていますので、教育的な部分を求めすぎるのも難しいのか」と書かれていますが、まったくそんなことはありません。社会の一員として子どもを教えている以上、責任はあります。ぜひ視点を変えてください。「教育的かどうか」というよりも、「大人として正しい言動かどうか」で判断してください。子どものスキルが未熟か成熟しているかによって態度を変えたり、未熟な子に対して強い態度に出るのは大人として失格です。私がそういったことを言ったり書いたりすると、「コーチをしたこともないくせに」とおっしゃる方がいますが、その言葉も意味が分かりません。コーチとしたら、子どもは個々で能力差もあって大変ですね。イライラして子どもに当たりたくなる気持ちはよくわかりますと言ってほしいのかもしれません。大人には、子どもたちが生きていくうえで「こんな大人になりたい」と思える見本になる人と、その逆である「反面教師」になる方がいらっしゃいます。その区別をする力もこれからは必要です。■パワハラ、セクハラがなくならないのは親たちの考えも原因(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)以前、私の子どもが在籍した少年団にも、モヤモヤするコーチがいました。よろしくないのでは?と他のお母さんたちに話したら、ひとりのお母さんはこう言いました。「うちは、大人の言うことは基本的にちゃんと聞くようにしつけてあります。長く生きている人には、それだけの長があるということなので」かなり驚きました。そういう考えの方もいらっしゃいます。だからパワーハラスメントも、セクシャルハラスメントもなくならないのだと思いました。「ママはおかしいと思うよ。あなたは影響されないでね。(マウンティングされている)お友達を支えてあげて」それだけはぜひお子さんに伝えてください。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2020年03月04日2019年12月と今年1月の2回に渡り、東京、大阪で指導者向けのセミナーが実施されました。このセミナーはチームのグループコミュニケーションアプリ「BAND」とCOACH UNITEDが共催。「サッカーを教えるだけのクラブは生き残れない!スポーツの可能性と新しい時代に求められるサッカークラブの作り方」というテーマで行われました。■クラブを運営する指導者の悩みとは?参加者はJリーグのクラブや街クラブ、少年団の代表者、監督・コーチを始め、サッカー以外の競技団体からも集まり、その数は100名近く。北海道や広島など遠方から足を運ぶ人もおり、注目度の高さがうかがえます。事前アンケートによると、セミナー参加者の多くが、時代にあった「チームの価値づくり」「チーム運営・マネジメント」に悩みを抱えており、また保護者とどう連携し協力関係を築いていけるかといった「保護者とのコミュニケーション」に関する悩みが多く見られました。参加者の一人で、埼玉県でジュニアチームのコーチを務める杉本健さんは、このように話します。「私自身、2児の父親でアラフィフ(50歳前後)ですが、現在の親の世代との価値観の多様化・ギャップを感じています。サッカーは競い合うスポーツですし、いわゆる他の"習い事"とは違うと考えています。ただ、そうは思わない親御さんも増えているようで、組織についても、やや旧態依然とした部分があるため、時代に合わせた柔軟性が求められているように感じています」折しも、少子化の時代。子どもの減少にともない、クラブの淘汰も進む中、持続的に子どもたちを育成し、クラブを成長、運営させていくにはどうすればいいかという悩みを持つ指導者は増えてきています。そんな悩みに対し、解決策やヒントを提示するのが、このセミナーの趣旨でした。■勝てば選手が集まる時代は終わった講師はFC市川GUNNERSの代表を務める幸野健一さん。30年以上に渡って育成年代の指導者や環境改善に関わってきました。2014年にアーセナルサッカースクール市川(当時/現・FC市川GUNNERS)を立ち上げ、行政と連動してグラウンドを作るほか、様々な施策を実行し、クラブを日本有数の規模に成長させた、育成年代のスペシャリストです。近年はクラブチームの代表を務めるかたわら、『プレミアリーグU-11』の実行委員長としても活動し、「全員出場」をルールに盛り込んだリーグ戦を全国で開催。FC市川GUNNERSでも選手の出場時間を管理し、「全試合の40%以上に出場させる」ことを実行しています。「"大会で勝てば選手が集まる"という勝利至上主義の時代は終わりました。このまま少子化が進めば近い内に4分の1のクラブは必要なくなってしまいます。子どもたちや保護者に対して我々が提供できる価値とは何か?を真剣に考えなければいけません。レギュラー選手ばかり試合に出して強いのは当たり前。私のチームでは『全員を試合に出して、試合に勝つ。強いチームになる』ことを価値として様々な取り組みを行っています」選手ファーストで様々な施策に取り組むFC市川GUNNERS。トレーニングの量についてもデバイスを使って管理し、トレーニング、試合、休息のサイクルを回し、「休むことや食事をしっかりとることもトレーニングの一貫なんだ」と、選手や保護者に伝えています。「体組成計測定、フィジカルテストなどを通じ、選手個々のデータを見て、成長のどの段階にいるのかを、選手と保護者に説明します。いまは体が小さくて、接触プレーで弾き飛ばされてしまうかもしれないけど、まだ成長の過程なので、しっかりと食事をとっていれば成長しますからとデータを見せて説明すると、子どもも親も安心します」出場時間の確保、選手のフィジカルデータの収集を始め、全コーチが選手を評価するときの基準を作成するなど、チームに所属する子どもたち全員を成長させるためのアプローチを徹底。立ち上げからわずか5年の若いクラブは、今では400名近くの会員を抱える関東有数の人気クラブに成長しました。■みんなを幸せにしながら強いチームを目指す「みんなを幸せにしながら、強いチームを目指しましょう。クラブの価値は強さだけで決まるのではありません。親御さんが何を求めているか、監督の好き嫌いで試合に出られるのではなく、科学的なデータをもとに納得してクラブに子どもを任せられる。子どもが試合に出て、サッカーの楽しさ、プレーする喜びを知ることができる。それがクラブに関わる人たちみんなを幸せにしていくことなんです。」その一貫としてクラブが重視しているのが、セミナー参加者の悩みにも多く挙げられた「保護者とのコミュニケーション」です。FC市川GUNNERSは、チームの考えや育成方針、子どもたちの状況を密に共有していくために、昨年の9月からグルーコミュニケーションアプリである「BAND」を導入しています。幸野さんは話します。「チームを運営してく上で、親御さんの理解や協力を得ることは不可欠です。コミュニケーションの量、質ともに高めていかなければなりません。そのためにBANDを使ってチームの考えを発信したり、週末の試合映像や分析映像、データの共有などを密に行っています。また、コーチの大きな負担になっていた選手の出欠管理や送迎有無などもBANDで一括管理するようになり、コーチの手間と時間が大幅に削減される一方で、保護者とのコミュニケーションの量も増えました。クラブが提供できる価値を高めていくためにこうした新しいテクノロジーを導入していくことも、非常に重要だと思っています」しかし、すべてのクラブがFC市川GUNNERSのようにできるわけではありません。最後に、幸野さんはセミナーをこう締めくくりました。「やれることからやることが大切だと思います。クラブに関わる子どもたち、親御さんをどう幸せにできるかを考えてみてください。残念ながら、その価値観でクラブを運営している人はほとんどいません。ブルーオーシャンだと思います」今回のセミナーを通して、参加者の方々は「自チームの問題点が見えた。新年度に向けて変更できることはしていきたい」「今、何が求められているのか、具体的に気付かされた」「選手、保護者とのコミュニケーションの確立方法がとても参考になった」と多くの気づきを得たようです。少子化やスポーツにおける価値観の多様化が見られる昨今、スポーツクラブやスポーツ指導の在り方が、これまで以上に問われる時代になってきています。まずは『できるところから』あなたのチームでも取り組んでみてはいかがでしょうか?●幸野健一氏によるセミナーの追加開催が決定!3月15日(日)。この記事でも紹介した幸野氏による指導者向けセミナーを都内で追加開催することが決定しました!今回は新たなプログラムもご用意!セミナーの詳細やお申し込みはこちらから>>■FC市川GUNNERSも導入する「BAND」とは?チームのコミュニケーションや管理に適したアプリです。業務連絡や出欠管理、カレンダーや資料の共有、そして写真や動画の管理まですべて一つにまとめることができます。BANDのアプリダウンロードはこちら>BANDの詳しい説明や導入事例を知りたい方はこちら>【BAND利用者の声】AFC茅ヶ崎ジュニアユース:伊藤さん「クラブからの情報発信をBANDで一括管理しています。スケジュールや予定に関する説明、試合会場などもBANDのカレンダー機能を通して共有しています。出欠管理も一緒に確認できるので、コーチにとっても便利だと思います」
2020年02月17日保護者の当番は一切なし。送迎だけお願いしているが、それすら協力してくれない状況に疲弊してしまったコーチからのご相談です。コーチ自身ボランティアで指導者とチームの代表を引き受けたのに、出場機会がなかったのにフォローがなかった、などわが子の扱いへの不満を浴びせてくる保護者にもほとほと疲れ果ててしまったそう。ですが、自分がチームを離れるとして、子どもをこのまま所属させていていいのか......とお悩みです。みなさんならどうしますか?今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、ご自身の体験と数々の取材活動で得た知見をもとに、アドバイスを送ります。「子どもたちのため」大人はどうしたらいいのか、皆さん参考にしてください。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<やる気がなさそうな長男のサッカーがしんどいのよ問題<サッカーパパからのご相談>自分は、地域のスポーツ少年団でボランティアコーチをしています。昨年からコーチ兼チーム代表をする事となり、始めはチームの為、子ども達の為と思って頑張っていましたが、保護者の方の協力が無く、チーム運営に係る雑用など全て自分が被る事になっているのに疲れてしましました。チームの選手の人数が少ない為、2学年でようやく試合に出られるような状況です。誰か休んでも試合に出られないような状況なので、保護者が送迎が出来ない選手が出れば、自分が送迎をしています。この間の試合では、9人中6人が送迎となり、もう1人の指導者と手分けをしてなんとか対応するような事態もありました。うちのチームには、保護者の当番などは一切無く、送迎だけお願いしていますが、それすら協力して頂けないような状況です。保護者総会で、その事について議題が上がりましたが、自分の負担が増えるような事に賛同する親は居なかった為状況は今後好転するとは思えません。我が子も5年生ですし、あと少しと我慢して来ましたが、余りに負担が大きく、また精神的にも余裕が無くなってしまいました。また、とある保護者から自分の子に対する扱いが悪いと苦情を受け気持ちが更に沈んでしまいました。曰く、試合中に意味なくその子が交代させられ、その後のフォローも無く辛い思いをしていたと。その日は1人で試合を引率していたので、そこまでとても出来ない状況でしたが、そう後から言われると、自分に何か出来る事は無かったか、気がつかなかったかと、更に悩んでしまいます。妻とも相談して、今年度いっぱいで自分はチームを辞めようと思っていますが、そうなるとチームに迷惑をかける事になるので、我が子をこのままチームに所属させる訳にはいかないと思っています。大人の都合で、我が子を移籍させる事にも、はたしてこれで良いかとの葛藤も有ります。今後、どのようにサッカーと向き合っていくのか良いか、アドバイスを頂けるとありがたいです。よろしくお願いいたします。<島沢さんのアドバイス>ご相談ありがとうございます。メールの文章だけでは確実とは言えませんが、この状況ですと、民間クラブなどではなくお父さんコーチがボランティアで指導する少年団なのでしょう。そうであれば、非常にレアなケースと言えるでしょう。この連載でよくご相談を受けるのは、保護者が運営や雑用を任され、長く籍を置くコーチが多少なりとも強権をふるう。子どもは委縮し、親も意見を言えず風通しが悪い、という案件が多いです。少年団(恐らく)で親が送迎も当番もなくて、それでコーチが困っているという相談は初めてです。ご相談者様のチームは、きっと以前いた保護者がそのようなやり方でそれが踏襲されているのでしょう。■保護者達が協力的でない理由「ボランティア・社会的役割への概念」さて、本題です。このようなコーナーに、つまり返事が来るかどうかもわからないコンテンツにメールをされるのは、余程切羽詰まってのことだろうと察します。そのような状況のときは、まず原点に返ることが重要です。お父さんは、何のためにサッカーを息子さんにやらせていますか? ボランティアでコーチやチームの代表まで務め、6人もの送迎を苦労して引き受けるのはなぜでしょうか?「何のためにやるか」これを考えることがとても重要です。チームの為、子ども達の為と思って頑張っていた。お父さんがそう書かれているように、わが子を含めた子どもたちのためですよね?彼らをサポートすることに喜びを感じていたのだと思います。であれば、そのことをもっとほかの保護者にも説明したほうがいいと思います。案外他の方は、例えば「好きでやっている」とか、「自分の子どもが上手いから楽しみでやっている」としか考えていないこともあります。そこに「子どもたちのために」という大義があるなどと思ってもいないのです。例えば、私の夫も息子の少年団で学年コーチを務めていましたが、毎日夜中まで働くなか、土日の練習や試合をみたあと出勤するというハードな日々でした。妻の私は少しでも夫の負担を減らしたいと考え、他の子のお父さんで時折試合を見に来る方に「コーチになっていただけないでしょうか?」とお願いしたら、「ぼくもそれは考えたのですが、コーチになると土日遊びに行けないので妻からやるなと言われています」と言われました。そんな反応になるのは無理もありません。日本では今の40、50代以降は、ボランティアの概念や経験を学校で学んでいません。地域での社会的な役割をシェアする文化も育まれていない。そこは個人の価値観(子どもたちのために)でなんとか担保されている状況かと思います。■あなただけが苦しまないで。まずはほかのコーチ、保護者にも相談をそこで三つ提案します。まず、代表やコーチを辞める前に、ほかのコーチに相談をしましょう。辞めることも考えているが、なんとか保護者に協力してもらえないか。「子どもたちのために」という大義を一緒に考えてもらいます。「みんなの、みんなのための、みんなによるサッカー少年団」を目指しましょう、と。このままコーチだけが負担を背負っていては、運営を続けていくのは不可能ではないか。次にバトンタッチする人たちのためにも、ここで仕組みを変えたいと申し出てみましょう。次に、保護者のなかにそのことを相談できる人(例えばキャプテンの親御さんなど)がいれば、話をしてみましょう。三つめ。上記ふたつが不調に終わったときにどうするか。そのときは、理由を明確にして辞めましょう。「力を尽くしたが、今の状況ではコーチや代表を務めることは心理的に負担なので辞めさせていただきます」と説明したほうがよいです。忙しすぎた保護者の代表や、他のコーチと指導法が合わずに辞めたお父さんコーチの話を見聞きしてきましたが、彼らの多くは疲れ果ててひっそり辞めていきます。理由を明確にしないため、周囲が憶測だけで噂話をし始め、それを聞き及んだ当事者の子どもが傷つくといったケースは少なくありませんでした。■親の退団と子どもがチームに残るかは別問題。その理由は......(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)同時に、お父さんの「退団」に、息子を巻き込んではいけません。「今年度いっぱいで自分はチームを辞めようと思っていますが、そうなるとチームに迷惑をかける事になるので、我が子をこのままチームに所属させる訳にはいかない」お父さんはそのように書かれていますが、一度働きかけていれば、そこで合意を得られなかったのでやめることは迷惑をかけていることにはなりません。そもそもボランティアです。指導をしてもらいたいのであれば、親たちはレッスン料を払ってコーチを雇えばよいのです。現在のチームの運営はうまくいっているとは思えません。コーチにお任せで交流もないので、コーチと親との信頼関係が育まれていないように見えます。「試合中に意味なくその子が交代させられ、その後のフォローも無く辛い思いをしていた」と親御さんからクレームを受けたとありますが、子どもは未熟なのでそういった文句を言ったりします。でも、親がコーチに対し「ボランティアなのにひとりでよくやってくれている」とか「子どものためにやってくれて良い方だ」といったリスペクトがあれば、「コーチは忙しかったんだと思うよ。なぜ交代させられたか自分でよくプレーを振り返ってごらん」とか「自分でコーチに聞いてみてごらん」などとアドバイスできるはずです。さまざまなことをもっと学び合わなくてはいけないチームに見えます。が、お父さんが去ったとしても、子どもに退団を強いるのはやめしょう。お父さん自身憂れいているように、大人の都合で移籍させることは賛成できません。新しいチームでうまくいかないことがあると、お父さんのせいにするでしょう。人は自己決定するから、粘り強く向き合うことができるんです。そこを忘れないでください。息子さんの意思に任せましょう。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2019年09月26日次男がやりたいと言って始めたサッカー。幼稚園児だけ通わせると小2の長男が暇になるからお友達も誘って長男も始めたのに、年中の次男が泣いて嫌がるようになりサッカーを辞めた。長男の学年は上手い子が多く、本人も運動は得意でなく、やる気も見えない。下の子を連れて観に行く親の方が疲れてしまっているけど、長男自身は辞めるとは言わない。こんな時、本人の意志を尊重した方がいいの?とお悩みのサッカーママからご相談をいただきました。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、ご自身の体験と数々の取材活動で得た知見をもとに、アドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<試合で起用されなくなって泣く息子をどう受け止めたらいいの問題<サッカーママからのご相談>未就園児、幼稚園、小学2年の男の子3人兄弟です。最初は次男がサッカーをやりたいと言ったことが、サッカーと関わったきっかけです。長男は全く興味が無かったのですが、幼稚園の子だけ通わせると暇になってしまうので、学校のお友達も誘ってやってみないかと話をしたところ、行ってみたいとなったので、5か月前からサッカーを始めました。しかし、1か月過ぎたころから次男が泣いてサッカーを嫌がるようになり、1か月間泣いてチーム練習に行け無くなってしまいました。まだ年中ですし、泣いてる子を無理やり行かせる自分にも疲れてしまってサッカーを始めて2か月で辞めることにしました。長男の方は、次男が辞めても「僕も辞める」とは言わないので通い続けていますが、その教室の2年生はとてもレベルが高く、長男とスクールの子たちの差は凄いものがあります。長男はもともと運動が得意ではない上に、家で練習をしようとも、練習と試合の時に一生懸命ボールを追いかけようともしません。生徒が20数人いてコーチは1人なので、初心者の長男に手取り足取り教えて貰えるわけもなく、親としても上手くなりたいと思っているようには見えません。まだ始めて5か月目ですが、下の子2人連れて練習と試合に行くのも負担になってきたのもあって、私が「どうしたものかな」と思っています。でも、本人に何度聞いても辞めないと言います。こういった場合は本人の意思を尊重した方が良いのでしょうか?<島沢さんのアドバイス>ご相談ありがとうございます。お母さんのとるべき道はシンプルで、二つにひとつですね。① 長男君が続けたいと言う限り、続けさせる。② お母さんから「ママはすごく大変だから送り迎えが難しい。今月限りでサッカーはやめてもらいたい」とお願いする。この二択です。■親がサポートを続けられることも大事だけど......子どもは親の庇護のもとで育っています。自身の意向で何かをしたいといっても、親の経済的、肉体的、物理的な条件がそろわなくては何もできない弱い存在です。例えば、200キロ離れたところにすごく良いサッカースクールがあって、そこに行きたいと言っても親はできませんね。そのようないくつもの条件のなかで私たち親は、自分たちのできる限りのことをして、彼らの成長を支える。それが親の役目でもあります。お母さんは「下の子2人連れて練習と試合に行くのも負担になってきた」とあります。が、頻度やスクールとご自宅の距離などは、最初からわかっていた条件ですよね。そのうえ、次男を入れるために、長男を学校のお友達を誘ってやってみないかとまで言って引き込んでいます。もし、私がご長男君であれば、お母さんからもし「送り迎えがしんどいからやめてほしい」と言われたら、「お母さん、そりゃ、ねえだろ」と食ってかかりますね。すでに何度も「弟はやめたのに、君はサッカーやめないの?」と尋ねています。長男君にすれば、こころのなかで「はあっ!?」ですよね。私なら抗議します。「誘ったのはお母さんじゃん。俺はやめたくないって言ってるのになんでそんなにしつこく言うの?そりゃ勝手すぎるだろ」と。もしそうされたら、お母さんはどうしますか?今のお気持ちを小学2年生に訴えますか?「だって、あなたはもともと運動が得意ではないうえに、家で練習をしようとも、練習と試合のときに一生懸命ボールを追いかけようともしないじゃない。生徒が20数人いてコーチは1人だから、初心者の君が手取り足取り教えて貰えるわけもなく、お母さんとしては上手くなりたいと思っているようには見えないのよ」いかがですか? ちと残酷だと思いませんか。長男君はまだ7歳や8歳です。まだサッカーというスポーツを観察しながらやっているような時期でしょう。■まだ7歳「温かい放牧」で見守ればグッと変わることも私が知っている低学年の子は1年間スクールに行っても、寝転がったり、どこかに走って行ったりしてなかなか練習に溶け込めませんでした。でも、ボールを蹴るときは楽しそうにしていて、辞めるとは言わない。コーチは叱ったりせず「おいでね~」と声掛けし、温かく見守ってくれました。したがってお母さんも、ピッチで寝転がる子を黙って1年間見守り続けることができました。結果、次の年は寝転がることも逃げることもなくなりました。彼はサッカーに目覚めたのです。その後仲間と一緒にサッカーを楽しく続けました。このように、子どもには大人から温かく見守られなくてはいけません。私はそれを「温かい放牧」と呼んでいます。結果を求めない。出来栄えで判断しない。子どもがやりたいと言うことを、親の経済的、肉体的、物理的な条件がそろえばやらせてあげてほしいと思います。ああ、島沢さんはイジワルだ。相談しなきゃよかった、と思われているかもしれません。でも、この連載をもし読んでいただいたうえでご投稿されたのならば、私が「子どもファースト」だとわかっていただけると思います。■今は頑張っているように見えなくてもこれから少しずつ変わっていく。親が信じてあげよう(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)それに、お母さんのお気持ちは痛いほどわかります。目の前で頑張っているように「見えない」息子に苛立ちますよね。私の息子も走るのが苦手なサッカー少年でした。みんなが動き始めているのに、ひとりだけ集中力が切れるのか地面を見ています。ボールから目を離しっぱなしなので、味方のキーパーからのパスが息子の後頭部に当たることなど日常茶飯事でした。ああ、いやだ。みっともない。やめてほしい。なんとかしてよ。恥ずかしい。そう思いますよね。 でも、その子を産んで育てているのは私なんです。ダメなところがあれば、成長できるよう見守らなくちゃ。中学年、高学年になると少しずつ変わっていきます。親が信じてあげましょう。せっかく、お母さんのおかげでサッカーという成長できる場所を手にしたのです。お母さん、がんばれ。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2019年09月11日「猫のしつけ」は不可能ではなかった!映画やドラマに出演する猫ちゃんたちの“演技指導”を手がける動物トレーナーに、そのテクニックを教わった。「原作を読んだときは胸が熱くなりました。猫にこんなにも人間の心がわかるなら、きっとふだん私が接している子たちも、いろいろ考えているんだろうな、って。でも、その半面、猫と人間が会話する密な関係性を実写化できるんだろうか、という不安もありました」そう語るのは、映画『旅猫リポート』(10月26日公開/企画・配給:松竹)で、福士蒼汰(25)扮する悟の飼い猫・ナナのトレーナーを務めた「ZOO動物プロ」の北村まゆみさん。本作は、ある事情からナナと一緒に暮らせなくなった悟が、新たな飼い主を探すため、ナナを連れてクルマで旅に出るというストーリー。悟とナナの“会話”が見どころのひとつだ。これまで数々の映画やドラマで、猫のキャスティングやトレーナーを担当してきた“猫使いのプロ”の北村さんに、ワガママで気まぐれな猫ちゃんをしつけるコツをうかがった。■まずは“猫ファースト”で対処「犬は飼うもの猫は飼われるもの、って言うほどですから、基本的には、人間が猫に合わせるしかないんです。よく、『障子を破ってしまうんですけど、どうしたらいいでしょうか』といった相談を受けることがあるんですが、『いまは破れない障子もありますから、それに張り替えてください』とアドバイスしています(笑)。また、ドアを勝手に開けてしまうなら、猫が開けられないようなドアノブに取り換えるとか。そうやって、猫がイタズラしないように、こちらが対処するしかありません。ただ、猫の飼い主さんに、そうアドバイスすると、たいてい『でも、うちの猫ちゃんは、こういうイタズラなところがかわいいんですよね』という返事がかえってきますね(笑)」(北村さん・以下同)■子猫のときから「触りグセ」を「触られるのが嫌いな猫ちゃんだと、爪を切ったりお風呂に入れたりするのが大変。私はトリマーでもあるのですが、猫の爪を切ろうものなら引っかかれてしまって傷だらけ、ということもありました。猫は、体の先端部分がすごく敏感なので、足先を触ると『イヤ~』と暴れるコが多いのです。でも、子猫のころから体をひっくり返したりして足先を触らせるクセをつけておくと、苦労せず爪を切らせてくれるようになります。お風呂も、子猫のころから定期的に入れておくと、苦労しませんよ」
2018年10月26日子どもの習いごとのコーチ、担任の先生など、子どもの指導役が「年の近い男性」であることは意外に多いものです。男性指導者には、女性と違った視点や接し方などがあり、子ども、特に男の子にとってはメリットがたくさんありますよね。けれど、心理カウンセラーとしてお仕事をしていると「子どもの男性指導者」との付き合い方でトラブルを抱えてしまう事例もちらほら聞こえてきます。その内容は「向こうからアプローチされて困っている」といったものから、反対に「会うたびにときめいてしまう自分がいる」といったものまでいろいろです。もしも当事者になってしまったら、どうすればいいのでしょうか?今回は、子どもの男性指導者とのほどよくうまい付き合い方について考えていきます。■男性指導者と子どものママ「え、こんなことが?」トラブル事例子どもの指導をしてくれる男性と、子どものお母さん。その2人の間で生まれるトラブルにはどんなものがあるのでしょうか。例えば、子どもをサッカークラブに通わせていれば、子どもと指導者との関係を良好に保つために、コーチに対して親しみのある接し方をするのは自然なことですよね。しかし、あるときコーチから「今日もおキレイでしたね」といった内容のメールが届いたらどうでしょう。子どもの先生だからとやさしく接していたことで「もしかして俺に気があるのかも」と勘違いされ、好意をもたれてしまうことも現実にあります。なかにはコーチからのアピールが露骨すぎて「あのママ、先生にえこひいきされているわよ」とあらぬウワサを保護者のなかでたてられてしまうケースもあるようです。 反対に、一生懸命指導してくれる熱意あるコーチの姿に、子どものママが好意を抱いてしまうこともあります。子どもの習い事を見に来ているつもりが、ついついコーチの姿を目で追うようになってしまった…。このような事例も少なくありません。では、こうしたトラブルやお悩みには、どう対処すれば良いのでしょう。■大炎上?「男性指導者とのトラブル」子どもを巻き込まないためには?男性指導者と自分との間でこれ以上の問題が起こらないようにするためにはどうしたらいいのか? まずは指導者からアプローチされている場合について考えていきましょう。このパターンはメールや電話など、相手からなにかしらのアピールをされている状況が多いことと思います。普通に考えれば無視すればよいだけ…ですが、子どもの指導者という立場の人を無下もなく拒否してしまうのは、母親として躊躇(ちゅうちょ)してしまうでしょう。では、どうすればいいのか。それにはいくつかの対処法が考えられます。例えば、以下のような対処が有効です。・メールの返信は、ほかのママたちもアドレスに加え、一斉送信にする。・2人っきりでは話さないようにする。・質問があるときは、ほかの保護者と一緒に直接聞きにいく。・必要のないプライベートなことは話題に出さない。・相手のプライベートについて聞かない。男性指導者からのアプローチには、上記のような具体的な行動が効果的です。メール連絡や質問などは第三者にも開示して、2人きりの話にならないようにしたり、プライベートな話題は出さないようにしたり…。こうした行動はすぐにでもトライしやすいと思います。では反対に、自分が相手に好意を持ってしまったときはどうしたらいいのでしょうか。この場合は、自分の気持ちが指導者に、あるいは周囲にもれないようにすることがとても大事です。好きな人がそばにいると意識しなくても目で追ってしまう…のは誰しも経験のあることではないでしょうか。こうなるのはごく自然なことですが、好意というものは客観視するのがなかなか難しいもので、自覚はなくても周囲に気づかれてしまう恐れがあります。周囲に気づかれ、あらぬウワサをたてられないためには、相手と極力接触しないことです。子どもではなく、指導者を見ている視線は必ず誰かに気づかれる。そう意識しておくだけで、気持ちは引き締まるでしょう。また、指導者に会うときだけ化粧が変わる、見た目を気づかうなどの行動も他人から見ると「あれ?」と思わせる変化となります。その点も注意するようにしましょう。■トラブル予防! 男性指導者との「線引き」向こうから「おや?」と思える不審なアプローチがあったときに頭に浮かぶのは、自分の返答次第で子どもに不利益が起きるかもしれない…といった不安ではないでしょうか。その不安がよぎるからハッキリとした拒絶の言葉を伝えること、行動することがためらわれてしまうものです。けれど、こうしたトラブルは抱える時間が長いほど心を憂鬱(ゆううつ)に、トラブルも大きくなりがちです。難しいかもしれませんが、子どものことはいったん横に置いておき、早めに「線引き」をすることが大切です。もし、どうしても身動きがとれないと思ったときは、心から信頼できるほかの保護者に相談してみるのもいいでしょう。フタを開けてみたら、実はほかの保護者にも男性指導者から猛烈アピールがあった…なんてことも少なくありません。「なんだ、私だけじゃなかったのか」とホッとして、ほかの保護者と共同戦線がはれる場合も。さらに、習いごとの送迎をお願いしたり、試合を一緒に見に行ったりと、夫に顔を出してもらうのも効果を発揮します。教え子のママに近づこうとする男性指導者の場合、夫という存在を目にすると気持ちがなえ、アピール行動がおさまることもあるようです。一方、ママが男性指導者に、本気で好意を持ってしまったケース。そこで一度、立ち止まって考えてほしいのが、今の生活をすべてなくしても一緒にいたいと思えるのかどうかということです。これをじっくり自問してみましょう。指導者という立場のため、相手のことが現実以上に美化されて見えていないでしょうか? 今の生活になにかしらの不満があり、相手は自分を別の世界に連れていってくれる王子様のように思ってはいないでしょうか? 気持ちをフラットにして、じっくり考える時間を持ってみると、本当の自分の気持ちが見えてくるかもしれませんね。ただ、指導者の存在が自分の活力となっている場合は、その気持ちを持ち続けるのは、決して悪いことではないと私は思います。元気な人と接すると、自分も元気になってきますよね。例えば、手の届かないアイドルに憧れるように、日常にちょっとしたうるおいを与えてくれる存在ととらえるなら、それもまたアリなのかもしれません。
2018年10月07日児童指導員とは?出典 : 児童指導員とは、児童福祉施設に勤務し、施設を利用する子どもたちが健やかに成長できるようサポートする「児童指導員任用資格」保持者のことです。具体的には、以下の福祉施設で、児童指導員の配置が義務付けられています。・児童養護施設・放課後等デイサービス・児童発達支援センター・児童心理治療施設(情緒障害児短期治療施設から名称変更)・障害児入所施設その他、乳児院や児童相談所、児童家庭支援センターといった施設でも、児童指導員として働くことができます。参考文献:『ケアマネージャー・児童指導員・手話通訳士・義肢装具士-福祉の仕事職場体験完全ガイド3』(平尾小径/ポプラ社)p16参考:児童福祉法(昭和二十二年法律第六百十四号)参考:児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和二十三年厚生省令第六十三号)参考:児童福祉施設最低基準(昭和二十年三年厚生省令第六十三号)|厚生労働省参考:第2章児童相談所の組織と職員|厚生労働省参考:児童養護施設等について|厚生労働省児童指導員の仕事内容とは?出典 : 児童指導員は、子どもたちが健全に成長できるよう、日常生活や自立に向けた指導を行っています。子どもたちをさまざまな側面からサポートします。具体的な業務は勤務する施設によっても異なり、それぞれに合った専門性が求められることもあります。児童指導員の活躍の場は、主に児童福祉法で定められた児童養護施設、放課後等デイサービス、児童発達支援センター、児童心理治療施設(情緒障害児短期治療施設から名称変更)と障害児入所施設です。これらの施設では、児童指導員の配置が義務づけられています。■児童養護施設児童養護施設は、保護者の病気や死亡、経済的な理由、虐待など、さまざまな理由で保護者と暮らせない子どもが生活する施設です。支援計画を立てたり、勉強の指導や自立に向けた手助けや、関係者と協力して精神状態のケアを行ったり、問題があれば解決したりします。■放課後等デイサービス障害のある就学児童(小学生・中学生・高校生)が、学校の授業終了後や長期休暇中に通うことのできる施設です。生活力向上のためのさまざまなプログラムが行われています。トランポリン、楽器の演奏、パソコン教室、社会科見学、造形など習い事に近い活動を行っている施設もあれば、専門的な療育を受けることができる施設もあります。■児童発達支援センター小学校就学前の6歳までの障害のある子どもが主に通い、支援を受けるための施設です。日常生活の自立支援や機能訓練を行ったり、保育園や幼稚園のように遊びや学びの場を提供したりといった障害児への支援を目的にしています。■児童心理治療施設(情緒障害児短期治療施設から名称変更)心理的な苦しみを抱え日々の生活に生きづらさを感じている障害児を対象に、医療的な観点から生活支援を基盤とした心理治療を行う施設です。学校との連携も行います。■障害児入所施設日常生活の指導やさまざまな知識・技能を教えること障害児の自立を促す施設です。福祉サービスを行う「福祉型」と、医療的な支援を行う「医療型」の2つがあります。・福祉型障害児入所施設障害児の自立を目標に各々に適した支援プランを提供することを目標にしている施設です。・医療型障害児入所施設福祉と専門医療の両方の視点から、その障害児に最適な支援を提供している施設です。参考:社会的養護の施設等について|厚生労働省参考:障害児及び障害児支援の現状|厚生労働省参考:情緒障害児短期治療施設(児童心理治療施設)運営ハンドブック|厚生労働省参考:障害児入所施設|独立行政法人福祉医療機構参考:障害児入所支援 | 厚生労働省児童指導員の仕事の魅力は?出典 : 児童指導員の仕事の一番の魅力は、施設を利用する子どもたちの成長に携われることでしょう。また、施設でのプログラム等を通して、子どもたちと徐々に関係性を築いていく過程に、達成感や充実感を感じられるという点も挙げられます。加えて児童指導員が配置されている施設には、さまざまな専門家が配置されています。彼らと力を合わせて、子どもたちが抱える問題を解決できた時の喜びは、非常に大きいものとなるでしょう。また、保護者から子育てに関する悩みごとや困りごとの相談を受けることもあります。子どもにとどまらず、困っている人たちのサポートができる、やりがいのある職業です。児童指導員になるためには?出典 : 児童指導員として働くための任用資格を取得するには、以下の条件のいずれかを満たす必要があります。1. 児童福祉施設職員養成機関を卒業した者2. 社会福祉士または精神保健福祉士の資格を有する者3. 大学・大学院で社会福祉学、心理学、教育学もしくは社会学を修得した者4. 小学校・中学校または高校の教員免許を取得する資格を持っている者、かつ厚生労働大臣または都道府県知事の認定を受けた者5. 福祉事務所で2年以上の実務経験(高卒以外は3年以上)を経て、厚生労働大臣または都道府県知事の認定を受けた者任用資格を満たした後は、希望する施設の採用試験を受けることになります。公立施設の場合は公務員試験、民間施設の場合はそれぞれの施設の採用試験を受験します。その採用試験に合格したら、児童指導員の職に就くことができます。参考:児童指導員及び指導員の資格要件等|厚生労働省児童指導員の今後出典 : 年4月1日でに省令が改正されたことを受けて、厚生労働省は、放課後等デイサービスの事業所における職員配置基準を「置くべき従業者を児童指導員、保育士又は障害福祉サービス経験者とし、そのうちの半数以上を児童指導員又は保育士としなければならない」としました(既に指定を受けている指定放課後等デイサービス事業者については、2018年3月31日までの経過措置が認められています)。2012年に放課後等デイサービスの制度が設立されてから、年々利用者・事業所の数も増えており、この基準改定を満たすため、今後一層児童指導員のニーズが高まることが予想されます。参考:「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」等の一部改正について |厚生労働省参考:放課後等デイサービスの見直しについて|厚生労働省まとめ出典 : 年4月より、放課後等デイサービスでも児童指導員の配置が義務づけられたことなどを受けて、児童指導員の需要、認知度ともに高まってきました。子どもの貧困問題などの影響により、児童福祉施設に求められる役割は大きくなっています。また、障害のある子どもや保護者の支援も必要とされています。子どもたちをめぐるさまざまな問題や課題に向き合い、子どもや保護者に寄り添ってサポートをする児童指導員は、今後さらなる活躍が期待される職務です。
2017年12月18日今年こそキレイになる!と心に決めたものの、何もしないうちに5ヶ月が経過…なんて悩んでいる女性も多いのでは?今からでも遅くはありません。あなたも音楽に合わせて、楽しくしなやかボディをめざしませんか?◆SAMのダンスプログラム体験!以前、TRFのSAMさん考案の「美body」をテーマにしたダンスクラスを紹介しました。このたびSAMさんが直接指導するダンスプログラム『健康イージーダンス』の体験をしてきました。◆誰でも簡単にできる『健康イージーダンス』・『健康イージーダンス』とは『健康イージーダンス』とは、SAMさん考案の『ダレデモダンス』のひとつで、医師・理学療法士の監修の元、80代の方でも安心して受けられるダンスプログラムです。TRFの曲に合わせて動くだけで簡単に踊れて、体もすっきり!初心者でも気軽に参加しやすいので、「ダンスに興味はあるけど自分には無理」そう思っている人にこそおすすめです。・運動が苦手な女性にもぴったりダンスに興味はあるけれど、全く未経験の身にはなんだかハードルが高い…。そんな不安で腰が重くなっていませんか?『健康イージーダンス』の場合、子供からお年寄りまでどんな方でも踊れるプログラムになっているので、あまり構えずに楽しく体を動かすうちにいい汗をかいて体もすっきり!気軽に始められるんです。・PROLO編集部も体験してみました4月30日、二子玉川の玉川高島屋でSAMさんのトーク&レクチャーイベントが行われるとのことで、覗いてまいりました!運動不足でリズム感もない…そんな30代女性ですが、不安を抱えつつも参加してみました。SAMさんの言葉を聞きながらその通りに体を動かしているうちに、あら不思議…ダンスの動きそのもの。自分でもびっくりです。「日本人はリズム感がないとよく言うけど、手拍子ができればリズムをとれる」そんなSAMさんの言葉にも思わず納得でした。初心者でも気軽に始められる『健康イージーダンス』。少しでも気になる方は、SAMさんが直接指導するダンスプログラムを体験してみませんか?SAM・ETSU・CHIHARUによる初のダンス舞台公演が決定!■タイトル:『未定』■公演日程:2017年9月16日(土)~18日(月・祝)SAM プロデュース「ダレデモダンス」定期講座■ソウルアンドモーション ダンススタジオ (SAM 主宰ダンススクール)東京都目黒区下目黒第二・四木曜日 「ダレデモダンス」13:00 ~対象:40代以上の健康な男女(60代~80代の方でも安心してご参加頂ける内容です)第一・三木曜日 「Dancing The 美Body」13:00 ~対象:20代~50代の健康な男女■埼玉県岩槻アクティブシニアダンスワークショップ岩槻駅東口コミュニティセンター ワッツ毎月1回 14:00 ~※不定期で午前中の開催もございます。■首都圏近郊・関東・地方のカルチャーセンターにて多数開講中二子玉・葛西・船橋・ユーカリが丘・赤羽・北千住・錦糸町・八王子・川崎・柏・綱島・横浜 など※イベント・定期講座のお問い合わせ一般社団法人「ダレデモダンス」TEL 03-6674-1250URL ※画像出典/一般社団法人 ダレデモダンス
2017年05月08日通級指導教室とは?出典 : 通級指導教室とは、小・中学校に通う比較的障害の程度が軽い子どもが、通常の学級に在籍しながらその子の障害特性に合った「通級による指導」という個別の指導を受けるための教室です。通級による指導とは、小学校又は中学校の通常の学級に在籍している軽度の障害のある児童生徒に対して、主として各教科等の指導を通常の学級で行いながら、障害に応じた特別の指導を特別の指導の場で行う指導形態です(学校教育法施行規則第140条及び同施行規則第141条)。参考:平成五年文部省告示第七号|文部科学省通級による指導を受ける子どもは、主に各教科の学習や給食などの時間はみんなと一緒に通常学級で過ごし、週に何時間かある通級による指導の時間だけ通級指導教室に移動して、それぞれの困りごとや課題に合わせた支援・指導を受けることになります。個別に必要な支援や指導の内容が変わるので、障害の種類によって教室の種類もいくつかに分かれています。そのため、在籍する学校にその子のニーズに合った通級が設置されていない場合もあり、地域で定められた他校の通級指導教室に通うこともあります。通級による指導は平成5年より全国で制度化されました。平成18年の改正により、情緒障害から自閉症者が独立して規定され、さらに学習障害(LD)、ADHDが新しく対象に含まれるようになり、指導時間数についても弾力化されました。通常級で学ぶ障害のある子どもが増え、そのニーズの高まりとともに小・中学校での通級指導教室による支援体制の整備が進んでいます。ここ20年間、通級による指導を受けている児童・生徒数は増加傾向にあります。平成27年度の文部科学省の調査によると、全国の公立の小学校3693校・中学校645校に通級指導教室が設置され、義務教育段階の児童生徒全体の0.8%にあたる8万3750人の児童・生徒が通級による指導を受けています。出典:文部科学省特別支援教育資料(平成27年度)【第1部集計編】通級による指導の対象は?出典 : 学校教育法施行規則第140条の各号のいずれかに該当する、小学校・中学校に通い特別支援学級に在籍していない児童・生徒で、障害に応じた特別の指導を行う必要がある場合、通級による指導の対象となります。・視覚障害・聴覚障害・肢体不自由・言語障害・自閉症・情緒障害・学習障害・ADHD(注意欠陥・多動性障害)・病弱および身体虚弱「情緒障害」とは情緒の現れ方が偏っていたり、その現れ方が激しかったりする状態を自分の意志ではコントロールできないことが継続し、学校生活や社会生活に支障となる状態を指します。具体的には心理的な要因による選択性かん黙(場面緘黙症)などが含まれます。上記の障害種別ごとにクラスが設置されますが、市区町村によってはすべての障害種別のクラスが設置されていない場合もあります。参考: 学校教育法施行規則 (昭和二十二年五月二十三日文部省令第十一号)通級の支援対象となる障害の基準は明確にはありませんが、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度とされています。学習面や生活面など、学校生活で子どもが困難を抱えていないか、さまざまな面から判断されます。後述する通り、就学相談などで親の希望や本人の障害の状況や困りごとなどを合わせて検討されます。明確な基準がないために「特別な指導を必要とする程度」の判断は、地域や学校によって異なる場合があります。通級指導教室ではどんな指導をしてくれるの?出典 : 通級指導教室では、障害に応じた特別の指導として、障害の状態の改善又は克服を目的とする指導をうけることができます。一人ひとりの障害の状況に応じた具体的な目標や計画を立て、特別の教育課程を編成して指導が行われます。特別支援学校小学部・中学部学習指導要領を参考にした自立活動では障害による学習上・生活上の困難を改善するための指導が行われます。特に必要があるときは、これに加えて児童・生徒の障害の状態に応じて各教科の内容を補充するための指導を行うこともできます。この「教科の補充」は、単に授業の遅れを補習するということではありません。ですが、その子にあった方法で教科を学び、学習上の苦手を克服する必要がある場合に行われます。例えば言語障害のある子どもが音読が苦手で国語の授業ができない場合に読む練習をしたり、算数障害のある子どもが筆算しやすいようにマス目のあるプリントでかけ算を学んだりする場合があります。出典:文部科学省特別支援教育資料(平成27年度)【第1部集計編】通級による指導の時間数は、自立活動と教科指導の補充を併せて、年間35単位時間(週1単位時間)から年間280単位時間(週8単位時間)までが標準として示されています。また、学習障害及びADHDの児童生徒の指導時間数については、月1単位時間程度で指導上の効果が期待できる場合もあることから、年間10単位時間(月1単位時間)から年間280単位時間までが標準として示されています。小・中学校では定められた授業内容や授業時間数を学習要領に基づき行うことが義務付けられています。ですが特例として、児童・生徒本人の障害に応じた特別の指導を通級により受けた場合、受けた指導は小学校または中学校の教育課程に加え、またはその一部に替えることができます。つまり他校に設置された通級指導教室で受けた授業でも、自校で行った授業と見なすことができます。出典:学校教育法施行規則 (昭和二十二年五月二十三日文部省令第十一号)第百四十一条子ども一人ひとりのニーズに合わせるため、以下のような計画のもと、具体的な支援が行われます。・個別の教育支援計画…保護者や関係機関と連携を図って個別の教育支援計画が立てられます。それに基づいて通級による指導の教育課程が在籍校の校内委員会で編成されます。・個別指導計画…小・中学校では障害のある子どもの個別指導計画を作成することが学習指導要綱で定められています。特に通級による指導を受ける子どもの場合、通常学級と通級指導学級のそれぞれで支援計画が作成され、お互いの教員が連携し十分な協議を行って支援を進める必要があります。通級指導教室の通い方出典 : 通級指導教室に通う子どもは、通常学級に在籍し、各教科の授業や給食などの学校生活の大部分を通常学級で過ごします。担任も通常学級の教員がつとめます。週・月に何時間かある通級による指導の時間のみ、通級指導教室に通います。通級指導教室は障害別に分かれているため、必ずしも在籍校に該当する通級指導教室があるとは限りません。他校の通級指導教室に通う場合、保護者による送迎が必要なこともあります。これらの形態は地域や学区によって違いますので、お住まいの地域の制度や通級の設置校がどこにあるか、問い合わせてみましょう。参考:通級について|高知県教育センター通級指導教室と特別支援学級・特別支援学校との違いは?出典 : 特に義務教育が始まる小学校入学の前に、お子さんをどの教育環境で育てるか迷う保護者の方は多いと思います。障害のある子どもの教育環境として、通常学級・通級指導教室・特別支援学級・特別支援学校の4つの選択肢があります。それぞれの対象となる障害の程度に明確な基準はありませんが、一般的に通級指導教室は比較的障害が軽度な場合に選ぶ保護者が多いようです。出典 : 通級指導教室に通う子どもは、通常学級の学校に籍があり、通級指導の時間のみ通級指導教室に通います。通級指導教室が通常学級の学校にない場合は、通級指導教室がある他の学校に通級指導の時間のみ通います。また、担任は通常学級の先生が受け持ちます。出典 : 特別支援学級に通う場合は、特別支援学級が設置されている学校に籍を置きます。学区内に設置されていない場合、学区外の学校に通うことになります。基本的に特別支援学級で授業を受けますが、体育や図画工作、給食の時間は通常学級の子どもたちと過ごすこともあります。担任は特別支援学級の先生が受け持ちます。出典 : 特別支援学校に通う場合は、通学する特別支援学校に籍をおきます。また、通級・特別支援学級は通常の教員免許のみでも受け持つことができますが、特別支援学校の教員は通常の教員免許に加え、特別支援学校の教員免許を取得していることが通常です。通級を選ぶべき?それぞれのメリット・デメリットは?通級を選ぶべきかどうか、子どものことを考えて迷うのは当然です。教育システムや制度の違いから、通級・特別支援学級・特別支援学校それぞれにメリット・デメリットがあります。お子さんの学校選びの参考にしてみてください。■通級・通常学級に在籍し、いろいろな子どもとのコミュニケーションなどの経験が積める・通常学級で授業が受けられる・本人の障害に合わせた必要な支援やフォローを通級指導教室で受けられる■特別支援学級・発達・障害の程度に準じたカリキュラムで指導を受けられる・給食の時間や昼休みなどには通常学級での子どもとのコミュニケーションなどの経験ができる■特別支援学校・個々人の障害の程度に合わせたカリキュラムで、専門性を持った先生からきめ細かい指導が受けられる・高等部では職業教育が受けられる■通級・特別支援学級・基準があいまいである・すべての学校に通級指導教室や特別支援学級があるわけではなく、場合によっては遠くの学区に通学しなければならない・高校では通級制度はまだ整えられておらず、特別支援学級も設置されていないのが現状(ただし、2018年度から高校でも通級指導を始めるよう文部科学省が準備を進めている)・学級数や受け入れ可能人数などに地域差が大きい・通常学級との行き来がお子さんのストレスになることもある・制度や対象となるかの基準に地域差が大きい■特別支援学校・通常学級の子ども、同世代の子どもと触れあう機会が少ない・転学・転校は可能だが手続きが必要・障害の程度によっては入学できない可能性がある・特別支援学校高等部を卒業しても、通常の高卒資格は得られない(ただし大学入学資格を得ることはできる)・地域差、学校差がある通級指導教室に入るには?出典 : 初等教育(小学校)へあがる前年度に、障害のある子どもや発達が気になる子どものいる家庭が、通常級、通級(通級指導教室)、特別支援学級、特別支援学校などの選択肢の中からどこへ進学するかを選択する機会が就学相談です。小学校入学後に通級による指導を受けたい場合、一般的には以下のような就学相談のプロセスを経ることになります。しかし、就学相談は、地域によって内容や呼び方、その過程が異なります。お住まいの地域の就学相談についてはご自身で行政や学校に問い合わせてみてください。■年中期~6月ごろ:情報収集お住まいの市区町村の教育委員会に問い合わせたり、ホームページを参照して、地域にある特別支援学校や、小学校の特別支援学級の有無などについて情報を集めましょう。また4月から6月ごろにかけて、教育委員会が幼稚園や保育園、発達支援センターや療育センターに「個人調査票」「就学に関する調査票」の作成を依頼します。通常の学級・学校に就学することに不安があると思われるお子さんについて、園やセンターは保護者の了承を得て調査票を作成します。そして該当のお子さんをもつ保護者向けに、教育委員会が就学についての説明会を行います。説明会では小学校全体および通常学級、特別支援学級、特別支援学校ではどのような支援が行われているのか、就学指導・就学相談の流れ、手続きの方法などがアナウンスされます。ただし、私立や認可を受けていない保育園や幼稚園は教育委員会の管轄外なのでこういった情報が回ってこない可能性があります。その場合はご自身で市区町村の教育委員会に問い合わせをして、就学相談を受けることをおすすめします。■7~9月ごろ:就学相談園やセンターの調査票がなくても、市区町村の教育委員会へ連絡すれば就学相談を受けることができます。就学相談では、専門の就学相談員と保護者との面談(複数回のこともあります)を通して子どもにとって最適な就学先を決めます。子どもの状態を把握するための検査が行われたり、相談員がお子さんの在籍園・在籍校に赴いてお子さんの様子を確認することがあります。障害の状態、障害に基づく教育的ニーズ、保護者・専門家の意見、学校や地域の状況などを考慮して、就学指導委員会がお子さんにとって良いと思われる就学先を決定します。この決定に保護者の方が同意をすれば就学先が決定します。もし同意できない場合はその旨を教育委員会に申し立て、再度就学相談を受けることもできます。最終的には保護者の方の意向が尊重されます。就学相談では、子どもの状態を正確にしっかりと伝えることが大切です。医療機関で受けた診断書や療育手帳などがあれば持参することをおすすめします。小学校入学時は通常学級に在籍していた子どもが、その後通級による指導が必要となることもあります。その場合、小・中学校の校内委員会が関係しています。校内委員会とは、子どもの状態に早期に気付き、適切な支援を行うために小・中学校に設置されたものです。その役割は以下の通りです。・学習面や行動面で特別な教育的支援が必要な子どもに早期に気付く。・特別な支援が必要な子どもの実態を把握し、担任の指導への支援方策を具体化する。・保護者や関係機関と連携して、個別の教育支援計画・個別の指導計画を作成する。・特別な支援が必要な子どもへの指導とその保護者との連携について、全教職員の共通理解を図る。また、そのための校内研修を推進する。・専門家チームに判断を求めるかどうかを検討する。※LD、ADHD、自閉症スペクトラムの判断は教員が行うものではない・保護者相談の窓口となるとともに、理解推進の中心となる。こういった支援体制が小・中学校内にあるため、最初に通常学級に入学したお子さんでも、通級による指導や特別支援学級の支援を受けることができます。通級による指導が変わる?ニーズの増加と新しい取り組み出典 : 通常学級に在籍する子どもの中に発達障害があったり何らかの支援を必要とする子どものニーズは増えていますが、今までは通級による指導の教員は、加配措置の対象となっていました。そのため通級指導を希望しても先生の数によって、通級を利用できる子どもの数が決まる仕組みになっていました。そのために利用したくてもできない「通級待機児童」が発生してしまうこともありました。そこで2017年3月に、「義務標準法の改正法案」が国会に提出・可決されました。通級による指導及び外国人児童・生徒等への日本語指導に係る教職員定数の基礎定数化に向けた法律の改正が行われたのです。これにより10年間で通級による指導を行う教員を段階的に増やすことが決まりました。初年度となる2017年度については、通級による指導及び外国人児童・生徒等への日本語指導合わせての数ですが、計868人の教職員定数を増やすことになりました。またこの法改正により、通級指導の教員1人当たりの子どもの数は2016年度の16.5人から13人になり、よりきめ細やかな指導ができるようになるのではないかとの期待もあります。参考:国立国会図書館 教職員定数と義務標準法の改正通常学級に在籍する学習障害(LD)、ADHD、自閉症スペクトラムなどの発達障害のある子どもはどの学校にもいるといわれており、さらに適切な支援を受けられるようにすべきとの声も高まってきました。これを受け、文部科学省はインクルーシブ教育の一環として「特別支援教室(仮称)」として、さらに弾力的な支援ができる制度を進めようとしています。◇東京都の特別支援教室東京都では全国に先駆けて2016年度から小学校の情緒障害等通級指導教室が特別支援教室という制度に変わりました。それまで自校に通級指導教室が設置されていない場合、他校に通わなければいけなかったのですが、特別支援教室の制度では、東京都の全ての公立学校に特別支援教室がおかれ、拠点校から教員が巡回して指導を行います。これにより、在籍校で指導が受けられるため、・多くの子どもが支援を受けられる・子どもや保護者の移動・送迎の負担が少なくなる・在籍学級の担任と巡回指導教員の連携が密になるなどの効果が期待されています。東京都では新しく特別支援教室専門員を非常勤で配置したり、臨床発達心理士を巡回させるなど、支援を進めています。一方で、巡回による指導を行い、支援を受ける子どもが増える特別支援教室の制度は、教員の負担が大きくなります。そのため教員の数を増やしたり、制度の導入によって指導の質が下がらないようにする必要があるという指摘もされています。出典 : まとめ出典 : その子のタイプや学校の体制によっても、どのような支援体制が子どもに合っているかは変わりますが、大切なのは子どもにとって何が最善か、どんな支援があれば子どもが困り感を感じずに学校生活を送れるか。通級による指導もその選択肢の一つとしてみる価値は十分にあるでしょう。文部科学省によると通常学級に在籍する6.5%の子どもに特別な配慮や支援が必要だという調査結果があります。そのような子どもたちには、弾力的かつ必要な支援が受けられる通級指導教室の存在は重要になってくるのではないでしょうか。特に、発達障害の子どもの中には、得意なことと苦手なことがある場合があり、通常学級での学習におおむね困難がなくても、苦手なところや特性にあった指導が必要になる場面が出てくることも少なくありません。通級のメリット・デメリットを含め内容をよく知り、またほかの学びの場とも検討した上で、子どもに合うのはどのような環境か考えてみてはいかがでしょうか?まずは学校に問い合わせたり、子どもと一緒に見学に行くのもよいでしょう。
2017年04月29日機能訓練指導員とは?出典 : 「機能訓練指導員」とは、介護保険において人が生活するのに必要な機能を訓練する職種のことを指しています。主に介護老人福祉施設や、通所介護施設などで、介護が必要な人の機能面でのサポートを行っています。1997年に成立した「介護保険法」をもとにして厚生労働省が定めた「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」では「機能訓練指導員」が次のように説明されています。機能訓練指導員は、日常生活を営むのに必要な機能を改善し、又はその減退を防止するための訓練を行う能力を有すると認められる者でなければならない。ここで「訓練を行う能力を有する者」とありますが、これは以下の6つの国家資格のうちいずれかを持っている人のことを言います。・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師これらの資格を持っている人が、介護保険法の定める機能訓練指導員として活躍することができるのです。元になる国家資格ごとの「機能訓練指導員」としての役割・特色出典 : ここでは、それぞれの元になる国家資格を持った人が「機能訓練指導員」としてどのような役割を持っているのかをご紹介します。・理学療法士身体の機能を回復させたり(運動療法)、水や光線、電気などによって症状を改善したりします(物理療法)。また理学療法士の資格を持った機能訓練指導員の仕事は幅広く、福祉用具の選定や在宅ケア、生活習慣病の予防なども行っています。・作業療法士障害のある人が活動できるようになることを目指して、さまざまな機能の回復・維持・開発を行います。主体的な活動を目指し、他の職種の人とともにその人の活動をサポートするのが特徴的です。・言語聴覚士食べることや話すことなどの支援を行う言語聴覚士は、機能訓練においては主に言語の分野を担当し、口腔機能を向上させる役割をになうことも期待されています。・看護職員看護職員とは保健師・助産師・看護師・准看護師をさします。利用者の健康状態を見極めるバイタルチェックなどを主な仕事としています。医療・介護を越えた活躍も期待されています。・柔道整復師地域において整骨院などを開業している場合の多い柔道整復師は、高齢者に馴染みの深い存在です。それまで脱臼などの外傷を担ってきた経験から、骨や関節などの運動機能の向上を中心に機能訓練を行います。・あん摩マッサージ指圧師あん摩マッサージ指圧師は、疲れや身体の諸症状をマッサージによって改善することを目的としています。機能訓練指導員として働くあん摩マッサージ指圧師は、トレーニングによる疲労感を軽減することに加えて、運動機能の向上に対しての指導を行うことを目指しています。機能訓練指導員が訓練する「機能」って?出典 : では、機能訓練指導員の「機能」とはいったい何を指しているのでしょうか。ここでの「機能」を理解するためには、「国際生活機能分類(ICF)」の考え方を理解する必要があります。ICFとは「国際機能分類」の名前にもあるとおり、人間の生活に必要な機能を分類分けした分類法のことを指しています。ICFでは人が生きていくのに必要な機能をとらえるとき、「心身機能・身体構造」「活動」「参加」の3つの視点から総合的に生活機能の状態を把握します。Upload By 発達障害のキホンつまり、病気やけががあるかどうかといった身体的な状態のみから人の健康状態を判断するのではなく、その人が自分で歩いたり食べたりすることができるか、また学校や仕事に行くことができるか、といった活動や参加の状況も踏まえて生活機能をとらえるということです。介護保険制度において指導を行う機能訓練指導員は、上の3つの生活機能のうち、「心身機能・身体構造」や「参加」の状況を考慮しつつも、特に「活動」の部分に重きを置いて指導を行うのが特徴です。介護保険法における機能訓練指導員の支援対象出典 : 上記、元となる様々な資格を持っている人が「介護保険法」において機能訓練指導員として働くことができるとありましたが、その介護保険法とは、一体どのようなものなのでしょうか。介護保険法は1997年に制定され、2000年に施行された法律です。高齢化が進む中で、加齢などによって日々の生活に支援が必要となった人を、社会全体でサポートしあう体制を作ることを目的として制定されました。そして介護保険法に基づいて実施され始めたのが、「介護保険制度」です。介護保険制度では訪問介護から介護保険福祉施設など、さまざまなサービスを展開しています。そのサービスの一部の施設で活躍するのが「機能訓練指導員」なのです。たとえば、通所介護(デイサービス)や短期入所生活介護、介護老人福祉施設などには機能訓練指導員を一人以上配置することが義務とされています。そのため、機能訓練指導員の支援を受けることができるのは、介護保険において要介護認定を受け、かつ支援に機能訓練が必要だと判断された方になります。介護を受ける理由としては、「高齢による衰弱」や「認知症」、「パーキンソン病」などが多いようです。参考文献:遠藤英俊/著『柔道整復師と機能訓練指導: 機能訓練指導員養成テキスト』2016年南江堂/刊機能訓練指導員の業務内容出典 : はじめに説明したように、機能訓練指導員は支援を必要とする人がよりよい状態で日々の生活を送り続けられるようなサービスを提供しています。機能訓練指導員の具体的な仕事の内容には、機能訓練の実施だけでなく、その前後の振り返りや次への計画なども含まれます。ここではそのうちの2つをご紹介します。・機能訓練の実施実際の機能訓練では、寝返り訓練、起き上がり訓練、立ち上がり訓練、歩行訓練などの訓練が多く行われています。これらの訓練を行う際にも、利用者の最終的な目標を達成するためのスモールステップとして、訓練を行うことが重要と言えるでしょう。・機能訓練の評価実際に機能訓練を行った結果、利用者にとってどのような良いことがあったか、逆にどのようなことが課題として挙げられたかを検討します。その結果何か次に改善したことが良いことがあれば改善し、さらに良い訓練内容を作っていきます。利用者が機能訓練を最大限に生かすことができるようになるためには、事前に利用者のニーズを把握し、適切な訓練を計画するということが欠かせません。すべての段階において「利用者にとっての目標は何か」「その目標を達成するためにはどのような支援が必要か」を考えながら、ほかの担当職員とも協力して支援をしていくことが求められています。機能訓練指導員に必要な知識・考え方出典 : 機能訓練指導員には、利用者が潜在的に抱えている「ニーズ」を把握し、そのニーズに対して適切な支援をすることが求められています。そのために必要な能力として、ここでは2つご紹介します。・機能訓練とリハビリテーションの違いを理解し、機能訓練を実施する前にふれたように、介護保険における機能訓練は、障害のある器官そのものの機能を回復することのみを目的としたものではありません。あくまでも機能を回復した先に、その人が自立した生活を送ることができるようになるためには、どのような支援ができるか、を考えます。それに対してリハビリテーションではその人に存在している器官などの疾病を、早期に回復させることを目的としています。機能訓練とリハビリテーションの違いを理解し、機能訓練として利用者をどのように支援できるか、を考えていくことが不可欠です。・機能訓練が「寝たきり」にさせないことを目的としていることを理解している介護保険法における機能訓練では対象が高齢者となっていますが、高齢者の「寝たきり」は、筋力の低下や、体力の低下につながってしまう場合があります。それは本人にとっても、家族や社会全体にとってもマイナスの結果をもたらしかねません。そのため高齢者を対象とした機能訓練では、なるべく早く訓練を開始することを心がけ、「寝たきり」の状態を短くするよう意識していくことが重要です。これ以外にも機能訓練指導員として支援を行う際に必要となる能力はたくさんあります。介護や福祉に関する知識に加えて、「その人がその人らしく生きていくために適切な支援」を考え続けていくことが機能訓練指導員には必要であるといえます。まとめ出典 : 介護保険制度は高齢化する日本において、高齢者がより健康に、自分らしく生きていくことを目指して実施が始まりました。そんな介護保険制度の一環として、設置された機能訓練指導員は、その人がその人らしく、日々の生活をしていくためのお手伝いをする仕事です。利用者が生活において不自由に思っている部分を改善するだけではなく、その人が支援を受けた後に主体的な生活を送ることができるよう多角的な視点で支援をすることを目的とする機能訓練指導員は、今後幅広く活躍が期待される職種です。
2017年03月22日