昨年12月に大人計画が旗揚げ30周年を記念してイベント『30祭』を大々的に行ったのは記憶に新しいが、31年目に主宰の松尾スズキが起こした行動は劇団ならぬ“演劇部”の設立だった。「思いかえせば、学生演劇をやっていた頃が一番楽しかったのではないか?」という「自戒のような」思いから、その名は「東京成人演劇部」。部員は松尾のみで、7月4日(木)にザ・スズナリで開幕する第1弾『命、ギガ長ス』は、相手役に安藤玉恵を迎えて贈る二人芝居だ。認知症を抱える母とアルコール依存症でニートの息子。ドキュメンタリー作家とゼミの教授。松尾自身が「演劇をやっていなかったら、東京に来ていなかったらなっていたかもしれない自分を投影させた」作品になるという。大人計画はいまや、日本でも指折りの劇団だ。その主宰たる松尾が突然ちいさな芝居をやることと、ザ・スズナリという劇場から思い出すのは2012年の一人芝居『生きちゃってどうすんだ』だ。転換を繰り返す歌手やゾンビ役者など、クセのある人物を代わる代わる松尾が一人で演じきり、「スズちゃん」という一人の男の人生を浮かび上がらせるという趣向だった。突飛な設定やファンタジックな展開もありはしたが、これもやはり松尾自身が投影されていたものだったのだと思う。「生きちゃってどうすんだ」とつぶやいてから7年、「命、ギガ長ス」とやはり人生の長さを憂う松尾。その作品はどう変化しているのだろう。一人芝居は単発であったが、今回は新たなプロジェクトのスタートだ。“演劇部”と言いつつ、全国5都市をまわり、台湾での上演も決定している。56歳の松尾スズキが、こうして新たな挑戦をする姿を、喜んで享受したい。松尾スズキプロデュース 東京成人演劇部vol.1『命、ギガ長ス』は、7月4日(木)から21日(日)までザ・スズナリにて上演した後、富山、大阪、北九州、宮城、札幌、そして台湾で公演を行う。文:釣木文恵
2019年07月04日12月からスタートする松尾スズキ作・演出舞台「キレイ-神様と待ち合わせした女-」より、出演者8名の撮り下ろしビジュアルとメインビジュアルが公開された。本作は、「大人計画」主宰の松尾さんが2000年に初の本格的ミュージカルとして、Bunkamuraシアターコクーンにて初演し、2005年に再演、2014年に再再演。そして4度目となる今回は松尾さんは出演せず、演出に集中し、濃密で重層的な作品世界を構築する。松尾スズキ作品初出演の生田絵梨花を主人公・ケガレ役に迎えたほか、神木隆之介、小池徹平、鈴木杏、橋本じゅん、皆川猿時、阿部サダヲ、麻生久美子が出演。こちらに向ける眼差しが印象的なビジュアルも到着した。ほかにも、本作には「大人計画」の村杉蝉之介や荒川良々、伊勢志摩、猫背椿、宮崎吐夢、近藤公園に加え、乾直樹、香月彩里、伊藤ヨタロウ、片岡正二郎、家納ジュンコ、岩井秀人らも参加する。併せて公開されたメインビジュアルは、2005年の再演、2014年の再再演に引き続き、寺田克也が本作のために描き下ろしたイラストを使用している。なお、チケットは東京公演が10月5日(土)10時から、福岡公演は11月9日(土)10時から(※博多座チケット売り場は10日から)、大阪公演は10月27日(日)10時から発売スタートする。詳しい日程はぜひ公式サイトでチェックしてほしい。<あらすじ>三つの国に分かれ、100年もの間、民族紛争が続く“もう一つの日本”。その争いのさなか、民族解放軍を名乗るグループに誘拐され、監禁されていた少女が、10年ぶりにソトの世界に脱出する。全ての過去を忘れた少女(生田絵梨花)は自ら“ケガレ”と名乗り、ダイズでできている兵士“ダイズ兵”の死体回収業で生計を立てているキネコ(皆川猿時)、頭は弱いが枯れ木に花を咲かせる能力を持つ少年ハリコナ(神木隆之介)たち“カネコ組”と出会い仲間に加わる。回収されたダイズ兵を食用として加工するダイダイ食品の社長令嬢・カスミ(鈴木杏)と奇妙な友情で結ばれていくケガレ。戦場をうろつき、死体を拾って小銭を稼ぐ、そんな健気なケガレを見守るのは成人したケガレ=ミソギ(麻生久美子)だった。その後、ケガレはカスミの身代わりで背中に銃弾を受け5年間昏睡状態に陥っていたが、目覚めたと同時に、同じく頭に銃弾を受け、頭脳明晰なゲイに変貌した青年ハリコナ(小池徹平)と結婚する。死ぬことに憧れつつもなかなか死ねないダイズ兵のダイズ丸(橋本じゅん)、誘拐・監禁することでしか女性と一緒にいられないマジシャン(阿部サダヲ)らと出会い、過去、現在、未来が交錯する時間のなかで、ケガレは忘れたはずの忌まわしい過去と対決することになる。Bunkamura30周年記念シアターコクーン・オンレパートリー2019+大人計画「キレイ-神様と待ち合わせした女-」は2019年12月4日(水)~Bunkamuraシアターコクーン(東京公演)、2020年1月13日(月・祝)~博多座(福岡公演)、2020年1月25日(土)~フェスティバルホール(大阪公演)にて上演。(cinemacafe.net)
2019年07月03日星野源が歌う「夜のボート」が、松尾スズキが監督・脚本・主演する映画『108~海馬五郎の復讐と冒険~』の主題歌に決定した。今回明らかになった主題歌「夜のボート」は、松尾さんが作詞、星野さんが作曲を手掛けた楽曲で、2008年上演の松尾さん作・演出舞台「女教師は二度抱かれた」で、星野さんと市川実和子が歌った劇中歌だ。今回、星野さんが新たにレコーディングし、主題歌として使用される。星野さんは「松尾さんから、11年前に上演された舞台で僕が作った歌を『映画の主題歌にしたい』と連絡を頂きました。このとんでもない『108』という作品の主題歌にこの哀しい歌を選ぶあたり、松尾スズキ!って感じがしてとても好きです」とコメントしている。また、脚本を書き始めたときからこの「夜のボート」を使用したいと思っていたという松尾さん。特に、主題歌が使われている“衝撃的なあるシーン“には力を入れており、楽曲が流れる様子を想像しながら脚本を書いたそう。なお、「夜のボート」はリリースの予定はなく、本作でしか聞くことができない貴重な楽曲となっている。『108~海馬五郎の復讐と冒険~』は10月25日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:108~海馬五郎の復讐と冒険~ 2019年10月25日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開©2019「108~海馬五郎の復讐と冒険~」製作委員会
2019年07月02日シンガーソングライターの星野源が、映画『108~海馬五郎の復讐と冒険~』(10月25日公開)の主題歌を務めることが2日、明らかになった。同作は「大人計画」主宰・松尾スズキが監督・脚本・主演を務めた映画。名脚本家として成功している海馬五郎(松尾)は、ある日、元女優の妻・綾子(中山)の浮気をSNSの投稿によって知ってしまう。激怒する海馬は妻のSNSに投稿した写真についた108もの“いいね!”の数だけ女を抱くという復讐劇を始める。今回主題歌となったのは、星野が11年前に制作した楽曲「夜のボート」。2008年に松尾スズキ作・演出の舞台『女教師は二度抱かれた』で、出演と全楽曲制作を担当していた星野源が作曲し、市川実和子と歌った劇中歌で、松尾のオファーにより新たにレコーディングする。脚本を書き始めた時から「夜のボート」を使用したいと思っていたという松尾。特に主題歌が使われている“衝撃的なあるシーン“には力を入れており、「夜のボート」が流れる様子を想像しながら脚本を書いたという。同曲はリリースの予定がなく、同作のなかでしか聞くことができない貴重な楽曲となっている。○星野源 コメント松尾さんから、11年前に上演された舞台で僕が作った歌を「映画の主題歌にしたい」と連絡を頂きました。このとんでもない『108』という作品の主題歌にこの哀しい歌を選ぶあたり、松尾スズキ! って感じがしてとても好きです。
2019年07月02日講談社「ヤングマガジン」の大ヒットコミック『カイジ』の映画シリーズ最終章となる『カイジ ファイナルゲーム』が、2020年1月10日(金)より全国東宝系にて公開される。9年ぶりスクリーンへ、カイジが挑む新たなゲーム『カイジ』は、自堕落な日々を過ごしていた、借金まみれのダメ人間・伊藤開司(カイジ)が、様々なギャンブルに挑むことで成長を遂げていく物語。1996年より講談社「ヤングマガジン」にて連載が開始され、シリーズ累計発行部数2,100万部を超える大ヒットコミックだ。連載開始から23年たった現在でも「ヤングマガジン」の読者ランキング上位を誇る。映画シリーズとしては、主演に藤原竜也を迎えて、2009年の第1作目『カイジ 人生逆転ゲーム』、2011年の『カイジ2 人生奪回ゲーム』が公開されている。そして『カイジ ファイナルゲーム』はこれら作品に続く最終章。引き続き藤原竜也主演で、9年ぶりとなる新たなゲームが幕を開ける。原作者・福本伸行が考案、完全オリジナル脚本監督は、過去2作でもメガホンを取った佐藤東弥が務め、『カイジ』の強烈な世界観を再びスクリーンに甦らせる。また、『カイジ』シリーズの象徴といえば「限定ジャンケン」「鉄骨渡り」「Eカード」「沼」などの斬新なゲームだが、最終章では、原作者・福本伸行自らが脚本に携わり、オリジナルストーリーを考案。原作にはない全く新しい4つのオリジナルゲーム「バベルの塔」「最後の審判」「ドリームジャンプ」「ゴールドジャンケン」が登場する。藤原竜也ほか、福士蒼汰、吉田鋼太郎ら豪華俳優陣カイジ役、主演は藤原竜也これまでの『カイジ』シリーズ全作品で主演を務めてきた藤原竜也が、『カイジ ファイナルゲーム』でも主演を務める。藤原は9年ぶりの実写『カイジ』シリーズ公開決定に際して次のようにコメントを寄せた。「日常ではなかなか経験できない世界を描いていて、日頃抱えている社会に対する想いなどを代弁者のようにスッキリ見せてくれるのが「カイジ」。今回も原作の福本さんの世界観を見事に表現してくれていて、度肝を抜かれました。一般的なレベルの温度での芝居をしていたら「カイジ」の世界では通用しないので、脳みそが疲れて大変でしたが(笑)、新キャストの方々のいろんな才能と交われたのが非常に面白かったです。今回は展開が盛りだくさん。ここまでやっていいのかってぐらいてんこ盛りなので、ぜひ期待して観に来て欲しいです。」豪華新キャストにも注目最終章にふさわしい豪華な新キャスト勢にも注目。『BLEACH』『ザ・ファブル』など数多くの作品で注目を集める俳優・福士蒼汰に加えて、新田真剣佑や関水渚ら若手俳優陣も新たな“カイジ・ワールド”の参加者となる。<新キャスト>福士蒼汰:総理秘書でゴールドジャンケンを得意とする高倉浩介関水渚:カイジに協力するヒロイン桐野加奈子新田真剣佑:大富豪・東郷の秘書・廣瀬湊吉田鋼太郎:カイジが所属する派遣会社の社長であり、“日本の派遣王”と呼ばれる黒崎義裕山崎育三郎:高倉の部下・西野佳志瀬戸利樹:カイジと共に「バベルの塔」に参加する菅原太一過去作に登場した“カイジファミリー”も再び参戦新キャストに加えて、今作では過去シリーズに登場した天海祐希、松尾スズキ、生瀬勝久らも登場する。天海祐希:1作目にも登場した、帝愛グループの幹部・遠藤凛子松尾スズキ:帝愛地下帝国で囚人たちの“ハンチョウ”大槻太郎。1作目にも登場。生瀬勝久:2作目で帝愛グループの裏カジノのパチンコ「沼」攻略の協力者として登場した坂崎孝太郎【作品詳細】『カイジ ファイナルゲーム』公開日:2020年1月10日(金)原作:「カイジ」(福本伸行/講談社ヤンマガKC刊)キャスト:藤原竜也・福士蒼汰・関水渚・新田真剣佑・吉田鋼太郎監督:佐藤東弥脚本:福本伸行徳永友一配給:東宝
2019年06月03日松尾スズキが初めて監督・脚本・主演を全て務める映画『108~海馬五郎の復讐と冒険~』。“いいね!の数だけ女を抱いて復讐”という前代未聞のR18映画に、中山美穂、坂井真紀、大東駿介、LiLiCoらが出演することが分かった。本作は、名脚本家として成功している海馬五郎が、ある日、元女優の妻・綾子の浮気をSNSの投稿によって知ってしまったことから、“いいね!”の数だけ女を買いまくる、煩悩丸出しで前代未聞の復讐劇。そんな海馬の妻で元女優の綾子を、近年では「黄昏流星群 人生折り返し、恋をした」が話題となった中山美穂が演じることが決定。“ドクタースネーク”というコンテンポラリーダンサーとの2ショット写真をSNSに投稿したことがバレ、海馬を激怒させてしまう綾子。不思議な魅力を放つ年下ダンサーに身も心も奪われていく綾子を大胆に演じ、大人の魅力をたっぷりと披露する。「松尾監督がこの作品を構想中の頃、咄嗟に私に演らせて下さいと申し出てしまったのです」と自ら手を挙げたという中山さん。「監督は実現できるかどうかと笑いながら仰っていましたが、それから1年待たずに私達は撮影に挑んでいました。楽しくて仕方のない現場でした」と撮影をふり返り、「とにかく笑える内容です。そしてせつない。私に演らせて頂けたことに感謝しています」と作品についてコメントしている。また、海馬のプレイボーイの友人・糸井役に、劇団「ハイバイ」を軸に劇作家、演出家、俳優として活動する岩井秀人。海馬の友人でパニック障害持ちの女優・砂山を、紀伊國屋演劇賞などを受賞し名だたる演出家から厚い信頼を寄せられる秋山菜津子。岩井さんは「メジャーな作り手の誰もかれもが『コンプライアンス』を気にし、テレビの前の主婦までもが『この表現、誰かに文句言われないのかしら?』と呟くようなご時世に、『よくぞこんな映画を作った!』と言われることでしょう。でも本来『表現』って、『ワレワレの外側』にあるものに手を伸ばすためのものなのだし、そのことを思い出させてくれる作品です」と映画についてコメント。秋山さんは「撮影が終わって『この映画を秋山さんの代表作にして下さいね。』と松尾監督に言われたんですけど…嬉しいようなちょっと複雑な気分でした。あ、観て頂ければ分かると思うんですけど(笑)」と語っている。そして、海馬の妹役を坂井真紀。海馬に綾子の動向をリークし続ける売れない女優役に、ドラマ「3年A組-今から皆さんは、人質です-」に出演した堀田真由。復讐計画に手を貸すド派手なホスト役に、「新・ミナミの帝王」『曇天に笑う』の大東駿介。自分の価値を絶対に落としたくない高級風俗嬢役に『リバーズ・エッジ』の土居志央梨。そのほか、栗原類、LiLiCo、酒井若菜、福本清三、乾直樹、オクイシュージ。さらに宍戸美和公、村杉蝉之介といった「大人計画」お馴染みの俳優陣も参加する。『108~海馬五郎の復讐と冒険~』は秋、全国にて公開予定。(cinemacafe.net)■関連作品:108~海馬五郎の復讐と冒険~ 2019年秋、全国にて公開予定©2019「108~海馬五郎の復讐と冒険~」製作委員会
2019年05月16日松尾スズキをはじめ「大人計画」の全員が出演する特番「朝まで『大人計画テレビ』~松尾スズキと25人の仲間たち~」の収録が先日行われ、その模様を写した写真が到着。番組内容も明らかになった。30周年を迎えた超人気集団「大人計画」の魅力を、6時間10分のノンストップで放送する本番組では、「平成を貫いた“劇薬”~笑いに懸けた30年の歩み~」と題し、全6章に渡り、大人計画30年のレアな映像を交えながら、各メンバーが笑いと共に当時を述懐していく。NHKアーカイブスより彼らの貴重な番組を届ける「大人計画 名作選」では、「トップランナー」や2006年に行われた「大人計画フェスティバル」の模様などを含む当時話題になった番組を放送。加えて、メンバーが「松尾スズキ・ランキング」や「お互いに聞きたいこと」をゆるやかに発表するミニコーナーや、全メンバーによる事前アンケートをもとにした「朗読コーナー」、大人計画の魅力を様々な角度から探る「大人計画データ」のコーナーなど濃厚なラインアップとなっている。先日行われた「大人計画」の全員が初めて一堂に会したこの特番の収録では、貴重なトークが展開され、スタジオは彼らならではの空気、そして穏やかな笑いに包まれていたという。「大人計画」主宰・松尾さんは「みんなが集まる機会なんて、本当に滅多にないのに、(舞台本番後の収録で)こんなにくたびれていて、感動もままならなくて、でもそれが大人計画らしいなっていうか、いつもなんかこう、形が完璧じゃないんですよ」と収録を終えた感想を語る。また30年をふり返る昔の映像を見て、「ひたすら恥ずかしかった」と話す松尾さん。「やっぱり、自意識がギラギラ見えちゃって。でも、それを見返す機会は多分もう無いだろうから、そういうのも含めて、肝に銘じました。自分のなりふりというのが、永遠に残るんだって」といい機会だったとコメント。そして「トークでテレビに出たいとかいう欲は、もうそれほど無いんですけど、それが縁じゃないともはや集まれないし。本当に、次は法事かなって、思いますけど」と冗談を言いつつ、「節目にこの機会、ありがとうございました」と特番放送に感謝した。なお、番組のタイムテーブルなどが後日公開予定だ。「朝まで『大人計画テレビ』~松尾スズキと25人の仲間たち~」は3月31日(日)22時50分~BSプレミアムにて放送。(cinemacafe.net)
2019年03月13日今年1月25日に30歳を迎えた女優・多部未華子が、演じ、歌い、トークする2日間限定の特別公演「MIKAKO30~多部の素~」を5月に開催することが分かった。多部さんが“かねてからこれまで応援してくれた人たちと特別な時間を過ごしたい”という想いから企画したこの公演。「大人計画」の松尾スズキが書き下ろし、「デカワンコ」や舞台「農業少女」などで共演した俳優・吹越満を共演に迎えた、この日だけのオリジナルストーリーの“二人芝居”を上演するほか、総合演出にはノゾエ征爾を招き、トークあり、歌もありの、ここでしか見られない多部さんの魅力が凝縮された特別な時間をファンと過ごす。現在、母親役を演じた『トラさん~僕が猫になったワケ~』が公開中、これまで多数のドラマや映画、舞台、CMで活躍し、今後の公開待機作には『多十郎殉愛記』『アイネクライネナハトムジーク』がある多部さん。今回、30歳記念特別公演を開催するにあたり、「15歳からお仕事をはじめ、山あり谷ありでしたが、なんとかここまで運よくやってこれました。そこで、これまで応援してくださった皆々様に感謝の気持ちや素のわたしをお見せすべく(みんなが見たいかは別として)、わたしの生まれ故郷である西東京市のこもれびホールで特別公演することになりました」とこれまでの女優人生をふり返りつつ、この度の開催決定を報告。公演内容については「わたしのお父さん的存在、吹越満さんとの2人芝居や、皆様からいただいたリクエストをもとに、たくさんのステキなスタッフさん協力の元、中身が詰まった内容をお届けできるかと思います」と言い、「後にも先にも、わたし、これやりたいです!と自ら意見を言ったのは、“探偵ナイトスクープに出たい”と言ったことと、“30歳。応援してくださった方に直接お会いしたい”この2つだけです。自発的になにかやりたいと思うことも、それを実現させることも、なかなか今後生まれないでしょうから、ぜひ、この機会に皆様にお会いできたら嬉しいなと思います」とコメントしている。「MIKAKO30~多部の素~」は5月1日(水)・2日(木)、保谷こもれびホール 小ホールにて開催。(cinemacafe.net)
2019年02月25日松尾スズキ、松たか子、瑛太をはじめとする豪華キャストが、岸田國士戯曲賞受賞の作家・岩井秀人が1年ほどかけて書き上げた台本に挑むことで注目を集める音楽劇『世界は一人』が2月24日、幕を開けた。なお、本作の音楽・演奏はミュージシャンの前野健太が手がけ、実際に舞台上に前野が登場・演奏することも話題だ。環境汚染が進んだ海のそばの街で生まれ育った、小学生からの幼馴染である森吾郎(松尾)、田辺美子(松)、佐々木良平(瑛太)を中心に、吾郎のどうしようもない「運命」を描くという本作。舞台冒頭では、彼らの小学生時代を垣間見ることができる場面も。本作について、自身も岸田國士戯曲賞を受賞している劇作家としての一面を持つ松尾が、「この芝居のオリジナリティに、身を捧げたい」とコメントを寄せて期待を煽ると、松も、「また新しい芝居が生まれる、その世界にいられることを、とっても幸せに思っています」とアピール。瑛太も「岩井秀人は天才だ!」と続き、「この作品に対する皆様の期待と想像をいい意味で裏切っていくと思います」(瑛太)と、作品の出来栄えに自信をのぞかせた。作・演出を手がける岩井自身も「なんだか相当なものができたようなので、楽しみにしててください」と太鼓判を押す音楽劇『世界は一人』。公演は3月17日(日)まで東京・東京芸術劇場 プレイハウスにて。チケット好評発売中。東京公演の当日券は、各公演前日16時~18時まで専用ダイヤル(0570-55‐0252)にて受付。
2019年02月25日稽古場に入ると、バンドが音を合わせていた。バンドだけではない。20分後から始まる通し稽古に備えて、俳優やスタッフもそれぞれ持ち場のチューニングに余念がなかった。そのリラックスさと緊密さの同居する空気は、上演の迫った音楽劇『世界は一人』のクリエイションの充実を十分にうかがわせるものだった。【チケット情報はこちら】劇団「ハイバイ」を主宰する岩井秀人が挑む、初の音楽劇となる。これまで人間関係の機微、とりわけ家族や集団における個人の自意識や、身近な感情のさざ波をストレートプレイの傑作に昇華してきた岩井にとって、チャレンジングな企画であることは間違いない。音楽担当としてそんな岩井の片腕となるのが、シンガーソングライターの前野健太だ。ふたりは2年ほど前、コドモ発射プロジェクト『なむはむだはむ』という作品を一緒に作り上げている。そのときの経験が、岩井に音楽劇というアイデアの具現化へと駆り立てた側面もあるという。通常の音楽劇であれば、稽古入り前にすべての曲のデモが完成しているケースがほとんどだろう。だが、この『世界は一人』では、岩井の書いた歌詞をもとに、前野率いるバンドと俳優たちが、ある意味セッション的に仕上げた曲も少なくないそうだ。主演の松尾スズキ、松たか子、瑛太を含む総勢7名の俳優たちへの信頼がそれを可能にした。初めての台本読みで、まだメロディのついていない歌詞を松たか子が朗読するのを聞いた岩井は、感動のあまり、「もう、そのままやってください」とノドまで出かかったという。前野に言わせれば、「そもそも岩井さんの作る世界は、そのまま“歌”だと僕は思っている」。聞けば聞くほど、音楽劇への期待は高まっていく。舞台監督の合図とともに、通し稽古が始まった。さびれた炭鉱街鉄鋼の町で育った子供たち。松尾スズキが8歳の子供から大人までを演じることは予告されていたが、他の俳優たちも、役を自在に変化させながら、そのつどリアルな感情を震わせていく。そして、やはりこれは緊密なセッションの成果なのだろう。あまりにも自然に、生々しく迫ってくる「歌」の数々。血を通わせた人間に取材して演劇へと仕立ててきた岩井と、現実の街を歩きながら歌を紡ぎ上げてきた前野健太の資質が相乗効果をもたらし、俳優の身体に根を下ろした歌を立ち上げているように見えた。たまらなくロマンティックだったり、笑えたり、痛切だったりする瞬間がいくつもある。それらが席数800を越える東京芸術劇場のプレイハウスでどこまで膨らむのか、楽しみで仕方ない。公演は2月24日(日)から東京・東京芸術劇場 プレイハウスにて上演後、長野、大阪、宮城、三重、福岡を巡演。東京公演はチケット好評につき、立ち見席も発売中。取材・文:九龍ジョー
2019年02月21日福岡出身の役者陣が地元の言葉で演じる舞台『帰郷』が開幕した。【チケット情報はこちら】本作は、入江雅人が企画・作・演出を手掛け、福岡出身の池田成志、田口浩正、坂田聡、尾方宣久、岡本麗、入江が出演するゾンビと青春の終わりの物語。入江が「福岡の人だけで舞台をやったら面白い」と約20年もの間温めてきた企画で、出演者に加え、ビジュアルやグッズのイラストは大人計画・松尾スズキ、応援コメントは劇団☆新感線・いのうえひでのりと、福岡出身の演劇人が集結して実現した。開幕に際し入江は「これまで10本近く作ってきたゾンビモノの作品の集大成でもあり、一人芝居(ベースとなった自身の一人芝居『帰郷』)でやってきたこともちりばめていて、僕が作ってきた芝居の集大成でもあると思います」とコメント。高校生男子5人組の無邪気で笑える青春のワンシーンから始まり、まさかのゾンビパニック勃発、さらに思わぬ方向へと進んでいく物語は、脚本そのものの面白さに、豪華キャスト陣による豊かな芝居、福岡弁特有のテンポやイントネーションがかけ合わさり、この作品でしか味わえない独特の魅力を放っていた。本作について出演者の池田は「見てどう感じてくれるのか?益々わからなくなってきました(笑)。我々福岡人がこんなセンシティブに描かれるなんて!少々の照れくささと、引っ張りだすおじさんおばさんの元気をどうぞ優しい目でご覧くださいませ」、田口は「とにかく、みんなとのグルーヴを楽しみ、頑張る所存でございます。気楽に、観てください」、坂田は「これだけ濃い福岡弁をしゃべる機会もあまりないと思うので、楽しんで、丁寧にやろうと思います。今年1発目、一生懸命やりますんでよろしくお願いします」、尾方は「他では観ることのできない、唯一無二の芝居になったと思います。全力で挑みます」、岡本は「とにかく、おもしろいと思います。脚本も役者もおもしろいので、十分に楽しんで頂けると思います。楽しんで、観て頂きたいです」とそれぞれコメントを寄せている。入江が「福岡の人にももちろん観てもらいたいし、東京にいる、福岡や他の地方から出てきている人にも観てもらえたら。ちょっと悲しい話ではありますが、絶対に、故郷やかつての友人のことを思い出したりできる、温かい想いが胸に燈るような芝居です」と言うように、幅広い人の心に響く作品。ここでしか味わえないものを体感しに、ぜひ劇場に足を運んで!『帰郷』は2月3日(日)まで東京・俳優座劇場にて、2月8日(金)から10日(日)まで福岡・イムズホールにて上演。取材・文:中川實穗
2019年01月29日劇団・大人計画を特集する番組「朝まで『大人計画テレビ』~松尾スズキと25人の仲間たち~」が、3月31日にNHK BSプレミアムで放送されると発表された。旗揚げから30周年を迎えた大人計画。各メディアによると同番組ではその歴史や魅力を、NHK独自のアーカイブ映像や大人計画メンバーのトークとともに紐解くという。また各メディアによると同番組は31日の22時50分から翌5:00まで、計6時間10分も放送。主宰・松尾スズキ(56)を筆頭に、宮藤官九郎(48)、阿部サダヲ(48)、星野源(37)といった大人計画のメンバー25名が総出演するという。Twitterでは同番組への期待の声が上がっている。《6時間10分ぜんぶ大人計画はヤバすぎる ワクワクが止まらない》《「アッこのヒト見たことある」つう人や有名なあの人や超人気のあの人がみんな薄ら笑い浮かべながら他人行儀に番組が進むのかとか思うともう興奮で胃がどうにかなりそう》《こりゃ面白そう!「あれ」とか「これ」とかNHKで流せるかな?という不安も若干あるけど》松尾は、自身が監督・脚本・主演を務める映画「108~海馬五郎の復讐と冒険~」の公開を今秋に控えている。また宮藤が脚本を手がけ、松尾や阿部、星野らが出演する大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」が現在放送中。大人計画メンバーは昨今、目覚ましい活躍ぶりを見せている。「大人計画はタブーに切り込んだり、ブラックジョークや風刺を利かせた作風が特徴。特に初期はそのセンスに追いつけるファンがまだ少なく、その反面、熱狂的なファンを生み出していました。だからこそ今回の『大人計画テレビ』について『NHKで特集されるまでになるとは……』と感慨深いファンも多いようです」(劇団関係者)
2019年01月26日松尾スズキ率いる超人気集団「大人計画」の特番、『朝まで「大人計画テレビ」~松尾スズキと25人の仲間たち~』が3月31日(日)に放送されることが決定した。1988年に松尾さん作・演出の舞台「絶妙な関係」で旗揚げされ、30周年を迎えた「大人計画」。放送中の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」で脚本を務める宮藤官九郎をはじめ、阿部サダヲ、皆川猿時、荒川良々、平岩紙、三宅弘城、星野源など、映画や舞台、CMで活躍する多くの才能が所属している。今回放送決定した6時間10分の特番では、そんな超豪華メンバー全員が大集結!「大人計画」の歴史と魅力を、貴重な映像とトークを交えて放送。「大人計画」が愛されるワケがきっと分かる、そんな内容になっている。『朝まで「大人計画テレビ」~松尾スズキと25人の仲間たち~』は3月31日(日)22時50分~NHKBSプレミアムにて放送。(cinemacafe.net)
2019年01月25日劇作家・演出家として活動を始めて来年10周年の根本宗子さん。演劇界のみならず、ミュージシャンやアイドルなどからも支持される、その創作の泉とは。――演劇を始められたきっかけは、松尾スズキさんの舞台をご覧になったことだそうですね。いまもファンだと公言されています。一般的に、松尾さんのような作品を作りたい、と考えそうな気がしますが、作風は全然違いますね。根本:演劇を始めた最初の理由は、完全に、松尾さんに会ってみたい、話してみたい、松尾さんの芝居に出てみたい、でした。でも、いまさら大人計画に入るのは難しいだろうし、入れたとして、下積みからやるのは性格的に合わない。それなら、別の近道を行こう、と。でも、中学生の時に大怪我をして以来、動きに制限もあるので、役者として使ってもらうのは難しい。消去法で“自分で書く”ってことになったんです。だから最初は、何か訴えたいものがあって書き始めたわけじゃないんです。演劇を始める時、自分の立ち位置みたいなものをすごく考えたんです。当時、しっかりとしたストーリーラインがわかりやすくある芝居を作っている人があまりいなくて、自分が出ていくには、そっちをやった方がいいんだろうなって思ったんです。「若いんだから、好きなものを書け」って言われることが多かったんですが、そういう若手はたくさんいる。敢えてその逆を行った方が、早く上手くいくって信じていました。演劇自体が好きだったので、どんな形でも、自分が演劇をやれていることが楽しかった、というのもあります。いまは、そこはクリアできているんで、自分の芝居に飽きないように、劇団公演ではできるだけ新しいチャレンジをしていこうとしています。――そうなんですね。根本:ただ、演劇を始めた時から、別の選択肢を考えたことはなかったです。怪我をした時点で、モーグルという一番やりたいことは絶たれましたから、さらに新しい道なんて余裕もなかったです。じつは、怪我をして二度と競技には戻れないとわかって、一発目に観たのが松尾さんの『ニンゲン御破産』だったんです。その時、物語は全然理解できなかったけれど、松尾さんが私の気持ちをわかってくれているって、勘違いしちゃったんですよね(笑)。舞台を観に行っているのに、まるでカウンセリングを受けに行くような感覚。それまでも演劇はたくさん観ていたけれど、そんな気持ちになったのは初めてで、演劇は観て楽しむだけじゃなく、人の人生に訴えかけることができるものなんだとも思いました。作品を作る時、つねに考えるのは、あの時の私が客席にいたらどう思うかということ。その感覚は、ずっとなくしたくないなと思っています。――いま演劇をやっているモチベーションは何ですか?根本:自分じゃない話を書くのが楽しくなっている、というのがひとつ。そしてもうひとつは、自分が作ったものに対して、お客さんのリアクションが返ってくるということでしょうか。うちの芝居の最大の面白さは、男女でリアクションが全然違うこと。あるシーンで男性のお客さんが笑っていると、女性のお客さんが「ここは笑うところじゃない」って怒ったり。いまだに私が予想もしない反応がお客さんから返ってくることがあって。――戯曲を書かれる時は、役者さんにアテ書きされるんですか?根本:私のなかで、見た目の説得力ってすごく大事なんですね。昔から、小劇場の舞台で、さほどキレイじゃない人が、すっごいキレイでモテる役を演じていたりするのが嫌で仕方なかったんです(笑)。それは、キレイじゃないといけないということではなく、例えば、周りから可愛いともてはやされているけれど、自分ではそこまで可愛いとは思えなくて、周りの言葉をストレートに受け止められない女性…という役だったら納得できるのに、ということです。――ご自身にもアテ書きですか?根本:小劇場で活躍する女優さんって、ちょっと個性が強いというか、普通の会社員はやってないよな、って思わせる人が多いんです。そのなかで私は、普通に会社員をやっていそうにも見える。一時期は、自分も奇抜な服を着て、個性的なキャラクターに見せていたんですけれどやめました。いまは、この普通の感覚を大事にしていこうと思っています。――来年には30歳を迎えます。この先、人生のステージが変わっていくかもしれませんが、演劇を一生続けると思いますか?根本:続けていくと思います。それは、自分が演劇に救われた経験があるから。あの時の自分が客席にいる限りは、やめないと思います。ねもと・しゅうこ1989年生まれ、東京都出身。‘09年に劇団・月刊「根本宗子」を旗揚げし、すべての公演の作・演出を手がける。女優としても、自作のほか岩松了さんや赤堀雅秋さんの舞台などにも出演。現在、毎週月曜日の深夜にOAされているラジオ『根本宗子と長井短のオールナイトニッポン0(ZERO)』(ニッポン放送)に出演中。月刊「根本宗子」第16号『愛犬ポリーの死、そして家族の話』は、12月20日(木)~31日(月)下北沢・本多劇場にて上演。物語のキーとなる“愛犬ポリー”を演じるのは、大人計画の村杉蝉之介さん。「村杉蝉之介が、犬になるまでの過程」を、気鋭の映像ディレクター・山岸聖太監督が完全密着した映像が公式サイトにて公開中。※『anan』2018年12月26日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2018年12月23日平成30年の今年は、松尾スズキさんがその名を名乗り大人計画を旗揚げして30周年のメモリアルイヤー。それを記念し、「30祭(SANJUSSAI)」なるイベントが開催される。このイベントの見どころ、そして、いまや多方面で大活躍する劇団員の方々の推薦コメントを、旗揚げ3年目から27年間を共に歩んできた社長の長坂まき子さんに伺ってきました。「口火を切ったのは、松尾さんの、30周年を記念したゴージャスでダンディなコンサートがやりたい、との言葉。そこから劇団員にやりたいことを募り、面白そうな企画を考えていたら、こんなお祭りになりました。そもそも大人計画は、松尾さんを筆頭に、演劇だけで生きてきた人たちの集団じゃないし、それも“らしい”のかな、と(笑)。我々が面白がって考えた企画の数々、一緒に楽しんでいただけたら幸いです」大人計画大博覧会12月18日(火)~ 27日(木)入場料2500円音声ガイド付入場券3000円大人計画と松尾さんの軌跡を展示で振り返る。舞台写真や、所属メンバーの歴代アーティスト写真などの展示で30年の歴史を振り返るほか、突如、劇団員が登場して行われる出し物も。「目玉は松尾さんの原画展。初期作から描き下ろしまで見応えあります」松尾スズキ30周年記念ファミリーコンサート“なんとかここまで起訴されず”12月25日(火)・26日(水)指定席9000円立見8500円上手いのに、松尾さんが歌うと途端に面白い。「わちゃわちゃしていない…結局するんでしょうけれど(笑)、ドリンク片手に、ゆったりと歌とトークを楽しんでいただきます。6人編成の生バンドをバックに、松尾さんがミュージカルナンバーなどを披露予定」名作上映会と愉快なトーク12月28日(金)・29日(土)全席指定3500円大人計画のエポック的舞台、全5作品を映像で。社長自ら「これを観せずして何を観せるというくらいの初期の代表作」と語る『愛の罰』をはじめ、松尾さんセレクトの『サッちゃんの明日』など過去作品5作を上映。上映後には出演者たちのトークも。「いまのお客さんにお見せしたい作品ばかり。臨場感のある大きいスクリーンで、若い松尾さんや劇団員をご堪能ください」宮藤官九郎と伊勢志摩の感動ドキュメント“伝説の先輩を訪ねて”12月29日(土)・30日(日)全席指定5500円意外に感動!? 大人計画版「あの人は今」。宮藤さんと伊勢さんが、大人計画を辞めたメンバーに会いに行く様子を映像で上映。「会いに行った側も来られた側も、嬉しくなっちゃってる感じが最高です」エンディングセレモニー“また逢う日まで、生きてたら”12月30日(日)全席指定5800円大人計画の天才ふたりがトークする貴重な機会。松尾さんと宮藤さんのふたりを中心に、思い出話などで繰り広げるトークイベント。「詳細はまだ秘密。劇団員もそこそこ登場しての企画も用意しています」「30祭」12月18日(火)~30日(日)表参道・スパイラル大人計画 社長長坂まき子さん1964年生まれ。’91年より大人計画に携わる。現在、所属俳優のマネジメントと舞台制作の両輪で活躍する。※『anan』2018年12月19日号より。写真・土佐麻理子(長坂さん)取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2018年12月18日12月18~30日まで東京・表参道のスパイラルで開催される松尾スズキ+大人計画30周年記念イベント『30祭(SANJUSSAI)』のオープニングセレモニー&内覧会が18日、同所で行われ、松尾スズキ、宮藤官九郎、顔田顔彦、阿部サダヲ、宮崎吐夢、皆川猿時、村杉蝉之介、荒川良々、近藤公園、池津祥子、伊勢志摩、宍戸美和公、猫背椿、田村たがめ、平岩紙が出席した。1988年に松尾スズキ作、演出の舞台『絶妙な関係』で旗揚げし、その後は宮藤官九郎や阿部サダヲ、荒川良々といった多くの俳優を輩出してきた大人計画。旗揚げから30周年を記念した同イベントは、大人計画の演劇活動30年分の舞台写真や稽古風景写真、衣裳、小道具、松尾がこれまで発表してきた様々なイラストの原画などを展示。松尾が原画展を開催するのは今回が初めてとなる。また、劇団員のトークショーなども行われる予定だ。そんな同イベントのオープニングセレモニーに、松尾スズキら劇団員が勢揃い。松尾は「30周年イベントが開けたことをうれしく思っています」と喜ぶも、多くの報道陣を前にして「ここで何か言うと色んな問題が起きるのでがんじがらめですね(笑)」と苦笑い。「とにかくここにいる全員は見ての通りおじさんとおばさんですが、30年間のイラストやポスターを見てこの人たちにも若い頃があったんだなと感じていただければと思います」と笑いを誘った。来年のNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』で中村勘三郎とともにダブル主演を務める阿部サダヲは「来年NHKの大河ドラマの主役をいただきます!」と他の劇団員に自慢すると、劇団員たちは「いいな~」と羨望の眼差し。続けて阿部は「こんなイベントができるすごい劇団に入れたことがうれしいし、運が良かったと思っています」と大人計画に感謝しながら「30周年続く劇団って珍しいことらしいんですが、ファン感謝デー的な触れ合うイベントにしてきたいですね」とアピールしていた。
2018年12月18日松尾スズキ率いる大人計画。来年のNHK大河ドラマ『いだてん』で主演を務める阿部サダヲを始め、いまや人気俳優が勢揃いの劇団だ。そんな大人計画が旗揚げ30周年を迎えた。それを記念して、12月18日(火)から東京・スパイラルで『30祭(SANJUSSAI)』と題したイベントを開催する。メインとなるのは30年分の舞台写真や稽古風景写真、衣裳、小道具などがまとめて展示される『大人計画大博覧会』。この博覧会内では、《神出鬼没! 小ステージ》と称して大人計画メンバーが登場することも。さらに劇団員が登場する《名作上映会と愉快なトーク》《宮藤官九郎と伊勢志摩の感動ドキュメント”伝説の先輩を訪ねて”》など、さまざまな催しが予定されている。大人計画といえば、2006年には多摩の廃校を借り切って劇団員総出の文化祭『大人計画フェスティバル』を開催した実績もある。作品の作風に反して、意外とお祭り好きなのかもしれない。また、同時に「劇団にできること」をどんどん広げてきた集団とも言える。いずれにせよ、日本の演劇史に名を刻み続けてきた大人計画の30年をまとめて見られる、後にも先にもないチャンスであることは確かだろう。12月30日(日)まで。文:釣木文恵
2018年12月18日女優・吉岡里帆は破竹の勢いで人気を拡げ続けている。熱狂的な渦の中にいる彼女は、この日のインタビューも分刻みのスケジュール。撮影と撮影の間を縫って取材に応じるとなれば、疲弊していてもおかしくないのに、決して「無理に」ではなく微笑み、言葉をつくし、たまにはちょっとだけ息を吐いたりしてみせ、佇む。どんな状況下でも自分を保っていられるからこそ、阿部サダヲ、松尾スズキら猛者たちに囲まれた、映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』でも、ヒロインとして臆せず、ひときわ輝けたのかもしれない。同作は、『イン・ザ・プール』、『俺俺』、「時効警察」など独特の世界観でカルト的人気を誇る三木聡監督が手掛けた最新作。ミュージシャンを目指しているのに声が小さすぎるストリートミュージシャンのふうか(吉岡さん)が、実は声帯ドーピングをしてカリスマ的人気を誇るロックバンドのヴォーカリスト・シン(阿部さん)と出会い、プロシンガーを目指す物語だ。大ファンだった三木監督の現場「とんでもなく素敵な作品に恵まれた」そもそも三木監督の大ファンだったという吉岡さんは、今回のオファーを「とにかくうれしかったですし、まさか自分が呼んでもらえるなんて夢にも思っていなかった」と飛び上がる勢いで喜んだが、すぐに三木組の洗礼を浴びることになった。原案・脚本も担当した三木監督は、こだわりも人一倍、妥協の文字はない。求められるクオリティに到達するべく、吉岡さんは悪戦苦闘した。「例えば、花火が打ち上がって、そこをバイクで走るシーンが、特に監督のお気に入りだったんです。事前に、監督が粘土でジオラマを作って、自らコマ撮りで撮った動画を見せてくださったほど。『このイメージを全部再現してほしい』とおっしゃっていて、それくらい、“絶対こうしてほしい”がある方なんです」。「ハマらないと、三木監督は本当にずーっと『なんか違う』と言い続けます。リハーサルではOKでも本番では違ったりするので、すごく微妙なところにまでこだわりを持ってらして、とても繊細だなと思っていました」と吉岡さんはふり返った。されど、「とんでもなく素敵な作品に恵まれたので、やる以外の選択肢はなかったです。できるようになる、としか考えないようにしていました。なんせ、テーマが“やらない理由を作るな”だったので(笑)」という言葉からも、吉岡さんの覚悟が伝わる。そこまでして「ついていきたい」と思う、吉岡さんが感じる三木作品の魅力は何なのだろうか?「三木さんは、誰にも成し得ない世界を現実化させる方だと思っています。何より、台詞に三木さんらしさが溢れて魅力的。聞いたことのない台詞のオンパレードですし、それを言えることって、役者冥利に尽きるんですよ。ベタじゃない、コアなところを自由にお芝居させてもらえるのは、たぶん私だけではなく、皆さんも楽しかったんじゃないかなって、すごく思います。三木さんも『もうこれ以上ないって思えるぐらい、最高のスタッフ、キャストが集まっていて本当に幸せ』とおっしゃってくれて…。それを言われた私たちはもっと幸せなんです」。阿部サダヲとの共演は「こっちも“なにくそ!”となる」今回、カンパニーを引っ張るのは阿部さん。対峙することになる吉岡さんとのシーンも、とにかく多い。刺激的であろう共演について聞けば、吉岡さんの表情は「ふふっ」とやわらかくなった。「阿部さんはすごいパワーをお持ちで、言葉の圧がとにかくある方。あの圧を浴びると、こっちも“なにくそ!”“なんかしなきゃ!”という気持ちになりますし、元気ももらえるし、ちょっと笑えてしまったりもしました(笑)」と、何かが脳裏をよぎったのか、さらに思い出し笑いをする吉岡さん。「ふたりで本番前に、『何なんだろうね?このシーンは』『これにはどういう意味があると思う?』『いや、もうわかんないっす』みたいなやり取りを毎回やっていたんです。台詞の意味がわからなすぎて、ふたりで笑っちゃったりしました(笑)」と、ほっこりエピソードが飛び出た。「三木監督に『本当に意味がわからないんですけど』と聞くと、『意味なんて考えていたら、面白いものは作れない!!』と言われて、無茶苦茶なんですけど妙に説得力があるな、って(笑)」と、本作ならではの強烈な経験を明かしていた。ヒロインとしての意地とプライド「ギターと歌は徹底的に練習」ふうかを演じる上で、吉岡さんにとって一番のチャレンジは「歌とギター」だった。新星シンガーソングライターのあいみょんが作詞・作曲を手掛けた「体の芯からまだ燃えているんだ」を筆頭に、全4曲を弾き語りすることが課せられたミッション。オファーを受けたときは、ギターも歌もほとんど未経験の吉岡さんは、三木監督からも「おいおい、大丈夫?」と最初の一声をかけられた。「撮影が始まる半年前からギターと歌は徹底的に練習することになりました。当時、連ドラを撮っていたので、撮影が終わって、夜に何とか練習する生活だったんです。頑張っても、全然指も押さえられないし、音が出ないコードがあって。でも、そのコードが弾けないと、あいみょんの曲は弾けないし…とにかく必死で練習をしていました」。そんな吉岡さんを踏ん張らせたのは、ヒロインとしての意地とプライド、そして三木監督の存在という三本柱。「ある程度のところで“いいよ”ということは、絶対、絶対、三木監督にはありません。『ギターも完璧でないと嫌だし、歌も自分の思っているラインまで絶対にきてもらわないと、映画にできない』とおっしゃっていたので」と語る吉岡さん。結果、リハーサルに入る頃にはすべての準備を終え、三木監督にも「おおー、ギリギリセーフだね(笑)!」と、合格印をもらったという。「事前準備をしっかりさせてもらえたから、本番の歌は、とても楽しかったです!」と、練習の成果がいかんなく発揮されている本編は、達成感あふれたものに仕上がった。「『音タコ』は三木さんの世界だなと思いつつも、歴代の作品に比べると、テンポ感も速いですし、ヌルヌル…という感じより、どんどん加速して、転んでいって、予想もつかないような展開になっていっています。かなり新しくて、言うなれば…“New三木聡作品”という感じです!」。冒頭からエンドロールまで、疾走感あふれ、アドレナリンが大放出するような本作にて、新しい扉を開け、一段と高いステージに躍り出た吉岡さんの姿が眩しい。(text:Kyoko Akayama/photo:You Ishii)■関連作品:音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!! 2018年10月12日より全国にて公開ⓒ 2018「音量を上げろタコ!」製作委員会
2018年10月10日テレビ朝日の松尾由美子アナウンサー(39)が、指揮者の川瀬賢太郎氏と結婚したことが27日、分かった。松尾アナは、司会を務めた「第26回出光音楽賞」の授賞式(2016年7月)で、受賞した川瀬氏が初めて顔を合わせ、17年3月の同局系番組『題名のない音楽会』の2,500回記念の際に再び同じ舞台に立つなどして知り合うように。その後、昨年8月ごろから交際が始まり、今月になって婚姻届を提出した。松尾アナは「いつも応援いただきありがとうございます。一社員の身でありながら大変恐縮なのですが、ご報告させてください。指揮者の川瀬賢太郎さんと結婚しました。音楽に対する真摯(しんし)な姿勢はもちろん、家族の仲の良さなどもあり、笑いが絶えず自然体でいられる日々です。これからはお互い支えあいながら家庭内のハーモニーも大切にしつつ、これまで以上に仕事に精進していければと思っています。今後ともどうぞよろしくお願いします」とコメント。今後も仕事を続け、現在担当する『グッド!モーニング』『林修の今でしょ!講座』『題名のない音楽会』などは引き続き出演する。
2018年09月28日初老に差しかかった個性派俳優・海馬五郎は、フランスの一風変わった文化賞の授賞式に出席するため、パリ行きを決意。それがトホホな道行きになっていく松尾スズキさんの『もう「はい」としか言えない』。同じく海馬五郎の語りで、幼少時より自意識でがんじがらめになっていた自らの生い立ちをたどる「神様ノイローゼ」。松尾ワールドにどっぷり浸る快感!“本人成分たっぷり”の2編を収録。読み進めるうちに、じわじわ気づくはずだ。「これ、かなり私小説的なんじゃ?」。松尾スズキさんも「僕の分身みたいな存在」と認める海馬五郎を主人公に据えた2編をカップリング。最新刊『もう「はい」としか言えない』が面白いのなんの。「『少年水死体事件』と名づけて新聞連載していた随筆にフィクションを加味して書き直したのが『神様ノイローゼ』。自意識と妄想でこんがらがっていた子ども時代の自分の話です。いままでインタビューなどでもしゃべってきたことなんですが、一度体系づけてまとめておこうと思ったんですね。もうこれを読んで、わかってくれと。僕という人間のマニュアルです」末恐ろしいほどシニカルで、冷めた思考の五郎少年。子どもが苦手だという松尾さんだが、作中に見る、あんな記憶があればさもありなん。「あいつらは自由にやってるくせに、いざ攻撃されると子どもという鎧に逃げ込むんですよ。僕もそういうガキでした(笑)」表題作もまた、松尾さんに起きた実際のエピソードや、周囲から聞いたリアルな悩みを投入してできた作品だという。道に迷いやすいという五郎のキャラもご本人と同じらしい。「でも迷ってる時間って自由だなと思うんですね。自分がどこにいるのかもわからずさまよえば、誰にも捕まえられない。究極の自由でしょう。僕が表現をやっているのも、結局は自由になりたいからだと思います。現実に対して感じている違和感を笑いに変えて、既成の価値観から逃れたい。僕の小説はドタバタしていると評されることが多いけれど、僕の中ではそれがリアルなので、そう言われるのは心外なんですよ」息苦しいルールを押し付けられていた五郎は逡巡の末、自由欲しさに、通訳を同行させるならと苦手な外国行きを承諾。しかし通訳となる斎藤聖の紹介者が、彼を〈少し新しいタイプの人間〉と説明していたわけを、五郎は行く先々で味わうことになる。「日仏ハーフの聖君が出てきた途端に、五郎がこの子によってもっと混乱に陥れられることがわかって、話に弾みがついてしまいました(笑)」自由に焦がれに焦がれた先で五郎を待っていた事態を見届けてほしい。『もう「はい」としか言えない』 妻に浮気がバレた海馬五郎。離婚回避のための誓約に汲々としていた彼は、わらにもすがる気持ちで「エドゥアール・クレスト賞」の授賞式へ旅立つ。表題作が3度めの芥川賞ノミネートとなる。文藝春秋1450円まつお・すずき1962年生まれ、福岡県出身。今年、旗揚げから30周年を迎えた「大人計画」主宰。12/18~SPIRALで「30祭」開催。作家、演出家、俳優、映画監督とマルチに活躍。※『anan』2018年9月5日号より。写真・土佐麻理子(松尾さん)大嶋千尋(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2018年09月02日映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』の完成披露試写会が8月22日(水)、都内で行われ、主演の阿部サダヲをはじめ、吉岡里帆、千葉雄大、ふせえり、松尾スズキ、三木聡監督が出席した。■『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』って、どんな映画?『時空警察』シリーズや『俺俺』など、唯一無二のセンスが光る三木聡監督が原案・脚本を手がけ、メガホンをとったロックコメディ。4オクターブの音域と万人の心を打つ声量を武器に、金も女も名声も手にしたロックスターのシン(阿部さん)。しかし、その歌声は、「声帯ドーピング」という掟破りの方法で作られていた。ドーピングの副作用で喉に限界が近づいていたシンは、歌声が小さすぎるストリートミュージシャン・ふうか(吉岡さん)と出会い…。■まさに音量アップ?キャストが応援団風の挨拶この日は舞台挨拶を前に、明治大学応援団が登場し、応援歌を披露。会場を盛り上げたところで、キャスト勢が登場した。阿部さんが「あべー!さだーおーでーす!!」と、まさに音量アップの応援団風挨拶を決めると、続く吉岡さん、千葉さんもそれぞれ「よしおかーりほでーす!」「ちば、ゆうだいでーーす」と力強い自己紹介。客席は、世紀の熱戦が繰り広げられた甲子園に負けない(!?)熱気に包まれた。■ドーピングするとしたら?千葉雄大、まさかの下ネタ劇中の設定にちなんで、「ドーピングできるとしたら?」と問われると、阿部さんは「役作りという意味では、『形から』と言いますから、太ったり、やせたり、歳を取ったりすることが、ドーピングでできたら楽だろうなって」と役者らしい願望を告白。シンのマネージャー・坂口を演じる千葉さんは「もし、(雑誌の)『an・an』のセックス特集をやらせていただける機会がありましたら、表紙で筋肉ドーピングをやりたいなと…。下半身もドーピング…って、すみません」とまさかの下ネタ。それでも、千葉さんの発言だけに、やはり“かわいらしさ”が先行し、ファンからは歓声が。「ご縁がないなと思っているので、なおさら(笑)。もし、機会があれば」とラブコールも忘れなかった。『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』は10月12日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!! 2018年10月12日より全国にて公開ⓒ 2018「音量を上げろタコ!」製作委員会
2018年08月22日映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』(10月12日公開)の完成披露試写会が22日に都内で行われ、阿部サダヲ、吉岡里帆、千葉雄大、ふせえり、松尾スズキ、三木聡監督が登場した。同作は監督・脚本を三木聡が務めるオリジナル作品。驚異の歌声を持つロックスター・シン(阿部)だが、実は彼の歌声は、「声帯ドーピング」というタブーな方法によって作られたものだった。限界が近づく喉に焦るシンは、異様に声の小さなストリートミュージシャン・ふうか(吉岡里帆)に出会う。舞台あいさつには、明治大学応援部が登場し、『音タコ』を応援。キャスト陣も応援団の姿を真似、大きく仰け反りながら「音量を上げ」て、自己紹介した。誰よりも振り切っていた阿部だが、感想を聞かれると「なんすかね、これね……」と素に。「迷いがなくなりました」と心境を明かした。主演の阿部だが、雨が降るシーンでは三木監督が「顔が面白かったのでカットをかけなかった」ために、口から入ってくる雨に溺れかけたという。「撮影の初日に溺れて死にかけまして、この現場は自分の命を守らなければいけないと気づいてからは、自分の命を優先にしたので、それは良かった」と振り返る。吉岡に「死にそうになったの見てましたよね? こうやって人って死んでくんだと思いました」と語りかけると、吉岡は「そばでサポートしないといけないと思いました」と、新たな気持ちが芽生えたようだった。一方、吉岡も「カメラマンさんが全速力で走ってきて、私の口の中にカメラを入れるという結構大変な撮影があったり。特殊な撮影が多くて、皆さんと一緒に時間を過ごしたから、今の強さがあると思ってます」としみじみとした。また、何度もタッグを組んでいるふせと松尾は、今回夫婦役で登場。ふせが「松尾くんとはいろんな現場でやりましたよね。盆踊りの営業とかも行きましたっけ?」と言うと、松尾は「盆踊りの営業は行ってない」と否定し、ふせは「違う人でした、間違えた」と苦笑。さらに「少年刑務所とか行ったりして」(ふせ)、「行かない、行かない」(松尾)と軽妙なやりとりを続け、ふせが「この先も元気で漫談やれればいいなって、先ほども話してたんですけど」と語ると、松尾は「だから言ってないって! こんなにボケる人だったんですね」と絶妙なかけあいを見せていた。
2018年08月22日映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』(10月12日公開)の完成披露試写会が22日に都内で行われ、阿部サダヲ、吉岡里帆、千葉雄大、ふせえり、松尾スズキ、三木聡監督が登場した。同作は監督・脚本を三木聡が務めるオリジナル作品。驚異の歌声を持つロックスター・シン(阿部)だが、実は彼の歌声は、「声帯ドーピング」というタブーな方法によって作られたものだった。限界が近づく喉に焦るシンは、異様に声の小さなストリートミュージシャン・ふうか(吉岡里帆)に出会う。過酷なシーンの連続となった撮影に、千葉は「撮影の2日後くらいに鼻からチーズが出てきました」と衝撃の告白。「ずっとピザの匂いするなあと思って、頑張ってフンッてやったらチーズがポンって。は〜とれたと思って」と明かすと、阿部も「また少し発酵しただろうね。おいしくなって」と頷いていた。また作品にちなみ、「何のドーピングがしたいか」という質問に、「もしananのセックス特集がをやらせていただく機会があるんだったら、表紙で筋肉ドーピングやりたい」と希望する。「(上半身)ギリギリまで。なんなら下半身もドーピングして」と問題発言に会場がざわつき、照れながら「すいませんでした」と謝っていた。千葉が改めて「ご縁がないなと思ってるので、なおさら、もしやるんだったら」と希望を明かすと、三木監督が「映画の中でちらほらやってますよね」とセクシーなシーンを示唆。千葉は作品内では「ノードーピングで」と語った。また三木監督が「実はバイクでこけて鎖骨が折れたまんま。鎖骨がつながりませんという話なので、なんとかしたい。2〜3年治ってない」と告白すると、「触ったら割れてるんですか?」確かめる千葉。「わっ! すごいです!!」と驚き、三木監督は「俺の鎖骨の断面を千葉さんが触った」と解説していた。
2018年08月22日さまざまなジャンルの作品に出演し、俳優・文筆家・ミュージシャンとして活躍する宮崎吐夢さん。昨年、大人計画の舞台『業音』に向け、主宰・松尾スズキさんの命を受け、2か月で約10kgのダイエットに成功。見事な痩せっぷりが話題になり、芝居の感想は差し置き、女優陣から「どうやって痩せたの!?」と楽屋で質問攻めにあったとか。持ち歌をダイエットバージョンにして歌う予定です。「基本筋トレです。ジムでおばちゃんとグループレッスンしながら、登山もみんなでやれば登れるみたいな感じで。食事も糖質制限でも朝昼のみ。やっぱり、2か月後にパンツ一丁で舞台に立つと思うと、食欲も失せますよ。みんな年に1回、人前で脱がなきゃいけない理由を作ったら、痩せれるんじゃないですかね」この舞台本番までの吐夢さんのダイエット道を余すことなく伝えるのが、『真夏のダイエット(orリバウンド)歌謡ショー』と、会場で販売される書籍『吐夢の(秘)ダイエット手帖』である。彼がどうやって太っていったのか、減量法、断食で激痩せした俳優・黒田大輔さんとの対談など盛りだくさんの160ページ。コンサートは、芝居と歌謡ショーの二部構で、お客様のダイエットを応援するものになるとかならないとか。実際問題、動きやすい格好で行ったほうがいいんでしょうか?「動きはそれなりにあると思いますね。ゆずのライブのラジオ体操くらいですかね(笑)。お芝居は、ゲストに根本宗子、金山寿甲、金子鈴幸という注目の劇作家が3人いるので、彼らにお知恵を拝借できたらなと。ダイエットしすぎで死んでもいいし、しなくてもいい、人間だもの。みたいなことを歌っていくコンサートにしたいなと思ってます」その後、リバウンドで体型が中間くらいに戻ったという吐夢さんが、ダイエットを経て学んだこととは?「痩せているときは、屋外でやたら鏡に映る自分を見て、『あ、いい!』と思うナルシストになっていたんです。少しすると、ハイクラスの美人やイケメンのちょっとしたダメなところを見つけては、『あっ』と残念に思うようになった。家柄が貧しかったのに意識高い系のお受験して受かっちゃった人みたいな感じで、ギスギスした嫌な奴になりましたね。体型が戻ってくると、愛嬌を武器にするしかない!と思えるので、また謙虚になりました。ダイエットするのも考えものですね」『真夏のダイエット(orリバウンド)歌謡ショー』独自の減量方法をまとめた著書は、8月24日(開場18:00/開演19:00)に東京キネマ倶楽部で開催する歌謡ショーで販売。4300円(整理番号付きスタンディング・ドリンク代別)大人計画TEL:03・3327・4312みやざき・とむ1970年生まれ。’92年『冬の皮』以降、大人計画に参加。CD・DVDリリースや、小説の執筆など多方面に活動。映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』に出演。※『anan』2018年8月15・22日号より。写真・山田 薫インタビュー、文・小川知子(by anan編集部)
2018年08月18日アップサイクルとハンドメイドをコンセプトに掲げるブランド、ビームス クチュール(BEAMS COUTURE)と、ジップロック(Ziploc)によるコラボレーションアイテム全9型が発表。あわせて、女優の永野芽郁が出演するウェブムービーが公開された。 コラボレーションアイテムは、ジップロックのバッグシリーズを用いたトートバッグ(1万1,000円)や、サコッシュ(1,800円)、リュックサック(1万3,000円)、エプロン(1万円)、キャップ(9,000円)、傘(9,200円)、ウエストポーチ(8,800円)、サンバイザー(8,400円)、ポーチ(1,200円)、全9型をラインアップ。ジップロックのバッグが持つ魅力をそのままに、ビームス クチュールのデザイナー・水上路美のユニークなアイディアによって、身につけられるアイテムに生まれ変わった。取り扱いは、8月15日より東京・新宿のビームス ジャパン 1階にて展開されるポップアップショップの他、ビームス 名古屋、ビームス ストリート 梅田、ビームス 広島、ビームス 福岡にて。またビームス公式オンラインショップでは、8月20日より展開される。詳しくは、特設サイト()にてチェック。また永野芽郁と松尾諭が出演する、コラボレーションの世界観を表現したウェブムービーも公開。監督は、サカナクションや星野源などの話題のMVを数多く手掛ける映像ディレクター・関和亮。「BEAMS テレビショッピング」と題し、海外通販番組のMCに扮する永野芽郁と松尾諭の2人が、外国人も顔負けのオーバーリアクションとテンポのよい掛け合いで、ユーモアたっぷりにコラボアイテムを紹介する。さらに、目にすると思わずキュンと胸が苦しくなるような、レトロでセクシーな女の子やカップルをシンプルなラインで描き出す人気イラストレーター・たなかみさきが、同コラボレーションのために5作品を描き下ろし。東京・新宿のビームスジャパンにて原画を展示する他、ビームス公式サイト内「ビームス クチュール」のページでも公開される。【イベント情報】たなかみさき イラスト展示会期:8月15日〜9月11日会場:ビームスジャパン 1F住所:東京都新宿区新宿3-32-6
2018年08月15日元フジテレビで現在フリーの松尾翠アナウンサー(34)が8日、自身のブログを更新し、7日に第2子となる女児を出産したことを報告した。松尾アナは「昨日、6月7日17時8分に2994gの女の子を出産しました。母子共に元気です!」と報告。「今回は平日に陣痛がきてくれたので主人の立会いの中命の誕生の瞬間を迎えることが出来た事を大変嬉しく思っています」と喜びをつづった。そして、「私たちが産まれてくるときに、こうして産んでくれた両親への感謝や2人目の子が出来た事で、1人目の子がより愛しく感じる事本当に、出産を通してまたかけがえのない心と体の経験をさせてもらったなぁと噛みしめています」としみじみ。「新米2児の母も誕生これからも笑顔多めの毎日を家族と過ごせるように私もたくさん笑って過ごしていきたいと思います!!」と記し、「不定期更新なブログではありますが…これからもどうぞよろしくお願い致します」と呼びかけた。松尾アナは、2013年8月にJRAの福永祐一騎手(41)と結婚。2014年3月に第1子となる女児を出産した。
2018年06月08日混沌として複雑。だけど心に響く、松尾スズキ流時代劇『ニンゲン御破算』。「初演の印象というと、みんながやたらと水の中に入ってビショビショになっていたとか、荒川(良々)君が黒人の役をやっていたとか、出てくるのはそんなのばっかり(笑)」苦笑か、思い出し笑いか、阿部サダヲさんがおかしそうに話すのは、所属する大人計画の主宰・松尾スズキさんが2003年に手がけた舞台『ニンゲン御破産』のこと。「出演していた僕らも説明できないくらい複雑な脚本だったんです。でも、15年経って読み直してみるとすごいんです。書いた当時の松尾さんは30代。いまの僕より若いのに、こんなに難しくて面白いものを書いていたかと思うと本当にすごいです」物語の舞台は幕末。歌舞伎好きが高じ、侍ながら狂言作者を志す、阿部さんが演じる加瀬実之介と、彼をとりまく人々が描かれる。複雑と評されるだけあって、時空は縦横無尽に行ったり来たり。次々とアクロバティックな展開を見せていく。「実之介の目線で読むと、狂言作者の弟子志願としてしゃべっているところもあれば、自分の語る物語に入っている場面もあったり。物語が多重構造になっていて、面白いけれど、やる側は相当難しい。すごくふざけた話のようにも見えるんだけど、物語が展開していくと、じつは悲しさもあるんですよね。でも、出てくる人たちがみんな狂ってるから、悲劇っぽくはならないし、笑いの要素もたくさん入っているのが、さすが松尾さんだなって思います」曰く、「一回観ただけじゃ、どんな話かわからない」。けれど、そこも松尾作品の面白さだとも。「僕、松尾さんの世界って、全部わかる必要なんてないと思うんです。むしろ、全部わかっているのって…嫌。“なんで?”ってのみ込めないまま観ていると、たまに“わかる”っていうセリフが急に出てきて、それがズシンって残るものがある。正直、演じている僕らが、わからないままやってることも多いです。でも、わかってやっている人のお芝居が面白いのかといったら、そうとも限らないですよね。大人計画の俳優がテレビに出始めた頃、僕らは普通にやってるつもりなのに、世間からは、おかしな人たちの集団だと思われていたのと同じ。計算してやっているより、無意識なのに面白いほうがいいのかなって」15年前の初演で実之介を演じたのは、歌舞伎界でも屈指の人気を誇った故・十八代目中村勘三郎(当時は勘九郎)さん。「歌舞伎っぽい言い回しのセリフも多く、脚本は完全に勘三郎さんへのアテ書きですが、今回もそこは変わりないです。でも考えてみれば、実之介は狂言作者を夢見ている人だから、“歌舞伎っぽく”でいいのかな、と。前回との大きな違いは、稽古で松尾さんがミザンス(舞台での立ち位置)という演劇用語を頻繁に使うこと。最近覚えて、使いたくて仕方がないんだと思います(笑)」あべ・さだを1970年生まれ、千葉県出身。グループ魂のボーカルとして9月にはライブも決定。主演映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』が10/12公開。狂言作者を志し、鶴屋南北(松尾スズキ)、河竹黙阿弥(ノゾエ征爾)に弟子入りした加瀬実之介(阿部サダヲ)。成り行きから、南北たちの前で、自らの人生を語り始めた彼は…。6月7日(木)~7月1日(日)渋谷・Bunkamura シアターコクーン作・演出・出演/松尾スズキ出演/阿部サダヲ、岡田将生、多部未華子、荒川良々、皆川猿時、小松和重、村杉蝉之介、平岩紙、菅原永二、ノゾエ征爾、平田敦子ほかS席1万500円A席8500円コクーンシート5500円(すべて税込み)Bunkamuraチケットセンター TEL:03・3477・9999(10:00~17:30)大阪公演あり。初演時の阿部さんの役は、侍を夢見るマタギ・灰次。今回は岡田将生さんが演じる。写真左が、勘三郎さん演じる実之介。©細野晋司※『anan』2018年6月6日号より。写真・岡本 俊(まきうらオフィス)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2018年06月08日松尾スズキ活動30周年、「大人計画」も30周年を迎えることを記念して、12月18日(火)~30日(日)の期間に「松尾スズキ+大人計画30周年イベント」を開催することが決定した。1988年に松尾さん作・演出の舞台「絶妙な関係」で旗揚げされた「大人計画」。その後、来年の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」を手掛けることでも話題の宮藤官九郎や、その主演を務める阿部サダヲ、さらに皆川猿時、荒川良々など、現在も幅広く活躍する多くの才能を輩出してきた。2018年は、松尾さんが“松尾スズキ”の名で活動を開始してからちょうど30年、また「大人計画」が旗揚げして30周年、さらに平成も30年。この“30”が揃った本年に、今回記念の一大イベントを開催!本イベントでは、メンバーの年齢に見合った、年相応の“何か”が起きるのだとか。一体何が…。「目の前の仕事ばかりこなすうち、30年たってしまった」とこれまでをふり返った松尾さんは、「30という数字に思い入れはなかったが、40年目があったとしてもなにかやる元気はとうていなさそうな気がすると、30年でなにかやらねばという気に急になった。松尾スズキ55歳。なんだかまだうっすら元気があるようです」と今回のイベント開催理由を語っている。松尾スズキ+大人計画30周年イベント「タイトル未定」は12月18日(火)~30日(日)SPIRALにて開催。(cinemacafe.net)
2018年06月07日NHK連続テレビ小説『ひよっこ』『わろてんか』をはじめ、ドラマに映画に大活躍中の個性派俳優・松尾諭が、草なぎ剛とともに戯曲家エンダ・ウォルシュによる『バリーターク』の舞台に出演。松尾は草なぎ演じる男1と日常生活を送る男2の役で、バリータークという村の話をひたすら語り続け、奇妙な共同生活を送っているという、ある種特異な物語だ。「もともと端のほうでギャーギャー言っているほうが性に合っている」と自己分析する松尾だが、今回は草なぎとのほぼ二人芝居というメインキャスト。数々の映画や朝ドラ効果について「でも、いまきている感はないですね(笑)」と謙遜するが、引く手あまたとなった人気俳優に、今回の舞台ことや今後の活動のことなど、俳優としての今に迫った。○高橋一生から聞いていた白井晃演出――今回の舞台『バリーターク』ですが、最初の感想はいかがでしたか?最初、わけわからんと思いました(笑)。ただ、演出の白井さんとは一度仕事をしてみたいと思っていて、白井さんの舞台に出てみたいともかねてから思っていました。高橋一生君と仲が良くて、彼がよく白井さんの舞台に出ていて。一生君の舞台を観に行くと白井さんの舞台ということが多く、彼からも白井さんのことはよく聞いていて、そういう意味でも楽しみなことが多かったですね。――具体的には?セリフがすごく多かったり、その意味が難解だということも含めて、楽しみだなということが最初の印象ですかね。いろいろな人に出ることを言いたかったけれど、発表するまで待たなくてはいけなかったので、待っている間誰にも言えなかったことがストレスでした(笑)。人に言いたくてしょうがなかったのですが。――今作も難解そうですが、そういうタイプの作品が好みですか?そうですね。以前出たドイツの劇作家の舞台も難解で、デヴィッド・リンチの映画も難解で、そういう作品が好きなんだと思います。答えはないだろうけれど、余白が多いので、そのスキマをこっちで埋めていくという作業が好き。今回もそれに近そうなイメージです。最初、白井さんに会って話を聞いた時に、デヴィッド・ボウイが原作のエンダ・ウォルシュと親交があったと聞いて、デヴィッド・ボウイはリンチの大ファンで作品にも出ているくらいですから、彼が好きだったと思いながら読み進めると入りやすくなった。確かに世界観などが共通していそうで、最初はわけがわからないと思っていた台本が、興味を持って読めるようになりましたね。――高橋一生さんのアドバイスはありましたか?「白井さんは俳優にとってとてもいいよ」と。「すごく好きだし、体育会系だから松尾君と合うと思う」と。その意味がいまいちよくわからなかったのですが(笑)、稽古が始まってわかったんですけど、白井さんは休憩をまったく取らない。一生君なりにオブラートに包みながら言ったことが、体育会という表現だったのかと。先日、野間口徹さんに会った時にも、「白井さんでしょ? 休憩全然取らないでしょ?」と言われて、そういうことかと。でも、白井さんもよく言われるみたいで、気をつけるようにはしていると言っていました。僕ももともと体育会系なので、楽しみながらやっています(笑)。○新鮮な中心人物を演じてみて――以前の会見で「もともと端のほうでギャーギャー言っているほうが性に合っている」と言われていましたが、こういうメインを務めることで何か思うことはありますか?最初、真ん中に出て行くほどセリフが多くなるので大変だなと思いましたけど、方法論が違うだけで、人様に見せるという意味ではやっていることは同じなんですよね。相手に対してセリフを投げるなど、根本的なことも一緒ですよね。端っこでギャーギャー言っていることも、内側でギャーギャー言っていることも、そうは変わらない。「こんな番手で無理です」ということもなかった。「おっしゃ、やったるで!」という意気込みも、端っこでも思っていることなので同じでしたね。――なるほど。来てみたら同じだったと。まあ何年も前であれば、もうちょっとビビっていたかもしれないですけど、いまはこういう機会を与えていただいて、十分楽しめるようになりましたね。幕が上がってみないとわからないですけど、すごく面白くなるんじゃないかなという期待も多いです。今回、小林勝也さんもいらして、3人で面白いものができればいいなと思っています。ちょっときれいごと言っていますけど(笑)。○朝ドラでの成長と反響――ところで、いまのご活躍ですが、二期連続で朝ドラにも出られて、朝ドラ効果も感じているところでしょうか。それはまったくないです(笑)。大阪で撮影していたので信号待ちなどをしていて、大阪のおばちゃんは見かけるとすぐ声をかけてくれることはありましたが、街中を歩いていてすぐ話しかけられるほどの反響はないですよ。ただ、『わろてんか』では広瀬アリスちゃんとふたりで漫才をやっていたので、今回も草なぎさんとのふたりの会話劇があって。どこか漫才ではないけれど、かけあいみたいなことがあったほうがいいみたいな話になった時に、直前まで『わろてんか』をやっていたので、同じ流れでできそうだなとは思いました。あのテンポ感はやっていてよかったなと思いました。――『シン・ゴジラ』の時は、「まずは君が落ち着け」がブームになりました(笑)。街中でペットボトルを渡されて、いきなり頼まれたことはありましたけど(笑)。だいたい僕のほうが落ち着いていないので、なんなら僕にやってほしいくらいです(笑)。『シン・ゴジラ』の時は現象としても凄かったので、そういう反響はありましたね。でも、今でも多いのは、実は『SP』なんです。10年くらい経っていますけど、『SP』のことを言われることは多いんです。人によってイメージが違うんですよね。――大注目されて、意識も変わったのではないでしょうか?仮に自分が主演ならと思うこともありますが、朝ドラの主演は無理です。負担がすごい。毎日膨大なセリフの量で、それを10カ月続けるなど無理(笑)。ちょっと無責任なほうがいいというか、もちろん責任をもって仕事をしていますが、主演は全然違う。『わろてんか』の葵わかなちゃんを見ていて、19歳なのにすごいですよ。守ってあげたいなとも思いつつ、10カ月も。僕42歳ですが無理ですね(笑)。――また、俳優としての経験値については、朝ドラを経て思うところはありますか?今まできれいな女優さんとの距離が近い役どころがなかったんですけど、仮にあっても「僕みたいなものが見つめてすみません」みたいなコンプレックスがひどくて、でも今回はアリスちゃんで免疫がつきましたね。性格的に合ったということもあって、ついに美人に慣れたなあと。後は大阪の美味い店をさらに知ることができてよかったです(笑)。○草なぎと役柄チェンジで再演希望――『バリーターク』を経て、今後、どういう作品に挑戦したいですか?僕は作っている過程が好きで、ひとつの作品をじっくりと時間をかけて作り込みする作業は舞台ならではで、大好きです。舞台はライブ感ってよく言いますが、作り込みに惹かれます。ただ、舞台をやりたいとは思っていますが、実際時間がかかるし、稽古前にストレッチをよくするので、健康的にやせていくんですよね。あまりやせると不都合というか、イケメンと競合してしまうじゃないですか(笑)。――そんな心配が(笑)。いえ(笑)。作品は、いろいろな喜劇、シェイクスピアなども挑戦してみたい。この舞台を経て好評だったらアイルランドでも公演してみたいですし、草なぎさんの役柄とチェンジして再演もしてみたい。見えている世界が変わるような気がするんです。草なぎさんの視点になると、またセットも作品も違って見えそうで。本当に対照的なふたりなんですよ。機会があれば、僕の役柄を演じている草なぎさんの姿をみてみたいですね。舞台『バリーターク』は、4月14日から5月6日まで神奈川・KAAT神奈川芸術劇場、5月12日から6月3日まで東京・シアタートラム、6月16・17日に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールにて上演。■プロフィール松尾諭1975年生まれ、兵庫県尼崎市出身。2001年、映画『忘れられぬ人々』で俳優デビュー。2007年、フジテレビ系列のテレビドラマ『SP 警視庁警備部警護課第四係』で主要SP役の人、山本巡査部長役に抜擢され、大きな注目を集め、以降、映画『テルマエ・ロマエ』(12)、『進撃の巨人』(15)、『シン・ゴジラ』(16)など、多数の映画・ドラマで存在感ある脇役として活躍中。NHKの連続テレビ小説には、2017年前期『ひよっこ』、2017年後期『わろてんか』と二期連続で出演。お茶の間にも強烈な印象を残す。現在、文春オンラインにて、「拾われた男」を好評連載中。■著者プロフィール鴇田崇映画&ディズニー・パークスを追うフリーライター。年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートをひたすら取材しまくる。ジョン・ラセター、アラン・メンケン、キャスリーン・ケネディ、バイロン・ハワード、ティム・バートンなど、ディズニー映画関連人物のインタビュー経験も豊富。世界のディズニー・パークスでは東京だけでなく、アナハイムも偏愛している。instagram→@takashi.tokita_tokyo※草なぎのなぎは弓ヘンに前の旧字の下に刀
2018年04月19日NHK連続テレビ小説『ひよっこ』『わろてんか』をはじめ、ドラマに映画に大活躍中の個性派俳優・松尾諭が、戯曲家エンダ・ウォルシュによる『バリーターク』の舞台で草なぎ剛と共演。松尾は草なぎ演じる男1と日常生活を送る男2の役で、バリータークという村の話をひたすら語り続け、奇妙な共同生活を送っているという、ある種特異な物語だ。「これは男が同棲している話です(笑)」と語るように草なぎとの共同作業がメインの作風で、実際草なぎの存在に「助けられています」と語る松尾。共同作業を経て輪郭がはっきりしてきた作品のこと、そして草なぎとの共演の感想を聞く。○草なぎの声の魅力を発見――まず本作に出ると決まった時、率直に何を思いましたか?僕にとっては5~6年ぶりの舞台だったので、まずそれがうれしかったですね。内容を知る前にテンションが上がりましたが、次に内容を聞いて草なぎさんとほぼ二人芝居だと知って「え!?」って、びっくりしました。僕は端っこのほうでわーわー言っているほうが性に合っていると思っていたので、衝撃は大きかったですね。舞台のチラシを見ていただいてわかるように、ほぼ真ん中にいますので(笑)。――草なぎさんとほぼ二人でメインを務めることについては、いかがでしたか?以前、ちょっとだけ仕事をしたことがあるのですが、それは本当にちょっとだけで、しかも草なぎさんは覚えていなくて、「初めまして」と言っていました(笑)。のちのち「そういえばあの時に(笑)」みたいな話にはなりましたが。以前、草なぎさんの舞台を観に行ったことがあって、すごく魅力があるお芝居をする方だなという印象が強かったですね。ご本人自体に魅力がある人だなという印象も含めて。――実際、今回の稽古などを通じて、それまでのイメージと違う点などありましたか?以前拝見した舞台では、男らしさもありながら、ちょっと中性的な役柄で、その感じがすごく素敵だったんです。でも今回、ご一緒していて、声がすごく印象的だと思いました。だからひとりで活字の台本を読んでいるのと、人の声を通して聞くのとでは全然違いますが、「ああそういうことか」と。草なぎさんも僕としても完全には物語を解釈してはいないですけれど、解釈とかそういうことではなく、男1として草なぎさんがしゃべっている姿を見ているだけで、話の世界にグッと近く入っていけた。それはすごく発見でしたし、びっくりしましたね。――向こうのほうから、歩み寄って来てくれている?どうでしょうか。「僕に歩み寄っていますか?」などと聞いたことないのですが(笑)。ただ、ここをこうしよう、ああしようとか、そういう会話はまったくしていないんです。そもそも、ふたりしてべちゃくちゃしゃべったりもしていないんですけど、立ちだしたら自然ですね。抽象的な台本なのでちょっとした動きの違いで、やっぱりセリフも変わってくるから、試そうと思って違う動きを毎回するのですが、草なぎさんもするんです。僕がすれば草なぎさんもついてきてくれるし、その逆もある。そういうことがスッとできるって、草なぎさんだからなのかなと。もしかすると、歩み寄って来てくれているのかもしれないですね(笑)。○草なぎの独特な感性と柔らかさ――『バリーターク』は、これという答えがないタイプの作品ですよね。ここがこうなってこうみたいなわかりやすい作品が多いなか、それとはまったく逆のタイプの作品で、ここにふたりの男がいて、もう一人男が来ます、あとはご自由に、みたいな感じですよね。観る側の人もちゃんと感じることができる作品なので、漫画よりも小説よりも文芸に近い作品かもしれないです。でも僕はすごく世界観が好き。僕は漫画も好きですが、どこかジョジョっぽかったりもするんです。そこまで小難しい話ではなくて、すごく通っているものが普遍的だったりもするんですけど、頭だけで考えるとわけがわからないかもしれない。ガチガチにならず、草なぎさんと僕が変なことしてしゃべっていると思えば、ラクに観られる。考えるよりは感じたほうがいい感じの作品だと思いますね。――お話をうかがっていると、草なぎさんとは相性が良さそうですね。草なぎさんはどう思っているかわからないですが、いままでに会ったことがないタイプの人ではありますね。感性も普通の人とは違う。僕はけっこうディスカッションなどが好きなので、演出の白井さんにもバカなふりをしていろいろと言うんですけど、草なぎさんは黙って聞いていて、あまり自分から言い出すことはないんです。でも先日、めずらしく、「これって実はこの人とこの人がグルなんじゃないですか?」って。そんなこと誰も考えたことがなかったのに、ああ意外にそうかもと。着眼点がまるで違うんです。考え方も柔軟ですし、芝居の対応もやわらかい。僕のほうが年上の役柄ですけど、草なぎさんのほうが年上でキャリアも上ですから、僕はもう安心して心の中ではお兄ちゃんと(笑)。でも、幕が上がるとギスギスするかもしれないですけどね(笑)。――休憩中など、どういう会話を?「それはどこのお茶なの?」とか「何を読んでいたんですか?」とか、わりと普通ですかね。球を投げたらパッと返ってきてすぐ終わり、みたいな感じで。おいおいもっと話すようにしようかなとは思いますが、かといってどういう話をするかはわからないですけどね。すごく優しいんです。もうちょい、プライベートに食い込んでみたいですね。――そういうほぼ二人だけのお芝居を経て、何か新たな発見はありましたか?これがひとりの芝居であれば、あわあわしていたかもしれないですね。でも逃げの発言じゃないけれど、全部ひとりで背負いこまなくていいんです。共有していける。草なぎさんもスッとそこに立っていて、そこも僕にはありがたい。やってみると、意外に気を使わずにやれているんです。でも始まったら、緊張でぐちゃぐちゃになるかもしれないですけれど(笑)。○「男たちが同棲している話です(笑)」――最後にうかがいますが、『バリーターク』は、どういうお話だと個人的に受け止めていますか?男たちが同棲している話です(笑)。でも、そうなんです。そこで生が死がと言い出すとややこしくなるんですけど、本当にふたりの男が一つの部屋で生活して、毎日を営んでいるところに、ある日波風が立つ。その生活を壊すことが幸せなのか、続けることが幸せなのか、そう考えると難しくなるんですけど。兄弟でもない、他人でもない、血もつながっていない、友情みたいなものは、もちろんあると思いますが。――人生で時に起こる大きな変化を受け入れる、というお話かもしれませんね。二人だけの生活を何十年もやってきたけど、他人ですからいつしか破たんがくる。日々同じように暮らしていることが幸せなのか、変化を求めてたとえば仕事を辞めることが幸せなのか、会社に骨を埋めるか転職するか、みたいなことですかね。そういう意味だと、普遍的なところもあって、難しい話ではない。ちょっと言葉の端々を捕まえて考えると、世界観が広まっていくとは思います。最初はゆるく観始めて、観終わった後に、いろいろと考えてほしい。そのほうが面白いと思う。描写がちょっと変わっているだけで、ごくごくありふれた人たちと、その男たちをとりまく話ですから。舞台『バリーターク』は、4月14日から5月6日まで神奈川・KAAT神奈川芸術劇場、5月12日から6月3日まで東京・シアタートラム、6月16・17日に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールにて上演。■プロフィール松尾諭1975年生まれ、兵庫県尼崎市出身。2001年、映画『忘れられぬ人々』で俳優デビュー。2007年、フジテレビ系列のテレビドラマ『SP 警視庁警備部警護課第四係』で主要SP役の人、山本巡査部長役に抜擢され、大きな注目を集め、以降、映画『テルマエ・ロマエ』(12)、『進撃の巨人』(15)、『シン・ゴジラ』(16)など、多数の映画・ドラマで存在感ある脇役として活躍中。NHKの連続テレビ小説には、2017年前期『ひよっこ』、2017年後期『わろてんか』と二期連続で出演。お茶の間にも強烈な印象を残す。現在、文春オンラインにて、「拾われた男」を好評連載中。■著者プロフィール鴇田崇映画&ディズニー・パークスを追うフリーライター。年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートをひたすら取材しまくる。ジョン・ラセター、アラン・メンケン、キャスリーン・ケネディ、バイロン・ハワード、ティム・バートンなど、ディズニー映画関連人物のインタビュー経験も豊富。世界のディズニー・パークスでは東京だけでなく、アナハイムも偏愛している。instagram→@takashi.tokita_tokyo※草なぎのなぎは弓ヘンに前の旧字の下に刀
2018年04月18日