「80代になると、認知症の罹患率は2割を超えるというデータが出ています。いざ、そのときに備えるのが、認知症保険です」こう話すのは、今月発売の『NEWよい保険・悪い保険』(徳間書店)共同監修などで知られる保険のプロ、長尾義弘さん(ファイナンシャルプランナー)。年齢階級別の認知症有病率(厚生労働省/認知症対策総合研究事業)によると、なんと女性は80代後半で43.9%が認知症を患うとされている。「正確に言うと、認知症は病名ではなく、記憶力や判断能力など、日常生活に支障をきたし、以前の能力レベルと比較して、明らかな低下が見られる状態のことを指します」(長尾さん・以下同)いま注目の認知症保険とは、介護保険の補償範囲を狭め、より安価にした商品。認知症と診断されたときに一時金が支払われるのが、基本タイプだ。’16年の太陽生命「ひまわり認知症治療保険」が累計販売38万件という大ヒット。これをきっかけに、大手を含め、多くの保険会社が同様の保険を発売した。各社が競い合っているため、この4年で、内容が進化。各社それぞれに保障内容に違いが出始めている。そこで今回、長尾さんが各社の商品を徹底比較。いま入るべき認知症保険ベスト3をランキングしてもらった。【第1位】太陽生命「ひまわり認知症予防保険(スマ保険)」「2年前に、太陽生命が商品をリニューアル。この保険の最大の特徴は、生存給付金特約を付加した場合、2年ごとに予防給付金を受け取れること。これを重視して第1位としました。この保険には、対面とネットの2種類があり、条件、保険料がかなり違います。今回はネット(スマ保険)が対象です」長尾さんの試算では、女性が40歳で加入した場合、月額保険料は2,739円。これで2年ごとに予防給付金1万円が受け取れ、もし認知症と診断されたときは一時金100万円が支払われる。「認知症というのは、本人も周囲もなかなか気が付かずに進行するもの。正常な状態と認知症の中間にMCI(軽度認知障害)と呼ばれる状態が存在し、この時期に治療を開始すれば、16〜41%の人が回復されます。60歳を過ぎたら、2年に1回の予防給付金をこのMCIを早期発見するスクリーニング検査のために使えば、この保険の価値が非常に高くなると思います」【第2位】SOMPOひまわり生命「笑顔をまもる認知症保険」「まずこの保険は、引受基準緩和型のため、60歳を過ぎて持病のある人でも簡単な告知で加入できるのがおすすめのポイントです。基本プランで、軽度認知障害と認知症、骨折治療や災害死亡を保障しています。認知症予備群であるMCIに対しても基準一時金の5%が受け取れることも評価できます」肝心なポイントだが、認知症保険で保険金が下りる時点で、本人はすでに認知症なので、そのお金を有効に使うことはできないかもしれない。つまり介護する人にお金を残すことが目的となる。ただ軽度認知障害のときなら、まだ本人の意思でそのお金の活用が可能。そこがこの保険のポイントだという。「その後、認知症と診断されたら、残りの金額を受け取れます。一時金のみの保険ですが、介護一時金や介護年金特約を組み合わせることも可能です」【第3位】朝日生命「あんしん介護認知症保険」「この保険の特徴は、要介護1で保険料免除になり、所定の状態になれば、介護一時金が支払われること。要介護になってからの保険料の免除は大きな安心につながります。じつは、ほとんどの認知症保険は女性のほうが保険料が高く設定されています。これは女性のほうが長生きで、しかも認知症になるリスクが高いことからです。その保険料が要介護1になると、免除になるというのは、女性にとってやさしい保険なのでおすすめです」他社と比べて、一時金補償額が大きいことも評価できる。ここまで紹介した保険は生命保険会社が発売しているもの。一方で、損害保険で、認知症の人の事故などに備える方法もある。「’07年、愛知県のJR線で91歳の認知症の男性が線路に侵入し、電車にはねられる悲しい事故がありました。このとき、JR東海は高齢の妻と別居の長男に高額な損害賠償訴訟を起こしたことを覚えている人も多いでしょう」離れて暮らす両親が起こした事故の補償にも備えられるのが、個人賠償責任保険型のあいおいニッセイ同和損保「まるごとマモル」だ。「基本的に普通の個人賠償責任保険は同居の家族しか補償されませんが、この保険は別居の家族も補償の対象になります」厚労省の推計では、’25年には、認知症患者数は700万人を超えるとされる。転ばぬ先のつえ、認知症保険で備えてみよう!「女性自身」2020年12月29日号 掲載
2020年12月18日はじめまして。小学生男児を子育て中のパート主婦カナコです。この物語は、数年前に旦那が無職になった時のお話です。当時の私はドロドロした気持ち、どうしようもない焦りを抱え、自分はこんなに醜くなれるのかと思うくらいに歪みました。またいつこうなるかわからないので、少しずつ思い出しながら記録していこうと思います。1話目となる今回は、旦那が仕事を辞めてぶち当たったお金の問題についてまとめています。■重くのしかかる税金の問題まず、すぐにぶち当たる現実、“税金”。生きているだけでお金がなくなっていきます。しかも旦那の収入では苦しいからパートタイムで働き、自分で社会保険に入っているのに、それが裏目に出るとは…結婚してから、とりあえず毎月少しずつ貯めてきたお金。それを初めて壊してマイナスになる日々が始まった。いつまでマイナス?貯金が全部なくなっても、まだマイナスな日々だったら?そんな事ばかり、お金の事ばかり考えていました。身体を壊して働けない旦那の事は考えずに…。次回に続きます!※本記事でご紹介した法令・制度などに関する情報は、2015年12月20日時点のものです。※詳しい内容は、住んでいる自治体の役所に確認ください。 【同じテーマの連載はこちら】 夫婦の危機 この連載の全話を見る >> うちのダメ夫 この連載の全話を見る >>
2020年12月12日コロナ不況で「ボーナスが出ない」「残業代が激減」という家庭も多いのでは?家計のピンチには、保険の見直しが効果的だという。そこで、経済ジャーナリストの荻原博子さんが保険の見直しについて解説してくれたーー。■葬式代だけキープしたい人向け保険も読者世代は、そろそろ子どもが独立するころ。会社員の夫に“万が一”があっても、死亡退職金が出て、住宅ローンは団体信用生命保険で完済され、遺族年金を受け取る方も多いでしょう。妻ひとりなら、これらとパートの稼ぎで暮らせます。夫の大きな生命保険は、解約を考える時期でしょう。とはいえ、不安は尽きないもの。そんなとき、ポイントを絞って備える「少額短期保険」が使えます。少額短期保険は、死亡保障は300万円以下、医療保障は80万円以下など小さな保障で、保険期間の短い保険です。ユニークな特徴を持つ保険が多いので、ご紹介します。まずは、保険加入を断られることの多いがんや脳疾患、心疾患などの持病がある方も、告知なしで加入できる保険です。「葬式代だけは残したい」ニーズに応えます。あんしん少額短期の無告知型葬儀保険「みんなのキズナ」は、新規加入は79歳まで、最高99歳まで継続できます。保障は死亡保険金のみ。10万〜100万円まで選べます。たとえば54歳女性が保険金50万円プランに加入した場合、保険料は年7,050円。しかし、加入から3カ月間は亡くなっても保険金が出ない免責期間があり、保険料は毎年上がります。ご注意を。次は弁護士保険です。離婚や相続、職場でのパワハラや子どものいじめなどで、弁護士に依頼する際の相談料・着手金・報酬金などを補償してくれる保険です。これまでの弁護士保険は、弁護士費用の一部を補償するものでしたが、エール少額短期の「弁護士保険コモン+」は最大100%補償。保険料は月1,080円からです。保険を使わなかったら翌年は保険料が安くなる、車の保険と似た等級制がとられています。保険内容は改良され使いやすいものが増えていますが、加入は慎重に、3段階で検討しましょう。(1)何歳まで加入する予定か。(2)加入期間中に支払う保険料総額と、受け取れる保険金を比較。(3)保険金は貯蓄などでまかなえないか、別の方法はないのか。新型コロナの第3波で、さらに経済は冷え込むでしょう。こんなときこそ“現金増やせ”。保険のムダは、年末に一掃しましょう。「女性自身」2020年12月15日号 掲載
2020年12月04日コロナ不況で「ボーナスが出ない」「残業代が激減」という家庭も多いのでは?家計のピンチには、保険の見直しが効果的だという。そこで、経済ジャーナリストの荻原博子さんが保険の見直しについて解説してくれたーー。■少額短期保険で固定費見直しを!読者世代は、そろそろ子どもが独立するころ。会社員の夫に“万が一”があっても、死亡退職金が出て、住宅ローンは団体信用生命保険で完済され、遺族年金を受け取る方も多いでしょう。妻ひとりなら、これらとパートの稼ぎで暮らせます。夫の大きな生命保険は、解約を考える時期でしょう。とはいえ、不安は尽きないもの。そんなとき、ポイントを絞って備える「少額短期保険」が使えます。少額短期保険は、死亡保障は300万円以下、医療保障は80万円以下など小さな保障で、保険期間の短い保険です。ユニークな特徴を持つ保険が多くあります。最近、喫煙状況や身長・体重、血圧などの健康指標で保険料を割り引く「健康増進型保険」が増えていますが、ジャストインケースの「歩くとおトク保険」はその進化系です。というのも歩数などの指標が反映されるのは、従来は翌年分の保険料でしたが、歩くとおトク保険は「翌月分」です。前月の努力で保険料がすぐ変わるので、ウオーキングなどの励みになるでしょう。歩くとおトク保険の保障は入院一時金のみ。がん・心疾患・脳血管疾患の3大疾患では60万円支給されます。54歳女性の保険料は月2,440円ですが、健康指標しだいで19〜52%引きになります。新型コロナの第3波で、さらに経済は冷え込むでしょう。こんなときこそ“現金増やせ”。保険のムダは、年末に一掃しましょう。「女性自身」2020年12月15日号 掲載
2020年12月04日毎年10月~11月は会社員・公務員等の給与所得者の年末調整時期です。勤務先から年末調整の書類が渡されたり、保険会社から控除証明書が届いたりと、準備を進めている方もいらっしゃると思います。 今回は扶養範囲、年末調整、ふるさと納税、新型コロナウイルスによる給付金の税金の扱いについてお伝えします。 扶養範囲の確認について年末になると、扶養の範囲を超えるか超えないかで、勤務時間を調整する方もいらっしゃると思います。扶養の範囲と言っても、所得税・住民税での扶養(配偶者控除または扶養控除の対象者)であるか、健康保険の被扶養者・国民年金の第3号被保険者になるかで、基準が異なります。 所得税・住民税の扶養の対象になるには、1月1日~12月31日の1年間の給与収入が103万円以下である必要がありますが、配偶者特別控除と呼ばれる一部適用を受ける場合には、給与収入が201.6万円以下の方が対象です。 また、健康保険の被扶養者・国民年金の第3号被保険者については、原則年収130万円未満の場合が対象となりますが、従業員501人以上の勤務先で、週20時間以上の労働時間、1年以上の勤務見込みがある場合は年収106万円以上の場合には、扶養の対象とならず健康保険・厚生年金保険の加入が必要となることがあります。年収106万円以上となる場合で、健康保険の被扶養者・国民年金の第3号被保険者に該当するか不明な場合には、本人と配偶者の勤務先にそれぞれ確認することをおすすめします。 なお、上記の給与収入・年収は、勤務先から給料等(時給含む)を受け取る場合の金額であり、事業等の他の収入源がある場合は計算が異なりますのでご注意ください。 2020年の年末調整について2020年(令和2年)の年末調整の手続きは例年とあまり変わりませんが、今年から未婚のひとり親に対する控除(ひとり親控除)が適用されることになりました。 1.対象者と生計を一にする子がいること2.合計所得額が500万円以下(給与収入の場合は677万7777円以下)であること3.対象者に事実上婚姻関係と同様にある人がいないこと 上記の3要件が当てはまる場合に、ひとり親控除が適用され、35万円の所得控除が適用されます。該当するか不明な場合には、勤務先の人事・給与担当者または最寄りの税務署に確認しましょう。 なお、2020年(令和2年)の源泉徴収票から、基礎控除、給与所得控除の計算方法が変わります。年収850万円以下の場合の人には税額の影響はありません。 ふるさと納税についてふるさと納税を2020年中に適用するためには、2020年12月31日までに自治体に寄付金が届いていることが要件です。ふるさと納税のポータルサイト経由等でクレジットカード払いできるものは、12月31日まで受付をしている場合もありますが、自治体や納入方法によっては締め切り日を早めに設定している場合もありますので、ふるさと納税をしようと思う自治体があれば、あらかじめ締め切り日を確認するようにしましょう。 また、確定申告を行わずに、ふるさと納税の控除が受けられる「ふるさと納税ワンストップ特例」の申請は、ふるさと納税を行う自治体の数が5団体以内の場合に可能ですが、翌年(2020年中の寄付の場合は2021年)の1月10日必着で、ふるさと納税を行う自治体への申請が必要です。なお、医療費控除の申請や事業主、副業等で確定申告が必要な方は、「ふるさと納税ワンストップ特例」の適用が受けられませんので、ふるさと納税を行う自治体から受領証を受け取り、確定申告で寄付金控除の申請を行ってください。 新型コロナウイルスの各給付金と税金について新型コロナウイルス感染症の対策として、いくつかの給付金が制度化されましたが、税金の取扱いについて簡単にご説明します。 1.特別定額給付金(一律10万円の給付金)、子育て世帯への臨時特別給付金(児童手当の上乗せ1万円)については、課税の対象にはなりません。2.小学校休業等対応助成金・小学校休業等対応支援金、持続化給付金・家賃支援給付金については、課税対象となります。なお、1年間の収支を計算して損金の多い場合や課税所得が生じない場合には、課税対象となりません。 その他、対象者が一部の方に限られている給付金等は、最寄りの税務署か該当する給付金制度を実施している役所などに課税対象かどうか確認をしましょう。 毎年の作業ですが、年末調整または確定申告は制度が変わるだけでなく、ご自身やご家族の状況の変化で、手続き内容が変わることもあります。変化があった点については、確認しながら作業して、訂正や追加があまり生じないようにしましょう。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2020年11月11日コロナ禍が家計のピンチも招いているなか、コストカットの近道が「保険の見直し」にあると専門家は話す。そのためには「保険証券」のチェックが有効だーー。コロナ禍の影響もあり、例年にも増して「家計が苦しい」という人が多い。’19年10月の消費税引き上げでダメージを受けた家計に、コロナショックが追い討ちをかけた格好だ。なんとか家計を守ろうと、食費を削り、小遣いを減らす“ガマンする節約”を始めた人もいるだろう。だが、ガマンは生活のゆとりを奪い、心身ともに苦しくなるため続かないことも多い。「家計の見直しは、まず固定費に手をつけることをお勧めします」ファイナンシャルプランナーの竹下さくらさんはそう話す。固定費とは、定期的に決まった金額がかかる支出。住居費、スマホなどの通信費、また生命保険などの保険料が挙げられる。これらは一度見直しを行えば、その後は見直し効果がそのまま続く。ガマンのいらない“ほったらかし節約”だ。そうとなれば取りかかりたいところだが、固定費のなかでも特に見直しが難しいのが保険だ。専門用語も多く、きちんと理解するのが難しい。「保険に関することを『簡単だ』という人に私は会ったことがありません。それでも、保険に加入してから一度も見直したことがないというのは、せっかくの“埋蔵金”に気づかないようなものです。保険の見直しには、勢いが必要です。思い立ったが吉日。今すぐできるところから始めましょう」(竹下さん・以下同)保険契約が成立した証しの「保険証券」。これを理解することが、保険攻略の第一歩だ。医療保険とがん保険の保険証券を読み解こう。保険期間や保険料と、保障が書かれた契約内容の2つのチェックに注目だ。【1】保険期間・更新のタイミングまず、保険が必要な期間と合っているのか、確認しよう。読者世代の場合、これから病気になる確率が上がり、医療保険の重要性は増すだろう。ならば、10年間では心もとない。また、更新があると、そのたびに保険料は上がってしまう。老後を考えると、終身タイプのほうが安心だと竹下さんは話す。終身だと更新は必要なく、保険料も変わらない。年金暮らしになっても、大きな負担にならない保険料を設定しておきたい。【2】保障は十分か?医療保険では、“入院日額が5,000円、入院1日目から給付”が最近主流の形態だ。また、通院給付金には、「退院後の通院に限る」というただし書きがあるものが。つまり、入院せずに通院だけで治療するときには、この通院給付金は出ないということだ。1入院や通算の入院限度日数にも注目を。保険証券に載っていない場合は、保険の約款か、年1回送られてくる「ご契約内容のお知らせ」に書かれているので、確認しよう。がん保険では、がん給付金に《初めてがんと宣告されたとき》とあるものも。つまり、初めてがんになったときの1回しか支給されないということ。がんは再発も多い。そのため、複数回給付金が出るような保険がよいだろう。こうした請求は、特に死亡保険金や通院給付金などを忘れがちなので注意しよう。ほかにも「女性特定入院特約」など、保障内容がわかりづらい特約を勧められることもある。「自分が理解できない保障はいらない、と考えてもよいでしょう。内容がわからないと、保障が受けられる状態になっても気づかず、給付金を請求できないからです」自分が加入している保険が“必要最低限”になっているか、点検しよう。それが家計を助けるヒントになってくれるはず!「女性自身」2020年11月3日号 掲載
2020年10月28日会社員であれば、自分の給料に対する税金については計算から納付までを会社が代わりに行います。しかし、自分で会社を設立し、自らが社長となる場合には、自分の役員報酬にかかる税金を自分で計算して納税する必要があります。今回は、役員報酬にかかる税金や社会保険料の種類と計算方法、納付方法について解説していきます。役員報酬とは役員報酬とは、会社の役員となる人に支給される報酬です。ここでいう「会社の役員」とは、会社の経営に直接的に携わる人を指します。株式会社においては、一般的には取締役や監査役が役員にあたります。個人事業主が法人化する場合は、ほとんどの場合で事業主自身が代表取締役に就任することになるでしょう。この場合、個人事業主は会社役員となり、自分の会社から役員報酬という形で給料を受け取ります。役員報酬に対する税金については所得税と法人税の双方に影響があります。まずは所得税について見ていきましょう。役員報酬にかかる所得税の計算方法役員報酬は、従業員給与と同じく、税法上は給与所得として扱われます。そのため、役員報酬では所得税と住民税、社会保険料の3種類の税金が源泉徴収として天引きされます。原則として確定申告の必要はありません。それでは、役員報酬にかかる所得税の計算方法を見ていきましょう。所得税は以下の計算式で求められます。所得税の税額 = 課税所得×税率課税所得所得税を算出するには「課税所得」を求めなければなりません。課税所得の計算は以下の算式で計算されます。課税所得 = 役員報酬 – 給与所得控除 - 所得控除役員報酬には通勤手当や出張手当は含みません。給与所得控除給与所得控除とは、収入の額に応じて一定額を控除できる制度をいいます(下表参照)。個人事業主であれば収入から経費を差し引くことが認められていますが、役員や従業員などの給与所得者は経費という概念がなく、この経費に代わるものとして、給与所得控除という形で収入から一定額を差し引くことが認められています。所得控除所得控除とは、課税所得を計算する上で、家族構成や個人的事情を考慮して、一定の金額を所得から控除することを認めるという制度です。たとえば、「学費がかかる子どもがいる」「病気で医療費がかかった」など、国民一人ひとりがさまざまな事情を抱えている中で、税金の負担を軽くしようとするものです。所得控除には以下のような種類があります。税率所得税の税率は5%から45%で、所得が増えれば増えるほど税率が高くなっていく累進課税となっています。また、日本の所得税は、課税所得が一定額以上となった場合、その超過部分に対して段階的に高い税率が課される超過累進税率が採用されています。超過累進税率の例たとえば、課税所得800万円の場合では、195万円(195万円以下の部分) × 5% = 9万7,500円135万円(195万円を超え330万円以下の部分)× 10% = 13万5,000円355万円(330万円を超え685万円以下の部分)× 20% = 71万円115万円(685万円を超え900万円以下の部分)× 23% = 26万4.500円以上、合計で800万円の課税所得に対し、120万7,000円(=9万7,500円 + 13万5,000円 + 71万円 + 26万4.500円)の所得税がかかることになります。単純に800万円に23%を乗じるわけではありませんので注意してください。この点は、上記の速算表にあてはめることで簡単に算出できます。800万円 × 23% - 63万6,000円 = 120万7,000円税額控除税額控除とは、上記で算出した所得税の税額から、さらに直接差し引くことのできる控除です。主な税額控除として住宅ローン控除や配当控除、外国税額控除があります。役員報酬にかかる住民税・社会保険料の計算方法[adsense_middle]役員報酬にかかる住民税住民税は大きく分けて「所得割」と「均等割」があり、この合計額を各自治体に納付します(原則として源泉徴収)。住民税の税額 = 所得割額 + 均等割額(1)住民税所得割額「所得割」は基本的には所得税と同じ計算方法になり、税率はほとんどの地域で一律10%が適用されます。所得割の税額 = (所得金額 − 所得控除額)× 10% − 税額控除額ただし、各種所得控除の金額が所得税の場合より少ないのが特徴です。たとえば基礎控除額は、所得税の場合は48万円であるのに対し、住民税所得割では33万円(2021年からは43万円)となります。(2)住民税均等割額均等割は所得に関係なく、全員が一律の金額を居住している地域に納めます。地域によって多少金額が異なりますが、ほとんどの地域で年4,000円から5,000円となっています。 たとえば東京都の場合、均等割額は年5,000円です(2025年まで)。役員報酬にかかる社会保険料オーナー社長が協会けんぽの社会保険に加入した場合、健康保険料(介護保険料含む)と厚生年金保険料で報酬額の3割程度の負担が発生します。社長であっても社会保険料は会社と個人で折半となります。所得税は所得に上がれば税率が上がる累進課税ですが、社会保険料についてはその割合が一定となっている点に違いがあります。役員報酬と従業員給与との違いここまで述べてきたように、役員報酬は給与所得に該当し、従業員給与の税額計算とまったく同じ計算方法となります。しかし、役員報酬と従業員給与は、税法において取り扱いが大きく異なります。というのも、役員報酬について無制限に経費への計上を認めると、法人税の面で問題が生じてしまうためです。法人税の面における問題役員報酬は個人の収入となるため、役員個人が自由に使えるお金です。役員報酬を経費に計上する場合、法人税の面で不都合が生じます。つまり、あまりにも高額な役員報酬を設定して利益を圧縮し、法人税を不当に抑えることも可能になるのです。また、利益が大きく出た場合に、事業年度末において、役員報酬を増額し利益を意図的に減らすことで、法人税を不当に抑えることができてしまいます。役員報酬を経費(損金算入)にするための条件役員報酬には上で述べたような税務上の問題点があるため、役員報酬を経費として認められる条件として、法人税法上の一定の制限が設けられています。①定期同額給与役員報酬として受け取れる金額は毎月同額であることを要求する制度です。従業員の給与に近いものです。これにより、利益の変動に応じて役員報酬を増減させることが原則としてできなくなります。②事前確定届出給与事前確定届出給与は、ボーナスのイメージに近いものです。税務署に金額と支払い時期を届け出ることにより経費として扱われます。③利益連動給与利益連動給与は、上場企業など同族会社ではない会社が、その事業年度の利益に関する指標を基準にして支給するものです。ほとんどの中小企業は同族会社に該当しますので、利益連動給与は適用できないことになります。一般的には定期同額給与上記で役員報酬の支給形態を3種類ご紹介しましたが、特に届出を要しない定期同額給与を採用することが多いでしょう。定期同額給与は株主総会などで支給金額を決定し、決定した金額を毎月役員に支給するという形態ですので、支給方法としてシンプルです。ただし、原則として翌年の株主総会での決議まで報酬額を変更することはできません。確定申告の扱い役員報酬は給与所得となるため、会社が年末調整を行い納税を済ませているなら、確定申告の必要はありません。ただし、役員に限らず給与所得者であれば、一定の要件に該当する場合には確定申告の必要があります。たとえば、以下の要件に該当する場合は確定申告が必要となります。給与収入が年間2,000万円を超える人2か所以上から給与をもらっている人で、メインの給与収入以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人1か所から給与をもらっている人で、給与及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人など役員報酬を利用した節税対策役員報酬に関連して、さまざまな節税方法があります。[adsense_middle](1)配偶者への給与の支払いフリーランスなどの事業所得者の場合、妻への給与を経費とすることは原則としてできません。青色専従者として雇用していた場合は妻への給与を経費とすることはできますが、配偶者控除を適用できなくなります。一方、会社形態では、会社から妻への給与を会社の経費とすることが認められ、所得制限があるものの、配偶者(特別)控除を適用することもできます。(2)役員社宅制度を利用する社長個人名義の住宅を会社名義にした上で、会社の社宅という扱いにすることができます。この場合、賃料相当額のうち、社長は一部の賃料を会社に払い、残りの賃料は会社の経費にすることが認められています。会社にとっては経費が増えることによって法人税を抑えることができ、役員個人にとっても実質的な手取りが増えるというメリットがあります。現在、役員報酬から個人で家賃を支払っているなら、一度検討してみるのもいいでしょう。ただし、あまりにも豪華な住宅の場合には適用できません。(3)中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)の活用経営セーフティ共済は、毎月掛金(5,000円~20万円)を積み立てることで、無利子・無担保で借入ができる制度です。掛金は全額損金算入が可能ですので、積み立てを行いながら、節税も同時に行えます。そして、役員を退任した際には、経営セーフティ共済を解約することにより、その解約金を退職金として受け取ることができます。退職金にかかる所得税はとても優遇されているため、経営セーフティ共済を役員退職金の原資とすることで大幅な節税が可能となります。役員報酬の税金に関するまとめ役員報酬は、会社法や税法上でも一定のルールが設けられ、会社の業績にも影響するため、いくらが適切かというのは専門家でも判断が難しい面があります。しかし、今回の記事でも述べたとおり、法人税や所得税など全体的な視点で判断し、その他の制度をうまく利用することで、大幅な節税も可能となることは知っておきましょう。
2020年10月16日離婚する夫婦の間では、財産分与として現金や不動産の受け渡しをすることが多いでしょう。お金の受け渡しをするときに注意しておかなければならないのが税金です。本記事では、離婚時の財産分与や慰謝料、養育費の支払いで税金がかかることがあるのかを説明します。離婚の条件を決めるときには、なるべく税金の心配をしなくてすむ形にしましょう。離婚で財産をもらった。いくらから税金がかかる?国税庁1の場合には多過ぎる部分に、2の場合にはもらった財産すべてに贈与税がかかります。慰謝料は損害賠償金なので非課税離婚の際には、一方から他方に対し、慰謝料を払うことがあります。慰謝料というのは、損害賠償金です。精神的苦痛の埋め合わせをするものであって、それによって利益を得るようなものではありません。そのため、慰謝料は贈与税がかからない扱いになっています。慰謝料が多過ぎると課税されることも離婚時の慰謝料として多過ぎる場合には、多過ぎる部分に贈与税がかかる可能性があります。離婚慰謝料の相場は200~300万円と言われますが、実際にいくらから課税されるのかは一概には言えません。課税対象になるのは、慰謝料の金額が「社会通念上相当な金額」を超える場合です。事案によっても異なるため、課税対象にならないかどうかは弁護士、税理士等の専門家に確認するのがおすすめです。養育費は扶養義務の履行なので非課税離婚後には継続的に子供の養育費を払ってもらうことが多いでしょう。養育費は贈与税がかかるような性質のものではありません。扶養義務者から生活費や教育費を受け取っても、贈与税は非課税です。養育費も扶養義務の履行ですから、贈与税の心配をする必要はありません。養育費を一括払いしてもらった場合には?養育費を毎月払いではなく一括払いで受け取るケースもあります。この場合でも、養育費である以上、基本的に贈与税はかかりません。ただし、やはり金額が多過ぎるようなら課税リスクがありますから注意しておきましょう。扶養的財産分与は課税リスクがある離婚するときに一方が病気、高齢、乳幼児がいるなどの理由で働けない場合、直ちに生活に困ることがあります。このような場合に、扶養的財産分与という名目で、相手側が一定期間生活費を払う約束をすることも珍しくありません。扶養的財産分与は、金額によっては贈与税がかかる可能性があります。「扶養的」と言いますが、そもそも別れた夫婦の間に扶養義務はないからです。年間110万円以下なら大丈夫ですが、110万円を超える場合には事前に専門家に相談するのがおすすめです。不動産については譲渡所得税の申告が必要なケースがある離婚時に不動産がある場合に、関係してくる税金が譲渡所得税です。譲渡所得税がかかる場合には、確定申告が必要ですから注意しておきましょう。[adsense_middle]財産分与で家を渡した側に税金がかかる?夫婦で住んでいた自宅を、離婚時に妻のほうがもらうといったケースがあります。たとえば、不動産の名義を夫から妻に変更したり、夫婦共有名義から妻の単独名義にしたりするケースがあるでしょう。不動産の財産分与をした場合、財産を譲った側、前述の例では夫のほうに税金がかかる可能性があります。贈与税と違って、財産を渡した側に税金がかかることに注意が必要です。財産分与では時価で不動産を売却した扱いになる夫から妻に不動産を財産分与した場合、夫は収入を得ているわけではありません。しかし、課税上は妻に財産を時価で売ったのと同じ取り扱いになります。判例上も、譲渡した側は不動産の譲渡によって財産分与義務の消滅という経済的利益を受けていると考え、課税するのが相当とされています(最高裁昭和50年5月27日判決)。夫としては、不動産を譲った上になぜ税金までとられるか納得いかないかもしれませんが、不動産の財産分与は譲渡所得税の課税対象になることを知っておきましょう。譲渡所得税とは?譲渡所得税とは、主に不動産を譲渡したときの「譲渡所得」に対して課税される税金で、厳密には所得税と住民税を合わせた呼び方になります。譲渡所得とは、譲渡益のことです。たとえば、不動産を購入した金額よりも高い金額で売却した場合には、利益が発生していることになります。この利益に課税されるのが譲渡所得税です。譲渡所得の計算方法譲渡所得は、次の計算式で計算します。譲渡所得=収入金額-(取得費+譲渡費用)収入金額とは売却などで得た金額、取得費とは購入したときに払った費用、譲渡費用とは売却のときの必要経費になります。譲渡所得税の税率譲渡所得税の税率は、長期譲渡所得(保有期間5年超)か短期譲渡所得(保有期間5年以下)かで変わり、次のようになります(復興特別所得税は除く)。なお、保有期間10年超のマイホームについては、要件をみたすと所得税10%、住民税4%の軽減税率の適用が受けられます。譲渡所得税の特別控除マイホームの譲渡で要件をみたした場合には、3,000万円の特別控除が受けられます。上記の譲渡所得の計算式で計算した金額が3,000万円以下であれば、実際には税金がかかりません。3,000万円の特別控除は、住宅ローン控除と重複適用できないという制限があります。マイホームを譲渡した後、新しく買った住宅で住宅ローンを組む場合には、どちらを適用するのが得かを考えたほうがよいでしょう。3,000万円の特別控除の要件とは?マイホームを譲渡した場合の3,000万円の特別控除は、配偶者等の親族への譲渡では受けられません。そのため、離婚後の譲渡であれば特別控除が受けられることになります。ただし、特別控除には、マイホームに住まなくなってから3年以内の譲渡でなければならないという要件もあります。離婚前提の別居で夫のほうが家を出て3年以上経過していた場合、住民票がどうなっていたかに関係なく、特別控除は受けられません。譲渡所得税の納税方法譲渡所得税が発生するケースでも、勝手に納付書が送られてくるわけではありません。確定申告により譲渡所得を申告し、所得税についてはそのまま納付書等で納税する必要があります。住民税については、確定申告をすれば、譲渡所得の分も合わせて税額が決定されます。特別徴収の場合には給料から天引きされ、普通徴収の場合には自治体から納付書が送られてくることになります。譲渡所得税の申告が必要なケース不動産の財産分与で譲渡所得税の申告が必要なのは、不動産が購入時より値上がりしているケースです。不動産が値下がりしていれば、譲渡所得税については考えなくてかまいません。不動産が値上がりして譲渡所得が出ていても、3,000万円の特別控除を使うと税金がゼロになることも多いはずです。この場合にも、確定申告は必要ですから忘れないようにしましょう。不動産があればかかるかもしれないその他の税金離婚時に不動産を受け渡しする場合、譲渡所得税以外にも気を付けておかなければならない税金があります。税金が発生する場合にはいくらくらいになるのかも計算しておきましょう。現金でなく不動産で慰謝料を払った場合には「不動産取得税」に注意不動産取得税は、不動産の所有権を取得したときに、都道府県から課税される税金です。通常の清算的な財産分与ではかかりませんが、慰謝料代わりに不動産を譲渡した場合には課税されてしまいます。不動産取得税の税率税率は原則4%ですが、土地と住宅用の家屋については3%の軽減税率が適用されています(2021年3月31日まで)。税額計算の基準となるのは、不動産の固定資産税評価額です。土地建物・マンションの名義変更では「登録免許税」がかかる離婚時に土地や建物、マンションの名義変更を行う場合、法務局での登記手続きが必要です。登記手続きの際には、登録免許税を払わなければなりません。登録免許税をどちらが負担するかについて明確なルールがないため、離婚協議で話し合っておきましょう。登録免許税の税率財産分与を原因とする所有権移転登記の税率は2%です。税額計算の基準となるのは、固定資産税評価額です。不動産をもらった後は毎年固定資産税がかかる離婚時に不動産をもらった場合、翌年から毎年固定資産税を払わなければなりません。市街化区域では都市計画税もかかります。不動産取得税や登録免許税は離婚時だけですが、固定資産税・都市計画税は負担が毎年続きますので、注意しておきましょう。固定資産税・都市計画税の税率都道府県により多少異なりますが、固定資産税は1.4%、都市計画税は0.3%です。住宅用地については、特例により軽減措置が設けられています。税額計算の基準は固定資産税評価額です。離婚時の財産分与で課税されないためには?離婚時の財産の受け渡しでも、気を付けておかないと税金がかかることがあります。課税されないための注意点を知っておきましょう。[adsense_middle]財産を多くもらい過ぎない離婚時には、できるだけ多く財産をもらいたいという人も多いでしょう。離婚の原因が相手にある場合など、憎しみの気持ちから、「今ある財産は全部自分のものにしたい」「慰謝料1億円払わせたい」などと思うかもしれません。しかし、不相当に財産を多くもらってしまうと、贈与税が課税されてしまうおそれがあります。「財産をたくさん奪ってこらしめよう」という気持ちは、自分の首を絞めることになります。けじめとして慰謝料を相当額を払ってもらうのはかまいませんが、必要以上に要求するようなことはせず、円満に離婚することを意識しましょう。公正証書を残しておくお金の受け渡しをしていても、それが離婚に関するものであることが証明できれば、ほとんどの場合は課税されません。いちばん大切なことは、それが何のお金なのかを証明できる書面を残しておくことです。そのため、離婚時には離婚協議書を作成しておきましょう。ただし、通常の離婚協議書では「税金逃れのために後で作ったのではないか?」と言われかねませんから、公正証書にしておくのがいちばんです。公正証書なら作成日も明確ですし、本人が自分の意思で約束したことの証明にもなります。離婚時の財産分与にかかる税金に関するまとめ離婚時の財産分与では、原則的に贈与税はかかりません。慰謝料をもらった場合、養育費を払ってもらう場合にも同様です。ただし、離婚時に必要以上に財産を多くもらうと、贈与とみなされ課税対象となることがあります。贈与税はかからなくても、不動産の財産分与では譲渡所得税や不動産取得税、登録免許税が発生することがあります。離婚の条件について話し合うときには、税金の負担も考慮しておくようにしましょう。
2020年10月11日もらえる年金を増やすために、社会保険(厚生年金・健康保険)に加入できる会社で働きたいと思う人も増えている。そんな人に朗報なのが、社会保険の加入条件のハードルが下がること。現在、社会保険に加入できる人は、週20時間以上働き、月額の賃金が8万8,000円以上あり、1年以上の勤務が見込めること。同時に勤め先の規模も条件になるが、これが段階的に引き下げられる。■「社会保険加入の条件」の変遷【’16年10月〜】・労働時間が週20時間以上・月額賃金8.8万円以上・勤務期間1年以上見込み・学生は適用除外・従業員501人以上の企業【’22年10月〜】・労働時間が週20時間以上・月額賃金8.8万円以上・勤務期間1年以上見込み・学生は適用除外・従業員100人超の企業【’24年10月〜】・労働時間が週20時間以上・月額賃金8.8万円以上・勤務期間1年以上見込み・学生は適用除外・従業員50人超の企業「アルバイトの募集には、時給や勤務時間などの条件が記載されていますが、週20時間以上働きたいと思ったら、その会社の規模を確認しておくことが大切です」そう話すのは、社会保険労務士でファイナンシャル・プランナーの井戸美枝さん。社会保険に加入すると、将来の年金額が増えるだけでなく、病気やケガをして休んだときに保障が受けられるメリットもある。「国民年金は60歳まで加入でき、月々の保険料は月1万6,540円(’20年度)ですが、厚生年金に加入すると会社が半分を支払うので、本人負担が少なくなります。たとえば、月8万8,000円で働いた人の年金の負担額は月8,052円になり、10年働くと65歳から年5万7,900円の老齢厚生年金が一生涯もらえます。会社の健康保険にも加入するので、病気になった際に傷病手当金など社会保障が手厚くなります」一方で注意したい点も。それが年収の“壁”だ。年収100万円を超えると、住んでいる自治体によっては住民税がかかることがある。年収103万円を超えると所得税を支払うことになるので、そのぶん手取りが少なくなる。続いて従業員数が501人以上の企業で働く場合は年収106万円以上、500人以下の企業では年収130万円以上になると夫の社会保険の扶養から外れ、妻自身の勤め先の社会保険に加入する。「妻の月々の給料から厚生年金と健康保険の保険料が天引きされるので、夫の扶養の範囲内にいたほうが社会保障と税金の負担が少なく済むケースもあります。その次の壁は確定申告のときに使える配偶者特別控除が妻の年収ごとに設けられて、年収201万円を超えると控除が適用されなくなります」専業主婦だった人がいきなりフルタイムで働くのは大変だ。体調を崩すことも懸念されるので、働き方については夫婦でよく話し合っておこう。「女性自身」2020年10月20日号 掲載
2020年10月08日そもそも「体幹」とは…そもそも「体幹」とはどの部分を指すのか、ご存知でしょうか?体幹は文字通り、「体の幹」のことで、胴体の部分を指しています。具体的には四肢(2本の腕と2本の脚)を除いた、お尻、お腹、背中、胸の部分が体幹と呼ばれています。出典:byBirth「体幹」を構成している筋肉体幹の筋肉は、表層部にあるアウターマッスルと深層部にあるインナーマッスルの2つのグループに大別されます。「腹直筋」、「外腹斜筋」、「脊柱起立筋」などは前者にあたり、体幹及び骨盤の動きに関与しています。一方、後者には「腹横筋」、「内腹斜筋」、「多裂筋」、「横隔膜」などが存在し、体幹及び骨盤の安定性に関与しています。腹横筋、多裂筋、横隔膜は、骨盤底筋群と共に内臓周りの部分を取り囲んでおり、この部分のことを「腹腔」と呼んでいます。「体幹エクササイズ」で得られる効果それでは、体幹エクササイズでどのような効果が得られるのでしょうか?体幹エクササイズで得られる効果として、主に3つ挙げることができます。効果1:姿勢が良くなる体幹エクササイズで体幹部の筋肉が強化されると脊柱(背骨)が安定し、その結果脊柱がニュートラルな状態で維持されるので、姿勢を良くすることができます。「脊柱のニュートラルな状態」というのは、脊柱が緩やかなS字状の弯曲を描いている状態です。具体的には体を横から見て、耳、肩、股関節(太ももの付け根)、膝関節の中心やや前方、そして外くるぶしのやや前方を結ぶラインが一直線となった状態です。「正しい姿勢」というのは、脊柱がニュートラルな状態になっている姿勢のことを言います。出典:byBirth効果2:腰痛と肩こりの予防・解消脊柱がニュートラルな状態になると姿勢が良くなるだけでなく、脊柱にかかる荷重や衝撃が分散されるようになります。そのため腰痛や肩こりの予防・解消という効果も期待できるようになります。効果3:お腹痩せ姿勢が良くなるということは、猫背の姿勢も改善されるということです。猫背の姿勢になると胸郭が下がり、それに伴い内臓が下垂して“ポッコリお腹”をもたらします。そのため、猫背の姿勢が改善されることで、お腹痩せしやすい状態になると言えます。合わせて腹横筋や多裂筋、横隔膜などといった腹腔を囲んでいる筋肉を強化することで、腹腔内圧を高めることができるので、お腹痩せ効果も期待できます。出典:byBirth「体幹エクササイズ」を効果的に行うポイントここで体幹エクササイズを実際に行ってみましょう。今回ご紹介する体幹エクササイズは、おうちで簡単にできるものですので、是非トライしてみてください!フローリングの上で行う場合は、ヨガマットもしくは大きめのバスタオルを敷いて行ってみてくださいね。(1)プランク出典:byBirth肘を付いた腕立ての体勢を作ります。手の幅は肩幅程度に、肩の真下に肘が位置するようにします。頭、肩、お尻、そして下腿部を結ぶラインが一直線の状態をキープします(写真赤線参照)。ちなみに「プランク」とは、「板」を意味しています。そのため、体で一枚の板を作るようにイメージして行ってみるとよいでしょう。30から60秒を1分間の休憩を入れながら、3セット行いましょう。このエクササイズを行うことで、脊柱の前後のバランスを整えることができます。そのため腰痛や肩こり解消はもちろんのこと、お腹痩せ効果が期待できます。ポイント落ちてくる腰を、お腹(腹横筋)で引き上げるようにすることが、腹横筋に効かせるコツです。注意すべき点腰またはお尻が上がり過ぎてしまわないように注意しましょう。腰を落とさないようにしようという意識が強すぎて、腰やお尻が上がり過ぎてしまうと、脊柱の一直線のラインが崩れてしまうので、却ってエクササイズ効果がダウンしてしまいます。頭を上げてしまうと、頭から足まで結ぶラインが崩れてしまうばかりか、頸椎に負担がかかりやすい状態となってしまいます。そのため、頭を上げないように心がけましょう。(2)サイドブリッジ出典:byBirth肘を付いた横向きの体勢をとり、肘は肩の真下に位置するようにします。両脚を真っ直ぐに伸ばしたところから、両膝を直角に曲げます。上の手は骨盤の横に添えて骨盤を持ち上げていき、床側の膝から肩を結ぶラインが一直線の状態をキープするようにします(写真赤線参照)。左右それぞれ30~60秒間を3セット行います。このエクササイズを行うことで、脊柱の左右のバランスを整えることができ、腰痛や肩こりの解消につなげることができます。また内・外腹斜筋に効くので、「くびれ」を作ることもできます。ポイント骨盤をしっかり引き上げることで、下になっている内・外腹斜筋などに効かせることができます。注意すべき点エクササイズ中、顔と骨盤は正面を向けるようにしましょう。骨盤がねじれた状態でサイドブリッジを行うと、ターゲットとする筋肉である内・外腹斜筋への効果がダウンしてしまうからです。また、エクササイズ中は呼吸を止めずに自然な呼吸を心がけるようにしましょう。エクササイズを効果につなげるコツ出典:byBirth今回は体幹エクササイズに関する基礎知識をお伝えしてきました。体幹エクササイズに限らず、エクササイズはただ漠然と行うよりも、それを行うことでどのような効果が得られるのか、また効果につなげるにはどの点に気をつけてエクササイズを行うべきかを頭に入れた上で行うべきです。これがエクササイズを効果につなげるコツです!このことを踏まえた上で、体幹エクササイズにトライしてみてください!
2020年09月30日「所得税法上、個人が手にするお金はほとんどが稼ぎやもうけとみなされ、税金がかかります。非課税になるのは、所得税法第9条などで決められた“例外”だけです」そう話すのは総合情報サイト「All About」で税金ガイドを務める税理士の田中卓也先生だ。課税・非課税は見分けづらいが、「慰謝料」を例に考えるとわかりやすいという。「離婚などで払う慰謝料とは、それまでに受けた精神的苦痛などの損失を、金銭で補填するものです。損失のない状態をプラスマイナスゼロとすると、損失分のマイナスを慰謝料で補填して、ゼロに近づけるイメージです。税金は、稼ぎやもうけなどのように、現状よりプラスになるものにかかります。マイナスの補填である慰謝料などに、税金はかかりません」(田中先生・以下同)だとしたら、次のうち税金がかからないのはどっちだろう?田中先生が解説!■「特別定額給付金」と「持続化給付金」税金がかからないのはどっち?コロナ禍で緊急事態宣言発令中の5月に申請が始まった1人10万円の特別定額給付金。すでに振り込まれた人も多いだろう。これに、もし税金がかかるなら、せっかく手にした10万円が目減りしてしまう?「これは慰謝料の例と同じように説明できます。特別定額給付金は、コロナ禍で経済的・精神的・社会的などの損失を受けた私たち=マイナス状態の人に、その補填として支払われたものです。つまり、プラスを生む稼ぎやもうけではないので、非課税です」税金がかからず、丸々10万円受け取れると聞いて、ひと安心。では、中小企業やフリーランスなどに支給される持続化給付金はどうだろう?こちらもコロナ禍で困窮した事業者に支給されるものだが……。「持続化給付金は、売り上げが前年同月と比べて50%以上落ち込んだ事業者に支給されるものです。通常営業なら稼げるはずの売り上げが減ってしまったため、持続化給付金を上乗せして売り上げ=プラスを増やす。つまり、持続化給付金は稼ぎやもうけと同様と考えられるので、課税されます。ただ持続化給付金を収益に含めても、1年を通して赤字の場合は課税できません。結果的に非課税になるケースもあるでしょう」正解は……特別定額給付金。「女性自身」2020年9月1日 掲載
2020年08月20日「所得税法上、個人が手にするお金はほとんどが稼ぎやもうけとみなされ、税金がかかります。非課税になるのは、所得税法第9条などで決められた“例外”だけです」そう話すのは総合情報サイト「All About」で税金ガイドを務める税理士の田中卓也先生だ。課税・非課税は見分けづらいが、「慰謝料」を例に考えるとわかりやすいという。「離婚などで払う慰謝料とは、それまでに受けた精神的苦痛などの損失を、金銭で補填するものです。損失のない状態をプラスマイナスゼロとすると、損失分のマイナスを慰謝料で補填して、ゼロに近づけるイメージです。税金は、稼ぎやもうけなどのように、現状よりプラスになるものにかかります。マイナスの補填である慰謝料などに、税金はかかりません」(田中先生・以下同)だとしたら、高齢者の生活を支える「老齢年金」は?配偶者を亡くした人に支払われる「遺族年金」は?「宝くじの当せん金」はどうだろう?そこで2択クイズを出題!次のうち税金がかからないのはどっち?■「死亡保険金」と「入院給付金」税金がかからないのはどっち?「保険からもらえるお金には、死亡や満期時の「保険金」と、入院や手術の際の『給付金』があります。入院給付金などの給付金は、身体的苦痛や経済的損失など=マイナスの補填と考えられ、非課税です。いっぽう、保険金は課税対象ですが、保険料を払う人(契約者)、誰にかける保険か(被保険者)、保険金の受取人の関係で、かかる税金が異なります。被保険者である夫が亡くなった場合、保険料を払った妻が保険金を受け取ると、自分のお金が増えた、ある種のもうけと考え所得税。夫が払って妻や子が受け取ると、夫のお金を相続したとみなされ相続税。妻が夫にかけていた保険金を子が受け取ると、子はお金をもらったことになり贈与税がかかります」正解は……入院給付金。■「老齢年金」と「遺族年金」税金がかからないのはどっち?高齢者の生活を支える老齢年金。年金だけでは暮らせない人も多いというのに、課税されるの?「老齢年金は稼ぎに当たると考えられ、原則、『雑所得』として課税されます。ですが、公的年金等控除や健康保険料などの社会保険料を差し引いて、一定額以上になる人が課税対象です」配偶者を亡くした人が受け取る遺族年金は?「配偶者が生きていればもらえたはずの年金を、もらえなくなった=マイナス分の補填と考えますので、非課税です」正解は……遺族年金。■「iDeCo」と「NISA」税金がかからないのはどっち?「貯蓄から投資へ」といわれ注目を集める「個人型確定拠出年金(iDeCo)」と、「小額投資非課税制度(NISA)」は、投資で得た利益が非課税になることが特徴だ。「ただし、iDeCoは60歳以降にためたお金を受け取る際、税金がかかります。NISAは年間120万円までの範囲であれば非課税です」それなら、iDeCOは損?「iDeCoは掛金が全額、所得控除されます。iDeCoを長期間続けると、所得控除による節税が積み重なるので、NISAにはない大きなメリットです」正解は……NISA。■「宝くじ当せん金」と「競馬の勝ち金」税金がかからないのはどっち?「宝くじで7億円が当たったら、税金で相当引かれるんだろうなあ」なんて、当たる前から心配している人もいるのでは?「宝くじの当せん金には、税金がかかりません。というのも、宝くじの代金には約4割の税金が含まれていますので、当せん金に課税すると二重課税になってしまいます」高額当せんしたことのない人も、税金は払っていたんですですね。「競馬の勝ち金はたまたま得たもうけ、つまり『一時所得』として課税対象です」正解は……宝くじの当せん金。「女性自身」2020年9月1日 掲載
2020年08月20日建築工事中にけがをした場合、建設会社に勤める労働者は労災保険が適用されますが、下請けの一人親方ならば元請会社の労災保険は適用されません。一人親方や労働者と一緒に仕事をする中小事業主は、「労働者」ではないため労災の一般加入ができないからです。このような中小事業主や一人親方を保護するのが労災保険の特別加入制度です。今回は、特別加入制度の対象者や加入条件のほか、保険給付や加入手続きについて解説します。労災保険の特別加入制度とは?労災保険の特別加入制度とは、労災保険に一般加入できない事業主や自営業者などのうち、所定条件を満たす人が特別に労災加入できる制度です。労災保険の対象は労働者ですが、業務の実態や災害の発生状況などからみて、労働者に準じて保護することがふさわしいと考えられる人が特別加入の対象となります。労災保険と雇用保険をあわせて労働保険といいますが、労災に特別加入できる事業主や自営業者も雇用保険には加入できません。一般加入と特別加入の違い特別加入の場合は、労災の対象者以外にも対象となる災害や加入手続きなどの点で一般加入とは異なります。主な相違点は下記のとおりです。特別加入のメリット・デメリット特別加入の対象となる事業主や自営業者の中には、特別加入している人としていない人がいます。理由は、特別加入には下記のメリット・デメリットがあるからです。特別加入のメリット労災事故による療養・休業・障害・要介護に対する補償のほか、死亡時の遺族補償もあるなど、補償範囲が幅広い治療にかかる費用は継続してすべて補償、所定の障害状態なら一生涯障害年金が続くなど、補償内容が手厚い国の制度なので安心特別加入のデメリット労災保険料のほか、労働保険事務組合への手数料など費用がかかる雇用保険(事業主)への加入など、特別加入するための条件がある役員業務(事業主)や所定業務以外は対象外となるなど、補償対象となる業務に制約がある特別加入すべきかどうか特別加入できる事業主や自営業者などは、一般の労働者と同様に労働上のリスクを負うことから、補償内容が幅広く、ほかの労働・社会保険や民間の保険よりも補償が手厚い労災への加入をおすすめします。特別加入の対象と条件特別加入の対象となるのは、下記の4種のうち所定の条件を満たした人です。中小事業主等一人親方等特定作業従事者海外派遣者それぞれについて、特別加入の条件を見ていきます。中小事業主等厚生労働省の「中小事業主等特別加入状況(平成30年度末現在)」によると(以下同様)、中小事業主等の加入者は約109万人(事業主は約65万人、その家族従業員数は約44万人)と、4種の特別加入者のうちで最多となっています。中小事業主等とは中小事業主等とは、①労働者数が下記規模の事業主、②事業主の家族従事者、③事業主以外の役員のことです。特別加入の要件中小事業主等が特別加入するための要件は下記の2つです。雇用する労働者について保険関係(※)が成立していること労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託していること(※)労働保険(労災保険・雇用保険)に加入していることまた、特別加入する場合は、事業主本人のほか家族従事者など対象者全員が加入しなければなりません。(病気療養中など実態として事業に従事していない事業主は除外可能)一人親方等一人親方等の加入者は約61万人で、約59万人の建設業の一人親方と、約9千人の個人タクシー・貨物運送業者(個人のトラック運転手など)が大半を占めます。一人親方等とは(対象業種)一人親方等とは、労働者を使用しないで下記の事業を行う①一人親方、②自営業者、③その事業に従事する人をいいます。自動車による旅客・貨物運送(個人タクシー業者や個人貨物運送業者など)建設の事業(大工、左官、とび職人など)漁船による水産動植物の採捕の事業林業の事業医薬品の配置販売再生利用目的の廃棄物などの収集船員法第1条に規定する船員が行う事業特別加入の要件一人親方等が特別加入するための要件は下記のとおりです。一人親方等の団体(特別加入団体)の構成員であること特別加入団体を事業主、一人親方等を労働者とみなして労災保険を適用します。特定作業従事者特定作業従事者は約11万人で、特定農作業従事者が約7万人、指定農業機械作業従事者が約3万人で大半を占めます。特定作業従事者とは特定作業従事者とは、下記のいずれかに該当する人です。特定農作業従事者指定農業機械作業従事者国・地方公共団体が実施する訓練従事者(職場適応訓練従事者など)家内労働者およびその補助者労働組合等の常勤役員介護作業従事者および家事支援従事者上記区分に該当するかどうかは、区分ごとに詳細な条件が定められています。たとえば、特定農作業従事者は「年間の農産物の総販売額が300万円以上」または「経営耕地面積が2ヘクタール以上の規模を有している」ことのほか、所定の作業を行う農作業者が該当します。特別加入の要件特定作業従事者が特別加入するための要件は下記のとおりです。特定作業従事者の団体(特別加入団体)の構成員であること一人親方等と同様に、特別加入団体を事業主、特定作業従事者を労働者とみなします。海外派遣者海外派遣者は、約1万社の従業員約10万人が特別加入しています。海外派遣者とは海外派遣者とは、下記のいずれかに該当する人です。日本国内の事業主から、海外で行われる事業に労働者として派遣される人日本国内の事業主から、海外にある中小規模の事業に事業主等として派遣される人独立行政法人国際協力機構など開発途上地域に対する技術協力の実施の事業特別加入の要件海外派遣者が特別加入するための要件は下記のとおりです。派遣元の事業主が日本国内で行う事業について、労災保険の保険関係が成立していること「海外派遣者」と「海外出張者」「海外出張者」は特別加入の対象外です。「海外出張者」は、労働の提供の場が海外でも国内の事業場に所属し、国内の使用者の指揮で勤務する労働者です。一方、「海外派遣者」は、海外の事業場に所属し、海外の使用者の指揮に従って勤務する労働者とその事業場の使用者です。特別加入の保険給付と保険料特別加入の保険給付は下記のとおり一般加入とほぼ同じですが、給付額を決める「給付基礎日額」や「補償の対象となる災害」については違いがあります。療養(補償)給付休業(補償)給付障害(補償)給付遺族(補償)給付葬祭料・葬祭給付傷病(補償)年金介護(補償)給付※一般加入と異なり、「二次健康診断等給付」はありません。[adsense_middle]給付基礎日額と保険料特別加入の給付基礎日額は、3,500円から25,000円(16区分)の間で任意で申請できますが、最終的には労働局長が決定します。給付基礎日額が高いと保険給付も高くなりますが、保険料も上がります。労災保険料の計算は下記のとおりです。給付基礎日額と保険料は比例します。特別加入の労災保険料労災保険料=給付基礎日額×365日×労災保険率参考1:給付基礎日額25,000円、建設業(労災保険率18/1000)の計算例労災保険料=25,000円×365日×18/1000=164,250円参考2:一般加入の労災保険料の計算労災保険料=賃金総額×労災保険率補償の対象となる業務災害・通勤災害補償の対象となる災害(業務災害と通勤災害)は、一般加入と特別加入では異なるケースがあります。業務災害特別加入の業務災害で、一般加入との主な相違点は下記のとおりです。中小事業主等申請書の「業務の内容」に記載された所定労働時間内の所定の行為のみが補償の対象事業主の立場で行われる業務は対象外一人親方等「請負契約に必要な行為を行う場合」(建設業)など、事業ごとに補償対象となる業務災害が規定特定作業従事者農作業場で動力により駆動する機械を使用して行う作業(特定農作業従事者)など、事業ごとに補償対象となる業務災害が規定海外派遣者一般加入と同内容通勤災害特別加入の通勤災害は、基本的には一般加入と同じです。ただし、一人親方等のうち下記については通勤災害の対象外で補償はありません。個人タクシー業者、個人貨物運送業者漁船による自営漁業者特別加入の手続き特別加入の手続き方法は、加入者ごとに異なります。特別加入の必要書類特別加入の必要書類は「特別加入申請書」または「特別加入に関する変更届」です。下記の場合は、「特別加入申請書」が必要です。「中小事業主等」や「海外派遣者」が初めて特別加入を申請する場合「一人親方等」や「特定作業従事者」が新たに特別加入団体をつくり申請する場合上記以外の場合は「特別加入に関する変更届」が必要です。なお、加入者の職歴(「粉じん作業を行う業務」など)によっては加入時健康診断が必要になります。診断結果次第で特別加入できないこともあります。特別加入申請書等の提出方法特別加入申請書等は、所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出しますが、「中小事業主等」は労働保険事務組合を通じて、「一人親方等」や「特定作業従事者」は特別加入団体を通じて行うことになります。「海外派遣者」についてのみ、特別加入申請書等を直接提出することになります。労災保険の特別加入制度に関するまとめ労災保険の特別加入制度は、一般加入できない「労働者でない人」が特別に加入できる制度です。対象は「中小事業主等」「一人親方等」などですが、加入対象者や特別加入の要件が詳細に定められています。特別加入と一般加入では、給付基礎日額や保険料、補償の対象となる災害などが異なるので注意が必要です。労働者と同様のリスクを負う特別加入対象者は、補償内容が幅広く、また補償が手厚い労災加入を検討してみましょう。
2020年08月17日会社経営や個人事業を行うときに、欠かせない知識のひとつが「減価償却」です。減価償却は利益や税金に関わってくるため、基礎知識があると事業を有利に展開できます。「会計処理や税務申告は税理士に任せている」という方も、減価償却について理解しておくことが大切です。今回は、減価償却を行う4つのメリットと基礎知識・注意点について解説します。減価償却とは減価償却とは、事業用の資産(減価償却資産)の購入代金を取得時に全額経費に計上せず、使用可能期間にわたって分割して費用化していく手続きのことです。たとえば、業務で使用する建物や機械装置は長期間使用できますが、一般的には時の経過によってその価値は減少していきます。取得価額をまとめて経費にすると、時の経過による価値の減少分が業績や税金計算に正しく反映されません。そのため、減価償却資産を取得した場合は、減価償却によって取得価額を各年に必要経費として配分する必要があります。減価償却の対象資産減価償却の対象資産に該当するかは、取得価額や使用可能期間、資産の種類によって判断します。原則として、取得価額が10万円未満で使用可能期間が1年未満の資産は、購入した年に全額必要経費に計上します。購入代金が10万円以上の場合は、減価償却資産に該当するかを確認するといいでしょう。有形固定資産有形固定資産とは、物理的な形を持ち、1年以上の長期間にわたって使用できる事業用資産のことです。減価償却の対象となる主な有形固定資産は以下のとおりです。建物および附属設備構築物機械装置工具器具備品車両運搬具これらに該当する資産を取得した場合は、減価償却が必要になります。無形固定資産無形固定資産とは、1年以上の長期間にわたって使用できる、物理的な形を持たない事業用資産のことです。減価償却の対象となる主な無形固定資産をまとめました。ソフトウエア特許権商標権実用新案権鉱業権無形固定資産は目に見えませんが、法人や個人に利益をもたらす点で資産と言えるでしょう。減価償却の対象外の資産減価償却の対象外となる資産を知っておくと、減価償却に対する理解が深まります。減価償却は、時の経過による資産価値の減少分を各年に必要経費として配分する手続きです。そのため、時間が経っても価値が減少しない資産は、減価償却の対象外となります。具体的には以下のとおりです。土地骨とう品たとえば、不動産(土地・建物)を購入した場合、建物部分は減価償却の対象ですが、土地部分は減価償却の対象外となるので注意が必要です。上記のほかに、販売目的で保有する棚卸資産(商品・製品)や有価証券も減価償却の対象外となります。減価償却と利益・節税の関係性減価償却は、利益や節税との関係性を考えると理解しやすいかもしれません。減価償却によって業績は変わりますし、税金計算にも影響を与えます。ここでは、減価償却と利益・節税との関係性について説明します。減価償却が利益に与える影響減価償却資産を購入したときに、取得価額を一括で必要経費にすると、金額によってはその年だけ大きな赤字が発生します。ひとりで事業をしているフリーランスなら、赤字が出ても現金があれば問題ないかもしれません。しかし、金融機関から融資を受けている法人や個人事業主の場合、業績が悪化すると、融資の継続に影響が出る恐れがあります。また、新規の資金調達が難しくなり、取引先との関係に与える影響も大きいでしょう。減価償却で取得価額を各年に経費として配分すれば、業績に与える影響を抑えられます。減価償却で税金が安くなる理由減価償却によって、資産の取得価額を少しずつ経費に計上すれば、毎年利益が減少します。利益が減少すれば課税所得も減るため、法人税や所得税、住民税などの節税につながります。減価償却資産は購入時に代金を払っているので、計上時に現金の支出を伴わない経費です。そのため、手元に現金を残しながら毎年経費を計上して節税できます。減価償却費(経費)の計上方法減価償却資産を購入したときは、減価償却費を計算して経費に計上する必要があります。ここでは、減価償却費の計上方法について説明します。[adsense_middle]法定耐用年数に応じて費用化する法定耐用年数とは、減価償却資産の使用可能期間のことで、資産の種類ごとに定められています。資産を購入したら、まずは法定耐用年数を確認しましょう。法定耐用年数はかなり細かく分類されているので、資産の種類によっては判断するのが難しいかもしれません。その場合は、所轄税務署や顧問税理士に相談しましょう。定額法と定率法減価償却費の代表的な計算方法には、「定額法」と「定率法」の2つがあります。定額法:毎年一定額の減価償却費を計上する方法定率法:初めの年ほど多くの減価償却費を計上する方法(一定の年数を経過した後は毎年同額になる)資産ごとに、定額法と定率法のどちらで減価償却するか(法定償却方法)は決まっていますが、資産の種類によっては別の償却方法を選択することも可能です。早い時期に多くの減価償却費を計上したい場合は、定率法を検討するといいでしょう。定額法の減価償却費の計算例定額法による減価償却費は「取得価額×定額法の償却率」で求められます。たとえば、取得価額300万円、法定耐用年数10年(償却率0.100)の場合、毎年計上する減価償却費は以下のとおりです。3,000,000円×0.100=300,000円ただし、最終年(10年目)は備忘価格として1円残す必要があるため、10年目の減価償却額は299,999円(300,000円-1円)となります。定率法の減価償却費の計算例一方、定率法による減価償却費は「未償却残高×定率法の償却率」で求められます。ただし、この算式で計算した減価償却費が償却保証額を下回る年からは「改定取得価額×改定償却率」で計算します。取得価額300万円、法定耐用年数10年(償却率0.200、改定償却率0.250、保証率0.06552)のケースについて、各年で計上する減価償却費をまとめました。国税庁 No.2106 定額法と定率法による減価償却を参考に筆者計算上記のケースでは、7年目に調整前償却費が償却保証額を下回るため、7年目以降は「改定取得価額×改定償却率」で減価償却費を計算します。減価償却の会計処理方法減価償却費の計算方法について確認しましたが、どのように会計処理を行うかも気になるのではないでしょうか。ここでは、減価償却の会計処理方法について説明します。直接法と間接法有形固定資産の減価償却の会計処理(仕訳)方法には、「直接法」と「間接法」の2つがあります。直接法:固定資産から減価償却費を直接差し引いて仕訳を行う方法間接法:固定資産から減価償却費を直接差し引かず、減価償却累計額を用いて仕訳を行う方法個人事業主や小さな会社は直接法、大企業は間接法を採用することが多いです。無形固定資産は直接法になり、間接法では仕訳できないのでご注意ください。直接法の仕訳例機械装置を300万円で購入し、減価償却費を50万円計上するケースについて確認しましょう。購入時の仕訳は以下のとおりです。減価償却費を計上するときは、直接法では以下のように仕訳します。貸借対照表には「機械装置250万円」と帳簿価額のみ記載されます。間接法の仕訳例間接法の場合、購入時の仕訳は直接法と同じですが、減価償却費を計上するときは以下のように仕訳します。貸借対照表には「機械装置300万円減価償却累計額▲50万円」と記載されます。直接法に比べると、間接法は記載される情報が多く、取得価額と費用化した金額の両方を把握できるのが特徴です。減価償却を行う4つのメリット減価償却には以下4つのメリットがあります。節税効果が期待できる経費を計上しても手元にお金が残る資産購入年度の業績への影響が少ない資産売却時に利益を得られる可能性があるそれぞれ詳しく確認していきましょう。[adsense_middle]節税効果が期待できる減価償却は、節税効果が長く続くのがメリットです。資産の取得価額を法定耐用年数にわたって毎年経費に計上できるので、法人税や所得税、住民税の節税につながります。たとえば、「翌期以降は利益が出て税負担が増加する」と予想される場合、今期中に減価償却資産を購入しておけば、翌年以降に経費を計上して節税できます。経費を計上しても手元にお金が残る減価償却費は、計上するときに現金の支出を伴わない経費です。資産を購入するときに支払いは終了しているので、経費を計上するときに支出は発生しません。適切な時期に資産を購入すれば、多くのお金を手元に残せます。資産購入年度の業績への影響が少ない減価償却は、業績への影響が少ないのもメリットのひとつです。大きな投資を行っても、減価償却資産は法定耐用年数にわたって少しずつ費用化されます。資金繰りには注意が必要ですが、利益が出ていれば、資産購入年度に大きな赤字になることはありません。資産売却時に利益を得られる可能性がある毎年減価償却を行うと、年数が経過するほど帳簿価額は下がります。減価償却資産を売却するときは、帳簿価額と売却価額の差額が会計上の利益になるので、売却時に利益を得られる可能性があります。本業の利益が少ない場合、状況によっては、保有資産を売却することで利益を確保できるかもしれません。減価償却の4つのデメリット・注意点減価償却は先ほど紹介したメリットがある一方で、以下のようなデメリット・注意点もあります。会計処理や資産管理に手間がかかる資産購入年度の節税効果は期待できない利益の減少要因となる資産売却時に税負担が増える可能性があるそれぞれ詳しく説明します。会計処理や資産管理に手間がかかる減価償却は、会計処理や資産管理に手間がかかるのがデメリットです。少額の消耗品であれば、購入時に全額経費に計上するだけで会計処理は終了します。しかし、減価償却資産は法定耐用年数にわたって減価償却しなくてはなりません。固定資産台帳を作成して未償却残高などを管理する必要もあるので、保有資産が多くなるほど管理は大変になります。資産購入年度の節税効果は期待できない事業で予想よりも利益が出そうな場合、節税するために「経費を計上して利益(課税所得)を減らしたい」と考えるのではないでしょうか。しかし、減価償却は、資産の取得価額を法定耐用年数にわたって少しずつ費用化していくのが特徴です。購入したタイミングで全額を経費にできないため、購入年度の節税効果は期待できません。利益の減少要因となる減価償却によって資産の取得価額を毎年経費に計上すると、利益の減少要因となります。減価償却費は節税効果が期待できる一方で、業績にはマイナスの影響があります。取引先や金融機関との関係で、毎年一定の利益を確保しなくてはならない場合はデメリットになるでしょう。資産売却時に税負担が増える可能性がある減価償却のメリットのところで、減価償却資産は年数が経過するほど帳簿価格が下がるので、売却時に利益を得られると説明しました。しかし、資産売却で利益が出ると、課税所得も増えてしまいます。減価償却資産を売却する場合、タイミングによっては税負担が増える可能性があるので注意が必要です。減価償却のメリット・デメリットに関するまとめ今回は、減価償却の4つのメリットや基礎知識、注意点について説明しました。減価償却は利益や税金と大きく関わってくるため、会社経営や個人事業を行うなら必須の知識です。会計処理や税金計算は、スタッフや税理士に任せても問題ありません。しかし、安定的に事業を行うためにも、減価償却のメリットや注意点については理解を深めておきましょう。
2020年08月08日8月から、「インデックス保険」という新しい仕組みの保険が登場。インデックス保険とは、あらかじめ保険金が出る指標(インデックス)を決めておいて、その状況になったらすぐに保険金が支払われる保険だ。そんなインデックス保険について、経済ジャーナリストの荻原博子が解説してくれたーー。■地震から最短3日で保険金ゲット日本第1号は、東京海上日動の「震度連動型地震諸費用保険(地震に備えるEQuick保険)」。気象庁が発表する震度情報を指標とする地震保険です。実際に大地震が起こったら、保険会社は震度6弱以上の地域の契約者にメールを送信。契約者は住所や振込口座を確認し返信すれば、最短3日で保険金を受け取れます。たとえばプレミアムプランだと、保険料は年9,600円です。地震が起きて受け取れる保険金は、震度7で50万円、震度6強で20万円、震度6弱で10万円。ほかにスタンダードやエコノミーのプランも。この保険はとても合理的だと思います。まず、指標が震度なので、保険金が出るかどうかが一目瞭然。住む地域に関係なく保険料も一律で、シンプルでわかりやすいです。次に、保険会社が被害状況を調査しないので、保険金の支払いが早い。被災直後に助かるでしょう。さらに、加入はインターネットで被害調査もしませんから、保険会社の経費がかなり抑えられています。その分、保険料も安く設定しているのだと思います。「女性自身」2020年8月11日 掲載
2020年07月31日家財保険と火災保険は同じものでもあり、別のものでもあります。「火災や風水害での損害を補填する」という点においては同じです。しかし、完全に一致するものではありません。今回は火災保険の一部である家財保険の基礎知識と、加入時に注意すべきポイントについて解説します。火災保険と家財保険の違い家財保険は火災保険の一種火災保険の中で、家財のみを補償対象とするものを「家財保険」と呼ぶ場合があります。しかし、「家財保険」という保険商品があるわけではありません。住宅用の火災保険の補償対象は「建物」と「家財」に分かれています。つまり、家財保険は火災保険の一種なのです。家財とは、建物の中にある家具や家電などの動産のことをいいます。住宅用火災保険では建物のみを補償対象にすることも、家財のみを対象にすることも、両方を対象にすることもできます。建物と家財の具体的な補償対象は?「建物」は家屋などの建物本体と付属する物置、車庫、塀などの動かせないものが該当します。「家財」は家具、家電、衣類、カーテンなどが対象になります。ただし、建物と家財の区別は保険会社によって微妙なものもあります。一般的には以下のとおりです。意外にも、建物の範囲は広いのです。家財保険の必要性とおすすめする理由住宅ローンを組んでマイホームを購入するとき、多くの場合は金融機関から火災保険の提案を受けます。その際、「建物のみ」の補償プランを提示されることが多いので注意が必要です。たいていの人は、住宅購入は一生に一度のことなので、火災保険のことはよくわからないはずです。そのまま加入して、建物が全焼してしまった場合、建物は建て替えることができます。けれども、家財道具一式はゼロからそろえなくてはなりません。家財の補償がなければ、テレビや冷蔵庫や洗濯機や家具などをすべて自腹で賄わなくてはならないのです。自己資金に余裕のある人にとっては、建物の建て替えに比べて、かかるお金の少ない家財の保険は必要ではないかもしれません。しかし、ほとんどの人はそんな余裕はないはずです。余裕のない人にとっては家財の保険は必要だということになります。さらに、昨今は大規模な自然災害が増えています。想定外の被害も多く、火災保険は必須です。建物だけでなく、家財の損害にもしっかり備えておきましょう。家財保険を検討する際に知っておきたい注意ポイント[adsense_middle]アパートや賃貸マンションなどの借家の場合賃貸借の対象物件においては、建物本体の火災保険は大家さんが加入しますが、建物内部にある家財の火災保険(家財保険)は居住者が加入する必要があります。賃貸住宅用の家財保険の基本的な補償借家人賠償は必須の補償賃貸住宅の賃借人用の火災保険は、上記のように家財の補償をメインに、賠償責任をオプションにしたセットになっています。賠償責任のうち、借家人賠償はオプションとはいえ、必須の補償です。賃借人には退去の際に対象物件の「原状回復義務」というものがあります。「原状回復」とは、借りる前の状態に戻すということです。自分の部屋から家事を出してしまった場合、「原状回復義務」を果たすことができない「債務不履行」の状態に陥ります。この「債務不履行」に対する損害賠償義務を負うために借家人賠償があります。個人賠償責任は重複加入に注意マンションなどの共同住宅の場合、火災より多いのが漏水です。自分の部屋からの水漏れで、下の階の部屋を濡らしてしまった場合などの損害賠償のために個人賠償責任の補償があります。個人賠償責任は、自動車保険などに付帯されている場合はそちらでカバーされます。1契約で同一生計の家族全員が補償対象になります。重複加入にならないように既加入の損害保険をチェックしましょう。また、借家人賠償、個人賠償責任ともに加入する商品に示談サービスが付いているほうがいいです。地震保険は家財の補償も忘れずに日本では、阪神淡路大震災、東日本大震災などの大地震が起きてから地震保険の加入率が一気に上がりました。通常の火災保険では地震による損害は補償されません。例えば、地震によって発生した火災は地震保険に加入していないと補償されないのです。地震保険は単独では加入できず、火災保険に付加します。過去の震災では家財の損害も甚大でした。よって、地震保険は建物だけでなく家財の補償も必要といえます。地震保険においては建物と家財で災害の認定要件や、保険金の支払い方法が異なります。どちらかというと家財のほうが支払われやすいと言われています。通常の家財保険では補償対象にならないもの家財の補償対象は建物以外全部というわけではありません。通常の火災保険の契約では補償対象にならないものは以下のとおりです。所定額以上に高価な貴金属、書画、骨董など設計書、帳簿、証書など自動車通貨、有価証券、預金証書、印紙、切手など商品、営業用什器、備品などテープ、カード、ディスク、ドラムなどのコンピュータ用の記録媒体に記録されているプログラム、データなど所定額以上に高価な宝石、書画などは「明記物件」として保険会社に申告しておかないと、補償の対象に含めることができなくなります。現金や有価証券は盗難の補償が付いていれば補償の対象になりますが、火災などでは対象外となります。2014年の関東地方の大雪災害では、カーポートが潰れて自動車の車両にも損害が多く発生しました。こうした場合、カーポートは補償されますが、自動車は火災保険では補償されません。車両の損害は自動車保険の車両保険からの補償になります。家財の保険金額の決め方家財の保険金額の決め方は、世帯主の年齢・家族構成によりおおよその目安があります。以下はある保険会社のデータです。家財の保険料の決まり方家財に限らず、火災保険の保険料は建物の構造級別、保険対象の所在地、建築年月、保険金額、補償内容、保険期間、保険料払込方法によって決まります。建物の構造級別は以下のように分類されます。保険料はM構造が最も安く、H構造が最も高くなります。家財保険と火災保険の違いのまとめ火災保険とは、火災や風水害での損害を補填する損害保険です。家財保険は火災保険の中で、家具や家電などの家財の損害を補償するものです。火災保険の中に家財保険は含まれています。家財の補償対象は基本的に建物以外の動産です。火災保険に加入する際は、建物の補償だけでなく、家財の補償も検討するようにしましょう。
2020年07月07日家計の見直しをするには固定費の削減が効果的ですが、その中の一つとして保険の見直しをされることもあると思います。見直しと言っても単純に保険を解約したり、保険料を安くしたりするだけではなく、優先順位を決めた上で必要な保障を確保して、不必要な保障を削減することも必要です。 今回は保険の見直しについて基本的な考え方と状況別の対応方法をお伝えいたします。 保険の見直しの基本的な考え方シンプルに考え方をお伝えすると、 保険の見直しとは、1. 必要な保険は継続して、2. 不要な保険や重複している保険は解約や減額、3. 不足している保険は追加を検討し、4. 同様の機能の保険であれば、保険料が安いものがないか比較することです。インターネット等で情報の比較・検討が得意な方はご自身でも見直しができると思いますが、不得意な方はファイナンシャルプランナーや複数の保険を取り扱う保険代理店・保険ショップに相談することも検討されると良いでしょう。 子どもが生まれた場合の見直しについて子どもが生まれた場合に必要な保険は主に以下の3つです。【1】生計の中心者(基本的にはご両親)の死亡や就労不能に備える掛け捨ての保険(収入保障保険、定期保険等) 【2】お子さんの進学費用を準備するための貯蓄性のある保険(学資保険・外貨建や変額型の養老保険等) 【3】お子さんの医療保険・がん保険・傷害保険 特に【1】はお子さんが社会人になるまでの年齢までは確保することをおすすめします。子どもが生まれたときには最も必要な保険と考えましょう。そのため、解約や減額を検討する場合には、住宅ローンでの団体信用生命保険に加入する場合以外の理由においては最後に手を付ける保険としてください。 【2】は、貯金代わりの側面もありますので、保険料の支払いが当分の間難しい場合には、解約や(解約はせずに、今後の保険料の支払いを止め、保険金の小さな保険にすること)、減額(今後の保険料と保険金を小さくする)を検討しましょう。しかし、将来の進学費用はその後貯める必要がある点は合わせて覚えておきましょう。 【3】については、乳幼児医療費助成等の制度で多くの部分がカバーできるので、必要であれば、掛け捨ての共済や少額の保険の加入に留めておくことが基本的な考え方です。 保険料の支払いが難しい場合の見直しについて新型コロナウイルスの影響だけではありませんが、しばらくの間収入の見込みが難しく、保険料の支払いが難しい場合でも、必要最低限の保険はできる範囲で確保しましょう。 例えば、上記【1】の収入保障保険、定期保険等や自動車保険・火災保険は、可能性は高くないものの、事故などが発生した場合には1000万円単位のお金が必要な状況になりますので、継続できないか検討しましょう。 逆に貯蓄性の高い保険は解約・払済・減額と合わせて、契約者貸付(今までの積立額をベースに貸付が受けられます)や保険料支払猶予(保険料の支払いを一定期間待ってもらえます)ができないか、保険会社や代理店の担当者またはカスタマーセンター等に確認することをおすすめします。 多くの保険会社では、新型コロナウイルス対策で、契約者貸付の利息を0にしたり、保険料の支払猶予の期間を延長したりしていますので、必要に応じて利用しましょう。 その他の見直しのポイント上記以外の保険の見直しについての主なポイントを5点お伝えしますので、参考にしてみてください。 ポイント12017年以前に加入した収入保障保険、定期保険等の有効期間のある死亡保険は、年齢や健康状態によって条件が異なりますが、2018年の保険料の値下げにより、加入をしなおすと安くなる可能性があります。 ポイント22016年以前に加入した学資保険や個人年金、終身保険などの貯蓄性のある保険は、現在より予定利率が高いため、継続できる場合には、解約はせず継続することをお勧めします。 ポイント3医療保険、がん保険は種類が多いため、保険料だけでなく、どのような時に保険金がいくら支払われるかを含めて比較しましょう。 ポイント4保険会社によって、得意な保険、不得意な保険があることが少なくありません。保険の種類ごとに、異なる保険会社の保険を組み合わせることも検討しましょう。 ポイント5火災保険は火災だけでなく、自然災害や汚破損等でも保険金が支払われるプランもあります。洪水や浸水の可能性がない建物に水災が補償されるプランは対象外にすることによって、保険料を下げることが可能な場合があります。 こちらでお伝えしたことがすべてではありませんが、保険を見直す主なポイントを挙げました。保険の見直しだけではありませんが、固定費の削減をすることで家計によって長期間プラスになる可能性がありますので、できることから始めるきっかけにしていただければと思います。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2020年07月02日生命保険料の適正額が分からずに悩んでいる人は多いのではないでしょうか?「日本人は保険好き」と言われることもあるように、中には不必要な保険にまで入り、毎月の料金が高額な人もいます。そこでこの記事では、生命保険料の決め方が分からない人向けに、データ別に見た生命保険料の平均額や、保険料の適正額を決める方法をお伝えします。全体で見る生命保険料の月額平均は約3万2千円公益財団法人生命保険文化センターが公開している「生命保険に関する全国実態調査」(平成30年12月発行)によると、全世帯の平均年間払込保険料は38.2万円。月額平均にすると約3.2万円です。また、平均年間支払保険料で最も多かったのは12〜24万円でした(16%)。月額平均にすると、1~2万円です。また、最も保険料の高かった年間平均84万円以上の世帯(月額7万円以上)は、全体の5.8%でした。保険料は年齢とともに上がるが、60代以降には下がるどのデータを見ても共通して言えるのは、20代から50代にかけて保険料の平均額は上がるということです。しかし、60代以降には保険料の平均額は次第に下がっていきます。もちろん、保険料は世帯・年代・年収・就労形態などが要因で変化するものです。それぞれ詳しく解説します。世帯別に見る生命保険料の月額平均は?夫婦のみの世帯(40歳未満とそれ以上)・乳児~就学修了する末子がいる世帯・高齢夫婦(有職と無職)の世帯の年間平均は約36.4万円。月額にすると約3万円です。世帯別に見ると、末子が高校・短大・大学生のときに最も保険料が高いことが分かります。年間平均は46.2万円で、月額にすると3.9万円です。以下の図表を参考にしながら、それぞれの世帯ごとの生命保険料の平均額を見てみましょう。夫婦のみ・子どもがいる場合の月額平均保険料夫婦のみの世帯の場合は、40歳未満で年間平均払込保険料は24.3万円(月額約2万円)と最も低い金額です。一方で40歳以上の場合は37.3万円(月額約3.1万円)で、世帯別に見る平均よりは低い数値です。一方で、末子が乳児~就学修了までは、末子が乳児の場合は34.5万円(月額約2.9万円)であり、最も保険料が高額な時期は高校・短大・大学生のときです。子どもの有無で備えるべきリスクが異なる子どもの有無によって、備えるべきリスクは異なります。子どもがいる世帯は、世帯主が亡くなったときなどに備えて、残された配偶者と子どもの生活を保障したいと考える人が多い一方で、子どもがいない世帯にそのような補償は不要です。そのため、夫婦のみ(40歳未満)の年間平均払込保険料が最も少なくなります。また、末子が高校・短大・大学生のときに最も教育費がかかるため、備える補償額も一番大きくなります。高齢夫婦の場合の月額平均保険料高齢夫婦(60歳以上)の場合は、仕事の有無で変わってきます。仕事がある高齢夫婦世帯の年間平均払込保険料は32万円(月額約2.7万円)であり、仕事がない世帯は25.6万円(月額約2.1万円)です。仕事がある場合は、ない場合と比べて収入に余裕があるため、保険料の支出も大きくなると解釈できます。高齢夫婦には今までのストックがあるケースが多い高齢夫婦の場合は、今まで貯蓄型の保険に加入してきているケースもあります。その場合は、いざというときの備えがすでに完成しているため、60歳以降に大きな保険料を支払う必要はありません。大きなリスクに対する準備は整っているため、夫婦のみ(40歳以上)の世帯などよりも保険料は少なめです。保険料の平均は子どもが大きくなるにつれて上がる年間平均払込保険料は、子どもが大きくなるにつれて大きくなります。その理由は、進学するにつれて必要な教育費が上がっていく傾向があるためです。そのため、子どもの就学期間が過ぎた後は保険料の負担は減ります。また、夫婦が定年に近づくにつれて、老後の資金を備えたり、すでに貯蓄型の保険でリスクに対する備えができていたりするため、必要な保険料はさらに減るのです。年代別で見る生命保険料の月額平均は?「生命保険に関する全国実態調査」を参考に、29歳以下の人から90歳以上の人までの年間平均払込保険料を見てみましょう。[adsense_middle]29歳以下の月額平均保険料29歳以下の人の年間平均払込保険料は23.3万円(月額約1.9万円)です。全体平均の38.2万円(月額約3.2万円)と比べると、大きく下回ります。20代は30代以降と比べて家庭を持つ人の割合が少ない分、備えるべきリスクは少なめであるため、全体平均よりも保険料が低いと考えられます。30代の月額平均保険料30~34歳の年間平均払込保険料は29.8万円(月額約2.5万円)であり、35~39歳は38万円(月額約3.2万円)でした。30代後半になると、前半のころと比べて大きく保険料の平均が上がっています。その理由は、夫婦間で子どもが生まれたり住宅ローンを組んだりして生命保険に入る人や、世帯主に何かあったときに備えて医療保険に入る人がいるからです。40代の月額平均保険料40~44歳の年間平均払込保険料は34.5万円(月額約2.9万円)であり、45~49歳は42.7万円(月額約3.6万円)でした。40代は子どもが高校・大学生になる歳であるため、30代より1人あたりの教育費が高くなる厚生労働省の資料「人口動態統計」の資料によると、30~34歳で出産する人が増加しています。もし30歳で出産すれば、子どもが高校・大学生になるのは親が48~50歳になったころです。最も教育費がかかるのも高校・大学生であるため、40代後半は保険料が30代のころより高くなり、さらに全体平均38.2万円(月額約3.2万円)よりも大きくなっています。50代の月額平均保険料50~54歳の年間平均払込保険料は48.3万円(月額約4万円)であり、55~59歳は45.3万円(月額約3.8万円)です。年代別で平均保険料を見たとき、50~54歳の人が最も高くなります。その理由は、40代のケースと同じく子どもの教育費・進学費に備える人や、年齢を心配してがん保険の加入や医療保険を厚くしたりする人が出てくるためです。60代以降の月額平均保険料60~64歳の年間平均払込保険料は44.5万円(月額約3.7万円)であり、65~69歳は32.1万円(月額約2.7万円)です。70代以降は、全体平均の38.2万円(月額約3.2万円)を下回っています。65歳以降から平均保険料が下がっているのは、定年退職して現役時よりも保険料の支出が困難になったことと、今までの貯蓄があることが理由です。年代が異なるだけで平均保険料に2倍近くの差がある年代別で生命保険の年間平均払込保険料を見ると、50~54歳の人が最も多く、48.3万円(月額約4万円)でした。次いで55~59歳の45.3万円(月額約3.8万円)、60~64歳の43.9万円(月額3.7万円)です。一方で、最も少ないのは90歳以上の23.6万円(月額約2万)、次いで29歳以下の23.3万円(月額約1.9万円)です。最も多い額と少ない額で2倍近くの差があることが分かります。平均保険料に差が出る理由は、年代ごとに備えるべきリスクが異なるため年代ごとに備えるリスクは異なります。そのため、年間平均払込保険料には年代により差が生じるのです。例えば保険料が高めな50代は、子どもの教育費だけではなく、自身の健康に対するリスクに備えるための保険に加入します。一方で保険料が低めな29歳以下は、ほかの年代と比べて家庭を持っている人は少ないため、備えるべきリスクは少なめです。このように年代による特徴は、支払保険料に影響します。年収で見る生命保険料の月額平均は?次は年収による生命保険料の平均額です。平均年間支払保険料が最も少ないのは、年収200万円未満の人で21万円(月額約1.8万円)でした。一方で、最も多いのは年収1,000万円の人で、61万円(月額約6.1万円)です。年収が上がるにつれて、保険料も上がる図表と見ると、年収が上がるにつれて、平均年間支払保険料も上がっていることがわかります。最も少ない年収200万円未満の人の保険料と、最も多い年収1,000万円未満の人の保険料の差は約3倍です。年収に占める保険料の割合は、年収の低い人の方が高い下の図表を見ると、年収に占める保険料の割合は、年収200万円未満の人が最も高めです。年収200万円未満の人は、年収の12%を保険料に充てています。例えば年収180万円の人なら、年間21.6万円(月額約1.9万円)です。年収の低い人ほどリスクヘッジが必要その理由は、年収の低い人ほどリスクヘッジが必要であるからです。保険とは、貯蓄だけで対応することが困難な事態に備える手段です。例えば病気で入院して高額な医療費が必要になった場合、年収の高い人なら貯蓄で対応できますが、年収の低い人は困難である可能性があります。このように、いざというときに対応するために、年収の低い人はリスクに備えておく必要があるのです。就労形態で見る生命保険料の月額平均は?続いては就労形態による生命保険料の月額平均です。下の図表では、保険加入者が以下の3パターンに分けられており、それぞれの平均年間支払保険料は次のとおりです。夫就労・妻無職35.9万円(月額約3万円)共働き(妻はパート・派遣)37.5万円(月額約3.2万円)共働き(妻はフルタイム)55.8万円(月額約4.7万円)収入が多い共働き世帯の保険料が最も高いこの中で最も平均保険料が高いパターンは、共働き(妻はフルタイム)です。収入が上がるほど支出できる保険料も上がります。一方で、夫就労・妻無職のパターンは最も平均保険料が低くなっていますが、年収に占める保険料の割合は最も高いと考えられます。その理由は、共働き世帯に比べて貯蓄が少ない分、いざというときのリスクを保険で備える必要があるためです。年齢ごとに見ると50代共働き世帯の保険料がピーク30代から60代までを比較すると、30代から50代にかけて平均保険料は上がり、60代になると下がることが分かります。夫が正社員ではない場合の保険料は?夫が自営業やフリーランスなどの会社員ではない場合、年収の低い人の保険料は平均より少なく、年収に占める割合は高いと考えられます。また、年齢によって保険料も上がるため、30代から50代にかけて年間平均支払保険料は上がり、60代には下がるでしょう。子どもがおらず夫婦だけの2人世帯の場合は、最低限の保険だけのほうが合理的であるため、全体平均よりも保険料は下がります。保険料の適性額を決めるポイント2つここまで保険料の平均額をさまざまな視点で見てきました。平均額を参考に、保険料の適性額の決め方をお伝えします。適性額を決めるときは、以下のことを意識しましょう。どんなリスクに備えたいかいざというときにどれほどの保険金を受け取りたいかそれぞれ説明します。[adsense_middle]ポイント①備えるべきリスクを明確にする保険料の適正額を決める1つ目のポイントは、自分がどんなリスクに備えたいかを明確にしておくことです。何をリスクと捉えるかは年代や収入、本人の価値観などによって異なります。例えば、自分がケガ・入院・死亡などしたとき、誰がどのように困るのかを考えることがオススメです。具体例を用いて説明します。事例1以下のような事例を検討します。家族構成:夫(会社員、月収30万円)、妻(自営業、月収15万円)毎月の生活費:25万円貯金:180万円ある日、夫が病気になって入院し、しばらく自宅療養することになりました。入院・手術の医療費は高額療養費制度で負担を軽減。加えて、働けない間は傷病手当金で、夫の収入の約2/3(約23万円)を受け取ります。このとき考えられるリスクと、リスクに備える方法を検討してみましょう。考えられるリスクについてこの事例を見ると、貯金や生活費を切り詰めれば生活していくことは可能であるように感じます。しかし、もしこの夫婦が住宅購入のために毎月一定額を貯金していた場合は、将来設計に支障が出るでしょう。もしくは、夫の看病のために妻が仕事をする時間を減らした場合は、生活に支障がでる可能性もあります。そのため、考えられるリスクは生活費と将来への備えが不足することです。リスクにどう備えるかこの事例でリスク回避するための保険の例を紹介します。医療保険就業不能保険医療保険は入院日数に応じた給付金や、手術を受けた場合に一時金がもらえます。就業不能保険は働けなくなったときに保険金を受け取れます。しかし保険が必要なのは、この事例をリスクと捉える人のみです。もし多くの貯金があったり、生活費が少ない人にとっては、この事例をリスクと判断しないでしょう。その場合、保険は不必要です。事例2次に、以下のような事例を検討します。家族構成:夫(会社員、月収35万円)、妻(パート、月収10万円)、子ども(1歳半)毎月の生活費:35万円貯金:475万円ある日、夫が事故で亡くなったとします。このときに考えられるリスクと、リスクに備える方法を検討してみましょう。考えられるリスクについて夫が事故で亡くなれば、主な収入がなくなるため、家計が厳しくなります。子どもはまだ1歳半であり、就学修了まで教育費・進学費が必要になるでしょう。そのため、生活費・教育費などの不足がリスクとなってきます。一方で、もし住宅ローンなどを組んでいて団体信用生命保険などに加入していれば、ローンの返済義務はなくなります。そのため、住宅ローンはリスクにはなりません。リスクにどう備えるかこの事例でリスク回避するための保険の例を紹介します。定期保険収入保障保険いずれも、保険金を受け取るのは家族が死亡ないしは高度障害になったときです。定期保険の場合は保険金給付が毎月一定額で、収入保障保険の場合は何千万円といった額の保険金を一括で受け取ります。もしも、夫婦のいずれかの親族が裕福であり、夫が亡くなった後に定期的な支援が期待できる場合などは、保険の加入でリスクに備える必要はありません。リスクを明確にする目的は、人によってリスクの許容度が異なるため人によってリスクの許容度は異なります。例えば世帯主が病気・ケガなどしても、十分な貯蓄があれば生活費が不足することもありません。一方で、貯蓄が少ない人は、生活費をカバーする目的で保険に入る必要があります。このように、人によってリスクの許容度には差があるため、何をリスクと感じるのかを明確にしなくてはなりません。ポイント②いざというときに必要な保険金額を決める保険料の適正額を決める2つ目のポイントは、いざというときに受け取りたい保険金を決めておくことです。先ほどの事例をもとに必要な保険料を考えてみましょう。事例1事例1では、夫が病気になって入院した世帯を例に取り上げました。入院時に保険で受け取れる入院給付金は1万円、1.5万円などと選択できます。貯金が十分ではなく、夫に何かあったときの生活費が不安だという方は、給付金額を多めに設定しましょう。事例2事例2では、夫が事故で亡くなった世帯を例に取り上げました。夫が亡くなった場合の支出と収入を考えてみます。収入額だけで支出額がカバーできなくなった分を、生命保険金で補う形にすれば、毎月の保険料が自ずと決まります。いざというときの収支バランスを考え、不足分を保険金で補おう必要な保険金を決めるときは、いざというときの支出に対して、いくら収入が不足しているかを考えましょう。収支バランスを考えて、補うべき不足分を保険金でカバーすればよいのです。あとはその保険金を受け取るために、いくら保険料を払えばよいのかを明確にします。保険料の総額が家計を圧迫しないよう注意!保険料の適正額を決めるときは、保険料の総額が家庭を圧迫しないように注意しましょう。あくまでも保険は、リスクを回避するために入るもの。保険料のために家計が圧迫されては本末転倒です。そのようなことがないように、注意する必要があります。年間の保険料が家庭にとって負担ではないかどうか年間の保険料総額が家庭の負担にならないようにします。保険料を払いすぎていないかどうか確認するには、自身の年齢・年収などの平均を参考にするとよいでしょう。毎月の掛け金の設定に無理はないかどうか年間総額だけではなく、毎月の掛け金が大きすぎないかどうかも意識しましょう。生命保険料の平均と保険料の適正額に関するまとめ生命保険料の月額平均額は約3万2千円です。しかし保険料の額は世帯・年代・年収・就労形態によって変わるので、あくまで参考程度と捉えましょう。適正額を決めるためには、自分にとってのリスクを明確にしたり、いざというときに必要な金額を把握したりするなどのポイントがあります。ポイントを押さえて、自分に合った保険料を設定しましょう。
2020年07月01日こんにちは、婚活FP山本です。退職金といえば、サラリーマンにとっては数少ない大金を得られる機会といえます。しかしだからこそ、退職金にも税金がかかるのかどうかが気になる方も実に多いです。「退職金があるから老後も大丈夫」と考えている方も多いですから、ぜひ事前に実際のところを知っておきましょう。そこで今回は、退職金と税金の関係や計算方法、受け取り時の注意点についてお伝えします。あなたの人生に、お役立てくださいませ。退職金は税制上、税金の課税対象になる収入!まずは早速、退職金と税金の関係についてお伝えします。結論からいえば、残念ながら退職金も税制上、税金の課税対象になる収入です。税金がかかると知るだけで残念に思う方も多いかもしれませんが、そういうルールですから、しっかり税金が必要なら納めましょう。ただ、退職金というのは国から見ても「長年の勤労に対する報償的給与」と捉えているため、多額の税金を課すのは不適当とみなしています。だからこそ、多額の税金がかからないように複数の対策が講じられているのが実情です。とはいえ、税金が発生するのは変わりません。可能であれば、少しでも事前に何らかの対策を取っておいたほうが安心です。まずは、このような基本について、しっかり知っておきましょう。税率表をもとに、事前にシミュレーションしておこう退職金にかかる税金とは、所得税と住民税です。そして、令和元年分の所得税の税率表は以下のようになっています。一度この税率表をもとに、事前に税金額や退職金の受取額などをシミュレーション計算しておくと、心の準備に繋がるのでおすすめです。※計算方法はA×B-Cちなみに退職所得はほかの所得と分離して課税されますから、それだけ税額も割安になり、税金計算も簡単といえます。計算が苦手な方も、ちょっとだけ励んでみましょう。退職金の税金計算の方法は少し特殊!次は、具体的な退職金の税金計算の方法についてお伝えします。退職金の税金計算においては、最初に以下の公式で「退職所得控除額」を計算することが必要です。なお、1年未満の勤続年数の端数は、たとえ1日でも1年に切り上げて計算します。また障害者になったことで退職した場合は、上記の計算結果に100万円を加えた金額が退職所得控除額です。そして、控除しきれなかった残額の「半分」が、課税退職所得金額になります。ほかの所得とは分離して計算でき、大きな所得控除が使え、しかも課税する場合も半分だけ……これが退職金の税制です。実際には、税金がかからないというケースも多いといえます。あとは先ほどの税率表をもとに、実際の税額と受取額を計算してみましょう。勤続年数が長いほどに所得控除が増えて課税対象額は小さくなる先ほどの表を見ると分かるとおり、退職金は勤続年数が長いほどに所得控除が増えて課税対象額は小さくなります。また勤続年数が20年を超えると、さらに所得控除額が増額される設計です。これは、定年までの終身雇用が当然の、一昔前の常識がもとになっています。だからこそ、今後この退職金に関する税制は見直される可能性が高いです。とはいえ、見直されるまではこのようなルールのままですから、しっかり覚えておきましょう。退職金を「年金形式」で受け取ると損になりがちここからは、退職金の受け取りに関する注意点をお伝えします。まずは、退職金を「年金形式で」受け取る場合です。最近では大手企業を中心に、退職金を年金形式で受け取れる会社が増えています。そして年金形式のほうが、総額が増えることが多いので一見するとお得です。しかし年金形式で受け取る場合は、先ほどお伝えした「退職所得控除」が使えなくなります。代わりに「公的年金等控除」が使えるものの、退職年金の金額によっては控除しきれないのが実情です。厚生年金と重なるころには、税金が増えてしまうこともあります。このため、退職金を年金形式で受け取ると損になりがちです。選べる場合は、できれば退職金は一時金で受け取り、その後は自分で何らかの運用をしていきましょう。所得税や住民税だけでなく、社会保険料も……退職年金と厚生年金が重なってしまうと、所得税や住民税などの税金だけでなく、社会保険料も上がってしまう可能性があります。「総額が増える」というのは確かに魅力的に映る人もいるでしょうが、税金なども含めて考えれば損になる可能性がある点には注意が必要です。一方で、急に大金が入ってきたことで気が大きくなり、「使ってしまうリスク」が上がる点には注意が必要といえます。自己管理には気を付けて、退職金を有効活用していきましょう。退職金を受け取る前に特別な申告書を提出しよう今度は、退職金に関係する書類についてお伝えします。これは必ず必要というものではありませんが、できれば事前に提出しておきたいのが「退職所得の受給に関する申告書」です。これを会社に提出しておけば、税金のことは源泉徴収で終了し、確定申告が不要になります。この申告書を提出していない場合は、退職金の額面金額から一律に20.42%もの所得税(と復興特別所得税)が源泉徴収されますから、後が大変です。正確な税金額で清算するために確定申告が必要になりますから、できれば退職金を受け取る前に申告書を提出しましょう。なお、良識のある会社なら事前に指導や指示があるでしょうが、そのような会社ばかりではありません。自分の身を守るためにも、自分でもしっかり知っておきましょう。最終的な税率は同じだが源泉徴収のほうがラク!退職所得の受給に関する申告書を提出してもしなくても、最終的な税率や税額は変わりません。しかし一般的な会社員は、税金や確定申告に不慣れな方も多いといえます。そういう方なら、会社が代わりに税金額の計算や手続きをしてくれるほうが断然ラクなはずです。退職金を受け取るということは、文字どおり会社を退職することになります。ということは、ほかにもさまざまな手続きが必要です。できれば少しでも労力を減らせるよう対処していきましょう。死亡時に遺族が受け取る退職金は非課税?今度は、当人の死亡にともなって受け取る退職金についてです。勤め先によっては、本人が亡くなったときには残される遺族に死亡退職金が支払われることがあります。そしてこの死亡退職金には、通常の退職金で必要だった所得税などはかかりません。ただ、代わりに「相続税の課税対象」になります。ただし、「500万円×法定相続人の数」までは非課税となる扱いです。なお、生命保険も同様の非課税扱いがありますが、あくまで別枠となります。それぞれで、「500万円×法定相続人の数」までは非課税です。当人が亡くなったということは、以後の収入が不安定になる可能性が高いです。最大限に死亡退職金を活用して、その後の生活を安定させていきましょう。生命保険と合わせて死亡時対策をしておこう保険料や想像への抵抗感などから、「死亡時対策」をしていない方も意外に多いといえます。幸運にも死亡退職金がもらえたとしても、その後の生活には全然足りないということも多いです。独身者ならともかく既婚者、特に子供がいる夫婦は要注意といえます。死亡時対策の代表格は、先ほど触れた「生命保険(死亡保険)」です。亡くなってから焦っても手遅れですから、万が一のことが起こる前になるべく備えておきましょう。[adsense_middle]退職金だけでは「老後資金2000万円問題」を対処できない最後に、退職金に関係する大切な補足情報をお伝えします。結論からいえば、退職金だけでは「老後資金2000万円問題」を対処できないという点です。勤め先によっては2000万円程度の退職金がもらえることもありますが、それでも足りないことが多いといえます。というのも、この問題の2000万円というのは「最初の目標数字」であることが多く、実際には倍の4000万円程度が必要ということが多いです。2000万円もの退職金がもらえないことも多く、仮に定年後に再雇用されても収入は半減することも多いといえます。つまり、この老後資金問題は老後の直前になってから焦っても手遅れで、もっと前の段階から備えを続けることが必要です。理想としては「結婚直後の生活水準や子供の数を選べるころ」、もっといえば「結婚相手を選べる婚活中」から、未来を見据えて動きましょう。そもそも時代は終身雇用が崩壊中……そもそも時代は終身雇用が崩壊中です。「長年勤めあげる」ということが難しく、最近では大手企業でも40代でリストラされることもあります。このため、多くの場合で退職金をアテにした老後対策というのは、そもそも無理があるのが実情です。一方で、最近では年収の低い非正規労働の方も多く、新型コロナによって正社員でも雇用を失いやすくなっています。このため、老後対策がしにくいというのも確かな現実です。しかし、しなくてもよいとはなりません。できる限り、将来や老後に対して備えていきましょう。税金計算も大切だが、退職金の増額や別の対処法も考えよう退職金に対する税金計算は大切です。しかし一方で、退職金の増額や別の老後対策も重要になってきています。今は、ただ真面目に働いていれば生涯安泰が当たり前という時代ではありません。働くことさえ新型コロナで難しい方もいるでしょうが、ぜひこんなときこそ、未来を見据えた行動を取るよう心掛けていきましょう。
2020年06月18日「米国株にはどのような税金がどれくらいかかるのだろう」「株を買う前に米国株に関わる税金について知っておきたい」、今回はそのような方に向け、米国株を購入する際に知っておきたい米国株と税金について解説をしていきます。【予備知識】アメリカ株購入時に押さえておきたい、株の2種類の税金投資信託等の二重課税調整制度開始のご案内(日本証券業協会)実はこれまでは、確定申告をしても二重課税が解消されなかった投資信託(外国税額控除制度の対象外の投資信託)がいくつかありました。この制度ではそうした投資信託に関して、上記画像のとおり、外国での配当課税分を販売会社側が調整し、控除してくれるようになりました。どうしても少し固い言葉の説明になってしまい恐縮なのですが、簡単に言うと、「投資家は何もしないでも、課税を国内分(20.315%)のみに調整してくれる」制度です。外国税額控除制度の対象外だった投資信託:株式数比例配分方式以外の公募投資信託、ETF・J-REIT・JDRを指す。米国株の税金に関するまとめ今回は米国株の税金について解説をしてきました。だいぶ固い言葉が多く、読むのに力が入ったのではないかと思います。確かに二重課税は米国株投資のデメリットではありますが、今後徐々に改善方向へと進んでいくことが予想されます。その背景には、私は米国株投資家の増加があるのではないかと考えます。魅力の多い米国株への投資に向け、税金に関する知識をこの記事で学んでいただけたら幸いです。
2020年06月17日病気やケガが原因で介護が必要になった場合、真っ先に思い浮かべるのは「介護保険が使えるかどうか」ではないでしょうか。まさしくそのとおりで、「介護状態になったら介護保険」というイメージで合致しています。では、医療保険では全く介護のサポートができないのかというと、そうではありません。今回は、介護保険と医療保険のそれぞれの制度の概要と、どのような場合に、どちらの保険が適用されるのかを詳しく解説していきます。介護保険とは介護保険とは、40歳以上になると加入義務のある制度です。40歳から65歳までの第2号被保険者と、65歳以上の第1号被保険者に分けられます。要支援1または2、要支援1から5までの7段階に区別され、それぞれの支援や介護の度合いによって、被保険者の負担割合が違います。介護保険が適用された場合、認定された区分に応じた介護サービスを受けることができます。要支援・要介護のそれぞれの区分に応じて、支払限度額が設定されており、それを超えた分は全額を自己負担として支払う必要があります。介護保険の被保険者介護保険の被保険者(対象となる人)は2種類に分けられます。65歳以上:第1号被保険者40歳以上65歳未満:第2号被保険者介護保険の適用条件第1号被保険者と第2号被保険者で、介護保険の適用される条件が違います。介護状態になった理由を問わず、介護状態になった場合に適用されるのは、65歳以上の「第1号被保険者」です。一方、40歳から65歳までの第2号被保険者の場合、加齢が原因とされる16種類の特定疾病が原因で介護状態になった場合のみ、介護保険が適用されます。介護保険料の支払い介護保険料は、加入している健康保険に上乗せして納付します。40歳の誕生日を迎えると、当月分から介護保険料が上乗せされた金額を納付することになります。自営業者やアルバイトの方など、国民健康保険に加入している方は、納付書(または自動引き落とし)にて支払います。会社員や公務員など社会保険加入の方は、介護保険料の上乗せされた金額を給与天引きにて支払うので、未納がなく安心です。すでに退職後で年金受給者の方は、受給する年金から、あらかじめ介護保険料を差し引いた金額が2カ月に1度振り込まれます。これを「特別徴収」といいます。申請すると、特別徴収ではなく、それぞれ納付書で介護保険料を納める「普通徴収」に変更することもできますが、万が一の未納などの恐れを考えると、特別徴収のほうが利便性は高いといえます。医療保険とは医療保険(公的健康保険制度)とは、日本国民全員が加入する義務のある制度です。「国民皆保険」という言葉で表されることもあります。医療保険は「病気やケガに対して広く保障する」という役割があります。なお、医療保険はお勤めの形態によって2種類に分けられ、加入要件などが少々違います。医療保険の概要は違いますが、どちらの医療保険に加入していても、一般的には自己負担3割で医療を受けることができます。お子さんを対象として、お住まいの地域ごとに乳幼児助成制度があります。未就学児の医療費は全額無料になる地域もあります。または、1か月の医療費上限が1000円程度で済む制度を取り入れている自治体もあります。該当する子どもの年齢も、就学前までなのか、義務教育期間中なのか、行政によって規定はさまざまです。主に2つの健康保険制度自営業者やアルバイトの方などが加入するのは「国民健康保険」です。会社員や公務員などが加入するのは「社会保険」です。その中には協会けんぽや、企業独自の健康保険組合などがあります。いずれの場合でも、ひとりに1枚「健康保険証」が発行されます。医療機関でこの健康保険証を提示すれば、かかった治療費のうち、自己負担分の3割のみを清算すればよいという決まりになっています。もうひとつの健康保険制度として、後期高齢者医療制度という制度があります。75歳以上になった方は、どなたでもこちらの健康保険制度に移行することになります。75歳以前に加入していた健康保険制度に関わらず、一律「後期高齢者医療制度」の加入者ということになります。一般的な分類でいくと、自己負担割合は1割です。ただし、現役並み所得のある75歳以上の方は、3割負担です。介護保険と医療保険の関係ここまで、介護保険と医療保険のそれぞれの概要についてまとめました。介護と医療は密接な関係にあり、混同してしまいがちですが、相互に作用する部分もあれば、全く違う部分もあります。似通ったイメージのある2つの保険ですが、2つの関係について項目別に解説していきます。[adsense_middle]併用できる?介護保険と医療保険は、基本的には併用できません。どちらかのみを利用する決まりです。何らかの理由から介護状態になった場合、介護や支援の認定が受けられれば「介護保険」の適用となり、認定が受けられない場合は「医療保険」で可能な限り介護のサポートをすることになります。末期がんなどで、医療も介護も手助けが必要であると判断された場合は、一部例外的に2つを併用できる場合もあります。介護保険が優先介護や支援の認定を受けることができ、介護保険も医療保険もどちらでも受けられる状態となった場合、その2つが併用ができないのはおわかりいただけたと思います。この場合、優先されるのは「介護保険」です。介護や支援の認定を受けたということは、その区分に応じたサポートが必要であるということです。介護保険と医療保険のそれぞれの概要でも説明しましたが、医療はケガや病気の治癒と目的としていて、介護だけに特化しているわけではありません。つまり、介護や支援に認定を受けたのであれば、介護保険を使ったほうがよりよいサポートが受けられるということです。適用範囲の違い似ているようで違う部分も持ち合わせている2つの保険ですが、まず全く違うのは「適用範囲」です。根本的に、介護保険が適用されるのは「介護認定を受けてから」です。そもそも40歳以下の場合であるなど、介護認定を受けることができなければ、介護保険を使うことはできません。一方、医療保険は、国民健康保険または社会保険のいずれかの健康保険証を持っていれば、かかる医療機関にその保険証を提示することで、必要な医療を受けることができます。介護認定の有無は関係ありません。介護保険でできること介護保険は、介護だけのために使うことができます。病気やケガによって介護状態になった場合、行政から要支援や要介護の認定を受けます。その認定された区分の範囲内で、介護サービスを受けることができます(介護サービスについてはこの後詳しくまとめます)。ただし【介護保険の適用条件】でも書きましたが、40歳から65歳までの第2号被保険者では、16種類の特定疾病が原因で介護状態になった場合のみ、介護保険の適用を受けることができます。介護保険の第2号被保険者で、この16種類が原因ではなく介護状態になった場合や、脳疾患や交通事故などが原因で、40歳未満で介護状態になった場合は、介護保険の適用がありません。医療保険でできること医療保険は、保険証さえ提示すれば、誰でも医療機関を3割負担で利用することができます(後期高齢者制度や、市町村の乳幼児医療費助成などを除く)。介護保険と違って、何かしらの認定を受けなければ医療保険を使えない、ということもありません。なおかつ、医療保険は国民全員が加入義務のある制度なので、医療機関にかかる理由・原因を問わず、どなたでも必要な医療を全国の医療機関で平等に受けることができます。2つの違い介護保険は「介護認定を受けなければ使えない」医療保険は「保険証を提示すれば誰でも使うことができる」対象となる介護サービスの違い医療保険と介護保険が併用できないことはおわかりいただけたかと思います。では医療保険、介護保険、それぞれで受けられる介護サービスとは何があるのでしょうか。ここからは、医療保険、介護保険それぞれの概要をご紹介します。介護サービスの中でも、今回は主に、在宅のままで受ける訪問サービスについてまとめます。訪問サービスには「訪問看護」と「訪問介護」の2つがあります。これまでに解説したとおり、「看護(医療)」と「介護」は似ていますが実は全く違います。「訪問看護」とは在宅で医療行為を行うことで、「訪問介護」とは介護サービスを行うことです。[adsense_middle]医療保険における訪問サービス医療保険で訪問サービスを受けるには【医師が必要と認めた範囲内】という条件が付きます。医療保険の根本的な考え方は【必要な医療行為を受けること】ですので、それに則って行われることになります。医療保険による介護サービスの場合は、看護師や保健師などの看護に携わる専門職の方が行います。訪問看護の場合では、主に血圧や脈拍など健康状態の把握から始まり、点滴や注射など、医師の指示に基づいた処置が行われます。要支援・要介護認定を判断する役割も看護師や保健師など、看護の専門職の方が訪問看護を行うもう1つの役割は、医療保険ではなく介護保険に切り替えたほうがよいのではないか?という点を判断することです。簡単にいうと、看護職の方の訪問看護を通じて、要支援や要介護の認定をする際の判断基準となるということです。最初は医療保険上の訪問看護のみでよかった方でも、状態によっては後に支援や介護が必要となることも十分ありえます。その判断の1つとして、専門職の方による訪問看護は大切な役割を担っているということです。介護保険の訪問サービス介護保険における訪問サービスは、言語聴覚士や作業療法士、理学療法士などのリハビリを専門に行う専門職の方や、訪問介護専門のヘルパーさんなどが行います。ここで一番の注意点は、【介護では看護はできない】ということです。ヘルパーさんは医療行為はできません。訪問介護での在宅サービスの一例としては、入浴の介助や食事の手伝いなど、主に日常生活のサポートをすることがメインです。介護サービスの一環として、自宅のリフォーム費用も対象となる場合があります。介護のために必要とされるリフォームを実施した場合や、必要な介護用品のレンタルも認められる場合があります。これらのサービスを利用する前に、リフォーム業者や介護用品レンタルショップに、あらかじめ訊ねておくことをおすすめします。いずれも現金の給付はない介護保険と医療保険、どちらのサービスを受けることになっても、現金での給付はありません。介護は長期化する場合がほとんどです。そのリスクに備えて、民間の生命保険会社が販売している介護保険(介護特約)などで費用を準備しておくと安心です。民間の介護保険も、所定の介護認定を受けたら「一時金」として給付を受けられるものから、一定期間あるいは一生涯に渡って「年金形式」で介護年金を給付するものなど、いろいろな商品があります。公的な介護保険と併用することを前提に、介護費用の準備として検討してみるのもおすすめです。判断に迷うときは医療保険と介護保険、どちらをどのように利用したらよいのか、なかなかわかりづらい場合もあるかと思います。特に医療的な判断というのは、医療や介護に携わる方ではない限り判断に迷うのも当然です。適用されるのが医療保険か介護保険か、よくわからない場合には、お住まいの地域の医療や介護に関する相談窓口に尋ねてみましょう。また、かかりつけの医療機関がある場合は、医療機関内に相談窓口が併設されている場合もあります(大きい病院ではほとんどが相談窓口があります)。ご自身やご家族だけで抱え込むのではなく、早めに然るべき相談機関に相談し、先々の対策を取っていくようにすると安心できます。介護保険と医療保険・まとめ介護保険と医療保険は、一見すると似ている制度です。どちらも加入義務がありますが、介護保険は利用するのに一定の条件があり、医療保険は保険証さえあれば誰でも使うことができます。今回はこの2つの違いと、同時に併用できない場合がほとんどであるということを、少しでもご理解いただければ幸いです。似ている制度とはいえ「介護は介護」「医療は医療」それぞれ専門の役割があります。然るべき医療サービス、介護サービスを受けることができるよう、基礎知識だけは覚えておくときっと役に立つでしょう。
2020年06月16日今回のテーマは「介護保険」です。介護保険といっても、40歳以上になると加入義務のある、行政が主体の「介護保険」ではなく、生命保険会社が販売している民間の介護保険について、制度の内容から加入要件についてまとめていきます。本記事をご覧になっている方ご自身にすぐに直結する内容ではないかもしれませんが、親御様など身近な方のためにも知っておくと役に立つ内容です。民間介護保険の仕組み民間介護保険の仕組みは、公的介護保険制度とは違って、保険会社が定めた所定の介護状態になった場合に、保険金として現金が給付されます。公的介護保険制度では、現金給付ではなく介護サービスの提供がメインです。その大きな違いを把握しておくと、これから民間の介護保険について解説を進めるにあたって、整理がしやすくなります。参考・公的介護保険制度とは公的介護保険制度とは、40歳になったら必ず加入しなければならない制度です。保険料の徴収方法は、国民健康保険加入の方は、毎月の保険料に上乗せされて納付します。会社員などで社会保険加入の方は、毎月給与天引きで自動的に納付しています。要支援・要介護合わせて7段階に分けられており、それぞれの段階に応じた介護サービスの提供を行政から受けられることになっています。民間の介護保険の内容現在、国内の生命保険会社のほとんどで介護保険を販売しています(介護特約も含む)。昭和の時代ごろまでは、医療保険と死亡保険、せいぜいがん保険が販売されている程度でしたが、平成に入り、平均寿命も毎年伸びていることから「長寿化」へのリスク対策として「介護保険」が注目されるようになりました。もちろん加入している医療保険でも、補うことができる部分もあるでしょう。しかし、介護には介護の、より充実した保障内容があるほうが安心ですよね。現在販売されている商品の主な概要について、これからご紹介します。公的介護保険に連動している介護保険に加入している方が、その保険から給付を受ける場合に、ひとつの目安となるのが「公的介護保険の認定」です。たとえば、保険会社が独自で定めた介護状態にならなければ給付金がもらえないのでは、少々わかりにくさが残ります。一方、近年販売されている介護保険では、給付の対象が「公的介護保険における要介護2以上で給付金をお支払い」など、公的介護保険で一定の基準以上の認定を受ければ、給付金がもらえるというわかりやすい仕組みになっています。給付金が受けられる所定の要支援・要介護状態は、保険会社・保険商品によって基準が違いますので、ご加入の際にはあらかじめ調べておきましょう。要介護・要支援認定だけでなく、公的介護保険の介護サービスを利用したら給付金が支払われるタイプの介護保険もあります。一時金として給付される場合もある保険会社によっては、所定の要介護状態になった後、一生涯に渡って年金形式で一定の金額を支払う商品も販売されています。また、介護保険として別に加入していなくても、ベースは医療保険で、介護に関する特約を付加することで、一時金としてまとまった金額の給付金を受け取ることができる商品もあります。介護保険単体で加入するよりも、特約で付加する場合のほうが保険料が安い場合もあります。ぜひ見積もりを作成してみて、ご自身のニーズにより近いものへの加入を検討しましょう。介護保険の主な種類一般的な民間介護保険の商品の中には、大きく2種類があります。保険期間や保険料に、それぞれ正反対の特徴を持っています。介護に対する考え方や、必要としている保障内容によって使い分けをされるとよいでしょう。貯蓄型(終身)介護保障が一生涯続くタイプの介護保険は、終身型であることがほとんどです。終身型とは、一般的に貯蓄性が高いので、掛け捨ての定期型保険よりも保険料が割高です。しかし、終身型で貯蓄性の高い介護保険に加入するメリットとしては、「保障は一生涯」「保障に代えて年金としても受取可能」などがあります。特に「年金として受取可能」という点は、貯蓄型が人気であるポイントです。介護状態に該当しなくても、まとまった額の死亡保障として遺族へ遺すこともできます。さらに、ご本人の生前に、解約してまとまった資金として使うこともできます。貯蓄性の高い介護保険では、介護状態に該当しない場合の使い道もあり、より自在性に富んでいます。掛け捨て型(定期)一定期間の介護保障を目的とした定期タイプの介護保険は、いわゆる「掛け捨て」ですので保険料が安価で済みます。前述した「終身型」とは正反対の特徴を持つ掛け捨ての介護保険は、貯蓄性がほぼない、または少しだけ解約金が戻る性質を持っています。高い保障が欲しい場合でも、保険料が割安なので、使い方によっては非常に合理的です。預貯金やほかの生命保険商品で十分な備えをお持ちの方は、それらに掛け捨ての介護保障を上乗せをするイメージで加入を検討してもよいでしょう。民間介護保険の加入条件民間の介護保険に関しては、加入条件は特にほかの生命保険と変わりがありません。既往症がなく、加入時にありのままを告知し、保険会社所定の加入条件を満たしていれば、介護保険に加入できます。ただし、すでに介護状態である場合や、認知症であるなど、そもそも加入できない場合もあります。民間介護保険・加入のピーク公益財団法人・生命保険文化センターの取りまとめたデータによると、介護保険(特約も含む)の加入率は50代がピークだということです(平成30年度生命保険に関する全国実態調査・民保の特定の機能を持つ生命保険や特約の加入状況・参照)。50代というと、一般的には子育てがひと段落し、定年を前に、老後ご自身の生活について立ち止まって考える時期でもあります。実際に、親御さんの介護が始まるのも50代くらいが多いと推定されます。そのような環境の変化から、50代が介護保険(特約)の加入のピークであると推測されます。[adsense_middle]比較・検討のポイントこれまで、民間の生命保険会社による介護保険(特約)について、制度の内容や仕組みについてまとめてきました。ここからは、実際に加入しようとする際の目安となるポイントについて、いくつかご紹介します。①受取方法の違いまずポイントとなるのは「介護保険の給付金を、どのような受け取り方でもらいたいか」という点です。受け取り方法は、以下の3パターンがあります。【一時金】所定の介護状態に該当したら「一時金」としてまとまった金額の給付を希望する【年金形式】介護状態になったら、その後の長期間に渡って「年金形式」で年に一度受け取りを希望する【一時金+年金形式】最初は「一時金」として大きな金額を、その後は年金形式で、少しの額でも長期間受け取りたい一時金民間の介護保険に加入した場合、一番シンプルでわかりやすいのは「一時金で受け取る」内容の商品です。保険会社が定めた条件に該当すれば、加入時に設定した金額を「一時金」として一括でまとまって支払われます。デメリットとして考えられるのは、介護が長引いた場合に、最初に一時金で受け取った給付金が足りなくなる場合があるという点です。年金形式年金形式で介護保険を受け取る保険商品は、長引く介護生活の支えになります。ただし、年金形式での受け取りを希望する場合、一時金受取タイプよりも保険料が割高の場合がほとんどです。加入年齢と保険料のバランスを見て検討してもよいですね。一時金+年金形式とても合理的な受け取り方法は「一時金+年金形式」です。介護保険を請求した際に、まずは「一時金」としてある程度まとまった給付金を受け取ります。その後、毎年一定額(加入時に設定した年金額)を生涯に渡って受け取ります。とても理想的で、安心できる受け取り方法ですが、3パターンの中で一番保険料が割高です。例えば独身の方で、万が一老後にご自身の介護のお手伝いをしてくださる方がいらっしゃらない場合などは、このような安心できる保険で備えるとよいでしょう。②加入するタイミング先にも書きましたが、介護保険の加入年齢のピークは50代です。50代になって、ご自身やご家族の介護に触れることでリスクに直面し、介護保険に加入する方が多いようです。公的介護保険制度では、40歳以上になると公的介護保険の第2号被保険者となります。主に加齢が原因の16種類の特定疾病が原因で介護状態になったと認定されれば、公的介護保険制度から介護サービスを受けることができます。ただし、介護状態になるリスクは40歳から突然増えるというわけではなく、例えば脳卒中の後遺症などで40歳以下でも介護状態になるリスクもあります。ご自身の現在の環境などを踏まえ、いつごろから備えたほうがよいか検討してみましょう。介護保険だけでなく、生命保険の保険料は「若ければ若いほど安価で加入できる」システムです。本当に介護のリスクが迫ったときに加入しても、保険料が高くて加入を断念することがないよう、早めに検討することをオススメします。民間介護保険・まとめ公的介護保険制度が適用となるのは、40歳以降です。しかし実際は、40歳から65歳が含まれる第2号被保険者では、16種類の特定疾病に該当しなければ介護保険制度を利用することができません。若年層でも、脳疾患、心疾患の後遺症などで介護状態になるリスクはあります。生命保険の本来の意義どおり「リスクに備える」としたら、より若いうちから、安価な掛け捨て型でもよいので、介護に対する備えはスタートしておいたほうがよいのではないかと考えます。また、民間介護保険を選ぶポイントとして、保険金受取の方法があります。3パターンのうち、ご自身のニーズにより近い方法はどれなのか検討してみるとよいでしょう。
2020年06月15日仕事を辞めて無職になると、収入がないので税金もかからないと考える人がいますが、実は無職・無収入でも住民税など一部の税金は支払わなければなりません。そこで本記事では、無職でも住民税が課税されるケースや、免除されるケースについて詳しく解説します。無収入だと住民税はどうなる?仕事を辞めて無職になった途端、住民税は支払わなくてよくなると考える人がいますが、実はそうとは限りません。仕事を辞めてしばらく経ったある日のこと、突然役所から住民税の納付書が届いて驚く人がよくいます。なぜ収入がないのに住民税の請求が来るのでしょうか。前年の所得金額をベースに翌年請求される仕事をしていると毎月給与から住民税や健康保険料が引かれるため、そのときの所得に対して課税されているイメージがあるかもしれませんが、実は住民税は前年の所得をベースに計算されています。そのため、今現在無収入だとしても、前年の所得がある場合はその金額に対して住民税が課税されるので、無職であっても住民税がかかるのです。退職金に注意仕事を辞めて無職になる人で注意が必要なのが、退職金です。仕事を辞める際にまとまった退職金を受け取っている場合、退職金にも住民税が課税されるので、退職してすぐに退職金を使い果たしてしまうと、翌年住民税の納付書が届いて驚くことになります。退職金を受け取る際には、翌年の住民税が上がることをよく認識しましょう。住民税がかからないケースこのように無職であっても、住民税が課税される可能性があることはおわかりいただけたでしょうか。では、どうなると住民税が全くかからなくなるのでしょうか。生活保護1月1日時点で生活保護による生活扶助を受けている人については、住民税は一切課税されません。行政から補助を受けて生活をしているわけですから、住民税を課税するのはさすがに無理があるからです。所得が一定以下1月1日時点で次に該当する人のうち前年の合計の所得金額が125万円以下だと、住民税はかかりません。障害者未成年者寡婦また、前年の合計所得が次の金額以下の場合は、上記に該当しなくても住民税が免除されます。同一生計の配偶者や扶養している親族がいない場合:35万円同一生計の配偶者や扶養している親族がいる場合:35万円×(同一生計配偶者+扶養親族数+1)+21万円同一生計の配偶者には控除対象となっている配偶者も含めて考えます。これらに該当する場合は、住民税は完全にかかりません。所得割のみかからないパターン住民税は完全に非課税になるパターンと、一部非課税になるパターンがあります。住民税には所得をベースに課税される所得割と、定額で課税される均等割がありますが、所得割のみかからないというパターンがあるのです。条件としては、前年中の総所得金額等が以下の金額以下の場合です。同一生計の配偶者や扶養親族がいない場合:35万円同一生計の配偶者や扶養親族がいる場合:35万円×(同一生計配偶者+扶養親族数+1)+32万円総所得金額等とは、所得の合計金額から、繰越すことができる損失額を控除した後の金額のことをいいます。この場合は、住民税のうち所得割は免除されて均等割だけ請求されることになります。住民税がかからない所得住民税は所得に対して課税される所得割部分がありますが、次の所得については住民税が課税されないので覚えておきましょう。障害年金、遺族がもらう恩給や年金雇用保険による失業給付金職業訓練を受講する際の給付金生活保護で受け取る給付金月額15万円までの通勤手当相続や贈与でもらった財産(相続税や贈与税がかかります)児童手当出産手当金育児休業給付金出産手当傷病手当これらの所得については、住民税はかかりません。最近では新型コロナウイルスの影響により、持続化給付金や定額給付金などの支援策が講じられていますが、住民税はかからないものが多いので積極的に利用することをおすすめします。利用できる控除制度と手続き住民税が免除されるケース以外については、原則として住民税を支払わなければなりません。ただし、次に該当する場合は住民税が一定額控除される場合があります。[adsense_middle]災害など地震や津波などによって家や家財がなくなったなどの被害に遭われた人で、住民税の支払いが困難な場合は一部免除してもらえることがあります。申請には災害によって被害を受けたことを証明する書類として、罹災証明書の添付が必要です。生活保護やそれに準ずる人生活保護やそれに準ずる人で、住民税の支払いが困難な場合も一部免除してもらうことができる場合があります。生活保護受給者に限られるわけではないので、まずは一度相談してみることをおすすめします。申請には保護証明や生活の状態がわかるもの、そのほか収入がわかるものが必要です。前年所得と失職前年の所得が一定以下で、かつ1ヶ月以上失職などしていて所得がない場合、住民税の減免が受けられる場合があります。ただし、失職した原因が自己都合や期間が満了したことによる場合は対象になりません。あくまで会社の倒産や整理解雇、病気などの原因によることが条件です。申請には給与明細書や雇用保険の受給者資格者証、医師の診断書や入院証明書などの添付が必要です。これらに該当する可能性がある人は、各役所の市民税課に問い合わせてみましょう。コロナ禍で無職になった場合に利用できる給付金新型コロナウイルスの影響で、仕事を解雇されて無職になる人が増えています。仕事を失っても住民税はすぐにゼロにならないので、当面の生活資金についてなんとか対策をとることが必要です。中にはそれによって社宅を追い出されて引越しを迫られるというケースも少なくありませんが、この場合に利用できる給付金についてご紹介します。住宅確保給付金新型コロナウイルスの影響で仕事を失ったり、収入が大幅に減ったりした人については、一定額の住宅確保給付金を受給することができます。給付金額の上限は地域によって違っていて、例えば東京都渋谷区の場合、ワンルームでひと月あたり53,700円が支給され、最長で3ヶ月間給付を受けられます。ただ、通常給付金というと本人が受け取ることになりますが、住宅確保給付金は本人ではなく大家さんや管理会社に対して直接支払われるため、注意が必要です。詳しくは、申請書に管理会社もしくは大家さんの署名捺印をもらった上で、家賃振込先口座を記入することになります。あとは、申請書を各自治体の窓口に提出することで、最長で3ヶ月間自動的に振り込まれることになるのです。ただし、給付額が家賃に満たない場合は差額分を自分で振り込む必要がありますので、事前にいくら差額が必要になるのか確認しましょう。住民税を直接控除する制度ではありませんが、住宅確保給付金を活用することで、浮いたお金を住民税の納税資金に回せます。また、給付金関係については、受け取っても翌年の住民税には影響がないケースが多いので、利用できる給付金は積極的に活用しましょう。無職の場合の住民税に関するまとめ住民税は全く収入がない人でも、前年の所得が高い場合はそれなりの金額になるので、払い方について考えておかないと期間中に支払えなくなる可能性があります。住民税を滞納した場合に課税される延滞税は負担が大きいので、できる限り避けるべきです。納付書が突然届くとびっくりすることになるので、確定申告書や源泉徴収票を見ながら、自分自身にかかる翌年の住民税についてシミュレーションしておくとよいでしょう。
2020年06月11日火災保険の保険の対象には建物だけでなく、家財があります。例えば、火事で建物が全焼した場合、建物の再建だけでなく、家電や家具などの家財も1から揃えなくてはなりません。食器や衣服などを含めると一体いくらくらいかかるのでしょうか。今回は家財の保険の過不足のない保険金額と選び方のコツをお伝えします。家財に必要な保険金額の目安は平均するといくらくらい?そもそも家財の保険は必要?住宅ローンを組んでマイホームを取得する場合、銀行などの金融機関から火災保険の加入を義務付けられることがほとんどです。その際、金融機関はローンで貸している建物のお金を火災保険で担保できればいいと考えるため、金融機関が提案する火災保険は建物のみの補償になっている場合が多いです。だからといって家財保険はいらないかというと、そうではありません。火事で建物が全焼した場合に、家財一式を預貯金で全部揃えるのは難しいでしょう。そのため、金融機関で建物のみの火災保険に加入した場合、それとは別に家財の保険に加入する必要があります。火災保険の加入が必須でも、金融機関から加入することまでは義務ではありません。できれば自分で、建物と家財に対して最適な補償がなされる火災保険に加入するようにしましょう。家財の保険金額を決める評価方法では、家財にはいくらの保険金額(補償額)を設定するのがいいのでしょうか。一番いいのは、所有する家財の主なものを新規に買った場合の金額を合計していく方法です。1人暮らしで家財の少ない人なら、簡単に求められるでしょう。しかし、年齢が上がったり、家族の人数が多くなったりすると持ち物は増えますし、いちいち計算するのは面倒です。そこで、世帯主の年齢や家族構成で保険金額を決める「簡易評価」という方法があります。簡易評価は保険会社によって違いはあるものの、平均的な金額を知ることができます。この金額をそのまま使ってもいいですし、家庭の状況によって調整してもいいでしょう。家財の保険金額の目安以下、ある保険会社の2020年4月現在の簡易評価です。筆者の感覚ですと、若干高すぎる印象です。極端に減らすことはおすすめしませんが、大雑把に主な家電や家具の金額を見積もって調整したほうが保険料も抑えられます。ちなみに単身世帯の場合、300万円がひとつの目安です。住宅のタイプ別に見る保険料・補償のポイント一戸建ての持ち家で新築の場合一戸建てを新築した場合、家具などは新しいものを揃える場合も多いでしょう。また、それまで住んでいた住居より広いスペースになる場合がほとんどで、必然的に家財道具も多くなる傾向にあります。保険料を抑えるために低い保険金額にしたいという人も多いのですが、「4人家族で300万円」など、あまりに低い設定はおすすめできません。一戸建ての持ち家で新築以外の場合新築以外ですと、新規だけでなく既加入の火災保険を更新する場合もあります。家族構成の変化も考えられますので、家財の保険金額は考え直すタイミングです。家財は増えても不用品ばかり、などというケースも見られます。現在使っていて、なくなったら買わなくてはならないものだけを保険金額として設定しましょう。分譲マンションの場合マンションの火災保険の場合、注意したいのは補償範囲です。一戸建てにないリスクに水濡れがあります。給排水管の水漏れは建物にも家財にも損害が及びます。水濡れを補償範囲に入れることを忘れないようにしましょう。アパート、マンションなどの賃貸住宅の場合賃貸住宅の居住者が火災保険に加入する場合、建物の補償は必要ありません。家財と借家人賠償が最低限の補償になります。家財保険の選び方のポイント[adsense_middle]「新価」と「時価」なら新価を選ぶ火災保険における建物や家財の評価の算定基準に、「新価」と「時価」があります。通常、新規で火災保険に加入する場合の保険金額は、特に指定しなければ「新価」で契約されています。「新価」とは、建物や家財を新しく調達しなおすのに必要な金額のことです。保険金額が新価で設定してあれば、火災で建物が全焼して家財をすべて失っても、保険金で新たに調達しなおすことができます。これに対し、「時価」とは経年劣化を考慮した保険の対象の評価額を言います。「時価」方式で火災保険を契約すると、保険金を受け取るときに、損害を受けた家財を元に戻すことができなくなります。もし、既に契約している火災保険が「時価」方式である場合、早めに契約しなおしましょう。補償範囲を適切に選択する火災保険の補償の対象になるのは火災だけではありません。基本的な自然災害以外にも、さまざまなリスクが補償対象になっています。当然、補償範囲が広ければ保険料も高くなりますので、どこまでをカバーすべきかよく検討しましょう。火災・落雷・破裂または爆発風災・雹災・雪災水災建物外部からの物体の衝突等水濡れ騒擾または労働争議等盗難不測かつ突発的な事故(汚損・破損等)火災・落雷・破裂または爆発火災保険の補償で外すことのできない基本の「き」です。日本では「失火責任法」により、もらい火の火事は損害賠償請求ができないことになっています。自分で火事を起こした場合も、もらい火の場合も、自分の火災保険の補償が必要になります。落雷の場合は、家の電気設備や家電などがショートしたときなどに補償されます。破裂や爆発は漏れたガスに引火して爆発した場合などです。風災・雹災・雪災強風・雹・雪などによる損害の補償です。雹で窓ガラスが割れた場合などに補償されます。水災台風や暴風雨によって洪水や土砂崩れが起きた場合の補償です。大雨による河川の氾濫で床上浸水した場合などが該当します。水災は付けるか付けないかで保険料が大きく変わる補償です。ハザードマップなどを確認し、水害の心配のない地域やマンションの高層階の場合は外して保険料を抑えてもいいでしょう。ただし、明らかに川の近くに建物がある場合などは必須の補償です。建物外部からの物体の衝突等建物の外部からの物体による損害の補償です。例えば、家にクルマで突っ込まれた場合などが該当します。水濡れ漏水などによる水濡れの損害の補償です。給排水設備の故障で部屋が水浸しになったり、マンションの上階からの水漏れで部屋が濡れてしまったりした場合などに補償されます。騒擾または労働争議等騒擾や集団での暴力・破壊行為の損害を補償します。暴動に巻き込まれて家を壊された場合などが該当します。盗難盗難にともなう盗取・損傷・汚損による損害を補償します。泥棒に窓ガラスを破られた場合や金銭を盗まれた場合に補償されます。不測かつ突発的な事故(汚損・破損等)不測かつ突発的な事故により、保険の対象が損害を受けた場合です。簡単に言うと、自分のミスで建物や家財を壊してしまった場合の補償です。小さいお子さんやペットがいるご家庭などは付けておくといいかもしれません。汚損・破損は使いようによっては便利な補償「買ったばかりのパソコンを落として壊してしまった」などという場合、家財保険に汚損・破損の補償が付いていれば補償の対象になります。汚損・破損は火災保険の中でも使われる頻度が高い保障です。自分のうっかりミスで建物や家財を壊してしまうことは、大人の場合は少ないかもしれません。でも、よちよち歩きのお子さんがいるご家庭なら、いたずらなど思いがけないことが起こる可能性が高いです。もちろん保険料はかかりますが、たいていの場合、1回の保険金請求で保険料をペイできます。複数の保険会社の見積もりを取る家財保険に限らず、すべての保険に言えることですが、加入を検討する場合は必ず複数社の見積もりを比較しましょう。例えば、上記の汚損・破損の補償を付けたいけれど保険料が高くて諦めていた場合、別の保険会社なら予算内に収まる、などということはよくあることです。ただし、安く見えても補償内容が同じ条件でない場合もあります。比較する場合は費用の補償などを含めて同じ条件で比較するようにしましょう。家財保険の相場のまとめ適正な保険金額がわかりにくい家財保険ですが、「簡易評価」を参考にすれば、簡単だということがわかりました。多くの場合、「簡易評価」による保険金額は高めなので、「簡易評価」を上限としてちょうどいい金額を設定するといいでしょう。また、加入を検討する際には複数の保険会社の商品を比較するようにしましょう。
2020年06月11日介護保険は、40歳以上の方は全員加入する必要があります。加入している健康保険の形態によって納付方法は違いますが、毎月必ず保険料を納付します。では、納めた介護保険料によって、私たちはどのような介護サービスを、どのような自己負担額で受けることができるのでしょうか。本記事では、介護保険料の自己負担額についてを軸として、介護保険制度全体についても解説していきます。介護保険制度とは介護保険制度は、市町村による運営です。40歳以上になると、必ず加入・保険料の納付の義務があります。保険料の徴収方法は、加入している健康保険によって違います。国民健康保険加入の方であれば、毎月払っている国民健康保険料に、介護保険料が上乗せされた金額を納付します。社会保険加入の方は、毎月のお給料から給与天引きされ、自動的に納付を済ませることができます。年金受給者の方は「特別徴収」という納付方法が一般的です。特別徴収とは、2カ月に1回支払われる公的年金から、あらかじめ介護保険料を差し引くものです。社会保険加入者の「給与天引き」のシステムと似ています。介護保険制度上の区分介護保険制度上では、被保険者を2つに区分します。以下、表にまとめますのでご参照ください。16種の特定疾病とは、末期がん、関節リウマチ等、一般的に加齢に伴い発症しやすい疾病を定めたものです。第2号被保険者では、この決められた16種に該当しなければ、介護保険を利用することができません。介護保険料の計算方法上の表でまとめたとおり、介護保険の被保険者は2つの区分に分けられます。被保険者ごとの介護保険料の計算方法は以下のとおりです。第1号被保険者運営している市町村が条例で定めた基準額に、所得に応じた保険料率をかけたものが介護保険料となります。第2号被保険者会社員など、介護保険料が給与天引きで徴収されている場合は、標準報酬額(標準賞与額も含む)に介護保険料率を掛け合わせたものが、介護保険料となります。国民健康保険加入の方は、お住まいの地域の市町村によって所定の介護保険料算定基準がありますので、市町村ホームページなどでご確認ください。概算の一覧表を掲載している市町村もあります。自己負担額の決め方介護保険における自己負担額とは、介護保険制度を適用した後の実際の利用料のうち、被保険者が負担する金額のことです。一般的に、介護保険の自己負担額は「1割」です。詳しくは後述しますが、所得に応じて「2割負担」または「3割負担」となる場合もあります。介護の度合いに応じた自己負担額要支援、要介護と認定された場合、認定された支援度、介護度に応じた介護サービスの範囲が決められます。これを「支給限度額」と呼びます。この「支給限度額」を超えた料金や、そもそも介護サービスの範囲外で利用した料金に関しては、全額自己負担となりますので必ず事前に確認しましょう。【参考】介護サービスの種類介護保険が適用される介護サービスには、大きく3種類があります。「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」です。「居宅サービス」とは、ご自宅に住んだままで受けられる介護サービスです。(例・訪問、通所、短期入所など)「施設サービス」とは、施設に入居している被保険者に対して行う介護サービスです。「地域密着型サービス」とは、住んでいる地域で受けられる居宅サービスと施設サービスの中間のようなイメージです。地域密着型サービスは、2006年の介護保険法の改正により新設された介護サービスです。介護が必要になった高齢者が、住み慣れた地域を離れずに介護サービスの提供を受けることができるようにという意図が込められています。なお、認知症対応のサービスも、この地域密着型サービスに含まれています。7種類の区分に応じた限度額実際に要支援・要介護と認定され、介護保険が適用される場合、介護保険対象者の認定された区分に応じて、受けられる介護サービスの利用限度額が違います。(要支援1から要介護5までの7区分に分けられます。)厚生労働省ホームページ「区分支給基準限度額」を参考に、区分と利用限度額を一覧にまとめますので、ご参考になさってください。介護費用を準備するポイント上記のように、支援や介護の度合いによって上限額はさまざまです。自己負担がほぼない、あるいは自己負担額が少額で済む場合でも、介護の長期化により経済的な不安は増すことが予想されます。特に第2号被保険者に該当する40歳~65歳といえば、働き盛りの時期です。まだマイホームを建てたばかりの場合や、お子さんに教育費がかかる場合もあるでしょう。これらのリスクに備え、民間の生命保険の介護特約などでリスクに備えておくことも検討するとよいでしょう。また、金融機関によっては、所定の介護状態になった場合に住宅ローンの残高がゼロになる商品もあります。これからマイホーム購入を検討する場合は、こちらもあわせて調べておくと安心ですね。[adsense_middle]自己負担率に応じた自己負担額上記でまとめた「限度額」のうち、所定の割合を自己負担することになります。たとえば、限度額50,030円の「要支援1」と認定され、1割負担に該当する被保険者である場合、自己負担額は5,003円ということになります。この自己負担率(自己負担の割合)は一定の決まりの上で算定されています。実際の自己負担率は、被保険者の「介護保険負担割合証」が手元に届いてから確認できます。本記事で紹介する負担率については、あくまで目安としてお使いください。65歳以上の第1号被保険者の場合、以下の概要にそって負担割合が定められます。40歳から65歳の第2号被保険者、非課税世帯の負担割合は一律「1割負担」です。一割負担二割負担三割負担介護保険における自己負担額・まとめ介護保険の自己負担額については、支援や介護の度合いと、被保険者の負担率によって決まります。要支援1から要介護5のうち、認定された区分の利用限度額のうち、さらに所得で分けられた負担割合に応じて、自己負担額が算定されます。正式な数字は「介護保険負担割合証」が届いてからではないとはっきりしませんが、1つの目安として本記事を参考にしていただければ、と思います。
2020年06月08日現在会社に勤めていてこれから副業をしてみようと考えている人や、最近複数の仕事を始めた人は、「副業をしたら税金はどうしたらいいのかな?」と、今後の税金の支払いについて心配をしているかもしれません。働き方のパターンは人それぞれですが、いずれの場合でも税金はすべて確定申告をして支払うことになります。ポイントを押さえてしまえば確定申告は決して難しくはありませんが、思わぬところでつまずいてしまうこともあります。この記事では、個人事業主の働き方ごとの所得の計算方法、確定申告の仕方および注意点について解説していきます。個人事業主の副業のパターンとは?収入別の所得計算方法について副業をした際の税金の計算の仕方・確定申告のやり方について本やネットで調べていても、なんだかモヤモヤして、いまいち腑に落ちないような気がする人がいるかもしれません。その理由は、先ほど申し上げた「働き方のパターンは人それぞれ」だからです。本当に自分はここで述べられているケースに当てはまるのかな、と感じてしまうわけです。収入の内訳はいろいろなパターンに分かれているため、まずパターン別の所得の計算方法をきちんと理解することで、「ああ自分はこのパターンに当てはまるな」と納得していただけると思います。ということで、まずはパターン別の所得の計算のやり方について述べていきます。ちなみに、収入とは勤務先やクライアントからもらう金額そのもののことで、そこから控除や経費を差し引いた金額を所得といいます。そして、税金は所得をもとに算出されます。収入を得るパターンはいろいろでも、副業をしていれば基本的には全員が確定申告をすることになります。1.給与所得者が副業を始めて個人事業主を兼業する場合などまずは、普通にサラリーマンをしている人が副業をする場合です。この副業にも2種類あって、別の会社でダブルワークをする場合と、個人事業者としてクラウドソーシングなどで事業をする場合があります。ダブルワークをしている場合、本業の会社と副業の会社それぞれから源泉徴収票を毎年受け取りますので、それぞれの「給与収入ー給与所得控除額」で給与所得を算出します。そして、確定申告時にそれぞれを合算することになります。ちなみに、いちいち「給与収入ー給与所得控除額」を計算しなくても、国税庁のWebサイトに収入額その他を入力すれば自動的に給与所得を計算してくれますので、「給与所得控除額って?」と悩む必要はありません。副業で個人事業をする場合また、副業で個人事業をする場合には、副業は事業所得となり「収入金額ー必要経費」で所得を計算します。こちらは、源泉徴収票のようにまとまった書類がない場合も多いので、自分で計算して算出する必要があります。そして、本業の給与所得と副業の事業所得を合算して確定申告する、という手順になります。給与所得者は確定申告をしなくてもよい場合もあるただし、このケースでは唯一「確定申告をしなくてもいい」という例外があります。実は給与所得者の場合、「副業の所得が年間20万円以下の場合には確定申告をしなくてもよい」というルールが存在しています。収入ではなく所得が20万円以下ですので、副業で30万円収入があっても経費が11万円かかったら確定申告は不要となります。2.個人事業主・フリーランスが副業として給与収入を得る場合こちらは、会社を脱サラした人などが個人事業主として活動しているが、副業としてパートやアルバイトのような形で会社で仕事をする、という場合です。この場合、所得の計算としては、先ほどの会社勤めをしている人が個人事業者として事業をしているケースと同じになります。何が違うのかというと、単に給与所得と事業所得の金額の大小だけです。ただし、この場合には源泉徴収に注意が必要です。ここでわざわざフリーランスと書いたのは、フリーランスでこの問題が発生しやすいからです。フリーランスの方は、自分では個人事業主として営業していると思っているかもしれません。しかし、たとえばクラウドソーシングサイトで仕事を獲得するウェブライターなどの場合、クライアントは個人の場合と法人の場合があります。実は法人の仕事を請け負っている場合、事業所得であるにもかかわらず収入から給与所得のように源泉徴収されているんです。したがって、確定申告で事業所得を計算する場合、法人から受け取っている報酬に源泉徴収額を加えたものが収入となります。ここは間違いやすいので注意しましょう。なお、ここで源泉徴収として加えた金額は、税金計算の際には差し引いて計算されますので決して損にはなりません。3.個人事業主が本業以外の事業を副業として行う場合最後に、個人事業主が副業として別の事業を始めた、という場合もあります。ただ、この場合にはあまり本業・副業の区別に意味はありません。それぞれの収入から経費を差し引いて事業所得を出し、それらを合算して確定申告するだけとなります。副業をした場合の税金を確定申告で申告する方法それでは、副業をした場合にはどのように確定申告を進めていけばいいのでしょうか?実は、副業をしていれば合算の手間がかかるだけで、あとは通常の確定申告と何も変わりません。そして合算で一番わかりにくいのは収入の部分ですが、それはこれまで説明した通りです。ただ、副業をして初めての確定申告を迎える場合、税務署から「確定申告をしてください」といった案内はきませんので注意しましょう。申告をして初めて、「この人は確定申告の対象」と税務署が認識することになります。なので、2回目からは案内をもらえる場合があります。ちなみに、確定申告は所得税に関する申告で、住民税とは別です。ただし、確定申告すればその情報が住民税の方にも送られるので、失業中で申告する所得がないなどの場合を除き、住民税の申告をする必要はありません。確定申告は、下記の手順で進めていきます。事前に白色申告か青色申告かを決めておく確定申告書を入手する収支内訳書を作成する確定申告書の作成・提出以下で、それぞれについて見ていきましょう。[adsense_middle]白色申告と青色申告のどちらで納税するかを決定経理について詳しい人なら最初から青色申告してもいいでしょうが、副業を始めたばかりの人には帳簿作成などのハードルが高いので、最初は白色申告をするのをお勧めします。ということで、ここでは白色申告の仕方について述べていきます。確定申告書を入手まずは申告する書類がないと始まりませんので、確定申告書を入手しましょう。入手方法には以下の3つの方法があります。税務署などに行って、直接入手税務署に連絡して郵送してもらう国税庁のWebサイトからダウンロードただし、おすすめは何といってもサイト経由です。作業はWeb上で完結し、他帳簿の転記も自動で行ってくれます。このあとの説明もWebベースとなります。収支内訳書を作成次に、確定申告書の中の収支内訳表を作成します。副業をしている場合には、所得を受け取った会社やクライアントごとに収入や経費などを記入していきます。相手先の住所までいちいち記入しなければならないので、数十社と仕事をしている人などは相当面倒な作業になります。さらに個人事業の場合、相手先が源泉徴収票などのきっちりとした書類をくれないケースもあるため、自分で資料を作成して金額を算出する必要があります。初めて確定申告をする場合にはあまりの煩雑さに心が折れそうになるかもしれませんが、実はここがヤマですので、ここさえ乗り越えればあとは楽です。また、申告の時に大変にならないように毎月管理をしておくことがおすすめです。確定申告書の作成・提出収支内訳表さえ作成してしまえば、所得の金額などは確定申告書の必要な部分に自動的に転記されていきます。あとは医療費、生命保険、社会保険費といった控除項目に金額を入力していきます。そして、人によっては雑所得・雑損などに金額を入力して完成させます。そのあと、データを保存して印刷し、税務署に提出します。どの税務署に持っていくかは、Web上に自動表示されます。マイナンバーカードを持っていれば、e-TAXで電子的に送付することもできます。確定申告する際の注意事項確定申告の大まかなやり方はこれまで述べてきたことに尽きるのですが、そうはいっても初めて申告をする場合にはいろいろと注意しておいた方がいい点もあります。そこで、以下では確定申告に関する注意事項について解説いたします。[adsense_middle]会社を退職した人はサラリーマン時代の所得や退職金も申告する年の途中で会社を退職して個人事業主になった人は、サラリーマン時代の所得も含めて確定申告をする必要があります。退職した際に受け取る源泉徴収票は大事に取っておきましょう。また、退職金については退職所得として申告する必要があるので覚えておきましょう。申告期限に注意!申告開始日と申告期限は忘れないようにメモなどしておくことをおすすめします。税金を支払うのではなく、支払い過ぎていて還付を受けられる場合には、申告開始日を待たずに年明けすぐから申告ができます。万が一申告期限に遅れてしまった場合、税金に延滞金などが加算されてしまいます。遅れに気づいたら、税務署から通告される前に支払いに行くと、少し加算金が安くなる場合もあります。医療費控除できるのは10万円以上?また、確定申告で医療費控除ができるのは医療費が10万円以上のときと思っている人が多いですが、実は所得が200万円以下の場合、所得の5%を超える部分を控除できます。退職して個人事業主になったばかりのときは、副業しても所得が200万円を超えない場合もありますので、間違えないようにしましょう。いずれは青色申告者として登録しようここでは白色申告の話をしましたが、経験を積んで収入が増えてきたら青色申告にチャレンジしましょう。帳簿作りは大変ですが、白色申告にはない控除などの特典があります。何も届けなければ白色申告になりますが、青色申告の登録をするには期限までに申請書を税務署に提出する必要があります。まとめ:個人事業主の副業について個人事業主と副業について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?個人事業主が副業をするといっても、サラリーマンが副業で個人事業主をやることから、個人事業主が副業する場合までさまざまなケースがあり、それぞれの働き方に応じて所得の計算方法があります。ただし、いずれの場合にも最終的には確定申告をすることになり、そのやり方もほぼ同じです。ただし、特に初めて申告する場合には注意すべき点もあります。「確定申告することになるのか」と思うと、サラリーマンの方はなかなか副業に踏み切れないかもしれません。でも、ポイントさえ押さえれば確定申告は決して難しくはありません。自分にやりたいことがあれば、ぜひ副業にチャレンジしましょう!
2020年06月07日こんにちは、婚活FP山本です。東日本大震災以降、地震保険が気になる方が増えたようですが、同時に保険料の目安・相場が気になる方も多いといえます。加入しておいたほうがよいと頭では分かっていても、何となく安くなさそうなイメージも強いですからなおさらかもしれません。ぜひ、まずは地震保険の相場観を知っておきましょう。そこで今回は、地震保険の相場観に関することと保険料の目安をお伝えします。あなたの人生に、お役立てくださいませ。地震保険の保険料相場は「都道府県」で違う都道府県で3倍以上も違うのが実情まず、地震保険の保険料相場は「都道府県」で違います。都道府県ごとに「地震リスク」が違っており、それに合わせて保険料が決められる仕組みです。ちなみに細かくも違いますが、ざっくり47都道府県を3つに区分して、それぞれで基本となる保険料が決まっています。参考までに、補償金額1000万円あたりの保険料の上位下位は以下のとおりです。ちなみにこれは、耐火性の高い住宅の場合になります。補償金額1000万円あたりの保険料の上位上位1位:2万5000円…千葉・東京・神奈川・静岡上位2位:1万7800円…埼玉上位3位:1万5500円…茨木・徳島・高知補償金額1000万円あたりの保険料の下位下位1位:7100円…岩手・秋田・山形・栃木・群馬・山梨・富山・石川・福井・長野・滋賀・鳥取・島根・岡山・広島・山口・福岡・佐賀・長崎・熊本・鹿児島下位2位:7800円…北海道・青森・新潟・岐阜・京都・兵庫・奈良下位3位:8500円…福島同じ補償金額でも、都道府県で3倍以上も違うのが実情です。地震保険を気にして住む場所を決める方は稀ですが、まずはこのような事情を知っておきましょう。住宅を購入するときはハザードマップも気にしよう地震保険を気にして住む場所を決める方は稀ですが、最近なら「ハザードマップ」くらいは気にしたほうが無難です。特に住宅を購入する場合は、ずっとそこに住み続けるからこその購入になりますから、できれば地震リスクも考えたうえでの購入をおすすめします。また賃貸であっても、保険料が割高なところは地震リスクが高いからこそです。しっかり地震保険には加入して、未来の地震に備えていきましょう。地震保険の保険料相場は「不動産・建物」でも違う次に、地震保険の保険料相場は「不動産・建物」でも違います。簡単にいえば「構造次第」です。建物の構造が違うと、地震や火災に対するリスクが違いますから、これも保険料に反映される仕組みになっています。ある意味で、当たり前かもしれませんが……。具体的にいえば地震保険では構造区分として、イ構造とロ構造で分けられています。イ構造には耐火建築物や準耐火建築物などが該当し、イ構造に該当しない建物はすべてロ構造という区分です。当然ながら、イ構造に当てはまる不動産のほうが保険料は割安になります。先ほどの都道府県と、この構造区分によって地震保険の基本的な保険料が決まってくる仕組みです。中には割高になる方もいるでしょうが、地震保険は大切なものですから、なるべく割高でも加入しておきましょう。木造か鉄筋造りかは火事で考えてみても違ってくる木造か鉄筋造りかというのは、火事を考えてみても違います。当然ながら木造のほうが脆く、火事になったら燃えやすいです。このため、建物の構造で地震保険でも保険料が違ってくるのは、ある意味で当然といえます。木造の戸建て住宅は根強い人気がありますし、特に地方では沢山ありますが、少しはリスクについても考えておきたいところです。最低限、しっかり保険には加入しておきましょう。地震保険の保険料は補償金額や最長5年の加入期間でも違うそして、地震保険の保険料は補償金額や最長5年の加入期間でも違います。そもそも地震保険は、基本的に火災保険の30~50%の範囲でしか加入できません。また最大でも、建物については5000万円、家財については1000万円が限度となっています。そして、地震保険は最長で5年契約ができる保険であり、契約期間を長くするほどに保険料が割安になっていく制度設計です。具体的には、1年契約を1とすると、2年契約より長いものは以下のように割引されます。2年契約:1.93年契約:2.84年契約:3.75年契約:4.6補償金額は多くするほどに保険料が高くなりますが、契約期間は長くするほどに保険料が安くなる設計です。それぞれ、十分に考えて補償金額と補償期間を決めましょう。ライフプラン上、問題ないなら最長期間で契約しよう補償金額と補償期間は、実際には特に悩むことはありません。それぞれ、「50%・5年」で契約するのが基本です。そもそも50%でも足りないのが実情ですが、法律で決まっているのですから仕方ありません。もっとも、最近では特約で100%補償を実現している地震保険も登場していますが、まだ稀です。また契約期間は、しばらく引っ越しなどをしないなら、短く契約する理由がありません。ライフプラン上、問題ないなら最長期間で契約しましょう。地震保険の保険料は「割引」でも違ってくるさらに、地震保険の保険料は「割引」でも違ってきます。具体的にいえば、地震保険の割引とは以下のとおりです。免震建築物割引(50%):建物が「免震建築物」の場合耐震等級割引(10~50%):建物が耐震等級を有している場合耐震診断割引(10%):耐震診断の結果、耐震基準を満たす場合建築年割引(10%):1981年6月1日以降に新築された建物の場合ただし、これらの割引は重複されませんから、最大でも50%割引ということになります。新しい物件ほどに、地震保険の保険料も割引される可能性が高いです。そして、新しい物件ほどに失ったときのリスクが高いともいえます。これから新築の不動産を購入しようと考えているのであれば、地震保険への加入は必須です。今は地震リスクも高まっていますから、しっかり地震保険で不動産を守っていきましょう。「新築・中古」は保険料に大きく関係しない少し注意が必要なのですが、地震保険上では「新築か中古か」は大きく関係しません。新築のほうが耐震基準などを満たしている可能性が高いですが、それでも「新築のほうが安い」は誤りです。ちなみにこの理屈は、元になる火災保険についても同じといえます。そして、地震に対するリスクについても「新築・中古」は変わりません。どちらであっても大切な生活基盤であり、失ったら大事です。どこに住んでいようと、しっかり地震保険に加入して備えましょう。[adsense_middle]年間の掛け金・保険料は「地震保険料控除」の対象になる今度は、地震保険の保険料について補足情報をお伝えします。地震保険に加入すると使えるようになるのが「地震保険料控除」です。地震保険の年間の掛け金・保険料は地震保険料控除の対象になり、具体的には以下のようになっています。地震保険料控除は、けして大きな控除ではありませんが、積み重なれば大きいです。せっかく地震保険に加入するのであれば、利用しない手はありません。しっかり利用しましょう。ちなみに地震保険は最長で5年契約ができますが、仮に5年分の保険料を一括払いしたとしても大丈夫です。その場合は、5で割った金額(1年分に換算した金額)が、毎年の控除対象となる保険料として扱われます。しっかり覚えておきましょう。保険料が気になる方への後押し制度!生命保険もそうですが、この地震保険も「公共性があり、国としても加入してほしいもの」です。だからこそ、加入を促すために地震保険料控除が設定されています。ある意味で、地震保険料控除は保険料が気になる方への後押し制度です。もっとも、地震保険の加入率は全体で3割程度、火災保険への付帯率は6割程度に留まっています。東日本大震災を経験しても、わずかしか加入率は増えていないのが実情です。そのような中ですが、地震が起きたときのことをイメージして、しっかり加入しておきましょう。住宅のタイプ別の保険料目安について最後に、住宅のタイプ別の保険料目安についてお伝えします。ここまでお伝えしてきたように、地震保険の基本的な保険料は以下の要素で決まる設計です。都道府県建物の構造補償金額と契約期間割引の数字と有無そのうえで、「東京都で建物1000万円、家財200万円、1年契約で割引ナシ」の地震保険に加入する場合は、以下が保険料の目安になります。イ構造:建物の保険料2万5000円、家財の保険料5000円、合計3万円ロ構造:建物の保険料3万8900円、家財の保険料7780円、合計4万6680円なお、最近では多くのネット損保がネット上で簡単に見積もりを取れるようにしていますから、一度試算してみることがおすすめです。また最終的な地震保険の保険料は、「特約」でも違ってきます。地震保険の基本的な保険料は各社同じですが、それでも十分に比較しましょう。保険料を気にしてマンションか戸建てかは選ばないもの先ほども少し触れましたが、一般的には保険料を気にしてマンションか戸建てかは選ばないものです。しかし、最近では地震だけでなくさまざまな自然災害が増えている傾向ですから、保険料とともに「災害などへのリスク」も考えて不動産を選ぶべき時代といえます。そして同時に、どこにどのような形で住んでいようとも保険での備えは必須です。保険料が気になるお気持ちは分かるものの、本当に被害を受けたら「保険に入っておけばよかった」と必ず後悔します。そのような未来を迎えないためにも、被災する前にちゃんと保険で備えておきましょう。相場はともかく地震保険は「加入するもの」と考えよう保険料や相場が気になる気持ちは分かるものの、ともかく地震保険は「加入するもの」と考えることがおすすめです。どうしてもためらう方は、それこそ東日本大震災を思い出しましょう。「自分だけは絶対被災しない」など、ありえません。自分にも起こることと考えて、しっかり地震保険で備えておきましょう。
2020年05月31日死亡保険に加入するとき、必ず死亡保険金の受取人を設定しなければいけません。一般的には配偶者や子が多いですが、実は「受取人」が誰であるかによって、納めなければいけない税金の種類や金額が違います。死亡保険とは、被保険者(保険の対象となる方)の死亡時に、あらかじめ指定した死亡保険金受取人に保険金が支払われるものです。通常、数約万円~数千万円という大きなお金が支払われますので、多少の税金がかかることはイメージできても、どの場合にどの税金が適用されるかなかなかわからない方がほとんどではないでしょうか。今回は、保険金受取のパターンごとに、死亡保険金にかかる税金についてまとめていきます。生命保険の税務生命保険とは「万が一の際に備える」目的で加入します。では、万が一が発生し給付金(保険金)を受け取った場合、すべてに税金がかかるのかというと、そうではありません。生命保険の給付金(保険金)を受け取った場合で、税金がかかるのは【死亡保険金】や【養老保険などの満期金】【中途解約における解約返戻金】です。一方、入院給付金や通院給付金、就業不能給付金などを受け取っても、税金はかかりません。非課税の対象は、保険会社問わず業界一律です。各保険会社で特約名やペットネームなどの多少の違いはあっても、事故や病気で発生した給付金には課税されないことになっています。税金のかからない給付金の主なものは、以下の通りです。入院給付金手術給付金通院給付金特定疾病保険金がん診断一時金先進医療特約に関する給付金契約者・被保険者・受取人の関係性がポイントでは早速、死亡保険金にかかる税金についてまとめていきます。概要を表にまとめ、その後にそれぞれ詳しく解説します。契約者とは掛け金の負担者生命保険の契約の中で、さまざまな名称が使われて混乱してしまう方も多いのではないでしょうか。今回のテーマである死亡保険金の受け取りに際しては、どの立場の人が、どのような役割を担っているかを把握しておくことが、大切なカギとなります。ここで改めて確認しておきましょう。契約者…保険契約をする人(した人):「毎月の掛け金を負担している人」という認識でよい。解約金は契約者に支払われる。被保険者…保険契約の対象となる人:加入時に健康状態を告知する必要があり、被保険者に万が一のことがあれば保険金が出る。保険金受取人…被保険者が死亡した際に保険金を受け取ることができる人:基本的には被保険者の配偶者または所定の範囲内の親族。指定する受取人がいない場合は?生命保険に加入する際は、必ず死亡保険金の受取人を決めなければいけません。事情があり、どうしても加入時に受取人を決定できない場合は、受取人欄に「法定相続人」と記載することで保険に加入できる場合もあります。法定相続人とは、民法で定められた遺産を相続する権利のある人のことです。指定する受取人がいない場合や、判断に悩む場合の取り扱いについては、取り扱いの保険会社にお尋ねください。①相続税の対象これまでに解説した内容をふまえ、ここから実際の税の話に入ります。まずは、死亡保険を受け取って「相続税」の対象となる場合についてです。相続税が課税されるパターンは【契約者と被保険者が同一で、保険金の受け取りがそれ以外である場合】です。つまり「自分のために、自分で加入した生命保険で、自分に万が一のことがあったら誰かに保険金を遺す」という場合は、相続税に当てはまるということです。相続税とは相続税とは、対象の方が亡くなることで発生する税金です。死亡保険金の受け取りをして、相続税の対象となるという人は、対象者が亡くなったことで少なからず生活に影響がある場合がほとんどです。このことから、死亡保険金の受取の際にかかる税金の中で、税の負担が少なく抑えられるのは相続税です。遺族となり、せっかく受け取った保険金ですので、なるべく多く遺族補償として使ってもらえるように配慮されています。受取人は配偶者・子供が望ましい保険金受取人は、できれば「被保険者の配偶者または子供」が望ましいと言えます。配偶者や子供がいない場合は「被保険者の法定相続人」を受取人として指定しましょう。主に配偶者や子などの法定相続人が保険金受取人となった場合、相続税の非課税枠が適用され、法定相続人の数と保険金額によっては、相続税の課税対象とはならない場合もあります。【相続税の非課税金額・計算式】500万円」×法定相続人の数保険金の非課税適用たとえば、父親が自分を被保険者として、保険金額3000万円の死亡保険に加入していたとします。妻と、子供が2人いた場合、この3人が法定相続人となります。したがって、相続税の非課税金額は【500万円×3人(妻・子供2人)=1,500万円】となります。保険金額は3000万円ですので、非課税金額を差し引いた1,500万円が相続税の課税対象となります。この1500万円は、その他の遺産(預貯金など)と合算され、相続財産とみなされます。遺産総額の基礎控除保険金も含めたすべての相続財産に対して、さらに基礎控除額が設定されています。【相続税の基礎控除額】=3000万円+(600万円×法定相続人の数)上記の例に当てはめてみると、法定相続人は3人です。したがって【3000万円+(600万円×3人)=4800万円】が、相続税の基礎控除額となります。死亡保険金の非課税枠を差し引いた残りの1500万円を含めて、全ての遺産総額が4800万円以内であれば、相続税の対象にはなりません。超えた場合は、超えた金額に対してのみ課税されます。相続財産が基礎控除額以下の場合は、基本的には確定申告は不要です。ほかの控除(配偶者控除など)を利用する場合など、個別の相続状況はさまざまですので、確定申告の有無については自己判断せず、税務署に相談しましょう。②所得税の対象所得税とは、個人の所得に対して課税されます。保険金の受け取りに際しては、契約者と受取人が同一の場合に対象となります。契約者とは「保険料を負担している人」のことです。受取人は、保険金を受け取る人のことです。つまり「保険料を払った人が、保険金をもらう」ことになるので、所得税の対象となるということです。保険金が「所得税」の対象となるのは【契約者・受取人が同一人物で、被保険者は別である場合】です。[adsense_middle]所得税の課税対象とは注意したいのは、受け取った保険金の全額に対して課税されるわけではないという点です。所定の計算式に当てはめ、算出された額に対してのみ課税されます。以下の計算手順で、所得税の課税対象となる金額が算出されます。実際に受け取った保険金から【既払込保険料】を引きます。「1」で出た金額から、さらに【一時所得・特別控除「50万円」】を引きます。「2」で算出された金額が【一時所得】額となります。一時所得額の1/2の額が、実際の課税対象となります。既払込保険料とは、保険料受け取り時までに支払った保険料の総額のことです。計算例既払込保険料500万円に対して、保険金3000万円を受け取った場合の所得税の課税対象の額は以下のようになります。3000万円-500万円=2500万円2500万円ー特別控除額(50万円)=2450万円(一時所得の額)2450万円×1/2=1225万円1225万円が課税対象となる。③贈与税の対象贈与税とは、死亡保険金の受取に際してかかる税金の中で、もっとも金額的な負担の大きい税金です。契約者、被保険者、受取人がすべて別人である場合に、贈与税の対象となります。贈与税の課税対象とは贈与税は、法定相続人などの関係性は必要なく、どのような条件であっても、一律「110万円」のみが控除額として差し引かれます。単純に、受け取った保険金額から110万円を差し引いた額が、課税対象ということです。計算例3000万円の死亡保険金に対して、贈与税が発生する場合【3000万円ー110万円=2890万円】が課税対象となります。受取人の変更はお早めに死亡保険金を受け取る際には、なんらかの税金がかかることはご理解いただけたのではないでしょうか。いずれも、受取人がどなたであるかは非常に重要なポイントです。たとえば、独身の頃加入した保険で、受取人が既にお亡くなりになった親族であったりする場合もあります。定期的に保険証券や、保険の内容のわかるものを確認し、受取人や指定代理請求人が、ご自身の希望通りの方になっているかは確認しておくと良いでしょう。特に、結婚などで家族が増えた際は受取人を再検討するタイミングです。ちなみに、受取人の変更は無料ですぐに完結します。詳しくは加入している保険会社にお尋ねください。死亡保険金にかかる税金に関するまとめ死亡保険金の税務については、生命保険加入時に必ず保険の担当者から説明が行われているはずです。しかし、そもそも加入した時期がかなり以前である場合などや、聞いたかもしれないが制度自体がわかりにくいなどの理由から、税務についてご存じない方が多いのではないでしょうか。なかなかこのような細かい点まで把握するのは、通常は困難です。ご安心ください。本記事で解説したように、契約者などの関係性によって、どの税金の対象となるか全く異なり、場合によっては契約者変更を行う方が税務上スムーズとなる場合もあるでしょう。特に理由がなく契約者と被保険者を別にしている場合などは、今一度ご家族とご相談の上、変更しても良いかもしれません。生命保険は、人生の中でもかなり大きな買い物であると言われます。大きな買い物をするからには、しっかりと「受取時」についても考えておき、遺された方の役に立つ形で保険金を遺すことが安心であるといええます。契約者や受取人の変更については、ご加入の生命保険会社へお尋ねください。
2020年05月30日こんにちは、婚活FP山本です。東日本大震災のころから、少しずつ認知度が高まってきたのが「地震保険」になります。大切な家が地震で住めなくなっては大変ですから、認知度が上がるのも納得です。しかしその一方、「どの地震保険に入ればよいか分からない」という方も多いといえます。ぜひ最低限の知識を身につけて、正しく選びましょう。そこで今回は、地震保険の基本とおすすめ地震保険をお伝えします。あなたの人生に、お役立てくださいませ。地震保険は「火災保険とセット」で加入する保険まずは、地震保険の基本についてお伝えします。そもそも、地震保険は基本的に単独では加入できず、火災保険とセットで加入する保険です。このため、地震保険を選ぶときには、その前に火災保険をどれにするかを選ぶ必要があります。ちなみにこの事情は、火災保険が「地震・噴火・津波」による被害を補償対象外にしているためです。これらの被害は極めて広範囲かつ大規模になりやすいため、これらを外す代わりに割安な火災保険料を実現しています。そして、地震・噴火・津波による被害を補償対象にしているのが地震保険です。まずは、このような火災保険と地震保険の関係性の基本について、しっかり知っておきましょう。格安の賃貸マンションでも加入しておいたほうが無難火災保険も地震保険も、どちらも「建物か家財、または両方」を補償対象にしています。そして、火事であっても地震であっても、被害を受ければ甚大なのが普通です。たとえ高価な家財がなくても、また一式揃えようと思えば相応の金額になります。このため、たとえ格安の賃貸マンションに住んでいる方でも、火災保険とともに地震保険にも加入しておいたほうが無難です。しっかり自分の生活を守っていきましょう。建物が壊れ、流されるような自然災害が多発中!次に、地震保険の加入の必要性についてお伝えします。これは結論からいえば、「絶対に入るべき」です。やはり東日本大震災がポイントですが、その後も大きめの地震は何度か起きており、都心部でも首都直下型地震がいわれているのが今の日本といえます。たとえ耐震性の高い物件であっても、東日本大震災では「津波」の被害も甚大でした。また台風で建物が壊れ、流されるような自然災害も多発中です。元になる火災保険も大切ですが、やはり地震・噴火・津波にも対処できる地震保険も必須といえます。もっとも、地震保険への加入世帯は全体の3割程度、火災保険への付帯率は6割程度なのが実情です。まだまだ普及していないのが現実ですが、被害に遭う前に加入しておきましょう。新築住宅や一戸建ては特に強く警戒しよう地震や火事などの自然災害は、建物を選びません。古くても新しくても、平等に被害を与えます。むしろ、新しい建物のほうが「失うリスク」が高いです。このため、新築住宅や一戸建ては、特に強く警戒することをおすすめします。たっぷり住宅ローンが残っている中で保険に加入せずに被害に遭えば、2重ローンを組むハメになるかもしれません。実際にそういう方もいますから、十分に注意しましょう。最近では単独加入できる人気の損保会社もある?今度は、最新の地震保険の事情についてお伝えします。先ほど、地震保険は火災保険とセットで加入する保険とお伝えしましたが、実は少しずつ「単独加入できる損保会社」も登場しているのが最近の事情です。必要性の観点ではセットのほうが望ましいのですが、需要は個々人によるといえます。また、そもそも地震保険は法律で「火災保険の50%まで」しか加入できません。そこで、差額の50%分を特約で加入できる地震保険も登場しています。これで、地震で家が潰れても100%の補償を得ることができますから、かなり人気のようです。一方で昔とは違い、最近の火災保険は地震保険も含めて最長10年までしか加入できません。それほど自然災害へのリスクが高まっているのが背景にありますから、ぜひ備えへの意識も更新しておきましょう。見積もりも簡単で保険料も安いネット損保も人気最近では、見積もりも簡単で保険料も安いネット損保も人気です。インターネットに慣れた方なら、人と話さなくてよい点もうれしいかもしれません。逆に、インターネットに不慣れな高齢者も多いですから、人と話して加入できる代理店型も根強い人気があります。なお、地震保険の選び方で大切なのは「比較」です。まずは「自分に必要な補償」を十分に考えて、その後は複数の地震保険を比較して最終的にどれかを選びましょう。地震保険おすすめ比較ランキング1位:ソニー損保「新ネット火災保険」ここからは、さまざまな角度で地震保険を比較し、おすすめできる保険をランキング形式でお伝えします。まずはソニー損保の「新ネット火災保険」です。ここはネット損保になり、地震保険の元になる火災保険の部分を見ても相応に優秀といえます。そしてこの地震保険は、通常なら火災保険の50%までしか加入できないところ、特約で100%補償を実現しているところが特徴的です。このような特約はまだ珍しい部類に入りますから、強めに地震に備えたい方にはうってつけといえる地震保険といえます。オリコン顧客満足度1位!この地震保険(火災保険)は、2020年のオリコン顧客満足度調査で、火災保険の部で総合1位を取っています。最終的には当人次第ですが、あなたも満足できる可能性が高い保険です。ぜひ優先的に、検討してみることをおすすめします。気になる方は、以下の公式サイトを見てみましょう。[adsense_middle]地震保険おすすめ比較ランキング2位:楽天損保「ホームアシスト」2位に挙げるのは、楽天損保の「ホームアシスト」です。ここもソニー損保と同じくネット損保になり、保険料も割安といえます。残念ながらソニー損保のような地震保険100%補償はありませんが、元になる火災保険が十分に優秀です。そして何より、この地震保険では「楽天ポイントが貯まり、使える」という特徴があります。そもそも普段から楽天を利用しているのであれば、この特徴は極めて目立つものです。楽天ポイントの恩恵を増やしたい方は、ぜひ優先的に検討してみましょう。価格.com保険アワード2020年版火災保険の部1位!この保険は、価格.com保険アワードの2020年版火災保険の部で、総合1位を取っています。楽天ポイントの特典以外にも、ハザードマップ上の水災に基づいた保険料設計をしている点が評価されたようです。気になる方は、以下の公式サイトを見てみましょう。地震保険おすすめ比較ランキング3位:SBI損保「SBIいきいき少短の地震の保険」3位に挙げるのは、SBI損保の「SBIいきいき少短の地震の保険」です。この地震保険は少し特殊なもので、火災保険とセットで加入する必要がありません。このため、極めて割安な保険料で地震に備えることができます。ただし、補償は300~900万円しか設定することができません。また火災保険がないため、地震・噴火・津波以外の自然災害などに備えられない点にも注意が必要です。一般的な地震保険は火災保険の50%までしか加入できませんから、その上乗せとして利用するとよいでしょう。SBI損保は「とにかく保険料が割安」SBI損保には「SBI損保の火災保険」もありますが、この保険は「とにかく保険料が割安」という特徴があり、人気です。一方で地震への備えを手厚くしたい場合には、別枠でこの地震保険に加入しておくと、割安とは思えない安心を得られるでしょうから、おすすめといえます。気になる方は、以下の公式サイトを見てみましょう。地震保険おすすめ比較ランキング4位:東京海上日動「トータルアシスト住まいの保険」4位に挙げるのは、東京海上日動の「トータルアシスト住まいの保険」です。東京海上日動はネット損保ではありませんから、基本的に契約は代理店を通します。高齢者など、ネット操作が苦手な方には特におすすめです。この保険は、無料サービスとして「メディカルアシスト」「介護アシスト」が利用でき、さらにオプションで「住まいのサイバーアシスト」などがある点が特徴的です。簡単にいえば、「手厚い補償が得られる」保険といえます。地震保険としては普通ですが、ぜひ検討してみましょう。地震にだけ備えればよいわけではない!地震保険を検討中といっても、地震補償の部分だけを比較検討すればよいわけではありません。人生は何が起こるか分からず、さまざまなリスクに対して多角的に備えておくことが重要です。そう考えると、この保険も極めておすすめといえます。気になる方は、以下の公式サイトを見てみましょう。地震保険おすすめ比較ランキング5位:セコム損保「セコム安心マイホーム保険」5位に挙げるのは、セコム損保の「セコム安心マイホーム保険」です。ここはネット損保とはいえませんが、オンラインによる見積もりや申し込みもできます。当人次第で申し込み方法を選べるのは、うれしい特徴です。そしてこの保険は、とにかく「補償設計がシンプルかつ自由」という点が特徴的といえます。基本となる補償も3種類から選ぶだけですし、特約もさまざまなものから選べる保険です。ほかに特に目立った特徴はありませんが、これはこれでおすすめといえます。「セコム」であることで得られる安心感ご存じのとおり、セコムは警備会社です。そのグループ企業であるセコム損保で備えれば、「セコムに守られている感」を得られるでしょう。地震保険は加入することで「精神的な安心感」も得られますから、このような要素も重視したい方には特におすすめです。気になる方は、以下の公式サイトを見てみましょう。地震保険で一番のおすすめは「とにかく加入すること」地震保険で一番のおすすめは、「とにかく加入すること」です。悩んだ挙句、どこにも加入しないというのは一番避けたいことといえます。本当に地震被害を受けた際、一番の後悔をするのは自分自身です。今は地震リスクも高まっていますから、ぜひどこかには加入しましょう。
2020年05月28日こんにちは、婚活FP山本です。賃貸物件で利用されがちな家財保険ですが、気になることの1つに「テレビの故障は補償されるのか」が挙げられます。保険といえば「火事など大掛かりなこと」でないと補償されないイメージもありますから、それも仕方ない見方かもしれません。ぜひこの機に、正しく家財保険を知っておきましょう。今回は、テレビの故障を主軸に家財保険の基本についてお伝えします。あなたの人生に、お役立てくださいませ。テレビの故障は家財保険で補償される!まずは早速、テレビの故障と家財保険の関係についてお伝えします。結論からいえば、テレビが故障した場合は「家財保険の補償対象」です。買い替えであっても修理であっても、基本的にその費用は家財保険の契約に沿って補償してもらえます。なお、この補償には「破損・汚損」の契約が必要です。この契約さえしていれば、「不測かつ突発的な事故」の場合、テレビの故障が補償対象になります。分かりにくい場合は、「うっかり事故」と考えれば大丈夫です。うっかり壊してしまったときは家財保険を使いましょう。また、これは子供が壊した場合だけでなく、大人でも「うっかり」壊してしまった場合は問題ありません。まずは、このような家財保険の基本について、しっかり知っておきましょう。火災保険で家財も対象なら同様に補償される!そもそも家財保険とは、文字どおり「家財限定」の火災保険です。そして火災保険なら、家財に加えて建物も補償対象になっています。このため、火災保険でも同じく家財について「破損・汚損」の契約をしていれば、同じく補償対象です。もし、そのような契約をしていないのであれば、この機に加入内容を変更するのもアリかもしれません。また大昔に契約したような場合は、そもそも「自身の補償内容を知らない」ということも多いですから、一度は確認しておくことも大切です。ぜひ家財保険・火災保険を「必要なもの」として考えていきましょう。液晶割れの補償範囲と補償金額は契約次第!次は、テレビが液晶割れした場合の補償範囲と補償金額についてお伝えします。これは結論からいえば、「契約次第」です。一般的には、通常であればテレビの修理費用や交換費用、買い替え費用や付随する費用についてまで補償範囲になります。また、補償してもらえる金額は契約している「保険金額」が上限です。この保険金額の範囲内であれば、基本的に何度でも保険金を請求することができます。最近では高額なテレビも増えていますが、一般的には保険金額を上回るようなテレビは稀でしょう。なお、液晶割れに限らず、うっかり事故で「テレビが見られない・聞こえない」なら基本的に補償されます。そんなときは、ぜひ家財保険を活用していきましょう。「お支払い例」を見るか、保険会社に聞いてみよううっかり事故も含めて、事故というのは本当にさまざまなケースが考えられます。「自分の場合はどうなのか?」が分からないことも多いです。そんなときは、契約書やサイトの「お支払い例」を見るか、あるいは契約中の損保会社に直接聞いてみる方法がおすすめといえます。少なくとも、事故を起こしたら誰かが自動的に対処してくれるわけではありません。事故を起こしたときは当然に、できれば事前に自分でいろいろと調べておき、それを安心に変えていきましょう。故障の理由や免責金額の範囲内なら補償ナシここからは、家財保険の注意点についてお伝えします。すでにお伝えしたとおり、破損・汚損の対象になるのは「うっかり事故」で壊した場合です。このため、故障の理由が経年劣化だったり、わざと壊したりしたような場合は補償の対象外になります。また、「免責金額」にも注意が必要です。契約者の中には、少しでも保険料を安くしたいあまり、高めの免責金額を設定する方が少なくありません。修理費などが免責金額の範囲内なら、やはり補償してもらえない点には注意が必要です。合わせて、家財によっては元から補償対象外のものもありますし、外に持ち出して壊してしまった場合も補償対象外になります。これら「補償対象外の場合」には注意しましょう。傷や破損によっては、修理費が補償対象外?破損・汚損といっても、そのすべてが補償対象ではありません。たとえば「すり傷」程度の場合は、補償対象外です。修理したくなる程度に壊れていたとしても、その機能に支障をきたさない程度の場合は、基本的に補償対象外になります。ちなみにこの理屈は、たとえば小さな火事が原因でテレビに傷が付いたような場合も同じです。分かりやすく「テレビが壊れて見られなくなった」ような場合に、家財保険を使いましょう。保険金額の「上限」には注意が必要次は、保険金額の「上限」についてお伝えします。すでにお伝えしたとおり、保険金額の範囲内なら、基本的に何度でも保険金を請求することが可能です。しかし、1回の請求で保険金額に相当するような請求をした場合は、それをもって保険契約が終わります。しかも、この理屈は保険会社で少しずつ違っているのが実情です。たとえば保険金額の100%を基準にしているところもあれば、80%程度で「保険金額相当」と考えている会社もあります。一般的なテレビ程度なら問題ないのが普通ですが、注意は必要です。ただ一方で、そのような一度で多額の請求をしない限り、基本どおり何度でも保険金は請求できます。テレビの破損程度なら、壊れたときにはしっかり請求しましょう。2回目であっても請求は遠慮なく!中には、一度でも保険金を請求すると、2回目の請求を「しにくい」と感じる方がいます。おっちょこちょい、がめつい、わざとと思われるのでは……そのような心境からです。お気持ちは分かるものの、少なくとも黙っていては損をするだけといえます。それに、確かに保険会社も人間が運営しているものの、あくまで保険会社は「契約どおりに」対処するだけです。何度でも支払ってもらえる契約をしたのですから、遠慮なく何度でも請求しましょう。[adsense_middle]請求方法は「保険会社への連絡と見積もり」から!今度は、保険金の請求方法についてお伝えします。簡単にいえば、基本的な保険金の請求方法と流れは以下のとおりです。保険会社へ連絡…電話やネットで、保険証券などを準備しておこう必要書類が届く…保険金の請求書などが届きます必要書類を提出する…修理費用の見積もり書や証拠写真なども必要になりがち保険会社が見に来る…鑑定人による調査。これで保険金の金額が確定します保険金がもらえる…実際の修理や買い替えは、保険金が出てからやはりポイントは「必要書類を提出する」部分になります。このときには、修理費用などの見積もり書や証拠写真などが必要です。このため修理に出すような場合は、その前に壊れた部分の写真を撮っておくなどの対処が必要になります。もっとも、最終的な流れは「損保会社次第」です。まずは保険会社へ連絡をして、そのときに見積もりが必要と言われたら、それから修理業者を探しましょう。なお、修理業者選びも大切といえますから、できれば複数社を比較して決めることがおすすめです。修理不能だからと即座の買い替えには注意しよう中には、修理不能と判断して即座に買い替える方がいますが、証拠写真がないと保険金が出ないかもしれません。経年劣化で壊れたのならともかく、そうでなければ保険金が出る可能性があります。家財保険に加入しているのなら、まずは保険会社へ連絡するのがおすすめです。安物であっても、一般的にテレビは相応に「高価な家財」といえます。その費用の有無は現在の家計にも相応に影響しますし、ひいては未来にも影響しますから、自分で勝手に判断せずにダメ元で確認してみましょう。賃貸で子供がいるなら家財保険・火災保険は必須!最後に、大切な補足情報をお伝えします。テレビの故障などは筆頭ですが、一般的に大人より子供のほうがものを壊しがちです。そして自分の家財を壊した場合もですが、それ以上に他人のものや部屋という大家さんのものを壊したときには「賠償」が必要になります。「子供がやったこと」とはいえ、それで許してもらえるかどうかは相手次第ですし、金額次第です。実際、過去には子供がやったものの、親に数千万円の賠償責任が課されたこともあります。もちろん大人である親でも、不注意などでいつ何を壊してしまうか分かりません。一般的に家財保険は賃貸を借りるときに加入しますが、賃貸かつ子供がいるなら家財保険、または火災保険が必須といえます。そのうえで特約なども含めて最適な内容で契約をして、何があっても安心して暮らしていける状態にしておきましょう。今後の教育費や老後資金を考えることも大切子供が小さいうちは破損や賠償が怖いものですが、大きくなると今度は「教育費」が怖くなります。一般的な大学費用は、1人700万円程度も必要です。さらに子供が巣立った後には、「老後資金2000万円問題」も待ち受けているのが日本の現状となっています。家財保険は、補償範囲や補償金額を広く多くするほどに保険料が割高です。このため、家財保険に加入する際には「未来に必要なお金」も考える必要があります。未来に必要なお金が分からない場合は、まずその部分を自分なりに考えて調べることが出発点です。ちなみにFPに相談すれば、ライフプラン作成をしつつ家財保険も一緒に考えてくれます。必要に応じてプロのFPにも相談しつつ、貯金と補償のバランスを考えて家財保険に加入しておきましょう。テレビが故障したら家財保険を活用しよう!あくまで契約次第ですが、「破損・汚損」の契約をしているなら、テレビの故障は家財保険の補償対象になります。そして保険金は、保険金額の範囲内なら基本的に何度でも請求できるのが家財保険です。せっかく家財保険に加入しているのなら、遠慮せずに有効活用していきましょう。
2020年05月28日