2020年8月1日 18:00
ソロシネマ宅配便 第12回 異端のアイドル・長瀬智也を堪能できる映画『空飛ぶタイヤ』
○■池井戸潤のベストセラーを映画化
そう、歌手活動まで追うほどファンというわけではないが、10代中盤の頃から各時代の俳優・長瀬智也を見続けてきた。自分の世代にとって、そういう同時代を生きた男性俳優は長瀬智也しかいない。だから先日部屋でソロ観賞した2018年の映画『空飛ぶタイヤ』は感慨深い作品だった。
公開時に累計180万部を突破の池井戸潤のベストセラーを映画化。『半沢直樹』や『陸王』などが立て続けに高視聴率ドラマとなり、いまや池井戸小説は日本の代表的な大人の娯楽作品として知られている。
そこで長瀬が演じるのは、赤松運送という中小企業の二代目社長、赤松徳郎だ。ある日、巨大トレーラーの脱輪事故が起き、幼子の手を引いていた母親が亡くなる。整備不良を疑われた赤松運送は、独自の調査で車両の構造そのものの欠陥に気づき、製造元である財閥系のホープ自動車に再調査を要求。
この調査の過程で、大企業の隠蔽体質が明らかとなる。いったい事件か、事故か。果たして、巨大な組織に屈せず、真実の断片を繋ぎ合わせリコール隠しを暴けるのだろうか。
池井戸作品が多くの人に読まれるのも、作品内にあらゆる立ち位置の人間が登場して、視聴者は誰かしらに感情移入しやすいからだろう。