【妻、小学生になる。第9話 感想】『つましょー』は新島家だけが主役ではない・ネタバレあり
自信満々で、でもどこか不安気な友利の横で、貴恵は一人、確かな友利の成長を感じていた。
自分の力で、逃げ続けた現実に一歩踏み出した、たった一人の大切な弟に、貴恵は別れを告げるのだった。
貴恵は千嘉と万理華にも会いにきた。千嘉は、頼りにしていた貴恵に何もしてあげられなかったことを悔やんでいるようだった。
しかし貴恵の表情は暖かい。
貴恵の望みは見返りなんかではない。今、万理華とこうして向き合っていることが何よりの望みなのだと思う。
貴恵の言葉はいつも周りを包んでくれる。
周りをポンコツにするなんていわれてしまうのは、そんな貴恵のことをみんなが頼りにしているからなのだ。
圭介は家で一人、貴恵の言葉を思い出す。俯いた時には顔をあげてと頬を包んでくれる大切な人の声。
「失ったものを見つめて、死ぬまで過ごすの?」
夢から覚めた時が一番怖い。どんなにいい夢を見て幸せに浸っていても、また失う。幸せはそう長くは続かないのだ。
しかしそれで全てが元通りになるわけではない…。この奇跡がもたらしたもの、貴恵が帰ってきた意味を考える圭介。
ここにはもう、貴恵はいない。しかし圭介は、一人で歩み出す。