【婚姻届に判を捺印しただけですが 10話】「もう二度と」になる前に…・ネタバレあり
一方で明葉は百瀬と離婚したこと、新居が決まるまで家に置いてもらいたいことを祖母に伝える。
お見合い結婚をして、夫が亡くなった後で「好きだった」と気づいた祖母。その口から出た言葉は重く、切実なものであった。
「会えなくなってしまったら、もう一度はもう二度とになってしまうからね」
ここで離れてしまったら『もう一度』はないかもしれない。そんな状況にも関わらず、百瀬と明葉はきちんと話をすることなく引っ越しの日を迎えてしまった。
祖母の家に置けないからとソファを売ることにした明葉。買取査定に立ち会った百瀬はソファが持って行かれる瞬間、大切なことを思い出した。それは、ソファに刻み込まれた明葉との時間。
買い取りトラックを追いかける百瀬につい笑ってしまったが、この描写は明葉と百瀬の関係性の比喩になっていると考えられる。
大切なものというのは失って初めて気づくことが多いが、百瀬はその一歩手前で行動を起こすことができる。
百瀬は全日本鈍感選手権の覇者であり、失う前に気づくことができていたのは周囲のサポートのおかげだ。
しかし、自分の気持ちと向き合った後、即座に『正しい』行動を取れるのは百瀬自身の長所であり、明葉との関係性を続けていく上で最も大切なところだと言える。