2023年5月17日 16:54
【『ラストマン』感想4話】今田美桜と永瀬廉、二人が物語に添える虹のいろ
吾妻ゆうきは、陸上に打ち込んでいた学生時代に、いわゆるアスリート盗撮をされた上にストーカー被害まで受けて深く傷ついている。
望まない見られ方に傷ついた少女は、見えない人生を自らの力で切り開いて生きるFBI捜査官の存在を知り、彼を人生の道しるべとして歩き出す。
普段は控えめだが、迷いながらも過去の傷から逃げずに立ち向かう吾妻の強さを、今田美桜が懸命に、健気に演じていた。
そして警察エリート一家・護道家の息子、護道泉を演じる永瀬廉も回を追うごとに存在感を増している。
心太朗に恋心をいじられて上司部下から甥と叔父の口調になるのも、吾妻を案じて捜査から外れるよう勧め、すげなく断られて目線を落とす表情も、永瀬廉の演技はいつも名前のつけられない繊細なグラデーションで出来ている。
とりわけ、父の護道京吾(上川隆也)から、「大人になりたければ、清濁併せのむことを覚えろ」と諭された時の、どうにものめないことを自覚している微かな憂いの表情は印象に残った。
事件の解決後、皆実は傷を負った吾妻に「残酷で理不尽なことばかりですが、ある日突然目の前に虹がかかることがある。人生というものは、やはり素晴らしいものですね」