尾野真千子「なにくそと思ってがんばってきた。その積み重ねで強くなれたと思う」
ちょっとした動きでも気持ちを伝えることができます。でも、声だけとなると、身体の動きで伝えることはできません。どう表現していいのかわからなくて、はじめのうちは苦戦しましたね」
■大切な両親と3人の姉
過去に出演した作品で、ママ役を演じたことがある。その経験を思い出しながら、今まで通り自然に役を演じる気持ちで取り組むと、戸惑うことは少なくなった。
「細かいことは気にせずやっていました。声は尾野真千子そのものですしね」
温かい笑みを浮かべて、現場をふわっと和ませる。今回演じたママと実のお母さんとで、重なるところがあるかと尋ねると、ひとつ息を吐いて話し始めた。
「私もね、子どものころ、体が弱かったんですよ。
小児喘息や肺炎になって入院したときは、母につきっきりになってもらって。今回ママ役を演じてみて、当時のことを思い出しました。
母におぶってもらって病院へ向かっているとき、『私、がんばるね』と言ったのは覚えています(笑)。お母さんを独り占めにしている申し訳なさと姉たちが怒るんじゃないかっていう気持ちがあって、皆そんなに気にしてないのに、子どもながらに気を遣っていました」
打ち明け話をするかのように、そっと話してくれた。