5月2日22:00~よりNHK Eテレで放送される対談番組『SWITCHインタビュー 達人達』に、レベルファイブ代表取締役社長/CEO・日野晃博氏と俳優・大泉洋が出演することが明らかになった。『SWITCHインタビュー 達人達』は、異なる分野の二人が出会い、語り合う対談番組。番組では『妖怪ウォッチ』をはじめ、『ダンボール戦機』『イナズマイレブン』『レイトン教授』などヒット作を次々にプロデュースする日野氏と、『レイトン教授』の声優を務めた大泉が、お互いの"仕事の極意"、大ヒット企画の裏側や笑いを取るコツ、二人の意外な過去などを、爆笑トークで語っていくという。さらに番組では、シルエットに包まれた謎のキャラクターも。どことなく大泉の髪型をモチーフにしたようなこの妖怪の全貌は、番組の中で明かされる。『SWITCHインタビュー 達人達』は、NHK Eテレにて5月2日22:00放送、再放送は5月7日0:00~1:00予定。(C)LEVEL-5 Inc.(C)NHK
2015年04月30日誰かと話をしていると「この人の話はいつもおもしろいなぁ」と感じることがたまにある。もちろん、その逆で「この人と話しているといつも退屈なんだよなぁ」と思わせる人もいる。では、この「話のおもしろい人」と「話がおもしろくない人」の違いはいったいどこにあるのだろうか。僕たちはいつも感覚で「あの人の話はおもしろい/つまらない」という判断をしているが、「なぜあの人の話はおもしろいのだろう?」と深く考えることはあまりしない。会話のおもしろさは、言語化できないセンスによって決まっているような気さえする。今回紹介する『「おもしろい人」の会話の公式』(吉田照幸/SBクリエイティブ/2015年2月/1300円+税)はそんな謎に包まれた「おもしろさ」の内容を言語化し、他人から「おもしろい」と思われるためのノウハウを抽出しようとするある意味ではとても野心的な本である。だからと言って、理屈っぽい話ばかりがたくさん書いてあるかというとそうではない。本書の著者である吉田照幸氏は「サラリーマンNEO」の企画を手がけるなどエンターテイメント系テレビ番組を中心に活躍している人物であり、本書で紹介されている「おもしろい会話の公式」は基本的にすべて現場の体験が元になっている。そういう点で、本書は大学教授やセミナーの講師が書いたコミュニケーション術の本よりもはるかに実践的だ。飲み会や昼休みの雑談などで場を盛り上げることができず困った経験があるという人は、ぜひ手にとってみてほしい。○「おもしろさ」がコミュニケーションを簡単にするそもそも、なぜ会話をおもしろくする必要があるのだろうか。別にコミュニケーションは笑いを取ることだけがすべてではない。極端な話、笑いなんてまったく取らなくても言いたいことを相手に正しく伝達することさえできれば、日常生活や仕事で困ることはない。にもかかわらず、「おもしろい会話」ができたほうがよいのはなぜだろうか。それは、「おもしろさ」自体が、コミュニケーションを円滑にする力を持っているからだ。笑いが取れれば、話は盛り上がる。話が盛り上がると、相手は自分の話すことをもっとよく聞いてくれるようになる。そうなれば言いたいことも相手によりよく伝わり、相手から理解される度合いも増えていく。おもしろいということは、コミュニケーション上の問題を一気に解決する可能性を秘めているのだ。もちろん、どんな場合でも必ずおもしろい会話をしなければならないということは全くないだろう。ただ、会話をおもしろくする力さえ持っていれば、困難に打ち当たった時におもしろさを突破口にして問題を解決できる可能性が高くなる。おもしろくないことで損をすることはあるかもしれないが、おもしろいことで損をすることは基本的にはない。そういう意味では、「おもしろさ」は武器だ。本書を読んでおもしろさの公式を頭にいれることは、そういう強力な武器を手にいれることと同じだと言えるかもしれない。○おもしろい話に気の利いたオチは必須ではないひとつ個人的に興味深いと読んでいて思ったのは、本書が「オチ」の必要性を否定していたことである。「おもしろい会話」や「ウケる話」と聞くと、ついつい焦点が「どう話にオチをつけるか」に向きがちだ。たしかに、思わず唸らずにはいられないようなうまいオチはある。そういう話がポンポン出てくる人がすごいのは当然なのだが、いわゆる「話がおもしろい」と言われる人が必ずそういうタイプかというと、実際にはそうでもないということに気づく。オチ自体は極めて単純なものでも、話をする際のトーンや間のとり方が巧みなため、「あの人の話はおもしろい」と思わせる話をする人は考えてみると結構多い。たとえば、その場ではすごく面白かった記憶があるのに、あとで冷静になって内容を振り返ってみると別にそこまでおもしろいわけでもないなぁ、と感じることはないだろうか。これは結局、会話のおもしろさを構成する変数に「オチ」だけでなく「間の取り方」や「空気の読み方」まで含まれているという証拠にほかならない。日常で行われる会話は落語のように一方的に一人がしゃべり続けるというわけではないのだから、内容以上に空気をいかに掴むかが重要だというわけだ。おもしろいオチがつけられずにいつも気の利いたことが言えないと悩んでいる人は、力点をオチではなく空気の掴み方に変えてみると、もしかしたらうまくいくかもしれない。○おもしろい会話は「おもてなし」本書を読むと、結局、おもしろい会話とは「おもてなし」であるということがわかる。自分が楽しいと思う話をするよりも、相手が楽しいと思う話をする。自分一人だけ盛り上がろうとするのではなく、周囲の空気を見つつ盛り上がる。こういった周囲への「おもてなし」が、話のおもしろさを作り出すのだ。相手を気づかうのが重要という意味では、普通のコミュニケーションの時と大事なことは何も変わらない。そういう基本的なことに、本書は気づかせてくれる。日野瑛太郎ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)、『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)がある。
2015年04月03日仕事をしていれば誰でも、失敗をして他人に迷惑をかけてしまうことがある。そんな時には普通、「謝罪」をすることになる。自分の間違った行為によって相手に迷惑をかけたら頭を下げて謝る――これはとても自然なことだ。もっとも、現実に仕事で謝罪をするのは必ずしもこちらに非がある時ばかりではない。時には、全然自分は悪くないのになぜか頭を下げなければならないような理不尽な状況に遭遇することがある。当然ながら、これは気分のよいことではない。「納得いかないな……」と心では思いながら、とりあえず頭を下げて悔しい気持ちをぐっとこらえることになる。このような「自分は悪くないのに謝罪をする」という行為は、できるなら誰でもしたくないと思っているはずだ。しかし、この「自分は悪くないのに謝罪をする」という行為が、実は人間関係を円滑にする最強のツールだとしたらどうだろうか。今回紹介する『なぜ一流の人は謝るのがうまいのか』(野呂エイシロウ/SBクリエイティブ/2015年2月/1300円+税)は、そんな謝罪のポジティブな側面について様々な角度から説明をしている本である。「謝罪にポジティブな側面なんてあるの?」と疑問に思った人は、ぜひ手にとってみてほしい本だ。○謝ることは「おもてなし」本書における「謝罪」は、「自分に非があることを認め、相手に詫びる」ということだけにとどまらない。たとえば、本書ではミーティングのために来てくれた相手に対して、「お忙しいのに時間をつくっていただいて申し訳ありません」「雨の中、ご足労いただいて申し訳ありません」「すいません、缶コーヒーしかなくて」「こんな狭い場所ですいません」と、ミーティングの冒頭からできるだけ謝ることが推奨されている。これは、別に悪いことをしかたら相手に詫びているわけではない。コミュニケーションを円滑にするために、挨拶の一種として謝っているだけだ。「別に悪いことをしているわけでもないのに、ペコペコ頭を下げるなんて」と思ってしまう人もきっといるだろうが、実際このような「挨拶としての謝罪」を冒頭に行うことで、ミーティングを和やかな雰囲気で進められるようになることはよくある。ある意味では、このような謝罪は「おもてなし」の一種だと言えるかもしれない。「こっちに非がない限り頭は下げない」と意固地になるのは簡単だ。論理的には、そちらのほうがスジが通っているのかもしれない。しかし、そうやってスジを通したところで得られるものは別になにもない。それならいっそのこと「おもてなし」のつもりでとりあえず頭を下げてしまったほうがよいのではないだろうか。本書はそういった「損して得取れ」的なコミュニケーション術を教えてくれる。○「許されるキャラ」をいかに作るかまた、本当にこちらに非があって謝らなければならない時に、どうやって謝るかはとても重要だ。挨拶の代わりに謝る場合とは違って、こちらでは「とりあえずペコペコしていればいい」というわけにはいかない。相手に許してもらえるような謝り方を考える必要がある。本書では、「事前に根回しをすること」「キーマンに対して謝ること」「相手が納得する正しい言い訳を説明すること」などが謝罪時のポイントとして挙げられている。これらは、謝罪時のチェックリストとして活用するといいだろう。そのような謝り方の説明とは別に、著者のまわりにいる「謝罪の達人」の例も紹介されているのだが、これが面白い。たとえば、放送作家の安達元一氏は、超売れっ子であるがゆえにたいてい会議には遅刻してくるという。その時安達氏は、「すいません、すいません、すいません……」と「すいません」を連発しながら入室し、その怒涛の謝罪攻勢で場の雰囲気を変えて許されてしまう。遅刻よりもずっと深刻な事態であっても、安達氏は同じように謝罪によってピンチを乗り越えてしまうそうである。もちろん、これをそのまま普通の人がマネすればよいとは言わない。逆効果になる場合も当然あるだろう。それでも、謝ることで危機を乗り越えて才能を発揮している人がいるということは、知っておいてよいはずだ。○謙虚を武器に海外の場合はわからないが、少なくとも日本では謙虚な人はそれだけで周囲からよい扱いを受けることができる。つまり、謙虚は武器になるのだ。この武器を活用しないのはもったいない。基本的に、頭を下げることで失うものは何もない。それで得られるものがあるなら、どんどん謝っていけばよい。こんなふうに、謝罪についての考え方や態度を変える力が本書にはある。「悪いのはあいつだ。それなのに自分が頭を下げなければならないのは納得がいかない」と日頃からよく思っているという人は、ぜひ一読してみてほしい。日野瑛太郎ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)、『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)がある。
2015年03月27日突然だが、ひとつ質問をしたい。あなたは普段から「敬語」を正しく使えているだろうか? 日本で会社員をしているのであれば、電話対応やメールのやりとり、顧客との打ち合わせ、上司への受け答えなどで、敬語を使う機会は非常に多いはずだ。しかし一方で、敬語を「正しく」使うことができているかというと、実は結構あやしいという人が意外と多いのではないだろうか。「お疲れ様でした」と言うべき時に「ご苦労様でした」と言ってしまったり、「よろしかったでしょうか」といったようないわゆる「バイト敬語」をうっかり使ってしまうなど、間違った敬語を使っている人を目にすることは決して珍しいことではない。相手が社内の人であればまだダメージは少ないかもしれないが、社外の大事な顧客に対して間違った敬語を使ってしまい、それで相手を不快にさせてしまったとしたら目も当てられない。ビジネスパーソンにとって、正しい敬語が使えないことはそれだけで大きなリスクになる。他の仕事を完璧にこなすことができても、間違った敬語を気づかずに使っているというだけで、その人の信頼は大きく損なわれてしまう。自分の敬語に自信がないという人は、今回紹介する『出口汪の「好かれる!」敬語術』(出口汪/SBクリエイティブ/2013年5月/666円+税)を読んでみるというのはいかがだろうか。敬語は理屈だけでなく「慣れ」の部分も大きいので、日頃から使っていればある程度は自然に身につけられるものだが、慣れだけに頼っていると自分が「間違った敬語」を使っていることに気がつかないおそれがある。本書のような敬語をテーマにした本を一冊読んで、正しい知識をひと通り知っておくと、いざというときに困らずに済む。○敬語はコミュニケーションの潤滑油もしかしたら、「敬語は別にビジネスの本質ではないのだから、相手を尊重する気持ちさえ伝われば正しくなくてもいいのでは」と思う人もいるかもしれない。たしかに、合理性を突き詰めるならばこのような考え方も間違ってはいないとは思う。しかし、現実には敬語を正しく使うことができないと「相手を尊重する気持ち」が伝わらない場合が多い。逆に敬語を完璧に使いこなすことさえできれば、それだけで相手に好印象を与えることができる。日本で仕事をしようと思うなら、正しい敬語を覚えることは実はとても効率のよい投資なのだ。本書には、人の印象は「敬語」で9割決まる、といったことが書かれているが、これは決して言い過ぎではない。友達付き合いであれば時間をかけて少しずつ相手のことを理解するということだってありえるだろうが、ビジネスの場合はそこまで時間をかけることは普通はない。敬語がきちんと使えていればそれだけで「しっかりしてそうだ」という印象を与えることになるし、一方でぞんざいな言葉遣いをすれば「この人は信頼できそうにない」と思われてしまう。たかが敬語、されど敬語である。○普通の敬語の本は眠くなる?もちろん、本書以外にも敬語について書かれた本は山ほど出版されている。どの本も、基本的には書いてある内容に大きな差があるわけではない。それならどんな本を読んでも同じかというと、必ずしもそうとは言えない。扱う対象が敬語であるためか、敬語について書かれた本はマジメすぎる場合が多いように僕には思える。どんなに内容がよかったとしても、途中で眠くなって挫折してしまうのだとしたらそれはあまりよい本だとは言えない。優れた敬語本は、内容として正しいものが載っているというだけでなく、気軽に読めてそれでいてアタマに残りやすいものである必要がある。そういう視点で本書を見てみると、まず第一に本書はかなり読みやすい。敬語の本の場合、表現をカテゴリ分類し、それらを羅列して見やすく整理しただけのものが結構多いが、本書はそのような形式はとっていない。新入社員の主人公である「あい」と、筆者である「先生」の対話という形式をとっているので、「敬語について詳しく知っている人に、色々と質問をしながら教えてもらう」ような気分でひと通り敬語について勉強ができる。調べ物というよりは通読向きで、二回、三回と繰り返し読んだとしても、脳への負荷はあまりかからないだろう。具体例も豊富なので、アタマへも残りやすい。単に敬語表現についてを説明するだけでなく、「どうすれば敬語は上達するか」といった「敬語の学習法そのもの」についてや、「敬語術でピンチを切り抜けるにはどうすればいいか」といった実践的な使用例についても多く言及しているので、学んだことをすぐに役立てることができる。敬語の本を過去に買ったことがあるが結局最後まで読まずに本棚に寝かせてあるという人は、本書で再度敬語の本にチャレンジしてみてはいかがだろうか。今度はきっと、最後まで読み通せるに違いない。日野瑛太郎ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)、『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)がある。
2015年03月20日東京都・南青山の岡本太郎記念館では、岡本太郎の「生命体」展を開催している。開催期間は6月14日まで(火曜休館、祝日の場合は開館)。開館時間は10:00~18:00(入館は17:30まで)。入場料は一般620円、小学生310円。同展は、一般公開されていない「生命の樹」の模型をはじめ、岡本太郎が手掛けた作品の中でも特に生命のエネルギーにあふれる油彩など約30点を展示し、太郎が表現しつづけた"いのちの強さと尊さ"に迫っている。岡本太郎は、生涯にわたって"いのち"を描きつづけてきたが、その代表的な作品が、太陽の塔の胎内に内臓されている「生命の樹」。太陽の塔を構想したとき、太郎はその胎内に"生命体"を内蔵しようと考え、アメーバから人間にいたるすべての生き物が一体となって組織する一つの"樹"を創り出した。それは動脈となり、リンパの流れとなって太陽の塔に生命を吹きこんでいる。さらに会期半ばより、第17回岡本太郎現代芸術賞で太郎賞を受賞したアートユニット「キュンチョメ」と、敏子賞を受賞した「サエボーグ」による新作の特別展示も行われる。4月1日~20日に開催するキュンチョメの「もう一度太陽の下でうまれたい」展では、太郎作品の中でも太陽をモチーフにしたものをとりあげ、新たな解釈とともに状況に抗おうとする意欲的な展示となる。なお、今年度の受賞作品を紹介している「第18回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)」展も、4月12日まで川崎市岡本太郎美術館にて開催されている。
2015年03月20日「人は努力と訓練によって、何者にでもなることができる」と言われたら、あなたはどう思うだろうか。きっと多くの人は、「さすがにそれは楽観的すぎるのでは?」と感じるに違いない。しかし、このような楽観主義を基本的な考え方として心理学の体系を創りだした人がいる。オーストリア出身の心理学者、アルフレッド・アドラーだ。アドラーの創始した「アドラー心理学」はいま日本でちょっとしたブームになっている。本屋に行けば、アドラー心理学の本がズラリと並んでいる。もしかしたら既にアドラー心理学に関する本を読んだことがあるという人がいるかもしれない。読んだことがなくても、名前ぐらいは聞いたことがあるという人が多いのではないだろうか。今回紹介する『1分間アドラー 人間関係の悩みをゼロにする77の原則』(桑原晃弥/SBクリエイティブ/2015年2月/952円+税)もそんなアドラー心理学に関する本のうちの一冊だ。もっとも、本書は既に数多く出版されているアドラー心理学の入門書とはちょっとだけ違う。本書はいわゆるアドラー心理学の解説書ではなく、語録集に近い。節のタイトルとしてアドラーの言葉が引用され、その言葉について見開き1ページ程度で解説がなされる、というのが本書の基本的な構成だ。言葉は全部で77個掲載されている。書名が示すように1節は1分程度でサクッと読める。通勤電車の中や待ち合わせの空き時間など、細切れ時間に読むのに適した構成だと言えるだろう。もちろん、時間をとってまとめて読むのも悪くない。○アドラー心理学はアドラー自身の体験に基づいているアドラー心理学は非常に前向きで、時には理想主義的すぎると言われることも少なくないが、アドラーは別に机上の空論といてこのような楽観主義的な心理学を提唱したわけではない。実はアドラー自身が、楽観主義によって人生を切り開いてきたという経緯がある。そういう意味では、アドラー心理学は彼自身の経験に基づいた理論なのだとも言える。アドラーは幼少期、様々な困難に直面していた。数々の持病に悩まされ、勉強では優秀な兄と比較されることが多くコンプレックスを感じることも少なくなかった。学校の授業は退屈で、数学は落第寸前だった。しかしアドラーは負けなかった。周囲のサポートによってアドラーは持病を克服し、病気で死にかけた経験から医師になることを志す。落第寸前だった数学は、最終的には得意教科に変わっていた。このようにアドラーは幼少期の困難を乗り越えたが、それができたのは彼が「できることをしよう」という楽観主義的な考えを持っていたからだ。物事を楽観視せずに冷静な目で批判的に分析することも時には必要だが、そうやって批判ばかりしているだけでは前には進めない。基本的に、自分を取り巻く世界を変えようと思ったら行動する以外の方法はない。あれこれ悩んで行動できないという人は、きっとアドラー心理学からヒントを得ることができるはずだ。○行動はすべて目標によって確定されるまた、アドラー心理学は「行動」だけでなく、その前提となる「目標」についても触れている。単に「行動しろ」と言われただけでは、何をすればいいのかわからない。行動はすべて目標によって確定される。言われてみればあたりまえだが、この点を意識できていないばっかりに迷走している人は数多くいる。毎日、漫然と生きているだけでなんとなく不安な気持ちを抱いているという人は、往々にして目標を見失っている。行動するにも何をすればいいかわからないという人は、一度自分の目標について考えてみるとよいだろう。また、その時には「共同体感覚」を意識してみるとよいかもしれない。「共同体感覚」は、アドラー心理学を語る上での重要なキーワードだ。「共同体感覚」の詳しい説明は本書に譲るが、ざっくり言えば他者について「私たちはみな仲間だ」と感じ、そこが自分の居場所だと感じられることである。このような「共同体感覚」を意識した上で目標が設定できれば、有用で意義のある行動へとつなげることができるだろう。○「前向き」になるためのヒントをさがす本書を読むと、アドラーがフロイトやユングといった分析的な心理学者と比べてかなり目的志向であり、前向きであることがわかる。そういう意味では、アドラー心理学は実践的な心理学だと言えるかもしれない。生きていれば、誰だって落ち込むことがあるはずだ。そんな時には、本書をパラパラとめくってみると、前向きな気持ちになれる言葉を見つけることができるかもしれない。気持ちが後ろ向きになってしまった際には、本書で「前向き」になるためのヒントをさがしてみてはいかがだろうか。日野瑛太郎ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)、『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)がある。
2015年02月27日昨年公開された瑛太×松田龍平のW主演による人気シリーズの最新劇場版『まほろ駅前狂騒曲』のブルーレイ&DVD発売を前に2月6日(金)、オーディオコメンタリーの収録が行われ、瑛太と大森立嗣監督が報道陣の取材に応じた。その他の画像三浦しをんの人気小説シリーズを原作に製作された映画『まほろ駅前多田便利軒』、連続ドラマ『まほろ駅前番外地』に続くシリーズ第3弾。共にバツイチで元同級生の多田と行天が便利屋として奔走するさまを描き出す。映画公開から少し時間をあけて、久々に松田を含めた3人が顔を揃え、作品を鑑賞したわけだが瑛太は「前作のオーディオコメンタリーは口数が少なかったので(笑)、その反省を踏まえて話を振るように心がけましたけど、世間話のようになったり、龍平のギャグが炸裂したり(笑)、なかなかないものになってて楽しめると思います」と振り返る。大森監督も「映画を観ながら友達のウチでしゃべってる感じ(笑)。みなさんが知っている中で、瑛太と龍平が一番しゃべっていると思います」と太鼓判を押す。このオーディオコメンタリーに加え、ブルーレイ&DVDには未公開シーンも収録されており、公開時とはまた違った形で楽しめそうだ。本作では多田と行天が“子育て”に右往左往するさま、さらに行天の知られざる過去も描かれるが、瑛太は「依頼を全うするために多田が行天に無理をさせ、少しずつ心を開かせていく。現場でやっていても、龍平がどういうアプローチで来るか楽しみでしたし、多田としても“引き出す”というつもりでやってました」と語る。ちなみに、2人を翻弄する行天の実娘・はるを演じた子役の岩崎未来はその後、NHKの『花子とアン』で吉高由里子演じる主人公の娘役を演じており、大森監督は「すごく嬉しい。何百人も見てオーディションで選んで、(本作の)撮影も大変だったと思う。その子が頑張っているのを見ると、親心じゃないけど、よかったなと思います」と収録で久々に作品を見て、意外なところでホロリとさせられたようだ。ファンの中にはさらなる“続編”を望む声が多々あり、個性的な各キャラクターに焦点を当てたスピンオフへの期待も…。瑛太は「(依頼が)あればやりますけど…」と歯切れは悪いながらも乗り気。大森監督は「次やるなら、多田と行天、2人の関係に絞ったものをやりたい…と(収録中に)2人の顔を見ずに言いました(笑)」と意欲をのぞかせていた。『まほろ駅前狂騒曲』ブルーレイ&DVD 4月15日(水)リリースブルーレイ豪華版(2枚組) 6200円+税DVD 豪華版(2枚組) 5200円+税DVD 通常版(2枚組) 3800円+税発売元:ポニーキャニオン取材・文・写真:黒豆直樹
2015年02月06日現代において、「個性」は重要なキーワードだ。ビジネスの世界では、企業の個性である「らしさ」が競争力の高い企業を作るための要素として注目されつつあり、個性を重視する傾向が強くなってきている。一方で、教育の世界では、個性重視を謳った「ゆとり教育」が学力低下を招いたという反省から、個性よりも学力を重視する「脱ゆとり」に方針転換がなされて久しい。個人レベルで言えば、やはり「個性が大切だ」という意見をよく耳にする。個性に対する考え方は、それが語られる文脈や分野によって様々だ。○個性とはいったい何なのか?そもそも、個性とはいったいなんなのだろうか。なんとなく個性が重要だと思っている人は多いにもかかわらず、個性とは何かを説明できる人は実はそんなに多くない。個性が本当に現代社会で必要なものなのか考えるためには、まずは個性の意味を明らかにする必要がある。今回紹介する『「個性」はこの世界に本当に必要なものなのか』(博報堂ブランドデザイン・東京大学教養学部/株式会社KADOKAWA アスキー・メディアワークス/2014年12月/750円+税)は、個性の意味を問いなおすためのよいきっかけを与えてくれる。もっとも、本書には「個性とは◯◯のことである」といった明確な定義や答えそのものが書かれているわけではない。本書は、東京大学教養学部の研究者10人による個性についての談話から構成されており、そこで出される個性についての見解はあくまで話者それぞれのもので、明確な1つの「正解」があるわけではない。「とりあえず答えを知りたい」という人には向かないが、「いろんな意見に触れて自分なりの考えを深めたい」と思っている人には最適な本になりうるだろう。○9つの学問分野から見た「個性」本書で「個性」について意見を述べている研究者の専門領域は非常に多岐に亘っている。具体的には、認知神経科学、文献学、生態学、哲学、物理学、統計学、政治学、天文学、言語学の9つの学問分野が対象になっており、当然ながら各研究領域によって視点に大きな違いがある。たとえば、認知神経科学の研究者は個性を「脳の使われ方の違い」として上で、遺伝や環境因子がどれだけ個性の形成に影響しているかという視点で個性について語っている。統計学の研究者は「統計学は個性を切り捨てる学問ではない」と前置きをした上で、個性を測定するためのコストが高いことについて説明している。天文学の研究者は、天体の個性は基本的に初期条件によって決定されることを説明し、個性を理解するためには似ているものとの比較の視点が不可欠であると主張する。「個性」と一言で言っても、研究者の専門領域次第で、注目するポイントが多様なのは面白い。○個性は「固有性」と「共通性」の関係の中で理解されるこのように学問分野によってそれぞれ視点には違いがあるものの、一方ですべての学問に通底するものも見出だせる。それは、個性が「固有性」と「共通性」との関係の中で理解されるということだ。これは言語学を例にとってみるとわかりやすいかもしれない。言語は、基本的に他人とコミュニケーションをするために使われる記号の体系であるから、おのずから「共通性」が求められる。言語における個性は、この共通性を完全に欠く形では存在しえない。方言や若者言葉など個性を有した言語はたしかに存在するが、あくまでそれは共通性との関係の中で理解される。この話は他の学問分野や、あるいは現実社会で個性について考える際にもあてはまる。単に「個性的になろう」とだけ思っても、同時に「個性的でない、共通するもの」についても理解していないとそもそもどう個性的なのかわかりようがない。ただお題目のように「個性重視」とか「個性を伸ばす」といった言葉を並べても、結局は何を目指せばよいのかわからず迷走してしまう。○各学問分野へ入門する前準備として読む以上のように、本書のテーマは基本的には「個性」なのだが、必ずしもこのテーマだけにこだわって読む必要はないと思う。本書に登場する研究者はいずれも各学問の最先端研究者であるから、各章の談話は純粋に知的興味を刺激する。しかも、語り口は非常に平易でわかりやすい。各学問への入門書と言うにはさすがに情報量が足りない気がするが、各学問へ入門する前準備として読むのはありだろう。そういう意味では、進路選択に迷っている中学生・高校生あたりが読んでもいいかもしれない。もちろん本書のテーマに沿って個性の意味を自分なりに考えるために読んでもいいし、9つの学問分野の「思考方法の違い」を知るために読むというのもいい。本書の読み方はひとつではない。各人の個性にあった読み方を試してみていただければ幸いである。日野瑛太郎ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)、『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)がある。
2015年01月30日松田翔太さんが桃太郎、桐谷健太さんが浦島太郎、濱田岳さんが金太郎を演じる新CMが話題になっていますね。昔話の人気キャラ3人が実は友達だった――というストーリー、これからどんなふうに展開していくのかとワクワクしている人も多いのでは?筆者が見ていて特に気になったのは、桃ちゃん(桃太郎)が彼女持ち、しかも相手は「かぐや姫」だったというところ。「俺は桃から。彼女、竹から。それつながり」って…。どちらかというと、瓜から生まれた「瓜子姫」のほうが近いんじゃ?とか余計なことを考えてしまいました。さておき、あの3人って実際にお付き合いしたらどんな感じなんでしょう?cocoloni PROLOでは以前、「桃太郎はブラック彼氏!?」なんて記事も公開しましたが…。誰と付き合ったら一番幸せになれるか、というのを独断と偏見で分析してみようと思います。≪恋人を一番幸せにしてくれる太郎は?≫◆桃太郎:恋人の提案を却下する男鬼ヶ島の鬼が人々を苦しめていると聞き、退治に向かった桃太郎。まさに正義の味方!という感じですが、実際に鬼の暴れっぷりを見たわけではなく、村人の話を鵜呑みにして戦いに行ったのはやや軽率だったかも。相手がどの程度強いのかもわからないのに、犬・猿・キジだけを連れて出かけた無鉄砲さも、若さゆえという印象です。勝ちたいなら、まずは敵を知ることが大事。状況も知らぬまま乗り込んで行き、一方的にたたきのめした男といったら、英雄どころかちょっとひどい奴にも感じられます。こういう男性は自分が一番偉いと思っていて、周りの意見に耳を貸さない可能性大。女性とデートをする際も、自分が行きたい所にばかり連れて行き、相手が退屈していても気づいてくれないかもしれません。もしくは恋人が、「あそこに行きたい」「あれ面白いよ」と自分の知らないことについて話しても「くだらない」と却下したり。ちなみにCMでは、桃太郎は犬・猿・キジとは「団子コミュニケーション」を取っていて、団子がない日は相手にされていない様子。とりあえず、「何があってもこの人のために尽くしたい」と思わせるほどの人物ではないみたいです。◆浦島太郎:いい人すぎてだまされる男子どもたちにいじめられていた亀を助け、そのお礼として竜宮城に連れて行かれた浦島太郎。弱い者いじめが許せない心優しい青年であることは間違いありません。ただ、もしかしたら子どもと亀がグルの詐欺師だったかも、という可能性を考えることもなく、軽い気持ちで行ってしまったのは怖いもの知らずというか何というか…。良くも悪くもだまされやすい人なんじゃないでしょうか。しかも乙姫さまが「決して開けないで」と言った玉手箱を開けてしまった、約束を守れない男でもあります。こういう男性は、作り話にコロッとだまされるタイプ。恋人がいても、美女が猫をかぶって泣きついてきたら、「かわいそう」という理由で受け入れ、簡単に浮気してしまいそうです。「あの子を助けたいから」とデートの約束をドタキャンしたり、恋人からお金を借り、なかなか返してくれなかったり…優しさは大きな魅力ですが、人がよすぎるのも考えものですよね。CMでは、竜宮城に連れて行ってくれるはずの亀が驚くほど小さかったことから、桃太郎に「だから浦ちゃんモテないんだよ。彼女とかいないから乙姫にだまされるんだ」と言われていた浦島太郎。だまされやすいという解釈は間違っていないようです。◆金太郎:タフで包容力のある男毎日、山の動物たちと相撲を取り、大きなクマと戦っても負け知らずの金太郎。ある日、谷間に橋がなくて向こう岸に渡れないと困っている動物たちのため、巨大な木を倒して橋をかけてあげたそう。金太郎の歌にも「気は優しくて力持ち」という歌詞がありますが、文字通り、包容力があって頼りになる人なんですね。ちょっと若すぎる(むしろ子ども?)のと、ほとんど動物としかコミュニケーションを取っていなそうなのが気になりますが、年下&女慣れしていない男性が好きな人には合っているんじゃないかと。橋がないなら作ればいい、という柔軟な発想も素敵です。こういう問題解決力のある人って、女性としては一緒にいて安心できますよね。サバイバルスキルも高いだろうから、もしものときにも助けてくれそうだし。なので、何を考えているかサッパリわからない男性より、ピュアで単純明快な男のほうが好み!という女性には自信を持ってオススメします。あまりにもわかりやすい男は退屈でイヤという人はやめておいたほうがいいと思いますが。CMでは、桃太郎や浦島太郎と比べて「俺ってイケてない」といじけていた金太郎。でも、最終的に一番いい女を捕まえるのは、かっこいい桃太郎や、ひたすら優しい浦島太郎ではなく、地味だけど実はすごい彼のような気がします。ということで、桃太郎・浦島太郎・金太郎の中で、最も恋人を幸せにしてくれそうなのは、CMではいじられキャラの金ちゃんこと金太郎でした。…なんて妄想を繰り広げつつCMを見たら、また別の楽しみ方ができるかも!?(文=編集J)※画像はau「 あたらしい英雄、はじまるっ」よりあの人がこれまでにしてきた恋愛のすべて【無料占い】
2015年01月23日会社員にとって、「働きやすさ」はほとんど職場の人間関係が良好かどうかで決まる。特に、上司との関係を良好に保つことは重要だ。上司に気に入られれば仕事はずっとやりやすくなる。一方で、上司に疎まれるとどんなに優秀な人でも仕事はやりづらい。仕事上の知識を増やしたり仕事に役立つスキルを習得することも重要だが、それ以上に上司の攻略は重要だ。この点を疎かにすると、会社員生活は一気につらいものになる。そうは言っても、上司に気に入られるのは簡単なことではない。上司と一言で言っても、タイプは様々で人によって攻略法が異なるからだ。単に仕事で結果を出しさえすれば認めてくれるサッパリした上司もいれば、徹底的にヨイショして持ち上げることで態度が柔らかになるちょっと困った上司もいる。上司とのつきあい方についての悩みは尽きない。今回紹介する宝島SUGOI文庫『正しい太鼓のもち方』(トキオ・ナレッジ/宝島社/2015年1月/680円+税)は、そんな上司とのつきあい方についてひとつの解決法を教えてくれる。もしかしたらタイトルを見て、「俺は上司にゴマをすって生きるような人生はゴメンだ」と思った人もいるかもしれないが、ちょっと待って欲しい。タイトルこそ『正しい太鼓のもち方』になっているが、本書には太鼓もちをするつもりでない人にとっても結構役立つことが書いてある。ゴマをするつもりがなくても、上司とのつきあい方に悩んでいるなら読む価値は十分にあると言える。○上司への媚び方を正面から伝授上司とのつきあい方を扱ったビジネス書は多数あるが、「いかに上司に媚びへつらうか」だけにフォーカスした本はおそらく本書だけだろう。本書では「憧れを伝える太鼓のもち方」「感謝を伝える太鼓のもち方」といったシチュエーション別に、上司に媚びるためのフレーズが全部で35個紹介されている。各フレーズの項目では、どのようなタイミングで言うべきか、特にどのようなタイプの上司に効果的かといったような詳細な説明がついており非常に実践的だ。社交辞令の難しいところは、使用すべきタイミングやシチュエーションを正しく判断しないと、容易に嫌味や悪ふざけに転化してしまうところだ。本書では、そのような社交辞令の微妙なニュアンスについても事細かに説明されている。たとえば、上司に憧れを伝えるフレーズとして、「芸能人以外でサインがほしいと思った人、◯◯さん(上司の名前)が初めてです」といったものが紹介されているが、注意点として「あまりのすごさにギャップがある場合は悪ふざけにとらえられる」「言うなら本気で書いてもらうつもりで行くべき」といったことも同時に挙げられている。このようなコミュニケーションにおける微妙なニュアンスや空気感について、本書から学べるものは少なくないだろう。○上司の詳細な分類と分析本書のもうひとつの特徴は、上司のタイプが事細かに分類・分析されていることだ。マニュアル上司、無責任上司、ワンマン上司、七光り上司、エセインテリ上司などなど、本書で紹介されている上司のタイプは30種類を超える。これだけあれば、今の自分の上司も、どこかのタイプにあてはめることができるだろう。どんなに困った相手でも、タイプにあてはめて考えると対処法はある程度システマティックに決めることができる。「こういうタイプの上司に苦労してるのは、自分だけじゃないんだなぁ」と知るだけでも、だいぶ気が楽になるだろう。特徴的なのは、すべての上司について「学ぶところは、こんなとこ」という項目がついていることだ。どんなにポンコツで人格に問題がある上司であっても、何かしら学べるところはある(本当にどうしようもない相手でも、反面教師として学ぶことはできる)。この項目は、上司との関係を前向きに捉える上で、きっと役に立つはずだ。○コミュニケーションの参考書として本書を読んでいると、本書で扱われている内容があてはまるのは実は会社だけではないということに気づく。困った上司への対処法はそのまま困った友人や親戚への対処法としても使えるし、本書で紹介される社交辞令をプライベートに応用して使うことも可能だろう。そういう意味では、本書はコミュニケーション全般についての参考書としても機能しそうだ。もちろん、純粋に楽しみのために読むのもいいだろう。各項目はそんなに長くないので気軽に読めるし、イラストがポップで面白いのでパラパラと眺めているだけでも楽しめる。会社の人間関係に疲れた時に、息抜きとして読んでみるのもいいかもしれない。ぜひ、本書の自分なりの活用方法を見出していただきたい。日野瑛太郎ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)、『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)がある。
2015年01月23日人間であれば誰だって、他人から好かれたいと思っているはずだ。社会の中で生きていく以上、他人と関わることは避けられない。他人とうまくやっていくためには、自分の利益だけではなく相手の利益にも気を配り、時には自分の意思を押し殺して相手の希望を優先させることも必要だ。自分のことばかり優先しすぎて、嫌われてしまうとコミュニティの中では生きづらくなる。しかし一方で、他人から嫌われないようにと気を使いすぎるのも問題だ。他人から嫌われることをおそれるあまり、他人のいいなりになって自分がやりたいことをすべて我慢してしまう人がいる。他人から依頼された仕事はすべて引き受け、行きたくない飲み会にも誘われたら必ず出席する。周囲からは「いい人」だと思われているが、自分の人生を生きている感じがあまりしない――。今回紹介する『もう「いい人」ぶるのはやめて楽になりなさい』(ジャキ・マーソン/SBクリエイティブ/2014年9月/1400円+税)は、そんな「いい人」であり続けることに疲れてしまった人にぜひ読んでいただきたい一冊だ。○「いい人の呪い」のせいで、骨折を10日間我慢本書の著者であるジャキ・マーソンも、かつては「いい人の呪い」にかかっていたという。本書の冒頭に彼女自身のエピソードが挿入されているが、読んでみると彼女がいかに「いい人の呪い」に苦しめられていたことがわかる。ここで、エピソードの内容を簡単に紹介してみよう。ある日、彼女はいとこの娘の誕生日パーティに参加する。ダンスの最中に誤って転倒して腕を痛めるが、周りの人に心配をかけてはいけないと考え、その場は笑顔で「大丈夫」と答えてしまう。翌日になっても痛みはひかないが、救急外来のスタッフを煩わせてはいけないと考えて病院にも行かない。それどころか、腕を痛める前にした約束どおり子供をつれて友人の家を訪ね、痛みを我慢しながら笑顔で子供たちと一緒にボートを漕ぐ(友人には「腕が痛いなら漕がなくていい」と言われるが、彼女は自分だけ漕がないのは申し訳ないと考えて痛みを堪えて一緒に漕いだ)。いよいよ我慢できなくなって救急外来を訪れた時には、最初に腕を痛めた誕生日パーティから10日が経過しており、そんなに長い期間痛みを我慢しつづけていたことに呆れられる。ちなみに、腕は見事に骨折していた。この一連の彼女の行動の裏には、つねに「自分のことで他人に迷惑をかけるのは申し訳ない」という考えがある。彼女のように骨折を10日間放置するというのは行き過ぎな気もするが、彼女と同じように考えてしまい自分の意思をうまく他人に伝えられず、モヤモヤとした気持ちを抱えている人は少なからずいるのではないだろうか。そう考えると、必ずしも他人事だとは言い切れない。彼女はこの骨折事件がきっかけとなり、自分が「いい人の呪い」にかかっていることを自覚して、いい人をやめる決意をする。本書で紹介されている「いい人をやめるためのトレーニング」は、そんな彼女自身の経験が反映されている。○「いい人の呪い」は過去の経験によって形成されるジャキ・マーソンの考えによると、「いい人の呪い」にかかってしまうかどうかは、DNAによって生まれながらにして決められているわけではなく、過去の経験によって形成されたルールによって決まるそうだ。このルールを、認知行動療法の分野では「硬直した個人ルール」と呼ぶ。ジャキ・マーソンの場合の「硬直した個人ルール」は、「大げさに騒がない」というものだった。彼女は子ども時代、たびたび母親から「大げさに泣くんじゃありません」という注意を受け、それを守ることができると「偉いわね」と言って褒められた。この過去の経験が大人になってからの彼女の行動を無意識的に支配し、彼女は骨折をしても他人に助けを求めることができなかった。大切なのはこの「硬直した個人ルール」を無意識の領域から意識の領域まで引き上げて、意識してルールを破るトレーニングをすることだ。時には、他人の期待に背いてNOを言わなければならないこともある。その選択ができるようになって、はじめて人は「いい人の呪い」から解放される。○豊富なケーススタディとトレーニング本書の大きな特徴は、ケーススタディとトレーニングの量が豊富であることだ。「いい人の呪い」と一言で言っても、悩みのパターンは人によって様々である。それでもこれだけ様々なケースが載っていれば、きっと自分と似ているケースを発見することができるだろう。「他人の期待に応えようとして逆に疲れてしまっている」という人は、読んでみてはいかがだろうか。日野瑛太郎ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)、『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)がある。
2015年01月16日トヨタ自動車と日野自動車は1月8日、新しい燃料電池システム「トヨタフューエルセルシステム(TFCS)」を搭載した燃料電池バス(FCバス)を開発し、1月9日から愛知県豊田市内を走る路線バス「とよたおいでんバス」の営業運行向けに提供すると発表した。TFCSは、燃料電池技術とハイブリッド技術を融合させ、燃料電池自動車(FCV)「MIRAI」向けに開発されたシステムである。今回のFCバスには、出力を高めるためにFCスタック、およびモータなどを2個搭載する他、高圧水素タンクを8本搭載している。さらに、外部電源供給(V2H)システムは、2013年11月より開始した実証試験などの結果を活かし改良しているという。トヨタと日野は、FCバスの実用化に向け、公共交通である路線バスの営業運行による実証試験を通じて、FCバスの実用性や有用性を検証し、着実に研究開発を進めていくとコメントしている。なお、燃料となる水素の充填は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)事業として、とよたエコフルタウン水素ステーションを使用するとしている。
2015年01月09日トヨタ自動車と日野自動車は8日、新しい燃料電池システム「トヨタフューエルセルシステム(TFCS)」を搭載した燃料電池バス(FCバス)を開発し、9日から豊田市内を走る路線バス「とよたおいでんバス」の営業運行向けに提供すると発表した。TFCSは、燃料電池技術とハイブリッド技術を融合させ、燃料電池自動車(FCV)「MIRAI(ミライ)」向けに開発したシステム。今回のFCバスには、出力を高めるためにFCスタック及びモーターなどを2個搭載するほか、高圧水素タンクを8本搭載している。外部電源供給(V2H)システムは、2013年11月より開始した実証試験等の結果を活かして改良が行われており、燃料となる水素の充填はNEDO事業として「とよたエコフルタウン水素ステーション」を使用する。同実証試験は、経済産業省「次世代エネルギー・社会システム実証事業」として採択され「豊田市低炭素社会システム実証プロジェクト」の一環として2010年度から進めているFCバスによる公道走行試験および非常時における外部への電力供給実証の一部であり、豊田市の協力を得て行うもの。両社はFCバスの実用化に向けて、公共交通である路線バスの営業運行による実証試験を通じてFCバスの実用性や有用性を検証し、研究開発を進めていくとしている。
2015年01月08日江戸一は1月31日まで、食べ放題レストラン「すたみな太郎」「すたみな太郎NEXT」「すたみな太郎NEO」にてお笑いコンビ「日本エレキテル連合」とのコラボレーションキャンペーンを実施している。「すたみな太郎」は、焼き肉・寿司・デザートを中心としたメニューを提供するバイキングレストランで、2014年7月現在で国内に129店舗を展開している。このほど行われたキャンペーンの記者発表会では、同社代表取締役社長兼CEOの小澤和貴氏が登壇し、「お客さまのニーズに対応するため、常にすたみな太郎は革新的でなければならない、変化し続けなければならないと思っています。そこで今回は、エンターテインメント界の革新的存在であるエレキテル連合のお力を借りました」とコラボレーションについて語った。今回のキャンペーンでは、日本エレキテル連合とのコラボレーションメニューを販売するほか、音声ポスターの設置やコラボレーショングッズのプレゼントなどを行う。コラボレーションメニューは「朱美ちゃんの白湯豚しゃぶしゃぶ」「細貝さんの昭和あったかおでん」の2種類で、どちらも食べ放題となる。「朱美ちゃんの白湯豚しゃぶしゃぶ」は、同コンビが演じるキャラクター「朱美ちゃん」の白い顔をイメージした白湯ダシを使った豚しゃぶしゃぶで、鶏ガラを使用した濃厚な旨みが特長。「細貝さんの昭和あったかおでん」は、同コンビが演じる「細貝さん」の"昭和っぽい風貌"をイメージしたおでんとなる。「白湯豚しゃぶしゃぶ」は「すたみな太郎」「すたみな太郎NEXT」、「昭和あったかおでん」は「すたみな太郎」のディナーのみでの提供で、いずれも「すたみな太郎NEO」では提供しない。発表会には「朱美ちゃん」と「細貝さん」に扮(ふん)した日本エレキテル連合の2人も登場し、「細貝さん」を演じる中野聡子さんは自身とコラボレーションした同社について「攻めた会社だと思いましたよ。私たちを広告に持ってきてくださるこの英断! 」とコメント。コラボメニューのおでんについては「オヤジ1人でもよし、家族でもよし。古き良き日本を思い出す素晴らしい一品でございます」と語った。「朱美ちゃん」を演じる橋本小雪さんはコラボメニューの豚しゃぶしゃぶについて「朱美とろけちゃう! 」と一言。独特の世界観を披露していた。他にも同店では、店舗のQRコードから日本エレキテル連合出演の限定ムービーにアクセスできるほか、店内のパスワードを入力することで公式WEBページからカレンダーなどのコラボグッズもダウンロードできる。また、バスタオルやちゃぶ台セットなどのグッズが抽選で当たるプレゼントキャンペーンも展開する。店頭にはボタンを押すと同コンビの音声が流れるポスターを設置し、小学生以下の子どもがいるグループには「朱美ちゃん」をモチーフにした福笑いもプレゼントする(なくなり次第終了)。また、1月12日までは「すたみな太郎」「すたみな太郎NEXT」にてディナー限定の食べ放題メニュー「熟成黒毛牛中落ちカルビ」も提供。40日間熟成させた豪州産の牛肉で、なくなり次第終了となる。
2015年01月08日日野自動車は6日、千葉県の幕張メッセで9日~11日の期間に開催される『東京オートサロン2015 with NAPAC』に、大型トラック「プロフィア」のカーゴ、および小型トラック「デュトロ」のハイブリッド カーゴとダンプをカスタマイズして出展すると発表した。今回出展する車両は、多くのカスタムパーツと鮮烈なカラーリングでドレスアップし「カッコ良いCOOLなトラック」を提案する。プロフィア カーゴ(FR1EXBG)には、カスタムパーツとしてフロントグリル・ヘッドランプ・ステアリング・シフトノブ・ルーフランプ・ドアトリム・フットランプ・ベッド表皮・アルミホイールを採用し、ボデーカラーとデカールでドレスアップ。デュトロ ハイブリッド カーゴ(XKU605M)は、フロントバンパースポイラー・サイドスカート・シート表皮にカスタムパーツを使用。鮮やかなボデーカラーとデカールが採用されている。デュトロ ダンプ(XZC630T)は、フロントバンパーガーニッシュ・アンダーガード・サイドプロテクター・ミラーカバー・オーバーフェンダー・シート表皮にカスタムパーツを使用。こちらも、鮮やかなボデーカラーとデカールを採用した。
2015年01月06日日野自動車は、小型バス「日野リエッセII」を改良して2015年1月13日に発売すると発表した。今回の改良では燃費を向上させており、110kW(150PS)エンジン搭載車は平成27年燃費基準を達成。110kW(150PS)エンジン搭載のマニュアルトランスミッション車はエコカー減税対象車となり、自動車取得税が60%、自動車重量税が50%の減税となる。客席シートにはELR付3点式シートベルトを、補助席にはELR付2点式シートベルトを標準装備とするとともに、リクライニングの標準化やシート形状の改良により安全性と快適性を向上させている。幼児専用車の幼児用シートについては、シートバックの高さおよび厚さ拡大とシート前パイプ部等への保護パッド装着を実施し「幼児専用車の車両安全性向上のためのガイドライン」に対応した。日野リエッセIIの価格は、110kW(150PS)エンジン+5速マニュアルを搭載し、乗車定員が29人の代表車型(EXグレード)で805万4,640円、110kW(150PS)エンジン+6速オートマチックを搭載し、乗車定員が29人の代表車型(LXグレード)で658万440円(いずれも税込)。
2014年12月26日会社員をやっていれば、誰でも一度や二度は心が折れそうになったことがあるはずだ。性格が合わない上司の下で理不尽を強いられたり、高すぎる目標に追い立てられて疲弊してしまったり、働くことで感じるストレスの例には枚挙にいとまがない。現代社会において働くこととストレスの問題は切っても切り離せない。このようなストレスに対してどのぐらい耐性があるかは人によって大きく異なる。少しのストレスでもすぐに心が折れてしまう人から(僕も明らかにこちら側に属する)、どんなに強いストレスを与えても結果を出し続けるタフな人まで、いろいろな人がいる。外資系投資銀行や戦略コンサルティングファームでハードに働く人たちの多くは、ストレス耐性が非常に高い。僕の知り合いにも何人か投資銀行やコンサルティングファームでハードワークをしている人たちがいるが、彼らのストレス耐性の高さが何に由来するのかは昔から気になっていた。今回紹介する『なぜ、一流の人はハードワークでも心が疲れないのか?』(久世浩司/SPBクリエイティブ/2014年10月/1,300円+税)を読めば、その理由の一端が明らかになるかもしれない。本書は、ハードワーカーのストレス耐性の高さを「レジリエンス」という概念によって説明している。折れない心を身につけたいと思っている人はもちろんだが、「ストレス耐性」って簡単に言うけど何を意味してるんだろう? という疑問を抱いたことがある人も、読めば得るものがあるだろう。○「レジリエンス」とは何なのか多くの人にとって「レジリエンス」という言葉はそれほど聞き慣れた言葉ではないと思うが、実はこの概念が最近注目されつつある。2013年度の「世界経済フォーラム」(ダボス会議)ではこの「レジリエンス」について議論が行われ、NHKの「クローズアップ現代」でも取り上げられた。「レジリエンス」は企業からも注目されており、ロイヤル・ダッチ・シェルやゴールドマン・サックスなどではレジリエンスに関する研修が行われているらしい。全米心理学会の説明によると、レジリエンスとは「逆境や困難、強いストレスに直面したときに、適応する精神力と心理的プロセス」のことを指す。逆境や困難を「避ける」のではなく、「避けられないもの」と捉えたうえで前向きに対処し適応する方法を模索するところが従来のストレスに対する考え方に比べて新しい。本書では、レジリエンスが高い人には以下の3つの特徴があると説明されている。1つ目が「回復力」で、これは逆境や困難に直面してもすぐに立ち直り元の状態に戻れる力のことを指す。2つ目は「緩衝力」で、外的な圧力に対する耐性、いわゆる打たれ強さのことを指している。3つ目が「適応力」で、予期せぬ変化を受け入れて合理的に適応する力のことを指す。このような力をどのような訓練で育めばよいのかを、本書ではいくつかの事例を交えて提案している。○振り返りの時間を持つ重要性レジリエンスを鍛えるためには、3つの習慣を身につけることが必要だと本書は提言している。3つの習慣とは、(1)ネガティブ連鎖をその日のうちに断ち切る習慣、(2)ストレス体験のたびにレジリエンス・マッスルを鍛える習慣、(3)ときおり立ち止まり、振り返りの時間をもつ習慣だ。これら3つの習慣はどれも大切だが、個人的には(3)の振り返りの時間をもつ習慣が1番印象に残った。現代はビジネスの変化が早い時代なので、のんびり振り返っている時間なんてまったくないと考える人は多いかもしれない。しかし、変化が早いからと言ってじっくり考える時間を持たずに、ただ現実に追いつこうと焦るだけではいい意思決定はできないし、レジリエンスも育てられない。本書ではこのような「振り返りの時間」を持つことが、「自分はこれからも今いる『場』にい続けるべきだろうか」という問いかけを発するきっかけになるという点も指摘している。レジリエンスとは理不尽な環境に自分を無理やり適応させるプロセスのことを指すわけではない。「場」(会社員の場合、この「場」とはたいていは"職場"のことを指すだろう)が間違っているというのであれば、「場」を変えることも検討にいれるべきだ。正しい場を選択するところまで含めて「適応」と考えられている点には非常に共感できる。○逆境やストレスを前向きに捉える第一歩に「レジリエンス」という考え方で一貫しているのは、本来はネガティブなものでしかない逆境やストレスを、何らかの形で前向きに捉えようとしている点だ。「前向きに」と言葉にして言うのは簡単だが、実際にやってみると困難は多い。それでも、ネガティブな感情から脱するためにはどこかで前向きになる必要がある。本書が、そうやって前向きになるための手助けをしてくれるかもしれない。日野瑛太郎ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)、『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)がある。
2014年12月26日今はもう新卒で入社した会社にそのまま一生勤め続けるような時代ではありません。会社員をしていて、転職や独立のことを一切考えたことがないという人はもはや少数派でしょう。現時点では積極的に会社を離れることを考えていないという人でも、ある日状況が変化して会社を辞める日が訪れる可能性は十分あります。そういう意味で、「会社の辞め方」は誰もが知っておくべき知識です。ところが、会社の辞め方は入社時のガイダンスでは教えてはくれませんし、社内のマニュアルを漁ってもあまり詳しくは書いていないのが普通です。法律的には原則として2週間前に退職の意志を労働者が事業主に対して表明すれば辞められることになっていますが、このことだけ知っていても具体的にどうやって手続きを進めればよいかはわかりません。僕も以前勤めている会社を辞める際に、どういう手順で事を進めればよいのかわからず少し困った経験があります。会社の辞め方には、暗黙の型が存在します。基本的にはこの型に沿って事を進めていけば円満退職できます。円満退職することは、気持ちよく前に進むためにはとても重要です。「どうせ辞める会社なんだからどんな辞め方だって構わない」と思う人もいるかもしれませんが、退職時に話がこじれてムダなエネルギーを使っても損をするだけです。辞めると決めたら円満退職を第一目標に「大人な対応」で粛々と事を進めたいものです。○一番最初に退職の意思を伝える相手は直属の上司退職の意思が固まったら、最初にそれを伝える相手は自分の直属の上司です。間違っても、いきなり退職届を人事部に提出してはいけません。上司に伝える前に他の同僚などに伝えるのもNGです。外国の場合はわかりませんが、少なくとも日本では直属の上司を最初の窓口にするのが、退職の際の暗黙の型になっています。切り出し方ですが、「お話したいことがあるので、お時間をいただけませんか」といったような言い方をするのがよいでしょう。「相談したいこと」ではなく「お話したいこと」という言い方をおすすめするのは、これが「退職の相談」ではなく「退職の意思表示」だからです。細かいですが、この違いには意味があります。上司に告げる時点で既に退職の意思は固まっているはずですから、本来であれば相談することなどないはずです(もちろん、引き継ぎの方法などは相談が必要なので、そういう意味では相談という表現も正しいのですが)。ここを「退職の相談」にしてしまうと、「辞めようかどうか悩んでいる」という意味に捉えられ、話が慰留の方向に流れがちになり辞めづらくなります。細かいですが、これは「相談」ではなく「意思表示」なんだということを自分でも確認する意味を含めて「お話したいこと」という言い方をすることを僕はおすすめします。○退職の理由をホンネで答える必要はない上司に退職の意思表示をすると、ほぼ間違いなく退職の理由を聞かれます。人それぞれいろいろな退職理由があると思いますが、それを正直に答える必要はありません。特に、ここで会社の不満を口にするのはやめるべきです。言っても意味がないだけでなく、退職日までの人間関係をギクシャクさせるリスクすらあります。どうせ辞めれば不満とはサヨナラできるのですから、「一身上の都合です」とか「個人的な事情です」という形で具体的な退職理由には言及しないようにするとよいでしょう。○転職先や、退職後に何をするかは言わなくても大丈夫また、「辞めた後どうするつもりか?」といった質問も高確率でされると思いますが、これも正直に答える必要はありません。「私個人の問題ですので、お答えしません」とキッパリ言ってしまうのもよいですし、「新しい分野で自分の可能性を試してみようと思っています」といったような前向きかつ曖昧な表現でお茶を濁すというのもよいでしょう。転職先や退職後に何をするかについて会社に話す・話さないの決定権は自分にあります。相手がいくら知りたいと言ってきても、こちらが言いたくないのであれば言う必要はありません。特に言っても問題がなく、積極的に知らせたいと思うのであれば言ってもいいでしょうが、少しでも嫌な予感がする場合は伏せておくのが無難です。○引き継ぎはしっかりと、ただし線引きも必要退職の意思表示をしても、それですぐに次の日から会社に来なくていい、というようにはなりません。普通は仕事の引き継ぎを行うことになります。引き継ぎはいい加減にやるべきではありません。伝えられることは漏れなく伝達し、必要なものはしっかりと文書化します。もっとも、「会社に残っている人に一切迷惑をかけない」というレベルを目指してしまうと、やることは無限に拡大するおそれがあります。そういう意味では「線引き」も必要です。基本的に、退職の意思が受理された時点から「新しく何か仕事をする」ことを要求されたら、それは引き継ぎの範囲を超えています。断っても問題ありません。線引きをした範囲内の引き継ぎをしっかりと行い、気持ちよく前に進みましょう。日野瑛太郎ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)、『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)がある。(タイトルイラスト:womi)
2014年12月12日仕事にプライベートを侵食されることほど嫌なことはありません。せっかくの休みの日なのにトラブルで呼び出されたり、平日にできなかった仕事を自宅に持ち帰って片付けたりしていると、どんな人でも気が滅入るものです。平日に気持ちよく仕事をするためにも、プライベートは死守したいと思っている人は少なくないことでしょう。「仕事とプライベートでしっかりとメリハリをつけたい」というのは、本来であれば当然の要求です。しかし、日本の会社の一部には、このような考え方を嫌う人たちがいます。彼らは若者がプライベートを要求するたびに眉をひそめます。彼らはしばしば、以下のような乱暴な物言いをします。「若いうちはプライベートを全部仕事に捧げてはじめて一人前になれる」「見習いのうちはワーク・ライフ・バランスなんて必要ない。必要なのはワーク・ワークだ」「仕事でまだ一人前になっていないのに、プライベートを要求するなんてありえない」はっきり言いますが、これらの言い分は完全に間違っています。プライベートは、仕事で一人前になることではじめて付与されるようなものではありません。人間は仕事のためだけに生きているわけではないのですから、仕事とは別にプライベートの時間があるのは当然です。一人前になってはじめてプライベートが確保できるといったような意見は、人生の最大の価値を仕事に置く考え方から発せられているものにすぎず、結局は社畜の理屈でしかありません。○メリハリのない働き方では仕事の質も低下するそもそも、プライベートを一切考えないような働き方は、仕事の質自体も低下させます。人間は時間が潤沢にあると思うと、ついついそれをギリギリまで使ってしまいます。「この仕事は土日を使って片付ければいい」といったようなプライベートを犠牲にする働き方が癖になってしまうと、結果的に効率の悪い働き方しかできない「仕事ができない人」になってしまうおそれすらあります。仕事の質を担保するためにも、「プライベートを死守する」気持ちはつねに持ち続けなければいけません。プライベートを死守するために、いくつか気をつけておきたいことがあります。今回はそれらを3つ紹介したいと思います。○会社の「外」の人間関係を大切にするまず1つ目は、会社の外の人間関係、つまりプライベートの人間関係を大切にすることです。たまにプライベートでも会社の同僚とばかり遊びに行っている人を見かけますが、これはあまり褒められたものではありません。会社の人とはどうせ仕事でたくさん会うのですから、プライベートでは会社の外とのつきあいを広げることを優先すべきです。特に意識をしていないと、人間関係は会社の内側に閉じこもりがちになります。大学時代の友人とも気づくと疎遠になり、同期や同僚とばかりつるんで休みの日まで仕事の話ばかりするようになってしまいます。そうならないためにも、会社の「外」への人間関係は意識して伸ばしていかなければなりません。○自宅では仕事のメールを見ない2つ目は、自宅では仕事のメールを見ないように気をつけることです。今は自宅でも仕事のメールを見られるような環境を整備している会社が多いので、ついつい帰宅後や休日もメールが気になって見てしまう人が少なくないようですが、これはおすすめできません。これをすると、メリハリがなくなってしまうからです。見るのもよくないのですが、それ以上によくないのがプライベートの時間を使って返信をしてしまうことです。このように休日にメールをやりとりしていると、周囲から「あの人は休日も関係なく働いているんだ」と思われてしまいます。いったん周囲からそう思われてしまうと、本当に休日に仕事を振られたりするおそれがあります。そうなったら悲惨です。むしろプライベートの時間は一切仕事のメールを返さずに、「あの人はプライベートを大事にしている」というキャラを確立したほうが、ヘンな仕事を振られずに好都合なのでそちらを目指すべきでしょう。○会社の近くに住みすぎない3つ目は、会社の近くに住みすぎないことです。会社の近くに住めば通勤時間が短縮されていいようにも思えますが、自宅があまりにも会社の近くにありすぎると「生活が仕事の延長」になりがちです。終電という概念がないので逆に働き過ぎてしまったり、何かあった時に真っ先に会社への呼び出し候補にされてしまいます。時間短縮のために会社の近くに住んだのに、逆に会社にかける時間が増えすぎてしまったという例を僕はいくつも知っています。わざわざ通勤が大変な遠方に住む必要はもちろんありませんが、仕事とプライベートの線引ができる程度には会社から離れた場所に住むことを僕はおすすめします。日野瑛太郎ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)、『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)がある。(タイトルイラスト:womi)※毎週金曜更新
2014年12月05日イオンは、11月20日にグランドオープンした東京都日野市「イオン多摩平の森」店内に、フランスでNo.1の人気を誇る冷凍食品スーパー「ピカール」のコーナーを日本で初めて導入した。同店への導入を皮切りに、2014年内に首都圏の総合スーパー「イオン」「ダイエー」9店舗に展開する。○フランス人の好きな食べ物ブランド4年連続第1位「ピカール」を販売「ピカール」は、フランスのほかイタリア、ベルギーなどに約1,000店舗展開し、野菜や肉料理・魚介類からパン・デザートまで、自宅で調理に手間のかかる料理を冷凍食品として提供。同国では、食事の準備の手軽さやおいしさなどから家庭での食事の他ホームパーティーなど、あらゆる"食"のシーンで利用されており、フランス人の好きな食べ物ブランドで4年連続第1位を獲得するなど、同国の生活にはなくてはならない存在になっているという。今回の商品は、前菜・メインディッシュ・デザートなど、フランスで人気の商品を中心に約50品目品をそろえている。ユーザーの意見をもとに品ぞろえなどを検証、2016年にはフランスと同様に路面店を展開し、日本における冷凍食品販売のビジネスモデル確立を目指す、としている。代表商品としては、前菜が、トマトとバジル、ヤギのチーズなど4種類のミニパイが40個入った「4種類のミニパイ」(799円・税込)。メインディッシュは、そのまま焼くだけでソテーができるフランス産のフォアグラのスライス「フォアグラのスライス」(2,160円・税込)。デザートには、トロけた柔らかいチョコレートがケーキの中から出てくる新感覚のチョコレート「モアローショコラ」(756円・税込)などとなる。
2014年11月28日上司・先輩のようないわゆる「上の立場」の人の意見に納得することができずに、モヤモヤした気持ちを抱えた経験はないでしょうか。こういう時に即座に反論できる人ならいいのですが、相手が上司や先輩だとどうしても気後れしてしまって、何も言い返せずに終わってしまうという人が少なくないと思います。一部では「上司の言うことは絶対服従」、「上司が『カラスは白い』と言ったら、『はい、まっ白です』と賛同しろ」なんていうひどいビジネス格言も出回っているようですが、これは間違った考え方です。上司や先輩は確かに「上の立場」であることには違いありませんが、別に全能というわけではありません。当然ながら間違ったことも言うはずです。些細な間違いであれば放っておけばいいのですが、間違いを指摘しなかったばっかりに、相手だけでなく自分や組織全体が不利な状況に陥ってしまうこともあります。「反論を一切しない」ことのリスクはバカにできません。相手がどんな立場であろうと、反論すべき時にはしっかり自分の意見を伝える必要があります。これができないと、最悪の場合上司や先輩の命令に唯々諾々と従うだけの「奴隷社員」になってしまうおそれさえあります。○会社で「言われっぱなし」の人は損をする基本的に、会社では「言われっぱなし」の人は損をします。その場その場の状況だけで考えると、反論をしなければ相手の機嫌を損なうことがないので安全なように思えますが、どんな時でもつねにそういう態度でいつづけると、いつしか「あいつは何を言っても反論しない」「どんな理不尽なことを押し付けても文句を言わない」という印象が形成されてしまいます。つまり、上司や先輩からナメられてしまうわけです。いったん会社でナメられてしまうと、相手の要求は際限なく加速し、内容もどんどん理不尽なものになっていきます。上司や先輩に対して攻撃的な態度をとる必要はまったくありませんが、受け身すぎてもいけません。上司や先輩とは「言いすぎ」でもなく「言われすぎ」でもないような、ニュートラルな人間関係を築くよう心がけるのがおすすめです。上司が「あいつにいい加減なことを言うと怖いんだよなぁ」と思うような部下になれると、一番気持ちよく働けます。○相手に敵意がない場合は、尊敬の気持ちを忘れずに反論する反論をする際には、2つのシチュエーションがありえます。1つ目は、まっとうに意見具申をする場合です。たとえば、上司があなたに「今やっている仕事は後回しにして、◯◯という仕事を至急やってほしい」と指示してきたとします。ところが、あなたは今やっている仕事のほうが優先度も緊急度も高いと考えており、上司の指示してきた仕事を至急やる必要がなぜあるのか理解できませんでした。これはつまり、仕事の優先度・緊急度の認識が上司とあなたで噛み合っていないわけです。このような時には、「わかりました」と何も考えずに引き受けるのではなく、なぜそのような優先度になったのか上司に一度聞いてみるべきです。上司の説明次第では納得することもあるでしょうし、逆にあなたが正しくて、上司が優先度を考えなおすこともあるでしょう。この場合、上司は別にあなたに敵意があるわけではありませんから、反論をする際には相手に対する尊敬の気持ちも忘れてはいけません。「なんで今それをやる必要があるんですか?」とキレ気味に反論するのではなく、「ちょっと背景が理解できていないので、優先度変更の理由を説明していただけますか?」といったようにあくまでニュートラルに意見を言うようにすべきです。敵意がない相手については、「言いすぎ」でもなく「言われすぎ」でもない言い方を考えましょう。○不遜な相手には、時にはキレることも必要一方で、明らかに不遜な態度で部下や後輩に接してくる上司・先輩もいます。2つ目のシチュエーションは、このような不遜な態度に対して反論をする場合です。このように相手が敵意を持って接してくる場合は、こちらもある程度強い態度で出るべきです。ポイントになるのは、「越えてはいけないライン」を絶対に越えさせないことです。たとえば、上司があなたに仕事上の指示や意見を超えて「お前は使えないやつだ」「お前のようなクズは今すぐ辞めろ」といったようなパワハラまがいのことを言うようであれば、それは明らかに「超えてはイケないライン」を超えています。相手がラインを越えてきた場合には、あえてキレることをおすすめします。相手が不適切な発言をした瞬間に「失礼ですが、クズとはなんですか? あなたにそこまで言う権利はないんじゃないですか?」とスイッチが入ったように態度を豹変させると、こちらのペースに巻き込むことができます。もちろん、継続的に相手からこのような不適切発言がなされるようであればそれは正真正銘のパワハラですので、証拠を集めて内外の相談機関などに相談する可能性も視野にいれるべきでしょう。日野瑛太郎ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)、『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)がある。(タイトルイラスト:womi)※毎週金曜更新
2014年11月28日世の中には、自慢話や自分の武勇伝を語るのが大好きな人たちがいます。極々たまに聞かされるというのであれば素直に関心することもあるかもしれませんが、いつもいつも自慢話ばかり聞かされているとさすがにうんざりしてきます。こういった「自慢話が大好き」な人たちとは極力関わらないようにしておくのが精神衛生上一番よいのですが、たとえば自分の上司や先輩がこのタイプだった場合には邪険に扱うわけにもいきません。「もうその話は何度も何度も聞きました! とりあえず黙ってください!」と心のなかでは叫んでいても、現実にはそんなこと言えるはずがありません。結局は、自慢話が終わるまでじっと耐え忍ぶことになります。こういった上司や先輩の自慢話から逃げられないことが、大きなストレスになっているという人も意外と多いのではないでしょうか。こういったストレスを軽減するためには、自慢話ばかりする人への対処法を学ぶのが近道です。○自慢話ばかりする人はかわいそうな人そもそも、なぜ彼らは機会さえあれば自慢話ばかりしようとするのでしょうか。ポイントになるのは自尊感情(自己肯定感)です。自尊感情は仕事や生活に前向きに取り組むためには欠かせないものです。自分のすることに自信が持てる人は、仕事でもプライベートでもよい結果を残しやすいですし、余裕が生まれ他人にも気を配ることができます。自分に自信がある人は、自分がどんなすごいことをしたとしてもそれを自慢話としてしつこく語るようなことはありません。わざわざ自慢話をして他人から褒めてもらわなくても、自分で自分を肯定できているからです。一方で、自尊感情が低い人の場合、「自分はすごい」「自分は他の人よりも優位である」ということを他者を通じて確認する行為が必要になります。そのため、何度も何度も自慢話をすることになります。自慢話ばかりする人は、結局は自分に自信がないのです。そういう意味では、自慢話ばかりしている人は「かわいそうな人」だと言うこともできるでしょう。○さっさと昇華させて次の話題に進めるのが正解このように、自慢話は結局は自信のなさの裏返しですので、相手が自慢話をしようとするのを露骨に嫌がって反発するのは相手の自尊感情をさらに傷つけることになり、逆効果です。「その話は前にも聞きましたよ」なんて正直に言おうものなら、相手の自尊感情はズタズタになります。ヘタすれば復讐として仕事上で不利益な扱いを受けることになるかもしれません。ここで必要なのはやはり大人の対応です。自慢話が始まってしまったら、自慢話を切り上げさせるのではなく一秒でも早く最後まで話してもらうことを目指すとよいでしょう。合いの手をいれる場合には「それでどうなったんですか?」「早く先を聞かせてください」といったように自分がその話に強い興味を抱き、早く続きを聞きたいと思っているように振る舞えれば相手は喜んで先を話してくれます。こうやって相手の自尊感情さえすばやく満たしてしまえば、話題は他のものへと進みます。このように、自慢話には「褒めておだててサッサとその話題を終わらせる」ように対処するのが王道です。○それでもイライラしてしまう人へそうは言っても、相手が自慢話をするのはイライラするしモヤモヤするという人もきっといることでしょう。そういう人は次のようなやり方で自慢話に接してみるといいかもしれません。1つ目のやり方は、「哀れみの気持ち」を持って自慢話を聞くことです。前述のように、自慢話をする人は基本的に自分に自信を持つことができない「かわいそうな人」です。会社で自慢話ばかりしているあの上司も、もしかしたら家庭では奥さんや子供からも疎まれ続けていて、会社で自慢話でもしないことには自分を維持できないのかもしれません。このように「ああ、かわいそうだなぁ」という哀れみの気持ちを持って自慢話を聞くようにすると、不思議とイライラやモヤモヤも湧いてこないものです。2つ目のやり方は、自慢話をする人を「観察」してみることです。自慢話のレパートリーにはどのようなものがあるのか、朝・昼・晩ではいつが一番自慢話がなされる頻度が高いのか、今月に入ってからこの話が出たのは何回目か、相手が男性か女性かで自慢話の内容に変化はあるかなど、科学者にでもなったつもりでアレコレと観察して傾向を研究してみるとイライラせずに自慢話を楽しむことができます。「そろそろあの自慢話が来そうな気がする……!」と予想できるようになれば、かなりのものです。いずれのやり方も、自慢話をする人よりも心理的に一段上がった状態で自慢話を聞くようにするという点が共通します。自慢話をする人と同じレベルに立ってまともに相手にしようとするから、イライラしたりモヤモヤしてしまうのです。自慢話をする人とは同じレベルに立たないことが、自慢話で心を乱されないためのコツです。日野瑛太郎ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)、『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)がある。(タイトルイラスト:womi)※毎週金曜更新
2014年11月14日毎日毎日残業ばかりで、平日にはほとんど自分の時間を持つことができない、と悩んでいる人は多いのではないでしょうか。夜にオフィス街を歩くと、22時、23時になっても煌々と明かりが灯っているビルを多く見つけることができます。終電で、仕事帰りらしきサラリーマンがぐったりしているのを見ることも少なくありません。これらのことからも、毎日遅くまで残業をしている人たちが数多くいるであろうことがわかります。統計によると、日本人の一般労働者は年間約2000時間ほど働いているようです(日本生産性本部『日本の生産性の動向 2013年版』より)。これは国際的にも高めの数字です。もっとも、この数字にはサービス残業は含まれていませんから実際にはもっと多いと考えたほうがよいでしょう。「残業なんてほとんどない」と言える日本人は、あくまで少数派です。○長時間働いているが生産性はものすごく低い問題なのは、こんなにも長時間働いている人が多いにも関わらず、必ずしもその残業が報われていないということです。前述の日本生産性本部の調査資料によると、日本人の1人あたり労働生産性はOECD加盟国34か国中21位と非常に低水準です。つまり、日本人はたくさん働いてはいるが生産性はものすごく低く、残業が仕事の成果に直結していないのです。これは実感としてもよくわかるのではないかと思います。毎日深夜まで残業している人の多くは、あまり効率のよい働き方をしていません。人間の集中力はそんなに長く続きませんから、朝からずっと働き続ければ当然夜にはフラフラになり作業効率は激減します。中には、朝出社した時点でもう定時に退社することはあきらめて、ダラダラと仕事をしながら深夜まで会社に残っているような人までいるようです。これでは生産性が上がらないのもあたりまえです。○人間は締め切りギリギリまで時間を使ってしまう基本的に、「今日は別に定時に帰れなくてもいいや」というあきらめの気持ちが生じた時点で、もうその人は定時に帰ることはできません。これはイギリスの政治学者シリル・ノースコート・パーキンソンが提唱した「パーキンソンの法則」(第1法則)を適用して考えてみるとよくわかります。パーキンソンの法則とは、「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」(第1法則)というものです。たとえば、まったく同じ仕事でも「3日でやってください」とお願いすれば3日間かかり、「1週間でやってください」とお願いすれば1週間かかってしまうというわけです。どんな仕事であっても人間は締め切りギリギリまで時間を使ってしまう、と言い換えてもいいかもしれません。「今日は絶対に残業しないで定時に帰る」と決意している人にとって、締め切りは定時の夕方ということになります。一方で、「今日は別に定時に帰れなくてもいいや」と残業を受け入れている人にとって、締め切りは残業することを見込んだ深夜です。パーキンソンの法則によれば、仕事の量は締め切りまでの時間すべてを満たすまで膨張します。「今日は絶対に残業しないで定時に帰る」という覚悟で仕事をしている人は定時に帰れるかもしれませんが、「残業してもいい」と残業を受け入れている人は、自らの予想どおりしっかりと残業をしてから帰ることになります。このことから、残業をしないために大切なことは、定時という締め切りを自分でしっかりと設けそれを守ろうと努力することだということがわかります。「定時に帰る」意志がない人は、定時に帰ることはできません。「終電までに帰れれば別にいいや」というような気持ちでは、本当に終電でしか帰れなくなります。○残業の有無で人を評価するのは完全に誤り誰だって本当は残業をしたいなんて思ってはいないはずです。それでも残業をしてしまうのは、「遅くまで働いていると上司のウケがいい」「自分だけ残業をせずに帰るとサボっていると思われてしまう」といったように、残業と評価が結びついていると感じていることにあるのではないでしょうか。現実問題として、たしかにこのように残業の有無によってその人を単純に評価しようとしている職場は存在します。しかし、それは評価の方法としては間違っています。残業で人を評価するのは、仕事の「結果」ではなく「姿勢」を評価していまっている点で完全に誤りです。このような勘違いの結果、日本人は「たくさん働いているのに、生産性が低い」国民になってしまったのです。「たくさん働いているのに、生産性が低い」国民を脱するためにも、「残業しないで定時には帰る」という意志は忘れずに持ち続けたいものです。日野瑛太郎ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)、『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)がある。(タイトルイラスト:womi)※毎週金曜更新
2014年11月07日会社に就職すると、学生時代とは比べものにならないくらい「責任」という言葉に接する機会が多くなります。「学生と社会人の違いは、責任の違いだ」という持論を展開する人に以前遭遇したことがありますが、これはある側面においては事実だと言えるかもしれません。会社で働くということは、労務を提供してその見返りとして給料をもらうことなので、もらってる給料にふさわしいだけの労務をきちんと提供する責任が生じます。割り当てられた仕事を放り投げてサボってばかりいたとしたら、「無責任だ」と批難されるてもしかたがないでしょう。もっとも、この「責任」はどこまでも背負わなければならないものではありません。経営者ならともかく、一介の雇われ従業員の立場であれば、少なくとも給料にふさわしいだけの労務を提供すれば十分に責任は果たしていると言えます。巷では「社会人は自分の責任をしっかり果たさなければいけない。学生気分ではダメだ」ということを言う人が多いですが、僕の見た限りでは、ほとんどの人は給料にふさわしいだけの責任を十分に果たしています。むしろ、本来であれば背負わなくてもよいはずの責任を背負いすぎて、それでつぶれかけている人のほうがはるかに多いのではないでしょうか。○失敗した新規事業に関わっていた友人の話例えば、僕の大学時代の友人にこんな人がいます。彼はとあるインターネット系の会社に就職したのですが、入社時からずっと新規事業に関わりたいという思いを抱いていました。思いが通じたのか、入社して数年後についに新規事業の立ち上げを行う部署に異動になります。希望が叶った彼はそこで精いっぱい働きました。そしていよいよ新規サービスがリリースされる日が来たのですが、いざリリースしてみると初動の数字は計画を大きく下回り、半年ほどさまざまなテコ入れ策を試したものの効果がなく、結局そのプロジェクトは解散することになりました。ここまではまあよくある話だと思うのですが、問題はその彼が新規事業の失敗に大きな「責任」を感じていたことです。彼は何度も何度も「会社に申し訳ない」と言っていました。自分が関わったサービスが失敗したことを残念に思う気持ちはよくわかるのですが、「会社に申し訳ない」とまで思ってしまうのは、明らかに行き過ぎです。○新規事業に失敗しても従業員に責任はないそもそも、新規事業の成功・失敗は、現場の働き以上に経営者の意思決定によるところが大きいものです。そういう意味では、失敗の責任は従業員ではなく経営者にあると言えます。現場の従業員は、経営者が立てた方針に従って自分たちがなすべき仕事をしていた以上、責任は十分に果たしています。彼も仕事をサボっていたというならともかく、立ち上げのために精いっぱい働いていたわけですから、「会社に申し訳ない」などと責任を感じる必要性はまったくありません。経営者が背負うべき責任を従業員が背負ってしまうと、働き方は容易にブラック化します。彼の場合も、部署異動後はほとんど休みも取らずに、ひたすらその新規事業に尽くしていたそうです。このように過度に責任を背負い込む社員がいることは経営者から見れば都合がいいでしょうが、従業員の側から見れば得はほとんどありません。実際、彼の同僚でもリリース後の炎上に耐え切れずに、休職や退職を余儀なくされた人が何人かいたようです。別に新規事業の立ち上げに成功したところで儲かるのは自分ではなく会社なのですから、自分の責任の範囲を一歩引いて見極める姿勢は持っておきたいところです。○有休を取ることも「責任感がない」ことではない他の例だと、「責任」を感じすぎてしまって有給がまったく取得できないという人を見ることがあります。「自分が休んでしまったら、仕事がまわらなくなってしまう」と思ってしまうのです。これも、必要以上に責任を背負いすぎてしまっています。仮に、誰か1人が休んだぐらいで仕事がまわらなくなってしまうとしたら、それは休んだ人が悪いというよりも、そのような人員配置や組織づくりを行った経営者や上司の責任です。繁忙期があって一時的に休めない時期が出てくるというのであればともかく、仕事がまわらなくなることに責任を感じて一年中休むことができないというのであれば、それは責任の背負いすぎです。会社が果たすべき責任を果たしていないという問題を、個人の責任に還元してしまうと、状況は一向に改善しません。○背負い込む責任には必ず一線を設ける「社畜」のような働き方に陥ってしまっている人の中には、責任感が強すぎるという人が多くいます。責任感が強いことは普通は長所ですが、必要以上に責任を背負うことを強要される日本の会社では弱点にもなりえます。背負い込む責任には必ず一線を設け、会社が背負うべき責任まで個人で背負ってしまわないように気をつけましょう。それが結果的に、自分を守ることにつながります。日野瑛太郎ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)、『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)がある。(タイトルイラスト:womi)※毎週金曜更新
2014年10月31日「努力」は重要なことだとよく言われます。成功している人が、大変な努力家であるということは少なくありません。マルコム・グラッドウェルによれば、「天才」と呼ばれる域に達するには、どんな分野でも1万時間ぐらいは練習の時間が必要なのだそうです(いわゆる「1万時間の法則」)。1万時間に達するためには、毎日3時間ずつ練習しても10年、毎日8時間を費やすことができても4年は必要ということになります。これは一朝一夕でどうにかなるようなものではありませんので、この法則が正しいとすれば、やはり継続的な「努力」は重要ということになりそうです。もっとも、会社で仕事をする場合には、安易に努力に走ってしまうのも問題です。僕がまだ会社員をしていた頃、安易に努力に走ってしまったために、連日の残業や休日出勤を繰り返していた同僚を何人か見たことがあります。実際、努力が苦にならない人は、「社畜」になりやすい人でもあるので注意が必要です。○会社での仕事に努力は向かない基本的に、会社での仕事に努力はあまり向きません。これが受験勉強のようなものであれば愚直な努力を続けることでそれに見合うだけの成果が上げられるかもしれませんが、仕事では必ずしも努力が成果に結びつくとは限りません。会社での仕事には多くの「ムダ」がつきまといます。本当はやらなくてもいいような仕事を振られることは少なくありませんし、どうでもいいことばかり何時間も話し合っている会議は山ほどあります。会社は人が何人も集まって仕事をする場所なので、どうしてもコミュニケーションの分だけ仕事は複雑性を増し、ムダが大量に生まれます。そういう場所で成果を上げていくためには、努力よりも「効率」を重視する必要があるのです。問題に直面した時に、安易に努力によって切り抜けようとしてしまうのは、仕事の進め方としては間違った姿勢だと言えます。○「頑張る」ことで「あいつならやってくれる」というイヤな期待が生じるもっとも、日本の会社では必ずしも努力よりも効率を重視した人が評価されているとは言えません。むしろ、多くの会社ではまだまだ「頑張っている」という姿勢だけで周囲からいい評価が受けられるという場合が少なくないでしょう。テキパキと仕事をすばやく片付けて定時退社をする人が「頑張っていない」と非難され、ダラダラと残業をしてからゆっくり退社した人が「いつも遅くまで残って頑張っている」と評価されてしまうような職場は、残念ながらまだまだたくさんあります。「頑張っている」という姿勢だけで周囲から評価を受けられるとすれば、努力が苦にならない人はすぐに「頑張る」ことによって問題を解決しようとしてしまいます。深夜残業や徹夜によって仕事を片付け、時には休日をつぶして働きます。こういう働き方を続けていると、「あいつなら多少は無理なお願いをしてもやってくれる」という周囲の期待のようなものも生まれてしまいます。夜の10時ぐらいに「まだ終電まで時間あるよね?」と言われて新しく仕事を頼まれたり、金曜日の夜に「これ、月曜日までにお願いできる?」とむちゃぶりをされたりするようになります。こういったイヤな期待に応えてしまうと、ますます仕事は集中し、悪循環に陥ります。いずれ完全な社畜に転落してしまいます。○脱社畜には意図的に「怠惰」になることも必要周囲から「あいつならやってくれる」という迷惑な期待をかけられないためにも、会社での仕事で安易に努力をしてしまうのは避けるべきです。そのためには、意図的に「怠惰」になることも必要です。誰でも多かれ少なかれ「めんどくさいなぁ」「やりたくないなぁ」という気持ちを持っていると思いますが、この気持ちを押し殺すのではなく最大限尊重するように心がけましょう。上司から仕事を振られて「やりたくないなぁ」と感じたら、それを我慢するのではなく、「どうすればやらないで済むだろうか」を真剣に検討するべきです。このような気持ちが逆に仕事の効率を高め、時には発明につながります。僕は元々はプログラマーをやっていたのですが、プログラミングの世界には「怠惰は美徳」という箴言のようなものがあります。プログラミングでは、本来ならばやらなくても済んだことにムダに労力をかけることはよくないこととされています。これは別に、プログラミングの世界だけに限ったことではありません。ムダな努力はいかなる場合も避けるべきです。基本的に、努力をするのは最後の手段だと考えなければいけません。安易に努力によって解決しようとせずに、なんとかラクして済ませることはできないか、常に考えることを忘れないようにしたいものです。日野瑛太郎ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)、『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)がある。(タイトルイラスト:womi)※毎週金曜更新
2014年10月24日三浦しをんの人気小説を、瑛太と松田龍平を迎えて映像化した、映画第2作目『まほろ駅前狂騒曲』の初日舞台あいさつが18日、都内で行われ、瑛太、松田龍平、高良健吾、真木よう子、永瀬正敏、大森立嗣監督が登壇した。架空の街・まほろ駅前で、便利屋を営む多田啓介(瑛太)と行天春彦(松田龍平)の奮闘を描く本シリーズ。2011年の映画『まほろ駅前多田便利軒』、2013年の連続ドラマ「まほろ駅前番外地」に続いて、2作目の映画となる『まほろ駅前狂騒曲』では、行天の実娘・はるの子守り代行や、謎の元新興宗教団体の隠密調査など、やっかいな依頼に2人が大苦戦を強いられる。大森監督から、瑛太と真木がやったキスシーンの失敗談の話題が振られると、瑛太が心配そうに「みなさん、爆笑できました?」と会場に尋ねる。観客の拍手のリアクションを聞いて安心した瑛太は「台本ではキスすると書いてあったんですが、シートベルトで引っかかってしまって」と説明。松田が「いや、キスした方が良かった」と突っ込むと、真木も「私もキスされるものだと思っていた。でも、爆笑してもらったのならいいんじゃないかと」と笑顔を見せた。真木は、瑛太と松田の印象について「怖い。凶器みたいな2人だから、懐に入っていったらボコボコにされそう」と脅威を口にすると、松田は「ボコボコにしないですよ」と苦笑い。真木は笑いながら、『さよなら渓谷』(2013年)でも組んだ大森監督の現場ということで「安心して入れました」とも語った。大森監督は、瑛太たち豪華キャストについて「良いものを作ろうとしている人たちなので、撮影は楽しかったです」と感想を述べた後「来週(台湾・高雄映画祭で)台湾にも行ってきますので、本作を日本から世界に広げていきましょう」と、力強く宣言した。
2014年10月19日映画『まほろ駅前狂騒曲』が10月18日に公開を迎え、主演の瑛太と松田龍平、高良健吾、真木よう子、永瀬正敏、大森立嗣監督が新宿ピカデリーで行われた舞台あいさつに登壇した。『まほろ駅前狂騒曲』舞台挨拶その他の写真本作は、元同級生の三十路の便利屋コンビを描く三浦しをんの小説を原作にした人気シリーズの第3弾。行天(松田)の遺伝子上の娘をしばらく預かるという無謀な(?)依頼に加え、まほろ市に進出してきた謎の団体との関係でふたりはまた事件に巻き込まれていくことに…。2011年の劇場版第1作、連続ドラマに続く劇場版の公開を祝し、観客が「おかえりなさい!」で出迎えるサプライズ演出があり、瑛太は「ただいま!」とニッコリ。松田も「ビックリしました(笑)。帰ってこられてうれしいです」と喜びを口にした。舞台あいさつでの瑛太と松田のやりとりは劇中の多田と行天の掛け合いそのもの。公開前のプロモーションで170もの媒体の取材をふたりが受けたことが明かされると瑛太は「今回は凄かったです。ここまでやったのは初めてです」と充実した表情で語るが、そんな瑛太をよそに松田は「“たくさんやりました”アピールって意味あるのかな…? すいません、水差して(笑)」とマイペースに思ったことを口にし会場は笑いに包まれた。足かけ3年にわたりシリーズを紡いできたことについても、瑛太が「龍平とはデビューでも一緒で、その後も共演してきたし、『まほろ』は人生においても大事な作品」としみじみと感慨深げに語るが、松田は対照的に「行天はどんな存在か?」という問いに「仕事ですね」とあっさりした答え。とはいえ、やはり特別な思いもあるようで「(行天という役に対して)客観的になれないところもあるけど、それだけ思い入れがある役ということ」と少し照れくさそうに明かした。さらなる続編を期待しているのはふたりに共通する思いのようで、瑛太が「今後、続けられるかはお客さんにかかっている」と言えば、松田は「(映画、連ドラ、ふたたび映画ときて)この流れだと次はまた連続ドラマかな?」と意欲を口にし、会場は期待を込めた拍手に包まれた。最後に改めてマイクを握った瑛太は『まほろ』シリーズが持つ独特の空気に触れ「こういう映画が日本でたくさん観られるようになってほしい。わかりやすくないものがなかなか受け入れられないところがあるけれど、『まほろ』のようなこういう世界観、人それぞれ捉え方が違う世界観を持つ映画を作れる日本になっていけたらと、俳優部として思っています」と語り、再び会場は拍手に包まれた。『まほろ駅前狂騒曲』公開中
2014年10月18日三浦しをんの小説を基に、瑛太と松田龍平が便利屋コンビ、多田&行天のままならない日々を体現する“まほろ”シリーズ。映画『まほろ駅前多田便利軒』、連続ドラマ『まほろ駅前番外地』に続く第3作『まほろ駅前狂騒曲』について、ふたりが語った。その他の写真完成作を観て「この先も(シリーズが)続いていってもいいんじゃないのかな」と手ごたえを感じたという瑛太。原作にとらわれないオリジナルな内容のドラマ版を経ていたからこそ、「制約がなくなった感じがある」と話す。松田龍平も「自分でもびっくりするくらい、何も考えずに撮影現場にいて、あるときハッと正気に返った(笑)」と、この世界観がいかに自分たちに馴染んでいたかを振り返る。行天の複雑な過去を軸に物語は展開する。行天のナイーヴな部分を気遣いながら仕事を進める多田の姿が微笑ましく、そこからは微細な情緒がこぼれおちる。絶妙なやりとりは、このふたりならではだ。「バックボーンがこうだから、このくらいの距離感で、みたいな思考はもうなかった」と瑛太。本シリーズ以外でも共演作が多く、プライベートでも交流の深い彼らだが、お互いに対してぬるくないリスペクトがある。「むしろ、撮影のときのほうが、プライベートのときより(関係性は)濃いというか。ドラマのときは、多田なのか瑛太なのかわからない、みたいな感じもあった。ただ、友だちだからこそ(共演する上では)馴れ合いみいたいなものが極端に怖いなって。“友だちだから”というノリは嫌だなって。そうじゃないところでやりたいし、そうじゃないところでの瑛太が見たい。そういう欲にいく」(松田)「役や作品が違うと、違った龍平が見れる。感じるものが全然違ってくるんですよね。『ナイン・ソウルズ』のときは、龍平って怖いひとなのかな、俳優として恐ろしいなと感じたけど、行天と向き合うとキャラクターの幅を感じる。たくさんの要素を“入れてる”のか、“作ってる”のかわからないし、人間のいろんな“色”を見ちゃう。もちろん、そこに嘘はないし、龍平がやると芝居が芝居じゃないところまでいっちゃう――“そいつ”になっちゃってる」(瑛太)高め合うふたりの絆は、映画からもしっかり伝わってくる。取材・文:相田冬二撮影:中川有紀子『まほろ駅前狂騒曲』10月18日(土)、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
2014年08月25日「ブラック企業」という言葉は、今や知らない人がほとんどいないぐらい有名な言葉になりました。就活生の多くも「ブラック企業に就職するのは嫌だ」という気持ちで就職活動をしていることと思います。もっとも、「ブラック企業にさえ就職しなければそれで安心」と単純化して考えてしまうのは間違いです。「ブラック企業」という捉え方をする場合、その対象となる最小単位は1つの会社です。しかし実際には、1つの会社の中にもさまざまな部署が存在し、部署によって働き方に大きな差が出ることは少なくありません。世間では優良企業だと言われている会社であっても、その中に「ブラック部署」が存在する可能性は十分にありうるのです。そういう意味で、入社後どの部署に配属されるかは、どの会社に入るのかと同じぐらい重要です。就職先の決定と違って、配属先の決定は会社側に絶対的な決定権があるので新入社員にできることは決して多くはないのですが、それでも可能な限りブラック部署に配属される確率は下げておきたいものです。○配属先決定のプロセス配属先の決まり方は会社によってまちまちですが、一般的には (1)部署側の都合、(2)本人の適性、(3)本人の希望、を勘案して決めるのが普通です。このうち、(1)については新入社員にできることは何もありません。しかし(2)と(3)については、ある程度の「努力」をすることは可能です。具体的には「新人研修」と「配属面談」をうまく活用することです。○まずは部署の情報を集めよう最初にやるべきは、部署について確かな情報を集めることです。入社すると、内定者時代には知り得なかったこともわかるようになります。「◯◯部はすごく雰囲気が悪いらしい」といったうわさも耳にするでしょうし、実際にその部署で働く人がどんな顔をして働いているかを見れば、なんとなくその部署がどんな雰囲気かの察しもつきます。内定者の時に「よさそうだな」と思っていた部署が、実際にはブラック部署だということもあるので、配属先の希望を既に決めているという人も、一度「社内から見て実際にどうか」は確認しておくべきです。実は僕も、入社後の「実態」を見て希望配属先を切り替えた経験があります。入社前、僕はある部署(仮に「A部」としておきます)に配属されることを希望していたのですが、実際に入社してからA部で働く社員がいつも疲れた顔をして働いているのを目撃し、さらには社内でA部は「不夜城」と称されていることを知って、慌てて希望配属先を切り替えました。あのまま突き進んでいたらと思うと、今でもゾッとします。○研修では頑張り過ぎない研修を通じて「ストレス耐性」や「精神力」が高いと人事から判断されてしまうと、それがそのままブラック部署への配属につながってしまう可能性があります。「あの部署は大変な部署だけど、あいつは根性があるからきっと大丈夫だ」と思われてしまうのです。そうならないためにも、新人研修は「ほどほどに」過ごすことをおすすめします。不真面目になりすぎて目をつけられるのは避けたいですが、一方でやる気を出しすぎて「あいつならどの部署に行っても耐えられる」と勘違いされては目も当てられません。例えば、研修の課題のために徹夜をして、会社に泊まりこむなど論外です。研修期間中は「努力・根性」は封印しましょう。むしろ「体力に自信がないからいつもみんなより一足先に帰る」ぐらいでちょうどいいのです。○配属面談では「現実的な希望」を出す配属面談では、必ず希望の部署を伝えましょう。その際には、「現実的な希望」を言うという観点が大事です。あまりにも自分の適性とかけ離れた部署を希望してしまうと、人事も受け入れることはできなくなります。仮に自分が人事でも、自分をそこに配属させることは合理的だと思うような、そんな現実的な希望を根拠と一緒に伝えられるとよいでしょう。希望は1つだけでなく、いくつか出せるとさらに安全度は高まります。1番ダメなのは、「どこでもいいです」と決定を完全に相手に委ねてしまうことです。希望は必ずしもかなうとは限りませんが、言っておけば考慮はされます。言わなければ、考慮のされようがありません。○それでもブラック部署に配属されてしまったら……ここまでやったとしても、やはり配属から「運」の要素を除去することはできません。運悪く自分の望まない部署に配属されてしまうことはありえます。その際にどうすればよいかはとても難しい問題です。解決策は状況に応じて個別具体的な検討が必要ですが、ひとつだけ言えることは「異動の時期までじっと耐えろ」が唯一の正解ではないということです。人生の時間は有限です。時間を無駄遣いしないために、耐えるのではなく自ら違う環境に移る選択をするのも、ひとつの考え方だと僕は思います。日野瑛太郎ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)、『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)がある。(写真は本文とは関係ありません)
2014年07月25日どんな人でも、「自分をよく見せたい」という気持ちは持っているものです。特に就活の面接では、面接官に自分のことを魅力的な人物だと思ってもらうために、多かれ少なかれ話を盛ったり脚色したりする人は多いと思われます。このような態度が一切ダメだ、というわけではありません。話の大筋が事実に基づいているのであれば、多少の脚色はテクニックの範囲内でしょう。もっとも、明らかにすべきではない脚色もあります。例えば、実際は人と話すのがあまり得意ではないのに「人と話すのが好きです」と言ってしまったり、本当はあまりガツガツした性格ではないのに「御社で成長していきたい」と熱く語ってしまったりするのはよくありません。このような無理な「背伸び」は、長期的に見れば自分の首をしめることにつながります。○「意識の高さ」を演じてしまった友人の話僕の学生時代の友人の中にも、内定欲しさについつい「背伸び」をしてしまった人がいます。彼はもともと、そんなにガツガツしたタイプではありませんでした。彼はよく「給料は別にそんなに高くなくてもいいから、ラクな仕事に就きたいなあ」という話をしていたのですが、なんとなくとある有名企業を受けてみたところ、順調に選考を進めていき、最終的には内定を獲得してしまいました。その企業は、給料も高いが激務であることで有名な会社でした。あまりにも彼とその会社のイメージにズレがあったので、僕は困惑しました。どんな態度で面接に臨んだのか聞いてみたところ、彼は周囲の空気に圧倒され、思わず「意識の高さ」を演じてしまったのだそうです。面接官は、最後までそれを「演技」と見抜くことができなかったわけです。迷いに迷った挙げ句、彼は結局その会社に入社しました。同期や先輩社員との「意識の高さ」の違いを埋めることができず、入社後はかなり苦労したそうです。最終的には、彼はその会社を辞めて転職しました。今は比較的、自分にあった働き方ができているようです。○内定はあくまで「はじまり」にすぎない企業側が「コミュニケーション力がある学生が欲しい」、「成長意欲の高い人に入社してもらいたい」などと言っているのを聞くと、ついつい自分の本心を曲げてこのような人物を演じてしまいたくなる気持ちもわからないではありません。もちろん面接官もプロなので、ウソのほとんどは見抜かれてしまうはずです。「英語が得意です」と自己アピールしたところ、「じゃあ、英語で自己紹介してみて」と言われてフリーズしてしまった学生がいた、という話を聞いたことがあります。いくら企業側のニーズに則して「背伸び」をしても、それが実を結ぶことはあまり多くはありません。しかしまれに面接官が「背伸び」に気づかずに内定が出てしまうことがあります。こうなったら地獄です。内定は、あくまで会社とのつきあいの「はじまり」にすぎません。入り口だけ偽ってなんとか社員になることができても、その先には日々の業務が待っています。就活の時に無理な「背伸び」をしてしまうと、入社後もずっと同じように「背伸び」をしつづけなければならなくなります。自分が苦手なこと、本当は好きではないことを業務としてこなしつづけなければならない日々を想像してみてください。きっと地獄のようにつらいはずです。○自然体で行って不採用ならしょうがない大事なことは、「内定のためだから」と言って自分を偽らないようにすることです。会社は「入ってしまえばこっちのもの」と言えるようなものではありません。むしろ、悩みのほとんどは「入った後」にあります。入った後の悩みを少なくするためにも、「苦手なことは苦手」と正直でいることをおすすめします。無理な「背伸び」をして自分に合わない会社から内定をもらうぐらいだったら、自然体でぶつかって不採用になったほうが長期的に見れば幸せです。世の中には、さまざまな会社があります。中にはきっと、自然体の自分を評価してくれる会社があるはずです。そういう会社をさがしましょう。入社後にずっと自分を偽り続けなくてもいいように、就職活動はできるだけ自分を偽らずに自然体で行うことをおすすめします。日野瑛太郎ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)、『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)がある。タイトルイラスト:Womi(写真は本文とは関係ありません)
2014年07月11日