2017年8月10日 14:42
不倫のピリオド「思い出」があれば生きていける|12星座連載小説#134~双子座 11話~
12人の女性たちの生き方を、12星座になぞらえて紹介していくショートクロスストーリー『12星座 女たちの人生』。 キャリア、恋愛、不倫、育児……。男性とはまた異なる、色とりどりの生活の中で彼女たちは自己実現を果たしていく。 この物語を読み進めていく中で、自身の星座に与えられた“宿命”のようなものを感じられるのではないでしょうか。
文・脇田尚揮
【12星座 女たちの人生】第134話 ~双子座-11話~
「はい、もしもし」
この声は……、義久さんの声だ。思わず息を呑む。
良かった……。
『あの……私です……』
「……ああ」
『あの……今、どうされていますか?』
「うん、自宅にいる。
これからはフリーとしてやっていくつもりだよ」
『二人のこと、知られてしまったの……?』
あえて、“二人”と言う。
向こうで誰かに聞かれているかもしれないから。
「……そうだね」
もうすぐ切れちゃう……急いで100円玉を追加する。心臓がバクバクと音を立てているのが、自分でも分かる。
『もう、会うことはできないんでしょうね……』
「難しいだろうね」
そうか……、難しいのか。
そうだよね、もう会えないよね。