【『初恋の悪魔』感想6話】名前未満の愛おしいもの・ネタバレあり
Twitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。
2022年7月スタートのテレビドラマ『初恋の悪魔』(日本テレビ系)の見どころを連載していきます。
かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。
このドラマで、何気ないけれど、ふと目について覚えている場面がある。
2話、鹿浜鈴之介(林遣都)の家でいつもの4人が大福を食べながら話すシーンだ。摘木星砂(松岡茉優)は、残った大福を持ち帰るためなのか、大事に紙に包んで手元に置く(結局は忘れて帰るが)。
そういえば、星砂は馬淵悠日(仲野太賀)相手にも最初に会ったとき、「食べるものを持ってないか」と問いかけていた。どちらも食べることに対する切迫感が透けて見える。
用心深いけれども、安心して受け取れる相手からは食べ物をもらって、その時食べられるだけ食べて、すっと離れるさまは誇り高い野良猫のようだ。
誇り高く生きることと引き換えに、暮らしの基盤は脆いけれども、常に相手の本質を真っ直ぐに見据える星砂のまなざしは美しい。
大福をみんなで食べた時に「おまえら、粉、こぼさずに食えねえのか」