1歳になるまで病気らしい病気をしたことがなかったわが子ですが、1歳を過ぎたころに40度の高熱が続きました。やっと落ち着いてきたと思ったら、34.4度まで熱が下がってしまい家族中で大慌て。初めて救急車を呼び、本気で子どもの死を意識しました。熱が上がってくれたときは、心底ほっとしました。 40度の高熱が続くわが子が1歳1カ月のとき、40度の高熱が続いたことがありました。水分は摂れており、咳や鼻水などのほかの症状もなかったので、様子を見ることに。なかなか熱が下がる様子がないので、1度病院に連れて行こうかと考えていたところ、午後になって突然けいれんが起こりました。 下半身のピーンとつっぱったけいれんで、白目をむいた状態。尋常ではないわが子の様子に慌てて救急車を呼び、自宅から車で30分の総合病院に運び込まれました。救急車が来るまでけいれんの時間を計っていたところ、24分間続きました。 落ち着いたと思ったら34.4度に!病院では血液検査をしたり、レントゲンを撮ったりしたのですが、発熱もけいれんも「原因不明」。解熱剤や抗けいれん剤の点滴を打ち、やっと症状がおさまりました。そのまましばらく様子を見て、再発しなかったので夕方自宅に連れて帰りました。 熱もだんだん下がってきて安堵したのもつかの間、明け方ごろ寝ているわが子がどうも冷たいような気がしたので体温を測ると、なんと34.4度。信じられなくて体温計を3本試しましたが、やはり34度台でした。子ども用の体温計ではエラーで測定不能。自分で計ってみると通常通り計れるので、やっと事態を飲み込み、焦って病院に電話しました。 その後の診断は……?「体温が低いのはとにかく温めるしかない」と電話口で看護師さんに言われ、毛布でくるみ、その上をさらに電気毛布でくるみ、温め続けました。熱が上がってきたなと思って毛布から出すとすぐにまた下がってしまうので、ずっと毛布にくるんでいました。 病院に連れて行って診察を受けたり様子を見たり、6時間くらい病院にいました。わが子は泣く元気もなく、ぐったりしたまま。体温が35.5度ほどに戻ってきたときに、やっと泣き始めました。泣いてくれてあんなにほっとしたことは初めてです。家に帰って翌日36度を超えたころ、全身に発疹が出始めました。再度受診したところ、診断は「突発性発疹症」。発疹は1日半くらいでだんだん消えてきて、本人も元気を取り戻しました。 高熱が続いたときも心配でしたが、熱が34度台になったときは「このままだと死んじゃう」と、本当に怖かったです。子どもが泣くのも聞いていてつらいですが、「泣く元気もない」という状態がどれだけ恐ろしいかを身をもって知った経験でした。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。※生後3カ月未満で38℃以上の発熱がある場合は、他の症状の有無に関係なく夜間・休日にかかわらず必ず受診してください。※生後6カ月以上で発熱のみで活気があれば様子を見て、自宅で安静にして過ごさせて外出は控えましょう。3日を経過しても熱が下がらない場合は無条件で受診してください。※41度以上の高熱が出た場合は、無条件で早急に受診してください。著者:ライター 銀鏡あゆみ二児の母。生まれ育った町で、自身の父母・祖母・夫・子ども2人との大家族で暮らす。地元を中心に取材・撮影・執筆を行うライター。
2019年08月03日子どもに多い病気として熱性けいれんがあり、100人中約8人くらいの頻度で起こります。眼の前で子どもが白目を向いてガクガクとしだしたら、びっくりしてパニックになってしまうでしょう。そういった時、親はどのようにすればよいでしょうか?■熱性けいれん「どうする?」正しい対処法まず、熱性けいれんは5歳以下の乳幼児によく起こります。38℃以上に発熱して、最初の数時間でけいれんすることが多く、突然白目を向いて体が突っ張ったり、手足がガクガク震えたりします。多くは数分程度でおさまりますが、それ以上に長く続くこともあります。一般的に、けいれんの時は以下のように対応するよう指導されます。「熱性けいれんを起こしたら、子どもを横に向けて誤えんを防ぎ、けいれんが何分続くか、左右対称かどうかを確認します。けいれんが5分以上続く場合は救急車を呼びましょう」これはこれで正しい対応ですが、はじめてけいれんを見た人にとってはハードルが高いかもしれません。そこで、まずは「子どもを横に向けて誤えんを防ぐ」。これができればOKです。もし、ソファの上やお風呂場などでけいれんを起こした場合などは、安全な場所に移動させましょう。けいれんが起こった時点では何分続くかわかりませんし、様子を観察するのは何度か子どものけいれんを見たことがある人ではないとなかなか難しいものです。救急車をよんでも構いませんし、もし小児科が近ければそのまま受診しましょう。けいれんというと、舌をかまないようにと口にタオルを入れたり、割り箸をはさんだりすると覚えている人がいるかもしれませんが、これは避けたほうがいい行動です。なぜなら口の中にものを入れますと、のどが刺激されておう吐、窒息してしまうおそれがあります。もし、舌をかんだとしても、その出血がもとで窒息することはありません。口の中には何も入れないと覚えておいてください。■けいれんを繰り返す「複雑型熱性けいれん」一般的な対応として、けいれんの時間をはかる、左右対称かどうかを見ることをご紹介しました。なぜ、その対応が必要なのでしょうか。これは診断にとても重要だからです。熱性けいれんは、以下の2種類に分類されます。1.単純型熱性けいれん2.複雑型熱性けいれん単純型熱性けいれんは、けいれんが左右対称で、その時間が15分以内におさまり、24時間以内に反復しないことが条件です。これにあてはまらないものは複雑型熱性けいれんにあたり、けいれんが反復します。そのため、反復しやすさなどを予測するために、左右対称かどうかと持続時間の確認が必要なのです。両親いずれかの熱性けいれん家族歴、または1歳未満の発症の場合は再発率が50%ですので、これらに該当する場合は再発に注意を払ったほうがいいでしょう( 日本小児神経学会「熱性けいれん診療ガイドライン2015」 )。ただし、熱性けいれん全体の再発率は約30%ほどですので、再発しないことのほうが多いです。熱を下げたらけいれんしなくなるのでは? と考えるかもしれませんが、解熱剤で熱を下げてもけいれんの発症リスクを下げることはできません。とはいえ、解熱剤でけいれんが起こりやすくなることもないので、高熱でつらそうな時は解熱剤を使っても構いません。■「抗けいれん薬が効かない」熱性けいれん以外の可能性診断が熱性けいれんであれば、後遺症を残すことはほとんどないものです。けいれんをしている最中、有効な呼吸はできていないので脳は酸素不足になりますが、数分であれば脳への影響はないでしょう。数分の熱性けいれんは自然に止まりますが、けいれんが5分以上になれば、自然に改善する可能性は低く抗けいれん薬の投与が必要になります(救急受診の目安が5分と指導されているのもそのためです)。けいれんを起こした時点では何分続くかわかりませんし、初めての時は熱性けいれんかどうかもまだわからないでしょう。診察を受けて、全体をふりかえった結果、診断されます。例えばインフルエンザにかかっている場合、インフルエンザ脳症ということもあるかもしれません。けいれんを起こしたら原則、受診してほしいと思います。ひとつ、小児に多いけいれんで、熱性けいれん以外のものを紹介しておきましょう。これはノロやロタウイルスなど胃腸炎にかかったときに起こす軽症胃腸炎関連けいれんです。発熱はなくてもけいれんを起こすもので、数分間の短いけいれんがあり、短時間のうちに反復します。抗けいれん薬を使うと改善しますが、熱性けいれんとは治療薬が異なるため区別が大切です。熱性けいれんの治療をしても改善しないため、けいれんの時は下痢やおう吐があるかという情報も大事になります。初めてけいれんをしている我が子を見たら、気が動転するのは当然です。救急車の中で涙を流しているお母さんもしばしばいらっしゃいます。正直言って、私も医者になって初めてけいれんを見た時は焦りました。何度か経験しないと冷静になることは難しいでしょう。突然やってくるその時に備えて、やるべきことを決めておくことが大切です。まずは、誤えんしないように子どもを横向きに寝かせる、救急車を呼ぶ(小児科を受診する)の2つができれば大丈夫です。
2019年08月02日ウーマンエキサイト読者の皆様、こんにちは。koyomeです。昨年、幼稚園に入園して初めての運動会を控えていた長女ムスメのお話です。ダンスやかけっこを私たちに披露することを、それはそれは楽しみにしていました。ムスメ自身、けいれん時は意識がなかったので、自分の体調が悪いという自覚があまりなく、家に帰っても運動会の練習の話ばかりしていました。ただの風邪とは言われたものの、熱を出すと、長引きやすかったムスメ。しかも、もしまた熱が急激に上がることがあれば、再びけいれんを起こしてしまうかもしれません。運動会まであと1週間。もしかしたら出られないかも…。と思いつつ、自分が出られないなんて全く想像もせず、楽しみに練習の様子を話すムスメをみて、決意!これはなんとしても本番までに回復させるしかない!幼稚園の先生も、ムスメが本番を楽しみにしている様子を見ていたので、「本番出られることを優先しましょう!練習は大丈夫なので体調をなんとか整えてあげてください!」と優しく言ってもらえました。本番前に休むことで、ムスメ本人が不安になってはいけないと、なんとかポジティブに説得。体調の変化に細心の注意を計り、どうにか体調を戻すことができました。本番のムスメのうれしそうな顔ったら……!!親としてはひやひやしながらの、心身ともにきつ~い1週間を過ごしましたが、本当によかったです!でも今後は二度と勘弁してもらいたい…。(けどイベント前に体調を崩しがちなのは確実に私の遺伝なので…なんも言えない。)
2019年07月04日ウーマンエキサイト読者のみなさま、こんにちは。koyomeです。今回は子連れ旅行のエピソードです。私たち家族は旅行が好きで、あまり遠くへはなかなか行けませんが、年に数回、近場へ旅行しています。子どもたちはまだ小さいのでまだ記憶に残らないかな…と思っていましたが、4歳になった長女ムスメは「またあのお泊りのところ、行きたい」などというようになったので、そろそろ覚えていてくれるのかもしれません。写真をしっかり撮って、大きくなったら振り返ってみたいなぁ…。さてさて話が脱線しましたが、家族でのんびり1泊旅行にでかけたときのお話です。長女ムスメは熱性けいれんを起こしやすい体質熱が上がるときにけいれんしやすいので、37.5度以上の発熱時に予防で坐薬を使用します。1歳頃から「熱性けいれん」に付き合ってきたので対応には慣れていますが、まさか旅先で発熱するとは…!しかも高熱ではない、判断しにくい症状でした。常備薬さえ持っていれば大丈夫…と思っていたわけではないのですが、実際の発熱時をしっかりと想像できておらず、体温計の準備が完全に頭から抜けてしまっていました。親のミスです…。と、落ち込んでいるわけにもいかず、けいれんが起きてしまってからでは遅いのでホテルの方に聞いてみることにしました。幸い24時間対応のフロントで、とても親切に対応してもらえました。けいれん予防の薬と解熱剤を使用して一晩様子を見たところ、朝方には熱も引いて元気に。帰宅してかかりつけ医に行くことができました。普段よりはしゃぎすぎてしまう旅行。ムスメの旅行先での発熱は実はその後も時々起きているのですが、なぜか旅行中の夜中限定で起こるため、はしゃぎすぎでの知恵熱説が浮上しています…(笑)旅行前後はとても元気。とはいえ、油断はできないので、今後もしっかり準備して、まさかの状況に備えたいと思います!
2019年04月30日子どもを育てているとよく思います。毎日が無事でいることが奇跡の連続であるということを…。今回は子育てにおいて、肝が冷えた瞬間のお話をいたします。長男は幼少期、高熱を出すと「熱性けいれん」を起こし、よく白目を向いて泡を吹いていました。長男の場合は1分ほどで落ち着いたのですが、慣れるまで親もパニック。何度も夜間救急のお世話になりました。成長とともに「熱性けいれん」はなくなりますが、対処としては、吐瀉物などで窒息する場合があるので、体を横に向けて気道を確保するように教えられました。次男は喉が弱く、風邪で急性喉頭炎(きゅうせいこうとうえん)を起こしては夜間救急のお世話になりました。実は長男の時より症状が重く、一時入院の一歩手前まで行きかけたことも…。それからは冬場に喉を冷やさないようにタオルを巻いて寝かせるようになりました。3人目のアリッサは両親の腕にぶら下がってヒジを脱臼し、何度形成外科のお世話になったことか。危ないからやめるように何度も伝えていたのですが…(汗)。5歳ぐらいまでは子供の肘関節は外れやすいそうですので、皆さんもくれぐれも気をつけて。子どもにトラブルが起こる時に限ってなぜか夜間が多いから不思議…。夜間救急は割増料金が加算されることもありますので、念のため余分にお金を用意しておくと安心ですよ。(料金については各施設にお問い合わせくださいね)※本記事はあくまで筆者の体験談であり、症状を説明したり医学的・科学的な根拠を保証したりするものではありません。
2019年04月26日「気軽に専門家に質問ができて、さらに返信も早い」とママから日々感謝の声が寄せられているベビーカレンダーの人気コンテンツ【助産師に相談】の掲示板。その中から特に注目をあつめた質問の内容を一部抜粋してご紹介します。今回は、赤ちゃんの熱性けいれんに関するご相談です。 Q. 熱性けいれんの正しい対処法がわかりませんネットで育児ブログなど読み、熱性けいれんのことを知りました。ただ、熱性けいれんの正しい対処法がわかりません。どのような症状が出たら救急車を呼んでいいのでしょうか? 子どもが熱性けいれんになってしまったとき、私はパニックになってしまいそうで怖いです。 高塚あきこ助産師からの回答熱性けいれんは、乳幼児が発熱の際に、全身がリズミカルにガタガタとけいれんするものです。一般的には38.0度以上の発熱時に起こると言われていて、パパさんかママさんのどちらかが、熱性けいれんを起こしたことがある場合には、お子さんも熱性けいれんを引き起こす確率も高くなると言われていますよ。また、熱性けいれんを何度も起こす確率は、15%程度と言われていますが、ご両親の熱性けいれんの既往や1歳未満で熱性けいれんを発症したことがある、発熱して1時間も経たずにけいれんした、熱が39度以下でけいれんした、のいずれか1つでも当てはまる場合は、再発率は30%と高くなると言われています。目の前でお子さんが熱性けいれんを起こしてしまうと、ママさんはパニックになってしまいますよね。お気持ちよくわかりますよ。ですが、熱性けいれん自体が生命に関わる可能性は低いと言われていますので、まずは、冷静に落ち着いて対応することが大切です。 熱性けいれんは、長いように感じても1〜2分で収まることも多く、けいれん後に泣いたり、ご家族のことを認識できたり、意思疎通が可能であれば、慌てずに様子をみてくださいね。あまり余裕はないかもしれませんが、動画などに収めていただくと、受診の際に、診断しやすいこともありますので、もし、状況が可能なら、動画などを取っておくといいかもしれません。 特にその後の様子にお変わりなければ、かかりつけの小児科に受診してくださいね。また、もしけいれんが持続する、けいれんは止まっているけれど目が合わない、意識がはっきりしないようなときには、すぐに救急車を呼んでくださいね。※参考:ベビーカレンダー「助産師に相談」コーナー※診断や具体的な治療については医師の指示にしたがってください 熱性けいれんを起こしたときの対処法 1)『熱性けいれん』は、小児期でもっとも多いけいれんとされていて生後6カ月~5歳の間、38度以上の発熱にともなって引き起こります。一般的には数十秒で終わりますが、時に、1分以上続くこともあります。 2)けいれんが起きたときに、赤ちゃんを揺さぶったり、大きな声で赤ちゃんを呼んだりしてはいけません。余計な刺激を与えることで、けいれんが長引いてしまう恐れがあります。落ち着いて、赤ちゃんのそばにいて状況を観察しましょう。 3)赤ちゃんの衣服を緩め(特に首回り) 4)横向きに、寝かせましょう。 5)その際、嘔吐したら、嘔吐物を喉に詰まらせないよう拭き取り顔を横に向けます。 6)あわてて口の中に指やタオルを入れないようにしてください。 7)けいれんを起こしたときの状況(体温・発症時間・けいれんの持続時間など)をわかる範囲でメモしておきましょう。 8)クーリングをしていない場合は、クーリングを開始しましょう。タオルケットなどをかけている場合は、減らしたり薄手のものに交換しましょう。 9)また、医師からけいれん止めの坐薬が処方されている場合は、必ず医師の指示に従って、用法・用量を守って使用しましょう。 ※参考:ニュース(医療)「赤ちゃんの『熱性けいれん』、実例と小児科医による対処法を動画で解説!」【監修者:医師 三石 知左子 先生 小児科 | 葛飾赤十字産院院長】 ベビーカレンダーは、妊娠や育児のお悩みを抱えたママさんの強い味方でありたいと思っています。自分だけではどうしても解決できなかったとき、不安で仕方がないときは本物の助産師や管理栄養士がリアルタイムでお悩みや質問にお答えする『助産師に相談』『管理栄養士に相談』の掲示板をぜひご活用ください!
2019年04月10日皆さま、ごきげんいかがですか。男の墓場プロダクションの劔樹人と申します。普段はマンガを描いたり、バンドをやったり、ハロー!プロジェクトの応援をしたりしながら、家のことや育児を主に担当する主夫として生活しています。今回は娘に起こった、親がひやっとした出来事のお話です。■寝返りからあわや呼吸困難!?ある真夜中、いつものように寝ていたら、何やらうめき声が聞こえてきた。ハッとして見てみると、娘が布団にぐるぐる巻きになってうなっていた。寝返りをゴロゴロとしていたら、芸術的なすのこ巻きになってしまっていたようなのである。その姿はなんならユーモラスなくらいだったのだが、これが顔にまで巻きついていたら呼吸ができなくなるかもしれない。間違いなく命の危険がある。今回は、運が良かった。娘がまだ0歳で体をうまく使えなかった頃は、布団やぬいぐるみで窒息してしまうことが心配で、いつも神経を研ぎ澄ませて寝かしつけていた。2歳になってさすがにそこまで気にしなくなってしまっていたところもあるが、まだまだ小さく弱い命。気を引き締めなければならないと思った。■これまでは運がよかった私たち実は、私は運よくというか、娘が誕生してからそこまで肝を冷やすような危険な経験をしていないのである。記憶にあるのは、まだ生後3ヶ月くらいの頃に、添い寝で寝かしつけていてうっかりこっちが寝てしまった時くらいか。その当時は、「添い寝の時は絶対寝たらダメだ、寝たらダメだ…」と、いつも自分に言い聞かせながら育児をしていたので、ハッと目が覚めた時、娘には特に何もなかったものの、焦りと罪悪感がただ事ではなかった。しかし、昨年の夏のこと…■親もパニック! 風呂場で娘が突然の卒倒娘は流行性のヘルパンギーナにかかっていて、何日か高熱があった。その日もまだ熱はあったが、本人自体はすっかり元気になっていて、食欲もあったし、家の中で元気に遊んでいた。汗をかいていたので、そろそろシャワーをしてあげなければと思い、一緒にお風呂に入った時だった。そこには、白目をむいてガクガクとけいれんしながらひっくり返っているわが子が!「ヒイッ!!」あまりのビジュアルショックに、こっちもひっくり返りそうになった。慌てて抱っこして風呂を飛び出し、妻を呼ぶと、妻は落ち着き払ってこう言った「よし、意識は戻ってきてるから大丈夫。とりあえず病院に電話して」えっ!いつも自分の体調に少し何かあると、「痛い~しんどい~」と必要以上に訴える大げさな妻が、まるでベテラン看護師かのような冷静な判断!なんて頼りになる!ちょっと憧れた。どうやら、ちょうど先日、先輩ママ友と熱性けいれんについての話をしたところだったらしい。■情報インフラがほしい熱性けいれんは、乳幼児にはよく起こる症状である。多くの親が経験しているが、初めて経験するものにとっては結構ショッキングな光景である。小さな子どもには、ありがちなわりに対処に困るような、そういう病気が多い。もちろん、ネットで調べればすぐに出てくるが、その瞬間は冷静に調べて対応するのは難しいこともある。私はその時、あらかじめ知っておくことの大切さを痛感した。子育てをするすべての親は、こういうことがよくあるから、その時はこうする、というシミュレーションをある程度しておくべきだと思った。防災訓練である。あと、ママ友ネットワークの情報共有の重要さも感じた。しかしいかんせん、私はパパだ。なかなかママ友集団に一人混じってゆくことができない。それなのに、パパ友はまだまだネットワークが脆弱(ぜいじゃく)で、情報インフラにも乏しいのだった。
2019年03月28日ウーマンエキサイトをご覧の皆様こんにちは。もうすぐ桜の季節ですね。入園、入学準備で忙しい方もおられるのではないでしょうか。我が家も来年の春には、娘の入学と息子の入園が重なるので、大忙しになる予定です…恐ろしい…なので今年の春はお花見してゆったり過ごそうと思っています。さて今回は「わが家の緊急対応エピソード特集」ということで…子供を産んでから今までで「一番焦ったエピソード」をご紹介したいと思います。■突然訪れた娘の異変…皆さんは「熱性けいれん」をご存じでしょうか。熱性けいれんは、6ヶ月~5歳頃の子どもが急な発熱に伴って意識障害、けいれんを引き起こす病気です。私自身は、熱性けいれんのことは知っていましたし、対処法も心得ているつもりでした。■突然のけいれんに大パニック朝、熱を測った時には平熱だったし…鼻水も咳も出ていなかったので、風邪をひいているなんて思いもよりませんでした。「熱中症かもしれない」という気持ちもあって、病院に行かなきゃと思った矢先に起きた熱性けいれんだったので、私はもう大パニック!!!けいれんする娘を抱きかかえながら泣くことしかできませんでした。何もできない私に代わって友人たちが救急車を呼んでくれました。■あまりの動揺に記憶が曖昧知識はあってもその状況になってみないとわからないことばかりでした。テンパりすぎてお医者さんにもうまく説明できず…「反省! 反省! 反省! 」もっと何事も冷静に対応できる母になりたいものです。※結局、熱中症ではなく夏風邪でした。経験することで学ぶことは多い(緊急事態はできれば経験しないほうがいいんですが…)。こうやって経験と反省を繰り返しながら少しずつ「強い母ちゃん父ちゃん」に成長していくのかもしれませんね。
2019年03月20日風邪やインフルエンザなどの発熱をきっかけに起こる熱性けいれん。発作を起こした翌日に保育園に預けても大丈夫なのだろうか?東京都立神経病院 神経小児科部長の福田光成先生に聞いてみた。「通常の熱性けいれんは、平熱に下がったなら登園して大丈夫です」(福田先生以下同)ちなみに熱性けいれんは再発することもまれではない。通常の熱性けいれんでは、2回目の発作が再発する人は全体の約3割、3回以上繰り返す人は約1割といわれている。しかし、下記のようなケースでは、再発する確率は約2倍に上がるそうだ。・両親のいずれかに熱性けいれんを起こしたことがある・1歳未満での発症・発熱から発作を起こす間隔が短時間である(概ね1時間以内)・発作時の体温が39度以下再発の場合、保育園で熱を出して発作を起こすこともあるだろう。再発の可能性が考えられる場合、どのように園に頼んだらいいだろうか?「多くの保護者の方がけいれんを起こしたお子さんの様子に驚いて戸惑ってしまうように、熱性けいれんに慣れていない保育園の先生方も対応するのは大変かと思います。一度、熱性けいれんのお子さんを預かったことのある先生なら対処できるかと思いますが、受け入れを断られてしまこともあるかもしれません。預かってもらえる場合は、5分以上けいれんが続くようなら救急車を呼んでほしいこと、発作時の様子や担当医に聞いた対処の仕方を具体的に先生と共有してください」ダイアップの使い方は?熱性けいれんが再発する場合、坐薬のけいれん止め・ダイアップ坐剤が処方されることがある。けいれんを起こす前に使用すれば、熱性けいれんの再発を防げることも多い。患者向け説明用リーフレット『小児科診療・2014年・11号』にある「熱性けいれんマニュアル」によると、再発の予防の方法は以下の通りとなっている。・ダイアップなどの処方されたけいれん止めを使用する・37.5度から38度の熱が出始めたときにダイアップを速やかに使う。8時間後も発熱が続いた場合は、もう一回使ってもよい・解熱薬はダイアップの使用後から30分間隔をあけること・薬で眠くなったり、逆に興奮したりすることがある。またふらつくこともあるので、転んでケガをしないように見守る・最後のけいれんからおおそよ1~2年間。または4~5歳まで使用するでは、ダイアップを処方してもらえるように医師に頼むのがベストなのか。「最近では熱性けいれんのガイドラインが改定され、ダイアップは以前に比べて処方されない傾向にあります。脳炎や髄膜炎が潜んでいる場合、ダイアップを使用して眠気が誘発されて意識状態が確認しづらくなり、その兆候を見逃す可能性があるためです。ただ熱性けいれんの再発率は下がりますし、発作を未然に防ぐ効果はあるので、処方が必要かどうかを相談してもいいと思います」では、保育園の先生にもダイアップは渡した方がいい?「たまに熱を出す直前に発作を起こしてしまう子もいるので一概にはいえませんが、発作を未然に防げるならその方が保育園も対応しやすいかもしれませんね。頼める保育園なら先生と使い方を共有して、ダイアップを渡してもいいでしょう」熱性けいれんが親や兄弟などに既往歴があるとなりやすいって本当?ところで、親戚にてんかんの子がいたり、自分が子どものときに熱性けいれんを起こした経験があったりすると子どもがなりやすいというが…。福田先生に確認すると、やはり傾向としてあるそうだ。「遺伝的な要素というより体質的なものです。熱性けいれんにかかる割合として日本人は欧米人に比べると高いんですね。たとえば、親がアレルギー体質だと子どももそうであったり、親が花粉症だと子どももなりやすかったりすることと似ていると考えていいでしょう」熱性けいれんの症状や対処法は、その子の状態によってケースバイケースだ。医師や保育施設の先生とよく話し合って、対応していこう。(取材・文:石水典子編集:ノオト)
2018年06月02日38度以上の発熱をきっかけにして起こる熱性けいれん。風邪やインフルエンザなどにかかり子どもが発作を起こしたら、保護者はどのように対処するといいのだろうか?「子どもが熱性けいれんを起こしたら、5分間は様子を見るようにしましょう」そう話すのは、東京都立神経病院 神経小児科部長の福田光成先生。「子どもの急変した様子に時間の経過を長く感じることも多いでしょう。びっくりして周囲がパニック状態になってしまうものなので、難しいかもしれませんができれば携帯などを見て時間を確認できるといいですね」(福田光成先生以下同)発作が起きたら具体的に何をすればいい?福田先生と公立学校共済組合四国中央病院小児科の日野ひとみ先生が、患者向け説明用リーフレット『小児科診療・2014年・11号』内で作成した「熱性けいれんマニュアル」によると、発作が起きてからの5分間にするべき対応として推奨される項目は以下の通り。あわてない、5分間の観察が大切だという。・時間を見る(可能なら時計などで時間を確認)・気道を確保するために子どもの体を横にする(吐物に注意)・口のなかにものは入れない・熱があるか確認する(触る、余裕があれば体温計を使用)・けいれんの様子を観察する(目の向き・手足の動きに左右差はあるか、ガクガクしているのか、つっぱっているのか)「このとき、お子さんが舌を噛み切ってしまうことを懸念して、口のなかに手を入れようとする保護者の方がいます。通常、けいれん中の歯を食いしばった状態では手は入りにくいものですが、もし入ると強く噛まれてしまう危険があるので入れないでください。発作で舌を噛んで少し出血することもありますが噛みちぎることはありません。ただし、嘔吐して口のなかに吐物が詰まっている場合は、呼吸を阻害しないようにガーゼなどを指に巻いて口のなかからかき出してあげてください」また発作が収まったら、顔色や呼吸が正常かどうか、子どもの様子に異常がないか観察しよう。発作の後はそのまま寝てしまうことが多いそうだ。余裕があれば、発作の様子を携帯の動画で記録しておくといい。どのような症状であったかは、後に受診する際に治療の必要のない良性の単純型か否かなどを医師が確認する参考にもなるという。熱性けいれんの多くが治療のいらない単純型だが、重篤な疾患が潜むケースがまれにあるため、念のため特に初めてのけいれんのときには受診をした方がいいそうだ。「けいれんが5分以内に収まり、その後も異常が見られない場合は、慌てず翌日に受診するので良いと思います。たとえば、とても寒い時期の深夜などは無理に移動しないで、自宅で暖かくして休ませてあげた方がいいと思います」5分以上続くようなら速やかに救急車を呼ぼうけいれんが5分以上続く場合は、緊急搬送してもらい治療を受ける必要がある。けいれんは長く続くと止まりにくくなり、30分以上続くと、脳障害や後天性てんかんといった後遺症が残ることもある。5分以上けいれんが続く場合は救急車を呼び、なるべく近くの病院に連れていこう。複雑型である場合に見られる症状はてんかん、もしくは髄膜炎や脳炎による発作である場合、どのような症状が見られるのだろうか?「体を硬直させてつっぱったり、ガクガクと震わせるけいれんが、全身ではなく左右非対称で起こるときや部分的であるとき、熱が高くない状態で発作を起こした場合は良性の熱性けいれんでない可能性もあります。そういった症状は医師に相談して必要に応じて検査を受けましょう」もし熱性けいれんだけでなく、てんかんなどの神経系疾患になった場合、専門の医療機関で診察を受けたいと思う方も多いだろう。東京都立神経病院は、日本で唯一の神経系専門の病院だが、外来はないそうだ。子どもを受診させるにはどうしたらいいのだろうか。「東京都立神経病院は外来やERがありません。都立小児総合医療センターの神経内科の先生方と一緒に我々神経病院のドクターも診療しています。熱性けいれんに限らず、発達の遅れやてんかんなどのけいれん性疾患などでご心配な場合には、まず都立小児総合医療センターの専門外来を訪ねてください」「紹介状をお持ちになっての受診をお願いしていますので、かかりつけの先生に書いていただきましょう。大学病院や大きな総合病院もそうですが、紹介状なしで直接外来に来られると、特別な初診料がかかってしまいます」とのこと。熱性けいれんであっても経過が思わしくなく心配な場合には、専門の医療機関で診察や検査を受けておくと安心だ。(取材・文:石水典子編集:ノオト)
2018年05月29日ひきつけや意識障害などの発作を起こす、子どもの疾患「熱性けいれん」。38度以上の発熱をきっかけになるもので、直面したら気が動転してもおかしくないだろう。その反面で「短時間で症状が収まり、その後に異常がない場合は受診をしなくてもよい」という情報を目にすることもある。本当に、受診しなくても大丈夫なのか、東京都立神経病院 神経小児科部長の福田光成先生に話を聞いた。一般的に緊急性が低いケースがほとんどだが、特に初めてのけいれんのときは受診しよう「熱性けいれんは乳幼児期の子どもによく見られる疾患で、そのほとんどが治療のいらない良性のものです。5分以内にけいれんの症状が治まり、発作が治まった後の子どもに異常が見られなかったら、ほとんどの場合は心配いりません。ただ、熱性けいれんにはまれに危険な疾患が潜んでいるケースがあるので、特に初めてのけいれんの場合は受診することをおすすめします」(福田先生以下同)具体的に、熱性けいれんを起こすと、どのような症状が起きるのだろうか?「けいれんとは、脳がコンピュータでいうショートしたようになり、体の筋肉が勝手に動いたり呼びかけに反応できなくなったりする状態です。熱性けいれんは一般的に、38度以上の発熱がきっかけとなる発作のことで、髄膜炎や脳炎などほかの疾患を持たないケース。手足をつっぱらせたりガクガクとするけいれんのほか、白目をむいたり、嘔吐やチアノーゼを起こすこともあります。確率としては低いですが、ぼーっとして脱力した状態になり、意識障害や失神を起こしているように見えるケースもごくまれにあります」福田先生によると、約8割の熱性けいれんの症状は、5分以内に発作が収まるそうだ。これは脳自体に消火器のようなけいれんを止める機能が備わっているため。ただし「5分以上けいれんが続く場合は止まりにくい場合もあり、救急車を呼ぶべき」とのこと。熱性けいれんには、治療の必要がない良性の単純型と、ほかの疾患が潜んでいる場合もある複雑型がある。5分以上けいれんが続く場合や、24時間以内に一度ではなく複数回の発作を起こした場合は、良性ではないことも考えられる。では、複雑型の熱性けいれんにはどのような疾患があると考えられるのか?「約1割ではありますが、脳炎や髄膜炎、急性脳炎などが潜んでいることも否定できません。またこれまで症状が見られずにてんかんが潜んでいて、熱をきっかけに発作が出てしまうこともあります」ちなみにてんかんは「発熱などのトリガーになる要因がなくても、突然に発作を起こしてしまう疾患」のこと。複雑型であることが疑わしい場合は、医師に相談しよう。CT検査や脳波の検査を勧められることもある。熱性けいれんを起こす子どもが多い理由とは『熱性けいれん診療ガイドライン2015』によると、熱性けいれんの多くは生後6カ月~5歳までの子どもが起こしており、日本では20人に1人の割合で見られる。また一般的に、緊急搬送で運ばれてくる子どもの1/2〜1/3がけいれんによるもので、そのうちの1/2〜1/3が熱性けいれんなのだという。なぜこれほど多い確率で熱性けいれんが起こるのだろうか?「これは脳の発育に関係していて、脳を抑制させる神経系統と興奮させる神経系統のアンバランスにより、保育園に通うくらいの年齢のお子さんの脳はけいれんが起きやすい状態になっているとも考えられます。熱性けいれんを複数回起こしている子でも、一般的には小学生になる頃には治ることが多いです。たまに中学生でインフルエンザなどにかかり、熱性けいれんを起こすお子さんがいらっしゃいますが、これは非常に珍しいケースで、成長と共にいずれ収まるものです」顔が紫色に変色してしまうチアノーゼや、白目をむいたひきつけ状態など、熱性けいれんに直面してパニックになってしまうのは当然だ。とはいえ珍しい疾患ではなく、熱性けいれんの多くが良性であるということを念頭に置いて、もし我が子が発作を起こしても慌てない対応を目指そう。(取材・文:石水典子編集:ノオト)
2018年05月26日新生児けいれんとは?出典 : 新生児けいれんとは、生後28日未満の新生児に起こるけいれん症状のことを指します。出生体重3000グラム以上の成熟児での発症率は1000人のうち2~2.8%、2500グラム未満の低出生体重児では9.37~13.5%となっており、低出生体重児に多く発症します。けいれん発作は、広義には体を強張らせて震えることを指します。「けいれん」と聞いて、まず「大発作」などの突然倒れてしまうイメージを浮かべる方も多いでしょう。しかし、新生児けいれんの特徴的な発作は「微細発作」です。まばたきの繰り返し、もぐもぐ口を動かす、自転車をこぐような動きなど、一目でけいれんとは分かりにくい発作が特徴的です。いつもと違う、違和感のある動きをしていれば微細発作の可能性があります。新生児けいれんの原因は低酸素性虚血性脳症や頭蓋内出血、脳梗塞、感染症などが原因でけいれんが発症するため、早期治療が必要です。また新生児けいれんの発症をきっかけに、その後てんかんが発症する可能性もあります。新生児けいれんに関わらず、けいれんが長く続くと後遺症が残りやすいと言われています。適切なけいれん時の対処や、必要ならば救急車を呼ぶなど、瞬時に判断できるように知識を身につけておくことをおすすめします。出典:新生児けいれん|日産婦誌57巻7号研修コーナー新生児けいれんの症状出典 : 新生児けいれんには、頻度の高い順に微細発作、強直性けいれん、間代性けいれん、ミオクローヌスけいれんの4つのけいれんの種類があります。最も多いとされている微細発作は、発作症状が分かりにくく、見つかりにくいといわれています。<微細発作>・眼球運動の異常水平眼球偏位(眼球が水平に動くがまばたきがない状態)・口や頬(ほほ)、舌の異常運動舌を出す、しかめっ面を繰り返す、ウインクの様な動き・四肢の異常行動自転車こぎ、水泳のクロールのような動き・自律神経症状血圧上昇、チアノーゼ(体内の酸素濃度が低下し、唇などが青紫色になること)、紅潮、多呼吸など・呼吸運動の異常無呼吸発作、発作性過呼吸<強直性けいれん>・突然意識を失い白目をむく・身体が急に強張り手足をピーンと突っぱる・口を固く食いしばり呼吸を止める・チアノーゼを起こすこともある<間代性けいれん>・膝を折り曲げる格好をしながらバタバタと手足をばたつかせる・あごがガクガク震える・一定のリズムでけいれんが起きる<ミオクローヌスけいれん>・全身または手足の一部分の筋肉が一瞬ピクッと収縮する・光によって誘発されるため、寝起きや寝入りに起こりやすい・症状を自覚することは少ない新生児けいれんの原因出典 : 新生児けいれんの原因は新生児期にかかりやすいさまざまな疾患が原因となっています。けいれん症状はおおむね、大脳の神経細胞の異常興奮によって、不必要な神経回路にまで情報が伝達され引き起こされます。新生児けいれんの原因疾患もほとんどが脳に関わる疾患となっています。ここでは新生児けいれんの原因疾患を紹介していきます。・低酸素性虚血性脳症妊娠中や出産の際に、何らかの原因で赤ちゃんの脳に酸素を十分に含んだ血液が回らなくなり、低酸素、虚血がおこります。それによって、けいれんや意識障害などの神経症状を伴うさまざまな脳神経障害を起こします。新生児けいれんの原因として最も多いとされています。・頭蓋内出血頭蓋内出血は頭蓋骨の内部に出血が起こった状態を指します。出血が起こった場所によって、くも膜下出血や硬膜外出血などに分けられています。分娩外傷や仮死が原因で起こりますが、けいれんが起こる前の全身状態は良好であることが多いといわれています。・脳梗塞脳の血管が詰まるなど、何らかの原因で脳内の血液のめぐりが低下し、一部の脳組織が壊死することをいいます。仮死、多血症、血栓などができることによってけいれんが起こります。・中枢神経感染症細菌性髄膜炎やウイルス性脳炎などが原因で脳の中枢神経に異常をきたし、けいれんが起こります。・発達異常・奇形先天的な遺伝子変異が原因の疾患によって、大脳皮質の形成異常がみられることから、新生児けいれん、てんかん、発達障害などの症状を併発します。・代謝異常代謝活動あるいはこれを調節する機能が、何らかの原因で妨げられて生じる異常状態のことを言います。低血糖や低カルシウム血症などの代謝異常は糖尿病母体児や低出生体重児などに多く、先天性代謝異常がある子どもが新生児けいれんやてんかんなどのけいれん症状を起こしやすいと言われています。・新生児てんかん新生児てんかんは乳幼児期に発症するてんかんのことで、2つに分類されます。良性家族性新生児けいれんは遺伝性のてんかんです。約4割は生後3日目前後に発作が起こり、そのうちの約7割は生後6週間以内に発作がおさまるといわれています。無呼吸発作が起こることもあります。良性突発性新生児けいれんは、生後5日目前後に間代発作や無呼吸発作を何回も繰り返すものの、明らかな原因がないてんかんです。この時期を過ぎると発作は再発しません。新生児けいれんとてんかんなどとの関係は?出典 : 新生児けいれんを発症した子どものうちの56%は、てんかんが発症する可能性があるといわれています。てんかんとは慢性的な脳の疾患(障害)で、大脳の神経細胞が過剰に興奮することで発作症状を引き起こす疾患です。年齢・性別・環境に関わらず発作は発症します。てんかん発作は突然倒れて意識を失い、けいれんを起こすといったいわゆる大発作と体の一部が勝手に動いたり、会話の途中にぼんやりしたと思ったら意識を失っていたりといった小発作などがあります。てんかん発作はほとんどが完治することはなく、長年付き合い続けなくてはいけない疾患です。現在、新生児けいれんを発症した子どもにてんかんが多い原因は研究中で解明されていません。他にも、子どもに起こりやすいけいれん症状に、熱性けいれんや急性脳症などがありますが、新生児期に発症することはまれです。熱性けいれんは高熱によってけいれんが起こり、急性脳症は代謝異常などによってけいれんが起こります。表出する症状はけいれんですが、原因疾患などによって鑑別され、それぞれに合った治療を行っていきます。出典:新生児けいれん|日産婦誌57巻7号研修コーナー新生児けいれんの診断・検査方法とは出典 : 新生児けいれんの診断にはいくつかの検査を行います。次の検査は新生児けいれんの診断において、一般的に行われている検査になります。◇頭部画像検査(CT、MRI)新生児けいれんの原因疾患があるかどうかを確認するために行います。どちらも検査服に着替えて、ベッドに横たわり筒状の機器の中に入るだけで検査は行えます。MRIは電波を使って身体の断層を撮影する方法です。CTスキャンはX線を用いて身体の断層を画像にします。◇髄膜検査髄膜刺激症状と30分以上の意識障害が伴う場合には髄膜検査を行います。髄膜刺激症状とは、首の硬直や膝を曲げた状態で股関節を直角に屈曲し、そのまま膝を伸ばそうとすると抵抗があることをいいます(ケルニッヒ徴候などがあります)。これは新生児けいれんと似た症状がある髄膜炎との鑑別のために行います。◇血液・髄液検査血液検査で血糖、カルシウムやナトリウムなどの電解質、感染徴候などを確認し、その他に必要と認められた項目の値を検査します。さらに髄膜炎などとの鑑別を図るために、髄液検査も行います。◇脳波検査脳波検査はけいれんの診断や後遺症の予測に非常に有用な検査です。しかし、けいれんの種類によっては必ずしも脳波で診断が行えない場合もあります。この他にも医師が必要と認めた検査を受けることがあります。新生児けいれんが起こったら出典 : 子どもに突然けいれんが起こったら、しかも生まれたばかりの新生児期に起こった場合、驚いてしまう保護者の方も多いのではないかと思います。しかし、正しい知識を持っていれば冷静に対処することができます。子どもが新生児けいれんを起こしたときには、以下のような対処法を実践してください。<けいれん時の対処法>・首の周りなどを締め付けないように衣服を緩めてください・抱きかかえず、平らなところに寝かせてください・嘔吐や口の中に固形物がある場合は、顔を左に向けて吐いた物が気道に詰まらないようにしてください・口や鼻の周りの吐物を拭き取ってください・診察時にそなえて、けいれんの様子(左右差)や持続時間、体温などを確認しておいてください。余裕があれば不謹慎だと思わずに動画などを撮影し記録してください(診察時、てんかんとの鑑別に役立ちます)。<してはいけないこと>・大声で名前を呼んだり、身体を揺すったりしない(刺激となり、けいれんが長引く場合があります)・「舌を噛まないように」と口の中に物を入れたりしない(けいれんで舌を噛むことはほとんどありません)けいれんの持続時間によって、その後に後遺症が残る可能性の割合が変わってきます。新生児けいれんの場合は原因疾患が早急に治療を必要とするため、救急車を呼ぶか、病院での診察が必要なケースがほとんどです。そうはいっても、けいれんを起こす疾患は他にもたくさんあります。救急車を呼んだり、病院に連れていったりする基準として下記を参考にしてみてください。Upload By 発達障害のキホン【救急車を呼ぶ】・5分以上けいれんが続く・けいれんが終わったが、その後も意識障害が続く(睡眠とは別)【病院へ行く】・初めてけいれんを起こしたとき・全身けいれんではなく、体の一部または左右非対称なけいれんがある【保護者がパニックで判断しにくい場合】・小児救急電話相談(#8000)に電話相談をする小児救急電話相談は厚生労働省がすすめる相談事業です。#8000番に電話すると、お住まいの都道府県の相談窓口につながります。そこで小児科医師・看護師から、お子さんの症状に応じた適切な対処の仕方や、受診する病院などのアドバイスを受けることができます。新生児けいれん以外にも使用することができます。#8000番に電話をして状況を伝えることで、医師や看護師の適切な指示を受けることができ、子どもの保護者も、その場の対処や救急車・通院の判断を行いやすくなります。参考:小児救急電話相談事業(#8000)について|厚生労働省新生児けいれんの後遺症が心配…。治療法はあるの?出典 : 新生児けいれんの治療は正式なガイドラインが設けられているわけではありません。原因疾患によって治療方法が異なってくるため、それぞれの疾患に必要とされる医療が行われることになります。原因疾患の治療は、薬物治療を主として行われています。新生児けいれんを発症した子どものうち、25~35%が知的障害や運動障害を発症するとされています。新生児けいれんは原因疾患の種類やけいれんの持続時間などによって、後遺症の発症率や程度が異なります。けいれん症状は長ければ長いほど、後遺症の発症率や障害の程度は重い傾向に引き上げられます。医療の進歩によって新生児けいれんの死亡率は改善されてきています。以前は約40%あった死亡率ですが20%と減少し、今後も死亡率は減少していくでしょう。ここでは、あくまでこれまでの研究による統計的な数値をもとに紹介しました。新生児けいれんを発症した子どもの中にも、定型的な発達を歩む子どもは多くいます。出典:新生児けいれん|日産婦誌57巻7号研修コーナーまとめ出典 : 新生児に起こるけいれんは、良性で2週間~半年ほどで完治するものもあれば、原因によっては後遺症を残すほど重度化するものもあります。またてんかんを引き起こしやすいのも特徴的です。実際にけいれんが起こった際は、保護者がパニックになってしまうこともあるかもしれません。できることならば事前に情報収集などを行っておくことと、緊急性が高く、その場に頼れる人がいないときは#8000に電話し、落ち着いて最善の判断を行えるとよいですね。このコラムがいざという時のお守り代わりになることを願います。
2017年10月05日熱性けいれんとは?出典 : 熱性けいれんとは、38℃以上の発熱に伴って起きるけいれんのことを指し、「ひきつけ」と呼ばれることもあります。生後6ヶ月~5歳の乳幼児期に発症することが多いとされており、発症率は7~11%ほどと言われています。発熱していた子どもが突然ブルブルとけいれんをはじめたら驚き動揺してしまいますよね。しかし実は、熱性けいれんは多くの場合、正しい知識を持っていれば冷静に対応することができます。本記事では、熱性けいれんが起きた場合の対処法、救急車を呼ぶ判断基準、似た症状を持つ「てんかん」との違いなどについて解説します。参考:「公益社団法人 母子健康協会」参考:「熱性けいれん診療ガイドライン2015(日本小児神経学会,2015)」参考:「すべてわかるこどものてんかん(皆川公夫,2014)」熱性けいれんの原因出典 : 熱性けいれんは風邪や感染症などによって体温が急激に上昇したときに脳がけいれんを起こしやすい状態になるために起こります。どうして熱が上がるとけいれんが起きやすくなるのかについて詳しい原因は分かっていませんが、発達途中の子どもの脳は高い熱に鋭く反応してしまうのではないかと考えられています。また熱性けいれんを発症する体質は、親やきょうだい間で家族性があるともいわれています。ただし家族に熱性けいれんを発症した人がいたとしても必ずしも発症するわけではありません。熱性けいれんの種類と症状出典 : 熱性けいれんには「単純型熱性けいれん」と「複雑型熱性けいれん」の2つの種類があります。ほとんどの例が単純型で、複雑型は1割ほどと言われています。単純型は良性の熱性けいれんなので後遺症が残ることはほとんどなく自然と治ります。一方、複雑型熱性けいれんは後にてんかんが発症する可能性があるので、場合によっては治療が必要になります。そのため、熱性けいれんが起きたときには複雑型かどうかを見極めることが重要です。その際、けいれんの様子、時間、回数が判断のポイントとなります。・全身でけいれんせず、体の一部または左右非対称のけいれんが起きる・発作が15分以上持続する・24時間以内もしくは発熱中にけいれん発作を数回にわたって再発するこのいずれか1つがみられる場合は複雑型熱性けいれんとなります。複雑型の疑いがある場合、検査を受けることが推奨されています。さきほども述べたように、熱性けいれんはそのほとんどが単純型です。単純型の場合、正しい対処を行えば後に大きな後遺症を負う危険性も少ないため、あまり大きな心配をする必要はありません。熱性けいれんが起きたときの対処法は、次の章で解説します。参考:「すべてわかるこどものてんかん(皆川公夫,2014)」参考:てんかん発作とけいれん発作の違い|大塚製薬 てんかんinfo参考:「熱性けいれん診療ガイドライン2015(日本小児神経学会,2015)」熱性けいれんが目の前で起こったときの対処法出典 : 子どもが突然けいれんを起こし、意識を失ったりしたら、驚いてしまう保護者の方も多いのではないかと思います。しかし、正しい知識を持っていれば冷静に対処することができます。子どもが熱性けいれんを起こしたときには、以下のような対処法を実践してください。<けいれん時の対処法>・首の周りなどを締め付けないように衣服を緩めてください・抱きかかえず、平らなところに寝かせてください・嘔吐や口の中に固形物がある場合は、顔を左に向けて吐いた物が気道に詰まらないようにしてください・口や鼻の周りの吐物を拭き取ってください・診察時にそなえて、けいれんの様子(左右差)や持続時間、体温などを確認しておいてください。余裕があれば不謹慎だと思わずに動画などを撮影してください(診察時、てんかんとの鑑別に役立ちます)。<してはいけないこと>・大声で名前を呼んだり、身体を揺すったりしない(刺激となり、けいれんが長引く場合があります)・「舌を噛まないように」と口の中に物を入れたりしない(熱性けいれんで舌を噛むことはほとんどありません。また、噛む力はかなり強いため、ケガをする恐れがあります)多くの場合、熱性けいれんは数分以内に治まります。数分以内で治まるけいれんであれば、ほとんどのケースにおいて救急車を呼んだり病院に行ったりする必要はありません。しかし中には、緊急性が高く救急車を呼ばなければならないケースや、緊急性は高くないが複雑型の疑いがあり検査の必要があるためけいれんが治まったあとに速やかに病院へ行ったほうがよいケースがあります。緊急性を判断する上では以下の目安を参考にしてみてください。【救急車を呼ぶ】・5分以上けいれんが続く・けいれんが終わったが、その後も意識障害が続く(睡眠とは別)【病院へ行く】・38℃より低い熱でけいれんを起こした・全身けいれんではなく、体の一部または左右非対称なけいれんがある【保護者がパニックで判断しにくい場合】・小児救急電話相談(#8000)に電話相談をする小児救急電話相談は厚生労働省がすすめる相談事業です。#8000番に電話すると、お住まいの都道府県の相談窓口つながります。そこで小児科医師・看護師からお子さんの症状に応じた適切な対処の仕方や受診する病院などのアドバイスを受けることができます。熱性けいれん時以外にも使用することができます。#8000番に電話をして状況を伝えることで、医師や看護師の適切な指示を受けることができ、子どもの保護者も、その場の対処や救急車・通院の判断を行いやすくなります。参考:小児救急電話相談事業(#8000)について|厚生労働省熱性けいれんの治療や予防法ってあるの?出典 : 熱性けいれんは一過性のものが多いため、治療をせずに成長とともに自然に治っていくのを待ちます。しかし1度に起こるけいれんの時間が長かったりする場合は座薬による治療をすすめられる場合があります。複雑型熱性けいれんによる部分発作(体の一部だけがけいれんする発作)が24時間以内に2回以上反復した場合やけいれんが5~10分以上続く場合に薬物治療の目安とされています。けいれん状態が長く続くほど危険な状態になっていくため、座薬(ダイアップ)を投与しけいれんを治めます。また家族に熱性けいれんになったことがある人がいる場合や、熱性けいれんの発症前から神経学的異常・発達遅滞がある人の場合は、座薬を使用することが多いです。出典:ダイアップ坐薬|独立行政法人医薬品医療機器総合機構参考:「熱性けいれん診療ガイドライン2015(日本小児神経学会,2015)」熱性けいれんは高熱が出ない限り発症することはありません。高熱が伴う風邪やインフルエンザなどの感染症に感染することを予防してください。日々の手洗い・うがいを徹底することが大切です。なお予防接種などを積極的に受けることもおすすめします。発熱時に解熱剤を使用することも効果的です。しかし解熱剤自体には、熱性けいれんを抑える効能はありません。参考:「熱性けいれん診療ガイドライン2015(日本小児神経学会,2015)」熱性けいれんとてんかんの違い、熱性けいれんと似ている病気って?出典 : 同じようにけいれんを症状とする疾患にてんかんがあります。てんかんとは、大脳の神経細胞が過剰に興奮することで発作が起こる慢性的な脳の疾患のことです。熱性けいれんが起こるのは主に発熱時に限られますが、てんかんの場合は発熱時以外にも発作が起こります。また熱性けいれんは主に乳幼児期に限って発症するのに対し、てんかんは発症してから長く治療し続ける疾患です。てんかんは、意識を失い全身をけいれんさせる大発作、身体の一部がピクッと動く発作、話の途中でぼんやりしてしまう発作などがあり、必ずしもけいれんを伴うものではないことも特徴です。一般的なてんかん発症率の0.5~1%に対して、熱性けいれんが発症した後のてんかんの発症率は2~7.5%程度といわれています。このため、何らかの関係が存在すると考えられていますが、詳しいことはわかっていません。参考:「熱性けいれん診療ガイドライン2015(日本小児神経学会,2015)」髄膜炎や脳症は熱性けいれんのように発熱とけいれんが伴います。髄膜は脳や脊椎を覆っている膜です。髄膜が炎症することによって高熱、激しい頭痛、悪寒、嘔吐など風邪に似た症状が発症し、けいれんや意識障害を引き起こす場合も珍しくありません。年間1000人の乳幼児が感染する疾患です。脳症はウイルスが直接脳に感染し、炎症を起こすことによって発症する疾患です。髄膜炎と同様に高熱やけいれん、意識障害がおこります。多いときには年間500人が発症し、1歳をピークに幼児期に感染者が多い疾患です。参考:細菌性髄膜炎とは|国立感染症研究所 NIID参考:痙攣重積型(二相性)急性脳症|難病情報センター熱性けいれんの検査出典 : 単純型熱性けいれんの場合は自然と治るため特に問題はありませんが、複雑型熱性けいれんの場合はてんかんなどとの合併症の疑いがあるため検査を行います。検査を行うのは大体2回目のけいれんが起こった後だといわれています。初めてのけいれんでパニックを起こしている状態でよく観察できていない場合や、けいれんが1回だけで終わる人もいるためです。・てんかんや急性脳症との鑑別が必要なとき発達の遅れ、発作後のマヒ、複雑型熱性けいれんで部分発作があった場合はCTとMRIを行います。・細菌性髄膜炎との鑑別が必要なとき髄膜刺激症状と30分以上の意識障害が伴う場合には髄膜検査を行います。髄膜刺激症状とは首の硬直や膝を曲げた状態で股関節を直角に屈曲し、そのまま膝を伸ばそうとすると抵抗があることをいいます(ケルニッヒ徴候)などがあります。その他にも医師が必要と認める検査を受けることがあります。まとめ出典 : 熱性けいれんを初めて目の当たりにすると、そのショッキングな症状に保護者や周囲の人はパニックを起こしてしまうこともあります。熱性けいれんの70~85%が一過性のもので再発することはないといわれていますが、保護者は子どもが発熱する度にいつ再発するか分からないという恐怖心が植え付けられます。しかしけいれんは数分で治まり、脳の発達によって5~6歳までに発症しなくなるといわれていますし、熱性けいれんは10人に1人がかかるような日常にありふれた疾患のひとつです。大きな病気ではないので安心して、その都度落ち着いて対応することを心がけましょう。熱性けいれんを起こさないためにも日頃から風邪や感染症を予防することは大切です。子どもだけではなく、周囲の大人たちも予防につとめましょう。もし熱性けいれんが起こった場合には、#8000番を利用するなど冷静な判断で対処・判断をしてください。はじめてけいれんが起こった際や単純型・複雑型どちらのけいれんか判断できない場合などは、迷わず病院へ行くことをおすすめします。
2017年08月17日質問:夫の父親が昨年夏に心臓のけいれんを起こして入院。遺伝の有無と予防策について教えてください。夫の父親に心疾患の持病があり、昨年夏に心臓のけいれんを起こして入院し、今はペースメーカーをつけて生活しています。現在、夫は健康体で、年一回の健康診断でも心電図に異常があったことはありません。しかし、夫の父親が患った病気が遺伝するのではないかと、とても心配しております。遺伝の有無と予防策について教えてください。島根県:トマトマさん(38)回答:心臓のけいれんの遺伝と予防策についてお答えします。――「心房細動」について義理のお父さまが昨年心臓のけいれんを起こされ、現在ペースメーカーをお使いになっているということですね。心臓のけいれんは一般に、心房細動に関して使われることの多い表現ですので、ここからは「心房細動」といい換えてお話ししたいと思います。心房細動は、心臓にある心房と呼ばれる部分がまるでけいれんのように細かく不規則に震える病気です。高齢者に多いことから、心房の筋肉の老化が原因の一つとして考えられています。心房筋に異常があると、そこから本来はないはずの電気活動が発生したり、異常な電気が伝わる回路ができてしまったりします。左心房の中にある肺静脈の周囲からは特に強い電気が発生しやすいことが知られていて、その部分から出た電気が心房の中に異常な電気の流れを起こして、1分間に300~500回にも及ぶ細かい不規則な震えを発生させると考えられています。ただ、この心房の異常な興奮(震え)は房室結節である程度調節されてから心室に伝えられますので、心室に伝えられる興奮は不規則に毎分60~200回程度となります。心室の興奮を伝える心拍数もやはり、不規則で速い脈になってしまうと考えられます。心房細動の治療はお薬によって行われることが多いのですが、効果が不十分であると考えられるときなどに非薬物治療として、高周波カテーテルアブレーション(心筋焼灼術=しんきんしょうしゃくじゅつ)やペースメーカー治療、心臓外科治療が選択されることもあります。ペースメーカーは心房細動とともに徐脈性(脈が遅くなる)の不整脈がある場合に用いられることがある治療法です。<「心房細動」の遺伝について>また、心房細動の遺伝については、心房細動は発症に遺伝子の関連もあると考えられていますが、原因遺伝子の多くははっきりしておらず、多因子遺伝も多いと考えられています。加えて、遺伝以外の因子として高齢や高血圧、虚血性心疾患のある方は心房細動になりやすいと考えられています。これらの点から、適正な体重を保ち、糖尿病・高脂血症などに気をつけ、動脈硬化を防ぐことは心房細動の予防にも役に立つといえるでしょう。ご参考になれば幸いです。お大事にしてください。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日【ママからのご相談】1歳2か月の息子をもつ母親です。周りにいる何人かのママ友のお子さんが、風邪などで高熱が出たときにけいれんを起こしたそうです。ママ友たちは「突然のことで、自分の方がパニックになり焦ってしまった」と口をそろえて話していました。うちの息子はまだそういった状況になったことはありませんが、私も同じ場面に遭遇したらきっと頭が真っ白になってしまいそうです。もしけいれんが起こった場合、どのように対応すればいいのでしょうか?●A. けいれんの最中は焦る気持ちを抑え、お子さんの様子を観察して。こんにちは、ママライターのacoです。ご相談ありがとうございます。けいれんは、脳の神経細胞が高熱や細菌、ウイルスなどの刺激により、異常に興奮して起こるといわれています。特に小さいお子さんの場合は、熱性けいれんや泣き入りひきつけが多くみられます。もし小さいわが子に突然けいれんが起こってしまったら……。動揺してしまうお気持ちはよくわかります。でもそんなときこそ深呼吸してまずは自分の気持ちを落ち着かせ、けいれんをしているお子さんの様子をしっかりと観察しましょう。熱性けいれんであれば2~3分で治まることがほとんどです。●子どもの“けいれん”に対処するポイント3つ実際にけいれんが起こった場合の、具体的なケアのポイントについてお伝えします。●(1)けいれんが続いた時間を計るけいれんが続いた時間は、診断をする際の重要な情報になります。けいれんが始まったら時計を確認し、時間を計りましょう。●(2)衣服を緩め、安全な場所へ衣服やおむつを緩め、呼吸がしやすいようにしましょう。また平らで安全な場所に寝かせます。けいれん中に吐いたものが喉に詰まり窒息するリスクもある ため、体ごと横向きにしましょう。●(3)けいれんの状態を観察するけいれんの状態(体の一部分だけか、全身なのか、左右対称なのか、片側だけなのか等)を落ち着いて観察しましょう。白目をむいたときの黒目の位置も確認を。とはいえきっと動揺してしまい、全てを冷静に行える自信がないという方は、スマートフォンなどでけいれんの動画を撮影しておく という方法もあります。けいれんの最中にはやってはいけないこともあります。お子さんの名前を呼ぶ程度であればいいですが、揺すったり抱きしめたりするのはNGです。嘔吐を誘発し、気管を詰まらせるリスクがあるためです。また指やガーゼ、スプーンなどをかませるのも避けましょう。舌が押し込まれ、こちらも気管を詰まらせる恐れがあります。●受診のタイミング下記に一つでも当てはまるものがあれば、該当するタイミングで受診しましょう。【救急車を呼んで緊急受診】・5分以上けいれんが続いた・一度治まったものの、24時間以内に繰り返しけいれんを起こした・けいれんのあと意識が戻らない・意識がはっきりしたり、ぼんやりしたりする・呼吸がおかしい、弱い。顔色が悪く唇が紫色になっている・繰り返し吐く・頭を強く打ったあとにけいれんを起こした【診療時間外でも受診】・6か月未満・5分以内で治まり意識も戻ったが、初めてけいれんを起こした・嘔吐がみられる・38度以上の熱がある・2回目以降のけいれんだが今までと症状が違う【診療時間内に受診】・過去にもけいれんを起こし診断がついている場合で、けいれんが5分以内に治まり意識も戻り、普段と変わりない・けいれんが24時間以内に再発しない【自宅でのケアでOK】・過去にもけいれんを起こし、泣き入りひきつけと診断されている場合※ただし熱があったり、いつもと違うけいれんの場合は受診をけいれんが起こる前どういう状況だったのかは、診断する際の重要な情報となります。急に熱が上がった、かんしゃくを起こしたなど状況を思い出し、記録しておきましょう。また熱性けいれんやてんかんは、遺伝的な要素が強いです。以前けいれんを起こした親族がいるかを確認し、診察時医師に伝えましょう。----------いかがでしたか?けいれんが起こった際に一番大切なことは、慌てずにお子さんの様子をしっかり観察することです。今回の内容をぜひ頭に入れていただくことで、少しでも落ち着いて行動できますように。【参考文献】・『HAPPY育児生活ガイドBOOK』山中龍宏・監修●ライター/aco(フリーライター)●モデル/大上留依
2016年05月14日