『夜は短し歩けよ乙女』『夜明け告げるルーのうた』の湯浅政明監督の新作『きみと、波にのれたら』が公開されている。本作は“シンプルなラブストーリー”を描くことを目指して制作がスタートしたが、作品を完成させた湯浅監督はインタビューの中で思わず「人生ってそういうものだって感じですよね」と口にした。男女の少しだけファンタジックなラブストーリーの奥にはどんな“人生のドラマ”が待っているのだろうか?本作は海辺の街に引っ越してきた大学生・ひな子と街の消防士の港が出会い、一緒にサーフィンに行くうちに恋人同士になって幸福な日々を過ごすも、ある事故で港がこの世を去ってしまうところから物語が始まる。愛する人を失ったひな子は立ち直れなくなってしまうが、そこに港が“意外なかたち”で姿を見せる。湯浅監督はこれまでも様々なラブストーリーを描いてきたが、本作では意識的にシンプルなドラマを描くことを目指して創作をスタートさせた。「これまでも作品の間口を広げる努力は常にしてきたんですけど、『夜明け告げるルーのうた』の公開後に周囲の人の意見を聞く中で“みんなが観たい映画はこういうものかな?”とイメージできたので、より間口を広げた作品を作ってみたかったですし、その目標は達成できたと思います。つくってるといろいろとやりたくなるし(笑)、物語がシンプルに進行していくと、これで大丈夫なのか? と不安にもなるんですけど、今回はあえてそれをやってみないといけないと思ったんです」しかし、湯浅監督は「自分を捨てたとかは一切ないです」と笑みを見せる。「自分のわかる/できる範囲で挑戦した作品なので、自分の中では“これまでと違うもの”とは思っていないですし、僕のこれまでの作品を観てくれている方なら、この作品の意図はわかってもらえると思っています」監督が語る通り、本作は登場人物が絞られ、キャラクターの絵柄や背景の描き方などに変化はあるが、視点の面白さ、アニメーション表現の豊かさ、そしてアッと驚く状況の出現など、過去の湯浅作品の魅力やテイストが存分に盛り込まれている。「これまでも色んな水の表現をしてきましたけど、“波”はちゃんと描いたことがなかったんです。サーフィンをやるといろんな波があって、千葉の波と湘南の波は違うし、今はドローンとかサーファーがつけた小さいカメラで、いろんな映像が観られるようになったので、水がどんな動きをしているのかわかるようになったんですよ。今回はそれを描きたいなぁと」本作に登場する水や波は単なる“効果”ではなく、キャラクターの動きにシンクロしたり、立ち向かう存在として描かれ、時にはキャラクターの“感情”を表現するアイテムにもなっている。さらに本作における波は、人生の浮き沈み、つまり“人生の波”をも表現している。「新しい波に乗るのが怖いというか、乗ろうとして失敗したらどうしようと思っている人が多い印象があったんです。でも、波は乗ってみないことにはそれが良いか悪いかはわからない。新しい波に乗らないままで終わるか、乗ろうとしたけど失敗するか。乗った結果として良い波で、でもその波はいつかは終わってしまう……でも、波が来たら乗らないよりは乗った方がいいじゃないですか。でないと、いつか別れてしまうのなら最初から付き合わない方がいいってことになってしまうし、遊園地から帰るのがさみしくなるから行かない方がいいってことになってしまう。でも、行った方がいいと思うんですよ。人生ってそういうものだって感じですよね(笑)」人生には良い波に乗っている時もあれば、悪い波にあたって身動きがとれない時もある。それでも泳ぎ続けていれば、次の波がやってくる。だから、乗らないよりは乗った方がいい。映画の冒頭、主人公の港とひな子は、お互いに惹かれ合い、何のためらいもなく良い波に乗ろうとする。「熱烈なカップルを見ると“バカだな”とか思うし(笑)、あんなイチャイチャしていてもいつかは別れるのに、とか思う人もいると思うんですけど、その瞬間はそれが真実だし、それがあるから現在がある。波に乗ろうとトライしたから今の生活がある。だから、バカになれる、他人の目が気にならないぐらい相手のことを好きになれるのも幸せだと思うんです。それは尊いし、ないよりはあった方がステキだと思います」とは言え、湯浅監督は登場人物たちが波に乗ろうとする際に“偶然に”乗れる場面を用意しない。誰もが必死で、努力して、勇気を出して波に乗る。「ふたりはプロのサーファーになるわけでも、有名な人になれるわけでもないんですけどやるんですよね。やっぱりどこであっても努力をしている人というのはいて、僕がいいなと思うのは堅実に生きている人。そういう人がちゃんと報われるといいなといつも思っています」本作は、シンプルな恋の物語を描きながら、監督の言葉を借りるならば“人生ってそういうもの”だと思わせてくれる作品になった。「それは……映画をつくっていくうちにそういう話になっていったんでしょうね」『きみと、波にのれたら』公開中
2019年06月21日『きみと、波にのれたら』の湯浅政明が監督、「ピンポン」「鉄コン筋クリート」の松本大洋がキャラクター原案、「アンナチュラル」「逃げるは恥だが役に立つ」の野木亜紀子が脚本を担当する長編アニメーション映画『犬王』の製作が決定した。後世日本の文学や演劇などに大きな影響を与えた軍記物の名作「平家物語」。その現代語訳を手掛けた古川日出男により「平家物語」に連なる物語として、南北朝~室町期に活躍し、世阿弥と人気を二分した能楽師・犬王の実話をもとに新たに生まれた「平家物語 犬王の巻」をミュージカル・アニメーションとして映画化。犬王は、同時代を生きた観阿弥、世阿弥の父子と同様に三代将軍・足利義満の愛顧を受けて、むしろこの二者よりも贔屓にされていたと伝えられる。600年以上の歴史を誇り、現存する世界最古の舞台芸術と言われる “能楽”を題材とする本作の映像化にあたり、日本を代表するトップクリエイターたちが集結。監督を務めるのは、国内外から注目を集め、最新作『きみと、波にのれたら』が6月21日に公開されるアニメーション監督・湯浅政明。本作では自身初の“能楽”のアニメーション化に挑戦する。また、湯浅監督と「ピンポン THE ANIMATION」以来5年ぶり、2度目のタッグを組み、キャラクター原案を手掛けるのは6月12日より新連載「東京ヒゴロ」(ビッグコミックオリジナル/小学館)がスタートしたばかりの漫画家・松本大洋。原作「平家物語 犬王の巻」の装画を務めた松本氏が初めて小説原作のキャラクター原案となる。そして脚本には、数々のヒット作を世に送り出している野木亜紀子。ドラマ・映画と活躍し、今年、向田邦子賞(「獣になれない私たち」)、市川森一賞(「アンナチュラル」)をW受賞した彼女が自身初めてとなるアニメーション映画脚本に挑む。歴史に消えたポップスター・犬王が現代に再び姿を現すとき、どんな物語が謳われるのか。続報にも期待していて。原作・古川日出男コメント私が書いたのは芸能についての小説だ。芸能とは歌であり演奏であり、感情、感動である。私は文字だけでその物語化を成し遂げようと試みた。今回、それらは一冊の本の内側から解き放たれる。すなわち音が、声が、色彩が。それから感情が、もちろん感動が。その監督やその脚本家やそのキャラクターの設計家や、音楽家や、その他その他によって、それらはついに放たれるのだ。監督・湯浅政明コメント歴史にはわずかにしか書き記されていない、「犬王」という猿楽師を大胆に解釈された古川さんの物語。野木さんの脚本。松本さんのイメージ。・・・これは面白くなるしかないですね。楽しみにしててください!キャラクター原案・松本大洋コメント湯浅監督はじめ作品に関わる人間が楽しんで作ることができたら、きっとすごいアニメーションになると期待しています。僕も邪魔にならないように、少しでも力になれたら嬉しい。脚本・野木亜紀子コメント古川さんが著した『平家物語 犬王の巻』を読んだときの高揚と切なさをどう脚本に落としこむのか、地の文からどう世界をすくい上げるのか、難しくもやり甲斐のある仕事でした。アニメ表現は無限であり実写の何倍も出来上がりの予想がつきません。松本さんのキャラクターと湯浅監督が織りなす『犬王』がひたすらに楽しみです。映画『犬王』は2021年、公開予定。(text:cinemacafe.net)
2019年06月12日世界を魅了してきた湯浅政明監督最新作『きみと、波にのれたら』の公開を記念して、湯浅監督が手掛けた『夜明け告げるルーのうた』と『夜は短し歩けよ乙女』の2作品が2週連続で放送されることが決定した。◆『夜明け告げるルーのうた』(6月4日放送)2週連続で放送される今回。最初の週は、フランス・アヌシー国際アニメーション映画祭長編部門でグランプリ(クリスタル賞)を受賞した『夜明け告げるルーのうた』(’17)を放送。寂れた漁港の町・日無町を舞台に、心を閉ざした中学生のカイが、人魚の少女・ルーとの出会いと交流を通して、本当の気持ちを伝えることの大切さを教えてくれる青春感動ストーリー。少女・ルーを谷花音が演じているほか、下田翔大、柄本明、斉藤壮馬、寿美菜子らが出演している。ストーリー寂れた漁港の町・日無町に住む中学生の少年・カイは、父親と日傘職人の祖父との3人で暮らしている。両親の離婚によって日無町に居を移したカイは、父や母に対する複雑な想いを口にできず、鬱屈した気持ちを抱えたまま学校生活にも後ろ向き。唯一の心の拠り所は、自ら作曲した音楽をネットにアップすることだった。ある日、クラスメイトの国夫と遊歩に、彼らが組んでいるバンド「セイレーン」に入らないかと誘われる。しぶしぶ練習場所である人魚島に行くと、人魚の少女・ルーが3人の前に現れた。楽しそうに歌い、無邪気に踊るルー。カイは、そんなルーと日々行動を共にすることで、少しずつ自分の気持ちを口に出せるようになっていく。しかし、古来より日無町では人魚は災いをもたらす存在。ふとしたことから、ルーと町の住人たちとの間に大きな溝が生まれてしまう――。◆『夜は短し歩けよ乙女』(6月11日放送)2週目は、第41回日本アカデミー賞最優秀アニメーション賞受賞作品『夜は短し歩けよ乙女』(’17)を放送。京都を舞台に描かれる、ちょっと風変わりな森見登美彦の同名ベストセラーを原作に、星野源(黒髪の乙女に焦がれる先輩役)、花澤香菜(黒髪の乙女役)、神谷浩史(学園祭事務局長役)、中井和哉(樋口師匠役)、秋山竜次(パンツ総番長役)ら最高のキャストでアニメーション映画化した。ストーリークラブの後輩である“黒髪の乙女”に思いを寄せる“先輩”は、今日も「なるべく彼女の目にとまる」ようナカメ作戦を実行する。春の先斗町、夏の古本市、秋の学園祭、そして冬が訪れて…。京都の町で、個性豊かな仲間たちが次々に巻き起こす珍事件に巻き込まれながら、季節はどんどん過ぎてゆく。外堀を埋めることしかできない“先輩”の思いはどこへ向かうのか――!?◆『きみと、波にのれたら』(6月21日公開)『夜明け告げるルーのうた』『夜は短し歩けよ乙女』を観たあとは、まもなく公開される湯浅監督最新作もチェック!湯浅監督待望の最新オリジナルアニメーション映画『きみと、波にのれたら』は、海辺の街を舞台に、消防士の青年・港とサーファーの大学生・ひな子との運命的な恋を描く感動青春ラブストーリー。港役は「GENERATIONS from EXILE TRIBE」の片寄涼太、ひな子役は先日結婚・妊娠を発表した女優・川栄李奈が担当しているほか、松本穂香、伊藤健太郎と注目の若手俳優が声優参加。主題歌は「GENERATIONS from EXILE TRIBE」が担当しており、本作のために書き下ろされた「Brand New Story」も必聴だ。◆放送決定を記念して湯浅監督からコメント到着!『夜は短し歩けよ乙女』は少しお酒を飲みながら観たら楽しいかもしれません。『夜明け告げるルーのうた』は観終わるころにちょうど夜が明けますね。(笑)『きみと、波にのれたら』を観る前に是非楽しんでいただけたらと思います。(cinemacafe.net)■関連作品:夜は短し歩けよ乙女 2017年4月7日より全国にて公開© 森見登美彦・KADOKAWA/ナカメの会きみと、波にのれたら 2019年6月21日より全国にて公開©2019「きみと、波にのれたら」製作委員会
2019年05月30日映画『さくら』が、2020年秋に全国ロードショー。北村匠海×小松菜奈×吉沢亮が、3兄妹として共演する。直木賞作家・西加奈子のベストセラー小説を実写化家族をテーマにした、直木賞作家・西加奈子のベストセラー小説『さくら』が実写映画化。物語では、一家のヒーロー的存在である長男の交通事故をきっかけに運命が大きく変わっていく長谷川家の3兄妹と、どんな時も変わらずに家族に寄り添う愛犬の”さくら”の姿を温かな眼差しで描く。キャスト(登場人物)3兄妹役に、北村匠海、小松菜奈、吉沢亮長谷川家の3兄妹を演じるのは、北村匠海、小松菜奈、吉沢亮の人気若手俳優3名。次男の大学生・薫を北村匠海、美形の妹・ミキを小松菜奈、人気者の長男・一を吉沢亮が担当する。寺島しのぶ×永瀬正敏が夫婦役にまたそんな兄妹の両親にあたる母・つぼみ役に寺島しのぶ、父・昭夫役に永瀬正敏が抜擢。さらに3兄弟妹の人生のターニングポイントに登場する顔ぶれには、フレッシュな顔ぶれが勢ぞろい。ミキにできた初めての友達・カオル役を欅坂46の小林由依、一の恋人・ 矢嶋優子役を水谷果穂、薫の同級生・須々木原環役を山谷花純がそれぞれ演じる。そのほか、昭夫の学生時代の同級生でゲイバーを営む・溝口先史を加藤雅也、“フェラーリ“と呼ばれる謎の男性を趙珉和が担当する。監督は『3月のライオン』の矢崎仁司個性豊かなキャストを束ねるのは、映画『3月のライオン』『ストロベリーショートケイクス』などで知られる矢崎仁司監督。詩情溢れる作品を多数生み出してきた手腕で、絶望の中に希望を紡ぐ家族の物語を色彩豊かに表現していく。あらすじハンサムで人気者の長男と、異常なまでに長男を愛する容姿端麗で破天荒な妹、平凡な次男のボク。そして、どんな時でも変わらず家族に寄り添う愛犬のさくら。ちょっと風変わながらも幸せな家族が、一家のヒーロー的存在の兄が交通事故に遭ったことによって、運命が大きく変わっていく・・・。【詳細】映画『さくら』公開時期:2020年秋全国公開原作:西加奈子『さくら』監督:矢崎仁司出演:北村匠海、小松菜奈、吉沢亮、寺島しのぶ、永瀬正敏、小林由依、水谷果穂、山谷花純、加藤雅也配給:松竹
2019年04月05日直木賞作家・西加奈子のベストセラー「さくら」が、2020年、映画化されることが決定。北村匠海、小松菜奈、吉沢亮といま注目の若手が“兄弟妹”役で共演し、家族の物語を描く。西加奈子の原点というべき傑作が映画化!「きいろいゾウ」「まく子」が映像化されている西さん。今回映画化が決定した「さくら」は、ある家族の姿を色彩豊かに温かな眼差しで描く、50万部突破のベストセラー小説だ。ハンサムで人気者の長男と、異常なまでに長男を愛する容姿端麗で破天荒な妹。そして、平凡な次男のボク。ちょっと風変わりだけど幸せな家族が、一家のヒーロー的存在の兄が交通事故に遭ったことによって、 運命が大きく変わっていく。そして、どんなときでも変わらず家族に寄り添う愛犬のさくら。ごく普通の家族に次々と投げられる神様からの絶望とも思える変化球を、やさしいユーモアを交えてリズムよく返球していく希望に満ちた物語。次男/北村匠海「力を合わせて」そんな家族の物語で過酷な運命に立ち向かう兄弟妹を演じるのは、ドラマ、映画、CMなどで活躍する実力派若手俳優たち。長谷川家の次男、大学生の薫を演じるのは、永野芽郁とW主演を務めた『君は月夜に光り輝く』が現在公開中、「グッドワイフ」ではまた新たな一面を見せ話題となった北村さん。「一つの家族の大きな愛、小さな愛、一匹の犬にまつわる、愛情。端的には言えない、愛と情の物語です。丁寧に一言一言を紡いで力を合わせて作り上げていきたいと思います。頑張ります」とクランクイン前の意気込みを語っている。妹/小松菜奈「感じた想いを大切に」超美形の妹・ミキを演じるのは、『溺れるナイフ』『恋は雨上がりのように』の小松さん。「原作からも浮き出てくるリアルな家族のやり取りと喜怒哀楽の光景がとても微笑ましく、その中で感じる生きるとは何か・愛とは何か・家族とは何か、そんなメッセージが伝わる心温まる再生物語だと感じました」と作品の印象を語った小松さんは、「今回演じさせていただく末っ子のミキと常に向き合い、とても奮闘する日々になると思いますが、自分の感じた想いを大切にミキとして生きていきたいです」とコメントしている。長男/吉沢亮「妹、ワクワク」そして、人気者の長男・一を演じるのは、『銀魂』『ママレード・ボーイ』『BLEACH』など話題作に立て続けに出演、海外からも注目を集める『キングダム』の公開も控える吉沢さん。楽しみであり不安もあると心境を明かす吉沢さんは、「監督と話し合いながらこの一家の光であり影である一という役を精一杯生きたいと思います」と意気込み、「僕自身男4人兄弟で、女姉妹に憧れていました。妹、ワクワク」とお茶目に語っている。なお、監督は海外からも高い評価を受ける『ストロベリーショートケイクス』『無伴奏』の矢崎仁司が務める。『さくら』は2020年初夏、全国にて公開予定。(cinemacafe.net)
2019年04月02日3月15日(金)に全国公開となる映画『まく子』。ウーマンエキサイトでは、同作の原作者で一児の母でもある西加奈子さんにお話を伺いました。映画化への思い、そして、育児や仕事との向き合い方とは?インタビューから浮かび上がったのは、“自由”というキーワードでした。西 加奈子(にし かなこ)さん1977年テヘラン生まれ。2004年『あおい』で小説家デビュー。2015年に『サラバ!』で直木賞を受賞。直木賞受賞後の第一作が『まく子』となる。2012年に結婚、2017年に出産。一児の母としての顔も持つ。■映画は映画監督の作品、原作に忠実でなくていい『まく子』は、子どもと大人のはざまで戸惑う小学5年生のサトシが、不思議な魅力を持つ転入生・コズエとの出会いをとおして、ほんの少しだけ大人に近づいていく物語。サトシ役には今作で映画初主演となる山崎光さん、コズエ役にはモデルとしても活動中の新人・新音(にのん)さんを抜擢(ばってき)。また、女好きのダメな父親役を草なぎ剛さん、母親役を須藤理彩さんが演じています。――『まく子』が映画化されると聞いたときのお気持ちは?うれしかったですね。私は映画が好きなので、自分の本が映画になるというのがシンプルにうれしくて。――映画制作の際、「こうしてほしい」と要望は出されのでしょうか?ありません。内容に関しても「自由に変えていただいて結構です」と。――自分の作品を完全に委ねるのは、少し怖くないですか? 映画は、映画監督の作品だと思うので、怖さは全然なかったですね。実際にそんなことはないと思っていますが、もし映画の出来が悪くてもそれは監督の責任だと言えます(笑)。もちろん原作者ではありますが、小説は小説で完結。だから映画は映画監督の作品。その作品がすばらしいものであったら、それはすべて監督の手柄だと思っています。突き放しているというわけではなくて、私は映画がとても好きだから、監督には自由に作ってほしくて。「『原作に忠実に』という考えはまったくいらないから、鶴岡(慧子)監督にはご自身の世界観をガンガン出していってほしい」と思いました。■草なぎ剛の色気に驚き! 「こんなにハンサムだったんだ」――魅力的なキャラクターばかりの本作ですが、演じたキャストの皆さんの印象はいかがでしたか?みなさん、すばらしかったです。映画のラストに近いシーンで親たちみんなが集まる場面で、それぞれ恥ずかしそうにしながら、でもワクワクしている表情がすごく好きで。本当にこういう集落があればいいなと思いました。――以前、『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)に出演された際、“草なぎ剛さんを文学的に例えるなら”というテーマに「ユーモアと美しい心が世界を変えるんだ。」と答えていらっしゃいました。今回、草なぎさんについてあらためて感じられたことはありますか?草なぎさんは優しくて柔らかいイメージがあったのですが、すごくセクシーな方だったんだと思いました。「役者ってすごいな」(笑)と。いろんなものを自分でキャッチして、演じられているんだと驚きました。――たしかに、草なぎさんの役どころは、すごく色っぽいですよね。ダメ男なんだけど、女性が惹かれてしまう気持ちがわかるという。そうそう! もちろん、もともと美しい方なんだけど、「こんなにハンサムやったっけ?」みたいな。すごくすてきですよね。■本はいつ何を読むか、何を感じるか、すべてが“自由”――原作『まく子』は児童小説ですが、映画を観て、子どもたちに感じてほしいことはありますか?それはまったくないですね。子ども、大人という線引きは、正直自分の中でできてなくて。見た目が大人、お酒を飲めるのが大人、運転できるのが大人、というのはあるかもしれませんが…。でも、自分がサトシくんと全然違うかというと、サトシくんの気持ちもすごくわかる。41歳の私よりしっかりした子どももいるだろうし、それこそサトシくんのようにお父さんよりすごくしっかりしている子どももいます。“子どもだから”とか“子どもの見方”ということは考えたことがないですし、本当に自由に観てほしいです。――西さんは2017年にご出産されましたが、『まく子』はそれ以前の作品。お子さんを産んで、本作に対する気持ちの変化はありますか?子どもが生まれてからも、作家としての変化はとくにないんです。もし子どもが『まく子』を読んでくれたとして、「自分こんなんちゃうわ」と思ってくれてもいい。何も変わらないですね。――お子さんには、いつ頃『まく子』を読んでほしいというのはありますか?いつでもいいです、ほんまに(笑)。読んでくれなくてもいい。そこは強制しないです。もちろんハードなポルノ作品は、禁止しておいた方がいいと思うんだけど、それ以外は、何歳で何を読もうが自由だと思っています。――(笑)。対象年齢は関係なく、何歳で読んでも、何を感じても良いということですね。そうです。それが小説ですから。――ふだん、お子さんと本を通じた触れ合いの時間はありますか?絵本の読み聞かせはしています。読んでほしい絵本は、子どもが自分で選んで持ってきます。私も絵本を出しているので、そのなかから選んでくれることも。でもすぐに飽きてしまうので、それほど長い時間は読み聞かせできないのですが…。――ご自身の子ども時代はいかがでしたか?よく絵本は買ってもらっていたし、好きだったんだと思います。小学1年生から4年生までエジプトにいたのですが、日本人が帰国する際に置いていってくれた本が図書室にあって、いつもその本を読んでいました。日本人学校に通っていたのですが、日本語にあまり触れられないから、きっと日本語に飢えていたんだと思います。――その頃の環境が、今の自分に与えている影響はありますか?自分が自分以外の人生を歩んでいたら客観的に見られると思うんですが、自分は自分を生きてきたから、どう影響されているのかわからないんですよね(笑)。もちろん、全員にとって子ども時代は大事だから、大きな影響はあったんだろうなとは思います。でも、それがどういう影響なのかまではわからないんです。■“自由”を奪われた産後、支えとなったものは?――忙しくお仕事をされているなかでの妊娠。不安はありませんでしたか?それは、なかったですね。――実際にお子さんを出産されて、“自由が奪われることがつらかった”という西さんのインタビューを拝読しました。本当につらかったのは産後1ヶ月。「外に出られへん」と。それ以降は、子どもを連れてどこにでも行けたので、気持ちは変わりました。――つらかった時期、何が西さんを支えていたのでしょう?友だちですね。ほぼ毎日、友だちに来てもらって、話をしたり、聞いたりしていました。――気持ちを吐き出せる場所があることは、大事ですよね。あとは、聞くことも大事。自分に自由がないので、「今どんな仕事してるの?」とか「どんなレストランに行ったの?」といった友だちの外での生活を聞くことが、とても慰めになりました。――自分で体験したわけではないけれど、話を聞いて心を豊かにする。少し読書にも近い気がしますね。そうですね。赤ちゃんとずっと2人きりでいるのは行き詰まるので、友だちの話を聞きながら、その社会性も一緒にもらう感じでした。いまは保育園にも助けてもらい、ベビーシッターさんにもたまに来てもらっています。親も友だちもいる、夫ももちろん育児してくれる。自分ひとりだけで子育てをしているわけではないので、すごく安心感がありますし、楽しいです。■女性にどれだけ求めているの!というプレッシャーが怖い――現在は、どのようなペースでお仕事をされているのですか?子どもを保育園に預けている間とか、できるときに執筆するという感じで、あまり決めないようにしているんです。――あえて決めていないんですか?決めちゃうと、できなかったときに悔しいじゃないですか(笑)。だから、「できるとき」に書くことにしています。――なるほど(笑)。お子さんの存在が、執筆のモチベーションにつながるようなことはありますか?時間が物理的にむちゃくちゃ貴重になったので、集中力は上がりました(笑)。昔はダラダラできたけど、「この時間に書かないと、夜は絶対書かれへん!」と。――時間は本当に貴重ですよね。ちなみに、母になって気づいた自身の一面はありますか?「自由を奪われるのが一番イヤなんだ」、と気づいたのは大きかったですね。「絶対に罪は犯さんとこう」と思いましたもん(笑)。子どものためにとかではなくて、自分のために「刑務所入るようなことはせんとこう」と。「自分で稼げるようにしよう」とか、「自分ひとりで動けるように体を大切にしよう」とか、“自由でいられるように”という気持ちは強くなりました。――ウーマンエキサイトの読者には、仕事に育児にがんばっているママがたくさんいます。母になっても、女性として輝き続ける秘訣(ひけつ)を教えてください。私、そういう考えが好きじゃなくて(笑)。「母である上に女性として輝く」って、なんか怖いというか、プレッシャーになるんですよね。「どれだけ求められんねん!」と(笑)。自然でいいと思います。お母さんとしてがんばっているならそれで充分だし、ボロボロでもいいと思う。――そのお言葉、すごく励まされますし、読者にも響く気がします(笑)。よかった(笑)。お母さんは、家事や仕事、育児をやっていらっしゃるだけで、ほんっっっまにすごいと思います。ドえらい賞を何個ももらっているのと同じなので、ご自身を褒めてあげてほしい。「自分すごい!」って、毎日100回くらい言ってもいいと思いますよ!映画『まく子』小さな温泉街に住む小学生5年生のぼく(サトシ)は、子どもと大人のはざまにいる。ぼくは、猛スピードで「大人」になっていく女子たちがおそろしかった。女の人とみれば、とたんにだらしなく笑う、父ちゃんみたいには絶対になりたくなかった。だから、否応なしに変わっていく自分の身体に抗おうとしていた。そんなとき、コズエが突然やってきた。コズエはとても変で、とてもきれいで、なんだって「撒く」ことが大好きで、そして彼女には秘密があった…。原作:「まく子」西加奈子(福音館書店 刊)監督・脚本:鶴岡慧子出演:山崎光、新音、須藤理彩/草なぎ剛主題歌:高橋 優「若気の至り」(ワーナーミュージックジャパン/unBORDE)2019年3月15日(金) テアトル新宿ほか全国ロードショー公式サイト: ※山崎光さんの「崎」は立つ崎(たつさき)が正式表記となります。※草なぎ剛さんの「なぎ」は弓へんに前の旧字体、その下に刀が正式表記となります。
2019年03月15日『夜は短し歩けよ乙女』『夜明け告げるルーのうた』が国内外で高く評価された湯浅政明監督による最新アニメーション映画『きみと、波にのれたら』で片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)が声優初挑戦、アニメ初主演の川栄李奈とW主演を務めることになった。『映画 クレヨンしんちゃん』シリーズではキャラクターデザインなどを務め、長編アニメ初監督作『マインド・ゲーム』(’04)やテレビアニメ「四畳半神話大系」で文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞を受賞した湯浅監督。昨年は劇場アニメ『夜は短し歩けよ乙女』で第41回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を、『夜明け告げるルーのうた』で仏・アヌシー国際アニメーション映画祭2017の長編コンペティション部門で見事グランプリにあたるクリスタル賞を受賞し、怒涛の勢いでその名を世界に轟かせた。■歌が物語のカギに!海辺が舞台のラブストーリーそんな湯浅監督のオリジナル劇場アニメーションとなる最新作は、“歌”が重要なカギになる海辺の街を舞台に描かれるラブストーリー。正義感が強い消防士の青年・港(みなと)を演じるのは、絶大な人気を誇るダンスボーカルグループ「GENERATIONS from EXILE TRIBE」ではボーカルを務める片寄涼太。現在は菅田将暉主演ドラマ「3年A組―今から皆さんは、人質です―」に生徒役で出演中、映画『兄に愛されすぎて困ってます』やドラマ・映画他ジャンルを超えた展開が話題の『PRINCE OF LEGEND』などで俳優としても活躍する片寄さんは本作が声優初挑戦。劇中で港は、サーファー・ひな子と恋人同士となるが、ある事故で命を落としてしまう。憔悴するひな子がある日、2人の思い出の歌を口ずさむと港が水の中から現れ…!初挑戦にして、命を落としてなお、恋人の前に現れ彼女を支えようという、かつてない複雑な役どころに挑む。ひな子を務めるのは、同じく「3年A組」で生徒役を務めているほか、昨年は主演映画『恋のしずく』、『センセイ君主』『人魚の眠る家』など話題作に続々出演した川栄李奈。さらに『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』にも起用され、劇場アニメで声優を務めるのは今回が4作目となるが、アニメーション映画としては初主演。その確かな演技力には、今回も大きな期待がかかっている。さらに、本作では“歌”が重要なキーとなっており、劇中では2人で歌うシーンも登場する。■片寄涼太体当たりの気持ちで声優初挑戦なので、体当たりの気持ちで、皆さんから一つ一つ学びながら、周りの皆さんと一緒になって雛罌粟(ひなげし)港という男を作り上げていけたらなと思いました。ラブストーリーではありますが、一人一人が成長していく部分もとても大事で、観てくださった方が勇気をもらって、背中を押されるような作品になればいいなと思います。■川栄李奈「なんか頑張ろう!」という気持ちになれる声のお仕事を頂くのは本当にありがたいことだなと思っています。アフレコは毎回すごく難しいなと思うので、今回も分量がすごい多いと言われていたのでちょっとドキドキしていました。本作はラブストーリーだけではなく、落ち込んでいる方だったり、元気がない方が「あ、なんか頑張ろう!」という気持ちになれる作品だと思うので、本当に色んな方に観てほしいなと思います。■湯浅政明監督バカップルと呼べるほどの愛らしい2人片寄さん演じるミナトを聴きながら画面を見てると、率直に「港が色男になった!」と感じ、川栄さん演じるヒナコを聞いていると「ひな子が等身大で魅力的な女性になった!」と思いました。2人が戯れに歌を口ずさむシーンでは「1人で映画館に来ると辛いのではないか」と思うほどのアツアツぶりが録れたので、ぜひ、このバカップルと呼べるほどの愛らしい2 人の恋を劇場に見に来て欲しいですね。■ストーリー大学入学を機に海辺の街へ越してきたひな子。サーフィンが大好きで、波の上では怖いものなしだが自分の未来については自信を持てずにいた。ある火事騒動をきっかけに、ひな子は消防士の港と出会い、2人は恋に落ちる。お互いがなくてはならない存在となった2人だが、港は海の事故で命を落としてしまう。大好きな海が見られなくなるほど憔悴するひな子が、ある日ふと2人の思い出の歌を口ずさむと、水の中から港が現れる。「ひな子のこと、ずっと助けるって約束したろ?」再び会えたことを喜ぶひな子だが…。2人はずっと一緒にいることができるのだろうか?港が再び姿を見せた本当の目的とは?『きみと、波にのれたら』は6月21日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2019年01月15日2019年3月より映画「まく子」が全国で公開することが発表されました。原作は作家・西加奈子さんの同名小説。小さな温泉街で繰り広げられる、小学生の男女の成長物語を若手キャストや草彅剛さんが演じます。西加奈子さんの小説「まく子」が実写映画化作家・西加奈子さんの小説「まく子」が実写映画化することが発表されました。本作は、小学5年生の男の子・慧と転入生の美少女・コズエが織りなす人間ドラマ。2019年3月から全国ロードショー予定です。作家・西加奈子さん1977年イラン・テヘラン市生まれの作家。2004年『あおい』でデビューし、『サラバ!』で第152回直木賞を受賞。ほかにも数々の受賞経歴をもつ人気作家です。豪華な出演者が多数登場本作は主人公・慧役を中学3年生の山﨑光さん、転入生・コズエ役を13歳の新音さんが担当。注目の若手キャストを中心に物語が展開されます。また、主人公・慧の父親役を“新しい地図”の草彅剛さんが務め、物語を盛り上げます。映画「まく子」詳細公開時期2019年3月予定スタッフ監督:鶴岡慧子原作:西加奈子脚本:鶴岡慧子プロデューサー:赤城聡出演者山崎光新音須藤理彩草彅剛など問い合わせ先公式HP:映画「まく子」オフィシャルサイト映画「まく子」を見に行こう注目の若手キャストが織りなす物語に注目が集まる、映画「まく子」。ぜひこの機会に話題の作品を見に劇場へ足を運んでみませんか。
2018年11月09日湯浅政明監督最新作、映画『きみと、波にのれたら』が、2019年6月21日(金)より全国ロードショー。アニメ『四畳半神話大系』にはじまり、2017年には『夜は短し歩けよ乙女』で日本アカデミー賞最優秀アニメーション賞を受賞、『夜明け告げるルーのうた』でアヌシー国際アニメーション映画祭長編コンペティション部門クリスタル賞(グランプリ)を受賞した湯浅政明。『きみと、波にのれたら』は、2017年に怒涛の勢いでその名をとどろかせた湯浅政明による長編オリジナル最新作だ。女子大生と消防士のラブストーリー『きみと、波にのれたら』の主人公は向水ひな子。サーフィンが大好きでその腕前もかなりのもの。明るくあっけらかんとした性格だが、自分の未来については自信を持てずにいる。そんな彼女が、大学入学を機に海辺の街に引っ越した街で、消防士の港に出会い、恋に落ちることから物語は始まる。めでたく結ばれた2人だったが、ある日港は海の事故で命を落としてしまう。大好きな海が見られなくなるほど憔悴するひな子が、ある日ふと二人の思い出の歌を口ずさむと、水の中から港が現れる。「ひな子のこと、ずっと助けるって約束したろ?」再び会えたことを喜ぶひな子だが…。2人はずっと一緒にいることができるのだろうか?港が再び姿を見せた本当の目的とは?どこか共感できる純粋な主人公の気持ちを、そして2人の淡い恋を、湯浅政明作品ならではの鮮やかなアニメーションにのせていく。脚本は『聲の形』『若おかみは小学生!』の吉田玲子スタッフ陣は、湯浅政明監督作品での活躍が記憶に新しい豪華な面々が揃う。脚本は、『夜明け告げるルーのうた』をはじめ、『聲の形』『若おかみは小学生!』の吉田玲子が担当。音楽は、『夜は短し歩けよ乙女』や『リトルウィッチアカデミア』の大島ミチルが手掛ける。キャラクター紹介物語を彩る個性豊かなキャラクター達を紹介。GENERATIONS from EXILE TRIBEの片寄涼太や、『嘘を愛する女』『センセイ君主』に出演した川栄李奈など、豪華声優勢も合わせてチェックしてほしい。雛罌粟 港 (ひなげし みなと) - 声:片寄涼太消防士かつ、ひな子の恋人。正義感が強く仕事でも信頼されている。器用で何でもそつなくこなす。海の事故で命を落としてしまうが、ひな子の歌をきっかけに再び現れる。向水 ひな子 (むかいみず ひなこ) - 声:川栄李奈主人公の大学生。サーフィンが大好きでその腕前もかなりのもの。明るくあっけらかんとした性格だが、自分の未来については自信を持てずにいる。事故で失った恋人・港の姿を唯一みることが出来る人物でもある。雛罌粟 洋子(ひなげし ようこ) - 声:松本穂香港の妹で高校生 誰に対してもぶっきらぼうな態度を取る一方、兄を慕っている。川村 山葵 (かわむら わさび) - 声:伊藤健太郎新人消防士で港の後輩 人懐っこい性格だが、仕事では失敗ばかりを繰り返し、消防士としてはまだ半人前。主題歌にGENERATIONS from EXILE TRIBE主題歌はGENERATIONS from EXILE TRIBEが担当。映画のために書き下ろされた楽曲「Brand New Story」は、物語のキーともなる重要な役割を果たしている。片寄涼太×川栄李奈が2人で口ずさむ“胸キュン”シーンも劇中では、片寄涼太演じる港と川栄李奈担当のひな子が、2人でじゃれあいながら口ずさむ“胸キュン”シーンも登場。もともとは別々に収録されるはずだったが、「2人で歌った方が、より良い空気感を出せるのでは?」という片寄のアイディアによって、この場面の誕生に至った。完璧すぎないメロディや、照れ笑いを抑えながら歌っている2人の歌声は、まるで本物の恋人たちかのよう。背中を後押ししてくれる優しい歌詞、夏にぴったりな爽やかなメロディが、作品にドラマティックな彩りを与えてくれる。作品詳細『きみと、波にのれたら』公開時期:2019年6月21日(金)全国ロードショー監督:湯浅政明脚本:吉田玲子出演:片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)、川栄李奈、松本穂香、伊藤健太郎音楽:大島ミチル配給:東宝
2018年11月01日「女性ロックバンド」に革命を起こしたチャットモンチー。彼女たちの曲に詞も提供したことのある作家・西加奈子さんが思う、7月の「完結」を迎えたラスト武道館ライブのこと、彼女たちのこと。「私は生きている」文・西 加奈子チャットモンチーはすごいバンドだ。私が知った時にはもうすごかったし、彼女らはデビューの時からすごかった。ちょっと怖くなるくらい格好いい演奏と、とても切実なボーカル。可愛らしい容貌を裏切るバンドだと散々言われてきただろうけど、私はバンドとしての彼女たちを「可愛い」と思ったことは一度もない。いつも、いつだって、ずっと格好良かった。なんだったら「北斗の拳」のラオウの集まりみたいに思っていた。彼女たちの音楽には、ずっと全力で応援されているような気持ちになった。その一方で圧倒的すぎて置いてきぼりにされているような気持ちにもなった。私のためだけに叫んでくれているようにも思えたし、自分たちのためだけに叫んでいるようにも見えた。とにかくどんな感想も想いも矛盾しなかった。自分が感じたことを、全部信じることができた。唯一共通点があったのは、彼女らの演奏を聞くと、いつもお腹いっぱいおにぎりを食べた後のような、とてもシンプルな幸福を感じることだった。彼女たちの潔い佇まいと、それは無関係ではないはずだ。どれだけ高度な演奏をしても、複雑な楽曲を披露しても、彼女たちの姿勢はシンプルだった。自分たちがいいと思う音楽を奏でる。つまり真っ向勝負をしていた(やっぱりラオウだ!)。おにぎりが私たちを生かしてくれているように、彼女たちの音楽に「生かされている」と思うことは多々あった。表現というものは、いつだって食べ物の救いよりは遅い。圧倒的に遅い。表現それ自体が物理的に人の命を救うことはないと、表現する人間ならみんな分かっている、はずだ。でも、私にとってチャットモンチーは限りなくおにぎりなのだった。なんかもう、ものすごく生きることに直結させてくれる音なのだった。そんなチャットモンチーが「完結」する。メンバーの脱退や変化を繰り返し、それでもチャットモンチーはずっとそこにあり続けるだろうと思っていた。勝手に私の常食にしていた、おにぎりが、なくなる?寂しくてめまいがしたけれど、彼女たちが「解散」という言葉を使わないこと、そこに何かすごく意味があるような気がした。これは絶対に目撃せねば、と思った。それで武道館へ行った。武道館のチャットモンチーは、いつもと変わらなかった。「CHATMONCHY MECHA」「たったさっきから3000年までの話」ラオウ的真っ向勝負をして、私たちみんなの口に、おにぎりを放りこんでくれた。「the key」「裸足の街のスター」演奏が終わるたびに、私の体はあたたかなもので膨らんだ。ああ、これがチャットモンチーだ。最初から私はずっと泣きそうで、結局泣いてしまって、すごく泣いて、その時思っていたことは「チャットモンチーを見れなくなるなんて嫌だ」ではなくって、「ありがとうチャットモンチー」なのだった。「私を生かしてくれて、ありがとう!」最近、みんな「ちょっとだけ死のう」としているように思う。本当に死にたいんじゃない。それどころか生きたくてたまらない。だから、自分が「本当に生きている」ことを実感したくて、ちょっとだけ死のうとしているように思うのだ。例えば分かりやすく手首をちょっと切ってみるだけじゃない。痛みを感じ、流れる血を見て「生きている」と思うのではなく、インターネットに誰かの悪口を書いたり、悪いお酒を飲んで酩酊したりして、チクチクと自分の心を刺すのだ。そうして見えない血を流して、それで「生きている」と思う。チャットモンチーの音楽は、「ちょっとだけ死ぬ」必要なんてないんだよ、と言ってくれていた。そんなことしなくても、自分を傷つけなくても、あなたは生きている。まごうことなく、完全に、全身全霊で生の只中にあるから、だから生きているんだよ。そう、叫んでくれていた。「砂鉄」「クッキング・ララ」「惚たる蛍」「染まるよ」私は生きている。「majority blues」「ウィークエンドのまぼろし」「例えば、」生きて、歌を歌う。「東京ハチミツオーケストラ」「さよならGood bye」「どなる、でんわ、どしゃぶり」熱狂する。「Last Love Letter」「真夜中遊園地」「ハナノユメ」体中を血がぐるぐると回る。それは、痛みを覚えるための血じゃない。生きている、それはもう圧倒的に生きている証拠の血が流れるのだ。「シャングリラ」「風吹けば恋」「サラバ青春」7月4日の武道館、私たちはみんなで生きていた。みんなで、ちっとも死なずに生きていた。チャットモンチーのへその緒に、みんなで繋がっていた気分だ。確かに彼女たちは「完結」した。そしてそれは同時に、生まれ直す行為だった。圧倒的に生きたまま生まれ直す行為。彼女たちの音楽が、その粒が私たちの体に入り込み、血になって、骨になって、細胞になって、心になった。そういえば武道館に下がった垂れ幕には、大きな字でこう書かれていたではないか。「Every day is your birthday」新しい誕生日おめでとう、私たち。新しい誕生日おめでとう、チャットモンチー。にし・かなこ作家。1977年生まれ、エジプト、大阪育ち。『サラバ!』(小学館)にて直木賞受賞。最新刊に『おまじない』(筑摩書房)。チャットモンチーの楽曲「例えば、」では、作詞を担当した。チャットモンチー2004年、地元徳島県にて結成。幾度かのメンバーチェンジを経て、橋本絵莉子(Vo、G)、福岡晃子(Ba、Dr)、高橋久美子(Dr)の3人での活動を始める。2005年、ミニアルバム『chatmonchy has come』にてメジャーデビュー。以降、テレビアニメ『働きマン』のエンディングテーマに抜擢された「シャングリラ」をはじめ、数々のヒット曲を世に出す。’11年の高橋の脱退以降は、サポートを迎えつつ2人体制で活動。’18年7月4日の日本武道館ライブ、そして同21日・22日の「徳島こなそんフェス」をもって「完結」。※『anan』2018年9月12日号より。写真・古溪一道上山陽介(by anan編集部)
2018年09月07日音楽家の椎名林檎、演出振付家のMIKIKO、そして小説家の西加奈子というトップクリエイターの3人が、初めて旅番組に挑戦した「猫にまた旅 ~椎名林檎・MIKIKO・西加奈子 ロシアを行く~」が、6月30日(土)に放送されることが決定した。今年デビュー20周年を迎え、書き下ろしたドラマ「カルテット」の主題歌が話題になったことも記憶に新しい椎名林檎、「Perfume」「BABYMETAL」など様々なアーティストの振付を手掛けるMIKIKO、そして、「まく子」が実写映画化されることも決定している直木賞作家・西加奈子。プライベートでも親交を深める彼女たちが訪れたのは、帝政ロシアの都として栄えたサンクトペテルブルグ。歴史と芸術に彩られた美しい街で、“3人の猫娘たち”が“芸のこやし”をハンティング。クリエイターならではの視点で、古都の魅力を掘り下げていく。番組内では、ロシアの伝統楽器「バラライカ」のバンドアンサンブルを体感したり、世界5大バレエ団として名をはせる「マリインスキー・バレエ団」に潜入したり。またロシアの文豪ドストエフスキーの家の訪問など、3人の創作に通ずるシチュエーションが満載。ほかにも、世界の猫・ロシア編として、ロシアンブルーのブリーダーを訪ね、ロシアの一般家族の夕食に突撃も。もちろん、エルミタージュ美術館をはじめとする名所も周る。「猫にまた旅 ~椎名林檎・MIKIKO・西加奈子 ロシアを行く~」は6月30日(土)23時5分~NHK総合テレビにて放送。(cinemacafe.net)
2018年06月19日映画『まく子』が、2019年3月15日(金)より、テアトル新宿他全国ロードショー。直木賞作家・西加奈子の小説『まく子』が実写映画化原作は、直木賞作家の西加奈子による同名の小説『まく子』。小さな温泉街に住む小学5年生の男の子・慧(さとし)が、不思議な魅力をもつ美少女・転入生のコズエとの出会いをきっかけに、ほんの少しだけ大人へと近づいていくさまを描いた成長物語。誰しも成長の中で経験してきたであろう、思春期ならではの葛藤や親と子の確執・再生を、西加奈子ならではの世界観で瑞々しく表現した作品だ。主演は俳優界の新星2人本作の主演・慧(さとし)役を演じるのは、中学3年生の山﨑光。2010年『ちょんまげぷりん』で映画デビュー、その後『真夏の方程式』など数々の作品に出演しているが、今回14歳にして初の主演を果たす。転入生・コズエ役には、13歳の新音(にのん)が決定。RADWIMPS「狭心症」のミュージックビデオ、第68回ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門において正式招待作品に選ばれた『Blue Wind Blows』の出演を経験している、注目の若手女優だ。主人公・慧の父親役に草彅剛そして慧の父親・光一役として、草彅剛が出演。2017年9月より「新しい地図」として再始動し、自身主演の『光へ、航る』を収めたオムニバス映画『クソ野郎と美しき世界』が大ヒットを記録、舞台「バリーターク」では主演を務めるなど、役者としての更なる活躍が記憶に新しい。また、慧の母親・明美役は、NHK朝の連続テレビ小説「半分、青い。」にて、20年ぶりの朝ドラ出演を果たして話題の須藤理彩が務める。お笑いコンビ・しずるの村上純が抜擢思春期の息子を温かく見守るサトシの母・明美役には、NHK朝の連続テレビ小説「半分、青い。」で20年ぶりの朝ドラ出演で話題となった女優・須藤理彩が担当する。また、大人なのに子供たちとばかり一緒にいる青年・ドノ役には、お笑いコンビ・しずるの村上純が抜擢。子供とばかり一緒にいるドノをバカにしている主人公・サトシは、ドノの“ある想い”を知ることで少しずつ変化していく。映画『まく子』の世界を彩る他の出演者にも注目。サトシのクラス担任小菅役には、舞台「No.9-不滅の旋律‐」に出演するなど舞台での活躍がめざましい橋本淳、生徒たちを優しく見守る校長役には俳優・小倉久寛、旅館のベテラン仲居キミエおばちゃん役には女優・根岸季衣、ドノと心を通わす不登校児の類役には若手注目俳優の内川蓮生が選ばれている。主題歌は高橋優の書き下ろし主題歌は、シンガーソングライター高橋優の「若気の至り」。映画を観たあとすぐに書き下ろしたというこの楽曲は、思春期の繊細に揺れる気持ちを織り込んだ一曲に仕上がっている。なお「若気の至り」は、高橋優の6th アルバム「STARTING OVER」に収録されている。ストーリー小さな温泉街に住む小学生5年生の「ぼく」(慧)は、子どもと大人の狭間にいる。ぼくは、猛スピードで「大人」になっていく女子たちがおそろしかった。女の人とみれば、とたんにだらしなく笑う、父ちゃんみたいには絶対になりたくなかった。だから、否応なしに変わっていく自分の身体に抗おうとしていた。そんなとき、コズエがある日突然やってきた。コズエはとても変で、とてもきれいで、なんだって「まく」ことが大好きで、そして彼女には秘密があった…。【作品情報】映画『まく子』公開日:2019年3月15日(金)シアター:テアトル新宿ほか全国脚本・監督:鶴岡慧子原作:「まく子」西加奈子(福音館書店 刊)出演:山﨑光、新音、須藤理彩/草彅剛、つみきみほ、村上純、根岸季衣、小倉久寛、内川蓮生■前売券情報2018年12月28日(金)より、WEBで座席指定ができるムビチケカード1,400円(税込)を発売開始。購入者には、先着で西加奈子の手描きイラスト入り“想いをまく一筆箋”をプレゼント。※一部劇場を除く、数量限定
2018年05月19日第152回直木賞受賞の人気作家・西加奈子が受賞後第1作目として発表した、思春期の成長物語「まく子」が映画化、2019年に公開されることが決定!主演を『真夏の方程式』から成長した山崎光が務め、その父親役を草なぎ剛が務めることが分かった。■誰しもが経験する、思春期ならではの葛藤や親子の確執と再生を描く物語本作は、小さな温泉街に住む小学5年生の男の子・慧(さとし)が、不思議な魅力をもつ美少女・転入生のコズエと出会い、彼女に秘められた大きな秘密を知ることで、いままで見てきた世界<日常>が優しく塗りかえられていき、ほんの少しだけ大人へと近づいていく物語。誰しもが成長の中で経験してきた、思春期ならではの葛藤や親と子の確執と再生を、西加奈子らしい独自の世界観で瑞々しく描いた原作を、テレビ朝日「アメトーーク!」の「読書芸人大賞2016」にて芥川賞作家でもある又吉直樹(ピース)がおすすめ作品として紹介。さらに話題となり、子どもだけでなく、“かつての子どもたち”に向けられた小説として幅広い世代に親しまれている。■山崎光、14歳にして初主演!「重なるところが多く演じやすかった」主人公・慧役を演じるのは、現在、中学3年生の山崎光(14歳)。2010年『ちょんまげぷりん』(中村義洋監督)で映画デビューし、その後、松坂桃李が主演を務めた『ツナグ』(平川雄一朗監督)、ガリレオシリーズの『真夏の方程式』(西谷弘監督)など数々の作品に出演してきたが、本作で初主演を務める。山崎さんは現場をふり返り「初めて主演という大役を頂き緊張していたのですが、鶴岡(慧子)監督のわかりやすい指導と、スタッフさんたちのサポートのおかげで、思い切って楽しく演技することができました」とコメント。「少し恥ずかしいシーンもあり緊張もしましたが、自分なりに上手く演じることができたと思います。最後のシーンが終わり、監督からのOKの声を聴いて、ホッとしたのと同時に、撮影が終わってしまった寂しさがこみ上げてきました」と告白。「実際ぼくもいま、同じような境遇で、慧と重なるところが多く演じやすかったです。慧がコズエの不思議な世界観に巻き込まれていく、とても不思議で魅力的な作品で、精一杯演じさせて頂いたので、たくさんの方に観て頂けたら嬉しい」と、主人公に触れながら頼もしくアピールした。また、不思議な魅力を持つ美少女の転入生・コズエ役には、新音(にのん・13歳)が決定。「RADWIMPS」の「狭心症」のミュージックビデオや、佐渡島でオールロケを行った第68回ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門・正式招待作品『Blue Wind Blows』(富名哲也監督)に出演しており、映画は本作で2作品目。今後の活躍が期待される若手注目女優の1人だ。コズエという役柄が「複雑で難しい面もありましたが、演じる上でたくさんのことを学べた気がします」と新音さん。「台本をもらった日から。『まく子』の不思議な世界観が伝わってきて特別な映画だと感じました。その世界を表現するような演技ができるようにがんばりました。完成楽しみにしてます!」と期待を込めている。■草なぎ剛、主人公に「しっかりしろよ」と言われてしまう父親に山崎さん演じる慧の父親・光一役には、2017年9月「新しい地図」として始動し、自身主演の『光へ、航る』(太田光監督)を収めたオムニバス映画『クソ野郎と美しき世界』が2週間限定公開の中、28万人以上の動員する大ヒット。さらに現在公演中の舞台「バリーターク」(演出:白井晃)では主演を務めるなど、役者としての活躍が目覚しい草なぎ剛(43歳)。草なぎさんは、小学5年生の息子をもつ父親役を演じることに「14歳の座長、山崎光君演じる慧の父親・光一役を演じさせていただきました。子どもから『お父さんしっかりしろよ』と言われてしまう、そんな父親です」と“自己紹介”、「僕もちょうど山崎君と同じくらいのときに仕事を始めているので、当時のことを思い出し、そのとき感じていたことはいまも感じているのかなと考えたりしました」と語る。作品についても「『まく子』は、誰しも持っている、どうしても失ってしまう大事な感情、想いを、もう一度取り戻してくれる作品です。僕たちの前にいきなり出てきて、花火の様に僕らの日常を映してくれて、『あいつ、バカだなぁ』って笑いながら、幸せをまいてくれる、この映画も、みなさんにとってそんな存在になる映画だと嬉しいです」とコメント。さらに慧の母親・明美役には、1998年にNHK朝の連続テレビ小説「天うらら」でヒロインを演じてから、数々の作品に出演を果たし、現在放送中の「半分、青い。」“人生・怒涛編”にて20年ぶりの朝ドラ出演を果たす須藤理彩(41歳)。「不思議な出会い、出来事。もしかしたら、いま起こっていること全てが幻だったとしても、そのとき感じたことは心に深く刻まれて『自分』は少し成長したんだと…そんな思春期の息子を見守る母の役です。母も、そんな息子から、学ぶのです。人を愛する気持ちを…」とコメントを寄せている。■監督は国内外から注目を集める新進気鋭・鶴岡慧子監督本作の監督を務めるのは、長編第1作目『くじらのまち』が第34回PFFアワード2012グランプリとジェムストーン賞をW受賞し、海外映画祭でも第63回ベルリン国際映画祭・フォーラム部門、第17回釜山国際映画祭・コンペティション部門に正式出品され、高い評価を受けた若手監督・鶴岡慧子(29歳)。長編第2作目『はつ恋』も第32回バンクーバー国際映画祭にて、これまで数々のアジア監督を輩出してきた「ドラゴン&タイガー賞」にノミネートされており、国内外問わず注目を集めている。「美しい川が流れる四万温泉で、巡る季節を感じながら映画『まく子』を撮りました。光くんと新音さんが、成長期の真っただ中にいる主人公たちを、からだの全てで演じてくれました。そして2人の周辺を、新人から大先輩まで、様々なフィールドから集まったおもしろ~い俳優さんたちが彩ってくれました」と監督はコメント。そして、今回の映画化にあたり、原作者・西さんは、「あの頃のあなたへ、あの頃の私へ向けて書いたつもりが、いまこの瞬間のあなた、いまこの瞬間の私に向けて書いていました。私たちがいまこうやってここにいるのは奇跡です(よね?)。私にとって特別な思い入れがあるこの作品を映像にしていただけることも奇跡。素晴らしいスタッフに恵まれ、それだけでこの作品は祝福されています。完成がほんとうに楽しみでなりません」と万感の思いを明かす。撮影は、3月末~4月上旬に群馬県四万温泉付近にて行われ、すでにクランクアップ。現在は編集中にて、完成は8月を予定している。本作のプロデューサー・赤城聡は、完成、そして来年公開に向けて「脚本を作りながら、撮影を進めながら、主人公・慧の成長を描くと共に、この映画そのものが、僕たちの想像を超えた成長を遂げていきました。皆さんがこの映画に出会うこと、どうかそれが素晴らしい奇跡でありますように」とコメントを寄せている。映画『まく子』は2019年、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2018年05月16日直木賞作家・西加奈子による絵画展、「おまじない」「“i” beyond」展が東京・千代田区のAI KOWADA GALLERYで開催される。本展は西が「文学」と同じく情熱を傾ける「絵画」にスポットを当てた、2度目となる企画展示となる。孫係 “私たちは、この世界で役割を与えられた係なんだ。” ボール紙にクレヨン 550x460mm 2018©Kanako NISHI courtesy of AI KOWADA GALLERYこれまでも、小説のテーマを絵画でも制作してきた西。その作品は表紙絵や挿絵となり、ストーリーを理解する鍵となる存在でもあった。クレヨンが油絵の具のように厚く塗り重ねられた段ボールのタブローには、西の華奢な体に宿るエネルギーが放出され、力強さに溢れている。西は小説を通し、自己のアイデンティティに悩み、途方に暮れる人々の背中を“あなたはあなたのままでいい”と押し続けてきているが、そのメッセージは絵画にも投影されている。西が画材としているのは、幼少時から親しんでいるクレヨン、そして通っているスーパーで譲り受けるという段ボール 。正式な美術教育を受けず身近な素材を“画材”とし 、表現するという西独自の制作スタイルは、 ニューヨークなどの街角で、描く素材や場所を選ばず、さまざまな社会問題を訴えてきたストリート・ アーティストの姿にも重ねられる。今回の作品展は前期「おまじない」と、後期「“i” beyond」に分けて行われる。前期「おまじない」では、先月刊行された、10年ぶりとなる短編集『おまじない』(筑摩書房、2018)にも表現される心の“ゆらぎ”や“不安定さ”をも見事に表現。夕焼けのように赤く染まる空をバックに煙を吐く煙突や、こちらを見上げる子犬の何か言いたげに揺らぐ瞳、地を這うカタツムリの滑らかな躰と魅惑的な殻模様。具体的な輪郭を与えられて描かれたそれらは優しい印象を持つ一方、不安定さも感じさせる。本展では、短編集それぞれの物語にあわせて描き下ろされた、具象絵画8点を展示する。後期「“i” beyond」は、小説 『 i(アイ)』(ポプラ社、2017)の刊行とともに本ギャラリーで開催された「インスタレーション “i”」 を、再構成したもの。ギャラリー全体を力強いストロークで描き上げた波や渦で埋め尽くし、西の表現世界に包まれる空間インスタレーションは、小説の登場人物たちの心の機微を追体験させ、たくさんの観客を圧倒。今回、そのインスタレーションを、「“i” beyond」というテーマで、個別のタブローとして再構成している。西が様々な色彩を自在に操りながら、鮮烈な生命観を描いた抽象絵画、13点が展示予定だ。小説を読んでなくても、西加奈子の豊穣な表現世界を体験できる貴重な機会となる。 【イベント情報】西加奈子「おまじない」「“I” beyond」会期:前期(「おまじない」)6月10日〜6月24日/後期(「“i” beyond」) 6月30日〜7月16日会場:AI KOWADA GALLERY住所:東京都千代田区外神田6丁目11-14 3331 Arts Chiyoda 2F時間:14:00〜18:00 ※会期中無休入場無料
2018年05月14日Netflixで配信されているアニメ『DEVILMAN(デビルマン) crybaby』の監督を務める湯浅政明氏が、19日放送のTBSラジオ番組『アフター6ジャンクション』(毎週月曜~毎週金曜 18:00~21:00)に出演することが決定した。湯浅政明氏 -TBSラジオ提供同番組はヒップホップグループ・RHYMESTERの宇多丸がパーソナリティを務め、TBSラジオで65年間続いた野球中継の歴史に幕を閉じたことで、新たにスタートした3時間の生放送ワイド番組だ。湯浅氏は20時台の特集コーナー「ビヨンド・ザ・カルチャー」の「デビルマンcrybabyと、川崎、そしてHIPHOPを繋ぐ線」特集に登場する。特集ではカルチャーの知識も豊富な宇多丸が独自の目線で、『DEVILMAN(デビルマン) crybaby』の舞台となった「川崎」、そして同作に登場する「日本語ラップ」に注目。これらを繋ぐと、どのようなメッセージが浮かび上がってくるのかを議論していく。湯浅氏の他にも、音楽ジャーナリストの磯部涼氏とマンガ研究者の岩下朋世氏も出演の予定だ。
2018年04月19日山田和樹指揮、宮城聰演出というタッグも話題のNISSAY OPERA『ルサルカ』。11月の公演を前に、関連企画「オペラ・オードブル・コンサートvol.5 月に寄せる歌」が、日生劇場のピロティにて開催され、『ルサルカ』に出演する田崎尚美、新海康仁、清水那由太、秋本悠希が、ピアニスト湯浅加奈子の伴奏で、オペラの名曲を披露した。オペラ『ルサルカ』チケット情報1曲目は、ルサルカが第1幕で歌う「月に寄せる歌」。森に住む水の精ルサルカが人間の王子への恋を歌う有名なアリアだ。本番でも同役を演じる田崎が、ルサルカの思慕と憧憬をしっとりと歌い上げた。2曲目は、人間の姿で現れたルサルカに魅せられた王子が歌う「私には分かっている」。本番には狩人役で出演する新海が、運命の恋を確信した王子の歌を情熱的に歌った。晴れて王子と婚約するルサルカだが、彼女は人間の体を得る代わりに声が出せなくなっている。第2幕、口のきけないルサルカの前で、外国の公女が王子を連れて行ってしまう。その様子を見た水の精ヴォドニクが歌うのが、この日の3曲目、「哀れ、蒼白のルサルカ」だ。本番でもヴォドニクに扮する清水が、ルサルカへの哀れみと人間の世界への怒りを表した。続く4曲目は、外国の公女と王子の「あなたの瞳には」。本番でも公女を歌う秋本が深海と共に、新たに燃え上がる恋の二重唱を情熱的に歌った。この王子の裏切りを受けて水の底に引きずり込まれたルサルカが3幕で歌うアリアが、5曲目の「生から切り離され」。田崎がその歌にルサルカの深い嘆きを込めた。さらに、同じドヴォルザーク作曲の「わが母の教え給いし歌」も歌われ、その美しい旋律に来場者一同は聴き惚れたのだった。この日、進行も務めるなど大活躍だった田崎は、今回がルサルカ初挑戦。「私は声種的に、重い声の役が多く、ルサルカのような、人間ではない美しい声の役は、あまり経験してきませんでした。ただ、ドヴォルザークというと民族的な旋律が特長的で、そのオーケストラにはワーグナーに近い重厚さもある。実際にルサルカを歌ってみて、ある程度の重みがあってもいいのかな、と感じています。妖精らしさはハープなどの楽器や森の精、合唱などに表れており、人間に憧れるルサルカの歌にはむしろ泥臭いところもある気がするので、私の場合はそこから作っていけたらと思っています」。ドヴォルザークの歌について回るチェコ語の難しさについては「補助記号が、特にルサルカのアリアには多いんです。日本人がやらない発音なので、11月までにどこまできちんとできるかが課題ですね」と意気込む。宮城演出の稽古はまだこれから。「2幕でのルサルカは声を出さないので、表情や動きで表現することになります。どのような演出をつけてくださるのか楽しみですね。ルサルカは、相手のために自分を犠牲にする。現実にはなかなかできない行為ですが、その無償の愛がお客様に伝わるよう、リアルに演じたいです」。オペラ『ルサルカ』は11月9日(木)より東京・日生劇場にて。取材・文:高橋彩子
2017年06月30日湯浅政明監督による長編アニメーション映画『夜明け告げるルーのうた』が、2017年5月19日(金)より、全国の劇場で公開される。文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞を受賞した『マインド・ゲーム』(04年)で、長編監督デビュー以降、圧倒的な独創性で国内外のファンを魅了してきた湯浅政明。星野源が声優を務める事でも話題を呼んだ映画『夜は短し歩けよ乙女』も手がけた彼による新作『夜明け告げるルーのうた』は、“本当の気持ちを伝えることの大切さ”を描いた完全オリジナルの劇場アニメーションだ。「心から好きなものを、口に出して『好き』と言えてますか」という湯浅監督が抱いた疑問から生まれた『夜明け告げるルーのうた』の舞台は、寂れた漁港の町・日無町(ひなしちょう)。思春期特有の鬱屈した気持ちを抱えたまま日々を過ごす主人公の少年・カイを主人公に、彼の前に突如現れた人魚の少女・ルーとの交流が描かれる。声の出演は、可愛い人魚の少女・ルー役を谷花音、素直な本当の気持ち伝えることのできない少年カイ役を下田翔大、迫力あるルーの父親役を篠原信一がそれぞれ担当する。シンプルな“動く”喜びに満ちたアニメーションに定評のある湯浅作品だが、『夜明け告げるルーのうた』で合わせて注目したいのは、大野広司による背景美術。『AKIRA』(88年)、『魔女の宅急便』(89年)、近年では『おおかみこどもの雨と雪』(12年)など、数多くの名作で背景を手掛けている背景美術界の大御所だ。本作のポスタービジュアルでも、幻想的な背景美術で、作品のキーとなる少年・カイと人魚の少女・ルーが出会うドラマティックなシーンに華を添えている。さらに物語を盛り上げる主題歌として、斉藤和義による「歌うたいのバラッド」を採用。ビビットでポップな色彩とともに、エンディングまで心温まる映像を届ける。八景島シーパラダイスとコラボ!?横浜・八景島シーパラダイスでは、映画『夜明け告げるルーのうた』とのコラボイベントを2017年5月13日(土)より開催。『夜明け告げるルーのうた』のイメージアニメが「アクアミュージアム」の三角の大屋根に投影されるほか、世界観をイメージしたコラボ水槽などが登場し、人魚のルーが楽しく歌い踊り暮らす海の世界に浸ることができる。例えば、「アクアミュージアム」1階のウェルカム水槽では、人魚の少女ルーの住む海の世界を再現。アクアグリーンにきらめく海と、シーパラのキャラクターフィッシュでもあるキイロハギ、スミレナガハナダイなど、ビビッドな色彩の魚たちが来場者を迎えてくれる。さらに、映画のイメージソングとして採用されている「歌うたいのバラッド」や映画のサントラが、島内のBGMとして流れる。お台場でコラボレーションイルミネーションもお台場・デックス東京ビーチにて本作とコラボレーションしたイルミネーション「お台場イルミネーション“YAKEI”映画『夜明け告げるルーのうた』Ver.」が5月12日(金)から6月15日(木)までの期間限定で行われる。全長約200メートルにもわたる「樹木イルミネーション」では、1時間に2回、主題歌の斉藤和義の「歌うたいのバラッド」と連動した演出が行われる。約22万球の光で表現する全体の演出は、人魚の女の子・ルーが繰り出す「水の魔法」をイメージ。音と光で幻想的に映画の世界を演出する。人の動きを感知し映像に反映する体感型イルミネーション「イリュージョンドーム」も。1時間に2回、映画の予告編が放映される。湯浅政明×ねむようこ原画展また、本作の原画展も東京・中野で開催。会場では、湯浅監督の手描きのイメージボードや、キャラクター原案・ねむようこのキャラクター原案イラストなど、作品をより楽しめる本展限定公開の貴重な資料を公開。また、原案イラストを使用したグッズをはじめ映画のグッズも先行販売される。ストーリー・あらすじ寂れた漁港の町・日無町(ひなしちょう)に住む中学生の少年・カイは、父親と日傘職人の祖父との3人で暮らしている。もともとは東京に住んでいたが、両親の離婚によって父と母の故郷である日無町に居を移したのだ。父や母に対する複雑な想いを口にできず、鬱屈した気持ちを抱えたまま学校生活にも後ろ向きのカイ。唯一の心の拠り所は、自ら作曲した音楽をネットにアップすることだった。ある日、クラスメイトの国男と遊歩に、彼らが組んでいるバンド「セイレーン」に入らないかと誘われる。しぶしぶ練習場所である人魚島に行くと、人魚の少女・ルーが3人の前に現れた。楽しそうに歌い、無邪気に踊るルー。カイは、そんなルーと日々行動を共にすることで、少しずつ自分の気持ちを口に出せるようになっていく。しかし、古来より日無町では、人魚は災いをもたらす存在。ふとしたことから、ルーと町の住人たちとの間に大きな溝が生まれてしまう。そして訪れる町の危機。カイは心からの叫びで町を救うことができるのだろうか?作品情報映画『夜明け告げるルーのうた』公開日:2017年5月19日(金)キャスト:谷花音(ルー)、下田翔大(カイ)、篠原信一(ルーのパパ)、柄本明(じいさん)、斉藤壮馬(国夫)、寿美菜子(遊歩)、千鳥・大悟(江曽島)、千鳥・ノブ(千鳥)(髭の漁師)監督:湯浅政明脚本:吉田玲子 湯浅政明音楽:村松崇継主題歌:「歌うたいのバラッド」斉藤和義(SPEEDSTAR RECORDS)キャラクターデザイン原案:ねむようこキャラクターデザイン/作画監督:伊東伸高美術監督:大野広司フラッシュアニメーション:アベル・ゴンゴラ ホアンマヌエル・ラグナ撮影監督:バティスト・ペロン©2017ルー製作委員会【イルミネーション詳細】お台場イルミネーション“YAKEI”映画『夜明け告げるルーのうた』Ver.期間:2017年5月12日(金)~6月15日(木)会場:デックス東京ビーチ3階シーサイドデッキ住所:東京都港区台場1丁目6−1点灯時間:19:00~24:00※変更となる場合あり■樹木イルミネーションと映画主題歌「歌うたいのバラッド」との連動演出19:00~21:30の間で毎時00分、30分スタート■イリュージョンドーム 予告編上映19:15~21:15の間で毎時15分、45分スタート問い合わせ先:03-3599-6500【『夜明け告げるルーのうた』湯浅政明×ねむようこ原画展】開催期間:2017年5月11日(木)〜23日(火) ※水曜定休会場:pixiv Zingaro住所:東京都中野区中野5−52−15中野ブロードウェイ 2F時間:12:00〜19:00入場:無料
2017年02月17日AbemaTV FRESH!&ニコニコ生放送で隔週木曜日に放送されている「アニメぴあちゃんねる」。5月19日(木)のゲストに千菅春香、湯浅かえで、中西優香が出演する。千菅春香は前半に出演。先月シングル『愛の詩-words of love-』をリリース。同曲はTVアニメ『学園都市アスタリスク』のエンディングテーマとなっている。番組では、彼女の歴史を写真で振り返る。地元である盛岡でどんな学生生活を送り、歌手を目指すに至ったのかをトーク。更に最近こだわりを持って集め始めた「一生使える物」を披露する。一体彼女が集めているものは何なのか。放送で確認しよう。湯浅かえで、中西優香はペアで番組後半に登場。湯浅かえでは、自他共に認める「アイドル好き」。そんな「アイドル好き」の湯浅かえで自慢のアイドルグッズの写真を公開、スタジオにもその一部を持って来てもらい披露してもらう。同番組の出演が2度目となる中西優香は、以前出演したときにタカオユキの手作り弁当「タカ弁」に「-100万点」という評価を下したが、今回の弁当にはどんな評価をくだすのか。会員放送では、湯浅かえでの幼少期から成人式、養成所時代の写真を公開。また、湯浅と中西が、番組にレギュラー出演中の秦佐和子と遊んだ際のプライベート写真を公開。一方、同じくレギュラー出演中のタカオユキと前田玲奈も秦佐和子と仲良く、番組はもちろん、プライベートも遊ぶ仲。そこで、ゲストチームとレギュラーチームに別れ、どちらが秦佐和子と仲が良いのかをクイズ形式で競う企画「クイズ秦佐和子」を行う。なお、番組出演に際し行った事前インタビューの様子を、アニメぴあちゃんねるブロマガに掲載中。気になる方はご確認を。「アニメぴあちゃんねる」は、ニコニコ生放送に加え、Abema TV FRESH!でも同時生放送をしている。20時からはAbema TV FRESH!のみ、20時30分からはAbema TVFRESH!とニコニコ生放送、21時30分からはニコニコ生放送のみで放送する。■アニメぴあちゃんねる日時:5月19日(木)午後8時~午後10時20:00~20:30「AbemaTV FRESH!」のみ20:30~21:30「AbemaTV FRESH!」と「ニコニコ生放送」21:30~22:00「ニコニコ生放送」のみ(アニメぴあちゃんねる会員放送)出演:前田玲奈 / 秦佐和子 / タカオユキ / 美濃部達宏ゲスト: 千菅春香 / 湯浅かえで / 中西優香
2016年05月18日ほっこりした笑いがちりばめられた作風で知られる西加奈子さんと、プロのお笑い芸人である又吉直樹さん。お互いに“笑いのツボが似ている”というおふたりにとっての笑いとは?笑うこと、笑われることへの優しさがあふれる対談が実現!***西:又吉さんとは、最初はイベントでお会いして。私が『炎上する君』という短編集を出した時に帯コメントをお願いしたんですよね。又吉:それがきっかけでお会いするようになって、最初はすごく質問されたんです。興味を持って聞いてくださっているのかなと思ったけれど、だんだん、研究されてんのかなと思えてきまして…。西:つい聞いてまうねん(笑)。「今なんでそれ言ったん?」「今、最後に言ったやつは、最初から頭の中にあったん?」とか。又吉:「最初から頭にあって、はやく言いたいと思いながら喋ってました」と言ったら「ほう…」って。西:だって又吉さんは、どうしたら思いつくんだろうってことを言うから。又吉さんの笑いには2種類あると思うねん。ひとつは、例えば小学校の授業中に校庭に犬が入ってきて興奮する、という思い出みたいな笑い。それって、うちの世代にとっては「あるある」やん?でも、そんなこと人に言われるまで思い出さないでしょう?又吉さんは「ああ、そういうことあった!」って思い出させて、私の中の体温をあげてくれるの。もうひとつは、私の体の中にはまったくなかった熱が、隕石が落ちたようにバーン!と入ってくるような笑い。又吉さんが、どちらの笑いも持っていることにおののいてしまう。又吉:自分ではあまり分からないですね。「こうなったらこうなる」とは考えずに、「こんなんあったら面白いな」とは思うんですけど。西:又吉さんは自分はどっちもできまっせ、みたいに気取ってないでしょう。超フラット。帯コメントをお願いしたのは、そんな人が、もしも自分の本を「面白い」と言ってくれたら、すごく自信になるなって思ったから。又吉さん、昔、「優しい人は必ず面白いです」って言ってましたよね。又吉:言ったかもしれません。西:その時は、すぐには分からなかった。「面白い人は優しい」なら分かる。誰かを楽しませようって気持ちは美しいし、誰かに笑われてもいいっていうのは、心が大きいことだし。その逆が分からなかったけれど、今は分かる。又吉さんは絶対にスカさないし、どんな無茶なことや寒いことを言われても「そうですね」と受け入れてますよね。又吉:ああ、それだけは決めているかもしれないです。自分たちがMCをする番組に後輩が来ると、めっちゃ緊張して訳の分かんないこと言い出す奴がいっぱいおるんです。その時に「何言うてんねん」とは言わず、一回そいつの言葉を信じて、質問していくんです。それでおもろなる時があります。西:おもろなくなる時もあるでしょう?又吉:そん時は、みんなでおもろない方向に突っ走っている1~2分がおもろなっているというか。それが芸人としていいのかは分からないですけれど。「芸人やったら笑われんと笑かせ」とは、先輩たちが言うてきた言葉ですけれど、僕はあまり気にしいひんというか。西:『火花』にもそういう話がありましたよね。又吉:そう、自分の小説に書いた時、先輩から批判されるかなと思ってたんです。でも、木村祐一さんがいろんな芸人さんたちにインタビューした映画が京都国際映画祭で上映されたんですが、そのタイトルが『ワレワレハワラワレタイ』なんです。むっちゃいいタイトルだと思って。木村さんに話したら、「俺も先輩に怒られるかと思ったけれど、でもみんなの話を聞いていて、そう思ってん」って。嬉しかったですね。西:人から笑われたいって、めっちゃ懐深いことだと思う。又吉:自分が笑っていたいんです。人が笑っているのを見るのは嬉しいですし。◇にし・かなこ 1977年、テヘラン生まれ、大阪府育ち。’04年に『あおい』でデビュー。『通天閣』で織田作之助賞、『ふくわらい』で河合隼雄物語賞、『サラバ!』で直木賞受賞。◇またよし・なおき 1980年、大阪府生まれ。芥川賞作品「火花」の、俳優・堤真一による朗読CDが発売中。2016年春にはNETFLIXでのドラマ『火花』が配信スタート予定。※『anan』2015年11月18日号より。写真・森滝 進(まきうらオフィス)取材、文・瀧井朝世
2015年11月12日デビュー作「火花」で芥川賞を受賞したお笑い芸人「ピース」の又吉直樹が、人気作家で大先輩となる湊かなえ、西加奈子らと共に本日放送の「SMAP×SMAP」のビストロSMAPにゲスト出演することが明らかとなった。松たか子主演で映画化された「告白」などベストセラー多数の湊さん、2014年下半期・直木賞受賞作家の西さんと肩を並べて登場した又吉さんに、迎えた中居正広も「なんとお呼びしたらよいのでしょう」と困惑を隠せない様子。現在の又吉さんの心境を聞く中で、西さんとは、又吉さんが「ピース」としてブレイクする前から長い付き合いがあったことが明らかとなった。「お話しする一言一言がすばらしかった!」と、又吉さんの一言一句に溢れる才能に西さんは感動を覚えたそう。そこで西さんはまだほぼ無名の又吉さんに自ら自身の作品の帯を依頼したという逸話も登場!スタジオでは当時の帯の文言が発表されるようなので是非注目をしたい。一方、湊さんとは初対面という又吉さんは「作品から受ける印象とは違うとても優しい方」と感激。読書家だという中居も、湊さんや西さんのデビュー逸話などを始め、人となりに興味津々。「たとえば『告白』はどれくらいで書き上げたのですか」「どういう時に作品を書くのですか」と湊さんや西さんを質問責めにしていく。湊さんは「作家になってからの約8年間は記憶があまりない。炊飯器から携帯電話が出てきたことも」といったすさまじい作家の現実を告白!そんな話に又吉さんはこれから自身も歩んでいくことになる作家としての道のりに覚悟を決めたようだ。そして誰もが気になるのは、又吉さん自身はこれから“小説家”と呼ばれたいのか、“芸人”と呼ばれたいのか?というところ。相方であるピースの綾部祐二との“ビミョー”な関係など又吉さんの本音が次々と飛び出す内容となるという。さらに、又吉さん、湊さん、西さんに“SMAPで小説を書くなら”というお題のもと、一人一人を20文字の文章で表現してもらうという企画も!誰についての文章であるかは伏せられており、SMAP自身が誰を指しているか回答していく。果たして又吉さんはどんな言葉でSMAPを表現するのか?そして「小説家の好きなカレー」というオーダーにSMAPの面々はどう応えるのか?又吉さん、湊さん、西さん各作家の個性とSMAPの個性とがスパークするひとときに注目が集まる。「SMAP×SMAP」は7月20日(月・祝)22時15分より放送。(text:cinemacafe.net)
2015年07月20日ついに本日(6月27日)公開を迎えた、『告白』で注目を集めた中島哲也監督・最新作『渇き。』。本作は、学業優秀・容姿端麗・性格も良しのカリスマ女子高生・藤島加奈子を追う、役所広司演じる父・藤島の愛と狂気の捜査劇を描いているのだが、6月26日(木)、渋谷界隈にて、学校から帰宅途中の女子高生30人により、映画さながらの加奈子の捜索が行われた!制服に身を包んだ女子高生たちは、「藤島加奈子を探しています」というタスキをかけ、大きく顔写真が載ったタブロイド紙を片手に練り歩いた。本作は、第3回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した深町秋生の大ベストセラー「果てしなき渇き」を映画化。ある日、元刑事のロクデナシ親父・藤島(役所広司)に、離婚した元妻から連絡が入る。成績優秀で容姿端麗な女子高生の娘・加奈子(小松菜奈)が失踪したというのだ。自分のせいで全てを失った男は、再び“家族”を取り戻すべく、姿を消した娘の行方を追うことに。だが、娘の交友関係をたどる先々で語られるのは、父親である藤島も知らない“加奈子”の裏の顔。想像を超えて肥大し、踏み込むほどに見失う娘の正体。やがて藤島の激情は、果てしない暴走を始め…。この日、捜索を行った女子高生たちがもつタブロイド紙によると、「加奈子さんは、3週間前に失踪し、手がかりはなし。予備校夏季講習から帰宅する途中に、ひとりで下校する姿を複数人の友人に目撃されたのを最後に行方が分からなくなっている。母親から捜索願が提出され、事件、事故の両面で捜索を続けているが、有力な手がかりは得られていないという。加奈子さんは、成績優秀で、容姿端麗、学園のカリスマであった。なお別居中の父親は元刑事。傷害事件を起こし警察を退職、その後警備会社に再就職している。「深夜コンビニ3名惨殺事件」の第一発見者でもあり、本失踪との関連性は不明。父親も血眼になって捜索中である」とのこと。30人の女子高生たちは「藤島加奈子を探しています!」と声を張り上げ、渋谷界隈を練り歩き、街いく人は足を止め、心配そうに見つめていた。もちろんこれは、映画『渇き。』のプロモーションの一環。あたかも女子高生が失踪したように見せかけたため、外国人も興味深々で女子高生たちにしゃべりかけ、本当に失踪したと勘違いしてしまう人が続出!Twitterでも「渋谷でJK沢山に藤島加奈子さん探してますの新聞渡されて心配してたら映画の宣伝だった(笑)」「藤島加奈子探してますとか言われて、新聞渡されて見たら、その藤島加奈子さんに関する新聞で、最近の女子高生すごいなぁ、見つかるといいなぁ思ったら映画の広告なのね…クオリティすごい」という声が挙がっていた。何ともお騒がせなこのプロモーションだが、やはり渋谷駅界隈では加奈子は見つけられなかった様子。もはや加奈子の行方を知るには、劇場に向かうしかなさそうだ。『渇き。』はTOHOシネマズ、六本木ヒルズほか全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:渇き。 2014年6月27日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国にて公開(C) 2014「渇き。」製作委員会
2014年06月27日広末涼子と稲垣吾郎が娘を失う哀しみに打ちひしがれながらも、時間をかけて再生への一歩を踏み出す夫婦を演じた映画『桜、ふたたびの加奈子』。小説から映画へと“生まれかわった”本作を感動を持って見届けたという原作者の新津きよみ氏にDVD&ブルーレイ発売に際し、改めて話を聞いた。その他の写真2000年に原作小説が刊行され、時を置かずに当時、アメリカ在住だった栗村実監督から新津氏の元に映画化を熱望する熱烈なオファーが届いたという。「原作は“生まれ変わり”をテーマにして描いたものでしたが、栗村さんは『いのちの循環という、深淵かつ普遍的なテーマに惚れ込んだ』と。その言葉に私も惚れました」。惚れたからには「こちらからの注文は全くなし。子を亡くすという喪失をどう乗り越えるか? その先に希望を持てる物語をという核(コア)の部分で監督とは一致していたので、心配していなかった」と全てを栗村監督に委ねたという。交通事故で死んだ娘が生まれ変わることを強く信じる母親の物語であるが、小説と映画では、設定や結末といった細部ではなく、物語の骨組みそのものが変わっている。小説は娘のひき逃げ事件にまつわる部分がミステリー仕立てに描かれるが、栗村監督はこの一見“おいしい”ストーリー部分を惜しみなく捨てた。「その点における監督の凄さは、映画を観て強く感じました。ここまで物語を削ぎ落としシンプルにした上で、映画を観終わった後と小説を読んだ後の感動の質が同じなんです。私は2004年くらいに監督が書き上げてきた脚本を拝見してるんです。それなのに映画を観て『まさかこんな風に!』って驚愕して大泣きしてしまいましたから(笑)」。広末と稲垣が体現した夫婦の姿にも感動を覚えたという。「観終えたらこのふたりしか考えられないくらいぴったり。広末さんは容子が憑依されたような演技で、アップになると怖いくらいでした。子を亡くした母親が取り乱す中でも、父親にはでんと構えた部分があってほしいんですが、稲垣さんはまさにそういう夫で見事だと思いました」。近年、公開される映画のほとんどが小説や漫画を原作に持つが、原作に忠実であるがゆえでなく、原作を思う存分に改編した上でしっかりと核を残し、原作者に称賛をおくられる作品も珍しい。監督への、そして自ら紡いだ物語への絶対的な信頼がなしえた実写化の傑作を堪能してほしい。『桜、ふたたびの加奈子』DVD&ブルーレイ発売中取材・文・写真:黒豆直樹
2013年11月20日