【妻、小学生になる。第9話 感想】『つましょー』は新島家だけが主役ではない・ネタバレあり
自分一人の力で、そしてほんの少しの貴恵が残してくれた大切な思い出に後押しされ、進んでいく。
圭介の10年間分の言葉
「10年前、あの時、私、ママと一緒に消えちゃえばよかったんだよ」
ご飯も食べず、部屋に引きこもる麻衣に、圭介は10年分の、言葉を。
「ママがいなくても、二人で一緒に生きていく道を探さなきゃいけなかったんだ」
圭介は貴恵が亡くなってからというもの、麻衣と向き合うことすらずっと逃げ続けてきた。
麻衣をゾンビにさせたのは圭介なのだ。時間を止めたのは死ではなく、生きながらにして『生きること』を諦めてしまった圭介だ。でもこれからは違う。
「これからは、なくしたものじゃなく、ママがくれたものを見つめて、生きていかないか?」
麻衣が大人になりきれなかったのは、ずっと甘えられず、泣きたくても泣けずに、10歳で時は止まっていたからなのだと思う。
そして麻衣はドアを開ける。
10年間、閉じ切ったままだった心が開く。
圭介はやっと貴恵が帰ってきた意味に気づけたのだ。失ったものをいつまでも見つめるだけじゃなく、これから生きていく世界を…。
そして周りの人に向き合い、前に進むことの方がずっと大事だということを。