【『不適切にもほどがある!』感想 初回】宮藤官九郎は決して守りに入らない
で、時間を逆戻りさせて再度見せる展開に驚いたことを思い出した。
他にも篠原涼子を古田新太に変身させてしまう『ぼくの魔法使い』(2003年日本テレビ系)といった「ありなの?」を「面白い!」に昇華させてきたその剛腕で、このミュージカルのシーンも見せ場に磨き上げていくのだろう。そして1986年と2024年を繋ぐゲートを守るのが、40年の芸能人としてのキャリアを信念を持って走り続け、宮藤官九郎作品でも数々の重要な役柄を演じてきた小泉今日子のポスターだというのが、何ともエモい。
それにしても、なぜ中学生のキヨシは尾美としのりの名前どころか、生年月日まで知っていたのだろう。
昭和のムッチ先輩(磯村勇斗)とそっくりな令和の秋津(磯村勇斗)の関係、小川の娘・純子は令和でどうしているのか、向坂親子はどんな経緯で過去にやってきたのか、そして喫茶『すきゃんだる』に居たシングルマザー(仲里依紗)は何者なのか。
何せ物語が進むにつれて点と点が線になり、線と線が面になり、面が立体になる宮藤官九郎のドラマである。
これから春まで、昭和パートに悶えつつ、令和になっても決して守りに入らない、名手が描く物語の妙に唸る週末になりそうである。