【『VIVANT』感想5話】阿部寛演じる野崎の男気が物語に風を通す
の身柄を押さえるべく相棒の黒須(松坂桃李)とともにバルカへと飛ぶ。
乃木の正体を確かめるためにバルカと日本を往復する野崎と、バルカでアリから組織の情報を得ようと暗躍する乃木、二人の追跡劇が交錯する。
今回、新たに別班の司令・櫻井としてキムラ緑子が登場する。
言葉一つひとつは丁寧だが、やや早口、切り口上で有無を言わせない圧を感じさせるあたり、秘密情報部の幹部として静かな迫力を感じさせる。
そして序盤で執念深く手強い敵として視聴者を震え上がらせたバルカ警察のチンギス(バルサラハガバ・バトボルド)が、野崎の要請で公安に助力することになる。
最初は厳しい表情を見せながらも、野崎の男気やドラム(富栄ドラム)の愛嬌にほだされて尽力する様子は、強敵が味方についてくれる少年漫画の趣きで、見ていて胸が躍った。
このあたりのわくわくする見せ方の匙加減は、やはり日曜劇場の十八番だと思う。
あらゆる証拠を自身の目で確かめた上で、野崎は乃木が別班だと確信する。
一つひとつ、乃木という男が隠していた高い能力を知る度に、野崎は騙された悔しさよりむしろ楽しげな表情を見せていた。
そんな野崎の変わらぬ好漢ぶりが、騙し騙されの緊張の中で一服の清涼剤である。