【『VIVANT』感想5話】阿部寛演じる野崎の男気が物語に風を通す
そして乃木はアリの居場所を突き止め、アリの家族を人質にして容赦ない尋問を始める。
その苛烈な尋問で聞き出したテントのリーダーの正体は、驚くべきものだった。
今回、野崎は乃木の履歴を追って舞鶴、島根と訪ねていく。行く先々の人々はみな穏やかで、垣間見える景色は静謐で美しい。
乃木が日々訪れる神社の佇まいも含めて、湿度と鮮やかさを感じさせる景色は、乃木が言う『美しき我が国』そのものなのだろう。
今回、乃木憂助の出自とテントのリーダーが憂助の父・乃木卓(回想パートは林遣都、現在パートは役所広司)だという重大な事実が二つ判明してもなお、物語の上で謎はまだいくつか残っている。
最たるものの一つは、憂助の父、乃木卓の過去。
たたら製鉄で財をなした名家、産業、文化、武器たる『鉄の一族』から警視庁に入り、警察官になった男がなぜ突然農業支援で中央アジアの小国に向かったのか。
それは果たして純粋な善意であったのかどうか。
そしてバルカに向かった先で何が起き、両親と息子は離散したのか、そして何が乃木卓をテロ組織に向かわせたのか。
そしてもう一つは、別班司令の櫻井がジャミーン(ナンディン・エルデネ・ホンゴルズラ)