くらし情報『小さな幸せがたくさんある家森のような空間に向かって過ごすふたりだけの時間』

小さな幸せがたくさんある家森のような空間に向かって過ごすふたりだけの時間

「プライバシーを確保しつつ、緑とか光や陰、風を感じられる家。あと季節の移ろい、時間の移ろいによって、同じ場所なのにいろんな顔をもつ家に住みたいということを最初にお伝えしました」とAさん。「箱根のポーラ美術館の雰囲気が好きで、あのような静かなたたずまい、森の中にあるみたいな雰囲気が好き」なことも伝えたという。

保坂さんはこの森のような場所の、人工的につくられた公園にはない「(自然の)原初的な感じ」に着目した。その原初的なものを全面ガラスにしてすべてが見えるようにするのではなくて、あたかも洞窟の中からその原初的で美しい自然をうかがうようにできないかと考えたという。美しい場所に出ていく楽しみ、見る楽しみが生まれるような空間をつくる。そこで軒を延ばしてあえて室内から見える景色を絞り込んだ。

その軒はまたそのような眺めをつくるだけでなく、斜めにつくられていて雨の日には片方の端から雨が流れ落ちるようになっている。
そうすることでその端の部分以外では軒からはほとんど雨が落ちてこないという。「自分の目の前には雨が落ちないでその先に雨がさーっと降っている。これがとても幻想的で、自分のいる場所と向こうの世界はつながっているのに違う世界のような感じがするんです」

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