2018年8月29日 18:00
口論が裁判沙汰へと発展…衝撃作『判決、ふたつの希望』の裏側を探る
と実はずっと思っていたんだ。その答えは、やはり子ども時代にレバノン内戦を体験していて、そこで恐怖心というものを感じていたからじゃないかな。
たとえば、日本では誰かとぶつかって口論になったとしてもそれくらいで終わりだよね?でも、戦争中だと相手がマシンガンを持っているし、それぞれの人の背景にはいろんな政党があったりもするから、それ以上の大きな問題に簡単に発展してしまうんだ。
実はどこでも起こりえること
―監督自身も子どもの頃からそういう体験を数多くしてきたのですね。
監督
何度も目にしてきてもいたし、実際に自分の身にも起きたことがあるよ。子どものときに父親が運転する車が検問所で止められたんだけど、財布を出せと言われたんだ。でも、父親は財布を出さずに、代わりにパンをやると言って、車からパンを投げた。それに対して怒った民兵が仲間に声をかけて、突然6、7台のジープに囲まれて危険な状態に陥ってしまったこともあるんだ。
そういった経験を何度も何度もしているからこそ、些細なことが恐ろしい事態になるという物語をこの作品では描きたかった。でも、それはレバノンだけではなく、アメリカにいたときにも駐車違反の切符を巡って女性警官と口論になったことがあるし、どこでもそうなることは想像ができるよ。